(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20220106BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220106BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220106BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220106BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220106BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/891
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/06
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020215406
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2021-01-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398039945
【氏名又は名称】ニベア花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125092
【氏名又は名称】佐藤 玲太郎
(72)【発明者】
【氏名】梅村 聡
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095637(JP,A)
【文献】特開2010-077042(JP,A)
【文献】特開2020-055804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)煙霧シリカ
(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(C)
疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース
(D)油剤
を含有し、
前記成分(C)の含有量は0.01重量%以上3.0重量%以下であり、
前記成分(D)が、成分(D1)油溶性紫外線吸収剤及び成分(D2)アルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーンを含有する、
ことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記成分(D)が、85℃に加熱した際の660nm波長光の透過率が0.1%以上であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
さらに、(E)保湿成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(F)水溶性多価アルコール及び/又は水溶性ポリエチレングリコールを含有
し、
前記成分(F)の含有量は0.5重量%以上15.0重量%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
さらに、乳化剤を含まないか、又は、乳化剤を1.0重量%以下含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
25℃における粘度が50000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
日焼け止め化粧料、スキンケア化粧料又はメイクアップ化粧料であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
【0002】
水中油型乳化化粧料は、乳化粒子が油剤、連続相が水であるため、連続相の水の性質が強く表れる。そのため、水中油型乳化化粧料は、みずみずしくさっぱりとした使用感と、塗布した際の延びやすさ、水分の補給力に優れており、口唇用化粧料、皮膚用化粧料、日焼け止め化粧料、身体用化粧料、毛髪用化粧料、と、様々な製品に応用されている。
【0003】
また、紫外線が皮膚や毛髪に与える影響に対する消費者の関心から、紫外線防御効果に優れる化粧料が求められている。紫外線防御能の目安としては、波長が290~315nmの紫外線B波(以下、UVBと言う)に対するSPF(Sun Protection Factor)と、315~400nmの紫外線A波(以下、UVAと言う)に対するPA(Protection Grade of UVA)とがある。従来は、皮膚への影響力が強いUVBに対する効果が重要視されてきたが、皮膚の深部にまで達する点から、UVAに対しても効果のある化粧料の開発が望まれている。
【0004】
紫外線防御能を高めるために、水中油型乳化化粧料に紫外線吸収剤を高濃度に配合すると、紫外線吸収剤の多くが油性であることや難溶性紫外線吸収剤を溶解させるために多量の油剤を配合することから、化粧料の経時安定性が低下するために、多量の乳化剤で安定化を図ることが多かった。
【0005】
ところで、乾式シリカの一種である煙霧シリカは、SPF/PAや耐水/耐汗性向上等、様々な機能を発現することが知られており、紫外線防御能を高めた水中油型乳化化粧料に多く使用されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、(a)ジメチルシリル化シリカ及び/又はトリメチルシリル化シリカ、(b)ポリヒドロキシステアリン酸、(c)ジメチコジエチルベンザルマロネートを含有することで、使用時のみずみずしさに優れながらも、耐水性と分散安定性が良好であり、紫外線防御効果に優れる水中油型乳化化粧料が開示されている。また、本出願人も、1種類以上の有機系紫外線吸収剤を組み合わせ、さらに、疎水化処理無水ケイ酸を配合することで、使用感及び安全性に優れ、かつ、紫外線防御効果に優れた日焼け止め化粧料を提案している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-168134号公報
【文献】特開2018-131411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年は、紫外線防御に関するより一層高い効果を持った化粧料が期待されている。しかし、高い効果を達成するために十分な量の煙霧シリカを水中油型乳化化粧料に配合しようとすると、粘度変化、乳化分離等の経時安定性が低下し、同時に、みずみずしさも著しく減じてしまっていた。また、煙霧シリカを高配合した水中油型化粧料の経時安定化のためには、更に高粘度化等の別の手段を取る必要があり、その結果、使用感が劣ってしまうことがあった。
【0009】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、煙霧シリカを含みながらも、低粘度で経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、煙霧シリカに、アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、疎水化セルロースとを組み合わせて水中油型化粧料に配合することにより、煙霧シリカを含みながらも、経時安定性に優れ、低粘度で経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、以下の構成によって把握される。
[1]次の成分(A)~(D);
(A)煙霧シリカ
(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(C)疎水化セルロース
(D)油剤
を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【0012】
[2]前記成分(D)が、下記成分(D1)及び/又は成分(D2)を含有することを特徴とする[1]に記載の水中油型乳化化粧料。
(D1)油溶性紫外線吸収剤
(D2)アルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーン
【0013】
[3]前記成分(D)が、85℃に加熱した際の660nm波長光の透過率が0.1%以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の水中油型乳化化粧料。
【0014】
[4]さらに、成分(E)保湿成分を含有することを特徴とする[1]~[3]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【0015】
[5]さらに、成分(F)水溶性多価アルコール及び/又は水溶性ポリエチレングリコールを含有することを特徴とする[1]~[4]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【0016】
[6]さらに、乳化剤を含まないか、又は、乳化剤を1.0重量%以下含有することを特徴とする[1]~[5]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【0017】
[7]25℃における粘度が50000mPa・s以下であることを特徴とする[1]~[6]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【0018】
[8]日焼け止め化粧料、スキンケア化粧料又はメイクアップ化粧料であることを特徴とする[1]~[7]のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本構成を有しない場合に比して、高い紫外線防御効果を有し、経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものであって、これらにより本発明を限定するものではない。
【0021】
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(A)煙霧シリカと、成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、成分(C)疎水化セルロース及び成分(D)油剤とを含有する。
【0022】
<成分(A)煙霧シリカ>
本発明に用いられる成分(A)の煙霧シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、気相法(四塩化ケイ素(SiCl4)の火炎加水分解反応(乾式燃焼法))により得られるシリカ微粒子である。煙霧シリカは、一般に化粧料に使用されるものであれば、特に限定なく用いることができる。
【0023】
成分(A)の煙霧シリカは疎水性でも親水性でもよいが、耐水性及び皮膚への親和性の観点から、疎水性が好ましい。
【0024】
成分(A)の煙霧シリカの1次粒子の平均粒子径は、日焼け止め機能向上、分散性及びハンドリング性の観点から、1nm以上100nm以下が好ましく、3nm以上60nm以下がより好ましく、5nm以上30nm以下がさらに好ましい。平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡写真から測定することができる。
【0025】
成分(A)の煙霧シリカは、BET1点法で測定される比表面積が30m2/g以上420m2/g以下が好ましく、100m2/g以上350mm2/g以下がより好ましく、120m2/g以上250mm2/g以下がさらに好ましい。上記範囲とすることにより、分散性が低下せずその機能を発揮することができる。
【0026】
また、成分(A)の煙霧シリカの嵩密度は、SPF/PAや耐水/耐汗性向上の効果を有効に発揮するため、20g/L以上70g/L以下が好ましく、25g/L以上50g/L以下がより好ましい。なお、嵩密度は、1Lのシリンダーに重量を測定した煙霧シリカを入れ、30分静置後の体積を計測することで算出した値である。
【0027】
成分(A)の煙霧シリカの市販品としては、例えば、アエロジル200、アエロジル300、アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR202、アエロジルRY200(以上、日本アエロジル社製)、タラノックス500(タルコ社製)、キャボジルTS-530(キャボット社製)、HDK-H20、HDK-H30(旭化成ワッカーシリコーン社製)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明における成分(A)煙霧シリカの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.1重量%以上5.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上4.0重量%以下がより好ましく、0.3重量%以上3.0重量%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、SPF/PAの機能を有しながら耐水/耐汗性を保持することができる。
【0029】
<成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー>
本発明に用いられる成分(B)のアルキル変性カルボキシビニルポリマーにおいて、「カルボキシビニルポリマー」とは、重合性ビニル基と、カルボキシル基又はアルキル変性カルボキシル基とを少なくとも有する重合性モノマーを構成単位として含む重合体の総称である。また、「アルキル変性」とは、共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部がアルキルエステル化していることをいい、例えば、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類を構成モノマーとして含む重合体は、アルキル変性カルボキシビニルポリマーに含まれる。成分(B)は、一般に化粧料の成分として使用されるものであれば特に限定されず、具体的には、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー等が挙げられる。
【0030】
成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、PEMULEN TR-1、PEMULEN TR-2、カーボポールETD 2020、カーボポールULTREZ 20、カーボポールULTREZ 21(以上、日本ルーブリゾール社製)、AQUPEC HV-501ER、AQUPEC HV-801ERK(住友精化社製)等が挙げられる。
【0031】
本発明における成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.01重量%以上3.0重量%以下が好ましく、0.05重量%以上2.0重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上1.0重量%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、みずみずしさを損なわず、安定性と使用性を向上させることができる。
【0032】
<成分(C)疎水化セルロース>
本発明に用いられる成分(C)の疎水化セルロースとは、疎水性基を有するセルロース、または疎水性基を有するセルロース誘導体をいう。疎水性基としては、例えば、アセチル基、アルキル基、フェニル基、エポキシ基、マレイン官能基、カルボキシル基等が挙げられる。疎水化セルロースとしては、一般に化粧料に使用されるものであれば、特に限定なく用いることができる。
【0033】
成分(C)の疎水化セルロースの市販品としては、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:サンジェロース60M、サンジェロース60L、サンジェロース90M、サンジェロース90L、以上、大同化成工業社製)、エチルヒドロキシエチルセルロース(BERMOCOLL EHM、アクゾノーベル社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(BENECEL K100M、アシュランド・ジャパン社製)、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na(ポイズ310、花王社製)等が挙げられる。
【0034】
本発明における成分(C)疎水化セルロースの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.01重量%以上3.0重量%以下が好ましく、0.05重量%以上2.0重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上1.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、使用感及び保湿性を向上させることができる。
【0035】
本発明において、成分(B)及び成分(C)の合計含有量に対する成分(A)の重量割合((A)/((B)+(C))は0.5以上200以下が好ましく、1.0以上40以下がより好ましく、1.0以上4.0以下がさらに好ましい。上記の範囲とすることで、煙霧シリカを高配合で含みながらも、低粘度で経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる。
【0036】
<成分(D)油剤>
本発明に用いられる成分(D)の油剤は、水中油型乳化化粧料において油相を形成する。本発明における「油剤」とは、化粧料の成分として一般に使用されるものであれば、特に限定されず、常温常圧で液状又は固形状又は半固形状の油分(非揮発性油分)並びに揮発性油分を含有することができる。
【0037】
油剤としては、例えば、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油、高級アルコール、高級脂肪酸及び油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0038】
シリコーン油としては、直鎖状ポリオルガノシロキサン、環状ポリシロキサン等が挙げられる。直鎖状ポリオルガノシロキサンとしては、炭素数が1~5のアルキル基を有する直鎖状アルキルポリシロキサン、炭素数が1~5のアルキル基及び炭素数が6~10のアリール基を有する直鎖状アルキルアリールポリシロキサン等を適宜用いることができ、具体的には、直鎖状ジメチルポリシロキサン、直鎖状メチルフェニルポリシロキサン等を適宜用いることができる。環状ポリシロキサンとしては、炭素数が1~5のアルキル基を置換基として有する4~6員環の環状シロキサンを適宜用いることができ、具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0039】
炭化水素油としては、流動パラフィン、パラフィン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリブテン、水添ポリブテン等が挙げられる。
【0040】
エステル油としては、サフラワー油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、アボガド油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等の植物性油;ミンク油、タートル油、液状ラノリン等の動物性油;ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル;イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル等の高級アルコールの脂肪酸エステル;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル等の高級アルコールのオキシ酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0041】
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ホホバアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
【0042】
高級脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0043】
エーテル油としては、セチルジメチルブチルエーテル等を適宜用いることができ、フッ素油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン等を適宜用いることができる。
【0044】
その他の油剤としては、脂肪酸類、ステロール類、ロウ類等を適宜用いることができる。
【0045】
これらの中でも、安定性、使用性及び煙霧シリカ分散性の観点から、シリコーン油、エステル油、炭化水素油)が好ましく、エステル油がより好ましい。
【0046】
本発明における成分(D)油剤の含有量は、水中油型乳化系を形成し得る量であれば特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、1.0重量%以上50.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以上40.0重量%以下がより好ましく、4.0重量%以上30.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる。
【0047】
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分成分(D1)油溶性紫外線吸収剤を少なくとも1種含むことが好ましい。成分(D1)は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
油溶性紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、パラメトキシケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸パラ-ターシャリーブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;エチルヘキシルトリアゾン(2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;4-ターシャリーブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、アントラニル酸メンチル、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、オクトクリレン、ジメチコジエチルベンザルマロネート等が挙げられる。これらの中でも、高い紫外線防御効果の観点から、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジヒドロキシベンゾフェノン、オクトクリレン、4-ターシャリーブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びジメチコジエチルベンザルマロネートが好ましく、ジメチコジエチルベンザルマロネートがより好ましい。
【0049】
本発明における成分(D1)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.1重量%以上30.0重量%以下が好ましく、1.0重量%以上25.0重量%以下がより好ましく、4.0重量%以上20.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる。
【0050】
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(D2)のアルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーンを少なくとも1種含むことが好ましい。
【0051】
アルキル変性シリコーンとは、アルキル基を含有するシリコーンであり、アルキル基は炭素数2~50の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、4~40の直鎖又は分岐鎖であることがより好ましい。ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。このようなアルキル変性シリコーンとしては、例えば、エチルメチコン、セチルジメチコン、ステアリルジメチコン、カプリリルメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、アルキル(C30-45)メチコン、セテアリルメチコン等が挙げられる。これらの中でも、使用感および経時安定性の観点から、アルキル(C30-45)メチコン、エチルメチコン及びカプリリルメチコンが好ましい。
【0052】
アルキル変性シリコーンの市販品としては、例えば、SILWAX D02(Siltech社製)、SS-3408、2503Cosmetic WAX(東レ・ダウコーニング社製)、BELSIL SDM 5055VP(旭化成ワッカーシリコーン社製)、BELSIL CDM 3526VP(旭化成ワッカーシリコーン社製)、SILSOFT 034、SF1632(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0053】
フェニル変性シリコーンとは、シロキサン結合を有するポリマーの、側鎖の少なくとも一部がフェニル基に置換したシリコーンである。フェニル変性シリコーンは、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ジフェニルジメチコン、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、ビスフェニルプロピルジメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン等を挙げることができる。これらの中でも、使用感の観点から、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンがより好ましい。
【0054】
フェニル変性シリコーンの市販品としては、KF-50-100CS、KF-53、KF-54、KF-56A(以上、信越シリコーン社製)、SF1555、SILSHINE151(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)、FZ-209、TORAY DOW CORNING SILICONE SH556(以上、東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0055】
本発明における成分(D2)のアルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーンの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.1重量%以上10.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上7.0重量%以下がより好ましく、0.3重量%以上3.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、みずみずしさを損なうことなく耐水性及び耐汗性の持続力を向上させることができる。
【0056】
成分(D)油剤は、85℃以上で加熱した際の660nm波長光の透過率が0.1%以上であることが好ましい。本発明において、透過率とは、紫外可視分光光度計UV-1800(島津製作所)を用いて、成分(D)油剤を60℃を下回らないようにしながら、波長660nmの透過率を測定して得た値をいう。85℃以上に加熱した際の660nm波長光の透過率が0.1%以上を有する成分(D)油剤を含有した水中油型乳化化粧料は、相溶性が高く、塗布時の均一性の向上すなわちSPFが向上するという効果を有する。なお、成分(D)の油剤が85℃に加熱した際に均一にならず二層以上に分離する際は下部の層の透過率を値として用いる。
【0057】
本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(D)が、成分(D1)油溶性紫外線吸収剤及び/又は成分(D2)アルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーンを含有することが好ましく、成分(D1)油溶性紫外線吸収剤と、成分(D2)アルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーンと、を含有することがより好ましい。両成分を配合することにより、本発明の水中油型乳化化粧料は均一な塗膜を形成し、紫外線領域光、特に320~400nmの波長光に対する防御能が従来または一般的な日焼け止め製剤よりも飛躍的に向上するという効果を有する。
【0058】
(E)保湿成分
本発明の水中油型乳化化粧料は、さらに、成分(E)保湿成分を含有することが好ましい。成分(E)保湿成分を含有することにより、保湿効果を向上させ、使用感を改善することができる。保湿成分としては、従来から化粧品に用いられているものであれば特に限定されず、具体的には後述する(F)水溶性多価アルコール、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸等の天然保湿因子(NMF)又はその類似物、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール等の糖類、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、アミノ酸及びその誘導体、ペプタイド類、可溶性コラーゲン、エラスチン、ケラチン等のタンパク質分解物、キチン、キトサン、酵母抽出物、植物抽出物、海藻エキス等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0059】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.1重量%以上20.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以上15.0重量%以下がより好ましく、1.0重量%以上10.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、べたつきや軋みを抑制しながら保湿効果を得ることができる。
【0060】
<(F)水溶性多価アルコール及び/又は水溶性ポリエチレングリコール>
本発明の水中油型乳化化粧料には、さらに、成分(F)水溶性多価アルコール及び/又は水溶性ポリエチレングリコールを含有することが好ましい。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、PEG-20、PEG-40、PEG-75、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオー、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリグリセリン-3等が挙げられる。これらの水溶性アルコール及び/又はポリエチレングリコールアルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、塗布性の観点でブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、PEG-20、PEG-40が好ましく、ブチレングリコール、プロピレングリコール、PEG-20がより好ましい。
【0061】
本発明における成分(F)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、0.1重量%以上20.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以上15.0重量%以下がより好ましく、1.0重量%以上10.0重量%以下が更に好ましい。この範囲であれば、保湿効果の向上を得ることができる。
【0062】
本発明の水中油型乳化化粧料は、耐水性向上及びべたつきを抑制する観点から、乳化剤を含まないか、耐水性を損なわない範囲で乳化剤を含むことが好ましい。本発明の水中油型乳化化粧料が乳化剤を含む場合には、水中油型乳化化粧料の全重量を基準として、乳化剤の含有量は、1.0重量%未満が好ましく、0.8重量%未満がより好ましく、0.5重量%未満がさらに好ましい。本発明の水中油型乳化化粧料は、乳化剤を含まないことが特に好ましい。
【0063】
<水性成分>
本発明に用いられる水性成分は、上述の水溶性の成分(E)保湿成分並びに成分(F)水溶性多価アルコール及び水溶性ポリエチレングリコール以外の水性成分であり、水中油型乳化化粧料において水相を形成する。水性成分としては、水の他に、水溶性成分であれば特に限定はなく、例えば、エタノール、イソプロパノール等の1価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、植物抽出液等が挙げられる。
【0064】
水性成分の配合量は、特に限定されるものではないが、使用感と安定性の観点から、水中油型乳化化粧料の全量中、30重量%以上98重量%以下が好ましく、40重量%以上95重量%以下がより好ましく、50重量%以上90重量%以下が更に好ましい。
【0065】
<その他の成分>
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記の各成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、デオドラント成分、賦活化成分、抗炎症成分、抗アレルギー成分、美白成分、ビタミン類、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、収斂成分、活性酸素抑制成分、収斂成分、抗炎症成分、老化防止成分、水溶性紫外線吸収剤、紫外線防御剤、皮膜剤、撥水剤、感触向上粉体、増粘剤、顔料、血行促進剤、冷感剤、植物抽出液、高分子ラテックス、セラミド類、抗シワ成分、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の、化粧品や医薬部外品に添加しうる成分を含有することができる。これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0066】
本発明の水中油型乳化化粧料は、25℃における粘度が50000mPa・s以下であることが好ましく、40000mPa・s以下であることがより好ましく、30000mPa・s以下であることがさらに好ましい。本発明において、常温(25℃)においてTVB10形粘度計(東機産業社製)で測定された値を粘度とする。粘度が高すぎると、使用感に劣る場合がある。
【0067】
本発明の水中油型乳化化粧料は、クリーム状、ゲル状、乳液状、液状のいずれの形態であってもよい。また、本発明の水中油型乳化化粧料は、乳液、美容液、化粧水、パック等のフェイシャル化粧料、メイクアップ下地、ファンデーション、アイシャドウ、チーク、アイライナー、マスカラ、口紅等のメイクアップ化粧料、ボディ化粧料、日焼け止め化粧料、クレンジング剤、ヘアトリートメント剤等に好適に用いることができる。優れた紫外線防御効果及び耐水性の観点から、スキンケア化粧料、フェイシャル化粧料、メイクアップ化粧料、ボディ化粧料又は日焼け止め化粧料が好ましく、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料又は日焼け止め化粧料がより好ましい。
【0068】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず、通常公知の方法で製造することができる。例えば、まず、配合成分のうち、成分(A)煙霧シリカ等の粉体成分、及び成分(D)油剤を含む油相成分を混合し、さらに、成分(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、成分(C)疎水化セルロース及び水相成分を混合することにより、製造することができる。また、必要に応じて、上記成分(E)及び(F)からなる群から選択される少なくとも1種を更に混合してもよい。
【実施例】
【0069】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0070】
[1.被験試料の調製]
(1-1)実施例1~実施例21の水中油型乳化化粧料
表1に記した組成に従い、常法に従って、実施例1~実施例21の各水中油型乳化化粧料を調製した。なお、表1~表3中の各成分の配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0071】
(1-2)比較例1~比較例8の水中油型乳化化粧料
表2示した処方に従い、上記(1-1)と同様にして、比較例1~比較例8の各水中油型乳化化粧料を調製した。
【0072】
[2.評価方法]
(2-1)in vitro SPF値及びPA値の測定
5cm×5cmのポリメチルメタクリレート(PMMA)板上に、実施例1~19及び比較例1~11の各水中油型乳化化粧料を1.3mg/cm2になるように1分間均一に塗布し、25℃で15分乾燥させた。次に、SPFアナライザー(UV-2000S、labsphere社製にて、正方形のPMMA板の中央、頂点(4箇所)、及び四辺の中点(4箇所)の計9箇所で、in vitro SPF値及びPA値を測定し、平均値を求めた。
【0073】
(2-2)粘度の測定
各例の水中油型乳化化粧料の粘度は、25℃に保管後、TVB10型粘度計、T-C、5rpmの条件下で測定した。
【0074】
(2-3)経時安定性の評価
各例の水中油型乳化化粧料をガラス瓶に充填し、30℃の恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した「初期粘度値」を測定した。その後、50℃の恒温槽中で30日間保管した後にB型粘度計で測定した「保管後粘度値」を測定した。また、初期粘度値と保管粘度値の変化率(保管後粘度値/初期粘度値)を算出し、油相と水相の分離の有無を目視で観察し、以下の基準に従って経時安定性を評価した。
○:初期粘度値と保管粘度値の変化率が90%以上であり、30日間保管しても油相と水相の分離を生じない。
△:初期粘度値と保管粘度値の変化率が90%未満であるか又は30日経過後に油相と水相の分離が見られる。
×:調製直後から油相と水相の分離が見られる。
【0075】
(2-4)使用感の評価
各例の水中油型乳化化粧料については、訓練を受けたパネラー5名を対象として、被験試料を直接的に皮膚へ塗布することにより、比較例1の水中油型乳化化粧料を対照として、皮膚への「使用感」を下記の基準により点数をつけてパネラー間の平均点を求めた。また、パネラー間の平均点が3.5以上であるものを「○」とし、パネラー間の平均点が3.5未満であり、かつ、パネラー1名以上が2以下の点数をつけたものを「×」として評価した。
5 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、非常にみずみずしく使用感が良い。
4 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、みずみずしく、使用感が良い。
3 比較例1の水中油型乳化化粧料と同等のみずみずしい使用感である。
2 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、べたついており、使用感が悪い。
1 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、べたついており、非常に使用感が悪い。
【0076】
(2-5)耐汗性・耐水性の評価
5cm×5cmのポリメチルメタクリレート(PMMA)板上に、各例の水中油型乳化化粧料を1.3mg/cm2になるように1分間均一に塗布し、25℃で15分乾燥させた。次に、SPFアナライザー(UV-2000S、labsphere社製)にて、正方形のPMMA板の中央、頂点(4箇所)、及び四辺の中点(4箇所)の計9箇所で、SPF値およびPA値を測定し、平均値を求めた。このPMMA板を30℃になるように温度を調整した人工汗に浸漬し、1時間、300rpmで撹拌した後、酸性人工汗液(JIS L 0848)から取り出し、同様の方法で9箇所のSPF値及びPA値を測定し、平均値を求めた。浸漬後のSPF値及びPA値を浸漬前のSPF値及びPA値で除した値をSPF値及びPA値の残存率(%)とし、耐汗性の指標とした。
【0077】
同様に、各例の水中油型乳化化粧料を塗布したPMMA板を30℃の水中で1時間、300rpmで攪拌した後、15分乾燥後に再びSPFアナライザーにて吸光度を測定し、9箇所の平均値を求めた。浸漬後のSPF値及びPA値を浸漬前のSPF値及びPA値で除した値をSPF値及びPA値の残存率(%)とし、耐水性の指標とした。結果を表1に示す。耐汗性・耐水性は、上記の耐汗性試験時のSPF値及びPA値の残存率(%)と耐水性試験時のSPF値及びPA値の残存率(%)の計9点の平均値をとり、下記の判定基準により3段階で評価した。
(評価)
A:(R)=0.8以上
B:(R)=0.5以上0.8未満
C:(R)=0.5未満
【0078】
(2-7)保湿性の評価
被験者の前腕内側に各例の水中油型乳化化粧料を3.5mg/cm2で塗布し、塗布後の角層水分量をコルネオメーター(Corneometer CM825、Courage+Khazaka社製)で測定した。水分変化率(%)を、塗布前の水分量に対し、塗布後3時間後の水分変化量(平均=M)により保湿性を下記の判定基準により3段階で評価した。
【0079】
(評価)
〇:(M)=120%以上
△:(M)=101%以上120%未満
×:(M)=101%未満
【0080】
[3.評価結果]
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
以下に本発明の一態様として、水中油型乳化化粧料の処方例を挙げるが、本発明の技術的範囲はこれらの処方例に限定されない。なお、表中の数値は全て「重量%」である。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【要約】
【課題】煙霧シリカを含みながらも、低粘度で経時安定性に優れ、塗布時にみずみずしい使用感を付与することができる水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】次の成分(A)~(D);(A)煙霧シリカ、(B)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(C)疎水化セルロース、(D)油剤を含有する水中油型乳化化粧料である。また、成分(D)が、下記成分(D1)及び/又は(D2)を含有することが好ましい。
(D1)油溶性紫外線吸収剤
(D2)アルキル変性シリコーン及び/又はフェニル変性シリコーン
【選択図】なし