(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】synTacポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220214BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220214BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220214BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220214BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220214BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220214BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220214BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220214BHJP
C07K 14/74 20060101ALI20220214BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220214BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220214BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20220214BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220214BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220214BHJP
A61K 39/002 20060101ALI20220214BHJP
A61K 39/02 20060101ALI20220214BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20220214BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220214BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220214BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220214BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220214BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20220214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220214BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220214BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220214BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/02 C
C12N15/12
C07K14/74
A61K31/7088
A61K35/76
A61K35/761
A61K38/16
A61K39/00 H
A61K39/002
A61K39/02
A61K39/12
A61K48/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P33/02
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/04
A61P37/06
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2020009921
(22)【出願日】2020-01-24
(62)【分割の表示】P 2016565693の分割
【原出願日】2015-06-15
【審査請求日】2020-02-18
(32)【優先日】2014-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515314797
【氏名又は名称】アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】サイデル ザ サード ロナルド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チャパーロ ロドルフォ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒルリッチ ブランダン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ガーフォース スコット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アルモ スティーブン シー.
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/116468(WO,A2)
【文献】特表2000-515363(JP,A)
【文献】特表2012-516854(JP,A)
【文献】特表2007-530021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/62
C07K 19/00
C07K 16/00
C12N 15/13
C12N 15/63
C12N 5/10
C12P 21/02
C12N 15/12
C07K 14/74
A61K 31/7088
A61K 35/76
A61K 35/761
A61K 38/16
A61K 39/00
A61K 39/002
A61K 39/02
A61K 39/12
A61K 48/00
A61P 31/00
A61P 31/04
A61P 31/12
A61P 33/02
A61P 35/00
A61P 37/02
A61P 37/04
A61P 37/06
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、
b)第二のMHCポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びに
c)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含む、ヘテロ二量体ポリペプチド
を含む、多量体ポリペプチドであって、
該第一及び/又は該第二のポリペプチドが該少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み、
該第一のMHCポリペプチドがβ2ミクログロブリン(β2M)ポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドがMHCクラスI重鎖ポリペプチドであり、
該ペプチドエピトープが
病原体関連エピトープであり、かつ
任意で、該多量体ポリペプチドが免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Ig骨格を含む、前記多量体ポリペプチド。
【請求項2】
a1)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b1)N末端からC末端の順に
i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド;
ii)第二のMHCポリペプチド;及び
iii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含むか;
a2)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;
ii)第一のMHCポリペプチド;及び
iii)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b2)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含むか;
a3)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b3)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド;及び
iii)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含むか;
a4)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b4)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含むか;
a5)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b5)N末端からC末端の順に
i)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド;及び
ii)第二のMHCポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含むか;または
a6)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;
ii)第一のMHCポリペプチド;及び
iii)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b6
)
i)第二のMHCポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、請求項1に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項3】
前記非Ig骨格が、XTENポリペプチド、トランスフェリンポリペプチド、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド、シルク様ポリペプチド、またはシルクエラスチン様ポリペプチドである、請求項1に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項4】
前記少なくとも一つの免疫調節ポリペプチドが、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、サイトカイン、及びPD-L2ポリペプチドから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドがサイトカインである、請求項4に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項6】
前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、4-1BBLポリペプチドおよびCD80ポリペプチドから選択される、請求項4記載の多量体ポリペプチド。
【請求項7】
2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項8】
前記2つ以上の免疫調節ポリペプチドがタンデムになっている、請求項7に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項9】
a1)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b1)N末端からC末端の順に
i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド;
ii)第二のMHCポリペプチド;及び
iii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項10】
a3)N末端からC末端の順に
i)ペプチドエピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b3)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド;及び
iii)少なくとも一つの免疫調節ポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項11】
前記病原体関連エピトープが、ウイルス、細菌、または原生動物に関連するエピトープである、請求項1~10のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項12】
前記病原体関連エピトープが、ウイルス感染細胞上に存在するエピトープである、請求項11に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項13】
前記第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドがジスルフィド結合によって互いに連結されている、請求項1~
12のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項14】
前記β2Mポリペプチドおよび前記MHC重鎖ポリペプチドが、β2Mポリペプチド中のCys残基およびMHC重鎖ポリペプチド中のCys残基を結合するジスルフィド結合によって結合されている、請求項
13に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項15】
前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12の位置にあるCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236の位置にあるCysとジスルフィド結合を生じる、請求項
14に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項16】
前記第一のポリペプチド鎖が、ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドとの間にリンカーを含み、かつ前記ジスルフィド結合が、該リンカー中に存在するCysをMHC重鎖ポリペプチドのCysと連結する、請求項
14に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項17】
前記第一のポリペプチド鎖が、ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドとの間にリンカーを含み、かつ前記ジスルフィド結合が、該リンカー中のGly2について置換したCysをMHC重鎖ポリペプチドのTyr84について置換したCysと連結する、請求項16に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項18】
前記免疫調節ポリペプチドが活性化
免疫調節ポリペプチドである、請求項1~
17のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド。
【請求項19】
2つの多量体ポリペプチドのそれぞれが、免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含み、かつ該2つの多量体ポリペプチドが、それぞれのIg Fcポリペプチド間の1つまたは複数のジスルフィド結合によって結合される、請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチドのうちの2つを含むタンパク質。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の第一およ
び第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核
酸。
【請求項21】
請求項
20に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項22】
請求項
21に記載の発現ベクターによって遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項23】
病原体関連エピトープに結合するT細胞の活性を選択的に調節する方法であって、前記T細胞を、請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチドまたは請求項
19に記載のタンパク質とインビトロで接触させる段階を含み、前記接触させる段階が、前記T細胞の活性を選択的に調節する、方法。
【請求項24】
個体に
存在する病原体関連エピトープに結合するT細胞の活性を選択的に調節するために投与される、個体における
病原体関連エピトープに結合するT細胞の活性を選択的に調節する方法において使用するための、請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド、又は請求項
19に記載のタンパク質、又は請求項
20に記載の核酸、又は請求項
21に記載の発現ベクター。
【請求項25】
個体における
病原体感染を治療する方法において使用するための、請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド、または請求項
19に記載のタンパク質、または請求項
20記載の核酸、または請求項
21に記載の発現ベクター、または請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチドもしくは請求項
19に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上のmRNA。
【請求項26】
a)請求項1から
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド、又は請求項
19に記載のタンパク質;及び
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項27】
前記T細胞がCD8
+T細胞
またはCD4
+T細
胞である、請求項
23または24に記載の使用のための、請求項1~
18のいずれか一項に記載の多量体ポリペプチド、または請求項
19に記載のタンパク質、または請求項
20に記載の核酸、または請求項
21に記載の発現ベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、2014年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/013,715号の恩典を主張する。
【0002】
政府支援の言明
本発明は、国立衛生研究所、NIGMSによって与えられた認可番号3U54GM094662-02及び同5U01GM094665-02の下、政府支援を受けてなされた。政府は本発明に所定の権利を有する。
【0003】
テキストファイルで提供された配列表の参照による組み込み
配列表が、2015年6月10日に作成された142KBサイズのテキストファイル「IMGN-E003WO_ST25.txt」としてここに提供される。本テキストファイルの内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
緒言
本出願を通して、様々な出版物が角括弧で参照される。これら参考文献の完全な引用は、本明細書の文末を参照されたい。これら出版物の開示、並びに本明細書に参照されるすべての特許、公開特許公報、及び書籍は、参照することによってその全体が本願に組み込まれ、本願発明が属する技術をさらに十分に説明する。
【0005】
過去十年間にわたる臨床的に意義のあるバイオマーカーの発見に対するハイスループット技術の開発の急速な進歩は、活性成分が生物学的起源(例えば、モノクローナル抗体、治療用タンパク質、及びペプチド)によって製造されるかまたは該生物学的起源から抽出される薬物である生物製剤の段階的な展開及び適用と並行してきたとともに、免疫関連疾患の治療に革命をもたらした。しかしながら、現行の生物学的療法は、安全規制措置をそれらの合成対応物の2倍の割合で促している(生物製剤に対して17%、合成物質は8.5%)[1]。これは、免疫を調節するこれら生物製剤の作用機序から、すなわち自己免疫の場合の包括的な免疫抑制(例えば、Humira[2])及びがんの治療に関する包括的な免疫刺激(例えば、Yervoy[3])から現れると考えられている。これらの治療は、免疫調節を病原性的に関連する細胞に適切には限定せず、その結果として、患者を致死的可能性がある感染症にかかりやすくし、多くの厄介な副作用を起こしやすくする[4~6]。さらに、これら薬物の中程度の効能と安全性プロファイル[7]は、標的治療方法へと向かう最近の傾向を誘発した。第一世代の「標的」生物製剤は、それらの影響をより限定されたT細胞サブセットへ向ける(例えば、抗4-1BB、抗CD27、LAG-3、及びTIM-3等の抗体及びタンパク質治療剤)[8~11]。しかしながら、以前の治療法のように、これら「第一世代」の取り組みは、病気に関連する細胞のみを標的にすることが依然としてできない。
【0006】
適応免疫反応を含む分子事象の中核をなすのは、T細胞受容体(TCR)と、主要組織適合複合体(MHC)分子によって非共有結合的に提示される低分子ペプチド抗原の結合である。これは、免疫系の標的化機序を表しており、かつ、T細胞活性化とエフェクター機能に必須の分子間相互作用である。エピトープ特異的な細胞の標的化に続いて、動員されたT細胞は、抗原提示細胞上で見られる共刺激分子の一般的な結合によって活性化される。両方のシグナルが、T細胞の特異性及び活性化または阻害の操縦のために必要とされる。重要なことには、T細胞の発生の際、ゲノム編集過程でT細胞ごとに独自のTCRが発現する[12]が、該共刺激分子は、一般にすべてのT細胞(または大型のT細胞の「サブセット」)上に発現する。現行の手法は、ほとんど該共刺激分子の一般的な結合だけに依拠し、結果として「包括的な治療」になる。これら包括的な免疫療法は、非常に効力があるが、無差別にT細胞を標的とし、重篤な毒性につながる。共刺激分子が、病気に関連するTCRを有するT細胞に選択的に結合できれば、それらの効力は、不利益な点から長所へと前進するであろう。
【0007】
T細胞を調節するためのいくつかの方法があり、共刺激作用を阻止可能な一般にFc融合体として表される可溶性共刺激分子または共刺激分子に対する抗体[13、14]、抗体薬物複合体(ADC)[15]、二重特異性抗体(BsAb)[16、17]、及び遊離ペプチド抗原[18]が挙げられる。特に、ADC(しばしば魔法の弾丸と呼ばれる)は、病的細胞への毒素(または他の薬物ペイロード)の直接的な標的化導入を約束する。しかしながら、ADCは、現在のところ、抗体標的化に好適なバイオマーカーを欠いており、また、内在化は多くの場合細胞の死滅に必要とされるが、投与量のわずか約1.5%の低い内在化率しか腫瘍細胞内で見いだされない。二重特異性抗体は、複数のmAbの相加効果および相乗効果を組み合わせる魅力ある機会を与え、腫瘍細胞とT細胞の橋渡しをするために用いることができ[17]、ゆえに反応を誘発するために内在化を必要としない。二重特異性抗体は2つの異なる抗原と二価の相互作用を有するように開発された[19]が、これらの構築物はなおモジュール性を欠き、親mAbと比較して親和性が低い[20]。養子T細胞(CAR-T)療法は、これらの問題にある程度対処しており、上述の従来の治療に対して魅力的な代替手段である[21]。CAR-Tは、キメラ抗原受容体(CAR)をその表面に有する遺伝子改変された一次T細胞を用いる。すなわち、患者のT細胞を取り出し、精製し、かつ、CARを介して腫瘍特異的抗原を標的とするように遺伝子改変する。CARは一般に外部一本鎖可変ドメイン(抗体フラグメント)を有し、これは病的細胞を標的とするが、従来の共刺激分子の細胞質ドメインを有する。遺伝子操作されたT細胞がいったん標的抗原と結合すると、内部刺激ドメインは該T細胞が完全に活性となるために必要なシグナルを与える。この完全な活性状態で、該T細胞はより効果的に増殖することができ、がん細胞を攻撃できる。サイトカイン放出症候群及びそれに伴う副作用を避けるためのこの反応の緩和、並びに拡張性の問題(例えば、相当な費用並びにT細胞の取り出し及び改変に伴う難しさ)のため、今のところこの技術は主流として用いられない[22]。
【0008】
生物薬剤としても知られる生物製剤は、その活性成分が生物学的起源によって製造されるかまたは該生物学的起源から抽出される薬物である(「小分子」薬物とは対照的である)。生物製剤は、治療学の世界市場にとって比較的新しい追加物であり、大部分が、遺伝子操作によって製造される組み換えタンパク質であり;これらはモノクローナル抗体、治療用タンパク質、及びペプチドを含む。現在上市されている生物製剤薬物のほとんどは、患者が慢性疾患、例えば、がん、糖尿病、循環器疾患、不妊症、及び嚢胞性線維症を患っているのを緩和するために用いられている。生物製剤の世界市場は、2012年には1630億ドルの規模を誇り、5年間の複合年間成長率9%を維持して2017年までに2520億ドルに拡大すると予想されている。この成長を推し進めるために、より費用のかかる創薬パイプライン、治りにくい病気に対する魅力的な標的の特定、及び最近の短縮されたFDA承認経路の導入がよい例となる後続の生物製剤(バイオ後続品、ジェネリック生物製剤)の追跡への支援が必要である。
【0009】
本発明は、免疫腫瘍学及び自己免疫に関する精密な治療方法の必要性、すなわち、現在上市もしくは開発中の包括的かつ「疑似標的化」モジュレーターとは異なり、病気に関連するT細胞のみを(例えば、がんの場合における)上方調節または(例えば、自己免疫の場合における)抑制のためにクローン的に標的とするテーラード治療法の必要性に対応する。
【発明の概要】
【0010】
概要
本発明は、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接する、MHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドを提供する。
【0011】
本発明はまた、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接するMHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドも提供する。
【0012】
さらに、エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを阻害する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの阻害に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0013】
さらに、エピトープペプチドを認識する自己反応性T細胞クローンの阻害によって自己免疫疾患を治療する方法であって、該クローンのT細胞を、自己免疫疾患の治療に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0014】
さらに、エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを刺激する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの刺激に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0015】
さらに、がんのエピトープペプチドを認識するT細胞クローンの刺激によってがんを治療する方法であって、該クローンのT細胞を、がんの治療に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0016】
さらに、(i)第一のアミノ酸リンカー配列によって結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチドを含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物も提供される。
【0017】
さらに、(i)第一のアミノ酸リンカー配列によって結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列を含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)T細胞調節ドメインペプチド、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー、これに隣接する、MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物も提供される。
【0018】
さらに、それぞれの免疫グロブリンFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された本明細書に記載の組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質も提供される。
【0019】
さらに、本それぞれの免疫グロブリンFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された明細書に記載の該組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質も提供される。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の組み換えポリペプチドをコードする配列を5'から3'順に含む異種核酸によって形質導入または形質転換された、単離された懸濁適応細胞を提供する。
【0021】
本開示は、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接する、MHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドを提供する。いくつかの場合、該候補エピトープは、7~20アミノ酸を含む。いくつかの場合、該第三のアミノ酸リンカーは、自己開裂型である。いくつかの場合、該第二のアミノ酸リンカーは、自己開裂型である。いくつかの場合、該自己開裂型のペプチドは、ウイルス2Aペプチドであるか、またはその配列を有する。いくつかの場合、該第一のB2Mリーダー配列及び/または該第二のB2Mリーダー配列は、ヒトB2Mリーダー配列の配列を有する。いくつかの場合、該MHCの重鎖は、ヒトMHCの重鎖である。いくつかの場合、該MHCの重鎖は、MHC I分子である。いくつかの場合、該MHCの重鎖は、HLA-A02:01である。いくつかの場合、該MHCの重鎖は、MHC II分子である。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgGのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgAのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgMのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはヒト免疫グロブリンFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgG1のFcドメインである。いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのC末端に隣接するHis-8タグを有する。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、阻害性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、刺激性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、抗体及び抗体フラグメント、ペプチドリガンド、T細胞共刺激ペプチド、サイトカイン、または毒素である。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、PD-L1ペプチド、PD-L1ペプチドのIg可変ドメインを含み、該T細胞調節ドメインは、4-1BBLを含み、該T細胞調節ドメインは、B7-1W88Aを含むか、または、該T細胞調節ドメインは、抗CD28一本鎖Fvを含む。いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのヒト天然B2Mペプチド配列とその重鎖配列との間のジスルフィド結合を生じさせるように該B2Mペプチド配列中及び該重鎖配列中に変異を含む。
【0022】
本開示は、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する、MHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドを提供する。いくつかの場合、該候補エピトープは、7~20アミノ酸を含む。いくつかの場合、該第三のアミノ酸リンカーは、自己開裂型である。いくつかの場合、該第二のアミノ酸リンカーは、自己開裂型である。いくつかの場合、該自己開裂型のペプチドは、ウイルス2Aペプチドであるか、またはその配列を有する。いくつかの場合、該第一のB2Mリーダー配列及び/または該第二のB2Mリーダー配列は、ヒトB2Mリーダー配列の配列を有する。いくつかの場合、該MHC重鎖は、ヒトMHC重鎖である。いくつかの場合、該MHC重鎖は、MHC I分子である。いくつかの場合、該MHC重鎖は、HLA-A02:01である。いくつかの場合、該MHC重鎖は、MHC II分子である。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgGのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgAのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgMのFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはヒト免疫グロブリンFcドメインである。いくつかの場合、該免疫グロブリンFcドメインはIgG1のFcドメインである。いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのC末端に隣接するHis-8タグを有する。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、阻害性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、刺激性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、抗体及び抗体フラグメント、ペプチドリガンド、T細胞共刺激ペプチド、サイトカイン、または毒素である。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、PD-L1ペプチド、PD-L1ペプチドのIg可変ドメインを含み、該T細胞調節ドメインは、4-1BBLを含み、該T細胞調節ドメインは、B7-1W88Aを含むか、または、該T細胞調節ドメインは、抗CD28一本鎖Fvを含む。いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのヒト天然B2Mペプチド配列とその重鎖配列との間のジスルフィド結合を生じさせるように該B2Mペプチド配列中及び該重鎖配列中に変異を含む。
【0023】
いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのヒト天然B2Mペプチド配列とその重鎖配列との間のジスルフィド結合を生じさせるように該B2Mペプチド配列中及び体重鎖配列中に変異を含む。いくつかの場合、該重鎖配列はHLAであり、該ジスルフィド結合は下記の残基の対のうちの1つを連結する:B2M残基12、HLA残基236;B2M残基12、HLA残基237;B2M残基8、HLA残基234;B2M残基10、HLA残基235;B2M残基24、HLA残基236;B2M残基28、HLA残基232;B2M残基98、HLA残基192;B2M残基99、HLA残基234;B2M残基3、HLA残基120;B2M残基31、HLA残基96;B2M残基53、HLA残基35;B2M残基60、HLA残基96;B2M残基60、HLA残基122;B2M残基63、HLA残基27;B2M残基Arg3、HLA残基Gly120;B2M残基His31、HLA残基Gln96;B2M残基Asp53、HLA残基Arg35;B2M残基Trp60、HLA残基Gln96;B2M残基Trp60、HLA残基Asp122;B2M残基Tyr63、HLA残基Tyr27;B2M残基Lys6、HLA残基Glu232;B2M残基Gln8、HLA残基Arg234;B2M残基Tyr10、HLA残基Pro235;B2M残基Ser11、HLA残基Gln242;B2M残基Asn24、HLA残基Ala236;B2M残基Ser28、HLA残基Glu232;B2M残基Asp98、HLA残基His192;及びB2M残基Met99、HLA残基Arg234。
【0024】
いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、そのヒト天然B2Mペプチド配列とその重鎖配列との間のジスルフィド結合を生じさせるように該B2Mペプチド配列中及び該重鎖配列中に変異を含む。いくつかの場合、該重鎖配列は、HLAであり、該ジスルフィド結合は下記の残基の対のうちの1つを連結する:第一のリンカー部位Gly2、重鎖(HLA)部位Tyr84;軽鎖(B2M)部位Arg12、HLA Ala236;及び/またはB2M残基Arg12、HLA残基Gly237。
【0025】
いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、阻害性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、刺激性ドメインである。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、抗体及び抗体フラグメント、ペプチドリガンド、T細胞共刺激ペプチド、サイトカイン、または毒素である。いくつかの場合、該T細胞調節ドメインは、PD-L1ペプチド、PD-L1ペプチドのIg可変ドメインを含むか、該T細胞調節ドメインは、4-1BBLを含むか、該T細胞調節ドメインは、B7-1W88Aを含むか、または、該T細胞調節ドメインは、抗CD28一本鎖Fvを含む。
【0026】
本開示は、上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸を提供する。本開示は、上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸で形質転換された細胞を提供する。
【0027】
本開示は、エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを阻害する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの阻害に有効な量の上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えペプチドのいずれかと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法を提供する。
【0028】
本開示は、エピトープペプチドを認識する自己反応性T細胞クローンの阻害によって自己免疫疾患を治療する方法であって、該クローンのT細胞を、自己免疫疾患の治療に有効な量の上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法を提供する。
【0029】
本開示は、エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを刺激する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの刺激に有効な量の上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法を提供する。
【0030】
本開示は、がんのエピトープペプチドを認識するT細胞クローンの刺激によってがんを治療する方法であって、該クローンのT細胞を、がんの治療に有効な量の上述または本明細書の他の場所に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法を提供する。
【0031】
本開示は、(i)第一のアミノ酸リンカー配列によって結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチドを含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物を提供する。本開示は、それぞれの免疫グロブリンFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された該組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質を提供する。
【0032】
本開示は、(i)第一のアミノ酸リンカー配列に結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列を含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)T細胞調節ドメインペプチド、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物を提供する。本開示は、それぞれの免疫グロブリンFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された該組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質を提供する。
【0033】
本開示は、少なくとも第一のポリペプチド及び第二のポリペプチドを含む、多量体ポリペプチドであって、該第一のポリペプチドが、N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチドを含み;該第二のポリペプチドが、N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含み、該第一のポリペプチドのC末端または該第二のポリペプチドのN末端に免疫調節ドメインを含む、多量体ポリペプチドを提供する。本開示は、該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本開示は、該核酸を含む組み換え発現ベクターを提供する。本開示は、本開示の核酸または本開示の組み換え発現ベクターによって遺伝子改変された宿主細胞を提供する。本開示は、薬学的組成物を含み、該多量体ポリペプチドを含む、組成物を提供する。本開示は、本開示の多量体ポリペプチドと該T細胞を接触させる段階を含む、T細胞活性を調節する方法を提供する。本開示は、有効量の本開示の多量体ポリペプチドを、それを必要とする個体に投与する段階を含む治療方法を提供する。本開示は、本開示の多量体ポリペプチドまたは本開示の多量体ポリペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む、容器を提供する。
【0034】
本開示は、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)免疫調節ドメイン;iii)第二のMHCポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドを提供する。本開示は、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドを提供する。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、β2ミクログロブリンポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該β2ミクログロブリンポリペプチドは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cの重鎖である。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該エピトープは、T細胞エピトープである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、非共有結合的に会合している。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、共有結合的に連結されている。いくつかの場合、該共有結合はジスルフィド結合による。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチド、または該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間のリンカーは第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含みかつ該第二のMHCポリペプチドは第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ該ジスルフィド結合は該第一Cys残基と該第二のCys残基と間に存在する。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間に挿入された第一のリンカーを含む。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドまたは該第二のポリペプチドは、2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、該2つ以上の免疫調節ポリペプチドは、タンデムになっている。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、第三のポリペプチドを含み、該第三のポリペプチドは、該第一のポリペプチドの該免疫調節ポリペプチドに対する少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第三のポリペプチドは、該第一のポリペプチドに共有結合的に連結されている。いくつかの場合、該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にi)該第二のMHCポリペプチド;ii)該免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド;及びiii)親和性タグを含む。
【0035】
本開示は、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)任意でIg Fcポリペプチドまたは非Ig骨格を含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドを提供し、該多量体ポリペプチドは任意で免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Ig骨格を含み、該多量体ポリペプチドは1つ以上の免疫調節ドメインを含み、該1つ以上の免疫調節ドメインは、A)該第一のポリペプチドのC末端に;B)該第二のポリペプチドのN末端に;C)該第二のポリペプチドのC末端に;またはD)該第一ポリペプチドのC末端及び該第二のポリペプチドのN末端に存在する。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、単一の免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、2つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの2つのコピー)を含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、3つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの3つのコピー)を含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、4つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの4つのコピー)を含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、単一の免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、2つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの2つのコピー)を含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、3つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの3つのコピー)を含む。いくつかの場合、多量体ポリペプチドは、4つの免疫調節ポリペプチド(例えば、同じ免疫調節ポリペプチドの4つのコピー)を含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)免疫調節ドメイン;iii)第二のMHCポリペプチド;及びii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)免疫調節ドメインを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)免疫調節ドメイン;及びii)第二のMHCポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、該非Ig骨格は、XTENポリペプチド、トランスフェリンポリペプチド、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド、シルク様ポリペプチド、またはシルクエラスチン様ポリペプチドである。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、β2ミクログロブリンポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該β2ミクログロブリンポリペプチドは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cの重鎖である。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該エピトープは、T細胞エピトープである。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、Fcポリペプチドを含み、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、非共有結合的に会合している。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、共有結合的に連結されている。いくつかの場合、該共有結合はジスルフィド結合による。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチド、または該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間のリンカー、第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含みかつ該第二のMHCポリペプチドは第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ該ジスルフィド結合は該第一のCys残基と該第二のCys残基との間に存在する。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間に挿入された第一のリンカーを含む。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、該2つ以上の免疫調節ポリペプチドは、タンデムになっている。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、第三のポリペプチドを含み、該第三のポリペプチドは、該第一のポリペプチドまたは該第二のポリペプチドの該免疫調節ポリペプチドに対する少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第三のポリペプチドは、該第一のポリペプチドに共有結合的に連結されている。いくつかの場合、該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にi)該第二のMHCポリペプチド:ii)該Ig Fcポリペプチド;及びiii)親和性タグを含む。
【0036】
本開示は、本開示の多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し;いくつかの場合、該核酸は、組み換え発現ベクター内に存在する。本開示は、組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、i)該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ;b)第一のMHCポリペプチド;c)免疫調節ポリペプチド;d)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、もしくはリボソームスキッピングシグナル;e)第二のMHCポリペプチド;及びf)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドもしくは非Ig系骨格を含むか;またはii)該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ;b)第一のMHCポリペプチド;c)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、もしくはリボソームスキッピングシグナル;d)免疫調節ポリペプチド;e)第二のMHCポリペプチド;及びf)Ig Fcポリペプチドもしくは非Ig系骨格を含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、β2ミクログロブリンポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該β2ミクログロブリンポリペプチドは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cの重鎖である。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり;かつ該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該エピトープは、T細胞エピトープである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、及びHVEMから選択される。いくつかの場合、該タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、またはリボソームスキッピングシグナルは、

から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)第一のリーダーペプチド;b)該エピトープ;c)該第一のMHCポリペプチド;d)該免疫調節ポリペプチド;e)該タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、またはリボソームスキッピングシグナル;f)第二のリーダーペプチド;g)該第二のMHCポリペプチド;及びh)該免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のリーダーペプチド及び該第二のリーダーペプチドは、β2-Mリーダーペプチドである。いくつかの場合、該ヌクレオチド配列は、転写調節因子に作動可能に連結されている。いくつかの場合、該転写調節因子は真核細胞中で機能的であるプロモーターである。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチド、または該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間のリンカーは第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含みかつ該第二のMHCポリペプチドは第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ該第一のCys残基及び該第二のCys残基は、該第一のMHCポリペプチドと該第二のMHCポリペプチドとの間にジスルフィド結合を提供する。本開示は、上述または本明細書の他の場所に記載の核酸のいずれか1つを含む組み換え発現ベクターを提供する。いくつかの場合、該組み換え発現ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの場合、該組み換え発現ベクターは、非ウイルスベクターである。本開示は、上述または本開示の他の場所に記載の組み換え発現ベクターによって遺伝子改変された宿主細胞を提供する。いくつかの場合、該宿主細胞はインビトロである。いくつかの場合、該宿主細胞は、該細胞が内因性MHCβ2ミクログロブリンポリペプチドを産生しないように遺伝子改変される。いくつかの場合、該宿主細胞はTリンパ球である。
【0037】
本開示は、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドまたは非Ig系骨格を含む第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸を含む、組成物を提供する。本開示は、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸;並びにb)N末端からC末端の順にi)免疫調節ドメイン;ii)第二のMHCポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸を含む、組成物を提供する。いくつかの場合、該第一の核酸及び/または該第二の核酸は、組み換え発現ベクター内に存在する。本開示は、上述または本開示の他の場所に記載の核酸組成物によって遺伝子改変された宿主細胞を提供する。
【0038】
本開示は、上述または本開示の他の場所に記載の多量体ポリペプチドを産生する方法であって;a)該宿主細胞が該多量体ポリペプチドを合成するような条件下で、上述または本開示の他の場所に記載の宿主細胞を培地中のインビトロで培養する段階;ならびにb)該宿主細胞から及び/または該培地から該多量体ポリペプチドを単離する段階を含む、方法を提供する。いくつかの場合、該第二のポリペプチドは親和性タグを含み、かつ、該単離する段階は、該細胞によって産生された該多量体ポリペプチドを該親和性タグの結合パートナーと接触させることを含み、ここで、該結合パートナーは固定化されており、それによって該多量体ポリペプチドを固定化する。いくつかの場合、本方法は該固定化された多量体ポリペプチドを溶出する段階を含む。
【0039】
本開示は、エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、該T細胞を、上述または本開示の他の場所に記載の多量体ポリペプチドと接触させる段階を含み、該接触させる段階が、該エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、方法を提供する。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは活性化ポリペプチドであり、かつ該多量体ポリペプチドは該エピトープ特異的T細胞を活性化する。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、阻害性ポリペプチドであり、かつ該多量体ポリペプチドは該エピトープ特異的T細胞を阻害する。いくつかの場合、該接触させる段階はインビトロで行われる。いくつかの場合、該接触させる段階はインビボで行われる。
【0040】
本開示は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、該個体に、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節するのに有効な上述または本開示の他の場所に記載の効果的な多量体ポリペプチドの有効量を投与する段階を含む、方法を提供する。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、活性化ポリペプチドであり、該多量体ポリペプチドは該エピトープ特異的T細胞を活性化する。いくつかの場合、該エピトープはがん関連エピトープであり、該投与する段階は、該がん関連エピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に増大させる。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、阻害性ポリペプチドであり、該多量体ポリペプチドは該エピトープ特異的T細胞の活性を阻害する。いくつかの場合、該エピトープは自己エピトープであり、該投与する段階は、該自己エピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に阻害する。
【0041】
本開示は、個体における感染症を治療する方法であって、該個体に、有効量のa)上述もしくは本開示の他の場所に記載の多量体ポリペプチド;またはb)該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の組み換え発現ベクター;もしくはc)該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上のmRNAを投与する段階を含み、該エピトープが病原体関連エピトープであり、該免疫調節ポリペプチドが活性化ポリペプチドであり、該投与する段階が、個体において病原体関連エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節するのに有効である、方法を提供する。いくつかの場合、該病原体は、ウイルス、細菌、または原生動物である。いくつかの場合、該投与する段階は皮下投与である(すなわち、該投与する段階は皮下投与で行われる)。いくつかの場合、該投与する段階は静脈内投与である(すなわち、該投与する段階は静脈内投与で行われる)。いくつかの場合、該投与する段階は筋肉内投与である(すなわち、該投与する段階は筋肉内投与で行われる)。いくつかの場合、該投与する段階は全身投与である。いくつかの場合、該投与する段階は、治療部位に対して遠位の投与である(すなわち、該投与する段階は皮下投与で行われる)。該投与する段階は局所投与である(すなわち、該投与する段階は皮下投与で行われる)。該投与する段階は治療部位または治療部位近傍での投与である。
【0042】
本開示は、a)上述または本開示の他の場所に記載の多量体ポリペプチド;及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。
【0043】
本開示は、a)上述もしくは本開示の他の場所に記載の核酸、または上述もしくは本明細書の他の場所に記載の組み換え発現ベクター;及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。
[本発明1001]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;
ii)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)任意で免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Ig骨格
を含む第二のポリペプチド
を含み、
A)前記第一のポリペプチドのC末端に;
B)前記第二のポリペプチドのN末端に;
C)前記第二のポリペプチドのC末端に;または
D)前記第一ポリペプチドのC末端及び前記第二のポリペプチドのN末端に
存在する1つ以上の免疫調節ドメインを含む、多量体ポリペプチド。
[本発明1002]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;
ii)第一のMHCポリペプチド;及び
iii)免疫調節ドメイン
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1003]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)免疫調節ドメイン;
iii)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1004]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド;及び
iii)免疫調節ドメイン
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1005]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)免疫調節ドメイン
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1006]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)免疫調節ドメイン;及び
ii)第二のMHCポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1007]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;
ii)第一のMHCポリペプチド;及び
iii)免疫調節ドメイン
を含む第一のポリペプチド、並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド
を含む第二のポリペプチド
を含む、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1008]
前記非Ig骨格が、XTENポリペプチド、トランスフェリンポリペプチド、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド、シルク様ポリペプチド、またはシルクエラスチン様ポリペプチドである、本発明1001の多量体ポリペプチド。
[本発明1009]
前記第一のMHCポリペプチドがβ2ミクログロブリンポリペプチドであり;かつ前記第二のMHCポリペプチドがMHCクラスI重鎖ポリペプチドである、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1010]
前記β2ミクログロブリンポリペプチドが、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1009の多量体ポリペプチド。
[本発明1011]
前記MHCクラスI重鎖ポリペプチドが、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cの重鎖である、本発明1008の多量体ポリペプチド。
[本発明1012]
前記MHCクラスI重鎖ポリペプチドが、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1009の多量体ポリペプチド。
[本発明1013]
前記第一のMHCポリペプチドが、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり;かつ前記第二のMHCポリペプチドが、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1014]
前記エピトープがT細胞エピトープである、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1015]
Fcポリペプチドを含み、かつ、前記Ig Fcポリペプチドが、IgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである、本発明1001から1007のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1016]
前記Ig Fcポリペプチドが、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1015の多量体ポリペプチド。
[本発明1017]
前記第一のポリペプチド及び前記第二のポリペプチドが非共有結合的に会合している、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1018]
前記第一のポリペプチド及び前記第二のポリペプチドが共有結合的に連結されている、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1019]
前記共有結合がジスルフィド結合による、本発明1013の多量体ポリペプチド。
[本発明1020]
前記第一のMHCポリペプチド、または前記エピトープと前記第一のMHCポリペプチドとの間のリンカーが、第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ前記第二のMHCポリペプチドが、第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ、前記ジスルフィド結合が前記第一のCys残基と前記第二のCys残基との間に存在する、本発明1019の多量体ポリペプチド。
[本発明1021]
前記エピトープと前記第一のMHCポリペプチドとの間に挿入された第一のリンカーを含む、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1022]
前記免疫調節ポリペプチドが、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1023]
2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1024]
前記2つ以上の免疫調節ポリペプチドがタンデムになっている、本発明1023の多量体ポリペプチド。
[本発明1025]
第三のポリペプチドを含み、前記第三のポリペプチドが、前記第一のポリペプチドまたは前記第二のポリペプチドの前記免疫調節ポリペプチドに対する少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む免疫調節ポリペプチドを含む、本発明1001から1008のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1026]
前記第三のポリペプチドが、前記第一のポリペプチドに共有結合的に連結されている、本発明1025の多量体ポリペプチド。
[本発明1027]
前記第二のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)前記第二のMHCポリペプチド;
ii)前記Ig Fcポリペプチド;及び
iii)親和性タグ
を含む、本発明1001から1007のいずれかの多量体ポリペプチド。
[本発明1028]
i)組み換えポリペプチドが、N末端からC末端の順に
a)エピトープ;
b)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチド;
c)免疫調節ポリペプチド;
d)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、もしくはリボソームスキッピングシグナル;
e)第二のMHCポリペプチド;及び
f)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含むか、または
ii)前記組み換えポリペプチドが、N末端からC末端の順に
a)エピトープ;
b)第一のMHCポリペプチド;
c)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー、もしくはリボソームスキッピングシグナル;
d)免疫調節ポリペプチド;
e)第二のMHCポリペプチド;及び
f)Ig Fcポリペプチド
を含む、
前記組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
[本発明1029]
前記第一のMHCポリペプチドがβ2ミクログロブリンポリペプチドであり;かつ前記第二のMHCポリペプチドがMHCクラスI重鎖ポリペプチドである、本発明1028の核酸。
[本発明1030]
前記β2ミクログロブリンポリペプチドが、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1029の核酸。
[本発明1031]
前記MHCクラスI重鎖ポリペプチドが、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cの重鎖である、本発明1028の核酸。
[本発明1032]
前記MHCクラスI重鎖ポリペプチドが、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1031の核酸。
[本発明1033]
前記第一のMHCポリペプチドがMHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり;かつ前記第二のMHCポリペプチドがMHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである、本発明1028の核酸。
[本発明1034]
前記エピトープがT細胞エピトープである、本発明1028の核酸。
[本発明1035]
前記Ig Fcポリペプチドが、IgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである、本発明1028の核酸。
[本発明1036]
前記Ig Fcポリペプチドが、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、本発明1035の核酸。
[本発明1037]
前記免疫調節ポリペプチドが、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される、本発明1028の核酸。
[本発明1038]
前記免疫調節ポリペプチドが、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、及びHVEMから選択される、本発明1027の核酸。
[本発明1039]
前記タンパク質分解的に開裂可能なリンカーまたは前記リボソームスキッピングシグナルが、
から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1028の核酸。
[本発明1040]
前記組み換えポリペプチドが、N末端からC末端の順に
a)第一のリーダーペプチド;
b)前記エピトープ;
c)前記第一のMHCポリペプチド;
d)前記免疫調節ポリペプチド;
e)前記タンパク質分解的に開裂可能なリンカーまたは前記リボソームスキッピングシグナル;
f)第二のリーダーペプチド;
g)前記第二のMHCポリペプチド;及び
h)前記免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含む、本発明1028の核酸。
[本発明1041]
前記第一のリーダーペプチド及び前記第二のリーダーペプチドがβ2-Mリーダーペプチドである、本発明1040の核酸。
[本発明1042]
前記ヌクレオチド配列が転写調節因子に作動可能に連結されている、本発明1028の核酸。
[本発明1043]
前記転写調節因子が、真核細胞中で機能的であるプロモーターである、本発明1042の核酸。
[本発明1044]
前記第一のMHCポリペプチド、または前記エピトープと前記第一のMHCポリペプチドとの間のリンカーが、第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ前記第二のMHCポリペプチドが、第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、かつ、前記第一のCys残基及び前記第二のCys残基が、前記第一のMHCポリペプチドと前記第二のMHCポリペプチドとの間にジスルフィド結合を提供する、本発明1028の核酸。
[本発明1045]
本発明1028から1044のいずれかの核酸を含む、組み換え発現ベクター。
[本発明1046]
ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、本発明1045の組み換え発現ベクター。
[本発明1047]
本発明1045の組み換え発現ベクターによって遺伝子改変された宿主細胞。
[本発明1048]
インビトロである、本発明1047の宿主細胞。
[本発明1049]
内因性MHCβ2ミクログロブリンポリペプチドを産生しないように遺伝子改変されている、本発明1047の宿主細胞。
[本発明1050]
Tリンパ球である、本発明1047の宿主細胞。
[本発明1051]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;
ii)第一のMHCポリペプチド;及び
iii)免疫調節ドメイン
を含む第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸;並びに
b)N末端からC末端の順に
i)第二のMHCポリペプチド;及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸
を含む、組成物。
[本発明1051]
a)N末端からC末端の順に
i)エピトープ;及び
ii)第一のMHCポリペプチド
を含む第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸;並びに
b)N末端からC末端の順に
i)免疫調節ドメイン
ii)第二のMHCポリペプチド;及び
iii)Ig Fcポリペプチド
を含む第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸
を含む、組成物。
[本発明1053]
前記第一の核酸及び/または前記第二の核酸が組み換え発現ベクター内に存在する、本発明1051または1052の組成物。
[本発明1054]
本発明1051から1053のいずれかの組成物によって遺伝子改変された宿主細胞。
[本発明1055]
a)47または54の宿主細胞が本発明1001の多量体ポリペプチドを合成するような条件下で、前記宿主細胞を培地中のインビトロで培養する段階;ならびに
b)前記宿主細胞から及び/または前記培地から前記多量体ポリペプチドを単離する段階
を含む、前記多量体ポリペプチドを産生する方法。
[本発明1056]
前記第二のポリペプチドが親和性タグを含み、かつ、前記単離する段階が、前記細胞によって産生された前記多量体ポリペプチドを前記親和性タグの結合パートナーと接触させることを含み、ここで前記結合パートナーが固定化されており、それによって前記多量体ポリペプチドを固定化する、本発明1055の方法。
[本発明1057]
固定化された前記多量体ポリペプチドを溶出する段階を含む、本発明1055の方法。
[本発明1058]
エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、前記T細胞を、本発明1001の多量体ポリペプチドと接触させる段階を含み、前記接触させる段階が、前記エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、方法。
[本発明1059]
前記免疫調節ポリペプチドが活性化ポリペプチドであり、かつ前記多量体ポリペプチドが前記エピトープ特異的T細胞を活性化する、本発明1058の方法。
[本発明1060]
前記免疫調節ポリペプチドが阻害ポリペプチドであり、かつ前記多量体ポリペプチドが前記エピトープ特異的T細胞を阻害する、本発明1058の方法。
[本発明1061]
前記接触させる段階がインビトロである、本発明1058の方法。
[本発明1062]
前記接触させる段階がインビボである、本発明1058の方法。
[本発明1063]
個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、前記個体に、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節するのに有効な本発明1001の多量体ポリペプチドの有効量を投与する段階を含む、方法。
[本発明1064]
前記免疫調節ポリペプチドが活性化ポリペプチドであり、かつ前記多量体ポリペプチドが前記エピトープ特異的T細胞を活性化する、本発明1063の方法。
[本発明1065]
前記エピトープががん関連エピトープであり、かつ前記投与する段階が、前記がん関連エピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に増大させる、本発明1064の方法。
[本発明1066]
前記免疫調節ポリペプチドが阻害性ポリペプチドであり、かつ前記多量体ポリペプチドが前記エピトープ特異的T細胞の活性を阻害する、本発明1063の方法。
[本発明1067]
前記エピトープが自己エピトープであり、かつ前記投与する段階が、前記自己エピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に阻害する、本発明1066の方法。
[本発明1068]
個体における感染症を治療する方法であって、前記個体に、有効量の
a)本発明1001の多量体ポリペプチド;または
b)本発明1001の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の組み換え発現ベクター;もしくは
c)本発明1001の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上のmRNA
を投与する段階を含み、
前記エピトープが病原体関連エピトープであり、前記免疫調節ポリペプチドが活性化ポリペプチドであり、かつ前記投与する段階が、個体において病原体関連エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節するのに有効である、方法。
[本発明1069]
前記病原体がウイルス、細菌、または原生動物である、本発明1068の方法。
[本発明1070]
前記投与する段階が皮下投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記投与する段階が静脈内投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記投与する段階が筋肉内投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1073]
前記投与する段階が全身投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記投与する段階が治療部位に対して遠位の投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1075]
前記投与する段階が局所投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記投与する段階が治療部位または治療部位近傍での投与である、本発明1063から1068のいずれかの方法。
[本発明1077]
a)本発明1001から1027のいずれかの多量体ポリペプチド;及び
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
[本発明1078]
a)本発明1028から1034のいずれかの核酸、または本発明1045もしくは1046の組み換え発現ベクター;及び
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】synTac:T細胞活性化用の人工免疫学的シナプスである。パネルの左側は従来のT細胞活性化のための2シグナル仮説を示す。すなわち、T細胞と抗原提示細胞(APC)間の独自のTCR:MHC-エピトープ相互作用を介した標的T細胞の結合と、それに続く共刺激分子の結合を介した刺激または阻害である。中央のパネルは、synTac分子の略図であり、synTacに対する作用機序(右)へと続く。天然の応答(左)と類似して、synTac融合タンパク質は、MHC-エピトープを介した高度に特異的な細胞の標的化を可能にする。これに続くのはT細胞調節ドメイン(「MOD」)であり、これは共刺激分子の結合を介して作用し、活性化または阻害のどちらかをもたらすことができる。これは、T細胞全体ではなくクローン性の応答を誘発する。特に、MODは、任意の既知のまたは認可された抗体、抗体フラグメント、共刺激分子、もしくは文献で確認された他のペイロード(サイトカイン、毒素等)ならびに新規なものでありうる。
【
図2】
図2A~2Cは、synTacのFc融合構築物である。1つのストラテジーでは、Fc融合構築物を用いて関連生成物の結合価、安定性、及び治療域を増大させる。簡潔に言えば、Fc領域は天然の共有結合ホモ2量体であり、2つの同一の免疫グロブリンCH2-CH3ドメイン(Fcと呼ばれる)の相互作用によって形成され、2つの細い線で示すCH2ドメイン間の2つのジスルフィド結合によって安定化される。
図2Aは、IgGのFc領域にカルボキシル末端で連結された一本鎖ペプチドのMHCタンパク質を示す。代替タンパク質(MOD等)連結を導入するため、この構築物は、それぞれの重鎖及び軽鎖に分割され、ペプチド及びタンパク質の両方を別々の末端に融合させる。1つの構築物、すなわち、
図2Bは、軽鎖(β2ミクログロブリン、B2M)への該ペプチドのアミノ末端結合と、それに続くMODエフェクター分子への該軽鎖のカルボキシル末端延長をもたらす。このシナリオでは、重鎖(HLA分子、HC)がFc領域に融合される。構築物はジスルフィド架橋(S-Sと表示される)を介して共有結合的にくっついている。別の配向、すなわち、
図2Cは、該MODをFc融合重鎖のアミノ末端に付け、該ペプチドはB2Mの軽鎖に依然として連結されている。
【
図3】
図3A~3Bは、2つの基礎となるsynTac分子の全体的な構造設計である。この構築物は天然のヒトB2Mリーダー配列(LEADER)を用いて、効率的な分泌とERプロセッシングを可能にし、直後に候補エピトープ(PEPTIDEと表示)が続く。軽鎖連結(LC、
図3A)については、これは、リンカーL1を介して天然B2M分子に、さらにリンカーL2を介してMODにつながれる。この全カセットは、別のB2Mリーダー配列、MHCの重鎖、及びIgG1のFcドメインに、ウイルスのブタテッショウウイルス‐1(P2A)「自己開裂」ペプチドによって連結されて、各鎖の化学量論的発現を可能にする。重鎖(HC、
図3B)連結は、同様であるが、ウイルスP2Aペプチドがこの場合B2Mに続き、かつMODは第二のリーダーペプチドに続く。両方の構築物は、8xHisタグで終わる。
【
図4】CRISPR/CASによる内因性β2ミクログロブリンのノックアウトである。ガイドRNAは、内因性B2Mに対して設計し、CRISPR/CASをコードするプラスミドとともに導入し、3日間培養した。培養細胞をB2Mについて表面染色し、蛍光活性化細胞分類(FACS)によって対抗選択(蛍光の損失で分類)した。分類した細胞を回復させ、さらに2回の染色、対抗分類、及び回復の巡回(全部で3回)に供し、有効なノックアウトを確実にした。最終的なプールは、上記したFACSによるB2M表面発現を観察することで品質をチェックした。
【
図5】
図5A~5Bは、操作されたジスルフィド結合を有するsynTac構築物の生成及び活性試験である。高レベルの発現が1つの構築物(H236-L12、synTac18と表示)で、適度の発現が2番目(H237-L12、synTac17)で示された。dt-SCTジスルフィドスキーマを正の対照として用いる(synTac2と表示)。非還元PAGEにより、高分子量、すなわちジスルフィド結合された部分が予想通り形成されたことが示唆された(
図5A)。すべての発現構築物を100ml規模にスケールアップし、精製し、HEK細胞表面で発現される同族TCR(A6と呼ばれる)の結合によって活性試験し、FACS蛍光によって観察されるように、適切な折りたたみと活性が示唆された(
図5B)。非同族TCR(AS01と呼ばれる)を発現する細胞は負の対照として用いた。
【
図6】
図6A~6Bは、各種synTacタンパク質融合の発現である。(
図6A)軽鎖連結synTacの各種標的化ペプチド及び、PD-L1のMODドメイン、特に1)HTLVヒトHLA-A02、2)IGRPマウスH2-Kd、及び3)TUMマウスH2-Kdを有するHLAアイソタイプとの融合、(
図6B)各種MODドメイン、すなわち4)PD-L1のIg可変ドメイン、5)4-1BBL、6)抗CD28一本鎖Fv、及び7)B7-1W88Aを有するIGRP系synTac融合、(
図6C)各種MOD、すなわち8)PD-L1及び9)抗CD28一本鎖Fvを有する重鎖連結として発現するIGRP系synTac融合の発現の達成。
【
図7】
図7A~7Bは、TCR-synTac-PD1架橋であり、synTacタンパク質成分の完全性を検証する。同族TCR(A6)を発現するHEK細胞を正の対照として用い、また、非同族TCR(AS01)を発現する細胞を生成し、形質導入していない親細胞とともに負の対照として用いた。細胞に、非蛍光精製HTLV-PD-L1synTac変異体を負荷し、この細胞をマウスIgG2aと融合したその同族受容体PD1とともに培養した。PD1-Fc融合は、FITC標識抗マウス二次抗体を用いて検出した。反応の概略図を
図7Aに示し、FACsの結果を
図7Bに示す。予想通り、共局在化蛍光は、PD-L1MODを有するHTLV提示synTacが同族(A6)HEK細胞株に対して投与された場合に観察されたのみであった。注目すべきは、非同族TCRを有するHEK細胞または親細胞に対して投与した場合、すなわち、FITC-PD1-Fcのみに対して投与した場合、もしくはMODが存在しなかった場合に、これは観察されなかった。
【
図8】
図8A~8Dは、作用時のsynTac:インビトロT細胞アッセイである。8.3トランスジェニックNODマウス由来のCD8+T細胞を固定化抗CD3抗体の存在下で培養し、ポリクローナルT細胞活性化を刺激した。刺激された培養物は、可溶性型のsynTac TUM-PD-L1(
図8A)またはsynTac IGRP-PD-L1(
図8C)のどちらかで処理し、任意の抑制効果の抗原特異性を調べた。PD-L1のないsynTac IGRP型(
図8B)は、MODドメインに対するエフェクターの対照としての役割を果たした。播種の前に、T細胞活性化で誘導される細胞増殖の程度を観察するためにカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で細胞を標識化した。細胞は5日目に採取し、フローサイトメトリーを用いて生存率と増殖を調べた。上清もまた、CD8+T細胞エフェクターサイトカインのIFNγ及びTNFαの発現について、多重化フローサイトメトリービーズアッセイを用いて調べた。調べたすべてのCD8+T細胞活性化パラメータは、抗原特異的かつエフェクター(すなわち、MOD)ドメイン依存的に抑制された(
図8D)。
【
図9A】
図9AはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図9B】
図9BはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図9C】
図9CはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図9D】
図9DはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図9E】
図9EはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図9F】
図9FはsynTacポリペプチドのアミノ酸配列及びドメイン構造を示す。
【
図10】
図10A~10Cは、4-1BBL3量体発現のための構築物を示す。(
図10A)膜近位(Memb Prox、MP)及びTNF相同(TNF-H)ドメインを示す天然4-1BBL外部ドメイン(残基50~254)の単量体型、(
図10B)4-1BBL2量体synTac、及び(
図10C)従来型のsynTac構築物と、親和性タグを持たない4-1BBL外部ドメイン(残基50~254、
図10A)の「遊離」型の共発現によって生成される4-1BBLsynTacの完全活性二重3量体型の素描表現。すべての構築物は、哺乳類の細胞でともに発現される時に集合する。精製はFc領域(プロテインA/G)を通過し、その後サイズ排除が続き、遊離のBBLから4-1BBL3量体synTacの分離を可能にする。
【
図11】
図11A~11Bは、synTacタンパク質を有する3量体4-1BBLの多角度光散乱(MALS)分析である。(
図11A)複数の独立した測定の例を示すMALSで特定された主要な種類の分子量。(
図11B)比較的高レベルの光散乱及び低UV吸収のsynTac40+51のMALSからの代表的トレースであり、少量の高分子量タンパク質の存在を反映している。低分子量の緩衝剤成分は、UV吸光度の変化を伴わずに屈折率に大きな変化(正または負のどちらか)をもたらす。
【
図12】synTac4-1BBL受容体結合である。プロテインAのマイクロビーズを飽和状態まで組み換えヒトまたはマウス4-1BB-Fc融合タンパク質で被覆して用い、共調節ドメインとして4-1BBリガンド(2量体及び3量体)を有するsynTac構築物、続いて該synTacの重鎖アイソタイプに特異的な蛍光検出抗体を結合した。synTac4-1BBLのビーズ付き4-1BBへの特異的結合の程度をその後ハイスループットフローサイトメトリーで測定した。この系を用いて、ヒト及びマウスの4-1BBの両方に対する4-1BBLの交差反応性及び相対的親和性の程度を該synTac骨格の中で調査した。4-1BBLを有するsynTacは、同族受容体と結合し、「受容体のない」(MODなしと呼ばれる)Fc結合マイクロビーズと結合しないことが示され、十分に折りたたまれた活性タンパク質試薬を示唆した。特に、該3量体は二重3量体結合に対して予期される親和性範囲で結合したが、元の2量体は、結合親和性における10分の1の減少を示し、すべての構築物はマウス及びヒト受容体間で交差反応する。
【
図13】8.3トランスジェニックNODマウス由来のCD8
+T細胞を固定化抗CD3抗体の存在下培養し、ポリクローナルT細胞活性化を刺激した。刺激された培養物は、可溶性型のsynTac TUM-41BBL(A)またはsynTac IGRP-41BBL(B及びC)のどちらかで処理し、任意の刺激効果の抗原特異性を調べた。対照の処理は培地のみ(-CNTRL)または固定化抗CD3(+CNTRL)で、反応の大きさの判断基準とした。細胞は、T細胞活性化で誘導される細胞増殖の程度を観察するためにカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識化した。4日後、細胞を採取し、フローサイトメトリーを用いて生存率及び増殖について調べた。上清もまた、CD8
+T細胞エフェクターサイトカインのIFNγ及びTNFαの発現について、多重化フローサイトメトリー系ビーズアッセイを用いて調べた。調べたすべてのCD8
+T細胞活性化パラメータは、抗原特異的かつエフェクター(すなわち、MOD)ドメイン依存的に活性化された。
【
図14】単回投与インビボT細胞刺激アッセイである。NODマウスに、synTac IGRP-41BBL、synTac TUM-41BBL、またはPBSを腹腔内注射した。注射の6日後、これらマウスを殺処分し、適切なペプチド‐MHC5量体染色を用いて、IGRP特異的CD8T細胞の相対頻度について、脾細胞をフローサイトメトリーで調べた。IGRP-41BBL処理は、IGRP特異的CD8T細胞の頻度を対照に対してはるかに高くし、単回投与がもたらすインビボでの有意な増加を裏付けた。
【
図15】複数回投与インビボT細胞刺激アッセイである。NODマウスに、synTac IGRP-41BBL、synTac TUM-41BBL、またはPBSを2週間にわたって3回腹腔内注射した。注射の7日後、これらマウスを殺処分し、適切なペプチド‐MHC5量体染色を用いて、IGRP特異的CD8T細胞の相対頻度について、PBMC(血液由来)をフローサイトメトリーで調べた。IGRP-41BBL処理は、IGRP特異的CD8T細胞の頻度を対照に対して高くし、まれな腫瘍に特異的なT細胞(TUM)を含めて、複数回投与がもたらすインビボでの有意な増加を裏付けた。
【
図16】
図16A~16Bは、4-1BBL3量体発現に関して最適化された構築物の概略図である。ジスルフィド固定(
図16A、DL)及び一本鎖3量体(
図16B、SCT)。
【
図17】synTac4-1BBL受容体結合である。プロテインAのマイクロビーズを飽和状態まで組み換えヒトまたはマウス4-1BB-Fc融合タンパク質で被覆して用い、補助調節ドメインとして4-1BBリガンド(ジスルフィド固定3量体(69、70、及び71)並びに一本鎖3量体(SCT)を有するsynTac構築物、続いて該synTacの重鎖アイソタイプに特異的な蛍光検出抗体を結合した。示した天然の3量体は結合の対照(3量体)である。synTac4-1BBLのビーズ付き4-1BBへの特異的結合の程度をその後ハイスループットフローサイトメトリーで測定した。4-1BBLを有するsynTacは、同族受容体を結合し、「受容体のない」(「MODなし」と呼ばれる)Fc結合マイクロビーズを結合しないことが示され、十分に折りたたまれた活性タンパク質試薬を示唆した。すべての構築物はマウス及びヒト受容体間で交差反応する。
【
図18】最適化4-1BBL構築物の発現の検証である。元の4-1BBLモジュレーター(synTac40/51、ジスルフィド固定なし、「O」(元の(original))と表示)及び3量体のコンフォメーションを拘束する操作されたジスルフィド固定を含む3つの最適化構築物との共発現によるsynTac産物。各構築物の2つの天然残基をシステイン残基で置換し(Q94C:P245C(ゲル中、「DL1」と表示)、Q94C:P242C「DL2」、及びQ89C:L115C「DL3」、それぞれsynTac69、70、及び71と呼ぶ)、ヒト細胞中、同じ変異を有する「遊離」非タグ型(それぞれ98、99、100と呼ばれる)と共発現させ、該細胞中で共有結合的固定を可能にした。ジスルフィド結合度は、非還元SDS-PAGE分析において、放出された(非共有結合的結合)「遊離」4-1BBLの量によって観察した。遊離BBLは約20kDa(囲み)に移動するので、遺伝子操作された構築物のジスルフィド固定を確認する。4-1BBLの一本鎖3量体型(SCT)を担持するsynTacも、アフィニティー及びゲルろ過精製の後に示される(「SCT」と表示)。正確な質量が多角度光散乱(MALS)によって確認される。
【
図19A】
図19A~19Iは、本開示のsynTac構築物の実施形態の概要図である。
図19A~19Cは、それぞれ
図2A~2Cに関して説明される構築物を示す;
図19B及び19Cでは、P2Aが未開裂のポリペプチドが示され(上部)、さらに開裂されたポリペプチド(P2A介在自己開裂を通して)がジスルフィド結合(SS)とともに示され(下部)、図示されたシステイン置換(
*)によって仲介される。
図19D~19Fは、それぞれ
図8A~8Cに関して上述の構築物を示し;
図19D~19Fの各々では、図示されたシステイン置換(
*)によって仲介される、ジスルフィド結合(SS)を有するP2A介在自己開裂ポリペプチド(下部)の上にP2Aの未開裂型(上部)が示される。
図19Gは、図示された未開裂(上部)及び自己開裂/ジスルフィド結合された(下部)ポリペプチドで、
図9Bに関連してsynTac40構築物の一般型を示す。
図19Hは、
図9C~9Eに関連してsynTac69、synTac70、及びsynTac71の一般型を示し、未開裂(上部)及び自己開裂/ジスルフィド結合された(下部)ポリペプチドが図示され、4-1BBLドメイン内のさらなるシステイン置換も示される(
*)。
図19Iは、
図9Fに関連してsynTac4-1BBL一本鎖3量体(SCT)の一般型を示し、未開裂(上部)及び自己開裂/ジスルフィド結合された(下部)ポリペプチドが図示される。
【
図20】ホモ・サピエンス(Homo sapiens)(NP_004039.1;SEQ ID NO:78)、チンパンジー(Pan troglodytes)(NP_001009066.1;SEQ ID NO:79)、アカゲザル(Macaca mulatta)(NP_001040602.1;SEQ ID NO:80)、ボス・タウラス(Bos Taurus)(NP_776318.1;SEQ ID NO:81)、及びハツカネズミ(Mus musculus)(NP_033865.2;SEQ ID NO:82)由来のβ2ミクログロブリン(B2M)前駆体(すなわち、リーダー配列を含む)の複数のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【
図21】SEQ ID NO:6の構築物のドメイン構造を示す。
【
図22】SEQ ID NO:7の構築物のドメイン構造を示す。
【
図23】synTac IGRP-PDL1、synTac TUM-PDL1、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のインビボ投与のIGRP特異的CD8
+T細胞の頻度に対する影響を示す。
【
図25】
図25A~25Cは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図26】
図26A~26Bは、PD-L1ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図27】4-1BBLポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図28】ICOS-Lポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図29】OX40Lポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図30】PD-L2ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図31】CD80(B7-1)ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図32】CD86(B7-2)ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図33】Fasリガンド(FAS-L)ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図34A】
図34A~34Hは、本開示のsynTac構築物の実施形態の概要図を示し、システイン置換(
*)によって仲介されるジスルフィド結合(SS)が図示される。これらの実施形態では、ジスルフィド結合は別々のポリペプチドに存在するMHC(例えば、HLA)ポリペプチド間に形成される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
定義
本明細書で使用される「リーダー配列」は、ヒトB2Mリーダーを含めて、哺乳類細胞によってプロセッシングされうる任意のシグナルペプチドを含む。かかる配列は、当技術分野では周知である。
【0046】
本明細書で使用される、例えば、要素A及び要素Bに関して「隣接する」とは、要素Aが要素Bに隣接し、好ましくは、別段の定めのない限り、共有結合によって要素Bに結合していることを意味する。例えば、第二のアミノ酸配列に隣接する第一のアミノ酸配列については、該第一のアミノ酸配列のC末端が、該第二のアミノ酸配列のN末端にペプチド結合によって結合され得る。
【0047】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では区別なく用いられ、任意の長さのアミノ酸の多量体型を指し、コード及び非コードアミノ酸、化学的もしくは生化学的修飾または誘導体化アミノ酸、並びに修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含みうる。これらの用語は、ポリペプチドの翻訳時修飾(例えば、シグナルペプチド開裂)及び翻訳後修飾、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、タンパク質分解的開裂等を有するポリペプチドも含む。さらに、本明細書で使用される「ポリペプチド」は、そのタンパク質が所望の活性を維持する限り、元の配列に対して欠失、付加、及び置換(当業者に知られるように実際は概して保存的である)等の修飾を含むタンパク質に言及する。これらの修飾は、特定部位の突然変異誘発によるなどの故意、または、例えば該タンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅もしくは他の組み換えDNA法に起因するエラーを介した偶然の場合がある。
【0048】
核酸分子を説明するために本明細書で使用される「組み換え体」という用語は、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成、及び/または合成起源のポリヌクレオチドであって、その起源または操作が理由で、それが本来伴うポリヌクレオチド配列のすべてもしくは一部を伴わない、ポリヌクレオチドを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して用いられる「組み換え体」という用語は、組み換えポリヌクレオチド由来の発現によって産生されるポリペプチドを指す。宿主細胞またはウイルスに関して用いられる「組み換え体」という用語は、組み換えポリヌクレオチドが導入された宿主細胞またはウイルスを指す。組み換え体はまた、本明細書では、異種物質(例えば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)の導入によって修飾された物質(例えば、細胞、核酸、タンパク質、またはベクター)に関連して指す。
【0049】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」という用語は、本明細書では区別なく用いられ、ヌクレオチド、すなわち、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの多量体型を含める。本用語は、該分子の一次構造のみを指す。従って、これらの用語は3本鎖、2本鎖、及び1本鎖DNA、並びに3本鎖、2本鎖、及び1本鎖RNAを含む。これらの用語はまた、例えばメチル化及び/またはキャッピングによる修飾を有するかかる分子、並びにポリヌクレオチドの未修飾型も含む。より具体的には、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2‐デオキシ‐D‐リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D‐リボースを含む)、プリンもしくはピリミジン塩基のN‐またはC‐グリコシドである他の種類のポリヌクレオチド、並びに非ヌクレオチド骨格を含む他のポリマー、ポリマー、並びに、該ポリマーがDNA及びRNAで見られるような塩基対合及び塩基の積み重ねを可能にする配置に核酸塩基を含む他の合成配列特異的核酸ポリマーを含む。
【0050】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、核酸配列を標的細胞に導入できる媒体を指す。例えば、ベクターは標的細胞内で発現されうるコード配列を含んでよい。本明細書で使用される、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、及び「遺伝子導入ベクター」とは、概して、目的の遺伝子の発現を指示することが可能で、該目的の遺伝子を標的細胞内に導入するのに有用な任意の核酸構築物を指す。ゆえに、該用語は、クローニング及び発現媒体、並びに組込みベクター及び非組込みベクターを含む。ベクターはこのように核酸配列を標的細胞に導入することが可能で、ある場合には、核酸配列の操作、例えば、核酸配列の組み換え(すなわち、組み換え核酸配列を作ること)等に用いられる。本開示のためのベクターの例としては、限定されないが、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルス等が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される「発現カセット」は、目的の遺伝子/コード配列を含めた任意のRNA転写産物の発現を指示することができる任意の核酸構築物及び非翻訳RNAを含む。かかるカセットは、該発現カセットを標的細胞内に導入するために、「ベクター」、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、または「遺伝子導入ベクター」に構築することができる。従って、本用語はクローニング及び発現媒体並びにウイルスベクターを含む。発現カセットの転写産物は、安定に、または一時的に発現されうるとともに、所望に応じて、宿主のゲノムと合体する(標的化もしくは未標的化形式で)カセットから発現されても、または合体しないままであってもよい。
【0052】
「作動可能に連結されている」とは、かかる成分が、それらの対象とする方式でそれらが機能することを可能にする関係にある並置を指す。例えば、プロモーターは、該プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、該コード配列に作動可能に連結されている。本明細書で使用される「異種プロモーター」並びに「異種調節領域」という用語は、通常本来特定の核酸と結合しないプロモーター及び他の調節領域を指す。例えば、「コード領域に対して異種の転写調節領域」とは、通常本来該コード領域と結合しない転写調節領域である。
【0053】
本明細書で使用される「免疫学的シナプス」または「免疫シナプス」という用語は、概して、2つの適応免疫反応の相互作用免疫細胞間の天然の界面を指し、例えば、抗原提示細胞(APC)または標的細胞とエフェクター細胞、例えば、リンパ球、エフェクターT細胞、ナチュラルキラー細胞等との界面を含む。APCとT細胞間の免疫学的シナプスは、例えば、参照することによってその開示全体が本明細書に組み込まれる、Bromley et al., Annu Rev Immunol. 2001;19:375-96に記載されるように、通常、T細胞抗原受容体及び主要組織適合複合体分子の相互作用によって開始される。
【0054】
本明細書で使用される、核酸配列、タンパク質、またはポリペプチドに関して用いられる「異種」という用語は、これらの分子が、該異種核酸配列、タンパク質、またはポリペプチドが得られた細胞内で天然には生じないことを意味する。例えば、ヒトの細胞ではない細胞に挿入されるヒトのポリペプチドをコードする核酸配列は、その個々の状況において異種核酸配列である。異種核酸は異なる有機体または動物種由来でありうるものの、かかる核酸は、異種であるために別の有機体種由来である必要はない。例えば、ある場合には、合成核酸配列またはそれからコードされるポリペプチドは、それが導入される細胞に対して、該細胞は該合成核酸を以前に含んでいなかったという点において、異種でありうる。このように、例えば、合成核酸配列またはそれからコードされるポリペプチドの1成分以上がもとはヒト細胞由来であったとしても、該合成核酸配列またはそれからコードされるポリペプチドは、ヒト細胞に対して異種であると見なされうる。
【0055】
本明細書で使用される「宿主細胞」とは、インビボもしくはインビトロ真核細胞または単細胞の実体として培養された多細胞生物(例えば、細胞株)由来の細胞を意味し、これら真核細胞は、核酸(例えば、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター)に対するレシピエントとして使用可能、または使用されており、該核酸によって遺伝子改変された元の細胞の後代を含む。単一細胞の後代は自然の、偶然の、または計画的な突然変異のために、元の親と必ずしも完全に同一の形態学またはゲノムもしくは全DNA補体であるとは限らないことが理解される。「組み換え宿主細胞」(「遺伝子改変された宿主細胞」とも呼ばれる)は、異種核酸、例えば、発現ベクターが導入された宿主細胞である。例えば、遺伝子改変された真核宿主細胞は、異種核酸、例えば、該真核宿主細胞にとって異質である外因性核酸、または該真核宿主細胞に通常は見られない組み換え核酸による適切な真核宿主細胞への導入によって遺伝子改変されている。
【0056】
いくつかの場合、ポリペプチド及びポリペプチドをコードする核酸を含めて、核酸またはアミノ酸配列は、「配列類似性」または「配列同一性」を基に、例えば、1つ以上の参照配列と比較して参照される。他の例では、変異または変種配列は、1つ以上の参照配列との比較を基に参照されうる。配列の比較については、通常、1つの配列が参照配列の役割を果たし、これに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムのプログラムパラメータを指定する。該配列比較アルゴリズムは次に、指定されたプログラムパラメータを基にして、該試験配列について、該参照配列に対する配列同一性%を計算する。
【0057】
必要または所望に応じて、比較用に最適な配列アラインメントを、例えば、Smith及びWatermanの局所的相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2:482(1981)、参照することによって本明細書に組み込まれる)、Needleman及びWunschの相同性アラインメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443-53(1970)、参照することによって本明細書に組み込まれる)、Pearson及びLipmanの類似性検索法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-48(1988)、参照することによって本明細書に組み込まれる)、これらアルゴリズムのコンピュータ実行(例えば、GAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr.,ウィスコンシン州マジソン)または外観検査(一般的には、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,第4版,John Wiley and Sons,New York(1999)参照)によって導くことができる。
【0058】
「T細胞」は、CD3を発現するすべての種類の免疫細胞を含み、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)、細胞毒性T細胞(CD8+細胞)、制御性T細胞(Treg)、及びNK-T細胞を含む。
【0059】
本明細書で使用される用語「共刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞等)上の分子であって、T細胞上の同族共刺激分子と特異的に結合し、それによって、例えば、TCR/CD3複合体をペプチドが詰まったMHC分子に結合することによってもたらされる一次シグナルに加えて、限定されないが、増殖、活性化、分化等が挙げられるT細胞応答を媒介するシグナルを与える、分子を含む。共刺激リガンドとしては、限定されないが、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、Fasリガンド(FasL)、誘導共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体と結合する作動薬または抗体、及びB7-H3と特異的に結合するリガンドを挙げることができる。共刺激リガンドは、とりわけ、T細胞上に存在する共刺激分子、例えば、限定されないが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合する抗体も網羅する。
【0060】
「精製」、「単離」等の用語は、所望の物質、例えば、組み換えタンパク質を所望されない物質、例えば、混入物質を含む溶液から除去すること、または、所望の物質を含む溶液から所望されない物質を除去して基本的に所望の物質のみを残すことを指す。いくつかの場合、精製された物質は他の物質、例えば混入物質を基本的に含まない可能性がある。本明細書で使用される精製とは、多岐にわたる最終純度を指すことがあり、例えば、精製された物質は、溶液中の全物質の80%超を構成し、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.5%超、99.9%超等を含む。当業者には理解されるように、一般に溶液自体の成分、例えば、水もしくは緩衝液、または塩は、物質の純度の決定の際に考慮されない。
【0061】
本明細書で使用される「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」等という用語は、所望の薬理作用及び/または生理作用を得ることを指す。該作用は、疾患もしくその症状を完全に、もしくは部分的に防ぐという観点から予防的である場合、並びに/または疾患及び/もしくは該疾患に起因する悪影響を部分的もしくは完全に治すという観点から治療的である場合がある。本明細書で使用される「治療」は、哺乳類、例えば、ヒトの疾患の任意の治療に及び:(a)疾患にかかりやすい可能性があるがまだ罹患していると診断されていない対象での発病の予防;(b)該疾患の阻止、すなわち、その進行の停止;及び(c)該疾患の緩和、すなわち、該疾患の退行を引き起こすことを含む。
【0062】
本明細書では区別なく用いられる「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、限定されないがネズミ科の動物(例えば、ラット、マウス)、ウサギ目の動物(例えば、ウサギ)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)等を含めて哺乳類を指す。
【0063】
「治療有効量」または「有効量」は、哺乳類もしくは他の対象に対して疾患の治療用に投与される場合、かかる疾患の治療をもたらすのに十分な作用物質の量もしくは2つの作用物質を合わせた量を指す。この「治療有効量」は、作用物質、疾患及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重等によって異なる。
【0064】
本発明をさらに説明する前に、本発明は記載される特定の実施形態に限定されず、それ自体当然のことながら変化しうることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される術語は、具体的な実施形態を説明する目的のみであり、限定することを目的としないこともまた理解されたい。
【0065】
値域が示される場合、各介在値は、その文脈が明らかに他を示さない限り、下限値の10分の1の単位までその範囲の上限と下限の間で、及びその規定範囲における他の規定値または介在値が本発明の範囲内に含まれることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、これらのより小さい範囲に独立して含まれうるとともに、該規定範囲において特に排除される任意の境界次第で、本発明の範囲内にも含まれる。該規定範囲が該境界のうちの一方または両方を含む場合、これらの含まれる境界のうちのどちらかまたは両方を排除する範囲もまた本発明に含まれる。
【0066】
他に規定のない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様もしくは同等の任意の方法及び材料も本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法及び材料をここに記載する。本明細書で言及するすべての出版物は、参照することによって本明細書に組み込まれ、該出版物の引用に関連する該方法及び/または材料を開示並びに記載する。
【0067】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、並びに「その(the)」は、その文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。従って、例えば、「1つの多量体ポリペプチド(a multimeric polypeptide)」への言及は複数のかかるポリペプチドを含み、「免疫調節ポリペプチド(the immunomodulatory polypeptide)」への言及は、1つ以上の免疫調節ポリペプチド及び当業者に周知のその同等物への言及を含む等である。さらに、特許請求の範囲は、任意の随意的な要素を排除するように起草されうるということを記載する。したがって、本文は、請求項の要素の列挙に関連して、「~だけ(solely)」、「のみ(only)」等の排他的な述語の使用のための、または「否定の」限定の使用のための先行詞の役割を果たすことを意図されている。
【0068】
明確にするために別々の実施形態の中に記載される本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態に合わせて示されてもよいことが理解される。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の中に記載される本発明の様々な特徴は、別々に示されても、任意の適切な副結合に示されてもよい。本発明に関連する実施形態のすべての組合せは、まさにありとあらゆる組合せが個別にかつ明確に開示されたものとして、本発明に具体的に包含され、本明細書に開示される。さらに、これらの様々な実施形態及びそれらの要素のすべての副結合もまた、まさにありとあらゆるかかる副結合が個別にかつ明確に本明細書に開示されたものとして、本発明に具体的に包含され、本明細書に開示される。
【0069】
本明細書で論じられる出版物は、本出願の出願日の前にそれらの開示のためだけを提供される。本明細書において、本発明が先行発明に基づくかかる出版物に先行する権利がないと認めることと解釈されるものはない。さらに、規定された公開日は、独立して確認が必要である場合がある実際の公開日と異なる場合がある。
【0070】
発明の詳細な説明
従来の免疫反応を反復する新規なタンパク質ベースの治療プラットフォーム、すなわち、T細胞活性化用の人工免疫学的シナプス(synTac)を本明細書に記載する。共刺激分子をMHC-エピトープに連結して、正確なT細胞の結合と、MOD分子部位に応じてクローン性T細胞活性化または阻害とを可能にする新規な融合タンパク質である。
【0071】
多量体ポリペプチド
本開示は、多量体(例えば、ヘテロ2量体、ヘテロ3量体)ポリペプチドを提供する。本開示は、本開示の多量体ポリペプチドのポリタンパク質前駆体を提供する。本開示は、前駆体遺伝子産物、例えば、本開示の多量体ポリペプチドのポリタンパク質前駆体、及び本開示の多量体ポリペプチドの2つ以上のポリペプチド鎖をコードするmRNA遺伝子産物を提供する。
【0072】
さらに、(i)第一のアミノ酸リンカー配列によって結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列を含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、免疫グロブリンのFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物も提供される。実施形態では、該組み換えポリペプチド構築物は、
を含む。
【0073】
さらに、(i)第一のアミノ酸リンカー配列によって結合された候補エピトープペプチド、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一の配列を含むアミノ酸配列を含み、(i)が、1つまたは2つ以上のジスルフィド結合によって、(ii)T細胞調節ドメインペプチド、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、MHC重鎖の配列を有するアミノ酸配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する、免疫グロブリンのFcドメインと同一のアミノ酸配列に結合されている、組み換えポリペプチド構築物も提供される。実施形態では、該組み換えポリペプチド構築物は、
を含む。
【0074】
さらに、それぞれの免疫グロブリンのFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された本明細書に記載の組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質も提供される。
【0075】
さらに、本それぞれの免疫グロブリンのFcドメイン間の1つ以上のジスルフィド結合によって結合された明細書に記載の組み換えポリペプチド構築物のうちの2つを含むタンパク質も提供される。
【0076】
本発明は、synTacプラットフォーム、すなわち、標的T細胞活性化用の人工免疫学的シナプスを提供する。
【0077】
実施形態において、β2ミクログロブリンは、ヒトβ2ミクログロブリンと同じ配列を有する。実施形態において、組織適合性複合体の重鎖の配列は、ヒトHLA-Aの配列と同じ配列を有する。実施形態において、組織適合性複合体の重鎖の膜透過ドメインは、ヒト主要組織適合複合体I(MHC I)の重鎖の膜透過ドメインと同じ配列を有する。実施形態において、組織適合性複合体の重鎖の膜透過ドメインは、ヒト主要組織適合複合体II(MHC II)の重鎖の膜透過ドメインと同じ配列を有する。
【0078】
さらに、複数の該構築物を含む組成物も提供される。
【0079】
実施形態において、該候補エピトープペプチドは、8、9、10、11、または12アミノ酸のペプチドである。実施形態において、該候補エピトープペプチドは、13、14、15、16、または17アミノ酸のペプチドである。実施形態において、該候補エピトープペプチドは、9量体(9アミノ酸の長さ)である。
【0080】
本開示は、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)のポリペプチド鎖を含む多量体ポリペプチドを提供する。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)任意で免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Ig骨格を含む第二のポリペプチドを含み、該多量体ポリペプチドは、1つ以上の免疫調節ドメインを含み、該1つ以上の免疫調節ドメインは、A)該第一のポリペプチドのC末端に;B)該第二のポリペプチドのN末端に;C)該第二のポリペプチドのC末端に;またはD)該第一のポリペプチドのC末端及び該第二のポリペプチドのN末端に存在する。
【0081】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、第一のポリペプチド及び第二のポリペプチドを含み、該第一のポリペプチドは、アミノ末端(N末端)からカルボキシル末端(C末端)の順にa)エピトープ(例えば、T細胞エピトープ);b)第一の主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチド及びc)免疫調節ポリペプチドを含み;該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)第二のMHCポリペプチド;及びb)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含む。他の例では、本開示の多量体ポリペプチドは、第一のポリペプチド及び第二のポリペプチドを含み、該第一のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ(例えば、T細胞エピトープ);及びb)第一のMHCポリペプチドを含み;該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)免疫調節ポリペプチド;b)第二のMHCポリペプチド;及びc)Ig Fcポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチド及び該第二のMHCポリペプチドは、クラスIのMHCポリペプチドであって;例えば、いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIのβ2ミクログロブリン(B2M)ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖(H鎖)である。他の例では、該第一のMHCポリペプチド及び該第二のMHCポリペプチドは、クラスIIのMHCポリペプチドであって;例えば、いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。別の例では、該第一のポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む。本開示の多量体ポリペプチドが2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む場合、いくつかの場合、該2つ以上の免疫調節ポリペプチドは、同じポリペプチド鎖に存在し、タンデムになってもよい。本開示の多量体ポリペプチドが2つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む場合、いくつかの場合、該2つ以上の免疫調節ポリペプチドは別々のポリペプチドに存在する。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、ヘテロ2量体である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、3量体ポリペプチドである。
【0082】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチド;及びii)免疫調節ドメインを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;及びii)第一のMHCポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)免疫調節ドメイン;及びii)第二のMHCポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、a)N末端からC末端の順にi)エピトープ;ii)第一のMHCポリペプチド;及びiii)免疫調節ドメインを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)第二のMHCポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む。本開示の多量体ポリペプチドが非Ig骨格を含むいくつかの場合、該非Ig骨格は、XTENポリペプチド、トランスフェリンポリペプチド、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド、シルク様ポリペプチド、またはシルクエラスチン様ポリペプチドである。
【0083】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは一価である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは多価である。例えば、本開示の多量体ポリペプチドに存在するFcポリペプチド次第で、該多量体ポリペプチドは、ホモ2量体であることができ、該多量体ポリペプチドの2分子が該ホモ2量体で存在し、該多量体ポリペプチドの該2分子は、例えば、該2分子に存在するFcポリペプチドを介して互いにジスルフィド結合されうる。別の例として、本開示の多量体ポリペプチドは、3、4、または5分子の該多量体ポリペプチドを含むことができ、該多量体ポリペプチドのこれら分子は、例えば、これら分子に存在するFcポリペプチドを介して互いにジスルフィド結合されうる。
【0084】
リンカー
本開示の多量体ポリペプチドは、例えばエピトープとMHCポリペプチドとの間、MHCポリペプチドと免疫調節ポリペプチドとの間、またはMHCポリペプチドとIg Fcポリペプチドとの間に挿入されたリンカーペプチドを含むことができる。
【0085】
適切なリンカー(「スペーサー」とも呼ばれる)は、容易に選択可能であり、いくつかの適切な長さ、例えば、1アミノ酸(例えば、Gly)から20アミノ酸、2アミノ酸から15アミノ酸、3アミノ酸から12アミノ酸、4アミノ酸から10アミノ酸、5アミノ酸から9アミノ酸、6アミノ酸から8アミノ酸、または7アミノ酸から8アミノ酸であってよく、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であってよい。
【0086】
典型的なリンカーとしては、グリシンポリマー(G)
n、グリシン‐セリンポリマー(例えば、nは少なくとも整数1である、(GS)
n、(GSGGS)
n(SEQ ID NO:8)、及び(GGGS)
n(SEQ ID NO:9))、グリシン‐アラニンポリマー、アラニン‐セリンポリマー、及び当技術分野で周知の他の柔軟性リンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン‐セリンポリマーが使用可能であり;GlyとSerはともに比較的組織化されておらず、それ故成分間の中立テザーの役割を果たすことができる。グリシンポリマーが使用可能であり;グリシンは、実にアラニンよりも著しく多くのファイ‐プサイ空間を使用可能にし、より長い側鎖の残基よりはるかに規制が少ない(Scheraga, Rev. Computational Chem. 11173-142(1992)参照)。典型的なリンカーは、限定されないが、
等を含むアミノ酸配列を含みうる。
【0087】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドに存在するリンカーポリペプチドは、本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドに存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基を含む。いくつかの場合、例えば、適切なリンカーは、アミノ酸配列
を含む。
【0088】
エピトープ
本開示の多量体ポリペプチドに存在するエピトープは約4アミノ酸から約25アミノ酸の長さを有することができ、例えば、該エピトープは4アミノ酸(aa)から10aa、10aaから15aa、15aaから20aa、または20aaから25aaの長さを有することができる。例えば、本開示の多量体ポリペプチドに存在するエピトープは、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aaの長さを有することができる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドに存在するエピトープは、5アミノ酸から10アミノ酸、例えば、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、または10aaの長さを有する。
【0089】
本開示の多量体ポリペプチドに存在するエピトープは、T細胞によって特異的に結合される。すなわち、該エピトープは、エピトープ特異的T細胞によって特異的に結合される。エピトープ特異的T細胞は、参照アミノ酸配列を有するエピトープに結合するが、該参照アミノ酸配列と異なるエピトープには実質的に結合しない。例えば、エピトープ特異的T細胞は、参照アミノ酸配列を有するエピトープに結合し、該参照アミノ酸配列と異なるエピトープに結合したとしても、親和性は10-6M未満、10-5M未満、または10-4M未満である。エピトープ特異的T細胞は、親和性が少なくとも10-7M、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、または少なくとも10-10Mで特異的なエピトープに結合できる。
【0090】
エピトープの限定されない例としては、例えば、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス‐1エピトープLLFGYPVYV(SEQ ID NO:17);腫瘍エピトープKYQAVTTTL(SEQ ID NO:18)、及び膵島特異的グルコース‐6‐リン酸触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)エピトープVYLKTNVFL(SEQ ID NO:19)またはTYLKTNLFL(SEQ ID NO:20)が挙げられる。Yang et al.(2006) J.Immunol.176:2781。
【0091】
MHCポリペプチド
上述の通り、本開示の多量体ポリペプチドは、MHCポリペプチドを含む。本開示のために、「主要組織適合複合体(MHC)ポリペプチド」という用語は、ヒトMHC(ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれる)ポリペプチド、げっ歯類(例えば、マウス、ラット等)MHCポリペプチド、及び他の哺乳類種(例えば、ウサギ目、非ヒト霊長類、イヌ科、ネコ科、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ等)等、様々な種のMHCポリペプチドを含むように意図されている。「MHCポリペプチド」という用語は、クラスIのMHCポリペプチド(例えば、β‐2ミクログロブリン及びMHCクラスI重鎖)及びMHCクラスIIポリペプチド(例えば、MHCクラスIIαポリペプチド及びMHCクラスIIβポリペプチド)を含むように意図されている。
【0092】
上述の通り、本開示の多量体ポリペプチドのいくつかの実施形態において、該第一のMHCポリペプチド及び該第二のMHCポリペプチドは、クラスIのMHCポリペプチドであり;例えば、いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIのβ2ミクログロブリン(B2M)ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖(H鎖)である。他の例では、該第一のMHCポリペプチ及び該第二のMHCポリペプチドは、クラスIIのMHCポリペプチドであり;例えば、いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。他の例では、該第一のポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドであり、該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドである。
【0093】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのMHCポリペプチドは、「ヒト白血球抗原」(「HLA」)ポリペプチドとも呼ばれる、ヒトMHCポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのMHCポリペプチドは、クラスIのHLAポリペプチド、例えば、β2ミクログロブリンポリペプチド、またはクラスIのHLAの重鎖ポリペプチドである。クラスIのHLAの重鎖ポリペプチドとしては、HLA-Aの重鎖ポリペプチド、HLA-Bの重鎖ポリペプチド、HLA-Cの重鎖ポリペプチド、HLA-Eの重鎖ポリペプチド、HLA-Fの重鎖ポリペプチド、及びHLA-Gの重鎖ポリペプチドが挙げられる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのMHCポリペプチドは、クラスIIのHLAポリペプチド、例えば、クラスIIのHLAα鎖またはクラスIIのHLAのβ鎖である。MHCクラスIIのポリペプチドとしては、MCHクラスIIのDPα及びβポリペプチド、DMα及びβポリペプチド、DOAα及びβポリペプチド、DOBα及びβポリペプチド、DQα及びβポリペプチド、並びにDRα及びβポリペプチドが挙げられる。
【0094】
例として、本開示の多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、
図25Aに示すヒトHLA-A重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸25~365に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0095】
例として、本開示の多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、以下のヒトHLA-A重鎖のアミノ酸配列:
のアミノ酸25~365に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0096】
別の例として、本開示の多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、
図25Bに示すヒトHLA-B重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸25~362に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0097】
別の例として、本開示の多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、
図25Cに示すヒトHLA-C重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸25~362に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0098】
別の例として、本開示の多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。
【0099】
本開示の多量体ポリペプチドのβ2ミクログロブリン(B2M)ポリペプチドは、ヒトB2Mポリペプチド、非ヒト霊長類B2Mポリペプチド、マウスB2Mポリペプチド等でありうる。いくつかの場合、B2Mポリペプチドは、
図20に示すB2Mのアミノ酸配列に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0100】
いくつかの場合、MHCポリペプチドは、参照MHCポリペプチド(参照MHCポリペプチドは野生型MHCポリペプチドでありうる)に対して単一のアミノ酸置換を含み、該単一のアミノ酸置換は、システイン(Cys)残基でアミノ酸を置換する。かかるシステイン残基は、本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドのMHCポリペプチドに存在する場合、本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチド鎖に存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成することができる。
【0101】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドの第一のMHCポリペプチド及び/または本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドの第二のMHCポリペプチドは、システインでアミノ酸を置換するアミノ酸置換を含み、該第一のMHCポリペプチド内の該置換システインは、該第二のMHCポリペプチド内のシステインとジスルフィド結合を形成するか、該第一のMHCポリペプチド内のシステインは該第二のMHCポリペプチド内の該置換システインとジスルフィド結合を形成するか、または、該第一のMHCポリペプチド内の該置換システインは、該第二のMHCポリペプチド内の該置換システインとジスルフィド結合を形成する。
【0102】
例えば、いくつかの場合、HLAのβ2ミクログロブリン及びHLAクラスI重鎖の以下の残基の対のうちの1つがシステインで置換される:1)B2M残基12、HLAクラスI重鎖残基236;2)B2M残基12、HLAクラスI重鎖残基237;3)B2M残基8、HLAクラスI重鎖残基234;4)B2M残基10、HLAクラスI重鎖残基235;5)B2M残基24、HLAクラスI重鎖残基236;6)B2M残基28、HLAクラスI重鎖残基232;7)B2M残基98、HLAクラスI重鎖残基192;8)B2M残基99、HLAクラスI重鎖残基234;9)B2M残基3、HLAクラスI重鎖残基120;10)B2M残基31、HLAクラスI重鎖残基96;11)B2M残基53、HLAクラスI重鎖残基35;12)B2M残基60、HLAクラスI重鎖残基96;13)B2M残基60、HLAクラスI重鎖残基122;14)B2M残基63、HLAクラスI重鎖残基27;15)B2M残基Arg3、HLAクラスI重鎖残基Gly120;16)B2M残基His31、HLAクラスI重鎖残基Gln96;17)B2M残基Asp53、HLAクラスI重鎖残基Arg35;18)B2M残基Trp60、HLAクラスI重鎖残基Gln96;19)B2M残基Trp60、HLAクラスI重鎖残基Asp122;20)B2M残基Tyr63、HLAクラスI重鎖残基Tyr27;21)B2M残基Lys6、HLAクラスI重鎖残基Glu232;22)B2M残基Gln8、HLAクラスI重鎖残基Arg234;23)B2M残基Tyr10、HLAクラスI重鎖残基Pro235;24)B2M残基Ser11、HLAクラスI重鎖残基Gln242;25)B2M残基Asn24、HLAクラスI重鎖残基Ala236;26)B2M残基Ser28、HLAクラスI重鎖残基Glu232;27)B2M残基Asp98、HLAクラスI重鎖残基His192;及び28)B2M残基Met99、HLAクラスI重鎖残基Arg234。該MHC/HLAクラスI重鎖の該アミノ酸番号は、シグナルペプチドを除いた成熟MHC/HLAクラスI重鎖に準拠している。例えば、シグナルペプチドを含む、
図25Aに示すアミノ酸配列において、Gly120はGly144であり;Gln96はGln120である等。
【0103】
免疫調節ポリペプチド
本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、活性化免疫調節ポリペプチドまたは阻害性免疫調節ポリペプチドでありうる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、単一の免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、2つの免疫調節ポリペプチドを含む。いくつかの場合、該2つの免疫調節ポリペプチドは、ポリペプチド鎖内でタンデムになっている。いくつかの場合、該2つの免疫調節ポリペプチドは、別々のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの場合、該2つの免疫調節ポリペプチドは、別々のポリペプチド鎖中に存在して互いにジスルフィド結合されている。
【0104】
本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、いくつかの例ではT細胞調節ポリペプチドである。いくつかの場合、該T細胞調節ポリペプチドは、刺激性(活性化)T細胞調節ポリペプチドである。いくつかの場合、該T細胞調節ポリペプチドは、阻害性T細胞調節ポリペプチドである。T細胞調節ポリペプチドは、抗体、ペプチドリガンド、T細胞共刺激ポリペプチド、サイトカイン、または毒素でありうる。
【0105】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、エピトープ特異的T細胞の表面で発現する共刺激ポリペプチドと特異的に結合する抗体系または非抗体系認識部分である。抗体系認識部分としては、例えば、抗体;限定されないが、Fab、Fv、一本鎖Fv(scFv)、及びFdフラグメントが挙げられる抗原に対する特異的結合を保つ抗体のフラグメント;キメラ抗体;ヒト化抗体;一本鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(dAb);単一ドメイン重鎖抗体;単一ドメイン軽鎖抗体等が挙げられる。適切な非抗体系認識部分としては、例えばアフィボディ(affibody);遺伝子操作されたKunitzドメイン;モノボディ(アドネクチン(adnectin));アンチカリン(anticalin);アプタマー;設計されたアンキリンリピートドメイン(DARPin);システインリッチポリペプチドの結合部位(例えば、システインリッチknottinペプチド);アビマー(avimer);アフリン(afflin)等が挙げられる。抗体系または非抗体系認識部分は、エピトープ特異的T細胞の表面で発現する共刺激ポリペプチドと特異的に結合し、かかる共刺激ポリペプチドとしては、限定されないが、CTLA4、PD1、ICOS、OX40、CD20、及び4-1BBが挙げられる。エピトープ特異的T細胞の表面で発現する共刺激ポリペプチドは、当技術分野で周知である。
【0106】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、T細胞共刺激ポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、T細胞共刺激ポリペプチドでありかつ腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーの一員であり;例えば、FasLポリペプチド、41BBLポリペプチド、CD40ポリペプチド、OX40Lポリペプチド、CD30Lポリペプチド、CD70ポリペプチド等である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの免疫調節ポリペプチドは、T細胞共刺激ポリペプチドでありかつ免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの一員であり;例えば、CD7ポリペプチド、CD86ポリペプチド、ICAMポリペプチド等である。
【0107】
本開示の多量体ポリペプチドの適切な免疫調節ポリペプチドとしては、限定されないが、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、4-1BBL、OX40L、ICOS-L、ICAM、PD-L1、FasL、及びPD-L2が挙げられる。本開示の多量体ポリペプチドの適切な免疫調節ポリペプチドとしては、例えば、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、及びHVEMが挙げられる。
【0108】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、PD-L1ポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのPD-L1ポリペプチドは、
図26Aまたは26Bに示すPD-L1のアミノ酸配列のアミノ酸19~290に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0109】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、4-1BBLポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの4-1BBLポリペプチドは、
図27に示す4-1BBLのアミノ酸配列のアミノ酸50~254に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0110】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、ICOS-Lポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのICOS-Lポリペプチドは、
図28に示すICOS-Lのアミノ酸配列のアミノ酸19~302に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0111】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、OX40Lポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのOX40Lポリペプチドは、
図29に示すOX40Lのアミノ酸配列のアミノ酸1~183に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0112】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、PD-L2ポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのPD-L2ポリペプチドは、
図30に示すPD-L2のアミノ酸配列のアミノ酸20~273に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0113】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、CD80(B7-1)ポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのCD80ポリペプチドは、
図31に示すCD80のアミノ酸配列のアミノ酸35~288に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0114】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、CD86ポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのCD86ポリペプチドは、
図32に示すCD86のアミノ酸配列のアミノ酸31~329に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0115】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのT細胞調節ポリペプチドは、FasLポリペプチドである。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのFasLポリペプチドは、
図33に示すFasLのアミノ酸配列のアミノ酸1~281に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0116】
本発明で用いられうるさらなるT細胞調節ドメイン(MOD)としては、天然由来または合成ヒト遺伝子産物(タンパク質)、限定されないが、古典的及び非古典的(例えば、FGF2、IL1、S100A4)分泌機構に起因するすべての分泌タンパク質を含むヒト遺伝子産物を標的とする親和性試薬(例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fv、アプタマー、ナノボディ)、並びに天然由来の遺伝的にコードされたタンパク質セグメント(単一膜もしくは多重膜のスパン)またはGPI連結等の翻訳後修飾によって固定されたすべての細胞表面タンパク質の外部ドメインが挙げられる。細胞表面グリカンもしくは他の翻訳後修飾(例えば、硫酸化)を標的とする任意の天然由来または合成親和性試薬(例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fv、アプタマー、ナノボディ、レクチン等)である。例としては、限定されないが、TNF/TNFRファミリー員(OX40L、ICOSL、FASL、LTA、LTB、TRAIL、CD153、TNFSF9、RANKL、TWEAK、TNFSF13、TNFSF13b、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF18、CD40LG、CD70)または該TNF/TNFRファミリー員指向の親和性試薬;該免疫グロブリンスーパーファミリー員(VISTA、PD1、PD-L1、PD-L2、B71、B72、CTLA4、CD28、TIM3、CD4、CD8、CD19、T細胞受容体鎖、ICOS、ICOSリガンド、HHLA2、ブチロフィリン、BTLA、B7-H3、B7-H4、CD3、CD79a、CD79b、IgSF CAMS(CD2、CD58、CD48、CD150、CD229、CD244、ICAM-1を含む)、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR))、レクチンスーパーファミリー員、セレクチン、サイトカイン/ケモカイン及びサイトカイン/ケモカイン受容体、成長因子及び成長因子受容体)、接着分子(インテグリン、フィブロネクチン、カドヘリン)、もしくは多スパンの内在性膜タンパク質の外部ドメイン、または該免疫グロブリンスーパーファミリー及び記載された遺伝子産物指向の親和性試薬が挙げられる。さらに、限定されないが、ウイルス配列(例えば、CMV、EBV)、細菌配列、真菌配列、真核病原体(例えば、Schistosoma、Plasmodium、Babesia、Eimeria、Theileria、Toxoplasma、Entamoeba、Leishmania、及びTrypanosoma)、並びに哺乳類由来コード領域を含むこれら遺伝子産物の活性ホモログ/オルソログである。さらに、MODは、ヒト遺伝子産物を標的とする小分子薬物を含んでもよい。
【0117】
Fcポリペプチド
本開示の多量体ポリペプチドは、Fcポリペプチドまたは別の適切な骨格ポリペプチドを含む。
【0118】
適切な骨格ポリペプチドとしては、抗体系骨格ポリペプチド及び非抗体系骨格が挙げられる。非抗体系骨格としては、例えば、アルブミン、XTEN(延長組み換え)ポリペプチド、トランスフェリン、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(例えば、Hassouneh et al.(2012)Methods Enzymol.502:215参照;例えば、Xがプロリン以外のアミノ酸である、(Val-Pro-Gly-X-Gly)の5ペプチドの繰り返し単位を含むポリペプチド)、アルブミン結合ポリペプチド、シルク様ポリペプチド(例えば、Valluzzi et al.(2002)Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.357:165参照)、シルクエラスチン様ポリペプチド(SELP;例えば、Megeed et al.(2002) Adv Drug Deliv Rev.54:1075参照)等が挙げられる。適切なXTENポリペプチドとしては、例えば、WO2009/023270、WO2010/091122、WO2007/103515、US2010/0189682、及びUS2009/0092582に開示のものが挙げられ;Schellenberger et al.(2009)Nat Biotechnol.27:1186も参照されたい。適切なアルブミンポリペプチドとしては、例えばヒト血清アルブミンが挙げられる。
【0119】
適切な骨格ポリペプチドは、いくつかの場合、半減期延長ポリペプチドであろう。ゆえに、いくつかの場合、適切な骨格ポリペプチドは、該骨格ポリペプチドを欠く対照多量体ポリペプチドと比較して、該多量体ポリペプチドのインビボ半減期(例えば、血清半減期)を延ばす。例えば、いくつかの場合、骨格ポリペプチドは、該骨格ポリペプチドを欠く対照多量体ポリペプチドと比較して、該多量体ポリペプチドのインビボ半減期(例えば、血清半減期)を、少なくとも約10%,少なくとも約15%,少なくとも約20%,少なくとも約25%,少なくとも約50%,少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、または100倍超延ばす。例えば、いくつかの場合、Fcポリペプチドは、該Fcポリペプチドを欠く対照多量体ポリペプチドと比較して、該多量体ポリペプチドのインビボ半減期(例えば、血清半減期)を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、,少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、または100倍超延ばす。
【0120】
本開示の多量体ポリペプチドのFcポリペプチドは、ヒトIgG1のFc、ヒトIgG2のFc、ヒトIgG3のFc、ヒトIgG4のFc等でありうる。いくつかの場合、該Fcポリペプチドは、
図24A~Cに示すFc領域のアミノ酸配列に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該Fc領域は、
図24Aに示すヒトIgG1Fcポリペプチドに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該Fcポリペプチドは、
図24Aに示すヒトIgG2 Fcポリペプチドに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;例えば、該Fcポリペプチドは、
図24Aに示すヒトIgG2 Fcポリペプチドのアミノ酸99~325に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該Fcポリペプチドは、
図24Aに示すヒトIgG3 Fcポリペプチドに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;例えば、該Fcポリペプチドは、
図24Aに示すヒトIgG3 Fcポリペプチドのアミノ酸19~246に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該Fcポリペプチドは、
図24Bに示すヒトIgM Fcポリペプチドに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;例えば、該Fcポリペプチドは、
図24Bに示すヒトIgM Fcポリペプチドのアミノ酸1~276に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該Fcポリペプチドは、
図24Cに示すヒトIgA Fcポリペプチドに対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;例えば、該Fcポリペプチドは、
図24Cに示すヒトIgA Fcポリペプチドのアミノ酸1~234に対する少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0121】
追加ポリペプチド
本開示の多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖は、上述したものに加えて1つ以上のポリペプチドを含むことができる。適切な追加ポリペプチドとしては、エピトープタグ及び親和性ドメインが挙げられる。該1つ以上の追加ポリペプチドは、本開示の多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖のN末端に、本開示の多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖のC末端に、または、本開示の多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖の内部に含まれうる。
【0122】
エピトープタグ
適切なエピトープタグとしては、限定されないが、ヘマグルチニン(HA;例えば、YPYDVPDYA(SEQ ID NO:23);FLAG(例えば、DYKDDDDK(SEQ ID NO:24);c-myc(例えば、EQKLISEEDL;SEQ ID NO:25)等が挙げられる。
【0123】
親和性ドメイン
親和性ドメインとしては、例えば、同定または精製に有用な、固体の担体に固定化されたもの等の、結合パートナーと相互作用できるペプチド配列が挙げられる。複数の連続するヒスチジン等の単一のアミノ酸をコードするDNA配列は、発現たんぱく質への融合時、ニッケルセファロース等の樹脂カラムへの高親和性結合による該組み換えタンパク質の一段階精製に用いられうる。典型的な親和性ドメインとしては、His5(HHHHH)(SEQ ID NO:26)、HisX6(HHHHHH)(SEQ ID NO:27)、C-myc(EQKLISEEDL)(SEQ ID NO:25)、Flag(DYKDDDDK)(SEQ ID NO:24)、StrepTag(WSHPQFEK)(SEQ ID NO:28)、ヘマグルチニン、例えば、HA Tag(YPYDVPDYA)(SEQ ID NO:23)、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、RYIRS(SEQ ID NO:30)、Phe-His-His-Thr(SEQ ID NO:31)、キチン結合ドメイン、S‐ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C末端RNAタグ、
、金属結合ドメイン、例えば、亜鉛結合ドメインまたはカルシウム結合ドメイン、例えば、カルシウム結合タンパク質、例えば、カルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S-モジュリン、ビジニン、VILIP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フリクエニン、カルトラクチン、カルパインラージサブユニット、S100タンパク質、パルブアルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、及びカルレチニン由来のもの、インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、Id、ロイシンジッパー配列、及びマルトース結合タンパク質が挙げられる。
【0124】
修飾
本開示の多量体ポリペプチドは、該多量体ポリペプチドに共有結合的に連結した1つ以上の非ポリペプチド部分を含むことができる。適切な非ポリペプチド部分としては、例えば、生体適合性脂肪酸及びそれらの誘導体;ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES);ポリエチレングリコール、;ヒアルロン酸(HA);ヘパロサンポリマー(HEP);ホスホリルコリン系ポリマー;デキストラン;ポリシアル酸(PSA)等が挙げられる。いくつかの場合、該非ポリペプチド部分は、該非ポリペプチド部分を含まない対照多量体ポリペプチドと比較して、該多量体ポリペプチドのインビボ半減期を延ばす。
【0125】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、検出可能な標識を具備する。適切な検出可能な標識としては、放射性同位体、例えば、1231I(ヨウ素)、18F(フッ素)、99Tc(テクネチウム)、111In(インジウム)、67Ga(ガリウム)、放射性Gd同位体(153Gd);造影剤、例えばガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム、及び鉄;検出可能な産物を生成する酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等);蛍光タンパク質;発色タンパク質、染料(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン等);蛍光発光金属、例えば、152Eu、またはランタン系列のその他;化学発光化合物、例えば、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム塩等;生物発光化合物等が挙げられる。
【0126】
活性
本開示の多量体ポリペプチドに存在する免疫調節(「MOD」)ポリペプチドの特質に応じて、該多量体ポリペプチドは標的T細胞を活性化または阻害できる。本開示の多量体ポリペプチドは、該多量体ポリペプチドに存在するエピトープ特異的な標的T細胞を選択的に活性化または阻害する。「標的T細胞」としては、エピトープ特異的CD4+T細胞、エピトープ特異的CD8+T細胞が挙げられる。いくつかの場合、該標的CD4+T細胞はヘルパーT細胞(例えば、Th1、Th2、またはTh17細胞)である。いくつかの場合、該標的CD4+T細胞はCD4+/CD25+/FoxP3+制御性T(Treg)細胞である。いくつかの場合、該標的T細胞は、CD8+T細胞であり、細胞毒性T細胞である。いくつかの場合、該標的T細胞は、CD4+T細胞またはCD8+T細胞であることができ一般にCD45RO+である、メモリーT細胞である。いくつかの場合、該標的T細胞はNK-T細胞である。
【0127】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、T細胞のホーミング及びトラフィッキングを高める。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、治療部位への該標的T細胞の溢出を高める。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、治療部位への該標的T細胞の溢出を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的T細胞の溢出レベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高める。溢出の増大で、治療部位でのT細胞数を増加させることができる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、治療部位でのT細胞数を増加させる。
【0128】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞によるリンパ球のトラフィッキングを媒介または制御する、1つ以上のタンパク質の該標的T細胞による発現を高める。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、該標的T細胞における1つ以上の接着分子及び/またはケモカイン受容体分子のレベルを増加させる。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、該標的T細胞による1つ以上の接着分子及び/またはケモカイン受容体分子の発現を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的T細胞によって産生される該接着分子及び/またはケモカイン受容体分子のレベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高める。接着分子の例としては、CD8T細胞によって産生される接着分子が挙げられ、かかる接着分子の例としては、限定されないが、CD44、LFA-1、及びVLA-4が挙げられる。ケモカイン受容体の例としては、CD8T細胞によって産生されるケモカイン受容体が挙げられ、かかるケモカイン受容体の例としては、限定されないが、CCR5、CCR7、及びCXCR3が挙げられる。
【0129】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、以前に認識したエピトープに対する迅速な細胞障害反応が可能なメモリーT細胞を生成する。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、0.5%以上の抗原特異的T細胞プールを含むメモリーT細胞を生成する。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、10%以上、15%以上、または20%以上の抗原特異的T細胞プールを含むメモリーT細胞を生成する。Tメモリー細胞の細胞表面マーカーの一例はCD45ROである。
【0130】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞の増殖を高める。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、該標的T細胞の増殖を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的T細胞の増殖と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高める。
【0131】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的細胞に対するT細胞の細胞毒性を高める。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、標的細胞に対する該T細胞の細胞毒性を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的細胞に対する該T細胞の細胞毒性と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高める。T細胞の標的としては、ウイルス感染細胞、がん細胞等が挙げられる。
【0132】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞によるサイトカイン産生を高める。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、該T細胞によるサイトカイン産生を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的T細胞によって産生されるサイトカインレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高める。サイトカインの例としては、Th1細胞によって産生されるサイトカイン、例えば、IL-2、IFN-γ、及びTNF-α;Th17細胞によって産生されるサイトカイン、例えば、IL-17、IL-21、及びIL-22;Treg細胞によって産生されるサイトカイン、例えば、TGF-β、IL-35、及びIL-10が挙げられる。
【0133】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞によるサイトカイン産生を阻害する。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドは、標的T細胞との接触時、標的T細胞によるサイトカイン産生を、該多量体ポリペプチドと接触されない該標的T細胞によって産生されるサイトカインレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、または90%超阻害する。サイトカインの例としては、Th2細胞によって産生されるサイトカイン、例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、及びIL-13が挙げられる。
【0134】
典型的な実施形態
本開示の多量体ポリペプチドの限定されない例としては以下が挙げられる。
【0135】
1)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)4-BBLポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)IgFcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0136】
2)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)PD-L1ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0137】
3)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)ICOS-Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0138】
4)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)OX40Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。一部の例で は、該Ig のFcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0139】
5)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)CD80ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0140】
6)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)CD86ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0141】
7)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)PD-L2ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドである。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0142】
8)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)4-BBLポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0143】
9)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)PD-L1ポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0144】
10)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)ICOS-Lポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0145】
11)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)OX40Lポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0146】
12)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)CD80ポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0147】
13)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)CD86ポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0148】
14)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)PD-L2ポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0149】
15)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;及びii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)i)FasLポリペプチド;ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0150】
16)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つの4-BBLポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0151】
17)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのPD-L1ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0152】
18)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのICOS-Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0153】
19)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのOX40Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0154】
20)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのCD80ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0155】
21)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのCD86ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスIIのポリペプチドが該MHCクラスIのポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0156】
22)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのPD-L2ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 のFcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0157】
23)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)タンデムになっている2つのFasLポリペプチドを含む第一のポリペプチド;並びにb)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドである。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0158】
24)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一の4-1BBLポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二の4-1BBLポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一の4-1BBLポリペプチド及び該第二の4-1BBLポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0159】
25)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のPD-L1ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のPD-L1ポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のPD-L1ポリペプチド及び該第二のPD-L1ポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0160】
26)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のICOS-Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のICOS-Lポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のICOS-Lポリペプチド及び該第二のICOS-Lポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0161】
27)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のOX40Lポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のOX40Lポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のOX40Lポリペプチド及び該第二のOX40Lポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0162】
28)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のCD80ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のCD80ポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のCD80ポリペプチド及び該第二のCD80ポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0163】
29)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のCD86ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のCD86ポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のCD86ポリペプチド及び該第二のCD86ポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0164】
30)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)CD80ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)CD86ポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該CD80ポリペプチド及び該CD86ポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0165】
31)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のPD-L2ポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のPD-L2ポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチド。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のPD-L2ポリペプチド及び該第二のPD-L2ポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0166】
かつ、32)a)N末端からC末端の順にi)T細胞エピトープ;ii)MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド;及びiii)第一のFasLポリペプチドを含む第一のポリペプチド;b)N末端からC末端の順にi)MHCクラスI重鎖ポリペプチド;及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第二のポリペプチド;並びにc)第二のFasLポリペプチドを含む第三のポリペプチドを含む多量体ポリペプチドである。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは互いにジスルフィド結合され;該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチドは、該エピトープと該β2ミクログロブリンポリペプチドの間にリンカーポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該リンカーポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチドに存在するシステイン残基と該MHCクラスI重鎖ポリペプチドに存在するシステイン残基を介して互いにジスルフィド結合され;これら実施形態のいくつかでは、該MHCクラスIβ2ミクログロブリンポリペプチド及び/または該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、該ジスルフィド結合に関与するシステインを提供するためのアミノ酸置換を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第三のポリペプチドは、該第一のFasLポリペプチド及び該第二のFasLポリペプチドに存在する(またはその中に置換される)システイン残基を介して互いにジスルフィド結合される。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG1 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG2 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgG3 Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、IgA FcポリペプチドまたはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、MHCクラスII ポリペプチドが該MHCクラスI ポリペプチドの代わりに用いられる。いくつかの場合、該多量体ポリペプチドは、エピトープタグ及び/または親和性ドメインを該FcポリペプチドのC末端に含む。
【0167】
ポリタンパク質前駆体
本発明は、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接する、MHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドを提供する。
【0168】
実施形態において、該第一のアミノ酸は、50アミノ酸以下から最低5アミノ酸までの任意のアミノ酸配列でよい。実施形態において、該第二のアミノ酸リンカーは、70アミノ酸以下から最低5アミノ酸までの任意のアミノ酸配列でよい。実施形態において、該第三のアミノ酸リンカーは、ウイルス2Aペプチド、または既知のプロテアーゼ開裂能のペプチド(例えば、限定されない実施形態において、フューリン開裂部位、タバコエッチ病ウイルス[TEV]配列、Precissionプロテアーゼ部位、またはトロンビンプロテアーゼ)でよい。実施形態において、該第一のアミノ酸は、
を含む。実施形態において、該第二のアミノ酸リンカーは、
を含む。実施形態において、該第三のアミノ酸リンカーは、
を含む。
【0169】
本発明はまた、第一のB2Mリーダー配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する候補エピトープペプチド、これに隣接する第一のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する、ヒト天然B2Mペプチド配列と同一のアミノ酸配列、これに隣接する第二のアミノ酸リンカー配列、これに隣接する第二のB2Mリーダー配列、これに隣接するT細胞調節ドメインペプチド配列、これに隣接する第三のアミノ酸リンカー、これに隣接する、MHC重鎖と同一のアミノ酸配列、これに隣接する、免疫グロブリンFcドメインと同一のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチドも提供する。
【0170】
リンカー
実施形態において、該第一のアミノ酸は、50アミノ酸以下から最低5アミノ酸までの任意のアミノ酸配列でよい。実施形態において、該第二のアミノ酸リンカーは、70アミノ酸以下から最低5アミノ酸までの任意のアミノ酸配列でよい。実施形態において、該第三のアミノ酸リンカーは、ウイルス2Aペプチド、または既知のプロテアーゼ開裂能のペプチド(例えば、限定されない実施形態において、フューリン開裂部位、タバコエッチ病ウイルス[TEV]配列、Precissionプロテアーゼ部位、またはトロンビンプロテアーゼ)でよい。実施形態において、該第一のアミノ酸は、
を含む。実施形態において、該第二のアミノ酸リンカーは、
を含む。実施形態において、該第三のアミノ酸リンカーは、
を含む。
【0171】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該第三のアミノ酸リンカーは、自己開裂性である。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該第二のアミノ酸リンカーは、自己開裂性である。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該自己開裂性ペプチドはウイルス2Aペプチドであるか、またはその配列を有する。実施形態において、該ウイルス2Aペプチドは、ブタテッショウウイルス‐1(P2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)、ゾーシア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)もしくはウイルスのブタテッショウウイルス‐1(P2A)ペプチドであるか、または、これらのうちの1つの配列を有する。その代わりとして、これは、該2A配列を完全に除去する2つの別個のプラスミド(またはウイルス)として与えられてもよい。
【0172】
タンパク質分解的に開裂可能なリンカーは、アラニンカルボキシペプチダーゼ、ナラタケアスタシン、細菌性ロイシルアミノペプチダーゼ、がん凝血原、カテプシンB、クロストリパイン、細胞質アラニルアミノペプチダーゼ、エラスターゼ、エンドプロテアーゼArg-C、エンテロキナーゼ、ガストリクシン、ゼラチナーゼ、Gly-Xカルボキシペプチダーゼ、グリシルエンドペプチダーゼ、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、ヒポデルミンC、IgA特異的セリンエンドペプチダーゼ、ロイシルアミノペプチダーゼ、ロイシルエンドペプチダーゼ、lysC、リソソームpro-Xカルボキシペプチダーゼ、リシルアミノペプチダーゼ、メチオニルアミノペプチダーゼ、粘液細菌、ナーディライシン、膵内エンドペプチダーゼE、ピコルナイン2A、ピコルナイン3C、プロエンドペプチダーゼ、プロリルアミノペプチダーゼ、プロタンパク質コンバーターゼI、プロタンパク質コンバーターゼII、ルスセリリシン、サッカロペプシン、セメノゲラーゼ、Tプラスミノーゲン活性化因子、トロンビン、組織カリクレイン、タバコエッチウイルス(TEV)、トガビリン、トリプトファニルアミノペプチダーゼ、Uプラスミノーゲン活性化因子、V8、ベノンビンA、ベノンビンAB、及びXaa-proアミノペプチダーゼからなる群から選択されるプロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ認識配列を含みうる。いくつかの場合、該タンパク質分解的に開裂可能なリンカーは、宿主の酵素、例えば、宿主細胞によって天然に産生される酵素によって認識されるプロテアーゼ認識配列を含むことができる。
【0173】
例えば、該タンパク質分解的に開裂可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼ開裂部位、例えば、コラゲナーゼ-1、-2、及び-3(MMP-1、-8、及び-13)、ゼラチナーゼA及びB(MMP-2及び-9)、ストロメライシン1、2、及び3(MMP-3、-10、及び-11)、マトリライシン(MMP-7)、及び膜メタロプロテイナーゼ(MT1-MMP及びMT2-MMP)から選択されるMMPの開裂部位を含みうる。例えば、MMP-9の該開裂配列は、Pro-X-X-Hy(Xは任意の残基を表す;Hyは疎水性残基)、例えばPro-X-X-Hy-(Ser/Thr)、例えば、Pro-Leu/Gln-Gly-Met-Thr-Ser(SEQ ID NO:33)またはPro-Leu/Gln-Gly-Met-Thr(SEQ ID NO:21)である。プロテアーゼ開裂部位の別の例は、プラスミノーゲン活性化因子の開裂部位、例えば、uPAまたは組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)開裂部位である。uPA及びtPAの開裂配列の具体例としては、Val-Gly-Argを含む配列が挙げられる。タンパク質分解的に開裂可能なリンカーに含まれうるプロテアーゼ開裂部位の別の例は、タバコエッチウイルス(TEV)のプロテアーゼ開裂部位、例えば、ENLYTQS(SEQ ID NO:34)であり、該プロテアーゼは該グルタミンと該セリンの間を開裂する。タンパク質分解的に開裂可能なリンカーに含まれうるプロテアーゼ開裂部位の別の例は、エンテロキナーゼの開裂部位、例えば、DDDDK(SEQ ID NO:35)であり、開裂は該リジン残基の後で生じる。タンパク質分解的に開裂可能なリンカーに含まれうるプロテアーゼ開裂部位の別の例は、トロンビンの開裂部位、例えば、LVPR(SEQ ID NO:36)である。タンパク質分解的に開裂可能なリンカーに含まれうるプロテアーゼ開裂部位の別の例は、フューリンの開裂部位、例えば、Arg-X-(Arg/Lys)-Argであり、Xは任意のアミノ酸である。プロテアーゼ開裂部位を含むさらなる適切なリンカーとしては、1つ以上の、以下のアミノ酸配列を含むリンカーが挙げられる:PreScissionプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを含む融合タンパク質;Walker et al. (1994) Biotechnol. 12:601)によって開裂されるLEVLFQGP(SEQ ID NO:37);トロンビンの開裂部位、例えば、

;カテプシンBによって開裂される
;エプスタイン‐バーウイルスプロテアーゼによって開裂される
;MMP-3(ストロメライシン)によって開裂される
;MMP-7(マトリライシン)によって開裂される
;MMP-9によって開裂される
;サーモライシン様MMPによって開裂される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP-2)によって開裂される
;カテプシンLによって開裂される
;カテプシンDによって開裂される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP-1)によって開裂される
;ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子によって開裂される
;膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MT-MMP)によって開裂される
;ストロメライシン3(またはMMP-11)、サーモライシン、フィブロブラストコラゲナーゼ、及びストロメライシン-1によって開裂される
;マトリックスメタロプロテイナーゼ13(コラゲナーゼ-3)によって開裂される
;組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)によって開裂される
;ヒト前立腺特異的抗原によって開裂される
;カリクレイン(hK3)によって開裂される
;好中球エラスターゼによって開裂される
;並びにカルパイン(カルシウム活性化中性プロテアーゼ)によって開裂される
。適切なタンパク質分解的に開裂可能なリンカーのさらなる例として挙げられるのは、
である。適切なタンパク質分解的に開裂可能なリンカーのさらなる例として挙げられるのは、
である。
【0174】
適切なリンカーの例としては2Aリンカー(例えばT2A)、2A様リンカーまたは
その機能的等価物、及びこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、該リンカーは、ピコルナウイルス2A様リンカー、ブタテッショウウイルス(P2A)のCHYSEL配列、ゾーシア・アシグナウイルス(T2A)、並びにこれらの組合せ、変異体、及び機能的等価物を含む。他の実施形態では、該リンカー配列は、Asp-Val/Ile-Glu-X-Asn-Pro-Gly
2A-Pro
2Bモチーフを含んでよく、これは該2Aグリシン及び該2Bプロリンの間で開裂する。本開示の意図に関して、
は、「タンパク質分解開裂部位」または「リボソームスキッピングシグナル」(CHYSEL)のどちらかと見なすことができる。例えば、Kim et al. (2011) PLoS ONE 6:e18556参照。該コードポリペプチドが2つのポリペプチド鎖として生成される機序は、該リンカーの自己開裂、リボソームスキッピング、または翻訳のシャントによる可能性がある。機序にかかわらず、本開示の多量体ポリペプチドの該少なくとも2つのポリペプチド鎖は、P2A、T2A、E2A、またはF2A配列を用いて作製されうる。適切なリンカーとしては、
等のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:64~67に規定したアミノ酸配列に対して1~5つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO:64~67に規定したアミノ酸配列に対して1~5つの保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列)を含むポリペプチドが挙げられる。適切なリンカーとしては、
等のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:64~67に規定したアミノ酸配列に対して1~10つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO:64~67に規定したアミノ酸配列に対して1~10つの保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列)を含むポリペプチドが挙げられる。
【0175】
エピトープ
組み換えポリペプチドの実施形態において、該候補エピトープは7~20アミノ酸を含む。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該エピトープポリペプチドは、MHCクラスIについては5~20アミノ酸である。実施形態において、該エピトープペプチドは、MHCクラスIにいては8~11アミノ酸である。実施形態において、該エピトープペプチドは、MHCクラスIIについては5~40アミノ酸である。実施形態において、該エピトープペプチドは、MHCクラスIIについては13~17アミノ酸である。実施形態において、該エピトープペプチドは、任意の天然由来もしくは変異ヒト配列、または任意の病原体由来配列である。
【0176】
MHCポリペプチド
組み換えポリペプチドの実施形態において、該第一のB2Mリーダー配列及び/または第二のB2Mリーダー配列は、ヒトB2Mリーダー配列の配列を有する。
【0177】
いくつかの場合、リーダーペプチドは、以下のヒトB2Mリーダー配列:
に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0178】
いくつかの場合、本明細書に記載のB2Mリーダー配列は、限定されないが、ヒトB2Mリーダー配列、霊長類B2Mリーダー配列、げっ歯類B2Mリーダー配列等が挙げられる哺乳類のB2Mリーダー配列でありうる。いくつかの場合、本明細書に記載のB2Mリーダー配列は、
図20に示すB2Mリーダー配列のうちの1つとの少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0179】
【0180】
いくつかの場合、B2Mポリペプチドは、
図20に示すB2Mアミノ酸配列に対する少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0181】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該MHC重鎖は、ヒトMHC重鎖である。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該MHC重鎖は、MHC I分子である。典型的なMHC I重鎖としては、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、HLA-G、HLA-K、及びHLA-Lのα鎖が挙げられる。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該MHC重鎖は、HLA-A02:01である。実施形態において、該HLAはHLA-A02である。実施形態において、該HLA-A02は配列:
を含む。
【0182】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該MHC重鎖は、MHC II分子である。典型的なMHC II重鎖としては、HLA-Dのものが挙げられる。
【0183】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該組み換えポリペプチドはさらに、そのヒト天然B2Mペプチド配列及びその重鎖配列との間のジスルフィド結合を生じさせるように該B2Mペプチド配列中及び該重鎖配列中に変異を含む。
【0184】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該組み換えポリペプチドの該重鎖配列は、HLAであり、該ジスルフィド結合は以下の残基の対の1つを連結する:
B2M残基12、HLA残基236;
B2M残基12、HLA残基237;
B2M残基8、HLA残基234;
B2M残基10、HLA残基235;
B2M残基24、HLA残基236;
B2M残基28、HLA残基232;
B2M残基98、HLA残基192;
B2M残基99、HLA残基234;
B2M残基3、HLA残基120;
B2M残基31、HLA残基96;
B2M残基53、HLA残基35;
B2M残基60、HLA残基96;
B2M残基60、HLA残基122;
B2M残基63、HLA残基27;
B2M残基Arg3、HLA残基Gly120;
B2M残基His31、HLA残基Gln96;
B2M残基Asp53、HLA残基Arg35;
B2M残基Trp60、HLA残基Gln96;
B2M残基Trp60、HLA残基Asp122;
B2M残基Tyr63、HLA残基Tyr27;
B2M残基Lys6、HLA残基Glu232;
B2M残基Gln8、HLA残基Arg234;
B2M残基Tyr10、HLA残基Pro235;
B2M残基Ser11、HLA残基Gln242;
B2M残基Asn24、HLA残基Ala236;
B2M残基Ser28、HLA残基Glu232;
B2M残基Asp98、HLA残基His192;及び
B2M残基Met99、HLA残基Arg234
(B2M及びHLA配列についてはSEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5参照)。
【0185】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該重鎖配列はHLAであり、該ジスルフィド結合は以下の残基の対の1つを連結する:
第一のリンカー部位Gly2、重鎖(HLA)部位Tyr84;
軽鎖(B2M)部位Arg12、HLA Ala236;及び/または
B2M残基Arg12、HLA残基Gly237。
【0186】
Fcポリペプチド
組み換えポリペプチドの実施形態において、該免疫グロブリンFcドメインは、IgGのFcドメインである。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該免疫グロブリンFcドメインは、IgAのFcドメインである。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該免疫グロブリンFcドメインは、IgMのFcドメインである。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該免疫グロブリンFcドメインは、ヒト免疫グロブリンのFcドメインである。該組み換えポリペプチドの実施形態において、該免疫グロブリンFcドメインは、IgG1のFcドメインである。
【0187】
免疫調節ポリペプチド
組み換えポリペプチドの実施形態において、該T細胞調節ドメインは阻害性ドメインである。
【0188】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該T細胞調節ドメインは刺激性ドメインである。
【0189】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該T細胞調節ドメインは、抗体及び抗体フラグメント、ペプチドリガンド、T細胞共刺激ペプチド、サイトカイン、または毒素である。
【0190】
組み換えポリペプチドの実施形態において、該T細胞調節ドメインは、PD-L1ペプチド、PD-L1ペプチドのIg可変ドメインを含むか、該T細胞調節ドメインは4-1BBLを含むか、該T細胞調節ドメインはB7-1W88Aを含むか、または、該T細胞調節ドメインは抗CD28一本鎖Fvを含む。
【0191】
本発明に用いられうるさらなるT細胞調節ドメイン(MOD)としては、天然由来または合成ヒト遺伝子産物(タンパク質)、限定されないが、古典的及び非古典的(例えば、FGF2、IL1、S100A4)分泌機構に起因するすべての分泌タンパク質を含むヒト遺伝子産物を標的とする親和性試薬(例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fv、アプタマー、ナノボディ)、並びに天然由来の遺伝的にコードされたタンパク質セグメント(単一膜もしくは多重膜のスパン)またはGPI連結等の翻訳後修飾によって固定されたすべての細胞表面タンパク質の外部ドメインが挙げられる。細胞表面グリカンもしくは他の翻訳後修飾(例えば、硫酸化)を標的とする任意の天然由来または合成親和性試薬(例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fv、アプタマー、ナノボディ、レクチン等)である。例としては、限定されないが、TNF/TNFRファミリー員(OX40L、ICOSL、FASL、LTA、LTB、TRAIL、CD153、TNFSF9、RANKL、TWEAK、TNFSF13、TNFSF13b、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF18、CD40LG、CD70)または該TNF/TNFRファミリー員指向の親和性試薬;該免疫グロブリンスーパーファミリー員(VISTA、PD1、PD-L1、PD-L2、B71、B72、CTLA4、CD28、TIM3、CD4、CD8、CD19、T細胞受容体鎖、ICOS、ICOSリガンド、HHLA2、ブチロフィリン、BTLA、B7-H3、B7-H4、CD3、CD79a、CD79b、IgSF CAMS(CD2、CD58、CD48、CD150、CD229、CD244、ICAM-1を含む)、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR))、レクチンスーパーファミリー員、セレクチン、サイトカイン/ケモカイン及びサイトカイン/ケモカイン受容体、成長因子及び成長因子受容体)、接着分子(インテグリン、フィブロネクチン、カドヘリン)、もしくは多スパンの内在性膜タンパク質の外部ドメイン、または該免疫グロブリンスーパーファミリー及び記載された遺伝子産物指向の親和性試薬が挙げられる。さらに、限定されないが、ウイルス配列(例えば、CMV、EBV)、細菌配列、真菌配列、真核病原体(例えば、Schistosoma、Plasmodium、Babesia、Eimeria、Theileria、Toxoplasma、Entamoeba、Leishmania、及びTrypanosoma)、並びに哺乳類由来コード領域を含むこれら遺伝子産物の活性ホモログ/オルソログである。さらに、MODは、ヒト遺伝子産物を標的とする小分子薬物を含んでもよい。
【0192】
追加ポリペプチド
組み換えポリペプチドの実施形態において、これらはさらにそのC末端に隣接するHis-8タグを含む。
【0193】
核酸
本明細書に記載の組み換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸を提供する。実施形態において、該核酸はDNAである。実施形態において、該核酸はcDNAである。実施形態において、該核酸はRNAである。実施形態において、該核酸はmRNAである。
【0194】
実施形態において、該組み換え核酸はベクターである。実施形態において、該ベクターはウイルスベクターである。実施形態において、該ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0195】
本開示は、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの個々のポリペプチド鎖は別々の核酸でコードされる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのすべてのポリペプチド鎖は単一の核酸でコードされる。いくつかの場合、第一の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み;第二の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合、単一の核酸が、本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチド及び本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合、核酸は、上述の通り、ポリタンパク質前駆体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0196】
多量体ポリペプチドの個々のポリペプチド鎖をコードする別々の核酸
本開示は、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。上述の通り、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの個々のポリペプチド鎖は、別々の核酸でコードされる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの別々のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列は、転写調節因子、例えば、真核細胞中で機能的であるプロモーター等の、構成的プロモーターまたは誘導プロモーターでありうるプロモーターに作動可能に連結されている。
【0197】
本開示は、第一の核酸及び第二の核酸を提供し、該第一の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、該第一のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ(例えば、T細胞エピトープ);b)第一のMHCポリペプチド;及びc)免疫調節ポリペプチドを含み;該第二の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)第二のMHCポリペプチド;及びb)Ig Fcポリペプチドを含む。適切なT細胞エピトープ、MHCポリペプチド、免疫調節ポリペプチド、及びIg Fcポリペプチドは上述の通りである。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、転写調節因子に作動可能に連結されている。いくつかの場合、該転写調節因子は真核細胞中で機能的であるプロモーターである。いくつかの場合、該核酸は別々の発現ベクターに存在する。
【0198】
本開示は、第一の核酸及び第二の核酸を提供し、該第一の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、該第一のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ(例えば、T細胞エピトープ);及びb)第一のMHCポリペプチドを含み;該第二の核酸は本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、該第二のポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)免疫調節ポリペプチド;b)第二のMHCポリペプチド;及びc)Ig Fcポリペプチドを含む。適切なT細胞エピトープ、MHCポリペプチド、免疫調節ポリペプチド、及びIg Fcポリペプチドは上述の通りである。いくつかの場合、該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、転写調節因子に作動可能に連結されている。いくつかの場合、該転写調節因子は真核細胞中で機能的であるプロモーターである。いくつかの場合、該核酸は別々の発現ベクターに存在する。
【0199】
多量体ポリペプチドに存在する2つ以上のポリペプチドをコードする核酸
本開示は、本開示の多量体ポリペプチドの少なくとも該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本開示の多量体ポリペプチドが第一、第二、及び第三のポリペプチドを含むいくつかの場合、該核酸は、該第一、第二、及び第三のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、該第一のポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列と該第二のポリペプチドをコードする該ヌクレオチド該列との間に挿入されたタンパク質分解的に開裂可能なリンカーを含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、該第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に挿入された配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、該第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド該列との間に挿入されたリボソームスキッピングシグナル(またはシス作用性ヒドロラーゼ因子、CHYSEL)を含む。核酸の実施例は後述するが、タンパク質分解的に開裂可能なリンカーが、本開示の多量体ポリペプチドの該第一のポリペプチド及び該第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の間に配置され;これら実施形態のいずれかにおいて、IRESまたはリボソームスキッピングシグナルを該タンパク質分解的に開裂可能なリンカーをコードするヌクレオチド配列の代わりに用いることができる。
【0200】
いくつかの場合、第一の核酸(例えば、組み換え発現ベクター、mRNA、ウイルスRNA等)は、本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含み;第二の核酸(例えば、組み換え発現ベクター、mRNA、ウイルスRNA等)は、本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合、該第一のポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列及び該第二のポリペプチドをコードする該第二のヌクレオチド配列はそれぞれ、転写調節因子、例えば、真核細胞中で機能的であるプロモーター等の、構成的プロモーターまたは誘導プロモーターでありうるプロモーターに作動可能に連結されている。
【0201】
本開示は、組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ(例えば、T細胞エピトープ);b)第一のMHCポリペプチド;c)免疫調節ポリペプチド;d)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー;e)第二のMHCポリペプチド;及びf)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドを含む。本開示は、組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)第一のリーダーペプチド;b)該エピトープ;c)該第一のMHCポリペプチド;d)該免疫調節ポリペプチド;e)該タンパク質分解的に開裂可能なリンカー;f)第二のリーダーペプチド;g)該第二のMHCポリペプチド;及びh)該Ig Fcポリペプチドを含む。本開示は、組み換えポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、該組み換えポリペプチドは、N末端からC末端の順にa)エピトープ;b)第一のMHCポリペプチド;c)タンパク質分解的に開裂可能なリンカー;d)免疫調節ポリペプチド;e)第二のMHCポリペプチド;及びf)Ig Fcポリペプチドを含む。いくつかの場合、該第一のリーダーペプチド及び該第二のリーダーペプチドは、β2-Mリーダーペプチドである。いくつかの場合、該ヌクレオチド配列は、転写調節因子に作動可能に連結されている。いくつかの場合、該転写調節因子は、真核細胞中で機能的であるプロモーターである。
【0202】
適切なMHCポリペプチドは上述の通りである。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドはβ2ミクログロブリンポリペプチドであって;該第二のMHCポリペプチドはMHCクラスI重鎖ポリペプチドである。いくつかの場合、該β2ミクログロブリンポリペプチドは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、HLA-G、HLA-K、またはHLA-Lの重鎖である。いくつかの場合、該MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合、該第一のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIα鎖ポリペプチドであって;該第二のMHCポリペプチドは、MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドである。
【0203】
適切なFcポリペプチドは上述の通りである。いくつかの場合、該Ig FcポリペプチドはIgG1 Fcポリペプチド、IgG2 Fcポリペプチド、IgG3 Fcポリペプチド、IgG4 Fcポリペプチド、IgA Fcポリペプチド、またはIgM Fcポリペプチドである。いくつかの場合、該Ig Fcポリペプチドは、
図24A~24Cに示すアミノ酸配列に対する少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0204】
適切な免疫調節ポリペプチドは上述の通りである。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド、B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドから選択される。いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、及びHVEMから選択される。
【0205】
適切なタンパク質分解的に開裂可能なリンカーは上述の通りである。いくつかの場合、該タンパク質分解的に開裂可能なリンカーは、
から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0206】
いくつかの場合、該エピトープと該第一のMHCポリペプチドとの間のリンカーは、第一のCys残基を含み、該第二のMHCポリペプチドは、第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含み、該第一第二のCys残基及び該第二のCys残基は、該リンカーと該第二のMHCポリペプチドとの間にジスルフィド結合を提供する。いくつかの場合、該第一のCys残基及び該第二のCys残基は、該第一のMHCポリペプチドと該第二のMHCポリペプチドとの間にジスルフィド結合を提供するように、第一のMHCポリペプチドは第一のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含みかつ該第二のMHCポリペプチドは第二のCys残基を提供するためのアミノ酸置換を含む。
【0207】
組み換え発現ベクター
本開示は、本開示の核酸を含む組み換え発現ベクターを提供する。いくつかの場合、該組み換え発現ベクターは、非ウイルスベクターである。いくつかの場合、該組み換え発現ベクターは、ウイルス構築物、例えば、組み換えアデノ随伴ウイルス構築物(例えば、米国特許第7,078,387号参照)、組み換えアデノウイルス構築物、組み換えレンチウイルス構築物、組み換えレトロウイルス構築物、非組込みウイルスベクター等である。
【0208】
適切な発現ベクターとしては、限定されないが、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al., Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549, 1994; Borras et al., Gene Ther 6:515 524, 1999; Li and Davidson, PNAS 92:7700 7704, 1995; Sakamoto et al., H Gene Ther 5:1088 1097, 1999;WO94/12649,WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984及びWO95/00655参照);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al., Hum Gene Ther 9:81 86, 1998, Flannery et al., PNAS 94:6916 6921, 1997; Bennett et al., Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863, 1997; Jomary et al., Gene Ther 4:683 690, 1997, Rolling et al., Hum Gene Ther 10:641 648, 1999; Ali et al., Hum Mol Genet 5:591 594, 1996; Srivastava in WO93/09239, Samulski et al., J. Vir. (1989) 63:3822-3828; Mendelson et al., Virol. (1988) 166:154-165;及びFlotte et al., PNAS (1993) 90:10613-10617参照);SV40;単純ヘルペスウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al., PNAS 94:10319 23, 1997; Takahashi et al., J Virol 73:7812 7816, 1999参照);レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾壊死ウイルス、及びラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳がんウイルス等のレトロウイルス由来のベクター)等に基づくウイルスベクターが挙げられる。
【0209】
多数の適切な発現ベクターが当業者に周知であり、多くが市販されている。例として、以下のベクターが提供される。真核宿主細胞用:pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLSV40(Pharmacia)。しかしながら、宿主細胞と適合する限り、任意の他のベクターを用いてもよい。
【0210】
使用される宿主/ベクター系に応じて、構成的及び誘導プロモーター、転写エンハンサー因子、転写ターミネーター等を含めて多数の適切な転写調節因子及び翻訳調節因子のいずれかを該発現ベクターに用いてもよい(例えば、Bitter et al. (1987) Methods in Enzymology, 153:516-544参照)。
【0211】
いくつかの実施形態において、DNAを標的とするRNA及び/または部位特異的修飾ポリペプチドをコードする核酸配列は、調節因子、例えば、プロモーター等の転写調節因子に作動可能に連結されている。該転写調節因子は、真核細胞中、例えば哺乳類細胞中;または原核細胞(例えば、細菌もしくは古細菌細胞)中のどちらかで機能的でありうる。いくつかの実施形態では、DNAを標的とするRNA及び/または部位特異的修飾ポリペプチドをコードする核酸配列は、原核細胞及び真核細胞の両方において、DNAを標的とするRNA及び/または部位特異的修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させる複数の調節因子に作動可能に連結されている。
【0212】
適切な真核生物プロモーター(真核細胞中で機能的であるプロモーター)の限定されない例としては、サイトメガロウイルス(CMV)前初期、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来の末端反復配列(LTR)、及びマウスメタロチオネイン-I由来のものが挙げられる。適切なベクター及びプロモーターの選択は、当業者のレベルの十分範囲内である。該発現ベクターはまた、翻訳開始及び転写ターミネーターに対するリボソーム結合部位を含んでもよい。該発現ベクターはまた、発現を増幅するのに適切な配列を含んでもよい。
【0213】
遺伝子改変された宿主細胞
本明細書に記載の組み換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸で形質転換された細胞を提供する。該組み換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸で形質転換されうる細胞の例としては、限定されないが、ヒト胎児腎臓(HEK)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、NS0(マウス骨髄腫)細胞、ヒト羊膜細胞(CAP、CAP-T)を含めた単離哺乳類細胞、酵母細胞(限定されないが、S. セレビシエ(S. cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等)、植物細胞(限定されないが、タバコNT1、BY-2等)、昆虫細胞(限定されないが、SF9、S2、SF21、Tni(例えば、High5)等)、または細菌細胞(限定されないが、大腸菌(E. coli)等)が挙げられる。
【0214】
本開示は、宿主細胞が本開示の核酸によって遺伝子改変されている遺伝子改変された宿主細胞を提供する。
【0215】
適切な宿主細胞としては、真核細胞、例えば酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞が挙げられる。いくつかの場合、該宿主細胞は、哺乳類細胞株の細胞である。適切な哺乳類細胞株としては、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株等が挙げられる。適切な哺乳類細胞株としては、限定されないが、HeLa細胞(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、ベロ細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が挙げられる。
【0216】
いくつかの場合、該宿主細胞は、内在性MHC β2-Mを合成しないように遺伝子改変されている哺乳類細胞である。
【0217】
多量体ポリペプチドを産生する方法
本開示は、本開示の多量体ポリペプチドを産生する方法を提供する。本方法は、概して、該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクターによって遺伝子改変されている宿主細胞を培地中で培養する段階;ならびに遺伝子改変された該宿主細胞及び/または該培地から該多量体ポリペプチドを単離する段階を含む。該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクターによって遺伝子改変されている宿主細胞は、「発現宿主」とも称される。上述の通り、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの個々のポリペプチド鎖は、別々の組み換え発現ベクターでコードされる。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドのすべてのポリペプチドは、単一の組み換え発現ベクターでコードされる。
【0218】
発現宿主細胞(例えば、該発現宿主細胞の溶解物由来)及び/または該宿主細胞が培養される培地からの該多量体ポリペプチドの単離は、標準的なタンパク質精製方法を用いて行うことができる。
【0219】
例えば、溶解物は該発現宿主から調製することができ、該溶解物は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、または他の精製技術を用いて精製されうる。別の方法として、該多量体ポリペプチドが該発現宿主細胞から該培地中へ分泌される場合、該多量体ポリペプチドは、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、または他の精製技術を用いて該培地から精製することができる。いくつかの場合、使用される組成物は、該生成物の調製及び精製の方法に関連する混入物質と比較して、所望の生成物を少なくとも80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99.5重量%含むであろう。これらの百分率は総タンパク質に基づきうる。
【0220】
いくつかの場合、例えば、該多量体ポリペプチドが親和性タグを含む場合、該多量体ポリペプチドは該親和性タグの固定化結合パートナーを用いて精製することができる。
【0221】
組成物
本開示は、薬学的組成物を含めた、本開示の多量体ポリペプチドを含む組成物を提供する。本開示は、薬学的組成物を含めた、本開示の核酸または組み換え発現ベクターを含む組成物を提供する。
【0222】
多量体ポリペプチドを含む組成物
本開示の組成物は、本開示の多量体ポリペプチドに加えて、以下のうちの1つ以上を含むことができる:塩、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO4等;緩衝剤、例えば、トリス緩衝液、N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン‐N'‐(2‐エタンスルホン酸)(HEPES)、2‐(N‐モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2‐(N‐モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3‐(N‐モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N‐トリス[ヒドロキシメチル]メチル‐3‐アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等;安定剤;界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、例えばTween-20等;プロテアーゼインヒビター;グリセロール等。
【0223】
組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含んでよいが、これらの各種は当技術分野で周知であり、本明細書で詳述する必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、様々な出版物に十分に記載されており、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy"、第19版(1995)、または最新版、Mack Publishing Co; A. Gennaro (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy"第20版、Lippincott, Williams, & Wilkins; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Anselら編、第7版、Lippincott, Williams, & Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A.H. Kibbeら編、第3版、Amer. Pharmaceutical Assoc.が挙げられる。
【0224】
薬学的組成物は、本開示の多量体ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。いくつかの場合、対象の薬学的組成物は、対象に対する投与に適しており、例えば、無菌である。例えば、いくつかの実施形態では、対象の薬学的組成物は、ヒト対象に対する投与に適しており、例えば、該組成物は無菌であり、検出可能な発熱物質及び/または他の毒素を含まない。
【0225】
これらタンパク質組成物は他の成分、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク粉、セルロース、グルコース、スクロース、マグネシウム、カーボネート等を含んでよい。これら組成物は、適切な生理的条件に必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤等、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、塩酸塩、硫酸塩、溶媒和物(例えば、混合イオン性塩、水、有機物)、水和物(例えば、水)等を含んでよい。
【0226】
例えば、組成物としては、水溶液、粉体、顆粒、錠剤、丸薬、坐薬、カプセル、懸濁液、スプレー等を挙げることができる。該組成物は、後述の各種投与経路に応じて製剤化してよい。
【0227】
本開示の多量体ポリペプチドが組織への直接注入物質(例えば、皮下に、腹腔内に、及び/または静脈内)として投与される場合、製剤は、すぐに使える剤形、または非水性形態(例えば、再構成可能な貯蔵安定性粉体)もしくは水性形態、例えば、薬学的に許容される担体及び賦形剤からなる液体として提供されうる。タンパク質含有製剤は、該対象タンパク質の投与後血清半減期を延ばすためにも提供されうる。例えば、該タンパク質は、血清半減期を延ばすため、コロイドとして、または他の従来技術で調製されるリポソーム製剤中に提供されうる。例えば、Szoka et al. 1980 Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467,米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、及び同第4,837,028号に記載のように、各種方法がリポソーム調製に使用可能である。これらの調製物は制御放出または持続放出の形態で提供されうる。
【0228】
非経口投与に適切な製剤の他の例としては、無菌等張注入溶液、酸化防止剤、静菌薬、該製剤を目的のレシピエントの血液と等張にするための溶質、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤が挙げられる。例えば、対象の薬学的組成物は、容器、例えばシリンジ等の無菌容器に含まれてよい。これら製剤は、単位用量または多回投与用密閉容器、例えばアンプル及びバイアルに含まれてよく、注入用に無菌液体賦形剤、例えば、水を使用の直前に添加するだけで済むフリーズドライ(凍結乾燥)された状態で貯蔵されうる。即時注入溶液及び懸濁液は、無菌粉体、顆粒、及び錠剤から調製されうる。
【0229】
本開示の多量体ポリペプチドの製剤における濃度は、変化に富み得(例えば、約0.1重量%未満、通常約2重量%または少なくとも約2重量%から、20重量%~50重量%以上まで)、選択される特定の投与方式及び患者の要求に応じて、主に液量、粘度、及び患者に基づく要因を基に通常選択される。
【0230】
本開示は、本開示の組成物、例えば、液体組成物を含む容器を提供する。該容器は、例えば、シリンジ、アンプル等でよい。いくつかの場合、該容器は無菌である。いくつかの場合、該容器及び該組成物はともに無菌である。
【0231】
核酸または組み換え発現ベクターを含む組成物
本開示は、本開示の核酸または組み換え発現ベクターを含む組成物、例えば薬学的組成物を提供する。各種の薬学的に許容される賦形剤が当技術分野で周知であり、本明細書で詳述する必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、様々な出版物に十分に記載されており、例えば、A. Gennaro (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy"第20版、Lippincott, Williams, & Wilkins; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Anselら編、第7版、Lippincott, Williams, & Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A.H. Kibbeら編、第3版、Amer. Pharmaceutical Assoc.が挙げられる。
【0232】
本開示の組成物が含みうるのは、a)対象の核酸または組み換え発現ベクター;及びb)緩衝剤、界面活性剤、酸化防止剤、親水性ポリマー、デキストリン、キレート剤、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、静菌薬、湿潤剤、及び防腐剤のうちの1つ以上である。適切な緩衝剤としては、限定されないが、(例えば、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐2‐アミノエタンスルホン酸(BES)、ビス(2‐ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-Tris)、N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン‐N'3‐プロパンスルホン酸(EPPSまたはHEPPS)、グリシルグリシン、N‐2‐ヒドロキシエチルピペラジン‐N'‐2‐エタンスルホン酸(HEPES)、3‐(N‐モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン‐N,N'‐ビス(2‐エタンスルホン酸)(PIPES)、重炭酸ナトリウム、3‐(N‐トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)‐2‐ヒドロキシプロパンスルホン酸)TAPSO、(N‐トリス(ヒドロキシメチル)メチル‐2‐アミノエタンスルホン酸(TES)、N‐トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(Tricine)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)等)が挙げられる。適切な塩としては、例えば、NaCl、MgCl2、KCl、MgSO4等が挙げられる。
【0233】
本開示の薬学的製剤は、約0.001%~約90%(w/w)の量の本開示の核酸または組み換え発現ベクターを含むことができる。製剤の記載において、以下、「対象の核酸または組み換え発現ベクター」は、本開示の核酸または組み換え発現ベクターを含むと理解される。例えば、いくつかの実施形態では、対象の製剤は、本開示の核酸または組み換え発現ベクターを含む。
【0234】
対象の核酸または組み換え発現ベクターは、他の化合物または化合物の混合物と混合され、カプセルに封入され、コンジュゲートされ、または結合される場合があり、かかる化合物としては、例えば、リポソームまたは受容体標的化分子を挙げることができる。対象の核酸または組み換え発現ベクターは、摂取、分配、及び/または吸収を助ける1つ以上の成分との製剤中で組み合わせてもよい。
【0235】
対象の核酸または組み換え発現ベクター組成物は、考えられる多くの剤形、例えば、限定されないが、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、軟質ゲル、坐薬、及び注腸剤のいずれかに製剤化されうる。対象の核酸または組み換え発現ベクター組成物は、水性、非水性、または混合媒体中の懸濁液としてもまた製剤化されうる。水性懸濁液は、さらに該懸濁液の粘度を上げる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/またはデキストラン等を含んでもよい。該懸濁液はまた、安定剤を含んでもよい。
【0236】
対象の核酸または組み換え発現ベクターを含む製剤は、リポソーム製剤でありうる。本明細書で使用される「リポソーム」という用語は、球状の二重層または複数の二重層に配置された両親媒性脂質からなる小胞を意味する。リポソームは、親油性材料からなる膜及び供給されるべき組成物を含む水性内部を有する単層または多層の小胞である。カチオン性リポソームは、負の電荷を有するDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成できる、正の電荷を有するリポソームである。pH感受性または負の電荷を有するリポソームは、DNAと複合化するのではなく、DNAを取り込むと考えられる。カチオン性リポソーム及び非カチオン性リポソームはともに、対象の核酸または組み換え発現ベクターを供給するために用いることができる。
【0237】
リポソームはまた、「立体的に安定化した」リポソームも含み、本明細書で使用されるこの用語は、リポソームへ組み込まれた場合、かかる特殊化脂質を欠くリポソームと比べて循環寿命の延長をもたらす1つ以上の特殊化脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例は、該リポソームの該小胞形成性脂質部分の一部が1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)部分等の親水性ポリマーの1つ以上で誘導体化されるものである。リポソーム及びそれらの使用は、さらに、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号に記載されている。
【0238】
本開示の製剤及び組成物は、界面活性剤も含みうる。薬物製造物、製剤、及び乳剤での界面活性剤の使用は、当技術分野で周知である。界面活性剤及びその使用はさらに米国特許第6,287,860号に記載されている。
【0239】
1つの実施形態において、核酸の効率的な供給をもたらすために様々な浸透促進剤が含まれる。非親油性薬物の細胞膜を介した拡散を助けるのに加えて、浸透促進剤はまた、親油性薬物の透過性も高める。浸透促進剤は、5つの広い分類、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤のうちの1つに属するとして分類されうる。浸透促進剤及びそれらの使用は、さらに、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号に記載されている。
【0240】
経口投与用の組成物及び製剤としては、粉体もしくは顆粒、マイクロ粒子、ナノ粒子、水もしくは非水性媒体懸濁液もしくは溶液、カプセル、ゲルカプセル、サッシェ剤、錠剤、またはミニ錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤が望まれる場合がある。適切な経口製剤としては、対象のアンチセンス核酸が、1つ以上の浸透促進剤、界面活性剤及びキレート剤とともに投与されるものが挙げられる。適切な界面活性剤としては、限定されないが、脂肪酸及び/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸及び/またはその塩が挙げられる。適切な胆汁酸/塩及び脂肪酸並びにそれらの使用は、さらに米国特許第6,287,860号に記載されている。浸透促進剤の組合せ、例えば、脂肪酸/塩と胆汁酸/塩の組合せも同様に適切である。典型的な適切な組合せは、ラウリン酸のナトリウム塩、カプリン酸、及びUDCAである。さらなる浸透促進剤としては、限定されないが、ポリオキシエチレン9‐ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン20‐セチルエーテルが挙げられる。適切な浸透促進剤としては、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、トリエタノールアミン、N,N‐ジメチルアセタミド、N,N‐ジメチルホルムアミド、2‐ピロリドン、及びその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、並びにAZONE(商標)も挙げられる。
【0241】
T細胞活性を調節する方法
エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを阻害する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの阻害に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0242】
エピトープペプチドを認識するT細胞クローンを刺激する方法であって、該クローンのT細胞を、T細胞クローンの刺激に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0243】
本開示は、エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、該T細胞を本開示の多量体ポリペプチドと接触させる段階を含み、該T細胞を本開示の多量体ポリペプチドと接触させる段階が、該エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、方法を提供する。いくつかの場合、該接触させる段階はインビトロで行われる。いくつかの場合、該接触させる段階はインビボで行われる。いくつかの場合、該接触させる段階は、エキソビボで行われる。
【0244】
例えば、該標的T細胞がCD8+T細胞であるいくつかの場合、該多量体ポリペプチドはクラスIのMHCポリペプチド(例えば、β2ミクログロブリン及びクラスIのMHC重鎖)を含む。該標的T細胞がCD4+T細胞であるいくつかの場合、該多量体ポリペプチドはクラスIIのMHCポリペプチド(例えば、クラスIIのMHCのα鎖;クラスIIのMHCのβ鎖)を含む。
【0245】
本開示の多量体ポリペプチドが活性化ポリペプチドである免疫調節ポリペプチドを含む場合、該T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることによって該エピトープ特異的T細胞は活性化される。いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はがん細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ該エピトープ特異的T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることによって該がん細胞に対する該T細胞の細胞毒性は増大する。いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はがん細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ該エピトープ特異的T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることによって該エピトープ特異的T細胞の数は増加する。
【0246】
いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はウイルス感染細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ該エピトープ特異的T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることによって該ウイルス感染細胞に対する該T細胞の細胞毒性は増加する。いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はウイルス感染細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ該エピトープ特異的T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることによって該エピトープ特異的T細胞の数は増加する。
【0247】
本開示の多量体ポリペプチドが阻害ポリペプチドである免疫調節ポリペプチドを含む場合、該T細胞と該多量体ポリペプチドを接触させることで該エピトープ特異的T細胞は阻害される。いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞は、自己抗原に存在するエピトープに特異的な自己反応性T細胞であり、該接触により該自己反応性T細胞の数が減少する。
【0248】
治療方法
エピトープペプチドを認識する自己反応性T細胞クローンの阻害による自己免疫疾患を治療する方法であって、該クローンのT細胞を、自己免疫疾患の治療に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、阻害性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0249】
がん上のエピトープペプチドを認識するT細胞クローンの刺激によってがんを治療する方法であって、該クローンのT細胞を、がんの治療に有効な量の本明細書に記載の組み換えペプチドと接触させる段階を含み、該組み換えペプチドが、該エピトープペプチドを含み、かつ、刺激性ドメインであるT細胞調節ドメインを含む、方法も提供される。
【0250】
実施形態において、本発明の組み換えポリペプチドを発現するように形質転換された細胞は、単離された懸濁適応細胞である。複数の該単離された懸濁適応細胞、または該組み換え核酸の実施形態において、該核酸はDNAを含む。
【0251】
実施形態において、該T細胞は、対象由来の末梢T細胞を含む。実施形態において、該T細胞は、対象におけるT細胞を含む。実施形態において、該T細胞は対象の末梢T細胞を含む。本明細書の方法の実施形態において、該対象はヒトである。
【0252】
本開示は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、該個体に、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節するのに有効な量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードする1つ以上の核酸を投与する段階を含む、方法を提供する。いくつかの場合、本開示の治療方法は、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の組み換え発現ベクターを、それを必要とする個体に投与する段階を含む。いくつかの場合、本開示の治療方法は、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上のmRNA分子を、それを必要とする個体に投与する段階を含む。いくつかの場合、本開示の治療方法は、本開示の多量体ポリペプチドを、それを必要とする個体に投与する段階を含む。
【0253】
本開示は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、該個体に、有効量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸(例えば、発現ベクター;mRNA等)を投与する段階を含み、該多量体ポリペプチドが個体における該エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、方法を提供する。エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節することで、該個体における疾患または障害を治療することができる。従って、本開示は、有効量の本開示の多量体ポリペプチドを、それを必要とする個体に投与する段階を含む治療方法を提供する。
【0254】
いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは、活性化ポリペプチドであり、かつ該多量体ポリペプチドは該エピトープ特異的T細胞を活性化する。いくつかの場合、該エピトープはがん関連エピトープであり、該多量体ポリペプチドは、該がん関連エピトープに特異的なT細胞の活性を増大させる。
【0255】
本開示は、個体におけるがんを治療する方法であって、該個体に、有効量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸(例えば、発現ベクター;mRNA等)を投与する段階を含み、該多量体ポリペプチドが、がんのエピトープであるT細胞エピトープを含み、かつ、該多量体ポリペプチドが刺激性免疫調節ポリペプチドを含む、方法を提供する。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるがん細胞数を減少させる量である。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるがん細胞数を、該多量体ポリペプチドの投与前の、または該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体におけるがん細胞数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる量である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるがん細胞数を、検出不能なレベルまで減少させる量である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における腫瘤を縮小させる量である。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における腫瘤を、該多量体ポリペプチドの投与前の、または該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体における腫瘤と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる量である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体の生存期間を延ばす量である。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体の生存期間を、該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体の予想される生存期間と比較して、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、3か月~6か月、6か月~1年、1年~2年、2年~5年、5年~10年、または10年超延ばす量である。
【0256】
いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はウイルス感染細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ、該エピトープ特異的T細胞を該多量体ポリペプチドと接触させることによって該ウイルス感染細胞に対する該T細胞の細胞毒性は増大する。いくつかの場合、該エピトープ特異的T細胞はウイルス感染細胞上に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、かつ該エピトープ特異的T細胞を該多量体ポリペプチドと接触させることによって該エピトープ特異的T細胞の数は増加する。
【0257】
このように、本開示は、個体におけるウイルス感染症を治療する方法であって、該個体に、有効量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を投与する段階を含み、該多量体ポリペプチドがウイルスのエピトープであるT細胞エピトープを含み、かつ、該多量体ポリペプチドが刺激性免疫調節ポリペプチドを含む、方法を提供する。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるウイルス感染細胞数を減少させる量である。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるウイルス感染細胞数を、該多量体ポリペプチドの投与前の、または該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体におけるウイルス感染細胞数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる量である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるウイルス感染細胞数を、検出不能なレベルまで減少させる量である。
【0258】
このように、本開示は、個体における感染症を治療する方法であって、該個体に、有効量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を投与する段階を含み、該多量体ポリペプチドが病原体関連エピトープであるT細胞エピトープを含み、かつ、該多量体ポリペプチドが刺激性免疫調節ポリペプチドを含む、方法を提供する。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における病原体数を減少させる量である。例えば、いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における病原体数を、該多量体ポリペプチドの投与前の、または該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体における病原体数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる量である。いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における病原体数を、検出不能な量まで減少させる量である。病原体としては、ウイルス、細菌、原生動物等が挙げられる。
【0259】
いくつかの場合、該免疫調節ポリペプチドは阻害性ポリペプチドであり、該多量体ポリペプチドは、該エピトープ特異的T細胞の活性を阻害する。いくつかの場合、該エピトープは自己エピトープであり、該多量体ポリペプチドは、該自己エピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に阻害する。
【0260】
本開示は、個体における自己免疫疾患を治療する方法であって、該個体に、有効量の本開示の多量体ポリペプチド、または該多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸を投与する段階を含み、該多量体ポリペプチドが自己エピトープであるT細胞エピトープを含み、かつ、該多量体ポリペプチドが阻害性免疫調節ポリペプチドを含む、方法を提供する。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、自己反応性T細胞数を、該多量体ポリペプチドの投与前の該個体、または該多量体ポリペプチドの投与をしない該個体における自己反応性T細胞数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる量である。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体におけるTh2サイトカインの産生を低下させる量である。いくつかの場合、多量体ポリペプチドの「有効量」とは、それを必要とする個体に1回以上投与された場合に、該個体における自己免疫疾患に関連する1つ以上の症状を改善する量である。
【0261】
上述の通り、いくつかの場合、対象の治療方法を行うにあたり、本開示の多量体ポリペプチドは、それを必要とする個体に該ポリペプチド自体として投与される。他の例では、対象の治療方法を行うにあたり、本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸が、それを必要とする個体に投与される。他の例では、1つ以上の本開示の核酸、例えば、1つ以上の本開示の組み換え発現ベクターが、それを必要とする個体に投与される。
【0262】
製剤
適切な製剤は上述の通りであり、適切な製剤は薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの場合、適切な製剤は、a)本開示の多量体ポリペプチド;及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの場合、適切な製剤は、a)本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸;及びb)薬学的に許容される賦形剤を含み;いくつかの場合、該核酸はmRNAである。いくつかの場合、適切な製剤は、a)本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の核酸;b)本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第二の核酸;及びc)薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの場合、適切な製剤は、a)本開示の多量体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクター;及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの場合、適切な製剤は、a)本開示の多量体ポリペプチドの第一のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第一の組み換え発現ベクター;b)本開示の多量体ポリペプチドの第二のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第二の組み換え発現ベクター;及びc)薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0263】
適切な薬学的に許容される賦形剤は上述の通りである。
【0264】
用量
適切な用量は、様々な臨床学的要因を基に、主治医または他の有資格医療関係者によって決定されうる。医療分野で周知のように、いずれの患者に対する用量も、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定のポリペプチドまたは核酸、患者の性別、投与時間及び経路、全身状態、並びに同時投与される他の薬物等の多くの要因による。本開示の多量体ポリペプチドは、1回の投与当たり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば、0.1mg/kg体重~10mg/kg体重、例えば、0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与されうるが;しかしながら、特に上記の要因を考慮して、この典型的範囲を下回るまたは上回る用量も想定される。このレジメンが持続注入の場合、体重1kg当たり1分間に1μg~10mgの範囲でもよい。
【0265】
いくつかの場合、本開示の多量体ポリペプチドの適切な用量は、体重1kg当たり0.01μg~100g、体重1kg当たり0.1μg~10g、体重1kg当たり1μg~1g、体重1kg当たり10μg~100mg、体重1kg当たり100μg~10mg、または体重1kg当たり100μg~1mgである。当業者であれば、体液または組織における該投与された薬剤の滞留時間及び濃度の測定値を基に、投薬の繰り返し数を容易に推定できる。治療の成功後、該病態の再発を予防するための維持療法を該患者に施すことが望ましい場合があり、本開示の多量体ポリペプチドが、体重1kg当たり0.01μg~100g、体重1kg当たり0.1μg~10g、体重1kg当たり1μg~1g、体重1kg当たり10μg~100mg、体重1kg当たり100μg~10mg、または体重1kg当たり100μg~1mgの範囲の維持量で投与される。
【0266】
当業者には、投与量が、具体的な多量体ポリペプチド、症状の程度、及び該対象の副作用の受けやすさに応じて変化しうるということが容易に理解されよう。所与の化合物についての好適な用量は、種々の方法で当業者によって容易に決定される。
【0267】
いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは複数回投与される。本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターの投与頻度は、様々な要因、例えば症状の程度等のいずれかに応じて変化しうる。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、月1回、月2回、月3回、隔週(qow)、週1回(qw)、週2回(biw)、週3回(tiw)、週4回、週5回、週6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または1日3回(tid)投与される。
【0268】
本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターの投与期間、例えば、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターが投与される期間は、様々な要因のいずれか、例えば患者の応答等に応じて変化しうる。例えば、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、約1日~約1週間、約2週間~約4週間、約1か月~約2か月、約2か月~約4か月、約4か月~約6か月、約6か月~約8か月、約8か月~約1年、約1年~約2年、もしくは約2年~約4年、またはそれ以上にわたる期間投与できる。
【0269】
投与経路
活性物質(本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクター)は、インビボ及びエキソビボ法、並びに全身及び局所的投与経路を含めて、薬物送達に適した任意の可能な方法及び経路を用いて個体に投与される。
【0270】
従来の薬学的に許容される投与経路としては、腫瘍内、腫瘍周辺、筋肉内、気管内、頭蓋内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸、経鼻、経口、並びに他の腸内及び非経口投与経路が挙げられる。投与経路は必要に応じて組み合わせてもよく、該多量体ポリペプチド及び/または所望の効果に応じて調節してもよい。本開示の多量体ポリペプチド、または本開示の核酸もしくは組み換え発現ベクターは、単回または複数回投与されうる。
【0271】
いくつかの実施形態において、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、局所投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、腫瘍内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、腫瘍周辺に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、頭蓋内に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、皮下投与される。
【0272】
いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは局所投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは腫瘍内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは腫瘍周辺に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは頭蓋内に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の多量体ポリペプチドは皮下投与される。
【0273】
本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターは、全身もしくは局所的経路を含めて、従来薬物の送達に適した任意の可能な従来法及び経路を用いて宿主に投与することができる。概して、本発明によって企図される投与経路としては、必ずしも限定されないが、腸内、非経口、または吸入経路が挙げられる。
【0274】
吸入投与以外の非経口投与経路としては、必ずしも限定されないが、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、腫瘍内、腫瘍周辺、及び静脈内経路、すなわち、消化管を通過する以外の任意の投与経路が挙げられる。非経口投与は、本開示の多量体ポリペプチド、本開示の核酸、または本開示の組み換え発現ベクターの全身的もしくは局所的送達をもたらすために行われうる。全身的送達が望まれる場合、投与は通常、薬学的調製物の侵襲性投与、または全身的に吸収される局所投与もしくは粘膜投与を含む。
【0275】
治療に適した対象
本開示の方法での治療に適した対象としては、がんであると診断された個体、がんの治療を受けたものの、該治療に反応しなかった個体、及びがんの治療を受け当初は応答したものの、その後該治療が効かなくなった個体を含めて、がんを有する個体が挙げられる。本開示の方法での治療に適した対象としては、感染症であると診断された個体、及び感染症に対する治療を受けたものの、該治療に応答しなかった個体を含めて、感染症(例えば、細菌、ウイルス、原生動物等の病原体による感染症)を有する個体が挙げられる。本開示の方法での治療に適した対象としては、細菌感染症であると診断された個体、及び細菌感染症に対する治療を受けたものの、該治療に応答しなかった個体を含めて、細菌感染症を有する個体が挙げられる。本開示の方法での治療に適した対象としては、ウイルス感染症であると診断された個体、及びウイルス感染症に対する治療を受けたものの、該治療に応答しなかった個体を含めて、ウイルス感染症を有する個体が挙げられる。本開示の方法での治療に適した対象としては、自己免疫疾患であると診断された個体、及び自己免疫疾患に対する治療を受けたものの、該治療に応答しなかった個体を含めて、自己免疫疾患を有する個体が挙げられる。
【0276】
本明細書に記載の様々な要素のすべての組合せは、本明細書に別段の指示のない限り、または文脈から明らかに矛盾しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【0277】
本発明は、以下の実験の詳細からより良好に理解されよう。しかしながら、当業者には、記載の具体的な方法及び結果は、その後に続く特許請求の範囲でさらに十分に説明される本発明の例示に過ぎないことが容易に理解されよう。
【実施例】
【0278】
以下の実施例は、当業者に対して、本発明の作製法及び使用法の完全な開示及び説明を提供するために提示するものであり、本発明者らが本発明であると見なすものの範囲を限定することを意図せず、以下の実験が、行われたすべての、もしくは唯一の実験であることを本発明者らが示すことも意図しない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関する正確さの確保は図られているが、多少の実験誤差及び偏差は考慮されたい。別段の指示のない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセ氏温度であり、圧力は大気圧またはその近辺である。一般的な省略形、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に)等が用いられる場合がある。
【0279】
実施例1:synTacヘテロ2量体の生成
本開示の態様は、新規なタンパク質ベースの治療プラットフォーム、「synTac」に関し、これは、免疫学的シナプスの相互作用特異性及び調節シグナルを模倣する。synTacは、共刺激分子をMHC-エピトープに連結して、正確なT細胞の結合及びクローナルT細胞の活性化または阻害(
図1)を可能にする、すなわち身体の天然の反応の可溶性型を可能にする、融合タンパク質である。このようにして、synTacは、エピトープ、二重特異性抗体、可溶性共刺激因子、及びADCの最良の点を組み合わせる。synTacは、MHC-エピトープによる高度に特異的な細胞標的化を可能にし、「一本鎖融合」設計で、遊離エピトープの交差提示を許さない(
図2A~2C)。T細胞調節ドメイン(本明細書では「MOD」としても記載される)も共有結合的に結合され、該共刺激性結合の特質に応じて、活性化または阻害のどちらかを誘発する。これは、全般的ではなく抗原特異的なT細胞応答を誘発する。特に、該MODは、任意の既知の抗体、抗体フラグメント、共刺激分子、または文献で確認された他のペイロード(サイトカイン、毒素等)を含むことができ、T細胞への作用を発揮するために内在化させる必要がない。さらに、同じ細胞の表面に両方の標的が存在するため、従来の二重特異性抗体の「スペーシング問題」を解消する。
【0280】
1つの実施形態において、本ストラテジーは、Fc融合構築物(限定されない例を
図2A~2Cに示す)を用いて、関連製造物の結合価、安定性、及び治療域を増大させる。簡潔に言えば、該Fc領域は天然の共有結合ホモ2量体であり、
図2A~2Cにおいて2つの細い線で示される2つのジスルフィド結合によって安定化されている。該Fcドメインの存在は、新生児Fc受容体との相互作用及びより大型の2価分子に対する低腎クリアランスによる、血中濃度半減期の延長によって、治療活性を延長することが知られている[23、24]。生物物理学的見地から、該Fcドメインは独立して折り重なり、インビトロ及びインビボの両方でパートナー分子の溶解性並びに安定性を改善することができ[25]、該Fc領域は、産生の過程でプロテインA/Gアフィニティークロマトグラフィーによって、容易で費用効率の高い精製を可能にする[26]。
図2Aは、IgGのFc領域にそのカルボキシル末端で連結された一本鎖ペプチドMHCタンパク質(一本鎖3量体[27])を示す。示されるように、これら一本鎖構築物は、代替タンパク質連結(MOD等)によって系を延長するこれらの能力に限定される。具体的には、連結は、好ましくは、
図2Aに破線(これは本書では直接連結と称す)で示したMHCのC末端領域に限定される。MHC IまたはMHC II分子を用いることができる。直接連結手法を用いた構築物の発現は、用いられるMODに大きく依存する。これに対する本明細書に開示の解決法は、該構築物をそれぞれの重鎖及び軽鎖に分け、ペプチド及びタンパク質の両方を別々の末端に融合させることである(
図2B及び
図2C)。1つの構築物は、軽鎖(β2ミクログロブリン)へのこのペプチドのアミノ末端の結合と、それに続くMODエフェクター分子に対するこの軽鎖のカルボキシル末端の延長をもたらす(
図2B)。このシナリオでは、該重鎖(HLA分子)は、Fc領域に融合される。すべての成分が、真核細胞(例えば、HEK、CHO)内での産生中に結合し、自己集合する。構築物はジスルフィド架橋を介して共有結合的にくっついている。別の配向(
図2C)は、このMODをFc融合重鎖のアミノ末端に付け、このペプチドはB2Mの軽鎖に依然として連結している。この場合もやはりすべての成分は、自己集合して、ジスルフィド結合を介して安定な共有結合性相互作用を形成する。従来の二重特異性抗体は、多くの場合、2つの細胞を、1つのアミノ末端のFcペイロードと1つのカルボキシル末端のFcペイロードの二量体化によって架橋しようとする。対照的に、本明細書に開示の構築物は、2つの異なるタンパク質ペイロード、すなわちMHC-エピトープ標的化機序及びMODエフェクターを、従来の抗体で見られるCH1-軽鎖相互作用と同様、同じ細胞の表面に配向させる。さらに、Fc融合の使用は、関連するエフェクター機能の調整された結合、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞障害(CDC)または貪食を、Fc受容体に対する結合親和性の変異を介した調節によって可能にする[28]。
【0281】
2つの基礎となるsynTac分子の設計を
図3A~3Bに示す。簡潔に言えば、この構築物は天然のヒトB2Mリーダー配列を用いて、効率的な分泌とERプロセッシングを可能にし、直後に候補エピトープ(ペプチドと表示)が続く。ERにおいて該リーダー配列が完全に除去されると、MHCの結合ポケットでのこのペプチドの提示が可能になる。「軽鎖」連結(LC、
図3A)については、これは、リンカーL1を介して天然B2M分子に、さらにリンカーL2を介してMODにつながれる。この全カセットは、別のB2Mリーダー配列、MHCの重鎖(例えば、実施例ではヒトHLA-A02:01またはマウスH-2Kd)、及びFcドメイン(ヒトIgG1またはマウスIgG2aのどちらか)に、ウイルスのブタテッショウウイルス‐1(P2A)「自己開裂」ペプチドによって連結され、各鎖の化学量論的発現を可能にする。該P2Aペプチドは、これが哺乳類細胞で発現されるすべてのウイルス2Aペプチドの中で最高の報告「開裂」効率を有するので選択された[29]。「重鎖」(HC、
図3B)連結は、同様であるが、ウイルスP2Aペプチドがこの場合B2Mに続き、かつMODは第二のリーダーペプチドに続き、
図2Cに示すタンパク質構築物に至る。両方の構築物は、精製をしやすくするために8xHisタグで終わることができる。
【0282】
特定発現細胞:P2A連結のために両方の鎖が発現され、ERに共局在化するにもかかわらず、発現宿主(懸濁適応HEK293細胞)由来の内因性B2Mは、HEK293細胞が天然にHLA及びB2M分子を発現するため、組み換え型を打ち負かすことがあるという懸念があった。これは、安定性の低下(例えば、全体的な収率の低下を示す)または非常に望ましくない異質タンパク質試料のどちらかをもたらすことになる。この問題を避けるため、CRISPR/CAS系を用いて、HEK細胞プールから天然B2Mをノックアウトした[30]。簡潔に言えば、ガイドRNAを内因性B2Mに対して設計し、CRISPR/CASをコードするプラスミドとともに形質移入し、3日間培養した。これら培養細胞を抗B2Mに対して表面染色し、蛍光活性化細胞分類(FACS)によって対抗選択(蛍光の損失で分類)した。分類した細胞を回復させ、さらに2回の染色、対抗分類、及び回復の巡回(全部で3回)に供し、有効な(約100%)ノックアウトを確実にした。
図4に示すように、最終的なプールは、FACSによるB2Mの表面発現を観察することで品質をチェックし、内因性B2Mタンパク質の完全なアブレーションが示唆された。ゲノムレベルで該ノックアウトの割合を定量化する次世代シーケンシングを用いる実験が次に行われる。得られたHEK-293-B2M-KO株(HEK-KOと称す)を後続のすべての実験に用いた。
【0283】
操作されたジスルフィド結合:タンパク質の安定性の向上並びに細胞のMHC分子への潜在的なペプチド転移(交差提示)及びB2M放出に伴う問題の回避のため、一本鎖構築物が一般に用いられる[27、31]。しかしながら、これら一本鎖構築物(
図2Aに示される)は、代替タンパク質連結(MOD等)によって系を延長する能力に関して限定される。解決法は、過去の取り組み[32]と同じように該構築物をそれぞれの重鎖及び軽鎖に分けるが、ここではペプチド及びタンパク質の両方を記載の通り別々の末端に融合させることである(
図2B及び
図2C)。しかしながら、最終構築物において、従来の一本鎖系によってもたらされる安定性を保つため、ジスルフィドで捕捉された一本鎖3量体[dt-SCT][33]に見られるように、該重鎖及び軽鎖間のジスルフィド架橋を操作する選択肢を研究した(
図2でS-Sで示される)。特に、該dt-SCTジスルフィドスキーマを用いた最初のsynTac産生の試みでは発現レベルが低かったため、また、これがさらに提示される該ペプチドに依存しているため、このdt-SCTジスルフィド配置は、スプリットタンパク質系への使用には理想的ではないと見なされた。従って、synTac等のスプリットタンパク質系に適するジスルフィド架橋を操作する別の位置を特定することを求めた。各々が重鎖の2つの位置(それぞれ119、120及び236、237、PDB 2X4Rの分析より)に対してジスルフィド結合の可能性を備えた2つの位置(2、12)が軽鎖から選択された。特に、これらの位置は、高度な保存残基で、ペプチド結合溝[34]、TCR複合体[35]、またはCD8コレセプター[36]と相互作用しないと考えられている。高レベルの発現が1つの構築物(H236-L12、Hは重鎖の位置を指し、Lは軽鎖の位置を指し、
図5A~5BではsynTac18と表示)で、適度の発現が2番目(H237-L12、
図5A~5BではsynTac17)で示された。dt-SCTジスルフィドスキーマを正の対照として用いた(synTac2と表示)。非還元PAGEゲルにより見られるように、高分子量の部分が形成され、安定なジスルフィド結合の形成が示唆された(
図5A)。すべての発現構築物を100ml規模にスケールアップし、精製し、HEK細胞表面で発現される同族TCR(HEK-A6と呼ばれる)の結合によって活性試験し、FACS蛍光によって観察されたように、適切な折りたたみと活性が示唆された(
図5B)。非同族TCR(HEK-AS01と呼ばれる)を発現する細胞は負の対照として用いた。C末端の8×Hisタグのみを有するさらなる構築物(1価)を生成した。
【0284】
synTacの対照:以前の研究では自己免疫性糖尿病に重点的に取り組み[37]、疾患に関連するモデル系、特に非肥満糖尿病(NOD)マウスの膵島から単離した自己反応性CD8+8.3T細胞が用いられた。この研究を基に、8.3T細胞と相互作用することが知られているマウスクラスI H-2Kd対立遺伝子(IGRPと呼ばれる)によって提示される膵島特異的グルコース‐6‐ホスファターゼの触媒サブユニット関連タンパク質の残基206~214(IGRP206-214)からなるペプチドを有するsynTac構築物を生成した。8.3T細胞によって認識されない腫瘍由来ペプチド(KYQAVTTTL、SEQ ID NO:18)を提示する対照synTacを、同一の方式(例えば、マウスH-2Kd提示)で調製し、TUMと指定した。この系が複数のHLA対立遺伝子(例えば、マウスH2-Kd、ヒトHLA-A02等)を容認できる程度を決定するため、以前に確認されたヒトHLA-A02拘束性エピトープ(ヒトTリンパ球向性ウイルス、Tax11-19)を有する第三のsynTac変異体を構築し、HTLVと命名した。標的化T細胞の枯渇を可能にするため、最初のsynTac構築物は軽鎖連結形式を用い、PD-L1のMODドメイン(
図2Bに概略的に示す)を担持した。各synTac変異型(IGRP、TUM、及びHTLV)は、HEK-KO細胞において正の発現プロファイルを示した。非還元SDS-PAGEの結果を
図6Aに示す。発現系の普遍性を調べるため、T細胞刺激用の2つのMOD(すなわち、ヒト化抗CD28一本鎖Fv及びTNFリガンド4-1BBLの細胞外ドメイン)並びにT細胞阻害を可能にする別の2つのMOD(CTLA4にのみ結合することが知られるB7-1[W88A]の単一点変異体[38]及びPD-L1の切断型変異体[Igの可変ドメインのみ])を含めて、変異型MODドメインを備えたIGRP系synTac構築物を調査した。すべての構築物は
図6BのHEK-KO細胞で十分に発現した。重鎖連結方式を用いるsynTacタンパク質発現能力をさらに調査した(
図2Cに概略的に示す)。これらに対しては、IGRPエピトープを標的化ペプチドとして用い、PD-L1またはヒト化抗CD28scFvをMODとして用いたが、この場合もやはりHEK-KO細胞で正の発現プロファイルを示した(
図6C)。これらはその後1L以上の規模で製造し、内毒素のない環境で、Ni2+IMAC及びサイズ排除の両方を通して均質になるまで精製した。すべてのIGRP及びTUM構築物をT細胞増殖アッセイに用い、HTLV構築物を以下のTCR-synTac-PD1架橋実験に用いた。
【0285】
TCR-synTac-PD1架橋:サイズ排除後の溶液プロファイルが十分に折りたたまれたタンパク質を示すものの、各synTac成分(MHC-エピトープ標的化機序及びMODの両方)の完全性を、これら試薬を活性アッセイに用いる前に確認することが望ましい。前述のHEK-A6細胞を正の対照として用い、非同族TCR(AS01、HLA-A0201拘束性エプスタイン‐バーウイルスエピトープに応答する)を発現する細胞を生成し、これを未形質導入親細胞とともに負の対照として用い、それぞれHEK-AS01及びPARENTALと称した。TCR発現は、mCerulean蛍光(TCR融合レポーター)及びTCRシグナル伝達複合体(CD3ε発現プロキシ)に対する表面染色によって確認した。HEK-A6細胞に、無蛍光性の精製HTLV-PD-L1 synTac変異体を負荷し、マウスIgG2aに融合させたその同族受容体PD1とともにこれを培養した。FITC標識抗マウス第二抗体を用いてPD-1-Fc融合を検出した。FITC蛍光(すなわち、「架橋」)は、
図7A~7Bに示すように、同族TCR表面発現に依存していた。具体的には、FITC蛍光は、非同族TCRを有するHEK細胞または親細胞(HEK-AS01、PARENTAL)に対して負荷した場合、すなわち、FITC-PD1-Fcのみに対して負荷した場合、もしくはMODが存在しなかった場合には観察されなかった。
【0286】
作用時のsynTac:T細胞アッセイ。synTacプラットフォームの標的化力の概念実証として、阻害性synTac構築物をT細胞抑制アッセイで調べた。PD-L1に融合させたsynTac IGRPの軽鎖型は、IGRP206-214特異的T細胞を特異的に抑制するであろうという仮説を立てた。CD8+脾細胞を、8.3T細胞受容体トランスジェニック非肥満糖尿病マウスから精製した。この脾細胞サブセットは、H-2Kd内のIGRP206-214ペプチドに特異的なCD8+T細胞を主に含む。これらのCD8+T細胞を次に、固定化抗CD3抗体の存在下で培養、すなわち、ポリクローナルT細胞活性化を刺激し、刺激された培養物は、可溶性型のsynTac IGRP-PD-L1またはsynTac TUM-PD-L1のどちらかで処理し、任意の抑制効果の抗原特異性を調べた。PD-L1のないsynTac IGRP型は、MODドメインに対するエフェクターの対照としての役割を果たした。播種の前に、T細胞活性化で誘導される細胞増殖の程度を観察するために、細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)、すなわち、細胞分裂ごとにその強度が半減する蛍光細胞質染料で標識化した。5日間の培養後、細胞を採取し、フローサイトメトリーを用いて生存率と増殖を調べた。上清もまた、CD8+T細胞エフェクターサイトカインのIFNγ及びTNFα発現について、多重化フローサイトメトリービーズアッセイを用いて調べた。調べたすべてのCD8+T細胞活性化パラメータは、
図8A~8Dに示すように、抗原特異的かつエフェクター(すなわち、MOD)ドメイン依存的に抑制された。すなわち、IGRP-PD-L1 synTacは、TUM-PD-L1 synTacまたはIGRP-(PD-L1なし)のどちらかと比較して非常に抑制的で、synTacの活性はペプチド-MHC及びMODドメインの両方に依存することが示された(
図8D)。synTacは、IFNγの分泌を約100倍抑制することができ、大部分の細胞の死をもたらし、MODドメインとしてPDL1を有するsynTacは、標的化特異性の機能的な抑制及び排除が可能であることが示唆された。
【0287】
親和性の減衰:調節ドメインとしてのPD-1/PDL-1系の使用に伴って起こりうる問題は、PD-L1が、下流のシグナル伝達に相違を伴う2つ以上の受容体に結合する可能性があるということである。PD-L1はB7-1及びPD-1の両方に結合することが示されている。標的外の結合の問題を避けるため、所望の標的、すなわちPD-1にのみ結合する一方、独立したFc融合として試験した場合にはそのT細胞阻害能を保つ、単一点変異体(例えば、特にG119D及びG119R、並びに本明細書に記載のその他)を用いてもよい。特に、この変異体PD-L1のFc融合だけで、免疫調節の有用な試薬になりうる。synTacでは、これらの変異体は様々なPD-1の結合親和性をもたらす。G119D及びG119Rの変異を有するIGRP系synTac融合タンパク質が製造された。
【0288】
モジュール設計:可溶性の一価MHC分子は、それらの同族T細胞受容体に対して本質的に親和性が低く、ゆえに診断または治療目的に有用な試薬ではなかった。2量体MHC複合体は抗原特異的T細胞の可視化のために様々な系で用いられているが[39]、より親和性の高いMHC4量体及びより高次の多量体がより通常に用いられる[40]。本研究から、現在の2量体synTac構築物が十分に折りたたまれたタンパク質の高レベルの発現をもたらし、標的T細胞応答を誘発することが明らかだが、特定の場合には、結合価を増加させてT細胞の標的化能を高めることによって、synTac技術を拡張することが望ましいことがある。その目的で、IGRP標的化機序を有し、IgA及びIgMのFc領域内に軽鎖結合としてPD-L1 MODを備えるsynTac変異体を再度設計した。J鎖とのジスルフィド架橋を介した共有結合によって、このIgA及びIgM骨格はそれぞれ4量体及び10量体に基づく提示を可能にする。レンチウイルスを生成し、HEK-KO細胞で形質導入し、発現検査をして、これら試薬の初期の発現能を裏付けた。必要に応じて、MODをJ鎖に直接、N末端として、C末端として、または二重融合として結合して、標的分子に対するMODの結合価を変更することができる。さらに、synTac配置は柔軟なため、二重の重鎖/軽鎖連結を用いて複数のペプチドエピトープまたはMODを同時に提示することができる(例えば、三重特異性)。さらに、他のMODとしては、限定されないが、活性化用に4-1BBL及び抗CD28、並びに阻害のためにB7Wが挙げられる。特定の構築物はさらなる標的化エピトープを使用できる。さらに、より高いレベルの結合価(IgA及びIgM)を有するsynTac変異体は、記載の通り非化学量論的に連結されたMOD(例えば、J鎖連結)と同様に用いることができる。
【0289】
実施例2:3量体synTacポリペプチドの生成
刺激性MOD(4-1BBL)受容体3量体発現:活性4-1BBL担持synTac生成のための最初の取り組みにより、軽鎖連結変異体(
図3A)が活用された。これは、単一の形質移入として発現され(すべての断片が単一のプラスミドにコードされた)、ウイルスP2A配列によって分割され、かつ、高度に発現した十分に折りたたまれたタンパク質をもたらした(
図6B、レーン5)。ゲルろ過プロファイルに加えて多角度光散乱(MALS)データによって、この最初の型は十分に折りたたまれた2量体である(
図10B、
図9Bに示す通り)ことが示唆された。TNFファミリーのリガンドである4-1BBLは、完全な活性のために3量体化(例えば、同じタンパク質の3つのコピー、すなわちホモ3量体)が必要である。3量体化を達成するため、この4-1BBL担持synTac構築物及び「遊離」4-1BBL(親和性タグを持たない4-1BBL単独[残基50~254、膜近位及びTNF相同ドメイン含有、
図10A;
図9A])をともに同一の細胞で発現させ(例えば、共発現)、
図10Cに示すように天然の集合及び3量体化を可能にした(元のsynTac構築物が黒、遊離のBBLがグレー)(
図9A及び
図9B構築物の共発現)。ゲルろ過クロマトグラフィーに加えて多角度光散乱(MALS)データによって、この新型が所望の3量体であることが裏付けられた(
図11A~11B、synTac番号40+51として表示)。後述(MOD最適化)するように、この4-1BBL構築物は、さらに発現及び精製プロファイルを改善して安定性及び再現性を向上させるように、さらに最適化されうる。
【0290】
刺激性MOD受容体結合及びヒト/マウス交差反応性:サイズ排除後の溶液プロファイルが十分に折りたたまれたタンパク質を示すものの、各synTac成分(MHC-エピトープ標的化機序及びMODの両方)の完全性を、これら試薬を活性アッセイ法に用いる前に確認することが望ましい。この特定の標的化機序(マウスKdでのIGRPペプチド)は、完全に確認されているため(
図7A~7B)、4-1BBL受容体結合の程度をさらに調べた。その目的のために、プロテインAのマイクロビーズを飽和状態まで組み換えヒトまたはマウス4-1BB-Fc融合タンパク質(市販の供給源由来)で被覆した。次に4-1BB被覆マイクロビーズを用いて、4-1BBリガンド(2量体型及び3量体型)担持synTac構築物を共刺激ドメインとして結合し、その後synTac重鎖アイソタイプに特異的な蛍光検出抗体と結合した。次にビーズ付き4-1BBへのsynTac4-1BBLの特異的結合度を、ハイスループットフローサイトメトリーで測定した。このシステムを用いて、ヒト及びマウス両方の4-1BBに対する4-1BBLの交差反応性及び相対的親和性の程度をこのsynTac骨格の中で調査した。4-1BBL担持synTac(3量体、2量体と呼ぶ)は、同族受容体に結合し、「受容体のない」(MODなしと呼ぶ)Fc結合マイクロビーズを結合しないことが示され、十分に折りたたまれた活性タンパク質試薬が示唆された(
図12)。さらに、この3量体は、あらためて2量体の提示を裏付ける、10分の1の結合親和性を示す元の2量体との二重3量体結合に対して期待される親和性範囲で結合した。4-1BBL受容体に対する結合を示さないMODなしのsynTac(MODなしと表示)を負の対照として用いた。特に、すべての構築物はマウス及びヒト受容体の両方に結合(交差反応)し、ひいてはインビボマウス試験への直接の拡張を可能にする。
【0291】
インビトロT細胞
刺激アッセイ:4-1BBLのsynTacの活性を調べるため、CD8脾細胞を最初に8.3TCRトランスジェニックNODマウスから精製し、CFSEで蛍光標識し、可溶性IGRP-41BBL synTac(2量体もしくは3量体)または可溶性TUM-41BBL synTacのどちらかでインビトロ処理する前に増殖を追跡した(
図13)。対照の処理は培地のみまたは固定化抗CD3とした。培養4日後、細胞はFACSによって、生存率(DAPI排除)、及び増殖(CFSE希釈)について調べた。上清を、フローサイトメトリーELISAによって、IFNγ及びTNFαレベルについて調べた。syntac-PDL1(
図8A~8D)の場合のように、syntac-41BBLのインビトロ活性は非常に抗原特異的であり、syntacのIGRP-41BBL対TUM-41BBLについて言えば、より多くの生存率、増殖、及びサイトカイン放出をもたらした。予想通り、3量体の4-1BBLが完全な活性(例えば、増殖、生存率、及びサイトカイン放出)にとって必要であった。さらに、IGRP-41BBLに対する応答は、固定化抗CD3の判断基準と比べても遜色がなく、可溶性syntac-41BBLが高レベルのT細胞活性化を仲介しうることが示唆された。本明細書に記載のさらなるすべての関連する実験で3量体のsyntac-41BBLを用いた。
【0292】
インビボT細胞
刺激-単回投与:synTac-41BBLがインビボでのT細胞活性化に同様の影響を与えるかどうかをさらに調べた。NODマウスをsynTac TUM-41BBLと対比してsynTac IGRP-41BBLで処置し、脾臓におけるIGRP特異的CD8
+T細胞の頻度を測定した。ほとんどのT細胞が特定のクローン型であるTCRトランスジェニックNODマウスと異なり、普通のNODマウスは非常に異なるTCRレパートリーを有し、「天然の」免疫レパートリーのより良好な近似である。NODマウスにsynTac IGRP-41BBL、synTac TUM-41BBL、またはPBSを腹腔内注射し、注射の6日後に殺処分した。その後、適切なペプチド-MHC5量体染色を用いて、脾細胞のIGRP特異的CD8T細胞の相対頻度をフローサイトメトリーで調べた。IGRP-41BBL処置により、IGRP特異的CD8T細胞の頻度が対照に対してはるかに高くなった。さらに、インビボで拡大されたIGRP特異的細胞は、インビトロで再刺激した場合にIFNγの産生が可能であった。これらの結果は、syntac-41BBLが抗原特異的方式で機能的CD8エフェクターT細胞を拡大する能力を裏付ける(
図14)。
【0293】
インビボT細胞刺激-複数回投与:確立した腫瘍抗原である「TUM」9量体ペプチドに特に注目して、インビボでのT細胞活性化における変更した処理レジメンの影響を調べた。NODマウスをsynTac TUM-41BBLと対比してsynTac IGRP-41BBLで、3回投与(先の単回投与と比べて)を用いて2週間にわたって処置した。IGRPまたはTUM特異的CD8T細胞の頻度を測定した。NODマウスにsynTac IGRP-41BBL、synTac TUM-41BBL、またはPBSを腹腔内注射し、注射の7日後に殺処分した。その後、適切なペプチド-MHC5量体染色を用いて、血液(PMBCのもの)及び脾細胞のIGRPまたはTUM特異的CD8T細胞の相対頻度をフローサイトメトリーで調べた。この場合もやはり、不適切な抗原及びPBSの対照に対して、IGRP-41BBL処置によってIGRP特異的CD8T細胞の頻度がはるかに高くなった一方、TUM-41BBL処置によってTUM特異的CD8T細胞の頻度がはるかに高くなった(
図15)。同様のパターンが脾臓で観察された。これらの結果は、synTac-41BBLの複数回投与レジメンが、まれな腫瘍に特異的なT細胞の抗原特異的拡大を含めた、抗原特異的方式での機能的CD8エフェクターT細胞を拡大できることを裏付ける。
【0294】
インビボT細胞阻害:非肥満糖尿病(NOD)マウスにsynTac IGRP-PDL1、synTac TUM-PDL1、またはPBSを腹腔内注射した。注射の6日後、膵臓を分離し、適切なペプチド-MHC5量体染色を用いて、膵細胞のIGRP特異的CD8
+T細胞の相対頻度をフローサイトメトリーで調べた。
図23に示すように、IGRP-PDL1処置によって、IGRP特異的CD8
+T細胞の頻度が対照のsynTac TUM-PDL1及びPBS処理マウスに対してはるかに低くなった。これらのデータは、synTac単回投与後の抗原特異的インビボ枯渇を実証する。
【0295】
MOD最適化:実験の間、ほとんどの標的タンパク質(4-1BBL3量体synTac)が、より高次の多量体の特性をサイズ排除クロマトグラフィーにおいて示し、おそらく「遊離の」BBLの放出/交換によって時間とともに分解したであろうことが観察された。従って、4-1BBLの共有結合的集合に重点を置きながら、安定性が向上し、製造が容易な4-1BBL骨格を追求した。その目的で、4-1BBLのTNF相同ドメイン内の操作されたジスルフィド結合(
図16A;ジスルフィドは矢印で示す;
図9C~9E)の使用を探索した。X線構造(PDB 2X29)解析から、ジスルフィド結合性がありえ、受容体結合に干渉する可能性の低い、3対の可能性のある残基を選択した。各構築物の2つの天然残基をシステイン残基で置き換え(Q94C:P245C)、Q94C:P242C、及びQ89C:L115C、それぞれsynTac69、70、71と呼ぶ)、ヒト細胞中、同じ変異を有する「遊離」非タグ型(それぞれ98、99、100と呼ぶ)と共に発現させ、共有結合的固定を可能にし、ジスルフィド結合度を、非還元SDS-PAGE分析で観察した(
図18;以下の共発現構築物をDL1(ジスルフィド固定-1、synTac69/98)、DL2(70/99)、及びDL3(71/100)と呼ぶ)。3つの構築物すべてが十分に発現し、ジスルフィド固定を可能にして(
図18)、受容体に結合した(
図17)。synTac-4-1BBLのこれら共有結合的「ジスルフィド固定」変異体は、考察された安定性の問題に対処するものの、「遊離」BBLの共発現(共発現)は、3量体化を可能にするためになお必要であり、これは、刺激性synTacの製造及びバイオ製造を複雑にしうる。この障害に対する1つの解決法は、4-1BBLのTNF相同ドメインの、一本鎖3量体(4-1BBL-SCT、
図16B;
図9F)と呼ばれる単一の連続的な構築物としての発現であることが分かった。具体的には、4-1BBL残基80~246(TNF相同ドメインのみ)の3つのコピーを2つの(G4S)
5リンカー配列で共有結合的に保持された(
図16B、リンカーは曲線で示す;
図9F)。発現及びゲルろ過に加えて多角度光散乱(MALS)データによって、この新型が所望の共有結合的一本鎖3量体(
図18)であり、4-1BBL受容体に良好に結合した(
図17)ことが裏付けられる。
【0296】
本発明は、その具体的な実施形態を参照して記載されたが、当業者には、本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、等価物が置き換えられてもよいことを理解されたい。さらに、本発明の目的、趣旨及び範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、工程、工程の1つの段階または複数の段階に適応させるために多くの変更がなされてもよい。すべてのかかる変更は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0297】
【配列表】