(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】送風システム
(51)【国際特許分類】
F04D 27/00 20060101AFI20220106BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F04D27/00 101B
A01G9/24 G
(21)【出願番号】P 2018036824
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-077120(JP,A)
【文献】特開2013-236515(JP,A)
【文献】特開2017-117084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0103125(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015119374(DE,A1)
【文献】中国実用新案第202617050(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
H01F 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相の交流電源の3つの線間にそれぞれ接続され、交流電源の電圧を変える単巻トランスを有する電圧変圧部と、
前記電圧変圧部から供給された電力で羽根車を回転するモータと、
を備える送風機において、
前記電圧変圧部は、第1の切替スイッチと第2の切替スイッチを有し、
前記単巻トランスは、巻き線の一端に設けられた第1の入力端と前記巻き線の他端に設けられた第2の入力端と、前記第1の入力端と前記第2の入力端の間に設けられたタップとを有し、
前記第1の切替スイッチの一端は、前記タップに接続され、他端は前記モータに接続され、
前記第2の切替スイッチの一端は、前記第2の入力端に接続され、他端は前記モータに接続される
、前記送風機を利用した前記送風システムにおいて、
前記送風機から構成する第1の送風機および第2の送風機と、
前記第1の送風機のモータと前記第2の送風機のモータに供給する電圧を制御する制御部と、を備えるとともに、前記第1の送風機は、前記第2の送風機より低い位置に配置され、
前記制御部は、
作物の成長点の高さを検出する成長点検出部と、
前記成長点検出部が検出した前記作物の成長点に応じて、前記第1の送風機と前記第2の送風機のモータに供給する電圧を制御する風量制御部と、
を備えることを特徴とする送風システム。
【請求項2】
前記成長点検出部は、作物を撮像した画像を取得し、該画像に写る作物の最も高い位置を検出し、この位置に基づいて作物の成長点を検知する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の送風システム。
【請求項3】
前記風量制御部は、前記第1の切替スイッチと前記第2の切替スイッチを切り替え、前記モータに供給する電圧を制御する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の送風システム。
【請求項4】
前記成長点検出部が、前記第1の送風機より低い位置に前記作物の成長点を検出すると、前記風量制御部は、前記第2の送風機の送風を停止する、
ことを特徴とする
請求項1から
3のいずれか一項に記載の送風システム。
【請求項5】
前記成長点検出部が、前記第1の送風機より高く、前記第1の送風機の高さと前記第2の送風機の高さとの中間の高さより低い位置に前記作物の成長点を検出すると、前記風量制御部は、前記第1の送風機に前記第2の送風機が送風する風より強い風を送風させる、
ことを特徴とする
請求項1から
4のいずれか一項に記載の送風システム。
【請求項6】
施設園芸ハウスの天井に配置された距離計を備え、
前記成長点検出部は、前記距離計から作物までの距離に基づいて、前記作物の成長点の高さを検出する、
ことを特徴とする
請求項1から
5のいずれか一項に記載の送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設園芸ハウス、牛舎、豚舎、鶏舎などでは、空気調和、環境改善、生産調整等の目的で、複数の送風機から構成される送風システムが用いられている。このような送風機は、羽根車を回転するモータの回転数を制御して風量を変えている。モータの回転数を制御する装置として、電源の周波数を変えるインバータ、電源の電圧を変換する変圧器などが用いられる。インバータは、精密に制御することができるが、装置の構造が複雑であるためコストが掛かるという問題がある。
【0003】
特許文献1は、1次側給電線と2次側給電線とが独立して巻かれている二巻変圧器を3台用いた三相変圧器を開示している。2次側給電線の巻き数は、1次側給電線の巻き数と同じである。この三相変圧器は、1台の変圧機が故障した場合、1次側給電線と2次側給電線との間にバイパス回路を形成して、電源から負荷に給電するものである。
【0004】
ことに、特許文献1は、送風機の風量調整が、例えば、ハウスにおける作物の生育に如何なる影響を与えるか、又は逆に生育を阻害するかの問題に関しては、何ら開示もなく示唆するところもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された三相変圧器に用いられている二巻変圧器は、大きく重い。殊に、三相となるとより大きく重くなる。従って、送風機に、この種の三相変圧器を用いると、送風機が大きく重くなるという問題がある。また、特許文献1に開示された三相変圧器は、電圧を変換するものではないため、この三相変圧機を用いて送風機の風量を調整することは容易でない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、風量を調整することができ、小さく軽い送風機および送風システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る送風システムは、
3相の交流電源の3つの線間にそれぞれ接続され、交流電源の電圧を変える単巻トランスを有する電圧変圧部と、
前記電圧変圧部から供給された電力で羽根車を回転するモータと、
を備える送風機において、
前記電圧変圧部は、第1の切替スイッチと第2の切替スイッチを有し、
前記単巻トランスは、巻き線の一端に設けられた第1の入力端と前記巻き線の他端に設けられた第2の入力端と、前記第1の入力端と前記第2の入力端の間に設けられたタップとを有し、
前記第1の切替スイッチの一端は、前記タップに接続され、他端は前記モータに接続され、
前記第2の切替スイッチの一端は、前記第2の入力端に接続され、他端は前記モータに接続される、前記送風機を利用した前記送風システムにおいて、
前記送風機から構成する第1の送風機および第2の送風機と、
前記第1の送風機のモータと前記第2の送風機のモータに供給する電圧を制御する制御部と、を備えるとともに、前記第1の送風機は、前記第2の送風機より低い位置に配置され、
前記制御部は、
作物の成長点の高さを検出する成長点検出部と、
前記成長点検出部が検出した前記作物の成長点に応じて、前記第1の送風機と前記第2の送風機のモータに供給する電圧を制御する風量制御部と、
を備えることを特徴とする。
このようにすることで、風量を調整することができ、小さく軽い送風システムを提供することができる。また作物の成長点に効率よく風を送ることができる。
【0011】
前記成長点検出部は、作物を撮像した画像を取得し、該画像に写る作物の最も高い位置を検出し、この位置に基づいて作物の成長点を検知するとよい。
このようにすることで、作物の成長点を自動的に検出することができ、風量の調整に手間が掛からない。
【0012】
前記風量制御部は、前記第1の切替スイッチと前記第2の切替スイッチを切り替え、前記モータに供給する電圧を制御するとよい。
このようにすることで、送風機から送風される風量を調整することができる。
【0013】
前記成長点検出部が、前記第1の送風機より低い位置に前記作物の成長点を検出すると、前記風量制御部は、前記第2の送風機の送風を停止するとよい。
このようにすることで、作物の成長点に関係のない部分に送風しないことにより、節電することができる。
【0014】
前記成長点検出部が、前記第1の送風機より高く、前記第1の送風機の高さと前記第2の送風機の高さとの中間の高さより低い位置に前記作物の成長点を検出すると、前記風量制御部は、第1の送風機に第2の送風機が送風する風より強い風を送風させるとよい。
このようにすることで、作物の成長点に効率的に送風することができる。
【0015】
施設園芸ハウスの天井に配置された距離計を備え、
前記成長点検出部は、前記距離計から作物までの距離に基づいて、前記作物の成長点の高さを検出するとよい。
このようにすることで、作物の成長点を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、変圧器に単巻トランスを用いることで、風量を調整することができ、小さく軽い送風機および送風システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る送風システムを示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る送風システムを示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る送風機の回路図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る送風処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態に係る送風システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態に係る送風機および送風システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施の形態に係る送風システム1は、
図1に示すように、第1の送風機110、第2の送風機120および第3の送風機130と、第1~第3の送風機110~130を制御する制御部210と、作物Sの成長点Pを検知する検知部220と、を備える。送風システム1は、施設園芸ハウス内に設置され、作物Sの成長点Pに重点的に送風するために用いられるものである。作物Sの成長点Pに送風することで、作物Sの成長を促進することができる。
【0020】
第1の送風機110は、第2の送風機120より低い位置に取り付けられている。第2の送風機120は、第3の送風機130より低い位置に取り付けられている。第1~第3の送風機110~130は、それぞれ羽根車112h~132hを有し、水平方向に送風する。第1~第3の送風機110~130が、異なる高さに送風することにより、送風システム1は、作物Sが成長して成長点Pの高さが変わったとしても、作物Sの成長点Pに応じた高さに風を送ることができる。
【0021】
第1~第3の送風機110~130は、
図2に示すように、それぞれ、第1~第3の電圧変圧部111~131と、第1~第3の電圧変圧部111~131から供給された電力で回転する第1~第3のモータ112~132と、を備える。第1~第3のモータ112~132の回転軸には、
図1に示す羽根車112h~132hが取り付けられている。
【0022】
つぎに、第1の送風機110について詳細に説明する。第1の電圧変圧部111は、
図3に示すように、3相の交流電源300のR相、T相およびS相の間にそれぞれ接続された第1~第3の単巻トランス113a~113cと、第1~第3の切替スイッチ群114a~114cと、を有し、3相の交流電源300から出力された電圧と異なる電圧を出力する。なお、第2と第3の送風機120、130は、第1の送風機110と同様の構成を有する。
【0023】
第1~第3の単巻トランス113a~113cは、1次巻線と2次巻線の一部が共用されているトランスから構成され、それぞれ第1の入力端115a~115cと、第1のタップ116a~116cと、第2のタップ117a~117cと、第2の入力端118a~118cと、を備える。第1~第3の単巻トランス113a~113cの大きさは、例えば5.6cm×5.0cm×4.9cmであり、質量は、例えば550gである。第1の単巻トランス113aの第1の入力端115aと第3の単巻トランス113cの第2の入力端118cは、交流電源300のR相に接続される。第1の単巻トランス113aの第2の入力端118aと第2の単巻トランス113bの第1の入力端115bは、交流電源300のT相に接続される。第2の単巻トランス113bの第2の入力端118bと第3の単巻トランス113cの第1の入力端115cは、交流電源300のS相に接続される。第1のタップ116a~116cと第2のタップ117a~117cは、第1の入力端115a~115cと第2の入力端118a~118cの間に配置される。第1の入力端115a~115cと第2の入力端118a~118cに200Vの交流電圧が印加されると、第1の入力端115a~115cと第1のタップ116a~116cとの間には、58Vの交流電圧が発生する。第1の入力端115a~115cと第2のタップ117a~117cとの間には、101Vの交流電圧が発生する。
【0024】
第1~第3の切替スイッチ群114a~114cは、第1~第3の単巻トランス113a~113cと、第1のモータ112と、の間に配置され、後述する制御部210に制御され、第1~第3の単巻トランス113a~113cから出力される交流電圧を切り替えるものである。第1の切替スイッチ群114aは、切替スイッチ114a1~114a3を備える。切替スイッチ114a1の一端は、第1の単巻トランス113aの第1のタップ116aに接続され、他端は第1のモータ112のV相に接続される。切替スイッチ114a2の一端は、第1の単巻トランス113aの第2のタップ117aに接続され、他端は第1のモータ112のV相に接続される。切替スイッチ114a3の一端は、第1の単巻トランス113aの第2の入力端118aに接続され、他端は第1のモータ112のV相に接続される。第1の入力端115aは、第1のモータ112のU相に接続される。第2、第3の切替スイッチ群114b、114cは、第1の切替スイッチ群114aと同様に第2、第3の単巻トランス113b、113cと第1のモータ112に接続されている。即ち、切替スイッチ114a1~114c3を操作して、第1~第3の単巻トランス113a~113cから出力される電圧を切り替える。
【0025】
切替スイッチ114a1、114b1、114c1が、制御部210の制御により、ONになると、交流電源300から出力された200V、50Hzの交流電圧は、第1~第3の単巻トランス113a~113cで58Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力される。モータ112の回転数は、例えば700rpmである。この場合、第1の送風機110は、第1の風量である弱い風を送る。切替スイッチ114a2、114b2、114c2がONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、第1~第3の単巻トランス113a~113cで101Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力される。モータ112の回転数は、例えば1100rpmである。この場合、第1の送風機110は、第1の風量より強い第2の風量で風を送る。切替スイッチ114a3、114b3、114c3がONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、そのまま第1のモータ112に出力される。モータ112の回転数は、例えば1400rpmである。この場合、第1の送風機110は、第2の風量より強い第3の風量で風を送る。切替スイッチ114a1~114c3が全てOFFになると、送風は停止される。同様に、第2と第3の送風機120、130は、制御部210の制御により、送風停止、および第1~第3の風量で送風することができる。
【0026】
検知部220は、作物Sを撮像するカメラから構成され、第2の送風機120と第3の送風機130との間に配置されている。検知部220が撮像した画像は、制御部210に送信される。
【0027】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)から構成される。制御部210は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出してRAM上で実行することにより、成長点検出部211と、風量制御部212として機能する。
【0028】
成長点検出部211は、検知部220が撮像した作物Sの画像を取得し、RAMに保存する。成長点検出部211は、検知部220が撮像した画像に写る作物Sの成長点Pの高さを検出する。まず、成長点検出部211は、公知の手法を用いて、作物Sを検出する。例えば、検知部220が撮像した画像内で、予めROMに記憶した作物Sのテンプレートに合致する部分を作物Sとして検出する。つぎに、成長点検出部211は、画像中で作物Sとして検出した最も高い部分を成長点Pとして検出する。つぎに、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pが以下に示すいずれの基準高さ範囲に属するか検出する。
【0029】
第1の基準高さ範囲Z1は、
図1に示す第1の送風機110の高さ未満である範囲である。第2の基準高さ範囲Z2は、第1の送風機110の高さ以上であり、第1の送風機110と第2の送風機120の中間の高さ未満である範囲である。第3の基準高さ範囲Z3は、第1の送風機110と第2の送風機120の中間の高さ以上であり、第2の送風機120の高さ未満である範囲である。第4の基準高さ範囲Z4は、第2の送風機120の高さ以上であり、第2の送風機120と第3の送風機130の中間の高さ未満である範囲である。第5の基準高さ範囲Z5は、第2の送風機120と第3の送風機130の中間の高さ以上であり、第3の送風機130の高さ未満である範囲である。第6の基準高さ範囲Z6は、第3の送風機130の高さ以上の範囲である。
【0030】
風量制御部212は、成長点検出部211が検出した作物Sの成長点Pが属する基準高さ範囲に応じて、第1~第3の送風機110~130の風量を表1に示すように制御する。例えば、成長点検出部211が作物Sの成長点Pを第1の基準高さ範囲Z1に含まれるとすると、風量制御部212は、第1の電圧変圧部111に含まれる切替スイッチ114a2、114b2、114c2をONにする。切替スイッチ114a2、114b2、114c2がONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、単巻トランス113a~113cで101Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力され、第1の送風機110は、第2の風量で送風する。また、風量制御部212は、第2と第3の電圧変圧部121、131に含まれる切替スイッチを全てOFFにし、第2と第3の送風機120、130の送風を停止する。成長点検出部211が作物Sの成長点Pを第4の基準高さ範囲Z4に含まれるとすると、風量制御部212は、第1の電圧変圧部111に含まれる切替スイッチ114a1、114b1、114c1をONにする。切替スイッチ114a1、114b1、114c1が、ONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、単巻トランス113a~113cで58Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力される。これにより、第1の送風機110は、第1の風量で送風する。また、風量制御部212は、200Vの交流電圧が第2のモータ122に出力され、101Vの交流電圧が第3のモータ132に出力されるように、第2と第3の電圧変圧部121、131に含まれる切替スイッチを制御する。これにより、第2の送風機120は、第3の風量で送風し、第3の送風機130は、第2の風量で送風する。
【0031】
【0032】
ROMは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成され、制御部210が各種機能を実現するためのプログラム、作物Sのテンプレート、および表1に示す作物Sの成長点Pに応じた第1~第3の送風機110~130の風量を示すデータを記憶する。RAMは、揮発性メモリから構成され、制御部210が各種処理を行うためのプログラムを実行するための作業領域として用いられる。また、RAMは、作物Sの画像を示す情報を記憶する。
【0033】
つぎに、以上の構成を有する送風システム1が実行する送風処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0034】
送風システム1は、ユーザによる処理を開始させる指示に応答し、
図4に示す送風処理を開始する。
【0035】
まず、成長点検出部211は、検知部220が撮像した作物Sの画像を取得し(ステップS101)、この画像をRAMに保存する。つぎに、成長点検出部211は、画像に写る作物Sの成長点Pを検出する(ステップS102)。例えば、画像内で、予めROMに記憶した作物Sのテンプレートに合致する部分を作物Sとして検出する。つぎに、成長点検出部211は、画像中で作物Sとして検出した最も高い部分を成長点Pとして検出する。つぎに、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pがいずれの基準高さ範囲に属するか判定する(ステップS103)。
【0036】
つぎに、風量制御部212は、成長点検出部211が検出した作物Sの成長点Pが属する基準高さ範囲に応じて、第1~第3の送風機110~130の風量を表1に示すように制御する(ステップS104)。つぎに、送風処理を終了する指示が入力されているか否かを判定する(ステップS105)。送風処理を終了する指示が入力されていない場合(ステップS105;No)、ステップS101に戻り、ステップS101~ステップS105を繰り返す。ステップS101~ステップS105を繰り返す周期は、作物の成長速度に応じて決定されるとよく、例えば、1日、1週間などである。送風処理を終了する指示が入力された場合(ステップS105;Yes)、送風処理を終了する。
【0037】
つぎに、本実施の形態に係る送風システム1が実行する処理を具体例に基づいて
図1および
図5を参照しながら説明する。
【0038】
まず、
図1に示すように、施設園芸ハウス内で作物Sが育っている例について説明する。送風システム1は、ユーザによる処理を開始させる指示に応答し、送風処理を開始する。まず、成長点検出部211は、上下、及び/又は、左右方向等の如く、広範囲に、移動できる検知部220が撮像した作物Sの画像を取得し(ステップS101;
図4)、この画像をRAMに保存する。つぎに、成長点検出部211は、画像に写る作物Sの成長点Pの高さを検出する(ステップS102;
図4)。つぎに、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pがいずれの基準高さ範囲に属するか判定する(ステップS103;
図4)。ここでは、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pが、第1の基準高さ範囲Z1に属すると判定する。
【0039】
つぎに、風量制御部212は、作物Sの成長点Pが属する第1の基準高さ範囲Z1に応じて、第1~第3の送風機110~130の風量を表1に示すように制御する(ステップS104;
図4)。具体的には、風量制御部212は、第1の電圧変圧部111に含まれる切替スイッチ114a2、114b2、114c2をONにする。切替スイッチ114a2、114b2、114c2がONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、単巻トランス113a~113cで101Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力され、第1の送風機110は、第2の風量で送風する。風量制御部212は、第2と第3の電圧変圧部121、131に含まれる切替スイッチを全てOFFにし、第2と第3の送風機120、130の送風を停止する。送風処理を終了する指示が入力されるまで、ステップS101に戻り、ステップS101~ステップS105を繰り返す。送風処理を終了する指示が入力された場合(ステップS105;Yes;
図4)、送風処理を終了する。
【0040】
つぎに、
図5に示すように、施設園芸ハウス内で作物Sが育つと、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pが第4の基準高さ範囲Z4に属すると判定する(ステップS103;
図4)。風量制御部212は、作物Sの成長点Pが属する第4の基準高さ範囲Z4に応じて、第1~第3の送風機110~130の風量を表1に示すように制御する(ステップS104;
図4)。具体的には、風量制御部212は、第1の電圧変圧部111に含まれる切替スイッチ114a1、114b1、114c1をONにする。切替スイッチ114a1、114b1、114c1が、ONになると、交流電源300から出力された200Vの交流電圧は、単巻トランス113a~113cで58Vの交流電圧に変換されて第1のモータ112に出力される。これにより、第1の送風機110は、第1の風量で送風する。同様に、風量制御部212は、200Vの交流電圧が第2のモータ122に出力され、101Vの交流電圧が第3のモータ132に出力されるように、第2と第3の電圧変圧部121、131に含まれる切替スイッチを制御する。これにより、第2の送風機120は、第3の風量で送風し、第3の送風機130は、第2の風量で送風する。
【0041】
上記構成を有する送風システム1は、作物Sの成長点Pに重点的に送風でき、作物Sの成長を促進することができる。送風システム1では、成長点検出部211により作物Sの成長点Pの高さを検出し、風量制御部212により作物Sの成長点Pが属する基準高さ範囲に応じて、第1~第3の送風機110~130の風量を制御することができる。これにより、ユーザにより第1~第3の送風機110~130の風量を調整する手間を省くことができる。また、第1~第3の送風機110~130が備える第1~第3の電圧変圧部111~131は、第1~第3の単巻トランス113a~113cと第1~第3の切替スイッチ群114a~114cとから構成されるため、軽量で小型化が可能で有り、コストも抑えることができる。例えば、第1~第3の単巻トランス113a~113cの大きさが、5.6cm×5.0cm×4.9cm、容積が137.2cm3、質量が550gであるとし、第1~第3の単巻トランス113a~113cと同等の性能を有する従来の2巻きトランスに置き換えると、2巻きトランスの大きさは、17.0cm×10.0cm×16.5cm、容積は2805.0cm3、質量は6.5kgである。第1~第3の単巻トランス113a~113cを用いた場合と、従来の2巻きトランスを用いた場合を比較すると、容積比は、(137.2cm3×3)/2805.0cm3=1/6.8≒1/7であり、質量比は、(550g×3)/6.5kg=0.254≒1/4である。この例では、従来のトランスを第1~第3の単巻トランス113a~113cに置き換えると、容積比で1/7、質量比で1/4、小型で軽量な装置で風量を調整できる。
【0042】
(変形例)
上述の実施の形態では、第1~第3のモータ112~132に出力される電圧が制御部210に制御される例について説明した。第1~第3のモータ112~132に出力される電圧は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、つまみ140で切り替えられる手動スイッチ141により切り替えられてもよい。手動スイッチ141は、
図3に示す切替スイッチ114a1~114c3をつまみ140により切り替えられるものである。このようにすることで、制御部210により切替スイッチ114a1~114c3が切り替えられる場合に比べて安価に製造することができる。この場合、第1の電圧変圧部111は、つまみ140と、手動スイッチ141と、第1~第3の単巻トランス113a~113cと、を備える筐体から構成されてもよい。
【0043】
上述の実施の形態では、第1~第3の電圧変圧部111~131が、交流電源300から出力された200V、50Hzの交流電圧を変圧する例について説明したが、交流電源300から出力される電圧は200Vに限定されず、例えば100Vであってもよい。また、周波数は50Hzに限定されず、例えば60Hzであってもよい。
【0044】
上述の実施の形態では、送風システム1が第1~第3の送風機110~130を備える例について説明したが、第1~第3の送風機110~130を単独で用いてもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、成長点検出部211が、画像中で作物Sとして検出した最も高い部分を成長点Pとして検出する例について説明したが、成長点検出部211は、最も高い部分から一定長さ低い部分を成長点Pとして検出してもよい。
【0046】
上述の実施の形態では、成長点検出部211が、検知部220により撮像された作物Sの画像から作物Sの成長点Pの高さを検出する例について説明したが、成長点検出部211は、作物Sの成長点Pの高さを検出できればよく、例えば、
図7に示すように、送風システム1は、施設園芸ハウスの天井400に配置された距離計230を備え、成長点検出部211は、距離計230から作物Sまでの距離に基づいて、作物Sの成長点Pの高さを検出してもよい。
【0047】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0048】
1 送風システム
110 第1の送風機
111 第1の電圧変圧部
112 第1のモータ
112h 羽根車
113a 第1の単巻トランス
113b 第2の単巻トランス
113c 第3の単巻トランス
114a 第1の切替スイッチ群
114b 第2の切替スイッチ群
114c 第3の切替スイッチ群
114a1~114c3 切替スイッチ
115a~115c 第1の入力端
116a~116c 第1のタップ
117a~117c 第2のタップ
118a~118c 第2の入力端
120 第2の送風機
121 第2の電圧変圧部
122 第2のモータ
122h 羽根車
130 第3の送風機
131 第3の電圧変圧部
132 第3のモータ
132h 羽根車
140 つまみ
141 手動スイッチ
210 制御部
211 成長点検出部
212 風量制御部
220 検知部
230 距離計
300 交流電源
400 天井
S 作物
P 成長点