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特許6995393制御ユニットをテストするための方法および装置
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  • 特許-制御ユニットをテストするための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】制御ユニットをテストするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/00 20110101AFI20220106BHJP
【FI】
G06T15/00 501
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020013728
(22)【出願日】2020-01-30
(62)【分割の表示】P 2015107108の分割
【原出願日】2015-05-27
(65)【公開番号】P2020102225
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】14169948.8
(32)【優先日】2014-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カーステン シャーフェ
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ピュシュル
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-005449(JP,A)
【文献】特開2014-082581(JP,A)
【文献】特開2011-100306(JP,A)
【文献】特表2013-539139(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157014(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィック処理ユニット(2)に対して割り当てられた、データ処理装置(1)の可視化インタフェース(9)に接続するための受信インタフェース(6a)と、
パケット方式のネットワークプロトコルのデータパケットを出力するための送信インタフェース(6b)と、
を有するデータ変換ユニット(6)であって、
前記データ変換ユニット(6)は、前記受信インタフェース(6a)を介して受信可能である、前記データ処理装置(1)を用いてシミュレーションにより計算されたセンサデータであって、イメージデータに符号化されたセンサデータを、前記送信インタフェース(6b)を介して送信可能である、当該センサデータを含んだネットワークデータパケットに変換するように構成され
前記データ変換ユニット(6)は、フレームレートを含む動作パラメータを前記グラフィック処理ユニット(2)に転送して、前記フレームレートでイメージデータを可視化できるように構成された可視化ユニットをシミュレートする、
ことを特徴とするデータ変換ユニット(6)。
【請求項2】
前記データ変換ユニット(6)は、前記可視化インタフェース(9)に接続される可視化ユニットをシミュレートする、請求項1記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項3】
前記データパケットは、TCP/IPプロトコルまたはUDP/IPプロトコルにしたがって転送される、請求項1または2記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項4】
前記フレームレートは、500Hzより高い、請求項1から3までのいずれか1項記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項5】
前記フレームレートは、1000Hzより高い、請求項1から3までのいずれか1項記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項6】
前記データ変換ユニット(6)として、論理回路がプログラミングされた集積回路を前記可視化インタフェース(9)に接続する、請求項1からまでのいずれか1項記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項7】
前記可視化インタフェース(9)は、DVIポートまたはHDMIポートである、請求項記載のデータ変換ユニット(6)。
【請求項8】
前記集積回路はFPGAとして構成されている、請求項または記載のデータ変換ユニット(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークリンクを介して、データ処理装置を用いてシミュレーションにより計算されたセンサデータを、実際の制御ユニットまたはシミュレートされた制御ユニットへ伝送する、当該制御ユニットのテスト方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、センサのシミュレートされたデータを処理する制御ユニットをテストするための、当該センサのデータをシミュレートするセンサデータシミュレータにも関し、当該センサデータシミュレータは、少なくとも1つのグラフィック処理ユニットを備えたデータ処理装置を含む。
【0003】
上記形式の方法および装置は、従来技術において、特に自動車サプライヤの分野において公知である。このような方法は、HIL(ハードウェア・イン・ザ・ループ)またはSIL(ソフトウェア・イン・ザ・ループ)との名称で知られている。これらの手法では、実際の技術的制御ユニットをテストするか、またはシミュレートされた制御ユニットをテストし、当該テストは、実際の自動車に当該制御ユニットが組み付けられているかのように、かつ、センサにより検出された周辺データまたは他の測定データを、当該制御ユニットが特にリアルタイムで取得するかのように、ネットワークリンクを介して、シミュレートされたセンサデータを制御ユニットへ供給することにより行われる。このようにして、たとえば、実際の測定走行を行う必要なく、制御ユニットの機能をテストすることができる。このことは特に、量産試作段階において有利である。シミュレートされた制御ユニットとはたとえばコンピュータであって、当該コンピュータ上において動作するソフトウェアにより、技術的に実際の制御ユニットのように振る舞うコンピュータを指す。
【0004】
従来技術では他の分野において、計算量が多い装置内部タスクを、データ処理装置のメインプロセッサにのみ実行させるのではなく、当該タスクのために、データ処理装置のグラフィック処理ユニットのグラフィックプロセッサの計算容量を使用することも公知である。その理由は、このグラフィックプロセッサは高パフォーマンスであり、その一部は並列アーキテクチャにもなっており、可視化タスクを実行することによってグラフィックプロセッサがフル稼働になることはないからであり、また、このようにフル稼働になることがないことにより、グラフィックプロセッサは計算タスクのための補足的または完全に利用可能なハードウェアリソースになるからである。
【0005】
その際には、グラフィックプロセッサにより計算されたデータは、その計算後にグラフィック処理ユニットのメモリからデータ処理装置のメインメモリ内に転送され、その後、当該データはこのデータ処理装置においてのみ更に処理される。
【0006】
それに対し、シミュレートされた周辺データおよび/またはセンサデータを用いた制御ユニットテスト分野では従来、データ処理装置のグラフィックプロセッサがシミュレーション用に用いられることはなかった。その理由は、計算したデータをグラフィック処理ユニットからテスト対象の制御ユニットへ供給するために十分に高速な伝送路が無かったからである。従来は、ネットワークリンクを介して転送する目的で、計算したデータをグラフィック処理ユニットからまず最初にデータ処理装置のメインメモリ内へ転送することにより、計算速度上のどのような利点も相殺されてしまっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、少なくとも1つのグラフィック処理ユニットの少なくとも1つのグラフィックプロセッサを利用して制御ユニットのテストを行うことを可能にする方法および装置を実現することである。とりわけ、この方法および装置によって、計算量が多い新規のシミュレーション用途を開拓することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、公知の上位概念の方法を発展させた本発明の方法により解決され、本発明の方法では、センサデータのシミュレーションの少なくとも一部を、前記データ処理装置の少なくとも1つのグラフィック処理ユニットの少なくとも1つのグラフィックプロセッサにより行って、シミュレートした当該センサデータをイメージデータに符号化し、可視化インタフェースを介して当該イメージデータをデータ変換ユニットへ出力し、受信した当該イメージデータを当該データ変換ユニットによって、前記センサデータを含むパケットデータに変換し、当該パケットデータをパケット方式で、特にTCP/IPプロトコルに従って、前記データ変換ユニットから前記ネットワークリンクを介して当該制御ユニットへ転送する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】3D周辺シーンを、ここでは走行中の乗用車の3D周辺シーンをシミュレートするデータ処理装置1を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
シミュレートされたセンサデータを上述のように、出力されるイメージデータに符号化することは有利には、前記少なくとも1つのグラフィック処理ユニットによって直接行うことができ、特に、前記グラフィック処理ユニットの少なくとも1つのグラフィックプロセッサによって直接行うことができる。
【0011】
したがって本発明の基本的な思想は、少なくとも1つのグラフィック処理ユニットの速度上の利点をセンサデータのシミュレーションにおいて利用すること、つまり、センサデータのシミュレーションを少なくとも1つのグラフィック処理ユニットにおいて少なくとも1つのグラフィックプロセッサによって、場合によっては、並列動作する複数のグラフィックプロセッサによって計算し、本発明では、テスト対象の制御ユニットがこのセンサデータに、外部に対する可視化用の標準的なインタフェースを介して直接アクセス可能にすることである。
【0012】
こうするためには本発明は、データ変換ユニットを用いて、前記センサデータを符号化したものを含んだ、可視化インタフェースを介して出力されたイメージデータを、ネットワークデータに変換する。つまり、制御ユニットが当該制御ユニットの少なくとも1つのデータ入力部を介して受け取ることが可能な、前記シミュレーションデータを含むネットワークデータパケットに変換する。ネットワークリンクを介して転送を行うためには、たとえばTCP/IPプロトコル、UDP/IPプロトコル、または他の適した任意のプロトコルを用いることができる。
【0013】
本発明は有利には、シミュレートしたセンサデータを出力するために使用される可視化インタフェースを、前記少なくとも1つのグラフィック処理ユニットの、構造的に一体となった構成部分であって、前記センサデータをシミュレートする構成部分とすることができる。このことにより、制御ユニットへの転送の前にある内部伝送路を回避して、シミュレーションデータに直接アクセスすることができるようになる。
【0014】
それに対し、データ処理装置において、場合によっては複数のグラフィック処理ユニットを用いる場合には、各グラフィック処理ユニットごとに専用の可視化インタフェースを設ける必要はない。シミュレーションが1つのグラフィック処理ユニット上においてのみ、または1つのグラフィックプロセッサのみを用いて実行される場合には、少なくともこのシミュレーションを実行するグラフィック処理ユニットだけは、専用の可視化インタフェースを、有利には物理的に割り当てられたハードウェア構成要素として構造的に一体で有するのが有利である。
【0015】
それに対し、複数のグラフィック処理ユニットをシミュレーションに用いる場合、本発明は、前記複数のグラフィック処理ユニットのうち1つに対してのみ、とりわけ構造的に一体であるハードウェア構成要素として割り当てられた可視化インタフェースのみを介して、センサデータを符号化したイメージデータの出力を行うように構成することもできる。
【0016】
ここで、本発明はさらに、シミュレーションに使用される全てのグラフィック処理ユニットのうち計算負荷が最大であるグラフィック処理ユニットの可視化インタフェースを、イメージデータの出力に用いるように構成することもできる。このグラフィック処理ユニットは有利には、センサデータをイメージデータに符号化するのに用いることもできる。シミュレーションに使用されている、より小さい計算負荷の他のグラフィック処理ユニットは、たとえば内部伝送路を介して、当該他のグラフィック処理ユニットにて計算したシミュレーションデータを、出力するグラフィック処理ユニットへ転送することができる。このようにして、並列処理を行う際に場合によっては必要とされる伝送路を、少ないデータ量にまで抑えることができる。
【0017】
シミュレーションに使用される他のグラフィック処理ユニットが専用の可視化インタフェースを有する場合、本発明は、これら専用の可視化インタフェースを有するグラフィック処理ユニットが、本発明のシミュレーションデータ出力に使用されないように構成することができ、これらの可視化インタフェースを他の通常の可視化に用いること、たとえばモニタ出力に用いることができる。
【0018】
本発明では、データ変換ユニットが、可視化インタフェースに接続された可視化ユニットを装うように構成することができる。その際には、この擬似化はとりわけ、出力する可視化インタフェースが割り当てられたグラフィック処理ユニットに対して、特に、当該可視化インタフェースを構造的に一体の構成部分として有しているグラフィック処理ユニットに対して行われる。具体的にはこの有利な実施形態では、データ変換ユニットがデータの出力をさせるために、当該グラフィック処理ユニットに対して技術的に、たとえばモニタであるように見せかける。
【0019】
このような実施形態が特に有利となるのは、シミュレーションに用いられる少なくとも1つのグラフィック処理ユニット自体が、少なくとも論理的に割り当てられた自身の少なくとも1つの可視化インタフェースに接続された互換性の可視化機器の有無を検査し、検出された可視化ユニットに合わせて、当該インタフェースを、ないしはイメージデータの符号化を適応調整し、たとえばイメージ解像度および/またはフレームレートを適応調整する場合である。前記自身の少なくとも1つの可視化インタフェースは、場合によっては物理的にも割り当てられ、このように割り当てるのが有利である。
【0020】
フレームレートが50Hzまたは60Hzである通常の可視化動作方式では転送レートが大きく制限されてしまうので、ここで本発明は、イメージデータの符号化と、符号化されたセンサデータを含む当該イメージデータの出力とを、現行のたとえばPAL規格またはNTSC規格に従って使用される通常の標準的なフレームレートより高いフレームレートで行うことができる。たとえば、フレームレートを500Hzより高く選択することができ、有利には1000Hzより高く選択することができる。
【0021】
本発明が、このように技術的に大きく上昇したフレームレートを用いることができるのは、シミュレートしたセンサデータを含むイメージデータは実際には可視化されず、少なくとも、本発明において本来の用途とは異なる用途で用いられる可視化インタフェースを介しては可視化されることはなく、フレームレートの上昇はデータ転送レートを上昇させるためにだけ用いられるからである。
【0022】
それゆえここでは、データ変換ユニットが、特にグラフィック処理ユニットに対し、上述のフレームレートでイメージデータを可視化できるように構成された、接続されている可視化ユニットを装うのが有利である。ここではとりわけ、上記フレームレートでのイメージデータの可視化は実際には行わない。このようにして、前記少なくとも1つのグラフィック処理ユニットの可視化インタフェースは、本発明において本来の目的外の目的で転用される。
【0023】
本発明の装置としてのセンサデータシミュレータは、可視化インタフェース(とりわけ、少なくとも1つのグラフィック処理ユニットに対して少なくとも論理的に、有利には物理的にも割り当てられた可視化インタフェース)に接続されたデータ変換ユニットを有する。前記可視化インタフェースは、とりわけVGAポート、DVIポートまたはHDMIポートである。ここでは前記データ処理装置は、特にデータ処理装置の少なくとも1つのグラフィック処理ユニットは、シミュレートされたセンサデータをイメージデータに符号化し、前記可視化インタフェースを介して前記データ変換ユニットへ当該イメージデータを出力する。前記データ変換ユニットにより、受信した前記データを、シミュレーションデータを含んだ、ネットワークインタフェースにて出力可能なデータパケットに変換することができる。前記データパケットはとりわけ、TCP/IP標準規格にしたがって出力可能なデータパケットである。
【0024】
したがって、上述の構成に対応した本発明の装置は、グラフィック処理ユニットに少なくとも論理的に割り当てられた、データ処理装置の可視化インタフェースに接続するための受信インタフェースと、パケット方式のネットワークプロトコルのデータパケットを出力するための送信インタフェースとを含むデータ変換ユニットにより構成される。前記可視化インタフェースは有利には、グラフィック処理ユニットに対して物理的にも割り当てられており、前記データ変換ユニットは、前記受信インタフェースを介して受信可能である、イメージデータに符号化された有効データを、当該有効データを含むネットワークデータパケットであって、前記送信インタフェースを介して送信可能なネットワークデータパケットに変換するように構成されている。
【0025】
ここで前記データ変換ユニットは、たとえば使用されるフレームレート等である動作パラメータを内部に記憶して保持しておき、シミュレーションを行うデータ処理装置の可視化インタフェースに接続されたときに、これを、特にその少なくとも1つのグラフィック処理ユニットを適宜構築するため、当該動作パラメータを転送するように構成することもできる。
【0026】
このようにして、本発明を使用することにより、シミュレーションにおいて特に計算量が多いリアルタイム用途を開拓できるという利点も奏される。たとえば、自動車分野においてたとえば自律操縦車両に用いられるライダ(Light Detection and Range)センサのセンサデータを、前記データ処理装置によって、ないしはデータ処理装置の少なくとも1つのグラフィック処理ユニットによってシミュレートする構成も可能である。本発明をこのような用途に使用するのが有利ではあるが、本発明はこの用途に限定されない。
【0027】
ここで本発明は、データ処理装置によって、特にデータ処理装置の少なくとも1つのグラフィック処理ユニットによって、周辺環境の3Dシーンのシミュレートと、当該3Dシーン内に位置決めされたライダセンサをシミュレートしたもの、たとえば、当該シミュレートされた3Dシーン内において自動車により移動するライダセンサをシミュレートしたものによる当該3Dシーンの測定値の取得との双方を行うように構成することもできる。このようにして、実際の具体的な測定走行を行わずに、またライダセンサが実際に存在しなくても、ライダセンサ用の制御ユニットをテストすることができる。
【0028】
センサデータのシミュレーションは、たとえばいわゆるシェーダを用いて行うことができる。このシェーダはソフトウェアで、特に前記少なくとも1つのグラフィック処理ユニット上に実装することができ、特に、前記グラフィック処理ユニットの少なくとも1つのグラフィックプロセッサにより実行されるものである。
【0029】
また、シェーダの機能をハードウェア回路で具現化すること、たとえば特定用途集積回路(ASIC)として具現化することも可能である。
【0030】
グラフィック処理ユニットとは本発明では、データ処理装置の一体となった構成部分、特にデータ処理装置のマザーボードの一体となった構成部分とすることができるユニットと、これに代えて択一的に、データ処理装置から取り外し可能である別体のユニット、特に拡張カードとすることができるユニットとの双方を指し、グラフィック処理ユニットはそれぞれ少なくとも1つのグラフィックプロセッサと、有利には少なくとも1つの専用のグラフィックメモリとを有する。このグラフィック処理ユニットには、イメージデータをたとえばモニタ等の可視化ユニットへ出力するのに用いることができる少なくとも1つの可視化インタフェースを、少なくとも論理的に割り当てることもできる。また、グラフィック処理ユニットの可視化インタフェースをグラフィック処理ユニットに物理的に直接割り当てること、つまり、グラフィック処理ユニットの一体となったハードウェア構成部分とすることも有利である。このようにして、少なくともこのような構成のグラフィック処理ユニットでは、データ処理装置内部であってかつグラフィック処理ユニットの外部において、シミュレートされたセンサデータのために更にデータ伝送路を設ける必要がなくなる。
【0031】
したがって上述の用途では、可視化インタフェースを介して出力されるイメージデータに、ライダセンサのセンサデータを符号化することができ、たとえば具体的には、距離値と反射値ないしは輝度値と、場合によっては角度位置とを符号化することができる。たとえば、通常はイメージデータに含まれる色値の位置に、シミュレートされたライダセンサの距離値を符号化することができる。
【0032】
受信したイメージデータに符号化されたセンサデータはデータ変換ユニットを用いて、たとえばソフトウェア方式で変換することができるが、有利な実施形態では、論理回路をプログラミングした、前記可視化インタフェースに接続される集積回路によって変換することも可能である。前記集積回路はとりわけ、DVIポートまたはHDMIポートに接続される集積回路である。このような集積回路は、FPGAとして構成することもできる。
【実施例
【0033】
以下、ライダセンサに用いられるときの本発明の実施例について、図1を参照して説明する。
【0034】
図1に、3D周辺シーンを、ここでは走行中の乗用車の3D周辺シーンをシミュレートするデータ処理装置1を概略的に示している。同図ではまた、乗用車に装着されたライダセンサもシミュレートされ、このライダセンサは当該シミュレーションでは、当該乗用車の周辺を測定技術により検出するものである。ライダセンサの測定値のシミュレーション計算は、シミュレートされた周辺データに基づき、データ処理装置1のグラフィック処理ユニット2の少なくとも1つのグラフィックプロセッサを用いて行われる。もちろん、ライダセンサのシミュレーション時とは別のデータ処理装置上において、3D周辺シーンのシミュレーションを計算することも可能である。周辺データおよびセンサデータを双方とも、グラフィック処理ユニット2によって計算/シミュレートすることも可能である。このグラフィック処理ユニット2は、少なくとも上述のセンサデータのシミュレーションに際しては、ライダのセンサシミュレートデータをイメージデータに符号化し、可視化インタフェース9を介して、たとえばDVIポートを介して、たとえばPAL規格またはNTSC規格より上昇したフレームレートで、たとえば1000Hzのフレームレートで、このイメージデータを出力するために専用に設けられたシェーダ3を用いることができる。これと並行して、グラフィック処理ユニット2において別のシェーダ4を動作させて、シミュレートされたシーンの通常の可視化を、たとえばモニタ5上において行うこともできる。
【0035】
ここで本発明に重要なのは、自身の受信インタフェース6aを介して前記イメージデータを受け取るデータコンバータ6であって、前記センサデータを含むネットワークパケットに、前記イメージデータとして受信したセンサデータを変換するためのデータコンバータ6を用いることである。なお、前記ネットワークパケットは、ライダセンサのテスト対象の制御ユニット8が送信インタフェース6bを介して上述のシミュレートデータを受け取るためのものである。前記データコンバータ6はここではたとえばFPGAとして実現されており、前記ネットワークパケットはたとえばイーサネットネットワークリンク7用のネットワークパケットである。
【0036】
本来の用途が異なる標準可視化インタフェース9を介してグラフィック処理ユニット2から直接、センサシミュレートデータを出力することにより、データ処理装置1内部の伝送路を回避することができ、このことにより、計算量が多いリアルタイム用途、たとえばここではライダセンサデータのシミュレーションを、本発明により開拓することもできる。
図1