(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】充放電管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20220106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220106BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220106BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20220106BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J7/00 P
H02J7/34 B
H02J3/32
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
(21)【出願番号】P 2021058400
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520349551
【氏名又は名称】株式会社Yanekara
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松藤 圭亮
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068672(JP,A)
【文献】特開2017-051039(JP,A)
【文献】特開2017-046421(JP,A)
【文献】特開2017-085781(JP,A)
【文献】特開平06-178461(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M10/42-10/48
H02J 3/00- 7/12
7/34- 7/36
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電管理システムであって、
電気自動車が備える二次電池を含む複数の二次電池それぞれが出力する直流電力を交流電力に変換して電力系統に放電するDC/ACインバータと、
直流電源が出力する直流電力を前記複数の二次電池を充電するための直流電力に変換するDC/DCコンバータと、
前記複数の二次電池と一対一に接続する複数のリレーであって、当該複数のリレーのそれぞれは一端が前記DC/ACインバータと前記DC/DCコンバータとの両方に接続するとともに他端が前記複数の二次電池のうちのいずれかの二次電池と接続する複数の充放電用リレーと、
前記複数の二次電池それぞれから取得した充放電プロファイルと、通信ネットワークを介して前記充放電管理システムとは異なる他のシステムから受信した指示であって前記複数の二次電池のうちのいずれかの二次電池に放電させる電力量を含む指示と、にしたがって、前記DC/ACインバータの動作、前記DC/DCコンバータの動作、及び前記複数の充放電用リレーそれぞれの開閉を制御する制御装置と、を備え
、
前記制御装置は、前記複数の二次電池それぞれから取得した充放電プロファイルに基づいて前記電力量を放電可能な二次電池を選択して順に放電させる、
充放電管理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記充放電管理システムのユーザから前記二次電池の充放電を停止する指示を取得する停止指示取得部を備える。
請求項1に記載の充放電管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の二次電池それぞれから取得した充放電プロファイルに基づいて前記電力量を放電可能な二次電池を放電可能電力の大きさでソートし、放電可能電力が大きい二次電池を優先して選択する、
請求項1又は2に記載の充放電管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の充放電用リレーのうち閉状態となっている充放電用リレーの数が常に1以下となるように、前記充放電用リレーを制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の充放電管理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の二次電池それぞれを充放電する際の優先順位にしたがって充電又は放電する二次電池を選択する、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の充放電管理システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記充放電管理システムのユーザからの指示があったタイミングで放電時の優先順位を更新する、
請求項5に記載の充放電管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池、商用電源、及び太陽電池を負荷に並列に接続し、商用電源の停電時に備えて負荷で消費される電力のバックアップとして蓄電池を用いるとともに、通常時は負荷で消費される電力のピークカットのために蓄電池の電力を放電する蓄電システムが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、このような蓄電池システムの蓄電池として電気自動車が備える二次電池を利用することにより、電気自動車をエネルギーストレージ化する可能性について認識するに至った。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電気自動車をエネルギーストレージ化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、充放電管理システムである。このシステムは、電気自動車が備える二次電池を含む複数の二次電池それぞれが出力する直流電力を交流電力に変換して電力系統に放電するDC/ACインバータと、直流電源が出力する直流電力を前記複数の二次電池を充電するための直流電力に変換するDC/DCコンバータと、前記複数の二次電池と一対一に接続する複数のリレーであって、当該複数のリレーのそれぞれは一端が前記DC/ACインバータと前記DC/DCコンバータとの両方に接続するとともに他端が前記複数の二次電池のうちのいずれかの二次電池と接続する複数の充放電用リレーと、前記DC/ACインバータの動作、前記DC/DCコンバータの動作、及び前記複数の充放電用リレーそれぞれの開閉を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
前記制御装置は、前記充放電管理システムのユーザから前記二次電池の充放電を停止する指示を取得する停止指示取得部を備えてもよい。
【0008】
前記制御装置は、通信ネットワークを介して前記充放電管理システムとは異なる他のシステムから受信した指示にしたがって、前記二次電池の電力を系統に放電するように前記DC/ACインバータの動作、前記DC/DCコンバータの動作、及び前記充放電用リレーの開閉を制御してもよい。
【0009】
前記制御装置は、前記複数の充放電用リレーのうち閉状態となっている充放電用リレーの数が常に1以下となるように、前記充放電用リレーを制御してもよい。
【0010】
前記制御装置は、前記複数の二次電池それぞれの充放電プロファイルを取得して、当該充放電プロファイルにしたがって各二次電池の充放電を実行してもよい。
【0011】
前記制御装置は、前記複数の二次電池それぞれを充放電する際の優先順位にしたがって充電又は放電する二次電池を選択してもよい。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気自動車をエネルギーストレージ化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る充放電管理システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る二次電池が直流電力による充電状態となっている場合の充放電管理システムの回路構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る二次電池が交流電力による充電状態となっている場合の充放電管理システムの回路構成を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る二次電池が放電状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態に係る二次電池が待機状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る制御装置が参照する順位データのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態の概要>
本発明の実施の形態に係る充放電管理システムSは、複数の二次電池を商用電力系統と並列に接続し、商用電源と二次電池との両方から負荷へ電力を供給する。また、実施の形態に係る充放電管理システムSは太陽電池も備えており、太陽電池が発電した電力で二次電池を充電することができる。特に、実施の形態に係る充放電管理システムSは、複数の二次電池のうちの少なくとも一つの二次電池が、電気自動車が備える二次電池となっている。すなわち、実施の形態に係る充放電管理システムSは、太陽電池を電力の供給源とする電気自動車の充電ステーションであるとともに、充放電管理システムSに接続されている電気自動車の二次電池の電力を負荷に供給するエネルギーストレージとしても機能する。
【0016】
<充放電管理システムSの回路構成>
図1は、実施の形態に係る充放電管理システムSの構成を模式的に示す図である。充放電管理システムSは、制御装置1、複数の二次電池2、DC電源3、DC/DCコンバータ4、DC/ACインバータ5、電力系統6、電力計7、分電盤8、負荷9、複数の充放電用リレー10、PV(Photovoltaics)用リレー11、複数の交流電力充電用リレー12、充放電停止インタフェース13、計測/制御システムC、及び複数の電流計A及び電圧計Vを備える。
図1において、実線は直流の電力線、一点鎖線は交流の電力線を示している。また、破線は有線又は無線による通信線を示している。なお、「DC(Direct Current)」は直流を意味し、「AC(Alternating Current)」は交流を意味する。
【0017】
二次電池2は、蓄えている電力を放電したり、繰り返し充電したりすることができる。実施の形態に係る充放電管理システムSは複数の二次電池2を備えているが、そのうち少なくとも1つは電気自動車が備える二次電池である。
図2では、第1二次電池2a、第2二次電池2b、及び第n二次電池2n(nは2以上の整数)が図示されている。以下、第1二次電池2a、第2二次電池2b、及び第n二次電池2nを特に区別する場合を除いて、単に「二次電池2」と記載する。
【0018】
DC電源3は、再生可能エネルギーの発電装置であり二次電池2を充電するための電力を供給する。再生可能エネルギーの発電装置は、例えば太陽電池アレイ等の直流電源を用いて実現できる。しかしながら、再生可能エネルギーの発電装置アレイに限られず、例えば風力発電装置であってもよく、またこれらが併存していてもよい。
【0019】
DC/DCコンバータ4は、DC電源3が出力する直流電力を複数の二次電池2を充電するための直流電力に変換する。DC/ACインバータ5は、複数の二次電池2それぞれが出力する直流電力を交流電力に変換して電力系統6に放電する。
【0020】
電力系統6は、電力会社からの交流電力を供給するための電力システムである。電力計7は、充放電管理システムSにおいて用いられている電力系統6の電力を計測する。分電盤8は、DC/ACインバータ5の出力及び電力系統6に接続され、交流電力を負荷9に供給させるための設備である。負荷9は、交流電力で駆動する交流駆動型の電気機器である。
【0021】
充放電用リレー10は、一端が複数の二次電池2のいずれかと一対一に接続され、他端が分岐点を介してDC/DCコンバータ4とDC/ACインバータ5との両方に接続する。充放電用リレー10は、制御装置1の制御の下、二次電池2とDC/DCコンバータ4又はDC/ACインバータ5とを接続したり、切断したりする。煩雑となることを避けるため、
図2では、各二次電池2に接続されている充放電リレーを「充放電用リレー10」と記載しているが、以下、例えば第1二次電池2aに接続されている充放電リレーを第1充放電用リレー10aのように二次電池2に付された符号と同じ符号を用いて記載することがある。PV用リレー11は、一端がDC電源3に接続され、他端がDC/DCコンバータ4に接続されている。PV用リレー11は、制御装置1の制御の下、DC電源3とDC/DCコンバータ4とを接続したり、切断したりする。
【0022】
図2において、複数の電流計Aはそれぞれ円の中にAという符号を付した記号で示されている。複数の電流計Aは、それぞれ複数の二次電池2のうちのいずれかと一対一に接続されており、各二次電池2を充電するための電流と、各二次電池2から放電される電流とを計測する。また、複数の電流計Aのうち一つの電流計AはDC/ACインバータ5の交流側の端子に接続されており、DC/ACインバータ5が出力する交流電流を計測する。
【0023】
電流計Aと同様に、
図2において、複数の電圧計Vはそれぞれ円の中にVという符号を付した記号で示されている。複数の電圧計Vは、それぞれ複数の二次電池2のうちのいずれかと一対一に接続されており、各二次電池2の電圧を計測する。また、複数の電圧計Vのうち一つの電圧計Vは、DC/DCコンバータ4の端子のうち二次電池2側の端子及びDC/ACインバータ5の直流側の端子に接続されており、二次電池2の充電電圧や二次電池2から放電される電圧を計測する。
【0024】
複数の交流電力充電用リレー12は、それぞれ一端が複数の交流電力充電用リレー12と一対一で接続されており、他端は分電盤8を介して電力系統6と接続している。交流電力充電用リレー12が開状態のときその交流電力充電用リレー12と接続している二次電池2は、電力系統6の電力を用いて充電される。この場合、二次電池2は負荷9の一種と考えることもできる。実施の形態に係る充放電管理システムSはエネルギーストレージとして電気自動車が備える二次電池を利用している。DC電源3が発電する電力の大きさは天候等によって上下するため、電気自動車の充電をDC電源3の電力のみに依存するとユーザが電気自動車の使用を望むときに十分な充電がなされていないということも起こりうる。そのため、実施の形態に係る充放電管理システムSは二次電池2を電力系統6の電力で充電するための回路も備えている。
【0025】
計測/制御システムCは充放電管理システムSとは異なる他のシステムであり、クラウド上に存在する。計測/制御システムCは、充放電管理システムSで用いられている電力を計測したり、二次電池2の電力を放電することを制御装置1に指示したりする。詳細は後述するが、計測/制御システムCは、インターネット等のネットワークを介して複数の異なる充放電管理システムSと通信可能な態様で接続し、各充放電管理システムSに対して二次電池2の放電を依頼することができる。
【0026】
制御装置1は、上述の複数の二次電池2、DC電源3、DC/DCコンバータ4、DC/ACインバータ5、電力系統6、電力計7、分電盤8、負荷9、複数の充放電用リレー10、PV用リレー11、複数の交流電力充電用リレー12、計測/制御システムC、及び複数の電圧計A及び電圧計Vそれぞれと通信線を介して通信可能な態様で接続されている。制御装置1は、電流計Aや電圧計Vが計測した物理量を参照して、DC/DCコンバータ4の動作、DC/ACインバータの動作、複数の充放電用リレー10それぞれの開閉、PV用リレー11の開閉を制御する。制御装置1は記憶部Mを備えており、各リレーの制御に必要なデータを格納している。
【0027】
これにより、実施の形態に係る充放電管理システムSは、電気自動車が備える二次電池を含む複数の二次電池2を充電するとともに、二次電池2の電力を電力系統6に接続された負荷9に放電したり、二次電池2から電力系統6に電力を逆潮させたりすることができる。結果として、充放電管理システムSは、電気自動車のエネルギーストレージ化を実現できる。
【0028】
充放電停止インタフェース13は、充放電管理システムSのユーザが二次電池2の充電又は放電を強制的に停止するためのインタフェースであり、例えば物理的なボタンである。ユーザが充放電停止インタフェース13を押下すると、二次電池2の充放電を停止することを指示する信号である停止信号が制御装置1に送信される。制御装置1は停止指示取得部130を介して充放電停止インタフェース13と接続しており、停止指示取得部130は、充放電停止インタフェース13から送信された停止信号を受信して取得する。制御装置1は、停止指示取得部130が停止信号を取得することを契機として各リレーを制御して、二次電池2の充放電を停止する。これにより、充放電管理システムSのユーザは、二次電池2の充放電を停止させることができる。
【0029】
<二次電池2の動作状態>
実施の形態に係る二次電池2は、制御装置1による制御の下、DC電源3等の電力によって充電されている充電状態、二次電池2電力を電力系統6に放電する放電状態、及び充電も放電もされていない待機状態を取り得る。以下、二次電池2が取り得る各動作状態を説明する。
【0030】
(直流電力による充電状態)
図2は、実施の形態に係る二次電池2が直流電力による充電状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。煩雑となることを避けるため、
図2では通信線の図示を省略している。制御装置1は、充放電用リレー10及びPV用リレー11の動作を制御して、直流電力による二次電池2の充放電を制御する。
【0031】
DC電源3の電力を用いて二次電池2を充電するためには、当然ながら、制御装置1はPV用リレー11を閉じてDC電源3をDC/DCコンバータ4に通電させる必要がある。また、制御装置1は、充放電用リレー10を閉じてDC/DCコンバータ4を二次電池2に通電させる必要がある。ここで、制御装置1は、2以上の二次電池2が同時に充電されないように、充放電用リレー10の動作を制御する。換言すると、制御装置1は、二次電池2をDC電源3の直流電力で充電させる際には、複数の充放電用リレー10のうち閉状態となっている充放電用リレー10の数が常に1となるように、充放電用リレー10を制御する。
【0032】
例えば、
図2は、複数の充放電用リレー10のうち、第2充放電用リレー10bのみが閉状態であり、その他は全て開状態である様子を示している。したがって、
図2は、DC電源3の電力によって第2二次電池2bが充電されている場合の例を示している。なお、
図2において太線で示している電力線が通電している電力線である。以下、
図3及び
図4においても同様である。
【0033】
仮に、2以上の充放電用リレー10が同時に閉状態となると、2以上の二次電池2が通電する状態となり、二次電池2間で充電や放電がなされることになりかねない。制御装置1は、複数の充放電用リレー10のうち閉状態となっている充放電用リレー10の数が常に1以下となるように充放電用リレー10を制御することにより、二次電池2間で充放電が行われることを抑制できる。
【0034】
上述したように、実施の形態に係る充放電管理システムSが充放電の対象とする複数の二次電池2の中には電気自動車が備える二次電池も含まれている。このため、実施の形態に係る充放電管理システムSが充放電の対象とする複数の二次電池2は、それぞれ性能の異なる可能性があり、かつあらかじめどのような性能の二次電池2であるか分からないことも起こりうる。
【0035】
そこで、制御装置1は、複数の二次電池2それぞれの充放電プロファイルを取得して、その充放電プロファイルにしたがって各二次電池の充放電を実行する。ここで「充放電プロファイル」とは、二次電池2の充電率、定格容量、充放電電力の上下限、充電率の上下限等を含む情報である。複数の二次電池2のうち、設置後に移動することが想定されていない備え付けの二次電池2の充放電プロファイルについては、二次電池2を設置後に制御装置1の記憶部Mに格納される。制御装置1は、これらの充放電プロファイルは記憶部Mから読み出すことによって取得する。
【0036】
これに対し、電気自動車が備える二次電池2の充放電プロファイルについては、制御装置1はあらかじめ取得することはできない。そこで、制御装置1は、電気自動車が備える二次電池2については、既知のCHAdeMO(登録商標)の規格に則った方法で充電をする。制御装置1は、既知のCAN(Controller Area Network)通信を介して電気自動車から充放電プロファイルを受信して取得し、記憶部Mに格納する。これにより、制御装置1は、二次電池2の充放電プロファイルが不明な場合であっても、二次電池2を備える電気自動車から充放電プロファイルを受信することにより、二次電池2を安全に充電したり二次電池2の電力を安全に放電したりすることができる。
【0037】
(交流電力による充電状態)
図3は、実施の形態に係る二次電池2が交流電力による充電状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。
図2と同様に、
図3おいても通信線の図示を省略している。制御装置1は、交流電力充電用リレー12の動作を制御して、交流電力による二次電池2の充放電を制御する。
【0038】
具体的には、実施の形態に係る充放電管理システムSが備える二次電池2は、交流電源の電力で充電するためのコネクタ(不図示)も備えている。制御装置1は、交流電源の電力で充電するためのコネクタに交流電力のコネクタが接続されることを契機とし、充放電用リレー10が開状態となっていることを条件として、対応する交流電力充電用リレー12を閉状態とする。例えば、
図3は、第1二次電池2aと第2二次電池2bとが交流電力によって充電されている場合の例を示している。このため、制御装置1は、第1交流電力充電用リレー12aと第2交流電力充電用リレー12bとを閉状態とするとともに、第1充放電用リレー10aと第2充放電用リレー10bとは開状態としている。
【0039】
これにより、充放電管理システムSのユーザは、使用予定のある電気自動車の二次電池2を、天候に左右されることなく充電することができる。なお、
図3に示すように、交流電力を用いて二次電池2を充電する場合、各二次電池2は電気的に切断されている。このため、制御装置1は、2以上の二次電池2が交流電力を用いて同時に充電される状態、すなわち、2以上の交流電力充電用リレー12が同時に閉となる状態を許容している。
【0040】
(放電状態)
実施の形態に係る二次電池2の放電状態について説明する。
図4は、実施の形態に係る二次電池2が放電状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。
図2と同様に、
図4おいても通信線の図示を省略している。制御装置1は、充放電用リレー10の動作を制御して、交流電力による二次電池2の充放電を制御する。
【0041】
二次電池2が蓄える電力は、DC/ACインバータ5によって交流電力に変換された後、分電盤8に供給される。二次電池2の電力を分電盤8に供給するためには、制御装置1は、充放電用リレー10を閉じて二次電池2をDC/ACインバータ5に通電させる必要がある。ここで、制御装置1は、2以上の二次電池2が同時に放電されないように、充放電用リレー10の動作を制御する。換言すると、制御装置1は、二次電池2を放電させる際には、複数の充放電用リレー10のうち閉状態となっている充放電用リレー10の数が常に1となるように、充放電用リレー10を制御する。これにより、制御装置1は、二次電池2の放電時に二次電池2間で充放電が行われることを抑制できる。
【0042】
(待機状態)
実施の形態に係る二次電池2の待機状態について説明する。
図5は、実施の形態に係る二次電池2が待機状態となっている場合の充放電管理システムSの回路構成を模式的に示す図である。充放電管理システムSに接続されている全ての二次電池2が満充電状態である場合や、DC電源3からの電力供給がない(例えば、太陽電池が発電していない)場合等の理由で二次電池2の充電ができず、かつ負荷9の消費電力がピークに達していないためピークカットの必要がなく二次電池2の放電の必要がないようなとき、制御装置1は、全ての充放電用リレー10を開状態にして二次電池2をDC/DCコンバータ4及びDC/DCコンバータ4から電気的に切断する。これにより、制御装置1は、二次電池2が過充電となることを抑制できる。
【0043】
以上をまとめると、制御装置1は、複数の充放電用リレー10のうち閉状態となっている充放電用リレーの数が常に1以下となるように、充放電用リレー10を制御する。これにより、制御装置1は、二次電池2間で充放電が行われること、及び二次電池2が過充電となることを抑制できる。
【0044】
<二次電池2の充放電の順序>
以上、制御装置1が二次電池2の充放電時に行う各リレーの開閉制御について説明した。次に、充放電管理システムSが備える複数の二次電池2をどのような順番で充放電するかについて説明する。
【0045】
実施の形態に係る制御装置1は、複数の二次電池それぞれを充放電する際の優先順位を定めた順位データを記憶部Mに格納している。制御装置1は、複数の二次電池それぞれを充放電する際の優先順位にしたがって、充電又は放電する二次電池を選択する。
【0046】
図6は、実施の形態に係る制御装置1が参照する順位データのデータ構造の一例を模式的に示す図である。順位データは記憶部Mに格納されており、制御装置1によって管理されている。
図6は、順位データが二次電池2の充電時の優先順位と放電時の優先順位とを別々に格納する場合の例を示しており、
図6には充電時の順位データのデータ構造が示されている。
【0047】
図6に示すように、制御装置1は、各二次電池2それぞれに割り当てられた電池識別子を用いて各二次電池2を管理している。順位データは、各電池識別子に紐づけて、二次電池2の種別、二次電池2の現在の充電率等の物理量、及び充電の優先順位を格納している。例えば、
図6に示す例では、優先順位が1位である二次電池2は電池識別子がBID002で特定される二次電池2である。この二次電池2は電気自動車が備える二次電池であり、その充電率はQ%である。
【0048】
制御装置1は、所定の更新タイミング(例えば、一つの二次電池2の充電が完了したタイミング、又は1時間毎のように特定の時間間隔の周期的なタイミング)で順位データを更新する。具体的には、制御装置1は、更新タイミングにおける各二次電池2の充電率を計測し、その充電率が小さい二次電池2ほど充電の優先順位を高くなるよう順位データを更新する。
【0049】
制御装置1は、ユーザからの指示があったタイミングで充電時の順位データを更新してもよい。実施の形態に係る充放電管理システムSが充放電対象とする二次電池2には電気自動車が備える二次電池も含まれている。このため、ユーザが電気自動車の使用を望む場合等には、制御装置1は、二次電池2の充電率にかかわらず優先的に電気自動車の二次電池2の充電をすべきである。このため、ユーザから特定の二次電池2の充電を優先すべき指示を取得した場合、制御装置1は、充電時の順位データを更新して指示のあった二次電池2の充電を開始する。
【0050】
なお、制御装置1は、電気自動車が備える二次電池の充電を、固定型の二次電池2に優先するように順位データを作成してもよい。これにより、制御装置1は、電気自動車が備える二次電池が充放電管理システムSに接続されている場合には、電気自動車の二次電池2から充電を開始することができる。これにより、ユーザが頻繁に電気自動車を利用する場合等に、ユーザは電気自動車の二次電池2の充電を優先すべき旨を制御装置1に指示する手間を省略することができる。
【0051】
充電時の順位データの更新と同様に、制御装置1は、所定の更新タイミングで放電時の順位データを更新する。具体的には、制御装置1は、更新タイミングにおける各二次電池2の充電率を計測し、その充電率が大きい二次電池2ほど放電の優先順位を高くなるよう順位データを更新する。これにより、制御装置1は、充電率の低い二次電池2を放電して二次電池2を過放電する事態を抑制できる。
【0052】
また、制御装置1は、ユーザからの指示があったタイミングで放電時の順位データを更新してもよい。このため、例えば固定型の二次電池2等、ユーザから特定の二次電池2の放電を優先すべき指示を取得した場合、制御装置1は、放電時の順位データを更新する。これにより、電気自動車の二次電池2の放電の優先順位が下がるので、ユーザは電気自動車の使用を望む際に電気自動車の二次電池2の充電率が低下している確率を下げることができる。
【0053】
<計測/制御システムCの指示による放電>
実施の形態に係る充放電管理システムSは、電気自動車が備える二次電池2を含む二次電池2をエネルギーストレージ化することを実現するが、これは、電力会社による電力需給のバランスを調整して系統を安定化させるための、いわゆる「調整力」として機能し得る。これを実現するために、制御装置1は、通信ネットワークを介して計測/制御システムCはから受信した指示にしたがって、二次電池2の電力を電力系統6に放電するようにDC/DCコンバータ4の動作、DC/ACインバータ5の動作、及び充放電用リレー10の開閉を制御する。
【0054】
具体的には、ある地域の電力需要が逼迫している場合、又は逼迫することが予測できる場合に、電力会社は計測/制御システムCに対して放電を促す指令を出す。指令を受けた計測/制御システムCは、その地域に存在する充放電管理システムSに対して、二次電池2の放電の指示を送信する。
【0055】
例えば、電力会社は、計測/制御システムCに対してX[kW]の放電をY[分]継続するように指令を出す。この結果、計測/制御システムCは、電力会社からの指令に応えるために、XY[kWh]の電力量が必要であることが計算できるので、充放電管理システムSに対して、XY[kWh]の電力量を放電することを促す指示を送信する。この指示を受け取った制御装置1は、各二次電池2の充放電プロファイルを取得してXY[kWh]の放電が可能な二次電池2(具体的には、充電率の下限にXY[kWh]を加えた受電率を有している二次電池2)を選択し、選択した二次電池2を放電可能電力の大きさでソートする。その後、制御装置1は、放電可能電力が大きい二次電池2を優先して順に放電させる。これにより、制御装置1は、充放電管理システムSが存在する地域の電力需要を二次電池2で補い、電力の逼迫を抑制することができる。
【0056】
<実施の形態に係る制御装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る制御装置1によれば、電気自動車をエネルギーストレージ化することができる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【0058】
<変形例>
上記では、制御装置1が、二次電池2の充電率に基づいて順位データを更新する場合について説明した。しかしながら、制御装置1が順位データを更新する際に参照する情報は二次電池2の充電率に限られない。この他、制御装置1は、二次電池2の充電完了までの予想時間、二次電池2の最大充電容量、二次電池2の定格電圧や定格電流等に基づいて、順位データを更新してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1・・・制御装置、
2・・・二次電池
3・・・DC電源
4・・・DC/DCコンバータ
5・・・DC/ACインバータ
6・・・電力系統
7・・・電力計
8・・・分電盤
9・・・負荷
10・・・充放電用リレー
11・・・PV用リレー
12・・・交流電力充電用リレー
13・・・充放電停止インタフェース
130・・・停止指示取得部
A・・・電流計
C・・・計測/制御システム
M・・・記憶部
S・・・充放電管理システム
V・・・電圧計
【要約】
【課題】電気自動車をエネルギーストレージ化する。
【解決手段】DC/ACインバータ5は、電気自動車が備える二次電池2を含む複数の二次電池それぞれが出力する直流電力を交流電力に変換して電力系統6に放電する。DC/DCコンバータ4は、DC電源3が出力する直流電力を複数の二次電池2を充電するための直流電力に変換する。複数の充放電用リレー10のそれぞれは一端がDC/ACインバータ5とDC/DCコンバータ4との両方に接続するとともに他端が複数の二次電池2のうちのいずれかの二次電池2と一対一に接続する。制御装置1は、DC/ACインバータ5の動作、DC/DCコンバータ4の動作、及び複数の充放電用リレー10それぞれの開閉を制御する。
【選択図】
図1