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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ブリスターパック
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20220106BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B65D75/36
B65D81/32 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019531539
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017025246
(87)【国際公開番号】W WO2018041415
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】16020318.8
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519064481
【氏名又は名称】アムコア フレキシブルズ クロイツリンゲン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン、ジモーネ
(72)【発明者】
【氏名】クラエッセンス、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ペレス、アンナ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05405629(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0146117(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283029(US,A1)
【文献】国際公開第93/012009(WO,A1)
【文献】特表2010-529869(JP,A)
【文献】特開2011-148525(JP,A)
【文献】特表2014-503426(JP,A)
【文献】特開2009-102046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリング層を有するベースラミネートとシーリング層を有するリッドラミネートとを含むブリスターパックであって、
前記ベースラミネートは製品を収容する少なくとも1つのキャビティを有し、
前記ベースラミネート及び前記リッドラミネートはそれらのシーリング層を介して互いに直接シールされ、
該シールの特徴が、2つの異なるシーリングサブゾーン、すなわち、永久シールを提供する第1のシーリングサブゾーン及び可剥性シールを提供する第2のシーリングサブゾーン、を含み、
前記ベースラミネートおよび前記リッドラミネート中のそれぞれのシーリング層が、ポリエチレンと2以上の官能化エチレンコポリマーとのブレンドを含み、
官能化エチレンコポリマーが、エチレンと、酸素原子に二重結合した炭素原子を含み、かつ追加の酸素原子に結合している有機官能基を有する不飽和コモノマーとのコポリマーであることを特徴とする、
前記ブリスターパック。
【請求項2】
ベースラミネートが、少なくとも2つのキャビティ、すなわち、第1の製品を収容する第1のキャビティ、及び第2の製品を収容する第2のキャビティを有し、第1のシーリングサブゾーンが、密閉されたブリスターパックを形成するシールされた周囲を画定し、第2のシーリングサブゾーンが、前記第1のシーリングサブゾーンの内部にあり、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとを少なくとも部分的に分離していることを特徴とする、請求項1に記載のブリスターパック。
【請求項3】
第2のシーリングサブゾーンが、キャビティの1つに加えられた持続的な手動圧力によって層間剥離し、それによって第1のキャビティと第2のキャビティとの間に連通通路を提供して第1の製品と第2の製品との混合を可能とすることを特徴とする、請求項2に記載のブリスターパック。
【請求項4】
第1のシーリングサブゾーン及び第2のシーリングサブゾーンが、密閉されたブリスターパックを形成する第1の端部と第2の端部と2つの対向する側部とを有するシールされた周囲を画定し、それによって前記第1のシーリングサブゾーンが、前記第2の端部に配置され、剥離止めを提供し、それによってブリスターパックの開いた状態でリッドラミネートとベースラミネートとの完全な分離が防止されることを特徴とする、請求項1に記載のブリスターパック。
【請求項5】
ポリエチレンが、0.921g/cm3~0.924g/cm3の範囲の密度を有する低密度ポリエチレンであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項6】
官能化エチレンコポリマーが、酸コポリマーの酸部分をカチオンで部分的に中和することによって前記酸コポリマーから誘導されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項7】
官能化エチレンコポリマーがエチレンアクリル酸コポリマーであり、エチレンとアクリル酸コモノマーとから誘導される非カチオン中和コポリマーであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項8】
官能化エチレンコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーの重量に基づいて30重量%までの酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項9】
ベースラミネートが、3つの接着結合層、すなわち、配向ポリアミドの外層、アルミニウムの中間層、及びエチレンアクリル酸とアイオノマー樹脂とのブレンドから作られた内側シーリング層を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項10】
ベースラミネートの外層が、10μm~40μmの範囲の厚さを有し、前記ベースラミネートの中間層が、30μm~60μmの範囲の厚さを有し、かつ前記ベースラミネートの内側シーリング層が、30μm~90μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項に記載のブリスターパック。
【請求項11】
リッドラミネートが、3つの接着結合層、すなわち、ポリエチレンテレフタラートから作られた外層、アルミニウムから作られた中間層、及びエチレンアクリル酸とアイオノマー樹脂とのブレンドから作られた内側シーリング層からなることを特徴とする、請求項1~1のいずれかに記載のブリスターパック。
【請求項12】
リッドラミネートの外層が、6μm~18μmの範囲の厚さを有し、前記リッドラミネートの中間層が、10μm~30μmの範囲の厚さを有し、かつ前記リッドラミネートの内側シーリング層が、30μm~90μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項11に記載のブリスターパック。
【請求項13】
第1のシーリングサブゾーンが第1の温度でシールされ、かつ第2のシーリングサブゾーンがより低い第2の温度でシールされ、第1のシーリング温度と第2のシーリング温度との差が少なくとも30℃であることを特徴とする、請求項1~1のいずれかに記載のブリスターパックの製造方法。
【請求項14】
第1のシーリングサブゾーンが170℃~200℃の範囲の第1の温度でシールされ、かつ第2のシーリングサブゾーンが110℃~140℃の範囲のより低い第2の温度でシールされることを特徴とする、請求項1~1のいずれかに記載のブリスターパックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品を収容するためのブリスターパックに関する。このようなブリスターパックを製造する方法もまた開示されている。
【背景技術】
【0002】
薬剤、薬物又は栄養補助食品では、錠剤、カプセル、粉末、液体などの医薬品を包装するためのブリスターパックがよく知られている。さらに、1日1回投与レジメンを提供するパッケージは、1日複数回投与レジメンよりも効果的であるようである。実際に患者がより確実に順守できるのは日に1回の投薬であり、日に複数回の投薬は確実さが劣る。
【0003】
したがって、異なる医薬組成物又は栄養補助食品を組み合わせた複数包装は、最適な日の投与レジメンを確実に遂行していくために有用である。
【0004】
しかしながら、異なる医薬組成物又は医薬組成物の異なる成分を共通のパッケージに組み合わせて貯蔵することは容易ではない。異なる組成物及び/又は補助食品中に存在する化合物間の望ましくない反応又は相互作用をもたらす可能性があるためである。
【0005】
特に、貯蔵中に、配合物中の生物活性物質間の反応が起こることがあり、それは1又は複数の生物活性物質の分解をもたらす。さらに、生物活性物質は、それが水溶液として貯蔵されたときには非常に限られた安定性を有することがある。これに対し凍結乾燥粉末として貯蔵されたときそれははるかに高い安定性を有するため、貯蔵中のさらなる冷凍又は冷却は必要ではない。1種又は複数種の成分の劣化、又は異なる成分間の望ましくない反応により、最終製品中の成分の組み合わせ及び/又は製品の貯蔵寿命期間が制限される可能性もある。したがって、最終製品に含まれる物質の配合を決定し、かつ良好な安定性を維持することは容易ではない。
【0006】
異なる成分又は組成物間の直接接触を回避するための1つの可能性を、前記成分又は組成物をボトルなどの異なる容器に別々に包装することによって達成することができる場合がある。しかしながらこれは患者にとって便利ではなく、通常は患者によるさらなる対応が要求される。後者は、過誤を生じさせる重大な根源であり、かかる過誤は医薬摂取の効率の低下ににつながる。
【0007】
それ故、改良されたブリスター包装は有利であり、そして特に、簡単な貯蔵を提供しそして便利な投与を容易にするブリスター包装は有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、使い捨てパッケージ内に異なる医薬成分又は組成物を保持するための解決策を提供することである。本発明のさらなる目的は、異なる医薬成分又は組成物を保持することができ、かつ開封が容易な使い捨てパッケージを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、従来技術に対する代替案を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、従来技術の上記の不利益及び欠点を全体的に又は部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の本発明によるブリスターパックにより達成される。本発明によるブリスターパックを製造する方法も請求項9に規定されるように提供される。さらなる好ましい実施形態は、従属請求項の対象となる。
【0012】
本発明によるブリスターパックは、シーリング層を有するベースラミネートとシーリング層を有するリッドラミネートとを含む。ベースラミネートは、製品を収容するための少なくとも1つのキャビティを有する。ベースラミネート及びリッドラミネートはそれらのシーリング層を介して互いにシールされ、それによりシールは2つの異なるシーリングサブゾーン、すなわち、永久シールを提供する第1のシーリングサブゾーン及び可剥性シールを提供する第2のシーリングサブゾーンを含む。
【0013】
さらなる好ましい実施形態では、本発明によるブリスターパックは、シーリング層を有するベースラミネートとシーリング層を有するリッドラミネートとを含む。ベースラミネートは、製品を収容するための少なくとも1つのキャビティを有する。ベースラミネート及びリッドラミネートはそれらの同一のシーリング層を介して互いに直接シールされ、それによりシールは2つの異なるシーリングサブゾーン、すなわち、永久シールを提供する第1のシーリングサブゾーン及び可剥性シールを提供する第2のシーリングサブゾーンを含む。シーリング層は、ポリエチレンといくつかの官能化エチレンコポリマーとのブレンドを含む。
【0014】
本発明によるブリスターパックは、剥離可能なシール及び永久的なシールを形成することを可能にする異なるシール強度を有する異なるシールゾーンを達成するための簡単な可能性を提供する。ポリエチレンといくつかの官能化エチレンコポリマーとのブレンドを用いて異なるシールが達成され得るので、異なるシール材料を使用する必要はない。
【0015】
さらなる実施形態では、ベースラミネートは少なくとも2つのキャビティ、すなわち、第1の製品を収容する第1のキャビティ、及び第2の製品を収容する第2のキャビティを有する。第1のシーリングサブゾーンは密閉されたブリスターパックを形成するシールされた周囲を画定する一方、第2のシーリングサブゾーンは第1のシーリングサブゾーンの内部にあり、そして第1及び第2のキャビティを少なくとも部分的に分離する。第2のシーリングサブゾーンは一般に、ストリップの形態で少なくとも2つのキャビティの間に配置されている。しかしながら、キャビティ間に配置された異なる形状の第2のシーリングサブゾーン、例えばアーチ形のストリップもまた可能である。
【0016】
別の実施形態では、第2のシーリングサブゾーンは、キャビティのうちの1つに持続的な手動圧力が加えられると層間剥離する。第2のシーリングサブゾーンによって提供される可剥性シールが持続的な手動圧力の適用によって破壊されると、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に連通通路が形成され、それによって第1の製品と第2の製品との混合が可能になる。
【0017】
さらなる実施形態では、第1のシーリングサブゾーン及び第2のシーリングサブゾーンは、第1の端部及び第2の端部と、密閉されたブリスターパックを形成する2つの対向する側部とを有するシールされた周囲を画定する。第1のシーリングサブゾーンは第2の端部に配置され、剥離止めを提供し、それによってブリスターパックの開いた状態でリッドラミネートとベースラミネートとの完全な分離が防止される。
【0018】
好ましい実施形態では、ベースラミネート及びリッドラミネートは同一のシーリング層を含む。
【0019】
別の実施形態では、シーリング層はポリエチレンといくつかの官能化エチレンコポリマーとのブレンドを含む。
【0020】
好ましい実施形態では、シーリング層のブレンドは、10~80重量パーセントのポリエチレンと90~20重量パーセントの官能化エチレンコポリマーを含む。
【0021】
シーリング層のポリエチレン成分は、好ましくは低密度ポリエチレンであり、好ましくは0.921g/cm~0.924g/cmの範囲の密度を有する。
【0022】
官能化エチレンコポリマーが、エチレンと、酸素原子に二重結合した炭素原子を含み、かつ追加の酸素原子に結合している有機官能基を有する不飽和コモノマーとのコポリマーであることを特徴とする、請求項6に記載のブリスターパック。そのようなコポリマーの例は、アイオノマー、アクリル酸ポリマー、アクリル酸及びメタクリル酸エステルコポリマー、ならびにエチレン酢酸ビニルコポリマーである。
【0023】
好ましい実施形態において、官能化エチレンコポリマー、特にアイオノマーは、酸コポリマーの酸部分をカチオンで部分的に中和することによって酸コポリマーから誘導される。例えば米国特許第3,264,272号明細書に、好適な合成が開示されている。好ましいアイオノマーは、米国特許第5,891,500号明細書に記載されているような、少なくとも(i)エチレン及び(ii)アクリル酸又はメタクリル酸から誘導されたナトリウム中和アイオノマー、ならびに少なくとも(i)エチレン及び(ii)アクリル酸又はメタクリル酸及び(iii)モノエチレン性不飽和モノマーから誘導された亜鉛中和アイオノマーである。
【0024】
別の実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)は、(i)エチレン及び(ii)酸コモノマー(アクリル酸又はメタクリル酸など)から合成された非カチオン中和コポリマーである。
【0025】
別の実施形態では、アクリル酸及びメタクリル酸エステルコポリマー(EMA、EBA)は、(i)エチレンと、(ii)エステル官能基がn-アルキル鎖を含む非対称的に置換されたエチレンとから共重合され、n-アルキル鎖は、より具体的には、EMAの場合はメチル、EBAの場合はn-ブチルである。
【0026】
さらなる実施形態では、官能化エチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマーの重量に基づいて30重量パーセントまでの酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーである。30%までの酢酸ビニル(VA)コポリマーレベルを有するエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)は、典型的には、米国特許第5,135,988号に開示されているように、(i)エチレン及び(ii)酢酸ビニルの高圧ラジカル共重合によって調製される。
【0027】
別の実施形態では、シーリング層のブレンドは、アイオノマー、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレンブチルアクリラートコポリマー(EBA)、エチレンメタクリル酸コポリマー(EMA)、及びエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の群から選択されるエチレン官能化コポリマーを含む。好適なアイオノマーは、例えば、市販されているDupontのSurlyn(登録商標)である。
【0028】
別の実施形態では、ベースラミネートは、3つの接着剤結合層、すなわち、配向ポリアミドの外層、任意に存在するプライマー層、アルミニウムの中間層、及びポリエチレンといくつかの官能化エチレンコポリマーとのブレンドで作られた内側シーリング層を含む。
【0029】
ベースラミネートはまた、異なる多層構造を含んでもよく、それは例えばプラスチック又は金属、金属合金、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金のいずれかで作られた追加の中間層を含んでもよい。中間層はまた、金属及び金属合金の代わりに好適なプラスチックを含み得る。ベースラミネートの外層は、配向ポリアミド、配向ポリプロピレン、配向ポリエチレンテレフタラート又はさらなる好適なプラスチックを含み得る。
【0030】
ブリスターパックのさらなる実施形態では、ベースラミネートの外層は、10μm~40μm、好ましくは15μm~35μm、より好ましくは20μm~30μmの範囲の厚さを有する。ベースラミネートの中間層は、30μm~60μm、好ましくは35μm~55μm、より好ましくは40μm~50μmの範囲の厚さを有する。さらに、ベースラミネートの内側シーリング層は、30μm~90μm、好ましくは40μm~80μm、より好ましくは50μm~70μmの範囲の厚さを有する。
【0031】
さらなる実施形態では、リッドラミネートは、3つの接着結合層、すなわち、ポリエチレンテレフタラートから作られた外層、アルミニウムから作られた中間層、及びポリエチレンといくつかの官能化エチレンコポリマーとのブレンドから作られた内側シーリング層を含む。
【0032】
リッドラミネートが追加の層を含むリッドラミネートの他の実施形態もまた考えられる。それは、接着結合又は共押出しされたプラスチック層から作られた多層構造を含み得る。
【0033】
ブリスターパックのさらに別の実施形態では、リッドラミネートの外層は、6μm~18μm、好ましくは8μm~16μm、より好ましくは10μm~14μmの範囲の厚さを有する。リッドラミネートの中間層は、10μm~30μm、好ましくは14μm~26μm、より好ましくは18μm~22μmの範囲の厚さを有する。さらに、リッドラミネートの内側シーリング層は、30μm~90μm、好ましくは40μm~80μm、より好ましくは50μm~70μmの範囲の厚さを有する。
【0034】
本発明によるブリスターパックを製造する方法は、第1のシーリングサブゾーンが第1の温度でシールされ、かつ第2のシーリングサブゾーンがより低い第2の温度でシールされる工程を含む。第1のシーリング温度と第2のシーリング温度との間の差は、少なくとも30℃、好ましくは40℃、より好ましくは50℃である。
【0035】
ブリスターパックを製造するさらなる方法では、第1のシーリングサブゾーンが170℃~200℃の範囲の第1の温度でシールされ、かつ第2のシーリングサブゾーンが110℃~140℃の範囲のより低い第2の温度でシールされる。
【0036】
2つの連続した工程でシールすることによって第1及び第2のシーリングサブゾーンを達成することも可能である。第1のシーリング工程では、ベースラミネート及びリッドラミネートがシールされ、シールされた領域全体にわたって可剥性シールが形成される。すなわち、第2のシーリングサブゾーンは第1のシーリング工程で形成される。次のシーリング工程において、永久シールが必要とされるシールされた領域の部分は、2度目にシールされ、それによって第1のシーリングサブゾーンを形成する永久シールを達成する。
【0037】
本発明による包装材料を形成する方法及び包装材料は、純粋に模式的なものである図面の例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明によるベースラミネートの横断面図を示す。
図2図2は、本発明によるリッドラミネートの断面図を示す。
図3図3は、本発明によるブリスターパックの第1の実施形態を示す。
図4図4は、本発明によるブリスターパックの第2の実施形態を示す。
図5図5は、本発明によるブリスターパックの第3の実施形態を示す。
図6図6は、本発明によるシーリング層のシーリング温度に依存したシール強度を説明する図を示す。
図7図7は、当該技術分野で公知のポリエチレン系シーリング層のシーリング温度に依存したシール強度を説明する図である。
【0039】
図1は、本発明によるベースラミネート1の横断面図を示す。ベースラミネート1は、接着結合されている3つの層を含む。外側から内側へと、層は、外層3、中間層7、及び内側シーリング層11である。3つの層は、介在する接着層5及び9によって接着されている。外側から内側への層の順序は、外層がブリスターパックの外側に面しているのに対して、内側シーリング層はそれぞれのリッドラミネートのシーリング層又は製品スペース(図示せず)のいずれかに面していることを意味する。
【0040】
図2は、以下の層、すなわち、外層15、中間層19、及び内側シーリング層23を含むリッドラミネート13の横断面図を示す。リッドラミネート13の3層もまた、2つの介在する接着層17及び21によって接着されている。したがって、接着層17は、外層15と中間層19との間に介在している。接着層21は、中間層19と内側シーリング層23との間に介在している。やはり、層の順序は、ブリスターパック(図示せず)の外側から内側へとなる。
【0041】
図3は、本発明によるブリスターパックの第1の実施形態を示す。この図は、ブリスターパック25のベースラミネート側の平面図を示す。2つの異なる製品(図示せず)を収容する第1のキャビティ31及び第2のキャビティ33は、第1のシーリングサブゾーン27及び第2のシーリングサブゾーン29によって区切られている。第1のシーリングサブゾーン27が永久シールを提供する一方で、第2のシーリングサブゾーン29は可剥性シールを提供する。第1のシーリングサブゾーン27は、ブリスターパック25の外縁からキャビティ31及び33の境界ならびに第2のシーリングサブゾーン29の境界まで延びる。第1のシーリングサブゾーンは、ブリスターパック25の周縁の永久シールを形成する。第2のシーリングサブゾーン29は、第1のシーリングサブゾーン27の内側に配置されている。前記第2のシーリングサブゾーン29はさらに、第1のキャビティ31と第2のキャビティ33との間に配置されている。別の第2のシーリングサブゾーン29が第2のキャビティ33と出口ゾーン34との間に配置されている。前記出口ゾーン34は、端部領域36が引き裂かれたときにアクセス可能になる。引き裂き動作は、ブリスターパック25の外縁に配置されたノッチ35で開始されてもよい。
【0042】
図4は、本発明によるブリスターパックの第2の実施態様を示す。ブリスターパック37のベースラミネート側の平面図もまた示されている。ブリスターパック37は4つのキャビティ43、45、47及び49を含む。前記キャビティは最大4つの異なる製品、例えば異なる液体又は液体及び粉末を収容することができる。第1のシーリングサブゾーン39は、ブリスターパック37の外縁部とキャビティ43、45、47、及び49の境界の少なくとも一部との間に延びる。4つのキャビティ43、45、47及び49のすべての間には、破壊されると少なくとも1つの他のキャビティとの連通通路を提供するストリップの形態で配置された第2のシーリングサブゾーン41がある。キャビティ45は、そのような第2のシーリングサブゾーン41によって他の3つのキャビティ43、47、49のすべてと相互接続されている。異なるキャビティ43、45、47及び49の間に配置されたこれらの第2のシーリングサブゾーン41は、異なる幅のストリップの形態を有する。もちろん、4つのキャビティ43、45、47、及び49を相互接続するこれらの第2のシーリングサブゾーンはまた、他の形状、例えば湾曲形状を有してもよい。キャビティ45は、ストリップ形状を有し、それぞれの第2のシーリングサブゾーン41の可剥性シールが破壊されるとキャビティ45と出口ゾーン51との間に連通通路を提供する第2のシーリングサブゾーン41によって出口51とさらに相互接続されている。出口ゾーン51は、4つのキャビティに収容された製品を含む組成物(図示せず)を引き出すことを可能にする開口又は引き抜き手段を含んでもよい。
【0043】
図5は、本発明によるブリスターパックの第3の実施形態を示す。ブリスターパック53は長方形の形状を有する。しかしながら、異なる形状も考えられる。ブリスターパック53は製品、例えば粉末(図示せず)を収容するキャビティ59、第1のシーリングサブゾーン55及び第2のシーリングサブゾーン57を含む。第1のシーリングサブゾーン55は、ブリスターパック53の一端に配置されている。第1のシーリングサブゾーン55に隣接して第2のシーリングサブゾーン57が配置されている。この第2のシーリングサブゾーン57は、キャビティ59を完全に取り囲んで区切っている。第1のシーリングサブゾーン55が配置されている端部とは反対側のブリスターパックの端部には、三角形の領域61がある。前記領域61では、ベースラミネートとリッドラミネートとは互いにシールされていないので、リッドラミネートを持ち上げて剥がすことができる。第1のシーリングサブゾーン55を第2のシーリングサブゾーン57から区切る境界線63は、リッドラミネートを剥がすことができる範囲を制限する。したがって、第1のシーリングサブゾーンは、リッドラミネートがベースラミネートから完全に剥離され得ることを防止する。
【0044】
図6は、本発明によるシーリング層のシーリング温度に応じたシール強度を説明する図を示す。曲線Aは90°の剥離角度に関係し、一方曲線Bの場合には剥離角度は180°である。シーリング中の滞留時間は1秒であり、加えられたシーリング圧力は50N/cmであった。適用した剥離速度は100mm/分であった。両方の曲線は、110℃~140℃のシーリング温度の間でシール強度がほぼ一定のままである、拡張したシーリング温度範囲を示す。
【0045】
図7は、当該技術分野で公知のポリエチレンシーリングフィルムについてのシーリング温度に依存したシール強度を説明する図を示す。下側のシール強度曲線(四角)は可剥性シールを提供するポリエチレンフィルムのシール強度を示しているのに対し、上側のシール強度曲線(丸、破線)は永久シールを提供するポリエチレンフィルムのシール強度を示している。使用されたシーリング装置は、10mmのBruggerであり、シーリング時間は1秒であり、シーリング圧力は600Nである。シール強度はZwick、パラメータSS1、引き裂き角180℃、n=2で試験した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7