(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/58 20060101AFI20220128BHJP
E06B 3/26 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
E06B3/58 C
E06B3/26
(21)【出願番号】P 2016032260
(22)【出願日】2016-02-23
【審査請求日】2018-09-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀吉
【合議体】
【審判長】森次 顕
【審判官】住田 秀弘
【審判官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-132340(JP,A)
【文献】特開2014-105554(JP,A)
【文献】特開2012-52341(JP,A)
【文献】特開2001-140547(JP,A)
【文献】特開2012-31589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04- 3/46
E06B 3/54- 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス保持溝が設けられた枠体と、
端部が前記ガラス保持溝に配置されたガラスパネルと、
前記ガラスパネルを保持する押縁と、を備え、
前記枠体は、
少なくとも一部が金属で構成された枠部材と、
該枠部材に連結され、該枠部材よりも屋内側に配置された樹脂枠材と、有し、
前記押縁は、
前記枠部材の前記金属の部分に当接する金属押縁と、
該金属押縁に連結され、該金属押縁よりも屋内側に配置された樹脂押縁と、を有し、
該樹脂押縁における室内側の部分は、前記樹脂枠材に係合され
、
前記樹脂押縁は、
見込み方向に沿って配置された内側面部と、
該内側面部よりも見付け方向の外側に配置された外側面部と、
前記内側面部の屋内側の端部と前記外側面部の屋内側の端部とを連結する第1連結壁部と、
前記内側面部の見込み方向の中間部分と前記外側面部の見込み方向の中間部分とを連結する第2連結壁部と、
前記内側面部の屋外側の端部と前記外側面部の屋外側の端部とを連結する第3連結壁部と、を有し
、
前記枠部材は、前記ガラスパネルの屋内側に見付け方向に沿って配置される屋内側枠部を有し、
前記金属押縁は、前記屋内側枠部に連結され、見付け方向に沿って配置される屋内側保持部を有し、
前記屋内側枠部及び前記屋内側保持部に沿って、止水ラインが構成されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記樹脂押縁は、前記金属押縁の前記屋内側から見付け方向の内側を覆うように配置されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記枠部材は、金属で構成されるとともに前記ガラス保持溝が設けられている請求項1
または2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の開口部に設けられる建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物の開口部に設けられる建具として、屋外側に配置される金属枠と屋内側に配置される樹脂枠とで構成された枠体内に、ガラス等のパネル体が納められた複合サッシが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1に記載のサッシでは、パネル体は、屋外側の面を金属枠で保持されるとともに、屋内側の面を樹脂製の押縁部材で保持されている。枠体の一部及び押縁部材が樹脂製であるため、断熱性の高い構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の特許文献1に記載されたサッシでは、パネル体を保持する押縁部材及び押縁部材が取り付けられる枠体が樹脂製であるため、押縁部材と枠体との接合部分における止水性が不十分である。特にビル等の中高層建築物では、屋内外で圧力差が生じるため、水を屋内側に引き込む可能性があり、高い止水性が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、止水性を向上させることができる建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る建具は、ガラス保持溝が設けられた枠体と、端部が前記ガラス保持溝に配置されたガラスパネルと、前記ガラスパネルを保持する押縁と、を備え、前記枠体は、少なくとも一部が金属で構成された枠部材と、該枠部材に連結され、該枠部材よりも屋内側に配置された樹脂枠材と、有し、前記押縁は、前記枠部材の前記金属の部分に当接する金属押縁と、該金属押縁に連結され、該金属押縁よりも屋内側に配置された樹脂押縁と、を有し、該樹脂押縁における室内側の部分は、前記樹脂枠材に係合され、前記樹脂押縁は、見込み方向に沿って配置された内側面部と、該内側面部よりも見付け方向の外側に配置された外側面部と、前記内側面部の屋内側の端部と前記外側面部の屋内側の端部とを連結する第1連結壁部と、前記内側面部の見込み方向の中間部分と前記外側面部の見込み方向の中間部分とを連結する第2連結壁部と、前記内側面部の屋外側の端部と前記外側面部の屋外側の端部とを連結する第3連結壁部と、を有し、前記枠部材は、前記ガラスパネルの屋内側に見付け方向に沿って配置される屋内側枠部を有し、前記金属押縁は、前記屋内側枠部に連結され、見付け方向に沿って配置される屋内側保持部を有し、前記屋内側枠部及び前記屋内側保持部に沿って、止水ラインが構成されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された建具では、ガラスパネルは金属押縁に保持されている。金属押縁は、枠体の少なくとも一部が金属で構成された枠部材の当該金属の部分に当接している。よって、金属押縁と枠体との連結部分は金属部材同士が連結される構成であるため、当該連結部分から雨水等の浸入することが抑制され、止水性を向上させることができる。
また、押縁は金属押縁に連結され、金属押縁よりも屋内側に配置された樹脂押縁を有する。よって、樹脂製の樹脂押縁により、断熱性を確保することができる。
また、枠部材の屋内側枠部は、ガラスパネルの屋内側に見付け方向に沿って配置されている。金属押縁の屋内側保持部は、屋内側枠部に連結され見付け方向に沿って配置されている。つまり、ガラスパネルの屋内側に沿って配置された屋内側枠部及び屋内側枠部に連結され見付け方向に沿って配置された屋内側保持部に沿って、雨水等が屋内側に浸入することが抑制される止水ラインが構成される。よって、ガラスパネルよりも屋内側に雨水が浸入することが確実に抑制される。
【0011】
また、本発明に係る建具では、前記樹脂押縁は、前記金属押縁の前記屋内側から見付け方向の内側を覆うように配置されていてもよい。
【0012】
このように構成された建具では、樹脂押縁は金属押縁の屋内側から見付け方向の内側を覆うように配置されている。よって、金属押縁の屋内側への露出が抑制されるため、断熱性を高めることができる。
【0015】
また、本発明に係る建具では、前記枠部材は、金属で構成されるとともに前記ガラス保持溝が設けられていてもよい。
【0016】
このように構成された建具では、枠体は、金属で構成された枠部材に連結され、枠部材よりも屋内側に配置された樹脂枠材を有している。よって、樹脂製の樹脂枠材により、断熱性を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る建具によれば、止水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るFIX窓を屋内側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るFIX窓の下端部を屋内側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るFIX窓の下端部を屋内側から示しており、押縁を取り外した分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るFIX窓の押縁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による建築物の開口部に設けられる建具の一例として、FIX窓(嵌め殺し窓)を
図1から
図9に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るFIX窓を屋内側から見た斜視図である。
図1に示すように、FIX窓(建具)100は、開口部Wに設けられ、四角形枠状に形成された枠体1と、枠体1内に嵌め込まれた例えばペアガラス等の複層ガラス(ガラスパネル)2と、枠体1の左右にそれぞれ設けられ複層ガラス2を保持する押縁5と、を備えている。
なお、以下の説明において、複層ガラス2の上下方向及び上下方向と交差して複層ガラス2に沿う方向を見付け方向と称する。見付け方向のうち複層ガラス2の中心に向かう方向を見付け方向の内側とし、反対方向を見付け方向の外側と称する。また、複層ガラス2の厚み方向を見込み方向と称する。
【0020】
枠体1は、水平方向に延在する上枠10及び下枠20と、上枠10の両端部と下枠20の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠30と、を有している。
【0021】
図2は、
図1のA-A
線断面図である。
図2に示すように、上枠10は、屋外側に設けられ金属製の金属上枠10Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂上枠10Bと、を有している。金属上枠10Aと樹脂上枠10Bとは連結されている。
【0022】
下枠20は、屋外側に設けられ金属製の金属下枠20Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂下枠20Bと、を有している。金属下枠20Aと樹脂下枠20Bとは連結されている。
【0023】
樹脂下枠20Bは、水平面に沿って形成された水平面部201、を有している。水平面部201には、上下方向に貫通する第一結露水排水孔201Hが設けられている。第一結露水排水孔201Hには、上キャップ60が設けられている。
【0024】
また、水平面部201には、上下方向に貫通する取付孔201J(
図5参照)が設けられている。取付孔201Jは、押縁5(
図5参照。以下同じ。)を取り付けるためのものであり、平面視において押縁5の直下に設けられている。
【0025】
さらに、樹脂下枠20Bは、水平面部201の屋外側から上下方向に交差するように設けられた立設された鉛直面部202と、鉛直面部202の上下両端部から、それぞれ屋外側に延びる係合壁部203,204と、を有している。係合壁部203,204は、金属下枠20Aに係合されている。
【0026】
さらに、樹脂下枠20Bは、水平面部201の屋内側から上下方向に交差するように設けられた立設された鉛直面部206と、鉛直面部206の上端部から、屋内側に延びる下アングル壁部207と、を有している。
【0027】
樹脂下枠20Bは、水平面部201の下面から下方に延びる支持壁部205を有している。支持壁部205は、見込み方向に離間して一対設けられている。
【0028】
金属下枠20Aは、樹脂下枠20Bの支持壁部205を支持する上段部110を有している。上段部110には、上下方向に貫通する第二結露水排水孔110Jが設けられている。第二結露水排水孔110Jには、下部弁70が設けられている。
【0029】
下部弁70は、上段部110の上方に配置され筒状に形成された上筒状体71と、第二結露水排水孔110Jに配置され筒状に形成された下筒状体75と、下筒状体75内に配置さ逆止弁機能を有する弁本体80と、を有している。
【0030】
樹脂下枠20Bの水平面部201上に溜まった結露水は、上キャップ60と樹脂下枠20Bの水平面部201との間に形成された空間部61Sから落下して、下部弁70の内部を通過して、屋外に排出可能とされている。
【0031】
万が一、金属下枠20A上(樹脂下枠20Bの下方)に結露水が溜まった場合には、結露水は、下部弁70の上筒状体71と金属下枠20Aの上段部110との間に形成された隙間71Sから、上筒状体71の下部の外周面と下筒状体75の内周面との間、及び下筒状体75の内周面と弁本体80の上面との間に形成された空間部から、下部弁70の下方に落下して、屋外に排出可能とされている。
【0032】
図3は、
図2のB-B
線断面図である。
図3に示すように、縦枠30は、屋外側に設けられ金属製の金属縦枠(枠部材)30Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂縦枠(樹脂枠材)30Bと、を有している。金属縦枠30Aと樹脂縦枠30Bとは連結されている。
【0033】
図4は、FIX窓100の下端部を屋内側から見た斜視図である。
図5は、FIX窓100の下端部を屋内側から示しており、押縁5を取り外した分解斜視図である。
図4において、複層ガラス2の記載を省略している。
図3、
図4及び
図5に示すように、縦枠30には、押縁5が設けられている。押縁5は、複層ガラス2の屋内側を保持し金属製の金属押縁50Aと、金属押縁50Aの屋内側に設けられ樹脂製の樹脂押縁50Bと、金属押縁50A及び樹脂押縁50Bの下端部に嵌め込まれる端部キャップ50Cと、を有している。金属押縁50Aと樹脂押縁50Bとは、連結され一体として構成されている。
【0034】
次に、縦枠30と押縁5との連結構成について詳細に説明する。
まず、縦枠30の構成について説明する。
図3に示すように、金属縦枠30Aは、図示しない壁部に固定される固定面部310を有している。
【0035】
固定面部310は、見込み方向に沿って配置され、上下方向に延びている。固定面部310の内面には、樹脂縦枠30Bと係合する係合爪部311が設けられている。
【0036】
さらに、金属縦枠30Aは、固定面部310の屋外側の端部から該固定面部310と直交して延びる屋外側面部320と、固定面部310の屋内側の端部から該固定面部310と直交して延びる屋内側面部330と、固定面部310の見込み方向の中間部から該固定面部310と直交して延びる中間面部(屋内側枠部)340と、を有している。
【0037】
屋外側面部320には、屋内側に向かって突出する一対の支持片321,322が設けられている。
【0038】
屋内側面部330の見付け方向の内側の端部には、樹脂縦枠30Bと係合する係合爪部331が設けられている。
【0039】
中間面部340の見付け方向の内側の端部には、屋外側に向かって突出する係合爪部341が設けられている。また、中間面部340には、屋外側に向かって突出する係合突起342が設けられている。係合爪部341及び係合突起342は、金属押縁50Aと係合されている。
【0040】
樹脂縦枠30Bは、屋内側に配置される屋内側面部350と、屋内側面部350よりも屋外側に配置される屋外側面部360と、屋内側面部350と屋外側面部360との間に配置される中間面部370と、を有している。
【0041】
屋内側面部350と中間面部370と屋外側面部360とは、連結壁部381で連結されている。また、屋外側面部360と中間面部370とは、連結壁部381よりも見付け方向の内側に配置された連結壁部382で連結されている。
【0042】
さらに、樹脂縦枠30Bは、屋内側面部350の見付け方向の内側の端部と中間面部370の見付け方向の内側の端部とを連結する縦アングル壁部383を有している。縦アングル壁部383は、屋内側面部350よりも屋内側にまで延びている。
【0043】
連結壁部381には、見付け方向の外側に向かって延びる係合爪部391が設けられている。係合爪部391は、金属縦枠30Aの係合爪部331に係合されている。
【0044】
屋外側面部360の見付け方向の外側の端部には、金属縦枠30Aの固定面部310に沿いつつ屋外側に向かって延びる係合壁部392が設けられている。係合壁部392の端部は、金属縦枠30Aの係合爪部311に係合されている。
【0045】
上記のように、金属縦枠30Aと樹脂縦枠30Bとは連結されつつ、樹脂縦枠30Bの縦アングル壁部383の下端部は樹脂下枠20Bの下アングル壁部207に支持されている。
【0046】
次に、押縁5の構成について説明する。
図6は、押縁5の斜視図である。
図3、
図5及び
図6に示すように、金属押縁50Aは、金属縦枠30Aの中間面部340と同一平面上に配置される基部(屋内側保持部)510を有している。基部510の見付け方向の外側の端部は、中間面部340と当接している。
【0047】
基部510の見付け方向の外側の端部には、屋外側に向かって延びる突起部511が設けられている。突起部511の先端部には、見付け方向の外側に向かうにしたがって次第に屋外側に向かう係合片部512が設けられている。
【0048】
突起部511の端部は、金属縦枠30Aの係合爪部341係合されている。係合片部512の先端部は、金属縦枠30Aの係合突起342と係合されている。このようにして、金属押縁50Aは金属縦枠30Aに連結されている。
【0049】
基部510の見付け方向の外側の端部には、屋内側に向かって延びる係合片部513が設けられている。係合片部513の端部には、見付け方向の内側に向かって折曲された折曲片部514が設けられている。係合片部513及び折曲片部514は、樹脂押縁50Bと係合されている。
【0050】
基部510の見付け方向の内側の端部には、屋外側に向かって突出する突出片521が設けられている。突出片521の端部には、見付け方向に沿って延びる支持壁部522が設けられている。
【0051】
基部510には、突起部511と突出片521との間に、屋外側に向かって突出片523が設けられている。
【0052】
基部510の見付け方向の内側の端部には、屋内側に向かって延びる係合片部515が設けられている。係合片部515の端部には、見付け方向の外側に向かって折曲された折曲片部516が設けられている。折曲片部516は、樹脂押縁50Bと係合されている。
【0053】
樹脂押縁50Bは、見込み方向に沿って配置された内側面部560と、内側面部560よりも見付け方向の外側に配置された外側面部570と、を有している。
【0054】
内側面部560の屋内側の端部と外側面部570の屋内側の端部とは、連結壁部581で連結されている。また、内側面部560の見込み方向の中間部分と外側面部570の見込み方向の中間部分とは、連結壁部582で連結されている。内側面部560の屋外側の端部近傍と外側面部570の屋外側の端部近傍とは、連結壁部583で連結されている。
【0055】
連結壁部581の見付け方向の外側の端部50Yは、樹脂縦枠30Bの縦アングル壁部383の屋外側の端部30Yに係合されている。
【0056】
内側面部560の屋外側の端部50Zは、連結壁部583よりも屋外側にまで延びている。外側面部570の屋外側の端部には、見付け方向の外側に向かって延びる係合爪部571が設けられている。係合爪部571は、金属押縁50Aの係合片部513及び折曲片部514に係合されている。
【0057】
連結壁部583には、屋外側に向かって延びる係合片部584が設けられている。係合片部584の端部には、見付け方向の内側に向かって折曲された折曲片部585が設けられている。折曲片部585は、金属押縁50Aの折曲片部516と係合されている。
【0058】
図7は、
図6のC部拡大図である。
図8は、
図6のD-D
線断面図である。
図7及び
図8に示すように、押縁5の上端部では、金属押縁50Aの係合片部513、折曲片部514、係合片部515及び折曲片部516は、切り欠かれて設けられていない。
【0059】
樹脂押縁50Bの係合爪部571は、上部T1において、切り欠かれて設けられていない。金属押縁50Aの係合片部513及び折曲片部514は、上部T1において、基端部50Tを中心として折り込まれている。つまり、係合片部513及び折曲片部514は、上部T1よりも上側の係合爪部571と上部T1よりも下側の係合爪部571との間に挟み込まれている。
【0060】
金属押縁50Aには、上部T1の上端部T2及び下端部T3に沿って、予め切込み(不図示)が設けられている。金属押縁50Aの係合片部513と折曲片部514との間に樹脂押縁50Bの係合爪部571が挿入されるとともに、金属押縁50Aの係合片部515と折曲片部516との間に樹脂押縁50Bの折曲片部585が挿入される。このように金属押縁50Aと樹脂押縁50Bとが組み付けられた後に、上端部T2及び下端部T3の切込みに沿って金属押縁50Aの係合片部513及び折曲片部514が折り込まれて、金属押縁50Aと樹脂押縁50Bとは一体とは連結されている。
【0061】
このように、樹脂押縁50Bは、金属押縁50Aの屋内側から見付け方向の内側を覆うように配置されている。これにより、金属押縁50Aは屋内側に露出することはない。
【0062】
図9は、
図6のE-E
線断面図である。
端部キャップ50Cは、樹脂で構成されている。
図5、
図6及び
図9に示すように、端部キャップ50Cは、樹脂下枠20Bの水平面部201に載置される下段部601と、樹脂下枠20Bの下アングル壁部207に載置される上段部602と、樹脂下枠20Bの係合壁部203に載置される上段部603と、を有している。
【0063】
下段部601と上段部602とは、連結壁部604で連結されている。下段部601と上段部603とは、連結壁部605で連結されている。
【0064】
下段部601の下面には、下方に向かって突出する係合爪部621が設けられている。係合爪部621は、見込み方向に離間して一対設けられている。各係合爪部621は、樹脂下枠20Bの水平面部201の取付孔201Jに係合されている。これにより、端部キャップ50Cは、樹脂下枠20Bに固定されている。
【0065】
端部キャップ50Cは、上段部602、連結壁部604、下段部601、連結壁部605及び上段部603の見付け方向の内側の端部から連続して立設され、樹脂押縁50Bの内側面部560の外面に沿って配置される立設壁部606を有している。
【0066】
端部キャップ50Cは、上段部602の屋内側の端部から立設され、樹脂押縁50Bの連結壁部581の外面に沿って配置される立設壁部607を有している。
【0067】
下段部601の上面には、上方に向かって立設され、樹脂押縁50Bの外側面部570の外面に沿って配置された係合壁部608が設けられている。係合壁部608には、見付け方向の内側に向かって突出する突起609が設けられている。突起609は、樹脂押縁50Bの外側面部570の下端部50Pに当接している。これにより、樹脂押縁50Bは、下方への移動が規制されている。
【0068】
下段部601の上面には、立設壁部606と係合壁部608との間に、上方に向かって立設された支持体611が設けられている。支持体611には、見付け方向の外側に向かって突出する突起612が設けられている。樹脂押縁50Bの外側面部570は、突起612と係合壁部608とに挟み込まれている。
【0069】
図5に示すように、樹脂下枠20Bの係合壁部203の見付け方向の外側の端部には、上下方向に形成された貫通孔203Hが形成されている。貫通孔203Hには、金属押縁50Aの下端部50Xが挿入されている。
【0070】
図9に示すように、外側面部570には、板厚方向(見付け方向)に貫通する貫通孔570Hが形成されている。
図5及び
図9に示すように、端部キャップ50Cは、係合壁部608の突起609が貫通孔570Hに配置された状態で、金属押縁50A及び樹脂押縁50Bと一体とされ、金属押縁50A及び樹脂押縁50Bが金属縦枠30A及び樹脂縦枠30Bに係合される。その後、端部キャップ50Cを下方にスライドさせる。この際に、樹脂押縁50B及び端部キャップ50Cは弾性変形し、突起609は、樹脂押縁50Bの外側面部570に沿って下方に移動する。端部キャップ50Cの下段部601、上段部602,603がそれぞれ、樹脂下枠20Bの水平面部201、下アングル壁部207及び係合壁部203に当接した位置で、端部キャップ50Cの移動は規制され位置決めされる。
【0071】
上記のFIX窓100において、
図2及び
図3に示すように、金属上枠10A、金属下枠20A及び金属縦枠30Aには、複層ガラス2の端部から離間するように凹む断面視コ字状のガラス受け部(ガラス保持溝)40がそれぞれに設けられている。複層ガラス2の内外側面とガラス受け部40の両側部との間には、面クリアランス(空間部)40Sが設けられている。
【0072】
面クリアランス40Sには、スポンジ等の弾性材41及びシーリング材42が設けられている。シーリング材42は不定形または定形形状であり、例えばシリコーン、変成シリコーン、ウレタン、ブチル等を採用できる。
【0073】
押縁5が縦枠30から取り外された状態で、ガラス受け部40に複層ガラス2が嵌め込まれる。その後、縦枠30に押縁5が取り付けられ、弾性材41及びシーリング材42が設けられる。金属上枠10A、金属下枠20A及び金属縦枠30Aのガラス受け部40が弾性材41及びシーリング材42を支持するとともに、樹脂上枠10B、樹脂下枠20B及び樹脂押縁50Bの屋外側の端部10Z,20Z,50Z及び金属押縁50Aの支持壁部522は、シーリング材42を支持している。
【0074】
図2に示す破線Pで示す線に沿って、外気の屋内側への通気を阻止及び雨水の屋内側への浸入を阻止する止水ラインが構成されている。下部弁70の逆止弁機能を有する弁本体80は止水ラインに配置されており、雨水が屋内側へ逆流することが防止される。
【0075】
図3に示す破線Qで示す線に沿って、外気の屋内側への通気を阻止及び雨水の屋内側への浸入を阻止する止水ラインが構成されている。金属縦枠30Aの中間面部340に連続して金属押縁50Aの基部510が設けられるとともに、複層ガラス2の屋内側の面に沿って金属押縁50Aが配置されることで、雨水が屋内側へ逆流することが防止される。
【0076】
このように構成されたFIX窓100では、複層ガラス2の屋内側は金属押縁50Aに保持されて、金属押縁50Aは金属縦枠30Aに連結されている。つまり、複層ガラス2を保持する金属押縁50Aは金属製であり、当該金属押縁50Aは金属製の金属縦枠30Aに連結されている。よって、金属押縁50Aと金属縦枠30Aとの連結部分は金属部材同士が連結される構成であるため、当該連結部分から雨水等の浸入することが抑制され、止水性を向上させることができる。
【0077】
また、金属縦枠30Aの中間面部340は複層ガラス2の屋内側に見付け方向に沿って配置されている。金属押縁50Aの基部510は中間面部340に連結され見付け方向に沿って配置されている。つまり、複層ガラス2の屋内側に沿って配置された中間面部340及び中間面部340に連結され見付け方向に沿って配置された基部510に沿って、雨水等が屋内側に浸入することが抑制される止水ラインQが構成される。よって、複層ガラス2よりも屋内側に雨水が浸入することが確実に抑制される。
【0078】
また、縦枠30は金属縦枠30Aに連結された樹脂縦枠30Bを有し、押縁5は金属押縁50Aに連結された樹脂押縁50Bを有する。よって、樹脂製の樹脂縦枠30B及び樹脂押縁50Bにより、断熱性を確保することができる。
【0079】
また、樹脂押縁50Bは金属押縁50Aの屋内側から見付け方向の内側を覆うように配置されている。よって、金属押縁50Aの屋内側への露出が抑制されるため、断熱性を高めることができる。
【0080】
また、樹脂押縁50Bの屋内側は樹脂縦枠30Bに連結されているため、断熱性をさらに高めることができる。
【0081】
また、複層ガラス2は、上端部及び下端部では、弾性材41及びシーリング材42を介して、金属上枠10A及び金属下枠20Aのガラス受け部40に保持されている。また、左右両端部では、弾性材41及びシーリング材42を介して、金属縦枠30Aに取り付けられた金属押縁50Aに保持されている。よって、押縁が樹脂製であったり、押縁が金属製であるものの押縁が取り付けられる枠体が樹脂製であったりする場合よりも、耐火性を向上させることができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0083】
例えば、上記に示す実施形態では、建具の一例としてFIX窓を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、框ドア、縦辷り出し窓等他の建具について適用可能である。框ドア、縦辷り出し窓の場合には、枠体は、複層ガラス等のガラスパネルの端部が嵌め込まれた框に相当する。
【0084】
また、上記に示す実施形態では、枠体が金属製の金属縦枠等の部材と樹脂製の樹脂縦枠等の部材が連結されたアルミ樹脂複合サッシを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。樹脂サッシであってもよく、枠体の少なくとも一部が金属で構成され、当該金属の部分に金属押縁が当接する構成であれば、当該部分に沿って止水ラインが形成される。例えば、枠体におけるガラスパネルの一辺に相当する部分が金属で構成されていてもよく、ガラスパネルの四周に相当する部分が金属で構成されていてもよい。
【0085】
また、上記に示す実施形態では、ガラスパネルの上下方向の二辺に沿って押縁5が設けられているが、本発明はこれに限られない。ガラスパネルの上下方向の二辺及び上方(または下方)に沿って押縁5が配置(つまり、複層ガラス2の三辺に沿って押縁が配置)されていてもよく、ガラスパネルの四辺に沿って押縁5が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
100…FIX窓(建具)
1…枠体
2…複層ガラス(ガラスパネル)
5…押縁
10…上枠
10A…金属上枠
10B…樹脂上枠
20…下枠
20A…金属下枠
20B…樹脂下枠
30…縦枠
30A…金属縦枠(枠部材)
30B…樹脂縦枠(樹脂枠材)
40…ガラス受け部(ガラス保持溝)
40S…面クリアランス
41…弾性材
42…シーリング材
50A…金属押縁
50B…樹脂押縁
60…上キャップ
70…下部弁
80…弁本体
110J…第二結露水排水孔
201H…第一結露水排水孔
340…中間面部(屋内側枠部)
510…基部(屋内側保持部)
P,Q…止水ライン
W…開口部