(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】アレルギー物質の表示方法及び表示ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G09F3/00 S
(21)【出願番号】P 2015257729
(22)【出願日】2015-12-30
【審査請求日】2018-10-29
【審判番号】
【審判請求日】2020-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】516004824
【氏名又は名称】一安 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】一安 知子
【合議体】
【審判長】吉村 尚
【審判官】藤本 義仁
【審判官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-361941(JP,A)
【文献】特開2011-198026(JP,A)
【文献】特開2013-248822(JP,A)
【文献】特開2004-220172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー表示対象品の中で表示が義務づけられている特定原材料の小麦・そば・落花生・えび・かに・卵・乳の7品目を表示するアレルギー物質表示方法において、
前記特定原材料の全てについて、表示対象である食物又は物品が前記特定原材料を含む又は含まないに関する情報を、前記表示対象である食物若しくは物品の容器若しくは包装に、又は前記容器若しくは前記包装に貼付けられるラベルに纏めて視認可能に表示する際に、前記特定原材料を規定する国に関する情報と共に、前記特定原材料を
農産物グループ、水産物グループ、畜産物グループに分類し、分類された
前記農産物グループ、前記水産物グループ、前記畜産物グループ毎に、前記特定原材料を含む又は含まないに関する情報を表示することを特徴とするアレルギー物質表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアレルギー物質表示方法において、
前記アレルギー表示対象品の中で表示の推奨されている準特定原材料のあわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・ごま・カシューナッツの20品目を前記特定原材料の中の一つの
準特定原材料
グループとみなして、表示対象の食物又は物品が
前記農産物グループ、前記水産物グループ、前記畜産物グループ及び前記準特定原材料
グループを含む又は含まないに関する情報を前記容器若しくは前記包装に又は前記ラベルに表示することを特徴とするアレルギー物質表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアレルギー物質表示方法において、
前記特定原材料を図形
を用いて前記容器若しくは前記包装に又は前記ラベルに表示することを特徴とするアレルギー物質表示方法。
【請求項4】
請求項1、2
又は3に記載のアレルギー物質表示方法において、
前記特定原材料を含む情報として、その含有量を文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの組み合わせを用いて前記容器若しくは前記包装に又は前記ラベルに表示することを特徴とするアレルギー物質表示方法。
【請求項5】
請求項1から
4までのいずれか1に記載のアレルギー物質表示方法を用いて前記容器若しくは前記包装に貼付けられるラベルに表示されたことを特徴とするアレルギー物質表示ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品や飲料品などの食物、及び食用可能な粘土や口に入れたり、誤って飲食したりする可能性がある玩具などの物品に含まれるアレルギー物質の表示方法及び表示ラベルに係り、特に所定のアレルギー物質の存否を視認可能に表示することのできるアレルギー物質の表示方法及び表示ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
人体にアレルギー症状を引起こす原因となるアレルゲンとなるアレルギー物質の存在を表示することは、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患の患者の健康被害を防止する上で最も重要である。
【0003】
従来、食料品や飲料品などの食物に含有しているアレルギー物質の情報を表示する制度は、対象の法令や規則ほかの規定で表示義務となっているアレルギー物質を対象として、食品に含まれるアレルギー物質や食品に含まれる可能性のあるアレルギー物質名を、食品の容器や包装に直接に印刷または印字、あるいはラベルに印刷または印字したものを食品の容器や包装に貼付けるなどの表示方法によって実施されている。このような表示方法として、特許文献1~3に示すようなものが知られている。また、このような表示に関する制度として、非特許文献1~3に示すものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-208128号公報
【文献】特開2013-248822号公報
【文献】実用新案登録第3143354号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(平成二十三年八月三十一日内閣府令第四十五号)
【文献】アレルギー物質を含む加工食品の表示ハンドブック(事業者向けパンフレット)(平成22年3月改訂版)消費者庁作成
【文献】アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A 消費者庁作成
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品以外の物品におけるアレルギー物質の情報表示は、アレルギー物質の含有情報表示を規定する対象の法令や規則がないため、例えば、粘土など、口にしたり、誤って飲食したりする可能性がある玩具などの物品へは、物品に含まれるアレルギー物質や物品に含まれる可能性のあるアレルギー物質の情報は表示されていなかった。
【0007】
すなわち、特許文献1~3に記載のような従来の技術による食品や物品のアレルギー物質の表示方法は、対象の法令や規則などの遵守の目的のために、食品や物品に含まれていたり、含まれている可能性のある表示義務対象のアレルギー物質名を表示している状況であり、例えば、現行の規定では物品の形状が小さく表示が難しい場合には物品に含まれるアレルギー物質名や物品に含まれる可能性のあるアレルギー物質名の情報は表示義務対象外となっていたり、法令や規則の表示義務対象のアレルギー物質の含有量についての表示規定がされていない状況である。
【0008】
このため、食品あるいは物品の消費者やアレルギー性疾患体質の消費者に対して、アレルギー物質を体内に取り込まない様に食品や物質に含まれるアレルギー物質や、含まれる可能性のあるアレルギー物質についての情報を解り易く提供するという配慮に欠けており、以下のような問題があった。
【0009】
第1に、食品や物品の容器や包装や包装に貼付けるラベルにアレルギー物質情報の表示がない場合、食品や物品には、対象の法令や規則ほかの規定で表示義務対象となっているアレルギー物質が含まれている可能性が全くないのか、または、検査で検出できない微量は含まれているのか、食品や物品の形状が小さいために、食品や物品に含まれている表示義務対象のアレルギー物質や、含まれる可能性がある表示義務対象のアレルギー物質が表示出来ず、表示義務対象外となり表示が省略されているのか、或いは対象の法令や規則などによる表示義務を遵守していないために表示がないのか、などの判断ができない。
【0010】
第2に、対象の法令や規則では食品や物品の含有アレルギー物質名表示には含有量の表示や微量含有やコンタミネーションなどによる含有懸念の場合の含有量規定がないため、表示義務対象のアレルギー物質名の表示がない場合、アレルギー物質の含有はコンタミネーシヨン懸念を考慮しても全くないのか、調味料などの微量添加で検査検出しない量の含有はあるのか、或いはコンタミネーション懸念を考慮すると検査検出しない微量程度の含有可能性はあるのかなどの判断ができない。
【0011】
また、表示義務対象のアレルギー物質名の表示がある場合でも、含有量表示の規定がないため、物品の消費者やアレルギー性疾患体質の消費者が摂取許容量を認識している場合で、食品や物品に含まれるアレルギー物質含有量が調味料などによる微量添加であるなど、認識している摂取許容量以下の含有であっても、消費者は当該食品や物品を飲食、または使用することができない。
【0012】
第3に、食品の容器や包装、あるいは食品の容器や包装に貼付けるラベルに表示されているアレルギー物質名の文字が理解出来ない子供や、表示されているアレルギー物質名を理解できない異言語の消費者、および海外からの旅行者などの消費者に、表示されているアレルギー物質の情報が伝わらない。
【0013】
第4に、各国で対象の法令や規則により表示義務対象として規定されるアレルギー物質が異なるため、輸出入品などではアレルギー物質の表示がどこの国の法令や規則に基づくアレルギー物質の表示なのかが判らず、物品の消費者やアレルギー反応体質の消費者へのアレルギー物質含有情報の伝達漏れ、消費者の見逃しが発生する。
【0014】
第5に、法令などにより表示義務のあるアレルギー物質の数は多く今後も増える傾均にあり、食品に表示が必要なアレルギー物質名も増加すると予想されるが、食品の大きさなどによる表示の範囲や大きさには制約があるため、食品の容器や包装、あるいは食品の容器や包装に貼付けるラベルなどへの印刷または印字する文字が小さくなったり、見えにくくなったりして、表示したアレルギー物質の情報が消費者に見逃されてしまう。
【0015】
本発明のアレルギー物質の表示方法及び表示ラベルは、食品や物品に表示された特定の区域の情報を視認するだけでアレルギー物質の存否を確認することのできるアレルギー物質の表示方法及び表示ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第1の特徴は、アレルギー表示対象品の中で表示が義務づけられている複数の特定原材料群を表示するアレルギー物質表示方法において、前記特定原材料群の全てについて、表示対象である食物又は物品が前記特定原材料を含む又は含まないに関する情報を、所定の区域に纏めて視認可能に表示することにある。
これは、食物や物品などの対象品に関する法令や規則その他の規定で、その食物や物品に含まれているアレルギー物質の表示が義務づけられている場合に、その義務づけられている特定原材料の全てについて、当該特定原材料を含むのか、含まないのかに関する情報を、対象品の所定の区域に纏めて視認可能に表示するようにしたものである。これによって、消費者は、アレルギー物質が含まれるのか、含まれないのかを特定原材料毎に容易に判断することができる。また、食物や物品に表示が必要なアレルギー物質名が増加した場合でも、食物や物品の容器や包装、あるいは容器や包装に貼付けるラベルなどへアレルギー物質の含有の有無を見易く印刷または印字することが出来るため、物品の消費者やアレルギー反応体質の消費者へアレルギー物質含有情報の伝達漏れや、消費者の見逃しを防ぐことができる。
【0017】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記複数の特定原材料群を複数のグループに分類し、分類されたグループ毎に、前記特定原材料を含む又は含まないに関する情報を表示することにある。
これは、特定原材料の「小麦・そば・落花生・えび・かに・卵・乳」の7品目を例えば農水畜産物の3種類のグループに分類し、そのグループ毎にアレルギー物質を含む又は含まないに関する情報を表示するようにしたものである。小麦・そば・落花生を農産物に、えび・かにを水産物に、卵・乳を畜産物に分類し、分類されたグループ毎にアレルギー物質を含む又は含まないに関する情報を表示することによって、特定原材料の有無を容易に認識することができる。
【0018】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記アレルギー表示対象品の中で表示の推奨されている複数の準特定原材料群を前記特定原材料群の中の一つの原材料とみなして、表示対象の食物又は物品が前記特定原材料及び前記準特定原材料を含む又は含まないに関する情報を表示することにある。
これは、表示の推奨されている特定原材料に準ずるもの(準特定原材料)である「あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・ごま・カシューナッツ」の20品目、すなわち複数の準特定原材料群を、特定原材料の1品目とみなして、アレルギー物質を含む又は含まないに関する情報を表示するようにしたものである。これによって、消費者は、準特定原材料20品目のいずれかが含まれていることを容易に認識することができる。また、準特定原材料20品目のなにが含まれているのかの確認は、別途表示されている原材料名表示欄などで確認することができる。なお、日本以外の海外でのみアレルギー表示対象となっている複数の特定原材料群を前記準特定原材料群の表示のように一つの原材料とみなして、それを含む又は含まないに関する情報を表示してもよい。
【0019】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記特定原材料を図形若しくは記号又はこれらの組み合わせを用いて表示することにある。
これは、特定原材料を文字ではなく、その特徴を表現した図形や記号などを用いて表示するようにしたものである。これによって、食物や物品の容器や包装あるいは食物や物品の容器や包装に貼付けるラベルに表示されているアレルギー物質名の文字が理解出来ない子供や、表示されているアレルギー物質名の言語を理解できない異言語の消費者、および海外からの旅行者などの消費者へも表示されているアレルギー物質の情報を伝えることができる。
【0020】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第5の特徴は、前記第3又は第4の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記特定原材料群を農産物グループ、水産物グループ、畜産物グループにそれぞれ分類し、前記準特定原材料群を一つの準特定原材料群グループとし、前記農産物グループ、前記水産物グループ、前記畜産物グループ及び前記準特定原材料群グループ毎に、表示対象である食物又は物品が前記特定原材料及び前記準特定原材料を含む又は含まないに関する情報を表示することにある。
これは、特定原材料の「小麦・そば・落花生・えび・かに・卵・乳」の7品目の小麦・そば・落花生を農産物グループに、えび・かにを水産物グループに、卵・乳を畜産物グループにそれぞれ分類すると共に準特定原材料群を一つの準特定原材料群グループとして分類し、それぞれのグループ毎にアレルギー物質を含む又は含まないに関する情報を表示するようにしたものである。これによって、特定原材料及び準特定原材料群のアレルギー物質の有無を容易に認識することができる。
【0021】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第6の特徴は、前記第1、第2、第3、第4又は第5の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記特定原材料を含む情報として、その含有量や微量含有若しくは含有する可能性がある量を文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの組み合わせを用いて表示することにある。
これは、特定原材料の含有量の最大量が規定されたしきい値以下であることを簡易に表示するようにしたものである。これによって、食物や物品の特定原材料であるアレルギー物質の含有は、コンタミネーション懸念を考慮しても全く含まれていないのか、コンタミネーシヨン懸念を考慮すると検査検出しない微量程度の含有可能性や、調味料などの微量添加で検査検出しない微量の含有があるのか、またはそれ以上の含有があるのかの判断が可能となる。これにより、物品の消費者やアレルギー反応体質の消費者が摂取許容量を認識している場合、食物や物品のアレルギー物質含有量が調味料などによる微量添加など、物品の消費者やアレルギー反応体質の消費者の摂取許容最以下の含有であることを確認して食物や物品を飲食または使用することが可能となる。
【0022】
本発明に係るアレルギー物質表示方法の第7の特徴は、前記第1から第6までのいずれか1の特徴に記載のアレルギー物質表示方法において、前記アレルギー表示対象品の中で表示が義務づけられている1又は複数の特定原材料群を規定する国に関する情報を前記所定の区域に表示することにある。
特定原材料群を規定する国に関する情報として、例えば、その国名や国旗を表す図面などを所定の区域、例えば、上述の特定原材料グループの一つとして同時に表示することによって、対象の法令や規則により表示義務対象として規定されるアレルギー物質の表示がどこの国の法令や規則に基づくアレルギー物質の表示なのかの判断が容易に可能となる。また、特に海外からの旅行者などの物品の消費者やアレルギー反応体質の消費者へのアレルギー物質含有情報の伝達漏れ、消費者の見逃しを防ぐことが可能となる。
【0023】
本発明に係るアレルギー物質表示ラベルの特徴は、前記第1から第7までのいずれか1の特徴に記載のアレルギー物質表示方法を用いて表示されたことにある。
これは、上述のアレルギー物質表示方法を用いて日本国内及び/又は海外の特定原材料及び/又は準特定原材料の表示されたアレルギー物質表示ラベルに関するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明のアレルギー物質の表示方法及び表示ラベルによれば、食品や物品に表示された特定の区域の情報を視認するだけでアレルギー物質の存否を確認することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るアレルギー物質表示方法に従って作成されたアレルギー物質表示ラベルの一例を示す図である。
【
図2】
図1のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
【
図3】ロールパンの原材料に関するアレルギー物質表示ラベルの一例を示す図である。
【
図4】
図1、
図2及び
図3に示したアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
【
図5】各アレルギー物質表示ラベルをペットボトルに貼付表示した場合の一例を示す図である。
【
図6】
図3に示したアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
【
図7】
図6(B)のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
【
図8】
図7のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付図面に従って本発明に係るアレルギー物質表示方法の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るアレルギー物質表示方法に従って作成されたアレルギー物質表示ラベルの一例を示す図である。このアレルギー物質表示ラベル1aは、円形状のラベルシート10に、表示対象である食物又は物品がアレルギー表示対象品の中で表示が義務づけられている特定原材料を含むのか、又は含まないのかに関する情報を視認可能に表示している。
【0027】
アレルギー表示対象品は、表示が義務づけられている特定原材料「小麦・そば・落花生・えび・かに・卵・乳」の7品目と、表示の推奨されている特定原材料に準ずるもの(準特定原材料)「あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・ごま・カシューナッツ」の20品目である。
【0028】
図1のアレルギー物質表示ラベル1aは、20品目からなる準特定原材料を特定原材料の1品目と同等とみなすことによって、準特定原材料の1品目と特定原材料の7品目との合計した値8品目に基づいて、円形状のラベルシート10を円周方向に8等分し、その一つ一つの扇形にこの8品目を対応付けている。
【0029】
アレルギー物質表示ラベル1aの扇形11には、特定原材料の中で農産物に分類される「小麦」が割り当てられ、小麦やパンを表すイラスト、画像、線画などの図形又は記号が表示される。扇形12には、特定原材料の中で農産物に分類される「そば」が割り当てられ、そばやそばの実を表す図形又は記号が表示される。扇形13には、特定原材料の中で農産物に分類される「落花生」が割り当てられ、落花生(ピーナッツ)を表す図形又は記号が表示される。扇形11~13は、特定原材料の中で農産物に分類されることを示すために、円形状のラベルシート10の扇形11~13の外周に沿って農産物を示す分類番号Iが表示される。
【0030】
アレルギー物質表示ラベル1aの扇形21には、特定原材料の中で水産物に分類される「えび」が割り当てられ、えびを表す図形又は記号が表示される。扇形22には、特定原材料の中で水産物に分類される「かに」が割り当てられ、かにを表す図形又は記号が表示される。扇形21,22は、特定原材料の中で水産物に分類されることを示すために、円形状のラベルシート10の扇形21,22の外周に沿って水産物を示す分類番号IIが表示される。
【0031】
アレルギー物質表示ラベル1aの扇形31には、特定原材料の中で畜産物に分類される「卵」が割り当てられ、たまごや目玉焼きを表す図形又は記号が表示される。扇形32には、特定原材料の中で畜産物に分類される「乳」が割り当てられ、牛乳を表す図形又は記号が表示される。扇形31,32は、特定原材料の中で畜産物に分類されることを示すために、円形状のラベルシート10の扇形31,32の外周に沿って畜産物を示す分類番号IIIが表示される。
【0032】
アレルギー物質表示ラベル1aの扇形41には、表示の推奨されている特定原材料に準ずるもの(準特定原材料)が割り当てられ、その品目数を示す数字「20」が表示される。扇形41は、準特定原材料に分類されることを示すために、円形状のラベルシート10の扇形41の外周に沿って準特定原材料を示す分類番号IVが表示される。
【0033】
アレルギー物質表示ラベル1aの中央の円形内に表示されている「ALMK」の文字は、
ALLERGIE
MAR
Kを意味する略字である。これ以外の「ALGN」又は「AGN」などの文字を表示してもよい。また、アレルギー物質表示ラベル1aの中央の円形内には、日本国旗及び「2014」の文字が表示されている。これは、
図1のアレルギー物質表示ラベル1aは、2014年度に日本国において規定された特定原材料及び準特定原材料に関する表示であることを示す。
【0034】
図2は、
図1のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
図2のアレルギー物質表示ラベル1bでは、長方形状のラベルシート20に、
図1に示すアレルギー物質表示ラベルと同様に、特定原材料及び準特定原材料の含有有無に関する情報、並びに国及び年度に関する情報を併せて表示するようにしたものである。
【0035】
図3は、ロールパンの原材料に関するアレルギー物質表示ラベルの一例を示す図である。
図3(A)は、
図1の円形状のラベルシート10の表示に対応したものであり、
図3(B)は、
図2の長方形状のラベルシート20の表示に対応したものである。
図3は、ロールパンの原材料が小麦粉、糖類、卵、ショートニング(大豆油、乳化剤)、脱脂粉乳、イースト、食塩である場合に、
図1及び
図2のアレルギー物質表示ラベルではどのように表示されるかを具体的に示す。
【0036】
図3(A)では、特定原材料の「そば」に対応する扇形12、「落花生」に対応する扇形13、「えび」に対応する扇形21、及び「かに」に対応する扇形22に、それぞれ網模様が掛けられ、内部の図形又は記号等が視認し難くなっており、網模様のない含有、網模様のある非含有が容易に判別できる。同様に、
図3(B)でも、特定原材料の「そば」、「落花生」、「えび」及び「かに」に対応する区画に、それぞれ網模様が掛けられ、内部の図形又は記号等が視認し難くなっており、含有、非含有が容易に判別できる。
【0037】
図3(A)又は
図3(B)のアレルギー物質表示ラベル1c,1dを目視することによって、消費者は、この食品には、特定原材料の「小麦」、「卵」、「乳」及び準特定原材料の20品目のいずれかが含まれることを容易に認識することができる。消費者は、別途表示されているロールパンの原材料名を確認することによって、アレルギー物質として、小麦粉、卵、ショートニング(大豆油、乳化剤)、脱脂粉乳の存在を確認することができる。
【0038】
図4は、
図1、
図2及び
図3に示したアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
図4(A)は、
図1及び
図3(A)の円形状のラベルシート10の表示を変形したものであり、
図4(B)は、
図2及び
図3(B)の長方形状のラベルシート20の表示を変形したものである。
図4(A)のアレルギー物質表示ラベル1eでは、上述の特定原材料の中で農産物の分類番号I、水産物の分類番号II、畜産物の分類番号III、及び準特定原材料の分類番号IVに対応させて、円形ラベルが4分割され、それぞれに分類番号I~IVを割り当てられ、それぞれの対応する扇形内に図形又は記号等が表示してある。
図4(B)のアレルギー物質表示ラベル1fでは、上述と同様に、特定原材料の分類番号I~IVに対応させて、長方形ラベルが4分割され、それぞれに分類番号I~IVが割り当てられ、それぞれの対応する区画内に図形又は記号等が表示してある。
【0039】
図4(A),
図4(B)では、分類番号IIに対応する扇形及び区画にだけ網模様が掛けられ、内部の図形又は記号等が視認し難くなっている。
図4(A)又は
図4(B)のアレルギー物質表示ラベル1e,1fを目視することによって、消費者は、この食品には、特定原材料の農産物の分類番号I及び畜産物の分類番号IIIに対応する「小麦」、「むぎ」、「落花生」、「卵」、「乳」及び準特定原材料の20品目のいずれかが含まれることを容易に認識することができる。なお、
図4では、準特定原材料の分類番号IVに対応する扇形及び区画の数字「20」に隣接して、準特定原材料を示す「大豆」の文字及び図形が表示されている。これによって、準特定原材料がなにであるのかを容易に認識することができる。
【0040】
図4では、分類番号IIに対応する扇形及び区画にだけ網模様が掛けられているが、
図2及び
図3に示すアレルギー物質表示ラベルと同様に含有されていない分類番号Iに対応する「むぎ」及び「落花生」を示す扇形及び区画にも網模様を掛けてもよい。また、
図2及び
図3においても、準特定原材料の分類番号IVに対応する扇形及び区画の数字「20」に隣接して、準特定原材料を示す「大豆」の文字または図形を表示してもよい。
【0041】
図5は、各アレルギー物質表示ラベルをペットボトルに貼付表示した場合の一例を示す図である。
図5において、ペットボトルに表示されているアレルギー物質表示ラベル1c,1d,1e,1fは、上述した各アレルギー物質表示ラベルをペットボトルの大きさに対応した大きさのラベルに縮小表示したものである。なお、
図5のペットボトルの蓋の側周面には、アレルギー物質表示ラベル1dを貼付可能な大きさに縮小したアレルギー物質表示ラベル1gが表示されている。また、
図5のペットボトルの蓋の上側面には、アレルギー物質表示ラベル1hが表示されている。このアレルギー物質表示ラベル1hは、アレルギー物質表示ラベル1gに対応したものであり、特定原材料の分類番号I~IVのみが明示されている簡易表示型である。また、蓋の取付部でペットボトルと取り外しができない部分、すなわちプラスチックリングの側周面、及びペットボトル本体のラベルの上部側には、簡易表示型のアレルギー物質表示ラベル1gに対応したものであって、国の国旗と、特定原材料の分類番号I~IVと、そこから水平方向に延びる実線及び点線を用いて、アレルギー物質の有無を表示しているアレルギー物質表示ラベル1ha,1hbが添付されている。アレルギー物質表示ラベル1haについては、右側に拡大したものを示してある。なお、アレルギー物質表示ラベル1ha,1hbにおいて、実線はアレルギー物質の存在することを示し、点線は存在しないことをそれぞれ示す。実線及び点線以外に点の太さ、色、一点鎖線、二点鎖線等の線の特性を種々利用して、その存否又は含有量を簡易的に表示するようにしてもよい。
【0042】
アレルギー物質表示ラベル1gを目視することによって、特定原材料の水産物の分類番号II以外の農産物の分類番号Iに対応する「小麦」、「むぎ」、「落花生」、「卵」、「乳」及び準特定原材料の20品目のいずれかが含まれることを容易に認識することができる。また、アレルギー物質表示ラベル1hの中央には、国に関する情報(例えば、円形状の国旗)が表示されている。なお、
図5では、複数のラベルがペットボトルに貼付された例を示しているが、アレルギー物質表示ラベル1c,1d,1e,1fの中の一つと、ペットボトルの蓋及びプラスチックリングにアレルギー物質表示ラベル1g,1haをそれぞれ一つずつ設けることが好ましい。また、簡易表示型のアレルギー物質表示ラベル1h,1haは、小さくすることができるため、個装された小さな商品の一つ一つに表示することができるので、これを設けることによって、アレルギー物質の有無を個装商品毎に認識することが可能となる。
【0043】
図6は、
図3に示したアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
図3では、表示対象である食物又は物品が特定原材料を含むか、又は含まないかに関する情報を表示しているが、
図6では、特定原材料の物質量(アレルギー物質量)を簡易的に表示するようにしている。
図6のアレルギー物質表示ラベル1j,1kでは、特定原材料の「そば」、「落花生」、「えび」及び「かに」に対応する個所は、網模様が掛けられており、該当するアレルギー物質を含まないことを示す。一方、特定原材料の「卵」に対応する個所には、薄い網模様が掛けられており、そのアレルギー物質量として本例では検出可能の5[ppm」より小さいことを示す。さらに、特定原材料の「小麦」、「乳」及び準特定原材料の20品目に対応する個所には、網模様等が存在しないので、これらはアレルギー物質量として5[ppm」以上であることを示す。これによって、消費者は、特定原材料の「小麦」、「乳」及び準特定原材料の20品目のいずれかについては、そのアレルギー物質量が5[ppm」以上であり、「卵」については、5[ppm」より少ない量を含むことを容易に認識することができる。
【0044】
図7は、
図6(B)のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
図6(B)のアレルギー物質表示ラベル1kでは、特定原材料の物質量(アレルギー物質量)を簡易的に表示するために、網模様と、薄い網模様を用いている。
図7及び
図8では、アレルギー物質の含有量を、特定原材料を表す図形又は記号の下側に表示するようにした。
【0045】
図7(A)のアレルギー物質表示ラベル1mは、特定原材料を含まない場合には「0」の数字を、5[ppm」よりも少ない含有量の場合は、「~5」の記号と数字を、5[ppm」以上の含有量の場合は、「5~」の数字と記号をそれぞれ表示したものである。
【0046】
図7(B)のアレルギー物質表示ラベル1nは、特定原材料を含まない場合には「-」の記号を、5[ppm」よりも少ない含有量の場合は、「○」の記号を、5[ppm」以上の含有量の場合は、「◎」の記号をそれぞれ表示したものである。
【0047】
図8は、
図7のアレルギー物質表示ラベルの変形例を示す図である。
図8(A)のアレルギー物質表示ラベル1pは、特定原材料を含まない場合には容器内が空であることを示す図形を、5[ppm」よりも少ない含有量の場合は、容器内に少し物質が存在するような図形を、5[ppm」以上の含有量の場合は、容器内一杯に物質が存在するような図形でそれぞれ表示したものである。また、
図8(A)のアレルギー物質表示ラベル1pは、日本以外の海外でのみアレルギー表示対象となっている複数の特定原材料群を準特定原材料群の中の一つの原材料とみなして、その分類番号Vの表示欄を備えており、そこにカナダ、オーストラリア、韓国の国旗と共に含む又は含まないに関する情報を表示したものである。
【0048】
図8(B)のアレルギー物質表示ラベル1qは、
図8(A)のアレルギー物質表示ラベル1pの変形例であり、日本以外の海外でのみアレルギー表示対象となっている複数の特定原材料群を含む場合に、その国の国旗に関する情報を表示したものである。
図8(B)では、韓国の円形状の国旗が表示してある。これは、韓国特有の特定原材料であるフルーツの桃、肉類の豚肉などを含む場合などに該当する。
【0049】
これらの含有量の表示は一例であり、これ以外に、取消線、下線、2重下線を用いるなどしてその含有量を表示してもよい。また、特定原材料を表す図形で示しているが、特定原材料を文字で示し、その文字の太さなどで含有量を表示するようにしてもよい。さらに、網模様に代えて、特定原材料の有無及びその含有量を色彩などで表示してもよい。例えば、含まない場合には青色、5[ppm」よりも少ない含有量の場合には黄色、5[ppm」以上の含有量の場合には赤色などに色分けしてもよい。
【0050】
なお、準特定原材料「あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・ごま・カシューナッツ」の20品目の中で、「さけ・さば」、「大豆」、「くるみ」は米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港等では、表示義務品目に該当するので、これらの国に関して表示する場合には、これらの表示義務品目を上述のように適宜表示することになる。すなわち、国によって、表示義務品目と表示推奨品目とが異なるので、それぞれの国に対応した表示方法を適宜選択することが望ましい。なお、国旗を表示する場合は、長方形状の国旗、円形状の国旗のように、その表示ラベルの形状に合わせて適宜選択することが望ましい。上述の実施の形態では、国旗を表示する場合について説明したが、国名をそのまま表示してもよいし、JP,US,CA,KR,NZなどのように国名を簡略表示してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10,20…ラベルシート
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1ha,1hb,1j,1k,1m,1n,1p…アレルギー物質表示ラベル