(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影画像補正
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220106BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20220106BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20220106BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/12
A61B6/03 360G
A61B6/03 360D
A61B34/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017226612
(22)【出願日】2017-11-27
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538170(JP,A)
【文献】特開2005-253964(JP,A)
【文献】特開2015-036124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0023730(US,A1)
【文献】特開平03-232077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
A61B 5/055
A61B 6/00 - 6/14
A61B 8/00 - 8/15
A61B 34/00 - 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
体腔の中に挿入されるように構成された医療用プローブと、
センサ座標系で動作する前記医療用プローブの位置センサと、
プロセッサであって、
画像座標系で動作する撮像システムから、開放空間及び体組織を含む前記体腔の三次元画像を受信し、
前記医療用プローブから、前記医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、
前記画像座標系を前記センサ座標系と位置合わせして、前記示された位置で前記三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、
前記識別されたボクセルが前記受信された三次元画像に前記開放空間に対応しない密度値を有する場合、前記識別されたボクセルの前記密度値を前記開放空間に対応するように更新するように、構成されたプロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記撮像システムがコンピュータ断層撮影スキャナを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位置センサが磁場センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記密度値と視覚効果との間に対応を形成するように構成されており、所与の視覚効果が、前記開放空間を示す所与の密度値に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記視覚効果が、色、陰影及びパターンからなる群から選択される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記視覚効果を用いてディスプレイに前記三次元画像を提示するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記所与の視覚効果が第1の所与の視覚効果を含み、前記密度値を更新する前に、前記プロセッサは、前記第1の所与の視覚効果とは異なる第2の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することにより、前記三次元画像を提示するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記密度値の更新により、前記プロセッサは、前記第1の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することにより、前記三次元画像を提示するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
患者の体腔の中への挿入用に構成されており、かつセンサ座標系で動作する位置センサを含む、プローブと連動して動作される、コンピュータソフトウェア製品であって、前記製品はプログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読式媒体を含み、命令が、コンピュータにより読み取られると、前記コンピュータが、
画像座標系で動作する撮像システムから、開放空間及び体組織を含む前記体腔の三次元画像を受信し、
前記医療用プローブから、前記医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、
前記画像座標系を前記センサ座標系と位置合わせして、前記示された位置で前記三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、
前記識別されたボクセルが前記受信された三次元画像に、前記開放空間に対応しない密度値を有する場合、前記識別されたボクセルの前記密度値を、前記開放空間に対応するように更新する、コンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療撮像に関し、特に侵襲性医療処置を実行する間の、妥協された(compromised)コンピュータ断層撮影画像の補正に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置の間に医療撮像システム(例えば、コンピュータ断層撮影スキャナ)により追跡されるカテーテルのような、医療装置のリアルタイム表示を重畳することが、当該技術分野で既知である。医療撮像システムから以前に取得された画像は、医療処置を実行しているオペレーターが患者の体内の関心体積内に医療装置をナビゲートすることを可能にするリアルタイムガイド(すなわち、「マップ」)を生成するのに用いられ得る。重畳が関心体積内での医療装置の真の位置を反映するために、通常、医療装置に関連付けられた座標系を医療撮像システムに関連付けられた座標系に位置合わせする必要がある。
【0003】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【0004】
参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、方法であって、画像座標系で動作する撮像システムから開放空間(open space)及び体組織を含む体腔の三次元画像を受信することと、位置センサを有し、かつ体腔の中に挿入される医療用プローブから、センサ座標系での医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信することと、プロセッサにより、画像座標系をセンサ座標系に位置合わせし、示された位置で三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別することと、識別されたボクセルが受信された三次元画像で開放空間に対応しない密度値を有する場合、識別されたボクセルの密度値を開放空間に対応するように更新することと、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、撮像システムはコンピュータ断層撮影スキャナを含む。更なる実施形態では、位置センサは磁場センサを含む。
【0006】
更なる実施形態では、方法は、密度値と視覚効果との間に対応を形成することを含んでもよく、所与の視覚効果は開放空間を示す所与の密度値に対応する。補足的な実施形態では、視覚効果は、色、陰影及びパターンからなる群から選択されてもよい。
【0007】
方法が密度値と視覚効果との間に対応を形成することを含む実施形態では、方法は、視覚効果を用いてディスプレイに三次元画像を提示することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、所与の視覚効果は第1の所与の視覚効果を含み、密度値を更新する前に、三次元画像を提示することは、第1の所与の視覚効果とは異なる第2の所与の視覚効果を用いて、1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することを含む。付加的な実施形態では、密度値の更新により、三次元画像を提示することは、第1の所与の視覚効果を用いて、1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することを含んでもよい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、また、装置であって、体腔の中に挿入されるように構成された医療用プローブと、センサ座標系で動作する医療用プローブ内の位置センサと、プロセッサであって、画像座標系で動作する撮像システムから開放空間と体組織を含む体腔の三次元画像を受信し、医療用プローブから、医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、画像座標系をセンサ座標系に位置合わせし、示された位置で三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、識別されたボクセルが受信された三次元画像で開放空間に対応しない密度値を有する場合に、識別されたボクセルの密度値を、開放空間に対応するように更新するように構成されたプロセッサと、を備える装置をも提供する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、患者の体腔に挿入するように構成されており、かつセンサ座標系で動作する位置センサを含む、プローブと連動して動作されるコンピュータソフトウェア製品が付加的に提供され、製品はプログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読式媒体を含み、命令がコンピュータにより読み取られると、コンピュータは、画像座標系で動作している撮像システムから開放空間及び体組織を含む体腔の三次元画像を受信し、医療用プローブから、医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、画像座標系をセンサ座標系に位置合わせして、示された位置で三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、そして識別されたボクセルが受信した三次元画像で開放空間に対応しない密度値を有する場合、識別されたボクセルを、開放空間に対応するように更新する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここで、本願開示の発明をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1A】本発明の一実施形態による、侵襲性医療処置を実行するため医療用プローブを用いる間に、妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正するように構成された医療システムの概略絵図であり、集合的に
図1とする。
【
図1B】本発明の一実施形態による、侵襲性医療処置を実行するため医療用プローブを用いる間に、妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正するように構成された医療システムの概略絵図であり、集合的に
図1とする。
【
図2】本発明の一実施形態による、妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正する方法を概略的に示すフロー図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、コンピュータ断層撮影スキャナからの画像データの受信に応答して生成された三次元コンピュータ断層撮影画像の画像スライスの一例を示す概略絵図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、医療処置の間に副鼻腔に挿入された医療用プローブの遠位端を示す概略絵図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、コンピュータ断層撮影画像を補正する前の画像スライスの関心領域を示す概略絵図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、コンピュータ断層撮影画像を補正した後の画像スライスの関心領域を示す概略絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概説
体腔での医療処置の間に用いられる医用画像は、時には妥協される場合がある。例えば、コンピュータ断層撮影スキャナからのコンピュータ断層撮影画像は、スキャナの不正確な設定、患者の動作、及び体腔近傍の歯科加工のような要因のために妥協される場合がある。この妥協は、典型的には画像上のノイズ又はクラッタとして提示される。
【0012】
本発明の実施形態は、本明細書ではまた三次元画像としても称されるコンピュータ断層撮影画像のような妥協された医用画像を補正する方法及びシステムを提供する。以下に説明するように、開放空間及び体組織を含む体腔の三次元画像は、画像座標系で動作している撮像システムから受信され、信号は位置センサを有して体腔の中に挿入された医療用プローブから受信され、信号はセンサ座標系での医療用プローブの遠位先端の位置を示している。画像座標系は、センサ座標系に位置合わせされ、示された位置で三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、識別されたボクセルが受信された三次元画像で開放空間に対応しない密度値を有する場合、識別されたボクセルの密度値は、開放空間に対応するように更新される。
【0013】
医療撮像システムは、通常、開放空間と体組織を提示するために異なる視覚効果を用いる。例えば、コンピュータ断層撮影システムは、開放空間を黒色で、硬性体組織を白色で、軟性体組織を灰色(の様々な陰影)で提示されてもよい。医療用プローブの遠位先端は開放空間に挿入されることのみ可能であるので、本発明の実施形態を実装するシステムは、三次元画像上で、開放空間として提示されていない遠位先端の任意の位置を補正することができる。
【0014】
システムの説明
図1A及び
図1Bは、集合的に
図1とされ、本発明の一実施形態による、侵襲性医療処置を実行する間に、妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正するように構成された医療システム20の概略絵図である。
図1に示す例では、医療システム20は、コンピュータ断層撮影スキャナ22と、制御コンソール24と、医療用プローブ36とを含む医療撮像システムを備える。本明細書に記載される実施形態では、医療用プローブ36は、患者26に対する最小限侵襲性カテーテルベースの副鼻腔手術のような診断的又は治療的処置に用いられる。代替的に、医療用プローブ36は、他の治療的及び/又は診断的目的のために、必要に応じて変更を加えて、用いられてもよい。
【0015】
図1Aに示すように、患者26に対して侵襲性医療処置を実行する前に、コンピュータ断層撮影スキャナ22は、患者の内腔(例えば、鼻腔又は副鼻腔)用の画像データを含む電気信号を発生し、生成された画像データを制御コンソール24に搬送する。コンピュータ断層撮影スキャナ22は、X軸30、Y軸32及びZ軸34を含む画像座標系28に画像データを生成する。
【0016】
図1Bに示すように、医療用プローブ36は、オペレーター40が把持して、医療用プローブの遠位端42を、患者26の鼻腔又は副鼻腔のような内腔に挿入するために操縦できるハンドル38を含む。
図1に示す構成では、制御コンソール24は、受信した画像データを画像46に変換し、画像を医療処置に関する情報としてディスプレイ48に提示するプロセッサ44を含む。
【0017】
ディスプレイ48は、一例として、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ又はプラズマディスプレイのような、平面パネルディスプレイを含むと想定される。しかしながら、他の表示装置もまた、本発明の実施形態の実施に使用することができる。実施形態によっては、ディスプレイ48は、画像46の提示に加えてオペレーター40からの入力を受け入れるように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0018】
医療用プローブ36及び医療システム20の他の構成要素から受信された信号に基づき、制御コンソール24は、患者の体内の遠位端42の現在位置と、進行中である医療処置に関する状態情報及びガイダンスを提示するために、ディスプレイ48を駆動して画像46を更新する。プロセッサ44は、画像46を表わすデータをメモリ50内に格納する。いくつかの実施形態では、オペレーター40は、1つ又は2つ以上の入力デバイス52を使用して、画像46を操作することができる。ディスプレイ48がタッチスクリーンディスプレイを含む実施形態では、オペレーター40は、タッチスクリーンディスプレイを介して画像46を操作することができる。
【0019】
プロセッサ44は、典型的には、医療用プローブ36からの信号を受信し、制御コンソール24のその他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、汎用コンピュータを含む。プロセッサ44は、本願に記載する機能を実行するようソフトウェアでプログラムすることが可能である。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記録媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。あるいは、プロセッサ44の機能のうちの一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0020】
本明細書に記載の実施形態では、医療システム20は、患者26内部の医療用プローブ36の遠位先端54の位置座標を決定するために磁気的位置検出を用いる。磁気ベースの位置検出を実施するため、制御コンソール24は、患者26の体内に磁場を発生させるため、磁場発生器58を駆動するドライバ回路56を含む。典型的には、磁場発生器58はコイルを含み、コイルは患者の下方の、患者26の外部の既知のポジションに設置される。これらのコイルは、副鼻腔のような内腔を含む所定の作業体積に磁場を発生する。医療用プローブ36の遠位端42内の磁場センサ60(本明細書では、位置センサ60とも呼ばれる)は、コイルからの磁場に応じて電気信号を発生させ、それによって、プロセッサ44は心臓の室内の遠位端42の位置を決定することができる。
【0021】
磁気位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号明細書、同第6,690,963号明細書、同第5,443,489号明細書、同第6,788,967号明細書、同第5,558,091号明細書、同第6,172,499号明細書、及び同第6,177,792号明細書に記載されており、それらの開示内容を参照により本願に援用する。磁場センサ60によって発生された信号は、X軸64、Y軸66及びZ軸68を含むセンサ座標系62に遠位先端54の現在位置を示す。
図1に示す例では、X軸64はX軸32に概ね対応し、Y軸66はY軸34に概ね対応し、Z軸68はZ軸36に概ね対応する。
【0022】
図1Bに示す例では、遠位端42は、遠位先端54に近接する半径方向切断窓開口部72を有する外側管70、及び切断ブレード76を有する内側管74を含む。動作中、切断ブレード76が半径方向切断窓開口部72を横断する際に、切断ブレードは切断窓の中に突出している体組織を除去することができる。いくつかの実施形態では、ハンドル38内のモータ(図示せず)は、外側管70内の内側管74を回転し、それによって切断ブレード76が半径方向切断窓開口部72を横断するのを可能にする。
図1Bに示す例が体組織を切断して除去するように構成されたデブリーダツールを含む一方で、位置センサ60を含み、かつ患者26に挿入されるように構成された任意の他のタイプの医療装置は、本明細書の要旨及び範囲内にあると考えられる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による、妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正する方法を概略的に示すフロー図である。取得工程80では、プロセッサ44は、コンピュータ断層撮影スキャナ22から画像データを取得し、画像データをメモリ50に格納し、取得された画像データに基づき、三次元画像を生成する。工程80は、通常、患者26に医療処置が実行される前に行われる。医療処置を開始するため、オペレーター40はハンドル38を操縦し、挿入工程82では、遠位端42が患者26の体腔に入る。
【0024】
本発明の実施形態により、
図3は、プロセッサ44がコンピュータ断層撮影スキャナ22からの画像データの受信に応答して生成する、三次元コンピュータ断層撮影画像の画像スライス100を示す概略絵図であり、
図4は、副鼻腔110に挿入された遠位端42を示す概略詳細図である。動作中、プロセッサ44は、通常、画像スライス100を画像46に組み込む。
【0025】
図3に示す例では、画像スライス100は、患者26の頭部102の二次元「スライス」を含む。画像スライス100は、頭部102のコンピュータ断層撮影画像の三次元位置に対応する三次元画像のボクセル104を含む。プロセッサ44は、通常、所与のボクセルに対応する三次元位置で検出された密度に対応する異なる視覚効果を用いて、各所与のボクセル104を提示する。密度の例は、限定するものではないが、開放空間、硬性体組織及び軟性体組織を含み、視覚効果の例は、限定するものではないが、色、陰影(例えば、異なる灰色の陰影)及びパターン(例えば、グラデーション、ピクチャ、テクスチャ、線、点及びボックス)を含む。
【0026】
凡例106により示すように、ボクセル104は、識別番号に文字を付加することで区別することができ、ボクセルは、ボクセル104A~104Cを含む。
図3に示す例では、ボクセル104Aは開放空間を示して黒色で提示され、ボクセル104Bは硬性体組織(例えば、骨)を示して白色で提示され、ボクセル104Cは軟性体組織(例えば、皮膚、軟骨、筋肉及び脳組織)を示して灰色で提示される。本明細書の実施形態が、3つの異なる視覚効果でボクセル104(例えば、ボクセル104A~104C)を含む画像スライス100を説明する一方で、任意の番号の密度を表す任意の番号の視覚効果をボクセルに提示することは、本発明の要旨及び範囲内である。
【0027】
画像スライス100はまた、関心領域108も含む。以下の
図5及び
図6を参照する説明に記載するように、関心領域108は、プロセッサ44が本明細書に記載される実施形態を用いて補正することができる干渉を含む。
【0028】
図2に戻ると、位置合わせ工程84では、プロセッサ44は画像座標系28をセンサ画像系62に位置合わせする。位置合わせの実行により、磁場センサ60により発生された信号によって示される各三次元位置は、1つ又は2つ以上のボクセル104に対応する。受信工程86では、プロセッサ44は、遠位先端54の位置を示す磁場センサ60からの信号を受信し、識別工程88では、プロセッサは位置合わせを用いて、示された位置に対応する1つ又は2つ以上のボクセル104を識別する。
【0029】
第1比較工程90では、1つ又は2つ以上の識別されたボクセルのうちのいずれかが妥協された(すなわち、それらが開放空間でないことを示す密度値を有する)場合、次に補正工程92で、プロセッサ44は妥協されたボクセル(複数可)を補正する。例えば、所与の識別されたボクセル104が、硬性組織(すなわち、所与の識別されたボクセルがボクセル104Bに一致する)又は軟性組織(すなわち、所与の識別されたボクセルがボクセル104Cに一致する)に対応する密度値を有する場合、次にプロセッサ44は、密度値を、開放空間(すなわち、ボクセル104A)に対応するように更新することができる。本発明の実施形態では、画像46に提示された画像スライスにおける1つ又は2つ以上の更新されたボクセルを更新することで、メモリ50に格納された三次元コンピュータ断層撮影画像を更新する。
【0030】
動作中、プロセッサ44は、医療処置の開始時に、画像スライス100をディスプレイ48に提示する。上述のように、画像スライス100は、開放空間を示すボクセル104A、硬性組織を示すボクセル104B及び軟性組織を示すボクセル104Cの組み合わせを含む。遠位先端54は開放空間にのみ存在することができるため、本発明の実施形態は、遠位先端54の現在位置に対応し、かつ開放空間を示さない密度値を有する任意の所与のボクセルを補正する。例えば、プロセッサ44が、所与のボクセルが軟性又は硬性組織のいずれかを示す視覚効果で所与のボクセル104(すなわち、
図3に示される例では灰色又は黒色ボクセル104)を最初に提示し、引き続きプロセッサが所与のボクセルに対応する位置に遠位先端54があることを検出する場合、プロセッサは、次に、開放空間を示す視覚効果で所与のボクセル(すなわち、
図3に示す例では所与の白色ボクセル104)を提示することにより、所与のボクセルを更新することができる。
【0031】
第2比較工程94では、オペレーター40が医療処置を完了した場合、方法は終了する。しかしながら、オペレーター40が医療処置を未だ完了していない場合、方法は工程86に進む。工程90に戻り、1つ又は2つ以上の識別されたボクセルのうちのどれもが妥協されていない場合、次に方法は工程94に進む。本明細書の実施形態では、磁気的位置検出を用いて妥協されたコンピュータ断層撮影画像を補正するプロセッサ44が説明されるが、別のタイプの位置検出を用いて別のタイプの医用画像を補正することは、本発明の要旨及び範囲内とみなされる。
【0032】
図5は、本発明の実施形態による、コンピュータ断層撮影画像を補正する前の画像スライス100の関心領域108を示す概略絵図である。ボクセル104Aに加えて、関心領域108は、中空ねじ120及び干渉122を示すボクセル104Bを含む。
図5に示された例では、中空ねじ120は、ボクセル104Aの内側領域(すなわち、ねじの中空領域)を取り囲むボクセル104Bの外側(典型的に円形)領域(すなわち、ねじの金属)を含み、干渉122は、中空ねじ120から放射するボクセル104Bの「光線」を含む。動作中、コンピュータ断層撮影スキャナは、画像データをキャプチャする間、歯科加工(例えば、歯の充填物)の存在及び患者26の動作のような要因のために干渉122を発生する場合がある。
図5に示すように、プロセッサ44は、硬性及び軟性組織として干渉122を提示する。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態による、コンピュータ断層撮影画像を補正した後の画像スライス100の関心領域108を示す概略絵図である。
図6に示すように、関心領域108は、補正された領域130を含む。領域130は、プロセッサ44が、プロセッサにより検出された、遠位先端54の存在のために開放空間であると仮定する領域を含む。
【0034】
ディスプレイ48は、通常、プロセッサ44が本明細書に記載された実施形態を用いて医療処置の間に更新され得るボクセル104のサブセットを提示する。上述のように、画像スライス100は、プロセッサ44がコンピュータ断層撮影スキャナ22からの画像データの受信に応答して発生する、三次元画像の二次元「スライス」を含む。オペレーター40は、三次元空間(すなわち、三次元座標系28及び62)で遠位端42を移動するため、追加のボクセル104(すなわち、ディスプレイ48に現在提示されている二次元画像スライスに含まれない)が存在する場合があり、そのそれぞれ密度値が、遠位先端54の検出された位置に応答してプロセッサ44により更新されることが理解されるであろう。
【0035】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記されている種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、前述の説明を読むことで当業者が想起するであろう、先行技術に開示されていない変形及び修飾を含む。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
画像座標系で動作する撮像システムから、開放空間及び体組織を含む体腔の三次元画像を受信することと、
位置センサを有し、かつ前記体腔の中に挿入された医療用プローブから、センサ座標系で前記医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信することと、
プロセッサにより、前記画像座標系を前記センサ座標系と位置合わせして、前記示された位置で前記三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別することと、
前記識別されたボクセルが前記受信した三次元画像に前記開放空間に対応しない密度値を有する場合、前記識別されたボクセルの前記密度値を前記開放空間に対応するように更新することと、を含む、方法。
(2) 前記撮像システムがコンピュータ断層撮影スキャナを備える、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記位置センサが磁場センサを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記密度値と視覚効果との間に対応を形成することを含み、所与の視覚効果が前記開放空間を示す所与の密度値に対応する、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記視覚効果が、色、陰影及びパターンからなる群から選択される、実施態様4に記載の方法。
【0037】
(6) 前記視覚効果を用いてディスプレイに前記三次元画像を提示することを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記所与の視覚効果が第1の所与の視覚効果を含み、前記密度値を更新する前に、前記三次元画像を提示することが、前記第1の所与の視覚効果とは異なる第2の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記密度値の更新により、前記三次元画像を提示することが、前記第1の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 装置であって、
体腔の中に挿入されるように構成された医療用プローブと、
センサ座標系で動作する前記医療用プローブの位置センサと、
プロセッサであって、
画像座標系で動作する撮像システムから、開放空間及び体組織を含む前記体腔の三次元画像を受信し、
前記医療用プローブから、前記医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、
前記画像座標系を前記センサ座標系と位置合わせして、前記示された位置で前記三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、
前記識別されたボクセルが前記受信された三次元画像に前記開放空間に対応しない密度値を有する場合、前記識別されたボクセルの前記密度値を前記開放空間に対応するように更新するように、構成されたプロセッサと、を備える、装置。
(10) 前記撮像システムがコンピュータ断層撮影スキャナを含む、実施態様9に記載の装置。
【0038】
(11) 前記位置センサが磁場センサを含む、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記プロセッサが、前記密度値と視覚効果との間に対応を形成するように構成されており、所与の視覚効果が、前記開放空間を示す所与の密度値に対応する、実施態様9に記載の装置。
(13) 前記視覚効果が、色、陰影及びパターンからなる群から選択される、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記プロセッサが、前記視覚効果を用いてディスプレイに前記三次元画像を提示するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記所与の視覚効果が第1の所与の視覚効果を含み、前記密度値を更新する前に、前記プロセッサは、前記第1の所与の視覚効果とは異なる第2の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することにより、前記三次元画像を提示するように構成されている、実施態様14に記載の装置。
【0039】
(16) 前記密度値の更新により、前記プロセッサは、前記第1の所与の視覚効果を用いて、前記1つ又は2つ以上の識別されたボクセルを提示することにより、前記三次元画像を提示するように構成されている、実施態様15に記載の装置。
(17) 患者の体腔の中への挿入用に構成されており、かつセンサ座標系で動作する位置センサを含む、プローブと連動して動作される、コンピュータソフトウェア製品であって、前記製品はプログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読式媒体を含み、命令が、コンピュータにより読み取られると、前記コンピュータが、
画像座標系で動作する撮像システムから、開放空間及び体組織を含む前記体腔の三次元画像を受信し、
前記医療用プローブから、前記医療用プローブの遠位先端の位置を示す信号を受信し、
前記画像座標系を前記センサ座標系と位置合わせして、前記示された位置で前記三次元画像の1つ又は2つ以上のボクセルを識別し、
前記識別されたボクセルが前記受信された三次元画像に、前記開放空間に対応しない密度値を有する場合、前記識別されたボクセルの前記密度値を、前記開放空間に対応するように更新する、コンピュータソフトウェア製品。