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特許6995327設備保守管理の情報サービス方法、情報サービスプログラム、および設備保守管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】設備保守管理の情報サービス方法、情報サービスプログラム、および設備保守管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220106BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20220106BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/16 300
H04N7/18 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021085737
(22)【出願日】2021-05-21
【審査請求日】2021-05-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521220426
【氏名又は名称】株式会社AiAssist
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴也
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061451(JP,A)
【文献】特開2020-166686(JP,A)
【文献】特開2019-094206(JP,A)
【文献】特開2019-128728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムが実施する設備保守管理の情報サービス方法であって、
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理ステップと、
「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」および「前記設備の保守管理に関する保守管理情報」をデータベースに保持して管理する設備管理ステップと、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理ステップと、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替ステップと、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理ステップと、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出ステップと、
前記設備領域に対応する前記設備の前記配置方向を前記データベースに照会して前記設備の前記保守管理情報を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供ステップとを備え、
前記設備情報提供ステップは、災害時モードの設定を有し、前記災害時モードにおいて前記施設の入居者から「前記設備の使用可否または被害」について入力操作を受け付け、
前記設備管理ステップは、前記災害時モードの前記入力操作によって現場状況を収集し、前記施設の災害時対応部署に対し前記現場状況を情報伝達する
とを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
【請求項2】
請求項1に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備情報提供ステップは、前記備考表示に対する前記保守管理情報の追加、削除、または書換の入力操作を受け付け、
前記設備管理ステップは、前記入力操作が反映された前記保守管理情報を前記データベースに保持する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備管理ステップは、「前記設備に固有の識別ID」および「前記設備の前記保守管理情報」を対応付けた共通テーブルAと、「前記識別ID」および「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」を対応付けた前記広視野画像ごとの個別テーブルBとを前記データベースに保持し、
前記設備情報提供ステップは、前記共通テーブルAと前記広視野画像Oの前記個別テーブルBとを共通の前記識別IDで関連付けることによって、「前記設備の配置方向」に対応する「前記設備の前記保守管理情報」を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
【請求項4】
請求項3に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備領域算出ステップは、「算出された前記設備領域とは異なる指示位置を指定する操作入力」を受け付けると未登録設備の指示位置と判定し、前記未登録設備の前記指示位置を前記画角範囲に写像して前記広視野画像Oにおける前記未登録設備の配置方向を求め、
前記設備管理ステップは、前記未登録設備に固有の識別IDを付与し、「前記未登録設備の識別ID」と「前記広視野画像Oに写る前記未登録設備の配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Oの前記個別テーブルBに格納する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
【請求項5】
コンピュータシステムが実施する設備保守管理の情報サービス方法であって、
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理ステップと、
「前記設備に固有の識別ID」および「前記設備の保守管理情報」を対応付けた共通テーブルAと、「前記識別ID」および「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」を対応付けた前記広視野画像ごとの個別テーブルBとをデータベースに保持して管理する設備管理ステップと、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理ステップと、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替ステップと、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理ステップと、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出ステップと、
前記共通テーブルAと前記広視野画像Oの前記個別テーブルBとを共通の前記識別IDで関連付けることによって、「前記設備の前記配置方向」に対応する「前記設備の前記保守管理情報」を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供ステップとを備え、
前記設備領域算出ステップは、
「算出された前記設備領域とは異なる指示位置を指定する操作入力」を受け付けると未登録設備の指示位置と判定し、前記未登録設備の前記指示位置を前記画角範囲に写像して前記広視野画像Oにおける前記未登録設備の前記配置方向を求め、
前記マップ情報の空間内で、前記広視野画像Oの前記カメラ位置を起点として前記未登録設備の前記配置方向について衝突判定を行い、衝突箇所を前記未登録設備の施設内位置として特定し、
前記マップ情報の空間内で、前記処理対象に選ばれていない前記広視野画像(以下「広視野画像X」という)の前記カメラ位置から前記未登録設備の施設内位置までの線分を求め、前記線分について前記マップ情報の空間内で衝突判定を行うことによって前記広視野画像Xに前記未登録設備が写るか否かを判定し、
前記設備管理ステップは、
前記未登録設備に固有の前記識別IDを付与し、「前記未登録設備の前記識別ID」と「前記広視野画像Oに写る前記未登録設備の前記配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Oの前記個別テーブルBに格納し、
前記広視野画像Xに前記未登録設備が写る場合、前記線分の方向を「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の前記配置方向」とし、「前記未登録設備の前記識別ID」と「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の前記配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Xの前記個別テーブルBに格納する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
【請求項6】
コンピュータシステムに
請求項1~のいずれか一項に記載の前記画像管理ステップ、前記設備管理ステップ、前記マップ管理ステップ、前記画像切替ステップ、前記画像処理ステップ、前記設備領域算出ステップ、および前記設備情報提供ステップを実行させる
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービスプログラム。
【請求項7】
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理部と、
「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」および「前記設備の保守管理に関する保守管理情報」をデータベースに保持して管理する設備管理部と、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理部と、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替部と、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理部と、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出部と、
前記設備領域に対応する前記設備の前記配置方向を前記データベースに照会して前記設備の前記保守管理情報を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供部とを備え、
前記設備情報提供部は、災害時モードの設定を有し、前記災害時モードにおいて前記施設の入居者から「前記設備の使用可否または被害」について入力操作を受け付け、
前記設備管理部は、前記災害時モードの前記入力操作によって現場状況を収集し、前記施設の災害時対応部署に対し前記現場状況を情報伝達する
とを特徴とする設備保守管理システム。
【請求項8】
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理部と、
「前記設備に固有の識別ID」および「前記設備の保守管理情報」を対応付けた共通テーブルAと、「前記識別ID」および「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」を対応付けた前記広視野画像ごとの個別テーブルBとをデータベースに保持して管理する設備管理部と、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理部と、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替部と、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理部と、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出部と、
前記共通テーブルAと前記広視野画像Oの前記個別テーブルBとを共通の前記識別IDで関連付けることによって、「前記設備の前記配置方向」に対応する「前記設備の前記保守管理情報」を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供部とを備え、
前記設備領域算出部は、
「算出された前記設備領域とは異なる指示位置を指定する操作入力」を受け付けると未登録設備の指示位置と判定し、前記未登録設備の前記指示位置を前記画角範囲に写像して前記広視野画像Oにおける前記未登録設備の前記配置方向を求め、
前記マップ情報の空間内で、前記広視野画像Oの前記カメラ位置を起点として前記未登録設備の前記配置方向について衝突判定を行い、衝突箇所を前記未登録設備の施設内位置として特定し、
前記マップ情報の空間内で、前記処理対象に選ばれていない前記広視野画像(以下「広視野画像X」という)の前記カメラ位置から前記未登録設備の施設内位置までの線分を求め、前記線分について前記マップ情報の空間内で衝突判定を行うことによって前記広視野画像Xに前記未登録設備が写るか否かを判定し、
前記設備管理部は、
前記未登録設備に固有の前記識別IDを付与し、「前記未登録設備の前記識別ID」と「前記広視野画像Oに写る前記未登録設備の前記配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Oの前記個別テーブルBに格納し、
前記広視野画像Xに前記未登録設備が写る場合、前記線分の方向を「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の前記配置方向」とし、「前記未登録設備の前記識別ID」と「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の前記配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Xの前記個別テーブルBに格納する
とを特徴とする設備保守管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備保守管理の情報サービス方法、情報サービスプログラム、および設備保守管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションなどの施設では、管理人や清掃者や定期点検者などが管理会社から派遣され、施設内の設備について日常的または定期的な保守管理が行われる。このような施設内の設備それぞれについては、保守管理のための情報をまとめた保守作業マニュアルが作成される。
【0003】
この保守作業マニュアルの自動作成技術として、特許文献1には、「トラブル発生期間の監視カメラの撮像データを自動収集してトラブルマニュアルを自動的に作成する」旨の技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-115024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マンションなどの施設は、立地などの個々の事情に応じて施設ごとに設計される。そのため、施設内の各種設備の位置関係や設置状況は、施設ごとに異なることが多い。
【0006】
そのため、多数の施設を管理する管理会社では、管理人や清掃者や定期点検者を新たな施設に派遣する場合、管理会社の教育担当者が現地まで出向いて、新規派遣者に対して各種設備の位置関係や保守管理の情報などを現地で説明するといった、「現場合わせ」の引き継ぎ作業が必要であった。
【0007】
このような従来の施設管理のビジネスモデルでは、新規派遣のたびに教育担当者が現地まで毎回出向かなければならず、時間とコストがかかるといった課題があった。
【0008】
さらに、広大な敷地を有する遊園地やテーマパークのような施設の場合、教育担当者が新規派遣者に付き添って広大な敷地をほぼ一日がかりで歩きながら、各種設備の位置関係や保守管理の情報を説明しなければならず、多大な労力がかかるといった課題があった。
【0009】
なお、地震などの広域災害によって広範囲の施設群において設備が一度に破損した場合、必要な復旧計画を逸早く立案するために、広範囲に分散する膨大な数の設備について使用可否や被害状況を逐一収集しなければならないといった困難な課題が生じる。
【0010】
特許文献1には、このような施設管理の複数の課題やその解決手段について記載がない。
【0011】
そこで、本発明は、これら課題の少なくとも一つを解決するために、施設内における各種設備の位置関係を情報提供しつつ、かつ個々の設備についての保守管理情報を管理して提供する情報サービスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、コンピュータシステムが実施する設備保守管理の情報サービス方法であって、画像管理ステップ、設備管理ステップ、マップ管理ステップ、画像切替ステップ、画像処理ステップ、設備領域算出ステップ、および設備情報提供ステップを備える。
【0013】
前記画像管理ステップは、設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する。
【0014】
前記設備管理ステップは、「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」および「前記設備の保守管理に関する保守管理情報」をデータベースに保持して管理する。
【0015】
前記マップ管理ステップは、前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理する。
【0016】
前記画像切替ステップは、前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する。
【0017】
前記画像処理ステップは、前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する。
【0018】
前記設備領域算出ステップは、前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める。
【0019】
前記設備情報提供ステップは、前記設備領域に対応する前記設備の前記配置方向を前記データベースに照会して前記設備の前記保守管理情報を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、施設内における各種設備の位置関係を情報提供しつつ、かつ個々の設備についての保守管理情報を管理して提供する情報サービスが実現する。
【0021】
なお、上記した以外の課題、構成および効果のより詳しい内容については、後述する実施形態の説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、設備保守管理システム100の構成を示すブロック図である。
図2図2は、設備保守管理システム100に対する事前の登録作業を説明する流れ図である。
図3図3は、設備保守管理の情報サービス方法を説明する流れ図(1/2)である。
図4図4は、設備保守管理の情報サービス方法を説明する流れ図(2/2)である。
図5図5は、施設・フロアーの選択画面について一形態を例示する図である。
図6図6は、広視野画像の選択画面について一形態を例示する図である。
図7図7は、広視野画像Oから表示画像Dを切り出す抽出処理を示す図である。
図8図8は、広視野画像Oの設備の配置方向Hから表示画像Dの一部に写る設備領域Rを求める処理を示す図である。
図9図9は、備考表示Tの一形態を例示する図である。
図10図10は、未登録設備Uの配置方向Hの求め方を示す図である。
図11図11は、未登録設備Uの保守管理情報の入力ステップの一形態を示す図である。
図12図12は、未登録設備Uの施設内位置の特定処理を説明する図である。
図13図13は、広視野画像Xに未登録設備Uが写らない場合を説明する図である。
図14図14は、広視野画像Xに未登録設備Uが写る場合を説明する図である。
図15図15は、設備保守管理の情報サービス方法を説明する流れ図である。
図16図16は、選択画面の一形態を示す図である。
図17図17は、災害時の入力フォームの一形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0024】
《実施例1の構成説明》
図1は、設備保守管理システム100の構成を示すブロック図である。
【0025】
同図において、設備保守管理システム100は、画像管理部110、設備管理部120(データベース130を含む)、マップ管理部140、画像切替部150、画像処理部160、設備領域算出部170、設備情報提供部180、および表示画面200を備える。
【0026】
画像管理部110は、広視野画像の画像データを多数管理し、新規に広視野画像を追加する、古くなった広視野画像を新しい画像データに更新するなどの管理機能を有する。画像管理部110は、広視野画像の記録機構として、内蔵のメモリや記録媒体や外部の画像サーバなどを使用する。
【0027】
ここでの「広視野画像」とは、施設の設備が1箇所ないし各所に写る広い視野範囲を有し、所望する注視方向Fを指定して部分的に表示画像Dを切り出すことで、施設内における設備の位置を広い視野範囲との関係においてユーザが把握可能になる画像を指す。このような広視野画像としては、全方向や水平360度を視野範囲とする全天周画像や全方位画像などが好ましい。なお、後述する動作において実用上許容できる程度であれば、広い視野範囲に部分的な死角範囲を含んでもかまわない。
【0028】
設備管理部120は、「広視野画像に写る設備の配置方向H」および「設備の保守管理に関する保守管理情報」を対応付けてデータベース130に保持する。
【0029】
ここでの「配置方向H」は、広視野画像の射影面の中心であるカメラ位置Cからみて設備が位置する方向であって、東西南北の方位角φに、必要であれば重力方向に対する傾斜角θを付加して表される。なお、広視野画像に固有の基準方向(例えば撮影時の正面方向など)の方位角φ0および傾斜角θ0などと、その基準方向に対する配置方向Hの相対的な偏角(Δφ,Δθ)との組み合わせによって、配置方向Hを表してもよい。
【0030】
ここでの「保守管理情報」には、その設備の保守管理に関するテキスト情報や写真や動画や日時記録(履歴)や保守マニュアルのリンク先などの「新規派遣者に必要な引き継ぎ情報」などが含まれる。
【0031】
データベース130は、個々の設備に対して自動付与される固有の識別IDを主キーとして関連付けることによって、これらのデータを共通テーブルAおよび個別テーブルBに分けてデータ管理を行う。
【0032】
共通テーブルAは、「設備に固有の識別ID」に対して「設備の保守管理に関する保守管理情報」を対応付けたデータテーブルである。
【0033】
個別テーブルBは、個々の広視野画像ごとに管理されるデータテーブルであって、「設備に固有の識別ID」に対して「広視野画像に写る設備の配置方向H」を対応付けたデータテーブルである。
【0034】
マップ管理部140は、平面図や立体図などの施設の図面データに対して、広視野画像のカメラ位置Cの位置情報を対応付けて作成されたデータをマップ情報Mとして保持し、必要に応じてマップ情報Mを表示画面200に出力処理する。
【0035】
画像切替部150は、カメラ位置Cの一つを選択する操作をユーザが行うと、選択されたカメラ位置Cで撮影された広視野画像を処理対象に設定する。以下、処理対象に設定中の広視野画像を「広視野画像O」と表記して、それ以外の広視野画像Xと区別する。
【0036】
画像処理部160は、広視野画像Oの注視方向Fを指定または変更する操作をユーザが行うと、広視野画像Oから注視方向Fを含む画角範囲を部分的に抽出して、表示画像Dとして表示画面200に出力処理する。
【0037】
設備領域算出部170は、データベース130が保持する「広視野画像Oに写る設備の配置方向H」と、現時点の画角範囲との交点を算出することによって、表示画像Dに写る設備の画像領域(以下「設備領域R」という)を求める。
【0038】
設備情報提供部180は、設備領域Rに対応する設備の配置方向Hをデータベース130に照会して、対応する設備の保守管理情報を情報取得する。設備情報提供部180は、情報取得した保守管理情報を、「設備領域Rの備考表示T」として認識可能な表示形式で表示画面200に出力処理する。
【0039】
ここでの「備考表示T」とは、参考のため付記する表示を指す。このように参考のために付記する表示としては、ボップアップ表示や、表示画面200の上下左右などの端からフレームインする表示や、表示画面200に設けた別枠内での表示など多様な表示が可能である。
【0040】
表示画面200は、画像を表示すると共に、ユーザから種々のGUI(グラフィックユーザインターフェース)操作を受け付けると設備保守管理システム100に伝達する。このような表示画面200としては、表示モニタやスマホやタブレットやプロジェクタやヘッドマウントディスプレイなどの表示装置が使用可能である。また、GUI操作の入力手段としては、タッチスクリーン、タブレット、ペン入力、トラックボール、十字キー、キーボード、マウス、視線入力装置、音声認識装置、姿勢検出装置、ヘッドマウントディスプレイの変位検出装置などの入力装置が使用可能である。
【0041】
このような設備保守管理システム100は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムとして構成してもよい。このハードウェアがコンピュータ可読媒体に記憶された「設備保守管理の情報サービスプログラム」を実行することによって、上述した設備保守管理システム100の各部機能が実現する。その結果、コンピュータシステムは、後述する「設備保守管理の情報サービス方法」の個々のステップ動作を実行する。
【0042】
このハードウェアの一部または全部については、専用の装置、機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。
【0043】
また、ハードウェアやプログラムの一部または全部をネットワーク上のサーバに集中または分散してクラウドシステムを構成することによって、複数のクライアント端末(ユーザ)に対して設備保守管理の情報サービスを管理会社などの単位で提供してもよい。
【0044】
続いて、設備保守管理システム100に対してシステム管理者が事前に行う登録作業について説明する。
【0045】
《事前の登録作業》
【0046】
図2は、設備保守管理システム100に対する事前の登録作業を説明する流れ図である。
以下、図2に示すステップ番号の順に説明する。
【0047】
ステップS001: システム管理者は、設備保守管理を行う施設を訪問し、建物内の各フロアーや敷地の内外などから複数のカメラ位置Cで広視野撮影を行う。この広視野撮影には、例えば、2つの円周魚眼カメラを背中合わせに組み合わせた複合カメラによる撮影や、水平360度を回転しながら撮影するパノラマカメラによる撮影や、全天周や水平360度を一度に撮影可能な特殊光学系による撮影や、複眼カメラや複数カメラによる撮影や、広角レンズによる撮影や、ドローンによる空撮など、多様な撮影方式が採用可能である。このように得られた複数の広視野画像は、無線回線やメモリ媒体を介して画像管理部110に転送されて格納される。
【0048】
ステップS002: システム管理者は、施設のフロアー別の図面データに対して、広視野画像のカメラ位置Cを対応付けたデータをマップ情報Mとして作成し、マップ管理部140に格納する。なお、広視野画像の付随情報(EXIFなど)からカメラ位置Cが取得可能な場合、マップ管理部140が、取得したカメラ位置Cに基づいて図面データとの対応付けを自動的または対話的に行ってマップ情報Mを作成してもよい。
【0049】
ステップS003: システム管理者は、個々の設備ごとに「その設備の保守管理に関する保守管理情報」を入力してデータベース130に新規登録する。このような登録作業は、ネットから保守管理情報を自動的に収集することによって自動化してもよい。
【0050】
この新規登録に際して、データベース130は、設備の種別コードや登録順(シリアルナンバー)や設置位置などの符号列を所定ルールに従って組み合わせることによって、設備一つ一つに固有の識別IDを自動的に付与する。データベース130は、識別IDを主キーとしてレコード領域を確保し、そのレコード領域に「設備の保守管理に関する保守管理情報」を格納することによって、共通テーブルAを作成する。
【0051】
この保守管理情報の新規入力による共通テーブルAの登録動作の詳細例(図4のステップS125、図11を参照)については後述する。
【0052】
ステップS004: システム管理者は、「識別ID」を主キーとして「広視野画像に写る設備の配置方向H」を対応付けた個別テーブルBを広視野画像ごとに作成し、データベース130に格納する。この個別テーブルBの登録を自動化した詳細例(図4のステップS122~S128参照)については後述する。
【0053】
以上の動作によって、設備保守管理システム100に対する事前の登録作業が完了する。
【0054】
続いて、設備保守管理システム100が、施設の新規派遣者や、管理会社の教育担当者や、システム管理者などのユーザに対して設備保守管理のサービスを提供する具体的な動作について説明する。
【0055】
《実施例1の動作説明》
図3および図4は、設備保守管理の情報サービス方法を説明する流れ図である。
以下、図3および図4に示すステップ番号の順に説明する。
【0056】
ステップS101: マップ管理部140は、図5に一例を示す施設/フロアーの選択画面を表示画面200に表示する。この選択画面には、施設の選択釦201、階数の選択釦202、および情報サービスへの移行釦203が表示される。ユーザは、これらの釦をGUI操作することによって、設備保守管理の情報サービスを受ける施設およびフロアーを決定し、次の情報サービスへ移行する。
なお、図5の選択画面を介さずに、施設・フロアーごとに固有に付与されたURLアドレスの閲覧操作によって、次の情報サービスへ直に移行してもよい。この場合、URLアドレスにランダムな数字や文字を含めて秘密化することによってセキュリティーを高めることが好ましい。この秘密化されたURLアドレスを、情報サービスが必要なユーザに連絡することによって、ユーザによる情報サービスへの迅速なアクセスが可能になる。
【0057】
ステップS102: マップ管理部140は、選択された施設およびフロアーのマップ情報Mを読み出して、図6に一例を示す表示画面200の子画面212に出力する。
【0058】
ここでのマップ情報Mは、施設の図面データに対して、広視野画像のカメラ位置Cを示すマークを表示した表示情報である。
【0059】
なお、マップ情報Mに、処理対象のフロアー(階数)を選択するためのフロアー選択タグを表示してもよい。このフロアー選択タグをGUI操作することによって、選択されたフロアーへの設定切り替えと、選択されたフロアーのマップ情報Mへの表示切り替えが迅速に可能になる。
【0060】
ステップS103: 画像切替部150は、マップ情報Mに示される複数のカメラ位置Cの内、フロアーの入口に近いカメラ位置Cをデフォルトで選択する。
【0061】
ステップS104: 画像切替部150は、マップ情報M上で選択中のカメラ位置Cで撮影された広視野画像(以下「広視野画像O」という)を「注視方向Fを操作する処理」の処理対象に設定する。
【0062】
ステップS105: 画像処理部160は、広視野画像Oについて注視方向Fをカメラ撮影時の正面方向に初期設定する。
【0063】
ここでの「注視方向F」とは、図7に例示するように、広視野画像Oのカメラ位置Cを起点として、表示画像Dの切り出し範囲(以下「画角範囲」という)の中心である注視点222に向かう方向である。注視方向Fを変更する操作によって、表示画像Dの画角範囲を広視野画像Oの射影面(図7では略球面)の中で所望の位置へ動かすことが可能になる。
【0064】
ステップS106: 画像処理部160は、図7に例示するように、広視野画像Oから注視方向Fを含む画角範囲を表示画像Dとして切り出す。
【0065】
ステップS107: 画像処理部160は、表示画像Dの歪みを補正し、親画面211の表示画素数に合うように表示画像Dに画素数変換を行う。画像処理部160は、このように処理された表示画像Dを、図6に例示するように表示画面200の親画面211に表示する。
【0066】
ステップS108: 設備領域算出部170は、図8に例示するように、表示画像Dの画角範囲(図8に示す立体角303相当)に含まれるという選別条件を広視野画像Oの個別テーブルBに照会し、選別条件を満足する「設備の配置方向H」を情報取得する。
【0067】
ステップS109: 設備領域算出部170は、画角範囲に含まれる配置方向Hと、画角範囲(面)との交点を算出し、図8に例示するように、表示画像Dの一部に写る設備の画像領域(以下「設備領域R」という)の位置を求める。
【0068】
このとき、表示画像Dの歪みの補正に起因する設備領域Rの位置ずれを求めて、表示画像Dの上で設備領域Rの位置を補正することが好ましい。
【0069】
また、設備領域算出部170は、表示画像Dの上に設備領域Rの位置を示すマークを表示してもよい。このようなマークの表示によって、ユーザに対してデータベース130に登録済みの設備領域Rの位置を表示画像Dの上で報せることが可能になる。さらに、設備領域算出部170は、表示画像Dの階段やエレベータや出口や入口や扉などの上にフロアー移動用または部屋移動用のマークを表示してもよい。
【0070】
ステップS110: 画像処理部160は、親画面211の上で軌跡を描くユーザ操作(フリック操作やドラッグ操作や変位検出などの仮想的な視線方向の変更)を受け付ける。
【0071】
軌跡を描くユーザ操作を受け付けるたびに、画像処理部160は、受け付けた軌跡とは逆向きに注視方向Fの角度を動かす処理を行った後に、ステップS106に動作を戻す。その結果、親画面211の枠内で表示画像Dが軌跡に合わせてスクロール移動するようになり、広視野画像Oの視野範囲からユーザが所望する箇所の表示画像Dを表示させることが可能になる。
なお、マウスホイールなどによってズームアップ/ズームアウトの操作を受け付けるたびに、画像処理部160は画角範囲を縮小/拡大する処理を行ってもよい。
【0072】
一方、軌跡を描くユーザ操作がない場合、画像処理部160はステップS111に動作を移行する。
【0073】
ステップS111: 画像切替部150は、子画面212の上でカメラ位置Cのマークを指定するユーザ操作(タップ操作やクリック操作など)を受け付ける。
【0074】
カメラ位置Cのマークを指定するユーザ操作を受け付けると、画像切替部150は、現在選択中のカメラ位置Cが変更されたと判定する。この判定によって、画像切替部150は、新たに選択されたカメラ位置Cを「現在選択中」に切り替えて、現在選択中のカメラ位置Cで撮影された広視野画像を「処理対象の広視野画像O」に切り替える。この動作の後に、画像切替部150は、ステップS104に動作を戻す。
【0075】
なお、このような子画面212に対するGUI操作の他にも、親画面211に対する所定のGUI操作によってカメラ位置Cを変更してもよい。例えば、表示画像Dの上で部屋移動用のマーク(ステップS109参照)がGUI操作された場合、画像切替部150は、そのマークが表示された出口や入口や扉の先を移動先として、移動先において一番近いカメラ位置Cを「現在選択中」に切り替えて、現在選択中のカメラ位置Cで撮影された広視野画像を「処理対象の広視野画像O」に切り替える。この動作の後に、画像切替部150は、ステップS104に動作を戻す。
【0076】
一方、カメラ位置Cを変更するユーザ操作がない場合、画像切替部150はステップS112に動作を移行する。
【0077】
ステップS112: 設備情報提供部180は、親画面211の上で「設備領域Rを指定するユーザ操作(タップ操作やクリック操作など)」を受け付ける。
【0078】
設備領域Rを指定するユーザ操作を受け付けると、設備情報提供部180はステップS113に動作を移行する。
【0079】
一方、設備領域Rを指定するユーザ操作がない場合、設備情報提供部180はステップS122に動作を移行する。
【0080】
ステップS113: 設備情報提供部180は、ステップS112で指定された設備領域Rについて、ステップS109で算出に使用した「設備の配置方向H」を情報取得する。設備情報提供部180は、情報取得した「設備の配置方向H」を広視野画像Oの個別テーブルBに照会することによって、表示画像D上で指定された設備の識別IDを特定する。
【0081】
ステップS120: 設備情報提供部180は、特定された識別IDを共通テーブルAに照会して、表示画像D上で指定された設備の保守管理情報を情報取得する。設備情報提供部180は、情報取得した保守管理情報を設備領域Rの備考表示Tとして表示画面200に出力処理する。
【0082】
図9は、備考表示Tの形態の一例を示す図である。
図9では、設備領域Rに関連付ける吹出形状のポップアップ表示の形態で、保守管理情報の備考表示Tが行われる。保守管理情報の備考表示Tは、次の項目などをレイアウトして構成されることが好ましい。
・設備の種別
・設備に固有の識別IDの全部または部分(シリアル番号など)
・新規派遣者に引き継ぐ設備の情報(テキストや写真や動画など)
・設備に関する詳細情報(設備に関するマニュアル、保守管理の履歴、故障時連絡先など)のリンク先
【0083】
ステップS121: 設備情報提供部180は、備考表示Tに対する追加、削除、または書換などの入力操作を受け付ける。設備管理部120は、入力操作を保守管理情報のデータに逐次に反映する。設備管理部120は、反映を完了した保守管理情報を、共通テーブルA(データベース130)に保持する。
【0084】
ここでの処理により、登録済みの保守管理情報に対し、追加、削除、または書換などの編集が適宜に行われる。
【0085】
なお、備考表示Tを表示しているときに注視方向Fの変更操作を受け付けた場合、備考表示Tを一旦停止(または半透明化)して表示画面200の画面上から消去または目立たないようにすることが好ましい。この備考表示Tの変更(すなわち表示画像Dの全域表示)によって、表示画像Dのスクロール移動がユーザに認識しやすくなり、注視方向Fの変更操作の操作性が向上する。
【0086】
ステップS122: 設備情報提供部180は、親画面211の上で「設備領域Rとは異なる画像領域(以下「非設備領域」という)を指定するユーザ操作」をタップ操作やクリック操作などで受け付ける。
【0087】
ここで非設備領域を指定するユーザ操作がない場合、設備情報提供部180はステップS129に動作を移行する。
【0088】
一方、「非設備領域を指定するユーザ操作」を受け付けると、設備情報提供部180はステップS123に動作を移行する。
【0089】
なお、非登録設備を指定するユーザ操作が誤操作の場合(ユーザが操作を意図しない程度の一瞬の操作やチャタリングなど)は、設備情報提供部180は、非設備領域を指定するユーザ操作がなかったものと判定して、設備情報提供部180はステップS129に動作を移行する。
【0090】
ステップS123: 設備領域算出部170は、ステップS122で受け付けた「非設備領域の指示位置P」を、未登録設備Uの指示位置Pとする。
【0091】
設備領域算出部170は、図10に例示するように、未登録設備Uの指示位置Pを広視野画像Oの射影面の上の画角範囲(立体角303に相当)に写像して、広視野画像Oのカメラ位置Cから指示位置Pに向かう「未登録設備Uの配置方向H」を求める。
【0092】
ステップS124: 設備管理部120は、未登録設備Uに対して識別IDを自動的に付与する。設備管理部120は、「未登録設備Uの識別ID」と「未登録設備Uの配置方向H」とを対応付けて、広視野画像Oの個別テーブルBに格納(新規登録)する。
【0093】
ステップS125: 設備管理部120は、未登録設備Uの保守管理情報を新規に取得する。
【0094】
例えば、図11に示すように、設備管理部120が、未登録設備Uの指示位置Pに関連付けて、所定の入力フォームを備える入力ダイアログ401を表示して保守管理情報のユーザ入力を情報取得してもよい。
また例えば、未登録設備Uについて該当するマニュアルの情報をインターネットや設備メーカのデータベースなどから手動または自動で画像検索や機種検索して、そのリンク先や概要などを保守管理情報に自動的に付加してもよい。
【0095】
設備管理部120は、情報取得した「未登録設備Uの保守管理情報」と「未登録設備Uの識別ID」とを対応付けて、共通テーブルAに格納(新規登録)する。
【0096】
ここまでの処理により、未登録設備Uについて、共通テーブルAおよび広視野画像Oの個別テーブルBの新規登録が完了する。
【0097】
ステップS126: 設備領域算出部170は、ステップS123で求めた「未登録設備Uの配置方向H」について、マップ情報Mの空間内で広視野画像Oのカメラ位置Cを起点として、衝突判定を行う。
図12は、未登録設備Uの配置方向Hについて衝突判定の様子を示す図である。
【0098】
図12では、広視野画像Oのカメラ位置Cを起点として「未登録設備Uの配置方向H」へ延びる視線が、壁面などの視線遮蔽体402に衝突して遮られる。設備領域算出部170は、この視線をマップ情報Mの空間内で辿ることによってマップ情報Mの空間内の視線遮蔽体402に衝突する箇所を求める。設備領域算出部170は、この衝突する箇所を未登録設備Uの施設内位置として特定する。
【0099】
このとき、マップ情報Mが平面図であれば、未登録設備Uの施設内位置が二次元位置として求められる。また、マップ情報Mが立体図であれば、未登録設備Uの施設内位置が三次元位置として求められる。
【0100】
ちなみに、鏡面などの反射体や屈折物に衝突した場合、設備領域算出部170は、反射体や屈折物による視線の変更方向をさらに辿ることによって、反射体や屈折物を経由した未登録設備Uの施設内位置を求めてもよい。
【0101】
ステップS127: 設備領域算出部170は、マップ情報Mの空間内で、処理対象以外の残りの広視野画像Xについて、カメラ位置Cから未登録設備Uの施設内位置までを視線経路で結ぶ線分を求める。
ちなみに、カメラ位置Cから未登録設備Uの施設内位置までの視線経路に反射や屈折や視線分岐が存在する場合、設備領域算出部170は、カメラ位置Cから未登録設備Uの施設内位置までを反射や屈折や視線分岐で経由して結ぶ複数本の線分を求めてもよい。
設備領域算出部170は、求めた線分についてマップ情報Mの空間内で衝突判定を行う。
【0102】
ここで、図13に示すように線分の上に衝突箇所403がある場合、視線が衝突箇所403で遮られるため、設備領域算出部170は「広視野画像Xに未登録設備Uは写らない」と判定する。
【0103】
一方、図14に示すように線分の上に衝突箇所がない場合、視線は遮られないため、設備領域算出部170は「広視野画像Xに未登録設備Uが写る」と判定する。
【0104】
なお、ここでの判定は、広視野画像Oのカメラ位置Cから所定範囲内(同一のスペース内など)で撮影された広視野画像Xに限って行ってもよい。
【0105】
ステップS128: 設備管理部120は、ステップS127の判定に基づいて、未登録設備Uが写る広視野画像Xを選別する。選別された広視野画像Xそれぞれについて、設備管理部120は、「未登録設備Uの識別ID」と「広視野画像Xに写る未登録設備Uのカメラ位置Cから延びる線分の方向(つまり配置方向H)」とを広視野画像Xの個別テーブルBに格納(新規登録)する。
【0106】
ここまでの動作によって、ユーザが特に意識する必要なく、未登録設備Uが写る広視野画像の個別テーブルBの全てに対して未登録設備Uの新規登録が完了する。
これによって、未登録設備Uについて、共通テーブルAおよび個別テーブルBの新規登録が全て完了する。これ以降、設備保守管理システム100は、未登録設備Uを登録済みの設備として扱う。
【0107】
ステップS129: ここで、マップ管理部140は、図6に示す移行ボタン215や、フロアー移動用のマーク(ステップS109参照)に対するユーザ操作を受け付けたか否かを判定する。
【0108】
移行ボタン215のユーザ操作を受け付けた場合、マップ管理部140は「施設・フロアーの選択画面」への移行が指示されたと判定して、ステップS101まで戻って施設・フロアーの選択操作から動作を再び開始する。
また、フロアー移動用のマークに対するユーザ操作を受け付けた場合、マップ管理部140は、表示画像Dの階段先やエレベータ先の直近のフロアーが選択操作されたものとして(ステップS101の選択操作を省略して)、ステップS102に動作を戻す。
【0109】
一方、ユーザ操作がない場合、マップ管理部140はステップS102まで戻って、設備保守管理の情報サービスを継続する。
【0110】
以上説明した一連のステップ動作を適時に行うことにより、設備保守管理の情報サービス方法が実施される。
《実施例1の効果》
以下、実施例1が奏する効果について詳しく説明する。
【0111】
(1)従来、多数の施設を管理する管理会社では、施設ごとに各種設備の位置関係が異なるため、施設に派遣する新規派遣者に対して、管理会社の教育担当者が施設(現地)まで出向いて各種設備の位置関係と保守管理の引き継ぎを「現場合わせ」で行う必要があった。
【0112】
しかしながら、本実施例1では、ユーザによる注視方向Fの操作入力に応じて、広視野画像Oから注視方向Fを含む画角範囲を切り出して表示画面200に表示させる。そのため、ユーザは、仮想的に広視野画像Oの射影空間の中に立って、注視方向Fを適宜に変更しながら、広視野画像Oの各所に写る設備の位置を確認するという体験が可能になる。このような仮想的な体験によって施設内の各種設備の位置関係を把握できるため、管理会社の教育担当者が新規派遣者と共に施設(現地)に出向いて「現場合わせ」を行う必要がなくなる。その結果、本実施例1は、従来の「現場合わせ」の引き継ぎ作業にかかる時間とコストを削減できるという点で優れている。
【0113】
(2)従来は、広大な敷地を有する遊園地やテーマパークのような施設の場合、管理会社の教育担当者は新規派遣者への引き継ぎ作業のために広大な敷地をほぼ一日がかりで歩いて、各種設備の位置関係や保守管理の情報を説明しなければならなかった。
【0114】
しかしながら、本実施例1では、施設の図面データに複数のカメラ位置Cを対応付けたマップ情報Mを表示し、このマップ情報Mの上でカメラ位置Cを選択することによって、ユーザは、仮想的にマップ情報Mの上に立ってカメラ位置Cの経路間の移動距離を瞬間移動することが可能になる。そのため、従来の引き継ぎ作業のように広大な敷地を実際に歩く必要がない。その結果、本実施例1は、広大な敷地を有する施設における「現場合わせ」の引き継ぎ作業にかかる多大な労力を削減できるという点で優れている。
【0115】
(3)本実施例1では、「設備の保守管理情報」および「設備の配置方向H」をデータベース130に保持して管理する。このようなデータ管理では、注視方向Fが頻繁に変更されても、「設備の配置方向H」と画角範囲との交点検出によって表示画像Dに写る設備を迅速に特定できる。そのため、表示画像Dに写る設備の「保守管理情報」を素早く特定して表示することが可能になる。したがって、本実施例1は、注視方向Fが頻繁に変更されても保守管理情報を素早く表示できるという点で優れている。
【0116】
(4)本実施例1では、表示画面200に表示された保守管理情報に対して追加や削除や書換を行うことができる。したがって、本実施例1は、システム管理者以外にも管理人や教育担当者などが、定常業務の空き時間を使って、設備保守管理システム100を操作して保守管理情報を最新状態に更新できるという点で優れている。
【0117】
(5)本実施例1では、「設備の識別ID」および「設備の保守管理情報」を対応付けた共通テーブルAと、「設備の識別ID」および「広視野画像に写る設備の配置方向H」を広視野画像ごとに対応付けた個別テーブルBとに分けてデータ管理を行う。
【0118】
この場合、比較的データサイズの大きな保守管理情報は単一の共通テーブルAに集約されるため、データベース130に必要なデータ容量は小さくなる。
【0119】
一方、広視野画像ごとの個別テーブルBには、その広視野画像に写る設備の配置方向Hのみを予め選別して保持できるため、選別済みの「設備の配置方向H」と画角範囲との交点検出によって表示画像Dに写る設備を一層迅速に判定できる。
【0120】
したがって、本実施例1は、共通テーブルAと個別テーブルBに分けてデータ管理を行うことによって、データベース130に必要なデータ容量が小さくなり、かつ表示画像Dに写る設備を一層迅速に判定できるという二点において優れている。
【0121】
(6)本実施例1では、表示画像Dの上でユーザが非設備領域を指定すると、その非設備領域を未登録設備Uとして配置方向Hを求め、求めた未登録設備Uの配置方向Hを広視野画像Oの個別テーブルBへ自動的に新規登録する。したがって、本実施例1は、表示画像Dの上でユーザが非設備領域を指定するという直感的で簡単な操作によって、現在選択中の広視野画像Oの個別テーブルBに未登録設備Uを新規登録できるという点で優れている。
【0122】
(7)さらに、本実施例1では、マップ情報Mの空間内で未登録設備Uの配置方向Hについて衝突判定を行うことで未登録設備Uの施設内位置を特定する。非選択中の広視野画像Xについて、未登録設備Uの施設内位置が写るか否かを衝突判定によって判定し、未登録設備Uが写る広視野画像Xの個別テーブルBに未登録設備Uを自動的に新規登録する。したがって、本実施例1は、表示画像Dの上でユーザが非設備領域を指定するという直感的で簡単な操作によって、非選択中の広視野画像Xの個別テーブルBにも未登録設備Uを新規登録できるという点で優れている。
【実施例2】
【0123】
次に、実施例2として、主に入居者を対象にした設備保守管理の情報サービスを説明する。
なお、実施例1(図1図14)と同じ構成および同じ動作については、重複する説明を省略する。
【0124】
図15は、実施例2の情報サービス方法を説明する流れ図である。
以下、図15に示すステップ番号の順に説明する。
【0125】
ステップS201: マップ管理部140は、図16に一例を示す管理者向け/入居者向けの選択画面を表示画面200に表示する。ユーザが「管理者向け」の選択釦501を選択すると、マップ管理部140は、実施例1(図3図4など)で説明した「管理者向けの情報サービス」へ動作を移行する。一方、ユーザが「入居者向け」の選択釦502を選択した場合、マップ管理部140は、ステップS202へ動作を移行する。
【0126】
ステップS202: マップ管理部140は、ユーザによるパスワード認証などによって入居者のユーザIDを特定する。マップ管理部140は、入居者のユーザIDに基づいて、入居者の専用部分(居住空間など)を特定する。マップ管理部140は、特定された専用部分に共用部分(エントランスや通路やエレベータなど)を加えて情報サービスのアクセス範囲を設定する。
なお、入居者は、事前に入居者ごとに固有に付与されたURLアドレスの閲覧操作によって、情報サービスへ直に入ってもよい。この場合、URLアドレスに、入居者のユーザIDや部屋番号など専用部分を特定するための情報を暗号化して含める。マップ管理部140は、URLアドレスに含まれる暗号を解読して専用部分を特定し、入居者の専用部分および共用部分に限定して情報サービスのアクセス範囲を設定する。
このようなアクセス範囲の設定によって、第三者がユーザの専用部分へ情報アクセスすることが制限されるため、個人のプライバシーが守られる。
【0127】
ステップS203: 通常、設備情報提供部180は、入居者向けに平時モードの情報サービスを行う。この平時モードの情報サービスは、実施例1と同様のユーザインターフェースを介して実施される。ただし、提供される情報内容は、管理者向けとは異なり、入居者に対する設備の使い方など入居者に役立つ情報サービスを主とする。この情報サービスを介して、入居者は設備故障などの不具合について管理者側へ情報提供を行うこともできる。
一方、設備情報提供部180は、気象庁や役所や放送機関やインターネットなどからの災害情報(地震情報や洪水情報など)によって所定規模を超える災害の発生を検知すると、平時モードから災害時モードへ自動的に切り替える。
災害時モードに入ると、設備情報提供部180はステップS204に動作を移行する。
【0128】
ステップS204: 入居者は、実施例1と同様に広視野画像Oの画面操作を行うことで、表示画像Dに写る設備を指定する。設備領域算出部170は、この画面操作に基づいて、表示画像Dに写る設備の画像領域(以下「設備領域R」という)を特定する。
【0129】
ステップS205: 設備情報提供部180は、特定された設備領域Rに対応する設備の配置方向Hをデータベース130に照会して設備を特定する。設備情報提供部180は、特定された設備の備考表示Tとして、図17に一例を示す「設備の使用可否と被害を情報入力するための入力フォーム」を作成して表示画面200に表示する。
【0130】
ステップS206: 設備情報提供部180は、入力フォームの入力操作によって、入居者から設備の使用可否や被害に関する情報を受け付ける。
【0131】
ステップS207: 設備管理部120は、設備の固有の識別IDに基づいて、設備が配置される施設ID、部屋IDを特定する。設備管理部120は、これらの情報をまとめて(入力日時、施設ID、部屋ID、設備の識別ID、使用可否、被害の程度など)からなるレコードを現場状況として逐次に収集する。設備管理部120は、このように収集された現場状況を、施設の災害時対応部署のサーバなどへ情報伝達する。
以上説明した一連のステップ動作を行うことにより、実施例2の情報サービス方法が実施される。
【0132】
《実施例2の効果》
本実施例2は、実施例1で上述した効果に加えて、さらに次の効果を奏する。
地震などの広域災害によって広範囲の施設群において設備が破損した場合、必要な復旧計画を逸早く立案するために、広範囲に分散する膨大な数の設備について使用可否や被害状況を逐一収集しなければならない。そのために復旧計画の立案に時間がかかるという問題がある。
【0133】
しかしながら、本実施例2は、災害時モードにおいて、現場の入居者から設備の被害状況をダイレクトに収集することができる。したがって、本実施例2は、災害発生に際して、広範囲に分散する膨大な数の設備について使用可否や被害状況を効率良く収集できるという点で優れている。
【0134】
《その他の補足事項》
なお、上述した実施形態では、図7に示すように射影面が略球面の広視野画像について説明した。しかしながら、本発明は射影面の形状に限定されない。例えば、水平360度の視野範囲を有する広視野画像であれば、射影面を略円筒面とし、画角範囲を略円筒面の一部としても、本発明の適用は可能である。また、広視野画像の射影面が全画角をカバーする必要もない。広視野画像としては、注視方向Fの指定や変更の操作によってユーザが仮想的に設備の位置を確認する体験ができる程度の部分範囲が写っていればよい。
【0135】
また、上述した実施形態では、図9に示すように、複数の設備領域Rに対して同時に複数の備考表示Tを出力している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の設備領域Rに対して択一的に備考表示Tを出力してもよい。
【0136】
さらに、上述した実施形態では、設備領域Rの指定操作を契機として備考表示Tを開始している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、注視方向Fの移動や停止に伴って表示画像Dに設備領域Rが現れたことを契機として備考表示Tを自動的に開始してもよい。また例えば、注視方向Fの移動や停止に伴って親画面211の予め定められた範囲内(例えば画面中央の一定範囲)に設備領域Rが入ることを契機として備考表示Tを自動的に開始してもよい。
【0137】
また、上述した実施形態では、データベース130を一体として、共通テーブルAおよび個別テーブルBを一括に管理する形態について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。データベース130を適宜に複数に分け、共通テーブルAと個別テーブルBとを分散させて管理してもよい。例えば、広視野画像ごとの個別テーブルBを広視野画像ファイル内のデータ領域(一例としてEXIFデータのアプリケーション・マーカセグメントAPPnなど)に含めて管理してもよい。
【0138】
さらに、上述した実施形態では、施設の管理人や入居者が主たるユーザであることを前提に説明をした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、施設の利用者や購入検討者などをユーザとして、設備保守管理の情報サービスを提供してもよい。このような情報サービスであれば、設備に関する情報を必要とする人に対して必要な情報を提供することが可能になる。
【0139】
また、上述した実施形態では、施設の管理会社での運営を前提に説明をした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、設備の取付け業者(施工部門)や修理業者(修理部門)にも、各々担当する設備の範囲で設備保守管理の情報サービスを共用可にしてもよい。このように情報サービスを共用することによって、設備の管理/施工/修理の間で保守管理情報を迅速にやり取りすることが可能になる。その結果、設備に対して対応すべき業者(部門)が、設備の修理や新規交換などに迅速に対応できるといった利点が生じる。
【0140】
さらに、施設の設計や建設の段階からこのような情報サービスを開始して設計会社(設計部門)や建築会社(建築部門)などとも情報サービスを共用してもよい。このような情報サービスの共用によって、関係者全体として施設の建設の進捗状況を把握することが可能になる。
【0141】
なお、本発明は、上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0142】
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成やステップを備えるものに限定されない。
【0143】
また、実施形態の一部について、他の構成やステップの追加・削除・置換をすることも可能である。
なお、本願出願時の特許請求の範囲をここに引用する。
[付記1]
コンピュータシステムが実施する設備保守管理の情報サービス方法であって、
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理ステップと、
「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」および「前記設備の保守管理に関する保守管理情報」をデータベースに保持して管理する設備管理ステップと、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理ステップと、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替ステップと、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理ステップと、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出ステップと、
前記設備領域に対応する前記設備の前記配置方向を前記データベースに照会して前記設備の前記保守管理情報を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供ステップと
を備えたことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記2]
付記1に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備情報提供ステップは、前記備考表示に対する前記保守管理情報の追加、削除、または書換の入力操作を受け付け、
前記設備管理ステップは、前記入力操作が反映された前記保守管理情報を前記データベースに保持する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記3]
付記1~2のいずれか一項に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備管理ステップは、「前記設備に固有の識別ID」および「前記設備の前記保守管理情報」を対応付けた共通テーブルAと、「前記識別ID」および「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」を対応付けた前記広視野画像ごとの個別テーブルBとを前記データベースに保持し、
前記設備情報提供ステップは、前記共通テーブルAと前記広視野画像Oの前記個別テーブルBとを共通の前記識別IDで関連付けることによって、「前記設備の配置方向」に対応する「前記設備の前記保守管理情報」を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記4]
付記3に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備領域算出ステップは、「算出された前記設備領域とは異なる指示位置を指定する操作入力」を受け付けると未登録設備の指示位置と判定し、前記未登録設備の前記指示位置を前記画角範囲に写像して前記広視野画像Oにおける前記未登録設備の配置方向を求め、
前記設備管理ステップは、前記未登録設備に固有の識別IDを付与し、「前記未登録設備の識別ID」と「前記広視野画像Oに写る前記未登録設備の配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Oの前記個別テーブルBに格納する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記5]
付記4に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備領域算出ステップは、前記マップ情報の空間内で、前記広視野画像Oの前記カメラ位置を起点として前記未登録設備の前記配置方向について衝突判定を行い、衝突箇所を前記未登録設備の施設内位置として特定し、
さらに、前記設備領域算出ステップは、前記マップ情報の空間内で、前記処理対象に選ばれていない前記広視野画像(以下「広視野画像X」という)について前記カメラ位置から前記未登録設備の施設内位置までの線分を求め、前記線分について前記マップ情報の空間内で衝突判定を行うことによって前記広視野画像Xに前記未登録設備が写るか否かを判定し、
前記設備管理ステップは、前記広視野画像Xに前記未登録設備が写る場合、前記線分の方向を「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の配置方向」とし、「前記未登録設備の識別ID」と「前記広視野画像Xに写る前記未登録設備の配置方向」とを対応付けて前記広視野画像Xの前記個別テーブルBに格納する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記6]
付記1~5のいずれか一項に記載の設備保守管理の情報サービス方法であって、
前記設備情報提供ステップは、災害時モードの設定を有し、前記災害時モードにおいて前記施設の入居者から「前記設備の使用可否または被害」について入力操作を受け付け、
前記設備管理ステップは、前記災害時モードの前記入力操作によって現場状況を収集し、前記施設の災害時対応部署に対し前記現場状況を情報伝達する
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービス方法。
[付記7]
コンピュータシステムに
付記1~6のいずれか一項に記載の前記画像管理ステップ、前記設備管理ステップ、前記マップ管理ステップ、前記画像切替ステップ、前記画像処理ステップ、前記設備領域算出ステップ、および前記設備情報提供ステップを実行させる
ことを特徴とする設備保守管理の情報サービスプログラム。
[付記8]
設備が配置される施設において所定のカメラ位置から広視野を撮影して得られる広視野画像を複数保持する画像管理部と、
「前記広視野画像に写る前記設備の配置方向」および「前記設備の保守管理に関する保守管理情報」をデータベースに保持して管理する設備管理部と、
前記施設の図面データに複数の前記カメラ位置を対応付けたデータをマップ情報として保持し、前記マップ情報を表示画面に出力処理するマップ管理部と、
前記カメラ位置の一つを選択する操作入力を受け付けると、選択された前記カメラ位置で撮影された前記広視野画像(以下「広視野画像O」という)を処理対象に設定する画像切替部と、
前記広視野画像Oの注視方向を指定または変更する操作入力を受け付けると、前記広視野画像Oから前記注視方向を含む画角範囲を抽出し、表示画像として前記表示画面に出力処理する画像処理部と、
前記データベースが保持する「前記広視野画像Oに写る前記設備の前記配置方向」と、前記画角範囲との交点を算出することによって、前記表示画像に写る前記設備の画像領域(以下「設備領域」という)を求める設備領域算出部と、
前記設備領域に対応する前記設備の前記配置方向を前記データベースに照会して前記設備の前記保守管理情報を情報取得し、情報取得した前記保守管理情報を前記設備領域の備考表示として前記表示画面に出力処理する設備情報提供部と
を備えたことを特徴とする設備保守管理システム。
【符号の説明】
【0144】
100...設備保守管理システム、110...画像管理部、120...設備管理部、130...データベース、140...マップ管理部、150...画像切替部、160...画像処理部、170...設備領域算出部、180...設備情報提供部、200...表示画面、201...施設の選択釦、202...階数の選択釦、203...情報サービスへの移行釦、211...親画面、212...子画面、222...注視点、303...立体角、401...入力ダイアログ、402...視線遮蔽体、403...衝突箇所、501...選択釦、502...選択釦、A...共通テーブル、B...個別テーブル、C...カメラ位置、D...表示画像、F...注視方向、H...配置方向、M...マップ情報、O...処理対象に選択された広視野画像、P...指示位置、R...設備領域、T...備考表示、U...未登録設備、X...処理対象以外の広視野画像
【要約】
【課題】本発明は、施設内における各種設備の位置関係と保守管理情報を提供する。
【解決手段】コンピュータシステムが実施する設備保守管理の情報サービス方法であって、広視野画像を複数保持する画像管理ステップと、「設備の配置方向」および「設備の保守管理情報」を管理する設備管理ステップと、図面データに複数のカメラ位置を付記したマップ情報を表示するマップ管理ステップと、カメラ位置の選択に応じてそのカメラ位置の広視野画像Oを処理対象に設定する画像切替ステップと、広視野画像Oの注視方向の操作に応じて広視野画像Oから画角範囲を抽出して表示画像として表示する画像処理ステップと、表示画像に写る設備領域を求める設備領域算出ステップと、設備領域に対応する設備の配置方向に対応する保守管理情報を設備領域の備考表示として表示する設備情報提供ステップとを備える。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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図17