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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20220128BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018124826
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020003711
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(74)【代理人】
【識別番号】100169247
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 佳世
(72)【発明者】
【氏名】林 俊秀
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-240014(JP,A)
【文献】特開昭63-032513(JP,A)
【文献】特開2015-040986(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105137579(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群とから実質的に構成され、変倍に際して互いに隣接するレンズ群間の間隔が変化するように各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動するズームレンズであって、
以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.40 ≦ f3/f1 ≦ 0.70 ・・・(2)
但し、
f1: 前記第1レンズ群の焦点距離
f3: 前記第3レンズ群の焦点距離
【請求項2】
前記第3レンズ群を光軸に沿って移動させることで合焦する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
以下の条件を満足する請求項2に記載のズームレンズ。
3.00 ≦ |(1-β3t )×β4t | ≦ 15.00 ・・・(1)
但し、
β3t: 望遠端における前記第3レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
β4t: 望遠端における前記第4レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【請求項4】
以下の条件を満足する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
1.50 ≦ β3t ≦ 3.50 ・・・(3)
但し、
β3t:望遠端における前記第3レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【請求項5】
以下の条件を満足する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.30 ≦ f2/|f1| ≦ 0.90 ・・・(4)
但し、
f1: 前記第1レンズ群の焦点距離
f2: 前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項6】
以下の条件を満足する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
3.00 ≦ f4/f1 ≦ 500.00 ・・・(5)
但し、
f1: 前記第1レンズ群の焦点距離
f4: 前記第4レンズ群の焦点距離
【請求項7】
以下の条件を満足する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.80 ≦ |f3|/f2 ≦ 2.00 ・・・(6)
但し、
f2: 前記第2レンズ群の焦点距離
f3: 前記第3レンズ群の焦点距離
【請求項8】
以下の条件を満足する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
nd_max ≧ 1.85 ・・・(7)
但し、
nd_max: 当該ズームレンズを構成するレンズの中で最も屈折率の高い硝材からなるレンズのd線に対する屈折率
【請求項9】
以下の条件を満足する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.08 ≦ R4n/f4n ≦ 1.00 ・・・(8)
但し、
R4n: 前記第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの物体側面の曲率半径
f4n: 前記第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの焦点距離
【請求項10】
前記第2レンズ群は少なくとも2枚の正レンズを含む請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第3レンズ群は正レンズ及び負レンズをそれぞれ少なくとも1枚含む請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記第4レンズ群は正レンズ及び負レンズをそれぞれ少なくとも1枚含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズが形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ズームレンズ及び撮像装置に関し、特に、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の光学像を受光して電気的な画像信号に変換する固体撮像素子を用いた撮像装置に好適なズームレンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CCDやCMOS等の固体撮像素子では、撮像レンズ等からの入射光を効率的に受光するために各画素上にオンチップマイクロレンズ等を備えている。入射光の光軸に対する傾斜角度が大きくなると、ケラレが発生してオンチップマイクロレンズによる集光率が低下する。そのため、従来、入射光の光軸に対する傾斜角度を小さくしなければならないという制約があり、撮像レンズの射出瞳径を一定以上に大きくして像側テレセントリック性を確保することが求められていた。
【0003】
しかしながら、近年、オンチップマイクロレンズの実効開口率が著しく向上し、固体撮像素子の受光面に対して光線が斜入射したときも、ケラレが発生しにくく、周辺減光(シェーディング)が目立ちにくくなってきた。そのため、従来では、像側テレセントリック性を確保すべく撮像レンズの像側には正レンズが配置されていたが、近年では、撮像レンズの射出瞳径に関する制約が小さくなり、撮像レンズの像側に負レンズを配置することが可能になってきた。そこで、近年では、撮像レンズの像側に負レンズを配置することで、撮像レンズの小型化を図ることが行われるようになってきている。
【0004】
このような撮像レンズとして、物体側から順に負正負負の屈折力配置を有する4群構成のズームレンズが知られている(例えば、特許文献1~特許文献3参照)。これらのズームレンズでは最も像側に負のレンズ群を配置することで、特に、広角端における光学全長の短縮化が図られている。ところで、ズームレンズでは、変倍時に各レンズ群間の光軸上の間隔を変化させることで、焦点距離を変化させると共に、各焦点距離毎に収差補正を行う。このとき、全てのレンズ群が可動群であると、変倍比を大きくすることが容易になり、これと同時に、各焦点距離における収差補正が容易になるため好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭63-032513号公報
【文献】特開2012-226307号公報
【文献】特開2016-90746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のズームレンズでは、変倍時に第1群と第4群とが光軸上に固定されるため、変倍比を大きくすることが困難であり、収差補正の上でも不利である。また、特許文献1に開示の負正負負の4群構成のズームレンズ(数値実施例1、数値実施例2、数値実施例5)では、第4群が固定群であることから、像面湾曲及び歪曲収差の補正に不利な光学構成となっている。
【0007】
また、特許文献2に開示の負正負負の4群構成のズームレンズ(実施例7、実施例8)でも、やはり変倍時に第4レンズ群が光軸上に固定されるため、像面湾曲及び歪曲収差の補正が困難である。
【0008】
これに対して、特許文献3に開示のズームレンズは、変倍時に第4レンズ群が光軸に沿って移動するため、特許文献1及び特許文献2に開示のズームレンズと比較すると、大きな変倍比を実現することが容易であり、且つ、収差補正の上でも有利である。しかしながら、当該特許文献3に開示のズームレンズでは第3レンズ群が比較的大きな径のレンズから構成されており、当該ズームレンズの小型化が十分ではない。
【0009】
本件発明の課題は、小型であり、且つ、高性能なズームレンズ及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本件発明に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群とから実質的に構成され、変倍に際して互いに隣接するレンズ群間の間隔が変化するように各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動するズームレンズであって、以下の条件を満足することを特徴とする。
0.40 ≦ f3/f1 ≦ 0.72 ・・・(2)
但し、
f1: 前記第1レンズ群の焦点距離
f3: 前記第3レンズ群の焦点距離
【0011】
また、上記課題を解決するため、本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、当該ズームレンズが形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本件発明によれば、小型であり、且つ、高性能なズームレンズ及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本件発明の実施例1のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図2】実施例1のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図3】実施例1のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図4】実施例1のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図5】本件発明の実施例2のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図6】実施例2のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図7】実施例2のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図8】実施例2のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図9】本件発明の実施例3のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図10】実施例3のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図11】実施例3のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図12】実施例3のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図13】本件発明の実施例4のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図14】実施例4のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図15】実施例4のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図16】実施例4のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図17】本件発明の実施例5のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図18】実施例5のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図19】実施例5のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図20】実施例5のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図21】本件発明の参考例1のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図22参考例1のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図23参考例1のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図24参考例1のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図25】本件発明の参考例2のズームレンズの、広角端(上段)、中間焦点距離位置(中段)、望遠端(下段)における無限遠合焦時のレンズ構成例を示す断面図である。
図26参考例2のズームレンズの広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図27参考例2のズームレンズの中間焦点距離位置における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
図28参考例2のズームレンズの望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図、及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する当該ズームレンズ及び撮像装置は本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0015】
1.ズームレンズ
1-1.ズームレンズの光学構成
まず、本件発明に係るズームレンズの実施の形態を説明する。本実施の形態のズームレンズは、物体側から順に、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群とから実質的に構成される。ここで、「実質的に構成される」とは、当該ズームレンズを実質的に構成するレンズ群は上記第1レンズ群から第4レンズ群の4つのレンズ群であるが、それ以外に実質的にパワーを持たないレンズ群や、絞りやカバーガラス等のレンズ以外の光学要素等を備えることは許容されることを意味する。なお、各レンズ群は少なくとも1枚のレンズを含むものとする。
【0016】
当該ズームレンズにおいて、第1レンズ群及び第2のレンズ群を全体として正の屈折力を有する物体側群とし、第3レンズ群及び第4レンズ群を全体として負の屈折力を有する像側群とすることで、テレフォトタイプの屈折力配置を実現することができ、望遠端における当該ズームレンズの光学全長を焦点距離に比して短くすることができる。また、第3レンズ群及び第4レンズ群がそれぞれ負の屈折力を有するため、撮像素子の大きさに比して、像側群を構成するレンズの径を小さくすることが比較的容易になる。これらのことから小型のズームレンズを実現することが容易になる。以下、各レンズ群の光学構成に関してより詳細に説明する。
【0017】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は負の屈折力を有するレンズ群である。当該ズームレンズにおいて、最も物体側に配置される第1レンズ群に負の屈折力を配置することで、広角端において広角化を図りつつ当該ズームレンズの小型化を図る上で有利である。
【0018】
当該第1レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含む。特に、複数枚の負レンズを用いて第1レンズ群を構成すれば、第1レンズ群に適切な負の屈折力を配置しつつ、各負レンズに屈折力を分散配置することで諸収差(球面収差、像面湾曲等)の発生を抑制することができ、光学性能の高いズームレンズを実現することが容易になるため好ましい。また、第1レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを含むことが収差補正(球面収差、像面湾曲、色収差等)を良好に行う上で好ましい。
【0019】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを含む。当該ズームレンズの中で正の屈折力を有するレンズ群は第2レンズ群のみである。従って、第2レンズ群に強い正の屈折力を配置することで、上記物体側群に強い正の屈折力を配置することができ、テレフォト傾向の強い屈折力配置を実現することができる。ここで、第2レンズ群は少なくとも2枚の正レンズを含むことが好ましい。複数枚の正レンズを用いて第2レンズ群を構成することにより、第2レンズ群に強い正の屈折力を配置しつつ、各正レンズに屈折力を分散配置することで、球面収差の発生を抑制することができ、望遠端における光学全長が短く、小型であり、且つ、高性能なズームレンズを実現することが容易になる。また、第2レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含むことが収差補正を良好に行う上で好ましい。
【0020】
(3)第3レンズ群
第3レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含む。例えば、第3レンズ群を正レンズ及び負レンズをそれぞれ少なくとも1枚含む構成とすることで、球面収差及び色収差を良好に補正することができるため好ましい。ここで、第3レンズ群を正レンズ及び負レンズの2枚のレンズから構成すれば、良好な光学性能を実現しつつ、第3レンズ群をコンパクトに構成することができて好ましい。特に、後述するように、第3レンズ群をフォーカス群として用いる場合、第3レンズ群を正レンズ及び負レンズの2枚のレンズから構成することにより、フォーカス群の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0021】
(4)第4レンズ群
第4レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含む。ここで、第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの物体側面は凹面であることが好ましい。当該負レンズの物体側面を凹面とすることで、非点収差を良好に補正することが可能になる。
【0022】
また、第4レンズ群は正レンズ及び負レンズをそれぞれ少なくとも1枚含む構成とすることが好ましい。第4レンズ群が負レンズだけでなく、正レンズを少なくとも1枚含む構成とすることにより、歪曲収差及び像面湾曲を良好に補正することができる。
【0023】
ここで、第4レンズ群の最も像側、すなわち当該ズームレンズの最も像側に正レンズを配置すれば、糸巻き型の歪曲収差(正の歪曲収差)の補正が容易となる。また、第4レンズ群の最も像側に正レンズを配置すれば、像面に対する主光線入射角度が大きくなりすぎるのを抑制することができるため、オンチップマイクロレンズによる集光率を向上させることができる。当該効果を得る上で、この第4レンズ群の最も像側に配置される正レンズは両凸形状であることが好ましい。
【0024】
また、第4レンズ群を正レンズ及び負レンズの2枚のレンズから構成すれば、良好な光学性能を実現しつつ、第4レンズ群をコンパクトに構成することができて好ましい。
【0025】
(5)開口絞り
本件発明に係るズームレンズにおいて開口絞りの配置は特に限定されるものではない。なお、ここでいう開口絞りは、当該ズームレンズの光束径を規定する開口絞り、すなわち当該ズームレンズのFnoを規定する開口絞りをいう。
【0026】
開口絞りは、第2レンズ群の物体側から第3レンズ群の像側までの間に配置することが、その前後の光線を効果的にカットして当該ズームレンズの高性能化を図る上で好ましい。また、開口絞りはフォーカス群よりも物体側に配置されることがより好ましい。開口絞りをフォーカス群よりも物体側に配置することによって、ウォブリング時の画角変動を抑制することができる。当該ズームレンズにおいて、例えば、第3レンズ群をフォーカス群とする場合、第3レンズ群よりも物体側に開口絞りを配置することが好ましく、特に、第2レンズ群の物体側に開口絞りを配置すれば、前玉の一層の小径化を図ることができ、より好ましい。
【0027】
1-2.動作
(1)変倍時の動作
当該ズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際して、互いに隣接するレンズ群間の間隔が変化するように各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。このように変倍に際して当該ズームレンズを構成する全てのレンズ群(第1レンズ群から第4レンズ群)を可動群とすることで、変倍比を大きくすることが容易になり、これと同時に各焦点距離における収差補正が容易になる。特に、第4レンズ群を可動群とすることで、変倍域全域において像面湾曲や歪曲収差の補正が容易になり、変倍域全域で高性能なズームレンズを実現することができる。なお、変倍時における各レンズ群の移動量や移動の方向は、所望の変倍比を実現することができる限り、特に限定されるものではない。特に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が小さく、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔が大きく、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔が変化し、第4レンズ群と像面との間隔が大きくなるように各レンズ群を移動させることが、変倍域全域で高性能なズームレンズを実現するうえで好ましい。
【0028】
(2)合焦時の動作
当該ズームレンズにおいて、無限遠から至近物体への合焦の際に、第1レンズ群から第4レンズ群のうちいずれかのレンズ群をフォーカス群として用い、そのフォーカス群を光軸方向に移動させて合焦する。特に、当該ズームレンズでは、第3レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。当該ズームレンズでは、物体側から順に負正負負の4群構成を採用している。第3レンズ群には第2レンズ群により収束された光束が入射する。そのため、他のレンズ群を構成するレンズと比較すると、第3レンズ群は径の小さいレンズから構成される。また、第3レンズ群は負の屈折力を有するため、正の屈折力を有するレンズ群と比較すると、軽量化を図ることが容易である。これらのことから、第3レンズ群をフォーカス群とすることで、迅速なオートフォーカス動作を実現することができる。さらに、フォーカス群の小型化及び軽量化を図ることで、フォーカス群を光軸に沿って移動させるためのフォーカス駆動機構に対する負荷を小さくすることができる。そのため、フォーカス駆動機構の小型化及び軽量化を図ることができ、鏡筒部分を含むズームレンズユニット全体の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0029】
さらに、第3レンズ群の像側には、第3レンズ群と同じく負の屈折力を有する第4レンズ群が配置される。そのため、フォーカス群の像倍率を容易に高めることができ、合焦時のフォーカス群の移動量を小さくすることができる。これにより、より迅速なオートフォーカス動作を実現することができ、且つ、当該ズームレンズの光学全長を短くすることができる。
【0030】
例えば、当該ズームレンズを用いてコントラストAF方式における動画撮像時にウォブリングを行う場合、負正負負の屈折力配置を有するズームレンズにおいて、開口絞りよりも像側に配置された第3レンズ群をフォーカス群とすることにより、迅速なウォブリングが可能になり、且つ、ウォブリング時の画角変動を抑制することが可能になる。そのため、当該ズームレンズを動画撮像に用いる際も、撮像装置の液晶モニタに表示される画像に違和感を生じさせにくくすることができる。なお、ウォブリングとは、コントラストAF方式における動画撮像時にフォーカス群を光軸に沿って前後に微少量高速で移動させることで合焦状態を維持する動作をいう。
【0031】
1-3.条件式
次に、当該ズームレンズでは、次に説明する条件式を一つ以上満足することが好ましい。
【0032】
1-3-1.条件式(1)
3.00 ≦ |(1-β3t )×β4t | ≦ 15.00 ・・・(1)
但し、
β3t: 望遠端における第3レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
β4t: 望遠端における第4レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【0033】
条件式(1)は、第3レンズ群をフォーカス群として用いたときの第3レンズ群のいわゆるピント敏感度を規定した式である。条件式(1)を満足させることにより、第3レンズ群をフォーカス群として用いたときの第3レンズ群のピント敏感度が適正な範囲内となる。そのため、合焦時の第3レンズ群の移動量を小さくできるため、迅速なウォブリングが可能になるとともに、当該ズームレンズの光学全長を短くすることができる。また、合焦時の収差変動が小さく、物体距離によらず合焦域全域において高性能なズームレンズを実現することができる。
【0034】
これに対して、条件式(1)の数値が下限値未満になると、第3レンズ群をフォーカス群として用いたとき、第3レンズ群のピント敏感度が小さくなる。そのため、合焦時の第3レンズ群の移動量が大きくなるため、当該ズームレンズの光学全長が長くなる。一方、条件式(1)の数値が上限値を超えると、第3レンズ群をフォーカス群として用いたとき、第3レンズ群のピント敏感度が大きくなる。この場合、合焦時の第3レンズ群の移動量を小さくすることができるため、迅速なウォブリングを実現する点及び当該ズームレンズの光学全長を短くする点では好ましい。しかしながら、ピント敏感度が大きくなりすぎると、合焦時の収差変動が大きくなる。そのため、合焦域全域において良好な結像性能を得るには、収差補正の為に多くのレンズ枚数が必要となり、当該ズームレンズの小型化が困難になるため、好ましくない。
【0035】
これらの効果を得る上で、条件式(1)の下限値は、3.60であることがより好ましく、4.20であることがさらに好ましく、4.60であることが一層好ましい。また、条件式(1)の上限値は、14.00であることがより好ましく、13.00であることがさらに好ましく、12.50であることが一層好ましい。
【0036】
1-3-2.条件式(2)
0.40 ≦ f3/f1 ≦ 3.00 ・・・(2)
但し、
f1: 第1レンズ群の焦点距離
f3: 第3レンズ群の焦点距離
【0037】
条件式(2)は、第3レンズ群の焦点距離と第1レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。条件式(2)を満足させることにより、第1レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、第3レンズ群の小型化を図りつつ、より高性能なズームレンズを実現することができる。さらに、第3レンズ群をフォーカス群とすれば、当該条件式(2)を満足することで、迅速なウォブリングが可能になる。
【0038】
これに対して、条件式(2)の数値が下限値未満である場合、第1レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が強くなり、当該第3レンズ群の小型化を図る上では好ましいが、球面収差の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(2)の数値が上限値を超える場合、第1レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が弱く、第3レンズ群を構成するレンズの径を大きくする必要がある。さらに、この場合、所望の変倍比を実現するには、変倍時における第3レンズ群の移動量を大きくする必要があり、当該ズームレンズの光学全長も長くなる。これらのことから、当該ズームレンズの小型化を図る上で好ましくない。
【0039】
これらの効果を得る上で、条件式(2)の下限値は、0.43であることがより好ましく、0.47であることがさらに好ましい。また、条件式(2)の上限値は、2.00であることがより好ましく、1.30であることがさらに好ましく、1.15であることが一層好ましく、0.90であることがより一層好ましく、0.80であることがさらに一層好ましく、0.72であることがさらにより一層好ましい。
【0040】
1-3-3.条件式(3)
1.50 ≦ β3t ≦ 3.50 ・・・(3)
但し、
β3t:望遠端における第3レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【0041】
条件式(3)は、望遠端における第3レンズ群の無限遠合焦時の横倍率を規定した式である。条件式(3)を満足させることにより、第3レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、望遠端における当該ズームレンズの光学全長を短くすることができ、より小型で、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0042】
これに対して、条件式(3)の数値が上限値を超える場合、第3レンズ群の望遠端における横倍率が大きくなり、像面湾曲の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になり、好ましくない。一方、条件式(3)の数値が下限値未満の場合、第3レンズ群の望遠端における横倍率が小さくなるため、所望の変倍比を実現するには変倍時の移動量が大きくなり、光学全長が長くなるため、好ましくない。また、第3レンズ群をフォーカス群とした場合、合焦時の移動量が大きくなるため、この場合も、光学全長が長くなるため好ましくない。
【0043】
これらの効果を得る上で、条件式(3)の下限値は、1.80であることがより好ましく、2.00であることがさらに好ましく、2.20であることが一層好ましく、2.30であることがより一層好ましい。また、条件式(3)の上限値は、3.40であることがより好ましく、3.30であることがさらに好ましく、3.20であることが一層好ましく、3.10であることがより一層好ましい。
【0044】
1-3-4.条件式(4)
0.30 ≦ f2/|f1| ≦ 0.90 ・・・(4)
但し、
f1: 第1レンズ群の焦点距離
f2: 第2レンズ群の焦点距離
【0045】
条件式(4)は、第2レンズ群の焦点距離と第1レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。条件式(4)を満足させることにより、第1レンズ群に対する第2レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、光学全長を短くすることができ、より小型で、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0046】
これに対して、条件式(4)の数値が下限値未満である場合、第1レンズ群に対する第2レンズ群の屈折力が強くなり、球面収差の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になり、好ましくない。一方、条件式(4)の数値が上限値を超える場合、第1レンズ群に対する第2レンズ群の屈折力が弱くなり、光学全長が長くなるため、好ましくない。
【0047】
これらの効果を得る上で、条件式(4)の下限値は、0.34であることがより好ましく、0.38であることがさらに好ましく、0.40であることが一層好ましく、0.44であることがより一層好ましく、0.48であることがさらに一層好ましい。また、条件式(4)の上限値は、0.80であることがより好ましく、0.75であることがさらに好ましく、0.68であることが一層好ましく、0.64であることがより一層好ましく、0.60であることがさらに一層好ましい。
【0048】
1-3-5.条件式(5)
3.00 ≦ f4/f1 ≦ 500.00 ・・・(5)
但し、
f1: 第1レンズ群の焦点距離
f4: 第4レンズ群の焦点距離
【0049】
条件式(5)は、第4レンズ群の焦点距離と第1レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。条件式(5)を満足させることにより、第1レンズ群に対する第4レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、第4レンズ群の小型化を図りつつ、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0050】
これに対して、条件式(5)の数値が下限値未満である場合、第1レンズ群に対する第4レンズ群の屈折力が強くなり、像面湾曲の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(5)の数値が上限値を超える場合、第1レンズ群に対する第4レンズ群の屈折力が弱くなり、第4レンズ群を径の大きなレンズにより構成する必要があり、好ましくない。
【0051】
これらの効果を得る上で、条件式(5)の下限値は、3.5であることがより好ましく、4.0であることがさらに好ましく、4.5であることが一層好ましく、5.0であることがより一層好ましく、5.50であることがさらに一層好ましく、6.00であることがさらにより一層好ましく、7.00であることがさらにより一層好ましく、9.00であることが最も好ましい。また、条件式(5)の上限値は、100.00であることがより好ましく、50.00であることがさらに好ましい。
【0052】
1-3-6.条件式(6)
0.80 ≦ |f3|/f2 ≦ 2.00 ・・・(6)
但し、
f2: 第2レンズ群の焦点距離
f3: 第3レンズ群の焦点距離
【0053】
条件式(6)は、第3レンズ群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。条件式(6)を満足することで、第2レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、当該ズームレンズの光学全長を短くすることができ、より小型で、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0054】
これに対して、条件式(6)の数値が下限値未満である場合、第2レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が強くなり、球面収差の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(6)の数値が上限値を超える場合、第2レンズ群に対する第3レンズ群の屈折力が弱くなる。そのため、所望の変倍比を実現するには変倍時の移動量が大きくなり、光学全長が長くなるため、好ましくない。また、第3レンズ群をフォーカス群とした場合、合焦時の移動量が大きくなるため、この場合も、光学全長が長くなるため好ましくない。
【0055】
これらの効果を得る上で、条件式(6)の下限値は、0.90であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましい。また、条件式(6)の上限値は、1.80であることがより好ましく、1.60であることがさらに好ましい。
【0056】
1-3-7.条件式(7)
nd_max ≧ 1.85 ・・・(7)
但し、
nd_max: 当該ズームレンズを構成するレンズの中で最も屈折率の高い硝材からなるレンズのd線に対する屈折率
【0057】
条件式(7)は、当該ズームレンズを構成するレンズの中で最も屈折率の高い硝材からなるレンズのd線に対する屈折率を規定した式である。条件式(7)を満足する場合、当該ズームレンズの中で最も屈折率の高い硝材からなるレンズのd線に対する屈折率が高いため、当該レンズの光学面の曲率を緩くしつつ、当該レンズに所望の屈折力を配置することができる。そのため、球面収差や像面湾曲の発生を抑制し、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0058】
これに対して、条件式(7)の数値が下限値未満である場合、当該ズームレンズを構成するレンズの屈折率が全体的に低くなる。そのため、最も屈折率の高い硝材からなるレンズに強い屈折力を配置しようとすると、そのレンズの曲率が大きくなりすぎてしまい、球面収差及び像面湾曲の補正が難しくなるため、好ましくない。
【0059】
これらの効果を得る上で、条件式(7)の下限値は、1.88であることがより好ましく、1.89であることがさらに好ましく、1.90であることが一層好ましい。条件式(7)の数値は大きいほど好ましいことから、条件式(7)の上限値を規定する必要はないが、上限値を設けるとすれば、2.30であることが好ましい。
【0060】
1-3-8.条件式(8)
0.08 ≦ R4n/f4n ≦ 1.00 ・・・(8)
但し、
R4n: 第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの物体側面の曲率半径
f4n: 第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの焦点距離
【0061】
条件式(8)は、第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの物体側面の曲率半径と、当該負レンズの焦点距離との比を規定するための式である。ここで、「第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズ」とは、第4レンズ群に含まれる負レンズの中でみたときに、最も物体側に配置される負レンズを意味する。従って、第4レンズ群において、最も物体側に配置されるレンズは、正レンズであってもよい。
【0062】
条件式(8)を満足させることにより、第4レンズ群に含まれる負レンズのうち、最も物体側に配置される負レンズの物体側の面の曲率半径が当該負レンズの焦点距離に対して適正な範囲内の値となり、非点収差を良好に補正することができ、より高性能なズームレンズを実現することができる。
【0063】
これに対して、条件式(8)の数値が下限値未満である場合、当該負レンズの物体側の面の曲率半径が小さくなりすぎて、非点収差の補正が難しくなる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(8)の数値が上限値を超える場合、当該負レンズの物体側の面の曲率半径が大きくなりすぎて、この場合も非点収差の補正が困難になる。そのため、高性能なズームレンズを実現することが困難になるため、好ましくない。
【0064】
これらの効果を得る上で、条件式(8)の下限値は、0.12であることがより好ましく、0.15であることがさらに好ましい。また、条件式(8)の上限値は、0.90であることがより好ましく、0.80であることがさらに好ましく、0.70であることが一層好ましく、0.65であることがより一層好ましい。
【0065】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置の実施の形態について説明する。本実施の形態の撮像装置は、上記ズームレンズと、当該ズームレンズの像側に当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【0066】
ここで、撮像素子に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレスカメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。特に、本件発明に係るズームレンズはバックフォーカスを短くすることができるため、ミラーレスカメラ等の光学式ファインダーやこれらに光を分岐するためのリフレックスミラー等を備えていない小型の(薄型の)撮像装置に特に好適である。
【0067】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に適用可能である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例1】
【0068】
(1)ズームレンズの光学構成
図1に、本件発明に係る実施例1のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0069】
実施例1のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図1に示すとおりである。
【0070】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0071】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0072】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該ズームレンズの面データを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の順番、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、「ABV」はd線に対するアッベ数を示している。また、面番号の次の列に表示する「ASPH」は当該レンズ面が非球面であることを表し、「STOP」は開口絞りを表している。さらに、レンズ面の光軸上の間隔の列に、「D(10)」、「D(18)」等と示すのは、当該レンズ面の光軸上の間隔が変倍の際に変化する可変間隔であることを意味する。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」である。また、曲率半径の欄の「0.0000」は平面を意味する。
【0073】
表2は、当該ズームレンズの緒元表である。当該緒元表には、無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離「f」、Fナンバー「Fno」、半画角「W」を示す。但し、表2には、左側から順に、広角端、中間焦点距離位置、望遠端におけるそれぞれの値を示している。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。
【0074】
表3に、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。表3において、左側から順に、広角端、中間焦点距離位置、望遠端におけるそれぞれの値を示している。
【0075】
表4は、各非球面の非球面係数である。当該非球面係数は、各非球面形状を下記式で定義したときの値である。
【0076】
【0077】
但し、上記式において、Zは光軸方向の基準面からの変位量、「h」は光軸からの高さ、「r」はレンズ面の曲率半径、kは円錐定数(コーニック係数)、Anはn次の非球面係数である。また、表4において、「E-a」は「×10-a」を示す。
【0078】
さらに、表29に条件式(1)~条件式(8)の値を示す。さらに、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。これらの表に関する事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0079】
[表1]
面番号 R D Nd ABV
1 262.4016 2.5145 1.64850 53.02
2 -94.5059 0.1500
3 23.8754 1.0000 1.49700 81.61
4 12.3169 4.6871
5ASPH 116.4202 1.1000 1.59201 67.02
6ASPH 30.4547 1.3000
7 19.9091 2.0157 1.85025 30.05
8 34.5261 2.2342
9 -22.4772 0.8000 1.83481 42.72
10 -48.7562 D(10)
11STOP 0.0000 5.7000
12ASPH 14.6415 3.4440 1.59201 67.02
13ASPH -47.6062 3.8656
14 -23.6702 1.3189 1.48749 70.44
15 -16.8463 0.1500
16 46.0017 0.6500 1.90525 35.04
17 9.8673 3.6391 1.49700 81.61
18 -26.1762 D(18)
19 41.1281 2.7696 1.85478 24.80
20 -39.2129 0.6000 1.87070 40.73
21 14.6661 D(21)
22 -14.0244 0.8000 1.48749 70.44
23 69.6142 0.1500
24 38.1984 4.6287 1.62004 36.30
25 -30.7530 D(25)
26 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
27 0.0000 1.0000
【0080】
[表2]
広角 中間 望遠
f 30.3983 37.4089 57.2344
Fno 4.1273 4.5238 5.7955
W 24.3778 20.2503 13.6039
【0081】
[表3]
広角 中間 望遠
D(10) 18.7785 11.5253 1.0000
D(18) 1.9897 2.4990 3.4144
D(21) 8.4546 7.8756 7.2090
D(25) 10.5000 14.1236 24.0992
【0082】
[表4]
面番号 K A4 A6 A8 A10
5 -1.00000E+00 1.60208E-05 -3.03538E-07 9.00607E-10
6 -4.68179E-01 5.05372E-06 -4.15836E-07 8.23239E-10
12 -8.20957E-01 -1.58005E-06 3.48510E-07 -3.70322E-09 -2.45693E-11
13 6.81681E-01 6.05224E-05 3.68740E-07 -6.33976E-09
【0083】
また、図2図4に当該実施例1のズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。
【0084】
球面収差図では、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線がd線(波長587.56nm)における球面収差、短破線がC線(波長656.28nm)における球面収差、長破線がF線(波長486.13nm)における球面収差を示している。
【0085】
非点収差図では、縦軸に像高(y)をとり、実線がd線(波長587.56nm)に対するサジタル像面(S)、四点鎖線がメリジオナル(タンジェンシャル)像面(T)における非点収差を示している。
【0086】
歪曲収差図では、縦軸に像高(y)をとり、実線がd線(波長587.56nm)における歪曲収差を示している。
【0087】
これらの縦収差図に関する事項は、他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【実施例2】
【0088】
(1)ズームレンズの光学構成
図5に、本件発明に係る実施例2のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0089】
実施例2のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図5に示すとおりである。
【0090】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0091】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0092】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表5~表8に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図6図8に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0093】
[表5]
面番号 R D Nd ABV
1 350.0000 2.2482 1.72342 37.99
2 -117.6537 0.1500
3 27.6575 1.0000 1.51680 64.20
4 13.4303 4.6982
5ASPH 155.4605 1.1000 1.59201 67.02
6ASPH 32.6330 1.0000
7 20.8844 2.3305 1.85026 32.27
8 40.9642 2.4954
9 -24.0997 0.8000 1.80610 40.73
10 -48.1650 D(10)
11STOP 0.0000 5.7000
12ASPH 14.7016 3.5017 1.59201 67.02
13ASPH -42.3991 3.9613
14 -19.0813 1.2963 1.48749 70.44
15 -14.6832 0.1500
16 72.8286 0.6500 1.90525 35.04
17 10.0353 3.6030 1.49700 81.61
18 -23.3847 D(18)
19 92.5254 5.1549 1.85478 24.80
20 -14.7070 0.8364 1.85135 40.10
21ASPH 15.8645 D(21)
22 -19.2912 0.8000 1.49700 81.61
23 103.3723 0.1500
24 29.3994 3.8368 1.60342 38.01
25 -71.9577 D(25)
26 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
27 0.0000 1.0000
【0094】
[表6]
広角 中間 望遠
f 30.3973 37.4029 57.2229
Fno 4.0207 4.4021 5.5619
W 24.3518 20.1852 13.5450
【0095】
[表7]
広角 中間 望遠
D(10) 21.6346 13.6684 1.1000
D(18) 1.9911 2.2231 3.0250
D(21) 5.8516 5.5586 5.5740
D(25) 10.5000 13.9758 22.0540
【0096】
[表8]
面番号 K A4 A6 A8 A10
5 -1.00000E+00 3.16444E-05 -2.55840E-07 9.60504E-10
6 1.10196E+00 1.92735E-05 -3.25232E-07 8.57182E-10
12 -8.39058E-01 1.26405E-08 2.90315E-07 -2.20897E-10 -6.11827E-12
13 8.67267E-01 6.27003E-05 3.10662E-07 -5.17925E-10
21 0.00000E+00 2.77791E-05 -1.97028E-07 5.84657E-09 -1.06205E-10
【実施例3】
【0097】
(1)ズームレンズの光学構成
図9に、本件発明に係る実施例3のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0098】
実施例3のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図9に示すとおりである。
【0099】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0100】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0101】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表9~表12に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図10図12に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0102】
[表9]
面番号 R D Nd ABV
1ASPH 30.7652 1.3000 1.85135 40.10
2ASPH 13.4310 6.1372
3 116.6805 1.1000 1.90366 31.31
4 33.3493 0.3000
5 22.2064 3.6619 1.84666 23.78
6 150.8137 2.3612
7 -25.5712 0.8000 1.49700 81.61
8 -75.4261 D( 8)
9STOP 0.0000 1.5000
10ASPH 14.6696 3.6605 1.58313 59.46
11ASPH -83.8000 3.2893
12 22.7815 0.6500 1.90366 31.31
13 9.5309 5.0570 1.49700 81.61
14 -17.3877 D(14)
15 272.5525 3.5674 1.90366 31.31
16 -8.7685 0.7000 1.85135 40.10
17ASPH 14.3382 D(17)
18 -12.1349 0.8000 1.49700 81.61
19 259.7001 0.1500
20 32.1025 5.1159 1.48749 70.44
21 -20.8039 D(21)
22 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
23 0.0000 1.0000
【0103】
[表10]
広角 中間 望遠
f 18.5452 30.0017 53.3331
Fno 3.5704 4.2677 5.7338
W 38.3105 25.5570 14.7739
【0104】
[表11]
広角 中間 望遠
D( 8) 28.3047 12.4399 1.1000
D(14) 1.9972 2.5641 3.4057
D(17) 4.4882 4.5051 4.9492
D(21) 10.5000 17.9396 32.4735
【0105】
[表12]
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 1.00000E+00 9.00806E-07 3.33627E-08 -6.11915E-11 -4.91726E-14
2 -6.37073E-01 2.86583E-05 1.28732E-07 4.32501E-10 2.69315E-12
10 -6.84699E-01 3.92664E-06 -1.61411E-08 7.33736E-09 -1.27761E-10
11 1.00000E+00 5.65666E-05 5.07996E-08 5.13741E-09 -1.31065E-10
17 0.00000E+00 7.00805E-05 3.62899E-07 -7.75680E-10 -3.44972E-11
【実施例4】
【0106】
(1)ズームレンズの光学構成
図13に、本件発明に係る実施例4のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0107】
実施例4のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図13に示すとおりである。
【0108】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0109】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0110】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表13~表16に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図14図16に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0111】
[表13]
面番号 R D Nd ABV
1ASPH 27.7946 1.3000 1.85135 40.10
2ASPH 12.7938 6.3351
3 898.2679 1.1000 1.90366 31.31
4 43.9533 0.3000
5 23.9993 3.4582 1.84666 23.78
6 326.4429 2.1221
7 -24.6780 0.8000 1.49700 81.61
8 -75.4261 D( 8)
9STOP 0.0000 1.5000
10ASPH 15.5129 6.3391 1.58313 59.46
11ASPH -80.7335 1.5540
12 21.5568 0.6500 1.90366 31.31
13 10.0025 5.4392 1.49700 81.61
14 -15.5857 D(14)
15 -1595.3445 3.3993 1.90366 31.31
16 -9.0127 0.7000 1.85135 40.10
17ASPH 14.0142 D(17)
18 -12.0182 0.8000 1.49700 81.61
19 -19.5564 0.1500
20 -33.5367 1.0000 1.62041 60.34
21 128.9094 0.1500
22 32.3955 4.5256 1.51680 64.20
23 -27.1529 D(23)
24 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
25 0.0000 1.0000
【0112】
[表14]
広角 中間 望遠
f 18.5451 30.0045 53.3400
Fno 3.6048 4.2940 5.7503
W 38.3084 25.5299 14.7931
【0113】
[表15]
広角 中間 望遠
D( 8) 26.9097 11.7376 1.1000
D(14) 1.9977 2.4211 2.9317
D(17) 4.4104 4.4116 5.1764
D(23) 10.5000 18.3892 33.9123
【0114】
[表16]
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 3.89163E-01 -3.57105E-06 6.80585E-08 -2.49971E-10 4.22826E-13
2 -2.14434E-01 -1.31373E-06 4.58609E-08 4.08509E-10 -1.31445E-12
10 -8.29497E-01 -1.67924E-06 -4.43070E-08 2.21955E-09 -7.29102E-11
11 -9.12967E-01 6.87447E-05 4.94342E-08 4.52688E-10 -9.19049E-11
17 0.00000E+00 5.48071E-05 4.31057E-07 -7.55733E-09 1.79733E-11
【実施例5】
【0115】
(1)ズームレンズの光学構成
図17に、本件発明に係る実施例5のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0116】
実施例5のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図17に示すとおりである。
【0117】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0118】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0119】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表17~表20に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図17図20に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0120】
[表17]
面番号 R D Nd ABV
1ASPH 32.4551 1.3000 1.85135 40.10
2ASPH 14.1446 6.0938
3 69.5786 1.1000 1.90366 31.31
4 28.6192 0.3000
5 21.1352 3.8223 1.84666 23.78
6 104.3321 2.6839
7 -24.9500 0.8000 1.49700 81.61
8 -75.4261 D( 8)
9STOP 0.0000 1.5000
10ASPH 15.6093 4.6179 1.58313 59.46
11ASPH -88.9268 1.6387
12 22.8427 0.6500 1.90366 31.31
13 10.5111 5.3718 1.49700 81.61
14 -14.3709 D(14)
15 -4026.6611 3.5404 1.90366 31.31
16 -8.6183 0.7000 1.85135 40.10
17ASPH 13.6109 D(17)
18 -12.3968 0.8000 1.49700 81.61
19 72.1891 0.1500
20 31.6824 2.0755 1.49700 81.61
21 399.6726 0.1500
22 82.7803 3.4794 1.49700 81.61
23 -22.9201 D(23)
24 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
25 0.0000 1.0000
【0121】
[表18]
広角 中間 望遠
f 18.5475 30.0028 53.3285
Fno 3.5106 4.1380 5.6863
W 38.3098 25.6276 14.8217
【0122】
[表19]
広角 中間 望遠
D( 8) 27.8534 12.0446 1.1000
D(14) 1.9967 2.2712 2.5309
D(17) 4.3171 4.3914 4.9747
D(23) 10.5000 18.3736 34.6287
【0123】
[表20]
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 1.00000E+00 2.27125E-07 9.47300E-08 -2.75903E-10 3.06117E-13
2 -2.05691E-01 5.03071E-06 1.15643E-07 4.26019E-10 7.16928E-13
10 -9.00982E-01 -3.79475E-06 -1.92094E-07 7.35737E-09 -2.00692E-10
11 -1.00000E+00 7.10411E-05 8.69306E-08 3.47955E-09 -2.00612E-10
17 0.00000E+00 8.24825E-05 5.99386E-07 -2.75720E-09 -4.12739E-12
【実施例6】
【0124】
〔参考例1〕
(1)ズームレンズの光学構成
図21に、本件発明に係る参考例1のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0125】
参考例1のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図21に示すとおりである。
【0126】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0127】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0128】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表21~表24に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図22図24に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0129】
[表21]
面番号 R D Nd ABV
1ASPH 26.1943 1.3000 1.85135 40.10
2ASPH 12.4196 6.4346
3 541.5568 1.1000 1.91082 35.25
4 41.0493 0.3000
5 23.2087 3.3402 1.84666 23.78
6 206.7894 2.7356
7 -22.4424 0.8000 1.49700 81.61
8 -75.4261 D( 8)
9STOP 0.0000 1.5000
10ASPH 14.8328 4.2290 1.58313 59.46
11ASPH -67.5735 3.3986
12 26.9739 0.6500 1.90366 31.31
13 9.9105 6.1783 1.49700 81.61
14 -18.5175 D(14)
15 113.4654 3.6022 1.90366 31.31
16 -9.6048 0.7000 1.85135 40.10
17ASPH 15.6829 D(17)
18 -13.7085 0.8000 1.49700 81.61
19 902.0785 0.1500
20 32.1243 4.8153 1.48749 70.44
21 -26.3845 D(21)
22 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
23 0.0000 1.0000
【0130】
[表22]
広角 中間 望遠
f 18.5414 29.9967 53.3413
Fno 3.6626 4.4089 5.7268
W 38.3161 25.6600 14.8010
【0131】
[表23]
広角 中間 望遠
D( 8) 25.4015 11.5251 1.1000
D(14) 1.9990 3.0457 5.0971
D(17) 5.5059 5.0451 5.0700
D(21) 10.5000 18.5992 32.1392
【0132】
[表24]
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 1.00000E+00 1.41767E-07 -2.47665E-08 5.01015E-11 1.72262E-13
2 -9.07102E-02 -1.27328E-06 -5.68344E-08 -1.43488E-10 -2.60341E-13
10 -6.74637E-01 3.97113E-06 1.54442E-07 1.38179E-09 -1.95114E-11
11 -1.00000E+00 5.44635E-05 1.30005E-07 7.80457E-10 -2.44607E-11
17 0.00000E+00 4.77862E-05 1.63370E-07 -7.71061E-10 -6.36119E-12
【実施例7】
【0133】
〔参考例2〕
(1)ズームレンズの光学構成
図25に、本件発明に係る参考例2のズームレンズの広角端状態(WIDE)、中間焦点距離位置状態(MID)、望遠端状態(TELE)におけるレンズ構成を示す。なお、図中に変倍時における各レンズ群の移動の軌跡を矢印で示す。
【0134】
参考例2のズームレンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。具体的なレンズ構成は図25に示すとおりである。
【0135】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群から第4レンズ群の各レンズ群が光軸方向にそれぞれ移動する。具体的には、第1レンズ群G1は一旦像側に移動した後に物体側へ移動し、第2レンズ群G2、第3レンズG3群及び第4レンズ群G4はそれぞれ物体側に移動することにより広角端から望遠端に変倍する。
【0136】
また、第3レンズ群G3を像側に移動させることで、無限遠物体から至近距離物体に合焦する。
【0137】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表25~表28に当該ズームレンズの面データ、当該ズームレンズの緒元、無限遠合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔及び各非球面の非球面係数をそれぞれ示す。また、表29に当該光学系の上記各条件式(1)~条件式(8)の数値を示し、表30に当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示す。さらに、図26図28に当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離位置、望遠端における無限遠合焦時の縦収差をそれぞれ示す。
【0138】
[表25]
面番号 R D Nd ABV
1ASPH 24.4482 1.3000 1.85135 40.10
2ASPH 11.9836 6.3913
3 357.9398 1.1000 1.91082 35.25
4 38.4649 0.3000
5 22.6467 3.2695 1.84666 23.78
6 208.6969 2.3703
7 -20.9973 0.8000 1.49700 81.61
8 -75.4261 D( 8)
9STOP 0.0000 1.5000
10ASPH 14.7763 4.4776 1.58313 59.46
11ASPH -61.6084 3.3681
12 29.1210 0.6500 1.90366 31.31
13 10.0630 6.3907 1.49700 81.61
14 -18.6731 D(14)
15 113.6097 3.5172 1.90366 31.31
16 -9.9117 0.7000 1.85135 40.10
17ASPH 16.7061 D(17)
18 -13.8736 0.8000 1.49700 81.61
19 386.4347 0.1500
20 34.0322 4.9099 1.48749 70.44
21 -25.0310 D(21)
22 0.0000 3.5600 1.51680 64.20
23 0.0000 1.0000
【0139】
[表26]
広角 中間 望遠
f 18.5411 29.9970 53.3434
Fno 3.6626 4.4089 5.7271
W 38.3179 25.6582 14.7772
【0140】
[表27]
広角 中間 望遠
D( 8) 25.0912 11.5655 1.1000
D(14) 1.9991 3.2491 6.0746
D(17) 5.8552 5.3271 5.2002
D(21) 10.5000 18.6451 31.0705
【0141】
[表28]
面番号 K A4 A6 A8 A10
1 1.00000E+00 -8.43847E-06 4.79157E-08 -3.98054E-10 1.47201E-12
2 -4.40134E-02 -1.57075E-05 -2.48918E-08 -5.59461E-10 -2.48948E-12
10 -6.73795E-01 4.52180E-06 1.87648E-07 4.50753E-10 3.00784E-12
11 -9.99876E-01 5.63719E-05 1.47794E-07 1.86609E-10 2.35236E-14
17 0.00000E+00 4.30328E-05 9.77008E-08 8.71723E-10 -1.98188E-11
【0142】
[表29]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 参考例1 参考例2
(1)|(1-β3t2)×β4t2| 4.90 4.89 8.99 11.54 11.99 6.49 5.63
(2)f3/f1 0.68 0.50 0.70 0.64 0.59 1.00 1.12
(3)β3t 2.12 2.30 2.78 3.08 3.09 2.46 2.32
(4)f2/|f1| 0.47 0.42 0.56 0.55 0.50 0.70 0.74
(5)f4/f1 7.94 21.30 34.69 27.47 27.42 37.78 39.13
(6)|f3|/f2 1.46 1.20 1.24 1.16 1.18 1.43 1.52
(7)nd_max 1.91 1.91 1.90 1.90 1.90 1.91 1.91
(8)R4n/f4n 0.59 0.59 0.52 0.18 0.58 0.50 0.52
【0143】
[表30]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 参考例1 参考例2
f1 -40.18 -46.96 -28.83 -28.18 -29.95 -25.08 -24.21
f2 18.69 19.56 16.27 15.49 14.97 17.58 17.87
f3 -27.21 -23.48 -20.18 -18.04 -17.67 -25.08 -27.17
f4 -318.91 -1000.00 -1000.00 -774.20 -821.20 -947.60 -947.60
【産業上の利用可能性】
【0144】
本件発明によれば、小型であり、且つ、高性能なズームレンズ及び撮像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0145】
G1・・・第1レンズ群
G2・・・第2レンズ群
G3・・・第3レンズ群
G4・・・第4レンズ群
図1
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