(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】タッチセンサ及び入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
G06F3/041 400
(21)【出願番号】P 2021567888
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018736
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020093586
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 道弥
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/092657(WO,A1)
【文献】特開2007-268996(JP,A)
【文献】特開2015-041130(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044155(WO,A1)
【文献】特開2019-003653(JP,A)
【文献】特表2019-529603(JP,A)
【文献】特開2008-001760(JP,A)
【文献】特開2006-201226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0147117(US,A1)
【文献】国際公開第2015/029350(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168402(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体部材と、
前記固体部材に接着した、硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体を含む接着剤層と、
前記接着剤層によって前記固体部材に固着され、接触点の表示領域上の位置を検出するフィルム状のセンサ本体と
を備え、
前記センサ本体は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなり且つ線膨張率が前記硬化体よりも小さい透光性樹脂フィルム及び、前記透光性樹脂フィルムと前記接着剤層との間に設けられて前記接着剤層から前記透光性樹脂フィルムに伝わる応力を緩和する緩衝層を有し、
前記緩衝層が、25℃において粘弾性を有する、タッチセンサ。
【請求項2】
前記固体部材は、透光性を有し、
前記接着剤層は、前記透光性樹脂フィルムよりも線膨張率が大きく且つ硬化圧縮率が1%以上の液体光学透明接着剤の硬化体を含む液体光学透明接着剤層である、
請求項1記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記緩衝層は、25℃において、前記接着剤層よりもヤング率が大きく、且つ前記透光性樹脂フィルムよりもヤング率が小さい、
請求項1または請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記緩衝層は、実質的に、透光性のアクリル系粘着剤からなる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記緩衝層が、ウレタン、多官能アクリレート、イソシアネート、及びビスフェノール類を含有することを特徴とする、
請求項4に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
固体部材と、
前記固体部材に接着されているタッチセンサと
を備え、
前記タッチセンサは、
前記固体部材に接着した、硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体を含む接着剤層と、
前記接着剤層によって前記固体部材に固着されるフィルム状のセンサ本体と
を備え、
前記センサ本体は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなり且つ線膨張率が前記硬化体よりも小さい透光性樹脂フィルム及び、前記透光性樹脂フィルムと前記接着剤層との間に設けられて前記接着剤層から前記透光性樹脂フィルムに伝わる応力を緩和する緩衝層を有し、
前記緩衝層が、25℃において粘弾性を有する、入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ及び当該タッチセンサを備える入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が指で触るなどして情報の入力を行う入力装置として、タッチパネルが知られている。タッチパネルのうちの例えば液晶ディスプレイ(以下、LCDという場合がある)を含むタッチパネルでは、エアギャップ構造が採用されることが多く、タッチセンサとLCDとの間に空隙が設けられる構造が主流となっていた。しかしながら、近年、タッチパネルにおいて、反射を低減し、明るい光で視認性を向上し、LCDを高解像度化することが求められている。このような要求を満たすために、液体光学透明接着剤(LOCA:Liquid Optically Clear Adhesive)を介することによって、タッチセンサとLOCAとLCDとが隙間なく積層された構造が採用される場合がある。例えば、特許文献1(特許第3880418号公報)では、タッチセンサと表示装置の間に全面に渡って透明粘着剤層を設けて視認性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のタッチパネルのタッチセンサは、フィルム状のセンサ本体を含んで構成されている。フィルム状のセンサ本体は、接触点の表示領域上の位置を検出するための透明な樹脂フィルムと透明電極を含む部材である。樹脂フィルムをLCDに接着するためにLOCAが用いられている。ところが、LOCA層とセンサ本体との線膨張率が異なることから、タッチセンサの周囲の温度変化によって、フィルム状のセンサ本体に透明粘着剤層からセンサ本体に力が加わる。
センサ本体に含まれる樹脂フィルムには、様々な材料が用いられる。センサ本体に含まれる樹脂フィルムの中には、亀裂が比較的発生し易いものがある。センサ本体に含まれる樹脂フィルムの材料が、シクロオレフィン系樹脂である場合に、最近、タッチセンサの環境温度の変化によって樹脂フィルムに亀裂が生じる場合があることが確認された。このように樹脂フィルムに亀裂が生じると、タッチセンサ及びタッチパネルが正常に動作しなくなる。
【0005】
本発明の課題は、タッチセンサ及び入力装置において、シクロオレフィン系樹脂製の透光性樹脂フィルムを有するセンサ本体に環境温度の変化に起因して生じる亀裂を、抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るタッチセンサは、固体部材と、接着剤層と、フィルム状のセンサ本体とを有する。接着剤層は、固体部材に接着した、硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体を含む。フィルム状のセンサ本体は、接着剤層によって固体部材に固着され、接触点の表示領域上の位置を検出する。センサ本体は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなり且つ線膨張率が硬化体よりも小さい透光性樹脂フィルム及び、透光性樹脂フィルムと接着剤層との間に設けられて接着剤層から透光性樹脂フィルムに伝わる応力を緩和する緩衝層を有し、緩衝層が、25℃において粘弾性を有する。
このように構成されたタッチセンサでは、固体部材に接着した接着剤の硬化体が透光性樹脂フィルムにも接着する。硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体による残留応力とともに環境温度の変化で接着剤の硬化体から透光性樹脂フィルムに及ぼされる力が、緩衝層によって緩和され、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムに亀裂が生じるのを抑制することができる。
【0007】
上述のタッチセンサは、固定部材が透光性を有し、接着剤層が、透光性樹脂フィルムよりも線膨張率が大きく且つ硬化圧縮率が1%以上の液体光学透明接着剤の硬化体を含む液体光学透明接着剤層であってもよい。このように構成されたタッチセンサは、透明性及び視認性に優れている。
上述のタッチセンサの緩衝層は、25℃において、接着剤層よりもヤング率が大きく、且つ透光性樹脂フィルムよりもヤング率が小さくなるように設定されることが好ましい。このように構成されたタッチセンサは、接着剤の硬化体で発生して透光性樹脂フィルムに伝わる応力を効果的に減少させることができる。
上述のタッチセンサは、緩衝層として、実質的に、透光性のアクリル系粘着剤からなる緩衝層を備えるように構成されてもよい。このように構成されたタッチセンサは、アクリル系粘着剤からなる緩衝層によって、光学的に優れ且つ透光性樹脂フィルムの亀裂が抑制されるタッチセンサの実現が容易になる。
上述のタッチセンサは、緩衝材が、実質的に透光性のアクリル系粘着剤であって、ウレタン、多官能アクリレート、イソシアネート、及びビスフェノール類を含有するように構成されてもよい。このように構成されたタッチセンサは、架橋によって緩衝層の密着性及び強度が向上し、十分な緩衝性能を得易くなる。
【0008】
本発明の一見地に係る入力装置は、固体部材と、固体部材に接着されているタッチセンサとを備える。タッチセンサは、固体部材に接着した、硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体を含む接着剤層と、接着剤層によって固体部材に固着されるフィルム状のセンサ本体とを備える。センサ本体は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなり且つ線膨張率が硬化体よりも小さい透光性樹脂フィルム及び、透光性樹脂フィルムと接着剤層との間に設けられて接着剤層から透光性樹脂フィルムに伝わる応力を緩和する緩衝層を有し、緩衝層が、25℃において粘弾性を有する。
このように構成されたタッチパネルは、固体部材に接着した接着剤の硬化体が透光性樹脂フィルムにも接着する。硬化圧縮率が1%以上の接着剤の硬化体による残留応力とともに環境温度の変化で接着剤の硬化体から透光性樹脂フィルムに及ぼされる力が、緩衝層によって緩和され、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムに亀裂が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るタッチセンサ及びタッチパネルは、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムを有するセンサ本体に環境温度の変化に起因して生じる亀裂を、緩衝層により抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るタッチパネルの構成の一例を示す分解斜視図。
【
図2】
図1のタッチパネルの構成を説明するためのタッチパネルの模式的な断面図。
【
図3】透光性樹脂フィルムと緩衝層と光学透明接着剤層のヤング率の違いを説明するためのグラフ。
【
図5】透光性樹脂フィルムに生じた亀裂の一例を示す図面代用写真。
【
図6】透光性樹脂フィルムと緩衝層と光学透明接着剤層の応力とひずみの関係の一例を示すグラフ。
【
図7】変形例に係る入力装置の構成の一例を示す模式的な断面図。
【
図8】第2実施形態に係るタッチパネルの構成の一例を示す模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1には、第1実施形態に係るタッチパネル10の構成の一例が示されている。タッチパネル10が入力装置の例である。
図1では、タッチパネル10が、タッチセンサ15と、フレーム20と、カバーガラス30と、表示パネル100とに分解して示されている。タッチセンサ15は、センサ本体40と、液体光学透明接着剤層50,60とを備えている。以下、液体光学透明接着剤を、LOCAと表現する場合がある。LOCAは、Liquid Optically Clear Adhesiveの略語である。液体光学透明接着剤(LOCA)は、光学材料を結合するための液体ベースの接着剤である。LOCAは、例えば、ゲル状のOCA(Optically Clear Adhesive)で、硬化することによってゴム状の材質に変化する材料である。
表示パネル100は、例えば長方形の画面105を有している。ここでは、画面105が長方形である場合について説明するが、画面105は、所定形状を有していればよく、長方形には限られない。表示パネル100は、表面に、画面105を保護するために、例えばガラス板110を有している。ガラス板110は、固体部材である。固体部材であるガラス板110は、LOCAから加えられる応力に対して、実質的に形状を変更しない部材である。そのため、LOCAで応力が発生しても、固体部材であるガラス板110は、応力を緩和する機能を有しない。ここでは、固体部材がガラス板110である場合について説明するが、表示パネル100の透光性の固体部材は、ガラス板110には限られない。固体部材は、例えば、表示パネルが液晶表示パネルである場合には、液晶パネルのフィルタであってもよく、表示パネルがエレクトロルミネッセンスパネルである場合には、ガラス基板であってもよい。
カバーガラス30は、タッチセンサ15の全面を覆う平坦で薄いガラス部材である。カバーガラス30の縁部には、環状の遮蔽層31が形成されている。遮蔽層31は、画面105から漏れる余分な光を遮蔽する機能を有している。遮蔽層31に囲まれた長方形の面積は、画面105の大きさにほぼ等しい。LOCA層50は、遮蔽層31に囲まれた長方形よりも大きな面積を有している。
【0012】
LOCA層50,60は、液体光学透明接着剤の硬化体を含む層である。LOCA層50,60は、例えば液体光学透明接着剤のみの硬化体からなる層である。LOCA層50,60は、例えば、カバーガラス30、ガラス板110及びセンサ本体40が平坦であれば、実質的に均一な厚みを有する。LOCA層50,60の形状は、画面105と実質的に同じか、または画面105よりも大きな長方形である。この画面105は、表示領域である。LOCA層50,60は、表示領域と実質的に同じか、または表示領域よりも大きな面積を有する。
LOCAは、硬化することで縮む。ここで用いられるLOCAの硬化圧縮率は1%以上である。硬化圧縮率は、LOCA層の広がっている平面方向の所定方向の硬化前の長さに対する硬化後の長さの収縮率で定義される。例えば、JISK5600に準拠して、硬化前後の密度を測定し、密度変化より硬化圧縮率を求める。硬化前の液体の比重をdl、硬化後の固体の比重をdsとすると、硬化圧縮率rは、次の(1)式から求められる。液体の比重dlは比重ビン法にて測定し、固体の比重dsは固体比重測定法にて測定する。
r={(ds1/3-dl1/3)/dl1/3}×100 …(1)
あるいは、このような測定が困難なときには、例えば、JISK6911に準拠して、20cm×1cm×1cmの棒状注型物を硬化させ、長さ方向の収縮率を測定して、この収縮率を硬化圧縮率とする。
【0013】
図2には、第1実施形態に係るタッチパネル10の積層構造の概要が模式的に示されている。
図2では図を見易くするために厚み方向が拡大してデフォルメして示されているが、センサ本体40は、フィルム状である。センサ本体40は、LOCA層60によって、ガラス板110に固着されている。
センサ本体40は、検出対象がタッチパネル10に接触する接触点の位置を検出する。タッチパネル10に接触する指などの検出対象が、センサ本体40に対してどのような位置に存在するかを、センサ本体40は検出する。タッチパネル10のユーザは、通常、タッチパネル10に触れるので、ここでは接触点と表現している。この第1実施形態では、センサ本体40は、カバーガラス30によって覆われているので、センサ本体40に指などの検出対象が直接接触することはない。センサ本体40は、検出対象がタッチパネル10に接触せずに近接している状態で、検出対象物の表示領域上の位置を検出するように設定されてもよいが、ここでは、そのような場合の近接点も含めて、「接触点の表示領域上の位置をセンサ本体40が検出する」と表現する。
【0014】
センサ本体40は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41と、緩衝層42とを有している。
透光性樹脂フィルム41は、線膨張率がLOCAの硬化体よりも小さい。線膨張率は、熱機器分析装置(TMA:thermomechanical analyzer)を用いて、JISK7197に準拠して測定する。ここでは、低温側の温度T1を-40℃とし、高温側の温度T2を100℃として測定する。
緩衝層42は、透光性樹脂フィルム41とLOCA層60との間に設けられて、LOCA層60から透光性樹脂フィルム41に伝わる応力を緩和する層である。このような応力を緩和するために、緩衝層42は、透光性及び、少なくとも25℃において粘弾性を有している。ここでは、緩衝層42は、透光性樹脂フィルム41との間に他の一つまたは複数の層43を挟んで配置されている場合が示されている。しかし、緩衝層42は、透光性樹脂フィルム41及びLOCA層60と直接接するように配置されてもよい。例えば、緩衝層42は、透光性樹脂フィルム41との間に、他の層43として、透明電極層を挟んで配置される。また、例えば、緩衝層42は、透光性樹脂フィルム41との間に、他の層43としてパッシベーション層を挟んで配置される。パッシベーション層としては、例えば、防錆層及び保護層がある。
【0015】
この第1実施形態では、センサ本体40は、LOCA層50によって、カバーガラス30に固着されている。センサ本体40は、透光性樹脂フィルム41とLOCA層50との間に設けられている緩衝層44を有する。緩衝層44は、透光性樹脂フィルム41とLOCA層60との間に設けられて、LOCA層60から透光性樹脂フィルム41に伝わる応力を緩和する層である。このような応力を緩和するために、緩衝層44は、透光性及び、少なくとも25℃において粘弾性を有している。ここでは、緩衝層44は、透光性樹脂フィルム41との間に他の一つまたは複数の層45を挟んで配置されている場合が示されている。しかし、緩衝層44は、透光性樹脂フィルム41及びLOCA層50と直接接するように配置されてもよい。例えば、緩衝層44は、透光性樹脂フィルム41との間に、他の層45として透明電極層を挟んで配置される。また、例えば、緩衝層44は、透光性樹脂フィルム41との間に、他の層45としてパッシベーション層を挟んで配置される。パッシベーション層としては、例えば、防錆層及び保護層がある。
LOCA層50,60は、センサ本体40とカバーガラス30との間に、及びセンサ本体40とガラス板110との間に、気泡を含まずに、隙間なくLOCAが充填されて形成されている層である。
【0016】
(2)詳細構成
(2-1)LOCA層50,60
LOCA層50,60の厚さは、例えば、1mm~10mmである。また、LOCA層50,60の大きさは、例えば、60cm2~400cm2である。LOCA層50,60を形成するときには、例えば、LOCAがカバーガラス30及びガラス板110の外にはみ出さないように、例えば、カバーガラス30及びガラス板110の縁部にダム51,61を形成する。LOCAには、例えば、アクリル系LOCAまたはシリコーン系LOCAを用いることができる。LOCAとしては、例えば、ヘンケルジャパン社製のLoctaite(登録商標)、3M社製のLOCA、Momentive社製のLOCAがある。LOCAの硬化方法(キュア方法)には、例えば、紫外線を与える方法、紫外線と熱を与える方法、紫外線と湿気を与える方法がある。LOCA層50,60は、カバーガラス30及びガラス板110と張り合わされた後で硬化(キュア)される。
【0017】
(2-2)センサ本体40
(2-2-1)透光性樹脂フィルム41
透光性樹脂フィルム41の厚さは、例えば、100μmから500μmまでの範囲の中から選定される。透明なシクロオレフィン系樹脂には、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、及びシクロオレフィンコポリマー(COC)がある。透光性樹脂フィルム41は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムであればよい。ここで、「実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム」とは、透光性樹脂フィルムの機械的物性がシクロオレフィン系樹脂の機械的物性と実質的に同じである範囲でシクロオレフィン系樹脂以外の材料を含んでいてもよいということを意味している。「実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム」には、例えば、シクロオレフィン系樹脂の含有量が全体の90質量%以上である透光性樹脂フィルムが含まれる。シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、日本ゼオン社製のZEONEX(登録商標)、日本ゼオン社製のZEONOR(登録商標)、JSR社製のARTON(登録商標)、ポリプラスチック社製のTOPAS(登録商標)、三井化学社製のアペル(登録商標)がある。これらの市販の樹脂を用いて形成される透光性樹脂フィルムは、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムである。
【0018】
(2-2-2)緩衝層42,44
緩衝層42,44の厚さは、例えば、10μm~300μmである。緩衝層42,44の厚さは、30μm~200μmであることが好ましい。緩衝層42,44は、薄すぎると緩衝の効果が十分に得られず、厚すぎると光学特性の低下を招く。緩衝層42,44は、実質的に透光性のアクリル系粘着剤からなる。ここで、「実質的にアクリル系粘着剤からなる」とは、緩衝層42,44の光学的物性及び機械的物性がアクリル系粘着剤の光学的物性及び機械的物性と実質的に同じである範囲でアクリル系粘着剤以外の材料を含んでいてもよいということを意味している。「実質的にアクリル系粘着剤からなる」には、例えば、アクリル系粘着剤の含有量が全体の90質量%以上である緩衝層が含まれる。
また、このようなアクリル系粘着剤は、ウレタン、多官能アクリレート、イソシアネート、及びビスフェノール類を含有するように構成されることが好ましい。アクリル系粘着剤は、前述の材料を含有することで、前述の材料を含まない場合に比べて、架橋によって密着性及び強度が向上する。
【0019】
緩衝層42,44は、環境への負荷を低減するため、反応性の酸成分が紫外線によって脱離しないことが好ましい。
緩衝層42,44のピール強度は、25℃においては、15~20N/25mmであることが好ましい。また、緩衝層42,44のピール強度は、95℃において、5-10N/25mmであることが好ましい。ピール強度は、JISC6481(1996)に準拠して、緩衝層42,44を透光性樹脂フィルム41に対して垂直となるように、50mm/分の速度で引き剥がして測定する。
図3には、25℃における透光性樹脂フィルム41(COPフィルム)のヤング率と、緩衝層42、44のヤング率と、LOCA層50,60のヤング率の関係が示されている。
図3に示されているように、タッチセンサ15の緩衝層42,44は、25℃において、LOCAの硬化体からなるLOCA層50,60よりもヤング率が大きく、且つ透光性樹脂フィルム41よりもヤング率が小さくなるように設定されている。緩衝層42,44のヤング率は、25℃において、0.15~0.25MPaであることが好ましい。緩衝層42,44のヤング率は、95℃において、0.15~0.25MPaであることが好ましい。ヤング率は、JISK7127に準拠して測定する。ヤング率の測定時の引張速度は、500mm/分である。
タッチセンサ15が静電容量方式の場合、緩衝層42,44の比誘電率は、測定環境が-20℃~85℃、測定周波数が1kHz~1MHzにおいて、3~4であることが好ましい。比誘電率は、JISC2138に準拠して測定する。
信頼性試験において、全光線透過率が88.5~90%であることが好ましい。信頼性試験の条件は、-40℃、100℃、65℃で93%RHの条件において、各1000時間である。
【0020】
(2-2-3)その他の層43,45
透光性樹脂フィルム41には、その他の層43,45として、例えば透明電極(図示せず)が形成されている。透明電極の厚さは、例えば、0.05μm~0.1μmである。透明電極は、透光性樹脂フィルム41の2つの面のうち、カバーガラス30の側に形成されてもよく、表示パネル100の側に形成されてもよく、両方に形成されてもよい。透明電極は、例えば、金属酸化物、透明導電性ポリマーまたは透明導電インキで形成される。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。透明導電性ポリマーとしては、例えば、PEDOT/PSS(poly-3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスルフォン酸)が挙げられる。また、透明導電インキとしては、例えば、カーボンナノチューブまたは銀ナノファイバーをバインダー中に含むものが挙げられる。
透光性樹脂フィルム41と緩衝層42との間にパッシベーション層が、その他の層43,45として設けられてもよい。このようなパッシベーション層は、透明電極を覆うように設けられ、例えば、絶縁性の樹脂により構成される。パッシベーション層は、例えば、紫外線感光性樹脂によって形成でき、厚さが1μm~20μmである。
【0021】
(3)特徴
(3-1)
環境温度の変化で液体光学透明接着剤層から透光性樹脂フィルムに及ぼされる力の影響について、
図4のグラフに示されているように、-40℃の空気に4分間暴露する第1状態と、100℃の空気に4分間暴露する第2状態とを交互に繰り返す熱衝撃試験で評価している。
ガラス板に、厚さ1mmのLOCA層で、厚さ100μm且つ面積100cm
2のシクロオレフィン系樹脂製の透光性樹脂フィルムを硬化接着させたものと、同じLOCA層と同じ透光性樹脂フィルムの間に厚さ100μmの緩衝層を配置したものとを比較した。
167サイクルを経過した状態で、前者には透光性樹脂フィルムに亀裂が展開したサンプルが発生したのに対し、後者には亀裂が展開したサンプルはなかった。
図5には、実験で発生した前者の透光性樹脂フィルムの亀裂200が示されている。
図6には、シクロオレフィン系樹脂製の透光性樹脂フィルム(COPフィルム)、緩衝層及びLOCA層のひずみと応力の関係が示されている。
図4から、COPフィルムが硬いが脆いことが分かり、LOCA層が柔らかくて粘り強いことが分かり、緩衝層が柔らかさと粘り強さについてはCOPフィルムとLOCA層の中間くらいであることが分かる。COPフィルムは、マイクロボイド(欠陥)がサイトとなって亀裂が生じ、脆いと言われている。緩衝層の挿入によって、隣接する部材間の応力の強度差が小さくなり、COPフィルムの界面が粘弾性化し、LOCA層に接着される部材の伸びの性質が確保されている。
上述のタッチセンサ15及びタッチパネル10では、固体部材であるガラス板110に接着した液体光学透明接着剤の硬化体であるLOCA層60が透光性樹脂フィルム41に接着している。液体光学透明接着剤の硬化体の硬化圧縮率が1%以上であるが、硬化体の残留応力が透光性樹脂フィルム41に与える影響が緩衝層42によって緩和されている。さらに、環境温度の変化でLOCA層60から透光性樹脂フィルム41に及ぼされる力が、緩衝層42によって緩和される。緩衝層42のこれらの働きによって、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41に亀裂が生じるのを抑制することができる。
また、固体部材であるカバーガラス30に接着した液体光学透明接着剤の硬化体であるLOCA層50から透光性樹脂フィルム41に対して及ぼされる影響を緩衝層44が緩和する。従って、上述のような効果については、LOCA層50に対して緩衝層44と透光性樹脂フィルム41とを有するタッチセンサ15も同様に奏する。
なお、LOCA層とCOPフィルムとの間に、例えばパッシベーション層と透明電極がある従来の場合でも、パッシベーション層と透明電極のばね定数が大きくないために、熱衝撃によってLOCA層に発生する応力がCOPフィルムにパッシベーション層と透明電極を介して伝搬する。そのため、従来は、パッシベーション層と透明電極があってもCOPフィルムに亀裂が生じていた。LOCA層とパッシベーション層の間に緩衝層42,44を設けることで、パッシベーション層があっても、LOCA層とパッシベーション層の間での緩衝層42,44による応力の散逸によって、熱衝撃によるCOPフィルムでの亀裂の発生を抑制できる。
【0022】
(3-2)
図3に示されているように、タッチセンサ15の緩衝層42,44は、25℃において、LOCAの硬化体からなるLOCA層50,60よりもヤング率が大きく、且つ透光性樹脂フィルム41よりもヤング率が小さくなるように設定されている。そのため、LOCAの硬化体で発生して透光性樹脂フィルム41に伝わる応力を、緩衝層42,44によって効果的に減少させることができる。
(3-3)
タッチセンサ15の緩衝層42,44が、透光性のアクリル系粘着剤からなる場合であって、ウレタン、多官能アクリレート、イソシアネート、及びビスフェノール類を含有する場合には、架橋によって緩衝層42,44の密着性及び強度を向上させ、十分な緩衝性能を得ることができる。
【0023】
(4)変形例
(4-1)変形例1A
上記第1実施形態では、タッチセンサ15と表示パネル100を組み合わせたタッチパネル10について説明した。しかし、タッチセンサ15は、タッチパネル10以外の用途に用いることができる。例えば、
図7に示されているように、タッチセンサ15を、透光性の樹脂板71に加飾シート72を接着したものに適用し、LED73,74,75と組み合わせることで、入力装置70が構成される。入力装置70のタッチセンサ15は、LOCA層50とセンサ本体40とを備えている。このように構成された入力装置70においても、シクロオレフィン系樹脂製の透光性樹脂フィルム41に熱衝撃に起因して亀裂が生じるのを、緩衝層44によって抑制することができる。なお、
図7において、
図2と同一符号で示されたものは、
図2に示されたものと同一または類似のものである。
(4-2)変形例1B
上記第1実施形態では、センサ本体40が、LOCA層60により接着される透光性樹脂フィルム41を一つだけ備える場合について説明したが、LOCA層により接着される透光性樹脂フィルムが複数並べて配置されてもよく、また複数積層して設けられていてもよい。例えば、下層の第1の透光性COPフィルムがLOCA層によって表示パネルに接着され、上層の第2の透光性COPフィルムがカバーガラスにLOCA層によって接着されてもよい。
(4-3)変形例1C
上記第1実施形態では、センサ本体40にLOCA層50が設けられる場合について説明したが、LOCA層50を省いたようなタッチセンサにも、本発明を適用することができる。LOCA層50を省く場合には、緩衝層44も省かれる。
【0024】
<第2実施形態>
(5)全体構成
第1実施形態のタッチパネル10では、LOCA層50と透光性樹脂フィルム41との間に、緩衝層44を設ける場合について説明した。しかし、緩衝層を設ける場所は、LOCA層と透光性樹脂フィルムとの間には限られない。
図8に示されている第2実施形態のタッチパネル10では、遮蔽層31と透光性樹脂フィルム41との間に緩衝層44が設けられている。第1実施形態のタッチパネル10及び第2実施形態のタッチパネル10において、センサ本体40と表示パネル100との間の積層構造が同じである場合について説明する。そのため、第2実施形態のタッチパネル10については、センサ本体40と表示パネル100との間の積層構造の詳細な説明を省略する。
図8に示されているように、第2実施形態のタッチパネル10においては、遮蔽層31に囲まれた領域の中にLOCA層80が形成されている。このLOCA層80に含まれたLOCAの硬化体は、硬化圧縮率が1%未満である。
遮蔽層31は、カバーガラス30とセンサ本体40とを接着する接着剤でもある。遮蔽層31は、硬化圧縮率が1%以上である。また、遮蔽層31の線膨張率が、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41の線膨張率よりも大きい。従って、遮蔽層31の残留応力が透光性樹脂フィルム41に与える影響が緩衝層44によって緩和されている。さらに、環境温度の変化で遮蔽層31から透光性樹脂フィルム41に及ぼされる力が、緩衝層44によって緩和される。緩衝層44のこれらの働きによって、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41に亀裂が生じるのを抑制することができる。
【0025】
(6)詳細構成
(6-1)LOCA層80
LOCA層80は、LOCA層50とは面積が異なり、硬化圧縮率が1%未満である。LOCA層80は、例えば、LOCA層50と同じように成形して硬化させる。LOCA層80の厚さは、例えば、1mm~2mmである。
(6-2)遮蔽層31
遮蔽層31は、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、またはエポキシ系接着剤である。既に説明したが、遮蔽層31は、硬化圧縮率が1%以上の接着剤である。さらに、遮蔽層31の線膨張率は、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41の線膨張率よりも大きい。ただし、遮蔽層31は、不透明であって、光を透過しない。遮蔽層31の厚さは、例えば、1mm~2mmである。
(6-3)緩衝層44
第2実施形態の緩衝層44にも、第1実施形態の緩衝層44と同じものを適用することができる。その場合には、第2実施形態の緩衝層44の設けられている場所が、遮蔽層31と透光性樹脂フィルム41との間であるという点が第1実施形態の緩衝層44と異なる。しかし、それ以外の例えば材質などは、第2実施形態の緩衝層44を第1実施形態の緩衝層44と同じに構成することができる。ただし、第2実施形態の緩衝層44は、透光性を有していなくてもよく、遮光性であってもよい。この緩衝層44のヤング率は、透光性樹脂フィルム41のヤング率よりも小さく設定されることが好ましい。さらには、緩衝層44のヤング率が、遮蔽層31のヤング率よりも大きく設定されることが好ましい。
【0026】
(7)特徴
(7-1)
環境温度の変化で遮蔽層から透光性樹脂フィルムに及ぼされる力の影響について、
図4のグラフに示されているように、-40℃の空気に4分間暴露する第1状態と、100℃の空気に4分間暴露する第2状態とを交互に繰り返す熱衝撃試験で評価している。
ガラス板に、厚さ2mm且つ面積140cm
2の(0.7cm×200cm)の遮蔽層を硬化接着させたものと、同じ遮蔽層と同じ透光性樹脂フィルムの間に厚さ30μmの緩衝層を配置したものとを比較した。
278サイクルを経過した状態で、前者には透光性樹脂フィルムに亀裂が展開したサンプルが発生したのに対し、後者には亀裂が展開したサンプルはなかった。
上述のタッチセンサ15及びタッチパネル10では、固体部材であるカバーガラス30に接着した接着剤の硬化体を含む遮蔽層31が透光性樹脂フィルム41に接着している。遮蔽層31の硬化圧縮率が1%以上であるが、硬化体の残留応力が透光性樹脂フィルム41に与える影響が緩衝層42によって緩和されている。さらに、環境温度の変化で遮蔽層31から透光性樹脂フィルム41に及ぼされる力が、緩衝層44によって緩和される。緩衝層44のこれらの働きによって、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41に亀裂が生じるのを抑制することができる。
なお、遮蔽層と緩衝層の間にパッシベーション層と電極がある場合でも、遮蔽層とパッシベーション層の間に緩衝層44を設けることで、遮蔽層とパッシベーション層の間での緩衝層44による応力の散逸によって、熱衝撃によるCOPフィルムでの亀裂の発生を抑制できる。
【0027】
(7-2)
タッチセンサ15の緩衝層44が、25℃において、遮蔽層31よりもヤング率が大きく、且つ透光性樹脂フィルム41よりもヤング率が小さくなるように設定されている場合には、遮蔽層31で発生して透光性樹脂フィルム41に伝わる応力を、緩衝層44によって効果的に減少させることができる。
【0028】
(8)変形例
(8-1)変形例2A
上記第2実施形態では、遮蔽層31と透光性樹脂フィルム41との間にのみ緩衝層44を配置する場合について説明した。しかし、遮蔽層31及びLOCA層80と透光性樹脂フィルム41との間に緩衝層44を配置してもよい。このようにLOCA層80と透光性樹脂フィルム41との間に緩衝層44を配置する場合には、LOCA層80の硬化圧縮率が1%以上で且つ、LOCA層80の線膨張率が、シクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルム41の線膨張率よりも大きくてもよい。
(8-2)変形例2B
上記第2実施形態では、入力装置であるタッチパネル10において、センサ本体40にLOCA層60が設けられる場合について説明した。しかし、LOCA層60を省いたようなタッチパネルにも、本発明を適用することができる。LOCA層60を省く場合には、緩衝層42も省かれる。
例えば、上述の表示パネル100に接着剤を平面視で枠状に塗布して、枠状の接着剤の硬化体で、表示パネル100とセンサ本体40とを接着してもよい。この場合の接着剤は、硬化圧縮率が1%以上で且つ、硬化体の線膨張率がシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムの線膨張率よりも大きい。このような構成の場合には、枠状の接着剤の硬化体とセンサ本体40との間に枠状の緩衝層42が設けられる。
(8-3)変形例2C
上記第2実施形態では、タッチセンサ15と表示パネル100を組み合わせたタッチパネル10について説明した。しかし、タッチセンサ15は、タッチパネル10以外の用途に用いることができる。
例えば、表示パネル100とLOCA層80とを省いて、カバーガラス30に対応するような固体部材と、遮蔽層31に対応するような接着剤と、緩衝層44と、センサ本体40とを備える入力装置に対しても、本発明を適用できる。なお、遮蔽層31の持つ遮蔽機能のない、単なる枠状の接着剤(例えば透明接着剤)で、カバーガラス30とセンサ本体40とを接着する場合に、センサ本体40と、画面105の周囲を囲む枠状の接着剤の硬化体との間に枠状の緩衝層44を設けてもよい。この場合の接着剤は、硬化圧縮率が1%以上で且つ、硬化体の線膨張率がシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムの線膨張率よりも大きい。このような構成の場合に、枠状の接着剤の硬化体で囲まれたエリアについては、カバーガラス30とセンサ本体40とが接着されていなくてもよい。
例えば、タッチセンサは、固体部材である支持体に、硬化圧縮率が1%以上である接着剤で接着された抵抗膜式タッチセンサであってもよい。この場合、接着剤の線膨張率が、タッチセンサのシクロオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムの線膨張率よりも大きい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記第1実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0029】
上記実施形態では、LOCA層を形成するときに、カバーガラスやガラス板の縁部にダムを形成したが、ダムはセンサ本体の縁部に形成してもよい。
【0030】
又、上記実施形態において、LOCA層と緩衝層との間にフィルムを設けてもよい。第2実施形態において、遮蔽層などの接着剤と緩衝層との間にフィルムを設けてもよい。フィルムの材料としては、アクリル系やウレタン系の樹脂が挙げられる。
【符号の説明】
【0031】
10 タッチパネル
15 タッチセンサ
30 カバーガラス (固体部材の例)
31 遮蔽層 (接着剤の例)
40 センサ本体
41 透光性樹脂フィルム
42,44 緩衝層
50,60 液体光学透明接着剤層 (LOCA層)
100 表示パネル
105 画面
110 ガラス板 (固体部材の例)
【要約】
【課題】実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる透光性樹脂フィルムを有するタッチセンサのセンサ本体に環境温度の変化に起因して生じる亀裂を抑制する。
【解決手段】液体光学透明接着剤層60は、固体部材であるガラス板110に接着した接着剤の硬化体を含む接着剤層である。フィルム状のセンサ本体40は、液体光学透明接着剤層60によってガラス板110に固着され、接触点の表示領域上の位置を検出する。センサ本体40の透光性樹脂フィルム41は、実質的にシクロオレフィン系樹脂からなる。25℃において粘弾性を有する緩衝層42が、透光性樹脂フィルム41と液体光学透明接着剤層60との間に設けられて、液体光学透明接着剤層60から透光性樹脂フィルム41に伝わる応力を緩和する。
【選択図】
図1