(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】新規インスリン類似体およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/62 20060101AFI20220106BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20220106BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20220106BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C07K14/62 ZNA
A61K38/28
A61K31/455
A61P3/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020204804
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランティセク・フバレク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘレ・ビルク・オルセン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・マセン
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ボーグラム・ケルスン
(72)【発明者】
【氏名】イェッペ・ストゥリス
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531901(JP,A)
【文献】特表2018-531900(JP,A)
【文献】特表2013-541500(JP,A)
【文献】Hjorth, C. F. et al.,Purification and identification of high molecular weight products formed during storage of neutral formulation of human insulin,Pharm. Res.,2015年,Vol. 32(6),pp. 2072-2085
【文献】Hjorth, C. F. et al.,Structure, Aggregation, and Activity of a Covalent Insulin Dimer Formed During Storage of Neutral Formulation of Human Insulin,J. Pharm. Sci.,2016年,Vol. 105(4),pp. 1376-1386
【文献】Min, C. K. et al.,Insulin related compounds and identification,J. Chromatogr. B,2012年,Vol. 908,pp. 105-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン類似体であって、前記類似体が
、
A9D、B3E、B26E、desB30ヒトインスリン、
A9E、B3E、B26E、desB30ヒトインスリン
、
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30ヒトインスリン、
または
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30ヒトインスリ
ンである、
インスリン類似体。
【請求項2】
請求項
1に記載のインスリン類似体と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項3】
前記インスリン類似体が、0.6mM~3mMの濃度である、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が亜鉛を含まない、請求項
2または
3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ニコチン化合物、特にニコチンアミドを含む、請求項
2~
4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物がニコチン化合物、特にニコチンアミドを含まない、請求項
2~
4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体である、請求項
1に記載のインスリン類似体。
【請求項8】
請求項
1に記載のインスリン類似体もしくはその薬学的に許容可能な塩、または請求項
2~
6のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む薬剤。
【請求項9】
糖尿病、特に1型糖尿病または2型糖尿病に関連する、人体の疾患または障害または状態を治療、予防、または緩和するための、請求項
8に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ヒトインスリン類似体、かかるインスリン類似体を含む医薬組成物、および糖尿病に関連する病状の治療または予防のためのかかる類似体の使用に関する。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表とともに提出される。配列表の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
糖尿病治療のためのインスリン療法は、数十年にわたって使用されている。インスリン療法における重要な改善点の1つは、速効型インスリン類似体の導入であった。
【0004】
インスリンは自己会合特性を有し、その濃度は自己会合の主要な要因を表す。高濃度で、特に医薬組成物中で、インスリンは、二量体、六量体、十二量体、またはより高分子の構造に自己会合する。しかしながら、インスリンの生理活性型は、インスリン受容体に結合し、かつ生物学的応答を誘発する単量体である。医薬組成物中でのインスリン類似体の自己会合、特に高濃度での自己会合を減少させることが課題である。
【0005】
インスリン作用の迅速性は、インスリンが皮下組織からどれだけ迅速に吸収されるかに依存する。一般に、市販のインスリン組成物が皮下注射される場合、この組成物は、2つの亜鉛イオンを含む六量体から主に構成される。六量体内に位置するこれら2つの亜鉛イオンが組成物中での化学的および物理的分解に向かって分子を安定化するが、そのサイズにより、六量体インスリンは拡散速度が低く、その結果、吸収速度はより小さい種よりも遅い。
【0006】
WO2017/032795およびWO2017/032798は、低亜鉛または亜鉛を含まない組成物中のアシル化インスリン類似体に関する。
【0007】
亜鉛を含まないインスリン組成物は、より速い皮下吸収を可能にするが、特に高濃度では、亜鉛を含まない組成物の化学的および物理的安定性が課題である。
【0008】
即効型であると同時に、亜鉛を含まない組成物中で、高濃度で十分に物理的および化学的に安定しているインスリン類似体に対する強いニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
最も広範な態様では、本発明は、速効型ヒトインスリン類似体に関する。
【0010】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9位にアミノ酸修飾を含み、最大5~10個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0011】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0012】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、かつ/またはB26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0013】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、かつ/またはB26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含み、A21Ala置換をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0014】
一態様では、本発明は、亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体であるインスリン類似体を提供する。
【0015】
一態様では、本発明は、亜鉛を含まない医薬組成物中で物理的および/または化学的に安定しているインスリン類似体を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体であり、高濃度であっても化学的かつ物理的に安定している。
【0017】
一態様では、本発明は、皮下投与後により迅速に吸収され、それにより、速効型インスリン(ボーラスまたは食事インスリンとも呼ばれる)としての潜在的な臨床的有用性を示すインスリン類似体を提供する。
【0018】
一態様では、本発明は、本発明のインスリン類似体と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、亜鉛を含まない医薬組成物に関する。
【0019】
さらなる態様では、本発明のインスリン類似体は、インスリン送達システムと適合性がある。
【0020】
さらなる態様では、本発明のインスリン類似体は、閉ループインスリン送達システムと適合性がある。
【0021】
さらなる態様では、本発明のインスリン類似体は、インスリンポンプでの使用に好適である。
【0022】
本発明は、例示的な実施形態の開示から明らかになるさらなる問題も解決し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、Fiasp(登録商標)(インスリンアスパルト)と比較した、LYDブタ投与後の本発明の医薬組成物C中の実施例1および実施例2のインスリン類似体のPDプロファイルを示す。
【
図2】
図2は、Fiasp(登録商標)(インスリンアスパルト)と比較した、LYDブタ投与後の本発明の医薬組成物C中の実施例1および実施例2のインスリン類似体のPKプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、単量体であり、亜鉛を含まない医薬組成物中で許容可能な化学的および物理的安定性を提供し、市販のFiasp(登録商標)(インスリンアスパルト)よりも速い皮下投与後の吸収を提供する速効型インスリン類似体に関する。
【0025】
定義
本明細書に別段示されない限り、単数形で提示される用語は、複数の状況も含む。
【0026】
「発明」および「本発明」という用語は、互換的に使用される。
【0027】
「約」という用語は、本明細書では、プラスまたはマイナス5%糖のプラスまたはマイナス10%を意味するよう意図されている。したがって、「約100U」という用語は、90U~110Uである。
【0028】
以下の表は、ヒトインスリンの濃度(mM)およびヒトインスリンに相当する対応する濃度(U)を提供する。
【0029】
【0030】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質原性(または天然)アミノ酸(これらのうち、20個の標準アミノ酸)、ならびに非タンパク質原性(または非天然)アミノ酸を含む。タンパク質原性アミノ酸は、タンパク質に天然に組み込まれているものである。標準アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸である。非タンパク質構成アミノ酸は、タンパク質中に見られないか、標準の細胞機構によって産生されないかのいずれかである(例えば、これらは翻訳後修飾を受けた可能性がある)。
【0031】
概して、本明細書で使用されるアミノ酸残基(ペプチド/タンパク質配列)は、それらの完全名、それらの1文字コード、および/またはそれらの3文字コードによって識別され得る。これらの3つの方法は、完全に同等であり、互換的である。例えば、アスパラギン酸はAspまたはDで表され、グルタミン酸はGluまたはEで表され、アラニンはAlaまたはAで表される。
【0032】
以下では、光学異性体が記載されていない本発明のペプチドの各アミノ酸は、(別段の指定がない限り)L異性体を意味すると理解されるべきである。アミノ酸は、アミノ基およびカルボン酸基を含み、任意選択で、多くの場合側鎖と称される1つ以上の追加の基を含む分子である。本明細書では、「アミノ酸残基」という用語は、形式上、ヒドロキシ基がカルボキシ基から除去されており、かつ/または形式上、水素原子がアミノ基から除去されているアミノ酸である。
【0033】
「化合物」という用語は、本明細書では分子実体を指すために使用され、それ故に、「化合物」は、各化合物または化合物群に対して定義される最小要素に加えて異なる構造要素を有し得る。「化合物」という用語は、その薬学的に関連する形態を包含するようにも意図されており、すなわち、本発明は、本明細書に定義される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、アミド、もしくはエステルに関する。
【0034】
本明細書で使用される「ヒトインスリン」という用語は、その構造および特性が周知であるヒトインスリンホルモンを意味する。ヒトインスリンは、A鎖およびB鎖と称される2つのポリペプチド鎖を有する。A鎖は、21個のアミノ酸のペプチドであり、B鎖は、30個のアミノ酸のペプチドであり、これらの2つの鎖は、ジスルフィド架橋によって連結されており、第1の架橋は、A鎖の7位のシステインとB鎖の7位のシステインとの間であり、第2の架橋は、A鎖の20位のシステインとB鎖の19位のシステインとの間である。第3の架橋は、A鎖の6位のシステインとA鎖の11位のシステインとの間に存在する。
【0035】
ヒトインスリンA鎖が、以下の配列、GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(配列番号1)を有する一方で、B鎖は、以下の配列、FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号2)を有する。
【0036】
人体では、このホルモンは、プレペプチド-B-Arg Arg-C-Lys Arg-A(式中、Cは、31個のアミノ酸の連結ペプチドである)の立体配置にある、24個のアミノ酸のプレペプチドに続いて86個のアミノ酸を含むプロインスリンからなる一本鎖前駆体プロインスリン(プレプロインスリン)として合成される。Arg-ArgおよびLys-Argは、A鎖およびB鎖からの接続ペプチドの切断のための切断部位である。
【0037】
本発明による「インスリン」は、本明細書では、ヒトインスリンまたはブタもしくはウシインスリン等の別の種由来のインスリンとして理解されるべきである。
【0038】
本明細書で使用される「速効型インスリン」とは、注射の約15分後に作用し始め、約1時間後にピークに達し、2~4時間にわたって作用し続ける、本発明によるインスリン類似体を意味する。種類:インスリングルリシン(Apidra)、インスリンリスプロ(Admelog、Humalog)、インスリンアスパルト(Fiasp、NovoLog)。
【0039】
本明細書で使用される「インスリンペプチド」、「インスリン化合物」、または「インスリン」という用語は、インスリン活性を有する、すなわち、インスリン受容体を活性化するヒトインスリンまたはその類似体のいずれかであるペプチドを意味する。
【0040】
命名法
本発明のインスリン類似体の命名は、以下の原理に従って行われる。
【0041】
例えば、インスリン類似体であるB3E、B27E、B28E、desB30ヒトインスリンは、B3位のアミノ酸、アスパラギン(N)がグルタミン酸(E)で置換されており、ヒトインスリン中のB27位のアミノ酸、スレオニン(T)がグルタミン酸(E)で置換されており、ヒトインスリン中のB28位のアミノ酸、プロリン(P)がグルタミン酸(E)で置換されており、ヒトインスリン中のB30位のアミノ酸、トレオニンが欠失していることを示す。
【0042】
インスリン類似体
本明細書で使用される「インスリン類似体」という用語は、インスリンの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されており、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンから欠失しており、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンに付加および/または挿入されている、修飾されたヒトインスリンを意味する。「インスリン類似体」または「ヒトインスリン類似体」という用語は、互換的に使用される。
【0043】
本明細書で使用される「アミノ酸修飾」という用語は、ヒトインスリンと比較した、アミノ酸の置換、欠失、付加、または挿入、およびそれらの任意の組み合わせを意味する。
【0044】
インスリン分子における修飾は、鎖(AまたはB)、位置、および天然アミノ酸残基を置換するアミノ酸残基の1文字または3文字のコードを記載して表示される。
【0045】
一実施形態では、インスリン類似体は、ヒトインスリンと比較して最大10個のアミノ酸修飾(置換、欠失、付加(挿入を含む)、およびそれらの任意の組み合わせ)、あるいは、ヒトインスリンと比較して最大9、8、7、6、5、4、3、2、または1個の修飾を含む。
【0046】
ある特定の変化を「含む」類似体は、ヒトインスリン鎖A(配列番号1)および/または鎖B(配列番号2)と比較して、さらなる変換を含み得る。
【0047】
「連結ペプチド」または「C-ペプチド」とは、一本鎖プロインスリン分子のB-C-Aポリペプチド配列の連結部分「C」を意味する。ヒトインスリン鎖では、C-ペプチドは、B鎖の30位およびA鎖の1位を接続し、35個のアミノ酸の残基長である。連結ペプチドは、2つの末端二塩基性アミノ酸配列、例えば、Arg-ArgおよびLys-Argを含み、これらは、A鎖およびB鎖から連結ペプチドを切断して、二本鎖インスリン分子を形成するための切断部位として機能する。
【0048】
「desB30」または「B(1-29)」とは、B30アミノ酸を欠く天然インスリンB鎖またはその類似体を意味し、「A(1-21)」とは、天然インスリンA鎖を意味する。したがって、例えば、desB30ヒトインスリンは、B鎖の30位のアミノ酸が欠失しているヒトインスリン類似体である。
【0049】
「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、例えば、本発明の文脈で使用される場合、アミド(またはペプチド)結合によって相互連結された一連のアミノ酸を含む化合物を指す。特定の態様において、ペプチドは、ペプチド結合によって相互接続されたアミノ酸からなる。
【0050】
本明細書で使用されるタンパク質調製物の「化学的安定性」という用語は、天然タンパク質構造と比較して、生物学的効力が低い可能性があり、かつ/または免疫原性特性が増大する可能性がある化学分解産物の形成につながる共有結合性タンパク質構造の変化を指す。天然タンパク質の種類および性質、ならびにそのタンパク質が曝露される環境に応じて、様々な化学分解産物が形成され得る。化学分解産物の量の増加がタンパク質調製物の保管および使用中にしばしば見られる。大半のタンパク質は、グルタミニルまたはアスパラギニル残基中の側鎖アミド基が加水分解されて遊離カルボン酸またはアスパラギニル残基を形成して、isoAsp誘導体を形成するプロセスである脱アミドを起こす傾向がある。他の分解経路には、高分子量生成物の形成が関与し、ここで、2つ以上のタンパク質分子が、例えば、アミド基転移および/またはジスルフィド相互作用によって互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー、またはポリマー分解産物の形成をもたらす(Stability of Protein Pharmaceuticals,Ahern TJ & Manning MG,Plenum Press,New York 1992)。酸化は、化学分解の別の変形として言及され得る。タンパク質調製物の化学的安定性は、異なる環境条件への曝露後の様々な時点で化学分解産物の量を測定することによって評価され得る(分解産物の形成は、多くの場合、例えば、温度を上昇させることによって加速され得る)。各々の個別の分解産物の量は、多くの場合、様々なクロマトグラフィー技法(例えば、SEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を使用して、分子サイズ、疎水性、および/または荷電に応じて分解生成物を分離することによって決定される。HMWP産物が潜在的に免疫原性であり、生物学的に活性ではないため、低レベルのHMWPが有利である。
【0051】
本明細書で使用されるインスリン調製物の「物理的安定性」とは、タンパク質の熱機械応力および/または疎水性表面および界面等の不安定な界面および表面との相互作用への曝露の結果として、タンパク質の生物学的に不活性および/または不溶性の凝集体を形成するタンパク質の傾向を指す。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、好適な容器(例えば、カートリッジまたはバイアル)内に充填された調製物を異なる温度で様々な期間にわたって機械的/物理的応力(例えば、撹拌)に曝露した後に目視検査手段および/または濁度測定手段によって評価される。調製物の目視検査は、しっかりと焦点のあった光中で暗い背景を用いて行われる。調製物は、昼光中で目に見える濁度を示す場合、タンパク質凝集に関してブル理的に不安定であると分類される。あるいは、調製物の濁度は、当業者に周知の単純な濁度測定によって評価され得る。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、タンパク質の立体配座状態の分光学的薬剤またはプローブを使用することによっても評価され得る。プローブは、好ましくは、タンパク質の非天然配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光学的プローブの一例は、チオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイド原線維の検出に広く使用されている蛍光色素である。原線維の存在下で、かつ恐らく他のタンパク質立体配置においても、チオフラビンTは、原線維タンパク質形態に結合した場合、約450nmで新たな励起極大を生じさせ、約482nmで増強発光を生じさせる。結合していないチオフラビンTは、それらの波長では本質的に非蛍光性である。
【0052】
本明細書で使用される「高濃度」のインスリン調製物という用語は、200U以上、1.2mM以上である濃度のインスリンを指す。
【0053】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9位にアミノ酸修飾を含み、1~10個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0054】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較してA9位にアミノ酸修飾を含み、ヒトインスリンと比較してB3位にアミノ酸修飾および/またはdesB30をさらに含むインスリン類似体に関する。
【0055】
一実施形態では、本発明は、A9GluまたはA9Aspを含むヒトインスリン類似体に関する。
【0056】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、1~10個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0057】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較してA9GluまたはA9Aspを含み、ヒトインスリンと比較してB3位にアミノ酸修飾および/またはdesB30をさらに含むインスリン類似体に関する。
【0058】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9AspまたはA9Glnを含み、B3GluまたはB3Glnおよび/またはdesB30をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0060】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して5~10個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0061】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大10個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0062】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大8個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0063】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大6個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0064】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大4個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0065】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大3個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0066】
本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、ヒトインスリンと比較して最大2個のアミノ酸修飾をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0067】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、B26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0068】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9AspまたはA9Glnを含み、B3GluまたはB3Glnおよび/またはdesB30をさらに含み、B26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0069】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9Aspを含み、B3Gluおよび/またはdesB30をさらに含み、かつ/またはB26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含み、A21A置換をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0070】
一態様では、本発明は、ヒトインスリンと比較して、A9GluまたはA9AspまたはA9Glnを含み、B3GluまたはB3Glnおよび/またはdesB30をさらに含み、かつ/またはB26Glu、B27Glu、および/またはB28Gluのうちの少なくとも1つをさらに含み、A21A置換をさらに含むヒトインスリン類似体に関する。
【0071】
薬学的適応症
糖尿病
「糖尿病」または「真性糖尿病」という用語は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病(妊娠中)、および高血糖を引き起こす他の状態を含む。この用語は、膵臓が不十分な量のインスリンを産生する代謝性疾患、または身体の細胞がインスリンに適切に応答することができず、それ故に、細胞がグルコースを吸収するのを阻止する代謝性疾患に使用される。結果として、グルコースが血液中に蓄積する。
【0072】
インスリン依存性糖尿病(IDDM)および若年発症糖尿病とも呼ばれる1型糖尿病は、B細胞破壊によって引き起こされ、通常、絶対的インスリン欠乏をもたらす。
【0073】
非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)および成人発症糖尿病としても知られている2型糖尿病は、優勢なインスリン抵抗性、ひいては、相対的インスリン欠乏および/またはインスリン抵抗性を伴う優勢なインスリン分泌障害に関連する。
【0074】
合成方法
本発明のインスリン類似体は、インスリン類似体を調製するための従来の方法、具体的には、実施例に記載の方法によって得られ得る。
【0075】
生物学的活性
本発明のインスリン類似体は、即効型である。
【0076】
本発明のインスリン類似体は全て、必要な血糖応答をもたらすためにインスリン受容体を活性化する、すなわち、動物およびヒトにおける血糖を低下させることを可能にするのに適切なインスリン受容体親和性を有する。本発明のインスリンの機能的(アゴニスト)活性の尺度として、ラット脂肪細胞における脂肪生成活性が示される。
【0077】
本発明のインスリン類似体が、平衡したインスリン受容体(IR)のインスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)に対する親和性比(IR/IGF-1R)を有することが見出されている。
【0078】
一態様では、本発明のインスリンは、1超、1.5超、または2超のIR/IGF-1R比を有する。
【0079】
一実施形態では、本発明のヒトインスリン類似体は、血糖値を低下させる能力を有する。
【0080】
一実施形態では、本発明のヒトインスリン類似体は、インスリン受容体を活性化する。
【0081】
一実施形態では、本発明のヒトインスリン類似体は、血糖を低下させる。
【0082】
一実施形態では、本発明のヒトインスリン類似体は、低下した自己会合特性を有する。
【0083】
一実施形態では、本発明のヒトインスリン類似体は、単量体である。
【0084】
一態様では、本発明は、薬剤として使用するための、または薬剤もしくは医薬組成物の製造における使用のための新規インスリン類似体を提供する。本発明のインスリン類似体は、特に、糖尿病、特に1型糖尿病および2型糖尿病を含む代謝性障害の治療のための薬剤として有用であり得る。
【0085】
医薬組成物
本発明は、薬剤として、または医薬組成物/薬剤の製造に有用なインスリン類似体に関する。
【0086】
したがって、別の態様では、本発明は、本発明のインスリン類似体の治療有効量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0087】
本発明による医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0088】
本発明の医薬組成物は、医薬組成物で一般に使用される他の賦形剤、例えば、保存剤、キレート剤、等張化剤、吸収促進剤をさらに含み得る。
【0089】
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、水性調製物、すなわち、水を含む調製物である。かかる調製物は、典型的には、溶液である。本発明のさらなる実施形態では、医薬組成物は、水溶液である。
【0090】
「水性調製物」という用語は、少なくとも50w/w%の水を含む調製物として定義される。同様に、「水溶液」という用語は、少なくとも50w/w%の水を含む溶液として定義される。
【0091】
本発明の一実施形態では、インスリン調製物は、本発明のインスリン類似体の水溶液を含み、当該インスリン類似体は、約0.1mM~約20.0mM、より具体的には、約0.2mM~約6.0mM、約0.3mM~約4.0mM、約0.6mM~約3.6mMの濃度で存在する。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約0.6mM~約3.0mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約0.6mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約1.2mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約1.8mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約2.4mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約3mMの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約3.6mMの濃度である。
【0092】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約100U~約600Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約100Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約200Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約300Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約400Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約500Uの濃度である。一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、約600Uの濃度である。
【0093】
本発明の医薬組成物は、緩衝系をさらに含み得る。一実施形態では、緩衝液の濃度は、約0.1mM~20mMの範囲内である。さらに別の実施形態では、前述の緩衝液の濃度は、0.1mM~約10mM、または約0.1mM~約8mM、約1mM~約8mM、または約2mM~約8mM、または3mM~7mMの範囲内である。本発明の一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液である。本発明の一実施形態では、リン酸緩衝液の濃度は、3mMである。本発明の一実施形態では、緩衝液は、トリスである。本発明の一実施形態では、トリス緩衝液の濃度は、7mMである。
【0094】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、緩衝液を含まなくてもよい。
【0095】
本発明の注射用医薬組成物のpHは、3~8.5の範囲内である。好ましくは、本発明による注射用医薬組成物は、約7.0~約8.0の範囲内のpHを有する。本発明の一実施形態では、pHは、約7.2~約7.8、または7.4~7.6の範囲内である。本発明の一実施形態では、pHは、7.0である。本発明の一実施形態では、pHは、7.2である。本発明の一実施形態では、pHは、7.4である。本発明の一実施形態では、pHは、7.6である。本発明の一実施形態では、pHは、7.8である。本発明の一実施形態では、pHは、8.0である。
【0096】
本発明のインスリン調製物は、等張化剤をさらに含み得る。
【0097】
本発明の一実施形態では、等張化剤は、グリセロールおよび/またはプロピレングリコールおよび/または塩化ナトリウムであり、0~約250mM、0~約200mM、または0~約100mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約230mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、233mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、230mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約200mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、200mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約195mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、195mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約185mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、185mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約165mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、163mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、130mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、約100mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、等張化剤は、103mMの濃度で存在し得る。
【0098】
本発明のインスリン調製物は、薬学的に許容可能な保存剤をさらに含み得る。保存剤は、保存効果を得るのに十分な量で存在し得る。本発明の医薬組成物中の保存剤の量は、例えば、当該分野の文献および/または例えば市販の製品中の保存剤の既知量から決定され得る。これらの特定の保存剤は各々、本発明の代替の実施形態を構成する。医薬調製物における保存剤の使用は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th edition,1995に記載されている。
【0099】
本発明の一例では、注射用医薬組成物は、保存剤として少なくとも1つのフェノール化合物を含む。一例では、本発明による使用のためのフェノール化合物は、最終注射用医薬組成物の最大約6mg/mL、特に最終注射用医薬組成物の最大約4mg/mLで存在し得る。一例では、本発明による使用のためのフェノール化合物は、最終注射用医薬組成物の最大約4.0mg/mL、特に約0.5mg/mL~約4.0mg/mL、または約0.6mg/mL~約4.0mg/mLの量で存在し得る。一態様では、保存剤は、フェノールである。本発明の一例では、注射用医薬組成物は、保存剤としてフェノールとm-クレゾールとの混合物を含む。本発明の一実施形態では、注射用医薬組成物は、約16mMのフェノール(1.5mg/mL)および約16mMのm-クレゾール(1.72mg/mL)を含む。本発明の一実施形態では、注射用医薬組成物は、約19mMのフェノール(1.79mg/mL)および約19mMのm-クレゾール(2.05mg/mL)を含む。
【0100】
本発明の医薬組成物は、キレート剤をさらに含み得る。一態様では、本発明の医薬組成物は、キレート剤を含まなくてもよい。医薬組成物中でのキレート剤の使用は、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th edition,1995について言及する。
【0101】
本発明の医薬組成物は、吸収促進剤をさらに含み得る。吸収促進剤の群には、ニコチン化合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0102】
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、ニコチン化合物を含む。一実施形態では、ニコチン化合物は、ニコチンアミド、および/またはニコチン酸、および/またはそれらの塩である。別の実施形態では、ニコチン化合物は、ニコチンアミドである。本発明の別の実施形態において、ニコチン化合物は、約0mM~約200mMの量、特に約10mM~約200mM、例えば、約10mM、約20mM、約40mM、約170mMの量で存在する。
【0103】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、ニコチン化合物を含まない。
【0104】
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、1mM~50mMの濃度のクエン酸塩を含む。クエン酸という用語は、クエン酸塩およびクエン酸を含むと理解されるべきである。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、5mM~20mMの濃度のクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、クエン酸塩は、5mMの濃度で存在する。本発明の一実施形態では、クエン酸塩は、10mMの濃度で存在する。本発明の一実施形態では、クエン酸塩は、15mMの濃度で存在する。本発明の一実施形態では、クエン酸塩は、20mMの濃度で存在する。
【0105】
本発明の一実施形態においては、医薬組成物は、ニコチンアミドおよびクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態においては、医薬組成物は、ニコチンアミドとクエン酸塩との組み合わせを含み、ニコチンアミドは、約5mM~約200mMの量で、特に約20mM~約200mM、例えば、約10mM、約20mM、約40mM、約170mMの量で存在し、クエン酸塩は、5mM~20mMの濃度範囲で、特に約5mM、約10mM、約15mM、約20mMの濃度で存在する。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、5mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、10mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、20mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、40mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、60mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、80mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、100mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、120mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、140mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、160mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、170mMのニコチンアミドおよび5mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、5mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、10mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、20mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、40mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、60mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、80mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、100mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、120mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、140mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、160mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。本発明の一実施形態では、医薬組成物は、170mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む。
【0106】
一実施形態では、医薬組成物は、約0.6から約3.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、またはA9E、B3E、B27E、B28E、desB30を含み、約0.6mg/mlから約4mg/mlのフェノール、約0.6mg/mlから約4mg/mlのm-クレゾール、約0から約250mMのグリセロール、約0.1mMから約20mMのトリスまたはリン酸、約0mMのニコチンアミドをさらに含み、約7.0から約8.0のpH値を有する。
【0107】
一実施形態では、医薬組成物は、約0.6から約3.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、またはA9E、B3E、B27E、B28E、desB30を含み、約0.6mg/mlから約4mg/mlのフェノール、約0.6mg/mlから約4mg/mlのm-クレゾール、約0から約250mMのグリセロール、約0.1mMから約20mMのトリスまたはリン酸、約40mMのニコチンアミドをさらに含み、約7.0から約8.0のpH値を有する。
【0108】
一実施形態では、医薬組成物は、約0.6から約3.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、またはA9E、B3E、B27E、B28E、desB30を含み、約0.6mg/mlから約4mg/mlのフェノール、約0.6mg/mlから約4mg/mlのm-クレゾール、約0から約250mMのグリセロール、約0.1mMから約20mMのトリスまたはリン酸、約20mMのニコチンアミド、約10mMのクエン酸塩をさらに含み、約7.0から約8.0のpH値を有する。
【0109】
本発明の医薬組成物は、組成物の保管中のポリペプチドまたはタンパク質による凝集体形成を減少させるのに十分な量のアミノ酸塩基をさらに含み得る。「アミノ酸塩基」という用語は、任意の所与のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態で存在するアミノ酸またはアミノ酸の組み合わせを指す。
【0110】
本発明はさらに、かかるインスリン調製物を調製するための方法に関する。
【0111】
本発明のインスリン調製物は、いくつかの認識されている方法のうちのいずれかを使用することによって調製され得る。例えば、調製物は、賦形剤の水溶液をインスリン類似体の水溶液と混合し、その後、pHが所望のレベルに調整され、混合物が水を用いて最終体積に構成され、その後、滅菌濾過することによって調製され得る。
【0112】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で単量体である。
【0113】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中の自己会合特性を低下させる。
【0114】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で化学的に安定している。
【0115】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で物理的に安定している。
【0116】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で化学的および物理的に安定している。
【0117】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で単量体であり、物理的に安定している。
【0118】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で単量体であり、化学的に安定している。
【0119】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で単量体であり、化学的および物理的に安定している。
【0120】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、医薬組成物中で単量体であり、高濃度であっても化学的および物理的に安定している。
【0121】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体の吸収速度は、Fiasp(登録商標)と比較して速い。
【0122】
本発明の一実施形態では、この差異は、閉ループシステムのためのインスリン投与アルゴリズムをさらに改善して、時間範囲(すなわち、患者の血糖が健常な範囲内にある時間)を増加させることを可能にする。
【0123】
亜鉛を含まない医薬組成物
インスリン調製物は、医薬調製物の許容可能な安定性を得るために、伝統的には、例えば、塩化物または酢酸塩として添加される亜鉛を含む。しかしながら、驚くべきことに、本発明のインスリン類似体が、低下した自己会合、十分な化学的および物理的安定性を維持しながら、高いインスリン濃度を有するが、亜鉛の添加を伴わない医薬組成物に製剤化され、それにより、十分な化学的および物理的安定性を維持するためにZn2+イオンを必要とする同等のインスリン類似体よりも速い作用発現をもたらすことが見出された。亜鉛を含まない組成物は、皮下組織からより速く吸収され、それ故に、食事使用を可能にする。
【0124】
しかしながら、亜鉛を含まない賦形剤が提供され得ることを条件として、本発明のインスリン類似体は、実際には、亜鉛を含まない医薬組成物の調製を可能にする。したがって、一態様では、本発明は、本発明のインスリン類似体と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含み、亜鉛を欠くか、または亜鉛イオンが添加されていない「亜鉛を含まない医薬組成物」を提供する。
【0125】
本発明のインスリン類似体は、亜鉛イオンの添加なしに、かつ界面活性剤の添加なしに製剤化された医薬組成物の化学的安定性および物理的安定性の両方を増加させる。
【0126】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、亜鉛を含まない。
【0127】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体を含む医薬組成物は、亜鉛を含まない。
【0128】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体である。
【0129】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で化学的に安定している。
【0130】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で物理的に安定している。
【0131】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で化学的および物理的に安定している。
【0132】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体であり、化学的および物理的に安定している。
【0133】
一実施形態では、本発明のインスリン類似体は、亜鉛を含まない医薬組成物中で単量体であり、高濃度であっても化学的および物理的に安定している。
【0134】
投与方法
本発明の医薬組成物は、従来の方法によって投与され得る。
【0135】
非経口投与は、シリンジ、任意選択でペン様のシリンジを用いて、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射によって行われ得る。あるいは、非経口投与は、輸液ポンプを用いて行われ得る。さらなる選択肢として、本発明のインスリン化合物を含有するインスリン調製物は、例えば、針なし注射による、またはマイクロニードルパッチ、任意選択でイオン泳動パッチからの経皮投与、または経粘膜投与、例えば、口腔投与にも適合され得る。
【0136】
本発明の医薬組成物は、かかる治療を必要とする患者に、局所部位(例えば、皮膚および粘膜部位)、吸収を迂回する部位(例えば、動脈内、静脈内、心臓内投与)、および吸収に関与する部位(例えば、皮膚内、皮膚下、筋肉内、または腹部内投与)等のいくつかの部位で投与され得る。
【0137】
本発明の医薬組成物は、非経口投与による糖尿病の治療に使用され得る。実際の投薬量は、治療される疾患の本質および重症度に依存し、医師の裁量によるものであり、所望の治療効果をもたらすために本発明の特定の状況に対する投薬量の用量設定により変化し得る。本発明の医薬組成物は、注射によるインスリン療法に使用されるペン様のデバイス、ポンプの使用によるインスリン皮下持続注入療法を含む、通常インスリンの投与に使用される様々な医療デバイスで使用するためにも調製され得る。
【0138】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、注射によるインスリン療法での使用のためのペン様のデバイス中に製剤化される。
【0139】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、インスリン投与用の外部ポンプ中に製剤化される。
【0140】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、インスリン投与用のインスリンポンプ中に製剤化される。
【0141】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、インスリン投与用のインスリンポンプに好適である。
【0142】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、100~600Uのヒトインスリンに相当するインスリン類似体を保持することができるインスリンポンプに好適である。
【0143】
治療方法
本発明は、治療的使用のための薬物に関する。より具体的には、本発明は、糖尿病に関連する病状の治療または予防のための本発明のインスリン類似体の使用に関する。
【0144】
一実施形態では、本発明は、ヒトを含む生きている動物体の疾患または障害または状態を治療または緩和するための方法を提供し、この疾患、障害、または状態は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満症、代謝症候群(代謝X症候群、インスリン抵抗症候群)、高血圧症、認知障害に関連する疾患、障害、または状態から選択され得、この方法は、それを必要とする対象に、本発明のヒトインスリン類似体の治療有効量を投与するステップを含む。
【0145】
一実施形態では、本発明は、ヒトを含む生きている動物体の疾患または障害または状態を治療または緩和するための方法を提供し、この疾患、障害、または状態は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満症、または代謝症候群(代謝X症候群、インスリン抵抗症候群)に関連する疾患、障害、または状態から選択され得る。
【0146】
一実施形態では、本発明は、ヒトを含む生きている動物体の疾患または障害または状態を治療または緩和するための方法を提供し、この疾患、障害、または状態は、糖尿病、特に1型糖尿病または2型糖尿病に関連する疾患、障害、または状態から選択され得る。
【0147】
一実施形態では、本発明は、本発明のインスリン類似体の医学的使用に関し、具体的には、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症、肥満症、代謝症候群(代謝X症候群、インスリン抵抗症候群)、高血圧症、認知障害に関連する疾患、障害、または状態の治療、予防、または緩和のためのかかるインスリン類似体の使用に関し、この方法は、それを必要とする対象に、本発明のインスリン類似体の治療有効量を投与するステップを含む。
【0148】
別の実施形態では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、または耐糖能障害に関連する疾患、障害、または状態の治療、予防、または緩和のためのかかるインスリン類似体の使用に関し、この方法は、それを必要とする対象に、本発明のインスリン類似体の治療有効量を投与するステップを含む。
【0149】
一実施形態では、本発明は、糖尿病、特に1型糖尿病または2型糖尿病に関連する疾患、障害、または状態の治療、予防、または緩和のためのかかるインスリン類似体の使用に関する。
【0150】
実施形態:
本発明は、以下の非限定的な実施形態によってさらに説明される。
【0151】
1. インスリン類似体であって、前記類似体が、ヒトインスリンと比較して、A9EまたはA9Dを含み、B3Eおよび/またはdesB30をさらに含む、インスリン類似体。
【0152】
2. 前記類似体が、ヒトインスリンと比較して、A9EまたはA9Dを含み、B3Eをさらに含む、実施形態1に記載のインスリン類似体。
【0153】
3. 前記類似体が、ヒトインスリンと比較して、A9EまたはA9Dを含み、desB30をさらに含む、実施形態1に記載のインスリン類似体。
【0154】
4. 前記類似体が、ヒトインスリンと比較して、A9EまたはA9Dを含み、B3EおよびdesB30をさらに含む、実施形態1に記載のインスリン類似体。
【0155】
5. 前記類似体が、B26E、B27E、および/またはB28Eのうちの少なくとも1つをさらに含む、実施形態2~4に記載のインスリン類似体。
【0156】
6. 前記類似体が、B26Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0157】
7. 前記類似体が、B27Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0158】
8. 前記類似体が、B28Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0159】
9. 前記類似体が、B26EおよびB27Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0160】
10. 前記類似体が、B26EおよびB28Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0161】
11. 前記類似体が、B27EおよびB28Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0162】
12. 前記類似体が、B26E、B27E、およびB28Eをさらに含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0163】
13. 前記類似体が、A21A置換をさらに含む、実施形態5~12のいずれか1つに記載のインスリン類似体。
【0164】
14. 前記類似体が、
A9D、B3E、
A9E、B3E、
A9D、desB30、
A9E、desB30、
A9D、B3E、desB30、
A9E、B3E、desB30、
A9D、B3E、B26E、
A9E、B3E、B26E、
A9D、B26E、desB30、
A9E、B26E、desB30、
A9D、B3E、B26E、desB30、
A9E、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、
A9E、A21A、B3E、B26E、
A9D、A21A、B26E、desB30、
A9E、A21A、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9D、B3E、B27E、
A9E、B3E、B27E、
A9D、B27E、desB30、
A9E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B27E、
A9D、A21A、B27E、desB30、
A9E、A21A、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B28E、
A9E、B3E、B28E、
A9D、B28E、desB30、
A9E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B28E、
A9D、A21A、B28E、desB30、
A9E、A21A、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、
A9E、B3E、B26E、B27E、
A9D、B26E、B27E、desB30、
A9E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9D、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B27E、B28E、
A9D、B27E、B28E、desB30、
A9E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B28E、
A9D、B26E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、または
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30である、実施形態5~13のいずれかに記載のインスリン類似体。
【0165】
15. 前記類似体が、
A9D、B3E、B26E、
A9E、B3E、B26E、
A9D、B26E、desB30、
A9E、B26E、desB30、
A9D、B3E、B26E、desB30、
A9E、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、
A9E、A21A、B3E、B26E、
A9D、A21A、B26E、desB30、
A9E、A21A、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9D、B3E、B27E、
A9E、B3E、B27E、
A9D、B27E、desB30、
A9E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B27E、
A9D、A21A、B27E、desB30、
A9E、A21A、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B28E、
A9E、B3E、B28E、
A9D、B28E、desB30、
A9E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B28E、
A9D、A21A、B28E、desB30、
A9E、A21A、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、
A9E、B3E、B26E、B27E、
A9D、B26E、B27E、desB30、
A9E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9D、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B27E、B28E、
A9D、B27E、B28E、desB30、
A9E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B28E、
A9D、B26E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、または
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30である、実施形態14に記載のインスリン類似体。
【0166】
16. 前記類似体が、
A9D、B3E、B26E、
A9E、B3E、B26E、
A9D、B26E、desB30、
A9E、B26E、desB30、
A9D、B3E、B26E、desB30、
A9E、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、
A9E、A21A、B3E、B26E、
A9D、A21A、B26E、desB30、
A9E、A21A、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、
A9E、B3E、B26E、B27E、
A9D、B26E、B27E、desB30、
A9E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9D、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B27E、B28E、
A9D、B27E、B28E、desB30、
A9E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B28E、
A9D、B26E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、または
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30である、実施形態15に記載のインスリン類似体。
17. 前記類似体が、
A9D、B3E、B26E、
A9E、B3E、B26E、
A9D、B3E、B26E、desB30、
A9E、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、
A9E、A21A、B3E、B26E、
A9D、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、
A9E、B3E、B26E、B27E、
A9D、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、desB30、
A9D、B3E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B27E、B28E、
A9D、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B28E、
A9D、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、
A9D、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9E、A21A、B3E、B26E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9E、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、
A9D、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30、または
A9E、A21A、B3E、B26E、B27E、B28E、desB30である、実施形態16に記載のインスリン類似体。
【0167】
18. 前記類似体が、
A9E、B3E、B26E、
A9E、B3E、B27E、B28E、
A9E、B3E、B26E、desB30、
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
A9D、B3E、B26E、desB30、または
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30である、実施形態17に記載のインスリン類似体。
【0168】
19. 前記類似体が、A9E、B3E、B26Eである、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0169】
20. 前記類似体が、A9E、B3E、B27E、B28Eである、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0170】
21. 前記類似体が、A9E、B3E、B26E、desB30である、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0171】
22. 前記類似体が、A9E、B3E、B27E、B28E、desB30である、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0172】
23. 前記類似体が、A9D、B3E、B26E、desB30である、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0173】
24. 前記類似体が、A9E、A21A、B3E、B26E、desB30である、実施形態18に記載のインスリン類似体。
【0174】
25. 実施形態1~24のいずれか1つに記載のインスリン類似体と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【0175】
26. A9E、B3E、B26E、desB30であるインスリン類似体を含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0176】
27. A9E、B3E、B27E、B28E、desB30であるインスリン類似体を含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0177】
28. A9D、B3E、B26E、desB30であるインスリン類似体を含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0178】
29. A9E、A21A、B3E、B26E、desB30であるインスリン類似体を含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
【0179】
30. 前記インスリン類似体が、約0.1mM~約20.0mMの濃度である、実施形態25~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0180】
31. 前記インスリン類似体が、約0.6mM~約3.6mMの濃度である、実施形態25~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0181】
32. 前記インスリン類似体が、約0.6mMの濃度である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0182】
33. 前記インスリン類似体が、約1.2mMの濃度である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0183】
34. 前記インスリン類似体が、約1.8mMの濃度である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0184】
35. 前記インスリン類似体が、約2.4mMの濃度である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0185】
36. 前記インスリン類似体が、約3.0mMの濃度である、実施形態31に記載の医薬組成物。
【0186】
37. 前記インスリン類似体が、約100~600Uの濃度である、実施形態25~29に記載の医薬組成物。
【0187】
38. 前記インスリン類似体が、約100Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0188】
39. 前記インスリン類似体が、約200Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0189】
40. 前記インスリン類似体が、約300Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0190】
41. 前記インスリン類似体が、約400Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0191】
42. 前記インスリン類似体が、約500Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0192】
43. 前記インスリン類似体が、約600Uの濃度である、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0193】
44. 前記組成物が亜鉛を含まない、実施形態25~43に記載の医薬組成物。
【0194】
45. ニコチン化合物、特にニコチンアミドを含む、実施形態25~44に記載の医薬組成物。
【0195】
46. 約10mM~約200mMの濃度のニコチンアミドを含む、実施形態25~45に記載の医薬組成物。
【0196】
47. 10mMのニコチンアミドを含む、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0197】
48. 20mMのニコチンアミドを含む、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0198】
49. 40mMのニコチンアミドを含む、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0199】
50. 170mMのニコチンアミドを含む、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0200】
51. 約0.6mg/mL~約4mg/mLのフェノールおよび/またはm-クレゾールを含む、実施形態25~50実施形態に記載の医薬組成物。
【0201】
52. 約1.5mg/mLのフェノールおよび約1.72mg/mLのm-クレゾールを含む、実施形態51に記載の医薬組成物。
【0202】
53. 約1.79mg/mLのフェノールおよび約2.05mg/mLのm-クレゾールを含む、実施形態51に記載の医薬組成物。
【0203】
54. 0~約250mMの濃度のグリセロールを含む、実施形態25~53に記載の医薬組成物。
【0204】
55. 約103mM、130mM、163mM、185mM、195mM、200mM、230mM、または233mMのグリセロールを含む、実施形態54に記載の医薬組成物。
【0205】
56. 約0~2%の濃度のプロピレングリコールを含む、実施形態25~55に記載の医薬組成物。
【0206】
57. 約1.5%の濃度のプロピレングリコールを含む、実施形態56に記載の医薬組成物。
【0207】
58. 約0.1mM~20mMの濃度の緩衝液を含む、実施形態25~57に記載の医薬組成物。
【0208】
59. 約3mMの濃度のリン酸緩衝液を含む、実施形態58に記載の医薬組成物。
【0209】
60. 約7mMの濃度のトリス緩衝液を含む、実施形態58に記載の医薬組成物。
【0210】
61. 約7.0~約8.0の範囲内のpH値を有する、実施形態25~60に記載の医薬組成物。
【0211】
62. 約7.2~約7.8の範囲内のpH値を有する、実施形態61に記載の医薬組成物。
【0212】
63. 約7.4~約7.6の範囲内のpH値を有する、実施形態62に記載の医薬組成物。
【0213】
64. クエン酸塩を含む、実施形態25~63に記載の医薬組成物。
【0214】
65. 1mM~50mMの濃度のクエン酸塩を含む、実施形態64に記載の医薬組成物。
【0215】
66. 5mMの濃度のクエン酸塩を含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0216】
67. 10mMの濃度のクエン酸塩を含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0217】
68. 15mMの濃度のクエン酸塩を含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0218】
69. 20mMの濃度のクエン酸塩を含む、実施形態65に記載の医薬組成物。
【0219】
70. 10mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む、実施形態25~69に記載の医薬組成物。
【0220】
71. 20mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む、実施形態25~70に記載の医薬組成物。
【0221】
72. 40mMのニコチンアミドおよび10mMのクエン酸塩を含む、実施形態25~71に記載の医薬組成物。
【0222】
73.0.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~72に記載の医薬組成物。
【0223】
74. 1.2mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~73に記載の医薬組成物。
【0224】
75. 1.8mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~74に記載の医薬組成物。
【0225】
76. 2.4mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~75に記載の医薬組成物。
【0226】
77. 3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~76に記載の医薬組成物。
【0227】
78. 0.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~77に記載の医薬組成物。
【0228】
79. 1.2mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~78に記載の医薬組成物。
【0229】
80. 1.8mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~79に記載の医薬組成物。
【0230】
81. 2.4mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~80に記載の医薬組成物。
【0231】
82. 3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~81に記載の医薬組成物。
【0232】
83. 0.6mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~82に記載の医薬組成物。
【0233】
84. 1.2mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~83に記載の医薬組成物。
【0234】
85. 1.8mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~84に記載の医薬組成物。
【0235】
86. 2.4mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~85に記載の医薬組成物。
【0236】
87. 3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B26E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~86に記載の医薬組成物。
【0237】
88. 0.6mM、1.2mM、1.8mM、2.4mM、または3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
233mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
0mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~87に記載の医薬組成物。
【0238】
89. 0.6mM、1.2mM、1.8mM、2.4mM、または3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
200mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
40mMのニコチンアミドを含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~88に記載の医薬組成物。
【0239】
90. 0.6mM、1.2mM、1.8mM、2.4mM、または3.0mMのインスリン類似体A9E、B3E、B27E、B28E、desB30、
1.5mg/mlのフェノール、
1.72mg/mlのm-クレゾール、
185mMのグリセロール、
3mMのリン酸、
20mMのニコチンアミド、
10mMのクエン酸塩を含み、
7.4のpH値を有する、実施形態25~89に記載の医薬組成物。
【0240】
91. 薬剤として使用するための、実施形態1~24のいずれか1つに記載のインスリン類似体もしくはその薬学的に許容可能な塩、または実施形態25~90のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0241】
92. 人体の疾患または障害または状態の予防または緩和または治療に使用するためであり、前記疾患、障害、または状態が、糖尿病、特に1型糖尿病または2型糖尿病に関連する、実施形態1~24のいずれか1つに記載のインスリン類似体もしくはその薬学的に許容可能な塩、または実施形態25~90のいずれか1つに記載の医薬組成物。
93. 人体の疾患または障害または状態を治療、予防、または緩和する方法であって、前記疾患、障害、または状態が、糖尿病、特に1型糖尿病または2型糖尿病に関連し、前記方法が、それを必要とする生きている動物体に、実施形態1~24のいずれか1つに記載のインスリン類似体または実施形態25~90のいずれか1つに記載の医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
【実施例】
【0242】
材料および方法
略語の一覧
ACN:アセトニトリル
ALP:Achromobactor lyticusプロテアーゼ
AUC:曲線下面積
C-ペプチド:連結ペプチド
DCM:ジクロロメタン
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA=DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル
Glu(gGlu):ガンマL-グルタミル
HFIP:ヘキサフルオロ-2-プロパノール
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
IR:インスリン受容体
IGF-1R:インスリン様成長因子1受容体
LC:液体クロマトグラフィー
MALDI-TOF:マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間
MS:質量分析
NMP:N-メチルピロリドン
PAL:ペプチドアミドリンカー
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
PD:薬力学(血液/血漿グルコース低下作用)
PK:薬力学(血液/血漿インスリン濃度対時間プロファイル)
RT:室温
tBu:tert-ブチル
TFA:トリフルオロ酢酸
TRIS:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
【0243】
一般的な調製方法
一般手順(A)
本発明の類似体の固相合成および精製
本発明のインスリン類似体の固相合成および精製のための一般的手順は、以下に詳細に記載されており、以下に示されるように追加の化合物の合成に適用されている。
【0244】
インスリンA鎖およびB鎖を、一般的なFmocベースの固相ペプチドカップリング方法を使用して、Preludeペプチド合成装置で調製した。
【0245】
使用した樹脂:
Fmoc-Thr(OtBu)-Wang、およびPAL樹脂にカップリングしたFmoc-Asp-OtBu。
【0246】
アミノ酸(以下に列記される)およびオキシマをDMF中に溶解して、0.3Mの濃度にした。
Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Trt)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、およびFmoc-Val-OH。
特殊/非天然アミノ酸: Boc-Phe-OH、Boc-Gly-OH、およびFmoc-Cys(Acm)-OH。
【0247】
手順
規模:0.25mmol。
樹脂に使用した標準のカップリング条件は、NMP中、8当量のアミノ酸、DIC、コリジン、およびオキシマ((ヒドロキシイミノ)シアノ酢酸エチル)(1時間)、Fmoc-Arg(Pbf)-OHの場合、二重カップリングプロトコル(2×1時間)であった。
【0248】
使用した標準の脱保護条件は、NMP中20%ピペルジン(2×5.5mLを2×7.5分または2×10分)、その後、NMPおよびDCMでの洗浄。
【0249】
A6C-A11Cジスルフィド形成
樹脂を、DCM/HFIP中0.5%ヨウ素溶液(1:1混合物30mL)で15分間処理した。溶媒を濾過によって除去した後、樹脂をDCM(3×20mL)で洗浄し、窒素流で乾燥させた。
【0250】
樹脂からのA鎖切断およびS-S-ピリジルとしてのA20-Cysの活性化
樹脂を、TFA(30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、およびジチオジピリジン(0.75g)の溶液で3時間処理し、その後、濾液を収集し、150mLのエーテル(6つのプラスチックNUNC管に分割)に添加して、ペプチドを沈殿させた。これらの管を3500rpmで3分間遠心分離し、エーテル層をデカントし、このエーテルステップをさらに3回繰り返した。粗物質を組み合わせ、室温で一晩乾燥させて、所望のペプチドA鎖を得た。
【0251】
樹脂からのB鎖切断
樹脂を、TFA(30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、およびジチオジピリジン(0.5g)の溶液で3時間処理し、その後、濾液を収集し、エーテル(150mL、6つのプラスチックNUNC管に分割)に添加して、ペプチドを沈殿させた。これらの管を3500rpmで3分間遠心分離し、エーテル層をデカントし、このエーテルステップをさらに3回繰り返した。粗物質を室温で一晩乾燥させて、所望のペプチドB鎖を得た。
【0252】
A20C-B19Cジスルフィド形成
A鎖(0.33g)とB鎖(0.33g)との混合物に、DMSO(8mL)およびDIPEA(1mL)を添加し、混合物を20分間撹拌し、その後、140mLの中性緩衝溶液(水、TRIS(10mM)、硫酸アンモニウム(15mM)、20%アセトニトリル)に撹拌しながら滴加して、全体積約150mLにした。
【0253】
その後、混合物を、以下の設定を使用した逆相クロマトグラフィーにより精製した。
●Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/分で実行、40分間かけて10%Bから60%B
●溶離液A=10mM TRIS、15mM硫酸アンモニウム、pH=7.3、milliQ水中20%ACN
●溶離液B=アセトニトリル中20%miliQ水
【0254】
純粋な画分をプールし、急速凍結させ、凍結乾燥させた。
【0255】
A7C-B7Cジスルフィド形成
先のステップ由来の凍結乾燥させた中間体を5mLのDMSO中に再溶解した。酢酸(20mL)および水(4mL)を添加し、その後、AcOH中ヨウ素(40mMの3mL)を添加した。
【0256】
全反応時間20分後、反応物を1Mアスコルビン酸ナトリウムでクエンチし、その後、撹拌水溶液(90mL)に添加した。
【0257】
その後、混合物を、以下の設定を使用した逆相クロマトグラフィーにより精製した。
●Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/分で実行、40分間かけて10%Bから45%B
●溶離液A=milliQ水中0.1%TFA
●溶離液B=アセトニトリル中0.1%TFA
【0258】
純粋な画分をプールし、急速凍結させ、凍結乾燥させて、所望の生成物を得た。
【0259】
一般手順(B)
インスリン類似体の発現および精製
S.cerevisiaeにおけるインスリン類似体の発現
本発明による使用のためのインスリン類似体、すなわち、二本鎖非アシル化インスリン類似体を、例えば、US6500645に開示される周知の技法によって、好適な宿主細胞において当該インスリン類似体をコードするDNA配列を発現させることによって組み換えで生成する。インスリン類似体を、直接発現させるか、またはB鎖上および/もしくはB鎖とA鎖との間の連結ペプチド(C-ペプチド)上にN末端伸長部を有し得る前駆体分子として発現させるかのいずれかである。このN末端伸長部およびC-ペプチドを、好適なプロテアーゼ、例えば、Achromobactor lyticusプロテアーゼ(ALP)またはトリプシンによってインビトロで切断し、それ故に、それぞれ、B1位およびA1位の隣に切断部位を有するようになる。本発明による使用に好適な種類のN末端伸長部およびC-ペプチドは、例えば、US5395922、EP765395、およびWO9828429に開示されている。
【0260】
本発明による使用のためのインスリン類似体前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を、確立された方法、例えば、Beaucage et al. (1981)Tetrahedron Letters 22 1859-1869によって説明されているホスホアミダイト法、またはMatthes et al. (1984)EMBO Journal 3 801-805によって説明されている方法によって合成的に調製することができる。ホスホアミダイト法に従って、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動DNA合成装置で合成し、精製し、二本鎖化し、連結して、合成DNA構築物を形成する。現在好ましいDNA構築物を調製する方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである。
【0261】
組み換え方法は、典型的には、選択された微生物内または宿主細胞内で複製することができ、かつ本発明による使用のためのインスリン類似体前駆体をコードするポリヌクレオチド配列を有するベクターを利用する。組み換えベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外実体として存在するベクターである場合があり、その複製は、染色体、例えば、プラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、または人工染色体の複製とは無関係である。ベクターは、自己複製を確実にするための任意の手段を含み得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるものであり得る。さらに、単一ベクターもしくはプラスミド、または宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを一緒に含む2つ以上のベクターもしくはプラスミド、またはトランスポゾンを使用してもよい。ベクターは、直鎖状または閉環状プラスミドであってもよく、好ましくは、宿主細胞のゲノムへのベクターの安定した組み込みまたはゲノムとは無関係の細胞内でのベクターの自己複製を可能にする要素(複数可)を含む。
【0262】
組み換え発現ベクターは、酵母内で複製することができるものであり得る。ベクターが酵母内で複製することを可能にする配列の例は、酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1~3および複製起点である。
【0263】
ベクターは、形質転換細胞の容易な選択を可能にする1つ以上の選択可能マーカーを含み得る。選択可能マーカーは、殺生物またはウイルス抵抗性、重金属に対する抵抗性、および栄養要求体に対する原栄養性等を提供する遺伝子産物である。細菌選択可能マーカーの例は、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformisのdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、もしくはテトラサイクリン抵抗性等の抗生物質抵抗性を付与するマーカーである。糸状菌宿主細胞で使用するための選択可能マーカーには、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)が含まれる。酵母宿主細胞に好適なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3である。酵母によく適した選択可能マーカーは、Schizosaccharomyces pompe TPI遺伝子である(Russell(1985)Gene 40 125-130)。
【0264】
ベクターでは、ポリヌクレオチド配列は、好適なプロモーター配列に作動可能に連結される。プロモーターは、変異プロモーター、切断プロモーター、およびハイブリッドプロモーターを含む、最適な宿主細胞で転写活性を示す任意の核酸配列であり得、宿主細胞と同種または異種のいずれかの細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0265】
細菌宿主細胞での転写の指示に好適なプロモーターの例は、E.coli lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトジェニック(maltogenic)アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、およびBacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)から得られるプロモーターである。糸状菌宿主細胞での転写の指示に好適なプロモーターの例は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ遺伝子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ遺伝子、およびAspergillus niger酸安定性アルファ-アミラーゼ遺伝子から得られるプロモーターである。酵母宿主では、有用なプロモーターは、Saccharomyces cerevisiae Ma1、TPI、ADH、TDH3、またはPGKプロモーターである。
【0266】
本発明による使用のためのインスリンペプチド骨格をコードするポリヌクレオチド配列は、典型的には、好適な転写終結コドンにも作動可能に連結される。酵母では、好適な転写終結コドンは、TPI転写終結コドンである(Alber et al.(1982)J.Mol.Appl.Genet.1 419-434)。
【0267】
それぞれ、本発明による使用のためのインスリン類似体をコードするポリヌクレオチド配列、プロモーター、および転写終結コドンを組み合わせ、それらを、選択された宿主での複製に必要な情報を含む好適なベクターに挿入するために使用される手順は、当業者に周知である。ベクターが、本発明による使用のためのインスリン骨格をコードする全DNA配列を含むDNA構築物を最初に調製し、その後、この断片を好適な発現ベクターに挿入すること、または個々の要素(シグナルおよびプロペプチド(B鎖のN末端伸長部)、C-ペプチド、A鎖およびB鎖等)についてのゲノム情報を含むDNA断片を連続して挿入し、その後、連結することのいずれかによって構築され得ることが理解されるであろう。
【0268】
本発明による使用のためのインスリン類似体をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターは、宿主細胞に導入され、これにより、このベクターは、染色体組み込み体として、または自己複製する染色体外ベクターとして維持されるようになる。「宿主細胞」という用語は、複製中に生じる変異のため、親細胞と同一ではない、親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞微生物(例えば、原核生物)であっても、非単細胞微生物(例えば、真核生物)であってもよい。有用な単細胞は、Bacillus細胞、Streptomyces細胞を含むが、これらに限定されないグラム陽性細菌、またはE.coliおよびPseudomonas sp.等のグラム陰性細菌等の細菌細胞である。真核細胞は、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、または真菌細胞であり得る。
【0269】
宿主細胞は、特に酵母細胞であり得る。酵母生物は、培養時にインスリンペプチド骨格またはその前駆体を培養培地中に分泌する任意の好適な酵母生物であり得る。好適な酵母生物の例には、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Schizosaccharomyces pombe、Sacchoromyces uvarum、Kluyveromyces lactis、Hansenula polymorpha、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、Yarrowia lipolytica、Candida sp.、Candida utilis、Candida cacaoi、Geotrichum sp.、およびGeotrichum fermentansから選択される株が含まれる。
【0270】
酵母細胞の形質転換は、例えば、原形質体形成に続く既知の方法による形質転換に影響され得る。細胞を培養するために使用される培地は、酵母生物の成長に好適な任意の従来の培地であり得る。
【0271】
インスリン類似体の精製
分泌されたインスリン類似体またはその前駆体を、遠心分離による、濾過による、またはイオン交換マトリックスもしくは逆相吸収マトリックス上でのインスリン類似体もしくはその前駆体の捕獲もしくは吸収による培地からの酵母細胞の分離、上清のタンパク質性成分の沈殿、または塩(例えば、硫酸アンモニウム)を用いた濾過に続く様々なクロマトグラフィー手順(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー等)による精製を含む、従来の手順によって培地から回収することができる。
【0272】
本発明のインスリンペプチド骨格の精製および消化を、以下のように行う。
【0273】
B鎖のN末端伸長部およびB鎖とA鎖との間の修飾C-ペプチドを含み得る一本鎖インスリン類似体前駆体を精製し、カチオン交換によって酵母培養上清から濃縮する(Kjeldsen et al.(1998)Prot.Expr.Pur.14 309-316)。
【0274】
一本鎖インスリン類似体前駆体を、リジン特異的固定化ALPでの消化(Kristensen et al.(1997)J.Biol.Chem.20 12978-12983)によって、またはトリプシンを使用してB鎖のN末端伸長部(存在する場合)およびC-ペプチドを切断することによって、二本鎖インスリンペプチド骨格に成熟させる。
【0275】
ALPの消化
インスリンペプチド骨格前駆体を含むカチオン交換クロマトグラフィーステップ由来の溶離液を水で希釈して、15~20%のエタノール濃度にする。グルタミン酸ナトリウムを添加して15mMの濃度にし、pHをNaOHによって9.7に調節する。固定化ALP(4グラム/L)を1:100(体積:体積)の割合で添加し、室温で一晩穏やかに撹拌しながら消化を継続させる。
【0276】
消化反応を、C18カラムを使用したWaters Acquity超高速液体クロマトグラフィーシステムで分析LCによって分析し、分子量を、マトリックス補助レーザー脱着イオン化飛行時間(MALDI-TOF)質量分析(MS)(Bruker Daltonics Autoflex II TOF/TOF)によって確認する。
【0277】
固定化ALPを、0.2μmのフィルターを使用した濾過によって除去する。二本鎖インスリンペプチド骨格を、アセトニトリル勾配を使用したC18カラム上で逆相HPLC(Waters600システム)によって精製する。所望のインスリンを凍結乾燥によって回収する。
【0278】
純度を、C18カラムを使用したWaters Acquity超高速液体クロマトグラフィーシステムで分析LCによって決定し、分子量を、MALDI-TOF MSによって確認する。
【0279】
実施例1
一般手順(B)により調製
A9E、B3E、B26E、desB30ヒトインスリン(配列番号3および4)
【0280】
実施例2
一般手順(B)により調製
A9E、B3E、B27E、B28E、desB30ヒトインスリン(配列番号3および5)
【0281】
実施例3
一般手順(A)により調製
A9E、B3E、B26Eヒトインスリン(配列番号3および6)
【0282】
実施例4
一般手順(A)により調製
A9E、B3E、B27E、B28Eヒトインスリン(配列番号3および7)
【0283】
実施例5
一般手順(B)により調製
A9D、B3E、B26E、desB30(配列番号8および4)
【0284】
実施例6
一般手順(B)により調製
A9E、A21A、B3E、B26E、desB30(配列番号9および4)
【0285】
比較化合物1
B3E、B26E、desB30ヒトインスリン
【0286】
比較化合物2
B3E、B27E、B28E、desB30ヒトインスリン
【0287】
比較化合物3
B28Dヒトインスリン(インスリンアスパルト)
【0288】
比較化合物4
A21A、B3E、B26E、desB30ヒトインスリン
【0289】
実施例7
可溶化受容体で測定される、本発明の選択されたインスリン誘導体のインスリン受容体親和性
ヒトインスリン受容体(IR)に対する本発明のインスリン誘導体の相対的結合親和性を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)における競合結合(Glendorf T et al.(2008)Biochemistry 47 4743-4751に従うもの)によって決定する。
【0290】
簡潔には、ヒトインスリン標準および試験されるインスリン類似体の希釈系列を96ウェルOptiplate(Perkin-Elmer Life Sciences)で行い、その後、100mM HEPES(pH7.8)、100mM NaCl、10mM MgSO4、および0.025%(v/v)Tween 20からなる結合緩衝液中、[125I-A14Y]-ヒトインスリン、抗IRマウス抗体83-7、可溶化ヒトIR-A(IR-Aホロ受容体を過剰発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞由来の小麦胚芽凝集素クロマトグラフィーにより半精製されたもの)、およびSPAビーズ(抗マウスポリビニルトルエンSPAビーズ、GE Healthcare)を添加する。プレートを、穏やかに振盪しながら22℃で22~24時間インキュベートし、2000rpmで2分間遠心分離し、TopCount NXT(Perkin-Elmer Life Sciences)で計数する。
【0291】
SPAからのデータを、4パラメータロジスティックモデル(Volund A(1978)Biometrics 34 357-365)に従って分析し、類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準の結合親和性と比較して計算する。
【0292】
本発明の選択されたインスリン類似体のインスリン受容体親和性および他のインビトロデータを、以下の表1に提示する。
【0293】
【0294】
結論として、本発明のインスリン類似体は、インスリン受容体に対して高い親和性を有し、受容体を活性化し、機能的応答を引き起こすことができる。さらに、IGF-1受容体に対する本発明のインスリン類似体の相対的親和性は、インスリン受容体に対する親和性と比較して低い。これは、分裂促進応答が代謝応答よりも低いため、臨床現場における本発明の類似体の安全性に関して潜在的利益を表す。
【0295】
実施例8
膜関連受容体で測定される、本発明の選択されたインスリン誘導体のインスリンおよびインスリン様成長因子-1受容体親和性
膜関連ヒトIRおよびIGF-1Rを、ヒトIR-A、IR-B、またはIGF-IRインサートのいずれかを含むpZem219Bベクターで安定的にトランスフェクトされたBHK細胞から精製する。BHK細胞を収集し、氷冷緩衝液(25mM HEPES pH7.4、25mM CaCl2、および1mM MgCl2、250mg/Lバシトラシン、0.1mM Pefabablock)中でホモジナイズする。ホモジネートを41%(w/v)のスクロースクッション上に層状にし、4℃および95000gで75分間遠心分離する。原形質膜を収集し、緩衝液(上述のもの)で1:5に希釈し、4℃および40000gで45分間再度遠心分離する。ペレットを最小緩衝液体積中で再懸濁し、針(サイズ23)を通して3回引き抜いた後に、使用するまで-80℃で保管する。
【0296】
膜関連ヒトIR-A、IR-B、またはIGF-1Rのいずれかに対する相対的結合親和性を、SPA設定での競合結合によって決定する。IRアッセイを、96ウェルOptiPlates(Perkin-Elmer Life Sciences)で、二連で行う。膜タンパク質を、穏やかに撹拌しながら、全体積200μLのアッセイ緩衝液(50mM HEPES、150mM NaCl、5mM MgSO4、0.01%Triton X-100、0.1%(w/v)HSA(Sigma A1887)中50pMの[125I-A14Y]-ヒトインスリン、完全EDTAフリープロテアーゼ阻害剤)、50μgの小麦胚芽凝集(WGA)コーティングPVTミクロスフェア(GE Healthcare)、および増加濃度のリガンドと25℃で150分間インキュベートする。アッセイを、プレートを2000rpmでの2分間の遠心分離によって終了し、結合放射能を、TopCount NXT(Perkin-Elmer Life Sciences)で計数することによって定量する。
【0297】
膜関連IGF-1Rおよび50pMの[125I-Tyr31]-ヒトIGF-1を用いたことを除いて、IGF-1RアッセイをIR結合アッセイについて本質的に行う。SPAからのデータを、4パラメータロジスティックモデル(Volund A(1978)Biometrics 34 357-365)に従って分析し、試験される類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準の結合親和性と比較して計算する。
【0298】
本発明の選択されたインスリン類似体のIR(Aアイソフォーム)、およびIGF-1R結合データを、上記の表1に示す。
【0299】
実施例9
ラット脂肪細胞における脂質生成
本発明のインスリン類似体のインビトロ効力の尺度として、脂肪生成を使用することができる。
【0300】
初代ラット脂肪細胞を精巣上体脂肪パッドから単離し、例えば、0.1%の脂肪を含まないHSAおよび標準(ヒトインスリン、HI)または本発明のインスリンのいずれかを含有する緩衝液中3H-グルコースとインキュベートする。標識グルコースを用量依存的方法で抽出可能な脂質に変換し、完全用量反応曲線を得る。結果を、標準(HI)と比較した本発明のインスリンの95%信頼限界での相対的効力(%)として表す。
【0301】
データを上記の表1に示す。
【0302】
実施例10
インスリン組成物の調製
本発明のインスリン組成物を水溶液として調製することができる。水溶液を、例えば、塩化ナトリウムおよび/またはグリセロールを用いて等張性にする。さらに、水性培地は、緩衝液および保存剤を含有してもよい。調製物のpH値を所望の値に調整し、これは、当該インスリン類似体の等電点(pI)に応じて、約3~約8.5、約3~約5、または約6.5、または約7.4、または約7.5であり得る。
【0303】
亜鉛を含まないインスリン組成物の調製
亜鉛を含まないインスリン類似体を水溶液中に溶解し、最終組成物中、0.1mM~10mMのインスリン類似体、16mMのm-クレゾール、16mMのフェノール、ならびに適切な量のニコチンアミドおよびグリセロールを含有し、pHを、1N 塩酸/1N NaOHを使用して所望の値(室温で測定される、7.0~8.0)に調整した。水を最終体積に添加し、溶液を、0.2μmのフィルターを通して滅菌濾過した。組成物を、バイアル(クリンプキャップを使用して密封した2mLのバイアル、クリンプキャップを使用して密封したペンフィル、またはネジ蓋付きHPLCバイアル)に充填した。
【0304】
【0305】
実施例11
小角X線散乱(SAXS)によって測定されるインスリン組成物の自己会合
SAXSデータを使用して、異なる条件下での本発明のインスリン類似体の自己会合状態を推定した。
【0306】
各実験の散乱曲線を平均回転半径(Rg)および最大寸法(Dmax)によって表した。
【0307】
さらに、散乱曲線中の単量体、二量体、およびより大きい種の相対量を、SAXS散乱プロファイルが多成分混合物中の全ての個々の成分からの強度寄与を有するという事実を使用して推定した。各成分からの強度(形状因子)を使用することにより、混合物中の各成分の体積分率寄与を推定することができる。非負または制約なし最小二乗のアルゴリズムを使用する線形方程式のシステムを使用して、実験的散乱曲線と計算された散乱曲線との間の相違を最小限に抑える。形状因子を、単量体、二量体、六量体等の結晶構造から計算する。体積分率をパーセンテージ(%)で表す。
【0308】
本発明の誘導体および先行技術の誘導体から得た結果を以下の表3に示す。
【0309】
【0310】
結論として、SAXS結果により、本発明のインスリン類似体は、比較化合物よりも自己会合性が低い。この差は、本発明のインスリン類似体のより高い濃度でより顕著である。したがって、本発明のインスリン類似体が、特に高濃度の組成物を皮下注射した後に、より迅速に吸収されることが予想される。
【0311】
実施例12
インスリン組成物についての物理的安定性分析
実施例10に記載の本発明のインスリン類似体の組成物(1mL)を2mLのバイアルに移し、クリンプキャップを使用して密封した。バイアルを横にした状態で、30℃でインキュベートした。2日毎に、バイアルをロボットアームで取り出し、立っている状態のバイアルの写真を10000luxの背景光で撮影した。結果として得られた画像を、画素解析アルゴリズムを使用して粒子の存在について分析した。粒子を検出した最初の日を以下の表に示す。
【0312】
【0313】
結論として、本発明のインスリン類似体は、特に高いインスリン濃度で、臨床的に関連する亜鉛を含まない組成物中でより高い物理的安定性を有する。
【0314】
実施例13
インスリン組成物についての化学的安定性分析
HMWP含有量
高分子量タンパク質(HMWP)を、50%(v/v)イソプロパノール、600mM NaCl、20mM NaH2PO4を含有する溶離液の0.5mL/分の流量、および215nmでのUV検出を備えたWaters Insulin HMWPカラム(125Å、10μm、WAT 201549、7.8×300mm)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより、インスリンの単量体形態から分離した。
【0315】
典型的な注入体積は、600μMのインスリン組成物の5μLであった。
【0316】
結果を上記の表4に示す。
【0317】
実施例14
LYDブタにおける皮下PK/PDプロファイル
本発明のインスリン類似体を、本プロトコルに従って、例えば、臨床組成物(FIASP(登録商標))中のインスリンアスパルトと比較して、または先行技術の類似のインスリン類似体と比較して、ブタへの皮下投与によって試験することができる。本類似体を、薬物動態および/または薬力学パラメータについて試験することができる。
【0318】
使用する一般的な方法
永久静脈カテーテル留置のための麻酔中、ブタを、Esaote超音波スキャナモデル「MyLabFive」およびリニアプローブタイプ「LA435 6-18MHz」を用いて超音波で検査する。
【0319】
右側および左側の耳と肩甲骨との間の中頸部(下層に筋肉がなく、皮下注射に好適な2×2cmの面積)を特定し、刺青でマークする。
【0320】
給餌スケジュール
実験前に、ブタを絶食(朝食なし)させる。
【0321】
全実験中、ブタを通常の囲いの中に置き、麻酔しない。5時間時点の血液試料が収集されるまでブタを絶食させるが、水を自由に摂取させる。5時間時点の血液試料を収集した後、ブタに食物とリンゴを給餌する。
【0322】
皮下投与
ペンフィルを、5mmの深さの針レデューサー(needle reducer)を使用して、Novofine 30G 8mm針とともにNovoPen Echo(登録商標)に装着する。各ブタに、600nmol/mLのインスリン類似体を含有する10U=60マイクロリットルの組成物を投与する。
【0323】
ブタの頸部の右側または左側(カテーテルの反対側)の皮下組織に横方向に投与し、針を注射後最低10秒間にわたって皮下組織中に保持して、化合物の沈着を確実にする。
【0324】
低血糖症の治療
皮下投与後、低血糖症を予防するためにグルコース溶液を静脈注射する準備が整っている必要がある、すなわち、4~5本のシリンジ(20mL)に滅菌20%グルコースを充填し、すぐに使える状態にしておく。低血糖症の診断は、臨床症状および血糖値測定器(Glucocard X-meter)での血糖測定に基づく。
【0325】
治療は、50~100mLの20%グルコース(10~20gグルコース)の緩徐な静脈注射からなる。グルコースを、効果が確認されるまで5~10分間にわたって分けて投与する。
【0326】
血液試料採取
10IU/mLのヘパリンの添加なしの滅菌0.9%NaClを用いた実験の前に、頸静脈カテーテルの開存性を確認する。
【0327】
投与前および投与後に、血液試料を、家畜小屋内で、
投与前(-15、-5)、3、6、9、12、15、20、30、40、50、60、80、100、120、150、180、240、300分時点で、中心静脈カテーテルから採取する。
【0328】
試料をフロースイッチで採取する。4~5mLの廃血液を取り除き、廃棄した後に試料を採取する。
【0329】
グルコースおよびインスリン分析のために、0.8mLの血液試料をEDTAでコーティングした管内に収集する。
【0330】
各血液試料収集後、カテーテルに、10IU/mLのヘパリンの添加なしの5mLの滅菌0.9%NaClを流す。
【0331】
血液と抗凝固薬(EDTA)との十分な混合を確実にするために管を最低10回穏やかに傾け、1分後に湿氷上に置く。試料採取後1時間以内に管を4℃および3000rpmで10分間遠心分離する。分注まで試料を湿氷上で保管する。
【0332】
凝固のリスク増加を伴うカテーテル内の細菌増殖を避けるために、無菌技法が必要である。
【0333】
実験後のカテーテルの閉鎖
最後の試料を投与日に採取した後、Pentrexyl(登録商標)10kgあたり1mL(1gのアンピシリンを10mLの0.9%NaCl中に溶解したもの)を有する単回静脈内治療薬を、血液試料採取に使用したカテーテルを介して緩徐に静脈内投与する。この治療後、カテーテルに10mLの0.9%NaClを流す。
【0334】
カテーテルを、カテーテルのロックとして膜を介して注入した0.5mLのTauroLockHep500で密封する。
【0335】
血液試料の分析
血漿グルコース:10μLの血漿を500μLの緩衝液に分注して、BIOSEN自動分析装置で血漿中グルコース濃度を測定する。
【0336】
血漿インスリン:1×50μLの血漿を0.65mLのMicronic(登録商標)管(ELISA/LOCI/SPA設定)に分注して、分析する。
【0337】
血漿を-20℃で凍結保管する。
【0338】
PK計算:無限大AUCおよび部分的AUC、AUC0-5、AUC0-10、AUC0-15、AUC0-20、およびAUC0-30に対する曲線下面積(AUC)を、Phoenix 64(Certara,US)の線形アップ対数アップ計算法を適用した非コンパートメント分析によって計算した。部分的AUCと無限大AUCとの間の比率を、LYDブタにおけるインスリン類似体について類似の静脈注射特性に基づく吸収率の尺度として使用した。
【0339】
図1および
図2は、本発明の類似体が、それらの作用発現がFIASP(登録商標)と比較して速いため、FIASP(登録商標)よりもインスリンポンプにおける使用に適していることを示し、本発明のインスリン類似体の最小グルコースレベルは、FIASP(登録商標)よりも低い。さらに、作用消失は、FIASP(登録商標)と比較して本発明のインスリン類似体の場合により速く、作用消失がより速いことは、インスリンポンプにとって有益である。
【0340】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例証および記載されているが、当業者であれば、多くの修正、置き換え、変更、および等価物を思い付くであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内に収まる全てのかかる修正および変更を包含するよう意図されていると理解されるべきである。
【配列表】