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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】液圧ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/02 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
F04B23/02 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017227614
(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2019094887
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 宣尚
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-132624(JP,A)
【文献】特開2001-213306(JP,A)
【文献】実開昭56-173791(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液体を吸入して吐出する液圧ポンプと、液圧ポンプから吐出する作動液体を加圧状態で蓄えるアキュムレータとを備え、アキュムレータは、アキュムレータ本体の内部に軸方向へ摺動自在にピストンを嵌挿し、ピストンの一端側に液圧ポンプから吐出する作動液体を導入するピストン室を区画形成すると共にピストンの他端側にピストンをピストン室に向けて付勢するばねを収容するばね室を区画形成し、ばね室には作動液体を貯蔵し、液圧ポンプの吸入口をアキュムレータのばね室に接続し、アキュムレータには液圧ポンプの吐出口と前記アキュムレータのピストン室とを接続する吐出流路と、液圧ポンプの吸入口とアキュムレータのばね室とを接続する吸入流路とを有するアキュムレータ本体を設けたことを特徴とする液圧ポンプ装置。
【請求項2】
前記アキュムレータのばね室は、前記液圧ポンプから吐出する作動液体で作動する液圧アクチュエータから流出する作動液体を流通する戻り流路を接続し、戻り流路は前記アキュムレータ本体に有することを特徴とする請求項1に記載の液圧ポンプ装置。
【請求項3】
前記アキュムレータは、前記ピストンを複数有することを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の液圧ポンプ装置。
【請求項4】
前記アキュムレータは、前記ばね室に連通する給排口を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液圧ポンプ装置。
【請求項5】
前記液圧ポンプは、通電により発生する吸引力で可動鉄心を摺動するソレノイド部と、ソレノイド部で作動するポンプ部とを備える電磁ポンプとすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の液圧ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータを備えた液圧ポンプ装置に関し、特に液圧ポンプから吐出する作動液体をアキュムレータに蓄圧して、アクチュエータ等に供給可能な液圧ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の液圧ポンプ装置は、液圧ポンプ(双方向吐出ポンプ)に連結されたアキュムレータを有し、アキュムレータはアキュムレータ本体とアキュムレータ本体内に摺動自在に挿入されたピストン(フリーピストン)と、アキュムレータ本体内にピストン(フリーピストン)により区画形成したピストン室(液室)と、ピストン(フリーピストン)をピストン室(液室)に向けて付勢するばね(付勢バネ)とで構成されている。そして、アキュムレータのピストン室(液室)は液圧ポンプ(双方向吐出ポンプ)の吐出口(吐出孔)に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-322501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来の液圧ポンプ装置では、液圧ポンプからアキュムレータのピストン室に供給した作動液体がピストンを介してばね側に漏れて液圧回路内の作動液体量が減少してしまうため、作動液体を貯蔵するタンクを格別に設ける必要があり、装置全体が大型になるという問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、作動液体を貯蔵するタンクを不要にしたり、タンクを小型にしたりして、コンパクトな液圧ポンプ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
作動液体を吸入して吐出する液圧ポンプと、液圧ポンプから吐出する作動液体を加圧状態で蓄えるアキュムレータとを備え、アキュムレータは、アキュムレータ本体の内部に軸方向へ摺動自在にピストンを嵌挿し、ピストンの一端側に液圧ポンプから吐出する作動液体を導入するピストン室を区画形成すると共にピストンの他端側にピストンをピストン室に向けて付勢するばねを収容するばね室を区画形成し、ばね室には作動液体を貯蔵し、液圧ポンプの吸入口をアキュムレータのばね室に接続し、アキュムレータには液圧ポンプの吐出口と前記アキュムレータのピストン室とを接続する吐出流路と、液圧ポンプの吸入口とアキュムレータのばね室とを接続する吸入流路とを有するアキュムレータ本体を設けたことを特徴とする液圧ポンプ装置がそれである。
【0007】
この場合、前記アキュムレータのばね室は、前記液圧ポンプから吐出する作動液体で作動する液圧アクチュエータから流出する作動液体を流通する戻り流路を接続し、戻り流路は前記アキュムレータ本体に有してもよい。また、前記アキュムレータは、前記ピストンを複数設けてもよい。また、前記アキュムレータは、前記ばね室に連通する給排口を備えてもよい。また、液圧ポンプは、通電により発生する吸引力で可動鉄心を摺動するソレノイド部と、ソレノイド部で作動するポンプ部とを備える電磁ポンプとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、アキュムレータのばね室には作動液体を貯蔵し、液圧ポンプの吸入口をばね室に接続する。このため、ばね室が作動液体を貯蔵するタンクとしての機能を有するから、タンクを不要にしたり、タンクを設ける場合にも小型のタンクで対応可能で、装置全体をコンパクトにできる。また、ピストンを介してピストン室からばね室側に漏れる作動液体は、液圧回路外に流出することなく、タンクとしての機能を有するばね室に流入して液圧回路内に環流するから、液圧回路内の作動液体量の減少を低減できる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明は、アキュムレータには液圧ポンプの吐出口と前記アキュムレータのピストン室とを接続する吐出流路と、液圧ポンプの吸入口とアキュムレータのばね室とを接続する吸入流路とを有するアキュムレータ本体を設けた。このため、液圧ポンプはアキュムレータ本体に形成した吸入流路を介してばね室に貯蔵した作動液体を吸入し、アキュムレータ本体に形成した吐出流路を介してピストン室に作動液体を吐出するから、液圧ポンプとアキュムレータとを外部配管で接続することなく一体的にできて、配管作業を簡略化することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、アキュムレータのばね室は、液圧ポンプから吐出する作動液体で作動する液圧アクチュエータから流出する作動液体を流通する戻り流路を接続した。このため、液圧アクチュエータから流出する作動液体は戻り流路を介してばね室に流入するから、液圧アクチュエータから流出する作動液体を貯蔵するタンクを格別に設ける必要がなく、より一層装置全体をコンパクトにできる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、アキュムレータはアキュムレータ本体に、アクチュエータの戻り流路を有する。このため、液圧アクチュエータから流出する作動液体は、アキュムレータ本体に形成した戻り流路を介してばね室に流入するから、アクチュエータからの戻り流路をアキュムレータに外部配管で接続することなく、配管作業を簡略化することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、アキュムレータは、複数のピストンを有した。このため、アクチュエータが作動に必要とする流量に応じて、配置するピストンの数を変更可能であるから、容易に製作することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、アキュムレータは、ばね室に連通する給排口を備えた。このため、給排口からばね室に貯蔵された作動液体の給入、排出等ができるから、保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、液圧ポンプは、通電により発生する吸引力で可動鉄心を摺動するソレノイド部と、ソレノイド部で作動するポンプ部とを備える電磁ポンプとした。このため、液圧ポンプはポンプ部と駆動源としてのソレノイド部とが一体的に形成されているから、電動機等の駆動源が不要で、より一層装置全体をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態および他の実施形態を示した液圧ポンプ装置の油圧回路図である。
図2】本発明の一実施形態を示した縦断面図である。
図3図2の線A-Aに沿った図である。
図4図3の線B-Bに沿った図である。
図5図3の線C-Cに沿った図である。
図6図3の線D-Dに沿った図である。
図7図3の線E-Eに沿った図である。
図8図3の線F-Fに沿った図である。
図9】本発明の他の実施形態を示した図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2において、1は液圧ポンプ装置で、作動油を吸入して吐出する液圧ポンプとしての第1電磁ポンプ2Aおよび第2電磁ポンプ2Bと、両電磁ポンプ2A,2Bから吐出する作動油を加圧状態で蓄えるアキュムレータ3と、作動油の流れ方向を切換制御する電磁方向切換弁4と、両電磁ポンプ2A,2B、アキュムレータ3、電磁方向切換弁4をそれぞれ接続する流路を有する略直方体のマニホールド部材5とから構成し、液圧アクチュエータとしての片ロッドシリンダ6に作動油を供給・排出する。片ロッドシリンダ6は、ピストン6Aにピストンロッド6Bを突設し、ピストン6Aの一端側に作動油を供給・排出する作動室6Cを形成している。片ロッドシリンダ6は、ピストン6Aの他端側に作動室6Cと対向してばね6Dを有し、ばね6Dのばね力でピストン6Aを作動室6Cに向けて付勢している。電磁方向切換弁4は、電磁操作の3位置4ポート弁で、供給ポートPと、戻りポートRと、2個の負荷ポートA,Bを有している。供給ポートPは両電磁ポンプ2A,2Bの吐出側に接続し、戻りポートRはアキュムレータ3のばね室51に接続し、一方の負荷ポートAは片ロッドシリンダ6の作動室6Cに接続し、もう一方の負荷ポートBは閉塞している。また、電磁方向切換弁4は、負荷ポートAと供給ポートPおよび戻りポートRとの間を遮断して片ロッドシリンダ6と両電磁ポンプ2A,2Bの吐出側およびばね室51との間の作動油の流れを遮断する中立位置Xと、負荷ポートAと供給ポートPとを連通して片ロッドシリンダ6の作動室6Cに両電磁ポンプ2A,2B側から作動油を供給する1位置Yと、負荷ポートAと戻りポートRとを連通して片ロッドシリンダ6の作動室6Cからばね室51に作動油を流出する第2位置Zとの3位置を有し、ソレノイドへの通電、非通電により3位置X~Z間を切換可能に設けている。
【0017】
図3ないし図5において、第1電磁ポンプ2Aは、第1ソレノイド部7Aを第1ポンプ部8Aに載置して4個のボルト部材9Aで着脱自在に固定している。また、第1電磁ポンプ2Aは、第1ポンプ部8Aをマニホールド部材5の第1側面5Aに図示しない4個のボルト部材で連結している。第2電磁ポンプ2Bは、第2ソレノイド部7Bを第2ポンプ部8Bに載置して4個のボルト部材9Bで着脱自在に固定している。また、第2電磁ポンプ2Bは、第2ポンプ部8Bをマニホールド部材5の第1側面5Aと対向する第2側面5Bに4個のボルト部材10で連結している。また、両電磁ポンプ2A,2Bは、両ソレノイド部7A,7Bへの通電・非通電の繰り返しで、作動油を吸入吐出する。
【0018】
以下、詳細に説明すると、11A,11Bは、略円筒形状のヨークで、軸方向へ小径孔12A,12B、中径孔13A,13B、大径孔14A,14Bを連設している。ヨーク11A,11Bの小径孔12A,12Bは、一側面に開口すると共に、ヨーク11A,111Bの大径孔14A,14Bは他側面に開口している。15A,15Bは、略円筒形状の第1緩衝部材で、ヨーク11A,11Bの大径孔14A,14Bと中径孔13A,13Bとの連接段部に収容している。16A,16Bは、ヨーク11A,11Bの大径孔14A,14Bの開口部に備える第1軸受部材である。
【0019】
17A,17Bは、略円筒形状の可動鉄心で、ヨーク11A,11Bの大径孔14A,14Bに軸方向へ摺動自在に嵌挿している。可動鉄心17A,17Bは、一側面を窪ませて有底の収装孔18A,18Bを有し、他側面には、第1ピストンロッド19A,19Bと第2ピストンロッド20A,20Bとを設けている。21A,21Bは、可動鉄心17A,17Bの収装孔18A,18Bに収容した第1ばね部材で、ヨーク11A,12Bの中径孔13A,13Bに収容した第1ばね受け部材22A,22Bと収装孔18A,18Bの底部との間に介装し、可動鉄心17A,17Bを軸方向下方に付勢する。23A,23Bは、第1ばね部材21A,21Bのばね力を調整自在にする調整ねじで、ヨーク11A,11Bの小径孔12A,12Bに螺合して先端を第1ばね受け部材22A,22Bに当接し、外部からの回動操作により軸方向へ進退自在にして第1ばね部材21A,21Bのばね力を調整自在にする。24A,24Bは、第1ばね部材21A,21Bのロックナットである。
【0020】
25A,25Bは、略円盤形状の固定鉄心で、軸方向へ大径孔26A,26B、小径孔27A,27B、中径孔28A,28Bを連設している。固定鉄心25A,25Bは、大径孔26A,26Bを一側面に開口すると共に、中径孔28A,28Bを他側面に開口している。29A,29Bは、略円筒形状の第2緩衝部材で、固定鉄心25A,25Bの大径孔26A,26Bと小径孔27A,27Bとの連接段部に収容している。30A,30Bは、略円筒形状の第2軸受部材で、固定鉄心25A,25Bの小径孔27A,27Bに嵌合し、第1ピストンロッド19A,19Bを摺動自在に嵌挿している。
【0021】
31A,31Bは、軸方向両端に鍔部を有する略円筒形状のコイルボビンで、中心に軸方向へ貫通する挿通孔32A,32Bを有すると共に、鍔部の間にコイル33A,33Bを巻回している。コイルボビン31A,31Bは、挿通孔32A,32Bの一端側からヨーク11A,11Bを挿入すると共に、他端側から固定鉄心25A,25Bを挿入し、コイル33A,33Bへの通電により発生する吸引力で、可動鉄心17A,17Bを固定鉄心25A,25Bに吸引する。34A,34Bは、コイルボビン31A,31Bの径方向外方に配置した略円筒形状のカバー部材で、一端側をヨーク11A,11Bで閉塞すると共に、他端側を固定鉄心25A,25Bで閉塞している。
【0022】
35A,35Bは、平面で略正方形の立方体形状の第1固定部材で、中心に1個の貫通孔36A,36Bと、各稜部近傍に図示しない4個の挿通孔を軸方向に貫通形成している。第1固定部材35A,35Bは、中心の貫通孔36A,36Bにヨーク11A,11Bを挿通している。
【0023】
37A,37Bは、平面で略正方形の立方体形状の第2固定部材で、第1ポンプ部8A、第2ポンプ部8Bにそれぞれ載置され、軸方向へ大径孔38A,38B、小径孔39A,39Bを連設し、大径孔38A,38Bを一側面に開口すると共に、小径孔39A,39Bを他側面に開口している。第2固定部材37A,37Bは、各稜部近傍に第1固定部材35A,35Bの4個の挿通孔とそれぞれ重合する図示しない4個の挿通孔を軸方向に貫通形成している。また、第2固定部材37A,37Bは、大径孔38A,38Bを開口した一側面を固定鉄心25A,25Bと連結し、Oリング40A,40Bで第2固定部材37A,37Bと固定鉄心25A,25Bとの隙間を液密的に密封している。41A,41Bは、略円筒状の第3軸受部材で、第2固定部材37A,37Bの小径孔39A,39Bに嵌合し、第2ピストンロッド20A,20Bを摺動自在に嵌挿している。
【0024】
4個のボルト部材9A,9Bは、第1固定部材35A,35Bの4個の挿通孔と第2固定部材37A,37Bの4個の挿通孔をそれぞれ挿通し、第1ソレノイド部7Aを第1ポンプ部8Aへ、第2ソレノイド部7Bを第2ポンプ部8Bへ着脱自在に固定している。
【0025】
両ポンプ部8A,8Bは、大径孔42A,42B、中径孔43A,43B、小径孔44A,44Bを連設してポンプ室45A,45Bを形成し、大径孔42A,42Bを第2固定部材37A,37Bとの接着面に開口している。46A,46Bは、両ポンプ部8A,8Bと第2固定部材37A,37Bとの接着面に設けたOリングで、両ポンプ部8A,8Bと第2固定部材37A,37Bとの隙間を液密的に密封している。47A,47Bは、両ポンプ部8A,8Bの中径孔43A,43Bに収容した第2ばね部材で、両ポンプ部8A,8Bの大径孔42A,42Bに収容した第2ばね受け部材48A,48Bと中径孔43A,43Bと小径孔44A,44Bとの連接段部との間に介装し、第2ピストンロッド20A,20Bを軸方向上方に付勢する。第1ピストンロッド19A,19Bおよび第2ピストンロッド20A,20Bと一体的に移動する可動鉄心17A,17Bは、第1ばね部材21A,21Bの弾性力と第2ばね部材47A,47Bのの弾性力とが対向作用し、第1ばね部材21A,21Bと第2ばね部材47A,47Bの弾性力の平衡位置で停止する。
【0026】
49Aは、第1ポンプ部8Aに穿設した第1吸入流路で、マニホールド部材5の第1側面5Aとの接着面に第1吸入口50Aを開口し、アキュムレータ3のばね室51から作動油を吸入する。52Aは、第1ポンプ部8Aに穿設した第1吐出流路で、マニホールド部材5の第1側面5Aとの接着面に第1吐出口53Aを開口し、アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A,54B,54C,54D(54Aは図1に図示)に作動油を吐出する。55Aは、第1吸入流路49Aと第1吐出流路52Aとを接続する第1接続流路で、図3左右方向の中間部にポンプ室45Aの小径孔44Aを直交して接続する。49Bは、第2ポンプ部8Bに穿設した第2吸入流路で、マニホールド部材5の第2側面5Bとの接着面に第2吸入口50Bを開口し、アキュムレータ3のばね室51から作動油を吸入する。52Bは、第2ポンプ部8Bに穿設した第2吐出流路で、マニホールド部材5の第1側面5Bとの接着面に第2吐出口53Bを開口し、アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに作動油を吐出する。55Bは、第2吸入流路49Bと第2吐出流路52Bとを接続する第2接続流路で、図3左右方向の中間部にポンプ室45Bの小径孔44Bに直交して接続する。
【0027】
56は、第1吸入流路49Aと第1接続流路55Aとの間に備えた第1チェック弁で、弁体56Aをばね56Bの弾性力で付勢して弁座56Cに着座している。第1チェック弁56は弁体56Aが弁座56Cから離間してアキュムレータ3のばね室51からポンプ室45Aへの作動油の流れを許容し、弁体56Aが弁座56Cに着座してポンプ室45Aからばね室51への作動油の流れを阻止する向きに配設している。57は、第1接続流路55Aと第1吐出流路52Aとの間に備えた第2チェック弁で、弁体57Aをばね57Bの弾性力で付勢して弁座57Cに着座している。第2チェック弁57は弁体57Aが弁座57Cから離間してポンプ室45Aからアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dへの作動油の流れを許容し、弁体57Aが弁座57Bに着座して第1~4ピストン室54A~54Dからポンプ室45Aへの作動油の流れを阻止する向きに配設している。58は、第2吸入流路49Bと第2接続流路55Bとの間に備えた第3チェック弁で、弁体58Aをばね58Bの弾性力で付勢して弁座58Cに着座している。第3チェック弁58は弁体58Aが弁座58Cから離間してアキュムレータ3のばね室51からポンプ室45Bへの作動油の流れを許容し、弁体58Aが弁座58Cに着座してポンプ室45Bからばね室51への作動油の流れを阻止する向きに配設している。59は、第2接続流路55Bと第2吐出流路52Bとの間に備えた第4チェック弁で、弁体59Aをばね59Bの弾性力で付勢して弁座59Cに着座している。第4チェック弁59は弁体59Aが弁座59Cから離間してポンプ室45Bからアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dへの作動油の流れを許容し、弁体59Aが弁座59Cに着座して第1~4ピストン室54A~54Dからポンプ室45Bへの作動油の流れを阻止する向きに配設している。
【0028】
図3図5および図6において、アキュムレータ3は、マニホールド部材5の第1側面5Aおよび第2側面5Bとそれぞれ直交する第3側面5Cに連結し、間隙を有して配置した略直方体の第1側板60と略直方体の第2側板61と、第1側板60と第2側板61で挟持した円筒部材62とでアキュムレータ本体63を構成する。アキュムレータ本体63の内部には、4個の第1~4ピストン64A,64B,64C,64Dを収容し、第1~4ピストン64A~64Dの一端側に4個の第1~4ピストン室54A~54Dと、第1~4ピストン64A~64Dの他端側に1個のばね室51とを形成している。
【0029】
以下、詳細に説明すると、第1側板60は、平面で略正方形の立方体形状で、第2側板61と対向する第1側面60Aに形成した凸部60Bを円筒部材62の内周に一端側から嵌合し、Oリング65で液密的に密封している。また、第1側板60は、第1側面60Aと対向する第2側面60Cをマニホールド部材5の第3側面5Cと連結している。さらにまた、第1側板60は、各稜部近傍に4個のねじ孔66を図6奥行方向に貫通形成している。67A,67B,67C,67Dは、第1~4ピストン64A~64Dを摺動自在に嵌挿する4個の第1~4収装孔で、第1側板60の各稜部内方に小径部68A,68B,68C,68D、中径部69A,69B,69C,69D、大径部70A,70B,70C,70Dを連設して図5左右方向に穿設し、大径部70A~70Dを第1側板60の凸部60B端面に開口している。第1収装孔67Aは図6左上稜部内方、第2収装孔67Bは図6左下稜部内方、第3収装孔67Cは図6右上稜部内方、第4収装孔67Dは図6右下稜部内方に配置している。第1~4ピストン64A~64Dは、略円柱形状でシール部材71B,71C,71D(1個は図示しない)を外嵌し、第1~4収装孔67A~67Dの中径部69A~69Dに軸方向(図5左右方向)へ摺動自在に嵌装している。また、第1~4ピストン64A~64Dは、第1~4収装孔67A~67Dの中径部69A~69Dと第1~4ピストン64A~64Dとで両電磁ポンプ2A,2Bから吐出する作動油を導入する第1~4ピストン室54A~54Dを区画形成している。
【0030】
第2側板61は、平面で略正方形の立方体形状で、第1側板60と対向する第1側面61Aに形成した凸部61Bを円筒部材62の内周に他端側から嵌合し、Oリング72で液密的に密封している。また、第2側板61は、各稜部近傍に図示しない4個の挿通孔を図5左右方向に貫通形成している。73B,73C,73D(1個は図示せず)は、第2側板61の凸部61B端面に開口して穿設した第5~8収装孔で、第2側板61の各稜部内方に第1~4収装孔67A~67Dとそれぞれ対向する位置に配置している。74は、第2側板61の凸部61B端面に形成した第1連通溝で、第7収装孔73Cと第8収装孔73Dとの間に図5上下方向に伸長して形成し、上端を第7収装孔73Cと接続すると共に、下端を第8収装孔73Dと連通している。第5収装孔と第6収装孔73Bとの間には、第1連通溝74と略同一形状の図示しない第2連通溝を形成し、第2連通溝の上端を第5収装孔と接続すると共に、下端を第6収装孔73Bと連通している。
【0031】
75A,75B,75C,75Dは、第1側板60と第2側板61の間に配置した略円筒形状の第1~4ガイド部材で、一端を第1側板60の第1~4収装孔67A~67Dの大径部70A~70Dに嵌合すると共に、他端を第2側板61の第5~8収装孔73B~73D(1個図示せず)に嵌合している。76A,76B,76C,76D(76Aは図1に図示)は、第1~4ガイド部材75A~75Dに収容する第1~4ばねで、第1~4ピストン64A~64Dと第2側板61の間に介装し、第1~4ピストン64A~64Dを第1~4ピストン室54A~54Dに向けて付勢する。
【0032】
ばね室51は、第1~4ピストン64A~64Dの他端側に第1側板60、円筒部材62および第2側板61で区画形成し、作動油を貯蔵している。第1~4ガイド部材75A~75Dの内部は、第1連通溝74および第2連通溝を介してばね室51に連通している。77は、4個のボルト部材で、第2側板61の4個の挿通孔に挿通すると共に第1側板60の4個のねじ孔66に螺合して、第2側板61および円筒部材62を第1側板60に一体的に組付けている。78は、作動油をばね室51の内部に給入・排出したり、ばね室51の油面の確認を行う給排口で、円筒部材62に配設している。
【0033】
79は、第1側板60の上面60Dに開口して図5上下方向に穿設した第3接続流路で、第3収装孔67Cの小径部68Cと第4収装孔67Dの小径部68Dに直交して接続する。第3接続流路79は、上面60Dの開口部を封止部材79Aで封止している。80は、第1側板60の上面60Dに開口して図6上下方向に穿設した第4接続流路で、第1収装孔67Aの小径部68Aと第2収装孔67Bの小径部68Bに直交して接続する。第4接続流路80は、上面60Cの開口部を封止部材80Aで封止している。81は、第1側板60の第1側面60Aと第2側面60Cにそれぞれ直交する第3側面60Eに開口して図6左右方向に穿設した第5接続流路で、第3接続流路79および第4接続流路80に直交して、第1収装孔67Aの小径部68Aと第3収装孔67Cの小径部68Cに接続する。第5接続流路81は、第3側面60Eの開口部を封止部材81Aで封止している。82は、第3側面60Eに開口して図6左右方向に穿設した第6接続流路で、第5接続流路81の図6下方に第5接続流路81と略平行に配置して、第3接続流路79および第4接続流路80に接続する。第6接続流路82は、第3側面60Eの開口部を封止部材82Aで封止している。83は、第3接続流路79に接続した圧力スイッチで、アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dの圧力を検出する。
【0034】
図2において、84は、片ロッドシリンダ6の作動室6Cからばね室51に還流する作動油を流通する第1戻り流路で、第1側板60の図2左右方向に貫通形成している。85は、ばね室51から両電磁ポンプ2A,2Bへ作動油を流通する第3吸入流路で、第1戻り流路84の図2下方の左右方向に貫通形成している。86は、両電磁ポンプ2A,2Bからアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dへ作動油を流通する第3吐出流路で、第3吸入流路85の図2下方の左右方向に穿設し、一端を第1側板60の第2側面60Cに開口すると共に、他端を第6接続流路82に接続している。
【0035】
図2図7および図8において、マニホールド部材5は、上面5Eに図示しない複数のボルト部材で、電磁方向切換弁4を着脱自在に固定すると共に、内部には第2戻り流路87、第4吸入流路88、第4吐出流路89、給排流路90、第1~4分岐流路91、92、93、94を穿設している。
【0036】
以下、詳細に説明すると、図2において、第2戻り流路87は、一端を第3側面5Cに開口して第1戻り流路84に接続すると共に他端を上面5Eに開口して電磁方向切換弁4の戻りポートR(図1に図示)に接続している。第4吸入流路88は、一端を第3側面5Cに開口して第3吸入流路85と接続している。第4吐出流路89は、一端を第3側面5Cに開口して第3吐出流路86と接続すると共に、他端を上面5Eに開口して電磁方向切換弁4の供給ポートP(図1に図示)に接続している。給排流路90は、一端を上面5Eに開口して電磁方向切換弁4の負荷ポートA(図1に図示)に接続すると共に、他端を第3側面5Cと対向する第4側面5Dに開口して、片ロッドシリンダ6に接続する。
【0037】
図7において、第1分岐流路91は、一端を第4吸入流路88に接続すると共に、他端を第1側面5Aに開口して、第1電磁ポンプ2Aの第1吸入口50Aに接続している。第2分岐流路92は、一端を第4吐出流路89に接続すると共に、他端を第2側面5Bに開口して、第2電磁ポンプ2Bの第2吐出口53Bに接続している。
【0038】
図8において、第3分岐流路93は、一端を第4吐出流路89に接続すると共に、他端を第1側面5Aに開口して、第1電磁ポンプ2Aの第1吐出口53Aに接続している。第4分岐流路94は、一端を第4吸入流路88に接続すると共に、他端を第2側面5Bに開口して、第2電磁ポンプ2Bの第2吸入口50Bに接続している。
【0039】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1の状態は、電磁方向切換弁4を非通電の中立位置Xにして、片ロッドシリンダ6とアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dおよびばね室51との作動油の流通を遮断している。
【0040】
この状態で、両電磁ポンプ2A,2Bを駆動すると、第1電磁ポンプ2Aは、第3吸入流路85、第4吸入流路88、第1分岐流路91、第1吸入流路49A、第1チェック弁56、第1接続流路55Aを介してアキュムレータ3のばね室51に貯蔵する作動油を吸入して、第1接続流路55A、第2チェック弁57、第1吐出流路52A、第3分岐流路93、第4吐出流路89、第3吐出流路86を介してアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに吐出する。第2電磁ポンプ2Bは、第3吸入流路85、第4吸入流路88、第4分岐流路94、第2吸入流路49B、第3チェック弁58、第2接続流路55Bを介してアキュムレータ3のばね室51に貯蔵する作動油を吸入して、第2接続流路55B、第4チェック弁59、第2吐出流路52B、第2分岐流路92、第4吐出流路89、第3吐出流路86を介してアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに吐出する。アキュムレータ3の第1~4ピストン64A~64Dは、第1~4ピストン室54A~54Dに導入した作動油の圧力に基づく作用力により、第1~4ばね76A~76Dのばね力に抗して図1上方向に移動する。第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が圧力センサ83の上限設定圧力を上回ると、両電磁ポンプ2A,2Bは駆動を停止する。
【0041】
この状態で、片ロッドシリンダ6の作動によりアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに導入した作動油が消費され、第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が、圧力センサ83の下限設定圧力を下回ると、両電磁ポンプ2A,2Bを再び駆動して、両電磁ポンプ2A,2Bより吐出する作動油を第1~4ピストン室54A~54Dに導入する。そして、作動油が導入され、第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が、圧力センサ83の上限設定圧力を上回ると、両電磁ポンプ2A,2Bを停止する。
【0042】
アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに作動油の導入が完了した状態で、図1で中立位置Xにある電磁方向切換弁4を通電して第1位置Yに切換えると、第1~4ピストン室54A~54Dに蓄圧した作動油が、第3吐出流路86、第4吐出流路89、給排流路90を流れて片ロッドシリンダ6の作動室6Cに供給され、片ロッドシリンダ6は図1左方向に作動する。
【0043】
片ロッドシリンダ6が左方向に作動した状態で、電磁方向切換弁4を非通電にして中立位置Xに切換えると、片ロッドシリンダ6は図1の左方向で停止する。この状態で、電磁方向切換弁4を通電して第2位置Zに切換えると、片ロッドシリンダ6のばね6Dのばね力によりピストン6Aが図1右方向に付勢され、片ロッドシリンダ6が図1右方向に作動して、作動室6Cからの作動油が給排流路90、第2戻り流路87、第1戻り流路84を介してアキュムレータ3のばね室51に流出する。そして、片ロッドシリンダ6が図1の状態に復帰作動すると、電磁方向切換弁4を非通電にして中立位置Xに切換え、片ロッドシリンダ6を停止する。
【0044】
かかる作動において、図3に示す如く、アキュムレータ3のばね室51には作動油を貯蔵し、両電磁ポンプ2A,2Bの両吸入口50A,50Bをばね室51に接続する。このため、ばね室51が作動油を貯蔵するタンクとしての機能を有するから、タンクを不要にしたり、タンクを設ける場合にも小型のタンクで対応可能で、装置全体をコンパクトにできる。また、第1~4ピストン64A~64Dを介して第1~4ピストン室54A~54Dからばね室51側に漏れる作動油は、油圧回路外に流出することなく、タンクとしての機能を有するばね室51に流入して油圧回路内に環流するから、油圧回路内の作動油量の減少を低減できる。
【0045】
また、図3に示す如く、両電磁ポンプ2A,2Bとアキュムレータ3とを一体的に設け、アキュムレータ3のアキュムレータ本体63には、両電磁ポンプ2A,2Bの両吐出口53A,53Bとアキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dとを接続する第3吐出流路86と、両電磁ポンプ2A,2Bの両吸入口50A,50Bとアキュムレータ3のばね室51とを接続する第3吸入流路85とを有した。このため、両電磁ポンプ2A,2Bはアキュムレータ本体63に形成した第3吸入流路85を介してばね室51に貯蔵した作動油を吸入し、アキュムレータ本体63に形成した第3吐出流路86を介して第1~4ピストン室54A~54Dに作動油を吐出するから、両電磁ポンプ2A,2Bとアキュムレータ3とを外部配管で接続することなく一体的にできて、配管作業を簡略化することができる。
【0046】
また、アキュムレータ3のばね室51は、両電磁ポンプ2A,2Bから吐出する作動油で作動する片ロッドシリンダ6から流出する作動油を流通する第1,第2戻り流路84,87に接続した。このため、片ロッドシリンダ6から流出する作動油は第1,第2戻り流路84,87を介してばね室51に流入するから、片ロッドシリンダ6から流出する作動油を貯蔵するタンクを格別に設ける必要がなく、より一層装置全体をコンパクトにできる。
【0047】
また、図2に示す如く、アキュムレータ3はアキュムレータ本体63に、片ロッドシリンダ6の第1戻り流路84を有する。このため、片ロッドシリンダ6から流出する作動油は、アキュムレータ本体63に形成した第1戻り流路84を介してばね室51に流入するから、片ロッドシリンダ6からの戻り流路をアキュムレータ3に外部配管で接続することなく、配管作業を簡略化することができる。
【0048】
また、アキュムレータ3は、複数の第1~4ピストン64A~64Dを有した。このため、片ロッドシリンダ6が作動に必要とする流量に応じて、配置するピストンの数を変更可能であるから、容易に製作することができる。
【0049】
また、図2に示す如く、アキュムレータ3は、ばね室51に連通する給排口78を備えた。このため、給排口78からばね室51に貯蔵された作動油の給入・排出をしたり、ばね室51の油面の確認を行うことができるから、保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、図4に示す如く、両電磁ポンプ2A,2Bは、通電により発生する吸引力で可動鉄心17A,17Bを摺動する両ソレノイド部7A,7Bと、両ソレノイド部7A,7Bで作動する両ポンプ部8A,8Bとを備える電磁ポンプとした。このため、両電磁ポンプ2A,2Bは駆動源としての両ポンプ部8A,8Bと両ソレノイド部7A,7Bとが一体的に形成されているから、電動機等の駆動源が不要で、より一層装置全体をコンパクトにできる。
【0051】
図9は、本発明の他の実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
95C,95D(2個は図示せず)は、第1側板60に穿設した第1~4収装孔で、第1側板60の各稜部内方に小径部68A~68D、中径部69A~69Dを連設して図9左右方向に穿設し、中径部69A~69Dを第1側板60の凸部60B端面に開口している。96C,96D(2個は図示せず)は、第2側板61の凸部61B端面に開口して穿設した第1~4圧入孔で、第2側板61の各稜部内方に第1~4収装孔95C,95D(2個は図示せず)とそれぞれ対向する位置に配置している。
【0052】
97C,97D(2個は図示せず)は、第1側板60と第2側板61の間に配置した略円柱形状の第1~4ガイド部材で、第1~4ばね76A~76Dの内周に挿通し、一端を第2側板61の第1~4圧入孔96C,96D(2個は図示せず)に圧入して固定すると共に、他端を第1~4ピストン64A~64Dの他端面と間隙を有して対向している。第1~4ピストン64A~64Dの他端面と第1~4ガイド部材97C,97D(2個は図示せず)の他端面との間隙の長さ寸法は、第1~4ピストン64A~64Dが第1~4収装孔95C,95D(2個は図示せず)から抜け落ちない寸法に設定している。第1~4ガイド部材97C,97D(2個は図示せず)は、第1~4ばね76A~76Dをガイドする機能に加え、第1~4ピストン64A~64Dの最大移動量を規制するストッパの機能を有している。
【0053】
作動は、一実施形態と略同様に、図1の状態で、両電磁ポンプ2A,2Bを駆動してアキュムレータ3のばね室51に貯蔵する作動油を吸入し、アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに吐出する。第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が圧力センサ83の上限設定圧力を上回ると、両電磁ポンプ2A,2Bは駆動を停止する。この状態で、第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が、圧力センサ83の下限設定圧力を下回ると、両電磁ポンプ2A,2Bを再び駆動して、作動油を第1~4ピストン室54A~54Dに導入する。そして、第1~4ピストン室54A~54Dの圧力が、圧力センサ83の上限設定圧力を上回ると、両電磁ポンプ2A,2Bを停止する。
【0054】
アキュムレータ3の第1~4ピストン室54A~54Dに作動油の導入が完了した状態で、図1で中立位置Xにある電磁方向切換弁4を第1位置Yに切換えると、第1~4ピストン室54A~54Dから片ロッドシリンダ6の作動室6Cに作動油が供給され、片ロッドシリンダ6は図1左方向に作動する。そして、電磁方向切換弁4を中立位置Xに切換えると、片ロッドシリンダ6は図1の左方向で停止する。この状態で、電磁方向切換弁4を第2位置Zに切換えると、片ロッドシリンダ6が図1右方向に作動して、作動室6Cからの作動油がアキュムレータ3のばね室51に流出する。そして、片ロッドシリンダ6が図1の状態に復帰作動すると、電磁方向切換弁4を中立位置Xに切換え、片ロッドシリンダ6を停止する。
【0055】
かかる作動において、一実施形態と略同様に、ばね室51が作動油を貯蔵するタンクとしての機能を有するから、タンクを不要にしたり、タンクを設ける場合にも小型のタンクで対応可能で、装置全体をコンパクトにできる。また、第1~4ピストン64A~64Dを介して第1~4ピストン室54A~54Dからばね室51側に漏れる作動油は、油圧回路外に流出することなく、タンクとしての機能を有するばね室51に流入して油圧回路内に環流するから、油圧回路内の作動油量の減少を低減できる。また、両電磁ポンプ2A,2Bはアキュムレータ本体64に形成した第3吸入流路85を介してばね室51に貯蔵した作動油を吸入し、アキュムレータ本体63に形成した第3吐出流路86を介して第1~4ピストン室54A~54Dに作動油を吐出するから、両電磁ポンプ2A,2Bとアキュムレータ3とを外部配管で接続することなく一体的にできて、配管作業を簡略化することができる。また、片ロッドシリンダ6から流出する作動油は第1,第2戻り流路84,87を介してばね室51に流入するから、片ロッドシリンダ6から流出する作動油を貯蔵するタンクを格別に設ける必要がなく、より一層装置全体をコンパクトにできる。また、片ロッドシリンダ6から流出する作動油は、アキュムレータ本体63に形成した第1戻り流路84を介してばね室51に流入するから、片ロッドシリンダ6からの戻り流路をアキュムレータ3に外部配管で接続することなく、配管作業を簡略化することができる。また、片ロッドシリンダ6が作動に必要とする流量に応じて、配置するピストンの数を変更可能であるから、容易に製作することができる。また、給排口78からばね室51に貯蔵された作動油の給入・排出等ができるから、保守・点検作業を容易に行うことができる。また、両電磁ポンプ2A,2Bは駆動源としての両ポンプ部8A,8Bと両ソレノイド部7A,7Bとが一体的に形成されているから、電動機等の駆動源が不要で、より一層装置全体をコンパクトにできる。
【0056】
なお、前述の各実施形態では、液圧ポンプとして両電磁ポンプ2A,2Bを用いたが、これに限らず、電動機等を駆動源とするベーンポンプ、ピストンポンプ、ギヤポンプ等の液圧ポンプを用いてもよい。また、2個の両電磁ポンプ2A,2Bを用いたが、1個または3個以上の液圧ポンプを用いてもよい。また、第1~4チェック弁56~59は、両電磁ポンプ2A,2Bの両ポンプ部8A,8Bの内部に配設したが、両ポンプ部8A,8Bの外部に配設してもよい。また、液圧ポンプ装置1は、4個の第1~4ピストン64A~64Dと4個の第1~4ピストン室54A~54Dと1個のばね室51を備えるアキュムレータを1個設けたが、1個のピストンと1個のピストン室と1個のばね室を備える1個のアキュムレータを1個または複数個設けてもよい。また、片ロッドシリンダ6の作動室6Cから流出する作動油はすべてアキュムレータ3のばね室51に還流したが、用途に応じて小型のタンクを追加して、当該小型のタンクに還流してもよい。また、前述の他の実施形態では、第1~4ガイド部材97C,97D(2個は図示せず)は、一端を第2側板61の第1~4圧入孔96C,96D(2個は図示せず)に圧入して固定すると共に、他端を第1~4ピストン64A~64Dの他端面と間隙を有して対向して設けたが、第1~4ガイド部材97C,97D(2個は図示せず)より短尺のガイド部材を第1~4ピストン64A~64Bの第2側板61との対向面と、第2側板61の凸部61B端面にそれぞれ突設してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:液圧ポンプ装置
2A:第1電磁ポンプ
2B:第2電磁ポンプ
3:アキュムレータ
6:片ロッドシリンダ
7A:第1ソレノイド部
7B:第2ソレノイド部
8A:第1ポンプ部
8B:第2ポンプ部
17A,17B:可動鉄心
50A:第1吸入口
50B:第2吸入口
51:ばね室
53A:第1吐出口
53B:第2吐出口
54A:第1ピストン室
54B:第2ピストン室
54C:第3ピストン室
54D:第4ピストン室
63:アキュムレータ本体
64A:第1ピストン
64B:第2ピストン
64C:第3ピストン
64D:第4ピストン
76A:第1ばね
76B:第2ばね
76C:第3ばね
76D:第4ばね
78:給排口
84:第1戻り流路
85:第3吸入流路
86:第3吐出流路
87:第2戻り流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9