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特許6995089リフト機構のシステム配置およびシステム配置を作動させる方法
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  • 特許-リフト機構のシステム配置およびシステム配置を作動させる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】リフト機構のシステム配置およびシステム配置を作動させる方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/58 20060101AFI20220106BHJP
   F16H 1/20 20060101ALI20220106BHJP
   F16D 1/06 20060101ALI20220106BHJP
   B66D 1/54 20060101ALI20220106BHJP
   B66D 5/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B66D1/58
F16H1/20
F16D1/06 110
B66D1/54 Q
B66D5/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019125909
(22)【出願日】2019-07-05
(62)【分割の表示】P 2017536353の分割
【原出願日】2015-04-16
(65)【公開番号】P2019202891
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】102015100181.0
(32)【優先日】2015-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517235731
【氏名又は名称】エム. アー. テー. マルメディー アントリープステヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ラウトヴァイン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ワグナー
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013209361(DE,A1)
【文献】特開平05-147890(JP,A)
【文献】実開平01-166696(JP,U)
【文献】欧州特許第01661845(EP,B1)
【文献】特表2010-522681(JP,A)
【文献】米国特許第05921529(US,A)
【文献】特開2010-223419(JP,A)
【文献】特開2006-315806(JP,A)
【文献】実開昭55-070624(JP,U)
【文献】実開平03-025496(JP,U)
【文献】特開平05-280550(JP,A)
【文献】特開2009-018882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00 - 5/34
F16H 1/20
F16D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷を運ぶリフト機構のためのシステム配置であって、
少なくとも1つの駆動モータ(1、1’)と、
該少なくとも1つの駆動モータに連結された少なくとも1つのケーブル・ドラム(2、2’)と、
前記駆動モータ(1、1’)と前記ケーブル・ドラム(2、2’)の間に配置された減速トランスミッション(3)と、
前記減速トランスミッション(3)に組み込まれた自由回転装置(6)と、
前記ケーブル・ドラム(2、2’)に嵌合され、電源異常または前記ケーブル・ドラムの緊急停止の発生時に作動する、少なくとも1つの安全ブレーキ(4、4’)と、
前記駆動モータ(1、1’)が回転速度「0」へと電気的に減速されたときに作動す、前記積荷を保持するための少なくとも1つのモータ・ロッキング手段(5、5’)と、を備え、
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)が、
前記減速トランスミッション(3)のハウジング(12)上に配置され、外側歯配置(14)を有し、前記駆動モータ(1、1’)に向かう方向に突出するステータ・ギア(13)と、
前記モータ・シャフト(15)または前記トランスミッション(3)の入力シャフト(7)上に非回転式に固定式に配置され、外側歯配置(17)を備えたロータ・ギア(16)と、
内側歯配置が設けられたシフト要素(18)と、を備え、
該シフト要素(18)によって、前記ステータ・ギア(13)および前記ロータ・ギア(16)を選択的に結合させることができるセレクタ・シフト歯配置の形態であるか、または、
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)が、
前記駆動モータ(1、1’)のハウジング上に設けられ、該ハウジングに固定式に連結され、軸方向に作動する外面歯配置(21)を有するステータ・リング・ギア(20)と、
前記モータ・シャフト(15)上に配置され、該モータ・シャフト上で軸方向に変位可能であるロータ・リング・ギア(22)と、を備え、
該ロータ・リング・ギア(22)が、非回転式に配置され、等価の外面歯配置(23)を有し、前記駆動モータ(1、1’)をロックするために前記ステータ・リング・ギア(20)と結合することができるものである、リフト機構のためのシステム配置。
【請求項2】
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)が、安全ブレーキの作動を必要としない、前記駆動モータの回転速度「0」における正常運転において、油圧式、電気油圧式、空気式、または磁気式のいずれかにより作動されて前記モータ・シャフト(15)をブロックするものである、請求項1に記載のシステム配置。
【請求項3】
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)が、モータ・カップリング(11、11’)と連携して、前記駆動モータ(1、1’)と前記減速トランスミッション(3)の間に配置される、請求項1または2に記載のシステム配置。
【請求項4】
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)が、前記駆動モータ(1、1’)の、前記減速トランスミッション(3)から遠い側に配置される、請求項1または2に記載のシステム配置。
【請求項5】
前記駆動モータ(1、1’)が、前記減速トランスミッション(3)との間にモータ・カップリング(11、11’)の介在無しに、前記減速トランスミッション(3)に直接的に装着される、請求項1または2に記載のシステム配置。
【請求項6】
前記ロータ・リング・ギア(22)が、圧縮ばね(24)によって切り離された位置に保持され、
前記モータ・ロッキング手段(5、5’)を作動させるために、前記ロータ・リング・ギア(22)が、前記ステータ・リング・ギア(20)の方向に変位されて結合された位置になる、請求項1に記載のシステム配置。
【請求項7】
前記自由回転装置(6)が、前記リフト機構の前記積荷の下降モードにおいて前記安全ブレーキの作動により前記リフト機構のブレーキが起きた場合に、前記自由回転装置(6)の回転主要部が前記自由回転装置(6)の回転に合わせ自由に回転することで、前記減速トランスミッションに対する損傷を回避する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム配置。
【請求項8】
前記自由回転装置(6)が、前記減速トランスミッション(3)の前記入力シャフト(7)、中間シャフト(8)、または出力シャフト(9)上に選択的に配置される、請求項7に記載のシステム配置。
【請求項9】
ケーブル・ドラム継手連結部(10、10’)が、前記減速トランスミッション(3)の前記出力シャフト(9)と前記ケーブル・ドラム(2、2’)との間に設けられ、
前記自由回転装置(6)が、前記ケーブル・ドラム継手連結部(10、10’)に組み込まれる、請求項8に記載のシステム配置。
【請求項10】
前記安全ブレーキ(4、4’)が、2つの独立した制御回路(26、27)内に配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム配置。
【請求項11】
前記モータ・ロッキング手段が、前記駆動モータまたは複数のモータの回転速度「0」への電気的減速後すぐに作動される、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム配置を作動させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフト機構、詳細にはクレーン・リフト機構の駆動系のためのシステム配置であって、少なくとも1つの駆動モータと、これに連結された少なくとも1つのケーブル・ドラムと、駆動モータとケーブル・ドラムの間に配置された減速トランスミッションと、自動オーバーラン停止手段と、少なくとも1つの安全ブレーキとを備える、システム配置、ならびにシステム配置を作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の種類の知られているリフト機構(特許文献1)では、減速トランスミッションによって2つのケーブル・ドラムを駆動する2つの駆動モータが設けられる。作動ブレーキおよび安全ブレーキ以外に駆動系内に設けられるのは、オーバーラン停止手段であり、このオーバーラン停止手段は、所定の負荷を超える過負荷の発生時、モータとケーブル・ドラムの間の連結を完全にまたは部分的に分離する。これは、駆動系の個々の構成要素、より詳細には特に減速トランスミッションが損傷を受けない、または損なわれないことを確実にするように意図される。
【0003】
加えて、リフト機構のための駆動系が知られており(特許文献2)、この駆動系では、駆動モータと作動ブレーキの間に自動オーバーラン停止手段を設けることによって、緊急停止ブレーキ動作の発生時、損傷が回避される。停止手段は、好ましくは、自由回転装置の形態であり、この場合、自由回転装置は、運ばれる負荷を下降させる場合、効果的な安全デバイスに相当するものである。
【0004】
知られているシステムは、すでに実際にその価値が証明されている。既知の駆動系内の作動ブレーキおよび安全ブレーキは、油圧式に、空気式に、磁気式に、または電気油圧式に開くばね閉鎖ブレーキの形態である。電源異常または緊急停止の発生時、結果としてブレーキ回路は自動的に閉じられる。この場合、各々のブレーキ回路それ自体は、所定のパラメータ内で負荷を停止させることができる。独立したブレーキ回路の配置は、実質的には、トランスミッションの故障発生時、作動ブレーキではもはや負荷を停止させることができない一方、他方では、作動ブレーキは、正常な場合、駆動モータの回転速度「0」において、リンクされた高い切り替えサイクルで負荷を保持するために必要とされるという事実によるものである。現在の状況によれば、安全ブレーキは、高い切り替えサイクルには適しておらず、その結果、トランスミッション故障、電源異常、緊急停止などの発生時のみ閉じる。
【0005】
しかし、緊急状況時に実装される2つのブレーキ回路による問題がいくつか起こっている。デッドタイムがより短いため、最初に安全ブレーキが作動する。この場合、モータおよびモータ・カップリングの慣性質量による質量の増大にもブレーキをかける必要がある。したがって、高い負荷ピークが減速トランスミッション内に起こる。「下側」の負荷方向では、状況はさらに、減速トランスミッションのギアにおける負荷変更または歯面変更を伴う。これらの問題は、特に頻繁な停止状況および高速のリフトを伴うクレーン・リフト機構の場合、深刻なトランスミッションの損傷を招き得る。加えて、両方のブレーキ回路の作動により、リフト機構の不可避な「オーバーブレーキ」が起こり、その結果、固定構成要素および他のクレーン構成要素に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第1661845号明細書
【文献】独国特許出願公開第2013209361号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、少なくとも1つの受動的作動ブレーキの代わりに、駆動モータが回転速度「0」に電気的に減速されたときに負荷を保持するための少なくとも1つの能動的モータ・ロッキング手段が提供されることにおいて達成される。
【0009】
したがって、本発明により、知られているリフト機構の駆動系内に設けられた作動ブレーキを完全に無くすことが可能である。電源異常、緊急ブレーキ状況またはトランスミッションの故障の場合、必要とされるブレーキ作動は、安全ブレーキのみによって実装することができ、一方で安全ブレーキの作動を必要としない駆動モータのゼロ速度における正常運転においては、モータ・ロッキング手段を使用して負荷を保持する。
【0010】
モータ・ロッキング手段は、好ましくは、確実ロッキング(positively locking)構成のものである。しかし、代替的には、モータ・ロッキング手段は、力ロッキングまたは摩擦ロッキング構成のものであることも可能である。
【0011】
従来使用されている作動ブレーキとは対照的に、モータ・ロッキング手段は、能動的に作動するものであり、たとえばばね力によって開いて保持される。これは、電源異常、緊急ブレーキ状況またはトランスミッションの故障の場合、モータ・ロッキング手段は、自動的に閉じないが、回転速度「0」では、油圧式もしくは電気油圧式に、空気式に、または磁気式に作動されることを確実にする。
【0012】
モータ・ロッキング手段は、モータ・カップリングと連携してそれぞれの駆動モータと減速トランスミッションの間に配置され得る。
【0013】
しかし、代替的には、モータ・ロッキング手段が、モータ・カップリングまたは減速トランスミッションから外方を向く、駆動モータの側に配置されることも可能である。
【0014】
駆動モータはまた、モータ・カップリングの介在無しに減速トランスミッションに直接的にフランジ装着され得る。
【0015】
確実ロッキング構成のモータ・ロッキング手段を使用する際、これは、好ましくは、セレクタ・シフト歯配置の形態である。
【0016】
そのようなシフト歯配置を実装するために、駆動モータに向かう方向に突出し、外側歯配置を有するステータ・ギアを、減速トランスミッションのハウジング上に配置することができ、一方で、トランスミッションのモータ・シャフトまたは入力シャフト上に非回転式に配置されるのは、これもまた外側歯構成を有するロータ・ギアであり、この場合、モータ・ロッキング手段を連結または分離するために、内側歯配置が設けられたシフト要素が設けられ、このシフト要素によって、ステータ・ギアおよびロータ・ギアを選択的に結合させることができる。
【0017】
モータ・ロッキング手段が駆動モータの後側に配置される場合、駆動モータのハウジング上に、これに固定式に連結されたステータ・リング・ギアであって、軸方向に作動する外面歯配置を有する、ステータ・リング・ギアを設けることが可能であり、一方で、モータ・シャフト上に配置されるのは、この上で軸方向に変位可能であるロータ・リング・ギアであって、非回転式に配置され、この平坦面に等価の外面歯配置を有し、駆動モータをロッキングするために、モータ・ハウジングに固定式に連結されたステータ・リング・ギアに結合させることができる、ロータ・リング・ギアである。
【0018】
この場合、ロータ・リング・ギアは、圧縮ばねによって切り離された位置に保持可能であり、一方でモータ・ロッキング手段の作動のために、ロータ・リング・ギアは、ステータ・リング・ギアに向かう方向に変位されて結合された位置になる。
【0019】
オーバーラン停止手段は、好ましくは、自由回転装置の形態である。これは、減速トランスミッションの中に組み込むことができ、この場合、これは、減速トランスミッションの入力シャフト、中間シャフト、または出力シャフト上に選択的に配置される。
【0020】
トランスミッションに組み込まれた自由回転装置は、負荷方向がリフトモードおよび下降モードにおいて同じままであり、それによってリフト機構の正常作動を可能にすることにより、正常運転では恒久的にロックされる。下降モードにおいて、リフト機構のブレーキが、安全ブレーキによって起こる場合、回転主要部は、自由回転装置に合わせて自由に回転し、それにより、トランスミッションまたは他の構成要素に対する損傷は起こらない。加えて、その結果、加速主要部にブレーキをかける必要がないため、負荷のブレーキ進行もまた、短縮される。
【0021】
さらなる構造的選択肢として、ケーブル・ドラム継手連結部が、減速トランスミッションの出力シャフトとケーブル・ドラムの間に設けられ、自由回転装置が、ケーブル・ドラム継手連結部内に組み込まれることがもたらされる。
【0022】
さらなる安全のために、安全ブレーキを2つの独立した制御回路に分割することができ、それにより、予備として冗長性リソースが存在する。このようにして、特にクレーン・リフト機構を対象とする本発明による駆動系は、さらに最適化され得る。この追加の最適化はまた、危険物の輸送に対しても特に有利な効果を与える。
【0023】
本発明による方法により、実質的には、モータ・ロッキング手段が、駆動モータまたは複数のモータの回転速度「0」への電気的減速後すぐに作動されることがもたらされる。
【0024】
本発明は、例として図に示され、これ以後図を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態を示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態を示す図である。
図5】モータ・ロッキング手段の特有の構成の拡大図である。
図6】モータ・ロッキング手段の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図を参照すれば、特にクレーン・リフト機構を対象とする本発明による駆動系は、2つの駆動モータ1、1’と、2つのケーブル・ドラム2、2’と、駆動モータ1、1’とケーブル・ドラム2、2’の間に配設された減速トランスミッション3と、自動オーバーラン停止手段と、ケーブル・ドラム2、2’に嵌合された2つの安全ブレーキ4、4’とを備える。
【0027】
加えて、本発明による駆動系は、能動的モータ・ロッキング手段5、5’を有し、この能動的モータ・ロッキング手段は、駆動モータ1、1’が回転速度「0」に電気的に減速された場合に負荷を保持するように動き、能動的に作動することができる。このようにして、駆動モータ1、1’と減速トランスミッション3の間に通常配置される、それ自体知られている受動的作動ブレーキを無くすことが可能である。
【0028】
オーバーラン停止手段として、自由回転装置6が設けられ、この自由回転装置は、図1~4に例として示す実施形態の各々において、減速トランスミッション3に組み込まれる。図示する例では、自由回転装置6は、減速トランスミッション3の入力シャフト7上に配置される。しかし、代替的には、自由回転装置6はまた、減速トランスミッション3の中間シャフト8または出力シャフト9上にも配置され得る。
【0029】
本発明による駆動系の4つすべての実施形態では、減速トランスミッション3の出力シャフト9とそれぞれのケーブル・ドラム2または2’との間にケーブル・ドラム継手連結部10および10’それぞれが存在する。図4に示す構造では、自由回転装置6は、ケーブル・ドラム継手連結部10および10’それぞれに組み込まれる。
【0030】
図1に示す実施形態では、モータ・ロッキング手段5または5’は、モータ・カップリング11または11’と一緒に、それぞれの駆動モータ1または1’と減速トランスミッション3との間に配置される。
【0031】
図5は、モータ・ロッキング手段5の拡大図の部分的断面図を示す。この実施形態では、モータ・ロッキング手段5は、確実ロッキング(positively locking)構成のものであり、より詳細には、セレクタ・シフト歯配置の形態である。これは、ステータ・ギア13を備え、このステータ・ギアは、減速トランスミッション3のハウジング12上に配置され、駆動モータ1に向かう方向にハウジング12から突出し、外側歯配置14が設けられる。シフト歯配置は、さらに、ロータ・ギア16を含み、このロータ・ギアは、トランスミッションのモータ・シャフト15または入力シャフト7上に非回転式に配置され、これにもまた外側歯配置17が設けられる。シフト要素18は、2つのギア13および16を結合しまたは切り離す動きをし、シフト要素18には、ギア13および16の外側歯配置14および17と嵌合する内側歯配置が設けられる。
【0032】
上側部分において、図5は、シフト要素18がステータ・ギア13上にのみ担持され、切り離された状態を示しており、ロータ・ギア16との連結が存在していない。図5の下側部分では、シフト要素18は、両方のギア13および16の外側歯配置14および17上を延び、それにより、モータ・シャフト15は、モータ・ロッキング手段5によってブロックされる。
【0033】
図5に示す実施形態では、ロータ・ギア16の回転的に固定された装着は、嵌合キー19によってもたらされ、この嵌合キーは、減速トランスミッション3およびロータ・ギア16の入力シャフト7内の対応する溝内に嵌合される。加えて、ロータ・ギア16は、モータ・カップリング11によってモータ・シャフト15に非回転式かつ軸方向に固定式に連結される。
【0034】
リフト機構の作動において、シフト要素18は、ばね要素(図示なし)によって係合解除されたまたは切り離された位置に保持される。係合されたまたは結合された位置を生み出すために、ばね力とは反対の関係で生み出された能動的力がかけられ、この能動的力は、ほとんどの多種多様な手段、たとえば油圧式もしくは電気油圧式、空気式またはさらに磁気式によっても生み出すことができる。
【0035】
図2から4に示す実施形態では、モータ・ロッキング手段5および5’は、駆動モータ1または1’の、減速トランスミッション3から遠い側に配置される。
【0036】
図3に示すようなそのような構造では、駆動モータ1または1’は、モータ・カップリング11または11’それぞれの介在無しに、減速トランスミッション3に直接的にフランジ装着され得る。
【0037】
図6は、図2から4に示すようなこのモータ・ロッキング手段の特有の構成を示す。詳細に分かるように、駆動モータ1のハウジング上に設けられるのは、これに固定されたステータ・リング・ギア20であり、このステータ・リング・ギアは、軸方向に作動する外面歯配置21を有する。モータ・シャフト15上に配置されるのは、この上で軸方向に変位可能であるロータ・リング・ギア22であり、このロータ・リング・ギアは、非回転式に配置され、等価の外面歯配置23を有する。ロータ・リング・ギア22とモータ・シャフト15の間の軸方向に変位可能な非回転連結は、嵌合キーまたはテーパプロファイル(詳細な図示なし)によって行うことができる。
【0038】
図6の上側部分では、2つのリング・ギア20および22は、係合解除されたまたは切り離された位置で示される。この位置は、リフト機構の作動において2つのリング・ギア20および22を離して保つ圧縮ばね24によって生み出される。
【0039】
図6の下側部分では、2つのリング・ギア20および22は、係合されたまたは結合された位置で示される。このロックされた状態に到達するために、作動デバイス(図示なし)が設けられ、この作動デバイスは、圧縮ばね24に対抗してロータ・リング・ギア22をステータ・リング・ギア20に押しつける。切り離す目的で、作動デバイスは戻され、それにより、ロータ・リング・ギア22は、再度、圧縮ばね24によって係合解除される。
【0040】
したがって、正常作動では、駆動モータ1および1’それぞれの回転速度「0」において、負荷は、安全ブレーキを作動させる必要無く、モータ・ロッキング手段5および5’によって保持することができ、それにより、安全ブレーキには高い切り替えサイクルによって応力がかけられない。したがって、本発明による駆動系は、より信頼高くより安全に作動するだけでなく、より長い耐用年数も達成する。
【0041】
図4に示す実施形態では、2つの追加の安全ブレーキ25、25’が存在する。4つの安全ブレーキ4、4’および25、25’は、別個の制御回路26、27によって対の関係で作動させることができ、それにより、これは、追加の安全面として冗長性リソースを提供する。
【符号の説明】
【0042】
1、1’ 駆動モータ
2、2’ ケーブル・ドラム
3 減速トランスミッション
4、4’ 安全ブレーキ
5、5’ モータ・ロッキング手段
6 自由回転装置
7 減速トランスミッションの入力シャフト
8 中間シャフト
9 出力シャフト
10、10’ ケーブル・ドラム継手連結部
11、11’ モータ・カップリング
12 減速トランスミッションのハウジング
13 ステータ・ギア
14 外側歯配置
15 モータ・シャフト
16 ロータ・ギア
17 外側歯配置
18 シフト要素
19 嵌合キー
20 ステータ・リング・ギア
21 外面歯配置
22 ロータ・リング・ギア
23 外面歯配置
24 圧縮ばね
25、25’ 追加の安全ブレーキ
26 制御回路
27 制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6