IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Joyson Safety Systems Japan株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図1
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図2
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図3
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図4
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図5
  • 特許-ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/233 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B60R21/233
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017247329
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019111949
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】早▲崎▼ 拓也
(72)【発明者】
【氏名】横田 友希
(72)【発明者】
【氏名】深川 貴巳
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-112371(JP,A)
【文献】特開2009-107499(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102224(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュボードと乗員の下腿部との間に膨張展開されるニーエアバッグにおいて、
外殻を構成するとともにガス供給口を備えたメインパネルと、
前記メインパネルの内側に配置されるサブパネルと、を備え、
前記サブパネルは、前記ガス供給口と一致する位置に配置された開口部を備えた本体部と、前記開口部を覆うように折り重ねられる第一フラップ部と、折り重ねられた前記第一フラップ部の上に折り重ねられる第二フラップ部と、を含む、
ことを特徴とするニーエアバッグ。
【請求項2】
前記第一フラップ部は、前記メインパネルの縫合時に同時に縫合されるように構成された第一凸部を備え、前記第二フラップ部は、前記メインパネルの縫合時に同時に縫合されるように構成された第二凸部を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のニーエアバッグ。
【請求項3】
前記第一フラップ部の折り返し部は、前記本体部の斜め下方の位置に配置され、前記第二フラップ部の折り返し部は、前記第一フラップ部の折り返し部と反対側の前記本体部の斜め下方の位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のニーエアバッグ。
【請求項4】
前記サブパネルは、前記第一フラップ部及び前記第二フラップ部を折り重ねた状態で、前記本体部、前記第一フラップ部及び前記第二フラップ部が前記メインパネルの下端部に一致するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のニーエアバッグ。
【請求項5】
前記サブパネルの内側に配置される補助サブパネルを備え、該補助サブパネルは、前記開口部と一致する位置に配置された補助開口部を備えた本体部と、前記補助開口部を覆うように折り重ねられる補助フラップ部と、を含み、前記補助フラップ部の折り返し部は、前記第一フラップ部の折り返し部と前記第二フラップ部の折り返し部との間に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載のニーエアバッグ。
【請求項6】
前記補助フラップ部の折り返し部は、前記メインパネルの下端部よりも内側に位置し、前記メインパネルの縫合時に縫合されないように構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のニーエアバッグ。
【請求項7】
ダッシュボードと乗員の下腿部との間に膨張展開されるニーエアバッグと、該ニーエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたニーエアバッグ装置において、
前記ニーエアバッグは、請求項1~6の何れか一項に記載されたニーエアバッグである、ことを特徴とするニーエアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置に関し、特に、インフレータ付近のエアバッグの縫合部を保護可能なニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車両衝突時に乗員の下腿部(膝及び脛を含む部分)に生じる衝撃を吸収するためのニーエアバッグ装置を配置することがある。かかるニーエアバッグ装置は、一般に、乗員の膝前の内装カバーであるダッシュボードに配置され、車両衝突時にダッシュボードと乗員との間にエアバッグを膨張展開させるように構成されている。かかるニーエアバッグ装置では、乗員の下腿部の移動を拘束するためにエアバッグの膨張展開時に内圧が保持されることから、インフレータ付近のエアバッグの縫合部が溶けたり、目開きしたりしやすい傾向にある。
【0003】
かかる対策として、一般に、インフレータ付近のエアバッグの基布を二重にする方法が採られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、エアバッグ本体の内部にインフレータからのガスの流動方向を規制する規制部材を有するエアバッグであって、前記規制部材は前記エアバッグ本体を構成する基布から一体的に延長された部分を袋状態でエアバッグ本体の内部に折り返して入れることにより形成され、この折り返しによって重合した部分をインフレータの取付部とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-203281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたエアバッグでは、袋状に形成した規制部材をエアバッグの内部に折り返す必要があり、製造工程が複雑になってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、インフレータ付近のエアバッグの縫合部を容易に保護することができる、ニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ダッシュボードと乗員の下腿部との間に膨張展開されるニーエアバッグにおいて、外殻を構成するとともにガス供給口を備えたメインパネルと、前記メインパネルの内側に配置されるサブパネルと、を備え、前記サブパネルは、前記ガス供給口と一致する位置に配置された開口部を備えた本体部と、前記開口部を覆うように折り重ねられる第一フラップ部と、折り重ねられた前記第一フラップ部の上に折り重ねられる第二フラップ部と、を含む、ことを特徴とするニーエアバッグが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、ダッシュボードと乗員の下腿部との間に膨張展開されるニーエアバッグと、該ニーエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたニーエアバッグ装置において、前記ニーエアバッグは、外殻を構成するとともにガス供給口を備えたメインパネルと、前記メインパネルの内側に配置されるサブパネルと、を備え、前記サブパネルは、前記ガス供給口と一致する位置に配置された開口部を備えた本体部と、前記開口部を覆うように折り重ねられる第一フラップ部と、折り重ねられた前記第一フラップ部の上に折り重ねられる第二フラップ部と、を含む、ことを特徴とするニーエアバッグ装置が提供される。
【0009】
前記ニーエアバッグ及び前記ニーエアバッグ装置において、前記第一フラップ部は、前記メインパネルの縫合時に同時に縫合されるように構成された第一凸部を備え、前記第二フラップ部は、前記メインパネルの縫合時に同時に縫合されるように構成された第二凸部を備えていてもよい。
【0010】
また、前記第一フラップ部の折り返し部は、前記本体部の斜め下方の位置に配置され、前記第二フラップ部の折り返し部は、前記第一フラップ部の折り返し部と反対側の前記本体部の斜め下方の位置に配置されていてもよい。
【0011】
また、前記サブパネルは、前記第一フラップ部及び前記第二フラップ部を折り重ねた状態で、前記本体部、前記第一フラップ部及び前記第二フラップ部が前記メインパネルの下端部に一致するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記ニーエアバッグは、前記サブパネルの内側に配置される補助サブパネルを備え、該補助サブパネルは、前記開口部と一致する位置に配置された補助開口部を備えた本体部と、前記補助開口部を覆うように折り重ねられる補助フラップ部と、を含み、前記補助フラップ部の折り返し部は、前記第一フラップ部の折り返し部と前記第二フラップ部の折り返し部との間に配置されていてもよい。
【0013】
また、前記補助フラップ部の折り返し部は、前記メインパネルの下端部よりも内側に位置し、前記メインパネルの縫合時に縫合されないように構成されていてもよい。

【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係るニーエアバッグ及びニーエアバッグ装置によれば、メインパネルにサブパネルを配置して第一フラップ部及び第二フラップ部を折り重ねるだけで、ガス供給口に近い部分の縫合部をサブパネルで覆うことができ、インフレータ付近のニーエアバッグの縫合部を容易に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るニーエアバッグ装置を示す断面図であり、(A)は膨張展開前の状態、(B)は膨張展開完了後の状態、を示している。
図2】第一実施形態に係るニーエアバッグの基布構成を示す平面図であり、(A)はメインパネル、(B)はサブパネル、である。
図3】ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)は第一フラップ部を折り返した状態、(B)は第二フラップ部を折り返した状態、を示している。
図4】ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)はメインパネルの上にサブパネルを配置した状態、(B)はメインパネルを上下に折り重ねた状態、(C)はメインパネルの外縁を縫合した状態、を示している。
図5】補助サブパネルを示す図であり、(A)は平面図、(B)はサブパネルの上に補助サブパネルを配置した状態の平面図、である。
図6】ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)は補助サブパネルを折り返した状態、(B)はサブパネルの第一フラップ部を折り返した状態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1(A)~図6(B)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るニーエアバッグ装置を示す断面図であり、(A)は膨張展開前の状態、(B)は膨張展開完了後の状態、を示している。図2は、第一実施形態に係るニーエアバッグの基布構成を示す平面図であり、(A)はメインパネル、(B)はサブパネル、である。
【0017】
本発明の一実施形態に係るニーエアバッグ装置1は、図1(A)~図4(C)に示したように、ダッシュボードDと乗員Mの下腿部との間に膨張展開されるニーエアバッグ2と、ニーエアバッグ2にガスを供給するインフレータ3と、を備え、ニーエアバッグ2は、外殻を構成するとともにガス供給口41を備えたメインパネル4と、メインパネル4の内側に配置されるサブパネル5と、を備え、サブパネル5は、ガス供給口41と一致する位置に配置された開口部53を備えた本体部50と、開口部53を覆うように折り重ねられる第一フラップ部51と、折り重ねられた第一フラップ部51の上に折り重ねられる第二フラップ部52と、を含むように構成されている。
【0018】
なお、図1(A)及び図1(B)において、ダッシュボードDの一部を切り欠いた状態を図示している。また、説明の便宜上、乗員Mの下肢部を一点鎖線で図示してある。
【0019】
ダッシュボードDは、車両の前席正面に配置された内装部品全体の総称である。ダッシュボードDの下方の床面には、操作ペダル(アクセルペダル又はブレーキペダル)やフットレストが配置されている。乗員Mの乗車時には、床面とダッシュボードDとの間に下腿部が配置される。下腿部とは、膝Mk及び脛Msを含む部分である。また、図1(A)に示したように、運転席には、ダッシュボードDの乗員M側の面にステアリングホイールSw及びステアリングコラムScが配置されている。
【0020】
インフレータ3は、例えば、略円柱形状の外形を有し、ニーエアバッグ2の下部側面に外付けされている。また、インフレータ3のガス噴出口は、メインパネル4に形成されたガス供給口41及びサブパネル5の開口部53に接続されている。インフレータ3は、図示しないECU(電子制御ユニット)に接続されており、衝突検知センサ等の計測値に基づいて制御される。ECUが車両の衝突を検知した場合には、インフレータ3の内部に格納された薬剤を燃焼させてガスを発生させ、ニーエアバッグ2にガスを供給する。
【0021】
インフレータ3及びニーエアバッグ2は、例えば、図1(A)に示したように、箱形状のリテーナ6に収容され固定されている。リテーナ6は、ダッシュボードD内に配置された車内構造物にブラケット等を介して固定されている。また、リテーナ6の前面に位置するダッシュボードDには、ニーエアバッグ2の膨張展開時にダッシュボードDを開裂させる薄肉部(テアライン)が形成されている。
【0022】
ニーエアバッグ2は、図2(A)に示した外殻を構成するメインパネル4と、図2(B)に示したメインパネル4の内側に配置されるサブパネル5と、を備えている。メインパネル4は、例えば、乗員M側に配置されるフロントメインパネル4fと、ダッシュボードD側に配置されるリアメインパネル4rと、を備えた一枚の基布によって構成される。かかるメインパネル4は、折り線Lに沿って折り返され、折り重なった部分の縁部を縫合することによって袋状に形成される。
【0023】
なお、図中のフロントメインパネル4fの上端部4uとリアメインパネル4rの下端部4dとは、メインパネル4を袋状に形成したときに互いに縫合される部分であり、ニーエアバッグ2の下端部2d(ニーエアバッグ2の膨張方向の後端部)を形成する。なお、本実施形態では、上端部4u及び下端部4dを直線状に形成しているが、外方に湾曲した形状であってもよい。
【0024】
また、リアメインパネル4rの下端部4d付近にはインフレータ3のガス噴出口が挿入されるガス供給口41が形成されている。なお、インフレータ3は、図2(A)に一点鎖線の囲み線Iで示した部分の外側表面に配置される。
【0025】
フロントメインパネル4f及びリアメインパネル4rの形状は、図示した形状に限定されるものではない。フロントメインパネル4f及びリアメインパネル4rの形状は、任意に設定することができる。例えば、図示したメインパネル4は左右非対称であるが、左右対称に形成するようにしてもよい。また、フロントメインパネル4f及びリアメインパネル4rを分離した二枚の基布により構成してもよい。
【0026】
サブパネル5は、メインパネル4の外形に近似した形状を有する本体部50を備えている。本体部50は、例えば、乗員M側に配置されるフロントサブパネル5fと、ダッシュボードD側に配置されるリアサブパネル5rと、を備えた一枚の基布によって構成される。フロントサブパネル5fは、メインパネル4のフロントメインパネル4fの内側に配置され、リアサブパネル5rは、メインパネル4のリアメインパネル4rの内側に配置される。
【0027】
なお、図中のフロントサブパネル5fの上端部5uとリアサブパネル5rの下端部5dとは、メインパネル4を袋状に形成したときに互いに縫合される部分であり、ニーエアバッグ2の下端部2d(ニーエアバッグ2の膨張方向の後端部)に位置する。また、リアサブパネル5rの下端部5d付近にはインフレータ3のガス噴出口が挿入される開口部53が形成されている。開口部53は、メインパネル4の上にサブパネル5を重ねたときにガス供給口41と一致する位置に形成されている。
【0028】
また、本体部50の略中央部には、ニーエアバッグ2の軽量化及び折り畳み容積の減容化を図るための切欠部54が形成されていてもよい。切欠部54の形状及び大きさは任意である。フロントサブパネル5fの外形は、フロントメインパネル4fと一致する形状を有している。また、リアサブパネル5rの外形、第一フラップ部51及び第二フラップ部52が形成された部分を除いて、リアメインパネル4rと一致する形状を有している。
【0029】
また、本体部50の切欠部54の両側には、テザー7(図1参照)の縫合予定線Tが配置される。テザー7は帯形状を有しており、一方の端部がフロントサブパネル5fに縫合され、反対側の端部がリアサブパネル5rに縫合される。本実施形態では、上下に二本のテザー7を配置しているが、テザー7の本数及び配置は任意に設定することができる。
【0030】
また、本体部50の斜め下方の位置には、第一フラップ部51及び第二フラップ部52が配置される。ここで、本体部50の折り線L0の中心点と第一フラップ部51の折り線L1の中心点とを結ぶ線分の折り線L0からの角度をθ1とし、本体部50の折り線L0の中心点と第二フラップ部52の折り線L2の中心点とを結ぶ線分の折り線L0からの角度をθ2とすれば、角度θ1,θ2は、例えば、45°~60°の範囲に設定される。
【0031】
すなわち、第一フラップ部51の折り線L1によって形成される折り返し部55(図3(A)参照)は、本体部50の斜め下方(角度θ1)の位置に配置され、第二フラップ部52の折り線L2によって形成される折り返し部56(図3(B)参照)は、第一フラップ部51の折り返し部55と反対側の本体部50の斜め下方の位置(角度θ2)に配置される。
【0032】
第一フラップ部51は、折り線L1で内側に折り返したときに、開口部53を覆うことができる面形状を有している。第一フラップ部51は、メインパネル4の縫合時に同時に縫合されるように構成された第一凸部51aを備えている。第一凸部51aは、第一フラップ部51の先端部に配置されており、折り線L1で折り返したときに本体部50の外縁部に配置されるように形成されている。
【0033】
また、第一フラップ部51の外側部51bには、折り線L1で折り返したときに、テザー7と干渉しないように形成された凹部を有していてもよい。また、第一フラップ部51の外側部51bと本体部50との境界部には、折り返しやすくするためのスリット51cを形成するようにしてもよい。また、第一フラップ部51の内側部51dは、折り線L1で折り返したときに、本体部50の下端部5dと一致するように構成されている。また、第一凸部51aと内側部51dとの間には、折り線L1で折り返したときに、第二フラップ部52の折り線L2と干渉しないように構成された傾斜部51eが形成されている。
【0034】
第二フラップ部52は、折り線L2で内側に折り返したときに、第一フラップ部51を覆うことができる面形状を有している。第二フラップ部52は、メインパネル4の縫合時に同時に縫合されるように構成された第二凸部52aを備えている。第二凸部52aは、第二フラップ部52の先端部に配置されており、折り線L2で折り返したときに本体部50の外縁部に配置されるように形成されている。
【0035】
また、第二フラップ部52の外側部52bには、折り線L2で折り返したときに、テザー7と干渉しないように形成された凹部を有していてもよい。また、第二フラップ部52の外側部52bと本体部50との境界部には、折り返しやすくするためのスリット52cを形成するようにしてもよい。また、第二フラップ部52の内側部52dは、折り線L2で折り返したときに、本体部50の下端部5dと一致するように構成されている。また、第二凸部52aと内側部52dとの間には、折り線L2で折り返したときに、第一フラップ部51からはみ出さないように構成された傾斜部52eが形成されている。
【0036】
かかるサブパネル5は、第一フラップ部51及び第二フラップ部52を折り重ねた状態で、本体部50の下端部5d、第一フラップ部51の内側部51d及び第二フラップ部52の内側部52dがメインパネル4の下端部4dに一致するように構成されている。かかる構成により、メインパネル4の下端部4dを縫合する際に、本体部50、第一フラップ部51及び第二フラップ部52を同時に縫合することができる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、開口部53に近い側の第一フラップ部51を先に折り返すようにしているが、開口部53から遠い側の第二フラップ部52を先に折り返すようにしてもよい。また、本体部50は、フロントサブパネル5f及びリアサブパネル5rを一枚の基布で構成しているが、フロントサブパネル5f及びリアサブパネル5rを分離した二枚の基布により構成してもよい。
【0038】
次に、上述したニーエアバッグ2の製造方法について、図3(A)~図4(C)を参照しつつ説明する。ここで、図3は、ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)は第一フラップ部を折り返した状態、(B)は第二フラップ部を折り返した状態、を示している。図4は、ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)はメインパネルの上にサブパネルを配置した状態、(B)はメインパネルを上下に折り重ねた状態、(C)はメインパネルの外縁を縫合した状態、を示している。
【0039】
まず、図3(A)に示したように、第一フラップ部51を折り線L1で内側に折り返し、本体部50の上に折り重ねる。このとき、第一フラップ部51は、ガス供給用の開口部53を覆うように折り重ねられる。また、第一フラップ部51の第一凸部51aは、本体部50の外縁部に一致し、第一フラップ部51の内側部51dは、本体部50の下端部5dに一致した状態になる。
【0040】
次に、図3(B)に示したように、第二フラップ部52を折り線L2で内側に折り返し、第一フラップ部51の上に折り重ねる。このとき、第二フラップ部52は、第一フラップ部51を覆うように折り重ねられる。また、第二フラップ部52の第二凸部52aは、本体部50の外縁部に一致し、第二フラップ部52の内側部52dは、本体部50の下端部5dに一致した状態になる。
【0041】
続いて、図4(A)に示したように、メインパネル4の上にサブパネル5を載置する。なお、説明の便宜上、サブパネル5を灰色に塗り潰して図示してある。本実施形態では、サブパネル5の第一フラップ部51及び第二フラップ部52を折り返してからメインパネル4に載置しているが、メインパネル4の上にサブパネル5を載置した状態で第一フラップ部51及び第二フラップ部52を折り返すようにしてもよい。
【0042】
いずれにせよ、図4(A)に示したように、第一フラップ部51及び第二フラップ部52を折り返した状態のサブパネル5がメインパネル4の上に載置された状態を形成する。なお、図示しないが、ピンを用いてメインパネル4及びサブパネル5を作業台上に位置決めするようにしてもよい。
【0043】
次に、図4(B)に示したように、メインパネル4を折り線Lで折り返し、リアメインパネル4rの上にフロントメインパネル4fを折り重ねる。このとき、同時に、サブパネル5も折り線L0で折り返され、リアサブパネル5rの上にフロントサブパネル5fが折り重ねられる。
【0044】
最後に、図4(C)に示したように、メインパネル4の外縁を縫合する。具体的には、折り返されたメインパネル4の左右両側及び下端部4dを図中に二点鎖線で示した縫合線4sに沿って縫合する。このとき、メインパネル4の左右両側の縫合と同時に、サブパネル5の外縁、第一凸部51a及び第二凸部52aが縫合される。また、メインパネル4の下端部4dの縫合と同時に、本体部50の下端部5d、第一フラップ部51の内側部51d及び第二フラップ部52の内側部52dが縫合される。
【0045】
すなわち、第一フラップ部51は、折り返された状態で、第一凸部51a及び内側部51dがメインパネル4に縫合され、折り線L1に沿って折り返された折り返し部55はメインパネル4に縫合されない状態に構成される。したがって、この第一フラップ部51の折り返し部55により覆われたメインパネル4の縫合部は、サブパネル5によって高温高圧のガスから保護される。
【0046】
同様に、第二フラップ部52は、折り返された状態で、第二凸部52a及び内側部52dがメインパネル4に縫合され、折り線L2に沿って折り返された折り返し部56はメインパネル4に縫合されない状態に構成される。したがって、この第二フラップ部52の折り返し部56により覆われたメインパネル4の縫合部は、サブパネル5によって高温高圧のガスから保護される。
【0047】
上述した本実施形態に係るニーエアバッグ2によれば、メインパネル4にサブパネル5を配置して第一フラップ部51及び第二フラップ部52を折り重ねるだけで、ガス供給口41に近い部分の縫合部をサブパネル5で覆うことができ、インフレータ3付近のニーエアバッグ2の縫合部を容易に保護することができる。
【0048】
次に、上述したニーエアバッグ2の変形例について、図5(A)~図6(B)を参照しつつ説明する。ここで、図5は、補助サブパネルを示す図であり、(A)は平面図、(B)はサブパネルの上に補助サブパネルを配置した状態の平面図、である。図6は、ニーエアバッグの製造方法を示す図であり、(A)は補助サブパネルを折り返した状態、(B)はサブパネルの第一フラップ部を折り返した状態、を示している。
【0049】
図5(A)~図6(B)に示した変形例は、サブパネル5の内側に更に補助サブパネル8を配置したものである。具体的には、ニーエアバッグ2は、サブパネル5の内側に配置される補助サブパネル8を備え、補助サブパネル8は、サブパネル5の開口部53と一致する位置に配置された補助開口部82を備えた本体部80と、補助開口部82を覆うように折り重ねられる補助フラップ部81と、を含むように構成されている。
【0050】
補助サブパネル8は、図5(A)に示したように、略X字形状を有するパネルである。本体部80は、サブパネル5の本体部50の左右両側の外縁部に配置される左右一対の凸部80aと、テザー7と干渉しないように形成された凹部を有する上縁部80bと、第一フラップ部51の折り線L1と干渉しないように形成された傾斜部80cと、第二フラップ部52の折り線L2と干渉しないように形成された傾斜部80dと、を備えている。
【0051】
補助フラップ部81は、折り線L3で折り返したときに、本体部80と重なるように形成されている。具体的には、補助フラップ部81は、折り返したときに凸部80aに重なるように配置される左右一対の凸部81aと、折り返したときに上縁部80bに重なるように形成された下縁部81bと、折り返したときに傾斜部80cに重なるように形成された傾斜部81cと、折り返したときに傾斜部80dに重なるように形成された傾斜部81dと、を備えている。
【0052】
補助サブパネル8は、図5(B)に示したように、本体部80の左側の凸部80aは、第一フラップ部51を折り返したときに第一凸部51aが配置される位置に載置され、本体部80の右側の凸部80aは、第二フラップ部52を折り返したときに第二凸部52aが配置される位置に載置される。このとき、補助開口部82は、サブパネル5の開口部53と一致する位置に配置されるように形成されている。
【0053】
次に、図6(A)に示したように、補助フラップ部81を折り線L3で折り返し、補助フラップ部81を本体部80の上に折り重ねる。このとき、折り線L3に沿って形成される折り返し部83は、サブパネル5の本体部50の下端部5d(すなわち、メインパネル4の下端部4d)よりも内側に位置するように構成される。かかる構成により、メインパネル4の縫合時に折り返し部83を縫合しないようにすることができる。
【0054】
続いて、図6(B)に示したように、サブパネル5の第一フラップ部51を折り線L1で折り返す。以下、図3(B)~図4(C)に図示したニーエアバッグ2の製造方法と同様にして、第二フラップ部52を折り返し、メインパネル4を折り返し、メインパネル4の外縁を縫合する。このとき、補助サブパネル8は、メインパネル4の縫合時に凸部80a及び凸部81aが同時に縫合される。
【0055】
かかる補助サブパネル8を配置することにより、補助フラップ部81の折り返し部83を第一フラップ部51の折り返し部55と第二フラップ部52の折り返し部56との間に配置することができる。したがって、メインパネル4の下端部4d及びサブパネル5の下端部5dに形成された縫合部を補助サブパネル8の折り返し部83で覆うことができ、高温高圧のガスからニーエアバッグ2の縫合部を保護することができる。
【0056】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 ニーエアバッグ装置
2 ニーエアバッグ
2d 下端部
3 インフレータ
4 メインパネル
4d 下端部
4f フロントメインパネル
4r リアメインパネル
4s 縫合線
4u 上端部
5 サブパネル
5d 下端部
5f フロントサブパネル
5r リアサブパネル
5u 上端部
6 リテーナ
7 テザー
8 補助サブパネル
41 ガス供給口
50 本体部
51 第一フラップ部
51a 第一凸部
51b 外側部
51c スリット
51d 内側部
51e 傾斜部
52 第二フラップ部
52a 第二凸部
52b 外側部
52c スリット
52d 内側部
53 開口部
54 切欠部
55,56 折り返し部
80 本体部
80a 凸部
80b 上縁部
80c,80d 傾斜部
81 補助フラップ部
81a 凸部
81b 下縁部
81c,81d 傾斜部
82 補助開口部
83 折り返し部

図1
図2
図3
図4
図5
図6