(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】開閉体開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/622 20150101AFI20220106BHJP
E05B 85/24 20140101ALI20220106BHJP
E05B 81/20 20140101ALI20220106BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E05F15/622
E05B85/24
E05B81/20 B
B60J5/10 H
(21)【出願番号】P 2018205998
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上甲 篤
(72)【発明者】
【氏名】大道 玄武
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-050411(JP,A)
【文献】特許第5325014(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 77/00-85/28
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の開口に対して開閉する開閉体と、前記開閉体を閉状態でロックするクローズ機構と、前記開閉体を開状態または閉状態へと遷移させる開閉体駆動部と、前記クローズ機構と前記開閉体駆動部との駆動を制御する制御部と、前記開閉体の位置を検知する位置検知部とを備えた開閉体開閉装置であって、
前記クローズ機構は、前記基体と前記開閉体との何れか一方に設けられた係合部と、他方に設けられた被係合部と、前記係合部を開状態と閉状態との間で遷移させるクローズ機構側駆動部と、前記係合部と前記被係合部とが相互作用したことを検知する相互作用検知部とを有し、
前記係合部の前記開状態は、前記被係合部が前記係合部と係合可能な位置へと移動可能な第1状態を含み、
前記係合部の前記閉状態は、前記被係合部が前記係合部によりロックされる第2状態を含み、
前記制御部は、
前記係合部と前記被係合部との相互作用が生じた相互作用情報を得たときに、前記係合部が前記第1状態から前記第2状態へと遷移するクローズ駆動を前記クローズ機構側駆動部に行わせ、
前記クローズ駆動が行われた後、前記開閉体の現在位置と、前記係合部と前記被係合部との係合が可能となる前記開閉体の係合可能位置とを比較して、
前記係合可能位置と前記現在位置との位置差が所定の範囲外である場合には、前記係合部と前記被係合部との係合によって前記クローズ機構が前記開閉体をロックできるように、前記係合部を開状態とする、
開閉体開閉装置。
【請求項2】
前記基体は、車体であり、
前記開閉体は、車両のバックドアである、
請求項1に記載の開閉体開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基体の開口部を開放状態または閉塞状態とする開閉体については、駆動部により開閉体を駆動する際に、適切な位置での駆動の停止や、開閉体の位置に応じた駆動速度での駆動をするために、開閉体の現在位置を検知する必要がある。このような開閉体は、例えば駆動部の駆動に応じたパルス信号の検出により現在位置を知ることができるが、このような信号検知は経年変化等により伝達誤差が生じることが知られている。
【0003】
このような伝達誤差等の累積による不正確な位置検出を防止する手段として、クローズ機構のスイッチ部材が作動したときにパルス信号の積算値をリセットし、開閉体が全閉位置に位置するときは、パルス信号の積算値をリセットしない開閉装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、坂道等の開閉体が移動可能な状況であると、開閉体がクローズ機構にロックされる前に開閉体が移動する場合がある。このような場合、開閉体によるクローズ機構のスイッチ部材の作動によりパルス信号の積算値がリセットされるゼロ位置設定がされてしまうと、クローズ機構による開閉体のロックの位置とは異なる位置でパルス信号の積算値がリセットされてしまうので、本来のゼロ位置との判別が困難である。
【0006】
パルス信号の積算値が本来のゼロ位置と異なる位置でリセットされて開閉体のゼロ位置設定がされてしまうと、制御装置の通常の制御によってはゼロ位置においてはクローズ機構の開作動することができないために、操作者がその都度にクローズ機構を機械的に開作動させなければならず、開閉装置の利便性が低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、開閉体が適切ではない位置で開閉体のゼロ位置設定を行われた場合でも、開閉体を閉状態とすることが可能な開閉体開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る開閉体開閉装置は、
基体の開口に対して開閉する開閉体と、前記開閉体を閉状態でロックするクローズ機構と、前記開閉体を開状態または閉状態へと遷移させる開閉体駆動部と、前記クローズ機構と前記開閉体駆動部との駆動を制御する制御部と、前記開閉体の位置を検知する位置検知部とを備えた開閉体開閉装置であって、
前記クローズ機構は、前記基体と前記開閉体との何れか一方に設けられた係合部と、他方に設けられた被係合部と、前記係合部を開状態と閉状態との間で遷移させるクローズ機構側駆動部と、前記係合部と前記被係合部とが相互作用したことを検知する相互作用検知部とを有し、
前記係合部の前記開状態は、前記被係合部が前記係合部と係合可能な位置へと移動可能な第1状態を含み、
前記係合部の前記閉状態は、前記被係合部が前記係合部によりロックされる第2状態を含み、
前記制御部は、
前記係合部と前記被係合部との相互作用が生じた相互作用情報を得たときに、前記係合部が前記第1状態から前記第2状態へと遷移するクローズ駆動を前記クローズ機構側駆動部に行わせ、
前記クローズ駆動が行われた後、前記開閉体の現在位置と、前記係合部と前記被係合部との係合が可能となる前記開閉体の係合可能位置とを比較して、前記係合可能位置と前記現在位置との位置差が所定の範囲外である場合には、前記係合部と前記被係合部との係合によって前記クローズ機構が前記開閉体をロックできるように、前記係合部を開状態とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開閉体が適切ではない位置でクローズ機構が作動しても、本来の位置で開閉体のゼロ位置設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態の開閉体開閉装置を備えた自動車の概略側面図である。
【
図2】本実施の形態の開閉体開閉装置を備えた自動車後部の部分拡大側面図である。
【
図3A】クローズ機構におけるフルラッチ状態を示す図である。
【
図3B】クローズ機構におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。
【
図3C】クローズ機構におけるハーフラッチ状態を示す図である。
【
図3D】クローズ機構におけるアンラッチ状態を示す図である。
【
図4】開閉体開閉装置の制御系の説明に供するブロック図である。
【
図5A】クローズ機構がハーフラッチ状態のときに、ラッチとストライカの係合が外れたときの様子を示す図である。
【
図5B】
図5Aの状態から、クローズ機構がフルラッチ状態に遷移したときの様子を示す図である。
【
図7】開閉体開閉装置における開閉体開閉制御の説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、開閉体開閉装置1の一例として、バックドアを開閉制御する自動車を例示するが、開閉体開閉装置1は、店舗やガレージ等の構造物に設置されるシャッター、引き戸、開き扉、または、構造物正面の開口の上方に配置される折りたたみ式の庇の開閉を制御する装置にも適用可能である。
【0012】
[開閉体開閉装置の全体構成]
図1は、本実施の形態の開閉体開閉装置を備えた自動車の概略側面図である。
【0013】
図1に示すように、開閉体開閉装置1は、基体の一例としての開口部材10と、開閉体20と、開閉体駆動部30と、制御部50と、位置検知部60(
図4参照)と、クローズ機構70(
図2参照)と、相互作用検知部80(
図4参照)とを備える。
【0014】
開閉体開閉装置1は、開口部材10の開口部11に対して開閉体20を開閉する装置である。
【0015】
[開口部材]
開口部材10は、本実施の形態の開閉体開閉装置1を用いた自動車において、車体の進行方向に対して後部に設けられている。開口部材10は、この自動車に用いられる車体であり、開口部材10の縁部によって開口部11が形成されている。開口部11の形状は、矩形状、円形状等、どのような形状であっても良い。
【0016】
[開閉体]
開閉体20は、自動車のバックドアであり、開状態(
図1参照)または、閉状態(
図2参照)に遷移する。開閉体20における開状態は、開口部11を開放した状態であり、車両の後部においては、荷物等の対象物を、開口部11を介して外部から後部荷室に入出可能とする状態である。開閉体20における閉状態は、開口部11を閉塞した状態である。換言すると、閉状態は、荷物等の対象物が開口部11を通って反対側へ移動することを阻害する位置に開閉体20があるときの状態とすることができる。また、開状態は、当該対象物が開口部11を通って反対側へ移動することを許容する位置に開閉体20があるときの状態とすることができる。
【0017】
本実施の形態において、開閉体20の上辺部は、開口部材10における開口部11の上縁部側にヒンジとしての軸部を介して回動可能に取り付けられている。開閉体20は、軸部を中心に下辺部側が上下動するように旋回し、開口部11から接触または離間することにより、開閉体20を開状態または閉状態に遷移させる。本実施の形態では、開閉体20の位置変更が上記の旋回機構によって実現されているが、開閉体20の位置変更のための機構は、旋回に限定されず、開閉体20を開状態または閉状態に遷移させることができればいかなる機構であっても良い。
【0018】
なお、開閉体20は、開状態または閉状態に遷移可能なものである限り、どのようなものでも良く、例えば、スライドドアであっても良い。
【0019】
[開閉体駆動部]
開閉体駆動部30は、開口部材10の開口部11に対して開閉体20を開方向と閉方向とに移動させる。開閉体駆動部30は、複数あっても良い。本実施の形態では、開閉体駆動部30は、開閉体20の左右両端および開口部11の左右の両縁に1つずつの計2つ設けられている。それぞれの開閉体駆動部30が駆動することにより開閉体20を移動させることで、開閉体20は、開口部材10に対して相対移動して、開状態または閉状態に遷移する。
【0020】
2つの開閉体駆動部30は、開閉体20を開状態とする方向(開方向)と、開閉体20を閉状態とする方向(閉方向)とに開閉体20を移動させる。開閉体20を開状態と閉状態とに遷移させることが可能であれば、開閉体駆動部30のそれぞれが同方向であって同一駆動量で開閉体20を駆動しても良い。また、2つの開閉体駆動部30のそれぞれが、開方向と閉方向とに開閉体20を移動可能であれば、異なる方向の駆動であっても、異なる駆動量で開閉体20を駆動するようにしても良い。本実施の形態においては、各開閉体駆動部30が同一の駆動を同期して行うように設けられている。
【0021】
開閉体駆動部30は、一端が開口部材10と接続し、他端が開閉体20とに接続されている。開閉体20は、開口部材10に対して相対移動可能に設けられ、本実施形態においてはヒンジを中心として旋回可能に開口部材10に設けられている。開閉体20が開口部材10に対して旋回移動するために、開閉体駆動部30のそれぞれは、開閉体20が開口部材10に対して旋回可能に取り付けられ、開口部材10に対して旋回しながら開閉体20を開状態または閉状態へと遷移させている。
【0022】
具体的には、各開閉体駆動部30は、伸縮する棒状の外観を有しており、開閉体駆動部30の一端部側に配置され、開口部材10側に接続される駆動本体部と、開閉体駆動部30の他端部側に配置され、開閉体20側に接続される進退部とを有する。進退部は、駆動本体部の他端部側から出没可能に取り付けられている。各開閉体駆動部30は、開口部材10と開閉体20に、それぞれボールジョイントなどの旋回可能な接続構造を介して接続する。
【0023】
開閉体駆動部30は、駆動本体部に対して進退部を、開閉体駆動部30の長手方向に進退させて開閉体20を全閉位置、つまり、開口部11を完全に閉塞する位置と、全開位置、つまり、開口部11を最大限に開放する位置とに移動できる。各開閉体駆動部30は、モータ等の回転運動を直線方向の伸縮運動に変換することにより、開閉体20を開方向または閉方向に移動させる。
【0024】
開閉体駆動部30は、自動車後部の左右の両端にそれぞれ1つずつの計2個設けられていたが、開閉体20の開閉を可能とするものであれば、その構造、駆動方式、形状や配置位置に付いては特に限定されない。開閉体駆動部30は、開閉体20を駆動させることができる公知の駆動部を採用することができる。
【0025】
本実施の形態では、開閉体駆動部30は、本体筒部31、スライド筒部32、開閉モータ33(
図4参照)、スピンドル(図示省略)、スピンドルナット(図示省略)、付勢部材(図示省略)等を有する。開閉体駆動部30では、本体筒部31、開閉モータ33、スピンドル、付勢部材等が駆動本体部に対応し、スライド筒部32、スピンドルナットが進退部に対応する。
【0026】
本体筒部31は、一端部側が開口部材10に旋回可能に固定され、他端部側が開口している。本体筒部31の内側には、スライド筒部32が、本体筒部31の他端部側から出没するように、長手方向にスライド移動可能に配置される。
【0027】
開閉モータ33は、駆動して、駆動本体部に対し、進退部を長手方向に移動させて開閉体駆動部30を伸縮させる。開閉モータ33は、直流モータまたは交流モータである。開閉体開閉装置1が自動車に適用される場合には、自動車の直流電源を用いることを考慮して、開閉モータ33として直流モータを適用することが望ましい。なお、開閉モータ33は、制御部50に接続され、制御部50により、正回転、逆回転の双方の回転駆動が制御される。
【0028】
スライド筒部32は、本体筒部31の一端側から他端側に向けて付勢部材により付勢されている。スライド筒部32の内部には、開閉モータ33の回転により軸回りに回転するスピンドルが螺合されたスピンドルナットが設けられている。
【0029】
開閉体駆動部30は、本体筒部31とスライド筒部32とが、スピンドルの回転によって互いに供回りしないように構成されている。開閉モータ33が正逆の一方に回転すると、スピンドルが正逆軸回りの一方に回転し、スピンドルに螺合するスピンドルナットがスピンドルの長手方向に沿って移動する。これに伴い、スピンドルナットを有するスライド筒部32が進退移動、つまり、長手方向にスライド移動する。これにより、開閉体駆動部30が、伸縮するように可動し、本体筒部31からスライド筒部32が進出する長さに対応して、開閉体20が開閉作動する。
【0030】
[クローズ機構]
図2は、本実施の形態の開閉体開閉装置を備えた自動車後部の部分拡大側面図である。
図3Aは、クローズ機構におけるフルラッチ状態を示す図である。
図3Bは、クローズ機構におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。
図3Cは、クローズ機構におけるハーフラッチ状態を示す図である。
図3Dは、クローズ機構におけるアンラッチ状態を示す図である。フルラッチ状態は、本発明の「第2状態」に対応する。ハーフラッチ状態は、本発明の「第1状態」に対応する。
【0031】
図2および
図3Aに示すように、クローズ機構70は、開口部11に対して開閉体20を閉状態でロックするために設けられる機構であり、ラッチ71と、ストライカ72と、回動軸73と、ポール74と、クロージャモータ75(
図4参照)とを有する。
【0032】
ラッチ71は、ストライカ72と係合が可能な部材であり、開閉体20の内側下端部に設けられている。ラッチ71は、基部71Aと、基部71Aの上端部から延びる第1アーム71Bと、基部71Aの下端部から延びる第2アーム71Cとを有する。第1アーム71Bおよび第2アーム71Cは、基部71Aから同じ方向(
図3Aにおける左から右に向かう方向)にそれぞれ延びている。ラッチ71は、本発明の「係合部」に対応する。
【0033】
ストライカ72は、ラッチ71と係合が可能な部材であり、ラッチ71の基部71A、第1アーム71Bおよび第2アーム71Cで形成される凹部71Dに入り込むことが可能な棒状の部分を有している。ストライカ72の棒状の部分としては、例えば、
図2における左右方向に平行な部分である。ストライカ72は、本発明の「被係合部」に対応する。
【0034】
ストライカ72は、開口部材10における開口部11の下縁部分において、開閉体20が閉状態となった際に、当該棒状の部分がラッチ71にフルラッチ状態で係合するような位置に設けられている。なお、ラッチ71が開口部材10側に設けられる場合、ストライカ72は開閉体20側に設けられる。ラッチ71が車体側に設けられ、ストライカ72が開閉体20の内側下端部に設けられてもよい。
【0035】
ラッチ71は、回動軸73を中心に回動可能に構成されている。ラッチ71は、例えば、クロージャモータ75の駆動力により回動することで、フルラッチ状態(
図3Aの状態)と、ハーフラッチ状態(
図3Cの状態)と、アンラッチ状態(
図3Dの状態)とに遷移する。
【0036】
フルラッチ状態は、ストライカ72がラッチ71によりロックされた状態である。より詳細には、フルラッチ状態は、ストライカ72がラッチ71の凹部71Dから離脱できないように係合する完全係合状態である。
【0037】
ハーフラッチ状態は、フルラッチ状態のときよりもラッチ71とストライカ72との係合力が弱い状態である。より詳細には、ハーフラッチ状態は、ストライカ72が、外力が負荷されることによりラッチ71の凹部71Dから容易に離脱できる状態であり、ストライカ72がラッチ71と係合可能な位置(フルラッチ状態の位置)へと移動可能な状態である。ハーフラッチ状態は、ラッチ71とラッチ71を駆動させるラッチ駆動機構の所定の部位にストライカ72が移動することで、ラッチ71がストライカ72と係合可能な状態としてもよい。
【0038】
アンラッチ状態は、ラッチ71とストライカ72との係合が完全に解除された状態である。
【0039】
また、ラッチ71は、図示しない付勢部材により、
図3A~
図3Dにおいて、時計回り方向に回動するように付勢されていても良い。これにより、後述するポール74の回動を制御して、付勢部材の付勢力によりラッチ71をフルラッチ状態からアンラッチ状態に回動させることができる。
【0040】
ポール74は、ラッチ71の回動を規制することが可能な部材であり、ラッチ71の第1アーム71Bおよび第2アーム71Cの何れかと当接可能な位置に設けられている。ポール74は、回動可能に設けられており、クロージャモータ75の駆動の下、時計回り方向における上流側から第1位置(
図3A参照)、第2位置(
図3C参照)および第3位置(
図3D参照)に位置するように制御される。
【0041】
クロージャモータ75は、直流モータまたは交流モータであり、ラッチ71およびポール74を回動させることで、クローズ機構70におけるラッチ71の状態を変更する。なお、クロージャモータ75は、制御部50に接続され、制御部50により、正回転、逆回転の双方の回転駆動が制御される。クロージャモータ75は、本発明の「クローズ機構側駆動部」に対応する。
【0042】
ここで、クローズ機構70における動作の一例について説明する。まず、フルラッチ状態からアンラッチ状態に遷移する際の動作について説明する。
【0043】
図3Aに示すように、ポール74が第1位置のとき、フルラッチ状態のラッチ71における第2アーム71Cの先端とポール74とが当接する。これにより、ラッチ71の回動が規制されてラッチ71のフルラッチ状態が維持される。
【0044】
図3Bに示すように、ポール74が第1位置から時計回り方向に回動すると、第2アーム71Cとの当接が解除される。ラッチ71は、クロージャモータ75の駆動力により時計回り方向に回動する。
【0045】
図3Cに示すように、ポール74がさらに回動して第2位置に位置すると、ポール74とラッチ71の第1アーム71Bとが当接する。このとき、ラッチ71は、ハーフラッチ状態の位置であり、ラッチ71の回動がポール74により規制されることにより、ラッチ71のハーフラッチ状態が維持される。
【0046】
図3Dに示すように、ポール74がさらに回動して第3位置に位置すると、ポール74とラッチ71の第1アーム71Bとの当接が解除される。これにより、ラッチ71は、クロージャモータ75の駆動力により時計回り方向に回動して、アンラッチ状態の位置に位置する。すなわち、ラッチ71とストライカ72との係合が完全に解除される。
【0047】
また、ポール74を第2位置から回動させなくても、ハーフラッチ状態のときのラッチ71とストライカ72との係合力は、フルラッチ状態のときと比べて弱くなっている。そのため、開閉モータ33の駆動力により、開閉体20を開方向に移動させる力によって、ラッチ71とストライカ72との係合を解除させることも可能である。
【0048】
次に、アンラッチ状態からフルラッチ状態に遷移する際の動作について説明する。まず、
図3Cおよび
図3Dに示すように、アンラッチ状態の位置から、開閉体駆動部30による開閉体20の移動により、ラッチ71がストライカ72に係合することでクローズ機構70がハーフラッチ状態となる。
【0049】
そして、後述する制御部50の制御の下、開閉モータ33およびクロージャモータ75が作動して、
図3Bに示すように、ラッチ71を反時計回り方向に回動させて、ラッチ71の凹部71D内にストライカ72を引き込むようにしてクローズ機構70がフルラッチ状態となる。
【0050】
なお、クローズ機構70は、クロージャモータ75により駆動可能な構成であれば、どのような構成であっても良い。
【0051】
[制御系の構成]
図4は、開閉体開閉装置1の制御系を示すブロック図である。
開閉体開閉装置1において、制御系は、制御部50と、位置検知部60と、相互作用検知部80とを備える。開閉体開閉装置1の制御系は、開閉モータ33を備える開閉体駆動部30により駆動される開閉体20を制御する。
【0052】
[位置検知部]
位置検知部60は、例えば開閉体駆動部30の動作を検知することで、開閉体20の位置の移動を検知し、その検知結果である開閉体20の移動情報を制御部50に出力する。
【0053】
例えば、位置検知部60は、ホール素子を含み、開閉モータ33の回転状態を磁気的に検出することで、開閉体駆動部30の動作ひいては開閉体20の位置の移動を検知する。この場合、開閉モータ33の回転軸に設けた円盤に、磁石を周方向に異なる間隔で配置し、これに対向する位置に、位置検知部60のホール素子を配置する。ホール素子により、開閉モータ33の回転軸の回転に伴って移動する磁石を捕捉してパルスを発生させる。制御部50は、このパルスをカウントしたカウント値により、開閉体20の位置を算出し、カウント値の変化により、開閉体20の駆動速度を算出する。
【0054】
位置検知部60は、捕捉したパルスをカウントし、制御部50は、カウント値を開閉体20の移動情報として、制御部50における開閉体20の位置および駆動速度の算出にパルスのカウント値を使用できるようにする。なお、位置検知部60が、パルスのカウントだけでなく、そのカウント値に基づく開閉体20の位置および駆動速度の算出をも行ったうえで、その算出結果を制御部50へと出力するようにしても良い。
【0055】
また、位置検知部60は、開閉体20の位置の移動に関する情報を検知可能であれば、どのような構成であっても良く、例えば、開閉体駆動部30の動作を検知することなく直接的に開閉体20の位置の移動を検知しても良い。検知の方式は、ホール素子を用いて磁気的に行うものに限られず、開閉体20の位置に応じたカウント値を生成可能であれば、どのような方式であっても良い。また、ここでは位置検知部60を、後述する制御部50とは別々に設けられるものとして説明したが、位置検知部60は、制御部50に組み込まれたものであっても良い。
【0056】
なお、位置検知部60がカウント値ではない出力値を制御部50に出力する場合、例えば位置検知部60の出力結果に応じて、予め設定されたカウント値を制御部50が記憶部等から取得するようにしても良い。
【0057】
[相互作用検知部]
相互作用検知部80は、ラッチ71とストライカ72とが相互作用したことを検知する。具体的には、相互作用検知部80は、例えば、クローズ機構70に設けられ、クローズ機構70のラッチ状態を検出して、その検出結果を制御部50に出力する。相互作用検知部80は、例えば、ラッチ71の回動状態に基づいて、ハーフラッチ状態等のラッチ状態を検出する。
【0058】
相互作用検知部80は、ラッチ71がストライカ72に係合した状態、例えば、
図3Cの状態になるとON状態に遷移し、ラッチ71が
図3C以外の状態になるとOFF状態に遷移するようなハーフラッチ検出スイッチを含む。具体的には、クローズ機構70には、図示しないリンク機構が設けられ、当該リンク機構を介することにより、ラッチ71の回動状態に応じて、ハーフラッチ検出スイッチがON状態とOFF状態とに切り替わる。これにより、後述する制御部50が、相互作用検知部80が出力する、ON状態時の信号およびOFF状態時の信号に基づいて、クローズ機構70がハーフラッチ状態であるか否かについて判定する。
【0059】
また、相互作用検知部80は、アンラッチ状態やフルラッチ状態を検出可能なスイッチを含んでいても良い。
【0060】
また、相互作用検知部80は、クローズ機構70のラッチ状態を検出可能であれば、どのようなものであっても良い。
【0061】
また、相互作用検知部80は、開閉体開閉装置1に設けられていなくても良い。この場合、開閉体開閉装置1が、外部からラッチ状態の検出信号を取得できるようにすれば良い。
【0062】
[制御部]
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して開閉体開閉装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部(図示略)に格納されている各種データが参照される。記憶部(図示略)は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。制御部50は、例えば、車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれても良く、また、開閉体駆動部30に搭載されていても良い。
【0063】
制御部50は、ラッチ71とストライカ72との相互作用が生じた相互作用情報を相互作用検知部80より得たときに、ラッチ71がアンラッチ状態からフルラッチ状態へと遷移するクローズ駆動をクロージャモータ75に行わせる。具体的には、制御部50は、
図3Dの状態から開閉体20の移動によってラッチ71とストライカ72とが
図3Cに示す係合可能位置にラッチ71が移動したことによって、上記のクローズ駆動を行うように制御する。
【0064】
制御部50は、上記のクローズ駆動が行われた後、開閉体20の現在位置と、開閉体20の係合可能位置とを比較して、現在位置と係合可能位置との位置差が所定の範囲内である場合には、ゼロ位置設定を行う。
【0065】
開閉体20の現在位置は、位置検知部60により取得した開閉体20の現在の位置情報に基づく開閉体20の位置である。開閉体20の現在位置は、位置検知部60の検出結果に基づいて、図示しない記憶部に随時記憶される。
【0066】
係合可能位置は、ラッチ71とストライカ72との位置関係が、例えば、
図3Cに示すような位置関係となるような開閉体20の位置であり、実験等により予め設定された位置情報に基づいて適宜設定され得る。係合可能位置の情報は、前回操作等の以前の操作時で係合可能位置となったときの位置情報に基づいて設定されてもよい。
【0067】
現在位置と係合可能位置との位置差は、例えば、位置検知部60により現在位置に対応するカウント値と、係合可能位置に対応するカウント値との差分値である。
【0068】
所定の範囲は、ラッチ71がストライカ72を引き込むことが可能な程度に、係合可能位置に対して開閉体20の現在位置のずれを許容可能な範囲である。つまり、開閉体20の現在位置に対応するカウント値が、係合可能位置に対応するカウント値と異なる場合であっても、現在位置と係合可能位置との位置差が所定範囲内であれば、ラッチ71がストライカ72を引き込むことが可能である。
【0069】
カウント値にずれが生じるのは、経年変化等によって、パルス信号の検出に伝達誤差が生じて、当該伝達誤差等の累積することに起因する場合がある。そのため、本実施の形態では、カウント値にずれが生じても、現在位置と係合可能位置との位置差が所定範囲内である場合、クローズ機構70により開閉体20を全閉位置で確実にロックすることが可能である。
【0070】
ゼロ位置設定は、記憶部に記憶された開閉体20の現在位置を表す位置情報をゼロ位置に設定することである。ゼロ位置は、開閉体20が全閉位置となるときの位置であり、開閉体20の移動の制御における基準となる位置である。ゼロ位置に対応するカウント値は、例えば0である。
【0071】
例えば、開閉体20の全閉位置(フルラッチ位置)における、位置検知部60によるカウント値を0とし、全開位置(
図1に示す位置)における、位置検知部60によるカウント値を1500としたとする。この場合、全閉位置から全開位置までの各位置に対応するカウント値は、カウント値0~1500の範囲で、全閉位置から開方向に向かうにつれ、大きくなるように設定される。
【0072】
ここで、開閉体20が、閉じられることにより係合可能位置に位置したとき、カウント値が、当該係合可能位置に対応する位置情報に対して、所定の範囲に収まる程度にずれていた場合、開閉体20は全閉位置でロックされる。しかし、係合可能位置に対して開閉体20の位置がずれているため、記憶部における現在位置のカウント値が0以外の値で、開閉体20の位置が全閉位置になってしまうこととなる。全閉位置が0以外の値で、次の開閉体20の移動制御がなされると、基準となる位置のカウント値のずれに起因して、正確な移動制御がなされなくなる。
【0073】
そのため、開閉体20が全閉位置に位置する際にゼロ位置設定が行われる。これにより、開閉体20が全閉位置に位置したとき、現在位置に対応するカウント値がリセットされて、0となるため、次の開閉体20の移動制御を正確に行うことが可能となる。
【0074】
また、制御部50は、係合可能位置と現在位置との位置差が所定の範囲外である場合には、ラッチ71がフルラッチ状態から開状態であるアンラッチ状態となるリターン駆動をクロージャモータ75に行わせる。係合可能位置と現在位置との位置差が所定の範囲外である場合には、クローズ機構70によって開閉体20を全閉位置でロックさせるのが困難であるので、制御部50は、ラッチ71をストライカ72と係合可能な状態とする。
【0075】
図5Aに示すように、ラッチ71とストライカ72とが係合可能位置であるときに、開閉体20に何らかの作用が加わると、開閉体20の位置がずれた状態でラッチ71がフルラッチ状態となり、ラッチ71とストライカ72とが係合できない非ロック状態になってしまう場合がある。
【0076】
開閉体20に加わる作用の例としては、坂道で開閉体20の開閉動作を行った際において、ラッチ71とストライカ72とをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に遷移させるとき、開閉体20に傾斜面に沿う重力が加わることによって、開閉体20がハーフラッチ状態の位置から移動することが挙げられる。また、開閉体20に加わる作用の例としては、ラッチ71とストライカ72とをハーフラッチ状態からフルラッチ状態に遷移させるとき、開閉体20に外力が加えられることによって、開閉体20がハーフラッチ状態の位置から移動することも挙げられる。
【0077】
このようになった場合、
図5Bに示すように、ラッチ71をフルラッチ状態の位置に回動しても、ストライカ72を引き込めず、開閉体20がクローズ機構70により、ロックされない非ロック状態となってしまう。非ロック状態は、本発明の「第2状態」の一例に含まれる。つまり、第2状態は、ロック状態および非ロック状態に関わらず、ラッチ71が、ストライカ72を本来ロックするフルラッチ状態(
図3Aまたは
図5B)となる位置に移動した状態である。
【0078】
この非ロック状態のときにおいて、ラッチ71がフルラッチ状態の位置になることをもって、ゼロ位置設定が行われてしまうと、例えば、
図6に示すように、開閉体20が半開き状態(2点鎖線参照)の位置が全閉位置であるとして、記憶部に現在位置が記憶される。つまり、開閉体20が半開き状態の位置から、次の開閉体20の開動作が開始されることとなる。開閉体20の開動作は、フルラッチ状態の位置よりも開閉体20が全開したときの位置に近い側から開始されることになる。
【0079】
そのため、半開き状態の位置と全閉位置とでは、多少カウント値に差があるため、当該開動作において、開閉体20を正確に移動させることができないという問題が生じる。例えば、開閉体20の半開き状態の位置に対応するカウント値が100であるとすると、その位置から全開位置(カウント値1500)に移動させる場合、開閉体20は、カウント値1400相当の移動で全開位置に到達する。
【0080】
しかし、半開き状態の位置でゼロ位置設定がなされると、当該位置のカウント値が0に設定された上で、開閉体20は全開位置にカウント値1500相当の移動を行おうとする。
【0081】
この場合、開閉体20は、カウント値1400相当の移動で全開位置に到達して、さらにカウント値100相当の移動をしようとする。つまり、開閉体20は、全開位置に到達したにも関わらず、全開位置よりもさらに上方へ移動しようとする。その結果、開閉体20の開閉体駆動部30に過度の負荷をかけてしまい、ひいては開閉体駆動部30を破損させてしまう等の問題が生じる。
【0082】
そこで、本実施の形態では、開閉体20の現在位置と係合可能位置との位置差が所定範囲外である場合、クローズ機構70をフルラッチ状態からアンラッチ状態にする。これにより、リターン駆動としてクロージャモータ75がラッチ71を開状態とし、クローズ機構70が開閉体20をロックすることができる。
【0083】
制御部50は、本実施の形態では、リターン駆動が行われた後、開閉体20を現在位置から係合可能位置に移動させるリカバリー駆動を開閉体駆動部30に行わせている。制御部50は、リカバリー駆動が行われた後、再びクローズ駆動をクロージャモータ75に行わせる。なお、リカバリー駆動については、必ずしも行う必要はなく、制御部50がリカバリー駆動を行わない場合には、人の手動等により、開閉体20を現在位置から係合可能位置に移動させるように、開閉体20をフリーな状態としても良い。
【0084】
このようにすることで、クローズ機構70により開閉体20をロック状態にすることができる。開閉体20がロック状態となることで、開閉体20は、ゼロ位置設定された位置に位置することができる。
【0085】
制御部50は、リターン駆動が行われた後、クローズ機構70のラッチ71がフルラッチ状態に遷移したときに、ゼロ位置設定を行ってもよいが、必ずしもゼロ位置設定をする必要がない。
【0086】
つまり、本実施の形態では、開閉体20が適切ではない位置でクローズ機構70が作動しても、開閉体20を本来のロックが可能な位置へ移動することができる。すなわち、開閉体20は、開作動において、全閉位置においてゼロ位置設定がされた位置とほぼ同じ位置から作動できるので、開閉体20を正常に移動させることができる。
【0087】
制御部50は、開閉体20を全閉位置から全開位置に移動させるときに、ゼロ位置から所定量移動するまで開閉体20を移動させる駆動を開閉体駆動部30に行わせる。所定量は、全閉位置から全開位置までの開閉体20の移動量であり、例えば、位置検知部60による所定のカウント値(例えば、1500相当)の移動量である。
【0088】
これにより、制御部50が全開位置を越えて開閉体20を過剰に移動させることを抑制することができるので、開閉体駆動部30に過度の負荷がかかることを抑制することができる。
【0089】
[開閉体開閉装置における開閉体の駆動制御]
図7は、開閉体開閉装置1における開閉体開閉制御の説明に供するフローチャートである。なお、
図7における制御は、開口部11が開状態のときに、開閉体20を全閉位置に移動させる動作指示を受けたときの制御であることを前提としている。
【0090】
図7に示すように、制御部50は、開閉体20を駆動させるよう開閉体駆動部30を制御する(ステップS101)。次に、制御部50は、ラッチ状態検出部80の検出結果に基づいてラッチ機構70がハーフラッチ状態であるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0091】
判定の結果、ラッチ機構70がハーフラッチ状態ではない場合(ステップS102、NO)、ステップS102の処理が繰り返される。一方、ラッチ機構70がハーフラッチ状態である場合(ステップS102、YES)、制御部50は、クローズ駆動をクロージャモータ75に行わせる(ステップS103)。次に、制御部50は、ゼロ位置設定を行う(ステップS104)。
【0092】
制御部50は、開閉体20の現在位置と、係合可能位置との位置差が所定範囲外であるか否かについて判定する(ステップS105)。判定の結果、位置差が所定範囲内である場合(ステップS105、NO)、処理は終了する。
【0093】
一方、位置差が所定範囲外である場合(ステップS105、YES)、制御部50はリターン駆動をクロージャモータ75に行わせる(ステップS106)。次に、制御部50は、リカバリー駆動を開閉体駆動部30に行わせる(ステップS107)。
【0094】
次に、制御部50は、クローズ駆動をクロージャモータ75に行わせる(ステップS108)。ステップS108の後、本制御は終了する。リカバリー駆動(ステップS107)については、必ずしも必須ではなく、クロージャモータ75がラッチ71を開状態とするリターン駆動(ステップS106)の後、本制御を終了することもできる。
【0095】
以上のように構成された本実施の形態によれば、クローズ駆動を行った際に、開閉体20の現在位置と、係合可能位置との差に応じて、リターン駆動を行う。すなわち、開閉体20が適切ではない位置となった状態でクローズ機構70が作動しても、本来の位置で開閉体20のロックを行うことができる。その結果、開閉体20をクローズ機構70により確実にロックさせることができるので、開動作において開閉体20を正常に移動させることができる。
【0096】
また、簡単な方法によって開閉体20の位置を本来のゼロ位置設定された位置とすることができるので、開閉体20の移動量を狭くする必要がなくなる。その結果、開閉体開閉装置1の利便性を向上させることができる。
【0097】
また、開閉体20を全開位置に移動させるときに、全開位置で開閉体20の移動を止めることができるので、開閉体駆動部30に過度の負荷がかかることを抑制することができる。
【0098】
なお、上記実施の形態では、ハーフラッチ状態の位置を係合可能位置として例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラッチ71の凹部71D内にストライカ72が入り込んだ状態等、ラッチ71によりストライカ72をフルラッチ状態の位置に引き込むことが可能な位置であれば、アンラッチ状態の位置を係合可能位置としても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、制御部50が、開閉体駆動部30およびクローズ機構70を制御していたが、本発明はこれに限定されず、複数の制御部が、開閉体駆動部およびクローズ機構のそれぞれを別々に制御する構成であっても良い。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る開閉体開閉装置は、開閉体が適切ではない位置でクローズ機構が作動しても、本来の位置で開閉体のロックを行うことが可能な開閉体開閉装置として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 開閉体開閉装置
10 開口部材
11 開口部
20 開閉体
30 開閉体駆動部
31 本体筒部
32 スライド筒部
33 開閉モータ
50 制御部
60 位置検知部
70 クローズ機構
71 ラッチ
71A 基部
71B 第1アーム
71C 第2アーム
71D 凹部
72 ストライカ
73 回動軸
74 ポール
75 クロージャモータ
80 相互作用検知部