(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】バネ部材及び封止部材
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3212 20160101AFI20220106BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20220106BHJP
F16J 15/3236 20160101ALI20220106BHJP
F16J 15/3232 20160101ALI20220106BHJP
【FI】
F16J15/3212
F16J15/16 A
F16J15/16 B
F16J15/3236
F16J15/3232 101
(21)【出願番号】P 2017226073
(22)【出願日】2017-11-24
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光雄
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/135091(WO,A1)
【文献】特開2013-040683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3212
F16J 15/16
F16J 15/3236
F16J 15/3232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動する二つの部材間を封止する封止部材に用いられるバネ部材であって、
中心軸を中心とした周方向に沿って延在する環状の底部と、
前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向外側に向けて延在する外側押圧部と、
前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向内側に向けて延在する内側押圧部と、
前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向外側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記外側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い外側ガイド部と、
前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向内側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記内側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い内側ガイド部と、
を有し、
前記外側押圧部は、前記基端部から前記先端部まで、前記中心軸に沿った第1方向に向かうに従って径方向外側に向かうように折れ曲がり、
前記内側押圧部は、前記機基端部から前記先端部まで、前記第1方向に向かうに従って径方向内側に向かうように折れ曲がり、
前記外側ガイド部は、前記基端部から、前記基端部と前記先端部との間の中間部まで、前記径方向外側に向けて延在し、前記中間部において
前記第1方向側に折れ曲がっており、
前記内側ガイド部は、前記基端部から、前記基端部と前記先端部との間の中間部まで、前記径方向内側に向けて延在し、前記中間部において
前記第1方向側に折れ曲がっている、
バネ部材。
【請求項2】
前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記外側押圧部及び前記内側押圧部よりも、前記周方向に沿った幅が短い、請求項1に記載のバネ部材。
【請求項3】
前記外側押圧部及び前記内側押圧部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも長く、
前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも短い、請求項1又は請求項2に記載のバネ部材。
【請求項4】
相対的に移動する二つの部材間を封止する封止部材に用いられるバネ部材であって、
中心軸を中心とした周方向に沿って延在する環状の底部と、
前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向外側に向けて延在する外側押圧部と、
前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向内側に向けて延在する内側押圧部と、
前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向外側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記外側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い外側ガイド部と、
前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向内側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記内側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い内側ガイド部と、
を有し、
前記外側押圧部及び前記内側押圧部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも長く、
前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも短い、
バネ部材。
【請求項5】
一対の前記外側押圧部及び前記内側押圧部は、前記底部の周方向における同じ位置から突出しており、
一対の前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記底部の前記周方向における前記一対の外側押圧部及び内側押圧部同士の間から突出している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバネ部材。
【請求項6】
前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部の先端部は、前記外側押圧部及び前記内側押圧部の先端部よりも、前記中心軸に沿った軸方向において前記底部に近い位置にある、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバネ部材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のバネ部材と、樹脂製のリップ部材とを有し、
前記リップ部材は、環状に延在する収納溝を有する環状の部材であり、
前記バネ部材は、前記収納溝内に配置され、前記外側押圧部が、前記収納溝の外周側の面を押圧し、前記内側押圧部が、前記収納溝の内周側の面を押圧する、封止部材。
【請求項8】
前記外側ガイド部が前記収納溝の外周側の面に接触し、前記内側ガイド部が前記収納溝の内周側の面に接触する、請求項7に記載の封止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネ部材及び封止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
相対的に移動する2つの部材間を封止するために、PTFE(Polytetrafluoroethylene ポリテトラフルオロエチレン)で形成された封止部材が用いられる場合がある。PTFEは、例えばゴム等の材料と比べ高温高圧下で使用可能であり、耐油性及び耐圧性に優れており、かつ摺動性に優れている。一方、PTFE製の封止部材は、高温下でへたりが生じることがあるため、長期にわたって十分なシール性を維持することが困難な場合がある。そこで、例えば特許文献1及び特許文献2に示すように、PTFE製の封止部材に設けられた溝に、U字状又はV字状のバネ部材を挿入し、封止部材の両側の部分(リップ部材)をバネ部材が広がる方向に押圧する構造が提案されている。この構造によると、バネ部材でリップ部材を押圧することで、封止対象の部材を押し付ける状態を維持することが可能となり、シール性の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-27763号公報
【文献】特開2015-135137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように溝内にバネ部材を挿入する構成において、溝内におけるバネ部材の位置又は姿勢が不適切である場合、バネ部材により、リップ部を適切に押圧することができなくなる可能性がある。この場合、リップ部によるシール性の低下を抑制できなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、リップ部材を適切に押圧することができるバネ部材及び封止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るバネ部材は、相対的に移動する二つの部材間を封止する封止部材に用いられるバネ部材であって、中心軸を中心とした周方向に沿って延在する環状の底部と、前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向外側に向けて延在する外側押圧部と、前記周方向に沿って前記底部に複数設けられ、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記中心軸に直交する径方向内側に向けて延在する内側押圧部と、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向外側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記外側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い外側ガイド部と、前記底部に接続された基端部から先端部まで、前記径方向内側に向けて延在し、前記基端部から前記先端部までの長さが、前記内側押圧部の前記基端部から前記先端部までの長さより短い内側ガイド部と、を有する。
【0007】
前記バネ部材において、前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記外側押圧部及び前記内側押圧部よりも、前記周方向に沿った幅が短いことが好ましい。
【0008】
前記バネ部材において、前記外側押圧部及び前記内側押圧部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも長く、前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記周方向に沿った前記先端部の幅が、前記周方向に沿った前記基端部の幅よりも短いことが好ましい。
【0009】
前記バネ部材において、一対の前記外側押圧部及び前記内側押圧部は、前記底部の周方向における同じ位置から突出しており、一対の前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部は、前記底部の前記周方向における前記一対の外側押圧部及び内側押圧部同士の間から突出していることが好ましい。
【0010】
前記外側ガイド部及び前記内側ガイド部の先端部は、前記外側押圧部及び前記内側押圧部の先端部よりも、前記中心軸に沿った軸方向において前記底部に近い位置にあることが好ましい。
【0011】
本開示に係る封止部材は、前記バネ部材と、樹脂製のリップ部材とを有し、前記リップ部材は、環状に延在する収納溝を有する環状の部材であり、前記バネ部材は、前記収納溝内に配置され、前記外側押圧部が、前記収納溝の外周側の面を押圧し、前記内周押圧部が、前記収納溝の内周側の面を押圧する。
【0012】
前記封止部材は、前記外側ガイド部が前記収納溝の外周側の面に接触し、前記内側ガイド部が前記収納溝の内周側の面に接触することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リップ部材を適切に押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る封止部材の断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るバネ部材の模式図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施形態に係るバネ部材の模式図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施形態に係るバネ部材の模式図である。
【
図4】
図4は、バネ部材をリップ部材に取付けた状態を示す模式図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る封止部材の取付けの例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るバネ部材及び封止部材の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
図1は、本実施形態に係る封止部材の断面図である。
図1は、本実施形態に係る封止部材1により、第1部材100と第2部材110との間を封止している状態の断面を模式的に示している。第1部材100と第2部材110とは、相対的に移動する2つの部材である。本実施形態においては、第1部材100がピストンなどの移動する部材であり、第2部材110がシリンダ(ハウジング)などの移動しない部材である。ただし、これは一例である。第1部材100は、第2部材110に対して相対的に移動する部材であればよい。例えば、第1部材100が他の物体等に固定又は保持された状態であって移動せず、第2部材110が移動してもよい。また、第1部材100及び第2部材110の両方が移動してもよい。
【0017】
本実施形態では、第1部材100は、円筒状の外周面100Aを有し、第2部材110は、円筒状の内周面110Aを有する。第1部材100は、第2部材110の内側に配置され、外周面100Aが、内周面110Aと対向する。さらに言えば、外周面100Aの中心軸は、内周面110Aの中心軸と一致する。また、外周面100Aは、内周面110Aに対向しており、内周面110Aとの間に、円筒状の微小な隙間Sを形成している。本実施形態に係る封止部材1は、この隙間Sを封止する。部材110は、内周面110Aに、周方向に沿った溝部112を有している。溝部112は、
図1の例では断面視で矩形状であるが、これに限定されない。
【0018】
本実施形態に係る封止部材1は、溝部112に設けられている。封止部材1は、中心軸AXを中心とした円周方向に沿って延在する環状の部材である。以下、中心軸AXに沿った軸方向を、軸方向Xとする。中心軸AXは、封止部材1を第2部材110に取付けた状態において、外周面100A及び内周面110Aの中心軸であるともいえる。この場合、軸方向Xは、第1部材100の移動方向となる。なお、軸方向Xは、中心軸AXに沿った方向X1と、中心軸AXに沿って方向X1とは反対方向の方向X2とがある。また、中心軸AXに直交する径方向であって、外側に向かう方向(中心軸AXから離れる方向)を、方向R1とし、内側に向かう方向(中心軸AXに向かう方向)を、方向R2とする。方向R1は径方向外側の方向であり、方向R2は、径方向内側の方向である。また、軸方向Xから見た場合における、中心軸AXを中心とした円周方向を、周方向Cとする。
【0019】
封止部材1は、第1部材100と第2部材110との間の隙間Sを封止して、例えばオイルや燃料などの流体が、この隙間Sから漏れ出すことを抑制する。
図1に示すように、封止部材1は、リップ部材10とバネ部材12とを有する。リップ部材10は、樹脂製、より詳しくは、PTFE(Polytetrafluoroethylene ポリテトラフルオロエチレン)製の部材である。リップ部材10は、PTFEを含む材料であれば任意である。リップ部材10は、PTFEの粉末に、炭素繊維、ガラス繊維、ブロンズ粉末などの充填材を配合して製造される部材であってもよい。また、バネ部材12は、金属製であり、本実施形態では、ステンレス鋼である。ただし、バネ部材12の材料は、ステンレス鋼に限られない。
【0020】
図1に示すように、リップ部材10は、基端部20と、外側リップ部22と、内側リップ部24とを有する。基端部20は、周方向Cに沿って延在する環状の部材である。外側リップ部22は、基端部20の方向R1側の外周部から方向X1に向けて延在する部分である。外側リップ部22は、基端部20の外周部に接続された末端部22Aから、先端部22Bまで、方向X1に向けて延在している。また、外側リップ部22は、基端部20の全周にわたって設けられている。内側リップ部24は、基端部20の方向R2側の内周部から方向X1に向けて延在する部分である。内側リップ部24は、基端部20の内周部に接続された末端部24Aから、先端部24Bまで、方向X1に向けて延在している。また、内側リップ部24は、基端部20の全周にわたって設けられている。内側リップ部24は、突起部26Bを有している。突起部26Bは、先端部24Bの方向R1側の面(後述する表面34)から、方向R1に突出している。
【0021】
また、内側リップ部24は、外側リップ部22に対して方向R2に離れた状態で配置されている。内側リップ部24と外側リップ部22との間には、収納溝28が形成される。すなわち、収納溝28は、外側リップ部22の方向R1側の表面32と、内側リップ部24の方向R1側の表面34と、基端部20の方向X1側の表面36とに囲まれ、方向X1側が開口する溝である。収納溝28は、周方向Cに沿って、基端部20の全周にわたって設けられている。なお、表面34は、方向X1側に向かうに従って、方向R2側に向かうように傾斜している。表面32は、方向X1側に向かうに従って、方向R1側に向かうように傾斜している。
【0022】
図1に示すように、バネ部材12は、リップ部材10の収納溝28内に配置される。バネ部材12は、底部40と、外側押圧部42と、内側押圧部44と、外側ガイド部46と、内側ガイド部48とを有する。収納溝28内において、バネ部材12は、外側押圧部42が、収納溝28の表面32に接触して、表面32を押圧する。すなわち、外側押圧部42は、外側リップ部22を方向R1側に押圧する。これにより、外側リップ部22は、先端部22Bが方向R1側に変形することで、第2部材110の溝部112の面に接触して、溝部112の内周面112Aを押圧する。また、バネ部材12は、内側押圧部44が、収納溝28の表面34に接触して、表面34を押圧する。すなわち、内側押圧部44は、内側リップ部24を方向R2側に押圧する。これにより、内側リップ部24は、先端部24Bが方向R2側に変形することで、第1部材100の内周面100Aに接触して、内周面100Aを押圧する。このように、バネ部材12は、外側リップ部22を第2部材110に押圧させ、内側リップ部24を第1部材100に押圧させることで、リップ部材10に、第1部材100と第2部材110との隙間Sを封止させる。
【0023】
以下、バネ部材12の構造についてより詳細に説明する。
図2、
図3A及び
図3Bは、本実施形態に係るバネ部材の模式図である。
図4は、バネ部材をリップ部材に取付けた状態を示す模式図である。
図2は、バネ部材12を展開した状態の平面図であり、バネ部材12に折り曲げ加工がされる前の状態を示している。
図3Aは、バネ部材12に折り曲げ加工がなされた後の状態を示した斜視図であり、
図3Bは、バネ部材12に折り曲げ加工がなされた後の状態を示した断面図である。
図4は、
図3A及び
図3Bのように折り曲げ加工がなされたバネ部材12を、リップ部材10に取付けた状態を示している。バネ部材12は、例えば金属板に切削加工を施すことにより、
図2に示すような平板状とされる。そして、
図2に示す平板状のバネ部材12が折り曲げられることで、
図3A及び
図3Bに示すような形状となる。
【0024】
最初に、
図2に基づき、バネ部材12の形状を説明する。
図2に示すように、底部40は、中心軸AXを中心とした周方向Cに沿って延在する環状の部分である。底部40は、外周側の端面である外周部40Aと、内周側の端面である内周部40Bとを有している。外周側は方向R1側であり、内周側は方向R2側である。
【0025】
外側押圧部42は、周方向Cに沿って、底部40に複数設けられている。外側押圧部42は、底部40の外周部40Aから、方向R1、すなわち径方向外側に突出している。より詳しくは、外側押圧部42は、外周部40Aに接続された基端部42Aから、先端部42Bまで、方向R1に沿って延在している。外側押圧部42は、先端部42Bが、バネ部材12の他の部材から離間している。言い換えれば、外側押圧部42が、先端部42Bにおいて、途切れている。ここで、周方向Cに沿った基端部42Aの長さを、幅W1Aとし、周方向Cに沿った先端部42Bの長さを、幅W1Bとする。この場合、幅W1Bは、幅W1Aより長くなっている。さらに詳しくは、外側押圧部42は、基端部42Aから先端部42Bに向かうに従って、周方向Cに沿った長さが、大きくなっている。
【0026】
内側押圧部44は、周方向Cに沿って、底部40に複数設けられている。内側押圧部44は、底部40の内周部40Bから、方向R2、すなわち径方向内側に突出している。より詳しくは、内側押圧部44は、内周部40Bに接続された基端部44Aから、先端部44Bまで、方向R2に沿って延在している。内側押圧部44は、先端部44Bが、バネ部材12の他の部材から離間している。言い換えれば、内側押圧部44は、先端部44Bにおいて、途切れている。ここで、周方向Cに沿った基端部44Aの長さを、幅W2Aとし、周方向Cに沿った先端部44Bの長さを、幅W2Bとする。この場合、幅W2Bは、幅W2Aより長くなっている。さらに詳しくは、内側押圧部44は、基端部44Aから先端部44Bに向かうに従って、周方向Cに沿った長さが、大きくなっている。
【0027】
1つの外側押圧部42と1つの内側押圧部44とは、一対となっており、周方向Cにおいて、底部40の同じ位置から突出している。言い換えれば、一対の外側押圧部42と内側押圧部44とは、方向R1に沿った中心軸AX1が、一致する。すなわち、一対の外側押圧部42と内側押圧部44とは、押圧部45を形成しているといえる。複数の押圧部45は、周方向Cに沿って、均等なピッチで設けられている。
【0028】
外側ガイド部46は、周方向Cに沿って、底部40に複数設けられており、周方向Cにおいて外側押圧部42と異なる位置に設けられている。外側ガイド部46は、底部40の外周部40Aから、方向R1に突出している。より詳しくは、外側ガイド部46は、外周部40Aに接続された基端部46Aから、先端部46Bまで、方向R1に沿って延在している。外側ガイド部46は、先端部46Bが、バネ部材12の他の部材から離間している。言い換えれば、外側ガイド部46は、先端部46Bにおいて、途切れている。ここで、周方向Cに沿った基端部46Aの長さを、幅W3Aとし、周方向Cに沿った先端部46Bの長さ(幅)を、幅W3Bとする。この場合、幅W3Bは、幅W3Aより短くなっている。さらに詳しくは、外側ガイド部46は、基端部46Aから先端部46Bに向かうに従って、周方向Cに沿った長さが、短くなっている。ただし、幅W3Aと幅W3Bとの関係は、上記に限られない。例えば、外側ガイド部46は、基端部46Aから先端部46Bに向かうに従って、周方向Cに沿った幅が短くなっていなくてもよい。なお、外側ガイド部46は、複数設けられることが好ましいが、単数であってもよい。
【0029】
内側ガイド部48は、周方向Cに沿って、底部40に複数設けられており、周方向Cにおいて内側押圧部44と異なる位置に設けられている。内側ガイド部48は、底部40の内周部40Bから、方向R2に突出している。より詳しくは、内側ガイド部48は、内周部40Bに接続された基端部48Aから、先端部48Bまで、方向R2に沿って延在している。内側ガイド部48は、先端部48Bが、バネ部材12の他の部材から離間している。言い換えれば、内側ガイド部48は、先端部48Bにおいて、途切れている。ここで、基端部48Aの周方向Cに沿った長さを、幅W4Aとし、先端部48Bの周方向Cに沿った長さを、幅W4Bとする。この場合、幅W4Bは、幅W4Aより短くなっている。さらに詳しくは、内側ガイド部48は、基端部48Aから先端部48Bに向かうに従って、周方向Cに沿った長さが、短くなっている。ただし、幅W4Aと幅W4Bとの関係は、上記に限られない。例えば、内側ガイド部48は、基端部48Aから先端部48Bに向かうに従って、周方向Cに沿った幅が短くなっていなくてもよい。なお、内側ガイド部48は、複数設けられることが好ましいが、単数であってもよい。
【0030】
1つの外側ガイド部46と1つの内側ガイド部48とは、一対となっており、周方向Cにおいて、底部40の同じ位置から突出している。言い換えれば、一対の外側ガイド部46と内側ガイド部48とは、方向R1に沿った中心軸AX2が、一致する。一対の外側ガイド部46と内側ガイド部48とは、底部40の周方向Cにおける2つの押圧部45の間の同じ位置から突出している。すなわち、一対の外側ガイド部46と内側ガイド部48とは、ガイド部49を形成しているといえ、ガイド部49は、2つの押圧部45の間に設けられているといえる。また、複数のガイド部49は、周方向Cに沿って、均等なピッチで設けられている。また、ガイド部49は、両隣の押圧部45との間の距離が、周方向Cに沿って均等となっている。なお、ガイド部49は、2つの押圧部45の間に1つ設けられているが、2つの押圧部45の間に複数設けられていてもよい。
【0031】
バネ部材12の各部の形状は、以上のようになっている。以下では、各部の大きさの関係について説明する。
【0032】
外側押圧部42の先端部42Bの幅W1Bは、内側押圧部44の先端部44Bの幅W2Bより、大きくなっている。また、外側押圧部42は、基端部42Aの幅W1Aに対する先端部42Bの幅W1Bの長さの比率が、内側押圧部44の基端部44Aの幅W2Aに対する先端部44Bの幅W2Bの長さの比率よりも、大きくなっている。さらに言えば、外側押圧部42の周方向Cの両端の辺同士のなす角度θaは、内側押圧部44の周方向Cの両端の辺同士の成す角度θbよりも大きくなっている。
【0033】
外側ガイド部46は、周方向Cに沿った幅が、外側押圧部42及び内側押圧部44の周方向Cに沿った幅よりも小さい。より詳しくは、外側ガイド部46の基端部46Aの幅W3Aは、外側押圧部42の幅W1A及び内側押圧部44の幅W2Aよりも小さくなっている。
【0034】
内側ガイド部48も、周方向Cに沿った幅が、外側押圧部42及び内側押圧部44の周方向Cに沿った幅よりも小さい。より詳しくは、内側ガイド部48の基端部48Aの幅W4Aは、外側押圧部42の幅W1A及び内側押圧部44の幅W2Aよりも小さくなっている。また、内側ガイド部48の周方向Cに沿った幅は、外側ガイド部46の周方向Cに沿った幅と同一となっている。内側ガイド部48の幅W4A及び外側ガイド部46の幅W3Aは、例えば0.3mm以上である。
【0035】
ここで、方向R1に沿った、外側押圧部42の基端部42Aから先端部42Bまでの長さを、長さL1とする。また、方向R1に沿った、内側押圧部44の基端部44Aから先端部44Bまでの長さを、長さL2とする。また、方向R1に沿った、外側ガイド部46の基端部46Aから先端部46Bまでの長さを、長さL3とする。また、方向R1に沿った、内側ガイド部48の基端部48Aから先端部48Bまでの長さを、長さL4とする。この場合、外側ガイド部46の長さL3は、外側押圧部42の長さL1及び内側押圧部44の長さL2よりも短い。また、内側ガイド部48の長さL4も、外側押圧部42の長さL1及び内側押圧部44の長さL2よりも短い。外側ガイド部46の長さL3と内側ガイド部48の長さL4とは、同じである。
【0036】
なお、バネ部材12の各部の大きさの関係は、上述したものに限定されない。
【0037】
図2に示す平板状のバネ部材12は、底部40の外周部40Aと内周部40Bとにおいて、折り曲げられる(
図2では谷折り)。より詳しくは、外側押圧部42は、表面が、底部40の表面に対して鋭角となるように、基端部42Aにおいて、折り曲げられる。これにより、外側押圧部42は、
図3A及び
図3Bに示すように、基端部42Aから先端部42Bまで、方向X1に向かうに従って方向R1側に向かうように延在した形状となる。また、内側押圧部44は、表面が、底部40の表面に対して鋭角となるように、基端部44Aにおいて、折り曲げられる。これにより、内側押圧部44は、
図3A及び
図3Bに示すように、基端部44Aから先端部44Bまで、方向X1に向かうに従って方向R2側に向かうように延在した形状となる。
【0038】
一方、外側ガイド部46は、基端部46Aにおいて、折り曲げられない。すなわち、
図3Bに示すように、外側ガイド部46は、基端部46Aから中間部46Cまで、方向R1に延在した形状のまま(
図2の形状のまま)となる。中間部46Cは、外側ガイド部46の基端部46Aと先端部46Bとの間の箇所であり、基端部46Aよりも先端部46Bに近い箇所である。ただし、
図3Bに示すように、外側ガイド部46は、中間部46Cにおいて、方向X1側に折り曲げられる。すなわち、この場合、外側ガイド部46は、基端部46Aから先端部46Bの近傍である中間部46Cまでにおいては、方向R1に延在し、中間部46Cの近傍から先端部46Bまで、方向X1に向けて延在する。外側ガイド部46は、中間部46Cから先端部46Bまでの方向R1側の面が、端面46Dとなり、端面46Dが、リップ部材10の収納溝28に接触する。端面46Dは、平面状となっている。ただし、外側ガイド部46は、中間部46Cにおいて必ずしも折り曲げられなくてよく、基端部46Aから先端部46Bまで方向R1に延在してもよい。
【0039】
同様に、内側ガイド部48は、基端部48Aにおいて、折り曲げられない。すなわち、
図3Bに示すように、内側ガイド部48は、基端部48Aから中間部48Cまで、方向R2に延在した形状のまま(
図2の形状のまま)となる。中間部48Cは、内側ガイド部48の基端部48Aと先端部48Bとの間の箇所であり、基端部48Aよりも先端部48Bに近い箇所である。ただし、
図3Bに示すように、内側ガイド部48は、中間部48Cにおいて、方向X1側に折り曲げられる。すなわち、この場合、内側ガイド部48は、基端部48Aから先端部48Bの近傍である中間部48Cまでにおいては、方向R2に延在して、中間部48Cから先端部48Bまで、方向X1に向けて延在する。内側ガイド部48は、中間部48Cから先端部48Bまでの方向R1側の面が、端面48Dとなり、端面48Dが、リップ部材10の収納溝28に接触する。端面48Dは、平面状となっている。ただし、内側ガイド部48は、中間部48Cにおいて必ずしも折り曲げられなくてよく、基端部48Aから先端部48Bまで方向R2に延在してもよい。
【0040】
このような折り曲げ状態において、バネ部材12は、外側押圧部42の先端部42B及び内側押圧部44の先端部44Bが、外側ガイド部46の先端部46B及び内側ガイド部48の先端部48Bよりも、方向X1側に位置する。言い換えれば、バネ部材12は、外側ガイド部46の先端部46B及び内側ガイド部48の先端部48Bが、外側押圧部42の先端部42B及び内側押圧部44の先端部44Bよりも、軸方向Xにおいて、底部40に近い位置となる。
【0041】
また、方向R1に沿った、内側ガイド部48の端面46Dから外側ガイド部46の端面48Dまでの長さを、長さL5とする。そして、方向R1に沿った、リップ部材10の収納溝28の表面36側における、表面32から表面34までの長さを、長さL0とする(
図1を参照)。この場合、長さL5は、長さL0より長くなっており、例えば、長さL0より0.05mmだけ長くなっている。なお、長さL0の位置、すなわち収納溝28の表面36側の位置は、内側ガイド部48及び外側ガイド部46が配置される位置である。
【0042】
ここで、外側押圧部42の延在方向(基端部42Aから先端部42Bへの方向)と中心軸AXとの間の角度を角度θ1とし、内側押圧部44の延在方向(基端部44Aから先端部44Bへの方向)と中心軸AXとの間の角度を角度θ2とする(
図4を参照)。また、外側ガイド部46の延在方向(基端部46Aから先端部46Bへの方向)と中心軸AXとの間の角度を角度θ3とし、内側ガイド部48の延在方向(基端部48Aから先端部48Bへの方向)と中心軸AXとの間の角度を角度θ4とする(
図4を参照)。この場合、折り曲げ状態において、角度θ3は、角度θ1及び角度θ2より大きく、角度θ4は、角度θ1及び角度θ2より大きくなる。角度θ1及び角度θ2は、鋭角と
なる。なお、
図4はバネ部材12をリップ部材10に取付けた後の図であるが、ここでの角度θ1、θ2、θ3、θ4は、
図3に示す、バネ部材12が折り曲げられた状態であり、バネ部材12がリップ部材10に取付けていない状態での角度を指している。
【0043】
図4に示すように、バネ部材12は、折り曲げられた状態で、リップ部材10の収納溝28内に収納される。ここで、バネ部材12は、折り曲げられた状態において、外側押圧部42の先端部42Bから内側押圧部44の先端部44Bまでの方向R1に沿った長さが、収納溝28の方向R1に沿った長さL0よりも大きい。従って、バネ部材12が収納溝28内に収納された際に、外側押圧部42は、先端部42Bが外側リップ部22の表面32に接触し、外側リップ部22により方向R2側に押される。これにより、外側押圧部42は、基端部42Aを起点として方向R2側にさらに折れ曲がる。そのため、外側押圧部42は、方向R1側に戻る力、すなわち方向R1側への押圧力が生じ、外側リップ部22を方向R1側に押圧する。同様に、内側押圧部44は、先端部44Bが内側リップ部24の表面34に接触し、内側リップ部24により、方向R1側に押される。これにより、内側押圧部44は、基端部44Aを起点として方向R1側にさらに折れ曲がる。そのため、内側押圧部44は、方向R2側に戻る力、すなわち方向R2側への押圧力が生じ、表面34(内側リップ部24)を方向R2側に押圧する。これにより、リップ部材10は、第1部材100と第2部材110との隙間Sを封止する。
【0044】
さらに、外側ガイド部46は、外側押圧部42の先端部42Bよりも方向X2側の位置において、端面46Dが、外側リップ部22の表面32に接触する。同様に、内側ガイド部48は、内側押圧部44の先端部44Bよりも方向X2側の位置において、端面48Dが、内側リップ部24の表面34に接触する。また、上述のように、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の角度θ3及び角度θ4は、角度θ1及び角度θ2より大きい。従って、外側ガイド部46及び内側ガイド部48は、外側押圧部42及び内側押圧部44よりも、変形、より詳しくは折り曲げられ難い。従って、バネ部材12は、外側ガイド部46が、外側リップ部22の表面32を適切に押圧するので、表面32に対して位置が固定される。同様に、バネ部材12は、内側ガイド部48が、内側リップ部24の表面34を適切に押圧するので、表面34に対して固定される。このように、封止部材1は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48により、リップ部材10に対して位置が固定される。
【0045】
ここで、比較例について説明する。
図5は、比較例に係る封止部材の取付けの例を示す模式図である。
図5に示すように、比較例に係るバネ部材12Xは、ガイド部(外側ガイド部46及び内側ガイド部48)を有さない。この場合、バネ部材12Xが、収納溝28X内で適切な位置が固定されず、収納溝28X内で傾く可能性がある。この場合、バネ部材12Xが、外側リップ部22Xと内側リップ部24Xとに適切に押圧力を付与できなくなり、シール性能が低下する可能性がある。例えば
図5では、バネ部材12Xが内側リップ部24X側に傾いた例を示しており、外側リップ部22Xへの押圧力が不足する可能性がある。
【0046】
それに対し、本実施形態に係る封止部材1は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48が、外側リップ部22及び内側リップ部24に接触可能となっているため、バネ部材12が外側リップ部22側と内側リップ部24側とのどちらかに傾くことを抑制することができる。封止部材1は、長さL5が長さL0より長い、すなわちガイド部49が収納溝28より長いため、外側ガイド部46及び内側ガイド部48が、外側リップ部22及び内側リップ部24を押圧して、バネ部材12を、リップ部材10に対して傾きが小さい状態で固定する。このように、本実施形態に係る封止部材1は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48により、バネ部材12の傾きを抑制して、シール性の低下を抑制することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るバネ部材12は、相対的に移動する第1部材100と第2部材110と間を封止する封止部材1に用いられるバネ部材である。バネ部材12は、底部40と、外側押圧部42と、内側押圧部44と、外側ガイド部46と、内側ガイド部48とを有する。底部40は、中心軸AXを中心とした周方向Cに沿って延在する環状となっている。外側押圧部42は、周方向Cに沿って底部40に複数設けられて、底部40に接続された基端部42Aから先端部42Bまで、方向R1に向けて延在する。外側押圧部42は、方向R2に押されることで、方向R1への押圧力を生じさせる。内側押圧部44は、周方向Cに沿って底部40に複数設けられて、底部40に接続された基端部44Aから先端部44Bまで、方向R2に向けて延在する。内側押圧部44は、方向R1に押されることで、方向R2への押圧力を生じさせる。外側ガイド部46は、底部40に接続された基端部46Aから先端部46Bまで、方向R1に向けて延在し、長さL3が、外側押圧部42の長さL1より短い。また、内側ガイド部48は、底部40に接続された基端部48Aから先端部48Bまで、方向R2に向けて延在し、長さL4が、内側押圧部44の長さL2より短い。
【0048】
このバネ部材12は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48により、バネ部材12の傾きを抑制して、リップ部材10を適切に押圧することができる。これにより、バネ部材12は、リップ部材10のシール性の低下を抑制することができる。
【0049】
また、外側ガイド部46及び内側ガイド部48は、外側押圧部42及び内側押圧部44よりも、周方向Cに沿った幅が短い。このバネ部材12は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の幅が短いため、外側押圧部42及び内側押圧部44による押圧力への影響を抑えつつ、バネ部材12の傾きを抑制することができる。従って、このバネ部材12は、リップ部材10をより適切に押圧することができる。
【0050】
また、外側押圧部42及び内側押圧部44は、周方向Cに沿った先端部42B、44Bの幅W1B、W2Bが、周方向Cに沿った基端部42A、44Aの幅W1A、W2Aよりも長い。そして、外側ガイド部46及び内側ガイド部48は、周方向Cに沿った先端部46B、48Bの幅W3B、W4Bが、周方向Cに沿った基端部46A、48Aの幅W3A、W4Aよりも短い。このバネ部材12は、押圧力を付与する外側押圧部42及び内側押圧部44の先端の幅を大きくしている一方で、固定に用いる外側ガイド部46及び内側ガイド部48の先端の幅を小さくしている。これにより、このバネ部材12は、適切に押圧力を付与しつつ、バネ部材12の傾きを抑制することで、リップ部材10をより適切に押圧することができる。また、外側ガイド部46及び内側ガイド部48を先細りの形状とすることで、曲げ加工が容易となり、加工上も有利となる。
【0051】
また、一対の外側押圧部42及び内側押圧部44は、底部40の周方向Cにおける同じ位置から突出している。そして、一対の外側ガイド部46及び内側ガイド部48は、底部40の周方向Cにおける一対の外側押圧部42及び内側押圧部44同士の間から突出している。このバネ部材12は、2つの押圧部45の間にガイド部49を設けることで、適切に押圧力を付与しつつ、バネ部材12の傾きを抑制することができる。これにより、バネ部材12は、リップ部材10をより適切に押圧することができる。
【0052】
また、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の先端部46B、48Bは、外側押圧部42及び内側押圧部44の先端部42B、44Bよりも、軸方向X)において底部40に近い位置にある。このバネ部材12は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48を底部40に近い位置に置くことで、リップ部材10により固定され易くなり、リップ部材10をより適切に押圧することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る封止部材1は、樹脂製のリップ部材10と、バネ部材12とを有する。リップ部材10は、環状に延在する収納溝28を有する環状の部材である。バネ部材12は、収納溝28内に配置される。外側押圧部42は、収納溝28の外周側の面(表面32)を押圧し、内周押圧部44が、収納溝28の内周側の面(表面34)を押圧する。この封止部材1は、バネ部材12が外側ガイド部46及び内側ガイド部48を有することで、バネ部材12の傾きを抑制して、シール性の低下を抑制することができる。
【0054】
また、封止部材1は、外側ガイド部46が収納溝28の外周側の面(表面32)に接触し、内側ガイド部48が収納溝28の内周側の面(表面34)に接触することで、バネ部材12をリップ部材10に対して固定する。この封止部材1は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48により、バネ部材12の傾きを抑制して、シール性の低下を抑制することができる。
【0055】
図6は、封止部材の他の例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のリップ部材10は、突起部26Bを有していた。この突起部26Bは、バネ部材12のリップ部材10からの抜け出しを防止するために設けられている。しかし、バネ部材12は、外側ガイド部46及び内側ガイド部48によってリップ部材10に固定されるため、突起部26Bは必ずしも設けられなくてもよい。すなわち、
図6に示すように、封止部材1Aは、突起部26Bを有さないリップ部材10Aを有していてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の中間部46C、48Cが、方向X1に折り曲げられ、端面46D、48dにおいて、リップ部材10の表面32、34と接触している。これにより、バネ部材12は、リップ部材10の表面32、34への面圧が過剰となることを抑制して、表面32、34に刺さってしまうことなどを抑制することができる。すなわち、バネ部材12は、リップ部材10の表面32、34により適切に接触、押圧することが可能となる。ただし、上述のように、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の先端部46B、48Bは、方向X1に折り曲げられていなくてもよい。この場合でも、バネ部材12は、リップ部材10の表面32、34に適切に接触、押圧することができる。また、外側ガイド部46及び内側ガイド部48の端面46D、48dは、凸状の曲面形状など、表面32、34に適切に接触するために加工されていてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1 封止部材
10 リップ部材
12 バネ部材
22 外側リップ部
24 内側リップ部
28 収納溝
40 底部
42 外側押圧部
44 内側押圧部
46 外側ガイド部
48 内側ガイド部
42A、44A、46A、48A 基端部
42B、44B、46B、48B 先端部
100 第1部材
110 第2部材