(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】自動車用の作動液容器内の水性の作動液の物理的状態を判定するための方法、および該方法を実行するための作動液容器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20220106BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G01N27/22 B
G01N27/00 G
(21)【出願番号】P 2020536007
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2018084774
(87)【国際公開番号】W WO2019129503
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】102017131390.7
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カール-ルートヴィヒ・クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ・ハッペル
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート・ヴォルフ
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-110849(JP,A)
【文献】特開2009-210314(JP,A)
【文献】実開平06-058358(JP,U)
【文献】特表2002-504226(JP,A)
【文献】特開平07-005135(JP,A)
【文献】特開2006-162593(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147747(WO,A1)
【文献】米国特許第04857829(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0223021(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の作動液容器(1)内の水性の作動液の物理的状態を判定するための方法であって、前記作動液容器(1)は、前記作動液容器(1)の容器壁(10、20、30)に固定され、第1の電極(61、71)および前記第1の電極の反対側の第2の電極(62、72)を有する少なくとも1つのコンデンサ(60、70)を有し、前記方法が、次の方法ステップ、
-(A)前記コンデンサ(60、70)に少なくとも第1の交流電圧を印加するステップであって、前記第1の交流電圧の第1の周波数は、下限周波数(fmin)に対応する、印加するステップと、
-(B)前記第1の周波数について前記コンデンサ(60、70)の第1のインピーダンスを判定および記憶するステップと、
-(C)前記第1のインピーダンスから、第1の位相角(φ1)を判定するステップと、
-(D)前記第1の位相角(φ1)が第1の臨界角(δ1)より大きい場合に、前記作動液容器(1)に配置された作動液(50)が固体物理的状態にあると判定するステップと、によって特徴付けられる、方法。
【請求項2】
次の、
-(E)前記コンデンサ(60、70)に第2の交流電圧を印加することであって、前記第2の交流電圧の第2の周波数は、上限周波数(fmax)に対応する、印加することと、
-(F)前記第2の周波数について前記コンデンサの第2のインピーダンス(60、70)を判定および記憶することと、
-(G)前記第2のインピーダンスから第2の位相角(φ2)を判定することと、
-(H)前記第1の位相角(φ1)が前記第1の臨界角(δ1)より小さく、前記第2の位相角(φ2)と前記第1の位相角(φ1)との間の差が第2の臨界角(δ2)よりも大きい場合に、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であると判定することと、という特徴によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次の方法ステップ、
-(I)前記第1の位相角(φ1)が、前記第1の臨界角(δ1)より小さく、前記第2の位相角(φ2)と前記第1の位相角(φ1)との間の差が、前記第2の臨界角(δ2)よりも小さい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が液体物理的状態であると判定するステップによって特徴付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
次の方法ステップ、
-(C’)前記第1のインピーダンスから前記コンデンサ(60、70)の第1の静電容量(C1)を判定するステップと、
-(G’)前記第2のインピーダンスから前記コンデンサ(60、70)の第2の静電容量(C2)を判定するステップと、
-(L)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差を判定するステップと、
-(D)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、第1の静電容量偏差(ΔC1)よりも大きい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が固体物理的状態であると判定するステップと、によって特徴付けられる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
次の方法ステップ、
-(H)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、前記第1の静電容量偏差(ΔC1)より小さく、第2の静電容量偏差(ΔC2)より大きい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であると判定するステップによって特徴付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
次の方法ステップ、
-(I)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、第2の静電容量偏差(ΔC2)よりも小さい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が液体物理的状態であると判定するステップによって特徴付けられる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
自動車用作動液容器(1)内の水性の作動液の物理的状態を判定するための方法であって、前記作動液容器(1)は、前記作動液容器(1)の容器壁(10、20、30)に固定され、第1の電極(61、71)および前記第1の電極の反対側の第2の電極(62、72)を有する少なくとも1つのコンデンサ(60、70)を有し、前記方法が、次の方法ステップ、
-(J)前記コンデンサ(60、70)に少なくとも2つの異なる交流電圧を印加するステップであって、第1の交流電圧の第1の周波数は、下限周波数(fmin)に対応し、第2の交流電圧の第2の周波数は、上限周波数(fmax)に対応する、印加するステップと、
-(K)前記第1の周波数についてコンデンサ(60、70)の第1の静電容量(C1)、および前記第2の周波数について前記コンデンサ(60、70)の第2の静電容量(C2)を判定および記憶するステップと、
-(L)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差を判定するステップと、
-(M)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、第1の静電容量偏差(ΔC1)より大きい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が固体物理的状態にあると判定するステップと、によって特徴付けられる、方法。
【請求項8】
次の方法ステップ、
-(N)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、前記第1の静電容量偏差(ΔC1)より小さく、第2の静電容量偏差(ΔC2)より大きい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が部分的に固体、部分的に液体物理的状態にあると判定するステップによって特徴付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
次の方法ステップ、
-(O)前記第1の静電容量(C1)からの前記第2の静電容量(C2)の相対偏差が、第2の静電容量偏差(ΔC2)より小さい場合、前記作動液容器(1)に配置された前記作動液(50)が、液体物理的状態にあると判定するステップによって特徴付けられる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
作動液容器(1)であって、次の、
-前記作動液容器の内部(2)が、天井壁(30)、底壁(10)、および底壁(10)を天井壁(30)に接続する側壁(20)によって画定されており、
-前記作動液容器(1)が、第1の電極(61、71)および第2の電極(62、72)により前記作動液容器(1)の容器壁(10、20、30)に固定された少なくとも1つのコンデンサ(60、70)を有し、
-前記作動液容器(1)が、前記第1の電極(61、71)および前記第2の電極(62、72)に電気的に接続された電子評価器(80)を有する、という特徴を有し
前記評価器(80)が、請求項1~9の少なくとも1項に記載の方法を実行するように設計されていることを特徴とする、作動液容器(1)。
【請求項11】
前記コンデンサ(60、70)が、前記容器壁(10、20、30)に埋設されていることを特徴とする、請求項10に記載の作動液容器(1)。
【請求項12】
次の、
-前記底壁(10)が、前記作動液容器の前記内部(2)に延びる隆起部(11)を有し、かつ
-前記コンデンサ(70)の前記第1の電極(71)および前記第2の電極(72)が、前記隆起部(11)に埋設されている、という特徴によって特徴付けられる、請求項10または11に記載の作動液容器(1)。
【請求項13】
次の、
-前記容器壁(10、20、30)が
、外層(41)、
前記作動液容器の前記内部(2)に面する内層(45)、およびそれらの間に配置された結合層(44)を含み、
-前記少なくとも1つのコンデンサ(60)の前記第1の電極(61、71)および前記第2の電極(62、72)が、前記外層(41)と前記結合層(44)との間に配置されている、という特徴によって特徴付けられる、請求項10~12のいずれか一項に記載の作動液容器(1)。
【請求項14】
次の、
-前記容器壁(10、20、30)が、遮蔽層(42)および絶縁層(43)を有し、
-前記遮蔽層(42)が、前記外層(41)と前記第1および第2の電極(61、62;71、72)との間に配置されており、かつ
-前記絶縁層(43)が、前記遮蔽層(42)と前記第1および第2の電極(61、62;71、72)との間に配置されている、という特徴によって特徴付けられる、請求項
13に記載の作動液容器(1)。
【請求項15】
前記絶縁層(43)が、前記内層(45)および/または前記外層(41)と同じ誘電伝導率を有することを特徴とする、請求項14に記載の作動液容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の作動液容器内の水性の作動液の物理的状態を判定するための方法に関する。本発明はさらに、この方法を実行するための作動液容器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下では、自動車で使用するために設計された水容器として設計された作動液容器も参照するものとする。本発明による作動液容器は、特に、これに限定されないが、例えば、内燃機関の吸気システムに噴射される水を貯蔵するための自動車用の水容器、自動車用の尿素容器、フロントガラス洗浄液容器、追加の液体容器、または添加剤容器である。冒頭で説明したタイプの容器は、押出ブロー成形を使用して頻繁に製造され、その際、HDPE(高密度ポリエチレン)が、押出ブロー成形容器を製造するのに特に適している。さらに、射出成形プロセスにより、それぞれの作動液容器を製造することが可能である。
【0003】
水噴射は、内燃機関の性能を向上させる方法である。最高性能で最高温度を超えないようにするために、内燃機関の吸気システムに蒸留水が噴射される。蒸発する液体には冷却効果があり、圧縮の労力を低減する。噴射は、燃焼サイクルの間、蒸気動力を発生させ、排気ガス温度を低下させ、したがって排気ガス背圧を低下させるためにも行われる。水噴射により、燃焼機関の排出ガスの、特に一酸化窒素を低減することができる。発生する蒸発熱により、吸気システムに噴射された水は効果的な中間冷却をもたらし、したがって、エンジンの内部冷却も実現する。より低温の燃焼空気と、その密度の増加により、性能が向上する。
【0004】
噴射の前提条件は、作動液容器に貯蔵された水が液体物理的状態であることであり、その結果、水をポンプによって輸送することができる。同様のことが、例えば、作動液容器に貯蔵された尿素溶液にも当てはまる。氷点付近の温度では、作動液容器内の水は、部分的に固体、部分的に液体物理的状態になる場合があり、そのため、いくつかの状況では、ポンプを使って水を輸送することができる。氷点下を大幅に下回る温度では、作動液が大部分または完全に凍結するため、水性の作動液を輸送することができない。作動液が部分的な固体物理的状態になるとすぐに、つまり、作動液容器に氷が入るとすぐに、作動液の供給がもはや保証されないため、対策を講じる必要がある。例えば、作動液を輸送できない限り、自動車の作動が阻害される可能性がある。さらに、作動液容器内に配置された作動液を加熱するための加熱装置を作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって対処される課題は、自動車用の作動液容器内の水性の作動液の物理的状態を判定するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって対処される課題は、請求項1の特徴によって解決される。この方法の有利な実施形態は、請求項1に従属する請求項に記載されている。
【0007】
より正確には、本発明によって対処される課題は、自動車用の作動液容器内の作動液の物理的状態を判定するための方法であって、作動液容器が、作動液容器の容器壁に固定され、第1の電極および前記第1の電極の反対側の第2の電極を有する少なくとも1つのコンデンサを有する、方法によって解決される。本発明による方法は、次の方法ステップA、B、CおよびDによって特徴付けられる。
A)コンデンサに少なくとも第1の交流電圧を印加するステップであって、第1の交流電圧の第1の周波数は、下限周波数に対応する、印加するステップ、
B)第1の周波数についてコンデンサの第1のインピーダンスを判定および記憶するステップ、
C)第1のインピーダンスから、第1の位相角を判定するステップ、かつ
D)第1の位相角が第1の臨界角より大きい場合に、作動液容器内に配置された作動液が固体物理的状態にあると判定するステップ。
【0008】
本発明による方法は、作動液容器に貯蔵された作動液が固体の物理的状態であり、したがって氷として存在するかどうかを判定または確認することが、測定装置、この場合は、コンデンサを作動液と直接接触させることなく、信頼できる方法で可能であるため、有利である。少なくとも1つのコンデンサのインピーダンスおよびインピーダンスから生じる位相角は、作動液容器に貯蔵された作動液の物理的状態と相関する。したがって、インピーダンスおよび/またはインピーダンスから生じる位相角を判定することにより、作動液容器内に配置された作動液の物理的状態を推定することができる。
【0009】
コンデンサの周波数依存インピーダンスおよびインピーダンスから生じる位相角は、第1の電極と第2の電極との間の交流電場が浸透する材料の緩和周波数に依存する。したがって、コンデンサの周波数依存インピーダンスおよびインピーダンスから生じる位相角は、容器壁の材料と作動液容器の内部に配置された作動液に依存する。その結果、コンデンサの周波数依存インピーダンスおよびインピーダンスから生じる位相角は、作動液の水分子の配向分極の緩和周波数に依存する。液体物理的状態の水の緩和周波数は数GHzの範囲にあるが、固体物理的状態の水の緩和周波数、すなわち氷の緩和周波数は数kHzの範囲にある。
【0010】
出願人は、コンデンサのインピーダンスから生じる位相角の周波数依存サイズおよび周波数依存プロファイルが、作動液容器に貯蔵された作動液の物理的状態についての明確な推論を可能にすることを見出した。出願人は、例えば、コンデンサのインピーダンスから生じる位相角は、交流電圧の周波数に対してより大きく、これは、作動液体容器内の作動液体が固体物理的状態にあるときの所定の第1の臨界角よりも低い周波数限界に対応すると判定した。このような場合、コンデンサに印加される交流電圧の下限周波数は、コンデンサの幾何学形状およびコンデンサの電極のサイズ、およびコンデンサの電極間の距離に依存する。
【0011】
好ましくは、第1の臨界角は-85°である。下限周波数は、好ましくは10kHzである。したがって、コンデンサのインピーダンスから生じる位相角は、コンデンサに印加される交流電圧で少なくとも-85°であり、これは、作動液容器内の作動液が固体物理的状態にあるとき、すなわち、水性の作動液が凍結して氷として存在するとき、10kHzの周波数を有する。
【0012】
作動液容器は、自動車用の作動液容器であることが好ましい。さらに好ましくは、作動液容器は、自動車の内燃機関に噴射するために提供される水を受容するための自動車用の水容器として設計される。さらに好ましくは、作動液容器は、内燃機関の排気ガスシステムに噴射するために提供される尿素水溶液を受容するための尿素容器として設計される。
【0013】
好ましくは、第1の位相角が第1の臨界角より大きいときに停止信号が出力される。停止信号を出力することにより、自動車の運転を阻止することができる。
【0014】
方法ステップAでは、下限周波数はコンデンサの幾何学形状および寸法に依存するため、変化する可能性がある。下限周波数は、特に10kHzである。
【0015】
位相角は、コンデンサに印加される電圧とコンデンサを流れる電流との間の角度である。
【0016】
その結果、電圧と電流との間の位相角は方法ステップCで判定される。
【0017】
損失角とは、-90°とインピーダンスの位相角との間の差を指す。
【0018】
したがって、方法ステップCは次のように定式化できる。第1の周波数についてコンデンサの第1の損失角を判定するステップ。その後、方法ステップDは次のようになる。第1の損失角が第1の臨界損失角より大きい場合、作動液容器内に配置された作動液が固体物理的状態であると判定するステップ。
【0019】
好ましくは、第1の臨界損失角は5°である。下限周波数は、好ましくは10kHzである。したがって、コンデンサのインピーダンスから生じる損失角は、コンデンサに印加される交流電圧で少なくとも5°であり、これは、作動液容器内の作動液が固体物理的状態にあるとき、すなわち、水性の作動液体が凍結して氷として存在するとき、周波数が10kHzである。
【0020】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
E)コンデンサに第2の交流電圧を印加するステップであって、第2の交流電圧の第2の周波数は、上限周波数に対応する、印加するステップ、
F)第2の周波数についてコンデンサの第2のインピーダンスを判定および記憶するステップ、
G)第2のインピーダンスから第2の位相角を判定するステップ、および
H)第1の位相角が第1の臨界角より小さく、第2の位相角と第1の位相角との間の差が第2の臨界角より大きい場合、作動液容器に配置された作動液が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であると判定するステップ。
【0021】
対応して設計された方法は、作動液容器に貯蔵された作動液が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であるかどうかの判定または確認が、コンデンサと作動液との直接接触なしに信頼できる方法で可能であるという利点を有する。作動液容器に貯蔵された水性の作動液の部分的に液体状態で部分的に凍結状態である状態は、特に作動液の凍結痕の範囲の温度で構成される。
【0022】
好ましくは、方法ステップHの間または方法ステップHの後に警告信号が出力される。このように、作動液容器に貯蔵された作動液が部分的に固体状態で部分的に液体物理的状態で存在する場合に警告信号が出力される。
【0023】
警告信号を出力することにより、作動液容器が設置されている自動車の使用者は、作動液容器の内部に配置された作動液が少なくとも部分的に凍結されていることを知ることができる。警告信号の出力は、作動液容器に貯蔵された作動液を加熱するための加熱装置を特に作動させることができる。
【0024】
下限周波数および上限周波数はどちらも、コンデンサの幾何学形状および寸法に依存するため、変化する可能性がある。特に、下限周波数は10kHzであり、上限周波数は100kHzである。
【0025】
第2の臨界角は、好ましくは7°である。作動液容器に貯蔵された水性の作動液の部分的に固体、部分的に液体物理的状態の場合、例えば、100kHzを有することができる上限周波数での位相角と、例えば、10kHzを有することができる下限周波数での位相角の差は、7°より大きい。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つのコンデンサに2つ以上の交流電圧が印加される。少なくとも1つのコンデンサに印加される複数の交流電圧はそれぞれ、周波数下限と周波数上限との間の周波数範囲で異なる周波数を有する。
【0027】
それぞれが互いに隣接している交流電圧の周波数間隔は、好ましくは可変であり、コンデンサの幾何学形状および寸法、および達成される測定分解能に依存する。異なる交流電圧の周波数間の周波数間隔は、特に1kHzである。
【0028】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
I)第1の位相角が第1の臨界角よりも小さく、第2の位相角と第1の位相角との間の差が第2の臨界角よりも小さい場合、作動液容器に配置された作動液が液体物理的状態であると判定するステップを有する。
【0029】
好ましくは、方法ステップIの間またはその後の方法ステップIの間に解除信号が出力される。これにより、作動液容器に貯蔵された作動液が物理的状態である場合に、解除信号が出力される。
【0030】
解除信号を出力することにより、特に、自動車の制御装置に、作動液容器に配置された作動液が液体物理的状態で存在することを信号で伝えることができ、これにより自動車の運転が可能になる。
【0031】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
C’)第1のインピーダンスからコンデンサの第1の静電容量を判定するステップと、
G’)第2のインピーダンスからコンデンサの第2の静電容量を判定するステップと、
L)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差を判定するステップと、
D)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が第1の静電容量の偏差より大きい場合、作動液容器に配置された作動液が固体物理的状態であると判定するステップと、を有する。
【0032】
対応して設計された方法は、さらに増加した精度を有し、したがって、作動液容器に貯蔵された作動液の氷形成を検出する信頼性を有する。これは、対応する方法を実行する作動液容器が設置されている自動車の運転安全性を高める。
【0033】
出願人は、コンデンサの静電容量が、液体物理的状態の水性の作動液よりも固体物理的状態の水性の作動液の方が、下限周波数と上限周波数との間でより大きく低下することを見出した。この場合、コンデンサに印加される交流電圧の周波数の下限および上限は、コンデンサの幾何学形状とコンデンサの電極のサイズ、およびコンデンサの電極間の距離、および達成される測定分解能に依存する。
【0034】
出願人は、水性の作動液が固体物理的状態の場合、10kHz~100kHzの周波数範囲における作動液容器内の水性作動液体のためのコンデンサの周波数依存静電容量が少なくとも20%減少することを見出した。したがって、第1の容量偏差は20%である。
【0035】
しかしながら、周波数範囲は、コンデンサのサイズおよび形状に基づいて変化する可能性がある。
【0036】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
H)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が、第1の静電容量の偏差より小さく、第2の静電容量の偏差より大きい場合、作動液容器内に配置された作動液が部分的に固体、部分的に液体物理的状態にあると判定するステップを有する。
【0037】
対応して設計された方法は、さらに増加した精度を有し、したがって、作動液容器に貯蔵された作動液の氷形成を検出する信頼性を有する。これは、対応する方法を実行する作動液容器が設置されている自動車の運転安全性を高める。
【0038】
出願人は、水性の作動液が部分的に固体であり、部分的に液体物理的状態である場合、10kHz~100kHzの周波数範囲における作動液容器内の水性の作動液のためのコンデンサの周波数依存静電容量が、20%未満および5%を超えて減少することを見出した。したがって、第1の容量偏差は20%、第2の容量偏差は5%である。
【0039】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
I)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が第2の静電容量の偏差よりも小さい場合、作動液容器に配置された作動液が液体物理的状態であると判定するステップを有する。
【0040】
対応して設計された方法は、作動液容器に貯蔵された作動液の液体物理的状態を判定するために、さらに高い精度、したがって信頼性を有する。これは、対応する方法を実行する作動液容器が設置されている自動車の運転安全性を高める。
【0041】
本発明によって対処される課題は、本発明の請求項7に記載の方法によってさらに解決される。この方法の有利な実施形態は、請求項7に従属する請求項に記載されている。
【0042】
より正確には、本発明によって対処される課題は、自動車用の作動液容器内の作動液の物理的状態を判定するための方法であって、作動液容器が、作動液容器の容器壁に固定され、第1の電極と、前記第1の電極の反対側の第2の電極と、を有する少なくとも1つのコンデンサを有する、方法によって解決される。本発明による方法は、次の方法ステップJ、K、LおよびMによって特徴付けられる。
J)コンデンサに少なくとも2つの異なる交流電圧を印加するステップであって、第1の交流電圧の第1の周波数は下限周波数に対応し、第2の交流電圧の第2の周波数は上限周波数に対応する、印加するステップ、
K)第1の周波数についてコンデンサの第1の静電容量、および第2の周波数についてコンデンサの第2の静電容量を判定および記憶するステップ、
L)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差を判定するステップ、および
M)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が第1の静電容量の偏差より大きい場合、作動液容器に配置された作動液が固体物理的状態であると判定するステップ。
【0043】
本発明による方法は、作動液容器に貯蔵された作動液が固体物理的状態であり、したがって氷として存在するかどうかを判定または確認することが、測定装置、この場合は、コンデンサを作動液と直接接触させることなく、信頼できる方法で可能であるため有利である。少なくとも1つのコンデンサの静電容量は、作動液容器に貯蔵された作動液の物理的状態と相関する。したがって、コンデンサの周波数依存静電容量を判定することにより、作動液容器内に配置された作動液の物理的状態を推定することができる。
【0044】
作動液容器に貯蔵された作動液の物理的状態は、コンデンサの静電容量と相関があり、これは、次に、コンデンサの第1の電極と第2の電極との間の交流電場が浸透する媒体に依存する。したがって、コンデンサの周波数依存静電容量を判定することにより、作動液の物理的状態を推定することができる。
【0045】
コンデンサの周波数依存静電容量は、コンデンサの第1の電極と第2の電極との間の交流電場によって浸透された媒体の電気伝導率に依存する。そのため、コンデンサの周波数依存静電容量は、容器壁の材質や、作動液容器に配置された作動液の物理的状態に依存する。
【0046】
出願人は、コンデンサの静電容量プロファイルが、印加される交流電圧の周波数を介して、作動液の物理的状態についての明確な推論を可能にすることを見出した。出願人は、例えば、コンデンサの静電容量プロファイルが特定の偏差、例えば、作動液が固体物理的状態にあるときの下限周波数と上限周波数との間の特定の低下を示さなければならないことを判定した。そのような場合、コンデンサに印加される交流電圧の下限周波数および上限周波数は、コンデンサの幾何学形状およびコンデンサの電極のサイズ、ならびにコンデンサの電極の互いの距離に依存する。
【0047】
出願人は、10kHz~100kHzの周波数範囲において約130μS/cmの導電率を有する作動液容器内に貯蔵された水性の作動液用のコンデンサの静電容量が少なくとも20%逸脱すると判定した。したがって、100kHzの周波数におけるコンデンサの静電容量と、10kHzの周波数におけるコンデンサの静電容量との間の差は、少なくとも20%である。しかしながら、周波数範囲は、コンデンサのサイズと幾何学形状に基づいて変化する可能性がある。
【0048】
作動液容器は、自動車用の作動液容器であることが好ましい。さらに好ましくは、作動液容器は、自動車の内燃機関に噴射するために提供される水を受容するための自動車用の水容器として設計される。さらに好ましくは、作動液容器は、内燃機関の排気ガスシステムに噴射するために提供される尿素水溶液を受容するための尿素容器として設計される。
【0049】
第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差を判定するための方法ステップLでは、以下の計算が実行される。
delta=|Cfmin-Cfmax|/Cfmin
式中、
-fminは下限周波数であり、
-fmaxは上限周波数であり、
-Cfminは、下限周波数を有する交流電圧でのコンデンサの第1の静電容量であり、
-Cfmaxは、上限周波数を有する交流電圧でのコンデンサの第2の容量であり、
-deltaは、第1の静電容量Cfminからの第2の静電容量Cfmaxの相対偏差である。
【0050】
第1の最小偏差は、好ましくは0.2より大きい。
【0051】
例えば、水道水に関して、下限周波数が10kHzで上限周波数が100kHzの場合、コンデンサの電極が、100mmの長手方向の延長部、50mmの幅の延長部、および10mmの第1の電極から第2の電極までの距離を有するとき、最小偏差は、例えば、約0.2になる。
【0052】
好ましくは、第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が第1の静電容量の偏差よりも大きいときに停止信号が出力される。停止信号を出力することにより、自動車の運転を阻止することができる。
【0053】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
N)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が、第1の静電容量偏差より小さく、第2の静電容量偏差より大きい場合、作動液容器に配置された作動液が部分的に固体、部分的に液体物理的状態にあると判定するステップを有する。
【0054】
対応して設計された方法は、作動液容器に貯蔵された作動液が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であるかどうかの判定または確認が、コンデンサと作動液との直接接触なしに信頼できる方法で可能であるという利点を有する。作動液容器に貯蔵された水性の作動液の一部が液体状態で一部が凍結状態である状態は、特に作動液の凍結痕の範囲の温度で構成される。
【0055】
好ましくは、方法ステップNの間またはその後の方法ステップNの間に警告信号が出力される。このように、作動液容器に貯蔵された作動液が部分的に固体状態で部分的に液体物理的状態で存在する場合に警告信号が出力される。
【0056】
警告信号を出力することにより、作動液容器が取り付けられている自動車の使用者は、作動液容器に配置された作動液が少なくとも部分的に凍結し、部分的に氷として存在することを知ることができる。警告信号の出力は、作動液容器に貯蔵された作動液を加熱するための加熱装置を特に作動させることができる。
【0057】
好ましくは、方法は、次の方法ステップ、
O)第1の静電容量からの第2の静電容量の相対偏差が、第2の静電容量偏差よりも小さい場合、作動液容器に配置された作動液が液体物理的状態にあると判定するステップを有する。
【0058】
好ましくは、方法ステップOの間に、または方法ステップOの後に解除信号が出力される。これにより、作動液容器に貯蔵された作動液が液体物理的状態である場合に、解除信号が出力される。
【0059】
解除信号を出力することにより、特に自動車の制御装置に作動液容器に配置された作動液が液体物理的状態で存在することを知らせ、自動車の運転を可能にすることができる。
【0060】
さらに、本発明によって対処される課題は、前記作動液容器内に配置された作動液の物理的状態を判定するように設計された作動液容器を提供することである。
【0061】
この課題は、請求項10の特徴を備えた作動液容器によって解決される。作動液容器の有利な実施形態は、請求項10に従属する請求項に記載されている。
【0062】
より正確には、本発明によって対処される課題は、作動液容器によって解決され、該作動液容器の内部は、天井壁、底壁、および底壁を天井壁に接続する側壁によって画定されている。作動液容器は、第1の電極および第2の電極により作動液容器の容器壁に固定された少なくとも1つのコンデンサを有する。作動液容器はさらに、第1の電極および第2の電極に電気的に接続された電子評価器を有する。本発明による作動液容器は、評価者が上記の方法の少なくとも1つを実行するように設計されていることを特徴とする。
【0063】
少なくとも1つのコンデンサは、好ましくは、作動液容器の側壁にまたは側壁中に取り付けられる。さらに好ましくは、少なくとも1つのコンデンサは、それぞれ長手方向の延長部、幅の延長部、および深さの延長部を有する第1の電極および第2の電極がなるように、側壁上または側壁内に配置され、それぞれは、第1の電極および第2の電極の長手方向の延長部が底壁から天井壁の方向に延びるように、側壁に平行に延びる。
【0064】
作動液容器のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つのコンデンサは、底壁上または底壁中に配置され、その結果、第1の電極および第2の電極はそれぞれ、底壁に平行に延在している。
【0065】
少なくとも1つのコンデンサは、容器壁の外面に配置され、接続され得る。さらに、少なくとも1つのコンデンサが容器壁に一体化または埋設されていることも可能である。そのような場合、コンデンサのそれぞれの第1および第2の電極は、容器の壁によって囲まれる。
【0066】
作動液容器は、少なくとも1つのコンデンサが容器壁に埋設されるように設計されることが好ましい。
コンデンサの電極が容器壁中に埋設されている場合、電極は容器壁によって囲まれるため、電極の電気接続のみが容器壁から突出している。
【0067】
作動液容器の容器壁中に少なくとも1つのコンデンサが埋設されているため、対応して設計された作動液容器は、少なくとも1つのコンデンサの第1の電極および第2の電極が作動液容器の内部までの、したがって作動液容器の内部に位置する作動液までの減少した距離を有するという利点を有する。したがって、コンデンサの第1の電極と第2の電極との間に位置する電場は、容器壁の材料とはあまり相互作用せず、作動液容器の内部に位置する作動液とより相互作用する。その結果、作動液容器の内部の作動液の物理的状態をより正確に判定することができる。
【0068】
少なくとも1つのコンデンサを容器壁中に埋設することのさらなる利点は、少なくとも1つのコンデンサが機械的および化学的に保護され、その結果、本発明による作動液容器は、長期安定性が増大することである。
【0069】
作動液容器は、特に自動車用の作動液容器として設計されている。
【0070】
作動液容器は、好ましくは、底壁が作動液容器の内部に延びる隆起部を有するように設計され、コンデンサの第1の電極および第2の電極は、その隆起部に埋設されている。
【0071】
作動液容器の対応する設計により、底壁の領域における可能な堆積物は、作動液容器の内部に位置する作動液の物理的状態を判定することへの影響が低いため、作動液の物理的状態の判定がさらに高い精度で可能になる。
【0072】
底壁の隆起部は、好ましくは、作動液容器の内部の折り返し部分として設計される。
【0073】
隆起部は、底壁の周囲の内面から2mm~5mmで立ち上がっていることが好ましい。
【0074】
好ましくは、作動液容器は、容器壁が外層、作動液容器の内部に面する内層、およびその間に配置された結合層を含み、少なくとも1つのコンデンサの第1の電極および第2の電極が、外層と結合層との間に配置されるように設計される。
【0075】
したがって、少なくとも1つのコンデンサは、外層と結合層との間に配置される。これにより、内層を作動液と接触させることができる。
【0076】
作動液容器の対応する設計は、作動液容器の容器壁におけるコンデンサの単純化された構造および簡略化された統合を可能にする。
【0077】
好ましくは、作動液容器は、容器壁が遮蔽層および絶縁層を有し、遮蔽層が、外層と、第1および第2の電極との間に配置されるように設計され、絶縁層は、遮蔽層と第1および第2の電極との間に配置される。
【0078】
対応して設計された作動液容器は、金属層として設計されるのが好ましい遮蔽層は、少なくとも1つのコンデンサの電極を妨害電界から遮蔽するため、作動液容器に配置された作動液の物理的状態の判定に関して、精度がさらに向上するという利点を有する。
【0079】
したがって、遮蔽層は、外層と、基準コンデンサまたはコンデンサとの間に配置される。
【0080】
遮蔽層は、好ましくは外層と接触している。
【0081】
したがって、絶縁層は、遮蔽層とコンデンサとの間にサンドイッチ状に配置される。
【0082】
遮蔽層は金属から構成され、その結果、少なくとも1つのコンデンサは、干渉する電界から保護される。
【0083】
絶縁層は、少なくとも1つのコンデンサの第1および第2の電極が遮蔽層と電気的に接触しないように、誘電体材料、好ましくはプラスチックから製造される。
【0084】
好ましくは、作動液容器は、絶縁層が内層および/または外層と同じ誘電伝導率を有するように設計される。
【0085】
対応して設計された作動液容器は、作動液容器の内部に配置された作動液の物理的状態の判定に関して、さらに高い精度を有するという利点を有する。
【0086】
好ましくは、作動液容器は、第1および第2の電極の作動液容器の内部までの距離が、1.5mm~3.5mmになるように設計される。
【0087】
対応して設計された作動液容器は、作動液容器の内部に配置された作動液までの各電極の距離が低減されるため、作動液容器に配置された作動液の物理的状態の判定に関して、さらに精度が向上するという利点を有する。
【0088】
したがって、好ましくは、内層は、1.5mm~3.5mmの厚さを有する。
【0089】
したがって、少なくとも1つのコンデンサと作動液容器の内部との距離は1.5mm~3.5mmにすぎない。
【0090】
好ましくは、作動液容器は、コンデンサの第1および第2の電極の少なくとも一方がその長手方向の延長部に沿って不均等な幅の延長部を有するように設計される。
【0091】
電極の幅が広いほど、作動液容器の内部およびその中に配置された作動液に電界が深く浸透するため、作動液は、作動液の物理的状態の判定に対して大きな影響を有する。
【0092】
好ましくは、作動液容器は、コンデンサの第1および第2の電極の少なくとも一方が、底壁の方向において、その長手方向の延長部に沿って増加する幅の延長部を有するように設計される。
【0093】
対応して設計された作動液容器は、作動液容器の底部領域のコンデンサによって、物理的状態の判定精度が向上するという利点を有する。
【0094】
以下では、本発明のさらなる利点、詳細、および特徴が、説明されている実施形態から明らかになるであろう。図面の詳細は次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明の第1の実施形態による水性の作動液の物理的状態を判定する方法のフローチャート。
【
図2】3つの異なる温度の水性の作動液についての、コンデンサのインピーダンスの周波数依存位相プロファイル。
【
図3】本発明の第2の実施形態による水性の作動液の物理的状態を判定するための方法のフローチャート。
【
図4】3つの異なる温度の水性の作動液についての、コンデンサの周波数依存静電容量プロファイル。
【
図5】本発明の第3の実施形態による水性の作動液の物理的状態を判定するための方法のフローチャート。
【
図6】本発明による作動液容器の非常に簡略化された空間図。
【
図7】本発明のさらなる実施形態による作動液容器の底壁および/または側壁の層構造の非常に簡略化された図。
【
図8A】本発明の異なる実施形態による、作動液容器から分離したコンデンサの例の側面図。
【
図8B】本発明の異なる実施形態による、作動液容器から分離したコンデンサの例の側面図。
【
図8C】本発明の異なる実施形態による、作動液容器から分離したコンデンサの例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下の説明では、同じ参照符号は同じ構成要素または同じ特徴を示すため、図面を参照した構成要素に関する説明は他の図面にも当てはまることから、繰り返しの説明は避けられる。さらに、実施形態に関連して説明された個々の特徴は、他の実施形態において別々に使用することもできる。
【0097】
図1は、本発明の第1の実施形態による作動液容器1内の水性の作動液の物理的状態を判定する方法のフローチャートを示す。
図1に示されるフローチャートによる方法は、
図6に示される液体容器1を操作することによって実行される。
【0098】
図6は、本発明による作動液容器1の非常に簡略化された空間図を示す。作動液容器の内部2は、天井壁30、底壁10、および底壁10を天井壁30に接続する側壁20によって境界が画定されている。
図6は、側壁20が連続的であるように設計されていることを示している。
【0099】
図6に示す作動液容器1は、第1のコンデンサ60と、第2のコンデンサ70と、を有する。しかしながら、本発明によれば、作動液容器1は、第1のコンデンサ60のみ、または第2のコンデンサ70のみを備えることもできる。さらに、作動液容器1は、
図6に示されていないさらなるコンデンサを有することもできる。
【0100】
第1のコンデンサ60は、第1の電極61と、第2の電極62と、を有する。第1の電極61および第2の電極62の両方は、それぞれ、長手方向の延長部L、幅の延長部B、および深さの延長部を有する(
図8A~
図8Cを参照)。この場合、第1の電極61および第2の電極62はそれぞれ、第1の電極61および第2の電極62の長手方向の延長部Lが底壁10から、天井壁30の方向において延在するように側壁20に平行に配置される。この場合、第1の電極61および第2の電極62の深さの延長部は、互いに対向して配置される。
【0101】
第1のコンデンサ60は側壁20に埋設されているため、第1のコンデンサ60の第1の電極61および第2の電極62は側壁20に埋設されている。したがって、第1のコンデンサ60は、側壁20によって囲まれている。その結果、第1のコンデンサ60の第1の電極61および第2の電極62は、作動液50と直接接触しない(
図7を参照)。さらに、第1コンデンサ60の第1電極61および第2電極62も、作動液容器1の周囲に直接接触していない。側壁20への第1のコンデンサ60の埋設に関して、以下で説明される
図6が参照される。
【0102】
しかしながら、本発明は、側壁20に埋設されている第1のコンデンサ60に限定されない。本発明による作動液容器1では、第1のコンデンサ60は、側壁20の外面に固定することもできる。
【0103】
図6は、第1のコンデンサ60の第1の電極61および第2の電極62がそれぞれ、電極61、62の幅の延長部Bに平行に延在している2つの翼部63を有することを示している。この場合、各翼部63は、第1電極61および第2電極62の高さが異なるように設計されているので、翼部63は作動液容器1の異なる高さに配置される。したがって、第1のコンデンサ60の第1および第2の電極61、62は、それらの長手方向の延長部Lに沿って不均等な幅の延長部Bを有する。しかしながら、本発明は、対応する設計の第1のコンデンサ60の第1および第2の電極61、62に限定されない。例えば、第1のコンデンサ60の第1および第2の電極61、62はまた、それらの長手方向の延長部Lに沿って均等な幅の延長部Bを有することができる。
【0104】
第2コンデンサ70は、第1電極71および第2電極72を有する。第1の電極71および第2の電極72は、底壁10と平行に延在している。この場合、第1の電極71および第2の電極72は、それぞれ、第1の電極71および第2の電極72の長手方向の延長部および幅の延長部が底壁10の平面内に延在するように、底壁10に平行に配置され、その結果、第1の電極71および第2の電極72の深さの延長部は、互いに反対側に配置される。
【0105】
図6に見られるように、底壁10は、作動液容器の内部2に延びる隆起部11を有する。第2のコンデンサ70は、第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72が底壁10の隆起部11に埋設されるように、底壁10に埋設される。その結果、第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72は、作動液50と直接接触しない。また、第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72もまた、作動液容器1の周囲に直接接触しない。第1の電極71および第2の電極72が底壁10の隆起部11に埋設されているため、底壁10上の生じ得る堆積物は、作動液容器の内部2に位置する作動液50の物理的状態を判定することに対する影響を減少させ得る。
【0106】
第2のコンデンサ70を底壁10中に、または底壁10の隆起部11中に埋設することに関して、以下で説明する
図7を参照する。
【0107】
しかしながら、本発明は、底壁10に埋設された第2のコンデンサ70に限定されない。本発明による作動液容器1では、第2のコンデンサ70も底壁10の外面に固定することができる。
【0108】
作動液容器1はさらに、第1のコンデンサ60および第2のコンデンサ70に電気的に接続された電子評価器80を有する。評価器80は、
図6に示されていない電線を介して第1のコンデンサ60および第2のコンデンサ70に接続される。
【0109】
評価器80は、以下で説明される
図1に示されるフローチャートに従って方法を実行するように設計されている。
【0110】
方法ステップAでは、少なくとも1つの第1の交流電圧が、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70に印加される。この場合、第1の周波数は、図示の実施形態では10kHzである下限周波数fminの第1の交流電圧に対応する。
【0111】
方法ステップBでは、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第1のインピーダンスが、第1の周波数について判定および記憶される。
【0112】
方法ステップCでは、続いて、第1のインピーダンスから第1の位相角φ1が判定される。
【0113】
図2は、3つの異なる温度の水性の作動液50に対する第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70のインピーダンスの3つの異なる周波数依存位相プロファイルを示す。この場合、プロファイル91は、-15℃の温度を有する水性の作動液についてのインピーダンスの位相プロファイルを示す。プロファイル92は、-2℃の温度を有する作動液についてのインピーダンスの位相角の周波数依存プロファイルを示す。プロファイル93は、+3℃の温度を有する作動液についてのインピーダンスの位相角の周波数依存プロファイルを示している。
【0114】
図2に示すように、-15℃の温度の作動液についてのコンデンサ60、70のインピーダンスの位相角のプロファイル91から、10kHzの下限周波数fminでの第1の位相角φ1が、
図2にプロットされた第1の臨界角δ1より大きいことがわかり、図示の実施形態では、第1の臨界角δ1は-85°である。
【0115】
図1に示すフローチャートによる方法に戻ると、方法ステップCの後に、第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より大きいかどうかが確認される。この要件が満たされる場合、方法ステップDにおいて、作動液容器1内に配置された作動液50が固体物理的状態にあり、したがって氷として存在すると判定される。-15℃の温度の作動液についてのコンデンサ60、70のインピーダンスの位相角のプロファイル91から、第1の位相φ1は約-83°である。しかしながら、第1の臨界角δ1は-85°である。したがって、第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1よりも大きいという要件は、-15℃の温度を有する作動液について満たされ、その結果、方法ステップDにおいて、作動液は固体物理的状態にあると判定される。
【0116】
第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より大きくない場合、方法ステップEで第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70に第2の交流電圧が印加され、第2の交流電圧の第2の周波数は、上限周波数fmaxに対応する。図示の実施形態では、上限周波数は100kHzである。方法ステップFでは、続いて、第2の周波数について、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第2のインピーダンスが判定および記憶される。方法ステップFに続いて、方法ステップGにおいて、第2のインピーダンスから第2の位相角φ2が判定される。
【0117】
その後、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が第2の臨界角δ2より大きいかどうかが検証される。この要件が満たされる場合、方法ステップHで、作動液容器1内に配置された作動液50が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であると判定される。したがって、方法ステップHは、第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より小さく、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が第2の臨界角δ2より大きい場合にのみ実行される。
【0118】
図2に示すように、-2℃の温度の作動液についてのコンデンサ60、70のインピーダンスの位相角のプロファイル92から、10kHzの下限周波数fminでの第1の位相角φ1は約-87.5°であり、100kHzの上限周波数fmaxでの第2の位相角φ2は約-77.5°であることがわかる。したがって、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値は10°である。図示の実施形態では、第2の臨界角δ2は7°である。第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より小さく、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が7°より大きいため、
図2に示される位相角のプロファイルについての方法ステップHにおいて、作動液容器1内に配置された作動液は、部分的に固体であり、部分的に液体物理的状態であり、したがって部分的に凍結していると判定される。
【0119】
あるいはまた、方法ステップE、F、およびGは、方法ステップCの直後に直接実行することもできる。
【0120】
第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が臨界角δ2よりも小さい場合、作動液容器1に配置された作動液50は、液体物理的状態にあると判定される。
【0121】
図2に示すように、+3℃の温度の作動液についてのコンデンサ60、70のインピーダンスの位相角のプロファイル93から、10kHzの下限周波数fminでの第1位相角φ1は約-90°であり、100kHzの上限周波数fmaxでの第2位相角φ2は約-85.5°であることがわかる。したがって、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値は、4.5°である。図示の実施形態では、第2の臨界角δ2は7°である。第1の位相角φ1が第1の臨界角1より小さく、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が7°より小さいため、
図2に示される位相角のプロファイル93についての方法ステップIにおいて、作動液容器1に配置された作動液は液体物理的状態にあると判定される。
【0122】
図6に示される作動液容器1の評価器80は、以下で説明される
図3に示されるフローチャートに従って方法を実行するようにさらに設計される。
【0123】
方法ステップJでは、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70に、異なる周波数を有する少なくとも2つの異なる交流電圧が印加される。この場合、第1の周波数は、下限周波数fminの第1の交流電圧に対応する。第2の周波数は、上限周波数fmaxの第2の交流電圧に対応する。
【0124】
方法ステップKでは、第1のコンデンサおよび/または第2のコンデンサ70の第1の静電容量C1が、その後、第1の周波数について判定および記憶される。さらに、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第2の静電容量C2が、方法ステップKにおいて第2の周波数について判定および記憶される。
【0125】
方法ステップLでは、続いて、第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が判定される。したがって、方法ステップLでは、第2の静電容量C2が第1の静電容量C1から何パーセント逸脱するかによって判定される。
【0126】
図4は、3つの異なる温度の水性の作動液50についての第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の3つの異なる周波数依存容量プロファイルを示す。この場合、プロファイル101は、-15℃の温度の水性の作動液についての第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の周波数依存静電容量プロファイルを示す。プロファイル102は、-2℃の温度の作動液についての第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の周波数依存静電容量プロファイルを示す。プロファイル103は、+3℃の温度の作動液についての第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の周波数依存静電容量プロファイルを示す。
【0127】
図4では、-15℃の温度の水性の作動液50のコンデンサ60、70の周波数依存静電容量のプロファイル101が、第1の静電容量C1から第2の静電容量C2に低下することがわかる。この場合、図示の実施形態では、10kHzである下限周波数fminのコンデンサ60、70は、約14pFの第1の静電容量C1を有し、図示の実施形態では、上限周波数fmaxでは、100kHzであり、約10pFの第2の静電容量C2を有する。したがって、-15℃の作動液でのC1からC2への相対偏差は約28%である。
【0128】
さらに、
図4では、-2℃の温度を有する水性の作動液50についてのコンデンサ60、70の周波数依存静電容量が、第1の静電容量C1から第2の静電容量C2に低下することがわかる。この場合、下限周波数fminのコンデンサ60、70は、約14.5pFの第1の静電容量C1を有し、上限周波数fmaxでは、約13pFの第2の静電容量C2を有する。したがって、-2℃の温度を有する作動液におけるC1からC2への相対偏差は約10%である。
【0129】
さらに、
図4では、+3℃の温度の水性の作動液50についてのコンデンサ60、70の周波数依存静電容量が、第1の静電容量C1から第2の静電容量C2に低下することがわかる。この場合、周波数下限fminにおけるコンデンサ60、70は、約15pFの第1の静電容量C1を有し、周波数上限fmaxにおいて、コンデンサ60は、約14.6pFの第2の静電容量C2を有する。したがって、+3℃の温度の作動液におけるC1からC2への相対偏差は約2.6%である。
【0130】
図3に示すフローチャートによる方法に戻ると、方法ステップLの後に、第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が第1の静電容量偏差ΔC1より大きいかどうかが検証される。より正確には、次の要件が満たされているかどうかが判定される。
【数1】
【0131】
この要件が満たされる場合、方法ステップMで、作動液容器1内に配置された作動液が固体物理的状態にあると判定される。
【0132】
説明される実施形態では、第1の容量偏差ΔC1は、0.2の値を有する。したがって、
図4に示す静電容量プロファイル101の場合、第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が28%、つまり0.28であるため、作動液容器1に配置された作動液は固体物理的状態であると判定される。
しかしながら、要件、
【数2】
が満たされていない場合、次の要件が満たされているかどうかが検証される。
【数3】
【0133】
この場合、ΔC2は、本実施形態では0.05である第2の容量偏差である。この要件が満たされる場合、方法ステップNにおいて、作動液容器の内部2に配置された作動液は、部分的に固体であり、部分的に液体物理的状態であると判定される。したがって、方法ステップNは、第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が、第1の静電容量偏差ΔC1と第2の静電容量偏差ΔC2との間の値を有する場合に実行され、第2の静電容量偏差ΔC2は、第1の静電容量偏差ΔC1よりも小さい。
【0134】
図4に示す容量プロファイル102についてはそれゆえ、方法ステップNでは、第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が0.1であるため、作動液容器1に配置された作動液が部分的に固体で、部分的に液体物理的状態であると判定され、したがって、0.20>0.10>0.05の要件が満たされる。
しかしながら、要件、
【数4】
が満たされない場合、方法ステップOにおいて、作動液容器1に配置された作動液が液体物理的状態にあると判定される。
【0135】
図6に示される作動液容器1の評価器80は、以下に説明される
図5に示されるフローチャートに従って方法を実行するようにさらに設計される。この場合、
図5に示すフローチャートによる方法は、
図1に示すフローチャートによる方法と
図3に示すフローチャートによる方法とを組み合わせた結果である。
【0136】
方法ステップAでは、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70に少なくとも1つの第1の交流電圧が印加される。この場合、図示の実施形態では、第1の周波数は、10kHzである下限周波数fminの第1の交流電圧に対応する。
【0137】
方法ステップBでは、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第1のインピーダンスが、第1の周波数について判定および記憶される。
【0138】
方法ステップCでは、続いて、第1のインピーダンスから第1の位相角φ1が判定される。方法ステップC’では、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第1の静電容量C1が判定され、第1の周波数について記憶される。
【0139】
方法ステップEでは、続いて、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70に第2の交流電圧が印加され、第2の交流電圧の第2の周波数は、上限周波数fmaxに対応する。図示の実施形態では、上限周波数は100kHzである。方法ステップFでは、続いて、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第2のインピーダンスが判定され、第2の周波数について記憶される。方法ステップFに続き、方法ステップGで第2のインピーダンスから第2の位相角φ2が判定される。方法ステップG’では、第1のコンデンサ60および/または第2のコンデンサ70の第2の静電容量C2が判定され、第2の周波数について記憶される。
【0140】
方法ステップGに続いて、第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より大きいかどうか、および第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が第1の静電容量偏差ΔC1より大きいかどうかが検証される。これらの要件が満たされている場合、方法ステップDにおいて、作動液容器1に配置された作動液50が固体物理的状態にあり、したがって氷として存在すると判定される。
【0141】
しかしながら、これらの要件が満たされていない場合、第1の位相角φ1が第1の臨界角δ1より小さいかどうか、第2の位相角φ2と第1の位相角φ1との間の差の絶対値が第2の臨界角δ2より大きいかどうか、および第1の静電容量C1からの第2の静電容量C2の相対偏差が、第1の静電容量偏差ΔC1より小さく、第2の静電容量偏差ΔC2より大きいかどうかが検証される。
【0142】
これらの要件が満たされている場合、方法ステップHで、作動液容器1に配置された作動液50が部分的に固体、部分的に液体物理的状態であると判定される。しかしながら、これらの要件が満たされない場合、方法ステップIにおいて、作動液容器1内に配置された作動液が液体物理的状態にあると判定される。
【0143】
図7は、作動液容器1の容器壁10、20、30の層構造の非常に簡略化された描写を示す。容器壁は、底壁10および/または側壁20および/または天井壁30であり得る。容器壁10は多層構造を有することがわかる。
【0144】
以下において、容器壁10、20、30の層構造は、底壁10を参照して、そして第2のコンデンサ70を参照して説明される。しかしながら、側壁20および/または天井壁30は、対応する層構造を有することもできる。さらに、第1のコンデンサ60も、同様に、容器壁10、20、30に埋設することができる。
【0145】
底壁10は、外層41、作動液容器の内部2に面する内層45、および外層41と内層45との間に配置された結合層44を備えることがわかる。第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72は、外層41と接合層44との間に配置されている。底壁10は、さらに、遮蔽層42および絶縁層43を有し、遮蔽層42は、外層41と、第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72との間に配置される。一方、絶縁層43は、遮蔽層42と、第2のコンデンサ70の第1および第2の電極71、72との間に配置される。
【0146】
また、底壁10は、外層41、作動液容器の内部2に面する内層45、外層41と内層45との間に配置された結合層44を備えることが分かる。第2のコンデンサ70の第1の電極71および第2の電極72は、外層41と接合層44との間に配置されている。底壁10は、さらに、遮蔽層42および絶縁層43を有し、遮蔽層42は、外層41と、第2のコンデンサ70の第1および第2の電極71、72との間に配置される。一方、絶縁層43は、遮蔽層42と、第2のコンデンサ70の第1および第2の電極71、72との間に配置される。
【0147】
図8Aは、分離状態の第1のコンデンサ60の側面図を示す。図示の実施形態では、第1のコンデンサ60の第1の電極61は、その長手方向の延長部Lに沿って均等な幅の延長部Bを有することが分かる。対照的に、第1のコンデンサ60の第2の電極62は、第2の電極62の長手方向の延長部に沿って変化された幅の延長部Bを有する。第2の電極62の幅は、底壁10の方向にその長手方向の延長部Lに沿って増加する幅の延長部Bを有することがわかる。
【0148】
図8Bは、作動液容器1のさらなる実施形態による第1のコンデンサ60のさらなる例を示す。第1の電極61および第2の電極62の両方が、それぞれ、高さが異なる、すなわち第1および第2の電極61、62の長手方向の延長部Lに関して異なる位置に2つの翼63を有することがわかり、該翼部は、第1および第2の電極61、62の幅の延長部Bに沿って延在している。それぞれの翼部63が丸みを帯びていることがわかる。
【0149】
図8Cはまた、さらなる実施形態による作動液容器1の第1のコンデンサ60を示す。
図8Cに示される第1のコンデンサ60はまた、第1の電極61および第2の電極62の両方が、対応する電極61、62の幅の延長部Bに延在している2つの翼部63をそれぞれ有するように設計される。この場合、それぞれの翼部63は、対応する電極61、62の異なる高さに配置される。
【0150】
しかしながら、本発明は、作動液容器の内部2に延在する第1のコンデンサ60によって電界が生成されて、水性の作動液50の物理的状態が、評価器80によって判定することができる限り、
図8A~
図8Cに示される第1のコンデンサ60の実施形態に限定されない。
【0151】
符号の説明
1 作動液容器
2 作動液容器の内部
10 底壁(作動液容器の)
11 隆起部(底壁の)
20 側壁(作動液容器の)
30 天井壁
41 外層(底壁/側壁)
42 遮蔽層(底壁/側壁)
43 絶縁層(底壁/側壁)
44 接着層(底壁/側壁)
45 内層(底壁/側壁)
50 作動液
60 第1のコンデンサ
61 第1の電極(第1のコンデンサの)
62 第2の電極(第1のコンデンサの)
63 翼部(第1電極および/または第2電極の)
70 第2のコンデンサ
71 第1の電極(第2のコンデンサの)
72 第2の電極(第2のコンデンサの)
80 評価器
91 -15℃の温度の水性の作動液の周波数依存位相プロファイル
92 -2℃の温度の水性の作動液の周波数依存位相プロファイル
93 +3℃の温度の水性の作動液の周波数依存位相プロファイル
101 -15℃の温度の水性の作動液の周波数依存静電容量プロファイル
102 -2℃の温度の水性の作動液の周波数依存静電容量プロファイル
103 +3℃の温度の水性の作動液の周波数依存静電容量プロファイル
L 長手方向の延長部(測定コンデンサの電極の)
B 幅の延長部(測定コンデンサの電極の)
C1 第1の容量(コンデンサの)
C2 第2の容量(コンデンサの)
Fmin 下限周波数
fmax 上限周波数
φ1 第1の位相角
φ2 第2の位相角
δ1 第1の臨界角
δ2 第2の臨界角
ΔC1 第1の容量偏差
ΔC2 第2の静電容量偏差