(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220106BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220106BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220106BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
G03G21/00 388
B41J29/00 Z
B41J29/38
H04N1/00 885
(21)【出願番号】P 2018005372
(22)【出願日】2018-01-17
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165261
【氏名又は名称】登原 究
(74)【代理人】
【識別番号】100194076
【氏名又は名称】中本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】監物 建秀
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-017381(JP,A)
【文献】特開2013-055618(JP,A)
【文献】特開2016-096467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを記憶するジョブ記憶部と、
前記ジョブ記憶部に記憶された前記印刷ジョブに基づいてシートにトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で形成されたトナー像を加熱することでシートに定着させる定着部と、
第1の通信範囲で通信媒体と通信することで
第1のユーザ情報を取得する第1の認証部と、
前記第1の通信範囲より狭い第2の通信範囲で前記通信媒体と通信することで
第2のユーザ情報を取得する第2の認証部と、
前記第1のユーザ情報と予めユーザ情報を記憶するユーザ記憶部に記憶された第3のユーザ情報とが一致し、且つ前記第1のユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されている場合
、又は前記第2のユーザ情報と前記第3のユーザ情報とが一致する場合に、前記定着部を加熱する制御を行う制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記定着部の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前
記第1のユーザ情報と前記第3のユーザ情報とが一致し、且つ前記第1のユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されている場合は
前記温度センサで得る前記定着部の温度が
第1の温度となるよう前記定着部を加熱し、
前記第2のユーザ情報と前記第3のユーザ情報とが一致する場合は前記温度センサで得る前記定着部の温度が前記第1の温度より低い第2の温度となるよう前記定着部を加熱する
よう制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
プリントジョブ終了時から経過した時間を測定するタイマーをさらに備え、
前記制御部は、
前記第2のユーザ情報と前記第3のユーザ情報とが一致し、且つ前記タイマーが測定する時間が予め設定された時間を超過している場合は前記定着部を加熱するよう制御する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2のユーザ情報と前記第3のユーザ情報とが一致し、且つ前記温度センサが測定する前記定着部の温度が前記第2の温度未満であれば、前記第2の温度となるように前記定着部を加熱するよう制御する請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリントジョブを実行する際のユーザの待機時間を短縮する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカードと非接触で認証する手段を備えた画像形成装置が知られている。この画像形成装置はICカードを持ったユーザが認証可能な範囲に入った時点でユーザ認証を行い、取得したユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが記憶部に記憶されている場合には即座に定着部の加熱を開始しユーザの待機時間を削減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の画像形成装置は、ユーザ認証時にプリントジョブが記憶部に記憶されている場合にのみ定着部の加熱を開始するため、例えばユーザがFAXやコピーの機能を実行する際は定着部の加熱が開始されず、不要な待機時間が発生していた。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、ICカード等の通信媒体を持ったユーザが認証可能な範囲に入った時点でユーザ認証を行い、取得したユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが記憶部に記憶されていない場合でもFAXやコピーの機能を実行する際のユーザの待機時間を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の画像形成装置はジョブ記憶部と、画像形成部と、定着部と、第1の認証部と、第2の認証部と、制御部を備える。ジョブ記憶部は印刷ジョブを記憶する。画像形成部はシートにトナー像を形成する。定着部はトナー像を加熱することでシートに定着させる。第1の認証部は第1の通信範囲において通信媒体と通信する。第2の認証部は第2の通信範囲で通信媒体と通信する。制御部は第1の認証部が取得した第1のユーザ情報と予めユーザ情報を記憶するユーザ記憶部に記憶された第3のユーザ情報とが一致し、且つ第1のユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されている場合、又は第2の認証部が取得した第2のユーザ情報と第3のユーザ情報とが一致する場合に、定着部を加熱する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態における画像形成装置の断面図。
【
図2】第1の実施形態における画像形成装置の機能ブロック図。
【
図3】第1の実施形態における第1の通信範囲と第2の通信範囲を示す図。
【
図4】第1の実施形態における印刷処理を示すフローチャート。
【
図5】第2の実施形態における印刷処理を示すフローチャート。
【
図6】第3の実施形態における印刷処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態では画像形成装置1を例に挙げて説明する。
【0010】
画像形成装置1は、例えばシートにトナーによる画像の形成が可能な複合機(MFP;Multi Function Peripheral)である。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の図である。本実施形態の画像形成装置1は、コントロールパネル10、第1の認証部12、第2の認証部14、読取部16、給紙トレイ18、画像形成部20、定着部22、排紙部24を有する。
【0012】
コントロールパネル10は表示部10A及び操作部10Bを備える。表示部10Aは、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。表示部10Aは、画像形成装置1に関する種々の情報を表示する。操作部10Bは、複数のボタンなどを備え、ユーザの操作を受け付ける。操作部10Bは、ユーザによって行われた操作に応じた信号を制御部30に出力する。尚、表示部10Aと操作部10Bとは一体のタッチパネルとして構成されても良い。
【0013】
第1の認証部12および第2の認証部14はユーザが携帯している通信媒体と通信を行う。通信媒体とは、例えば携帯電話等の携帯端末やICカード等である。以下の説明では、通信媒体がICカードであるとして説明を行う。第1の認証部12および第2の認証部14は通信媒体と通信可能なものであり、例えばICカードと通信することでユーザ認証を行うICカードリーダである。ICカードを持ったユーザが第1の認証部12および/または第2の認証部14が認証可能な範囲に入った場合、自動でユーザ情報を取得し、後述するユーザ判定部40へ当該情報を送信する。尚、本説明では第1の認証部12の認証可能な範囲は第2の認証部14の認証可能な範囲より広い範囲であるとして説明する。そのため、第1の認証部12は非接触でICカードと通信を行う。第2の認証部14は接触または非接触のどちらの通信方法で通信を行ってもよい。
【0014】
読取部16は、例えばシートの画像を読み取るスキャナである。読取部16は、読み取った画像情報を画像データとして記憶する記憶部(図示せず)へ保存する。記憶部に保存された画像データは、ネットワークを介して他の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信されても良い。また、記憶部に保存された画像データは、後述する画像形成部20によって別のシート上に形成されても良い。
【0015】
給紙部18は、筐体下部に設けられ、複数の給紙カセット18A、18B及び18Cを備える。各給紙カセット18A、18B及び18Cは、それぞれに所定のサイズ及び種類のシートを収納する。尚、各給紙カセット18A、18B及び18Cの設定は適宜変更可能である。各給紙カセット18A、18B及び18Cは、それぞれピックアップローラ18A、18B及び18Cを備える。各ピックアップローラ18A、18B及び18Cは、各給紙カセット18A、18B及び18Cからシートを1枚ずつ取り出す。搬送ローラ19A、19B及び19Cはピックアップローラ18A、18B及び18Cは、取り出したシートを搬送路へ搬送する。
【0016】
画像形成部20は搬送路に沿って後述する定着部22の上流に配置される。画像形成部20は現像器20A、感光体ドラム20B、露光部20C、転写ベルト20D、転写ローラ20Eを備える。現像器20Aはトナーを保持する容器であり、現像の際は現像器20Aからトナーを感光体ドラム20Bへ転写させる。露光部20Cはレーザ光の照射により感光体ドラム20Bの表面に静電潜像を形成する。この静電潜像に対し、現像器20Aがトナーを付加することで現像を行う。これらにより現像されたトナー像は転写ベルト20Dに転写される(一次転写)。転写ローラ20Eは、転写ベルト20D上に形成されたトナー像をシート上に転写する(二次転写)。
【0017】
定着部22は、搬送路に沿って画像形成部20の下流に配置される。定着部22は加熱ローラ22Aと加圧ローラ22Bを有する。加熱ローラ22Aは、シートの第1の面側からシートに熱を加える。加圧ローラ22Bはシートの第2の面側からシートに圧力を与える。定着部22は、この熱と圧力とによって、画像を形成する際にはシートに転写されたトナーをシートに定着させる。
【0018】
排紙部24は排紙口24A、排紙トレイ24Bおよび排紙ローラ24Cを有する。排紙ローラ24Cはシートを排紙口24Aから排紙する。排紙トレイ24Bは排紙口24Aから排紙されるシートを積載する。
【0019】
図2(a)および(b)は画像形成装置1の機能を示す機能ブロック図である。当該機能ブロック図のうち、
図2(a)はハードウェア構成を示し、
図2(b)はソフトウェア構成を示した図である。以下、
図2(a)および(b)を用いて説明する。
【0020】
図2(a)に示すように本実施形態の画像形成装置1は制御部30、通信インターフェース32、第1の認証部12、第2の認証部14を備える。
【0021】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)或いはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサとメモリとを有する。例えば、メモリは半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、プロセッサに一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)を有する。RAMは、後述する読取部16で読み取った画像を一時的に保存しても良い。制御部30は、ROMに格納された各種制御プログラム等に基づいて、画像形成装置1の各部を制御する。
【0022】
通信インターフェース32はPCなどの外部装置との通信を行う。これにより画像形成装置1はネットワークに接続してプリント、FAX等のジョブやユーザ情報を取得することが出来る。通信インターフェース32としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線又は有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信インターフェースは、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインターフェース等を含んでも良い。
【0023】
以下の説明では、プリントジョブ、FAXジョブ、コピージョブを総称して印刷ジョブとする。
【0024】
通信インターフェース32および後述する操作受付部34が受け取った印刷ジョブはメモリ上に記憶される。
【0025】
次に
図2(b)に示すように本実施形態の画像形成装置1は操作受付部34、ユーザ記憶部36、ジョブ記憶部38、ユーザ判定部40、定着制御部42、読取制御部44、プリント制御部46を有する。尚、以下に示す機能の一部または全部を、メモリが実現してもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が実現してもよい。
【0026】
操作受付部34はコントロールパネル10が受け付けた操作情報を制御部30へ送信する。例えばユーザがコントロールパネル10を操作することで制御部30は印刷ジョブを実行する命令を受け取る。
【0027】
ユーザ記憶部36はユーザを特定するためのユーザ情報を記憶する。例えば、ユーザ記憶部36は、RAM等で構成される。例えば、ユーザ情報として個人用のIDがある。ICカードが同様のIDを持っていれば第1の認証部12および第2の認証部14がICカードを認証した際に後述するユーザ判定部40によりユーザ認証することが出来る。尚、以下の説明では制御部30がユーザ記憶部36として機能するものとするがこれに限るものではない。ユーザ情報の記憶は画像形成装置1とネットワークで接続されたホストコンピュータ上に記憶してもよい。
【0028】
ジョブ記憶部38は通信インターフェース32が外部装置から取得した印刷ジョブを記憶する。ジョブ記憶部38へ記憶された印刷ジョブに従って制御部30は印刷を行う。ジョブ記憶部38は記憶した印刷ジョブを少なくとも印刷ジョブが終了するまでは記憶する。
【0029】
ユーザ判定部40は第1の認証部12および第2の認証部14から送られてきた認証情報に基づいてユーザ認証を行う。認証情報は例えばユーザ情報である。認証処理は、ユーザ判定部40が第1の認証部12および第2の認証部14から送られてきた認証情報と、事前にユーザ記憶部36に登録されている情報とを比較することで行われる。この認証結果が一致する場合、ユーザは画像形成装置1を操作することができる。尚、ユーザ認証は必ずしも画像形成装置1内で行われる必要はない。例えば、画像形成装置1とネットワークで接続されたホストコンピュータ上に予めユーザ情報を記憶させておき、第1の認証部12または第2の認証部14から送られてきたユーザ情報をホストコンピュータへ送信することによりホストコンピュータ上で認証処理を行ってもよい。
【0030】
定着制御部42は定着部22の動作を制御する。例えば、加熱ローラ22Aの加熱や、加圧ローラ22Bの回転駆動を制御する。定着制御部42は定着部22の温度を予め設定された温度に加熱する制御が可能である。
【0031】
読取制御部44は読取部16の動作を制御する。例えば、読取部16に読取対象のシートがセットされ、操作部10Bによりコピージョブが選択されると読取制御部44は読取部16を駆動させることでシートの画像を読み取る。
【0032】
プリント制御部46は、画像形成部20の動作を制御する。例えば、読取制御部44によりコピージョブが実行され、シートの画像データを取得すると、プリント制御部46は画像形成部20を駆動させ取得した画像データに基づいて新たなシートに画像を印刷する。
【0033】
図3は第1の認証部12および第2の認証部14の認証可能な範囲の例を示した図である。
図3は画像形成装置1を上から見た図である。第1の認証部12が通信可能かつ第2の認証部14が通信不可能な範囲(第1の通信範囲)と第2の認証部14が通信可能な範囲(第2の通信範囲)が点線で記されている。尚、第1の認証部12と第2の認証部14は1つのICカードリーダによって実現されても良い。
【0034】
第1の認証部12は
図3に示す通り第2の認証部14よりも認証可能な範囲を広く設定している。ICカードを持ったユーザが第1の通信範囲に入ると第1の認証部12はICカードと非接触通信を行うことでユーザ認証を行う。このときユーザ判定部40によるユーザ認証が一致している場合、制御部30はジョブ記憶部38に当該ユーザ情報と紐付らけれたプリントジョブが記憶されているかを確認する。ジョブ記憶部38に当該ユーザ情報と紐付けられたプリントジョブが記憶されている場合、定着制御部42は加熱ローラ22Aを定着温度まで加熱する。
【0035】
ジョブ記憶部38に第1の認証部12が取得したユーザ情報と紐付らけれたプリントジョブが記憶されていなければ定着制御部42は加熱ローラ22Aを加熱しない。その後、ICカードを持ったユーザが第2の通信範囲に入ると第2の認証部14はICカードと通信を行うことでユーザ認証を行う。この時ユーザ判定部40によるユーザ認証が一致した場合、定着制御部42は加熱ローラ22Aの温度が定着温度になるまで加熱する。尚、定着温度はシート上に現像されたトナー像をシートに定着させることが可能な温度である。
【0036】
以上よりICカードを持ったユーザが第1の通信範囲に入った後に当該ユーザ以外の人が第2の通信範囲に入った場合であっても定着部22の不要な加熱を防ぎ電力消費を抑えることが出来る。
【0037】
図4は画像形成装置1の画像形成処理を示すフローチャートである。以下の説明では画像形成装置1はユーザ認証を受け付けておらず省電力モードで待機しているものとする。
【0038】
制御部30は第1の認証部12がICカードと通信するまで待機する(ACT101、NO)。第1の認証部12は、第1の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るとICカードと非接触通信を行い(ACT101、YES)ユーザ情報を取得する(ACT102)。ユーザ判定部40は例えば第1の認証部12から送られてきた認証情報と事前にユーザ記憶部36に記憶されているユーザ情報とを比較し(ACT103)、この認証結果が一致しない場合はACT107へ処理を移行する(ACT103、NO)。ユーザ判定部40による認証結果が一致する場合(ACT103、YES)、制御部30はジョブ記憶部38に認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されているかを確認する(ACT104)。認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されていれば(ACT104、YES)、定着制御部42は定着部22を定着可能な温度へ加熱する(ACT105)。その後、操作部10Bがユーザから印刷操作を受け付けるとプリント制御部46は印刷ジョブを実行する(ACT106)。
【0039】
ACT104にて、認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されていない場合(ACT104、NO)、第2の認証部14がユーザ認証するまで待機する(ACT107)。第2の認証部14は第2の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るまで待機し(ACT108、NO)、第2の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るとICカードと通信を行い(ACT108、YES)、定着制御部42は定着部22の加熱を開始する(ACT105)。その後、操作部10Bがユーザから印刷操作を受け付けるとプリント制御部46は印刷ジョブを実行する(ACT106)。ACT106にて印刷処理が終了すると、制御部30は一連の印刷処理を終了する。
【0040】
以上により、本実施形態の画像形成装置は第1の認証部がICカード等の通信媒体から取得したユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部に記憶されていない場合であっても、第2の認証部が当該ICカードと通信することによって定着部の加熱を開始するためコピーやFAXといった機能を実行する場合でもユーザの待機時間を短縮することが出来る。また、第1の認証部がICカード等の通信媒体から取得したユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部に記憶されていない場合に、当該ICカードを持ったユーザ以外の人が第2の通信範囲に入った場合でも定着部の不要な加熱を抑え電力消費を抑えることが出来る。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の画像形成装置1は第2の認証部14が認証した場合に定着部22の温度を通常の定着温度(第1の温度)より低い温度(第2の温度)に加熱する。
【0042】
第2の実施形態の画像形成装置1は定着部22の温度を測定する温度センサ(図示せず)を備えている。その他の構成については第1に実施形態の画像形成装置1と同様であるため説明を省略する。
【0043】
温度センサは定着部22の表面温度を測定するセンサである。温度センサとして、例えば加熱ローラ22Aの外周面に接触するサーミスタが挙げられる。温度センサは、加熱ローラ22Aの幅方向中央部分の表面温度を測定し、温度情報を定着制御部42に入力する。定着制御部42は温度センサから得られた温度情報を基に定着部22の温度を制御する。
【0044】
例えば、定着制御部42は、第1の認証部12がユーザ情報を取得した際にユーザ記憶部36が当該ユーザ情報と紐付けられたプリントジョブを記憶している場合は定着部22を第1の温度になるまで加熱する。一方、定着制御部42は、第1の認証部12がユーザ情報を取得した際にユーザ記憶部36が当該ユーザ情報と紐付けられたプリントジョブを記憶していない状態において第2の認証部14が当該ユーザ情報を取得した場合は定着部22を第2の温度になるまで加熱する。
【0045】
尚、第1の温度はシート上に形成されたトナー像をシートに定着させることが出来る温度である。また、第2の温度は画像形成装置が待機状態のときの定着部22の温度(待機温度)より高い温度であるが、シート上に形成されたトナー像をシートに定着させることが出来ない温度である。つまり温度の高さは第1の温度>第2の温度>待機温度の関係にある。
【0046】
図5は画像形成装置1の画像形成処理を示すフローチャートである。以下の説明では画像形成装置1はユーザ認証を受け付けておらず省電力モードで待機しているものとする。
【0047】
制御部30は第1の認証部12がICカードと通信するまで待機する(ACT201、NO)。第1の認証部12は、第1の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るとICカードと非接触通信を行い(ACT201,YES)ユーザ情報を取得する(ACT202)。ユーザ判定部40は例えば第1の認証部12から送られてきた認証情報と、事前にユーザ記憶部36に登録されているユーザ情報とを比較する。この認証結果が一致する場合(ACT203、YES)、制御部30はジョブ記憶部38に認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されているかを判断する(ACT204)。認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されていれば(ACT204、YES)、定着制御部42は定着部22の温度を第1の温度にすべく加熱を開始する(ACT205)。その後、操作部10Bがユーザから印刷操作を受け付けると(ACT206)プリント制御部46は印刷ジョブを実行する(ACT207)。
【0048】
ACT203にて、ユーザ判定部40における認証結果が一致しない場合(ACT203、NO)、制御部30は第2の認証部14がユーザ認証するまで待機する(ACT208)。
【0049】
ACT204にて、認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがユーザ記憶部36に記憶されていない場合(ACT205、NO)、制御部30は第2の認証部14がユーザ認証するまで待機する(ACT208)。
【0050】
AC208にて、第2の認証部14は第2の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るまで待機する(ACT208、NO)。第2の認証部14は第2の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るとICカードと通信を行い(ACT208、YES)、定着制御部42は定着部22の加熱を開始する。この時、定着制御部42は定着部22の温度が第2の温度より低い温度である場合には(ACT209、YES)定着部の温度を第2の温度にすべく加熱を開始する(ACT210)。一方、直前に実行した印刷ジョブの熱が定着部22に残っており、すでに定着部22の温度が第2の温度より高温であれば(ACT209、NO)定着制御部42は定着部22を加熱せず処理をACT211へ進める。これによりユーザがコピーやFAX等のジョブを行う場合に待機時間を減らしつつ、不要な電力消費を抑えることが出来る。
【0051】
その後、操作部10Bがユーザから印刷操作を受け付けると(ACT211、YES)定着制御部42は定着部22の温度を第1の温度へ加熱し(ACT212)、プリント制御部46は印刷ジョブを実行する(ACT207)。
【0052】
ACT211にてユーザによる操作が無ければ(ACT211、NO)ACT208へ戻り待機する。この時、定着制御部42は定着部22の温度を第2の温度に維持するように加熱しても良いし、維持せずに定着部22の加熱を停止しても良い。これらの処理により印刷ジョブが終了すると一連の印刷処理を終了する。
【0053】
以上より、第1の認証部で取得されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがユーザ記憶部に記憶されていない場合でも第2の認証部がユーザ認証すると定着制御部は定着部の温度を第2の温度まで加熱する。そのためユーザがコピーやFAXなどの印刷ジョブを実行する場合でも定着部が定着温度まで加熱する時間を短縮でき、かつ不要な電力消費を抑えることが出来る。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の画像形成装置1は時間を測定するタイマーを有する。画像形成装置1は、印刷ジョブ終了時から次のジョブの開始までの時間を測定し、この測定した時間の長さによって定着部22を加熱するか否かを判断する。その他の構成については第1の実施形態または第2の実施形態の画像形成装置1と同様であるため説明を省略する。
【0055】
タイマーは所定の時間を測定する。所定の時間とは例えば印刷ジョブを行った直後から経過した時間である。以下の説明ではCPUが時間を測定することでタイマーとしての機能を実現するものとして説明する。
【0056】
本実施形態の記憶部は開発者やユーザによって予め設定された時間を記憶する。予め設定された時間とは、例えば印刷ジョブ終了時から定着器22の温度が第2の温度未満になるまでの時間である。
【0057】
図6は画像形成装置1の画像形成処理を示すフローチャートである。以下の説明では画像形成装置1はユーザ認証を受け付けておらず省電力モードで待機しているものとする。
【0058】
本実施形態において、第1の認証部12が取得したユーザ情報がユーザ記憶部38に記憶されているユーザ情報と一致し、かつ当該ユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されている場合の処理は第2の実施形態と同様であるため省略する。よって第1の認証部12によって認証されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがジョブ記憶部38に記憶されていない場合の処理から説明する。
【0059】
制御部30は第2の認証部14がICカードと通信するまで待機する(ACT301、NO)。第2の認証部14は第2の通信範囲にICカードを持ったユーザが入るとICカードと通信を行う(ACT301、YES)。この時タイマーが計測する時間が予め設定された時間未満であれば(ACT302、YES)、定着制御部42は定着部22の加熱を行わず処理をACT303へ進める。ACT302にて、タイマーが計測する時間が予め設定された時間以上であれば(ACT302、NO)、定着制御部42は定着部22の温度を第2の温度にすべく加熱を開始する(ACT306)。
【0060】
その後、操作部10Bがユーザから印刷操作を受け付けると(ACT303、YES)、定着制御部42は定着部22の温度を第1の温度にすべく加熱する(ACT304)。定着部22の温度が第1の温度に達するとプリント制御部46は印刷ジョブを実行する(ACT305)。
【0061】
ACT303にてユーザからの操作が無ければ(ACT303、NO)制御部30は処理をACT301へ戻し待機する。この時、定着制御部42は定着部22の温度を第2の温度に維持するように加熱しても良いし、維持せずに定着部22の加熱を停止しても良い。これらの処理により印刷ジョブが終了すると一連の印刷処理を終了する。
【0062】
尚、ACT307の定着部22の加熱において、第2の実施形態同様に第2の温度へ加熱させたがこれに限定するものではない。例えば、第1の実施形態と同様に定着部22の温度を通常の定着温度まで高めてしまっても良い。これによりユーザの待機時間をさらに削減することが出来る。
【0063】
以上より、第1の認証部で取得されたユーザ情報と紐付けられたプリントジョブがユーザ記憶部に記憶されていない場合でも直前に行った印刷ジョブから予め設定した時間が経過している場合は第2の認証部がユーザ認証した段階で定着部の加熱を開始し、直前に行った印刷ジョブから予め設定した時間が経過していなければ定着部の温度が定着温度に近い温度であるため第2の認証部がユーザ認証しても定着部の加熱を行わないことで過剰な加熱を削減しつつユーザ待機時間を短縮することが出来る。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置
10…コントロールパネル
12…第1の認証部
14…第2の認証部
16…読取部
20…画像形成部
22…定着部
30…制御部
36…ユーザ記憶部
38…ジョブ記憶部
40…ユーザ判定部
42…定着制御部