(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-31
(54)【発明の名称】自動車のための、表示装置の映像の視認がステアリングホイール等の障害物によって阻害されない操縦システム
(51)【国際特許分類】
H04N 13/30 20180101AFI20220106BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20220106BHJP
H04N 13/366 20180101ALI20220106BHJP
G02B 30/22 20200101ALI20220106BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H04N13/30
H04N13/302
H04N13/366
G02B30/22
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2020191497
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2020-11-18
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306043688
【氏名又は名称】矢野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆志
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-271732(JP,A)
【文献】特開2000-275577(JP,A)
【文献】特表2015-536608(JP,A)
【文献】特開2015-162901(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107092097(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00
G02B 30/00
G02B 27/01
G09G 5/00
B60R 1/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の操縦者のための情報表示を行う操縦システムであって、
前記操縦システムは、操縦者と表示パネル(2)の間や表示パネル(2)の表面に位置して前記表示パネル(2)の視認を妨げるステアリングホイール(7)や表示パネルの継ぎ目(8)等の障害物(7,8)を有すること、
前記表示パネル(2)は、立体視光学系によって、右目(21)で視認される右目映像(23)と左目(22)で視認される左目映像(24)を表示可能であること、
車体の左右方向の座標軸をX軸、車体の上下方向の座標軸をY軸、車体の前後方向の座標軸をZ軸として、
前記右目映像(23)と前記左目映像(24)の視差方向がX軸方向であること、
前記操縦システムは、前記障害物(7,8)による右目映像の視認できない領域(23e)と左目映像の視認できない領域(24e)が重複しないように、X軸方向に相対的にシフトした前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示することにより、前記障害物(7,8)によって映像が視認できなくなることを防ぐこと、
を特徴とする操縦システム。
【請求項2】
請求項1の操縦システムにおいて、
前記操縦システムは、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siを操縦者の右目と左目の距離Weと等しいかより小さい範囲に設定して、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を生成して表示すること、
前記右目映像(23)は、右目映像のみが存在する右目映像のウィンドウ違反領域(23c)と右目映像と左目映像の双方が存在する右目映像のウィンドウ違反のない領域(23d)からなり、
前記左目映像(24)は、左目映像のみが存在する左目映像のウィンドウ違反領域(24c)と右目映像と左目映像の双方が存在する左目映像のウィンドウ違反のない領域(24d)からなること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項3】
請求項1または2の操縦システムにおいて、
前記操縦システムは、操縦者が視認しながら手動で右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si を変化させる操作を行い、前記障害物(7, 8)による右目映像の視認できない領域(23e)と左目映像の視認できない領域(24e)が重複しないことを確認して操作を終了する映像位置手動調整装置(9)を有すること、
前記操縦システムは、操縦者の操作の終了を検出すると右目映像位置と左目映像位置を決定すること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項4】
請求項1または2の操縦システムにおいて、
前記操縦システムは、右目位置と左目位置を測定するまたは代用値の測定によって推定する目位置測定装置(10,11)を有すること、
前記操縦システムは、前記右目位置と前記左目位置の情報、前記表示パネル(2)と前記障害物(7, 8)の位置と形状の情報に基づき、前記障害物(7, 8)による右目映像の視認できない領域(23e)と左目映像の視認できない領域(24e)が重複しない右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siを算出して右目映像位置と左目映像位置を決定すること、
前記右目映像(23)を前記右目映像位置に、前記左目映像(24)を前記左目映像位置に生成して表示すること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項5】
請求項4の操縦システムにおいて、
前記表示パネル(2)は、レンチキュラー光学系、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系等のストライプ映像を表示する立体視光学系を用いた表示パネルであること、
前記操縦システムは、前記右目位置と前記左目位置の情報、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si の情報、前記立体視光学系の情報、前記表示パネル(2)の表示画素の配置の情報に基づき、前記立体視光学系を介して、前記右目(21)で前記右目映像(23)、前記左目(22)で前記左目映像(24)が正しく視認されるように、前記右目映像(23)と前記左目映像(24)をストライプ状に分解して右目ストライプ映像(23a)と左目ストライプ映像(24a)に再構成してして表示すること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項6】
請求項4の操縦システムにおいて、
前記表示パネル(2)は、同一の平面上にない一つまたは複数の表示パネルであること、
前記操縦システムは、前記右目位置と前記左目位置の情報、一つまたは複数の前記表示パネル(2)の各点の位置情報に基づき、
前記右目映像(23)と前記左目映像(24)による輻輳虚像(26, 27)が、連続した1つの平面または曲面になるように、
前記右目映像(23)と前記左目映像(24)の各点の前記表示パネル(2)の前記右目映像位置と前記左目映像位置を算出すること、
前記右目映像(23)と前記左目映像(24)を前記表示パネル(2)の前記右目映像位置と前記左目映像位置に生成して表示すること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項7】
請求項4の操縦システムにおいて、
前記操縦システムは、前記表示パネル(2)への入射光(30)の角度を測定する入射光測定装置(12)、前記表示パネル(2)の角度を変化させる表示パネル角度制御装置(13)を有すること、
X軸を中心とする車体の上下方向回転角度をX軸回転角度、Y軸を中心とする車体の左右方向回転角度をY軸回転角度として、
前記操縦システムは、前記入射光測定装置(12)を制御して、前記表示パネル(2)への入射光のX軸回転角度と入射光のY軸回転角度を測定し、前記表示パネル(2)からの反射光(31)が操縦者の前記右目(21)と前記左目(22)のいずれにも入射しない前記表示パネルの角度を決定し、前記表示パネルの角度をその角度に変化させること、
を特徴とする操縦システム。
【請求項8】
請求項4の操縦システムにおいて、
前記操縦システムは、前記目位置測定装置(10,11)を制御して、前記右目位置と前記左目位置を測定すること、
前記右目位置と前記左目位置の変化に対して、輻輳虚像の位置が変化しないように、前記右目映像位置と前記左目映像位置を変化させること、
を特徴とする操縦システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車の、操縦に必要な情報を表示する表示装置を含む操縦システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション等の映像表示について説明する。
画像表示装置の取り扱いについて 改訂第 3.0 版(平成16年 8月18日(社)日本自動車工業会)に下記のような規定がある。
「3.2.画像表示部の取付け位置について、画像表示部の取付け位置は、画面を視認しているときに、視野内に前方の交通状況を捕捉できる位置でなければならない。詳細は附則1による。」
これに忠実に対応した例として、Audi社のバーチャルコクピット (ほとんどの2016年モデル、例えばA4に採用) がある。表示モードの切換えにより操縦者がステアリングホイールの開口部を通して視認できる表示パネルに計器盤の情報とナビゲーションの地図情報を表示可能である。しかし、この方式では従来の計器盤の情報と地図情報を表示するのに適した大面積の表示パネルを設けることはできない。
【0003】
電子ミラー (ミラーレス)について説明する。
国際連合欧州経済委員会(UN/ECE)が定める後写鏡に関する規則「Regulation No.46」の改訂を受けて、日本も2016年6月、道路運送車両の保安基準を改正した。これにより、「基準を満たせば、従来の後写鏡を搭載しない、電子ミラーだけのクルマを公道で走らせてもよい」(国土交通省自動車局技術政策課車両安全対策調整官の村井章展氏)ことになった。
後写鏡の後方及び側方の映像を表示する表示装置の取り付け位置は、「画面を視認しているときに、視野内に前方の交通状況を捕捉できる位置」であるとともに、従来の後写鏡の視認との違和感が少ないことが求められる。
【0004】
自動運転について説明する。
日本政府や米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) によって自動化のレベルが定義されている。レベル1からレベル4では操縦者のための操縦システムは必要であり、レベル5でも自動運転モードと手動運転モードの選択が可能な自動車においては操縦者のための操縦システムは必要である。
自動運転システムは安全な操縦に有効な情報を多く有しており、手動運転モードにおいてそれらの情報を表示することが好ましい。また、自動運転モードにおいても人工頭脳が周囲をどのように認識しどのように判断して走行しているかについて操縦者が知ることは好ましい。そのためには大面積の表示パネルを設置する必要がある。
【0005】
本発明が用いる立体視技術について説明する。
本発明は、レンチキュラー光学系方式、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式、液晶シャッター(めがね)方式、偏光フィルター(めがね)方式等の立体視技術を用いることができる。
本発明は、表示パネルと操縦者の間にある障害物による映像の消失を防ぐために、右目映像と左目映像を左右方向にずらして表示するものであり、操縦者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することができる。右目映像と左目映像は同じ映像であり、両目視差は不要であり、下記の三つの特徴を有する。
1)調節と輻輳の不一致は起きるので、パーシバルの快適視域の制限を受けるが、操縦者が輻輳虚像を見るのは短時間なので不快を生じることはない。
2)両目視差はないので、パナムの融合領域(Panum’s fusion area)の制限は受けない。
3)右目映像と左目映像は同じ映像なので、ウィンドウ違反の制限を受けない。
ウィンドウ違反について説明する。両眼による立体視は両眼視差と両眼輻輳を用いる。両眼視差は対象の形状の変形であり、右目映像と左目映像で形状が変化している。輻輳は両眼と対象のなす角度であり、右目映像と左目映像は左右方向に相対的にシフトして、表示パネルからはみ出して右目映像と左目映像の一方が無い状態が生じ、これをウィンドウ違反と言う。
ウィンドウ違反については、「ウィンドウ違反(Window violation)左右どちらかの目でしか見えないモノは、奥行きが把握できないだけでなく、チラツキを起こしたりする。これは右目左目どちらかの像で、画面からはみ出している物があると起こる。表示画面の手前の(飛び出して見える)物ほど、画面の端でこの現象を起こしやすい。(遠藤雅伸公式blog https://ameblo.jp/evezoo/entry-10901438221.html)」等で説明されている。
【0006】
本発明が用いる立体視技術について説明する。
本発明は、レンチキュラー光学系方式、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式、液晶シャッター (めがね) 方式、偏光フィルター (めがね) 方式等の立体視技術を用いることができる。
本発明は、表示パネルと操縦者の間にある障害物による映像の消失を防ぐために、右目映像と左目映像を左右方向にずらして表示するものであり、操縦者は表示パネル面から離れた位置に生成される輻輳虚像を視認することができる。右目映像と左目映像は同じ映像であり、両目視差は不要であり、下記の三つの特徴を有する。
1) 調節と輻輳の不一致は起きるので、パーシバルの快適視域の制限を受けるが、操縦者が輻輳虚像を見るのは短時間なので不快を生じることはない。
2) 両目視差はないので、パナムの融合領域(Panum’s fusion area)の制限は受けない。
3) 右目映像と左目映像は同じ映像なので、ウィンドウ違反の制限を受けない。
【0007】
特許文献1の技術が解決しようとする課題は「要約」によると、「観察者にとって立体擬似画像を認識し易くする。」である。
【0008】
特許文献1の技術が解決しようとする課題は段落0 0 0 6によると、「ヘッドアップディスプレイでは、運動時の視点移動をできるだけ少なくするためにドライバーから見て遠くに映像を表示したい」である。
【0009】
特許文献1の技術の解決手段は特許文献1の記述をまちめると下記の三つのレベルの定義で説明される。
第1の定義は、「擬似画像がディスプレイ面より遠方に認識されるように表示する」である。
第2の定義は、「擬似画像の輻輳角を小さく設定する」である。
第3の定義は、「左目用画像と右目用画像をディスプレイの異なる位置に表示する」である。
【0010】
特許文献1の「要約」において、解決手段の三つの定義は下記のように示されている。
第1の定義は、「該擬似画像がディスプレイ面より遠方に認識されるように表示する」と説明されている。
第2の定義は、「1つの立体擬似画像を表示するディスプレイ装置において、該擬似画像の輻輳角を小さく設定する」と説明されている。
第3の定義は、「ディスプレイ上に表示位置を異ならせて、左眼に入る左眼用画像と右眼に入る右眼用画像とを表示する」と説明されている。
【0011】
特許文献1の「発明の開示」において、解決手段の三つの定義は下記のように示されている。
第1の定義は、段落0 0 0 7に、「左眼に入る左眼用画像と右眼に入る右眼用画像とを表示し、両画像を合わせて1 つの擬似画像を表示するディスプレイ装置であって、前記擬似画像が空に認識されるように表示する」と説明されている。
第2の定義は、段落0008に、「ヘッドアップディスプレイでは、疑似画像が認識される位置のある点をA’、観測者の左目と右目の中心をそれぞれB、C、それらがなす角度を輻輳角BA’C、実際のディスプレイ上の点Aについての輻輳角BACとした場合に、輻輳角BA’Cが輻輳角BACよりも小さいことが好ましい」と説明されている。
第3の定義は、段落0009に、「前記左目用画像と前記右目用画像はおおよそ同じ画像であり、実際のディスプレイに表示される位置が異なることが好ましい。」と説明されている。
【0012】
特許文献1の「特許請求の範囲」において、解決手段の三つの定義は下記のように示されている。
第1の定義は、請求項1に、「擬似画像が空に認識されるように表示することを特徴とするディスプレイ装置」と説明されている。
第2の定義は、請求項2に、「疑似画像が認識される位置の点をA ’ 、観測者の左右の眼の中心をそれぞれB 、C、実際のディスプレイ上の点をAとして、 輻輳角B A’ C を輻輳角B A C よりも小さいことを特徴とするディスプレイ装置」と説明されている。
第3の定義は、請求項3に、「前記左眼用画像と前記右眼用画像はおおよそ同じ画像であり、実際のディスプレイに表示される位置が異なることを特徴とするディスプレイ装置」と説明されている。
請求項2は請求項1の従属項であり、請求項3は請求項1または請求項2の従属項であるので、第1の定義が最も上位概念で、第2の定義、さらに第3の定義がより具体的な下位概念であることが分かる。
【0013】
解決手段の三つの定義を実現する具体的な技術で説明する。
第1の定義を実現する技術には、立体視技術方式と反射鏡を用いる方式がある。
立体視技術方式は、両眼視差、輻輳(眼球の角度)、焦点調整のいずれかを変化させることにより、擬似画像がディスプレイ面より遠方に認識されるように表示することができる。
反射鏡を用いる方式は、虚像を反射鏡の後方の位置に生成する。焦点距離と輻輳角は変化せず、反射光学系によりコンパクトな装置で長い焦点距離と小さな輻輳角が可能である。
第2の定義を実現する技術には、立体視技術方式と凹面鏡を用いる方式がある。
立体視技術方式は、輻輳角のみを変化させて焦点距離は変化させない。
凹面鏡を用いる方式は、虚像を凹面鏡の後方の遠い位置に生成する。焦点距離を長くし輻輳角を小さくすることが可能である。
第3の定義を実現する技術は、立体視技術方式である。右目映像の位置と左目映像の位置を左右方向にずらして表示することにより輻輳角を小さくすることが可能である。焦点距離は変化しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、自動車の操縦システムの表示パネルと操縦者の間にあるステアリングホイール等の障害物によって表示パネルの映像の視認が阻害されることのない操縦システムを実現することである。
【0016】
特許文献1と本発明の解決しようとする課題の差異について説明する。
特許文献1の解決しようとする課題は、「視点移動をできるだけ少なくするためにドライバーから見て遠くに映像を表示したい」であって、本発明の解決しようとする課題である自動車の操縦システムの表示パネルと操縦者の間にあるステアリングホイール等の障害物によって映像の視認が阻害されることのない操縦システムは考慮されていない。
すなわち、特許文献1と本発明は解決しようとする課題が異なる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の解決手段は、
第1に、表示パネル、映像生成装置、表示パネルと操縦者の間に位置して映像の視認を阻害するステアリングホイール等の障害物からなる操縦システムであること。
第2に、表示パネルは、右目映像を右目で左目映像を左目で視認できるように表示することができる立体視光学系の表示パネルであること。
第3に、映像生成装置は、障害物による右目映像の視認できない領域と左目映像の視認できない領域が重複しないしないように相対的にシフトした右目映像と左目映像を生成して表示することである。
【0018】
特許文献1と本発明の課題を解決するための手段の二つの差異について説明する。
第1の差異は、特許文献1の手段はディスプレイ装置であるのに対して、本発明の手段は、「操縦システム」であり、表示装置と表示装置の表示パネルと操縦者の間に位置するステアリングホイール等の操作手段を有する。
第2の差異は、特許文献1の解決手段の三つの定義の第1の定義と第2の定義である。
一番の上位概念の第1の定義は「擬似画像がディスプレイ面より遠方に認識されるように表示する」であり、二番の上位概念の第2の定義のは「擬似画像の輻輳角を小さく設定する」である。
それに対して、本発明の解決手段の上位概念は、「障害物による右目映像の視認できない領域と左目映像の視認できない領域を重複させない」である。
それに対して、特許文献1の解決手段の三つの定義の下位概念の第3の定義は、「左目用画像と右目用画像をディスプレイの異なる位置に表示する」であり、本発明の解決手段の下位概念は、「相対的にシフトした右目映像と前記左目映像を生成して表示する」である。従がって、本発明の解決手段の下位概念は、特許文献1の解決手段の下位概念の第3の定義と同様の概念である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の効果は、自動車の操縦システムの表示パネルと操縦者の間にあるステアリングホイール等の障害物によって映像の視認が阻害されることのない操縦システムを実現したことである。(Model41)
第2の効果は、複数の表示パネルを継ぎ合せて左右方向に長い大面積の表示装置を形成した場合でも、表示パネルの継目によって映像の視認が妨げられることのない操縦システムを実現したことである。(Model41)
さらに、第3の効果は、積極的にウィンドウ違反を行い、より多くの情報の表示を可能にしたことである。(Model 41)
第4の効果は、右目位置と左目位置の測定により右目映像と左目映像の左右方向の相対的シフト量の最適化を実現したことである。(Model 411からModel414)
第5の効果は、右目位置と左目位置の測定により右目映像と左目映像が正しく視認されることを可能にしたことである。(Model 41_1)
第6の効果は、右目位置と左目位置の測定により同一平面にない複数の表示パネルによる表示を可能にしたことである。(Model 41_2)
第7の効果は、右目位置と左目位置の測定と入射光の方向の測定により反射光の目への入射の防止を可能にしたことである。(Model 41_3)
第8の効果は、右目位置と左目位置の測定により右目位置と左目位置の変化に対する輻輳虚像の移動の防止を可能にしたことである。(Model 41_4)
さらには、操縦者の正面にて左右方向に長い大面積の表示装置を実現したこと、ナビゲーション、ミラーレス、自動運転等の先進的な自動車のための情報表示が可能な操縦システムを実現したことである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】Model 41操縦システムの原理を説明する図 (1)である。
【
図2】Model 41操縦システムの原理を説明する図 (2)である。
【
図3】Model 41の偏光フィルター方式の構成を説明する図である。
【
図4】Model 41のレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図である。
【
図5】Model 41のモデル一覧を示す図である。
【
図6】Model 41の全てのモデルに対応した操縦システムのシステム構成を説明する図である。
【
図7】Model 41操縦システムの概要外観を説明する図である。
【
図8】Model 41のステアリングホイールによる映像の消失を防ぐ原理を説明する図である。
【
図9】Model 41の表示パネルの継目による映像の消失を防ぐ原理を説明する図である。
【
図10】Model 41のウィンドウ違反(ウィンドウ違反なし)を説明する図である。
【
図11】Model 41 のウィンドウ違反(積極的ウィンドウ違反)を説明する図である。
【
図12】Model 411の制御を説明する図である。
【
図13】Model 412の制御を説明する図である。
【
図14】Model 413の制御を説明する図である。
【
図15】Model 414の第3ステップ(シフトの算出)の制御を説明する図である。
【
図16】Model 41_1の第4ステップ(ストライプ映像の生成)の制御を説明する図である。
【
図17】Model 41_2の原理(同じ平面の複数の表示パネル)を説明する図である。
【
図18】Model 41_2の原理(同じ平面でない複数の表示パネル)を説明する図である。
【
図19】Model 41_2の第4ステップ(映像の生成)の制御を説明する図である。
【
図20】Model 41_3の原理を説明する図である。
【
図21】Model 41_3の制御を説明する図である。
【
図22】Model 41_4の原理 (XZ平面) を説明する図である。
【
図23】Model 41_4の原理 (YZ平面) を説明する図である。
【
図24】Model 41_4の制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
Model 41は、立体視光学系を用い、右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しないように表示パネル2上で右目映像23と左目映像24を相対的にシフトして表示することにより、映像23,24がステアリングホイール7や表示パネルの継ぎ目8等の障害物7, 8のために視認できなくなるのを防ぐことが可能な操縦システムである。
図1と
図2は本発明の操縦システムModel 41の原理を説明する図である。
車体の左右方向の座標軸をX軸、車体の上下方向の座標軸をY軸、車体の前後方向の座標軸をZ軸とし、操縦者の目のZ軸方向の位置をZe、右目のZ軸方向の位置をZeR、左目のZ軸方向の位置をZeL、障害物のZ軸方向の仮想位置をZo、表示パネルのZ軸方向の位置をZpとする。
右目と左目のX軸方向の距離をWe、操縦者と表示パネル2の間に位置して表示パネル2の映像23, 24の視認を妨げる障害物のX軸方向の仮想長さをWo、障害物7,8による表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さをSoとし、Wo はWe より小さいものとする。
図1は右目映像23と左目映像24のX軸方向の相対的シフトのない状態を示している。
障害物7, 8 による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複する部分は映像23, 24が視認されず、その長さは表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さSoと等しい。
図2aは右目映像23と左目映像24のX軸方向の相対的シフトのある状態を示している。
右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量をSi とすると、右目映像23は表示パネル2に対してSi/2 右にシフトし、左目映像24は表示パネル2に対してSi/2左にシフトし、右目映像の無映像領域23b、左目映像の無映像領域24b、表示パネル2からはみ出した右目映像の消失した領域23f、左目映像の消失した領域24f の長さはSi/2に等しい。
図2bは仮想的に右目映像23と左目映像24を一致させた状態を示している。
Si>So であれば右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eは重複しない。
Model 41の右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
XeR と XeL は、操縦者の頭の位置はステアリングホイール7の中心線上にあるので、表示パネル2に対して固定として省略することができる。
YeR とYeL は、立体視光学系を用いる方式においては右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si に影響しないので省略することができる。ZeR とZeLはSi に影響するので必要である。
従がって、右目位置ZeR、左目位置ZeL が必要であり、Ze = ZeR = ZeL である。
【0022】
立体視光学系としては液晶シャツター(眼鏡)方式、偏光フィルター(眼鏡)方式方式、レンチキュラー (イメージスプリッター) 光学系方式がある。
液晶シャツター(眼鏡)方式は、眼鏡の左右の液晶シャツターに同期して右目映像23と左目映像24を交互に表示パネル2に表示する方式である。右目映像23は右目21によってのみ視認され、左目映像24は左目22によってのみ視認される。
図3は偏光フィルター(眼鏡)方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。眼鏡は右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15を有し、表示パネル2の表面にはストライプ状の右目偏光フィルター14と左目偏光フィルター15が交互に配置される。右目映像23と左目映像24をストライプ状に分割し、右目映像23を右目偏光フィルター14配置部に、左目映像24を左目偏光フィルター15配置部に表示する。右目映像23は表示パネル2の右目偏光フィルター14と眼鏡の右目偏光フィルター14を通過してと右目21によってのみ視認され、左目映像24,24cは表示パネル2の左目偏光フィルター15と眼鏡の左目偏光フィルター15を通過して左目22によってのみ視認される。
【0023】
図4はレンチキュラー光学系方式の構成を説明する図(XZ平面の平面図)である。表示パネル2の表面にはレンチキュラープレート16が貼られている。
右目映像23と左目映像24を右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aに分割し、レンチキュラープレート16を介してそれぞれ右目21と左目22で視認される位置に生成し、レンチキュラープレート16によって、右目ストライプ映像23aは右目21によってのみ視認され、左目ストライプ映像24aは左目22によってのみ視認される。
表示パネル2のX軸方向の中心位置では
図4aに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対して左右対称位置に生成する。また、表示パネル2のX軸方向の中心から離れた位置では
図4bに示すように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aをレンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズに対してオフセットした位置に生成する。パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式でも同様に実現できる。
【0024】
図5はModel 41のモデル一覧を示す図である。
Model 411からModel 414の各モデルは、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si とX軸方向の右目映像位置XiR とX軸方向の左目映像位置XiLの決定に関するモデルである。
Model 411は、操縦者が映像位置手動調整装置9で右目映像位置XiR と左目映像位置XiL を変化させて、視認で右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置XiR と左目映像位置XiL を決定するモデルである。
Model 412からModel 414は右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を測定して右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置XiR と左目映像位置XiL を決定するモデルである。
Model 412は、機械式目位置測定装置11で右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を測定するモデルである。
Model 413は、光学式目位置測定装置10で右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を測定するモデルである。
Model 414は、算出した最小の右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Sim より大きい右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si と右目映像位置XiRと左目映像位置XiL を決定することを繰り返し、更新することを特徴とするモデルである。
Model 41_1からModel 41_4はModel 412からModel 414の各モデルの機能追加モデルである。
Model 41_1は、レンチキュラー光学系方式、パララックスバリア(イメージスプリッター)光学系方式等の立体視光学系のために、右目位置(XeR, YeR,ZeR)から正しく視認される右目映像23と左目位置(XeL, YeL, ZeL)から正しく視認される左目映像24を生成するモデルである。
Model 41_2は、同一平面でない複数の表示パネル2を用いる多面マルチパネルのモデルである。
Model 41_3は、表示パネルへの入射光30の方向を測定し、表示パネル2の角度を制御して表示パネルからの反射光31の右目21と左目22への入射を防止するモデルである。
Model 41_4は、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の変化に対して輻輳虚像26, 27が移動しないように右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を変化させるモデルである。
【0025】
図6はModel 41の全てのモデルに対応した操縦システムのシステム構成を説明する図である。
制御装置6には、記憶装置3、演算装置4、画像生成装置5、映像位置手動調整装置9、光学式目位置測定装置10、機械式目位置測定装置11、入射光測定装置12、表示パネル角度制御装置13が接続されている。
表示装置1には、画像生成装置5に接続された表示パネル2、映像位置手動調整装置9に接続された映像位置操作ダイアル9a、光学式目位置測定装置10に接続された目位置センサー(右)10aと目位置センサー(左)10b、入射光測定装置12に接続された入射光センサー(右)12aと入射光センサー(左)12b、表示パネル角度制御装置13に接続された表示パネル角度アクチェータ13aが設けられている。
機械式目位置測定装置11には、操縦者シート11aと操縦者ヘッドレスト11bが接続される。
【実施例1】
【0026】
実施例1はModel 41の障害物がステアリングホイール7および複数の表示パネル2による横長の表示装置の表示パネルの継目8である操縦システムの例である。
図7は操縦システムの概要外観を説明する図である。
図7aは障害物がステアリングホイール7である操縦システムの概要外観である。表示装置1には、表示パネル2、目位置センサー(右)10aと目位置センサー(左)10b、入射光センサー(右)12aと入射光センサー(左)12bが設けられ、表示パネル2の前面にステアリングホイール7が位置する。
表示パネル2のX軸方向の長さはステアリングホイール7の直径よりも長い。
図7bは障害物がさらに表示パネルの継目8である操縦システムの概要外観である。表示装置1は複数の表示パネル2を継ぎ合せたものであり、表示パネルの継目8が存在する。
【0027】
図8は障害物であるステアリングホイール7による映像の消失を防ぐ原理を説明する図である。
図8aは操縦者の右目21、左目22、ステアリングホイール7、表示パネル2の位置関係を示す立体図である。
図8bは操縦者の右目21、左目22、ステアリングホイール7、表示パネル2の位置関係を示すXZ平面の平面図である。
車体の左右方向の座標軸をX軸、車体の上下方向の座標軸をY軸、車体の前後方向の座標軸をZ軸とする。
表示パネル2の視認を妨げるのは、ステアリングホイール7のおおよそ0°から45°の部分とおおよそ135°から180°の部分である。ステアリングホイール7はZ軸方向の長さを有する立体物であるが、簡略化してZ軸方向の長さがないものとしたX軸方向の仮想長さをWo、そのZ軸方向の仮想位置をZoとする。ステアリングホイール7の障害になる部分は二つあるがそれらは十分に離れているのでお互いに影響することはない。
操縦者の右目位置を(XeR, YeR, ZeR)、左目位置を(XeL, YeL, ZeL)、右目と左目のX軸方向の距離をWe、表示パネルのZ軸方向の位置をZpとし、ステアリングホイール7による表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さをSo、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量をSi とする。
Wo がWe より小さい場合、Si>So であれば、ステアリングホイール7による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認することができる。
Ze = ZeR = ZeL とし、We = 6.25cm、Wo = 2,5cm、Ze-Zp = 45cm、Ze-Zo = 35cm とすると
(We-So) / (Ze-Zp) = (We-Wo) / (Ze-Zo)
So = We - (Ze-Zp)(We-Wo) / (Ze-Zo)
= 6.25 - 45×(6.25 - 2.5) /35 = 1.43
Si>So であるから
Si>1.43cm となる。
【0028】
図9は障害物である表示パネルの継目8による映像の消失を防ぐ原理を説明する図である。
図9aは操縦者の右目21、左目22、表示パネル2、表示パネルの継目8の位置関係を示す立体図である。
図9bは操縦者の右目21、左目22、表示パネル2、表示パネルの継目8の位置関係を示すXZ平面の平面図である。
右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフトSi を表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さSo すなわち障害物(表示パネルの継目)のX軸方向の長さWo より大きくすると、
表示パネルの継目8による右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認することができる。全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認することができる。
先の式は、So = Wo、Zp = Zo であるからWo = 0.2cm とすると
So = 0.2
Si>So であるから
Si>0.2cm となる。
【実施例2】
【0029】
実施例2はModel41の積極的にウィンドウ違反を行うモデルであり、ウィンドウ違反を行うことにより、ウィンドウ違反を行わない場合に比べてより大きな映像23,24の表示が可能であり、より大きな輻輳虚像26,27の視認が可能である。本発明のように、立体視光学系を利用しても立体表示しない方式ではウィンドウ違反は問題とならない。
図10、
図11はウィンドウ違反の原理と効果について説明する図である。
右目映像23は右目映像の無映像領域23bまたは右目映像のウィンドウ違反領域23c、右目映像のウィンドウ違反のない領域23d、右目映像の消失した領域23fからなり、右目映像の消失した領域23fは右目映像23の右方向へのシフトSi/2によって表示パネル2からはみ出して映像が消失した領域である。左目映像24についても同様に説明できる。
図10に示すウィンドウ違反のない場合の右目映像の無映像領域23bは、右目映像23の右方向へのシフトSi/2による無映像領域
(段落0021と図2で説明した無映像領域)と右目映像23の左目映像の消失した領域24fに対応して削除した無映像領域
Si/2の和の領域であり、その長さはSiである。
左目映像の無映像領域24bについても同様に説明できる。
図11に示す積極的ウィンドウ違反の場合の右目映像のウィンドウ違反領域23cは、右目映像23の右方向へのシフトSi/2によって生成されたウィンドウ違反領域と右目映像23の左目映像の消失した領域24fに対応して生成されたウィンドウ違反領域
Si/2の和の領域であり、その長さはSiである。
左目映像のウィンドウ違反領域24cについても同様に説明できる。
映像23,24は、右目映像のみが存在する右目映像のウィンドウ違反領域23c、左目映像のみが存在する左目映像のウィンドウ違反領域24c、右目映像と左目映像の双方が存在する映像のウィンドウ違反のない領域23d,24d、映像が表示パネル2からはみ出した右目映像の消失した領域23f、左目映像の消失した領域24fからなる。
輻輳虚像26,27は、右目輻輳虚像のウィンドウ違反領域26c、左目輻輳虚像のウィンドウ違反領域27c、右目輻輳虚像と左目輻輳虚像が存在する輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域26d,27dからなる。
【0030】
Model 41のウィンドウ違反の効果について
図10、
図11で説明する。
輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb が輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)Wva に比べて如何に大きいかを調べる。
目のZ軸方向の位置Ze、右目のZ軸方向の位置ZeR、左目のZ軸方向の位置ZeL、表示パネルのZ軸方向の位置Zp、輻輳虚像のZ軸方向の位置Zv、右目と左目のX軸方向の距離をWe、表示パネルのX軸方向の長さをWpx、右目映像の右方向へのシフト量と左目映像の左方向へのシフト量をSi/2、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量をSi とする。
図10に示すウィンドウ違反のない場合の輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)Wva は、右目映像の無映像領域23bと左目映像の無映像領域24bの長さはSiであり、右目映像のウィンドウ違反のない領域23dと左目映像のウィンドウ違反のない領域24dの長さはWpx-Si であるから、
Wva = (Wpx-Si)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) である。
図11に示す積極的ウィンドウ違反の場合の輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb は、右目映像のウィンドウ違反領域23cと左目映像のウィンドウ違反領域24cの長さはSiであり、右目映像のウィンドウ違反のない領域23dと右目映像のウィンドウ違反のない領域24dの長さはWpx-Si であから、
Wvb = (Wpx-Si)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) + Si×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) + Si×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= (Wpx+Si)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp) である。
【0031】
以上から、輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb は輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)Wva に比べて、
Wvb-Wva = (Wpx+Si)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)-(Wpx-Si)×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= 2Si ×(Ze-Zv)/(Ze-Zp)
= 2Si ×We/(We-Si) だけ大きい。
Si ≦ We の範囲でSi が大きくなると、Wvb-Wva はさらに大きくなり、積極的にウィンドウ違反の効果は大きいことが分かる。
【実施例3】
【0032】
実施例3はModel 411である。Model 411は、手動の調整手段で右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しないように、右目映像23と左目映像24を左右方向に相対的シフトして表示するモデルである。
図6を用いてModel 411のシステム構成について説明する。操縦システムは、表示装置1、記憶装置3、映像生成装置5、表示制御装置6、映像位置手動調整装置9を有し、表示装置1は、表示パネル2、映像位置操作ダイアル9aを有する。
映像位置操作ダイアル9aの代わりに、表示パネル2をタッチパネルにしてインジケーターを表示して指で操作する方式や音声認識で操作する方式も可能である。
【0033】
図12はModel 411の制御を説明する図である。
第1ステップ(制御の開始) : 操縦者が映像位置操作ダイアル9aを引き出す操作を行うと映像位置手動調整装置9は制御を開始し、第2ステップに移行する。
第2ステップ(シフトの決定) : 操縦者が右目映像23と左目映像24を視認しながら映像位置操作ダイアル9aを回転する操作を行うと、映像位置手動調整装置9は右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を変化させ、第3ステップに移行する。
第3ステップ(映像の生成) : 表示制御装置6は映像位置手動調整装置9から右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL,ZiL)の情報を読み込み、映像生成装置5を制御して右目映像23を右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)に、左目映像24を左目映像位置(XiL, YiL またはXiL)に生成し、表示装置1を制御して右目映像23と左目映像24を表示パネル2表示し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(制御の繰り返し) : 操縦者が映像位置操作ダイアル9aが引き出されていると第2ステップに移行し、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップを繰り返す。
操縦者が視認により、障害物7, 8があっても、右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認することができると判断して、映像位置操作ダイアル9aを押し込む操作を行うと第5ステップに移行する。
第5ステップ(制御の終了) : 映像位置手動調整装置9は制御を終了する。
Model 411の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 411は、直接右目映像と左目映像のX軸方向の位置(XiR, XiL)の制御を行う。
Y軸方向の位置(YiR, YiL)は、右目映像23と左目映像24が表示パネル2に表示されればよいだけなので省略し、Z軸方向の位置(ZiR, ZiL)は、Z軸が表示パネル2の法線になるように表示パネル2が配置されれば変化しないので省略し、右目映像位置XiR、左目映像位置XiLとすることができる。
【実施例4】
【0034】
実施例4はModel 412である。Model 412は機械的測定手段で代用値を測定して操縦者の右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL,YeL, ZeL)を推定し、障害物があっても右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複せず、全ての元の映像は右目映像23または左目映像24として視認することができる右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を算出する操縦システムである。
図6を用いてModel 412のシステム構成について説明する。操縦システムは、表示装置1、記憶装置3、演算装置4、映像生成装置5、表示制御装置6、機械式目位置測定装置11を有し、機械式目位置測定装置11は、操縦席シート11a、操縦席ヘッドレスト11bに接続されている。
機械式目位置測定装置11は、操縦席シート11aのスライド位置とリクライニング角度、操縦席ヘッドレスト11bの位置と角度、人間の平均的な頭の形状の情報から機械的に右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を推定して測定する。
【0035】
図13はModel 412の制御を説明する図である。Model 412の第1ステップから第5ステップの制御はModel 411の第1ステップから第5ステップの制御とは異なる。
第1ステップ(制御の開始) : 操縦者が操縦席シート11aのスライド位置またはリクライニング角度を変更すると示制御装置6は制御を開始し、第2ステップに移行する。
第2ステップ(目位置の測定) : 表示制御装置6は機械式目位置測定装置11を制御して、操縦席シート11aのスライド位置とリクライニング角度から操縦席ヘッドレスト11bの位置と角度を求める。次に、演算装置4を制御して、操縦者の右目のX軸方向の位置は操縦席ヘッドレスト11bの中心から3.25cm右とし、操縦者の左目のX軸方向の位置は操縦席ヘッドレストの中心から3.25cm左とし、操縦者の右目21と左目22のZ軸方向の位置は操縦席ヘッドレスト11b面より20cm前方とし、それらから操縦者の右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を算出して記憶装置3に記憶し、第3ステップに移行する。
第3ステップ(シフトの算出) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL,YeL, ZeL)の情報、表示パネル2と障害物7, 8の位置と形状の情報に基づき、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si が表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さSoより大きくなる右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を決定して記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(映像の生成) : 表示制御装置6は記憶装置3から右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の情報を読み込み、映像生成装置5を制御して右目映像23と左目映像24を生成し、表示装置1を制御して右目映像23と左目映像24を表示し、第5ステップに移行する。
第5ステップ(制御の終了) : 一定時間操縦席シート11aのスライド位置とリクライニング角度の変更がないと表示制御装置6は制御を終了する。
Model 412の右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
X軸方向の位置(XeR, XeL)は、操縦者の頭の位置は操縦席シート11aと操縦席ヘッドレスト11bの中心線上にあるので、表示パネル2に対して固定として省略することができ、Y軸方向の位置(YeR,YeL)は、輻輳を利用した立体視光学系を用いるモデルにおいては右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si に影響しないので省略することができる。Z軸方向の位置(ZeR,ZeL)は、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si に影響するので必要であり、操縦席シート11aのスライド位置と角度から求めることができる。従がって、右目位置ZeR、左目位置ZeLとすることができる。
Model 412の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 412は、Model 411と同様に、右目映像と左目映像のX軸方向の位置(XiR, XiL)の制御を行う。
Y軸方向の位置(YiR, YiL)は、右目映像23と左目映像24が表示パネル2に表示されればよいだけなので省略し、Z軸方向の位置(ZiR, ZiL)は、Z軸が表示パネル2の法線になるように表示パネル2が配置されれば変化しないので省略し、目映像位置XiR、左目映像位置XiLとすることができる。
【実施例5】
【0036】
実施例5はModel 413である。Model 413は光学的測定手段で、より高い精度で操縦者の右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL,YeL, ZeL)を測定し、障害物7, 8があっても右目映像の視認できない領域23eと左目映像の視認できない領域24eが重複しない右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を算出する操縦システムである。Model 412の機械的測定手段よりも右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の精度を高くすることができる。
図6を用いてModel 413のシステム構成について説明する。操縦システムは、表示装置1、記憶装置3、演算装置4、映像生成装置5、表示制御装置6、光学式目位置測定装置10を有し、表示装置1は表示パネル2、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10bを有している。
【0037】
図14はModel 413の制御を説明する図である。Model 413の第1ステップ、第2ステップ、第5ステップ、第6ステップの制御はModel 412の制御と異なる。
第1ステップ(制御の開始) : 操縦システムが作動すると第2ステップに移行する。
第2ステップ(目位置の測定) : 表示制御装置6は光学式目位置測定装置10を制御して、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10bが撮影した映像を画像処理して操縦者の右目21と左目22を認識し、右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を算出し、記憶装置3に記憶し、第3ステップに移行する。
第3ステップ(シフトの算出) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL,YeL, ZeL)の情報、表示パネル2と障害物7, 8の位置と形状の情報に基づき、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si が表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さSoより大きくなる右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を決定して記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
第4ステップ(映像の生成) : 表示制御装置6は記憶装置3から右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の情報を読み込み、映像生成装置5を制御して右目映像23と左目映像24を生成し、表示装置1を制御して右目映像23と左目映像24を表示し、第5ステップに移行する。
第5ステップ(制御の繰り返し) : 操縦システムが作動していると第2ステップに移行し、第2ステップから第5ステップを繰り返す。操縦システムが停止すると第6ステップに移行する。
第6ステップ(制御の終了) : 表示制御装置6は制御を終了する。
【0038】
操縦システムは、操縦者が図示しない自動車の走行を可能にするスイッチ、操縦システムを作動するスイッチ、目位置測定スイッチをONにすることにより作動し、操縦者がそれらのスイッチをOFFにすることにより停止する。
第2ステップ(目位置の測定)について、測定するタイミングは、操縦者が表示パネルを見ている時間であることが好ましい。それは運転準備時間、運転開始後の一定時間、運転中の任意の時間のいずれでもよい。また、測定は1回でも何度も行うのでも良い。
Model 413の右目の位置(XeR, YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
Model 413は、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR, YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての測定が可能であるが、Model412と同様にX軸方向の位置(XeR, XeL)とY軸方向の位置(YeR, YeL)を省略することができ、右目位置ZeR、左目位置ZeL とすることができる。
Model 413の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 413は、Model 411、Model 412と同様にX軸方向の位置(XiR, XiL)の制御を行うので、右目映像位置XiR、左目映像位置XiLとすることができる。
【実施例6】
【0039】
実施例6はModel 414である。Model 414はModel 413の右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の変化に対して右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siと右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の変化の頻度を低くしようとするものである。Model 414は高精度の目位置情報が必要なので、Model414の構成は
図6に示すModel 413と同じ測定精度の高い光学的測定手段を用いる。
Model 414のシステム構成は
図6を用いて説明したModel 413のシステム構成と同じである。
【0040】
Model 414 の制御はModel 413の第3ステップ(シフトの算出)を改良したものであり、第1ステップ、第2ステップ、第4ステップから第6ステップの制御はModel413と共通である。
図15はModel 414 の第3ステップの制御を説明する図である。
第3ステップ(シフトの算出) : 表示制御装置6は記憶装置3から、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の情報、表示パネル2と障害物7,8の位置と形状の情報、前回の第3ステップ(シフトの算出)で記憶した右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si、右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)、左目映像位置(XiL,YiL, ZiL)の情報を読み込む。次に、演算装置4を制御して、表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さSo と等しいかより大きい範囲で右目映像と左目映像のX軸方向の最小の相対的シフト量Simを算出する。次に、Sim>Si であれば、Si = Sim と置き換え、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si 、右目映像位置(XiR, YiR,ZiR)、左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を更新し記憶装置3に記憶し、第4ステップに移行する。
【0041】
Model 414の目的について説明する。
第1の目的は、自動車の走行準備時間や走行時間に右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の変更の頻度を低くすることである。右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の変動は、輻輳虚像のZ軸方向の位置(Zv)の変動を生じ、操縦者に不快感を与えるので変更の頻度が低いことは好ましい。
第2の目的は、Si を必要以上に大きくしないことである。輻輳虚像26, 27と表示パネル2のZ軸方向の距離が大きいと、走行中の操縦者の右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XiL, YiL, ZiL)の変動による輻輳虚像のX軸方向の位置Xv と輻輳虚像のY軸方向の位置Yv の変動が大きくなり、操縦者に不快感を与える。
Model 414の測定する右目の位置(XeR, YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
Model 414は、Model 411、Model 412、Model 413と同様にX軸方向の位置(XeR, XeL)とY軸方向の位置(YeR, YeL)を省略することができ、右目位置ZeR、左目位置ZeLとすることができる。
Model 414の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 414は、Model 411、Model 412、Model 413と同様にX軸方向の位置(XiR, XiL)の制御を行うので、右目映像位置XiR、左目映像位置XiLとすることができる。
【実施例7】
【0042】
実施例7はModel 41_1であり、レンチキュラー光学系方式のための正確な映像を生成するモデルである。
Model 41_1はModel 41およびModel 411からModel 414の操縦システムに適用可能であるが、測定精度の高い光学的測定手段を用いるModel413、Model 414と組み合わせてModel 4131、Model 4141として用いることが好ましい。以下、Model 4131、Model 4141について説明する。
図4に示すように、レンチキュラー光学系方式においては、正確な右目映像23と左目映像24を生成するために、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL,YeL, ZeL)の情報、右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の情報、レンチキュラープレート16の情報から、レンチキュラー光学系を介して正確に視認される右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを生成して表示する。
Model 4131とModel 4141のシステム構成は
図6を用いて説明したModel 413、Model 414のシステム構成と同じである。
【0043】
Model 4131、Model 4141の制御はModel 413、Model 414の第4ステップ(映像の生成)の代わりに第4ステップ(ストライプ映像の生成)の制御を行うものであり、第1ステップ、第2ステップ、第4ステップから第6ステップの制御はModel413と共通である。
図16はModel 4131、Model 4141の第4ステップの制御を説明する図である。
第4ステップ(ストライプ映像の生成) : 表示制御装置6は記憶装置3から、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)、右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)の情報を読み込み、予め記憶されたレンチキュラー光学系の情報(レンチキュラープレート16のシリンドリカルレンズの形状や屈折率等の光学的情報と位置情報)、表示パネル2の表示画素の形状情報と位置情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目位置(XeR,YeR, ZeR)から右目映像23が左目位置(XeL, YeL, ZeL)から左目映像24が正確に視認されるように、右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aの形状とその位置を算出し、映像生成装置5を制御して右目映像23と左目映像24をストライプ状に分割した右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aとして再構成し、表示装置1を制御して表示パネル2に表示し、第5ステップに移行する。
Model 4131、Model 4141の右目の位置(XeR, YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
Model 4131、Model 4141は、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR, YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての測定が可能である。
Model 413、Model 414と同様にY軸方向の位置(YeR, YeL)を省略することができるが、レンチキュラー光学系を介して正確に視認される右目ストライプ映像23aと左目ストライプ映像24aを生成するには、X軸方向の位置(XeR,XeL)とZ軸方向の位置(ZeR, ZeL)が必要であり、右目位置(XeR, ZeR)、左目位置(XeR, ZeL) とすることができる。
Model 4131、Model 4141の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 4131、Model 4141は、Model 413、Model 414と同様にX軸方向の位置(XiR, XiL)の制御を行うので、右目映像位置XiR、左目映像位置XiLとすることができる。
【実施例8】
【0044】
実施例8はModel 41_2であり、同一平面にない表示パネルのモデルである。同じ平面でない複数の表示パネル2で構成する方式や円筒面等の平面でない表示パネル2で構成する方式等である。
Model 41の表示パネル2はX軸方向に長いので、右目21、左目22の方向と表示パネル2の法線のなす角度が大きくなり、LCD等の表示パネルでは、映像のコントラストが低下し、レンチキュラー光学系方式等の光学系では右目映像23と左目映像24の分離できなくなる問題がある。
Model 41_2の同じ平面でない複数の表示パネル2で構成する方式や円筒面等の平面でない表示パネル2で構成する方式は表示パネル2の端部において、右目21、左目22の方向と表示パネル2の法線のなす角度を小さくできる。
図17と
図18はModel 41_2の原理と効果を説明する図である。
図17は比較のためにModel 41_2ではない同じ平面の複数の表示パネルで構成する方式(積極的ウィンドウ違反)であり、その構成は
図2で説明したModel41 操縦システムの原理および
図11で説明したModel 41のウィンドウ違反と同じ構成である。
図18はModel 41_2の同じ平面でない複数の表示パネルで構成する方式(積極的ウィンドウ違反)である。
表示パネル2は表示パネル2を折り曲げたものであり表示部の長さは
図17同じであるが、右目21、左目22と表示パネル2の中央部の距離は同じであるが、左右の端部との距離が小さくなっている。また、右目21の方向と表示パネル2の左端部の法線のなす角度、左目22の方向と表示パネル2の右端部の法線のなす角度が小さくなっている。
図18に示すModel 41_2の輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)Wvb2 は
図17に示したWvb より大きく、
図18に示すModel41_2の輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域のX軸方向の長さWvc2 は
図17に示したWvc より大きいことが分かる。Model 41_2はModel41_2でない方式に比べて多くの情報を表示することができる。
図18は、一つの平面に一つの連続した輻輳虚像26, 27を生成する例であるが、Model 41_2は輻輳虚像26, 27を任意の平面や曲面に生成することができる。
Model 41_2はModel 41およびModel 411からModel 414、Model 41_1の操縦システムに適用可能であるが、測定精度の高い光学的測定手段を用いるModel413、Model 414と組み合わせてModel 4132、Model 4142として用いることが好ましい。Model 4132、Model 4142のシステム構成は
図6を用いて説明したModel413、Model 414のシステム構成と同じである。
【0045】
Model 4132、Model 4142の制御はModel 413、Model 414と比べて、第4ステップ(映像の生成)が異なる。
複数の表示パネル2の各点についての表示パネルの位置(Xp, Yp, Zp)の情報すなわち複数の表示パネル2の形状と位置の情報、輻輳虚像26, 27の各点についての輻輳虚像の位置(Xv,Yv, Zv)の情報すなわち輻輳虚像26, 27の形状と位置の情報が必要であり、それらは予め記憶装置3に記憶される。
図19はModel 4132、Model 4142の制御の第4ステップ(映像の生成)を説明する図である。
第4ステップ(映像の生成) : 表示制御装置6は記憶装置3から、右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の情報、複数の表示パネル2の各点についての表示パネルの位置(Xp,Yp, Zp)の情報、輻輳虚像26, 27の各点についての輻輳虚像の位置(Xv, Yv, Zx)の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目の位置(XeR,YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)から輻輳虚像26, 27が連続した1つの平面として視認されるように、複数の表示パネル2について、右目映像23と左目映像24の各点について前記表示パネル2上の右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)を算出し、映像生成装置5を制御して、複数の表示パネル2のそれぞれの右目映像23と左目映像24を右目映像位置(XiR,YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)に生成し、複数の表示パネル2に表示し、第5ステップに移行する。
Model 4132とModel 4142の右目の位置(XeR, YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
Model 4131とModel 4141は、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR, YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての測定が可能である。
Model 4132、Model 4142は、一つの連続した輻輳虚像26, 27が視認されるようにするために、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR,YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての情報が必要である。
Model 4132とModel 4142の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
Model 4132、Model 4142は、一つの連続した輻輳虚像26, 27が視認されるようにするために、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR,YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての情報が必要である。
【実施例9】
【0046】
実施例9はModel 41_3 であり、表示パネル2の反射光が操縦者の目へ入射するのを防止するモデルである。
Model 41で用いる大面積の表示パネル2は、従来の小面積の表示パネル2に比べて外部からの表示パネルへの入射光30の表示パネルからの反射光31が操縦者の目21,22に入射して視認を妨げる確率が高い。
X軸を中心とする車体の上下方向回転角度をX軸回転角度、Y軸を中心とする車体の左右方向回転角度をY軸回転角度として、Model 41_3は表示パネルへの入射光30の角度を測定し、表示パネル2の角度を制御して表示パネルからの反射光31が操縦者の目21,22に入射するのを防止するモデルである。
図6を用いてModel 41_3のシステム構成について説明する。操縦システムは、表示装置1、記憶装置3、演算装置4、映像生成装置5、表示制御装置6、光学式目位置測定装置10、入射光測定装置12、表示パネル角度制御装置13を有し、表示装置1は表示パネル2、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10b、入射光センサー(右)12a、入射光センサー(左)12b、表示パネル角度アクチェータ13aを有している。
入射光センサー(右)12aと入射光センサー(左)12bは画像センサーであり、外部からの表示パネルへの入射光30の方向と照度を測定することができる。入射光センサー(右)12aと入射光センサー(左)12bは外光がピラー等で遮断されることがあってもいずれかで検出できるように十分な間隔を持って表示装置1に設置される。
Model 41_3はModel 41およびModel 411からModel 414の操縦システムに適用可能であるが、正確な右目位置(XeR, YeR,ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)が得られることが好ましく、Model 413、Model 414と組み合わせてModel 4133、Model4143として用いることが好ましい。右目位置と左目位置はX軸回転角度とY軸回転角度で現すことが可能である。
図20はModel 41_3 の原理を説明する図である。
図20aに示すXZ平面において、表示パネルへの入射光30の表示パネからの反射光31が左目22に入射している。Y軸回転方向に回転させた変位した表示パネル2vでは変位した表示パネルからの反射光31vは左目22に入射しない。
図20bに示すYZ平面において、入射光30の表示パネル2からの反射光31が右目21または左目22に入射している。表示パネル2をX軸回転方向に回転させた変位した表示パネル2vでは変位した表示パネルからの反射光31vは右目21と左目22に入射しない。
Model 41のX軸方向に長い表示パネル2はX軸回転方向の制御は容易であるが、Y軸回転方向の制御は困難である。しかし、Model 41_2の同じ平面でない複数の表示パネル2で構成する方式ではそれぞれの表示パネル2のX軸方向の長さは短くなるので、Y軸回転方向の制御は容易である。
【0047】
図21はModel 4133、Model 4143の制御を説明する図である。
Model 4133、Model 4143の第A1ステップから第A7ステップの制御は制御は他のモデルの第1ステップから第6ステップの制御とは異なる制御であるが、第A2ステップの制御はModel413、Model 414の第2ステップの制御で代用することができる。
第A1ステップ(制御の開始) : 操縦システムが作動すると第A2ステップに移行する。
第A2ステップ(目位置の測定) : 表示制御装置6は光学式目位置測定装置10を制御して、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10bが撮影した映像を画像処理して操縦者の右目21と左目22を認識し、右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)を算出し、記憶装置3に記憶し、第A3ステップに移行する。
第A3ステップ(入射光の測定) : 表示制御装置6は入射光測定装置12を制御して、現在の表示パネルへの入射光のX軸回転角度αXとY軸回転角度αYを測定し、記憶装置3に記憶し、第A4ステップに移行する。
第A4ステップ(表示パネル角度の算出) : 表示制御装置6は 記憶装置3から右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の情報、表示パネルへの入射光のX軸回転角度αXとY軸回転角度αYの情報、現在の表示パネルのX軸回転角度θpXとY軸回転角度θpYの情報を読み込み、演算装置4を制御して、表示パネルからの反射光31が操縦者の右目21および左目22に入射しない変位した表示パネルのX軸回転角度θpxとY軸回転角度θpYを算出し、記憶装置3に記憶し、第A5ステップに移行する。
第A5ステップ(表示パネル角度の制御) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、表示パネル角度制御装置13の表示パネル角度アクチェータ13aを制御して、表示パネル2を変位した表示パネルのX軸回転角度θpxとY軸回転角度θpyに変化させ、第A6ステップに移行する。
第A6ステップ(制御の繰り返し) : 操縦システムが作動していると第A2ステップに移行し、第A2ステップから第A6ステップを繰り返す。操縦システムが停止すると第A7ステップに移行する。
第A7ステップ(制御の終了) : 表示制御装置6は制御を終了する。
Model 4133、Model 4143の表示パネルのX軸回転角度θpXとY軸回転角度θpYについて説明する。
表示パネルのX軸回転角度θpXのみを制御する場合は表示パネルへの入射光のX軸回転角度αxのみを測定すればよい。表示パネルのY軸回転角度θpYのみを制御する場合は表示パネルへの入射光のY軸回転角度αyとのみを測定すればよい。
【実施例10】
【0048】
実施例10はModel 41_4であり、操縦者の右目21と左目22の移動により輻輳虚像26, 27が移動するのを防止するモデルである。
右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siiを大きくすると、輻輳虚像26, 27と表示パネル2の距離が大きくなり、走行中に自動車の振動等により操縦者の右目21と左目22がX軸方向またはY軸方向に移動すると、輻輳虚像26,27の位置が右目21と左目22の移動と反対方向に移動し、操縦者は不快感を感じる。これを防止するには右目映像23と左目映像24を右目21と左目22の移動と同じ方向に強制的に移動して輻輳虚像26,27の位置が変化しないようにする。
図22と
図23はModel 41_4 の原理 を説明する図である。
図22はModel 41_4 の原理 (XZ平面)であり、
図22aは輻輳虚像26, 27のX軸方向の移動を説明する図である。
右目と左目の距離をWe、目21, 22と表示パネル2のZ軸方向の距離を(Ze-Zp)、表示パネル2と輻輳虚像26, 27のZ軸方向の距離を(Zp-Zv)、右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Si、右目と左目のX軸方向の移動距離Xemとすると、輻輳虚像のX軸方向の移動距離Xvm は下記の式で示される。
Xvm = Xem×(Zp-Zv) / (Ze-Zp) = Xem×Si / (We - Si)
図22bは右目映像23と左目映像24の強制移動を説明する図である。
輻輳虚像のX軸方向の移動距離Xvm = 0 となる右目映像と左目映像のX軸方向の強制移動距離Xim は下記の式で示される。
Xim = Xem×(Zp-Zv) / (Ze-Zv) = Xem×Si / We
図23はModel 41_4 の原理 (YZ平面)であり、
図22aは輻輳虚像26, 27のY軸方向の移動を説明する図である。
右目と左目のY軸方向の移動距離Yem とすると、輻輳虚像のY軸方向の移動距離Yvm は下記の式で示される。
Yvm = Yem×(Zp-Zv) / (Ze-Zp) = Yem×Si / (We - Si)
図23bは右目映像23と左目映像24のY軸方向の強制移動を説明する図である。
輻輳虚像のY軸方向の移動距離Yvm = 0 となる右目映像と左目映像のY軸方向の強制移動距離Yim は下記の式で示される。
Yim = Yem×(Zp-Zv) / (Ze-Zv) = Yem×Si / We
Model 41_4はModel 41およびModel 411からModel 414、Model 41_1からModel 41_3の操縦システムに適用可能であるが、リアルタイムで右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeL)の測定を行う必要があるのでModel 413、Model 414と組合せてModel 4134、Model4144として用いるのが好ましい。
Model 4134、Model 4144のシステム構成は
図6に示すModel 413、Model 414のシステム構成と同じである。
【0049】
図24はModel 4134、Model 4144の制御を説明する図である。
Model 413、Model 414の制御は右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeR)の情報に基づいて右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量Siの制御を行うものである。それに対して、Model4134、Model 4144の制御は右目位置(XeR, YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeR)の情報に基づいて右目映像23と左目映像24のX軸方向の強制移動距離Xim、またはY軸方向の強制移動距離Yim、またはそれらの両方の制御を行うものである。
Model 4133、Model 4144の第A2ステップの制御はModel 413、Model 414の第2ステップの制御で代用することができる。
第B1ステップ(制御の開始) : 操縦システムが作動すると第B2ステップに移行する。
第B2ステップ(目位置の測定) : 表示制御装置6は光学式目位置測定装置10を制御して、目位置センサー(右)10a、目位置センサー(左)10bの撮影した映像を画像処理して操縦者の右目21と左目22を認識し、右目位置(XeR,YeR, ZeR)と左目位置(XeL, YeL, ZeR)を算出し、記憶装置3に記憶し、第B3ステップに移行する。
第B3ステップ(目位置移動距離の算出) : 表示制御装置6は 記憶装置3の情報を読み込み、演算装置4を制御して、右目基準位置(XeRc, YeRc)、左目基準位置(XeLc,YeLc)、右目位置(XeR, YeR, ZeR)、左目位置(XeL, YeL, ZeL)
の情報から、目のX軸方向の移動距離Xem とY軸方向の移動距離Yem を算出し、記憶装置3に記憶し、第B4ステップに移行する。
第B4ステップ(映像の強制移動距離の算出) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、輻輳虚像のX軸方向の移動距離Xvm = 0、Y軸方向の移動距離Yvm= 0となる映像のX軸方向の強制移動距離Xim とY軸方向の強制移動距離Yim を算出し、強制移動した右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL,YiL, ZiL)を記憶装置3に記憶し、第B5ステップに移行する。
第B5ステップ(映像の生成) : 表示制御装置6は記憶装置3の情報を読み込み、映像生成装置5を制御して右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)に右目映像23を、左目映像位置(XiL,YiL, ZiR)に左目映像24を生成し、表示装置1を制御して右目映像23と左目映像24を表示し、第B6ステップに移行する。
第B6ステップ(制御の繰り返し) : 操縦システムが作動していると第B2ステップに移行し、第B2ステップから第B5ステップを繰り返す。操縦システムが停止すると第B7ステップに移行する。
第B7ステップ(制御の終了) : 表示制御装置6は制御を終了する。
Model 4134とModel 4144の右目の位置(XeR, YeR, ZeR)と左目の位置(XeL, YeL, ZeL)について説明する。
右目21と左目22について、X軸方向の位置(XeR, XeL)、Y軸方向の位置(YeR, YeL)、Z軸方向の位置(ZeR, ZeL)の全ての測定が可能である。
右目映像と左目映像のX軸方向の強制移動を行う場合はX軸方向の位置(XeR, XeL)が必要であり、右目のX軸方向の位置XeR と左目のX軸方向の位置XeL とすることができる。
Y軸方向の強制移動を行う場合はY軸方向の位置(YeR, YeL)が必要であり、右目のY軸方向の位置YeR と左目のY軸方向の位置YeLとすることができる。
X軸方向とY軸方向の強制移動を行う場合はX軸方向の位置(XeR, XeL)とY軸方向の位置(YeR, YeL)が必要であり、右目位置(XeR, YeR)と左目位置(XeL,YeL)とすることができる。
操縦者の右目21と左目22がZ軸方向、車体の前方向に移動すると輻輳虚像26, 27は車体の後方向に移動すると同時にその大きさが小さくなり、操縦者が視認する輻輳虚像26,27は見かけ上の変化が小さいので右目映像と左目映像のZ軸方向の強制移動を行う必要はない。
Model 4134、Model 4144の右目映像位置(XiR, YiR, ZiR)と左目映像位置(XiL, YiL, ZiL)について説明する。
右目映像と左目映像のX軸方向の強制移動を行う場合は右目映像のX軸方向の位置XiR、左目映像のX軸方向の位置XiL とし、Y軸方向の強制移動を行う場合は右目映像のX軸方向の位置YiR、左目映像のX軸方向の位置YiLとし、X軸方向とY軸方向の強制移動を行う場合は右目映像位置(XiR, YiR)、左目映像位置(XiL, YiL)とすることができる。
【0050】
右目基準位置(XeRc, YeRc)と左目基準位置(XeLc, YeLc)を決定する二つの方式について説明する。
第1の方式は、目基準位置測定スイッチ(図示せず、操縦システムを作動するスイッチで代用可能)による方式で、操縦者が目基準位置測定スイッチをONにすることにより測定を開始し、OFFにするか一定時間の経過によって測定を終了し、右目基準位置(XeRc,YeRc)と左目基準位置(XeLc, YeLc)を決定する方式である。
第2の方式は、常時右目位置(XeR, YeR)と左目位置(XeL, YeL)を測定し、その平均値を右目基準位置(XeRc, YeRc)と左目基準位置(XeLc,YeLc)にする方式である。
【符号の説明】
【0051】
1 表示装置
2 表示パネル
2v 変位した表示パネル
3 記憶装置
4 演算装置
5 映像生成装置
6 表示制御装置
7 ステアリングホイール
8 表示パネルの継目
9 映像位置手動調整装置
9a 映像位置操作ダイアル
10 光学式目位置測定装置
10a 目位置センサー(右)
10b 目位置センサー(左)
11 機械式目位置測定装置
11a 操縦席シート
11b 操縦席ヘッドレスト
12 入射光測定装置
12a 入射光センサー(右)
12b 入射光センサー(左)
13 表示パネル角度制御装置
13a 表示パネル角度アクチェータ)
14 右目偏光フィルター
15 左目偏光フィルター
16 レンチキュラープレート
21 右目
21m 移動した右目
22 左目
22m 移動した左目
23 右目映像
23a 右目ストライプ映像
23b 右目映像の無映像領域
23c 右目映像のウィンドウ違反領域
23d 右目映像のウィンドウ違反のない領域
23e 右目映像の視認できない領域
23f 左目映像の消失した領域
24 左目映像
24a 左目ストライプ映像
24b 左目映像の無映像領域
24c 左目映像のウィンドウ違反領域
24d 左目映像のウィンドウ違反のない領域
24e 左目映像の視認できない領域
24f 左目映像の消失した領域
26 右目輻輳虚像
26c 右目輻輳虚像のウィンドウ違反領域
26d 右目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域
27 左目輻輳虚像
27c 左目輻輳虚像のウィンドウ違反領域
27d 左目輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域
30 表示パネルへの入射光
31 表示パネルからの反射光
31v 変位した表示パネルからの反射光
Wpx 表示パネルのX軸方向の長さ
Xp 表示パネルのX軸方向の位置
Yp 表示パネルのY軸方向の位置
Zp 表示パネルのZ軸方向の位置
Zo 障害物のZ軸方向の仮想位置
Wo 障害物のX軸方向の仮想長さ
Ze 目のZ軸方向の位置
XeR 右目のX軸方向の位置
YeR 右目のY軸方向の位置
ZeR 右目のZ軸方向の位置
XeL 左目のX軸方向の位置
YeL 左目のY軸方向の位置
ZeL 左目のZ軸方向の位置
XeRc 右目のX軸方向の基準位置
YeRc 右目のY軸方向の基準位置
XeLc 左目のX軸方向の基準位置
YeLc 左目のY軸方向の基準位置
Xem 目のX軸方向の移動距離
Yem 目のY軸方向の移動距離
We 右目と左目のX軸方向の距離
XiR 右目映像のX軸方向の位置
YiR 右目映像のY軸方向の位置
ZiR 右目映像のZ軸方向の位置
XiL 左目映像のX軸方向の位置
YiL 左目映像のY軸方向の位置
ZiL 左目映像のZ軸方向の位置
Si 右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量
Sim 最小の右目映像と左目映像のX軸方向の相対的シフト量
So 表示パネルの視認できない領域のx軸方向の長さ
Xim 映像のX軸方向の強制移動距離
Yim 映像のY軸方向の強制移動距離
Xv 輻輳虚像のX軸方向の位置
Yv 輻輳虚像のY軸方向の位置
Zv 輻輳虚像のZ軸方向の位置
Wva 輻輳虚像のX軸方向の長さ(ウィンドウ違反なし)
Wvb 輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)
Wvb2 Model 41_2の輻輳虚像のX軸方向の長さ(積極的ウィンドウ違反)
Wvc 輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域のX軸方向の長さ
Wvc2 Model 41_2の輻輳虚像のウィンドウ違反のない領域のX軸方向の長さ
Xvm 輻輳虚像のX軸方向の移動距離
Yvm 輻輳虚像のY軸方向の移動距離
αX 入射光のX軸回転角度
αY 入射光のY軸回転角度
θpX 表示パネルのX軸回転角度
θpY 表示パネルのY軸回転角度
【要約】
【課題】 自動車のための、表示パネルと操縦者の間にあるステアリングホイール等の障害物によって表示パネルの映像の視認が阻害されることのない操縦システムを実現すること。
【解決手段】 立体視光学系を用いて、障害物による右目映像の視認できない領域と左目映像の視認できない領域が重複しないように相対的にシフトした右目映像と前記左目映像を生成して表示することにより、障害物による映像の消失を防ぐ。
【選択図】
図2