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特許6995123水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61F9/007 130G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019535446
(86)(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017071938
(87)【国際公開番号】W WO2018050451
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】16188792.2
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519064492
【氏名又は名称】フリッツ ルック オフタルモロギッシェ ジュステーメ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】カークホフ,フランシスカス テオドルス
(72)【発明者】
【氏名】クロンプ,マンフレッド
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05562612(US,A)
【文献】特表平08-511714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0133895(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0118048(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0030134(US,A1)
【文献】米国特許第06224583(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステム(1)であって、
中空針(8)と該中空針(8)を取り囲む外側面(9)とによって形成される器具(3)を有するハンドピース(2)であって、前記中空針(8)が第1のチャネル(10)を形成し、前記中空針(8)と前記外側面(9)との間に環状断面を有する第2のチャネル(12)が形成される、ハンドピース(2)と、
流体を所定の圧力で送出するように構成される灌流装置(4)と、流体を吸引するように構成される吸引装置(5)と、マニホールド装置(6)であって、該マニホールド装置(6)が、流体の交換のために、前記第1のチャネル(10)、前記第2のチャネル(12)、前記灌流装置(4)、及び、前記吸引装置(5)に接続される、マニホールド装置(6)と、情報の交換のために前記灌流装置(4)、前記吸引装置(5)、及び、前記マニホールド装置(6)に接続される制御装置(7)と、を備え、
前記マニホールド装置(6)は、第1の動作モードでは、流体の交換のために前記第2のチャネル(12)と前記灌流装置(4)とを接続するとともに、流体の交換のために前記第1のチャネル(10)と前記吸引装置(5)とを接続し、前記マニホールド装置(6)は、第2の動作モードでは、流体の交換のために前記第1のチャネル(10)と前記灌流装置(4)とを接続するとともに、前記第2のチャネル(12)と前記吸引装置(5)とを非接続とし、
前記灌流装置(4)が前記マニホールド装置(6)に流体を送出する際の圧力は、前記第2の動作モードにおいて前記制御装置(7)により線形に制御可能である
ことを特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
前記マニホールド装置(6)は、前記吸引装置(5)と前記ハンドピース(2)の前記第1のチャネル(10)とを接続する吸引ライン(18)と、前記灌流装置(4)と前記ハンドピース(2)の前記第2のチャネル(12)とを接続する灌流ライン(19)と、前記吸引ライン(18)と前記灌流ライン(19)とを接続する接続ライン(20)と、3つの弁とを備え、前記接続ライン(20)に第1の弁(21)が形成され、前記接続ライン(20)が前記灌流ライン(19)へと延びる領域と前記第2のチャネル(12)との間で前記灌流ライン(19)に第2の弁(22)が形成され、前記吸引装置(5)と前記接続ライン(20)が前記吸引ライン(18)へと延びる領域との間で前記吸引ライン(18)に第3の弁(23)が形成され、前記第1の動作モードでは、前記第2の弁(22)及び前記第3の弁(23)が開かれるとともに、前記第1の弁(21)が閉じられ、前記第2の動作モードでは、前記第2の弁(22)及び前記第3の弁(23)が閉じられるとともに、前記第1の弁(21)が開かれる
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記マニホールド装置は、前記第2の弁と前記第2のチャネルとの間の灌流ラインに接続するとともに前記第3の弁と前記吸引装置との間の前記吸引ラインへと延びるバイパスラインを備え、前記バイパスラインには第4の弁が形成され、前記第4の弁は、前記第1の動作モードで閉じられ、前記第2の動作モードで開かれる
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記制御装置(7)は、圧力を制御するためのフットスイッチを備えるとともに、前記動作モード間を切り換えるために手又は足で操作可能なスイッチを備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記灌流装置(4)は、前記制御装置(7)により制御されるポンプによって過圧が付与され得る容器により形成され、及び/又は、前記灌流装置(4)は、前記制御装置(7)により制御される昇降装置によって垂直方向に移動可能な容器により形成される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記吸引装置(5)は、真空で満たされるカートリッジによって又は蠕動ポンプによって形成され、前記蠕動ポンプは流体を吸引するようになっている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空針と該中空針を取り囲む外側面とによって形成される器具を有するハンドピースであって、中空針が第1のチャネルを形成し、中空針と外側面との間に環状断面を有する第2のチャネルが形成される、ハンドピースと、流体を所定の圧力で送出するように構成される灌流装置と、流体を吸引するように構成される吸引装置と、マニホールド装置であって、該マニホールド装置が、流体の交換のために、第1のチャネル、第2のチャネル、灌流装置、及び、吸引装置に接続される、マニホールド装置と、情報の交換のために灌流装置、吸引装置、及び、マニホールド装置に接続される制御装置と、を備え、マニホールド装置が、第1の動作モードでは、流体の交換のために第2のチャネルと灌流装置とを接続するとともに、流体の交換のために第1のチャネルと吸引装置とを接続し、マニホールド装置が、第2の動作モードでは、流体の交換のために第1のチャネルと灌流装置とを接続する、水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼球に関して水晶体超音波乳化吸引術を行うために、眼球が最初に角膜の切開によって開かれる。その場合、切開部は、新しい水晶体を巻き上げ状態で眼に導入できるように大きく構成されなければならない。切開部を通じて、眼の水晶体が着座される眼の水晶体嚢が針によって円形に開かれる。水晶体嚢から水晶体を取り外すために、その後、非常に細いカニューレが切開部に挿入されて水晶体嚢と水晶体との間で押し進められる。カニューレは注射器に接続され、この注射器を用いて、外科医は、水晶体を取り外すために水晶体と水晶体嚢との間に流体を注入できる。過剰な流体は、カニューレのシャフトを通って切開部を通じて眼から流出し、その場合、カニューレと切開部との間の隙間は、細いカニューレに起因して及び切開部のサイズのために非常に大きい。その後、水晶体超音波乳化吸引術を行うために、ハンドピースに取り付けられる器具が切開部を通じて眼の中に挿入される。器具は、中空針と中空針を取り囲む外側面とによって形成され、この場合、中空針が第1のチャネルを形成し、中空針と外側面との間には環状断面を有する第2のチャネルが形成される。中空針は超音波範囲で振動させられ、それにより、水晶体を小さい部分に粉砕することができ、その場合、水晶体の分割部分は、吸引装置により第1のチャネルを通じて眼から吸引される。手術中、眼内の内圧を可能な限り一定に保つために、灌流流体が第2のチャネルを介して眼に絶えず供給される。眼に供給される灌流流体の圧力は、灌流装置及び制御装置を用いて段階的に制御される。圧力を制御するためのそのようなシステムは、例えば、欧州特許出願第2 674 176号明細書から知られている。内圧が低すぎる場合、及び、内圧が高すぎる場合にも、眼に取り返しのつかないダメージを与える場合があるため、内圧の調整は最も重要である。断片化された水晶体の吸引中に他の組織が第1のチャネルを通じて吸引されるのを回避するために、第1のチャネルを通じた一時的なバックフラッシュが可能であり、それにより、誤って吸い込まれた組織が排出される。
【0003】
水晶体がカニューレ及び注射器によって水晶体嚢から取り外される際、外科医が流体の量、したがって、流体が眼内へ送出される際の流体圧力を注射器の内部摩擦に起因して不十分にしか制御できないことが不利であることが分かってきた。既に説明したように、眼内の過剰な内圧は、いかなる場合でも避けなければならない。更に、カニューレと切開部との間の隙間のサイズに起因して、眼から流出する流体により虹彩が眼から部分的に洗い流されてカニューレのシャフトを通ることが不利であることが分かってきた。このようなことは、特に、アルファ遮断薬と同様の薬を服用する個人において起こる。これは、そのような薬が虹彩の弛みを引き起こすからである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、患者の眼に対する更なる処置の実施のために使用され得る水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステムを提供することである。
【0005】
本発明によれば、上記目的は、灌流装置がマニホールド装置に流体を送出する際の圧力を第2の動作モードにおいて制御装置により線形に制御できるという点において達成される。
【0006】
本発明に係る水晶体超音波乳化吸引術を行うためのシステムの設計に起因して、このシステムを使用することにより他の処置も患者の眼に対して行うことができる。灌流装置が第2の動作モードでマニホールド装置に流体を送出する際の線形に制御可能な圧力の結果として、本発明に係るシステムを用いて水晶体超音波乳化吸引術を行う前に水晶体を水晶体嚢から取り外すこともできる。したがって、水晶体嚢から水晶体を取り外すためのカニューレ及び注射器の使用を省くことができ、それにより、外科用装置の切り換えが回避され、外科的処置をより迅速に達成することができる。更に、本発明に係るシステムを使用すると、眼内に導入される器具がシャフトで大きな直径を有するという利点が得られる。結果として、本質的にその大きさで規定された角膜の切開部がより良く埋められ、それにより、器具と切開部との間に小さな隙間しか形成されず、虹彩が洗い流されるのが防止される。
【0007】
適切には、灌流装置が容器により形成され、この容器には、制御装置により制御されるポンプを用いて容器内に導入されるガスによって過圧を付与することができ、それにより、灌流装置がマニホールド装置に流体を送出する際の圧力が制御される。好適には、制御装置は、フットペダルにより形成されるフットスイッチを備え、この場合、制御装置は、第1の動作モード及び/又は第2の動作モードにおいて、フットペダルの角度位置に比例して、過圧、したがって、灌流装置がマニホールド装置に流体を送出する際の圧力を制御する。結果として、本発明に係るシステムは、外科医にとって取り扱いが非常に容易であり、圧力を外科医により非常にうまく釣り合わせることができる。
【0008】
更なる変形実施形態において、灌流装置は、制御装置により制御される昇降装置を用いて垂直方向に移動可能な容器により形成され、それにより、流体が容器からマニホールド装置へ送出される際の圧力が変更される。これに関連して、制御装置がフットペダルにより形成されるフットスイッチを有し、制御装置が第1の動作モード及び/又は第2の動作モードにおいてフットペダルの角度位置に比例して容器の位置を垂直方向で制御する場合も有利である。
【0009】
適切には、制御装置は、フットスイッチ又はハンドピースのいずれかに取り付けられて動作モード間を切り換えるように構成されるスイッチを更に備える。結果として、外科医は、ハンドピースを押し下げることを強いられることなく、動作モード間で前後に切り換えることができるという利点が得られる。
【0010】
吸引装置は、好ましくは、真空で満たされるカートリッジによって又は流体を吸い出すようになっている蠕動ポンプによって形成され、この場合、流体が吸い出される際の負圧を制御装置を介して制御できる。
【0011】
以下、図を参照して、本発明に係るシステムの更なる有利な実施形態について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係るシステムの一実施変形例を概略図で示す。
図2図2は、図1の通りの本発明に係るシステムのマニホールド装置の一実施変形例を概略図で示す。
図3図3は、手術の経過の変化に伴う患者の眼の処置中の図1の通りの本発明に係るシステムの器具の一実施変形例を概略図で示す。
図4図4は、手術の経過の変化に伴う患者の眼の処置中の図1の通りの本発明に係るシステムの器具の一実施変形例を概略図で示す。
図5図5は、手術の経過の変化に伴う患者の眼の処置中の図1の通りの本発明に係るシステムの器具の一実施変形例を概略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、水晶体超音波乳化吸引術を行うための本発明に係るシステム1の実施変形例を概略図で示す。本発明に係るシステム1は、器具3を伴うハンドピース2と、灌流装置4と、吸引装置5と、マニホールド装置6と、制御装置7とを備える。器具3は、中空針8と、中空針8を取り囲む外側面9とによって形成される。中空針8は、中空針8の開口端11に通じる第1のチャネル10を形成するとともに、好適にはステンレス鋼から形成される。外側面9は、好適には、金属製又は合成材料製のパイプによって又はプラスチックチューブによって形成され、パイプ又はチューブはそれぞれ、開口端11の領域において中空針8で密封閉鎖されている。中空針8と外側面9との間には、環状断面を有する第2のチャネル12が形成され、このチャネルは2つの反対側の開口13で終端する。流体の交換のため、マニホールド装置6は、第1のライン14によって器具3の第1のチャネル10に接続され、第2のライン15によって器具3の第2のチャネル12に接続され、第3のライン16によって灌流装置4に接続され、及び、第4のライン17によって吸引装置5に接続される。情報の交換のため、制御装置7は、灌流装置4、吸引装置5、及び、マニホールド装置6に接続されるとともに、好適にはマイクロコントローラ又はコンピュータによって形成される。
【0014】
灌流装置4は、流体、特に灌流流体を収容する容器と、容器内に過圧をもたらすためにガス媒体、特に空気を容器内へ供給するようになっているポンプとによって形成される。吸引装置5は、流体を吸引するように構成される蠕動ポンプによって形成される。灌流装置4の容器内へのガス供給と流体が蠕動ポンプを通じて吸引される際の負圧とがいずれも制御装置7によって制御される。好適には、容器内へのガス供給を制御し、したがって、容器から流体が排出される際の圧力を制御するための制御装置7は、フットペダルにより形成されるフットスイッチを備え、容器から流体が排出される際の圧力は、フットペダルの角度位置に比例する。
【0015】
図2は、図1の通りの本発明に係るシステム1のマニホールド装置6の一実施変形例を概略図で示す。マニホールド装置6は、吸引装置5と第1のチャネル10とを接続する吸引ライン18と、灌流装置4と第2のチャネル12とを接続する灌流ライン19と、吸引ライン18と灌流ライン19とを接続する接続ライン20と、3つの弁とを備える。接続ライン20には第1の弁21が形成される。第2の弁22が、接続ライン20が灌流ライン19へと延びる領域と第2のライン15との間に形成され、第2のライン15は第2のチャネル12へと延びる。第3の弁23が、接続ライン20が吸引ライン18へと延びる領域と第4のライン17との間に形成され、第4のライン17は吸引装置5で終端する。図2では、第1のチャネル10及び第2のチャネル12がそれぞれの矢印10,12によって様式化される。マニホールド装置6の弁は制御装置7によって作動される。
【0016】
更なる実施変形例において、マニホールド装置6は、第2の弁22と第2のチャネル12へと延びる第2のライン15との間の灌流ライン19に接続するバイパスラインを備え、このバイパスラインは、第3の弁23と第4のライン17との間の吸引ライン18へと延びる。バイパスラインには第4の弁が形成される。
【0017】
図3図5は、手術の経過の変化に伴う患者の眼27の処置中の図1の通りの本発明に係るシステム1の器具3の一実施変形例を概略図で示す。患者の眼27は、眼27の角膜29における切開部28によって既に開かれてしまっており、また、眼27の水晶体嚢30は針によって略円形に既に開かれてしまっている。
【0018】
続いて、眼27の水晶体嚢30から水晶体26を取り外してその後の水晶体超音波乳化吸引術を行うための本発明に係るシステム1の適用について更に詳しく説明する。本発明に係るシステム1は、2つの動作モードで動作することができ、この場合、第1の動作モードでは、マニホールド装置6の第1の弁21が閉じられて、第2の弁22及び第3の弁23が開かれる。結果として、灌流装置4は、流体を交換するために第2のチャネル12に接続され、吸引装置5は、流体を交換するために第1のチャネル10に接続される。更に、第1の動作モードでは、ハンドピース2内に形成される駆動手段(図示せず)を用いて器具3が機械的に振動させられる。第2の動作モードでは、第2の弁22及び第3の弁23が閉じられ、第1の弁21が開かれる。結果として、灌流装置4は、流体を交換するために第1のチャネル10に接続される。
【0019】
水晶体嚢30から水晶体26を取り外すために、外科医は制御装置7で第2の動作モードを調整する。この目的のため、制御装置7は、好適には、例えばハンドピース2に又はフットペダルに形成されるスイッチを備える。水晶体26を取り外すために、中空針8が水晶体26と水晶体嚢30との間で押し進められる。外科医は、この時点で、制御装置7のフットペダルを介して、流体が灌流装置4の容器から排出される際の圧力、したがって、流体が第1のチャネル10を通じて器具3から出る際の出口圧力を制御することができ、この場合、制御装置7は、圧力がフットペダル7の角度位置に比例するように且つ第1のチャネル10における約120mm水柱の出口圧力を超えないように圧力を制御する。流体は、その圧力に起因して水晶体26と水晶体嚢30との間で押し進められてこれらの間で広がることにより、水晶体26を水晶体嚢30から分離する。図3及び図4には、眼27内での流体拡張の経過の変化に伴う流体前面31,32が描かれる。水晶体26が取り外されれば、水晶体嚢30内で水晶体を回転させることができる。第1のチャネル10を介した眼27内への流体の注入中、過剰な流体は、器具3のシャフトと切開部28との間の隙間を通じて眼27から流出し、この場合、器具3の厚さに起因して、隙間は非常に小さく、そのため、眼27の虹彩33が眼27から流出されることが妨げられる。マニホールド装置6が第4の弁を伴うバイパスラインを有する場合には、第4の弁を開くことによって吸引装置5を介して過剰の流体を第2のチャネル12により眼27から吸い出すことができる。
【0020】
その後、外科医は、水晶体超音波乳化吸引術を行うために制御装置7のスイッチにより第1の動作モードに切り換える。第1の動作モードでは、流体が第2のチャネル12を通じて眼27内へ送出され、また、流体は第1のチャネル10を通じて眼27から吸い出される。好適には、第1の動作モードにおいて、流体が灌流装置4から排出される際の圧力は、もはや線形に調整されず、漸進的態様で調整される。フットペダルが外科医によって極僅かに作動されると直ぐに、流体が灌流装置4から排出される際の圧力が所定の設定値に調整される。第1の動作モードにおいて流体が灌流装置4から排出される際の圧力は、制御装置7の別個の調整装置を介して設定されて調整される。結果として、外科医は、外科手術に集中することができ、フットペダルの角度位置によって圧力を常に調整する必要がないという利点が得られる。水晶体超音波乳化吸引術中に、水晶体26は、図5にしたがって、第1のチャネル10を介して吸引される個々の部分へと粉砕される。
【0021】
これに関連して、マニホールド装置が簡単な方向制御弁、特に4ポート/2方向弁によって形成されてもよいことも言及されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5