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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】浴室用椅子のオプション部品取付部材
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/12 20060101AFI20220106BHJP
   E03C 1/06 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A47K3/12
E03C1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017200324
(22)【出願日】2017-10-16
(65)【公開番号】P2019072178
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】土井 健史
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533539(JP,A)
【文献】特開2005-110804(JP,A)
【文献】特開2016-105911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0155743(US,A1)
【文献】特開2002-113047(JP,A)
【文献】特開2004-223060(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218931(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/12、3/28
E03C 1/06
A61H 33/00
A47C 7/42、7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと前記フレームに支持された座部および背もたれとを備えた浴室用椅子にオプション部品を取り付けるためのオプション部品取付部材であって、
前記フレームは、前記座部の左側から上方に向かって延びる左の縦フレーム部と、前記座部の右側から上方に向かって延びる右の縦フレーム部と、前記左の縦フレーム部の上端部から右方に延びる左端部および前記右の縦フレーム部の上端部から左方に延びる右端部を含み、前記背もたれが固定された横フレーム部と、を有し、
前記左の縦フレーム部の前記上端部および前記横フレーム部の前記左端部は、左上コーナー部を形成し、前記右の縦フレーム部の前記上端部および前記横フレーム部の前記右端部は、右上コーナー部を形成しており、
前壁部と、前記前壁部から後方に離間した後壁部と、前記前壁部の左端と前記後壁部の左端とに架け渡された左壁部と、前記前壁部の上端と前記後壁部の上端とに架け渡された上壁部と、を有し、前記左上コーナー部に被せられる左カバーと、
前壁部と、前記前壁部から後方に離間した後壁部と、前記前壁部の右端と前記後壁部の右端とに架け渡された右壁部と、前記前壁部の上端と前記後壁部の上端とに架け渡された上壁部と、を有し、前記右上コーナー部に被せられる右カバーと、
前記左カバーおよび前記右カバーに支持され、前記オプション部品が固定される固定部材と、
を備え
前記固定部材は、前記左カバーと前記右カバーとの間に配置されている、浴室用椅子のオプション部品取付部材。
【請求項2】
前記固定部材は、前記左カバーに嵌合する左嵌合部と、前記右カバーに嵌合する右嵌合部とを有し、前記左カバーおよび前記右カバーに対して着脱可能に構成されている、請求項1に記載された浴室用椅子のオプション部品取付部材。
【請求項3】
前記固定部材は、
前記左カバーと前記右カバーとに架け渡されたジョイントバーと、
前記ジョイントバーに左右に摺動可能に嵌め込まれた左右一対のジョイント部材と、
前記両ジョイント部材に接続され、前記両ジョイント部材から上方に延び、前記オプション部品が設置される設置バーと、
を有している、請求項1または2に記載された浴室用椅子のオプション部品取付部材。
【請求項4】
前記横フレーム部には、後方に突出する凸部が設けられ、
前記両ジョイント部材の少なくとも一方には、前記凸部が嵌め込まれる凹部が形成されている、請求項3に記載された浴室用椅子のオプション部品取付部材。
【請求項5】
前記左カバーおよび前記右カバーの前記前壁部は板状に形成され、前記横フレーム部と前記背もたれとの間の隙間に嵌め込まれるように構成されている、請求項1から4までの何れか1つに記載された浴室用椅子のオプション部品取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用椅子にシャワーヘッドなどのオプション部品を取り付けるためのオプション部品取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、利用者のニーズに合わせて、椅子にオプション部品を取り付けることが行われている。オプション部品は、取付部材を介して椅子に取り付けられる。例えば、特許文献1には、取付金具を介して車椅子にヘッドレストを取り付けることが記載されている。
【0003】
上記取付金具は、車椅子のパイプ状のフレームに固定される。上記取付金具は、断面コ字状に形成されており、フレームに上方から被せられる。上記取付金具は、フレームの左側に配置される左片と、フレームの右側に配置される右片とを有する。フレームの下方にて左片および右片をボルトで締め付けることにより、フレームは左片および右片によって挟み込まれる。これにより、取付金具をフレームに固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-113047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、椅子の他の一例として、浴室用椅子が知られている。浴室用椅子は浴室内で使用されるものである。そのため、浴室用椅子には清潔さが求められる。頻繁に掃除ができるよう、取付部材は浴槽用椅子に対して着脱可能であることが好ましい。また、浴室用椅子は、主に要介護者または介護者が狭い浴室内で使用するものであり、簡便に使用できることが望まれる。そのため、取付部材は、簡単に着脱できることが好ましい。一方、取付後のオプション部品ががたつかないよう、取付部材は浴室用椅子に安定して取り付けられる必要がある。しかし、特許文献1に開示されたような取付金具では、椅子に対して安定して取り付けることができるものの、着脱作業が面倒であり、容易に着脱することができない。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、浴室用椅子にオプション部品を着脱可能に容易に取り付けることができ、かつ、がたつかないよう安定して取り付けることができるオプション部品取付部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る浴室用椅子のオプション部品取付部材は、フレームと前記フレームに支持された座部および背もたれとを備えた浴室用椅子にオプション部品を取り付けるためのオプション部品取付部材である。前記フレームは、左の縦フレーム部と、右の縦フレーム部と、横フレーム部とを有する。前記左の縦フレーム部は、前記座部の左側から上方に向かって延びる。前記右の縦フレーム部は、前記座部の右側から上方に向かって延びる。前記横フレーム部は、前記左の縦フレーム部の上端部から右方に延びる左端部および前記右の縦フレーム部の上端部から左方に延びる右端部を含み、前記背もたれが固定される。前記左の縦フレーム部の前記上端部および前記横フレーム部の前記左端部は、左上コーナー部を形成している。前記右の縦フレーム部の前記上端部および前記横フレーム部の前記右端部は、右上コーナー部を形成している。前記オプション部品取付部材は、左カバーと、右カバーと、固定部材とを備えている。前記左カバーは、前壁部と、前記前壁部から後方に離間した後壁部と、前記前壁部の左端と前記後壁部の左端とに架け渡された左壁部と、前記前壁部の上端と前記後壁部の上端とに架け渡された上壁部と、を有し、前記左上コーナー部に被せられる。前記右カバーは、前壁部と、前記前壁部から後方に離間した後壁部と、前記前壁部の右端と前記後壁部の右端とに架け渡された右壁部と、前記前壁部の上端と前記後壁部の上端とに架け渡された上壁部と、を有し、前記右上コーナー部に被せられる。前記固定部材は、前記左カバーおよび前記右カバーに支持され、前記オプション部品が固定される。
【0008】
上記オプション部品取付部材によれば、左カバーおよび右カバーをそれぞれフレームの左上コーナー部および右上コーナー部に被せることにより、浴室用椅子に容易に取り付けることができる。また、左カバーおよび右カバーをそれぞれフレームの左上コーナー部および右上コーナー部から引き抜くことにより、浴室用椅子から容易に取り外すことができる。よって、上記オプション部品取付部材は、浴室用椅子のフレームに容易に着脱される。したがって、上記オプション部品取付部材を介在させることにより、浴室用椅子にオプション部品を容易に着脱可能に取り付けることができる。
【0009】
一方、フレームに容易に着脱できる取付部材では、がたつきが生じるおそれがある。しかし、上記オプション部品取付部材によれば、左カバーおよび右カバーの前壁部が、それぞれフレームの左上コーナー部および右上コーナー部の前面部と接触することにより、オプション部品取付部材の後方へのがたつきを規制する。左カバーおよび右カバーの後壁部が、それぞれ左上コーナー部および右上コーナー部の後面部と接触することにより、オプション部品取付部材の前方へのがたつきを規制する。左カバーおよび右カバーの上壁部が、それぞれ左上コーナー部および右上コーナー部の上面と接触することにより、オプション部品取付部材の下方へのがたつきを抑制する。左カバーの左壁部および右カバーの右壁部が、それぞれ左上コーナー部の左側面および右上コーナー部の右側面と接触することにより、オプション部品取付部材の左方および右方へのがたつきを抑制する。なお、左カバーおよび右カバーには、オプション部品取付部材の自重およびオプション部品の重量が加わる。そのため、オプション部品取付部材の上方へのがたつきは生じにくい。加えて、上記オプション部品取付部材によれば、横フレーム部の中心線周りの回転力が加わったとしても、左カバーの前壁部または後壁部が左の縦フレーム部の上端部と接触し、または、右カバーの前壁部または後壁部が右の縦フレーム部の上端部と接触することにより、横フレーム部の中心線周りに回転してしまうことが規制される。よって、上記オプション部品取付部材によれば、フレームに容易に着脱可能でありながら、がたつきが生じにくい。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記固定部材は、前記左カバーに嵌合する左嵌合部と、前記右カバーに嵌合する右嵌合部とを有し、前記左カバーおよび前記右カバーに対して着脱可能に構成されている。
【0011】
上記態様によれば、固定部材は左カバーおよび右カバーに対して着脱可能であるので、固定部材を交換することが容易である。横フレーム部の長さ(左右方向の長さ)またはオプション部品の寸法等に応じて固定部材を交換することにより、利用可能な浴室用椅子またはオプション部品の種類を増やすことができる。よって、オプション部品取付部材の利便性を高めることができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記固定部材は、ジョイントバーと、ジョイント部材と、設置バーと、を有している。前記ジョイントバーは、前記左カバーと前記右カバーとに架け渡されている。前記左右一対のジョイント部材は、前記ジョイントバーに左右に摺動可能に嵌め込まれている。前記設置バーは、前記両ジョイント部材に接続され、前記両ジョイント部材から上方に延び、前記オプション部品が設置される。
【0013】
上記態様によれば、ジョイント部材をジョイントバーに沿って左右に摺動させることにより、設置バーの左右の位置を変更することができる。よって、設置バーに設置されるオプション部品の左右の位置を適宜変更することができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記横フレーム部には、後方に突出する凸部が設けられている。前記両ジョイント部材の少なくとも一方には、前記凸部が嵌め込まれる凹部が形成されている。
【0015】
上記態様によれば、横フレーム部の凸部を上記ジョイント部材の凹部に嵌め込むことにより、ジョイント部材を容易に位置決めすることができる。また、フレームに対してオプション部品取付部材を更に安定して取り付けることができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記左カバーおよび前記右カバーの前記前壁部は板状に形成され、前記横フレーム部と前記背もたれとの間の隙間に嵌め込まれるように構成されている。
【0017】
上記態様によれば、左カバーおよび右カバーをそれぞれフレームの左上コーナー部および右上コーナー部に被せることにより、左カバーおよび右カバーの前壁部を横フレーム部と背もたれとの間の隙間に嵌め込むことができる。左カバーおよび右カバーの前壁部が横フレーム部と背もたれとの間の隙間に嵌め込まれることにより、オプション部品取付部材を更に安定して取り付けることができる。よって、オプション部品取付部材の着脱容易性を損なうことなく、取付安定性を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、浴室用椅子にオプション部品を着脱可能に容易に取り付けることができ、かつ、がたつかないよう安定して取り付けることができるオプション部品取付部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る浴室用椅子セットの椅子の斜視図である。
図2】椅子の正面図である。
図3】椅子の左側面図である。
図4】椅子の平面図である。
図5】椅子の背面図である。
図6】取付部材が省略された椅子の背面図である。
図7図6のVII-VII断面における椅子の断面図である。
図8】折り畳まれた状態の椅子の左側面図である。
図9】取付部材の斜視図である。
図10】取付部材の分解斜視図である。
図11図5のXI-XI断面における椅子の断面図である。
図12】他の実施形態に係る取付部材の正面図である。
図13】他の実施形態に係る取付部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る浴室用椅子のオプション部品取付部材と、浴室用椅子と、オプション部品とについて説明する。以下の説明では、オプション部品取付部材、浴室用椅子、およびオプション部品の全体のことを浴室用椅子セットと呼ぶこととする。以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
【0021】
図1は、実施形態に係る浴室用椅子セット1の斜視図である。浴室用椅子セット1は、浴室用椅子(以下、椅子という。)100と、オプション部品取付部材(以下、「取付部材」という。)60と、オプション部品の一例であるシャワーヘッド90と、を備えている。本実施形態に係る浴室用椅子セット1では、椅子100には、取付部材60を介してシャワーヘッド90が取り付けられる。
【0022】
以下の説明では、前、後、左、右、上、下とは、椅子100を利用する利用者から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。各図面中における符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。ただし、これらの方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、椅子100の態様を何ら限定するものではない。
【0023】
まず、椅子100について説明する。椅子100は、主に浴室内において、高齢者や要介護者などがシャワーを浴びるときなどに利用される。ただし、本実施形態に係る椅子100の利用対象者は、高齢者または要介護者に限定されない。
【0024】
図2図3図4図5は、それぞれ取付部材60が取り付けられた椅子100の正面図、左側面図、平面図、背面図である。図1図5に示すように、椅子100は、フレーム10Aと、座部30と、背もたれ40と、左右一対の肘掛け50とを備えている。フレーム10Aは、第1フレーム10と、左右一対の第2フレーム20とを含んでいる。
【0025】
図6は、椅子100の背面図である。図6に示すように、第1フレーム10は、上方に延びる左右一対のメインフレーム部10aと、左のメインフレーム部10aと右のメインフレーム部10aとをつなぐ左右に延びる横フレーム部15とを備えている。なお、本明細書では特に断らない限り、上方とは、鉛直上向きの方向だけでなく、鉛直上向きの方向から±45度以内の範囲で傾いた方向も含むものとする。同様に、下方、左方、右方、前方、後方とは、それぞれ鉛直下向き、左向き、右向き、前向き、後向きの方向から±45度以内の範囲で傾いた方向も含むものとする。
【0026】
図3に示すように、各メインフレーム部10aは、前斜め下向きに延びる前脚部11と、前脚部11から後斜め上向きに延びる中途部12と、中途部12から後斜め上向きに延びる縦フレーム部13とを有している。図6に示すように、左の縦フレーム部13の上端部13uは、上方に行くほど右側に向かうように湾曲している。右の縦フレーム部13の上端部13uは、上方に行くほど左側に向かうように湾曲している。ここでは、上端部13uは円弧状に湾曲しているが、湾曲の形態は特に限定されない。
【0027】
横フレーム部15は、左の縦フレーム部13の上端部13uと右の縦フレーム部13の上端部13uとに架け渡されている。横フレーム部15の左端部15aは、左の縦フレーム部13の上端部13uから右方に延びている。左端部15aは、左方に行くほど下側に向かうように湾曲している。横フレーム部15の右端部15bは、右の縦フレーム部13の上端部13uから左方に延びている。右端部15bは、右方に行くほど下側に向かうように湾曲している。
【0028】
左の縦フレーム部13の上端部13uと横フレーム部15の左端部15aとは、左上コーナー部16Lを形成している。右の縦フレーム部13の上端部13uと横フレーム部15の右端部15bとは、右上コーナー部16Rを形成している。なお、第1フレーム10は、単一の部材であってもよく、複数の部材が組み合わせられることによって形成されていてもよい。例えば、第1フレーム10は1本のパイプにより形成されていてもよく、複数本のパイプが接続されることによって形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、横フレーム部15の後部には、左右一対の凸部18が設けられている。図7は、図6のVII-VII断面における椅子100の部分断面図である。図7に示すように、凸部18は、横フレーム部15の後部から後方に向かって突出している。図6に示すように、凸部18の形状は円筒形状である。凸部18の横断面の形状は円形状である。ただし、凸部18の形状は特に限定されない。左右一対の凸部18は、互いに所定の距離離れている。ここでは、2つの凸部18の間隔は、背もたれ40の左右方向の長さよりも短い。ここで、2つの凸部18の間隔とは、左の凸部18の右端と、右の凸部18の左端との距離である。
【0030】
本実施形態では、図7に示すように、凸部18には、前後方向に貫通した固定孔18aが形成されている。この固定孔18aには、ねじ19が挿入される。ねじ19によって、横フレーム部15に背もたれ40が固定される。なお、ねじ19の頭部が凸部18を形成していてもよい。また、凸部18には、ねじ19が挿入される固定孔18aが形成されていなくてもよい。横フレーム部15に背もたれ40を固定するねじ19とは別に、凸部18を設けることも可能である。
【0031】
図3に示すように、メインフレーム部10aの前脚部11は、伸縮可能であり、長さ調整が可能である。前脚部11は、上パイプ部11aと、上パイプ部11aがスライド可能に挿入された下パイプ部11bと、下パイプ部11bの下端部に設けられた滑り止めキャップ11cとを有している。上パイプ部11aの下パイプ部11bに対する挿入長さを調整することで、メインフレーム部10aの前脚部11の長さを調整することができる。
【0032】
左の第2フレーム20と、右の第2フレーム20とは、左右対称の形状を有している。第2フレーム20は、後斜め下向きに延びている。第2フレーム20の下部は後脚部を構成している。第2フレーム20は、上パイプ部20aと、上パイプ部20aがスライド可能に挿入された下パイプ部20bと、下パイプ部20bの下端部に設けられた滑り止めキャップ20cとを有している。第2フレーム20は、第1フレーム10の前脚部11と同様に、伸縮可能であり、長さ調整が可能である。ここでは、上パイプ部20aの下パイプ部20bに対する挿入長さを調整することで、第2フレーム20の長さを調整することができる。本実施形態では、第1フレーム10の前脚部11の長さ、および、第2フレーム20の長さを調整することで、座部30の高さを調整することができる。
【0033】
本実施形態では、椅子100は折り畳み機構を有する。図3に示すように、第1フレーム10のメインフレーム部10aの中途部12と、第2フレーム20とは、左右方向に延びた連結軸28によって相対回転自在に連結されている。ここでは、第2フレーム20には、第2フレーム20の上部からメインフレーム部10aの中途部12に向かって延びたリンク部材29が設けられている。リンク部材29は、連結軸28に接続されており、メインフレーム部10aの中途部12に対して回転自在である。図8は、折り畳まれた状態の椅子100の左側面図である。図8に示すように、メインフレーム部10aの前脚部11と、第2フレーム20の下部(後脚部)とが接近するようにメインフレーム部10aおよび第2フレーム20を相対回転させることにより、椅子100を折り畳むことができる。逆に、図3に示すように、メインフレーム部10aの前脚部11と第2フレーム20の下部とが遠ざかるようにメインフレーム部10aおよび第2フレーム20を相対回転させることにより、椅子100を開脚させることができる。
【0034】
図1に示すように、座部30は、利用者が座る座面31を有している。座面31の左右方向の中央部分には、下方に凹んだ凹部32が形成されている。図4に示すように、凹部32は、前方および後方に開口している。そのため、凹部32に手を挿入することで、座面31に座った利用者の陰部を洗浄することができる。
【0035】
図6に示すように、背もたれ40は、第1フレーム10の横フレーム部15に取り付けられている。本実施形態では上述のように、横フレーム部15の凸部18に形成された固定孔18aにねじ19が挿入される(図7参照)。背もたれ40は、ねじ19によって横フレーム部15に固定される。図4に示すように、背もたれ40の左部40Lおよび右部40Rは、前方に湾曲している。そのため、背もたれ40の左部40Lと横フレーム部15の左端部15aとの間、および、背もたれ40の右部40Rと横フレーム部15の右端部15bとの間には、隙間45(図7参照)が形成されている。
【0036】
図2に示すように、背もたれ40には、孔41が形成されている。利用者は、この孔41に指を挿入して背もたれ40を把持する。このことによって、利用者は、椅子100を片手で持ち上げたり、片手で移動させたりすることができる。背もたれ40の下端部には、上方に凹んだ凹部42が形成されている。本実施形態では、背もたれ40は合成樹脂製である。しかしながら、背もたれ40の材料は特に限定されない。
【0037】
図1に示すように、左の肘掛け50と、右の肘掛け50とは、左右対称の形状を有している。左右一対の肘掛け50は、座部30よりも左方および右方に配置されている。肘掛け50は、メインフレーム部10aの縦フレーム部13に取り付けられている。肘掛け50は、根元部50aと、根元部50aの前方に位置する先端部50bとを有する。肘掛け50には、肘掛け回転機構55が設けられている。肘掛け回転機構55は、肘掛け50の根元部50aを軸に、肘掛け50を上方に回転させる機構である。肘掛け回転機構55は、左右方向に延びた回転軸56を備えている。本実施形態では、縦フレーム部13には、前方に突出したブラケット14が設けられている。ブラケット14には、回転軸56が設けられている。肘掛け50は、回転軸56に回転可能に取り付けられている。よって、肘掛け50は、回転軸56およびブラケット14を介して、縦フレーム部13に回転可能に取り付けられている。
【0038】
肘掛け回転機構55は、肘掛け50を使用する位置である使用位置P11と、肘掛け50を使用しない位置である非使用位置P12との間で、肘掛け50を回転させるように構成されている。肘掛け50は、いわゆる跳ね上げ式の肘掛けである。図1図6において、右の肘掛け50は、使用位置P11に配置されている状態であり、左の肘掛け50は、非使用位置P12に配置されている状態である。肘掛け50を非使用位置P12に位置づけることにより、利用者は側方から座部30に座ることができ、また、座部30から側方に立ち上がることができる。すなわち、横移乗が可能となる。
【0039】
以上、椅子100の構成について説明した。上述のように、本実施形態に係る椅子100は、浴室内において高齢者や要介護者などの利用者がシャワーを浴びるときなどに利用される。例えば、図1に示すように、背もたれ40の上方にシャワーヘッド90が配置されることにより、座部30に座った利用者が手を伸ばしてシャワーヘッド90を操作することで、シャワーを浴び易い。また、背もたれ40の上方にシャワーヘッド90が配置されることにより、介護者が椅子100の後方においてシャワーヘッド90を操作して、座部30に座った利用者にシャワーを浴びせ易い。本実施形態では、シャワーヘッド90は取付部材60を介して第1フレーム10に取り付けられる。すなわち、第1フレーム10に取付部材60が取り付けられ、この取付部材60にシャワーヘッド90が取り付けられる。
【0040】
次に、取付部材60について説明する。図9は、取付部材60の斜視図である。図10は、取付部材60の分解斜視図である。図10に示すように、取付部材60は、左カバー61Lと、右カバー61Rと、左カバー61Lおよび右カバー61Rに支持され、シャワーヘッド90が固定される固定部材60Aとを備えている。固定部材60Aは、ジョイントバー62と、左右一対のジョイント部材63と、設置バー64とを有している。
【0041】
左カバー61Lと、右カバー61Rとは、左右対称の形状を有している。図5に示すように、左カバー61Lは、椅子100のフレーム10の左上コーナー部16L(図6参照)に取り付けられる。左カバー61Lは、左上コーナー部16Lに被せられるように構成されている。右カバー61Rは、フレーム10の右上コーナー部16R(図6参照)に取り付けられる。右カバー61Rは、右上コーナー部16Rに被せられるように構成されている。
【0042】
図10に示すように、左カバー61Lは、下方および右方に開いた断面コ字状に形成されている。詳しくは、左カバー61Lは、前壁部71と、前壁部71から後方に離間した後壁部73と、前壁部71の左端と後壁部73の左端とに架け渡された左壁部72Lと、を有している。フレーム10の左上コーナー部16Lの湾曲形状に合うように、左壁部72Lは、後方から見て湾曲している。また、左カバー61Lは、前壁部71および後壁部73の上方に位置する円筒部74を有している。円筒部74の下半部は、前壁部71の上端と後壁部73の上端とに架け渡された上壁部74Aとなっている。なお、上壁部74Aには、下方に突出した突起74Bが含まれる。左カバー61Lがフレーム10の左上コーナー部16Lに取り付けられたときに、前壁部71は、左の縦フレーム部13の上端部13uおよび横フレーム部15の左端部15aの前面に対向し、当該前面と接触する。後壁部73は、左の縦フレーム部13の上端部13uおよび横フレーム部15の左端部15aの後面に対向し、当該後面と接触する。左壁部72Lは、左の縦フレーム部13の上端部13uの左側面に対向し、当該左側面と接触する。上壁部74Aは、横フレーム部15の左端部15aの上面に対向し、当該上面と接触する。
【0043】
右カバー61Rは、下方および左方に開いた断面コ字状に形成されている。詳しくは、右カバー61Rは、前壁部71と、前壁部71から後方に離間した後壁部73と、前壁部71の右端と後壁部73の右端とに架け渡された右壁部72Rと、前壁部71および後壁部73の上方に位置する円筒部74とを有している。円筒部74の下半部は、前壁部71の上端と後壁部73の上端とに架け渡された上壁部74Aとなっている。フレーム10の右上コーナー部16Rの湾曲形状に合うように、右壁部72Rは、後方から見て湾曲している。右カバー61Rがフレーム10の右上コーナー部16Rに取り付けられたときに、前壁部71は、右の縦フレーム部13の上端部13uおよび横フレーム部15の右端部15bの前面に対向し、当該前面と接触する。後壁部73は、右の縦フレーム部13の上端部13uおよび横フレーム部15の右端部15bの後面に対向し、当該後面と接触する。右壁部72Rは、右の縦フレーム部13の上端部13uの右側面に対向し、当該右側面と接触する。上壁部74Aは、横フレーム部15の右端部15bの上面に対向し、当該上面と接触する。
【0044】
図11は、図5のXI-XI断面における椅子100の断面図である。図11に示すように、右カバー61Rの前壁部71は板状に形成されており、横フレーム部15の右端部15bと背もたれ40との間の隙間45に嵌め込まれる。右カバー61Rをフレーム10の右上コーナー部16Rに取り付けたとき、前壁部71は、横フレーム部15の右端部15bと背もたれ40の後部とに接触する。そのため、前壁部71は、横フレーム部15と背もたれ40とに挟まれた状態になる。図示は省略するが、左カバー61Lの前壁部71も板状に形成されており、横フレーム部15の左端部15aと背もたれ40との間の隙間に嵌め込まれる。左カバー61Lをフレーム10の左上コーナー部16Lに取り付けたときに、左カバー61Lの前壁部71は、横フレーム部15と背もたれ40とに挟まれた状態になる。
【0045】
図9に示すように、ジョイントバー62は、左右方向に真っ直ぐに延びるパイプにより構成されている。ジョイントバー62は、左右方向に延びた円筒状に形成されている。ただし、ジョイントバー62の形状は円筒状に限定されない。また、ジョイントバー62は直線状に限られず、例えば湾曲していてもよい。本実施形態では、ジョイントバー62は、左カバー61Lと右カバー61Rとを連結させる。ジョイントバー62の左端部は、左カバー61Lの孔75に嵌め込まれている。ジョイントバー62の右端部は、右カバー61Rの孔75に嵌め込まれている。ジョイントバー62の左端部は、左カバー61Lに嵌合する左嵌合部76Lを形成している。ジョイントバー62の右端部は、右カバー61Rに嵌合する右嵌合部76Rを形成している。
【0046】
ジョイント部材63は、ジョイントバー62と設置バー64とを接続する部材である。図10に示すように、ジョイント部材63には、左右方向に貫通した貫通孔81が形成されている。ジョイント部材63の上部には、下方に凹んだ孔82が形成されている。また、ジョイント部材63の前部から下部に亘って、凹部83が形成されている。凹部83は後方に凹むと共に上方に凹んでいる。ジョイント部材63における貫通孔81の下側の部分は、前方および下方に開放されている。図9に示すように、貫通孔81にはジョイントバー62が挿入されている。ジョイント部材63は、ジョイントバー62に左右に摺動可能に嵌め込まれている。設置バー64は逆U字状に形成されている。左右のジョイント部材63の孔82には、それぞれ設置バー64の左側、右側の下端部が嵌め込まれる。ジョイント部材63の凹部83には、横フレーム部15の凸部18(図11参照)が嵌め込まれる。
【0047】
図1に示すように、設置バー64にはシャワーヘッド90が設置される。なお、図2図5および図8図10において、シャワーヘッド90は省略されている。前述したように、設置バー64は、下方に開いた逆U字状に形成されている。図10に示すように、設置バー64は、左右一対の鉛直部86と、両鉛直部86に架け渡された水平部87とを有する。水平部87は、両鉛直部86の上端部同士を繋いでいる。本実施形態では、設置バー64は中空のパイプによって形成されている。ただし、設置バー64は、中実の棒状体であってもよい。設置バー64の横断面の輪郭は円状であるが、特に限定されない。上記輪郭は、例えば楕円状であってもよく、四角形状であってもよい。
【0048】
本実施形態では、図1に示すように、水平部87にシャワーヘッド90が取り付けられる。ここでは、水平部87には、シャワーヘッド90を掛けるための掛け具91が設けられている。なお、図2図5および図8図10において、掛け具91は省略されている。
【0049】
次に、取付部材60と椅子100との位置関係を説明する。図4に示すように、取付部材60は、背もたれ40の最前端よりも後方に配置されている。取付部材60のジョイントバー62、左右のジョイント部材63および設置バー64は、平面視において、左の肘掛け50よりも右方であって、右の肘掛け50よりも左方に配置されている。図5に示すように、取付部材60の設置バー64の水平部87は、背もたれ40よりも上方に配置されている。図3に示すように、肘掛け50を非使用位置P12に移動させたとき、および、図8に示すように、椅子100が折り畳まれているとき、左右のカバー61L、61Rの前方に肘掛け50が位置する。
【0050】
以上、本実施形態に係る取付部材60について説明した。次に、取付部材60を用いて椅子100にシャワーヘッド90を取り付ける方法の一例を説明する。
【0051】
まず、取付部材60を組み立てる(図9参照)。例えば始めに、左右のジョイント部材63の貫通孔81に、ジョイントバー62を挿通させる。次に、左カバー61Lの円筒部74の孔75に、ジョイントバー62の左嵌合部76Lを挿入する。また、右カバー61Rの円筒部74の孔75に、ジョイントバー62の右嵌合部76Rを挿入する。これにより、ジョイントバー62に左カバー61Lおよび右カバー61Rが接続される。次に、左右のジョイント部材63の孔82に、設置バー64の左右の鉛直部86の下端部をそれぞれ挿入する。これにより、左右のジョイント部材63に設置バー64が接続される。
【0052】
そして、図1に示すように、組み立てが完了した取付部材60を、椅子100のフレーム10Aに取り付ける。取り付けにあたっては、左カバー61Lをフレーム10Aの左上コーナー部16Lに上方から被せると共に、右カバー61Rをフレーム10Aの右上コーナー部16Rに上方から被せる。この際、左カバー61Lおよび右カバー61Rの前壁部71は、図11に示すように、横フレーム部15と背もたれ40との間の隙間45に挿入される。また、ジョイント部材63の凹部83を、横フレーム部15の凸部18に嵌め込む。
【0053】
取付部材60を椅子100に取り付けた後、図1に示すように、設置バー64に掛け具91を固定し、その掛け具91にシャワーヘッド90を掛ける。以上のようにして、取付部材60を介して、シャワーヘッド90を椅子100に取り付けることができる。本実施形態では、背もたれ40の後斜め上方に、シャワーヘッド90が配置される。座部30に座った利用者は、シャワーを浴びるときには、シャワーヘッド90を掛け具91から取り外す。利用者は、シャワーを浴び終わったときには、シャワーヘッド90を掛け具91に掛ける。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る取付部材60によれば、左カバー61Lおよび右カバー61Rをそれぞれフレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rに被せるという簡単な作業により、椅子100に容易に取り付けることができる。また、左カバー61Lおよび右カバー61Rをそれぞれフレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rから引き抜くことにより、椅子100から容易に取り外すことができる。よって、取付部材60は、椅子100のフレーム10Aに容易に着脱することができる。したがって、取付部材60を介在させることにより、シャワーヘッド90を椅子100に容易に着脱可能に取り付けることができる。
【0055】
一方、フレーム10Aに容易に着脱できる部材では、フレーム10Aに取り付けたときにがたつきが生じるおそれがある。しかし、取付部材60によれば、左カバー61Lおよび右カバー61Rの前壁部71が、それぞれフレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rの前面部と接触する。これにより、後方へのがたつきが規制される。同様に、左カバー61Lおよび右カバー61Rの後壁部73が、それぞれ左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rの後面部と接触することにより、前方へのがたつきが規制される。左カバー61Lおよび右カバー61Rの上壁部74Aが、それぞれ左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rの上面と接触することにより、下方へのがたつきが抑制される。左カバー61Lの左壁部72Lおよび右カバー61Rの右壁部72Rが、それぞれ左上コーナー部16Lの左側面および右上コーナー部16Rの右側面と接触することにより、左方および右方へのがたつきが抑制される。なお、左カバー61Lおよび右カバー61Rには、取付部材60の自重およびシャワーヘッド90の重量が加わる。そのため、取付部材60の上方へのがたつきは生じにくい。このように、取付部材60によれば、前後方向、左右方向、および上下方向のがたつきが生じにくい。
【0056】
ところで、シャワーヘッド90を取り外すとき、または、掛けるときなどに、設置バー64に下向きまたは上向きの力が加わる場合がある。その場合、取付部材60には、左右方向に延びる水平線周りの回転力(モーメント)が発生する。言い換えると、取付部材60には、椅子100の横フレーム部15の中心線周りの回転力が発生する。そのため、左カバー61Lおよび右カバー61Rが横フレーム部15の表面に沿って回転してしまうことが懸念される。しかし、取付部材60によれば、左カバー61Lの前壁部71および後壁部73は、それぞれ横フレーム部15の左端部15aの前面および後面だけでなく、左の縦フレーム部13の上端部13uの前面および後面とも接触している。右カバー61Rの前壁部71および後壁部73は、それぞれ横フレーム部15の右端部15bの前面および後面だけでなく、右の縦フレーム部13の上端部13uの前面および後面とも接触している。そのため、取付部材60に横フレーム部15の中心線周りの回転力が発生しても、左右の縦フレーム部13の上端部13uが、左カバー61Lおよび右カバー61Rの回転を規制する。よって、取付部材60が横フレーム部15の中心線周りに回転してしまうことが規制される。
【0057】
したがって、取付部材60によれば、ボルトなどを用いて固定しなくても、椅子100のフレーム10Aに対して安定して取り付けることができる。本実施形態に係る取付部材60によれば、椅子100に対してシャワーヘッド90を着脱可能に容易に取り付けることができるだけでなく、がたつかないよう安定して取り付けることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る取付部材60によれば、図10に示すように、固定部材60A(すなわち、ジョイントバー62、左右のジョイント部材63、および設置バー64)は、左カバー61Lおよび右カバー61Rに対して着脱可能である。そのため、固定部材60Aを交換することが容易である。例えば、横フレーム部15の長さが比較的短い椅子100に対しては、左右方向の寸法が比較的小さい固定部材60Aを用い、横フレーム部15の長さが比較的長い椅子100に対しては、左右方向の寸法が比較的大きい固定部材60Aを用いることにより、仕様の異なる複数の種類の椅子100に対して、取付部材60を利用することができる。椅子100またはシャワーヘッド90の寸法等に応じて固定部材60Aを交換することにより、利用可能な椅子100またはシャワーヘッド90の種類を増やすことができる。よって、取付部材60の利便性を高めることができる。
【0059】
本実施形態に係る取付部材60によれば、ジョイント部材63はジョイントバー62に対して摺動可能である。ジョイント部材63をジョイントバー62に沿って左右に摺動させることにより、設置バー64の左右の位置を変更することができる。よって、設置バー64に設置されるシャワーヘッド90の左右の位置を適宜変更することができる。なお、本実施形態では椅子100の横フレーム部15に凸部18が設けられているが、ジョイント部材63の位置を変更した場合、ジョイント部材63の凹部83は凸部18(図7参照)と嵌合しなくなる。
【0060】
本実施形態では、図11に示すように、横フレーム部15の凸部18をジョイント部材63の凹部83に嵌め込むことにより、設置バー64を容易に位置決めすることができる。また、取付部材60を椅子100のフレーム10Aに対して、より一層安定して取り付けることができる。そのため、椅子100に対してシャワーヘッド90をより安定して取り付けることができる。
【0061】
本実施形態に係る取付部材60によれば、左カバー61Lおよび右カバー61Rをそれぞれフレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rに被せることにより、左カバー61Lおよび右カバー61Rの前壁部71を横フレーム部15と背もたれ40との間の隙間45に嵌め込むことができる。左カバー61Lおよび右カバー61Rの前壁部71が隙間45に嵌め込まれることにより、取付部材60を更に安定して取り付けることができる。よって、取付部材60の着脱容易性を損なうことなく、取付安定性を更に高めることができる。
【0062】
本実施形態では、図10に示すように、設置バー64は、左右一対の鉛直部86と、両鉛直部86に架け渡された水平部87とを有している。水平部87にシャワーヘッド90(図1参照)が設けられる。このことによって、図9に示すように、水平部87はジョイントバー62よりも上方に配置され、ジョイントバー62よりも上方にシャワーヘッド90が設置される。よって、利用者は、座部30に座った状態のまま、手を伸ばしてシャワーヘッド90の取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。
【0063】
以上、本実施形態に係る取付部材60について説明した。上記実施形態では、オプション部品はシャワーヘッド90であった。しかしながら、オプション部品はシャワーヘッド90に限定されない。例えば、オプション部品は、シャワーユニットであってもよいし、ヘッドレストであってもよい。シャワーユニットは、例えば、特開2004-223060号公報に記載されたようなシャワーユニットであってもよい。シャワーユニットは、例えば、複数のシャワーノズルが形成された本体と、本体の左右両側において前後方向に回転可能に設けられ、複数のシャワーノズルが形成されたアームとによって構成されたものであってもよい。
【0064】
上記実施形態では、取付部材60は、ジョイント部材63を備えていた。しかしながら、図12に示す取付部材160Aのように、ジョイント部材63は省略されてもよい。この場合、ジョイントバー62と設置バー64とは、一体的に形成されていてもよい。
【0065】
また、左右のジョイント部材63が左右のカバー61L、61Rと一体化され、ジョイントバー62が省略されてもよい。
【0066】
上記実施形態では、設置バー64は、上下方向に延びた左右一対の鉛直部86と、左右の鉛直部86に架け渡された水平部87とを備えていた。しかしながら、設置バー64の形状は特に限定されない。図13に示す取付部材160Bのように、設置バー64がジョイントバーを兼用していてもよい。この場合、ジョイント部材63は省略してもよい。
【0067】
椅子100のフレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rは、後方から見て湾曲していなくてもよい。左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rは、後方から見て直角形状に形成されていてもよい。この場合、取付部材60の左カバー61Lおよび右カバー61Rは、後方から見て直角形状に形成されていることが好ましい。左カバー61Lおよび右カバー61Rは、フレーム10Aの左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rに被せられるものであるので、左上コーナー部16Lおよび右上コーナー部16Rの形状に沿った形状に形成されていることが好ましい。
【0068】
椅子100の肘掛け50は、回動可能でなくてもよい。肘掛け50は固定式であってもよい。また、肘掛け50は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
【0069】
取付部材60は、ボルトで固定しなくても、フレーム10Aに安定して取り付けることができる。しかし、取付部材60にボルトを取り付け、フレーム10Aに対して更に強固に取り付けることも可能である。例えば、取付部材60をフレーム10Aに取り付けた状態において、左カバー61Lの前壁部71および後壁部73における左上コーナー部16Lの内周側の部位(詳しくは、右下部)には、ボルトが挿入される挿入孔(図示せず)が形成されていてもよい。同様に、右カバー61Rの前壁部71および後壁部73における右上コーナー部16Rの内周側の部位(詳しくは、左下部)には、ボルトが挿入される挿入孔(図示せず)が形成されていてもよい。この場合、取付部材60をフレーム10Aに取り付けた状態において、右カバー61Rの上記挿入孔、および、左カバー61Lの上記挿入孔にボルトを挿入して、左右のカバー61R、61Lの前壁部71と後壁部73とをボルトが架け渡すことにより、取付部材60をフレーム10Aに対して強固に取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10A フレーム
13 縦フレーム部
15 横フレーム部
16L 左上コーナー部
16R 右上コーナー部
30 座部
40 背もたれ
60 取付部材(オプション部品取付部材)
60A 固定部材
61L 左カバー
61R 右カバー
62 ジョイントバー
63 ジョイント部材
64 設置バー
90 シャワーヘッド(オプション部品)
100 椅子(浴室用椅子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13