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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】信号出力装置及び信号出力方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220106BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20220106BHJP
【FI】
G08G1/16 E
B60W30/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017253696
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019121025
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆司
(72)【発明者】
【氏名】杉江 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 理
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】長▲瀬▼ 太郎
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-101599(JP,A)
【文献】特開2013-061797(JP,A)
【文献】特開2017-206040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方移動体との距離を所定距離に保つために移動体を加減速させる制御装置に、前記所定距離を変化させる制御信号を出力する信号出力装置であって、
前記移動体が移動している道路の前方の路側帯に存在する他移動体を検出する検出部と;
前記他移動体が検出されない際には、前記所定距離を前記移動体の走行速度に基づく標準距離とさせ、前記他移動体が検出される際には、前記所定距離を前記標準距離よりも長くさせる制御信号を出力する出力部と;を備え、
前記検出部は、前記路側帯に存在する前記他移動体を含む画像の解析結果に基づいて、前記他移動体から前記他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性の有無を更に検出し、
前記出力部は、前記可能性が有ると検出される際には、前記可能性が無いと検出される際よりも前記所定距離を長くさせる制御信号を出力する、
ことを特徴とする信号出力装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記画像の解析結果が、前記他移動体が前記路側帯上を移動していることを示す場合に、前記搭乗者が前記他移動体から出てくる可能性が無いことを検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記画像の解析結果が、前記他移動体が前記路側帯上を移動しておらず、かつ、前記他移動体の周囲に停止表示器材の設置がないことを示す場合に、前記搭乗者が前記他移動体から出てくる可能性が有ることを検出する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号出力装置。
【請求項4】
前記移動体が移動する道路は高速道路である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の信号出力装置。
【請求項5】
検出部と、出力部とを備え、前方移動体との距離を所定距離に保つために移動体を加減速させる制御装置に、前記所定距離を変化させる制御信号を出力する信号出力装置において使用される信号出力方法であって、
前記移動体が移動している道路の前方の路側帯に存在する他移動体を、前記検出部が検出する検出工程と;
前記他移動体が検出されない際には、前記所定距離を前記移動体の走行速度に基づく標準距離とさせ、前記他移動体が検出される際には、前記所定距離を前記標準距離よりも長くさせる制御信号を、前記出力部が出力する出力工程と;を備え、
前記検出工程において、前記検出部は、前記路側帯に存在する前記他移動体を含む画像の解析結果に基づいて、前記他移動体から前記他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性の有無を更に検出し、
前記出力工程において、前記出力部は、前記可能性が有ると検出される際には、前記可能性が無いと検出される際よりも前記所定距離を長くさせる制御信号を出力する、
ことを特徴とする信号出力方法。
【請求項6】
信号出力装置が有するコンピュータに、請求項5に記載の信号出力方法を実行させる、ことを特徴とする信号出力プログラム。
【請求項7】
信号出力装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項6に記載の信号出力プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号出力装置、信号出力方法及び信号出力プログラム、並びに、当該信号出力プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体の運転手による運転操作を支援するための様々な技術が提案されている。こうした提案技術の一つとして、自動車専用の高速道路上に存在する移動体を検出し、その検出された移動体の存在による自車の走行に対する影響の大きさを考慮して、当該検出された移動体に関する情報を報知するか否かを定める技術がある(特許文献1参照;以下、「従来例」という)。
【0003】
かかる従来例の技術では、検出された移動体が路側帯上で停止している場合等、路側帯上に存在する移動体の移動速度が所定の判定閾値速度よりも遅い場合には、当該検出された移動体に関する情報を一律に報知しないようになっている。また、報知に際しては、音及び表示の双方により同時(音による報知は一度のみ)に行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-061797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路側帯上の移動体が、例えば、停止車両であるときには、当該停止車両が急発進したり、車内から人が降りて走行車線に飛び出す可能性がある。こうした事態が発生した場合には、直接的又は間接的に、自車の安全走行に影響を及ぼすことがある。ここで、直接的な影響としては、停止車両の急発進や、停止車両の車内から飛び出してきた人を回避するための運転操作対応が必要となること等が挙げられる。また、間接的な影響としては、自車の前方を走行する前方車両が、上述した事態の発生に対応するために、それまでの走行状況からは予測できない走行や停車を行ったことによる前方車両を回避するための運転操作対応が必要となること等が挙げられる。
【0006】
ところで、近年、車両の自動運転技術が進展している。こうした自動運転技術の一つとして、前方車両との間の距離を所定距離に保つために、自車を自動的に加減速させる技術がある。この技術では、前方車両との間の距離を検出して、当該距離以外の周囲環境として前方の路側帯上の他車両の存在を考慮して、上述した直接的又は間接的な影響を抑制する技術についての具体的な提案はなされていない。
【0007】
このため、前方移動体との間の距離を所定距離に保つために、自移動体を自動的に加減速させる自動運転制御中に、前方の路側帯における移動体の存在の有無に応じて適切に自移動体を安全に移動させることができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、前方移動体との距離を所定距離に保つために移動体を加減速させる制御装置に、前記所定距離を変化させる制御信号を出力する信号出力装置であって、前記移動体が移動している道路の前方の路側帯に存在する他移動体を検出する検出部と;前記他移動体が検出されない際には、前記所定距離を前記移動体の走行速度に基づく標準距離とさせ、前記他移動体が検出される際には、前記所定距離を前記標準距離よりも長くさせる制御信号を出力する出力部と;を備え、前記検出部は、前記路側帯に存在する前記他移動体を含む画像の解析結果に基づいて、前記他移動体から前記他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性の有無を更に検出し、前記出力部は、前記可能性が有ると検出される際には、前記可能性が無いと検出される際よりも前記所定距離を長くさせる制御信号を出力する、ことを特徴とする信号出力装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、検出部と、出力部とを備え、前方移動体との距離を所定距離に保つために移動体を加減速させる制御装置に、前記所定距離を変化させる制御信号を出力する信号出力装置において使用される信号出力方法であって、前記移動体が移動している道路の前方の路側帯に存在する他移動体を、前記検出部が検出する検出工程と;前記他移動体が検出されない際には、前記所定距離を前記移動体の走行速度に基づく標準距離とさせ、前記他移動体が検出される際には、前記所定距離を前記標準距離よりも長くさせる制御信号を、前記出力部が出力する出力工程と;を備え、前記検出工程において、前記検出部は、前記路側帯に存在する前記他移動体を含む画像の解析結果に基づいて、前記他移動体から前記他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性の有無を更に検出し、前記出力工程において、前記出力部は、前記可能性が有ると検出される際には、前記可能性が無いと検出される際よりも前記所定距離を長くさせる制御信号を出力する、ことを特徴とする信号出力方法である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、信号出力装置が有するコンピュータに、請求項5に記載の信号出力方法を実行させる、ことを特徴とする信号出力プログラムである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、信号出力装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項6に記載の信号出力プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。

【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る信号出力装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る信号出力装置の構成を示すブロック図である。
図3図2の処理制御ユニットが実行する内部フラグFLG1の更新処理を説明するためのフローチャートである。
図4図2の処理制御ユニットが実行する車間距離維持機能の制御処理を説明するためのフローチャートである。
図5図4の画像解析処理を説明するためのフローチャートである。
図6図5の路側帯上の他車両の検出処理を説明するためのフローチャートである。
図7図6の路側帯上の他車両の特定処理を説明するためのフローチャートである。
図8図5の停止表示器材の検出処理を説明するためのフローチャートである。
図9図4の車間距離制御信号の生成処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態を、図1を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[構成]
図1には、一実施形態に係る信号出力装置700の構成がブロック図にて示されている。信号出力装置700は、車両等の移動体MVに配置される。本実施形態では、移動体MVには、信号出力装置700に加えて、撮影部910、移動速度検出部920及び位置検出部930が配置されている。また、移動体MVには、自動運転装置950が更に配置されている。
【0015】
上記の撮影部910は、本実施形態では、移動体MVの前方画像を撮影する撮影装置を備えて構成されている。撮影装置による撮影結果は、信号出力装置700へ送られる。
【0016】
なお、不図示ではあるが、本実施形態では、撮影部910における撮影装置による撮影結果は、自動運転装置950へも送られ、自動運転装置950による自動運転制御で活用されるようになっている。
【0017】
上記の移動速度検出部920は、移動体MVの移動速度を検出する。移動速度検出部920による検出結果は、移動速度情報として、信号出力装置700へ送られる。
【0018】
なお、不図示ではあるが、本実施形態では、移動速度検出部920による検出結果は、自動運転装置950へも送られ、自動運転装置950による自動運転制御で活用されるようになっている。
【0019】
上記の位置検出部930は、移動体MVの現在位置を検出する。位置検出部930による検出結果は、現在位置情報として信号出力装置700へ送られる。
【0020】
なお、不図示ではあるが、本実施形態では、位置検出部930による検出結果は、自動運転装置950へも送られ、自動運転装置950による自動運転制御で活用されるようになっている。
【0021】
自動運転装置950は、走行環境に応じて、移動体MVの加減速、操舵等を行う。すなわち、自動運転装置は、走行環境に応じて、移動体MVの加減速、操舵等を行う制御装置としての機能を果たすようになっている。この自動運転装置950は、処理実行中の自動運転機能を信号出力装置700へ通知するようになっている。すなわち、自動運転装置950は、自動運転機能の処理を開始すると、その旨(処理実行を開始した自動運転機能、及び、処理開始した旨)を、自動運転処理情報として、信号出力装置700へ通知する。一方、自動運転装置950は、自動運転機能の処理を終了すると、その旨(処理実行を中止した自動運転機能、及び、処理終了した旨)を、自動運転処理情報として、信号出力装置700へ通知する。こうした自動運転装置950が有する自動運転機能には、前方移動体との間の距離を所定距離に保つために移動体MVを自動的に加減速させる移動体間距離維持機能が含まれている。
【0022】
自動運転装置950は、信号出力装置700から送られた移動体間距離制御信号を受ける。そして、自動運転装置950は、移動体間距離制御信号に従って、上述の所定距離の増減を行うようになっている。
【0023】
なお、本実施形態では、自動運転装置950は、信号出力装置700とほぼ同時に動作電力の供給が開始されると、動作を開始する。この動作開始時には、自動運転装置950が有する機能に含まれる移動体間距離維持機能の処理を行っていないものとする。そして、利用者による移動体間距離維持機能の処理の開始指令が行われると、移動体間距離維持機能の処理が開始されるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、自動運転装置950は、移動体MVの移動速度に応じた標準距離の情報を保持している。そして、自動運転装置950は、信号出力装置700から送られた移動体間距離制御信号に含まれる複数段階のいずれかの段階の距離指定に応じて、前方移動体との間で維持すべき所定距離を設定するようになっている。
【0025】
<信号出力装置700の構成>
次に、上記の信号出力装置700の構成について説明する。
【0026】
信号出力装置700は、記憶部710を備えている。また、信号出力装置700は、検出部720と、出力部730とを備えている。
【0027】
上記の記憶部710は、不揮発性の記憶素子を備えて構成される。この記憶部710には、信号出力装置700において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、地図情報、撮影部910が備える撮影装置の光学特性等が含まれている。なお、記憶部710には、検出部720がアクセス可能となっている。
【0028】
上記の検出部720は、撮影部910から送られた撮影結果、移動速度検出部920から送られた移動速度情報、及び、位置検出部930から送られた現在位置情報を受ける。そして、検出部720は、当該移動速度情報及び当該現在位置情報、並びに、記憶部710内に記憶された地図情報に基づいて、高速道路の移動中における当該高速道路での移動体MVの前方の路側帯上に存在する他移動体に関する情報(以下、「他移動体情報」という)を検出する。
【0029】
なお、検出部720による他移動体情報の検出処理については、後述する。
【0030】
上記の出力部730は、自動運転装置950から送られた自動運転処理情報を受ける。そして、出力部730は、自動運転装置950が移動体間距離維持機能の処理を実行しているか否かを示す内部フラグの更新処理を行う。
【0031】
また、出力部730は、検出部720から送られた他移動体情報を受ける。引き続き、出力部730は、自動運転装置950が移動体間距離維持機能の処理を実行している場合に、当該他移動体情報に基づいて、移動体MVと同一車線の前方を移動する移動体(以下、「前方移動体」という)との間で維持すべき距離を指定する移動体間距離制御信号を生成する。そして、出力部730は、生成された移動体間距離制御信号を、自動運転装置950へ送る。
【0032】
なお、出力部730による内部フラグの更新処理及び移動体間距離制御信号の生成処理については、後述する。
【0033】
[動作]
次に、上記のように構成された信号出力装置700の動作について、検出部720による他移動体情報の検出処理、及び、出力部730による内部フラグの更新処理及び移動体間距離制御信号の生成処理に主に着目して説明する。
【0034】
なお、撮影部910は、動作を開始しており、撮影結果を逐次、信号出力装置700へ送っているものとする。また、移動速度検出部920は、動作を開始しており、検出された移動速度情報を逐次、信号出力装置700へ送っているものとする。また、位置検出部930は、動作を開始しており、検出された現在位置情報を逐次、信号出力装置700へ送っているものとする。また、自動運転装置950は、動作を開始しており、自動運転処理情報を、必要に応じて、信号出力装置700へ送っているものとする。
【0035】
<他移動体情報の検出処理>
他移動体情報の検出処理に際して、検出部720は、まず、現在位置情報に基づいて、記憶部710内に記憶された地図情報を参照し、移動体MVが移動している道路が高速道路であるか否かの高速道路判定を行う。当該高速道路判定の結果が否定的であった場合には、検出部720は、高速道路判定の処理を繰り返す。
【0036】
高速道路判定の結果が肯定的であった場合には、検出部720は、撮影部910から送られた撮影結果の画像解析処理を行って、他移動体情報を検出する。かかる画像解析処理に際して、本実施形態では、検出部720は、まず、路側帯上の他移動体を検出する他移動体検出処理を行う。引き続き、検出部720は、当該他移動体が検出された否かの他移動体判定を行う。
【0037】
他移動体判定の結果が否定的であった場合には、検出部720は、「路側帯上の他移動体が無かった」旨を、他移動体情報として出力部730へ送る。そして、検出部720は、今回の他移動体情報の検出処理を終了し、上述した高速道路判定の処理を再度開始する。
【0038】
一方、他移動体判定の結果が肯定的であった場合には、検出部720は、撮影結果の時間変化から移動体MVに対する相対速度を算出する。引き続き、検出部720は、算出された相対速度と、移動体速度検出部920から移動体MVの移動速度とに基づいて、他移動体の移動速度を算出する。
【0039】
次に、検出部720は、算出された他移動体の移動速度に基づいて、当該他移動体が停止しているといえるか否かの停止判定を行う。この停止判定の結果が否定的であった場合には、検出部720は、「路側帯上に他移動体が存在しているが、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が無い」旨を他移動体情報として出力部730へ送る。そして、検出部720は、今回の他移動体情報の検出処理を終了し、上述した高速道路判定の処理を再度開始する。
【0040】
停止判定の結果が肯定的であった場合には、検出部720は、撮影結果の画像を画像解析により、他移動体の手前側に設置された停止表示器材の検出処理を行う。かかる停止表示器材の検出処理に際して、法律、規則等により規定されている停止表示器材の色、形状、大きさに対応した検出処理を行う。例えば、日本国内の場合には、停止表示器材は、赤色又は朱色の枠状三角板であって、所定の大きさと、底辺が路面と略並行となっていることを条件に、停止表示器材の検出処理が行われる。
【0041】
次に、検出部720は、他移動体の手前側に設置された停止表示器材が検出されたか否かの停止表示器材判定を行う。この停止表示器材判定の結果が肯定的であった場合には、検出部720は、「路側帯上に他移動体が存在しているが、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が無い」旨を他移動体情報として出力部730へ送る。そして、検出部720は、今回の他移動体情報の検出処理を終了し、上述した高速道路判定の処理を再度開始する。
【0042】
一方、停止表示器材判定の結果が否定的であった場合には、検出部720は、「路側帯上に他移動体が存在しており、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が有る」旨を他移動体情報として出力部730へ送る。そして、検出部720は、今回の他移動体情報の検出処理を終了し、上述した高速道路判定の処理を再度開始する。
【0043】
<内部フラグの更新処理>
次に、出力部730が実行する内部フラグの更新処理について説明する。
【0044】
出力部730は、自動運転装置950から送られた新たな自動運転処理情報を受ける。そして、出力部730は、自動運転装置950が移動体間距離維持機能の処理を実行しているか否かを示す内部フラグの更新処理を行う。
【0045】
内部フラグの更新処理に際して、出力部730が、自動運転装置950から送られた自動運転処理情報を受けたか否かの自動運転処理情報の受信判定を行う。この自動運転処理情報の受信判定処理の判定結果が否定的であった場合には、自動運転処理情報の受信判定処理が繰り返される。
【0046】
自動運転処理情報を受け、自動運転処理情報の受信判定の結果が肯定的となると、出力部730は、当該自動運転処理情報が移動体間距離維持機能の処理を開始した旨の自動運転処理情報であった場合には、内部フラグを「ON」に設定する。一方、出力部730は、当該自動運転装置950が移動体間距離維持機能の処理を終了した旨の自動運転処理情報であった場合には、内部フラグを「OFF」に設定する。
【0047】
こうして内部フラグの設定が終了すると、出力部730は、再度、自動運転処理情報の受信判定処理を開始する。
【0048】
<移動体間距離制御信号の生成処理>
次に、出力部730が実行する移動体間距離制御信号の生成処理について説明する。この移動体間距離制御信号の生成処理は、上述した内部フラグの更新処理と並行して実行される。
【0049】
移動体間距離制御信号の生成処理に際して、出力部730は、検出部720から送られた新たな移動体情報を受けると、当該新たな移動体情報に対応する移動体間距離制御信号の生成処理を行う。かかる移動体間距離制御信号の生成処理に際して、出力部730は、新たな移動体情報が「路側帯上の他移動体が無かった」旨の情報であった場合には、標準距離を指定した移動体間距離制御信号を生成する。そして、出力部730は、生成された移動体間距離制御信号を、自動運転装置950へ送る。
【0050】
また、出力部730は、新たな移動体情報が「路側帯上に他移動体が存在しており、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が有る」旨の情報であった場合には、第1拡張距離を指定した移動体間距離制御信号を生成する。ここで、第1拡張距離は、上述した標準距離よりも長い距離となっている。そして、出力部730は、生成された移動体間距離制御信号を、自動運転装置950へ送る。
【0051】
また、出力部730は、新たな移動体情報が「路側帯上に他移動体が存在しているが、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が無い」旨の情報であった場合には、第2拡張距離を指定した移動体間距離制御信号を生成する。ここで、第2拡張距離は、上述した標準距離よりも長く、かつ、上述した第1拡張距離よりも短い距離となっている。
【0052】
こうして移動体間距離制御信号の生成が終了すると、今回の移動体間距離制御信号の生成処理が終了する。そして、生成された移動体間距離制御信号の出力が終了すると、出力部730は、検出部720からの新たな移動体情報を待つ。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、信号出力装置700の検出部720が、移動体MVが移動する道路の前方の路側帯に存在する他移動体の検出処理を行う。そして、出力部730が、他移動体が検出されない際には、前方移動体との距離を移動体MVの移動速度に基づく標準距離とさせ、他移動体が検出される際には、前方移動体との距離を適切な距離に保つために、標準距離よりも長くさせる制御信号(移動体間距離制御信号)を、移動体MVに備わる自動運転装置950へ出力する。つまり、この場合は移動体MVを自動的に加減速させることにより前方移動体との距離を標準距離よりも長くさせる。
【0054】
したがって、本実施形態によれば、前方移動体との間の距離を所定距離に保つために、移動体MVを自動的に加減速させる自動運転制御中に、前方の路側帯における移動体の存在の有無に応じて移動体MVと前方移動体との距離を標準距離とするか標準距離より長くさせることができる。
【0055】
例えば、前方の路側帯における移動体の急発進や、移動体内から飛び出してきた人に対処するため、移動体MVの前方を走行する前方移動体が、それまでの走行状況からは予測できない走行や停車を行ったことを回避するための急な運転操作を行う場合がある。こうした場合であっても、本実施形態によれば、前方の路側帯に移動体があるときには、前方移動体との距離を標準距離より長くさせることができるので、上述した前方移動体の急な運転操作に対して、移動体MVが対処する余裕を提供することができる。
【0056】
また、本実施形態では、検出部720は、路側帯に存在する他移動体を含む画像の解析結果に基づいて、他移動体から当該他移動体の搭乗者が出てくる可能性の有無を更に検出する。そして、出力部730は、当該可能性が有ると検出される際には、当該可能性が無いと検出される際よりも、維持すべき移動体間距離を長くさせる制御信号を出力する。このため、当該他移動体の搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性の有無に応じて、安全運転の観点から、前方移動体との間の距離を適切な距離に保つことができる。
【0057】
また、本実施形態では、検出部720は、画像の解析結果が、他移動体が路側帯上を移動していることを示す場合に、搭乗者が当該他移動体から出てくる可能性が無いことを検出する。このため、他移動体から当該他移動体の搭乗者が出てくる可能性の有無を合理的に検出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、検出部720は、画像の解析結果が、他移動体が路側帯上を移動しておらず、かつ、他移動体の周囲に停止表示器材の設置がないことを示す場合に、搭乗者が他移動体から出てくる可能性が有ることを検出する。このため、他移動体から当該他移動体の搭乗者が出てくる可能性の有無を更に合理的に検出することができる。
【0059】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0060】
例えば、上記の実施形態では、移動体が高速道路を移動している場合のみ、移動体間距離制御信号を、自動運転装置へ出力するようにした。これに対し、移動体が高速道路以外の道路を移動している場合にも、移動体間距離制御信号を、自動運転装置へ出力するようにしてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、前方画像を解析することにより車線特定を行うようにした。これに対し、高精度地図と、GNSS(Global Navigation Satellite System)測位等の高精度な位置検出結果とを組み合わせて車線特定を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、信号出力装置と自動運転装置とを別装置としたが、同一装置において双方の機能の処理を行うようにしてもよい。
【0063】
なお、上記の実施形態における信号出力装置を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等の演算手段を備えたコンピュータシステムとして構成し、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の信号出力装置の一部又は全部の機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【実施例
【0064】
以下、本発明の一実施例を、図2図9を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、上記の実施形態を含めて、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
[構成]
図2には、一実施例に係る信号出力装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。信号出力装置100は、上述した実施形態に係る信号出力装置700(図1参照)の一態様となっている。
【0066】
信号出力装置100は、車両CR内に配置される。本実施例では、当該車両CRには、信号出力装置100に加えて、撮影ユニット210、車速検出ユニット220及び位置検出ユニット230が配置されている。また、車両CRには、自動運転装置250が更に配置されている。そして、撮影ユニット210、車速検出ユニット220、位置検出ユニット230及び自動運転装置250は、信号出力装置100に接続されている。
【0067】
上記の撮影ユニット210は、車両CRの前方画像を撮影する撮影装置を備えて構成されている。撮影ユニット210による撮影結果は、信号出力装置100へ送られる。なお、不図示ではあるが、本実施例では、撮影ユニット210における撮影装置による撮影結果は、自動運転装置250へも送られ、自動運転装置250による自動運転制御で活用されるようになっている。すなわち、撮影ユニット210は、上述した実施形態の撮影部910の機能を果たすようになっている。
【0068】
上記の車速検出ユニット220は、車両CRの車速を検出する。車速検出ユニット220による検出結果は、車速情報として信号出力装置100へ送られる。なお、不図示ではあるが、本実施例では、車速検出ユニット220による検出結果は、自動運転装置250へも送られ、自動運転装置250による自動運転制御で活用されるようになっている。すなわち、車速検出ユニット220は、上述した実施形態の移動速度検出部920の機能を果たすようになっている。
【0069】
上記の位置検出ユニット230は、車両CRの現在位置を検出する。位置検出ユニット230による検出結果は、現在位置情報として信号出力装置100へ送られる。なお、不図示ではあるが、本実施例では、位置検出ユニット230による検出結果は、自動運転装置250へも送られ、自動運転装置250による自動運転制御で活用されるようになっている。すなわち、位置検出ユニット230は、上述した実施形態の位置検出部930の機能を果たすようになっている。
【0070】
上記の自動運転装置250は、走行環境に応じて、車両CRの加減速、操舵等を行う。この自動運転装置250は、処理実行中の自動運転機能の情報を信号出力装置100へ通知するようになっている。すなわち、自動運転装置250は、自動運転機能の処理を開始すると、その旨(処理実行を開始した自動運転機能、及び、処理開始した旨)を、自動運転処理情報として、信号出力装置100へ通知する。一方、自動運転装置250は、自動運転機能の処理を終了すると、その旨(処理実行を中止した自動運転機能、及び、処理終了した旨)を、自動運転処理情報として、信号出力装置100へ通知する。こうした自動運転装置250が有する自動運転機能には、前方車両との間の距離を所定距離に保つために車両CRを自動的に加減速させる車間距離維持機能が含まれている。
【0071】
また、自動運転装置250は、信号出力装置100から送られた車間距離制御信号を受ける。そして、自動運転装置250は、車間距離制御信号に従って、上述の所定距離の増減を行うようになっている。
【0072】
なお、本実施例では、自動運転装置250は、信号出力装置100とほぼ同時に動作電力の供給が開始されると、動作を開始する。この動作開始時には、自動運転装置250が有する機能に含まれる車間距離維持機能の処理を行っていないものとする。そして、利用者による車間距離維持機能の処理の開始指令が行われると、車間距離維持機能の処理が開始されるようになっている。
【0073】
すなわち、自動運転装置250は、上述した実施形態における自動運転装置950の機能を果たすようになっている。
【0074】
<信号出力装置100の構成>
次いで、上記の信号出力装置100の構成について説明する。
【0075】
信号出力装置100は、処理制御ユニット110を備えている。また、信号出力装置100は、記憶ユニット120を備えている。
【0076】
上記の処理制御ユニット110は、信号出力装置100の動作を統括制御する。本実施例では、処理制御ユニット110は、演算手段としての中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御ユニット110が様々なプログラムを実行することにより、信号出力装置100としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した実施形態における検出部720及び出力部730の機能が含まれている。かかる処理制御ユニット110が実行する処理の詳細については、後述する。
【0077】
上記の記憶ユニット120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、信号出力装置100において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、地図情報、撮影ユニット210が備える撮影装置の光学特性等が含まれている。記憶ユニット120には、処理制御ユニット110がアクセスできるようになっている。すなわち、記憶ユニット120は、上述した記憶部710の機能を果たすようになっている。
【0078】
[動作]
以上のようにして構成された信号出力装置100の動作について、処理制御ユニット110による処理に主に着目して説明する。ここで、処理制御ユニット110は、内部フラグFLG1の更新処理と、自動運転装置250による車間距離維持機能の制御処理を含む処理を実行することにより、信号処理装置100が果たすべき機能を果たすようになっている。なお、内部フラグFLG1の更新処理と、車間距離維持機能の制御処理とは、並行して実行される。
【0079】
なお、撮影ユニット210は、動作を開始しており、撮影結果を逐次、信号出力装置100へ送っているものとする。また、位置検出ユニット230は、動作を開始しており、検出された現在位置情報を逐次、信号出力装置100へ送っているものとする。また、自動運転装置250は、動作を開始しており、自動運転情報を、必要に応じて、信号出力装置100へ送っているものとする。
【0080】
さらに、車両CRは、日本国内の高速道路上の走行車線領域及び追越車線領域のいずれかを移動しているものとする。また、車線の区画表示のために路上に描かれている車線区画線の色が白色又は黄色であるものとする。また、車線区画線の形状としては、クロソイド曲線が採用されているものとする。さらに、停止表示器材は、赤色又は朱色の枠状三角板であって、所定の大きさを有しており、底辺が路面と略並行となっていることを条件に、停止表示器材を検出するようになっている。
【0081】
<内部フラグFLG1の更新処理>
処理制御ユニット110は、信号出力装置100の電源が「ON」となると、内部フラグFLG1の更新処理を直ちに開始する。
【0082】
内部フラグFLG1の更新処理に際しては、図3に示されるように、まず、ステップS11において、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG1を「OFF」に初期設定する。引き続き、ステップS12において、処理制御ユニット110が、自動運転装置250から送られた自動運転処理情報を受けたか否かを判定する。ステップS12における判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)には、ステップS12の処理が繰り返される。
【0083】
自動運転処理情報を受け、ステップS12における判定の結果が肯定的となると(ステップS12:Y)、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、処理制御ユニット110が、車間距離維持機能の処理を開始した旨の自動運転処理情報であるか否かを判定する。
【0084】
ステップS13における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG1を「ON」に設定する。そして、処理はステップS12へ戻る。
【0085】
ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、処理制御ユニット110が、車間距離維持機能の処理を終了した旨の自動運転処理情報であるか否かを判定する。
【0086】
ステップS15における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS15:Y)には、処理はステップS16へ進む。このステップS16では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG1を「OFF」に設定する。そして、処理はステップS12へ戻る。
【0087】
ステップS15における判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、処理はステップS12へ戻る。そして、以後、上述したステップS12~S16の処理が繰り返され、自動運転装置250が車間距離維持機能の処理を実行しているか否かに応じて、内部フラグFLG1の値が更新される。
【0088】
<車間距離維持機能の制御処理>
車間距離維持機能の制御処理に際しては、図4に示されるように、まず、ステップS21において、位置検出ユニット230から送られた現在位置情報に基づいて、記憶ユニット120内に記憶された地図情報を参照し、車両CRが走行している道路が高速道路であるか否かを判定する。ステップS21における判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0089】
ステップS21における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG1が「ON」であるか否かを判定することにより、自動運転装置250が車間距離維持機能の処理を実行しているか否かを判定する。ステップS22における判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS21へ戻る。そして、ステップS22における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS21,S22の処理が繰り返される。
【0090】
ステップS22における判定の結果が肯定的となると(ステップS22:Y)、処理はステップS23へ進む。このステップS23では、処理制御ユニット110が、撮影ユニット220から送られた前方画像を取得する。また、処理制御ユニット110は、車速検出ユニット220から送られた車速情報を取得する。
【0091】
次に、ステップS24において、処理制御ユニット110が、画像解析処理を行うことにより、他車両情報の検出を行う。なお、ステップS24による画像解析処理の詳細については、後述する。
【0092】
次いで、ステップS25において、処理制御ユニット110が、検出された他車両情報に基づいて、車間距離制御信号を生成する。なお、車間距離制御信号の生成処理の詳細については、後述する。
【0093】
そして、ステップS26において、処理制御ユニット110が、生成された車間距離制御信号を自動運転装置250へ出力する。ステップS26の処理が終了すると、処理はステップS21へ戻る。以後、上述したステップS21~S26の処理が繰り返される。
【0094】
《画像解析処理》
次に、上述したステップS24における画像解析処理について説明する。
【0095】
画像解析処理に際しては、図5に示されるように、ステップS31において、処理制御ユニット110が、路側帯上の他車両の検出処理を行う。なお、路側帯上の他車両の検出処理の詳細については、後述する。
【0096】
次に、ステップS32において、処理制御ユニット110が、路側帯上の他車両が検出されたか否かを判定する。ステップS32における判定の結果が否定的であった場合(ステップS32:N)には、処理はステップS33へ進む。
【0097】
ステップS33では、処理制御ユニット110が、他車両情報である内部フラグFLG2を(0,0)に設定する。ステップS33の処理が終了すると、ステップS24の処理が終了する。そして、処理は、上述した図4におけるステップS25へ進む。
【0098】
ステップS32における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS32:Y)には、処理はステップS34へ進む。このステップS34では、処理制御ユニット110が、検出された他車両が新たな他車両であるか否かを判定する。ステップS34における判定の結果が否定的であった場合(ステップS34:N)には、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG2の値を設定することなく、ステップS24の処理が終了する。そして、処理は、図4におけるステップS25へ進む。
【0099】
ステップS34における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS34:Y)には、処理はステップS35へ進む。このステップS35では、処理制御ユニット110が、検出された路側帯上の他車両が停止しているといえるか否かの判定を行う。かかる判定に際して、処理制御ユニット110は、撮影結果の時間変化から車両CRに対する当該他車両の相対速度を算出する。引き続き、処理制御ユニット110は、算出された相対速度と、車速検出ユニット220から送られた車両CRの車速情報とに基づいて、路側帯上の他車両が停止しているといえるか否かを判定する。
【0100】
ステップS35における判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、処理制御ユニット110が、「路側帯上に他車両が存在しているが、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が無い」と判断する。そして、処理は、後述するステップS39へ進む。
【0101】
ステップS35における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS35:Y)には、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、処理制御ユニット110が、停止表示器材の検出処理を行う。なお、停止表示器材の検出処理の詳細については、後述する。
【0102】
次に、ステップS37において、処理制御ユニット110が、路側帯上の他車両の手前に停止表示器材があるか否かを判定する。ステップS37における判定の結果が否定的であった場合(ステップS37:N)には、処理制御ユニット110が、「路側帯上に他車両が存在しており、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が有る」と判断する。そして、処理はステップS38へ進む。
【0103】
ステップS38では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG2を(1,0)に設定する。ステップS38の処理が終了すると、ステップS24の処理が終了する。そして、処理は、図4におけるステップS25へ進む。
【0104】
一方、ステップS37における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS37:Y)には、処理制御ユニット110が、「路側帯上に他車両が存在しているが、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が無い」と判断する。そして、処理はステップS39へ進む。
【0105】
ステップS39では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG2を(1,1)に設定する。ステップS39の処理が終了すると、ステップS24の処理が終了する。そして、処理は、図4におけるステップS25へ進む。
【0106】
《路側帯上の他車両の検出処理》
次いで、ステップS31における路側帯上の他車両の検出処理について説明する。
【0107】
路側帯上の他車両の検出処理に際しては、図6に示されるように、まず、ステップS41において、処理制御ユニット110が、取得した前方画像のグレースケール化を行う。引き続き、ステップS42において、処理制御ユニット110が、グレースケール化された画像から画像特徴量を抽出する。なお、本実施例では、処理制御ユニット110は、HOG(Histograms of Gradients)特徴量を抽出するようになっている。
【0108】
次いで、ステップS43において、処理制御ユニット110が、抽出された画像特徴量に基づいて、車両を識別する。なお、本実施例では、処理制御ユニット110は、SVM(Support Vector Machine)識別のアルゴリズムを用いて、車両を識別するようになっている。
【0109】
なお、処理制御ユニット110には、内部に、教師付き学習により作成された、車両識別のためのSVM識別器の機能が実装されている。
【0110】
次に、ステップS44において、処理制御ユニット110が、他車両が検出された否かを判定する。ステップS44における判定の結果が否定的であった場合(ステップS44:N)には、路側帯上の他車両の検出処理を終了する。そして、処理は、上述した図5におけるステップS32へ進む。
【0111】
ステップS44における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS44:Y)には、処理はステップS45へ進む。このステップS45では、処理制御ユニット110が、路側帯上の他車両の特定処理を行う。なお、路側帯上の他車両の特定処理の詳細については、後述する。
【0112】
次に、ステップS46において、処理制御ユニット110が、ステップS45の処理により特定された他車両の速度を算出する。かかる算出に際して、処理制御ユニット110は、まず、撮影結果の時間変化から車両CRに対する他車両の相対速度を算出する。引き続き、処理制御ユニット110は、算出された相対速度と、車速検出ユニット220から送られた車両CRの車速情報とに基づいて、路側帯上の他車両の速度を算出する。
【0113】
ステップS46の処理が終了すると、ステップS31の処理が終了する。そして、処理は、上述した図5におけるステップS32へ進む。
【0114】
《路側帯上の他車両の特定処理》
次いで、ステップS45における路側帯上の他車両の特定処理について説明する。
【0115】
路側帯上の他車両の特定処理に際しては、図7に示されるように、まず、ステップS51において、処理制御ユニット110が、撮影ユニット210が備えるカメラの光学特性情報に基づいて、処理制御ユニット110が、前方画像を鳥瞰画像へ変換する。なお、本実施例では、処理制御ユニット110は、当該光学特性情報に対応する行列演算により、前方画像を鳥瞰画像へ変換するようになっている。
【0116】
次に、ステップS52において、処理制御ユニット110が、鳥瞰画像における車線区画線候補を抽出する。かかる車線区画線候補の抽出に際して、本実施例では、処理制御ユニット110は、鳥瞰画像における白色又は黄色の領域を抽出する。これは、上述したように、本実施例においては、車線の区画表示のために路上に描かれている車線区画線の色が白色又は黄色であることによる。
【0117】
次いで、ステップS53において、処理制御ユニット110が、鳥瞰画像の二値化画像を生成する。かかる二値化画像の生成に際して、処理制御ユニット110は、抽出された領域の画素値を第1の値(例えば、「1」)とするとともに、抽出された領域以外の領域の画素値を第2の値(例えば、「0」)とした二値化画像を生成する。
【0118】
次に、ステップS54において、処理制御ユニット110が、車線区画線の特定を行う。かかる車線区画線の特定に際して、処理制御ユニット110は、まず、当該二値化画像において画素値が第1の値の領域について、当該領域に関する代表線分を算出する。引き続き、処理制御ユニット110は、算出された代表線分に対してクロソイド曲線へのフィッティング処理を行う。このフィッティング処理の結果に基づき、処理制御ユニット110は、車線区画線を特定する。
【0119】
次いで、ステップS55において、処理制御ユニット110が、特定された車線区画線に基づいて、前方画像中における路側帯領域を特定する。かかる路側帯領域の特定に際して、処理制御ユニット110は、走行方向の右側には車線区画線が存在するが、当該走行方向の左側には車線区画線が存在しない領域を路側帯領域であると特定する。
【0120】
次に、ステップS56において、処理制御ユニット110が、特定された路側帯上に他車両が存在しているか否かを判定する。ステップS56における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS56:Y)には、処理はステップS57へ進む。
【0121】
ステップS57では、処理制御ユニット110が、路側帯上に他車両があると判断する。そして、ステップS45の処理が終了し、処理は、上述した図6のステップS46へ進む。
【0122】
ステップS56における判定の結果が否定的であった場合(ステップS56:N)には、処理はステップS58へ進む。このステップS58では、処理制御ユニット110が、路側帯上に他車両がないと判断する。そして、ステップS45の処理が終了し、処理は図6のステップS46へ進む。
【0123】
《停止表示器材の検出処理》
次いで、図5のステップS36において実行される停止表示器材の検出処理について説明する。
【0124】
停止表示器材の検出処理に際しては、図8に示されるように、まず、ステップS61において、処理制御ユニット110が、前方画像における停止表示器材の図形候補を抽出する。かかる図形候補の抽出に際して、本実施例では、処理制御ユニット110は、前方画像における赤色又は朱色の領域を抽出する。これは、上述したように、本実施例においては、停止表示器材は、赤色又は朱色の枠状三角板であることによる。
【0125】
引き続き、ステップS62において、処理制御ユニット110が、前方画像の二値化画像を生成する。かかる二値化画像の生成に際して、処理制御ユニット110は、抽出された領域の画素値を第1の値(例えば、「1」)とするとともに、抽出された領域以外の領域の画素値を第2の値(例えば、「0」)とした二値化画像を生成する。
【0126】
次に、ステップS63において、処理制御ユニット110が、抽出された領域について、ハフ変換を行って短直線を抽出する。引き続き、ステップS64において、処理制御ユニット110が、三角形となる短直線の組み合わせがあるか否かを判定する。
【0127】
ステップS64における判定の結果が否定的であった場合(ステップS64:N)には、処理は、後述するステップS68へ進む。ステップS64における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS64:Y)には、処理はステップS65へ進む。
【0128】
ステップS65では、処理制御ユニット110が、短直線の組み合わせにより形成される三角形の大きさが停止表示器材として適正な大きさか否かを判定する。かかる判定に際して、処理制御ユニット110は、前方画像中における当該三角形の大きさ、前方画像中における位置、及び、記憶ユニット120に記憶されている撮影装置の光学特性に基づいて、停止表示器材として適正な大きさか否かを判定する。
【0129】
ステップS65における判定の結果が否定的であった場合(ステップS65:N)には、処理はステップS68へ進む。ステップS65における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS65:Y)には、処理はステップS66へ進む。
【0130】
ステップS66では、処理制御ユニット110が、三角形の底辺が路面とほぼ平行か否か(すなわち、当該三角形は上向きか否か)を判定する。ステップS66における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS66:Y)には、処理はステップS67へ進む。
【0131】
ステップS67では、処理制御ユニット110が、停止表示器材が存在すると判断する。そして、ステップS36の処理が終了し、処理は、上述した図5のステップS37へ進む。
【0132】
ステップS66における判定の結果が否定的であった場合(ステップS66:N)には、処理はステップS68へ進む。このステップS68では、処理制御ユニット110が、停止表示器材が存在しないと判断する。そして、ステップS36の処理が終了し、処理は、図5のステップS37へ進む。
【0133】
《車間距離制御信号の生成処理》
次いで、ステップS25において実行される車間距離制御信号の生成処理について説明する。
【0134】
車間距離制御信号の生成処理に際しては、図9に示されるように、まず、ステップS71において、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG2の値が(0,0)であるか否かを判定する。ステップS71における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS71:Y)には、処理はステップS72へ進む。
【0135】
ステップS72では、処理制御ユニット110が、「路側帯上の他車両が無かった」と判断し、標準距離を指定した車間距離制御信号を生成する。そして、ステップS25の処理が終了し、処理は、上述した図4のステップS26へ進む。
【0136】
ステップS71における判定の結果が否定的であった場合(ステップS71:N)には、処理はステップS73へ進む。このステップS73では、処理制御ユニット110が、内部フラグFLG2の値が(1,0)であるか否かを判定する。ステップS73における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS73:Y)には、処理はステップS74へ進む。
【0137】
ステップS74では、処理制御ユニット110が、「路側帯上に他車両が存在しており、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が有る」と判断し、第1拡張距離を指定した車間距離制御信号を生成する。ここで、第1拡張距離は、上述した標準距離よりも長い距離となっている。そして、ステップS25の処理が終了し、処理は、図4のステップS26へ進む。
【0138】
ステップS73における判定の結果が否定的であった場合(ステップS73:N)には、処理はステップS75へ進む。このステップS75では、処理制御ユニット110が、「路側帯上に他車両が存在しているが、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が無い」と判断し、第2拡張距離を指定した車間距離制御信号を生成する。ここで、第2拡張距離は、上述した標準距離よりも長く、かつ、上述した第1拡張距離よりも短い距離となっている。そして、ステップS25の処理が終了し、処理は、図4のステップS26へ進む。
【0139】
以上説明したように、本実施例では、信号出力装置100の処理制御ユニット110が、車両CRが走行する道路の前方の路側帯に存在する他車両の検出処理を行う。そして、処理制御ユニット110が、他車両が検出されない際には、車両CRの走行速度に基づく標準距離とさせ、他車両が検出される際には、前方車両との距離を適切な距離に保つために、標準距離よりも長くさせる車間距離制御を、車両CRに備わる自動運転装置250へ出力する。つまり、この場合は車両CRを自動的に加減速させることにより前方車両との距離を標準距離よりも長くさせる。
【0140】
したがって、本実施例によれば、前方車両との間の距離を所定距離に保つために、車両CRを自動的に加減速させる自動運転制御中に、前方の路側帯における車両の存在の有無に応じて車両CRと前方車両との距離を標準距離とするか標準距離より長くさせることができる。
【0141】
例えば、前方の路側帯における車両の急発進や、車内から飛び出してきた人に対処するため、車両CRの前方を走行する前方車両が、それまでの走行状況からは予測できない走行や停車を行ったことを回避するための急な運転操作を行う場合がある。こうした場合であっても、本実施例によれば、前方の路側帯における車両があるときには、前方車両との距離を標準距離より長くさせることができるので、上述した前方車両の急な運転操作に対して、車両CRが対処する余裕を提供することができる。
【0142】
また、本実施例では、処理制御ユニット110は、路側帯に存在する他車両を含む画像の解析結果に基づいて、他車両から当該他車両の搭乗者が可能性の有無を更に検出する。そして、処理制御ユニット110は、当該可能性が有ると検出される際には、当該可能性が無いと検出される際よりも、維持すべき車間距離を長くさせる車間距離制御信号を出力する。このため、当該他車両の搭乗者が当該他車両から出てくる可能性の有無に応じて、安全の観点から、前方車両との間の距離を適切な距離に保つことができる。
【0143】
また、本実施例では、処理制御ユニット110は、画像の解析結果が、他車両が路側帯上を走行していることを示す場合に、搭乗者が当該他車両から出てくる可能性が無いことを検出する。このため、他車両から当該他車両の搭乗者が出てくる可能性の有無を合理的に検出することができる。
【0144】
また、本実施例では、処理制御ユニット110は、画像の解析結果が、他車両が路側帯上を走行しておらず、かつ、他車両の周囲に停止表示器材の設置がないことを示す場合に、搭乗者が他車両から出てくる可能性が有ることを検出する。このため、他車両から当該他車両の搭乗者が出てくる可能性の有無を更に合理的に検出することができる。
【0145】
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0146】
例えば、上記の実施例では、他車両の認識に際して、HOG特徴量の算出を行った後にSVMアルゴリズムを採用した手法により、他車両の認識を行うようにした。これに対し、例えば、深層学習の手法を採用して、他車両の認識を行うようにしてもよい。
【0147】
また、上記の実施例では、停止表示器材の検出に際して、ハフ変換を使用する方式を採用したが、他の方式を採用して停止表示器材の検出を行うようにしてもよい。
【0148】
また、上記の実施例では、上述した実施形態の場合と同様の変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0149】
100 … 信号出力装置
110 … 処理制御ユニット(検出部、出力部)
250 … 自動運転装置(制御装置)
700 … 信号出力装置
720 … 検出部
730 … 出力部
950 … 自動運転装置(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9