(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】回転可能なハウジングを有する電気ケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/516 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
H01R13/516
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017179711
(22)【出願日】2017-09-20
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハーディー,ダグラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジョン ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ジョン マーク
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-043798(JP,A)
【文献】米国特許第07980894(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0202372(US,A1)
【文献】特表2012-507125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ケーブル(116)を終端させるコンタクトサブアセンブリ(120)と、前端部(302)と後端部(304)との間に延在するハウジング(110)と、を備える、電気ケーブルコネクタ(104)であって、
前記コンタクトサブアセンブリ(120)は、中央コンタクト(132)と、誘電体ホルダ(134)と、外側コンタクト(136)とを含み、前記コンタクトサブアセンブリの外面(318)から外向きに延在する突出部(314)を有し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリを中に受容する空洞(106)を画定し、
前記電気ケーブルは、前記ハウジングから前記後端部にある開口部(306)を通って延在し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリの前記突出部に係合して前記ハウジングに対する前記空洞内での前記コンタクトサブアセンブリの軸方向位置を固定する保持機構(327)を含み、
前記保持機構は、前記ハウジングが前記コンタクトサブアセンブリおよび前記
電気ケーブルに対して回転することを可能にする
とともに、
前記突出部(314)は全体的に前記ハウジング(110)の前記後端部(304)に面する受止面(336)を有する前記誘電体ホルダ(134)のタブであり、前記受止面は前記ハウジングの前記保持機構(327)の保持棚部(334)に係合して前記ハウジングに対する前記コンタクトサブアセンブリ(120)の軸方向後方への移動を阻止する、
電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項2】
前記ハウジング(110)の前記保持機構(327)は、前記空洞(106)の外周に沿った環状トラック(328)を含み、
前記環状トラックは、前記コンタクトサブアセンブリ(120)の前記突出部(314)を中に受容し、
前記突出部は、前記ハウジングが前記コンタクトサブアセンブリおよび前記電気ケーブル(116)に対して回転する際に前記環状トラックの円周長さに沿って移動し、
前記保持棚部(334)は、前記環状トラックの後端部を画定す
る、
請求項1に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項3】
前記ハウジング(110)の前記環状トラック(328)は、前記空洞(106)の全周に沿って延在し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリ(120)および前記ケーブル(116)に対して360度回転可能である、
請求項
2に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項4】
前記ハウジング(110)は、窓(310)が貫通して延在する頂部壁(312)を有し、
前記窓は、前記突出部(314)が前記頂部壁に向かう角度で配向されるときに前記突出部が前記窓を通って少なくとも部分的に延在するように前記環状トラック(328)の上側部分を画定し、
前記上側部分に沿った前記環状トラックの前記保持棚部(334)は、前記頂部壁の縁部(384)によって前記窓の後端部に沿って画定される、
請求項
2に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項5】
前記ハウジング(110)は、前記ハウジングの内面(354)に沿った溝形状の凹部(352)を含み、
前記溝形状の凹部は少なくとも前記環状トラック(328)の円周部分を画定し、
前記溝形状の凹部に沿った前記環状トラックの前記保持棚部(334)は、前記ハウジングの内部肩部(358)の前縁(356)によって画定される、
請求項
2に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項6】
前記保持棚部(334)の第1の円周部分が、前記ハウジング(110)の内部肩部(358)によって画定され、
前記保持棚部の第2の円周部分が、前記ハウジング上の可撓性ラッチ(364)の受止面(372)によって画定され、
前記突出部(314)は、前記コンタクトサブアセンブリ(120)が前記空洞(106)内に挿入される際に前記可撓性ラッチに係合しこれを放射方向外向きに反らせて前記突出部が前記環状トラック(328)に進入できるようにする、
請求項
2に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項7】
前記ハウジング(110)の前記保持機構(327)は、軸方向において前記ハウジングの前記環状トラック(328)と前記後端部(304)との間に位置付けられた固定された端部(366)を有する可撓性ラッチ(364)を含み、
前記可撓性ラッチが付勢されていない状態にあるとき前記可撓性ラッチの受止面(372)が少なくとも部分的に前記空洞(106)内へと延在し前記保持棚部(334)の一部分を画定し、前記コンタクトサブアセンブリ(120)の前記突出部(314)は、前記コンタクトサブアセンブリが前記空洞内に挿入される際に前記可撓性ラッチに係合しこれを放射方向外向きに反らせて前記突出部が前記環状トラックに進入できるようにする、
請求項
2に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項8】
前記ハウジング(110)の前記空洞(106)は、中央コア(324)および外側溝路(326)を含み、
前記外側溝路は、前記中央コアに開口しそこから放射方向外向きに延在し、
前記外側溝路は、前記環状トラック(328)と前記後端部(304)との間に長手方向に延在し、
前記後端部にある前記空洞の前記開口部(306)は、前記突出部(314)が前記外側溝路内に受容される場合のみ前記コンタクトサブアセンブリ(120)が前記空洞内に入るのを可能にするようなサイズにされ、
前記可撓性ラッチ(364)は、前記外側溝路内へと延在してその中で前記突出部に係合する、
請求項
7に記載の電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項9】
電気ケーブル(116)を終端させるコンタクトサブアセンブリ(120)と、前端部(302)と後端部(304)との間に延在するハウジング(110)と、を備える、電気ケーブルコネクタ(104)であって、
前記コンタクトサブアセンブリ(120)は、中央コンタクト(132)と、誘電体ホルダ(134)と、外側コンタクト(136)とを含み、前記コンタクトサブアセンブリの外面(318)から外向きに延在する突出部(314)を有し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリを中に受容する空洞(106)を画定し、
前記電気ケーブルは、前記ハウジングから前記後端部にある開口部(306)を通って延在し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリの前記突出部に係合して前記ハウジングに対する前記空洞内での前記コンタクトサブアセンブリの軸方向位置を固定する保持機構(327)を含み、
前記保持機構は、前記ハウジングが前記コンタクトサブアセンブリおよび前記電気ケーブルに対して回転することを可能にするとともに、
前記誘電体ホルダ(134)は、前記誘電体ホルダの頂面(154)に沿って開口した溝路(138)を画定し、
前記中央コンタクト(132)は、前記溝路内に保持された第1のケーブル圧接(CID)機構(158)を含み、
前記外側コンタクト(136)は、前記誘電体ホルダを少なくとも部分的に囲み、前記外側コンタクトは前記誘電体ホルダの開口(206)を通って前記溝路内へと延在する第2のCID機構(160)を含み、
前記電気ケーブル(116)は、前記第1のCID機構
(158)が前記ケーブルに貫入して前記ケーブルのコア導体(162)に係合し前記第2のCID機構が前記ケーブルに貫入して前記ケーブルのシールド層(164)に係合するように、前記溝路内に保持されている
、
電気ケーブルコネクタ(104)。
【請求項10】
電気ケーブル(116)を終端させるコンタクトサブアセンブリ(120)と、前端部(302)と後端部(304)との間に延在するハウジング(110)と、を備える、電気ケーブルコネクタ(104)であって、
前記コンタクトサブアセンブリ(120)は、中央コンタクト(132)と、誘電体ホルダ(134)と、外側コンタクト(136)とを含み、前記コンタクトサブアセンブリの外面(318)から外向きに延在する突出部(314)を有し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリを中に受容する空洞(106)を画定し、
前記電気ケーブルは、前記ハウジングから前記後端部にある開口部(306)を通って延在し、
前記ハウジングは、前記コンタクトサブアセンブリの前記突出部に係合して前記ハウジングに対する前記空洞内での前記コンタクトサブアセンブリの軸方向位置を固定する保持機構(327)を含み、
前記保持機構は、前記ハウジングが前記コンタクトサブアセンブリおよび前記電気ケーブルに対して回転することを可能にするとともに、
前記コンタクトサブアセンブリ(120)の前記突出部(314)は、受止面(406)を含むヘッド(404)を有する可撓性ラッチ(402)であり、
前記ハウジング(110)の前記保持機構(327)は、前記可撓性ラッチの前記ヘッドを中に受容する環状トラック(328)を含み、
前記環状トラックの後端部(334)が、前記ハウジングの内部肩部(358)の前縁(356)によって少なくとも部分的に画定され、
前記コンタクトサブアセンブリの前記可撓性ラッチは、前記コンタクトサブアセンブリが前記後端部(304)を通して前記空洞(106)内に受容される際に前記内部肩部に係合し放射方向内向きに反り、
前記可撓性ラッチは前記受止面が前記内部肩部の前方にあるときに付勢されていない状態に向かって放射方向外向きに弾性的に移動して、前記受止面が前記前縁に係合することを可能にする
、
電気ケーブルコネクタ(104)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は一般に、電気ケーブルに装着される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルを相互接続するために電気コネクタが使用されている。同軸ケーブルは様々な無線周波数(RF)用途で使用される。たとえば、自動車産業においては、自動車内の電気デバイス、たとえばAM/FMラジオ、携帯電話機、GPS、衛星ラジオ、ワイヤレス通信システムなどの増加に一部起因して、同軸ケーブルおよびコネクタに対する要望が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの知られている電気ケーブルコネクタのハウジングは、適切な嵌合コネクタに特定の角度配向でキー嵌合されるように構成されている。コネクタをキー嵌合することで、コネクタおよび同軸ケーブルによってそのコネクタに導電的に連結された電気デバイスの両方を損傷する可能性のある、2つの不適切なケーブルコネクタの意図しない接続の発生が低減される。しかしながら、コネクタのハウジングがケーブルに対して回転できない場合、ハウジングを嵌合操作中に指定された角度配向に位置合わせすることにより、ケーブルおよびこのケーブルを終端させるコネクタの構成要素に、ねじれ応力および張力が加えられる場合がある。そのようなねじれの力は、ケーブルの1つまたは複数のワイヤを引っ張って対応するコネクタの中央コンタクトから係脱させることによってなどで、電気コネクタの性能を損なう場合がある。2次的ロックなどの補助的な構成要素の追加に起因する余分な製造および組立コストを回避しつつ、ハウジングがケーブルに対して回転できるようにする必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
解決法は、コンタクトサブアセンブリおよびハウジングを含む、本明細書に開示するような電気ケーブルコネクタによって提供される。コンタクトサブアセンブリは、電気ケーブルを終端させる。コンタクトサブアセンブリは、中央コンタクト、誘電体ホルダ、および外側コンタクトを含む。コンタクトサブアセンブリは、コンタクトサブアセンブリの外面から外向きに延在する突出部を有する。ハウジングは、前端部と後端部との間に延在する。ハウジングは、コンタクトサブアセンブリを中に受容する空洞を画定する。電気ケーブルは、ハウジングから後端部にある開口部を通って延在する。ハウジングは、コンタクトサブアセンブリの突出部に係合して、ハウジングに対する空洞内でのコンタクトサブアセンブリの軸方向位置を固定する、保持機構を含む。保持機構により、ハウジングはコンタクトサブアセンブリおよびケーブルに対して回転できるようになる。 ここで本発明について、以下の添付の図面を参照して、例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示的な実施形態にしたがって形成されたコネクタシステムの図である。
【
図2】ある実施形態によるコネクタシステムの電気コネクタの分解背面斜視図である。
【
図3】電気コネクタのハウジングの1/4の部分を除去して示した、ある実施形態による電気コネクタの背面斜視図である。
【
図4】ある実施形態による電気コネクタのコンタクトサブアセンブリおよび電気ケーブルの斜視図である。
【
図5】ある実施形態によるコンタクトサブアセンブリの外側コンタクトの正面図である。
【
図6】ある実施形態による電気コネクタのハウジングの第1の正面斜視断面図である。
【
図7】電気コネクタのハウジングの第2の正面斜視断面図である。
【
図8】コンタクトサブアセンブリがハウジングに対して第1の角度配向にある、
図3に示す実施形態による電気コネクタの一部の背面斜視図である。
【
図9】コンタクトサブアセンブリがハウジングに対して第2の角度配向にある、電気コネクタの背面斜視図である。
【
図10】代替の実施形態による電気コネクタの一部の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、例示的な実施形態にしたがって形成されたコネクタシステム100の図である。コネクタシステム100は、共に嵌合してこれらの間で電気信号(たとえば、電力、制御信号、データおよび/または類似のもの)を伝送するように構成された、第1の電気コネクタ102および第2の電気コネクタ104を含む。例示した実施形態では、第1の電気コネクタ102は雄型コネクタであり、第2の電気コネクタ104は雌型コネクタであり、その結果、嵌合操作中に、第1の電気コネクタ102の嵌合端部が、第2の電気コネクタ104の空洞106内に受容されるようになっている。より具体的には、雄型コネクタ102のハウジング108のノーズコーン107が、雌型コネクタ104のハウジング110によって画定された空洞106内に受容される。
図1では嵌合していない状態で示されているが、雄型コネクタ102および雌型コネクタ104は、嵌合軸112に沿って嵌合できる状態である。
【0007】
雄型コネクタ102および雌型コネクタ104はそれぞれ、対応する電気ケーブル114、116に装着されかつ電気的に接続される。代替の実施形態では、雄型コネクタ102または雌型コネクタ104の一方を、ケーブルの代わりに回路基板に装着してよい。雄型コネクタ102および雌型コネクタ104は各々、ハウジング108、110内にそれぞれ位置付けられたコンタクトサブアセンブリ118、120をそれぞれ含む。雄型コネクタ102のコンタクトサブアセンブリ118はケーブル114を終端し(たとえば直接機械的にまたは電気的に接続され)、雌型コネクタ104のコンタクトサブアセンブリ120はケーブル116を終端させる。コネクタ102、104が嵌合されると、コンタクトサブアセンブリ118、120の相補関係にある導電構成要素が互いに係合して、ケーブル114、116を接続するためのコネクタ102、104にわたる導電信号経路を確立する。
【0008】
コネクタ102、104のハウジング108、110は、コネクタ102、104が完全に嵌合してコネクタ102、104を嵌合位置に固定するとき互いに係合する、相補関係にあるラッチ機構を含む。例示した実施形態では、雄型コネクタ102のハウジング108は、留め具122を含む。留め具122は、雌型コネクタ104のハウジング110上の相補関係にある可撓性の主要ラッチ124に係合するように構成される。コンタクトサブアセンブリ118、120は、対応するハウジング108、110の内側に確実に保持され、この結果、それぞれハウジング108の留め具122とハウジング110のラッチ124との間の相互接続により、コンタクトサブアセンブリ118、120間の電気的接続が維持される。ラッチ124は、雄型コネクタ102と雌型コネクタ104を接続解除するために、留め具122の上で持ち上げるかまたは枢動させることができる。代替の実施形態では、雄型コネクタ102が主要ラッチを含み、雌型コネクタ104が留め具を含む。
【0009】
例示した実施形態では、雄型コネクタ102および雌型コネクタ104は、FAKRA自動車専門家グループが制定した統一コネクタシステムの規格に準拠したFAKRAコネクタを構成する。FAKRAは、ドイツ標準化機構の自動車標準化委員会であり、自動車分野における国際標準化の利益を代表している。FAKRAコネクタは、各コネクタ102、104の各々の嵌合能力をFAKRA規格に従う1つまたは複数の特定の嵌合コネクタに限定することによって自動車用途における高い機能要件および安全要件を満たす、標準化されたキーイングシステムおよびロックシステムを有する。たとえば、例示した実施形態における雄型コネクタ102は、1つまたは複数のキーイングリブ126を有し、雌型コネクタ104は、コネクタ102、104が嵌合し適切に位置合わせされるとキーイングリブ126を受容する、1つまたは複数のキー穴128を有する。
【0010】
キーイングリブ126は、雄型ハウジング108が雌型ハウジング110に対して1つの特定の角度で配向される場合にのみ、キー穴128内に受容される。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、コネクタシステム100のハウジング108、110は、対応するケーブル114、116に対して回転可能である。したがって、雄型ハウジング108は単一の配向においてのみ雌型ハウジング110に嵌合するが、雄型ハウジング108を雌型ハウジング110と位置合わせするための雄型ハウジング108の回転によって、雄型ハウジング108で終端されているケーブル114に張力および他のねじれの力を加えることがない。本明細書に記載するように、雄型コネクタ102および雌型コネクタ104は各々、それぞれのハウジング108、110が、2次的なロックまたはクリップなどの補助構成要素をコネクタ102、104に挿入する必要なく対応するケーブル114、116に対して回転できるようにする、保持機構を含む。
【0011】
図2は、ある実施形態による雌型電気コネクタ104の分解背面斜視図である。コンタクトサブアセンブリ120はケーブル116を終端し、これは、コンタクトサブアセンブリ120がケーブル116に機械的および電気的に接続されることを意味する。コンタクトサブアセンブリ120は、ハウジング110の空洞106の外側に配設されるが、空洞106内に挿入できる状態である。分解されたコネクタ104は、鉛直または仰角軸191、横方向軸192、および長手軸193に対して配向されている。軸191~193は互いに対して垂直である。鉛直軸191は重力と概ね平行に延びているように見えるが、軸191~193が重力に対して何らかの特定の配向を有する必要がないことが理解される。
【0012】
図2は雌型コネクタ104を示しているが、雌型コネクタ104の様々な実施形態の以下の説明は、雄型コネクタ102(
図1に示す)にも当てはまり得る。たとえば、雄型コネクタ102のハウジング108およびコンタクトサブアセンブリ118は、以下に記載するハウジング110およびコンタクトサブアセンブリ120の構成要素と形状、配向、および機能が類似の構成要素を有してよい。
【0013】
ハウジング110は、前端部302と後端部304との間に長手方向に延在する。本明細書で使用される場合、「前」、「後ろ」、「頂部」、「底部」、「第1の」、および「第2の」などの相対的なまたは空間に関する用語は、参照された要素を区別するためにのみ使用され、電気コネクタ104およびコネクタシステム100(
図1に示す)の周囲環境に対する特定の位置または配向を必ずしも必要としない。例示した実施形態では、前端部302は嵌合端部であり、それにより、キー穴128(
図1に示す)は、前端部302に沿ってまたは近接して位置付けられる。後端部304はケーブル端部であり、この場合ケーブル116は、コンタクトサブアセンブリ120がハウジング110内に挿入されるとき、後端部304にある開口部306を通してハウジング110から突出する。空洞106は、ハウジング110を通って前端部302と後端部304との間に延在する。
例示した実施形態では、ハウジング110は一直線のハウジングであるが、代替の実施形態では、ハウジング110は直角ハウジングであってよい。たとえば、代替の実施形態では、ケーブル端部はハウジング110の嵌合端部と共線の関係でなくてよい。
【0014】
ハウジング110は概ね円筒形の形状であるが、少なくとも部分的に平面状の頂面308を含む。主要ラッチ124は頂面308に装着される。ハウジング110の頂面308は軸方向において主要ラッチ124と後端部304との間に位置付けられた、窓310を画定する。窓310は、ハウジング110の頂部壁312を完全に貫通して延在し、空洞106に開口している。窓310は、以下でより詳細に記載するように、突出部314が頂部壁312に向かってある角度で配向されるとき、コンタクトサブアセンブリ120の突出部314を窓310を通して受容するように構成される。ハウジング110はまた、主要ラッチ124の後方に、少なくとも1つの可撓性ラッチ364を含んでもよい。可撓性ラッチ364は、少なくとも部分的に空洞106内へと延在してコンタクトサブアセンブリ120の突出部314と係合するように構成される。
【0015】
コンタクトサブアセンブリ120は、後端部304にある開口部306を通してハウジング110の空洞106内に挿入されるように構成される。たとえば、コンタクトサブアセンブリ120は、ハウジング110に対して、長手軸193に沿った挿入方向316においてハウジング110の前端部302に向かって移動される。コンタクトサブアセンブリ120は、概ね円筒形のコンタクト嵌合部144を含む。コンタクト嵌合部144は嵌合時、雄型コネクタ102(
図1)のコンタクトサブアセンブリ118の相補関係にあるコンタクト嵌合部(
図1に示す)に係合するように構成される。コンタクト嵌合部144は概ね円筒形なので、コンタクト嵌合部144は、雄型コネクタ102の対応するコンタクト嵌合部に対する特定の角度配向を必要としない。コンタクトサブアセンブリ120は、コンタクト嵌合部144の後方に終端部146をさらに含む。
終端部146は、ケーブル116に機械的および電気的に接続する。ある実施形態では、ケーブル116は、終端部146の頂面320の上方から誘電体ホルダ134の溝路138の中へと下ろされ、この結果ケーブル116は、ケーブル圧接(CID)機構158、160(
図4および
図5に示す)を用いて終端されることになる。別の実施形態では、ケーブル116は、1つまたは複数のフェルールを使用し得る1回または複数回の圧着作業によって、コンタクトサブアセンブリ120で終端されてよい。
【0016】
コンタクトサブアセンブリ120は、コンタクトサブアセンブリ120の外面318から外向きに延在する少なくとも1つの突出部314を有する。例示した実施形態では、突出部314はタブ314である。外面318は、終端部146の側面212である。
図2では見えていないが、コンタクトサブアセンブリ120は、コンタクトサブアセンブリ120の対向する両側面212に沿って外面318から延在する2つのタブ314を含んでよい。コンタクトサブアセンブリ120は他の実施形態では、2つよりも多くのまたは少ない突出部314を含んでよい。
【0017】
ある実施形態では、後端部304におけるハウジング110の空洞106は、中央コア324および少なくとも1つの外側溝路326を含む。ハウジング110は、例示した実施形態では、2つの外側溝路326を画定する。中央コア324は円筒形形状を有する。外側溝路326は中央コア324に開口しており、中央コア324から放射方向外向きに延在する。後端部304にある開口部306は、コンタクトサブアセンブリ120がハウジング110に対して1つまたは複数の特定の角度配向にある場合のみ、コンタクトサブアセンブリ120が完全に空洞106内に入るのを可能にするような、サイズおよび形状とされる。たとえば、コンタクトサブアセンブリ120は、タブ314が空洞106の外側溝路326と位置合わせされこの中に受容される場合にのみ、空洞106内に完全に挿入できる。
中央コア324の直径は、タブ314の放射方向長さを含むコンタクトサブアセンブリ120の直径を収容するには、小さ過ぎる場合がある。
図2に示すように、コンタクトサブアセンブリ120は、見えているタブ314が右の外側溝路326Aと位置合わせされるような角度で配向される。空洞106の左の外側溝路326Bは、
図2では見えていないコンタクトサブアセンブリ120のタブと位置合わせされる。
【0018】
図3は、ハウジング110の1/4の部分を除去して示した、ある実施形態による電気コネクタ104の背面斜視図である。コンタクトサブアセンブリ120は、ハウジング110の空洞106内に完全に挿入された位置にある。ハウジング110の1/4の部分が除去されているので、コンタクトサブアセンブリ120は空洞106内で見えている。ケーブル116は、ハウジング110から後端部304にある開口部306を通って延在する。
【0019】
ハウジング110は、保持機構327を含む。保持機構327は、コンタクトサブアセンブリ120の突出部314(たとえばタブ314)に係合して、ハウジング110に対する空洞106内でのコンタクトサブアセンブリ120の軸方向位置を固定する。保持機構327により、ハウジング110はコンタクトサブアセンブリ120およびケーブル116に対して回転できるように構成される。たとえば、ハウジング110は、コンタクトサブアセンブリ120およびケーブル116に対して、時計回り方向330に回転可能とすることができる。ハウジング110は、反時計回り方向にも回転できる。ハウジング110がケーブル116およびコンタクトサブアセンブリ120に対して回転できるので、ハウジング110を回転させて、コンタクトサブアセンブリ120および/またはケーブル116に張力または他のねじれの力を加えることなく、嵌合コネクタの嵌合インタフェースと適切に位置合わせすることができる。本明細書に記載する様々な実施形態の保持機構327は、ハウジング110内に挿入される別個の2次的なロックまたはクリップを含まない。
【0020】
ハウジング110の保持機構327は、空洞106の外周に沿って延在する環状トラック328を含む。環状トラック328は、コンタクトサブアセンブリ120の1つまたは複数の突出部314を中に受容するように構成される。ハウジング110がコンタクトサブアセンブリ120に対して回転する際、突出部314は、環状トラック328の円周長さに沿って(相対的に)移動する。ハウジング110は、環状トラック328の後端部を画定する保持棚部334を含む。たとえば、環状トラック328の長手幅は、前端部302に向かって保持棚部334から前方に延在する。保持棚部334は、ハウジング110に対するコンタクトサブアセンブリ120の軸方向後方への移動を阻止することによって、コンタクトサブアセンブリ120の軸方向位置を固定するように構成される。たとえば、コンタクトサブアセンブリ120のタブ314は、ハウジング110の後端部304に向かって全体的に後方に面する受止面336を含む。
タブ314が環状トラック328内に配設されるとき、受止面336は、保持棚部334に係合してハウジング110に対するコンタクトサブアセンブリ120の軸方向後方への移動を阻止し、コンタクトサブアセンブリ120を
図3に示す完全に挿入された位置に維持するように構成される。したがって、保持機構327は、コンタクトサブアセンブリ120が空洞106から後方に引き出されるのを防止しつつ、ハウジング110がコンタクトサブアセンブリ120に対して回転するのを可能にするように構成される。1つまたは複数の実施形態では、保持棚部334は、環状トラック328の全長に沿って一続きに延在する単一の面の代わりに、
図6および
図7を参照して以下でより詳細に説明するように、環状トラック328の円周長さに沿ったハウジングの様々な面によって画定されてよい。
【0021】
例示した実施形態では、ハウジング110は空洞106内に、軸方向において前端部302と環状トラック328との間に位置付けられる内部肩部338を含む。内部肩部338の後縁340は、コンタクトサブアセンブリ120の誘電体ホルダ134の前壁342に係合して、ハウジング110に対する、挿入方向316におけるコンタクトサブアセンブリ120のさらなる軸方向移動を阻止する、ハードストップ面を提供する。したがって、コンタクトサブアセンブリ120は、内部肩部338の後縁340および保持棚部334との係合を介して、空洞106内で軸方向に関して固定される。
【0022】
図4は、ある実施形態によるコンタクトサブアセンブリ120および電気ケーブル116の斜視図である。コンタクトサブアセンブリ120は、誘電体ホルダ134、中央コンタクト132、および外側コンタクト136を含む。コンタクトサブアセンブリ120は、中央コンタクト132および外側コンタクトの普通であれば遮られている部分が見えることを可能にするために、部分断面図で示されている。コンタクトサブアセンブリ120は、前端部346と後端部348との間に延在する。
【0023】
ある実施形態では、ケーブル116は、銅、銀、金および/または同様のものの導電金属材料から成る1つまたは複数の電気ワイヤを有するコア導体162を含む、同軸ケーブルである。コア導体162は、1種または複数種のプラスチックなどの誘電性材料で形成される、絶縁層166によって囲まれる。絶縁層166は、絶縁層166を囲む導電性シールド層164から、コア導体162を保護しかつ電気的に絶縁する。導電性シールド層164は、コア導体162に沿って伝送される信号の電気的シールドを提供し、電気的接地経路および/または信号戻り経路も提供し得る。導電性シールド層164は、織ったまたは編んだ金属ストランドを含むケーブルブレードであってよいか、またはこれを含んでよい。任意選択で、導電性シールド層164は、ケーブルブレードの代わりにまたはこれに加えて、金属箔を含んでよい。
ケーブル116のジャケット168は、シールド層164を囲む。ジャケット168は、1種または複数種のプラスチックなどの誘電性材料で形成される。ジャケット168は、摩耗および汚染物質からの保護を提供する。ジャケット168はまた、ケーブル116の導電構成要素162、164を、外部の電気的干渉から電気的に絶縁する。
【0024】
本明細書で使用される場合、ケーブル116は、内側ケーブル部分170、および内側ケーブル部分170を囲む外側ケーブル部分172を有するものとして記載されている。内側ケーブル部分170はコア導体162および絶縁層166から成り、外側ケーブル部分172はシールド層164およびジャケット168から成る。ある実施形態では、ケーブル116は、ケーブル116の端部174を剥離することによって、いつでもコンタクトサブアセンブリ120で終端できるように処理されていてよい。例示した実施形態では、ジャケット168およびシールド層164は、内側ケーブル部分170が端部部分176に沿って外側ケーブル部分172から突出するように、ケーブル116の端部部分176に沿って剥離される。例示した実施形態では、シールド層164はジャケット168を越えて突出し、ジャケット168よりもケーブル116の端部174の近くまで延在するが、代替の実施形態では、シールド層164は、ジャケット168と同じ場所で切断されてよい。
【0025】
誘電体ホルダ134は、溝路138を画定する。溝路138はホルダ134の頂面154に沿って開口しており、このため誘電体ホルダ134は、クレードルまたは樋に似ている。誘電体ホルダ134は、中央コンタクト132および外側コンタクト136を保持するように構成される。誘電体ホルダ134は、ホルダ134が中央コンタクト132を外側コンタクト136から電気的に絶縁することができるように、1種または複数種のプラスチックなどの誘電性材料から成る。誘電体ホルダ134は、成形工程を介して形成されてよい。誘電体ホルダ134は、溝路138を画定する本体200、および本体200から延在し円筒形の空洞204を画定するノーズ部分202も含む。本体200は、誘電体ホルダ134の底面156から溝路138まで本体200を通って延在する、複数の開口206を画定する。本体200は、溝路138の側面上に位置付けられた側部空洞214も画定する。側部空洞214は、底面156から頂面154まで延在する。
【0026】
中央コンタクト132は、嵌合インタフェース148および終端領域178を含む。嵌合インタフェース148は、例示した実施形態ではピンであるが、嵌合インタフェース148は、他の実施形態では、ソケット、ブレードなどのような、他の形状を有してよい。終端領域178は、ケーブル116の1つまたは複数の層を貫通してコア導体162に係合するように構成される、CID機構158を含む。CID機構158は、コア終端CID機構158と呼ばれる場合がある。CID機構158は、コアスロット186を間に画定する2つのコンタクト壁184を含む。コアスロット186は、中央コンタクト132の頂部に沿って開口して、ケーブル116の端部部分176を中に受容する。コンタクト壁184は、ケーブル116の端部部分176がCID機構158に圧入される際に、絶縁層166を貫通する。
コンタクト壁184は、端部部分176をコアスロット186内に導く導入領域を提供するように、テーパ状になっていてよい。導入領域に沿ったおよびコアスロット186に沿ったコンタクト壁184の縁部は、任意選択で、絶縁層166を切り裂くように先鋭とされてよい。例示した実施形態では、中央コンタクト132の終端領域178は、互いから長手方向に離間された2つのCID機構158を含む。中央コンタクト132は、銅、銀、アルミニウム、金および/または同様のものを含む導電金属材料から成っていてよい。中央コンタクト132は、少なくとも部分的に平面状のパネルから図示した形状へと、プレス加工され形成されてよい。中央コンタクト132は誘電体ホルダ134によって保持され、その結果、終端領域178は溝路138内に保持され、嵌合インタフェース148は円筒形の空洞204内へと延在する。
【0027】
外側コンタクト136は、銅、銀、アルミニウム、金および/または類似のもののうちの1つまたは複数を含む、導電金属材料から成る。外側コンタクト136はある実施形態では、平面状のパネルからプレス加工され形成される。外側コンタクト136は、誘電体ホルダ134を少なくとも部分的に囲むように構成される。外側コンタクト136は、誘電体ホルダ134の側部空洞214内へと延在する側壁228を含む。外側コンタクト136は、側壁228から延在し誘電体ホルダ134の頂面154に沿って側部空洞214から突出する、保持タブ234をさらに含む。ケーブル116が溝路138に受容された後で、保持タブ234を曲げるかまたは畳んで、溝路138内でのケーブル116の維持を補助するために、ケーブル116の上方で溝路138を少なくとも部分的に横断して延在させることができる。
外側コンタクト136は、本明細書ではシールド終端CID機構160と呼ばれる、第2のCID機構160を含む。シールド終端CID機構160は、開口206のうちの1つを通って溝路138内へと延在する。CID機構160は、外側コンタクト136をシールド層164に電気的に接続するために、ケーブル116の1つまたは複数の層を貫通してシールド層164に係合するように構成される。
【0028】
ある実施形態による外側コンタクト136の正面図を示す
図5をさらに参照する。シールド終端CID機構160は、少なくともケーブル116のジャケット168を貫通してシールド層164に係合し電気的に接続するように構成される尖った先端部242を有する、複数のブレード240を含む。ブレード240は、ケーブル116が外側コンタクト136に対して下向きの押圧方向244で挿入される際に、尖った先端部242がケーブル116に食い込むことができるように、概ね鉛直に配向される。ブレード240は、シールド層164に少なくとも部分的に貫入してよく、また、シールド層164との確実な機械的および電気的接続の確立を保証するために、ケーブル116の絶縁層166内に延在してもよい。ブレード240は、コア導体162に係合してしまう程度にまでは、絶縁層166に貫入しない。
【0029】
ここで
図4のみを参照すると、外側コンタクト136は、緊張緩和をもたらすように構成された少なくとも1つの緊張緩和CID機構254を含んでよい。外側コンタクト136は、例示した実施形態では、シールド終端CID機構160の後方に位置付けられた、2つの緊張緩和CID機構254を含む。緊張緩和CID機構254は、対応する開口206を通って溝路138内に延在する。緊張緩和CID機構254は、形状および機能がシールド終端CID機構160と同様であってよい。たとえば、緊張緩和CID機構254は、少なくとも1つのブレード258を各々含む。ブレード258は、機械的保持および緊張緩和をもたらすために、ジャケット168、シールド層164を貫通し、少なくとも部分的に絶縁層166に貫入するように、構成されてよい。外側コンタクト136は、代替の実施形態では、他の数のシールド終端CID機構160および緊張緩和CID機構254を有してよい。
任意選択で、外側コンタクト136は、コンタクトサブアセンブリ120の後端部348にあるキャリアストリップ232に取り付けられる。したがって、コンタクトサブアセンブリ120は、他のコンタクトサブアセンブリ120とともにキャリアストリップ232上に組み付けられてよい。
【0030】
図4に示すように、コア終端CID機構158、シールド終端CID機構160、および緊張緩和CID機構254は、全て溝路138内に配設される。1つまたは複数の実施形態によるコンタクトサブアセンブリ120は、コンタクトサブアセンブリ120に対するケーブル116の1ステップの押圧終端を実現する。たとえば、ケーブル116は、手作業でまたはプレス装置などの自動化された機械を介して、コンタクトサブアセンブリ120の上方から溝路138内に圧入されてよい。ケーブル116が溝路138に圧入される際、中央コンタクト132のコア終端CID機構158は、端部部分176に沿って内側ケーブル部分170に係合して、絶縁層166を貫通し、コア導体162に係合する。外側コンタクト136のシールド終端CID機構160および緊張緩和CID機構254は、外側ケーブル部分172に係合しジャケット168を貫通して、シールド層164に係合する。
したがって、コンタクトサブアセンブリ120は、ケーブル116を溝路138内に1回押圧することによって、ケーブル116が中央コンタクト132および外側コンタクト136の両方で終端されることを可能にする。
【0031】
コンタクトサブアセンブリ120の突出部314は、例示した実施形態では、コンタクトサブアセンブリ120の側面212から側方外向きに延在するタブ314である。タブ314は、例示した実施形態では、誘電体ホルダ134と一体である。代替の実施形態では、突出部314は、誘電体ホルダ134の代わりに、外側コンタクト136の構成要素であってもよい。タブ314は、傾斜面344および受止面336を含む。受止面336は、後端部348に向かって後方に面する。傾斜面344は、タブ314の前部350から受止面336まで延在する。傾斜面344は、タブ314が、傾斜面344に沿って前部350から受止面336に向かって側面212から距離を有してさらに遠くまで延在するような角度とされる。
【0032】
図6は、ある実施形態による電気コネクタ104(
図1に示す)のハウジング110の第1の正面斜視断面図である。
図7は、電気コネクタ104のハウジング110の第2の正面斜視断面図である。
図6の図はハウジング110のほぼ半分を示しており、
図7の図はハウジング110のほぼ3/4を示している。例示した実施形態では、ハウジング110は、空洞106を画定するハウジング110の内面354に沿って画定された、溝形状の凹部352を含む。溝形状の凹部352は、環状トラック328の少なくとも円周部分を画定する。凹部352(たとえば凹部352の後端部)に沿った環状トラック328の保持棚部334は、ハウジング110の第1の内部肩部358の前縁356によって画定される。第1の内部肩部58は、ハウジング110の固定された構造である。内部肩部358は、ハウジング110の凹部352から後端部304まで長手方向に延在してよい。
第2の内部肩部362の後縁360は、凹部352の前端部を画定する。後縁360と前縁356との間の凹部352の長手幅は、コンタクトサブアセンブリ120(
図3)の少なくとも1つの突出部314(
図3に示す)を収容する。
【0033】
ある実施形態では、ハウジング110は、固定された端部366から延在する少なくとも1つの可撓性ラッチ364、および自由端368を含む。固定された端部366は、環状トラック328と後端部304との間の軸方向の場所で、ハウジング110の壁370に固定される。自由端368は壁370に直接固定されず、壁370に対して固定された端部366を中心にして移動できる。固定された端部366は、自由端368の後方に位置付けられる。任意選択で、ラッチ364は、長手軸193に沿って延在するように配向されてよい。ハウジング110は、例示した実施形態では2つのラッチ364を含むが、他の実施形態では、2つよりも多いまたは少ないラッチ364を含んでよい。ラッチ364は、付勢されていない状態すなわち通常状態と反った状態との間で可撓である。
付勢されていない状態では、ラッチ364は、コンタクトサブアセンブリ120(
図3に示す)の挿入経路において、少なくとも部分的に空洞106内へと延在するように構成される。反った状態では、コンタクトサブアセンブリ120の突出部314(
図3)は、ラッチ364に係合し、これをコンタクトサブアセンブリ120の経路から出るように放射方向外向きに反らせて、突出部314が環状トラック328に進入できるようにする。ラッチ364は、少なくとも自由端368に近接した、全体的にハウジング110の前端部302に面する受止面372を有する。例示した実施形態では、受止面372は、自由端368に位置付けられる。
【0034】
ある実施形態では、
図6に示すようにラッチ364が付勢されていない状態にあるとき、受止面372は、環状トラック328の保持棚部334の一部分を画定する。たとえば、ラッチ364の受止面372は、第1の内部肩部358の前縁356に隣接して延在する。内部肩部358の前縁356は、保持棚部334の第1の円周部分を画定し、対応するラッチ364の受止面372は、保持棚部334の第2の円周部分を画定する。
図6に示すように、2つのラッチ364の受止面372は、空洞106の外周に沿って内部肩部358の前縁356を境界付け、各々が保持棚部334のそれぞれの円周部分を画定する。ラッチ364は任意選択で、アーム374およびヘッド376を各々含む。アーム374は固定された端部366からヘッド376まで延在し、ヘッド376は自由端368まで延在する。ヘッド376は、ヘッド376に沿って自由端368に向かって距離が漸増する、空洞106内へと放射方向内向きに延在する傾斜面378を含む。傾斜面378は受止面372まで延在する。
【0035】
図7に示すように、頂部壁312を通して画定されるハウジング110の窓310は、環状トラック328の上側部分を画定してよい。たとえば、窓310は、溝形状の凹部352と周方向に位置合わせされる。頂部壁312が円筒形である代わりに少なくとも部分的に平面状であるので、環状トラック328の上側部分は、別の溝形状の凹部の代わりに、ハウジング110の窓310によって画定されてよい。環状トラック328の上側部分に沿った保持棚部334が、窓310の後端部を画定する頂部壁312の縁部384によって画定される。
【0036】
ある実施形態では、環状トラック328は、空洞106の全周の周囲に延在する。環状トラック328の円周長さ全体に沿った保持棚部334は、内部肩部358の前縁356、ラッチ364の受止面372、および頂部壁312の縁部384を含む、ハウジング110の様々な構成要素によって画定される。
【0037】
図6に示すように、空洞106の外側溝路326は、後端部304から環状トラック328まで長手方向に延在する。外側溝路326は、第1の内部肩部358の外周縁部380によって少なくとも部分的に画定される。ある実施形態では、可撓性ラッチ364は、付勢されていない状態にあるとき外側溝路326内へと延在して、この中に受容されているコンタクトサブアセンブリ120の突出部314に係合する。たとえば、ラッチ364の内面382は、外側溝路326の外壁を画定する。可撓性ラッチ364は、空洞106の中央コア324内へは延在しない。
【0038】
図8は、
図3に示す実施形態による電気コネクタ104の一部の背面斜視図である。ある実施形態では、コンタクトサブアセンブリ120が後端部304を通して空洞106内に挿入される際に、タブ314は対応する外側溝路326内に受容される。
図8には2つのタブ314のうちの一方だけが示されている。挿入方向316におけるコンタクトサブアセンブリ120の移動により、タブ314の傾斜面344が、外側溝路326内で、可撓性ラッチ364の相補関係にある傾斜面378に係合される。タブ314は、タブ314がハウジング110に対して挿入方向316に並進移動するにつれ、撓み方向矢印386のようにラッチ364を放射方向外向きに次第に反らせる。ラッチ364が反ることにより、ラッチ364のヘッド376がタブ314の経路から出るように移動されて、タブ314が環状トラック328に進入することが可能になる。
タブ314の受止面336がラッチ364の受止面372を通過すると、可撓性ラッチ364は付勢されていない状態に向かって放射方向内向きに、弾性的に復帰できるようになる。付勢されていない状態では、受止面372はタブ314の受止面336の背後に受容され、この結果、ハウジング110に対するコンタクトサブアセンブリ120の後方への移動により受止面336、372が互いに係合されることになる、コンタクトサブアセンブリ120のさらなる後方への移動を阻止する。
【0039】
例示した実施形態は、コンタクトサブアセンブリ120をハウジング110に対して第1の角度配向で示している。コンタクトサブアセンブリ120は、外側溝路326内でのタブ314の受容を可能にするように、ハウジング110内に第1の角度配向で挿入される。コンタクトサブアセンブリ120がハウジング110内に完全に挿入され、この結果タブ314が環状トラック328内に位置付けられると、ハウジング110は、コンタクトサブアセンブリ120およびケーブル116に対して回転できる。ある実施形態では、ハウジング110は360度回転できる。
【0040】
図9は、コンタクトサブアセンブリ120がハウジング110に対して第2の角度配向にある、電気コネクタ104の背面斜視図である。コンタクトサブアセンブリ120の頂部320が頂部壁312に面する
図8に示す第1の角度配向に比較して、第2の角度配向では、コンタクトサブアセンブリ120の頂部320は、ハウジング110の側面に沿い、可撓性ラッチ364の一方に向かって面する。加えて、コンタクトサブアセンブリ120のタブ314の一方は、第2の角度配向では、ハウジング110の頂部壁312に向かう角度で配向され、少なくとも部分的に窓310を通って延在する。
図9に示すように、ハウジング110に対するコンタクトサブアセンブリ120の後ろ向きの力により、タブ314の受止面336が、環状トラック328の頂部部分に沿って保持棚部334を画定する頂部壁312の縁部384に対して当接することになり、この結果コンタクトサブアセンブリ120が、ハウジング110内で挿入された位置に維持される。
【0041】
図10は、代替の実施形態による電気コネクタ104の一部の背面斜視図である。
図10では、電気コネクタ104の突出部は、タブの代わりに可撓性ラッチ402である。ラッチ402は、受止面406を画定するラッチ402のヘッド404が、固定された端部410まで延在するラッチ402のアーム408の後方に位置付けられるように配向される。コンタクトサブアセンブリ120が後端部304からハウジング110の空洞106内に挿入される際、ラッチ402のヘッド404は、後端部304と環状トラック328との間に延在する内部肩部358に係合する。内部肩部358はラッチ402を、ラッチ402の受止面406が肩部358の前縁356を越えて延在するまで放射方向内向きに反らせ、この時点でラッチ402は、付勢されていない状態に向かって放射方向外向きに、弾性的に移動する。
付勢されていない状態では、
図10に示すように、ラッチ402のヘッド404は、環状トラック328内に配設される。受止面406は、肩部358の前縁356に係合して、ハウジング110内でコンタクトサブアセンブリ120の軸方向位置を維持するように構成される。少なくとも
図10に示す環状トラック328の円周部分は、溝形状の凹部412によって画定されてよい。
【0042】
別の代替の実施形態では、コンタクトサブアセンブリ120の少なくとも1つの突出部は、外周に沿って延長した長さを有さない1つまたは複数のタブの代わりに、少なくともコンタクトサブアセンブリ120の外周の延長した長さに沿ってコンタクトサブアセンブリ120の外面から外向きに延在する、環状のリングまたはフランジであってよい。さらに、ハウジング110の環状トラックの保持棚部は、空洞106内へと延在するハウジング110の1つまたは複数の可撓性ラッチの受止面によって、全体が画定されてよい。したがって、コンタクトサブアセンブリ120がハウジング110内に挿入される際、環状リングは、1つまたは複数のラッチに係合し、これを、環状リングの後方受止面がラッチの受止面の前方に位置付けられ、ラッチが環状リングの背後で放射方向内向きに弾性的に移動できるようになり、この結果、コンタクトサブアセンブリ120の軸方向の場所がハウジング110に対して固定されるまで、放射方向外向きに反らせる。
本明細書に記載する全ての実施形態において、ハウジング110はコンタクトサブアセンブリ120に対して回転でき、ハウジング110は、コンタクトサブアセンブリ120の軸方向位置を固定する。
【0043】
上記の説明は例示となることを意図しており、制限的であることを意図していないことを理解されたい。たとえば、上記の実施形態(および/またはそれらの態様)を、互いと組み合わせて使用することができる。加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。本明細書に記載する、寸法、材料の種類、様々な構成要素の配向、ならびに様々な構成要素の数および位置は、特定の実施形態のパラメータを規定するように意図されており、いかなる点においても限定的ではなく、例示の実施形態に過ぎない。特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある他の多くの実施形態および修正形態が、上記の説明を検討することで、当業者には明らかになろう。本発明の範囲はしたがって、付属の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。