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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】カバーフックとそれを備えた搬送容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20220106BHJP
   B65D 6/26 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B65D25/20 Z
B65D6/26 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019110595
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020200106
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年6月26日に双葉工業株式会社に販売 平成30年6月29日に株式会社HOWA九州に販売 平成30年8月31日に福山合成株式会社に販売 平成30年9月10日に天馬株式会社に販売 平成30年9月29日に豊洋精工株式会社に販売 平成31年3月8日に株式会社澤井製作所に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206191(JP,A)
【文献】特開2003-175952(JP,A)
【文献】登録実用新案第3016425(JP,U)
【文献】実開昭56-087684(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107098054(CN,A)
【文献】特開2010-173766(JP,A)
【文献】登録実用新案第3046679(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 6/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底板と、
この底板の4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす1枚の第1の側板と3枚の第2の側板からなり、上面に開口部が設けられた箱状の容器本体と、
柔軟性を有する矩形状のシート体からなり、前記第1の側板の内面に一端が固定されて前記開口部を覆うように設置されたカバーと、を備え、
3枚の前記第2の側板の少なくともいずれかに平面視「コ」の字をなす切り欠きが上方へ開口するように形成された搬送容器に用いられるカバーフックであって、
前記切り欠き内に配置される矩形板状の本体部と、
この本体部の一方の面と平行をなし、かつ、前記第2の側板を間に配置可能に前記本体部の側面又は下面の少なくとも一部に設けられた一対のフランジと、
平面視L字をなす保持腕と、を備え、
前記保持腕は、
前記本体部の前記一方の面に立設された接続部と、
前記本体部の前記一方の面と平行をなすように前記接続部から曲折された保持部と、からなるとともに、
前記本体部の前記一方の面と前記保持部の間に前記カバーの他端を差し込み可能に形成されていることを特徴とするカバーフック。
【請求項2】
前記本体部は、
前記一方の面において前記保持部と対向する箇所に側面視鋸刃状をなす凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカバーフック。
【請求項3】
側面視「コ」の字をなす長尺のフレームが前記第1の側板及び前記第2の側板の上端に嵌設された前記搬送容器に用いられるカバーフックであって、
前記フレーム内に配置可能な板状の嵌挿部が前記本体部から上方に向かって延設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカバーフック。
【請求項4】
矩形状の底板と、
この底板の4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす1枚の第1の側板と3枚の第2の側板からなり、上面に開口部が設けられた箱状の容器本体と、
柔軟性を有する矩形状のシート体からなり、前記第1の側板の内面に一端が固定されて前記開口部を覆うように設置されたカバーと、
請求項1又は請求項2に記載のカバーフックと、を備え、
前記カバーフックは、
3枚の前記第2の側板の少なくともいずれかに、上方へ開口するように形成された平面視「コ」の字状の切り欠き内に前記本体部が設置されていることを特徴とする搬送容器。
【請求項5】
側面視「コ」の字をなし、前記第1の側板及び前記第2の側板の上端に嵌設される長尺のフレームと、
請求項3に記載のカバーフックと、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の搬送容器。
【請求項6】
前記容器本体は、プラスチック板によって形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の搬送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送又は輸送に用いられ、柔軟性を有するシート状のカバーによって上面開口部が覆われた搬送容器に係り、特に、カバーの一端を搬送容器の内壁面に固定するためのカバーフックとそれを備えた搬送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を搬送したり、輸送したりする際に用いられるプラスチック段ボール製の容器(以下、搬送容器という。)のうち、上面が開口しているものについては、通常、この開口部を覆うようにプラスチック段ボール製の蓋が設置されている。ただし、内部に収納される物品の種類によっては、蓋を取り外す手間を省く目的や、物品の収納状態を確認できるようにする目的で、上述の蓋の代わりにシート状のカバーが設置されることがある。
【0003】
ここで、そのような搬送容器の構造について図9及び図10を用いて簡単に説明する。なお、図9(a)はシート状のカバーが取り付けられた従来の搬送容器の一例を示す外観斜視図であり、図9(b)は図9(a)においてカバーとフレームとコーナー部材が取り外された状態を示した図である。また、図10(a)及び図10(b)はそれぞれフレーム及びコーナー部材の外観斜視図であり、図10(c)及び図10(d)はそれぞれ固定部材及び結束バンドの外観斜視図であり、図10(e)は図9(a)におけるH-H線矢視断面図である。
【0004】
図9(a)に示すように、従来の搬送容器50は、上面が開口した容器本体51と、柔軟性を有する平面視矩形状のプラスチック製のシートからなり、容器本体51の上面開口部50aを覆うように設置されるカバー52と、カバー52の端部を容器本体51に対して着脱自在に固定するための固定部材53と、上面開口部50aを囲むように4つのコーナーにそれぞれ設置される4つのコーナー部材54と、2つのコーナー部材54,54を繋ぐようにそれらの間にそれぞれ設置される長尺の4つのフレーム55を備えている。
また、図9(b)に示すように、容器本体51は、矩形状の底板51aと、この底板51aの4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす側板51b,51cからなる。
【0005】
なお、コーナー部材54は、側板51b,51c又は側板51c,51cの各上端部をそれぞれ直角に連結するように設置されており、フレーム55は側板51b,51cの上端部に設置されている。そして、固定部材53は側板51cの内面に合成樹脂製の結束バンド56を用いて固定されており、カバー52は、固定部材53が設置された側板51cと相対する側板51bの上端部の近くに、底板51aと平行をなすように基端側が固定されている。
【0006】
図10(a)及び図10(b)に示すように、フレーム55は側面視「コ」の字をなしており、コーナー部材54は、フレーム55が直角に曲折された形状をなしている。
また、図10(c)及び図10(d)に示すように、固定部材53は、矩形状をなす大きさの異なる複数枚のプラスチック段ボール製の小片が両面テープによって貼り合わされたものであり、結束バンド56を挿通するための貫通孔53aが2か所に設けられている。
そして、図10(e)に示すように、固定部材53と側板51cとの間には、カバー52の先端部52aを上側から差し込むことができるように、上方へ開口した凹部57が形成されている。なお、カバー52の先端部52aは、複数回折り畳まれた部分が互いに接合された形状となっており、他の部分よりも強度が高められている。
【0007】
上記構造の搬送容器50においては、固定部材53に用いられている両面テープの粘着剤が誤って物品に転写されてしまうおそれがある。
また、固定部材53を側板51cに固定する際には、側板51cに対して固定部材53を正確に位置合わせした後、両面テープを用いて固定部材53を側板51cに仮固定し、その状態で貫通孔53a,53aと同じ位置に結束バンド56の挿通孔を設ける必要がある。
さらに、側板51cの挿通孔と固定部材53の貫通孔53aに結束バンド56を連通させた後は、結束バンド56を結束するとともに、その不要な部分を切除しなければならない。
したがって、搬送容器50では、固定部材53を側板51cに固定する作業を効率よく行うことができない。
【0008】
蓋の代わりにシート状のカバーが取り付けられた搬送容器に関するものではないが、特許文献1には「梱包装容器」という名称で、プラスチック段ボールを用いた折り畳み可能な構造であって、物品の保管や運搬に用いられる容器に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された梱包装容器は、相対向する2辺と他の2辺から2枚の折曲側板と2枚の揺動側板がそれぞれ垂下している枠体と、底板と、枠体の折曲側板が垂下している2辺から、各折曲側板の内側で底板まで垂下している2枚の補強側板と、枠体上に載置されて枠体の開口部を覆う蓋を備えた構造となっている。なお、特許文献1の明細書には、蓋の係止方法として面ファスナーを用いることが記載されている。
【0009】
また、プラスチック段ボール製の容器ではないが、特許文献2には、「紙製収容箱」という名称で、箱本体の上部開口を閉塞する蓋体を備えた紙素材からなる箱に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、有底の箱形状をなすとともに上面が開口した箱本体と、上面開口と略一致する大きさの蓋体と、蓋体の1つの辺を箱本体の1つの側板上部に固定する固着手段を備え、蓋体を箱本体の上面開口に挿嵌した際に箱本体の側板の内面に当接するように、蓋体の3つの辺が所定の幅で折り返されたことを特徴としている。
このような構造によれば、蓋体によって箱本体の上部開口を容易に閉塞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2010-149934号公報
【文献】特開平9-156701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された発明は、シート状のカバーではなく、プラスチック段ボール製の蓋を備えたものであるため、蓋の構造をそのまま、上述の本願の図9に示した搬送容器50に用いることはできない。
また、特許文献1に記載された面ファスナーを用いて蓋を係止する方法を上述の搬送容器50に用いた場合、面ファスナーの粘着剤が物品に転写されてしまうおそれがある。
【0012】
特許文献2に開示された発明は、紙製の蓋体を備えたものであるため、その構造をそのまま、上述の本願の図9に示す搬送容器50に適用することはできない。
例えば、特許文献2に記載された蓋体のように、カバー52を搬送容器50の上面開口部50aに挿設した際に容器本体51の側板51cの内面に当接するように、カバー52の3つの辺が所定の幅で折り返された構造であったとしても、カバー52は柔軟性を有する合成樹脂によってシート状に形成されたものであるため、カバー52において折り返された3つの辺が容器本体51の側板51cの内面に当接することでカバー52を容器本体51に固定するという作用は発揮されない。
【0013】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、柔軟性を有するシート状のカバーを容器本体の内壁面に対して着脱自在に固定することができる安価なカバーフックとそれを備えた搬送容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、第1の発明は、矩形状の底板と、この底板の4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす1枚の第1の側板と3枚の第2の側板からなり、上面に開口部が設けられた箱状の容器本体と、柔軟性を有する矩形状のシート体からなり、第1の側板の内面に一端が固定されて開口部を覆うように設置されたカバーと、を備え、3枚の第2の側板の少なくともいずれかに平面視「コ」の字をなす切り欠きが上方へ開口するように形成された搬送容器に用いられるカバーフックであって、切り欠き内に配置される矩形板状の本体部と、この本体部の一方の面と平行をなし、かつ、第2の側板を間に配置可能に本体部の側面又は下面の少なくとも一部に設けられた一対のフランジと、平面視L字をなす保持腕と、を備えたことを特徴としている。
ただし、保持腕は、本体部の一方の面に立設された接続部と、本体部の一方の面と平行をなすように接続部から曲折された保持部と、からなり、本体部の一方の面と保持部の間にカバーの他端を差し込み可能に形成されている。
【0015】
なお、第1の発明において、第2の側板に設けられる平面視「コ」の字をなす切り欠きには、平面視した場合に2つの角部が円弧状に形成されているような略「コ」の字をなす切り欠きも含まれるものとする。また、矩形板状の本体部と、平面視L字をなす保持腕には、本体部が略矩形板状をなす場合や保持腕が平面視略L字をなす場合も含まれるものとする。
【0016】
第1の発明において、保持腕が容器本体の内部に配置され、かつ、一対のフランジの間に容器本体の第2の側板が配置されるように本体部を切り欠きに嵌め込んだ場合、本体部は第2の側板と平行になり、保持腕は、保持部の先端側が上方を向いた状態で容器本体に設置されるため、保持腕と本体部の間にカバーの先端部を差し込むことにより、容器本体の内壁面に対してカバーが着脱自在な状態で固定されるという作用を有する。
このとき、第2の側板を両側から挟むように配置された一対のフランジにより、本体部は第2の側板に垂直な方向への移動が制限される。すなわち、一対のフランジは、第2の側板に垂直な方向に対する本体部の移動を規制することで、カバーフックの切り欠きからの脱落を防ぐという作用を有する。
【0017】
また、第2の発明は、第1の発明において、本体部は、一方の面において保持部と対向する箇所に側面視鋸刃状をなす凹凸部が形成されていることを特徴とするものである。
なお、第2の発明において、本体部に設けられる側面視鋸刃状をなす凹凸部には、凹凸部が側面視略鋸刃状をなす場合も含まれるものとする。
【0018】
第2の発明に係るカバーフックを備えた搬送容器において、カバーフックの本体部と保持腕の保持部の間にカバーの先端部が上方から差し込まれた場合、本体部に設けられた凹凸部は本体部とカバーの間の摩擦力を大きくするように作用する。すなわち、第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、凹凸部によって本体部とカバーの間に大きな摩擦力が生じるため、カバーの先端部が本体部と保持腕の間から外れ難いという作用を有する。
【0019】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、側面視「コ」の字をなす長尺のフレームが第1の側板及び第2の側板の上端に嵌設された搬送容器に用いられるカバーフックであって、フレーム内に配置可能な板状の嵌挿部が本体部から上方に向かって延設されていることを特徴とするものである。
なお、第3の発明において、側面視「コ」の字をなす長尺のフレームには、フレームが側面視略「コ」の字をなす場合も含まれるものとする。
【0020】
第3の発明に係るカバーフックを備えた搬送容器では、フレームの内部に配置された嵌挿部により、本体部は第2の側板に垂直な方向への移動が制限される。すなわち、第3の発明においては、第1の発明又は第2の発明の作用に加えて、嵌挿部が第2の側板に垂直な方向に対する本体部の移動を規制することで、カバーフックの切り欠きからの脱落を防ぐという作用を有する。
【0021】
第4の発明は、矩形状の底板と、この底板の4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす1枚の第1の側板と3枚の第2の側板からなり、上面に開口部が設けられた箱状の容器本体と、柔軟性を有する矩形状のシート体からなり、第1の側板の内面に一端が固定されて開口部を覆うように設置されたカバーと、第1の発明又は第2の発明に係るカバーフックと、を備え、カバーフックは、3枚の第2の側板の少なくともいずれかに、上方へ開口するように形成された平面視「コ」の字状の切り欠き内に本体部が設置されていることを特徴とするものである。
なお、第4の発明において、第2の側板に設けられる平面視「コ」の字をなす切り欠きには、平面視した場合に2つの角部が円弧状に形成されているような略「コ」の字をなす切り欠きも含まれるものとする。
【0022】
第4の発明においては、第1の発明又は第2の発明の作用に加え、従来の固定部材を備えた搬送容器の場合とは異なり、固定部材を両面テープによって容器本体の第2の側板に仮固定した後、結束バンド等を用いて固定部材を本固定するという煩雑な作業を行う必要がないという作用を有する。
また、第4の発明では、カバーフックが切り欠きに本体部を嵌め込むようにして容器本体に設置される構造であることから、従来の固定部材を備えた搬送容器の場合とは異なり、容器本体に固定する際に両面テープを用いる必要がない。
【0023】
第5の発明は、第4の発明において、側面視「コ」の字をなし、第1の側板及び第2の側板の上端に嵌設される長尺のフレームと、第3の発明に係るカバーフックと、を備えていることを特徴とするものである。
第5の発明においては、第4の発明の作用に加え、嵌挿部が第2の側板に垂直な方向に対する本体部の移動を規制することで、カバーフックの切り欠きからの脱落を防ぐという作用を有する。
【0024】
第6の発明は、第4の発明又は第5の発明において、容器本体は、プラスチック板によって形成されていることを特徴とするものである。
第6の発明においては、第4の発明又は第5の発明の作用に加えて、容器本体が軽量化されるとともに、切り欠きの加工が容易になるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、容器本体に設置する作業を短時間で効率よく行うことができるため、搬送容器を安価に製造することができる。また、第1の発明に係るカバーフックを搬送容器に設置した場合、容器本体から脱落するおそれがないため、搬送容器の安全性が高められる。
【0026】
また、第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、柔軟性を有するシート状のカバーを備えた搬送容器に使用した場合、カバーの先端部等を保持する能力が高く、使用中にカバーが外れ難いため、搬送容器の信頼性が高められるという効果を奏する。
【0027】
第3の発明に係るカバーフックを側面視「コ」の字をなす長尺のフレームが第1の側板及び第2の側板の上端に嵌設された搬送容器に用いた場合、当該カバーフックが容器本体から脱落するおそれがないため、搬送容器の安全性が高められるという第1の発明の効果がより一層発揮される。
【0028】
第4の発明によれば、カバーフックを容器本体に設置する作業を短時間で効率よく行うことができるため、製造コストの削減を図ることが可能である。そして、カバーフックを容器本体に設置する際に両面テープを使用しないため、粘着剤が誤って物品に転写されてしまうおそれがない。さらに、カバーフックが容器本体から脱落するおそれがなく、また、カバーがカバーフックから外れ難いことから、第4の発明においては、長期にわたって安全に使用することが可能である。
【0029】
第5の発明によれば、第4の発明の効果に加え、カバーフックが容器本体から脱落するおそれがないため、搬送容器の安全性が高められるという第1の発明の効果がより一層発揮される。
【0030】
第6の発明によれば、第4の発明又は第5の発明の効果に加え、運搬や製造に要するコストが削減されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】(a)及び(b)は、それぞれ本発明の実施の形態に係る搬送容器とそれを構成する容器本体の外観の一例を示す斜視図である。
図2】(a)及び(b)はそれぞれ図1(a)に示したカバーフックの正面図及び背面図である。
図3】(a)は図2(a)に示したカバーフックの側面図であり、(b)は図2(a)におけるB方向矢視図である。
図4】(a)は図2(a)におけるC方向矢視図であり、(b)は図3(b)におけるD-D線矢視断面図である。
図5図1(a)におけるA-A線矢視断面図である。
図6】(a)及び(b)はそれぞれ図1(a)に示したカバーフックの変形例の正面図及び背面図である。
図7】(a)は図6(a)に示したカバーフックの側面図であり、(b)は図6(a)におけるE方向矢視図である。
図8】(a)は図6(a)におけるF方向矢視図であり、(b)は図7(b)におけるG-G線矢視断面図である。
図9】(a)はシート状のカバーが取り付けられた従来の搬送容器の外観を示す斜視図であり、(b)は同図(a)においてカバーとフレームとコーナー部材が取り外された状態を示した図である。
図10】(a)及び(b)はそれぞれ図9(a)に示したフレーム及びコーナー部材の外観斜視図であり、(c)及び(d)はそれぞれ図9(a)及び図9(b)に示した固定部材及び結束バンドの外観斜視図であり、(e)は図9(a)におけるH-H線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のカバーフックとそれを用いた搬送容器について図1乃至図8を用いて具体的に説明する。
なお、本明細書では、上面が開口した搬送容器に対して、実際にカバーフックが設置されている状態を想定して、「上端」や「下端」あるいは「上方」や「下面」などの表現を用いている。すなわち、この「上」又は「下」の記載は、搬送容器の底板が水平な場所に設置されていると仮定した場合における鉛直方向の上側又は下側をそれぞれ意味している。
【実施例1】
【0033】
図1(a)及び図1(b)は、それぞれ本発明に係る搬送容器とそれを構成する容器本体の外観の一例を示す斜視図である。また、図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1(a)に示したカバーフックの正面図及び背面図であり、図3(a)はそのカバーフックの側面図である。さらに、図3(b)は図2(a)におけるB方向矢視図である。図4(a)は図2(a)におけるC方向矢視図であり、図4(b)は図3(b)におけるD-D線矢視断面図である。そして、図5図1(a)におけるA-A線矢視断面図である。
なお、図5ではカバーについてハッチングの図示を省略している。また、図9又は図10に示した構成要素については、同一の符号を付すことによりその説明を適宜省略する。
【0034】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明に係る搬送容器1は、上面開口部1aを覆うように設置されたカバー52の一端を保持するために、容器本体51にカバーフック2が取り付けられたことを特徴とする。
矩形状の底板51aと、この底板51aの4辺からそれぞれ垂直に立設されて矩形状をなす側板51b,51cからなる容器本体51は、プラスチック段ボールによって形成されている。
側板51bと相対する側板51cには、平面視した場合に2つの角部が円弧状に形成された略「コ」の字をなす一対の切り欠き51d,51dが上方へ開口するように設けられており、カバーフック2は、この一対の切り欠き51d,51dに対してそれぞれ設置されている。
【0035】
側板51b,51cの上端には、互いに直交する2枚の側板51b,51c又は側板51c,51cの各上端部を連結するために4つのコーナーにそれぞれ配置されたコーナー部材54と、2つのコーナー部材54,54を繋ぐようにそれらの間にそれぞれ配置された4つのフレーム55がそれぞれ嵌設されている。
また、一対の切り欠き51d,51dが設けられた側板51cに相対する側板51bには、カバー52の基端側が固定されている。
【0036】
図2乃至図4に示すように、カバーフック2は、互いに平行をなす一対のフランジ6a,6bが設けられた本体部3と、この本体部3から上方に向かって延設された嵌挿部4と、本体部3の前面3aに設置され平面視略L字をなす保持腕5を備えている。
本体部3と嵌挿部4は一体となって平面視矩形状をなす板材であり、嵌挿部4は側板51cよりも薄くなるように形成されている。
【0037】
保持腕5は、本体部3の下端近傍において前面3aに立設された接続部5aと、本体部3と略平行をなすとともに、先端側が上方を向くように接続部5aから曲折された保持部5bからなり、本体部3の前面3aと保持部5bの間隔がカバー52の先端52aの厚さよりも広くなるように形成されている。
なお、保持部5bには、平面視「コ」の字状の切り欠き7aが設けられており、本体部3の前面3aには、側面視鋸刃状をなす凹凸部3dが保持腕5の保持部5bと対向する箇所に形成されている。
【0038】
一対のフランジ6a,6bは、それらの間に側板51bを配置可能に、側板51bの厚さよりも広い間隔をあけた状態で本体部3の前面3aと平行をなすように側面3b(図3(a)参照)から下面3c(図3(a)参照)にわたって設けられている。
なお、本実施例では、カバーフック2をポリプロピレンなどの合成樹脂の射出成形によって製造することを想定している。
そのため、樹脂の冷却時の収縮に伴う反りやヒケなどの成形不良を防ぐ目的で、フランジ6aには本体部3の下面3cの長手方向の中央部に、側面視「コ」の字状の切り欠き7bが形成され、嵌挿部4の背面4aには、リブ4b(図2(b)参照)が格子状に設けられている。また、本体部3の背面には、肉抜きの目的で凹部3eが設けられている。
【0039】
カバーフック2において、図5に示すように嵌挿部4がフレーム55の内部に配置され、かつ、フランジ6a,6bの間に容器本体51の側板51cが配置されるように本体部3を切り欠き51dに嵌め込んだ場合、本体部3は側板51cと平行になり、保持腕5は、保持部5bの先端側が上方を向いた状態で容器本体51の内部に配置される。
【0040】
これにより、容器本体51の内壁面に対してカバー52を着脱自在に固定することが可能となる。
そして、カバーフック2を用いることによれば、図9,10に示す従来技術の場合のように両面テープを用いて容器本体51の側板51cに対して仮固定した後、結束バンド56を用いて本固定するという固定部材53の場合における煩雑な作業を行う必要がない。
すなわち、搬送容器1では、カバーフック2を容器本体51に設置する作業を短時間で効率よく行うことができるため、製造コストの削減を図ることが可能である。
【0041】
また、カバーフック2は、切り欠き51dに本体部3を嵌め込むようにして容器本体51に設置される構造であることから、固定部材53の場合とは異なり、容器本体51に固定する際に両面テープを用いる必要がない。
したがって、搬送容器1では、両面テープの粘着剤が誤って物品に転写されてしまうおそれがない。
【0042】
さらに、搬送容器1では、側板51cを両側から挟むように配置されたフランジ6a,6bと、フレーム55の内部に配置された嵌挿部4により、本体部3は側板51cに垂直な方向への移動が制限される。
すなわち、フランジ6a,6bと嵌挿部4は、側板51cに垂直な方向に対する本体部3の移動を規制することで、カバーフック2の切り欠き51dからの脱落を防ぐという機能を有している。
【0043】
また、本体部3の前面3aに設けられた凹凸部3dは、カバーフック2の本体部3と保持腕5の保持部5bの間にカバー52の先端部52aが上方から差し込まれた場合に、本体部3とカバー52の間の摩擦力を大きくして、カバー52の先端部52aがカバーフック2の本体部3と保持腕5の保持部5bの間から外れ難くするという作用を有する。
このように、搬送容器1では、カバーフック2が容器本体51から脱落するおそれがなく、また、カバー52がカバーフック2から外れ難いことから、長期にわたって安全に使用することが可能である。
【実施例2】
【0044】
図6(a)及び図6(b)はそれぞれ図1(a)に示したカバーフックの変形例の正面図及び背面図であり、図7(a)はそのカバーフックの側面図である。また、図7(b)は図6(a)におけるE方向矢視図である。さらに、図8(a)は図6(a)におけるF方向矢視図であり、図8(b)は図7(b)におけるG-G線矢視断面図である。
なお、図1乃至図5に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6乃至図8に示すように、カバーフック8は、カバーフック2において、切り欠き7a,7bを備える代わりに、補強リブ9a,9bを備えている。また、カバーフック8では、本体部3の背面に凹部3eが設けられていない。
【0045】
本実施例では、カバーフック8を、カバーフック2と同様にポリプロピレンなどの合成樹脂の射出成形によって製造することを想定している。したがって、樹脂の冷却時の収縮に伴う反りなどの成形不良を防ぐため、補強リブ9a,9bが設けられている。
すなわち、切り欠き7a,7bや補強リブ9a,9bの有無は、例えば、フランジ6a,6bや保持腕5の厚さやゲートの位置等によって、適宜、変更可能な構造であって、実施例1で説明したカバーフック2の作用及び効果はカバーフック8においても同様に発揮される。
【0046】
なお、搬送容器1では、容器本体51がプラスチック段ボールを用いて成形されているが、本発明の搬送容器は、このような構造に限定されるものではない。
例えば、容器本体51が木製や金属製であっても良く、あるいは低発泡ポリプロピレンシートで成形されたものであっても良い。ただし、容器本体51がプラスチック段ボールや低発泡ポリプロピレンシートなどのようにプラスチック板で成形されている場合には、全体が軽量化されるとともに、切り欠き51dの加工が容易であるため、運搬や製造に要するコストが削減されるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のカバーフックとそれを備えた搬送容器は、各種の物品を搬送する際に使用することができる。また、本発明のカバーフックは、柔軟性を有するシート状のカバーを搬送容器本体の内壁面に対して着脱自在に固定する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…搬送容器 1a…上面開口部 2…カバーフック 3…本体部 3a…前面 3b…側面 3c…下面 3d…凹凸部 3e…凹部 4…嵌挿部 4a…背面 4b…リブ 5…保持腕 5a…接続部 5b…保持部 6a,6b…フランジ 7a,7b…切り欠き 8…カバーフック 9a,9b…補強リブ 50…搬送容器 50a…上面開口部 51…容器本体 51a…底板 51b,51c…側板 51d…切り欠き 52…カバー 52a…先端部 53…固定部材 53a…貫通孔 54…コーナー部材 55…フレーム 56…結束バンド 57…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10