(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】監視装置および監視方法
(51)【国際特許分類】
A01M 23/34 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A01M23/34
(21)【出願番号】P 2017185024
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 功
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-159747(JP,A)
【文献】特開2016-178900(JP,A)
【文献】特開2003-284479(JP,A)
【文献】特表2008-533987(JP,A)
【文献】特開2013-135644(JP,A)
【文献】特開平04-166033(JP,A)
【文献】特開2004-057147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342344(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
くくり罠の輪が形成されたワイヤー部の
互いに直交する3軸方向の加速度情報を計測するセンサと、
前記センサにより計測される前記加速度情報に基づき、
前記3軸方向別に相対的に大きい第1の種類の振動と、相対的に小さい第2の種類の振動が発生したかを計測し、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された後、
前記3軸方向に前記第2の種類の振動が計測された場合、人を捕獲したと判定し、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された後、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が繰り返し計測された場合、鳥獣を捕獲したと判定
し、人を捕獲したと判定した後、前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された場合、くくり罠が再設置されたと判定し、前記第1の種類の振動が計測されない場合、くくり罠が放置されたと判定する判定部と、
を有することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、日中の時間帯、振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の監視装置。
【請求項3】
コンピュータが実行する監視方法であって、
くくり罠の輪が形成されたワイヤー部の
互いに直交する3軸方向の加速度情報を計測するセンサにより前記加速度情報を計測し、
計測される前記加速度情報に基づき、
前記3軸方向別に相対的に大きい第1の種類の振動と、相対的に小さい第2の種類の振動が発生したかを計測し、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された後、
前記3軸方向に前記第2の種類の振動が計測された場合、人を捕獲したと判定し、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された後、
前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が繰り返し計測された場合、鳥獣を捕獲したと判定
し、人を捕獲したと判定した後、前記3軸方向の何れか1または2方向に前記第1の種類の振動が計測された場合、くくり罠が再設置されたと判定し、前記第1の種類の振動が計測されない場合、くくり罠が放置されたと判定する
処理を実行することを特徴とする監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
鳥獣を捕獲する罠として、くくり罠が知られている。くくり罠は、野山の鳥獣の通り道などに設置し、針金やワイヤーロープなどで作った輪によって、鳥獣の足などの身体の一部をくくり捕らえる。例えば、農作物や山林の環境にとって有害な鳥獣を捕獲するため、ハンターは、くくり罠を設置し、くくり罠の設置箇所を巡回する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-122976号公報
【文献】特開2014-14310号公報
【文献】特開2015-159747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、くくり罠は、罠が仕掛けられていることを鳥獣に気づかれないようにするために、埋められたり、上に草がまかれるなど、見えづらく設置される。このように、くくり罠が地上から見えづらく設置されると、人がくくり罠の設置箇所を通過して誤ってくくり罠に捕獲されてしまう可能性や、ハンター自身がくくり罠に捕獲されてしまう可能性が存在する。
【0005】
1つの側面では、本発明は、人が捕獲されたかを判別できる監視装置および監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の案では、監視装置は、センサと、判定部とを有する。センサは、くくり罠の輪が形成されたワイヤー部の加速度情報を計測する。判定部は、センサにより計測される加速度情報により示される振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する。
【発明の効果】
【0007】
人が捕獲されたかを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施例に係るシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、加速度テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、加速度データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、振動テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、振動数情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施例に係る管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、表示される判定結果の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施例に係る監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する監視装置および監視方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
図1は、本実施例に係るシステムの構成を示す図である。
図1に示すように、このシステムは、監視装置100a,100b,100c,100d,100e,100fと、管理サーバ200とを有する。
【0011】
監視装置100d~100f、管理サーバ200は、3G圏内エリア15に含まれ、監視装置100a~100cは、3G圏内エリア15に含まれない。監視装置100d~100fと、管理サーバ200は、3G回線を用いてデータ通信を行う。監視装置100a~100cは、監視装置100dと無線通信可能な距離に配置され、監視装置100dを介して、管理サーバ200とデータ通信を行う。
【0012】
監視装置100a~100fは、鳥獣を捕獲するためのくくり罠にそれぞれ設置された加速度センサに接続される。監視装置100aは、くくり罠1a~1cに設置された加速度センサに接続される。監視装置100bは、くくり罠2a~2cに設置された加速度センサに接続される。監視装置100cは、くくり罠3a~3cに設置された加速度センサに接続される。監視装置100dは、くくり罠4a~4cに設置された加速度センサに接続される。監視装置100eは、くくり罠5a~5cに設置された加速度センサに接続される。監視装置100fは、くくり罠6a~6cに設置された加速度センサに接続される。
【0013】
くくり罠は、針金やワイヤーロープなどのワイヤー部を有し、ワイヤー部に作った輪によって、鳥獣の足などの身体の一部をくくり捕らえる。加速度センサは、くくり罠のワイヤー部にそれぞれ設けられ、ワイヤー部の加速度情報を計測する。以下の説明では、監視装置100a~100fをまとめて適宜、監視装置100と表記する。また、
図1では、監視装置100が複数のくくり罠の加速度センサにそれぞれ接続されているものとしたが、これに限定されるものではない。監視装置100は、1つのくくり罠の加速度センサと接続されるものとしてもよい。
【0014】
監視装置100は、加速度センサにより計測される加速度情報に基づき、くくり罠の状態を監視する装置である。監視装置100は、加速度情報により示される振動が検出されると、検出される振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する。そして、監視装置100は、判定結果などを含む、くくり罠の状態を示す状態情報を管理サーバ200に送信する。例えば、3G圏内エリア15に含まれる監視装置100d~100fは、3G回線を用いて、状態情報を管理サーバ200に送信する。3G圏内エリア15に含まれない監視装置100a~100cは、監視装置100dを介して、状態情報を、管理サーバ200に送信する。
【0015】
続いて、監視装置100の構成について説明する。ここでは一例として、監視装置100aの構成について説明する。なお、監視装置100b~100fの構成は、監視装置100aの構成に対応する。
【0016】
図2は、監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、この監視装置100aは、通信部110と、加速度センサ120a,120b,120cと、記憶部130と、制御部140とを有する。
【0017】
通信部110は、管理サーバ200との間でデータ通信を実行する処理部である。通信部110は、通信装置に対応する。例えば、
図1に示したように、監視装置100aが、3G圏内エリア15に含まれていない場合には、通信部110は、親機となる監視装置100dを介して、管理サーバ200とデータ通信を実行する。監視装置100aが、3G圏内エリア15に含まれている場合には、通信部110は、3G回線を用いて、管理サーバ200とデータ通信を実行する。後述する制御部140は、通信部110を介して、管理サーバ200とデータをやり取りする。
【0018】
加速度センサ120a~120cは、くくり罠1a~1cにそれぞれ設置される加速度センサである。以下の説明では、適宜、加速度センサ120a~120cをまとめて、加速度センサ120と表記する。くくり罠1a~1cをまとめて、くくり罠1と表記する。加速度センサ120は、設置されたくくり罠1の加速度を計測する。くくり罠1は、人や鳥獣などの動物が設置箇所に足を入れると罠が作動し、バネの復元力などによりワイヤー部の輪を狭めて、動物の足などの身体の一部をくくり捕らえる。このため、くくり罠1は、罠が作動した場合、加速度センサ120で加速度が検出される。また、くくり罠1は、鳥獣を捕獲すると、鳥獣が逃走しようとして各方向に引っ張られるため、加速度センサ120で加速度が検出される。くくり罠1の加速度の情報を、加速度データと表記する。加速度データは、互いに直交する3軸方向それぞれにおける時刻と加速度の大きさとの関係を有する。例えば、3軸方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。
【0019】
記憶部130は、加速度テーブル131と、振動テーブル132とを有する。記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0020】
加速度テーブル131は、加速度センサ120に計測された加速度データを保持するテーブルである。
図3は、加速度テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、この加速度テーブル131は、罠IDと、加速度データとを対応付ける。罠IDは、くくり罠1を一意に識別する情報である。例えば、くくり罠1aの罠IDを「kuku-1a」とし、くくり罠1bの罠IDを「kuku-1b」とし、くくり罠1cの罠IDを「kuku-1c」とする。加速度データは、くくり罠1に設置された加速度センサ120により計測された加速度データである。例えば、罠ID「kuku-1a」に対応する加速度データは、加速度センサ120aに計測された加速度データとなる。
【0021】
加速度テーブル131に格納された加速度データのデータ構造の一例について説明する。
図4は、加速度データのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すように、加速度データは、時刻と、各軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度の値とを対応付ける。なお、加速度の値の単位を「mGal」とする。
【0022】
振動テーブル132は、所定時間毎の加速度データから求めた振動に関する情報を保持するテーブルである。
図5は、振動テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、この振動テーブル132は、罠IDと、振動数情報とを対応付ける。罠IDは、くくり罠1を一意に識別する情報である。振動数情報は、所定時間毎に発生した振動数である。ここで、本実施例では、振動数として、相対的に小さい振動と、相対的に大きい振動がそれぞれ発生した回数を分けて記憶する。
【0023】
振動テーブル132に格納された振動数情報のデータ構造の一例について説明する。
図6は、振動数情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6に示すように、振動数情報は、軸種別と、時間間隔毎の各軸の振動数(大)および振動数(小)とを対応付ける。軸種別は、X軸、Y軸、Z軸を識別する情報である。振動数(大)は、大きい振動が発生した回数である。振動数(小)は、小さい振動が発生した回数である。例えば、時間帯「15:00~15:01」には、X軸の方向に、大きい振動が3回発生し、小さい振動が0回発生し、Y軸の方向に、大きい振動が3回発生し、小さい振動が0回発生し、Z軸の方向に、大きい振動が0回発生し、小さい振動が0回発生したことを示す。また、時間帯「15:01~15:02」には、X軸の方向に、大きい振動が0回発生し、小さい振動が3回発生し、Y軸の方向に、大きい振動が0回発生し、小さい振動が2回発生し、Z軸の方向に、大きい振動が0回発生し、小さい振動が1回発生したことを示す。
【0024】
図2の説明に戻る。制御部140は、取得部141と、判定部142と、送信部143とを有する。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部140は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0025】
取得部141は、周期的に加速度センサ120から加速度データを取得する処理部である。取得部141は、加速度センサ120から取得した加速度データを加速度テーブル131に登録する。例えば、取得部141は、罠IDと、該当する罠IDの加速度センサ120から取得した加速度データとを対応付けて登録する。
【0026】
また、取得部141は、加速度テーブル131を基にして、所定時間間隔毎にX軸、Y軸、Z軸の振動の発生回数をカウントする。本実施例では、取得部141は、相対的に小さい振動と、相対的に大きい振動がそれぞれ発生した回数を分けてカウントする。例えば、取得部141は、加速度データの加速度を第1の閾値および第2の閾値と比較する。この第1の閾値は、比較的大きな値とし、例えば、くくり罠1が作動した場合に発生する加速度よりも若干小さい値とする。例えば、第1の閾値は、くくり罠1が作動した場合に発生する加速度の0.7倍程度の値とする。第2の閾値は、比較的小さな値とし、例えば、くくり罠1を設置する場合などで人がワイヤー部を操作する際に発生する加速度より若干小さい値とする。例えば、第2の閾値は、くくり罠1を設置する場合に人がワイヤー部を操作する際に発生する加速度の0.7倍程度の値とする。
【0027】
取得部141は、加速度データの加速度が第1の閾値以上の場合、大きい振動がそれぞれ発生したものとして発生回数をカウントする。また、取得部141は、加速度データの加速度が第1の閾値未満、かつ第2の閾値以上の場合、小さい振動がそれぞれ発生したものとして発生回数をカウントする。なお、取得部141は、加速度データの加速度が第2の閾値未満の場合、発生回数のカウントを行わない。
【0028】
取得部141は、所定時間間隔毎にカウントしたX軸、Y軸、Z軸の振動の発生回数を振動テーブル132に登録する。
図6で説明した例では、取得部141は、1分間隔で、各軸の振動の発生回数をカウントしている。
【0029】
判定部142は、振動テーブル132を基にして、くくり罠1が作動したか否かを判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132で、X軸、Y軸、Z軸の何れかの方向に大きい振動が1回以上カウントされている場合、大きい振動が1回以上カウントされたくくり罠1が作動したと判定する。なお、判定部142は、加速度センサ120により計測される加速度データで、第1の閾値以上の加速度が計測された場合、第1の閾値以上の加速度が計測されたくくり罠1が作動したと判定してもよい。
【0030】
判定部142は、くくり罠1が作動したと判定した場合、振動テーブル132を基にして、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132に基づき、くくり罠1が作動したと判定した時点から発生した振動の種類の推移を求める。そして、判定部142は、振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する。
【0031】
ここで、くくり罠1は、作動した場合、加速度センサ120で加速度が検出される。また、くくり罠1は、鳥獣を捕獲すると、鳥獣が逃走しようとして各方向に引っ張られるため、加速度センサ120で加速度が検出される。鳥獣が逃走しようとする場合、1または2方向に大きい振動が発生する。例えば、猪は、くくり罠1に捕獲されると、水平方向に繰り返し移動する習性がある。また、鹿は、くくり罠1に捕獲されると、垂直方向に繰り返し飛び跳ねる習性がある。このため、猪や鹿が逃走しようとする場合、1または2方向に大きい振動が発生する。また、鳥獣は、くくり罠1に捕獲されると、比較的長時間、逃走を試みる。このため、鳥獣が捕獲されたくくり罠1では、大きい振動が連続して長時間発生する。
【0032】
一方、人は、くくり罠1に捕獲されると、無理にくくり罠1を引っ張ることなく、速やかにくくり罠1を外す動作を行う。くくり罠1を外す動作では、足などかかったワイヤー部の輪を緩めるため、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向に不規則に小さい振動が発生する。このため、人が捕獲されたくくり罠1では、大きい振動が短時間発生し、その後、小さい振動が発生する。
【0033】
判定部142は、3軸方向の何れか1または2方向に相対的に大きい第1の種類の振動が計測された後、3軸方向に、第1の種類の振動よりも相対的に小さい第2の種類の振動が計測された場合、人を捕獲したと判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132において、罠が作動したと判定した時点以降において、3軸方向の何れかで小さい振動の発生回数が所定回(例え、3回)以上である場合、人を捕獲したと判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132において、罠が作動したと判定した時間帯の次の時間帯で、3軸方向の何れかで小さい振動の発生回数が所定回(例え、3回)以上である場合、人を捕獲したと判定する。例えば、
図6の場合、時間帯「15:00~15:01」においてX軸の方向に大きい振動が3回発生しているため、罠が作動したと判定される。そして、時間帯「15:01~15:02」において、X軸の方向に小さい振動が3回発生しているため、人が捕獲されたと判定される。
【0034】
一方、判定部142は、第1の種類の振動が繰り返し計測された場合、鳥獣を捕獲したと判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132において、罠が作動したと判定した時点から、連続した所定数(例えば、3)の時間帯で、3軸方向の何れかの方向に大きい振動が1回以上カウントされている場合、鳥獣を捕獲したと判定する。
【0035】
なお、人は、くくり罠1に捕獲されると、速やかにくくり罠1を外す動作を行う。このため、判定部142は、罠が作動したと判定した時点から、人がくくり罠1を外す期間に相当する所定期間(例えば、3分)以内に小さい振動の発生回数が所定回以上ある場合、人を捕獲したと判定してもよい。また、判定部142は、第1の種類の振動が計測される計測期間が所定期間(例えば、3分)以内である場合、人を捕獲したと判定し、計測期間が所定期間より長い場合、鳥獣を捕獲したと判定してもよい。
【0036】
ところで、くくり罠1に捕獲された人は、くくり罠1を外し、外したくくり罠1を再設置する場合がある。例えば、ハンターは、くくり罠1に捕獲された場合、くくり罠1を外し、外したくくり罠1を再設置する。一方、一般人は、くくり罠1に捕獲された場合、くくり罠1を外し、外したくくり罠1を放置する。くくり罠1は、設置する場合、ワイヤー部の輪を動作させるバネを変形させるなどの準備動作により、相対的に大きい振動が発生する。
【0037】
そこで、判定部142は、振動の種類の推移に基づいて、くくり罠1が放置されたか、再設置されたかを判定する。例えば、判定部142は、第2の種類の振動が計測された後、3軸方向の何れか1または2方向に第1の種類の振動が計測された場合、くくり罠1が再設置されたと判定し、第1の種類の振動が計測されない場合、くくり罠1が放置されたと判定する。例えば、判定部142は、振動テーブル132において、人を捕獲したと判定された時点以降において、3軸方向の何れかで大きい振動が1回以上カウントされている場合、くくり罠1が再設置されたと判定し、3軸方向の何れでも大きい振動がカウントされていない場合、くくり罠1が放置されたと判定する。なお、上述した、くくり罠1が作動したと判定する判定条件、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する判定条件、くくり罠1が再設置されたか、放置されたかを判定する判定条件は、一例であり、管理サーバ200などの外部装置または監視装置100の不図示の操作部等からそれぞれの判定条件を設定可能としてもよい。例えば、第1の閾値、第2の閾値、振動の発生回数の条件、振動が発生する期間の条件は、外部装置または監視装置100の操作部から設定可能としてもよい。
【0038】
判定部142は、判定結果を送信部143に出力する。
【0039】
送信部143は、くくり罠の状態を示す状態情報を管理サーバ200に送信する処理部である。例えば、送信部143は、判定部142による判定結果に基づき、鳥獣、人の何れかが捕獲されたかや、くくり罠1が放置されたなどの情報を含む状態情報を生成し、状態情報を管理サーバ200に送信する。状態情報には、上記の判定結果の情報と、監視装置100aを一意に識別する監視装置IDと、くくり罠1の罠IDと、罠が作動したと判定した時刻が含まれる。例えば、送信部143は、監視装置100aが、3G圏内エリア15に含まれる場合には、3G回線を用いて、状態情報を管理サーバ200に送信する。送信部143は、監視装置100aが、3G圏内エリア15に含まれていない場合には、親機となる監視装置100を介して、状態情報を管理サーバ200に送信する。
【0040】
送信部143は、管理サーバ200に送信する場合の状態情報のデータ容量を極力抑えるために、状態情報をテキストデータで生成してもよい。例えば、送信部143は、状態情報の内容をテキストで記載したテキストデータを、管理サーバ200に送信する。
【0041】
次に、
図1に示した管理サーバ200の構成について説明する。
図7は、本実施例に係る管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図7に示すように、この管理サーバ200は、通信部210と、入力部220と、表示部230と、記憶部240と、制御部250とを有する。
【0042】
通信部210は、監視装置100とデータ通信を実行する処理部である。通信部210は、通信装置に対応する。通信部210は、通信相手となる監視装置100が、3G圏内エリア15に含まれている場合には、3G回線を介して、データ通信を行う。通信部210は、通信相手となる監視装置100が、3G圏内エリア15に含まれていない場合には、親機を中継して、監視装置100とデータ通信を行う。通信部210は、各監視装置100とデータ通信を行い、状態情報を受信する。後述する制御部250は、通信部210を介して、監視装置100とデータをやり取りする。
【0043】
入力部220は、管理サーバ200に各種の情報を入力する入力装置である。入力部220は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0044】
表示部230は、制御部250からの各種の情報を表示する表示装置である。表示部230は、液晶モニタ、タッチパネル等に対応する。
【0045】
記憶部240は、管理テーブル241を有する。記憶部240は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDDなどの記憶装置に対応する。
【0046】
管理テーブル241は、各監視装置100に関する管理情報を保持するテーブルである。
図8は、管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図8に示すように、この管理テーブル241は、監視装置IDと、設置場所情報とを対応付ける。監視装置IDは、監視装置100を一意に識別する情報である。設置場所情報は、監視装置100が設置された設置場所を示す情報である。
【0047】
制御部250は、受付部251と、表示制御部252とを有する。制御部250は、CPUやMPUなどによって実現できる。また、制御部250は、ASICやFPGAなどのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0048】
受付部251は、各種のデータを受け付ける処理部である。受付部251は、監視装置100から、状態情報を受け付ける。また、受付部251は、入力部220からの各種の情報の入力を受け付ける。
【0049】
表示制御部252は、各種の情報の表示部230への表示を制御する処理部である。例えば、表示制御部252は、監視装置100から状態情報を受け付けた場合、状態情報に含まれる判定結果を表示部230に表示する。例えば、表示制御部252は、状態情報に含まれる監視装置IDに対応づけられた監視装置100の設置場所を管理テーブル241から特定する。そして、表示制御部252は、状態情報に含まれる監視装置ID、監視装置100の設置場所、罠ID、罠が作動したと判定した時刻、人と鳥獣の何れかが捕獲されたか、くくり罠1が再設置されたか放置されたかを表示する。
図9は、表示される判定結果の一例を示す図である。
図9では、監視装置100aは、設置場所がABC地点であり、罠IDがkuku-1aのくくり罠1が作動しており、くくり罠1が作動して獲物を捕獲した捕獲推定時刻が、15:12であり、人を捕獲したと判定されており、くくり罠1が再設置されたことを示す。なお、表示制御部252は、入力部220から表示要求を受け付けた場合に、表示部230に表示させても良い。ユーザは、表示部230に示された情報を基にして、監視装置100の設置された場所に向かい、各種の保護活動を行う。
【0050】
次に、本実施例に係る監視装置100aの処理手順の一例について説明する。なお、監視装置100b~100fに対する処理手順は、監視装置100aの処理手順に対応する。
図10は、本実施例に係る監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、監視装置100aの取得部141は、くくり罠1の加速度センサ120から加速度データを取得したか否かを判定する(ステップS101)。取得部141は、加速度データを取得していない場合には(ステップS101,No)、ステップS108に移行する。
【0051】
一方、取得部141は、加速度データを取得した場合には(ステップS101,Yes)、取得した加速度データを加速度テーブル131に登録する(ステップS102)。取得部141は、取得した加速度データに基づき、振動の発生回数をカウントする(ステップS103)。例えば、取得部141は、取得した加速度データのX軸、Y軸、Z軸の各加速度をそれぞれ第1の閾値および第2の閾値と比較して、大きい振動、小さい振動の何れかが発生したかを判定し、何れかの振動が発生した場合、振動テーブル132に登録する。
【0052】
判定部142は、振動テーブル132を基にして、くくり罠1が作動したか否かを判定する(ステップS104)。くくり罠1が作動していない場合(ステップS104,No)、ステップS108に移行する。
【0053】
一方、くくり罠1が作動した場合(ステップS104,Yes)、判定部142は、くくり罠1が作動したと判定した時点から発生した振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する(ステップS105)。また、判定部142は、判定の結果、人を捕獲した場合、くくり罠1が放置されたか、再設置されたかを判定する(ステップS106)。
【0054】
送信部143は、判定部142による判定結果に基づき、鳥獣、人の何れかが捕獲されたかや、くくり罠1が放置または再設置されたなどの情報を含む状態情報を生成し、状態情報を管理サーバ200に送信する(ステップS107)。
【0055】
監視装置100aは、処理を継続するか判定する(ステップS108)。例えば、監視装置100aは、処理終了を指示する所定操作を受け付けていない場合、処理を継続すると判定し、所定操作を受け付けた場合、処理を継続しないと判定する。監視装置100aは、処理を継続する場合には(ステップS108,Yes)、ステップS101に移行する。監視装置100aは、処理を継続しない場合には(ステップS108,No)、処理を終了する。
【0056】
次に、本実施例に係る監視装置100の効果について説明する。監視装置100は、加速度センサ120により計測される加速度情報により示される振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定する。これにより、監視装置100は、くくり罠1に人が捕獲されたか、鳥獣が捕獲されたかを通知することができる。
【0057】
また、加速度センサ120は、互いに直交する3軸方向の加速度情報を計測する。監視装置100は、加速度センサ120により計測される3軸方向の何れか1または2方向に第1の種類の振動が計測された後、3軸方向に、第1の種類の振動よりも小さい第2の種類の振動が計測された場合、人を捕獲したと判定する。これにより、監視装置100は、くくり罠1に人が捕獲されたことを精度よく検出できる。
【0058】
また、監視装置100は、第1の種類の振動が繰り返し計測された場合、鳥獣を捕獲したと判定する。これにより、監視装置100は、くくり罠1に鳥獣が捕獲されたことを精度よく検出できる。
【0059】
また、監視装置100は、3軸方向の何れか1または2方向に第1の種類の振動が計測される計測期間が所定期間以内である場合、人を捕獲したと判定し、計測期間が所定期間より長い場合、鳥獣を捕獲したと判定する。これにより、監視装置100は、くくり罠1に人が捕獲されたか、鳥獣が捕獲されたか、を精度よく検出できる。
【0060】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0061】
例えば、上記の実施例では一例として、監視装置100が、人または鳥獣が捕獲されたか、および、くくり罠1が放置または再設置されたかをそれぞれ判定する場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、管理サーバ200の制御部250に、監視装置100の取得部141、判定部142に対応する処理部を設け、人または鳥獣が捕獲されたか、および、くくり罠1が放置または再設置されたかの判定を行っても良い。この場合には、管理サーバ200は、監視装置100から、加速度データを受信し、受信した加速度データを基にして、上記処理と同様に、判定を行う。この場合には、管理サーバ200が本発明の監視装置に該当する。
【0062】
また、ハンターなどの人は、通常、日中に野山に入り、夜間に野山に入ることは少ない。そこで、判定部142は、日中の時間帯、振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定し、夜間の時間帯は、くくり罠1が作動した場合、鳥獣を捕獲したと判定してもよい。例えば、判定部142は、日中に相当する所定の時間帯(例えば、6:00~18:00)のみ、振動の種類の推移に基づいて、鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定してもよい。
【0063】
また、上記の実施例では、小さい振動と大きい振動に分けて所定時間間隔毎の発生回数を求める場合を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、大きい振動が発生している時間帯は、加速度の平均も高く、小さい振動が発生している時間帯は、加速度の平均も低くなる傾向がある。そこで、判定部142は、所定時間間隔毎にX軸、Y軸、Z軸の3軸方向の加速度の平均を求め、加速度の平均の推移に基づいて鳥獣、人の何れかを捕獲したかを判定してもよい。判定部142は、各時間帯の加速度の平均を第1の閾値および第2の閾値と比較し、加速度の平均が第1の閾値以上の時間帯を大きい振動が計測された時間帯と特定し、加速度の平均が第1の閾値よりも小さくかつ第2の閾値以上の時間帯を小さい振動が計測された時間帯と特定する。判定部142は、大きい振動が計測された時間帯の後、小さい振動が計測された時間帯がある場合、人を捕獲したと判定してもよい。また、判定部142は、罠が作動したと判定した時点から、連続した所定数(例えば、3)の時間帯で、大きい振動が計測された時間帯がある場合、鳥獣を捕獲したと判定してもよい。
【0064】
また、上記の実施例では、管理サーバ200において、判定結果を表示部230に表示する場合を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、管理サーバ200は、くくり罠1の管理者に判定結果をメール等で通知する通知部を有してもよい。
【0065】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、監視装置100の取得部141、判定部142および送信部143、並びに、管理サーバ200の受付部251および表示制御部252の各処理部が適宜分割、統合されても良い。さらに、なお、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【符号の説明】
【0066】
100a,100b,100c,100d,100e,100f 監視装置
200 管理サーバ