(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20220106BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
E06B7/28 F
(21)【出願番号】P 2017102136
(22)【出願日】2017-05-23
【審査請求日】2020-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391016886
【氏名又は名称】日本フネン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和夫
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-214401(JP,A)
【文献】実開昭51-034223(JP,U)
【文献】特開2001-205995(JP,A)
【文献】米国特許第04327788(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54-3/88
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
該フレームに取り付けられる、一対の溝間に形成された突条を有する化粧板と、
該化粧板の突条に被せて設置される化粧部材と、を備え、
該化粧部材は、
内面が前記突条の表面と対向するように配置されるカバープレートと、
該カバープレートの両側端縁に基端縁が連結された一対の側壁プレートと、を備えており、
該一対の側壁プレートは、
先端縁から前記カバープレートの内面までの長さが前記突条の高さ以上であり、
各側壁プレート
は、その一方の側面
が前記カバープレートを被せる前記突条の側面
または前記突条を挟む溝の側面
のいずれか一方に連結されており、
前記一対の溝は、
その幅が
各側壁プレートの厚さよりも長く形成されており、
前記側壁プレートの内面を前記カバープレートを被せる前記突条の側面に連結した状態において、該側壁プレートの外面と前記突条を挟む溝の側面との間に各側壁プレートの厚さ以上の幅を有する空間が形成される長さに形成されている、
または、
前記側壁プレートの外面を前記突条を挟む溝の側面に連結した状態において、該側壁プレートの内面と前記突条の側面との間に各側壁プレートの厚さ以上の幅を有する空間が形成される長さに形成されている
ことを特徴とするドア。
【請求項2】
前記化粧部材は、
前記化粧板に着脱可能に連結されている
ことを特徴とする請求項1記載のドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに関する。さらに詳しくは、マンションやホテルなどの玄関に設けられる金属製のドアに関する。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅やマンションなどの居住用建物に使用される鋼製の玄関ドアは、矩形のフレームの両面に化粧鋼板を取り付けて製作されるのが一般的である(例えば特許文献1)。
【0003】
かかる玄関ドアに装飾を行う方法として、ドアの表面に凹凸を形成して模様を形成することが行われている。例えば、化粧鋼板に溝を形成したり、化粧鋼板の表面に板材や板材を折り曲げて箱状に形成した加工品などを貼り付けたりして、ドアの表面に凹凸を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、化粧鋼板に溝による装飾を形成する場合、プレス等によって溝を形成する。このため、溝の幅や深さを一度決定すると、溝の幅や深さを変更することは難しく、一定の幅や深さの溝しか形成できない。
【0006】
一方、化粧鋼板に板材を貼り付けて凸部を形成する場合は、板材を変更すれば凸部の幅や高さ等を調整できるものの、取り付け方法は面付けとなり化粧鋼板と板材との間に隙間が発生しやすくなるし、取り付け強度も弱くなる。しかも、板材の端面が露出した状態となるため、端面に錆などが発生する可能性がある。板材の端面に錆が発生した場合、ドアの見栄えが悪くなるので、防錆処理をしなければならない。すると、ドアの装飾のために余分な工程が必要となりドアの製造コストが増加するし、防錆処理を施すことによってドアの見栄えが悪くなる。
【0007】
板材を折り曲げて箱状に形成した加工品を化粧鋼板に貼り付ける場合も、取り付け方法が面付けとなるので、化粧鋼板と加工品との間に隙間が発生しやすくなるし、取り付け強度も弱くなる。しかも、加工品を形成するために板材を折り曲げる場合、曲げ寸法(加工品の高さ)を6mm以上としなければ加工が難しい。このため、化粧鋼板に設置する加工品の高さが高くなり、化粧鋼板の凸部の高さが高くなる。すると、化粧鋼板が設置されたドアでは、凸部(加工品)と物が接触しやすくなるので、凸部(加工品)やぶつかった物が損傷する可能性が高くなる。そして、凸部(加工品)に強い衝撃が加わった場合には、凸部(加工品)が化粧鋼板から剥がれてしまう恐れがある。
【0008】
さらに、凸部(加工品)の高さが高すぎると、ドア全体のバランスが崩れ、意匠性を高めるために設置した加工品によってかえってドアの意匠性が悪くなる可能性がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、装飾を自由に形成できるドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明のドアは、フレームと、該フレームに取り付けられる、一対の溝間に形成された突条を有する化粧板と、該化粧板の突条に被せて設置される化粧部材と、を備え、該化粧部材は、内面が前記突条の表面と対向するように配置されるカバープレートと、該カバープレートの両側端縁に基端縁が連結された一対の側壁プレートと、を備えており、該一対の側壁プレートは、先端縁から前記カバープレートの内面までの長さが前記突条の高さ以上であり、各側壁プレートは、その一方の側面が前記カバープレートを被せる前記突条の側面または前記突条を挟む溝の側面のいずれか一方に連結されており、前記一対の溝は、その幅が各側壁プレートの厚さよりも長く形成されており、前記側壁プレートの内面を前記カバープレートを被せる前記突条の側面に連結した状態において、該側壁プレートの外面と前記突条を挟む溝の側面との間に各側壁プレートの厚さ以上の幅を有する空間が形成される長さに形成されている、または、前記側壁プレートの外面を前記突条を挟む溝の側面に連結した状態において、該側壁プレートの内面と前記突条の側面との間に各側壁プレートの厚さ以上の幅を有する空間が形成される長さに形成されていることを特徴とする。
第2発明のドアは、第1発明において、前記化粧部材は、前記化粧板に着脱可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、突条に被せる化粧部材の幅や高さを変更すれば、化粧板において突出した部分の幅や高さを変更できるので、ドアの装飾の自由度を高くすることができる。しかも、化粧部材の下端縁は溝内に収容されるので、化粧部材の端部に特別な処理をしなくても、ドアの表面に錆などが生じることを防止できる。また、化粧部材は内部に突条を収容した状態で設置されているので、化粧部材に衝撃が加わっても、化粧部材が脱落しにくくなる。さらに、化粧部材の各側壁プレートの側面が、突条の側面または突条を挟む溝の側面のいずれかに連結されるので、化粧部材と化粧板とを強固に連結することができる。
第2発明によれば、化粧部材の交換ができるので、既に設置されているドアであっても表面の装飾を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態のドア1の概略説明図であり、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図2】化粧板3に化粧部材10を取り付ける作業の概略説明図である。
【
図3】化粧板3に化粧部材10を取り付けた例の概略説明図である。
【
図4】本実施形態のドア1において、化粧板3に化粧部材10を取り付けた他の例の概略説明図である。
【
図5】化粧部材10の他の構造の概略説明図であって、(A)は突条6の軸方向と直交する断面においてカバープレート11が突条6の表面6aに対して非平行となるようにした例であり、(B)、(C)は側壁プレート12の高さがその軸方向に沿って変化するようになっている例である。
【
図6】(A)、(B)は化粧板3に化粧部材10を取り付けた状態の他の例であり、(C)は従来のドアの化粧板103において化粧板103に色や素材の異なる部分104を形成する方法の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のドアは、居住用建物の玄関や室内に使用されるドアであって、表面に形成する装飾を自由に変更できるようにしたことに特徴を有している。本発明のドアが使用される居住用建物はとくに限定されず、マンション等の集合住宅や戸建住宅のほか、ホテルやビルなどを挙げることができる。
【0014】
(本実施形態のドア1)
図1(A)に示すように、本実施形態のドア1は、矩形のフレーム2と、このフレーム2の表裏両面に取り付けられた化粧板3,3と、を備えている。つまり、ドア1は、フレーム2と化粧板3,3によって略板状に形成されている。
【0015】
なお、ドア1の内部には、フレーム2と化粧板3,3によって囲まれた空間1h(
図1(B)参照)が形成されており、この空間1hには断熱材や遮音材等が収容されている。
【0016】
(化粧板3)
図1(A)に示すように、化粧板3には突出部4と溝5とが形成されている。
図1(B)に示すように、突出部4は、化粧板3の表面側に突出した部分であり、ドア1の上下方向(
図1(A)の上下方向)に沿って延びている。また、
図1(B)に示すように、溝5は、化粧板3の表面から凹んだ部分であり、ドア1の上下方向に沿って延びている。この突出部4と溝5との組み合わせによって、化粧板3の表面には立体感のある模様が形成されている。
【0017】
なお、「突出部4」が「化粧板3の表面側に突出」しているとは、突出部4の先端(
図1であればカバープレート11の部分)が突出部4の近傍の部分よりも表面側に突出していることを意味している。つまり、突出部4の先端が化粧板3の表面よりも突出している場合と、突出部4を挟むように形成されている溝5の底よりも突出部4の先端が表面側に突出している場合の両方を含んでいる。
【0018】
図1(B)に示すように、この化粧板3の突出部4は、化粧板3の突条6、つまり、一対の溝5,5の間において表面側に突出した部分に化粧部材10を被せて突出部4が形成されている。
【0019】
まず、一対の溝5,5は、化粧板3の表面から凹むように形成されており、その軸方向(
図1(A)の上下方向)が互いに平行となるように間隔を空けて設けられている。
図2に示すように、溝5は、化粧板3の表面と平行に設けられた底面5aと、この底面5aの側端縁を下端縁とする一対の側面(
図2の5b,6b)と、によって断面略U字状によって形成されている。この一対の側面5b,6bは、溝5の底面5aと直交するように設けられている。しかも、一対の溝5,5は、その深さ、つまり、化粧板3の表面から底面5aまでの距離が同じ深さとなるように形成されている。
【0020】
また、突条6は、一対の溝5,5間に形成されている。この突条6は、一対の溝5の一対の側面6b,6bと、一対の側面6b,6bの上端縁を連結する表面6aと、によってトップハット状に形成されている。つまり、突条6の表面6aは、一対の側面6b,6bと直交するように設けられている。言い換えれば、突条6の表面6aは、化粧板3の表面および底面5aと平行に設けられている。
【0021】
(化粧部材10)
上述したように、化粧部材10は、化粧板3の突条6に被せて化粧板3に固定されている。
図1(B)に示すように、この化粧部材10は、板状部材の幅方向(
図1(B)では左右方向)の両端部を同じ方向(
図1(B)では下方向)に折り曲げて形成された部材である。つまり、化粧部材10は、幅方向の中央部に位置するカバープレート11と、このカバープレート11の幅方向の両側端に位置する一対の側壁プレート12,12と、を備えている。
【0022】
なお、化粧部材10は、上述したように一枚の板材を折り曲げて形成してもよいが、板状のカバープレート11の側端縁に、カバープレート11と別に設けられた板状の側壁プレート12,12の基端を溶接や接着、テープなどの方法で固定して形成してもよい。
【0023】
図2に示すように、この化粧部材10は、その一対の側壁プレート12,12の内面間の距離L1が、突条6の幅L6とほぼ同じ長さに形成されている。また、化粧部材10は、一対の側壁プレート12,12の先端からカバープレート11の内面までの距離H1(以下、化粧部材10の内部高さH1という場合がある)が突条6の高さH6よりも長くなるように形成されている。
【0024】
なお、本明細書では、「突条6の幅L6」とは、突条6の一対の側面6b,6b(一対の溝5の内側面となる面)間の距離を意味しており、「突条6の高さH6」とは、突条6を挟む溝5の底面5aから突条6の表面6aまでの距離を意味している。
なお、本明細書では、「一対の溝5,5」の側面のうち、「突条6」を形成する側面を「突状6の側面6b」といい、「突条6」を形成する側面と対向する側面を「溝5の側面5b」という場合がある。
【0025】
化粧部材10が上記のような形状に形成されているので、突条6に被せるように化粧部材10を取り付ければ、突出部4の高さを調整することができる。
【0026】
具体的には、
図2に示すように、カバープレート11の内面が突条6の表面6aと対向するように化粧部材10を突条6に被せて、一対の側壁プレート12,12の先端が突条6の両側に位置する溝5の底面5aに接触するように配置する。そして、一対の側壁プレート12,12の内面と突条6の側面6bとを連結すれば、突条6に化粧部材10を固定して、突出部4を形成することができる。
【0027】
そして、化粧部材10は、化粧部材10の内部高さH1が突条6の高さH6よりも長くなるように形成されている。このため、化粧部材10を突条6に被せれば、化粧部材10のカバープレート11の表面は突条6の表面6aよりも突出した状態になる。つまり、突条6の表面6aが化粧板3の表面と面一になるように形成されていれば、化粧部材10のカバープレート11の表面は、化粧部材10の内部高さH1と突条6の高さH6の差の分だけ、化粧板3の表面よりも突出した状態になる。
【0028】
したがって、化粧部材10の内部高さH1を調整すれば、化粧板3の突条6の高さH6に係らず、突出部4が化粧板3の表面よりも突出している量を調整することができる。すると、突出部4と溝5によって化粧板3に形成される装飾、つまり、ドア1の装飾を変更することができる。
【0029】
例えば、
図1に示すように、一対の溝5,5の間に表面6aが化粧板3の表面と同じ高さ、言い換えれば、表面6aと化粧板3の表面が面一になるように突条6が形成されているとする。この場合には、化粧部材10を突条6に被せて設置すれば、化粧板3の表面より突出した突出部4を形成できる。
【0030】
また、一対の溝5,5の間に表面6aが化粧板3の表面よりも突出した状態となるように突条6が形成されていれば、突条6に被せる化粧部材10の内部高さH1を調整することによって、突出部4が化粧板3の表面から突出する量を調整することができる。
【0031】
一方、一対の溝5,5の間に表面6aが化粧板3の表面よりも凹んだ状態となるように突条6が形成されていてもよい。この場合には、突条6に被せる化粧部材10の内部高さH1を調整することによって、突出部4を、化粧板3の表面より突出した状態としたり、化粧板3の表面より凹んだ状態としたりできるし、突出部4の表面(つまり化粧部材10の表面)と化粧板3の表面とを面一にすることもできる。
【0032】
さらに、本実施形態のドア1であれば、単一色の化粧板3からなるドア1を、簡単に、ツートンカラーや複数の色が施されたドア1とすることができるので、意匠性の高いドア1を簡単に製造することができる。
【0033】
例えば、突条6の表面6aと化粧板3の表面が面一になるように突条6が形成されている場合には、化粧部材10の内部高さH1を突条6の高さH6と同じ長さにする。この場合、化粧部材10のカバープレート11の内面と突条6の表面6aとを密着させることができるので、突出部4の表面はカバープレート11の厚さ分だけ化粧板3の表面から突出した状態となる。しかし、化粧部材10を形成する板材の厚さを薄く(例えば、0.6mm以下程度)すれば、目視では、化粧板3の表面と突条6に被せた状態の化粧部材10の表面の高さの差はほとんどわからない。すると、化粧部材10として、化粧板3の色と異なる色のものを使用すれば、ドア1は、あたかも化粧部材10の部分に色彩が施された化粧板3で形成されたようになる。すると、単一色の化粧板3からなるドア1を、簡単に、ツートンカラーや複数の色が施されたドア1とすることができるので、ドア1の意匠性を高くすることができる。
【0034】
また、化粧部材10として、化粧板3と同じ材料の板材を使用してもよいが、化粧板3と異なる材料の板材を使用すれば、さらに意匠性の高いドア1を製造することができる。
【0035】
通常、複数の材料を使用してドアの化粧板を製造する場合、例えば、鋼板とステンレス板、アルミニウム板等を使用してドアの化粧板を製造する場合には、各板材103,104をジョイントJを介して溶接や接着などの方法で連結する(
図6(C)参照)。しかし、この方法では、単一の板材で化粧板3を形成する場合に比べて、防犯性、防水性、防火性等が損失する可能性があり、加工にも手間がかかるという問題がある。
【0036】
一方、本実施形態のドア1であれば、化粧部材10と化粧板3の材質を変更しても化粧板3は一枚の板材で形成できるので、防犯性、防水性、防火性等を低下させることがない。しかも、加工が容易であるし、ドアの意匠性も高くすることができる。
【0037】
さらに、化粧部材10は、一対の側壁プレート12,12の先端が溝5内に配置されており、また、一対の側壁プレート12,12の先端が溝5の底面5aに密着した状態に配置される。したがって、一対の側壁プレート12,12の先端に防錆処理をしなくても錆が発生することを抑えることができるし、錆が発生しても外部から見えないので外観の悪化を防止できる。
【0038】
(化粧部材10の他の例)
化粧部材10の幅Wを調整しても、突出部4と溝5によって化粧板3に形成される装飾、つまり、ドア1の装飾を変更することができる。
【0039】
例えば、
図3(A)に示すように、一対の側壁プレート12,12の外面間の距離W(以下、化粧部材10の幅Wという場合がある)を、化粧部材10を挟む溝5の側面5b間の距離L5と同等の長さにする。すると、突出部4の幅を突条6の幅よりも広くできるし、突出部4の両側に溝5がない状態とすることができる。
【0040】
また、
図3(B)に示すように、化粧部材10の幅Wを調整して、以下のように化粧部材10を突条6に固定すれば、突出部4の一方にのみ溝5を有するようにすることができる。つまり、一対の側壁プレート12,12のうち、一方の側壁プレート12の外面を一方の溝5の側面5bに接触させて固定する。また、他方の側壁プレート12の内面を突条6の側面6bに接触させて固定する。すると、突出部4の一方にのみ溝5を有するようにすることができる。
【0041】
さらに、
図3(C)に示すように、化粧部材10の幅Wを調整して、化粧部材10の幅Wを、突条6の幅L6よりは長いが化粧部材10を挟む溝5の側面5b間の距離L5よりは短くなるようにしてもよい。すると、化粧部材10を突条6に被せて固定すれば、突出部4の幅および溝5の幅を変更することができる。この場合、一対の側壁プレート12,12を溝5の側面5bや突条6の側面6bに連結できない。しかし、一対の側壁プレート12,12を内方または外方に折り曲げて固定片12cとすれば、固定片12cを溝5の底面5aに連結して化粧部材10を化粧板3に固定することができる。
【0042】
(化粧部材10の連結方法)
化粧部材10の一対の側壁プレート12,12を溝5の側面5bや突条6の側面6bに連結する方法はとくに限定されない。例えば、スポット溶接や接着剤、両面テープ等を使用して固定することができる。
【0043】
なお、図面では、一対の側壁プレート12,12と溝5の側面5bや突条6の側面6bとの間に隙間があるように記載されているが、一対の側壁プレート12,12と溝5の側面5bや突条6の側面6bは面接触していてもよいし、若干の隙間があってもよい。若干の隙間がある場合には、その隙間に接着剤や両面テープ等が配置することができる。すると、接着剤や両面テープ等によって一対の側壁プレート12,12と溝5の側面5bや突条6の側面6bとが連結される(
図6(A)参照)。もちろん、一対の側壁プレート12,12と溝5の側面5bや突条6の側面6bの間に隙間がある場合でも、スペーサー等を入れることによって固定することは可能である。
【0044】
また、化粧部材10は、化粧板3に着脱可能に連結するようにしてもよい。この場合、化粧部材10の交換可能となるので、既に設置されているドア1であっても表面の装飾を変更することが可能となる。
【0045】
化粧部材10を化粧板3に着脱可能とする方法はとくに限定されない。例えば、一対の側壁プレート12,12に突起を設け一対の側壁プレート12,12と対向する溝5の側面5bや突条6の側面6bに突起が係合する凹みを設けたり、逆に、一対の側壁プレート12,12に凹みを設け一対の側壁プレート12,12と対向する溝5の側面5bや突条6の側面6bに凹みに係合する突起を設けたりすれば、化粧部材10を化粧板3に着脱可能とすることができる。他にもラバーマグネットを使用して化粧部材10を化粧板3に取り付けるようにすれば、化粧部材10を化粧板3に簡単に着脱可能に連結することができる。つまり、カバープレート11と突条6の表面6aとの間や、一対の側壁プレート12,12と溝5の側面5bや突条6の側面6bとの間にラバーマグネットを配置すれば、化粧部材10と化粧板3を簡単に着脱可能に連結することができる。
【0046】
(突出部4および溝5の配置)
上記例では、突出部4および溝5がドア1の上端から下端まで全体に形成されている場合を説明した(
図1参照)。つまり、突出部4および溝5が、化粧板3の上下方向の長さと同じ長さに形成されている場合を説明した。しかし、
図4(A)に示すように、突出部4および溝5の長さは、化粧板3の上下方向の長さよりも短くてもよい。
【0047】
また、
図1では、突出部4および溝5はドア1の上下方向に沿って延びている場合を示している。しかし、
図4(B)に示すように、突出部4および溝5は、ドア1の幅方向に沿って形成されていてもよいし斜めに形成されていてもよい。
【0048】
(化粧部材10の形状)
上記例では、化粧部材10は、その一対の側壁プレート12,12の高さが同じ場合を説明した。つまり、カバープレート11が突条6の表面6aと平行となる場合を説明した。しかし、一対の側壁プレート12,12は、その高さが異なっていてもよい。つまり、突条6の軸方向と直交する断面において、カバープレート11が突条6の表面6aに対して非平行となるように一対の側壁プレート12,12を設けてもよい(
図5(A)参照)。すると、ドア1の表面の意匠性を特徴のあるものとすることができる。
【0049】
また、側壁プレート12は、その軸方向(
図1であれば上下方向)に沿って高さが変化するようになっていてもよい。例えば、
図1において、側壁プレート12の上端から下端に向かって高さが低くなったり、逆に、側壁プレート12の上端から下端に向かって高さが高くなったりするようにしてもよい(
図5(B)参照)。また、側壁プレート12の上下端間(以下両端間という)の中間に向かって高さが低くなるようにしてもよいし(
図5(C)参照)、側壁プレート12の両端間の中間に向かって高さが高くなるようにしてもよい。さらに、側壁プレート12の両端間において、高さの低い部分や高い部分を適宜設けてもよい。このように側壁プレート12の両端間で高さを変化させても、ドア1の表面の意匠性を特徴のあるものとすることができる。
【0050】
そして、一対の側壁プレート12,12の高さを調整しかつ各側壁プレート12の軸方向の両端間における高さを変化させた場合には、ドア1の表面の意匠性をより特徴のあるものとすることができる。
【0051】
(溝5および突条6)
上記例では、一対の溝5,5の軸方向が互いに平行である場合を説明したが、一対の溝5,5は必ずしも平行でなくてもよい。例えば、
図1において、一対の溝5,5の上端から下端に向かって、一対の溝5,5の間隔が狭くなったり、逆に、上端から下端に向かって一対の溝5,5の間隔が広くなったりしてもよい。
【0052】
また、上記例では、一対の溝5,5の深さが同じ場合を説明したが、一対の溝5,5の深さは必ずしも同じ深さでなくてもよい。
【0053】
さらに、上記例では、溝5の側面5b,6bが、互いに平行に形成されている場合を説明したが、溝5の一対の側面5b,6bも必ずしも互いに平行でなくてもよい。例えば、
図1において、溝5の上端から下端に向かって溝5や突条6の幅が狭くなったり、逆に、上端から下端に向かって溝5や突条6の幅が広くなったりしてもよい。
【0054】
さらに、上記例では、溝5の側面5b,6bが底面5aおよび表面6aと直交する場合を説明した。しかし、化粧部材10の一対の側壁プレート12,12を連結できればよく、溝5の側面5b,6bが底面5aおよび表面6aとなず角度はとくに限定されない。
【0055】
さらに、上記例では、一対の溝5,5の底面5aや突条6の表面6aは、化粧板3の表面と平行に設けられている場合を説明したが、一対の溝5,5の底面5aや突条6の表面6aは必ずしも化粧板3の表面に対して平行でなくてもよい。
【0056】
さらに、上記例では、溝5が、底面5aと側面5b,6bを有する断面略U字状の場合を説明した。しかし、化粧部材10の一対の側壁プレート12,12を連結できるのであれば、溝5として底面5aを有しない形状としてもよい。つまり、溝5を、側面5b,6bだけを有するものとしてもよい。
【0057】
さらに、上記例では、突条6が、表面6aと一対の側面6b,6bを有するトップハット状の場合を説明した。しかし、化粧部材10の一対の側壁プレート12,12を連結できるのであれば、突条6として表面6aを有しない形状としてもよい。つまり、突条6を、一対の側面6b,6bだけを有するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のドアは、戸建住宅やマンションなどの居住用建物に使用される玄関ドアとして適している。
【符号の説明】
【0059】
1 ドア
2 フレーム
3 化粧板
4 突出部
5 溝
5a 溝5の底面
5b 溝5の側面
6 突条
6a 突条6の表面
6b 突条6の側面
10 化粧部材
11 カバープレート
12 側壁プレート