(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】熱画像データをフィルタリングするための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20220106BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G01J5/48 A
G01J5/48 E
H04N7/18 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019160783
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィンツェル, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ベンツソン, イェスパー
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンズ, アンソニー
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096915(JP,A)
【文献】特表2012-521726(JP,A)
【文献】特開2013-024761(JP,A)
【文献】国際公開第2011/024865(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/055772(WO,A1)
【文献】特開2003-216949(JP,A)
【文献】特表2013-500625(JP,A)
【文献】米国特許第06850642(US,B1)
【文献】特開2001-144009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/62
H04N 5/222 - H04N 5/257
H04N 5/30 - H04N 5/378
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱画像データをフィルタリングするための方法(1300)であって、
熱画像検出器(1110)によって熱画像データを取得する(1302)こと、
前記熱画像データから輝度値の信号分布を形成する(1304)こと、
輝度値の前記信号分布内の第1の部分(220)を識別する(1306)ことであって、前記第1の部分(220)は、前記熱画像検出器(1110)の分解能パラメータに基づく所定の輝度スパン以下の輝度幅(222)を有するピークである、輝度値の前記信号分布内の第1の部分(220)を識別する(1306)こと、
輝度値の前記信号分布の第2の部分(210)を識別する(1307)ことであって、前記第2の部分(210)は前記所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有する、輝度値の前記信号分布の第2の部分(210)を識別する(1307)こと、
前記第1の部分(220)と前記第2の部分(210)との間の輝度範囲を決定する(1308)こと
、
前記輝度範囲(232)が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の前記信号分布内の前記第1の部分(220)の一部を形成する熱画像データを排除することによって前記熱画像データをフィルタリングする(1310)こと
、
前記フィルタリングされた熱画像データから輝度値の第2の信号分布を形成する(1318)こと、
前記フィルタリングされた熱画像データを再スケーリングする(1320)こと、および、
前記再スケーリングされたフィルタリングされた熱画像データから輝度値の第3の信号分布を形成する(1322)こと
を含
み、
輝度値の前記第3の信号分布は、輝度値の前記第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きい輝度レベル範囲にまたがる、方法(1300)。
【請求項2】
前記所定の最小輝度範囲は、前記熱画像検出器(1110)の信号強度応答パラメータに基づく、請求項1に記載の方法(1300)。
【請求項3】
前記信号強度応答パラメータは温度依存性があり、
前記方法(1300)は、
前記熱画像検出器(1110)の温度を決定する(1312)こと、および、
前記熱画像検出器(1110)の前記決定された温度に基づいて前記所定の最小輝度範囲を設定する(1316)こと
をさらに含む、請求項
2に記載の方法(1300)。
【請求項4】
前記分解能パラメータは温度依存性があり、
前記方法(1300)は、
前記熱画像検出器(1110)の温度を決定する(1312)こと、および、
前記熱画像検出器(1110)の前記決定された温度に基づいて前記所定の輝度スパンを設定する(1314)こと
をさらに含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項5】
前記所定の輝度スパンは前記分解能パラメータの所定の倍数である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項6】
前記第1の部分(220)の前記輝度幅(222)は、前記第1の部分(220)の最大値(224)の所定の割合における前記第1の部分(220)の幅に等しい、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項7】
前記分解能パラメータは前記熱画像検出器(1110)の信号対ノイズフィギュアである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項8】
輝度値の前記信号分布内のさらなる部分(850)を識別することであって、前記さらなる部分(850)は、前記熱画像検出器(1110)の前記分解能パラメータに基づくさらなる所定の輝度スパン以下の輝度幅(852)を有するさらなるピーク(850)である、輝度値の前記信号分布内のさらなる部分(850)を識別すること、
前記第2の部分と前記さらなる部分との間のさらなる輝度範囲(842)を決定すること、および、
前記さらなる輝度範囲(842)がさらなる所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の前記信号分布内の前記さらなる部分(850)の一部を形成する熱画像データを排除することによって前記熱画像データをフィルタリングすること
をさらに含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項9】
前記
再スケーリングされたフィルタリングされた熱画像データに基づいて画像を生成する(1330)こと
をさらに含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【請求項10】
1つまたは複数の行為をさらに含み、前記1つまたは複数の行為は、
前記
再スケーリングされたフィルタリングされた熱画像データを自動利得調整する(1332)こと、および、
前記
再スケーリングされたフィルタリングされた熱画像データを等化する(1334)こと
からなる群から選択される、請求項
9に記載の方法(1300)。
【請求項11】
システム(1000)であって、
熱画像データを取得するように構成される熱画像検出器(1110)と、
回路(1200)と
を備え、前記回路(1200)は、
前記熱画像データから輝度値の信号分布を形成し、
輝度値の前記信号分布内の第1の部分(220)を識別し、前記第1の部分(220)は、前記熱画像検出器(1110)の分解能パラメータに基づく所定の輝度スパン以下の輝度幅(222)を有するピーク(220)であり、
輝度値の前記信号分布の第2の部分(210)を識別し、前記第2の部分(210)は前記所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有し、
前記第1の部分(220)と前記第2の部分(210)との間の輝度範囲を決定し、
前記輝度範囲(232)が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の前記信号分布内の前記第1の部分(220)の一部を形成する熱画像データを排除することによって前記熱画像データをフィルタリング
し、
前記フィルタリングされた熱画像データから輝度値の第2の信号分布を形成し、
前記フィルタリングされた熱画像データを再スケーリングし、
輝度値の前記第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きい輝度レベル範囲にまたがる、輝度値の第3の信号分布を、前記再スケーリングされたフィルタリングされた熱画像データから形成する
ように構成される、システム(1000)。
【請求項12】
前記所定の最小輝度範囲は、前記熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づく、請求項
11に記載のシステム(1000)。
【請求項13】
前記回路(1200)は、
輝度値の前記信号分布内のさらなる部分(850)を識別し、前記さらなる部分(850)は、前記熱画像検出器(1110)の前記分解能パラメータに基づくさらなる所定の輝度スパン以下の輝度幅(852)を有するさらなるピーク(850)であり、
前記第2の部分
(210)と前記さらなる部分
(850)との間のさらなる輝度範囲(842)を決定し、
前記さらなる輝度範囲(842)がさらなる所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の前記信号分布内の前記さらなる部分(850)の一部を形成する熱画像データを排除することによって前記熱画像データをフィルタリングする
ようにさらに構成される、請求項
11または12に記載のシステム(1000)。
【請求項14】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、処理能力を有するデバイス上で実行され且つ熱画像検出器に接続されると請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法(1300)を実施するプログラムを非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶している、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱画像データをフィルタリングするための方法および熱画像データをフィルタリングするためのシステムに関係する。
【背景技術】
【0002】
絶対零度を超える温度を有するオブジェクトは熱放射を放出する。放出された放射の輝度およびスペクトルコンテンツはオブジェクトの温度と共に変動する。通常、放出された放射の輝度は、オブジェクトの温度の増加と共に増加する。
【0003】
熱撮像システムは、マイクロボロメータなどの熱センサを利用して、検出される熱エネルギーを電気エネルギーに変換することによってシーン内の熱差を可視化し、それにより、そのシーンの画像またはビデオを作成する。熱撮像システムは、さらに、可視光を利用する撮像システムと比較して、使用するのが有利であり、なぜならば、シーン内のオブジェクトを、シーンに照明がある状態またはない状態で検出することができるからである。熱撮像システムは、影またはバックライトがシーンに存在するときなど、複雑な光条件に関連する問題をさらに軽減することができる。そのため、熱撮像システムは、日中および夜間のモニタリング用途においてしばしば使用される。しかしながら、シーン内の関心のオブジェクトの検出および/または識別は、達成するのに問題がある場合がある。例えば、地面と異なる温度を有する空などの、極端に異なる輝度を有するオブジェクトを含むシーンは、しかしながら、熱画像のための利用可能な輝度レベル範囲の大部分を使い切る場合があり、それにより、輝度レベル範囲のほんのわずかな部分が、シーン内の関心領域、たとえば、車両、人間、または建物にわたって分布する。シーン内の詳細および他の関心のオブジェクトは、結果として、区別するのが難しい。
【0004】
そのため、米国特許出願公開第2014/0168445号明細書は、画像内の空による利用可能な出力ダイナミックレンジの消費を低減するために画像を処理する技法を開示する。より具体的には、空に対応することができる画像内の領域またはエリアは、画像内の水平線のロケーションに基づいて識別することができる。識別された空領域内の照射レベルの分布は、その後、空領域に起因するダイナミックレンジを決定するために解析され、空領域に起因するダイナミックレンジを圧縮する伝達関数が、画像内の空が抑制されるように生成される。
【0005】
照射レベルのこのフィルタリングは、撮像能力を改善するが、しかしながら、実際には、空領域の静的識別に頼る。さらに、提案される方法は、画像収集およびおそらくは、複雑な画像解析を必要とする。したがって、熱撮像システムの撮像能力を改善するためのより単純かつより効率的な方法についての必要性が存在する。特に、領域であって、その領域の周囲からの輝度の極端な差に関する領域を有する熱画像内での関心のオブジェクトの検出および/または識別能力を改善する改良型技法についての必要性が存在する。撮像能力は、好ましくは、シーン内のダイナミックな輝度変化に適応すべきである。
【0006】
上記を考慮して、熱画像データをフィルタリングするための方法およびシステムを提供することが本発明の概念の目的である。本発明のさらなる目的は、熱撮像システムによって描画されるシーン内の隔離された領域に関する熱画像データの排除を可能にすることである。シーン内の関心のオブジェクトの改善された検出および/または識別を、それにより得ることができる。関心のオブジェクトは、それにより、熱画像データ内でより目立つことができる。熱撮像システムの改善された撮像能力が、こうして提供される。
【0007】
当技術分野の上記で識別された欠点および不利益の1つまたは複数を、単独でまたは任意の組み合わせで、軽減するか、回避するか、またはなくし、少なくとも上記で述べた問題を解決することが目的である。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、上記のまた他の目的は、熱画像データをフィルタリングするための方法によって達成される。方法は、熱画像検出器によって熱画像データを取得すること、熱画像データから輝度値の信号分布を形成すること、輝度値の信号分布内の第1の部分を識別することであって、第1の部分は、熱画像検出器の分解能パラメータに基づく所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するピークである、識別すること、輝度値の信号分布の第2の部分を識別することであって、第2の部分は所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有する、識別すること、第1の部分と第2の部分との間の輝度範囲を決定すること、および、輝度範囲が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内の第1の部分の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングすることを含む。
【0009】
本発明によって、熱画像データから隔離された領域を排除し、それにより、熱画像データ内の総輝度レベル範囲を低減することが可能である。
【0010】
言い回し「輝度値の信号分布(signal distribution of intensity values)」は、ピクセルの数が輝度に従って分布する分布として解釈されるべきである。輝度値の信号分布のグラフィカル表現において、水平軸は輝度を表すことができ、垂直軸は、所与の1つまたは複数の輝度値に対応するピクセルの数を表すことができる。そのような表現は、ヒストグラムとしても知られる。
【0011】
言い回し「分解能パラメータ(resolution parameter)」は、熱画像検出器が、到来する放射の輝度をそれによって決定することができる正確さとして解釈されるべきである。
【0012】
言い回し「信号強度応答パラメータ(signal strength response parameter)」は、熱画像検出器上への到来する放射の電気信号への変換のパラメータに関係する。
【0013】
言い回し「輝度範囲(intensity range)」は、信号分布の或る部分の輝度位置を規定する輝度値と信号分布の別の部分の輝度位置を規定する別の輝度値との差として解釈されるべきである。例えば、第1の部分の輝度位置を規定する輝度値は、第1の部分がそのピーク信号強度を有する輝度値であることができ、第2の部分の輝度位置を規定する輝度値は、第2の部分が、所定の閾信号値より高い信号強度を有する輝度値であることができる。それぞれ、第1の部分および第2の部分の輝度位置を規定するために使用することができる複数の異なる輝度値が存在することを当業者は認識する。例えば、或る部分の輝度位置は、その部分の累積面積に基づくことができ、それにより、その部分の累積面積が所定の閾値面積にある輝度値は、その部分の輝度位置を規定する。
【0014】
言い回し「所定の最小輝度範囲(predetermined minimum intensity range)」は、最小輝度範囲であって、方法が第1の部分の一部を形成する熱画像データを排除するために、第1の部分が、最小輝度範囲だけ、第2の部分から分離されなければならない、最小輝度範囲として解釈されるべきである。
【0015】
言い回し「第1の部分の一部を形成する熱画像データを排除する(excluding thermal image data forming part of the first part)」は、第1の部分の一部を形成する熱画像データを、少なくとも部分的に排除することとして解釈されるべきである。換言すれば、第1の部分の一部を形成する全ての熱画像データが、完全に排除される必要はなく、なぜならば、熱画像データの低減が有利である場合があるからである。
【0016】
言い回し「ピーク(peak)」は、所定の輝度スパン以下の輝度幅を有する輝度値の信号分布の部分として解釈されるべきである。
【0017】
本方法によれば、熱画像検出器は熱画像データを取得する。熱画像検出器は、冷却式熱画像検出器または非冷却式熱画像検出器を備えることができる。熱画像検出器はマイクロボロメータを備えることができる。熱画像検出器は熱カメラであることができる。熱画像データは、熱画像検出器によって描画されるシーンに関することができる。熱画像検出器は、シーンの画像を取得することができる。画像は熱画像データに基づくことができる。
【0018】
本方法によれば、輝度値の信号分布は熱画像データから形成される。
【0019】
熱画像データから輝度値の信号分布を形成する利点は、隔離された輝度を熱画像データ内で識別することであることができる。
【0020】
本方法によれば、第1の部分は、輝度値の信号分布内で識別される。第1の部分は、熱画像検出器の分解能パラメータに基づく所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するピークである。換言すれば、熱画像データは、輝度値の広がりを有する複数のピクセルを備える。
【0021】
輝度値の信号分布内の第1の部分は、熱画像検出器によって取得されたシーンに含まれる、空および/または空の反射に関する熱画像データに関係することができる。輝度値の信号分布内の第1の部分は、熱画像検出器によって取得されたシーンに含まれる、太陽および/または太陽の反射に関する熱画像データに関係することができる。第1の部分の輝度幅は、第1の部分の半値全幅(full width at half maimum)であることができる。第1の部分の最大は輝度値の最大ピクセル数であることができる。例えば、均一温度のオブジェクトを含む熱画像データは、輝度値の小さい広がりを有する多数のピクセルを有することができ、それにより、熱画像データから、形成された輝度値の信号分布内のピークを示すことができる。輝度値の信号分布内のピークの幅は、熱画像検出器の分解能パラメータに関係する。
【0022】
輝度値の信号分布内のピークが、輝度値の信号分布が形成される方法に応じて、輝度値の信号分布内の窪みであることができることを当業者は認識する。例えば、輝度値の信号分布内のピークは、輝度値の同じ信号分布の反転物内の窪みであることができる。
【0023】
第1の部分が所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するピークであることを識別する利点は、均一温度のオブジェクトに関する熱画像データが識別されることであることができる。同様の温度を有する複数のオブジェクトに関する熱画像データを識別できることは同様に有利である。例えば、同じ温度を有する複数のオブジェクトに関する熱画像データは、輝度値の信号分布内の単一ピークの一部を形成することができる。均一温度を有するフィーチャ(feature)を、以下で述べるように、さらに排除することができる。
【0024】
本方法によれば、第1の部分と第2の部分との間の輝度範囲が決定される。
【0025】
本方法によれば、熱画像データは、輝度範囲が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内の第1の部分の一部を形成する熱画像データを排除することによってフィルタリングされる。そのため、第1の部分の一部を形成する熱画像データは、第1の部分がそこに位置決めされる輝度値が、第2の部分から所定の最小輝度範囲より遠くに離れている場合、排除される。所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の応答に基づくことができる。
【0026】
これは、熱画像データ内の隔離された輝度エリアを排除するため、有利である。例えば、空または太陽に関する熱画像データは、通常、ピークとして識別することができ、したがって、熱画像検出器によって描画されるシーンに含まれる空または太陽に関する熱画像データを排除する、または、少なくとも低減することが可能であることができる。熱画像検出器によって描画されるシーンに含まれる空または太陽の反射、例えば、窓または湖の反射に関する熱画像データを、その反射が画像内のどこに位置するかに無関係に排除する、または、少なくとも低減することが同様に可能であることができる。したがって、熱画像の利用可能な(また、制限された)輝度レベルは、画像の関心領域にわたってより高い程度に分布することができる。これらの領域は、人々、車両、建物などに対応することができ、それらは、モニタリングの観点から区別することが重要であるオブジェクトの典型的な例である。換言すれば、フィルタリングされた熱画像データは、したがって、低減され、熱画像の利用可能でかつ制限された輝度レベルにわたって分布することができる。本発明によって、熱画像の先行する解析は、熱画像データをフィルタリングするために全く必要とされない。述べる方法が、したがって、シーン内の支配的なオブジェクトの決定された位置に基づくフィルタリングプロシージャに頼らないことが留意されるべきである。例として、熱画像システムによって得られた熱画像内での水平線および/または太陽の位置の決定は、フィルタリングに先だって必要とされない。さらに、空または太陽の反射は、シーンにおけるそれらの位置に依存して、熱画像データからフィルタリングすることができる。例えば、水平線の下に位置する空または太陽の反射は、本方法によってフィルタリングすることができる。したがって、より多用途のフィルタリング法が提供される。
【0027】
所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づくことができる。
【0028】
所定の最小輝度範囲を応答パラメータに基づかせることは、応答パラメータが異なる熱画像検出器について異なることができるため、有利である。換言すれば、異なる所定の最小輝度範囲は、異なる熱画像検出器について使用することができる。例えば、熱画像検出器の応答が高い場合、より大きい所定の最小輝度範囲を設定することができ、熱画像検出器の応答が低い場合、より小さい所定の最小輝度範囲を設定することができる。
【0029】
第1の部分と第2の部分との間の輝度範囲は、ピークから閾値輝度まで決定することができる。閾値輝度を、輝度値の信号分布の第2の部分の信号強度が閾値信号レベルにある輝度値に設定することができる。閾値信号レベルは、所定の信号強度であることができる。
【0030】
利点は、閾値輝度を、輝度値の信号分布の信号強度が所定の信号強度以上である輝度値に設定することができることである。さらなる利点は、輝度値の信号分布の信号強度が輝度値の信号分布のノイズレベル以上である輝度値に設定することができることである。
【0031】
方法は、フィルタリングされた熱画像データから輝度値の第2の信号分布を形成すること、フィルタリングされた熱画像データを再スケーリングすること、および、再スケーリングされフィルタリングされた熱画像データから輝度値の第3の信号分布を形成することをさらに含むことができ、輝度値の第3の信号分布は、輝度値の第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きい輝度レベル範囲にまたがる。換言すれば、フィルタリングされた熱画像データは、輝度値の第3の信号分布の輝度レベル範囲が輝度値の第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きくなるように再スケーリングすることができる。
【0032】
熱画像データを再スケーリングする利点は、熱画像検出器によって取得されたシーンの、少なくとも一部分、例えば、関心領域(ROI:region of interest)内のコントラストを強調することができることである。
【0033】
「信号分布(the signal distribution)」が、ここで代替的に、それぞれの信号分布の順序を明確にするために「第1の信号分布(the first signal distribution)」と呼ぶことができることが留意されるべきである。
【0034】
信号強度応答パラメータは、温度依存性があることができ、方法は、熱画像検出器の温度を決定すること、および、熱画像検出器の決定された温度に基づいて所定の最小輝度範囲を設定することをさらに含むことができる。
【0035】
利点は、所定の最小輝度範囲が熱画像検出器の決定された温度に応じて調整することができることである。
【0036】
分解能パラメータは温度依存性があることができ、方法は、熱画像検出器の温度を決定すること、および、熱画像検出器の決定された温度に基づいて所定の輝度スパンを設定することをさらに含むことができる。したがって、所定の輝度スパンは、熱画像検出器の温度の変化について調整することができる。
【0037】
これは、輝度値の信号分布内のピークを熱画像検出器の温度に応じて識別することができるため、有利であることができる。換言すれば、ピークが持つことを許容される最大幅を、熱画像検出器の温度に応じて調整することができる。
【0038】
所定の輝度スパンは、分解能パラメータの所定の倍数であることができる。
【0039】
輝度値の信号分布は熱画像データのヒストグラムであることができる。輝度値の信号分布がヒストグラムである場合、フィルタリングされた熱画像データの再スケーリングは、フィルタリングされた熱画像データのヒストグラムを伸張させることを含むことができる。
【0040】
第1の部分の輝度幅は、第1の部分の最大値の所定の割合における第1の部分の幅に等しい。
【0041】
分解能パラメータは熱画像検出器の信号対ノイズフィギュア(signal-to-noise figure)であることができる。
【0042】
信号対ノイズフィギュアは、熱画像検出器のノイズ等価温度差(NETD:noise equivalent temperature difference)であることができる。
【0043】
熱画像検出器のNETDである信号対ノイズフィギュアの利点は、熱画像検出器のNETDが、実装する前に通常わかっているため、それが、より簡単な実装を可能にすることである。熱画像検出器の信号対ノイズフィギュアまたはNETDである分解能パラメータの利点は、所定の輝度スパンが、輝度値の信号分布の評価に基づく代わりに、熱画像検出器の信号対ノイズフィギュアまたはNETDに基づくことができることである。換言すれば、所定の輝度スパンは、輝度値の信号分布を評価する前に設定することができる。したがって、輝度値の信号分布内のピークの幅は、ピークの幅を所定の輝度スパンと比較する前に輝度値の信号分布を評価しなければならない代わりに、熱画像検出器のパラメータ(信号対ノイズフィギュアまたはNETD)に基づく所定の輝度スパンと比較することができる。そのため、(例えば、処理時間の点で)複雑さの少ない評価を使用可能にすることができる。
【0044】
方法は、輝度値の信号分布内のさらなる部分を識別することであって、さらなる部分は、熱画像検出器の分解能パラメータに基づくさらなる所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するさらなるピークである、識別すること、第2の部分とさらなる部分との間のさらなる輝度範囲を決定すること、および、さらなる輝度範囲がさらなる所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内のさらなる部分の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングすることをさらに含むことができる。
【0045】
換言すれば、熱画像データは、輝度値の小さい広がりを有する複数のピクセルを有することができる。輝度値の信号分布内のさらなる部分は、熱画像検出器によって取得されたシーンに含まれる、空および/または空の反射に関する熱画像データに関係することができる。輝度値の信号分布内のさらなる部分は、熱画像検出器によって取得されたシーンに含まれる、太陽および/または太陽の反射に関する熱画像データに関係することができる。さらなる部分の輝度幅は、さらなる部分の半値全幅に等しくあることができる。さらなる部分の最大は、輝度値の最大ピクセル量であることができる。輝度値の信号分布内のさらなるピークが、輝度値の信号分布が形成される方法に応じて、輝度値の信号分布内のさらなる窪みであることができることを当業者は認識する。例えば、輝度値の信号分布内のさらなるピークは、輝度値の同じ信号分布の反転物内のさらなる窪みであることができる。
【0046】
さらなる所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づくことができる。さらなる輝度範囲は、第2の部分の輝度位置を規定する輝度値およびさらなる部分の輝度位置を規定する輝度値から決定することができる。さらなる部分の輝度位置を規定するために使用することができる複数の異なる輝度値が存在することを当業者は認識する。
【0047】
これは、輝度値の信号分布内のさらなるピークの一部を形成する熱画像データを、排除することができる、または、少なくとも低減することができるため、有利であることができる。
【0048】
方法は、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データに基づいて画像を生成することをさらに含むことができる。
【0049】
したがって、方法は、熱画像データを含む第1の画像を取得すること、および、その後、上述したように、熱画像データをフィルタリングすることを含むことができる。方法は、フィルタリングされた熱画像データに基づいて画像をさらに生成することができる。シーン内の関心のオブジェクトの検出および/または識別は、それにより、フィルタリングされた熱画像においてより容易にすることができる。フィルタリングされた熱画像における改善されたコントラストを、さらに得ることができる。
【0050】
方法は、1つまたは複数の行為をさらに含むことができ、1つまたは複数の行為は、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データを自動利得調整すること、および、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データを等化することからなる群から選択される。
【0051】
例えば、未処理熱画像データは、14ビットの輝度レベル範囲を有することができる。未処理熱画像データに対する本方法の適用から生じるフィルタリングされたおよび/または再スケーリングされた熱画像データは、フィルタリングされたおよび/または再スケーリングされた熱画像を自動利得調整した後に、12ビットの輝度レベル範囲を有することができる。自動利得調整された熱画像データは、8ビットの輝度レベル範囲に等化することができる。実際の輝度レベル範囲が異なる場合があることが理解される。例えば、熱画像データは、最初に、14ビットの代わりに、16ビットの輝度レベル範囲を有することができる。
【0052】
第2の態様によれば、本開示は、システムに関係し、システムは、熱画像データを取得するように構成される熱画像検出器と、回路とを備え、回路は、熱画像データから輝度値の信号分布を形成し、輝度値の信号分布内の第1の部分を識別し、第1の部分は、熱画像検出器の分解能パラメータに基づく所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するピークであり、輝度値の信号分布の第2の部分を識別し、第2の部分は所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有し、第1の部分と第2の部分との間の輝度範囲を決定し、輝度範囲が熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づく所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内のピークの一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングするように構成される。
【0053】
システムは、カメラをさらに備えることができる。システムは、カメラに含まれることができる。熱画像データは、システムによって取得される画像に関する。
【0054】
回路は、処理ユニットおよび/またはメモリを備えることができる。
【0055】
回路は、熱画像データの画像を生成するようにさらに構成することができる。回路は、フィルタリングされた熱画像を自動利得調整する、および/または、フィルタリングされた熱画像を等化するようにさらに構成することができる。
【0056】
換言すれば、システムは、シーンに関する熱画像データを取得し、ピークの一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングするように適合される。
【0057】
所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づくことができる。
【0058】
回路は、輝度値の信号分布内のさらなる部分を識別し、さらなる部分は、熱画像検出器の分解能パラメータに基づくさらなる所定の輝度スパン以下の輝度幅を有するさらなるピークであり、第2の部分とさらなる部分との間のさらなる輝度範囲を決定し、さらなる輝度範囲がさらなる所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内のさらなる部分の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングするようにさらに構成することができる。換言すれば、回路は、輝度値の信号分布内の第1の部分および輝度値の信号分布内のさらなる部分の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングすることができる。さらなる所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づくことができる。回路は、フィルタリングされた熱画像データに基づいて画像を生成するようにさらに構成することができる。
【0059】
方法の上記で述べた特徴および利点は、適用可能であるとき、この第2の態様にも当てはまる。過度の反復を回避するために、参照は上記に対して行われる。
【0060】
第3の態様によれば、本開示は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関係し、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、処理能力を有するデバイス上で実行されると本方法を実施するプログラムを非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶している。
【0061】
本開示の適用可能性のさらなる範囲は、以下で与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例が、本発明の概念の好ましい変形を示すが、例証としてのみ与えられることが理解されるべきであり、なぜならば、発明の概念の範囲内の種々の変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるからである。
【0062】
したがって、本発明の概念が、そのような方法およびシステムが変動する場合があるため、述べる方法の特定のステップまたは行為あるいは述べるシステムのコンポーネント部品に限定されないことが理解される。本明細書で使用する用語が、単に特定の実施形態を記述するためのものであり、制限的であることを意図されないことが同様に理解される。本明細書および添付特許請求項で使用するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「前記(said)」が、文脈が別段に明確に示さない限り、要素の1つまたは複数が存在することを意味することを意図されることが留意されなければならない。そのため、例えば、「1つのユニット(a unit)」または「そのユニット(the unit)」は、幾つかのデバイスおよび同様なものを含むことができる。さらに、語「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および同様の言い回しは、他の要素、ステップ、または行為を排除しない。
【0063】
本発明の概念の上記のまた他の態様は、ここで、発明の概念の変形を示す添付図面を参照して、より詳細に述べられる。図は、発明の概念を、特定の変形に限定するものと考えられるべきではなく;代わりに、図は、発明の概念を説明し理解するために使用される。
【0064】
図に示すように、層および領域のサイズは、例示のために誇張され、したがって、本発明の概念の変形の一般的な構造を示すために提供される。同様の参照数字は全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】熱画像データから生成された画像を示す図である。
【
図1B】熱画像データからの形成された輝度値の信号分布のダイアグラムである。
【
図1C】フィルタリングされた熱画像データからの形成された輝度値の信号分布の図ダイアグラムである。
【
図1D】フィルタリングされた熱画像データから生成された画像を示す図である。
【
図2A】フィルタリングされ再スケーリングされた熱画像データからの形成された輝度値の信号分布のダイアグラムである。
【
図2B】フィルタリングされ再スケーリングされた熱画像データから生成された画像を示す図である。
【
図3A】熱画像データから生成された熱画像を示す図である。
【
図3B】熱画像データからの形成された輝度値の信号分布のダイアグラムである。
【
図3C】フィルタリングされた熱画像データからの形成された輝度値の信号分布のダイアグラムである。
【
図4】熱画像データをフィルタリングすることが可能なシステムを示す図である。
【
図5】熱画像データをフィルタリングするための方法のブロックスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明の概念は、ここで、添付図面を参照して以降でより完全に述べられることになり、添付図面において、発明の概念の現在のところ好ましい変形が示される。本発明の概念は、しかしながら、多くの異なる形態で実装することができ、本明細書で述べる変形に限定されるものと解釈されるべきでない;むしろ、これらの変形は、徹底さおよび完全さのために提供され、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝える。
【0067】
図1Aは、熱画像データから生成された画像100を示す。熱画像データは、熱画像検出器によって取得される。画像100は、第1の構造112、第2の構造114、および湖116を含む。地面117および空118は、画像100内で同様に目に見える。第2の構造114は、シーン内で水平線120の上に延在する。画像100内で、空118は湖116に反射される。例えば、第1の構造112、第2の構造114、湖116、および空118内のまたはそのすぐ近くのフィーチャは、画像100内で眼に見えない、なぜならば、そのようなフィーチャに関する輝度が、熱画像データを撮像するために利用可能である総合輝度範囲と比較して小さい輝度範囲にまたがるからである。換言すれば、フィーチャに関する輝度は、画像内で同じ輝度値を得、したがって、互いに区別可能でない。より詳細に述べると、熱画像データから生成されるデジタル画像は、設定された数の輝度レベルによって表現される。256輝度レベルを有する輝度スケールを、一般化されたデジタル画像で使用することができる。デジタル画像内の各ピクセルは、輝度レベルに関連付けられる。熱画像データの輝度範囲は、設定された数の輝度レベルにわたって分布する。その結果、画像内の詳細なフィーチャは、画像データが含む温度の差が大きいため画像100内に隠ぺいされる。
【0068】
熱画像データは、生成されるデジタル画像より多くの輝度レベルを含むことができる。例えば、熱画像データは16384の輝度レベル(14ビット)を有することができ、一方、生成されるデジタル画像は256輝度レベル(8ビット)を有することができる。そのため、輝度レベル範囲は、熱画像データの画像処理中に減少する場合がある。輝度レベルの数が例に過ぎず、輝度レベルの他の数が可能であることが理解される。
【0069】
図1Bは、画像100として
図1Aに示す熱画像データからの形成された輝度値の信号分布のダイアグラム200である。輝度値の信号分布のダイアグラム200において、第1の部分220および第2の部分210が目に見える。
図1Bにおける形成された信号分布は、クロッピングされ、形成された信号分布に含まれる輝度より低い輝度を有する熱画像データは、したがって、排除されている。換言すれば、
図1Aの画像100に関する熱画像データは、
図1Bにおける形成された信号分布に示されるものより多くの熱画像データを含むことができる。信号分布は、代替的に、熱画像データのヒストグラムとして形成することができる。
【0070】
第2の部分210は、画像100に示す第1の構造112および第2の構造114に関する熱画像データを表現する。第1の部分220は、空118および湖116における空118の反射に関する熱画像データを表現する。ダイアグラム200において、水平軸202は輝度を表現し、垂直軸204はピクセル数を表現する。垂直軸204が位置する輝度値が必ずしも0であるわけではないことが理解される。
【0071】
ダイアグラム200内の第1の部分220は、本出願で設けられる規定に基づいて、ピークとして識別され、なぜならば、第1の部分220の輝度幅222が所定の輝度スパン(に等しい、または)より小さいからである。以下において、第1の部分220は、したがって、ピーク220と呼ばれることになる。ダイアグラム200内の第2の部分210は、本出願のコンテンツ内で、ピークとして識別されない、なぜならば、第2の部分210の輝度幅212が所定の輝度スパンより大きいからである。
図1Bに示す例において、輝度幅212、222は、それぞれ、第1の部分220および第2の部分210に関する信号の最大半量(half-maximum)における輝度幅である。しかしながら、輝度幅212、222を規定するために、他の規定による幅を使用することができる。例えば、各輝度幅212、222は、それぞれの部分210、220の最大値の所定の割合におけるそれぞれの部分210、220の程度に基づくことができる。
【0072】
所定の輝度スパンは、熱画像データを取得した熱画像検出器の分解能パラメータに基づく。分解能パラメータは、例えば、熱画像検出器の信号対ノイズフュギュアであることができる。関連する信号対ノイズフュギュアの例は、熱画像検出器のノイズ等価温度差(NETD)であることができる。例えば、所定の輝度スパンは、分解能パラメータの所定の倍数であることができる。熱画像検出器の分解能パラメータは、温度依存性があることができ、所定の輝度スパンは、熱画像検出器の決定された温度に基づいて設定することができる。
【0073】
ダイアグラム200において、所定の信号強度234が設定されている。ピーク220の一部でない輝度値の信号分布の第2の部分210の信号強度が所定の信号強度234に等しい輝度値に、第2の部分210の輝度位置が設定される。換言すれば、第2の部分210の輝度位置236は、ピーク220に関する信号を排除する信号強度が所定の信号強度234に等しい輝度値に設定される。代替的に、第2の部分210の輝度位置236は、輝度値に関する信号強度が所定の信号強度234より大きい輝度値に設定することができる。第2の部分210の輝度位置236を規定する複数の異なる方法が存在することが理解される。
【0074】
ダイアグラム200において、ピーク220の輝度位置226は、ピーク220がそのピーク値224を有する輝度値として規定される。ピーク220の輝度位置226および第2の部分210の輝度位置236に基づいて、輝度範囲232は、ピーク220の輝度位置226と第2の部分210の輝度位置236との差として決定される。
【0075】
図1Bに示す例において、輝度範囲232は、所定の最小輝度範囲より大きい。この例において、所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づく。発明の概念によれば、ピーク220の輝度幅222が所定の輝度スパンより小さいため、また、輝度範囲232が所定の最小輝度範囲より大きいため、輝度値の信号分布内のピーク220の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングすることが有益である。換言すれば、空118およびその反射に関する画像データは、発明の方法(ピーク幅および他の画像データまでの輝度距離に基づく)において識別され、熱画像データから取り除かれる、または、少なくとも低減される。そのため、画像100の関心フィーチャに関する残りの画像データ、例えば、第1および第2の構造112、114、湖116、およびその詳細なフィーチャについてのより高い輝度分解能を達成することができる。
【0076】
輝度範囲の決定をどのように実装するかに関する代替の方法が存在することが留意されるべきである。例えば、輝度差を決定する1つの方法は、ピーク220の輝度位置(例えば、輝度位置226)から始まるピクセルの累積数に対応する、ダイアグラム200の信号分布より下の面積を累積することである。所定の最小輝度範囲(ピークの輝度位置から始まる)のピクセス数が累積されたときに、累積面積が所定の面積閾値を超えない場合、輝度範囲が、所定の最小輝度範囲より大きいと判定される。
【0077】
所定の最小輝度範囲を基準に輝度範囲を決定する別のオプションは、ピークの輝度位置と、ピクセル数が所定の閾値より大きい最近傍輝度位置との間の輝度の差として輝度範囲を決定することである。最近傍輝度位置は、ピークの輝度位置から始めて、各輝度についてピクセル数を段階的に評価することによって決定することができる。ピクセル数が所定の閾値を超えると、輝度範囲は、その位置とピークの輝度位置との間の輝度距離として決定することができ、決定された輝度範囲が所定の最小輝度範囲より大きいか否かが判定され得る。
【0078】
フィルタリングされた熱画像データからの、形成された輝度値の第2の信号分布のダイアグラム300が
図1Cに示される。ダイアグラム300に見られるように、
図1Bのピーク220は取り除きによって排除されている。ピークとして識別されない第2の部分210は、しかしながら、輝度値の第2の信号分布内に依然として存在する。
【0079】
図1Dは、フィルタリングされた熱画像データから生成された画像400を示す。画像400において、湖116および空118に関する画像データが、熱画像データから排除されていることが見られ、そのことは、フィルタリングされない画像100の対応する部分116、118の場合、見られない。換言すれば、フィルタリングされない画像100内の湖116および空118に関する信号の部分(複数可)は、輝度値の信号分布内のピーク220の一部を形成する熱画像データを排除することによって、画像400において排除されている。画像400を生成するとき、フィルタリングされた熱画像データは、自動利得調整および/または等化されることができる。熱画像データは、フィルタリングの後に、再スケーリングされることができる。
【0080】
図2Aは、再スケーリングされフィルタリングされた熱画像データからの形成された輝度値の第3の信号分布のダイアグラム500である。
図2Aに示す例において、フィルタリングされた熱画像データは、輝度値の第3の信号分布の輝度レベル範囲が、
図1Cに示すダイアグラム300の輝度値の第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きくなるように(例えば、コントラスト伸張(contrast stretching)によって)再スケーリングされている。同様に、
図2Aに示す特定の例において、輝度値の第3の信号分布の輝度レベル範囲は、
図1Bに示すダイアグラム200に示す輝度値の信号分布の輝度レベル範囲と同様である。しかしながら、輝度値の第3の信号分布の輝度レベル範囲は、
図1Bの輝度値の信号分布の輝度レベル範囲と異なることができる。輝度値の第3の信号分布の輝度レベル範囲が、再スケーリングされた熱画像データのコントラストを強調するように、熱画像データが再スケーリングされることが好ましい。これは、フィルタリングされ再スケーリングされた熱画像データから生成された画像600が示される
図2Bにおいて例示される。
図2Bを
図1Aおよび
図1Dと比較すると、フィルタリングされない画像100に見られないフィーチャ642、644、646が、再スケーリング後に区別可能になることを見ることができ、なぜならば、取得された熱画像データからピーク220を表現する熱画像データを排除することによって、熱画像データのコントラストが強調されたからである。フィーチャ642、644、646は、フィルタリングされない画像100に見られない、なぜならば、画像100の設定された数の輝度レベルが、フィルタリングされない熱画像データの輝度にまたがり、したがって、フィーチャ642、644、646を表現する少数の輝度レベルのみを有するからである。フィルタリングされた熱画像データは、しかしながら、フィルタリングされない熱画像データより小さい輝度範囲を含み、画像100の設定された数の輝度レベルは、したがって、少数の輝度にまたがる。そのため、フィルタリングされ再スケーリングされた熱画像データから生成される画像600内にフィーチャ642、644、646を表現する多数の輝度レベルが存在する。デジタル画像600の利用可能な輝度レベルは、それにより、信号分布の第2の部分210に適用され、したがって、
図2Aに示すように再スケーリングされる部分510に対して再スケーリングされ得る。換言すれば、熱画像データをフィルタリングし再スケーリングすることによって、関心フィーチャ、例えば、フィーチャ642、644、646は、画像600内のコントラスト強調によって目に見えるようになる。
【0081】
図3Aにおいて、
図1Aの画像100と同様の画像700は、太陽719がシーンに同様に含まれるという差と共に示される。他のフィーチャは、両方の画像100、700において同じである。
図3Bに示すダイアグラム800は、画像700のシーンに関する熱画像データから輝度値の信号分布を形成することから生じる。ダイアグラム800において、第1の部分220、第2の部分210、および第3の部分850が目に見える。
図1Bおよび
図3Bを比較すると、2つのダイアグラム100と800との差が第3の部分850であることが認識される。第1の部分(ピーク)220および第2の部分210の評価は
図1Bの説明と同様であり、ここでは反復されない。しかしながら、第1の部分220の評価が、
図1Bに関して上記で述べたのと同じ結果に達することになることが理解される。そのため、第1の部分220は第1のピーク220と呼ばれることになる。したがって、熱画像データは、輝度値の信号分布内の第1のピーク220の一部を形成する熱画像データを排除することによってフィルタリングすることができる。以下で、第3の部分850の評価が述べられる。
【0082】
図3Bの第3の部分850は、さらなるピークとして識別され、なぜならば、その輝度幅852がさらなる所定の輝度スパンより小さいからである。
図3Bに示す例において、第3の部分850の輝度幅852は、第3の部分850に関する信号の最大半量における輝度幅である。さらなる所定の輝度スパンは、
図1Bに関係する所定の輝度スパンと同じであることができる、または代替的に、
図1Bに関係する所定の輝度スパンと異なることができる。いずれの場合も、さらなる輝度スパンは、熱画像データを取得した熱画像検出器の分解能パラメータに基づく。以下において、第3の部分850は、第2のピーク850と呼ばれることになる。
【0083】
さらなる所定の信号強度844は、ダイアグラム800にて設定されている。
図3Bに見られるように、さらなる所定の信号強度844は、所定の信号強度234と同じ信号強度である。しかしながら、所定の信号強度234およびさらなる所定の信号強度844は、他の変形において、異なることができる。第1のピーク220の一部でもなく、第2のピーク850の一部でもない輝度値の信号分布の部分の信号強度がさらなる所定の信号強度844にある輝度値に、第2の部分210のさらなる輝度位置846が設定される。換言すれば、第2の部分210のさらなる輝度位置846は、第1のピーク220および第2のピーク850に関する信号を無視するときに、信号強度がさらなる所定の信号強度844にある輝度値に設定される。
【0084】
図3Bにおいて、第2のピーク850の輝度位置856は、第2のピーク850がそのピーク値854を有する輝度値として規定される。第2のピーク850の輝度位置856および第2の部分210のさらなる輝度位置846から、さらなる輝度範囲842は、輝度位置856と第2の部分のさらなる輝度位置846との間の輝度の差として決定される。
図3Bに示す例において、さらなる輝度範囲842は、さらなる所定の最小輝度範囲より大きい。この例において、さらなる所定の最小輝度範囲は、所定の最小輝度範囲と異なる。他の例において、さらなる所定の最小輝度範囲は、所定の最小輝度範囲と同じであることができる。しかしながら、この例において、所定の最小輝度範囲およびさらなる所定の最小輝度範囲は共に、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに基づく。さらなる実施形態において、異なる所定の最小輝度範囲値は、識別されたピークが、ピーク(例えば、
図3Bの例の第2の部分210)として識別されない識別された部分を基準により高い輝度を表現するか、より低い輝度を表現するかに応じて選択することができる。
【0085】
図3Bに戻ると、また、本アプローチによれば、第2のピーク850の輝度幅852がさらなる所定の輝度スパンより小さく、さらなる輝度範囲842がさらなる所定の最小輝度範囲より大きいため、熱画像データは、輝度値の信号分布内の第1のピーク220および第2のピーク850の一部を形成する熱画像データを排除することによってフィルタリングされる。
【0086】
図3Cにおいて、ダイアグラム900は、フィルタリングされた熱画像データから形成された輝度値の第4の信号分布を示し、輝度値の信号分布内の第1のピーク220および第2のピーク850の一部を形成する熱画像データは、取り除きによって排除されている。
図3Cに見られるように、輝度値の第4の信号分布は、
図1Cに示す輝度値の第2の信号分布と同様である。輝度値の第4の信号分布に関する熱画像データは、
図2Aに関して述べたのと同じ方法でさらに再スケーリングすることができ、画像は、
図1Dおよび
図2Bに関して述べたように生成することができる。
【0087】
図4は、例えば、上記で開示した方法の変形のうちの任意の変形にしたがって熱画像データをフィルタリングすることが可能なシステム1000を示す。システム1000は、熱画像検出器1110および回路1200を備える。
図4に示す例において、熱画像検出器1110は熱カメラ1100に含まれる。熱カメラ1100はモニタリングカメラであることができる。同様に、
図4に示す例において、熱画像検出器1110および回路1200は、別個であるものとして示される。しかしながら、両者は同じユニットに含まれることができる。例えば、回路1200は熱カメラ1100に含まれることができる。
【0088】
回路1200は、処理ユニット1210およびメモリ1220を備える。処理ユニット1210およびメモリ1220は、この例ではデータバス1230で表現される無線または有線通信を介して通信することができる。
【0089】
熱画像検出器1110は、熱カメラ1100がそれに向かって方向付けられるシーンを表現する熱画像データを取得するように構成される。熱画像検出器1110は、データバス1150を介して回路と通信するようにさらに構成される。熱画像検出器1110と回路1200との間の通信のために複数の適した有線および無線接続が存在することを当業者は認識する。
図4に示す特定の例において、熱画像検出器1110は、
図1Aに示す画像100に対応する熱画像データを取得する。
【0090】
回路1200は、取得された熱画像データから輝度値の信号分布を形成するように構成される。この特定の例の熱画像検出器1110は、
図1Aに示す画像100に対応する熱画像データを取得するため、形成された輝度値の信号分布は、
図1Bのダイアグラム200に示す輝度値の信号分布である。
【0091】
回路1200は、輝度値の信号分布内の第1の部分を識別するようにさらに構成される。第1の部分は、所定の輝度スパン以下の輝度幅を有し、したがって、本出願で設けられる規定に基づいて、ピークとして識別される。所定の輝度スパンは熱画像検出器1110の分解能パラメータに基づく。この場合、回路1200は、
図1Bのピークを識別し、なぜならば、第1の部分220が、所定の輝度スパンより小さい輝度幅222を有するからである。
【0092】
回路1200は、輝度値の信号分布内の第2の部分を識別するようにさらに構成される。第2の部分は、所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有する。この場合、回路1200は、輝度幅212を有する
図1Bの第2の部分210を識別する。
【0093】
回路1200は、第1の部分220と第2の部分210との間の輝度範囲232を決定するようにさらに構成される。回路1200は、
図1Bに関して述べたように、第2の部分の輝度範囲232および輝度位置236を決定するために同じプロシージャを使用することができる。
【0094】
回路1200は、輝度範囲232が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内の第1の部分220の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングするようにさらに構成される。この特定の例において、所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器1110の信号強度応答パラメータに基づく。
【0095】
回路1200が、
図3A~
図3Cに関して述べた方法で、輝度値の信号分布内のさらなるピークを識別するようにさらに構成することができることが理解される。
【0096】
熱画像データをフィルタリングするための方法1300は、ここで、
図5をさらに参照して述べられる。方法1300は、熱画像検出器1110によって熱画像データを取得する1302ことを含む。方法1300は、熱画像検出器1110の温度を決定する1312ことをさらに含むことができる。温度は、熱センサによって、例えば、熱電対または同様のセンサによって決定することができる。
【0097】
方法1300は、熱画像データから輝度値の信号分布を形成する1304ことをさらに含む。形成された輝度値の信号分布は、
図1Bおよび
図3Bに示す輝度値の信号分布と同様であることができる。
【0098】
方法1300は、輝度値の信号分布内の第1の部分を識別する1306ことをさらに含む。第1の部分は、所定の輝度スパン以下の輝度幅を有し、したがって、本出願で設けられる規定に基づいて、ピークとして識別される。所定の輝度スパンは、熱画像検出器1110の分解能パラメータに基づく。熱画像検出器1110の分解能パラメータは温度依存性があることができ、方法1300は、熱画像検出器1110の決定された温度に基づいて所定の輝度スパンを設定する1314ことをさらに含むことができる。
【0099】
方法1300は、輝度値の信号分布の第2の部分を識別する1307ことをさらに含む。第2の部分は所定の輝度スパンより大きい輝度幅を有し、したがって、本出願で設けられる規定に基づいて、ピークとして識別されない。
【0100】
方法1300は、第1の部分と第2の部分との間の輝度範囲を決定する1308ことをさらに含む。所定の最小輝度範囲は、熱画像検出器1110の信号強度応答パラメータに基づく。信号強度応答パラメータは温度依存性があることができ、方法1300は、熱画像検出器の決定された温度に基づいて所定の最小輝度範囲を設定する1316ことをさらに含むことができる。
【0101】
方法1300は、輝度範囲が所定の最小輝度範囲より大きい場合、輝度値の信号分布内の第1の部分の一部を形成する熱画像データを排除することによって熱画像データをフィルタリングする1310ことをさらに含む。
【0102】
方法1300は、フィルタリングされた熱画像データから輝度値の第2の信号分布を形成する1318ことをさらに含むことができる。
【0103】
方法1300は、フィルタリングされた熱画像データを再スケーリングする1320こと、および、再スケーリングされフィルタリングされた熱画像データから輝度値の第3の信号分布を形成する1322ことをさらに含むことができる。再スケーリングする1320ことは、輝度値の第3の信号分布が輝度値の第2の信号分布の輝度レベル範囲より大きい輝度レベル範囲を有するように実施することができる。
【0104】
方法1300は、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データに基づいて画像を生成する1330ことをさらに含むことができる。画像を生成する1330行為は、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データを自動利得調整する1332こと、および、再スケーリングされたおよび/またはフィルタリングされた熱画像データを等化する1334ことを含むことができる。
【0105】
方法1300は、単一処理ユニットによってまたは方法1300の異なる部分を実施する複数の処理ユニットによって実施することができる。方法1300の幾つかの部分、例えば、熱画像データを取得する1302こと、および、検出器の温度を決定する1312ことを、並列に実施することができることが認識される。したがって、方法1300は、
図5に示すように厳密にシリアルな方法で実施される必要はない。全ての例証される行為が、特許請求される発明の方法を達成するために必要であるわけではないことが同様に理解される。
【0106】
本発明の概念が、上記で述べた好ましい変形に決して限定されないことを当業者は認識する。逆に、多くの修正および変形が、添付特許請求項の範囲内で可能である。
【0107】
例えば、ピークの輝度位置を規定する輝度値は、ピークが、所定の閾値信号レベルより大きい信号強度を有する輝度値であることができる。所定の閾値信号レベルは、熱画像検出器の信号強度応答パラメータに関係することができる。
【0108】
さらに、開示される変形に対する変形は、図面、開示、および添付特許請求項の検討によって、特許請求される発明を実施するときに、当業者によって理解され実施され得る。幾つかの対策が、互いに異なる従属請求項において挙げられるという単なる事実は、これらの対策の組み合わせが有利に使用できないことを示さない。