(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】用時混合型プレフィルドシリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/28 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61M5/28 520
(21)【出願番号】P 2017184588
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505180313
【氏名又は名称】株式会社モリモト医薬
(73)【特許権者】
【識別番号】598038359
【氏名又は名称】株式会社竹林紙管
(72)【発明者】
【氏名】盛本 修司
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩
(72)【発明者】
【氏名】岸本 丈太郎
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-031189(JP,A)
【文献】特開平11-047274(JP,A)
【文献】特表2012-503506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/178
A61M 5/28
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に注射針が取り付けられ、後端開口からプランジャが摺動自在に挿入され、内部に固形成分を充填した注射筒と、
出口が刺通可能なシール材で密閉され、内部に液体成分を充填した容器と、
前記注射針の先端を前記容器の出口に対向させた状態で前記注射筒又は前記容器を前記注射筒の筒軸方向に沿って移動可能に保持する保持体と
を備えた用時混合型プレフィルドシリンジであって、
前記注射針の先端が前記シール材から離間した状態で、前記容器、前記保持体及び前記注射筒を筒軸方向に沿って並ぶように配置して収納する収納ケースを備え、
前記収納ケースは、前記注射筒の筒軸方向の一方側及び他方側の2つのケース部分が前記注射筒の筒軸方向に沿って相対移動可能な構造を有し、
前記収納ケースは、前記注射筒が筒軸方向に沿って前記容器に接近するように操作する注射筒操作部と、前記プランジャが前記注射筒の先端側へ移動するように操作するプランジャ操作部とを備え、
前記注射筒操作部は、前記2つのケース部分と、前記一方側のケース部分に設けられて前記注射筒を係止する注射筒係止部と、前記他方側のケース部分に設けられて前記容器を係止する容器係止部とで構成され、
前記プランジャ操作部は、前記2つのケース部分と、前記一方側のケース部分に設けられて前記プランジャの駆動用ロッドを係止するプランジャ係止部と、前記容器に対する位置が固定された状態で前記注射筒が連結された前記容器を係止する前記容器係止部とで構成され、
前記注射筒操作部及び前記プランジャ操作部は前記収納ケースの外部から操作が可能である用時混合型プレフィルドシリンジ。
【請求項2】
前記収納ケースは、前記注射筒及び前記容器のいずれか一方又は両方の位置に対応する筒側面部に開口を有する請求項1に記載の用時混合型プレフィルドシリンジ。
【請求項3】
前記注射筒係止部は、前記一方側のケース部分の内面に突出し、前記注射筒のフランジ部の後側面に当接するリブで構成され、
前記プランジャ係止部は、前記プランジャの駆動用ロッドの後端部に当接する前記一方側のケース部分の閉塞側の端部の壁で構成され、
前記容器係止部は、前記容器の底部に当接する前記他方側のケース部分の閉塞側の端部の壁で構成されている請求項
1又は2に記載の用時混合型プレフィルドシリンジ。
【請求項4】
前記一方側のケース部分は、前記リブを周方向の一部範囲に形成し、前記リブに対して周方向で隣り合い且つ前記リブよりも前記一方側のケース部分の閉塞側の端部寄りの位置に、前記注射筒のフランジ部の後側面に当接可能な第2リブを形成している請求項
3に記載の用時混合型プレフィルドシリンジ。
【請求項5】
前記リブは、周方向の両側に、前記注射筒の筒軸方向で前記リブの形成範囲よりも前記一方側のケース部分の閉塞側の端部とは反対側に延設された第3リブを備えている請求項
4に記載の用時混合型プレフィルドシリンジ。
【請求項6】
前記注射筒の筒軸方向の一方側のケース部分は一端部が開口し他端部が閉鎖された大径筒状部で構成され、前記注射筒の筒軸方向の他方側のケース部分は一端部が開口し他端部が閉鎖された小径筒状部で構成され、前記小径筒状部の開口した一端部は前記大径筒状部の開口した一端部からその内部に筒軸方向に沿って挿入可能であり、
前記大径筒状部及び小径筒状部の筒軸芯が一致する状態で、前記大径筒状部の一端部の外周面と前記小径筒状部の一端部の外周面との間を破断可能な接続部で接続してある請求項
1から
5のいずれか一項に記載の用時混合型プレフィルドシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射液を構成する一方の成分を充填した容器と、注射液を構成する他方の成分を充填した注射筒とを備え、使用時に容器内の成分と注射筒内の成分とを混合して注射液を調製する用時混合型プレフィルドシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の用時混合型プレフィルドシリンジでは、液体成分を充填した注射筒の先端の注射針が薬剤容器の出口を密閉するシール材に対して離間した状態で対向し、注射筒と薬剤容器とが入れ子機構に支持されて注射筒の筒軸方向に相対移動自在に連結された構造が公知である(特許文献1参照)。特許文献1のプレフィルドシリンジでは、使用時に注射筒を薬剤容器に向けて押し込んで注射針の先端をシール材に刺し通し、注射筒と薬剤容器とを連通させた後、注射筒の後端開口に挿入されたプランジャを押して注射筒内の液体成分を薬剤容器に注入して薬剤と液体とを混合し、得られた注射液を薬剤容器から注射筒内に戻す。このプレフィルドシリンジでは、注射筒、プランジャ、薬剤容器等は外部に露出している。
【0003】
また、容器の内部に液体成分を充填し、粉末薬剤を充填した注射筒の先端の注射針を容器の出口を密閉するシール材に突き刺した状態(但し非貫通状態)で対向させ、液体容器と注射筒とを接続筒によって連結した構造が公知である(特許文献2参照)。特許文献2のプレフィルドシリンジでは、使用時に注射筒の後端開口に挿入されたプランジャを押し込んで注射針の先端をシール材に貫通させ、注射筒と薬剤容器とを連通させるとともに容器内の液体成分を注射筒側に移行させて薬剤と液体成分とを混合して注射液を調製する。このプレフィルドシリンジでは、液体容器が接続筒の一端部に取り付けられ、接続筒の他端部に取り付けた注射筒及びプランジャを覆うカバーが装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-118164号公報
【文献】特開平5-31189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のプレフィルドシリンジでは、注射筒、プランジャ、薬剤容器等は外部に露出している。特許文献2に記載のプレフィルドシリンジでは、注射筒とプランジャはカバーによって覆われているが、液体容器、接続筒と液体容器との接続部分等は、外部に露出している。そのため、従来のプレフィルドシリンジでは、保管時及び注射液の調製時において、露出している注射筒、容器等に外部から衝撃が加わり、損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、薬剤等の固形成分を充填した注射器及び溶解液等の液体成分を充填した容器の全体をケース内に収納して確実に保護するとともに、収納ケースの外部から注射液の調製操作が可能である用時混合型プレフィルドシリンジを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、先端に注射針が取り付けられ、後端開口からプランジャが摺動自在に挿入され、内部に固形成分を充填した注射筒と、出口が刺通可能なシール材で密閉され、内部に液体成分を充填した容器と、前記注射針の先端を前記容器の出口に対向させた状態で前記注射筒又は前記容器を前記注射筒の筒軸方向に沿って移動可能に保持する保持体とを備えた用時混合型プレフィルドシリンジであって、前記注射針の先端が前記シール材から離間した状態で、前記容器、前記保持体及び前記注射筒を筒軸方向に沿って並ぶように配置して収納する収納ケースを備え、前記収納ケースは、前記注射筒の筒軸方向の一方側及び他方側の2つのケース部分が前記注射筒の筒軸方向に沿って相対移動可能な構造を有し、前記収納ケースは、前記注射筒が筒軸方向に沿って前記容器に接近するように操作する注射筒操作部と、前記プランジャが前記注射筒の先端側へ移動するように操作するプランジャ操作部とを備え、前記注射筒操作部は、前記2つのケース部分と、前記一方側のケース部分に設けられて前記注射筒を係止する注射筒係止部と、前記他方側のケース部分に設けられて前記容器を係止する容器係止部とで構成され、前記プランジャ操作部は、前記2つのケース部分と、前記一方側のケース部分に設けられて前記プランジャの駆動用ロッドを係止するプランジャ係止部と、前記容器に対する位置が固定された状態で前記注射筒が連結された前記容器を係止する前記容器係止部とで構成され、前記注射筒操作部及び前記プランジャ操作部は前記収納ケースの外部から操作が可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、使用前において、注射針の先端が容器のシール材から離間しているので、注射針の先端にシール材の材料けずれにより生じる微細な材料粉などが付着することがなく、注射針の詰まりや注射液への異物の混入が防止されるとともに、容器、保持体及び注射筒が筒軸方向に沿って並ぶように配置されて、注射筒の筒軸方向の一方側及び他方側の2つのケース部分が注射筒の筒軸方向に沿って相対移動可能な構造を有する収納ケースに収納される。使用時は、収納ケースの外部から、注射筒係止部を設けた注射筒の筒軸方向の一方側のケース部分と、容器係止部を設けた注射筒の筒軸方向の他方側のケース部分とを注射筒の筒軸方向に沿って相対移動させて、注射筒係止部に係止された注射筒が容器係止部に係止された容器に対して接近するようにし、保持体によって注射筒の筒軸方向に沿って移動可能に保持された注射筒又は容器について注射筒を容器に接近させ、容器の出口に対向した注射針の先端を容器のシール材に刺通させて容器内と注射筒内を連通させる。次に、容器に対する位置が固定された状態で注射筒が連結された容器を筒軸方向の他方側のケース部分に設けた容器係止部が係止することにより注射筒が間接的に係止されるので、収納ケースの外部から、プランジャ係止部を設けた注射筒の筒軸方向の一方側のケース部分と、容器係止部を設けた注射筒の筒軸方向の他方側のケース部分とを注射筒の筒軸方向に沿って相対移動させて、プランジャ係止部によって駆動用ロッドが係止されたプランジャを容器係止部によって間接的に係止された注射筒の先端側へ移動させる。さらにプランジャの移動を停止してプランジャを注射筒の後端側へ戻して、容器内の液体成分を注射筒に流入させて注射筒内の固形成分と混合し、注射液を調製する。
【0009】
本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジは、前記収納ケースは、前記注射筒及び前記容器のいずれか一方又は両方の位置に対応する筒側面部に開口を有することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、注射筒の位置に対応する収納ケースの筒側面部の開口により、注射筒内の固形成分や液体成分との混合状態を直接見ることができ、容器の位置に対応する収納ケースの筒側面部の開口により、容器内の液の状態を直接見ることができる。
【0013】
本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジは、前記注射筒係止部は、前記一方側のケース部分の内面に突出し、前記注射筒のフランジ部の後側面に当接するリブで構成され、前記プランジャ係止部は、前記プランジャの駆動用ロッドの後端面に当接する前記一方側のケース部分の閉塞側の端部の壁で構成され、前記容器係止部は、前記容器の底部に当接する前記他方側のケース部分の閉塞側の端部の壁で構成されている。
【0014】
本発明においては、筒軸方向の一方側のケース部分の内面に突出したリブが注射筒のフランジ部の後側面に当接して注射筒が係止され、筒軸方向の一方側のケース部分の閉塞側の端部の壁がプランジャの駆動用ロッドの後端面に当接してプランジャが係止され、筒軸方向の他方側のケース部分の閉塞側の壁が容器の底部に当接して容器が係止される。その結果、注射筒係止部、プランジャ係止部及び容器係止部が、ケース部分の内面に設けた簡素な構造の当接機構によって構成される。
【0015】
本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジは、前記一方側のケース部分は、前記リブを周方向の一部範囲に形成し、前記リブに対して周方向で隣り合い且つ前記リブよりも前記一方側のケース部分の閉塞側の端部寄りの位置に、前記注射筒のフランジ部の後側面に当接可能な第2リブを形成している。
【0016】
本発明においては、筒軸方向の一方側のケース部分を注射筒の筒軸周りに回転させて、周方向の一部範囲に形成されたリブが注射筒のフランジ部の後側面に当接可能な位置から外れるようにし、リブが注射筒のフランジ部を係止できない状態に切り替え、さらにリブが注射筒のフランジ部を係止できない状態でリブに対して周方向で隣り合い且つリブよりも前記一方側のケース部分の閉塞側の端部寄りの位置の第2リブが注射筒のフランジ部の後側面に当接可能な位置にする。そして、前記一方側のケース部分を他方側のケース部分に向けて相対移動させると、リブによって既に押し込まれた注射筒のフランジ部に第2リブが当接して他方側のケース部分の移動が停止する。その結果、前記一方側のケース部分の閉塞側の端部の壁に駆動用ロッドが当接したプランジャの注射筒に対する押し込み量が注射筒のフランジ部に第2リブが当接するまでの移動距離で規制される。
【0017】
本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジは、前記リブは、周方向の両側に、前記注射筒の筒軸方向で前記リブの形成範囲よりも前記一方側のケース部分の閉塞側の端部とは反対側に延設された第3リブを備えている。
【0018】
本発明においては、リブに当接した注射筒のフランジ部が筒軸周りに回転するときにリブの両側の第3リブによって回転が規制されるので、注射筒のフランジ部にリブが当接して係止された状態が保持される。
【0019】
本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジは、前記注射筒の筒軸方向の一方側のケース部分は一端部が開口し他端部が閉鎖された大径筒状部で構成され、前記注射筒の筒軸方向の他方側のケース部分は一端部が開口し他端部が閉鎖された小径筒状部で構成され、前記小径筒状部の一端部は前記大径筒状部の一端部からその内部に筒軸方向に沿って挿入可能であり、前記大径筒状部及び小径筒状部の筒軸芯が一致する状態で、前記大径筒状部の一端部と前記小径筒状部の一端部との間を破断可能な接続部で接続してある。
【0020】
本発明においては、小径筒状部が大径筒状部の内部に筒軸方向に沿って挿入されるように両筒状部を相対移動させて接続部を破断し、筒軸方向に相対移動可能な大径筒状部と小径筒状部とに分離する。その結果、大径筒状部と小径筒状部とを筒軸方向に沿って相対移動させて注射液を調製する操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、薬剤等の固形成分を充填した注射器及び溶解液等の液体成分を充填した容器の全体をケース内に収納して確実に保護するとともに、収納ケースの外部から注射液の調製操作が可能である用時混合型プレフィルドシリンジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係る用時混合型プレフィルドシリンジの構造を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は収納ケースの内面側斜視図およびリブの寸法説明図である。
【
図6】
図6は注射筒に対する収納ケースの回転位置を示す断面矢視図である。
【
図7】
図7は収納ケースを作製するための部材の縦断面図および一部拡大断面図、一部組立図である。
【
図8】
図8は保持体への注射器の組み付け工程を示す斜視図である。
【
図9】
図9は
図1に示すプレフィルドシリンジの組み立て工程を示す斜視図である。
【
図10】
図10は
図1のプレフィルドシリンジによる注射液調製工程を示す斜視図である。
【
図11】
図11は
図1のプレフィルドシリンジによる注射液調製工程を示す斜視図である。
【
図12】
図12は
図1のプレフィルドシリンジから注射器を取り出す状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は
図1のプレフィルドシリンジから注射器を取り出す状態を示す斜視図である。
【
図14】
図14は使用済み注射器の廃棄準備工程を示す斜視図である。
【
図15】
図15は廃棄準備工程完了後の収納ケースの一部を拡大した概略断面図である。
【
図16】
図16は本発明の別実施形態に係るプレフィルドシリンジの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るプレフィルドシリンジの構造を示す縦断面図、
図2は
図1の一部拡大断面図である。
【0024】
図1に示すプレフィルドシリンジは、軸方向に細長い円筒状の収納ケース1を備えている。収納ケース1は、外径が小さい小径円筒部1aと外径が大きい大径円筒部1bとを互いの軸芯を一致させた状態で小径円筒部1aの開口した一端部の外周部分と大径円筒部1bの開口した一端部の内周部分との間を円環状の薄板部1cによって接続し、各円筒部1a,1bの他方の端部を壁1d,1eによって閉塞した構造を有する。収納ケース1は、透明な硬質塩化ビニル樹脂などで作製されている。
【0025】
収納ケース1の内部に、容器3と保持体4と注射器2とが収納ケース1の筒軸方向に沿って並ぶように配置されている。小径円筒部1aの内側に、容器3と保持体4と注射器2の前側部分が位置し、大径円筒部1bの内側に、注射器2の後側部分が位置している。容器3は、具体的にはバイアル瓶であるが、バイアル瓶以外の容器でもよい。
【0026】
注射器2は注射筒2bと注射筒2bの後端開口に挿入されたプランジャ(ガスケットともいう)2c1とプランジャ2c1の後部に連結された駆動用ロッド2c2とを備えている。注射筒2bは後端に大径のフランジ部2b1を備えている。注射筒2bはホウケイ酸ガラス等のガラス製である。プランジャ2c1は一般にブチルゴム製であり、注射筒2bの内面をスムーズに滑るためにシリコンオイルコートがされている。その結果、プランジャ2c1に接触する注射筒2bの内面もシリコンオイルコートがされる。なお、シリコンオイルコートの方法は、一般にシリコンオイルを分散させた水中にガスケットを投入して攪拌する方法である。
【0027】
注射筒2bの先端に注射針2aが取り付けられ、注射針2aを先端側から覆う袋状の針キャップ2dが設けてある。針キャップ2dは、頂部が平らな円錐形状を有し、底部が開口している。針キャップ2dは開口を有する根元部2d1を注射針2aの根元のフランジ部2a1の外周に嵌め込んで固定されている。針キャップ2dはブチルゴム製である。
【0028】
容器3は小径円筒部1aの内径よりも少し小さい外径で底部3cを有する筒体であり、ホウケイ酸ガラス等のガラス製である。容器3は出口がシール材3aによって密閉されている。シール材3aは止め具3bによって容器3の出口のフランジ部に固定されている。止め具3bは、中央部分が開口した円板部と、円板部の周縁に連なる円筒状の基部とを備えている。止め具3bの円板部は、シール材3aを容器3の出口フランジ部に押し付けている。止め具3bの円筒状の基部は先端が容器3の出口フランジ部を覆うように内側に絞り込まれ、段部3b1を形成している。シール材3aは、ブチルゴム又は塩素化ブチルゴムで作製され、止め具3bは、金属製又は硬質プラスチック製である。
【0029】
注射筒2bの内部に注射液を構成する固形成分として粉末薬剤10が充填されている。粉末薬剤は、結晶粉末、凍結乾燥末などである。尚、粉末薬剤以外に、顆粒などの固形薬剤でもよい。一方、容器3の内部に注射液を構成する液体成分として、粉末薬剤10を溶解する溶解液11又は粉末薬剤10を分散させる分散液11が充填されている。尚、固形成分及び液体成分は、共に、一種類の物質の場合の他、複数種類の物質を含む場合がある。
【0030】
次に、保持体4について説明する。
図3は保持体4の構造を示す斜視図である。
保持体4は注射器2を保持し、容器3に対して注射器2を位置決めするために使用される。保持体4は外径が小径円筒部1aの内径よりも少し小さい円筒状部材であり、軸心を通る平面によって縦割りにした2つの半円筒部材4-1,4-2で構成される。保持体4は透明な硬質塩化ビニル樹脂などで作製されている。
【0031】
保持体4の内部に注射器2を収容する空間が形成され、針キャップ2dの根元部2d1よりも後方側のフランジ部2a1の箇所を挟持する円環状リブ4aと、円環状リブ4aよりも後方側において注射筒2bの前側の周縁角部に当接して位置を規制する円環状段部4bと、円環状段部4bより更に後方側において、注射筒2bの外径より少し大きい内径を有し、注射筒2bの径方向での位置を規制する円筒状ガイド4cとが設けてある。ここで、注射器2を装着する装着部50が、円環状リブ4a、円環状段部4b及び円筒状ガイド4cで構成される。保持体4の後端部には、使用済みの注射器2の挿入を案内するために後端側に向けて拡径された円筒状ガイド4fが設けてある。
【0032】
保持体4の前端部に、可動片4dが設けられ、可動片4dよりも後方側に、容器3に突き当たって位置決めをする円環板状の突当部4eが設けてある。可動片4dは、先端のフック部4d1と、フック部4d1を支持し、径方向に弾性的に折れ曲がり自在な支持部4d2とで構成され、筒軸芯方向に対して180度回転対称位置の2箇所に設けてある。フック部4d1には、筒軸芯方向に対して鋭角をなすように傾斜し、面方向が筒軸芯側に向いた平面状の当接面t3が形成されている。
【0033】
一方の半円筒部材4-1の円筒状ガイド4cの外周側に、周方向に平行に突出した一対の凸部4g1が180度回転対称の位置に設けてある。他方の半円筒部材4-2の円筒状ガイド4cの外周側に、周方向に平行に切り欠いた一対の凹部4g2が180度回転対称の位置に設けてある。また、他方の半円筒部材4-2では、突当部4eが半周よりも長く形成され、両端に周方向に突出した一対の凸部4e1を有する。一方の半円筒部材4-1では、突当部4eが半周よりも短く形成され、両側に一対の凹部4e2を有する。そして、
図3(a)に示す半円筒部材4-1を上下反転させ(裏返し)て、
図3(b)に示す半円筒部材4-2に重ね、一対の凸部4g1を一対の凹部4g2に嵌め込み、一対の凹部4e2に一対の凸部4e1を嵌め込むことにより、両方の半円筒部材4-1,4-2が一体に結合され、円筒状の保持体4を形成する。
【0034】
図2(a)に示すように、容器3のシール材3aとは反対側の底部3cが収納ケース1の壁1dに当接し、容器3の軸方向の位置が規制されている。即ち、容器3の底部に当接する収納ケース1の壁1dが容器係止部40を構成する。保持体4の可動片4dの先端のフック部4d1は傾斜面t3で容器3の止め具3bの周縁角部に当接している。これにより、注射針2aの先端が針キャップ2dを間にして容器3のシール材3aに離間して対向するように、注射器2の前部側が容器3に対して位置決めされている。
【0035】
図4及び
図5に基づいて収納ケース1による注射器2の後部側の位置決め保持構造について説明する。
図4は収納ケースの内面側斜視図およびリブの寸法説明図、
図5は
図1のV-V位置における断面矢視図である。
【0036】
図4(a)は大径円筒部1bを仮想的に軸方向に沿って縦割りにし、底壁1eを除いて円筒の半分を切り欠いた収納ケース1の内面側を示している。内周壁から内向きに均一な高さ(h)で突出したリブ1b1と第2リブ1b2が設けてある。
図4(b)に内周方向に展開した各リブの寸法を示す。リブ1b1は、底壁1eからの長さx1、周方向の幅y1の矩形状段部である。第2リブ1b2は、リブ1b1に周方向で隣り合い、底壁1eからの長さがリブ1b1の長さx1より短いx2(x1>x2)、周方向の幅y2の矩形状段部である。リブ1b1は、底壁1eとは反対側に筒軸方向に垂直な側面t1を有する。第2リブ1b2は、底壁1eとは反対側に筒軸方向に垂直な側面t2を有する。リブ1b1の側面t1の周方向両端に、同じ高さ(h)で、軸方向の長さx3、周方向の幅y3の一対の第3リブ1b3を備えている。第3リブ1b3は軸方向に細長く、軸方向の長さx3は注射筒2bの後端のフランジ部2b1の厚さと同程度に設定してある。
【0037】
注射筒2bの後端のフランジ部2b1は軸方向視で楕円形状の外形を有する環状板部である。フランジ部2b1の長軸方向の両端部が一対の第3リブ1b3の間に位置し、リブ1b1の側面t1に当接している。これにより、注射筒2bの軸方向の後部側の位置決めがなされる。ここで、注射筒2bが軸周りに回転した場合、フランジ部2b1が両側の第3リブ1b3によって第3リブ1b3よりも外側に外れることが規制され、上記フランジ部2b1がリブ1b1の側面t1に当接した状態が保持される。
【0038】
底壁1eの内側中央には、円形状の凹部1e1が形成されている。凹部1e1の直径は駆動用ロッド2c2の後端のフランジの外形よりも大であり、凹部1e1の深さは駆動用ロッド2c2の後端のフランジの厚さと同程度である。駆動用ロッド2c2の後端のフランジが凹部1e1内に保持され、駆動用ロッド2c2ひいてはプランジャ2c1の軸方向の位置が決められている。
【0039】
次に、収納ケース1の構造について追加説明をする。
図7は収納ケースを作製するための部材の縦断面図および一部拡大断面図、一部組立図である。
図7(a)は、小径円筒部1aと、円環状の薄板部1cによって接続された大径円筒部1bの一部とによって構成されたケース部品1-1を示す。ケース部品1-1は大径円筒部1bの一部の端部側で開口している。
図7(b)は、残りの大径円筒部1bからなるケース部品1-2を示す。ケース部品1-2は軸方向の壁部1eの反対側の端部で開口している。
【0040】
小径円筒部1aの外周部に、周方向の全周に亘って断面半円の凹溝1fが形成され、この凹溝1fにオーリング(Oリング)5が嵌め込まれている。オーリング5の小径円筒部1aの外周面からの突出量W1は、小径円筒部1aの外周面と大径円筒部1bの内周面との径方向における位置の差(即ち円環状の薄板部1cの幅)W2よりも大きい値に設定されている(W1>W2)。
【0041】
ケース部品1-1の開口側端部には、全周に亘って大径円筒部1bの厚さ方向における外側部分が筒軸方向に突き出た形状の段部1b4が形成されている。一方、ケース部品1-2の開口側端部には、全周に亘って大径円筒部1bの厚さ方向における内側部分が筒軸方向に突き出た形状の段部1b5が形成されている。両方の段部1b4,1b5は、先端側ほど肉厚が薄くなるようにテーパ状の内側面が形成されている。
【0042】
次に、本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジの組み立てについて説明する。
図8は保持体への注射器の組み付け工程を示す斜視図、
図9は
図1のプレフィルドシリンジの組み立て工程を示す斜視図である。
保持体4への注射器2の組み付け工程では、先ず、内側を上向きにした半円筒部材4-2に対して、予め粉末薬剤10が充填された注射器2を上からセットする(
図8(a)及び(b))。次に、内側を下向きにした半円筒部材4-1を注射器2の上に被せ、半円筒部材4-2と一体に結合する(
図8(b)及び(c))。これにより、一体に結合した半円筒部材4-1、4-2によって保持体4が構成されるとともに、注射筒2bが保持体4に固定支持された状態で注射器2が保持体4に組み付けられる。
【0043】
プレフィルドシリンジの組み立て工程では、先ず、ケース部品1-1の大径円筒部1b側の端部開口に容器3を底部側から挿入する(
図9(a)及び(b))。続けて、注射器2がセットされた保持体4を可動片4dが前側の向きでケース部品1-1の内部に挿入する(
図9(b)~(d))。次に、ケース部品1-1の開口から飛び出した注射器2の後部側を覆うようにケース部品1-2の端部開口を被せて、両方のケース部品1-1,1-2の開口端部同士を嵌め合わせる(
図9(d)~(e))。このとき、注射筒2bの楕円形状のフランジ部2b1の長軸方向の両端部が一対の第3リブ1b3の間に保持され、フランジ部2b1が両側の第3リブ1b3よりも外側に外れることが規制された状態にする(
図5参照)。そして、2つのケース部品1-1,1-2の開口端部に設けた各段部1b4,1b5が先端側ほど肉薄になるテーパ形状であるので、両方の段部1b4,1b5は嵌め合いと同時に互いに固着される(
図7(c))。
【0044】
なお、両方のケース部品1-1,1-2を結合する手段は、嵌合により直接固着されるようにする場合に限らない。例えば、両方の段部1b4,1b5の間に硬いゴムを介在させ、そのゴムを押しつぶして両者を弾性力により固定するようにしてもよい。
【0045】
次に、本発明に係る用時混合型プレフィルドシリンジの使用について説明する。
図10~
図11は
図1のプレフィルドシリンジによる注射液調製工程を示す斜視図、
図12~
図13は
図1のプレフィルドシリンジから注射器を取り出す状態を示す斜視図である。なお、
図10~
図13では、説明の都合上、収納ケース1を仮想的に軸方向に沿って縦割りにして円筒部の半分を除去して内部が見えるように図示している。
【0046】
先ず、初期状態(
図10(a))において、収納ケース1の大径円筒部1bを小径円筒部1aに対して軸方向に沿って押し込むと、円環状の薄板部1cが破断し、大径円筒部1bが軸方向に沿って小径円筒部1a側に移動する。このとき、大径円筒部1bのリブ1b1の側面t1が注射筒2bのフランジ部2b1の後端面に当接しているので、注射筒2bも同じ方向に移動する(
図10(b))。ここで、注射筒2bのフランジ部2b1の後側面に当接するリブ1b1が注射筒係止部20に対応する(
図1)。そして、
図2(b)にも示すように、注射針2aの先端が針キャップ2d及びシール材3aを貫通してアンプル瓶3の内部に達する。
【0047】
同時に、注射筒2bを固定支持している保持体4が容器3に向かって押し込まれ、傾斜した当接面t3が容器3の止め具3bの周縁角部に当接しているフック部4d1は、支持部4d2が外側に折れ曲がるため止め具3bの側面を通過する。フック部4d1が止め具3bの側面を通過した後、突当部4eが容器3の止め具3bに突き当たるとともに、支持部4d2が内側に戻るため、フック部4d1は止め具3bの基部側の段部3b1に引っ掛かる状態になり、この位置で保持体4が容器3に保持される(
図2(b))。
【0048】
次に、大径円筒部1bを小径円筒部1aに対して軸方向に少し引き戻してから、
図6に示すように大径円筒部1bを注射筒2bに対して軸芯周りに左方向に(
図6では右回りに)60度程度回転させ、フランジ2b1の長軸方向の両端部が軸方向視で第2リブ1b2と重なるように位置させる(
図10(c))。
図6は注射筒2bに対する収納ケース1の回転位置を示す断面矢視図である。この回転位置で、大径円筒部1bを小径円筒部1aに対して軸方向に押し込み、第2リブ1b2の側面t2がフランジ部2b1に当接する位置まで移動させると、大径円筒部1bの底壁1eの内側中央の凹部1e1に当接した駆動用ロッド2c2が押されて、駆動用ロッド2c2に連結したプランジャ2c1が注射筒2bに対して挿入される(
図11(d))。そして、注射筒2b内の空気が容器3に注入され、容器3内が加圧状態になる。ここで、プランジャ2c1の駆動用ロッド2c2の後端部に当接する大径円筒部1bの底壁1eがプランジャ係止部30を構成する。
【0049】
続いて、プランジャ2c1を注射筒2bに押し込んでいる大径円筒部1bに力を加えないフリー状態にすると、容器3内に注入された加圧空気が容器3内の溶解液11とともに注射筒2b内に戻され、プランジャ2c1が押し戻される。同時に、大径円筒部1bも駆動用ロッド2c2によって押し戻される(
図11(e))。そして、注射筒2b内の粉末薬剤10が流入した溶解液11と混合して溶解される。
【0050】
最後に、大径円筒部1bによってプランジャ2c1を少し押し込み、注射筒2b内に残っている気泡を注射針2aの先端から容器3の内部に排出させることにより、注射液の調製が終了する(
図11(f))。後は、大径円筒部1bを軸方向の後方側に取り外し(
図12(g))、注射器2を保持体4から軸方向に引き出して取り出す(
図13(h))。この際、注射針2aを覆う針キャップ2dは保持体4内の円環状リブ4aに引っ掛かり、保持体4側に残るので、注射針2aが露出した注射器2が取り出され、針キャップ2dを外す手間が不要になる。
【0051】
ここで、表1に基づき、容器3内の液体の注射筒2b側への移行動作に関する予備実験について説明する。なお、容器3はバイアル瓶であり、注射筒をシリンジと称し、液体を分散液と呼ぶ。
【表1】
バイアル瓶は、胴径15mm、高さ32mm、全満量3.5mlの製品Aと、胴径18mm、高さ34mm、全満量4.5mlの製品Bと、胴径18mm、高さ35mm、全満量5.5mlの製品Cの3種類を使用した。各バイアル瓶に分散液として水を1.0ml充填してあるので、分散液充填後の空間容量は製品Aで2.5ml、製品Bで3.5ml、製品Cで4.5mlになる。シリンジの条件として、注射針は23G(ゲージ)長さ1インチのものを使用し、胴径は10mm、全満量は2.5mlである。
【0052】
バイアル瓶を逆さまにし、下側に位置したゴム栓(シール材)に注射針を刺通した状態でシリンジのプランジャを押し込んでバイアル瓶に1.5mlの空気を注入する。この空気注入時のバイアル瓶内の圧力(大気圧=1.0基準)は、製品Aで1.66(陽圧度0.66)、製品Bで1.42(陽圧度0.42)、製品Cで1.33(陽圧度0.33)になる。空気注入後、プランジャを押し込んだ指を離すと、バイアル瓶内の圧力(陽圧)によりバイアル瓶内の分散液がシリンジ側に移行し、プランジャも戻される。液の移行量は製品A、製品B、製品Cともに、バイアル瓶の充填液量に相当する約1.0mlであった。液移行の完了後、バイアル瓶のゴム栓に突き刺した注射針を引き抜くと、製品Aではゴム栓針刺部から液が少しこぼれ(吹き出し)、液漏れの発生が確認されたが、製品Bと製品Cでは、液漏れは確認されなかった。
【0053】
液漏れはバイアル瓶内の圧力が高過ぎるためであり、空気注入時のバイアル瓶内の陽圧度が0.42~0.33の範囲であれば、液漏れが発生しない。本発明のプレフィルドシリンジの設計では、製品Bに関する実験データに基づき、全満量4.5mlのバイアル瓶3を採用して1.0mlの液体を充填し、全満量2.5mlの注射器2を採用して空気注入量を1.5mlとする。
【0054】
次に、使用済みの注射器の廃棄について説明する。
図14は使用済み注射器の廃棄準備工程を示す斜視図、
図15は廃棄準備工程完了後の収納ケース1の一部を拡大した概略断面図である。
先ず、使用済みの注射器2を注射針2aの方から小径円筒部1aの端部開口に軸方向に沿って挿入する(
図14(a))。続いて、小径円筒部1aの端部開口から飛び出した注射器2の後部側を覆うように大径円筒部1bを軸方向に沿って移動させる(
図14(b)(c))。このとき、
図15に示すように、大径円筒部1bの内周壁が小径円筒部1aの外周の全周に設けたオーリング5に当接する位置まで移動させる。
図7で説明したように、オーリング5の小径円筒部1aの外周面からの突出量W1は、小径円筒部1aの外周面と大径円筒部1bの内周面との径方向における位置の差W2よりも大きいので、オーリング5は全周に亘って平均的に押しつぶされ、大径円筒部1bがオーリング5を介して小径円筒部1aに保持される。
【0055】
次に、
図16に基づいて本発明に係るプレフィルドシリンジのその他の実施形態について説明する。
図16は本発明の別実施形態に係るプレフィルドシリンジの外観を示す斜視図である。
図16では、小径円筒部1aの内側の容器3の位置に対応して、小径円筒部1aの筒側面部に開口1h1を形成し、注射筒2bの前側部分の位置に対応して、小径円筒部1aの筒側面部に開口1h2を形成している。この結果、開口1h1により注射液調整中の容器3内の液量や最後の気泡出し動作の確認が容易になり、また、開口1h2により注射筒2b内の粉末薬剤の溶解状態や分散状態の確認が容易になる。
【0056】
以上説明した実施形態と解決手段の用語との対応関係について補足する。
収納ケース1のうち、大径円筒部1bが注射筒2bの筒軸方向の一方側のケース部分に対応し、小径円筒部1aが筒軸方向の他方側のケース部分に対応し、円環状の薄板部1cが破断可能な接続部に対応する。
【0057】
小径円筒部1aと、大径円筒部1bと、大径円筒部1bに設けられた注射筒係止部20と、小径円筒部1aに設けられた容器係止部40とで、注射筒操作部100が構成される。また、小径円筒部1aと、大径円筒部1bと、大径円筒部1bに設けられたプランジャ係止部30と、保持体4の突当部が容器3に突き当たった状態の容器係止部40とで、プランジャ操作部200が構成される。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 収納ケース
1a 小径円筒部(他方側のケース部分)
1b 大径円筒部(一方側のケース部分)
1b1 リブ
1b2 第2リブ
1b3 第3リブ
1b4 段部
1b5 段部
1c 薄板部
1d 壁
1e 壁
1e1 凹部
1f 凹溝
1h1 開口
1h2 開口
1-1 ケース部品
1-2 ケース部品
2 注射器
2a 注射針
2a1 フランジ部
2b 注射筒
2b1 フランジ部
2c1 プランジャ
2c2 駆動用ロッド
2d 針キャップ
2d1 根元部
3 容器
3a シール材
3b 止め具
3b1 段部
4 保持体
4a 円環状リブ
4b 円環状段部
4c 円筒状ガイド
4d 可動片
4d1 フック部
4d2 支持部
4e 突当部
4e1 凸部
4e2 凹部
4f 円筒状ガイド
4g1 凸部
4g2 凹部
4-1 半円筒部材
4-2 半円筒部材
5 オーリング
10 粉末薬剤
11 溶解液、分散液
20 注射筒係止部
30 プランジャ係止部
40 容器係止部
50 装着部
100 注射筒操作部
200 プランジャ操作部
t1 側面
t2 側面
t3 傾斜面