(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】組織試料中で遺伝子を検出するための系
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220128BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220128BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220128BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220128BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20220128BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N33/48 P
G01N33/53 M
G01N21/27 A
C12Q1/6841 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2019168189
(22)【出願日】2019-09-17
(62)【分割の表示】P 2017088255の分割
【原出願日】2013-01-29
【審査請求日】2019-10-17
(32)【優先日】2012-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】バムフォード,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】チュッカ,シュリニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ジム・エフ
(72)【発明者】
【氏名】サルカル,アニンディヤ
(72)【発明者】
【氏名】セルテル,オルケイ
(72)【発明者】
【氏名】スズエ,エレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランガオンカル,ハーシャル
【審査官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/076216(WO,A2)
【文献】特開2004-340738(JP,A)
【文献】国際公開第2008/129881(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/052543(WO,A1)
【文献】黒住昌史,顕微鏡,Vol.44, No.1(2009),pp.30-34
【文献】秋元 眞喜雄 他,レーザ顕微鏡研究会 第16回講演会論文集,1995年,pp.20-24
【文献】INFORM HER2 Dual ISH DNA Probe Cocktail [online],VENTANA(登録商標),2010年08月23日,[Retrieved on 2018 Jun 26],p.1-12,<www.rochecanada.com/content/dam/roche_canada/en_CA/documents/package_inserts/INFORM HER2 Dual ISH DNA Probe Cocktail-05899826001-PIRevB-EN.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/6841
C12N 15/09-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに基づく系であって、
1またはそれより多いデータプロセッサ、および
命令を含む持続性コンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、当該命令は、当該1またはそれより多いデータプロセッサ上で実行されると、当該1またはそれより多いデータプロセッサに、以下
a)組織標本に第一のin situハイブリダイゼーションプローブおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブを適用すること、
b)続いて、組織標本のデジタル画像を得ること、
c)当該デジタル画像をRGB色空間からL*a*b色空間に変換することによって、当該デジタル画像を増進させること、
d)当該増進させた画像から、視野領域を選択すること、
e)細胞検出および/または核検出アルゴリズムを実行し、視野領域内で候補核を選択すること、
f)当該候補核において、第一のin situハイブリダイゼーションプローブからの第一のシグナルおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブからの第二のシグナルを自動的にカウントすること、そして
g)当該第一および第二のシグナルのカウントの比を概算すること
を含む操作を実行させる、
前記コンピュータに基づく系。
【請求項2】
前記命令が、さらに、1またはそれより多いデータプロセッサに、デジタル画像における第二の視野領域に対して、操作e)、f)、およびg)を反復することを含む操作を実行させる、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項3】
前記命令が、さらに、1またはそれより多いデータプロセッサに、概算された比を決定する報告を生成する操作を実行させる、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項4】
前記操作e)は、組織標本の形態的特徴を決定すること、視野領域に表示された組織標本の対応する部分の測定、および/または視野領域内の組織構造の配置をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項5】
前記第一のin situハイブリダイゼーションプローブおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブのそれぞれは、銀in situハイブリダイゼーションプローブまたは赤色in situハイブリダイゼーションプローブを
含有する、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項6】
前記命令は、さらに、1またはそれより多いデータプロセッサに、視野領域および比を決定する出力画像を表示することを含む操作を実行させる、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項7】
前記操作d)は、
第一および第二のin situハイブリダイゼーションプローブからのシグナルの色バランスを分析すること、および
当該色バランスが、あらかじめ決定された基準を満たす場合、視野領域を選択すること
をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータに基づく系。
【請求項8】
a)組織標本に第一のin situハイブリダイゼーションプローブおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブを適用すること、ここで当該第一のin situハイブリダイゼーションプローブおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブのそれぞれは、銀in situハイブリダイゼーションプローブまたは赤色in situハイブリダイゼーションプローブを含有する、
b)続いて、組織標本のデジタル画像を得ること、
c)当該デジタル画像をRGB色空間からL*a*b色空間に変換することによって、当該デジタル画像を増進させること、
d)当該増進させた画像から、視野領域を選択すること、
e)細胞検出および/または核検出アルゴリズムを実行し、視野領域内で候補核を選択すること、
f)当該候補核において、第一のin situハイブリダイゼーションプローブからの第一のシグナルおよび第二のin situハイブリダイゼーションプローブからの第二のシグナルを自動的にカウントすること、そして
g)当該第一および第二のシグナルのカウントの比を概算すること
を含む方法。
【請求項9】
デジタル画像における第二の視野領域に対して、工程e)、f)、およびg)を反復することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
概算された比を決定する報告を生成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記工程e)は、組織標本の形態的特徴を決定すること、視野領域に表示された組織標本の対応する部分の測定、および/または視野領域内の組織構造の配置をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
視野領域および比を決定する出力画像を表示することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記d)の工程は、
第一および第二のin situハイブリダイゼーションプローブからのシグナルの色バランスを分析すること、および
当該色バランスが、あらかじめ決定された基準を満たす場合、視野領域を選択すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に開示する技術は、コンピュータに基づく標本分析装置、および特に組織試料中の遺伝子の発現レベルを検出するためのコンピュータに基づく系に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]多くの疾患は、細胞核で生じる変化と関連する。特に、いくつかのタイプの癌は、細胞中のさらなる遺伝物質の存在に関連する。例えば、特定のタイプの乳癌は、細胞で見られる染色体17の数に対して、ヒト上皮増殖因子2(「HER2」)の過剰存在量(例えば過剰発現)と関連する。組織試料中の染色体17の数に対するHER2遺伝子の数を検出することによって、この特定のタイプの乳癌をより容易に同定可能であり、そして治療オプションを評価することも可能である。
【0003】
[0003]慣用的な組織分析系において、病理学者は、マーカー自体を特定の遺伝子、染色体またはその部分に付着させる特別な遺伝子マーカーを含む「カクテル」混合物で染色されている組織試料を見るために顕微鏡を用いる。染色スライド上で、マーカーは、付着した染色体または遺伝子を、異なって着色された領域として見せる。病理学者は、スライド中で、どのくらい多くのオブジェクトが、外来のジャンクに対して、マークされた遺伝物質に真に相当するかを数えるかまたは推定し、そして次いで、遺伝子が特定の組織試料において増幅されているかどうか決定することも可能である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]開示する技術の少なくともいくつかの態様は、組織標本を自動的にスコアリングするための画像化系を構築することに向けられる。系は、定量的分析のため、候補核を選択する。系は、第一のin situハイブリダイゼーションシグナルおよび第二のin
situハイブリダイゼーションシグナルを自動的にカウントする。第二のシグナルのカウントに対する第一のシグナルのカウントの比を決定可能である。
【0005】
[0005]系には、いくつかの態様において、第一および第二のハイブリダイゼーションシグナルを自動的にカウントするコンピューティング系が含まれる。特定の態様において、第一および第二のハイブリダイゼーションシグナルの一方または両方は、非蛍光シグナルである。非蛍光シグナルは、銀in situハイブリダイゼーションシグナル、赤色in situハイブリダイゼーションシグナル等であってもよい。いくつかの態様において、1つのシグナルは、HER2遺伝子を示す銀in situハイブリダイゼーションシグナル(「SISH」)であり、そして別のシグナルは、染色体17を示す赤色in situハイブリダイゼーションシグナルである。
【0006】
[0006]いくつかの態様において、系は、画像の特徴をカウントすべきかどうかを評価する。系は、少なくとも1つの画像特性計量および少なくとも1つの形態計量を用いて、特徴が、関心対象の遺伝子、タンパク質、染色体、または他の解剖学的構造に対応するかどうかを決定することも可能である。画像特性計量には、例えば、色、色バランス、強度等が含まれてもよい。形態計量には、例えば、特徴サイズ、特徴の色、特徴の配向、特徴の形状、特徴間(例えば隣接する特徴間)の関係または距離、別の解剖学的構造に対する特徴の関係または距離等が含まれてもよい。画像特性計量、形態計量、および他の計量を用いて、分類器を訓練してもよい。
【0007】
[0007]コンピュータに基づく標本分析装置は、いくつかの態様において、関心対象の染色された特徴に相当する画像特徴を検出することによって、画像において、関心対象の特
徴に関する発現レベルを検出するように設定される。染色された特徴の色は増進され、そしてフィルタリングされて、遺伝子、染色体、タンパク質、非遺伝物質、または他の標識マーカーである、画像中の領域を定義するマスクを製作する。計量を用いて、関心対象の特徴に対応する画像特徴(例えばドット、ピクセル、または両方)を評価してもよい。計量を、異なる細胞構造を区別する分類器にフィードする。
【0008】
[0008]いくつかの態様において、遺伝子の発現レベルを検出するための系には、メモリおよびプロセッサが含まれる。メモリはプログラム命令のシーケンスを記憶することも可能である。プロセッサは、組織試料の色画像を受け取り、そして細胞核の形態に基づいて、色画像において、異なって染色されている遺伝子および染色体を同定するようプログラミングされてもよい。プロセッサは、同定された遺伝子および染色体の関連を評価して、遺伝子の発現レベルを決定することも可能である。
【0009】
[0009]遺伝子または染色体は、標本の画像において、ドットとして見えることも可能である。プロセッサは、いくつかの態様において、ドット寸法、ドット形状、ドット配向、複数のドット間の空間関係、ならびに少なくとも1つのドットおよび別の組織構造の間の空間関係の少なくとも1つを評価することによって、遺伝子および染色体を同定するよう、プログラミングされている。特定の態様において、プロセッサは、遺伝子と同定された複数のドットの寸法および相対的位置を測定するようプログラミングされる。プロセッサはまた、染色体と同定された複数のドットの寸法および相対的位置を測定するようプログラミングされることも可能である。
【0010】
[0010]メモリは、細胞核の形態を評価する命令を記憶することも可能である。記憶される命令は、形態アルゴリズムであってもよい。形態アルゴリズムを実行して、例えば、組織またはその一部の寸法、位置、型、および構造を評価してもよい。いくつかの態様において、遺伝子形態アルゴリズムを用いて、遺伝子に対応するシグナルを評価し、そして染色体形態アルゴリズムを用いて、染色体に対応するシグナルを評価する。
【0011】
[0011]開示する技術の少なくともいくつかの態様には、RGB色空間からL*a*b色空間に細胞の画像を変換することによって、標本の色画像において、特徴の色を増進させ、そして各ピクセルに関して、L、aおよびb値を一次結合させたグレースケール画像をコンピューティングするように設定されているコンピュータに基づく系が含まれる。系は、いくつかのガウシアン相違フィルタで、増進された色画像をフィルタリングすることによって、関心対象のありうる特徴に相当するドットマスクを製作することも可能である。画像において、サイズおよび形状が関心対象のドットとして見えるピクセルに関する強い反応を生じ、そして画像において、すべての他のピクセルに関する最低限の反応を生じるように、フィルタおよび関連パラメータを選択することも可能である。遺伝子、遺伝子産物、染色体、標識、マーカー、タンパク質等を含む、関心対象の広い範囲の特徴の色を増進させるように、コンピュータに基づく系を設定することも可能である。
【0012】
[0012]いくつかの態様において、分析装置には、プログラム命令のシーケンスを記憶するためのメモリ、および画像において、異なる関心対象の特徴が、異なって見えるように染色されている組織試料の画像が含まれる。分析装置は、画像において関心対象の異なる特徴に相当する可能性がある領域を検出して関心対象の特徴の外見を増進させるための命令を実行し、増進された画像をフィルタリングして、画像において、関心対象の異なる特徴に相当する可能性がある領域を検出し、そして関心対象の特徴に相当する領域に関して、1またはそれより多い計量を測定するように設定される。特定の態様において、計量には、画像特性計量または形態計量、あるいは両方が含まれる。領域が関心対象の特徴に相当するかどうかを決定する分類器に、計量を適用してもよい。分析装置は、画像またはその一部において、異なる同定される特徴の数をカウントしてもよい。
【0013】
[0013]いくつかの態様において、コンピュータ系を、関心対象のいかなる領域も自動的に決定するようにプログラミングすることも可能である。候補特徴は、試料形態(例えば細胞構成要素形態、細胞形態、組織形態、解剖学的構造形態等)、組織特性(例えば密度、組成等)、空間パラメータ(例えば組織構造の配置、組織構造間の相対的位置等)、画像特性パラメータ等を含む、1またはそれより多い選択基準に基づいて選択される。候補特徴が核である場合、選択基準には、限定なしに、核形態(例えば形状、寸法、組成等)、空間パラメータ(例えば細胞構造における核の位置、核間の相対的位置等)、画像特性、その組み合わせ等が含まれてもよい。候補核を選択した後、アルゴリズムを自動的に用いて、HER2遺伝子/染色体17比を評価する定量的分析を実行してもよい。ユーザーは、いくつかの態様において、望ましい場合、画像の視覚的検査に基づいて、関心対象の領域を手動で改変することも可能である。望ましい場合、人的介入を伴わずに、スライドの1まとまりを分析してもよい。関心対象の領域をスコアリングすることも可能である。いくつかの態様において、ユーザーは、スライド-バイ-スライド(slide-by-slide)に基づいて、関心対象の任意の領域を削除してもよい。例えば、ユーザーは、自動的に選択された視野領域がスコアリングに適していないことを視覚的に決定可能である。次いで、ユーザーは、選択された視野領域をさらなるプロセシングから削除することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014]特許または出願ファイルは、色つきで作成された少なくとも1つの図を含有する。着色図を含むこの特許または特許出願刊行物のコピーは、要求に応じて、そして必要な料金の支払いがあれば、局に提供されるであろう。同じ参照番号は、別に明記しない限り、多様な表示全体で、同様の部分または活動を指す。
【
図1】[0015]
図1は、開示する技術の態様にしたがって、標本を分析するためのコンピュータに基づく系を示す;
【
図2】[0016]
図2は、選択した細胞核、および開示する技術の態様にしたがって、コンピュータ系によって実行される細胞分析の結果を、ユーザーが見ることを可能にする、例示的ユーザー-インターフェース(「UI」)スクリーンを示す;
【
図3】[0017]
図3は、検出されたHER2遺伝子および染色体17とともに、細胞が表示されるユーザーインターフェースウインドウ、ならびに開示する技術の態様にしたがって生じる、細胞に関してコンピューティングされた統計値を例示する;
【
図4】[0018]
図4は、開示する技術の態様にしたがって、細胞核物質を分析するためのコンピュータ実装法のワークフロー図を示す;
【
図5】[0019]
図5は、開示する技術の態様にしたがった、いくつかの選択した細胞、細胞から生成されたドットマスク画像、および検出された遺伝物質を例示する;
【
図6】[0020]
図6は、開示する技術の態様にしたがって、標本を分析するための方法のフロー図である;そして
【
図7】[0021]
図7は、開示する技術の態様にしたがって、標本を調製し、そして分析するための系を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0022]本明細書に開示する技術の少なくともいくつかの態様は、細胞物質を分析するためのコンピュータ系および方法に、特に細胞において過剰発現されている遺伝子を検出するための系に関する。本明細書に記載する例示的な態様は、HER2遺伝子の発現レベル(例えば過剰または過少発現)を検出するが、該技術を用いて、細胞における他の遺伝子またはその一部、ならびに関心対象の他の特徴を検出することも可能であることが認識されるであろう。
【0016】
[0023]標本を分析するためのコンピュータに基づく標本分析装置を
図1に示す。分析系
10には、画像化装置12およびコンピュータ系14が含まれる。標本保持顕微鏡スライドを、画像化装置12内に装填してもよい。画像化装置12は、標本の画像を製作する。画像は、直接連結を通じて、またはネットワーク20を介してのいずれかで、コンピュータ系14に送られる。コンピュータ系14は、ユーザーに画像を表示する。ユーザー(例えば病理学者、細胞科学者、実験室技術者等)は、評価のための画像の1またはそれより多い領域を選択可能である。コンピュータ系14は、関心対象の特徴を含む領域をスコアリングすることによって、ユーザーを補助可能である。
【0017】
[0024]画像化装置12には、限定なしに、1またはそれより多い画像捕捉デバイスが含まれてもよい。画像捕捉デバイスには、限定なしに、カメラ(例えばアナログカメラ、デジタルカメラ等)、光学機器(例えば1またはそれより多いレンズ、センサー焦点レンズ群、顕微鏡対物レンズ等)、画像化センサー(例えば電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサー等)、写真フィルム等が含まれてもよい。デジタル態様において、画像捕捉デバイスには、オンザフライ・フォーカシングを証明するために協力する複数のレンズが含まれてもよい。CCDセンサーは、標本のデジタル画像を捕捉することも可能である。デジタル画像を製作する1つの方法には、標本の少なくとも一部を含む顕微鏡スライド領域を含むスキャン領域を決定する工程が含まれる。スキャン領域を複数のスナップショットに分けてもよい。スナップショットを組み合わせることによって、画像を製作することも可能である。いくつかの態様において、画像装置12は、標本全体の高解像度画像を製作する。
【0018】
[0025]コンピュータ系14には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット等が含まれてもよく、そしてデジタル電子回路、ファームウェア、ハードウェア、メモリ、コンピュータ記憶媒体、コンピュータプログラム、プロセッサ(プログラミングされたプロセッサを含む)等が含まれてもよい。
図1の例示するコンピューティング系14は、スクリーン16およびタワー18を含むデスクトップコンピュータである。タワー18は、バイナリ型でデジタル画像を記憶可能である。画像をピクセルのマトリックスに分割することもまた可能である。ピクセルには、ビット深度によって定義される1またはそれより多いビットのデジタル値が含まれてもよい。デジタル値は、例えばエネルギー、明るさ、色、強度、音、上昇、または画像プロセシングを通じて得られる分類された値に相当してもよい。限定されない例示的デジタル画像形式には、限定されるわけではないが、ビットマップ、ジョイント・ピクチャーズ・エキスパート・グループ(JPEG)、タグ化画像ファイル形式(TIFF)、および画像交換形式(GIF)、ならびに他のデジタルデータ形式が含まれる。
【0019】
[0026]ネットワーク20または直接連結は、画像化装置12およびコンピュータ系14を相互連結する。ネットワーク20には、限定なしに、1またはそれより多いゲートウェイ、ルーター、ブリッジ、その組み合わせ等が含まれてもよい。ネットワーク20には、1またはそれより多いサーバーおよびユーザーがアクセス可能な1またはそれより多いウェブサイトが含まれ、そして該ネットワークを用いて、コンピュータ系14が利用可能な情報を送り、そして受け取ることも可能である。サーバーには、限定なしに、情報(例えばデジタル画像、アルゴリズム、染色プロトコル等)を記憶するための1またはそれより多い関連データベースが含まれてもよい。ネットワーク20には、限定されるわけではないが、通信制御プロトコル(TCP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、インターネットプロトコル(IP)および他のデータプロトコルを用いたデータネットワークが含まれてもよい。
【0020】
[0027]標本は、in situハイブリダイゼーション(「ISH」)プロトコルにしたがってプロセシングされた乳房組織試料であってもよい。ISHプロトコルは、関心対象の配列に対して、ヌクレオチドの相補鎖(例えばプローブ)をハイブリダイズさせるこ
とによって、凍結組織切片、固定/パラフィン包埋組織切片、または他の細胞調製において、特定の核酸配列(例えばDNA、mRNA等)の視覚化を提供することも可能である。ISHプロトコルには、限定なしに、二重SISHおよび赤色ISHプロトコル、単一赤色ISHプロトコル、単一SISHプロトコル等が含まれてもよい。HER2/染色体17比を決定するため、画像化装置12は、銀in situハイブリダイゼーションシグナル、赤色in situハイブリダイゼーションシグナル等が含まれる画像を捕捉する。組織は、HER2/染色体17比を決定するため、HER2遺伝子および染色体17に対応するシグナルに基づいてスコアリングされる。比に基づいて、標本のHER2遺伝子が増幅されているかまたは増幅されていないか決定する。乳房組織試料を自動的にスコアリングするため、定量的分析のために候補核を選択してもよい。コンピュータ系14は、異なる特徴(例えばHER2遺伝子、染色体17等)を自動的にカウントし、そしていくつかの特徴の比を決定する。さらなる核をスコアリングしてもよい。診断は、少なくとも部分的に、比に基づいて行われうる。結果をスクリーン16に表示してもよい。組織試料(例えば乳房組織)が癌腫であるかどうか評価するため、コンピュータ系14は、例えば、染色体17シグナル数に対するHER2遺伝子シグナル数の比を評価することによって、遺伝子の増幅を検出することにより、選択した領域に関する情報を、ユーザーが得るのを補助してもよい。用語「検出する」には、本明細書において、定量的検出または定性的検出、あるいは両方が含まれる。特定の態様において、生物学的試料は、細胞または組織を含む。
【0021】
[0028]分析系10は、
図2~7と関連して議論する方法および技術を実行可能である。分析系10の構成要素および特徴を混合して、そして
図2~5および7の系の他の構成要素および特徴とマッチングさせてもよい。
【0022】
[0029]
図2は、開示する技術にしたがって、ユーザーが、細胞を分析するコンピュータに基づく標本分析装置と相互作用することを可能にする、ユーザーインターフェース(UI)スクリーンの一部を例示する。カクテルアッセイを用いて染色し、染色組織をスライド上にマウントし、そしてコンピュータ系100と関連していてもよいし、あるいは別個の構成要素または系であってもよい、高解像度画像化装置でスライドを画像化することによって、組織試料の形の標本を調製してもよい。組織試料の色デジタル画像を、ローカルまたはリモートコンピュータ読み取り可能記憶媒体(ハードディスク、固体メモリ等)中に記憶させ、そしてディスプレイ110上に表示する。
【0023】
[0030]コンピュータ系100によって生成される例示的ユーザーインターフェース200を、ディスプレイ110上に示す。UI 200には、組織試料またはその一部の画像を示すウィンドウ202が含まれる。ユーザーは、選択ツール(マウス、ジョイスティック、アイコン、例えば投げ縄ツールあるいは1またはそれより多いキーストロークまたは他の機構)を用いて、視野領域(「FOV」)として画像において表示される組織部分を選択する。選択した視野領域内の組織の拡大図をウィンドウ210中に示す。次いで、ユーザーは、分析のための選択ツールを用いて、個々の細胞/核を選択することも可能である。ユーザーが選択する例示する境界(緑で例示)は、一般的に核膜に対応する。境界内の画像部分を分析してもよい。あるいは、コンピュータ系は、多数の細胞を選択するために、細胞/核検出アルゴリズムを使用してもよい。検出アルゴリズムは、例えば、画像特性パラメータ、組織形態、組織特性、空間パラメータ、その組み合わせ等に基づいて、境界を決定可能である。当業者には認識されるであろうように、開示する技術によって検出される遺伝物質は、細胞核に見られる。したがって、用語「細胞」および「核」、ならびにこれらの複数形は、本開示の目的のため、同義であると見なされる。選択する細胞は、見られうる色で細胞の輪郭を描くことによって、細胞領域に影をつけることによって、または他の手段によって、ウィンドウ210において強調される。
【0024】
[0031]分析のために選択される個々の細胞の色画像を、UI 200の下部の細胞トレイ214に表示する。ユーザーが手動で細胞を同定する場合、こうした同定される細胞各々の画像を、細胞トレイ214に入れることも可能である。コンピュータ系100が細胞を自動的に同定する場合、こうした自動的に同定される細胞各々の画像は、細胞トレイ214に含まれることも可能である。あるいは、ユーザーは、1またはそれより多い、自動的に同定された細胞の選択が、細胞トレイ214に含まれるべきであるかを、手動で確認してもよい。
【0025】
[0032]ユーザーインターフェース200にはまた、細胞トレイ214に含まれる細胞核に関してコンピューティングした分析の結果を表示する、1またはそれより多いウィンドウ216も含まれる。1つの態様において、分析は、FOV中で同定されるこうした細胞各々に関して見られる、染色体17の数に対するHER2遺伝子の数の比を決定する。上に示すように、比は、特定のタイプの癌の指標となりうる。同定される細胞各々およびスライド全体に関して決定されたHER2/染色体17比の結果を、対応するスライドに関する記録に記憶させる。ユーザーは、非常に時間を浪費し、そして退屈であり、そしてしたがって間違いが生じやすい可能性もある、HER2遺伝子および染色体17の視覚的カウントを伴うことなく、HER2/染色体17比を好適に見ることも可能である。自動化スコアリングプロセスは、診断するために掛かる時間を減少させることも可能であり、そしてしたがって実験室スループットを増加させることも可能である。さらに、自動化プロセスは、一貫し、そして信頼性があるスコアリングを提供して、解釈の正確さを増進させることも可能である。
【0026】
[0033]1つの態様において、例えば、特定のスライドに分析結果をマッチさせるため、各スライドを、バーコード、機械読み取り可能コード(例えば一次元または多次元バーコードあるいはインフォグリフ、RFIDタグ、ブラッグ回折格子、磁気ストライプ、またはナノバーコード)、またはいくつかの他のタイプの電子検出可能識別子でマークする。スライドを、コンピュータ系の画像化装置(スライドビューワーを含む)内に再挿した際、決定された統計値を、コンピュータ読み取り可能記憶媒体から回収し、そしてユーザーのために表示してもよい。さらにまたはあるいは、スライド中の組織に関して実行される分析の記録をコンピュータ通信回線(例えばインターネット)によって、視覚化、記憶または分析のため、リモートコンピュータ系に伝達してもよい。多様な目的、例えば医学的研究等のため、こうした記録を他の組織試料の分析と組み合わせてもよい。コンピュータはまた、患者の記録に含めるため、組織分析に関する1またはそれより多い報告も生じてもよい。ひとたび分析を、細胞トレイ214に含まれる細胞上で実行したら、ユーザーは、分析をやめてもよいし、または組織試料画像中の別のFOVを選択してもよい。
【0027】
[0034]
図3は、細胞トレイ214中の個々の細胞を選択する際に、UIによって製作される代表的なウィンドウ300を例示する。ウィンドウ300には、細胞中で検出されるHER2遺伝子および染色体17の数を示すディスプレイ304と一緒に、選択した細胞の画像302が含まれる。ユーザーは、望ましい場合、自動的に検出されたHER2遺伝子または染色体17の数を覆すことも可能である。いくつかのコントロール306は、ユーザーが細胞に関する結果を保存するかまたはキャンセルすることを可能にする。コントロール308は、細胞トレイ中の各細胞を通じて、ユーザーがスクロールすることを可能にする。コントロール308には、細胞トレイ中の第一の細胞に戻る巻き戻しボタン、ユーザーが細胞トレイ中の先の細胞に戻ることを可能にするバックボタン、ユーザーが細胞トレイ中の次の細胞に進行することを可能にする次の細胞ボタン、およびユーザーが細胞トレイ中の最後の細胞に進行することを可能にする早送りボタンが含まれる。ボタン310は、ユーザーが細胞トレイから、示す細胞を削除することを可能にする。ボタン312は、ユーザーが細胞境界の輪郭をオンおよびオフに切り替え、ならびに細胞境界内のそれぞれ、検出されるHER2遺伝子および染色体17の位置を示す黒および赤のドットの画
像を切り替えることを可能にする。ボタン314は、ユーザーがスライドに関する報告において、細胞に関してコンピューティングされている統計値を含むことを可能にする。最後に、ボタン316は、ユーザーが、任意の特定の細胞に関してコンピュータが決定した統計値を覆し、そして細胞に関してHER2遺伝子および染色体17の数のユーザー自身の概算を入力することを可能にする。
【0028】
[0035]
図4は、開示する技術にしたがって、細胞を分析するための方法の1つの代表的なワークフロー図を示す。示す活動は、説明を容易にするために特定の順序で実行されるように記載しているが、記載する機能性をなお得ながら、活動の順序を変更してもよく、活動を省いてもよく、またはさらなる活動を行ってもよいことが認識されるであろう。
【0029】
[0036]1つの態様において、コンピュータ系14,100には、持続性コンピュータ読み取り可能媒体上に記憶された一連のコンピュータ実行可能命令でプログラミングされている、1またはそれより多いプロセッサが含まれる。実行されると、命令は、コンピュータ系の1またはそれより多いプロセッサが、ユーザーから、1またはそれより多いFOVの指示を受け取るようにする。1つの態様において、コンピュータ系は、次いで、1またはそれより多いプロセッサが、選択したFOV中に含有される細胞核の境界をセグメント化するかまたは同定するようにする命令を実行する。1つの態様において、コンピュータ系100は、命令を実行して、細胞核の境界を自動的に同定する。別の態様において、コンピュータ系は、命令を実行して、選択ツールを用いたユーザーから、細胞核の指標を受け取る。1つの態様において、同定された各細胞核の画像を、ユーザーインターフェース200内の細胞トレイ内に入れる。
【0030】
[0037]ひとたび、細胞トレイ中に、分析のために望ましい数の細胞が選択されたら、コンピュータ系は、命令を実行して、同定された各細胞核内のシグナル(例えばドット)を検出する。1つの態様において、ドットはまず、細胞の色画像を単色画像に変換することによって同定される。1つの態様において、単色画像は、まず、RGB色空間からL*a*b色空間に細胞の色画像の色空間を変換することによって、生成される。L*a*b色空間において、「L」チャネルはピクセルの明るさに相当し、「a」チャネルは、ピクセルの赤および緑の構成要素を反映し、そして「b」チャネルは、ピクセルの青および黄色構成要素に相当する。次いで、各ピクセル位置での「L」、「a」および「b」値を一次結合することによって得られる、画像中の赤および黒を強調する、新規画像を生成する。
【0031】
[0038]増進画像をいくつかのフィルタに掛けることによって、赤および黒が増進された画像においてドットを検出する。1つの態様において、フィルタは、検出しようとするドット/ドットの塊の予期されるサイズに基づいて各フィルタサイズを選択する、ガウシアン相違(「DOG」)フィルタである。1つの態様において、DOGフィルタのサイズは、約0.05ミクロンから約5ミクロンの範囲である。DOGフィルタに掛けた各通過からの結果を併せて、フィルタリングしたグレースケール画像を生成し、これを各細胞内の染色された核物質およびいくつかの「ジャンク」を示すマスクとして用いる。
【0032】
[0039]次いで、例えばOtsu法に基づく適応閾値化技術を用いて、ドット外部のすべてが1つのバイナリ値(例えばロジック0)を有し、そしてドット内部のすべてが反対のバイナリ値(例えばロジック1)を有する、ドットマスク画像を製作して、組み合わせグレースケール画像をバイナリ化する。
【0033】
[0040]ひとたび、ドットマスク画像が生成されたら、これを分類器とともに用いて、ジャンクと関連するいかなるドットも除去し、そしてHER2遺伝子および染色体17に相当するドットを残す。1つの態様において、線形バイナリ分類器を用いる-しかし、他の分類器が等しく適用可能である。分類器を用いた第一段階において、コンピュータ系は、分析する細胞各々に関して決定される反応のヒストグラムに基づいて、弱いDOG反応を伴うドットを摘み取る命令を実行する。
【0034】
[0041]第二段階において、ドットマスク画像におけるドット各々内の領域に対応するピクセル位置で、組織のRGB画像の色を分析することによって、目立つ赤いドットをかすかな赤いドットから分離して、そして黒いドットを濃い青のドットから分離する。結果は、赤および黒のドットのみのセットである。残りのドットをジャンクと見なし、そして除去する。次いで、連結された構成要素分析を用いて、ドットおよびドットブロブを抽出する。
【0035】
[0042]ドットがHER2遺伝子または染色体17に相当するかどうかを決定するため、ドット(ドットブロブを含む)の多数の計量を測定し、そして分析する。これらの計量には、ドットサイズ、色、配向、形状、多数のガウシアン相違フィルタの反応、隣接するドット間の関係または距離、およびコンピュータによって測定可能ないくつかの他の要因が含まれる。次いで、計量を分類器内に入力する。分類器は、訓練された病理学者、細胞科学者、あるいは他の個人またはこれらの核特徴のコンピュータモデルを含む機械によって、HER2遺伝子または染色体17のいずれかに相当すると陽性に同定されている訓練データセットに基づいて、あらかじめ訓練されている。
【0036】
[0043]1つの態様において、分類器は、ドット変動範囲を含有する訓練スライドセットに基づいて訓練されており、そして線形マージンバイナリ分類器モデルは、各段階に関して教えられている。生じたモデルは、識別超平面によってパラメータ化され、HER2遺伝子または染色体17のいずれかを定義する2つの標識領域に、特徴空間を分割する。
【0037】
[0044]ひとたび分類器が訓練されたら、画像において未知のドットに関して測定された計量を分類器に適用する。次いで、分類器は、どのタイプのドット(例えばHER2遺伝子または染色体17)が相当するかを示しうる。
【0038】
[0045]ひとたびドットが分類されたら、これらをコンピュータ系によってカウントする。コンピュータ系が、ドットサイズを名目上の単一ドットサイズのスケールに基づいて決定する場合、ドットは、分類器によって標識されるように、HER2ドットまたは染色体17ドットのいずれかとしてカウントされる。ドットが名目上の単一ドットサイズよりも大きい場合、コンピュータ系は、クラスターの面積を決定し、そして名目上のドットの面積によって割って、どれだけ多くのドットがドットクラスター中に含まれる可能性が高いかを決定する。HER2および染色体17として分類されるドットの近さを、カウント・アルゴリズムにおいて用いる。
【0039】
[0046]ひとたびドットが分類されそしてカウントされたら、結果は細胞あたりで、そしてFOVあたりで、集計される。ドットタイプの比を計算し、そして全体として各細胞およびスライドに関して表示する。比に基づいて、発現レベルを、過剰発現、過少発現等と決定してもよい。1つの態様において、組織試料中のHER2遺伝子対染色体17の比が、例えば2.2を超えている場合、組織試料を過剰発現と同定する。こうした過剰発現HER2遺伝子は、癌腫を示しうる。
【0040】
[0047]コンピュータ系14,100は、画像における1またはそれより多い特徴を評価する形態アルゴリズムを実行することも可能である。遺伝子形態アルゴリズムは、例えば、1またはそれより多いドット寸法を測定し、ドット形状を評価し、ドット配向を評価し、複数のドット間の空間関係を評価し、そして少なくとも1つのドットおよび組織試料の別の解剖学的構造の間の空間関係を評価することによって、色画像におけるシグナルを評価することも可能である。出力を、シグナルが遺伝子に相当するかどうかを決定する分類
器に送ることも可能である。他のタイプの形態アルゴリズムを用いて、組織の他の特徴を同定してもよい。出力を分類器に送ることも可能である。
【0041】
[0048]本明細書に記載する主題および操作の態様を、デジタル電子回路において、あるいは本明細書に開示する構造およびその構造的同等物を含めて、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアにおいて、あるいは1またはそれより多くのこれらの組み合わせにおいて、実行してもよい。本明細書記載の主題の態様を、1またはそれより多いコンピュータプログラム、すなわち、データプロセシング装置によって実行するため、またはデータプロセシング装置の操作を制御するため、コンピュータ記憶媒体上にエンコードされる、コンピュータプログラム命令の1またはそれより多いモジュールとして実行してもよい。
【0042】
[0049]コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶デバイス、コンピュータ読み取り可能記憶基板、ランダムまたは連続アクセスメモリアレイまたはデバイス、あるいはその1またはそれより多くの組み合わせであってもよいし、あるいはこれらに含まれてもよい。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝播シグナルではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成される伝播シグナルにエンコードされるコンピュータプログラム命令の供給源または宛先であることも可能である。コンピュータ記憶媒体はまた、1またはそれより多い別個の物理的構成要素または媒体(例えば多数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であってもよいし、あるいはこうしたものに含まれてもよい。本明細書に記載する操作を、1またはそれより多くのコンピュータ読み取り可能記憶デバイス上に保存されるか、または他の供給源から受け取られるデータに対して、データプロセシング装置によって実行される操作として、実装してもよい。
【0043】
[0050]用語「プログラミングされたプロセッサ」は、データをプロセシングするためのすべての種類の装置、デバイス、および機械を含み、例えば、プログラム可能マイクロプロセッサ、コンピュータ、1つのチップまたは多数のチップ上の系、あるいは前述のものの組み合わせが含まれる。装置には、特殊用途のロジック回路、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(アプリケーション特異的集積回路)が含まれてもよい。装置にはまた、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコード、例えばプロセッサ・ファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理系、オペレーティングシステム、クロスプラットフォーム・ランタイム環境、バーチャルマシン、あるいはこれらの1またはそれより多くの組み合わせが含まれてもよい。装置および実行環境は、多様な異なるコンピューティングモデル・インフラストラクチャー、例えばウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティング・インフラストラクチャーを実現することも可能である。
【0044】
[0051]コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、宣言型または手続き型言語を含む、任意の型のプログラミング言語で書かれていてもよく、そしてこれは、スタンドアロン型プログラムとして、あるいはモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットで配置されてもよい。コンピュータプログラムは、ファイル系におけるファイルに対応してもよいが、する必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えばマークアップ言語ドキュメント中に記憶される1またはそれより多いスクリプト)を保持するファイルの一部において、問題のプログラムに当てられる単一のファイルにおいて、あるいは多数のコーディネートされたファイル(例えば1またはそれより多いモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)において、記憶されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、あるいは1つの部位に位置するか、または多数の部位に渡って分配され、そして通信ネットワーク
によって相互連結される、多数のコンピュータ上で実行されるよう配置されてもよい。
【0045】
[0052]入力データを操作し、そして出力を生成することによって、1またはそれより多いコンピュータプログラムを実行する1またはそれより多いプログラム可能プロセッサにより、本明細書に記載するプロセスおよびロジックフローを実行して、動作を実行してもよい。プロセスおよびロジックフローを、特殊用途のロジック回路、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(アプリケーション特異的集積回路)によって実行してもよいし、そして装置もまた、こうしたロジック回路として実装されてもよい。
【0046】
[0053]コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例えば、汎用および特殊用途マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1またはそれより多いプロセッサも含まれる。一般的に、プロセッサは、命令およびデータを読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリあるいは両方から受け取るであろう。コンピュータの必須要素は、命令にしたがって、動作を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1またはそれより多いメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、データを記憶するための1またはそれより多い大量記憶デバイス、例えば磁気、磁気光学ディスク、または光学ディスクを含むであろうし、あるいはこうしたデバイスからデータを受け取るかまたはこうしたデバイスにデータを輸送するか、または両方を行うために機能可能であるようにカップリングされてもよい。しかし、コンピュータはこうしたデバイスを持たなくてもよい。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、いくつかのみを挙げると、携帯電話、携帯端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤー、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)レシーバー、またはポータブル記憶デバイス(例えばユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブ)に埋め込まれていてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したデバイスには、すべての型の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスが含まれ、例えば半導体記憶デバイス、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク;磁気光学ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリを、特殊用途ロジック回路によって補充しても、または該ロジック回路に取り込んでもよい。
【0047】
[0054]ユーザーとの相互作用を提供するため、本明細書記載の主題の態様を、ユーザーに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えばLCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、ならびにユーザーがコンピュータに入力を提供可能なキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスまたはトラックボールを有するコンピュータ上に実装してもよい。いくつかの実装において、タッチスクリーンを用いて、情報を表示し、そしてユーザーからの入力を受け取ることも可能である。他の種類のデバイスを用いて、ユーザーとの相互作用を提供することもまた可能であり;例えばユーザーに提供されるフィードバックは、任意の型の感覚フィードバック、例えば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚フィードバックであってもよく;そしてユーザーからの入力を、アコースティック、スピーチ、または触覚入力を含む任意の型で受け取ってもよい。さらに、コンピュータは、ドキュメントをユーザーが使用するデバイスに送り、そしてドキュメントを該デバイスから受け取ることによって;例えばウェブブラウザから受け取ったリクエストに応じて、ユーザーのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送ることによって、ユーザーと相互作用可能である。
【0048】
[0055]本明細書記載の主題の態様を、バックエンド構成要素、例えばデータサーバーとしてのものを含むか、あるいはミドルウェア構成要素、例えばアプリケーションサーバー
を含むか、あるいはフロントエンド構成要素、例えばユーザーが本明細書記載の主題の実装と相互作用することが可能なグラフィカルユーザーインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含むコンピューティング系、あるいは1またはそれより多いこうしたバックエンド、ミドルウェアまたはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせに実装してもよい。任意の型または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって、系の構成要素を相互連結してもよい。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えばインターネット)、ならびにピアツーピアネットワーク(例えばアドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。例えば、
図1のネットワーク20には、1またはそれより多いローカルエリアネットワークが含まれてもよい。
【0049】
[0056]コンピューティング系には、任意の数のクライアントおよびサーバーが含まれてもよい。クライアントおよびサーバーは、一般的に互いに離れており、そして典型的には通信ネットワークを通じて相互作用する。クライアントおよびサーバーの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、そして互いにクライアント-サーバー関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの態様において、サーバーは、データ(例えばHTMLページ)をクライアントデバイス(例えばクライアントデバイスと相互作用するユーザーにデータを表示し、そして該ユーザーからユーザー入力を受け取る目的のためのもの)に送信する。クライアントデバイスで生成されるデータ(例えばユーザー相互作用の結果)をサーバーでクライアントデバイスから受け取ってもよい。
【0050】
[0057]
図6は、標本を分析するための方法のフロー
図400である。402で、組織標本画像中の候補特徴を選択する。コンピュータ系またはユーザーによって、候補特徴を選択してもよい。
【0051】
[0058]410で、シグナルを同定する。HER2/染色体17比分析において、第一のin situハイブリダイゼーションシグナル(例えばドット)はHER2遺伝子を示し、そして第二のin situハイブリダイゼーションシグナル(例えばドット)は染色体17を示す。これらの異なるハイブリダイゼーションシグナルをカウントしてもよい。
【0052】
[0059]412で、シグナル間の関係を評価する。特定の態様において、カウントしたシグナルの比を決定する。シグナル間の他のタイプの関係を評価してもよい。
[0060]関心対象の任意の望ましい領域を評価するため、方法400を任意の回数、反復してもよい。コンピュータ系は、画像特性計量、形態計量、その組み合わせ等を含む計量に基づいて、関心対象の領域を決定可能である。関心対象の単数または複数の領域に関して、総スコア、平均スコア、または他のタイプのスコアを決定可能である。少なくとも部分的にスコアに基づいて、病理学者が診断を行うことも可能である。
【0053】
[0061]
図7は、スコアリングを通じて、組織調製を実行可能な分析系10を示す。標本プロセシング装置210は、標本に対して、1またはそれより多い調製プロセスを実行可能である。調製プロセスには、限定なしに、標本の脱パラフィン処理、標本の前処理(例えば細胞前処理)、標本の染色、抗原回収実行、免疫組織化学染色(標識を含む)または他の反応の実行、および/またはin situハイブリダイゼーション(例えばSISH、FISH等)染色(標識を含む)または他の反応、ならびに顕微鏡、マイクロ分析、質量分析法、または他の分析法のための標本を調製するための他のプロセスが含まれてもよい。
【0054】
[0062]標本には、組織試料が含まれてもよい。組織試料は、ターゲットがその中にまたはその上に存在可能な、任意の液体、半固体または固体物質(または材料)であってもよ
い。特に、組織試料は、生物学的試料または生物学的組織から得られる組織試料であってもよい。組織は、生物内で類似の機能を実行する相互連結細胞のコレクションであってもよい。いくつかの例において、生物学的試料を動物被験体、例えばヒト被験体から得る。生物学的試料は、限定なしに単細胞生物、例えばとりわけ細菌、酵母、原生動物、およびアメーバ、多細胞生物(例えば植物または動物、健康であるかまたは見かけ上健康であるヒト被験体、あるいは診断または研究しようとする状態または疾患、例えば癌に罹患しているヒト患者由来の試料を含む)を含む、任意の生存生物から得られるか、こうした生物によって排出されるかまたは分泌される、任意の固体または液体試料であってもよい。例えば、生物学的試料は、例えば血液、血漿、血清、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、房水または硝子体液から得られる生物学的液体、あるいは任意の体性分泌物、漏出物、滲出物(例えば膿瘍、あるいは感染または炎症の任意の他の部位から得られる液)、または関節(例えば正常関節または疾患に罹患している関節)から得られる液であってもよい。生物学的試料はまた、任意の臓器または組織から得られる試料(生検または検死標本、例えば腫瘍生検を含む)であってもよいし、あるいは細胞(初代細胞または培養細胞いずれでもよい)または任意の細胞、組織もしくは臓器によって馴化された培地を含んでもよい。いくつかの例において、生物学的試料は核抽出物である。特定の例において、試料は、品質管理試料、例えば開示する細胞ペレット切片試料の1つである。他の例において、試料は試験試料である。例えば、試験試料は、被験体から得られる生物学的試料から調製される、細胞、組織または細胞ペレット切片である。例において、被験体は、特定の状態または疾患のリスクがあるか、またはこれらを獲得しているものである。いくつかの態様において、標本は乳房組織である。
【0055】
[0063]プロセシング装置210は、標本に固定剤を適用可能である。固定剤には、架橋剤(例えばアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、およびグルタルアルデヒド、ならびに非アルデヒド架橋剤)、酸化剤(例えば金属イオンおよび複合体、例えば四酸化オスミウムおよびクロム酸)、タンパク質変性剤(例えば酢酸、メタノール、およびエタノール)、未知の機構の固定剤(例えば塩化第二水銀、アセトン、およびピクリン酸)、組み合わせ試薬(例えばカルノワ固定剤、メタカン、ブワン液、B5固定剤、ロスマン液、およびジャンドル液)、マイクロ波、および雑多な固定剤(例えば排除体積固定および蒸気固定)が含まれる。
【0056】
[0064]標本がパラフィン中に包埋された試料である場合、適切な脱パラフィン液(単数または複数)を用いて、試料を脱パラフィン処理してもよい。廃棄物除去装置が脱パラフィン液(単数または複数)を除去した後、任意の数の物質を連続して標本に適用してもよい。物質は、前処理(例えばタンパク質架橋、核酸曝露等)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えばストリンジェンシー洗浄)、検出(例えば視覚的またはマーカー分子のプローブへの連結)、増幅(例えばタンパク質、遺伝子の増幅等)、対比染色、カバースリップ化等のためであってもよい。
【0057】
[0065]標本プロセシング装置210は、広範囲の物質を標本に適用することも可能である。物質には、限定なしに、染色剤、プローブ、試薬、リンス、および/または調整剤が含まれる。物質は、流体(例えば気体、液体、またはガス/液体混合物)等であってもよい。流体は、溶媒(例えば極性溶媒、非極性溶媒等)、溶液(例えば水溶液または他のタイプの溶液)等であってもよい。試薬には、限定なしに、染色剤、湿潤剤、抗体(例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、抗原回収液(例えば水性または非水性の抗原回収溶液、抗原回収緩衝剤等)等が含まれうる。
【0058】
[0066]プローブは、検出可能標識またはレポーター分子に付着した、単離核酸または単離合成オリゴヌクレオチドであってもよい。標識には、放射性同位体、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光または蛍光剤、ハプテン、および酵素が含まれてもよい。例えば、
プローブには、限定なしに、ハプテン標識特異的結合部分、DNAプローブ(例えばDNP標識DNAプローブ)、ニトロアリール化合物、ジニトロフェノール、電子不足芳香族化合物、プローブハイブリダイゼーション溶液、または他のタイプのISHプローブが含まれてもよい。ISHは、組織の部分または切片(in situ)あるいは組織が十分に小さい場合は組織全体(全載ISH)において、特異的DNAまたはRNA配列を位置決定するための標識相補DNAまたはRNA鎖(すなわちプローブ)を伴うことも可能である。
【0059】
[0067]いくつかの態様において、プロセシング装置210によって適用されるカクテルアッセイには、異なる試薬が含まれる。例えば、1つのカクテルアッセイには、ULTRAVIEW SISH検出キット(Ventana Medical Systems、Inc.、p/n 780-001)、INFORM HER2 DNAプローブ(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-4332)、ウサギ抗DNP抗体(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-4335)、ウサギ抗HER2(4B5)抗体(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 800-2996)、ULTRAVIEW Universalアルカリホスファターゼ赤色検出キット(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 760-501)、銀洗浄(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-002)、および/またはINFORM染色体17プローブ(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-4331)が含まれる。別のカクテルアッセイは、Ventana Medical Systems, Inc.によって販売される、INFORM HER2二重ISH DNAプローブカクテル(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 800-4422)を含む、INFORM HER2二重ISH DNAプローブ、HybReady(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-4409)、ultraView SISH DNP検出キット(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 800-098)、ultraView赤色ISH DIG検出キット(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 800-505)、ultraView銀洗浄II(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 780-003)、および/またはHER2二重ISH 3-in-1異種移植片スライド(Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 783-4332)である。他のカクテルアッセイが使用可能である。ヒト乳癌および食道胃接合部を含む胃癌のホルマリン固定パラフィン包埋組織標本において、2色発色性ISHを通じて、カクテルアッセイを用いて、HER2遺伝子の増幅を定量的に検出することも可能であり、そしてカクテルアッセイは、ハーセプチン(トラスツズマブ)が治療オプションでありうる患者の評価を補助することも可能である。さらに他のプロトコルにおいて、カクテルアッセイは、Ventana Medical Systems, Inc.、p/n 800-4422によって販売される、VENTANA HER2 DNAプローブアッセイである。米国特許出願第11/809,024号(米国特許公報第2008/299555号に対応)、表題MULTICOLOR CHROMOGENIC DETECTION OF BIOMAKERS、ならびに米国特許出願第11/809,024号(米国特許公報第2011/0136130に対応)、表題METHOD FOR CHROMOGENIC DETECTION OF TWO OR MORE TARGET MOLECULES IN A SINGLE SAMPLEは、物質、プロトコル、および標本プロセシング技術を開示し、そしてその全体が本明細書に援用される。
【0060】
[0068]標本プロセシング装置210は、自動化装置、例えばVentana Medical Systems, Inc.によって販売されるBENCHMARK XT機器
およびSYMPHONY機器であってよい。Ventana Medical Systems, Inc.は、各々がその全体で本明細書に援用される、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号および第6,943,029号、ならびに米国公開特許出願第20030211630号および第20040052685号を含む自動化分析を実行するための系および方法を開示する多くの米国特許の譲受人である。あるいは、標本を手動でプロセシングしてもよい。
【0061】
[0069]標本をプロセシングした後、ユーザーは、標本所持スライドを画像化装置12に輸送してもよい。ドア13を開放して、装置12を装填してもよい。入力デバイス17(コントロールパネルとして例示)を用いて、装置12を操作する。画像化装置12は、明視野画像化装置または他のタイプのスライドスキャナであってもよい。1つの明視野画像化装置は、Ventana Medical Systems, Inc.によって販売されるiScan CoreoTM明視野スキャナである。自動化態様において、画像化装置12は、国際特許出願第PCT/US2010/002772号(特許公報第WO/2011/049608号)、表題IMAGING SYSTEM AND TECHNIQUESに開示されるような、または米国特許出願第61/533,114号、2011年9月9日出願、表題IMAGING SYSTEMS, CASSETTES, AND METHODS OF USING THE SAMEに開示されるようなデジタル病理デバイスである。国際特許出願第PCT/US2010/002772号および米国特許出願第61/533,114号は、その全体が本明細書に援用される。他の態様において、画像化装置12には、顕微鏡にカップリングしたデジタルカメラが含まれる。
【0062】
[0070]ユーザーは、
図7のコンピューティング系14を用いて、プロセシング装置210を制御し、そしてデジタル化スライド画像のデータベースから画像を選択することも可能である。ユーザーは、分析のため、関心対象の1またはそれより多い領域を選択可能である。コンピュータ系14は、関心対象の各領域において、自動的にシグナルをカウントして、HER2/染色体17比の十分に正確な概算のために、十分な数のSISHシグナルおよび赤色ISHシグナルが存在するかどうかを決定する。結果をユーザーに表示する。ユーザーが関心対象の任意の特定の領域の分析を進めようと決心した場合、ユーザーは、評価において、あるセットの核を含めることを選択するか、または候補核を自動的に同定するアルゴリズムを用いるか、いずれかのオプションを有する。ユーザーは、アルゴリズムを用いることによって同定された任意の候補核を削除することも可能である。いくつかの態様において、定性的分析のため、標本の全画像を分析する。標本に関して、全体のカウントを決定してもよい。次いで、ユーザーは、標本の特定の領域に対する分析に集中するかどうかを決定してもよい。
【0063】
[0071]選択した核各々を、SISHおよび赤色ISHシグナルに関して調べる。各核に関して、SISH対赤色ISHの比を概算する。選択した核で見られるSISHおよび赤色ISHシグナルを併せて、関心対象の全領域に関して、HER2/染色体17比を形成する。ユーザーは、結果をその試料に関する公式注釈として承認してもよい。あるいは、ユーザーは結果を廃棄し、そして例えば異なる核セット、関心対象の新規領域等に基づくプロセスを再スタートしてもよい。プロセス全体で、数値または画像の形の結果をユーザーに表示する。結果に基づいて、ユーザーは、介入してもよいし、または続けてもよい。この対話型またはユーザー補助アプローチに加えて、コンピュータ系14は、いかなる人的介入も伴わずに、各領域を自動的に分析してもよい。ユーザーは、分析に基づいて、標本プロセシング装置210の操作を制御して、続く標本プロセシングを改善することも可能である。
【0064】
[0072]本明細書に言及され、そして/または出願データシートに列挙される、すべての
米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、その全体が本明細書に援用される。必要があれば、態様の側面を修飾して、多様な特許、出願および刊行物の概念を使用して、さらにさらなる態様を提供してもよい。
【0065】
[0073]前述から、本明細書において、例示のために本発明の特定の態様が記載されてきているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多様な修飾を行ってもよいことが認識されるであろう。したがって、本発明は、付随する請求項によるようなもの以外、限定されない。