(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置及びペリスコープレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220106BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20220106BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20220106BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/00 F
G03B17/17
(21)【出願番号】P 2020543139
(86)(22)【出願日】2019-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2019089732
(87)【国際公開番号】W WO2020243869
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】李 林珍
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ ▲継▼亮
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 晋
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/158590(WO,A1)
【文献】特開2011-257556(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0097228(KR,A)
【文献】特表2018-522256(JP,A)
【文献】特開2013-178329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置であって、
キャリヤと、前記キャリヤに回動可能に取り付けられる支持復帰ユニットと、前記支持復帰ユニットに取り付けられ、前記支持復帰ユニットとともに回動可能であるプリズムと、前記キャリヤと前記支持復帰ユニットとの間に接続されて、前記支持復帰ユニット及び前記プリズムが前記キャリヤに対して回転するように駆動するための複数の形状記憶合金線と、を備え、
前記支持復帰ユニットは、前記キャリヤに回動可能に接続される形状記憶合金線支持スタンドと、前記形状記憶合金線支持スタンドと前記プリズムとの間に設けられ、前記キャリヤに弾性的に接続される弾性支持部材とを備え、前記プリズムは、前記弾性支持部材に取り付けられ、前記複数の形状記憶合金線は、それぞれ前記キャリヤと形状記憶合金線支持スタンドとの間に接続されて
おり、
前記弾性支持部材は、前記キャリヤに弾性的に接続される弾性ブラケットと、前記弾性ブラケットと前記形状記憶合金線支持スタンドとの間に設けられる保持スタンドと、前記弾性ブラケットの前記保持スタンドに背向する側に設けられるプリズム支持スタンドとを備え、前記プリズムは、前記プリズム支持スタンドに取り付けられおり、
前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、ボールを更に備え、前記形状記憶合金線支持スタンドは、前記ボールを介して前記キャリヤに回動自在に接続され、前記キャリヤには、前記ボールを収容して位置決めするための位置決め溝が設けられ、前記形状記憶合金線支持スタンドの前記キャリヤへ向かう側には、前記ボールと係合するための球弧状溝が設けられており、
前記形状記憶合金線支持スタンドは、主板体と、前記主板体のプリズムへ向かう側に突設される球弧状ボスと、前記主板体の外縁に設けられて前記キャリヤに移動可能に挿入接続される複数の位置制限アームと、前記主板体の外縁に設けられて前記形状記憶合金線と接続するための複数の接続端子とを備え、前記球弧状溝は、前記主板体の前記キャリヤへ向かう側から前記球弧状ボス上まで凹設延在し、前記保持スタンドには、前記球弧状ボスを退避させるための第1逃げ孔が設けられ、前記弾性ブラケットには、前記球弧状ボスを退避させるための第2逃げ孔が設けられている
ことを特徴とするペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項2】
前記弾性ブラケットは、基板と、前記基板の外縁に設けられて前記キャリヤに接続される複数の弾性アームとを備え、前記基板は、前記保持スタンドと前記プリズム支持スタンドとの間に介在されていることを特徴とする請求項
1に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項3】
前記弾性アームは、前記基板の外縁に固定される第1固定端部と、前記キャリヤと接続するための第2固定端部と、前記第1固定端部と前記第2固定端部との間に折り曲げて接続される弾性湾曲部とを備え、前記キャリヤには、前記第2固定端部を係止して位置決めするための係止溝が設けられていることを特徴とする請求項
2に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項4】
前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、磁性鋼を更に含み、前記キャリヤは、キャビティを有する座体と、前記キャビティ内に突設される凸型ブロックとを備え、前記位置決め溝は、前記凸型ブロックの前記形状記憶合金線支持スタンドへ向かう表面に凹設され、前記凸型ブロックには、前記位置決め溝と前記凸型ブロックの底部との間に位置する取付溝が設けられ、前記磁性鋼は、前記取付溝内に収容して位置決めされることで前記ボール及び前記支持復帰ユニットを吸着して位置決めすることを特徴とする請求項
1に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項5】
前記形状記憶合金線支持スタンドは、間隔を空けて設けられる2つの第1側縁と、間隔を空けて互いに向い合うように設けられつつ、それぞれ2つの前記第1側縁に垂直に接続される2つの第2側縁とを備え、前記複数の形状記憶合金線は、第1形状記憶合金線、第2形状記憶合金線、第3形状記憶合金線及び第4形状記憶合金線を含み、前記第1形状記憶合金線及び前記第2形状記憶合金線は、前記形状記憶合金線支持スタンドが前記プリズムを動かして第1回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの前記第1側縁から前記形状記憶合金線支持スタンド及び前記キャリヤを接続し、前記第3形状記憶合金線及び前記第4形状記憶合金線は、前記形状記憶合金線支持スタンドが前記プリズムを動かして第2回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの前記第2側縁から前記形状記憶合金線支持スタンド及び前記キャリヤを接続し、前記第1回転中心軸は、前記第2回転中心軸に直交することを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項6】
それぞれの前記形状記憶合金線は、V型状をなすように、その両端が前記形状記憶合金線支持スタンドに固定され、その中央部が前記キャリヤに引っ掛けるように設けられていることを特徴とする請求項
5に記載のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置。
【請求項7】
ペリスコープレンズモジュールであって、
フレームと、前記フレームの中央部に取り付けられるレンズ装置と、前記フレームの一端に取り付けられつつ、レンズ装置の像側に位置するイメージセンサと、請求項1から
6の何れか一項に記載の、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置とを備え、
前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、前記フレームの他端に取り付けられつつ、レンズ装置の物体側に位置することを特徴とするペリスコープレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機器分野に関し、特に、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置及び当該プリズム装置を備えるペリスコープレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ペリスコープレンズモジュールは、本体内で光学ズームを実施するレンズモジュールである。ペリスコープレンズモジュールは、一般的に、レンズ装置と、プリズム装置と、イメージセンサとを含む。従来技術のペリスコープレンズモジュールでは、プリズム装置の光学防振(OIS: optical image stabilization)は、主に電磁式でプリズムの回動を駆動することで防振補償を図り、即ち、コイル及び磁石によってプリズム角度の調節を行う。この種の調節構造は、コストが高騰であり、量産に向いていない。
【0003】
したがって、上記問題を解決するために、ペリスコープレンズモジュールに適用される新たなプリズム装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、レンズモジュール内でプリズム角度を調節するときに低コストを有する、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の解決手段を講じる。
【0006】
上記目的を果たすべく、本発明は、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置を提供する。当該ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、キャリヤと、前記キャリヤに回動可能に取り付けられる支持復帰ユニットと、前記支持復帰ユニットに取り付けられ、前記支持復帰ユニットとともに回動可能であるプリズムと、前記キャリヤと前記支持復帰ユニットとの間に接続されて、前記支持復帰ユニット及び前記プリズムが前記キャリヤに対して回転するように駆動するための複数の形状記憶合金線と、を備え、前記支持復帰ユニットは、前記キャリヤに回動可能に接続される形状記憶合金線支持スタンドと、前記形状記憶合金線支持スタンドと前記プリズムとの間に設けられ、前記キャリヤに弾性的に接続される弾性支持部材とを備え、前記プリズムは、前記弾性支持部材に取り付けられ、前記複数の形状記憶合金線は、それぞれ前記キャリヤと形状記憶合金線支持スタンドとの間に接続されている。
【0007】
改良の1つとして、前記弾性支持部材は、前記キャリヤに弾性的に接続される弾性ブラケットと、前記弾性ブラケットと前記形状記憶合金線支持スタンドとの間に設けられる保持スタンドと、前記弾性ブラケットの前記保持スタンドに背向する側に設けられるプリズム支持スタンドとを備え、前記プリズムは、前記プリズム支持スタンドに取り付けられている。
【0008】
改良の1つとして、前記弾性ブラケットは、基板と、前記基板の外縁に設けられて前記キャリヤに接続される複数の弾性アームとを備え、前記基板は、前記保持スタンドと前記プリズム支持スタンドとの間に介在されている。
【0009】
改良の1つとして、前記弾性アームは、前記基板の外縁に固定される第1固定端部と、前記キャリヤと接続するための第2固定端部と、前記第1固定端部と前記第2固定端部との間に折り曲げて接続される弾性湾曲部とを備え、前記キャリヤには、前記第2固定端部を係止して位置決めするための係止溝が設けられている。
【0010】
改良の1つとして、前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、ボールを更に備え、前記形状記憶合金線支持スタンドは、前記ボールを介して前記キャリヤに回動自在に接続され、前記キャリヤには、前記ボールを収容して位置決めするための位置決め溝が設けられ、前記形状記憶合金線支持スタンドの前記キャリヤへ向かう側には、前記ボールと係合するための球弧状溝が設けられている。
【0011】
改良の1つとして、前記形状記憶合金線支持スタンドは、主板体と、前記主板体のプリズムへ向かう側に突設される球弧状ボスと、前記主板体の外縁に設けられて前記キャリヤに移動可能に挿入接続される複数の位置制限アームと、前記主板体の外縁に設けられて前記形状記憶合金線と接続するための複数の接続端子とを備え、前記球弧状溝は、前記主板体の前記キャリヤへ向かう側から前記球弧状ボス上まで凹設延在し、前記保持スタンドには、前記球弧状ボスを退避させるための第1逃げ孔が設けられ、前記弾性ブラケットには、前記球弧状ボスを退避させるための第2逃げ孔が設けられている。
【0012】
改良の1つとして、前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、磁性鋼を更に含み、前記キャリヤは、キャビティを有する座体と、前記キャビティ内に突設される凸型ブロックとを備え、前記位置決め溝は、前記凸型ブロックの前記形状記憶合金線支持スタンドへ向かう表面に凹設され、前記凸型ブロックには、前記位置決め溝と前記凸型ブロックの底部との間に位置する取付溝が設けられ、前記磁性鋼は、前記取付溝内に収容して位置決めされることで前記ボール及び前記支持復帰ユニットを吸着して位置決めする。
【0013】
改良の1つとして、前記形状記憶合金線支持スタンドは、間隔を空けて設けられる2つの第1側縁と、間隔を空けて互いに向い合うように設けられつつ、それぞれ2つの前記第1側縁に垂直に接続される2つの第2側縁とを備え、前記複数の形状記憶合金線は、第1形状記憶合金線、第2形状記憶合金線、第3形状記憶合金線及び第4形状記憶合金線を含み、前記第1形状記憶合金線及び前記第2形状記憶合金線は、前記形状記憶合金線支持スタンドが前記プリズムを動かして第1回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの前記第1側縁から前記形状記憶合金線支持スタンド及び前記キャリヤを接続し、前記第3形状記憶合金線及び前記第4形状記憶合金線は、前記形状記憶合金線支持スタンドが前記プリズムを動かして第2回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの前記第2側縁から前記形状記憶合金線支持スタンド及び前記キャリヤを接続し、前記第1回転中心軸は、前記第2回転中心軸に直交する。
【0014】
改良の1つとして、それぞれの前記形状記憶合金線は、V型状をなすように、その両端が前記形状記憶合金線支持スタンドに固定され、その中央部が前記キャリヤに引っ掛けるように設けられている。
【0015】
本発明は、ペリスコープレンズモジュールを更に提供する。当該ペリスコープレンズモジュールは、フレームと、前記フレームの中央部に取り付けられるレンズ装置と、前記フレームの一端に取り付けられつつ、レンズ装置の像側に位置するイメージセンサと、上述したペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置とを備え、前記ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、前記フレームの他端に取り付けられつつ、レンズ装置の物体側に位置する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下の有利な作用効果を有する。本発明では、複数の形状記憶合金線が支持復帰ユニットにおけるプリズムを駆動してキャリヤに対して回転させることで、プリズムが形状記憶合金線の駆動作用の下で角度を自動的に補正可能であり、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置のペリスコープレンズモジュールの結像角度がより広くなり、その結像効果がより良好になる。それとともに、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置は、既存の電磁式駆動の替わりに形状記憶合金線を採用することにより、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置の作製コストを更に低減し、ペリスコープレンズモジュールの量産を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係るペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係るペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置の正面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る形状記憶合金線支持スタンドの斜視図である。
【
図6】本発明の実施例に係る弾性ブラケットの斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に係る段差ロッドがキャリヤ内に取り付けられる斜視図である。
【
図10】本発明の実施例に係るペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置からプリズム及び弾性支持部材を除去した後の斜視図である。
【
図11】本発明の実施例に係るペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置からプリズム及びプリズム支持スタンドを除去した後の斜視図である。
【
図12】本発明の実施例に係るペリスコープレンズモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面及び実施形態を組み合わせて本発明を更に説明する。
【0019】
図1から
図11を参照すると、本発明の実施例は、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1を提供する。ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1は、キャリヤ10と、回動可能に取り付けられるキャリヤ10における支持復帰ユニット20と、支持復帰ユニット20に取り付けられ、且つ支持復帰ユニット20とともに回動可能であるプリズム30と、キャリヤ10と支持復帰ユニット20との間に接続されて支持復帰ユニット20及びプリズム30がキャリヤ10に対して回転するように駆動するための複数の形状記憶合金線40とを備える。支持復帰ユニット20に取り付けられるプリズム30が形状記憶合金線40の駆動作用の下で角度を自動的に補正可能である。こうして、当該ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1の結像効果は、より鮮明になる。
【0020】
支持復帰ユニット20は、キャリヤ10に回動可能に接続される形状記憶合金線支持スタンド21と、形状記憶合金線支持スタンド21とプリズム30との間に設けられてキャリヤ10に弾性的に接続される弾性支持部材22と、を備え、プリズム30は、弾性支持部材22に取り付けられ、複数の形状記憶合金線40は、形状記憶合金線支持スタンド21がキャリヤ10に対して回転するように駆動するように、それぞれキャリヤ10と形状記憶合金線支持スタンド21との間に接続されている。形状記憶合金線支持スタンド21の互いに向かい合う2つの側縁には、複数の位置制限アーム211がそれぞれ設けられ、キャリヤ10の互いに向かい合う両側には、複数の位置制限溝11が設けられ、複数の位置制限アーム211は、それぞれ一対一で複数の位置制限溝11内に係止挿入されている。位置制限アーム211は、位置制限溝11の底辺及び側辺に接触せず、周囲に一定の隙間を作ることにより、位置制限アーム211と位置制限溝11とを隙間嵌めを形成させる。こうして、位置制限アーム211は、位置制限溝11内において活動空間を有し、形状記憶合金線支持スタンド21に間接に接続されるプリズム30は、一定の範囲内でキャリヤ10に対して回転可能であり、形状記憶合金線支持スタンド21がキャリヤ10から離脱することは回避され、それとともに、位置制限溝11は、支持復帰ユニット20に対して粗位置決めを行うことができる。
【0021】
図2及び
図6を参照すると、具体的に、弾性支持部材22は、キャリヤ10に弾性的に接続される弾性ブラケット221と、弾性ブラケット221と形状記憶合金線支持スタンド21との間に設けられる保持スタンド222と、弾性ブラケット221の保持スタンド222に背向する側に設けられるプリズム支持スタンド223とを備え、弾性ブラケット221は、基板224と、基板224の外縁に設けられてキャリヤ10に接続される複数の弾性アーム225とを備え、基板224は、保持スタンド222とプリズム支持スタンド223との間に介在され、プリズム30は、プリズム支持スタンド223に取り付けられ、好ましくは、プリズム30は、プリズム支持スタンド223に接着されている。
【0022】
好ましくは、弾性アーム225は、基板224の外縁に固定される第1固定端部226と、キャリヤ10と接続するための第2固定端部227と、第1固定端部226と第2固定端部227との間に折り曲げて接続される弾性湾曲部228とを備え、キャリヤ10には、第2固定端部227を係止して位置決めするための係止溝12が設けられ、弾性ブラケット221とキャリヤ10との間は、弾性設置接続であり、無論、具体の応用において、弾性アーム225の構造は、これに限定されるものではない。
【0023】
更に
図7から
図9を参照すると、本実施例において、キャリヤ10は、キャビティ131を有する座体13と、複数の位置制限蓋14とを備え、座体13の互いに向かい合う2つの側縁には、それぞれ複数の凹溝132が設けられ、複数の位置制限蓋14は、それぞれ一対一で凹溝132に蓋設されつつ、凹溝132とともに囲んで上記位置制限溝11を形成し、且つ各位置制限溝11は、何れもキャビティ131へ向かって開放するように設けられるノッチ111を有し、位置制限アーム211は、ノッチ111内に係止挿入され、且つノッチ111内で活動することにより、位置制限アーム211と位置制限溝11とは、上記隙間嵌めを形成する。
【0024】
具体的に、位置制限蓋14は、頂部位置制限板141と、頂部位置制限板141の一側に折り曲げて設けられる側部位置制限板142とを備える。頂部位置制限部は、凹溝132の頂部に封止され、側部位置制限板142は、凹溝132のキャビティ131から離間する側に封止されることで、前記位置制限溝11を形成する。本実施例において、位置制限溝11は、偶数本設けられ、偶数本の位置制限溝11は、キャリヤ10の互いに向かい合う両側に対称的に分布され、本実施例において、位置制限アーム211の数は、位置制限溝11の数と同じであり、一対一の対応関係をなす。
【0025】
好ましくは、座体13は、横方向支持板133、縦方向支持板134および2つの側板135を備え、縦方向支持板134は、横方向支持板133の一端から折り曲げて上方へ延在し、2つの側板135は、横方向支持板133と縦方向支持板134との互いに向かい合う2つの側縁にそれぞれ突設され、且つ横方向支持板133、縦方向支持板134とともに囲んで前記キャビティ131を形成し、複数の凹溝132は、2つの側板135にそれぞれ凹設され、複数の位置制限蓋14は、それぞれ一対一で各凹溝132に対応して両側板135に取り付けられて前記位置制限溝11を形成する。
【0026】
更に
図2と
図10を参照すると、キャリヤ10は、キャビティ131内に突設される凸型ブロック15を更に備え、支持復帰ユニット20は、凸型ブロック15に回動可能に接続され、複数の形状記憶合金線40は、それぞれ間隔を空けて凸型ブロック15の周囲に分布され、複数の形状記憶合金線40は、第1形状記憶合金線41、第2形状記憶合金線42、第3形状記憶合金線43および第4形状記憶合金線44を含み、形状記憶合金線支持スタンド21は、間隔を空けて設けられる2つの第1側縁212と、間隔を空けて互いに向い合うように設けられつつ、それぞれが2つの第1側縁212に垂直に接続される2つの第2側縁213とを含み、複数の位置制限アーム211は、それぞれ2つの第1側縁212に設けられ、第1形状記憶合金線41は、一方の第1側縁212と一方の側板135の間に接続され、第2形状記憶合金線42は、他方の第1側縁212と他方の側板135の間に接続され、第3形状記憶合金線43は、一方の第2側縁213と横方向支持板133の間に接続され、第4形状記憶合金線44は、他方の第2側縁213と縦方向支持板134の間に接続されている。
【0027】
本実施例では、凸型ブロック15の頂部は、横方向支持板133と縦方向支持板134との何れに対しても傾斜設置される傾斜面151を有し、支持復帰ユニット20は、当該傾斜面151を回動接続支点とし、第1形状記憶合金線41及び第2形状記憶合金線42は、駆動形状記憶合金線支持スタンド21がプリズム30を動かして第1回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの第1側縁212から形状記憶合金線支持スタンド21及びキャリヤ10を接続し、第1回転中心軸は、傾斜面151の傾斜方向(
図1では、点線Mで指す方向)である。第3形状記憶合金線43及び第4形状記憶合金線44は、形状記憶合金線支持スタンド21がプリズム30を動かして第2回転中心軸(
図1では、X軸で指す方向)周りに回動させるように駆動するように、それぞれ2つの第2側縁213から形状記憶合金線支持スタンド21及びキャリヤ10を接続する。即ち、第3形状記憶合金線43及び第4形状記憶合金線44は、支持復帰ユニット20がプリズム30を動かして第2回転中心軸周りに回動させるように駆動するように、それぞれ横方向支持板133、縦方向支持板134から支持復帰ユニット20及びキャリヤ10を接続する。第1回転中心軸は、第2回転中心軸に直交する。
【0028】
図4及び
図9を参照すると、好ましくは、キャリヤ10は、それぞれ2つの側板135から延在してキャビティ131内に突設される2つの第1位置決めロッド161と、横方向支持板133から延在してキャビティ131内に突設される第2位置決めロッド162と、縦方向支持板134から延在してキャビティ131内に突設される第3位置決めロッド163とを更に備え、形状記憶合金線支持スタンド21は、凸型ブロック15に回動自在に接続される主板体214と、主板体214の外縁に設けられて形状記憶合金線40と接続するための複数の接続端子23とを更に備え、複数の位置制限アーム211は、主板体214の外縁に設けられ、複数の接続端子23は、間隔を空けて一方の第1側縁212に取り付けられる2つの第1接続端子231と、間隔を空けて他方の第1側縁212に取り付けられる2つの第2接続端子232と、間隔を空けて一方の第2側縁213に取り付けられる2つの第3接続端子233と、間隔を空けて他方の第2側縁213に取り付けられる2つの第4接続端子234とを備え、各接続端子23は、何れも前記主板体214のキャビティ131から離間する側に傾斜突設されることにより、スタンド222と弾性ブラケット221とプリズム支持スタンド223とを収容保持するための容置溝を形成する。第1形状記憶合金線41は、中央部が一方の第1位置決めロッド161に引っ掛けられるように設けられ、両端が何れも形状記憶合金線支持スタンド21における第1接続端子231に固定され、第2形状記憶合金線42は、中央部が他方の第1位置決めロッド161に引っ掛けられるように設けられ、両端が何れも形状記憶合金線支持スタンド21における第2接続端子232に固定され、第3形状記憶合金線43は、中央部が第2位置決めロッド162に引っ掛けられるように設けられ、両端が何れも形状記憶合金線支持スタンド21における第3接続端子233に固定され、第4形状記憶合金線44は、中央部が第3位置決めロッド163に引っ掛けられるように設けられ、両端が何れも形状記憶合金線支持スタンド21における第4接続端子234に固定され、これにより、各形状記憶合金線40は、何れも「V」型状をなす。
【0029】
更に
図8を参照すると、好ましくは、第1位置決めロッド161、第2位置決めロッド162、第3位置決めロッド163は、何れも段差ロッド16であり、段差ロッド16は、第1ロッド本体164、第2ロッド本体165及び第3ロッド本体166を備え、第1ロッド本体164は、キャリヤ10に接続され、第2ロッド本体165は、第1ロッド本体164と第3ロッド本体166との間に設けられ、且つ第1ロッド本体164の外径及び第3ロッド本体166の外径は、何れも第2ロッド本体165の外径よりも大きく、各形状記憶合金線40の中央部は、それぞれ各段差ロッド16の第2ロッド本体165に引っ掛けられるように設けられて揺れ中に形状記憶合金線40が脱落しないことを保証させ、それとともに、段差ロッド16は、直接座体13に一体成形されてもよく、何れか一種の従来の組み立て方式によって座体13に組み立てられてもよい。本実施例における段差ロッド16は、座体13に取り付けられている。これにより、キャリヤ10の構造が簡素化され、キャリヤ10の作製コストも低減可能である。
【0030】
ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1は、ボール50を更に備え、形状記憶合金線支持スタンド21は、ボール50を介してキャリヤ10に回動自在に接続され、傾斜面151には、ボール50を収容して位置決めするための位置決め溝152が凹設され、位置決め溝152は、凸型ブロック15の形状記憶合金線支持スタンド21へ向かう表面に凹設され、形状記憶合金線支持スタンド21のキャリヤ10へ向かう側には、ボール50と係合するための球弧状溝215が設けられ、支持復帰ユニット20は、当該ボール50を回動接続支点として凸型ブロック15周りに回動する。
【0031】
好ましくは、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1は、磁性鋼60を更に備え、凸型ブロック15には、位置決め溝152と凸型ブロック15の底部との間に位置する取付溝153が設けられ、支持復帰ユニット20の最頂端の、プリズム30を固定するためのプリズム支持スタンド223は、金属材であり、磁性鋼60は、取付溝153内に収容して位置決めされることで位置決めボール50及びプリズム支持スタンド223を吸着する。これにより、支持復帰ユニット20とボール50とに対する取付固定は、形成される。
【0032】
本実施例において、主板体214のプリズム30へ向かう側には、球弧状ボス216が更に突設され、球弧状溝215は、主板体214のキャリヤ10へ向かう側から、球弧状ボス216に凹設されて延在し、保持スタンド222には、球弧状ボス216を退避させるための第1逃げ孔229が設けられ、弾性ブラケット221には、球弧状ボス216を退避させるための第2逃げ孔230が設けられている。こうして、保持スタンド222及び弾性ブラケット221は、形状記憶合金線支持スタンド21に粗位置決め可能であり、プリズム支持スタンド223に穴がないようにし、プリズム30の結像へ干渉することは、回避される。
【0033】
本発明のペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1では、複数の形状記憶合金線40を利用して支持復帰ユニット20におけるプリズム30を駆動してキャリヤ10内で第1回転中心軸周りに回動させ得、または第2回転中心軸周りに回動させ得ることにより、プリズム30は、形状記憶合金線40の駆動作用の下で角度を自動的に補正可能であり、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1の結像角度がより広くなり、その結像効果がより良好になる。形状記憶合金線40は、記憶効果を生じさせて駆動力を発生させるように、プログラムにより指令を出させてもよい。
【0034】
具体的に操作する際、
図1に示すように、第1形状記憶合金線41が通電されて発熱して短くなると、支持復帰ユニット20が斜め下方への引っ張り力を受け、これにより、支持復帰ユニット20がボール50を支点として点線Mで指された方向を回転軸として1方向周りに回動し、第2形状記憶合金線42が通電されて発熱して短くなると、プリズム30が固定座に対して点線Mで指された方向を回転軸として別の反対する方向周りに回動し、第3形状記憶合金線43が通電されて発熱して短くなると、プリズム30が固定座に対してX軸で指された方向を回転軸として1方向周りに回動可能であり、第4形状記憶合金線44が通電されて発熱して短くなると、プリズム30が固定座に対してX軸で指された方向を回転軸として別の反対する方向周りに回動可能である。本発明の形状記憶合金線40は、SMA線と別称されてもよいが、ここでは詳述しない。
【0035】
図12を参照すると、本発明は、ペリスコープレンズモジュールをさらに提供する。当該ペリスコープレンズモジュールは、フレーム70と、レンズ装置80と、イメージセンサ90と、上述したペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1とを備える。レンズ装置80は、フレーム70の中央部に取り付けられ、イメージセンサ90は、フレーム70の一端に取り付けられ、且つつレンズ装置80の像側に位置し、ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1は、前記フレーム70の他端に取り付けられ、且つつレンズ装置80の物体側に位置する。光線がペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置1で反射された後、レンズ装置80の軸線方向に沿って直線的にイメージセンサ90に到達して、結像を行う。
図12において、点線は、光線の伝達方向である。ペリスコープレンズモジュールは、撮像機能付き電子機器に適用することができ、好ましくは、当該撮像機能付き電子機器は、携帯電話またはカメラである。
【0036】
上述したのは、単に本発明の実施形態である。当業者にとって、本発明の創造的構想を逸脱しない前提で、種々の改良も行ってもよいが、これらは、いずれも本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 ペリスコープレンズモジュールに適用されるプリズム装置
10 キャリヤ
11 位置制限溝
111 ノッチ
12 係止溝
13 座体
131 キャビティ
132 凹溝
133 横方向支持板
134 縦方向支持板
135 側板
14 位置制限蓋
141 頂部位置制限板
142 側部位置制限板
15 凸型ブロック
151 傾斜面
152 位置決め溝
153 取付溝
16 段差ロッド
161 第1位置決めロッド
162 第2位置決めロッド
163 第3位置決めロッド
164 第1ロッド本体
165 第2ロッド本体
166 第3ロッド本体
20 支持復帰ユニット
21 形状記憶合金線支持スタンド
211 位置制限アーム
212 第1側縁
213 第2側縁
214 主板体
215 球弧状溝
216 球弧状ボス
22 弾性支持部材
221 弾性ブラケット
222 保持スタンド
223 プリズム支持スタンド
224 基板
225 弾性アーム
226 第1固定端部
227 第2固定端部
228 弾性湾曲部
229 第1逃げ孔
230 第2逃げ孔
23 接続端子
231 第1接続端子
232 第2接続端子
233 第3接続端子
234 第4接続端子
30 プリズム
40 形状記憶合金線
41 第1形状記憶合金線
42 第2形状記憶合金線
43 第3形状記憶合金線
44 第4形状記憶合金線
50 ボール
60 磁性鋼
70 フレーム
80 レンズ装置
90 イメージセンサ