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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】小型空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20220106BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20220106BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220106BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20220106BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20220106BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20220106BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F7/003
F24F8/108 210
F24F8/167
F24F8/80 252
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017122761
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2019005094
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502139910
【氏名又は名称】株式会社クリーンベンチャー21
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【弁理士】
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】高見 潤
(72)【発明者】
【氏名】金森 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】明石 義弘
(72)【発明者】
【氏名】室園 幹男
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-111825(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156905(JP,U)
【文献】国際公開第2016/085147(WO,A1)
【文献】特開2008-093639(JP,A)
【文献】特開2007-196000(JP,A)
【文献】特開2007-135813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 7/00- 7/007
F24F 8/00- 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を備える筒状のケーシングと、
前記ケーシング内に収容された空気清浄ユニットと、を備え、
前記空気清浄ユニットは、
前記吸気口から前記ケーシング内に空気を導入するための吸気ファンと、
前記吸気ファンと前記排気口との間に配置された清浄部と、
前記清浄部に光照射するための少なくとも1つの発光部と、を備え、
前記吸気ファン、前記清浄部、および前記発光部は、前記ケーシングの軸方向に沿って設けられており、
前記発光部は、光源を備えており、
前記清浄部は、空気が通過する板状のフィルタと、前記フィルタの周縁部に配置され、かつ空気の通過を遮蔽するマスキング部と、を備え、前記ケーシング内の空間を前記ケーシングの軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置され、
前記マスキング部は、前記清浄部の前記光源と対向する位置における放射強度に対して、10%を超える放射強度の部分に対応する開口部を備え、かつ10%以下の放射強度に対応する領域をマスキングし、前記開口部から前記フィルタが露出しており、
前記フィルタは、多孔質板と、前記多孔質板に担持された光触媒と、を備え、前記発光部からの光照射により、前記フィルタを通過する空気を浄化する、小型空気清浄装置。
【請求項2】
前記空気清浄ユニットは、前記発光部として一対の発光部を備え、
前記一対の発光部は、それぞれ、前記清浄部を挟むように、前記吸気ファン側および前記排気口側に配置され、前記フィルタの一方の主面側および他方の主面側から前記フィルタに対して光照射する、請求項1に記載の小型空気清浄装置。
【請求項3】
前記吸気ファン、前記清浄部、および前記発光部は、同軸上に配置されている請求項1または2に記載の小型空気清浄装置。
【請求項4】
吸気口および排気口を備える筒状のケーシングと、
前記ケーシング内に収容された空気清浄ユニットと、を備え、
前記空気清浄ユニットは、
前記吸気口から前記ケーシング内に空気を導入するための吸気ファンと、
前記吸気ファンと前記排気口との間に配置された清浄部と、
前記清浄部に光照射するための一対の発光部と、を備え、
前記ケーシングの軸方向の長さは、70~170mmであり、
前記吸気ファン、前記清浄部、および前記発光部は、前記ケーシングの軸方向に沿って、同軸上に設けられており、
前記一対の発光部は、それぞれ、前記清浄部を挟むように、前記吸気ファン側および前記排気口側に配置され、前記フィルタの一方の主面側および他方の主面側から前記フィルタに対して光照射し、
前記清浄部は、空気が通過する板状のフィルタと、前記フィルタの周縁部に配置され、かつ空気の通過を遮蔽するマスキング部と、を備え、前記ケーシング内の空間を前記ケーシングの軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置され、
前記マスキング部は、前記清浄部の非露光部分に配置されており、
前記フィルタは、多孔質板と、前記多孔質板に担持された光触媒と、を備え、前記発光部からの光照射により、前記フィルタを通過する空気を浄化する、小型空気清浄装置。
【請求項5】
前記発光部は、少なくとも1つのLED光源と、前記LED光源を支持する基板とを備え、
前記基板は、前記ケーシングの内壁から内方向に向かって延びており、前記基板の周囲には空気流路が確保されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の小型空気清浄装置。
【請求項6】
前記清浄部は、前記マスキング部を備えるフレームと、前記フレーム内に収容された前記フィルタとを備え、前記ケーシングに対して着脱可能に配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の小型空気清浄装置。
【請求項7】
前記吸気ファンの周縁部に空気の逆流を防止するための遮断板が配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の小型空気清浄装置。
【請求項8】
筒状の前記ケーシングは、前記軸方向の両端に位置する天面および底面と、前記天面および前記底面を連結する側面とを備え、
前記天面に、前記吸気口が形成され、
前記側面に、前記排気口が形成され、
前記底面を下にした状態で使用される、請求項1~のいずれか1項に記載の小型空気清浄装置。
【請求項9】
前記ケーシング内の前記空気清浄ユニットの下方に電池が収容される、請求項に記載の小型空気清浄装置。
【請求項10】
前記多孔質板は、内部に三次元的に広がる連通孔を備え、
前記フィルタの厚みは、7~13mmである、請求項1~のいずれか1項に記載の小型空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を用いる小型空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンな環境を求めて、脱臭装置などを含む空気清浄装置の需要が高まっている。臭気物質や揮発性有機化合物(VOC)の除去を目的とする空気清浄装置には、例えば、物理吸着剤、化学吸着剤、イオン、オゾン、光触媒などを利用するものがある。中でも光触媒を利用するものは、臭気物質やVOCの除去能および安全性が高いことに加え、光触媒は長期に亘り利用できるため、コスト的にも有利である。
【0003】
特許文献1では、光触媒機能性膜と光源などを備える複数の反応管を備える空気浄化装置が提案されている。特許文献2では、冷蔵庫等の気体改質に利用される、可視光応答型光触媒を穿孔板に付着させた反応層を備える光触媒反応装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-101187号公報
【文献】特開2016-140806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように複数の反応管を設けると、空気の浄化効率を高め易いものの、装置の大型化が避けられない。また、特許文献2では、構造が単純で小型化し易いものの、空気の浄化効率を高めることは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、吸気口および排気口を備える筒状のケーシングと、
前記ケーシング内に収容された空気清浄ユニットと、を備え、
前記空気清浄ユニットは、
前記吸気口から前記ケーシング内に空気を導入するための吸気ファンと、
前記吸気ファンと前記排気口との間に配置された清浄部と、
前記清浄部に光照射するための少なくとも1つの発光部と、を備え、
前記吸気ファン、前記清浄部、および前記発光部は、前記ケーシングの軸方向に沿って設けられており、
前記清浄部は、空気が通過する板状のフィルタと、前記フィルタの周縁部に配置され、かつ空気の通過を遮蔽するマスキング部と、を備え、前記ケーシング内の空間を前記ケーシングの軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置され、
前記フィルタは、多孔質板と、前記多孔質板に担持された光触媒と、を備え、前記発光部からの光照射により、前記フィルタを通過する空気を浄化する、小型空気清浄装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記局面に係る小型空気清浄装置によれば、小型であるにも拘わらず、空気の浄化効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る小型空気清浄装置を概略的に示す縦断面図である。
図2図1の小型空気清浄装置のケーシングの概略上面図である。
図3】マスキング部を備えるフレームを有する清浄部の概略斜視図である。
図4図1のIV-IV線による矢示断面図である。
図5】実施例1および比較例1の空気清浄装置を用いた場合のアンモニアの相対濃度の経時変化を示すグラフである。
図6】実施例1~3の空気清浄装置を用いた場合のアンモニアの相対濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る小型空気清浄装置は、吸気口および排気口を備える筒状のケーシングと、ケーシング内に収容された空気清浄ユニットと、を備える。空気清浄ユニットは、吸気口からケーシング内に空気を導入するための吸気ファンと、吸気ファンと排気口との間に配置された清浄部と、清浄部に光照射するための少なくとも1つの発光部と、を備える。吸気ファン、清浄部、および発光部は、ケーシングの軸方向に沿って設けられている。清浄部は、空気が通過する板状のフィルタと、フィルタの周縁部に配置され、かつ空気の通過を遮蔽するマスキング部と、を備え、ケーシング内の空間をケーシングの軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置される。フィルタは、多孔質板と、多孔質板に担持された光触媒と、を備え、発光部からの光照射により、フィルタを通過する空気を浄化する。
【0010】
一般に、小型空気清浄装置では、空気を浄化するフィルタなどを含む部分が占める容積をそれほど大きくできないため、空気の浄化効率が低下し易い。また、浄化効率の低さを補うため空気を装置内で対流させ、時間をかけて浄化する方法がとられている。それに対し、本発明の上記実施形態では、フィルタの周縁部に空気の通過を遮蔽するマスキング部を設けることで、露光される光量が多いフィルタの中心部分に選択的に空気を通すことができるため、光触媒を利用する反応による空気の浄化をより確実に行なうことができる。よって、空気の浄化効率を高めることができる。また、筒状のケーシングの軸方向に沿って、吸気ファン、清浄部、および発光部を設けることで、装置の小型化が容易になり、吸気ファンのみでも高い処理速度(つまり、短時間)で空気を浄化することができる。なお、逆に、マスキング部を設けない場合には、光量が少なくなりがちなフィルタの周縁部を空気が通過することになるため、浄化が不十分な状態の空気も排出されることになる。また、広範囲のフィルタに空気を通過させることにより流速は遅くなり、空気の逆流も多くなる。よって、マスキング部を設けない場合には、浄化効率が相対的に低くなる。
【0011】
マスキング部は、清浄部の非露光部分に配置されていることが好ましい。これにより、浄化が不十分な状態の空気が清浄部を通過することが抑制される。よって、高い浄化効率を、より容易に得ることができる。また、発光部から照射される光を空気の浄化に有効に活用することができる。
【0012】
なお、清浄部の非露光部分とは、清浄部の、発光部と対向する主面において、発光部からの光が当たらないか、もしくは、光量が、清浄部の中心における光量の10%以下となる領域を言うものとする。
【0013】
好ましい実施形態において、空気清浄ユニットは、一対の発光部を備える。一対の発光部は、それぞれ、清浄部を挟むように、吸気ファン側および排気口側に配置され、フィルタの一方の主面側および他方の主面側からフィルタに対して光照射する。フィルタの双方の主面側から光照射を行なうことができるため、光触媒の利用率が向上し、空気の浄化率をさらに高めることができる。なお、この場合、マスキング部は、フィルタの2つの主面のうち、少なくとも一方の主面側周縁部に設ければよく、フィルタの双方の主面において周縁部に設けてもよい。
【0014】
清浄部は、マスキング部を備えるフレームと、フレーム内に収容されたフィルタとを備え、脱着可能に配置されていることが好ましい。この場合、マスキング部またはフィルタの装置への装着を容易に行なうことができる。また、清浄部やフィルタの清掃や交換を容易に行なうことができる。
【0015】
吸気ファンの周縁部に空気の逆流を防止するための遮蔽板を配置することが好ましい。これにより、ケーシング内で空気が対流することが抑制される。清浄部を通過する空気の流量の低下が抑制されるため、空気の浄化効率をさらに高めることができる。
【0016】
筒状のケーシングは、好ましくは、軸方向の両端に位置する天面および底面と、天面および底面を連結する側面とを備え、天面に、吸気口が形成され、側面に、排気口が形成され、底面を下にした状態で使用される。このような構造により、吸気ファンのみでも、装置内に取り込まれた空気が遮られることなく清浄部を通過し、排気口にスムーズに流れる。よって、小型の装置でも、空気を効率よく浄化することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、ケーシング内の空気清浄ユニットの下方に電池が収容される。この場合、空気清浄ユニット内でスムーズな空気の流れを確保しつつ、動力源を内蔵することで、移動や持ち運びが容易になる。
【0018】
ケーシングの軸方向の長さは、70~170mmであることが好ましい。このようなケーシングを備える装置は、小型で、持ち運びや吊り下げが容易である。よって、様々な用途に使用できる。
【0019】
フィルタの多孔質板は、内部に三次元的に広がる連通孔を備え、フィルタの厚みは、7~13mmであることが好ましい。この場合、発光部からの光がフィルタの内部まで届き易くなり、内部の光触媒を有効に利用することができる。
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る小型空気清浄装置を概略的に示す縦断面図である。
小型空気清浄装置1は、筒状のケーシング2と、ケーシング2内に収容された空気清浄ユニット3とを備える。ケーシング2は、吸気口21と排気口22とを備えている。ケーシング2における吸気口21と排気口22との位置は、例えば、小型空気清浄装置1の用途に応じて決定すればよい。図示例では、筒状のケーシング2は、軸方向の両端に位置する天面23および底面24と、天面23と底面24を連結する側面25とを備えており、吸気口21は天面23に形成され、排気口22は側面25に形成されている。そして、このようなケーシング2を備える小型空気清浄装置1は、主に、底面24を下にした状態で使用される。ケーシング2の天面23の吸気口21からケーシング2内の空気清浄ユニット3に導入された空気は、空気清浄ユニット3で浄化され、ケーシング2の側面25の排気口22から排出される。
【0021】
空気清浄ユニット3は、吸気口21からケーシング2内に空気を導入するための吸気ファン31と、吸気ファン31と排気口22との間に配置された清浄部33と、清浄部33に光照射するための発光部34とを備える。吸気ファン31、清浄部33、および発光部34は、ケーシング2の軸方向に沿って(より具体的には、同軸上に)設けられている。このように空気清浄ユニット3の構成要素をケーシング2の軸方向に沿って設けることで、小型化が容易になり、図示例のように吸気ファン31のみで空気をケーシング2内部に流通させる場合にも、高い処理速度で空気を浄化することができる。
【0022】
清浄部33は、板状のフィルタ331と、フィルタ331の周縁部に配置されたマスキング部332とを備える。清浄部33は、ケーシング2内の空間をケーシング2の軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置される。つまり、清浄部33は、吸気口21と排気口22との間に形成される空気流路を、ケーシング2の所定の位置において、ケーシング2の軸方向に対して垂直な方向に横切るように配置される。フィルタ331は、多孔質板と、この多孔質板に担持された光触媒とを備える。そのため、吸気口21から導入された空気は、必然的に清浄部33を通過することとなり、空気がフィルタ331を通過する際に、発光部34から照射される光の作用により光触媒が機能して、空気が浄化される。
【0023】
板状のフィルタ331は、空気が通過可能である一方、周縁部に配置されたマスキング部332は、空気の通過を遮蔽する。このようなマスキング部332を設けることで、吸気ファン31によりケーシング2内に導入された空気は、露光される光量が多いフィルタ331の中心部分を選択的に通過することになる。よって、光触媒を利用する反応により、空気の浄化効率を高めることができる。浄化されないまま排気される空気を低減して、空気の浄化効率をさらに高める観点からは、マスキング部332は、清浄部33の非露光部分に配置されていることが好ましい。
【0024】
発光部34は、少なくとも1つ設ければよいが、図示例のように、一対の発光部34で清浄部33を挟むように、吸気ファン31側および排気口22側に配置することが好ましい。後者の場合、清浄部33の双方の主面(つまり、吸気ファン側の主面および排気口側の主面)側から光照射することができるため、光触媒の利用率を高めることができ、空気の浄化をより効率よく行なうことができる。発光部34は、光源341を備えており、光源341としてはLED(発光ダイオード)を用いることが好ましい。長寿命のLED光源を用いることで、長期に亘り装置を作動させることができる。発光部34は、さらに、光源341を支持する基板342を備えていることが好ましい。ただし、発光部34は、空気が通過可能に形成されている。
【0025】
図1において、吸気ファン31の周縁部には、ケーシング2内における空気の逆流を防止するための遮蔽板35が配置されている。筒状のケーシング2において中央部分(軸方向に沿う中央部分)を、吸気口21から排気口22に向かって空気が流通するため、ケーシング2の内壁周辺における空気の逆流を防止するように、遮蔽板35は、吸気ファン31の周縁部、つまり、吸気ファン31の近傍において、ケーシング2の長さ方向に沿う内壁およびその周辺に設けられる。図示例では、吸気ファン31と清浄部33との間に遮蔽板35が配置されているが、吸気ファン31と吸気口21との間に配置してもよく、吸気ファン31を両方の主面側から挟むように一対の遮蔽板35を配置してもよい。特に、図1のように、少なくとも、吸気ファン31と清浄部33との間に遮蔽板35を配置することが好ましい。これにより、吸気ファン31と清浄部33との間の空間が解放された状態になることが抑制される。よって、ケーシング2内での空気の対流が抑制されるため、清浄部33を通過する空気の流量の低下が抑制されることで、空気の浄化効率をさらに高めることができる。
【0026】
ケーシング2内の空気清浄ユニット3の下方には、空間が形成されており、この空間には電池4が収容されている。この場合、空気清浄ユニット3内ではスムーズな空気の流れを確保しながら、動力源を内蔵させることで装置の移動や持ち運びが容易になる。また、この空間には、小型空気清浄装置1の動作等に必要な回路基板26も収容される。回路基板26はケーシング2の内壁に沿って収納することによりコンパクトにすることができる。
【0027】
また、ケーシング2には、スイッチS、Sが設けられており、これらのスイッチにより、運転の開始や停止、各種設定や切替、電池の残量測定などを行なうことができる。ケーシング2には、さらに、タイマー時間や運転モード、電池の残量容量表示などを示すための表示ランプL、L、L、Lが設けられている。
以下に小型空気清浄装置を構成する各要素についてより詳細に説明する。
【0028】
(ケーシング2)
ケーシング2は、筒状であればよく、角筒状であっても、円筒状や楕円筒状などであってもよい。筒状のケーシング2は、通常、軸方向に沿う側面と、側面の両端に位置する一対の端面とを備える。小型空気清浄装置1の向きは図示例の場合に限定されないが、ケーシング2の軸方向に沿って吸気ファン31、清浄部33および発光部34などを配置し、電池や回路などの収納スペースを確保する観点からは、ケーシング2の軸方向が鉛直方向に沿うような状態で使用することが好ましい。この場合、一方の端面を天面、他方の端面を底面とし、底面を下にした状態で使用され、天面に吸気口21、側面に排気口22を形成することが好ましい。このような状態で小型空気清浄装置1を使用することで、ケーシング2内を空気がスムーズに流れる。
【0029】
ケーシング2は、例えば、樹脂などで形成できる。樹脂としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの他、ポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられ、用途に応じて決定すればよい。
【0030】
吸気口21や排気口22の位置、サイズおよび形状は特に制限されず、空気の吸気および排気を過度に妨げない範囲で決定すればよい。好ましい実施形態では、吸気口21や排気口22から、発光部34から照射される光が漏れないように、吸気口21や排気口22のそれぞれについて、位置、サイズおよび/または形状が決定される。
【0031】
例えば、吸気ファン31が、後述するように、回転する複数の羽根を備える羽根部を有する場合には、羽根が回転する際に、隣接する羽根間の隙間から光が漏れやすくなる。そのため、ケーシング2の天面23(具体的には、天面23の非開口部)が少なくとも羽根部を覆うように、天面23に形成する吸気口21の位置、サイズおよび/または形状を決定することが好ましい。この場合、吸気口21からの吸気を妨げずに、吸気口21から外側に光が漏れることを抑制できる。
【0032】
図2は、ケーシング2の概略上面図である。図2は、吸気ファン31の回転する複数の羽根を有する羽根部を天面23で覆う場合を示している。ケーシング2の天面23には、中央に、扇状に四分割された円形の吸気口21が形成され、四隅に略三角形状の吸気口21が形成されており、円形の吸気口21と略三角形状の吸気口21の間には、天面23がリング状に残った状態となっている。このリング状の部分で、吸気ファン31の羽根部を覆うことができるため、ケーシング2の内部からの光の漏れを抑制できる。
【0033】
なお、ケーシング2は、例えば、軸方向に沿って二分割した状態で成形され、組み立てられるが、図2のような形状の天面23を有するケーシング2は、円形の吸気口21部分の強度を確保し難いため、単純に二分割できない。このような場合には、天面23を非対称に二分割して組み立てればよい。
【0034】
排気口22をケーシング2の側面に形成する場合には、排気口22の位置を発光部34の位置とずらすことで、排気を妨げずに、排気口22から光が漏れるのを抑制できる。清浄部33よりも下流側に発光部34が形成されている場合、発光部34の清浄部33とは反対側の方にずらした状態(発光部34より下流側)で排気口22を形成することが好ましい。
【0035】
ケーシング2が角筒状であり、軸方向が鉛直方向となるように装置1を設置する場合、排気口22は、ケーシング2の4つの側面の全てに形成してもよく、一部の側面に形成してもよい。例えば、3つの側面に排気口22を形成し、装置1を設置した場合に背面となったり、回路基板26をケーシング2の内壁に沿って配置したり、動作状態や電池残量などを示す表示ランプを設けたりする、残る1つの側面には、排気口22を形成しなくてもよい。また、角筒状のケーシング2の軸方向が水平方向となるように装置1を横置きする場合には、軸方向に沿う4つの面のうち、底面となる1つの面に排気口22を形成せずに、残りの3つの面に排気口22を形成してもよい。底面と、表側の面および/または背面とに排気口22を形成せずに、残りの面に排気口22を形成してもよい。
【0036】
吸気口21の面積S1は、天面23の面積の17%以上を占めることが好ましく、25%以上を占めることがさらに好ましい。面積S1がこのような範囲である場合、多くの空気をケーシング2内に取り込むことができる。これ以上の面積を占めても吸気口の開口部の影響より、触媒フィルタによる影響が大きくなる。なお、装置1を横置きする場合にも、吸気口21を設ける面の面積に対する面積S1の比率が上記の範囲となるようにすればよい。
【0037】
排気口22の面積S2は、吸気口21の面積S1の1倍以上であることが好ましく、1~2倍であることがさらに好ましい。面積S2がこのような範囲である場合、ケーシング2内で排気側の圧力が高くなることが抑制され、吸気能力の低下を抑制して、効率よく空気を浄化することができる。
【0038】
なお、吸気口21の面積S1とは、吸気口21が形成されたケーシング2の面を垂直方向から見た時の平面における吸気口21の面積である。同様に、排気口22の面積S2とは、排気口22が形成されたケーシング2の面を垂直方向から見た時の平面における排気口22の面積である。吸気口21が複数ある場合、吸気口21の面積S1とは、複数の吸気口21の面積の合計を意味する。同様に、排気口22が複数ある場合、排気口22の面積S2とは、複数の排気口22の面積の合計を意味する。
【0039】
排気口22は、ケーシング2の内側から外側に向かって流路が傾斜した状態となるようにしてもよい。例えば、排気口22から空気が斜め下向きや斜め上向きに排気されるように、ケーシング2の排気口22の開口部分の側壁のうち上側および下側の側壁を同じ方向に傾斜させてもよい。このような場合、排気口22から、ケーシング2外に光が漏れるのを低減できる。
【0040】
ケーシング2の軸方向の長さは、70~170mmであることが好ましい。このような長さのケーシング2を備える装置は、小型で、移動や持ち運び、吊り下げが容易である。ケーシング2のサイズは、例えば、ポータブル型では、ケーシング2の軸方向の長さが130~170mm(好ましくは130~150mm)で、軸方向に垂直な方向の長さ(幅)が30~50mm(好ましくは35~45mm)であることが好ましい。また、卓上型では、ケーシング2の軸方向の長さが70~130mm(好ましくは70~100mm)で、軸方向に垂直な方向の長さ(幅)が60~90mm(好ましくは60~80mm)であることが好ましい。
ケーシング2の厚みは、ケーシング2の材料の種類に応じて決定できるが、例えば、0.8~2.5mmである。
【0041】
ケーシング2内には、必要に応じて、リブを設けてもよい。リブは、例えば、ケーシング2の内壁からケーシング2の内側に延出した状態で形成される。また、リブは、目的に応じた位置に目的に応じた形状で配置することができる。リブは、ケーシング2の軸方向に沿って設けてもよく、軸方向と垂直な方向に設けてもよい。例えば、吸気口21や排気口22の周辺にリブを設けると、装置1内部からの光の漏れをさらに抑制し易くなる。吸気ファン31の上流側および/または下流側にリブを設けたり、清浄部33の上流側および/または下流側にリブを設けたりすると、ケーシング2内の空気の逆流を抑制できる。例えば、吸気ファン31や清浄部33を挟む位置にリブを設けると、このリブをガイドとして、吸気ファン31をケーシング2内に装着したり、清浄部33の着脱を行なうことができる。同様に、発光部34をケーシング2内に装着するためのガイドとなるリブを設けてもよい。また、リブにマスキング部の役割や、遮断板の役割などを持たせてもよい。さらに、例えば、複数のリブを軸方向に沿って平行に設け、隣接するリブ間に配線を収容してもよい。リブを設けることで、ケーシング2を補強することもできる。
【0042】
(空気清浄ユニット3)
(吸気ファン31)
吸気ファン31は、吸気口21からケーシング2内に空気を導入する。吸気ファン31は、ケーシング2内に効率よく空気を導入するために、吸気口21と対向するようにケーシング2内に配置することが好ましい。吸気ファン31をこのように配置することで、外気をケーシング2内にスムーズに取り込みことができる。
【0043】
吸気ファン31は、回転する複数の羽根を備える羽根部を有することが好ましい。この場合、吸気や排気の風量を十分に確保しながら、吸気口21の形状を上述のように工夫することで、発光部34からの光の漏れを低減できる。吸気ファン31としては、例えば、シロッコファン、ターボファン、斜流ファン、ブロアファンなどを用いてもよいが、安価で、吸気および排気の風量が大きい観点から、プロペラファンが好ましい。
【0044】
吸気ファン31の振動を抑制する観点から、吸気ファン31またはその周辺には、振動抑制部を設けてもよい。例えば、吸気ファン31の側面の一部をケーシング2の内壁に設けた突起部に固定し、側面の一部(突起部に固定した部分の反対側など)に振動抑制部としてのばね構造を設けることで、作動時の振動を抑制したり、吸気ファン31のずれを抑制することができる。吸気ファン31のずれ(特に、回転軸のずれ)が抑制されることで、空気が吸気ファン31を通りにくくなることが抑制されるとともに、吸気ファン31の音が過度に大きくなることも抑制できる。
【0045】
(清浄部33)
清浄部33は、吸気ファン31と排気口22との間に配置される。また、清浄部33は、ケーシング2内の空間をケーシング2の軸方向に垂直な方向に沿って分割するように配置される。これにより、吸気口21からケーシング2内に導入された空気が必ず清浄部33を通過することになるため、空気の浄化を効率よく行なうことができる。
【0046】
空気清浄ユニット3は、複数の清浄部33を備えていてもよい。複数の清浄部33は、ケーシング2の軸方向に沿って並べてもよく、清浄部33の面方向に並べてもよい。ケーシング2の軸方向に沿って並べる場合には、発光部34からの光が当たるような配置とする必要があるため、発光部34と清浄部33とを交互に並べることが好ましい。清浄部33の面方向に並べる場合には、複数の清浄部33でケーシング2内の空間をケーシング2の軸方向に垂直な方向に沿って分割するように各清浄部33を配置することが好ましい。このように清浄部33を面方向に繋げて広げ、ケーシング2および空気清浄ユニット3の清浄部33以外の部品のサイズを大きくすることで、簡単な構造で、空気の浄化の処理速度を高めることができる。ケーシング2の軸方向に沿って清浄部33を並べる場合、清浄部33の個数は、例えば、2~3個である。清浄部33の面方向に並べる場合、清浄部33の個数は、例えば、2~20個であり、2~9個または2~4個が好ましい。
【0047】
清浄部33は、空気が通過する板状のフィルタ331と、フィルタ331の周縁部に配置され、かつ空気の通過を遮蔽するマスキング部332と、を備えている。フィルタ331は、多孔質板と、多孔質板に担持された光触媒と、を備えており、発光部からの光照射により、フィルタ331を通過する空気を浄化する。マスキング部332を形成することで、空気の浄化効率が向上する。
【0048】
本実施形態では、小型の装置1内で空気を浄化するため、空気と光触媒との接触性を高めて浄化効率を高める観点からは、フィルタ331を構成する多孔質板としては、空気を流通する複数の孔を有する板状物質が利用できる。多孔質板としては、穿孔板、ハニカム構造板、フィンが連なったものなどを用いることができるが、内部に三次元的に広がる連通孔を備えるものを用いることが好ましい。内部に三次元的に広がる連通孔を備える多孔質板としては、例えば、スポンジのような細孔を備える多孔質構造を有する板状体が挙げられる。また、このような多孔質板を用いることで、発光部34からの光がフィルタ331の内部まで届きやすくなり、内部の光触媒を有効利用することで、浄化効率を向上できる。
【0049】
多孔質板の材質としては、特に制限されず、金属、セラミックス、樹脂などが挙げられる。中でも、光源(特に紫外光)に対して耐久性がある観点から、セラミックスが好ましい。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどが挙げられる。
【0050】
適度な通気性を確保しながら、多くの光触媒を担持させる観点からは、多孔質板(またはフィルタ331)は、少なくとも一方の主面において、1インチ(≒25.4mm)の長さに、8~13個のセルが形成されていることが好ましく、8~12個のセルが形成されていることがさらに好ましい。
【0051】
フィルタ331の厚みは、例えば、5~20mmの範囲から選択でき、7~13mmであることが好ましく、7.5~11mmであることがさらに好ましい。多孔質板の空隙率にもよるが、フィルタの厚みがこのような範囲である場合、発光部34からの光がフィルタ331の内部まで届きやすくなり、内部の光触媒を有効利用できるため、浄化効率を向上できる。
【0052】
多孔質板に担持される光触媒としては、特に制限されないが、例えば、紫外光および/または可視光に応答性の光触媒が使用される。高い浄化性能が得られ易い観点からは、紫外光応答性の光触媒が好ましい。光触媒としては、例えば、酸化チタン系光触媒、タングステン系光触媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、小型空気清浄装置1の用途などに応じて選択すればよい。
光触媒の多孔質基材の担持は公知の手順で行なうことができる。
【0053】
フィルタ331の形状は特に制限されず、例えば、角形のディスク状や円盤状であってもよい。
【0054】
マスキング部332は、清浄部33の周縁部に配置されるが、非露光部分に配置することが好ましい。非露光部分に空気を通過させないことで、清浄されないまま空気が清浄部33を通過することが抑制され、空気の浄化効率が向上する。また、発光部34から照射される光を空気の浄化に有効に活用することができる。
【0055】
マスキング部332は、フィルタ331の周縁部や非露光部分に配置されていればよく、例えば、中央が開口しているフレーム状のマスキング部332の開口部にフィルタ331をはめ込むことによりマスキング部332を形成してもよい。フィルタ331の作製が容易である観点からは、フィルタ331の周縁部や非露光部分を覆うようにマスキング部332を形成してもよい。具体的には、フィルタ331の発光部34と対向する主面において、フィルタ331の周縁部や非露光部分をマスキング部332でカバーすればよい。
【0056】
マスキング部332は、ケーシング2の内壁に一体化させてもよく、ケーシング2から独立させてもよい。清浄部33において少なくともフィルタ331は着脱可能であることが好ましく、清浄部33をケーシング2に対して着脱可能としてもよい。フィルタ331や清浄部33を着脱可能にすることで、フィルタ331の清掃(洗浄も含む)や交換を容易に行なうことができる。好ましい実施形態では、清浄部33は、マスキング部332を備えるフレームと、フレーム内に収容されたフィルタ331とを備えており、ケーシング2に対して着脱可能に配置されている。また、このような清浄部33において、フィルタ331は、フレームに対して着脱可能であることがさらに好ましい。このような清浄部33を用いる場合、マスキング部332またはフィルタ331の装置1への装着を容易に行なうことができる。また、清浄部33やフィルタ331の清掃(洗浄も含む)や交換を容易に行なうことができる。
【0057】
清浄部33は、例えば、ケーシング2に対して引き出し式に着脱可能とすることが好ましい。フィルタ331も、ケーシング2やフレームに対して引き出し式に着脱可能とすることが好ましい。これらの場合、清浄部33やフィルタ331の着脱が容易になる。例えば、ケーシング2の清浄部33を収容する位置に、上述のようなリブを設け、リブをガイドにして、清浄部33を引き出し式に着脱可能にすることができる。また、リブの幅を大きくすれば、清浄部33の側面とケーシング2の内壁との間に不可避的に形成される隙間をリブで覆うことができるため、清浄部33の周囲における空気の通過や光の漏れを抑制できる。
【0058】
マスキング部332を備えるフレームは、空気の逆流を抑制するために、ケーシング2の内壁にフィットした状態で収容可能であることが好ましい。例えば、フレームにばね構造を設ければよい。この場合、ばね構造が振動抑止部としても機能するため、吸気ファン31の作動による清浄部33の振動、振動によるフィルタ331、マスキング部332、フレームなどのずれまたは欠けなどを抑制することもできる。フレームには、ケーシング2に固定するための爪部や突起部を形成してもよく、ケーシング2の内壁に形成された爪部や突起部をはめ込み可能な凹部を形成してもよい。これらの場合やフレームがばね構造を有する場合には、清浄部33を安定に設置することができるとともに、清浄部33の安定した性能を確保することができる。
【0059】
図3は、マスキング部を備えるフレームを有する清浄部の概略斜視図である。
図示例の清浄部33は、マスキング部332を備えるフレームFと、フレーム内に収容され、光触媒が担持されたフィルタ331とを備えている。フィルタ331を挟むように配置された2枚の板状のマスキング部332の面方向の中央付近には、それぞれ、円形の開口部が形成されている。そして、この開口部から、フィルタ331が露出した状態となっており、この露出した領域を空気が通過するとともに、光が照射されて空気の浄化が行なわれる。フレームFには、2枚のマスキング部332が固定または一体化されており、フレームFは、フィルタ331を収容した状態で、引き出し式に小型空気清浄装置に対して着脱可能である。なお、マスキング部332は、フィルタ331の2つの主面のうち、少なくとも1つの主面側に配置すればよく、いずれか一方の主面側のみに配置してもよい。
【0060】
マスキング部332を構成する材料は特に制限されず、金属やセラミックスなどであってもよいが、比較的柔軟で、フィルタ331を装着し易い観点から、樹脂を用いることが好ましい。樹脂としては、例えば、ケーシング2について記載したものが挙げられる。
【0061】
(発光部34)
空気清浄ユニット3は、清浄部33(具体的には、フィルタ331)に光照射するための発光部34を備える。空気清浄ユニット3は、発光部34を少なくとも1つ有していればよく、複数有していてもよい。また、一対の発光部34を、清浄部33を挟むように、清浄部33の吸気ファン31側および排気口22側に配置し、清浄部33のフィルタ331の一方の主面側および他方の主面側からフィルタ331に対して光照射することが好ましい。フィルタ331の両方の主面から照射することで、フィルタ331内部の光触媒まで有効利用することができ、効率よく空気の浄化を行なうことができる。
【0062】
発光部34は、光源341と、光源341を支持する基板342とを備えることが好ましい。基板342には、通常、光源用の回路が搭載される。また、空気清浄装置1全体の回路を一箇所にまとめて設置する場合もある。長寿命である観点から、光源341としてLED光源を用いることが好ましい。光源341の波長は、光触媒を活性化できる波長範囲を選択すればよく、例えば、可視光域および/または紫外光域から選択される。紫外線を照射する光源341を用いれば、紫外線により空気を直接浄化することもでき、空気との接触時間が短くても効率よく浄化を行なうことができる。LED光源は、例えば、実装型であってもよく、砲弾型であってもよい。
【0063】
発光部34は、LED光源などの光源341(具体的には、ランプ)を少なくとも1つ備えていればよく、2つ以上備えていてもよい。光源341を出来るだけ密に並べる観点から、複数の光源341を用いる場合には、例えば、4つの光源341をできるだけ近接させた状態で2列に並べたり、1つの光源341の周囲に6個の光源341を正六角形の頂点となるようにできるだけ近接させた状態で並べたりすることが好ましい。光源341を密に並べると、複数の光源341を用いる場合のフィルタ331への光照射のばらつきを低減することができる。
【0064】
基板342は、ケーシング2の内壁から内方向に向かって延びており、ケーシング2の軸方向に垂直な断面の中央付近で光源341を支持するような形状とすることが好ましい。中央付近に光源341を配置し、その光照射面がフィルタとほぼ平行になるようにすることで、フィルタ331に対して、大きな光量で、より均一に光照射を行なうことができる。ただし、空気の流れを遮らないように、基板342の周囲には空気流路を確保する必要がある。
【0065】
基板342の形状は、光源341および光源341用の回路を支持しながら、空気流路を確保できる形状であれば特に制限されない。例えば、ケーシング2の内壁から、内方向にバーのような基板342をケーシング2の軸方向に垂直な断面における中央付近まで突出させ、バーのような基板342の先端に光源341を配置してもよい。また、ケーシング2の空間に平面形状がX字状やY字状の基板342を形成し、中央付近のX字やY字の交点に光源341を配置してもよい。適度な強度を確保しながら、ケーシング2内への装着、配線が容易で、空気の流れを遮り難い観点から、平面形状がE字状(もしくは、ω字状)の基板を、E字の突出する3本の棒状部のうち中心の棒状部がケーシング2の内壁から内方向に向かって延びるように配置することが好ましい。そして、ケーシング2の軸方向に垂直な断面の中央部分まで延びた中心の棒状部の先端部に、光源341を配置することが好ましい。E字状の基板342を用いると、空気流路を確保し易くなるだけでなく、E字の突出する3本の棒状部間に形成される2つの凹部にリード線を収容することもできる。なお、基板342のケーシング2の内壁に対向する部分は、内壁に沿って基板342を配置しやすいように、ケーシング2の内壁の形状に沿うような形状(例えば、一部を曲面)にしてもよい。
【0066】
図4は、図1のIV-IV線による矢示断面図である。図4には、E字状の基板342を備える発光部34が示されている。より具体的に説明すると、ケーシング2の内壁側には、基板342を収容するためのリブRが形成されており、リブRはケーシング2の内壁に固定されている。図4において、リブRは、基板342の表側だけでなく、裏側にも形成されており、これらのリブRの間に基板342が収容されている。図示例において、基板342は、E字を横にした形状を有しており、ケーシング2の軸方向に垂直な断面において、ケーシング2の内壁に沿って延びる棒状の基部と、この基部に対して略垂直な方向に、ケーシング2の軸方向に垂直な断面における中央付近まで延びる3本の棒状部とを備える。3本の棒状部のうち、両端の2本の棒状部は、ケーシング2の軸方向に垂直な断面において、ケーシング2の内壁に沿って延びており、真中の棒状部は、基部から、ケーシング2の軸方向に垂直な断面における中央付近まで、両端の2本の棒状部と略平行に延びている。そして、真中の棒状部の先端には光源341が配置されている。
【0067】
上述のように、基本的に、リブRは、発光部34を挟むように配置されるが、図1の吸気口21側の発光部34のように、発光部34の一方の主面側に遮蔽板35を配置した場合には、遮蔽板35がリブRの機能を備えるため、発光部34の他方の主面側のみにリブRを配置してもよい。また、遮蔽板35を発光部34に近接させて配置する場合でも、発光部34を挟むようにリブRを設けてもよい。
【0068】
E字状の基板342において、ケーシング2の内壁に沿って延びる基部および両端の2本の棒状部の幅は、真中の棒状部の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、ケーシング2の内壁側を空気が逆流することが低減できる。また、真中の棒状部の幅が小さいことで、空気の流れが遮られることを抑制できる。
【0069】
基板342が配置される部分において、ケーシング2内の断面積(具体的には、軸方向に垂直な方向の断面において、ケーシング2の内壁に囲まれる部分の面積)に占める、ケーシング2の軸方向における基板342の投影面積の比率は、例えば、75%以下(例えば、10~75%)であり、好ましくは12~42%である。面積比率がこのような範囲である場合、発光部34の強度を確保しながら、空気流路を確保し易くなる。
【0070】
発光部34や光源341が劣化した場合に修理や交換ができるように、発光部34および/または光源341は、着脱可能に配置されていることが好ましい。例えば、ケーシング2内に、上述のようなリブを形成し、リブをガイドとして、光源341が搭載された基板342を配置すれば、引き出し式に着脱が可能である。
【0071】
基板342の材質は特に制限されず、例えば、金属や樹脂などが挙げられる。樹脂としては、例えば、ケーシング2について例示したものが挙げられる。また、制御回路を作製する基板と同じ素材で作製すれば、製造工程が低減でき、製造コスト減につながる。
【0072】
光源341の種類や光量にもよるが、フィルタ331と発光部34との距離は、例えば、5~20mmであり、6~13mmであることが好ましい。フィルタ331と発光部34との距離がこのような範囲である場合、発光部34からの光を、より均一に、無駄なく、フィルタ331に当てることができる。
【0073】
なお、フィルタ331と発光部34との距離とは、発光部34と対向する側のフィルタ331の主面と、発光部34のフィルタ331側の端との最短距離を言うものとする。
【0074】
発光部34またはその周辺には、振動抑制部を設けてもよい。振動抑制部を設けることで、装置1(具体的には、吸気ファン31)の動作時に、発光部34が振動するのを抑制することができる。また、振動に伴う発光部34のずれや欠けを防止できる。振動抑制部としては、ばね構造などが利用できる。この場合、簡単な構造で発光部34の振動を抑制できる。例えば、発光部34の基板342を2つのリブをガイドとして引き出し式に収容する場合、基板342の2つのリブ間に収容される部分にばね構造を設け、2つのリブ間に基板342を固定してもよい。また、基板342の側面の一部をケーシング2の内壁に設けた突起部に固定し、側面の一部(突起部に固定した部分の反対側など)に振動抑制部としてのばね構造を設けて、ケーシング2の内壁間に固定してもよい。
【0075】
なお、吸気ファン31、清浄部33、および発光部34は、ケーシング2の軸方向に沿って設けられている。これにより、装置1を小型化し易く、高い処理速度で空気を清浄することができる。特に、吸気ファン31、清浄部33、および発光部34を、ケーシング2内において同軸上に配置することが好ましい。なお、同軸上に配置するとは、吸気ファン31、清浄部33、および発光部34のそれぞれの面方向における中心軸が同じになる(つまり、重なる)ように各部材を配置することを言う。ただし、各部材の中心軸が僅かにずれていてもよく、例えば、各中心軸のずれが5mm以内であれば、各部材が同軸上に配置されていると言うものとする。
【0076】
(その他)
空気清浄ユニット3は、必要に応じて、集塵フィルタを備えていてもよい。集塵フィルタを設けることで、塵や埃のケーシング2内への進入による清浄部33の性能低下や部品損傷を防止することができる。清浄部33の目詰まりを抑制する観点から、集塵フィルタは少なくとも清浄部33よりも上流側に設けることが好ましい。集塵フィルタは、例えば、吸気口21と吸気ファン31との間に設けてもよく、吸気ファン31の吸気口21とは反対側で清浄部33や発光部34よりも上流側に設けてもよい。ケーシング2内を通過する空気が集塵フィルタを必ず通過するように、集塵フィルタは、吸気ファン31などとともにケーシング2の軸方向に沿って設けられ、軸方向に垂直な方向にケーシング2内を横切るように配置される。
【0077】
集塵フィルタとしては公知のもの、例えば、ステンレスや黄銅などの金属製フィルタ、ガラスファイバー製フィルタ、不織布フィルタなどが挙げられる。ガラスファイバー製フィルタや不織布フィルタは、ポリマーバインダを含んでもよい。集塵フィルタは、例えば、ケーシング2の天面23の内側の面、吸気ファン31の主面、発光部34の裏面(光源341とは反対側の面)、ケーシング2の内壁などに対して、粘着テープや溶着などを利用して固定すればよい。例えば、ガラスファイバーと塩化ビニル樹脂とを含むフィルタや、塩化ビニル樹脂で被覆されたネット状のグラスファイバを集塵フィルタとして用いれば、熱溶着により容易に固定することができる。
【0078】
空気清浄ユニット3は、必要に応じて、光線遮断部材を備えていてもよい。光線遮断部材は、発光部34の光源341の周囲を取り囲むように配置される。砲弾型LED光源を用いる場合には、光源341にある程度の高さがあるため、光線遮断部材を配置することが好ましい。光線遮断部材は、箔や板状のフレームなどが利用される。光線遮断部材の材質としては、特に制限されず、金属や樹脂などが利用される。金属としては、アルミニウムやアルミニウム合金などが軽量化の観点から好ましい。金属を用いる場合には、他の導電性の部材と接触しないように配置する必要がある。樹脂としては、可視光線や紫外光線に対して劣化し難いものを使用すればよい。樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0079】
空気清浄ユニット3は、必要に応じて、さらに排気ファンを備えていてもよい。排気ファンとしては、吸気ファンについて例示したものから選択でき、シロッコファンやターボファンを用いることが好ましい。排気ファンは、排気口22の位置に配置してもよく、排気口22よりも少し上流側に配置してもよい。装置1を小型化しやすく、空気の浄化能力を高め易い観点からは、排気ファンは、吸気ファン31などとともにケーシング2の軸方向に沿って設けることが好ましい。
【0080】
マスキング部332および遮蔽板35とは別に、ケーシング2内には、必要に応じて、空気の逆流を防ぐためのマスキング部材や遮蔽板を設けてもよい。マスキング部材や遮蔽板を設けることで、空気の対流が抑制され、浄化効率をさらに高めることができる。マスキング部材や遮蔽板は、空気清浄ユニット3を構成する各部材の周縁部(つまり、ケーシング2の内壁側の部分)を覆うように設けることが好ましい。
【0081】
ケーシング2内には、電池4を収容して、装置1を電池で作動させてもよい。この場合、外部電源がない場所でも使用できるとともに、持ち運びが容易であるため、装置1を様々な用途に(または様々な場所で)利用することができる。ケーシング2内に電池4を収容する場合には、空気清浄ユニット内でスムーズな空気の流れを確保し易い観点から、ケーシング2内の空気清浄ユニット3の下方(具体的には、排気口22よりも下側(つまり、吸気口21とは反対側))に電池4を収容することが好ましい。電池4としては、例えば、乾電池や二次電池が使用される。乾電池としては、アルカリマンガン乾電池が好ましく、電池の購入が簡単であり、容易に交換できる。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素蓄電池などが小型軽量で容量が大きく好ましい。なお、二次電池の場合には、ケーシング2内に収容した状態で、外部電源から直接充電できるようにすることが好ましい。
【0082】
小型空気清浄装置1は、外部電源から電力を供給しながら作動させてもよい。大きな電力を供給できるため、小型空気清浄装置1をハイパワー化し易く、装置1を設置して使用する場合には電池交換や充電などの煩雑さが軽減される。
【0083】
空気清浄ユニット3を構成する各部材と、電池(または電源)との接続は、公知の方法で行うことができる。接続には、フレキシブル基板を用いてもよい。フレキシブル基板を用いると、ケーシング2の内壁に沿わせて配置することができるため、ケーシング2内の空気の流通をスムーズにするとともに、ケーシング2の小型化が容易になる。
【0084】
空気清浄ユニットの各部材の制御回路(吸気ファンのON-OFF、発光部のON-OFF、など)は、一つの基板にまとめるのが好ましい。一つの基板にまとめることにより配線などがまとまり配置が容易となり、例えばケーシングの側面内部に沿わせた形で配置し、空気清浄ユニットをコンパクトに構成し、より小型化することが可能となる。
【0085】
小型空気清浄装置1は、さらに、空気清浄ユニット3を構成する各部材の機能を制御するための制御ユニットを備えていてもよい。制御ユニットは、例えば、ケーシング2内に収容される。制御ユニットは、空気清浄ユニット3の近傍に配置してもよく、電池4が収容されるスペース内に配置してもよい。制御ユニットにより、例えば、吸気ファン31の吸気量、発光部34の発光強度、装置1の動作時間、排気ファンの排気量などを制御することができる、これらの制御を行なうことで、空気の浄化能力、充電池の稼動時間、騒音レベルなどを調整することができる。
【0086】
制御ユニットは、制御回路を備えている。制御ユニットは、例えば、ケーシング2の内壁に設けた爪部やビス孔などに固定される。
【0087】
装置1は、例えば図1のスイッチS,Sのように、さらに、運転を開始および停止したり、電池残量を確認したりするためのスイッチ(またはボタン)、各種設定や切替を行なうためのスイッチ(またはボタン)を設けることが好ましい。これらのスイッチで、例えば、タイマー時間の設定やファン強度の設定、運転モード(例えば、ハイパワーモードや節電モードなど)の選択などを行なってもよい。また、装置1は、例えば図1のL~Lのように、バッテリ残量、タイマーの設定時間、ファン強度などの状態を示すための表示ランプ(例えば、LEDランプ)を備えていてもよい。スイッチは、ケーシング2の外側から押すことができるように形成され、表示ランプは、ケーシング2の外側から視認できるように形成される。
【0088】
小型空気清浄装置1は、設置した状態で使用することができるが、吊り下げた状態でも使用できる。ケーシング2の外側には、吊り下げ用の部品(リング、フックなど)を設けてもよい。
【0089】
空気清浄ユニット3は、さらに空気の浄化の程度やにおいの程度などを検知するセンサを備えていてもよい。センサは、清浄部33および発光部34よりも荷重の空気流路に設置すればよい。
【0090】
排気口22から排気される空気に香りをつけるために、ケーシング2内の清浄部33および発光部34の下流の空気流路に芳香剤を収容してもよい。この場合、芳香剤は、補充または可能にケーシング2内に収容されていることが好ましい。
【0091】
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0092】
実施例1
図1に示す小型空気清浄装置1を用いてアンモニアに対する浄化性能の評価を行った。具体的には、小型空気清浄装置1を12Lの容積の密閉容器内に設置し、評価ガスとしてアンモニアを240μmol容器内に注入し、排気口から排出される空気中のアンモニア濃度を測定した。そして、初期のアンモニア濃度を100として、小型空気清浄装置を作動させてから(光照射開始から)のアンモニア濃度の経時変化を相対濃度(%)で求めた。
【0093】
小型空気清浄装置1において、ケーシング2のサイズは、140mm×38mm×38mmとした。図1に示されるように、一対の発光部34を、清浄部33を挟むように配置した。各発光部34は、図4に示されるように、光源341として紫外光実装型LED1個を、E字型の基板342の真ん中の突起部上に配置し、清浄部33のフィルタ331との距離を7mmとした。清浄部33のフィルタ331の周縁部に、半径10mmの開口部を有する一対のマスキング部332を、フィルタ331を挟むように配置した。吸気ファン31としては、吸気速度が約0.05m/minのものを用いた。
【0094】
比較例1
実施例1の小型空気清浄装置1において、一対のマスキング部332を配置しなかった。これ以外は、実施例1と同様にして、空気清浄装置を組み立て、アンモニアに対する浄化性能を評価した。
【0095】
実施例1および比較例1の結果を図5に示す。実施例1はA1、比較例1はB1である。図5より、マスキング部332を配置した実施例1では、マスキング部332を設置しない比較例1の約70%の短時間で、密閉容器中のアンモニアを浄化することができた。これは、マスキング部332を設置することにより、フィルタ331の光触媒に光が照射される部分に限定的に空気を通過させることができることにより浄化能力が上がったことによるものと考えられる。
【0096】
また、マスキング部332の開口部の大きさを変化させ、浄化能力と、開口部の中心部の放射強度に対する開口部端部の放射強度を測定した。その結果、中心部の放射強度に対して10%以下の部分にマスキングをすればマスキング部を設置しないものと比較し、より効果が見られた。
【0097】
実施例2
実施例1の小型空気清浄装置1において、吸気口21側のみに発光部34を設け、排気口22側の発光部34は設けなかった。これ以外は、実施例1と同様にして、空気清浄装置1を組み立て、アンモニアに対する浄化性能を評価した。
【0098】
実施例3
実施例1の小型空気清浄装置1において、排気口22側のみに発光部34を設け、吸気口21側の発光部34は設けなかった。これ以外は、実施例1と同様にして、空気清浄装置1を組み立て、アンモニアに対する浄化性能を評価した。
【0099】
実施例1~3の結果を図6に示す。実施例1~3は、A1~A3である。図6より、1つの発光部34を配置した実施例2および3でも、高いアンモニア浄化性能が得られた。発光部34は、吸気口21側および排気口22側のいずれに配置しても、ほぼ同じ時間で空気を浄化することができた。
【0100】
一対の発光部34を、清浄部33を挟むように配置した実施例1では、1つの発光部34を配置した実施例2および3に比べると、ほぼ半分の時間で密閉容器中のアンモニアを浄化することができた。このことから、空気の浄化能力が向上し、より短時間で浄化することができる観点からは、発光部34は、清浄部33の両方の主面側に、清浄部33を挟むように一対配置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本実施形態に係る小型空気清浄装置は、小型でありながら、高い空気浄化機能を有しており、速い浄化速度で浄化することができるため、用途に応じて様々な場所で使用できる。小型空気清浄装置は、例えば、室内を始め、玄関、靴箱、トイレ、クローゼット、ペットやゴミ箱の周辺など、建物内の様々な場所に設置したり、鞄や靴の中に直接入れたり、服と共に吊り下げたりという用途にも利用できる。
【符号の説明】
【0102】
1:小型空気清浄装置
2:ケーシング、21:吸気口、22:排気口、23:天面、24:底面、25:側面
3:空気清浄ユニット、31:吸気ファン、33:清浄部、331:フィルタ、332:マスキング部、34:発光部、341:光源、342:基板、35:遮蔽板
4:電池、5:回路基板、F:フレーム、R:リブ、S,S:スイッチ、L,L,L,L:表示ランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6