(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】杆材の連結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 7/14 20060101AFI20220128BHJP
F16B 12/30 20060101ALI20220128BHJP
F16B 12/40 20060101ALI20220128BHJP
A47B 91/02 20060101ALN20220128BHJP
A47B 9/14 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F16B7/14 E
F16B12/30
F16B12/40 A
A47B91/02
A47B9/14
(21)【出願番号】P 2018008461
(22)【出願日】2018-01-22
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】森田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 大輔
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-006251(JP,A)
【文献】特開2005-226813(JP,A)
【文献】米国特許第05107775(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/14
F16B 12/30
F16B 12/40
A47B 91/02
A47B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延び、かつ長手方向と直交する断面視で矩形状をなす管材によって構成された第一杆材と、
前記第一杆材を内部に収容する収容部が形成された第二杆材と、を備え、
前記第二杆材は、前記第一杆材の一側面に対向し、かつ長手方向に延びる基片と、
前記基片の前記断面視における両端縁に、前記断面視で前記基片と直交するように接続され、かつ長手方向に延びる一対の側片と、を備え、前記一対の側片のうち、前記基片と反対側の縁部同士の間に開口部が形成され、
前記第一杆材および前記第二杆材の互いに対向する面同士を、固定手段によって固定することで、前記第一杆材および前記第二杆材を連結する杆材の連結構造であって、
前記第一杆材の一端部は、前記第二杆材の前記収容部内に収容されるとともに、前記第二杆材が延びる向きに突出し、
前記第一杆材の前記一端部における突出量は、前記第二杆材の前記開口部側よりも、前記基片側が大きくなっていることを特徴とする杆材の連結構造。
【請求項2】
前記第一杆材は、前記管材によって構成された第一杆材本体と、
前記第一杆材本体における一端部に設けられた突出部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の杆材の連結構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記第一杆材の前記一端部における開口部内に内嵌されるスペーサ部材に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の杆材の連結構造。
【請求項4】
前記スペーサ部材は、前記一端部における前記開口部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を有していることを特徴とする請求項3に記載の杆材の連結構造。
【請求項5】
前記突出部は、前記第二杆材における前記基片および前記一対の側片のうち、少なくともいずれか1つと対向する壁状に形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の杆材の連結構造。
【請求項6】
前記突出部は、前記第二杆材における前記基片および前記一対の側片のうち、少なくともいずれか2つと対向する壁状に形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の杆材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杆材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等の執務空間にて使用される机、テーブル等の天板昇降式什器においては、天板を支持する杆材を上部杆材および下部杆材に分割して構成している。そして、これらの連結位置を変更することによって杆材の長さを変更して什器の天板高さを変更可能としたモノが多く採用されている。
こうした杆材の連結構造としては、例えば下記特許文献1および下記特許文献2に示すように、中空状に形成された外杆と内杆とによって杆材を構成し、外杆内部に挿入された内杆と、外杆と、の連結位置を変更することによって、高さを変更可能とした構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-017454号公報
【文献】特開2000-083743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、複雑な加工が必要となり、加工工数および加工コストを要してしまうとともに、加工部が外部に露出してしまい、見映えが悪いという問題点を有していた。
また、特許文献2に記載の構成では、外杆と内杆に管材を採用しているため、加工を施すのが困難であるとともに、コストを要してしまうという問題を有していた。
【0005】
これらの問題を鑑み、内杆のみを管状部材で構成するとともに、外杆を、内面に内杆の外側面に沿う対向面を有する断面視コ字状の杆状部材で構成する方法が採用されている。この構造を採用することによって、構造を簡易化することができるとともに、加工工数および製造コストを低減することができる。
しかしながら、前述した構成では、内杆と外杆との連結部分が外部に露呈する構造となるため、天板高さ変更時において誤って内杆と上部構造体との間に物品を挟んでしまう可能性があるという問題を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、簡易的かつ安価に構成することができながら、見映えを良くすることができるとともに、杆材同士の連結長さ変更時における作業時の安全性を高めることができる杆材の連結構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る杆材の連結構造は、長手方向に延び、かつ長手方向と直交する断面視で矩形状をなす管材によって構成された第一杆材と、前記第一杆材を内部に収容する収容部が形成された第二杆材と、を備え、前記第二杆材は、前記第一杆材の一側面に対向し、かつ長手方向に延びる基片と、前記基片の前記断面視における両端縁に、前記断面視で前記基片と直交するように接続され、かつ長手方向に延びる一対の側片と、を備え、前記一対の側片のうち、前記基片と反対側の縁部同士の間に開口部が形成され、前記第一杆材および前記第二杆材の互いに対向する面同士を、固定手段によって固定することで、前記第一杆材および前記第二杆材を連結する杆材の連結構造であって、前記第一杆材の一端部は、前記第二杆材の前記収容部内に収容されるとともに、前記第二杆材が延びる向きに突出し、前記第一杆材の前記一端部における突出量は、前記第二杆材の前記開口部側よりも、前記基片側が大きくなっていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、杆材の連結構造が、管材により構成された第一杆材、および第二杆材により構成されているので、部品点数の増加を抑え、杆材の連結構造を簡易的かつ安価に構成することができる。
また、第一杆材が第二杆材の収容部に収容されているので、杆材の連結構造の見映えを良くすることができる。
【0009】
また、この杆材の連結構造は、例えば長手方向を上下方向と一致させ、第二杆材に上部構造体を支持させるように配置して使用することができる。
そして、第二杆材の収容部内に収容される第一杆材の一端部は、第二杆材の延びる向きに突出し、一端部における突出量は、第二杆材の開口部側よりも、基片側が大きくなっている。このため、第一杆材および第二杆材の上下方向の相対位置を変更する作業を行った際に、仮に上部構造体が落下しても、一端部の基辺側が大きく突出していることで、上部構造体と第一杆材の開口部側との間に物が挟まるのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る杆材の連結構造では、前記第一杆材は、前記管材によって構成された第一杆材本体と、前記第一杆材本体における一端部に設けられた突出部と、を備えてもよい。
この場合には、突出部が第一杆材本体と別体に形成されているので、第一杆材本体の形状が複雑になるのを抑え、杆材の連結構造を安価に構成することができる。
【0011】
また、本発明に係る杆材の連結構造では、前記突出部は、前記第一杆材の前記一端部における開口部内に内嵌されるスペーサ部材に形成されてもよい。
この場合には、突出部がスペーサ部材に形成されているので、突出部をスペーサ部材とは異なる部材に形成する構成と比較して、部品点数を抑え、杆材の連結構造を簡易的に構成することができる。
【0012】
また、本発明に係る杆材の連結構造では、前記スペーサ部材は、前記一端部における前記開口部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を有してもよい。
この場合には、スペーサ部材が閉塞部を有しているので、第一杆材の一端部における開口部内に物が進入するのを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る杆材の連結構造では、前記突出部は、前記第二杆材における前記基片および前記一対の側片のうち、少なくともいずれか1つと対向する壁状に形成されてもよい。
この場合には、突出部が、第二杆材における基片および一対の側片のうち、少なくともいずれか1つと対向する壁状に形成されているので、突出部の剛性を容易に確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る杆材の連結構造では、前記突出部は、前記第二杆材における前記基片および前記一対の側片のうち、少なくともいずれか2つと対向する壁状に形成されてもよい。
この場合には、突出部が、第二杆材における基片および一対の側片のうち、少なくともいずれか2つと対向する壁状に形成されているので、突出部の剛性をより一層効果的に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易的かつ安価に構成することができながら、見映えを良くすることができるとともに、杆材同士の連結長さ変更時における作業時の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態における杆材の連結構造が採用された天板昇降式什器の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す天板昇降式什器における下部構造体の側面図である。
【
図4】
図1に示す天板昇降式什器における上部構造体の側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における杆材の連結構造の縦断面図である。
【
図7】
図6に示すスペーサにおける(a)斜視図、(b)縦断面図である。
【
図8】
図6に示す位置決め部材における(a)斜視図、(b)縦断面図である。
【
図9】
図6に示す杆材の連結構造の横断面図のうち、(a)C-C線矢視断面図、(b)D-D線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る杆材の連結構造4について、
図1から
図9を参照して説明する。まずこの杆材の連結構造4が採用された天板昇降式什器1について説明する。
図1に示すように、天板昇降式什器1は、例えば学校などで使用されるデスクで、天板部32の高さを変更可能に構成されている。
【0018】
本実施形態による天板昇降式什器1の天板部32は、平面視形状が横長となる長方形状に形成されている。以下の説明では、天板部32の平面視形状の長方形における短辺が延びる方向を前後方向とし、長辺が延びる方向を左右方向とする。
使用者は、主に天板昇降式什器1に対して前後方向の一方側から対向した状態で、天板部32で作業するように設定されている。この前後方向の一方側(天板昇降式什器1に対する使用者側)を前側とし、その反対側を後側とする。
以下では、左右方向において、天板昇降式什器1の左右方向の両端部に対して天板昇降式什器1の左右方向の中央部がある側を内側とし、天板昇降式什器1の左右方向の中央部に対して左右方向の両端部がある側を外側と示す。
【0019】
図1に示すように、天板昇降式什器1は、床面11に設置される下部構造体2と、天板部32を有し下部構造体2の上側に連結される上部構造体3と、下部構造体2と上部構造体3とを着脱可能に連結する杆材の連結構造4と、を有している。
図1および
図2に示すように、下部構造体2は、左右方向に間隔をあけて床面11に載置される一対のベース部21,21と、一対のベース部21,21それぞれから上側に延びる一対の下部支持脚部(第一杆材本体)22,22と、一対のベース部21,21同士を連結する下側補強部材23と、を有している。
【0020】
一対のベース部21,21は、互いに左右方向に対称となる形状に形成されている。ベース部21は、床面11に載置され、前後方向に延びている。本実施形態では、ベース部21には金属製の角管が用いられている。ベース部21の前端部分および後端部分は、樹脂製のキャップ24で覆われている。
【0021】
一対の下部支持脚部22,22は、上下方向(長手方向)に延び、かつ長手方向と直交する断面視で矩形状をなす管材によって構成されている。下部支持脚部22は、左右方向に互いに対向する一対の対向部22A、22Aを有している。
一対の下部支持脚部22,22は、互いに左右方向に対称となる形状に形成されている。本実施形態では、下部支持脚部22には、金属製の角管が用いられている。
【0022】
図3に示すように、下部支持脚部22は、上面視で2辺が前後方向に延びるとともに、残りの2辺が左右方向に延びる矩形状をなしている。下部支持脚部22の前後方向の大きさは、左右方向の大きさよりも大きくなっている。下部支持脚部22の周壁のうち、左右方向を向き、互いに対向する周壁が一対の対向部22Aとなっている。対向部22Aは上面視で前後方向に延びている。一対の対向部22Aのうち、左右方向の外側に位置する部分に、一側面22Bが形成されている。
【0023】
一対の対向部22Aには、少なくとも一方の対向部22Aを左右方向に貫く第一杆材挿通孔25が形成されている。図示の例では、第一杆材挿通孔25は両方の対向部22Aを左右方向に貫いている。
第一杆材挿通孔25は、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。図示の例では、第一杆材挿通孔25は上下方向に等間隔をあけて4つ配置されている。複数の第一杆材挿通孔25それぞれの孔径は、互いに同等となっている。なお、第一杆材挿通孔25の数量は任意に変更することができる。
【0024】
下側補強部材23は、棒状の部材で、左右方向に延びている。本実施形態では、下側補強部材23は、金属製の角管が用いられていて、一対のベース部21に溶接されている。下側補強部材23は一対のベース部21と略同じ高さ寸法に形成されていて、上面が一対のベース部21それぞれの上面と略面一に配置されている。
【0025】
図1および
図4に示すように、上部構造体3は、それぞれ下部支持脚部22に連結される一対の上部支持脚部(第二杆材)31,31と、一対の上部支持脚部31,31に支持された天板部32と、天板部32の下側に設けられた収納部34と、一対の上部支持脚部31,31同士を連結する補強部材35と、を有している。
【0026】
一対の上部支持脚部31,31は、上下方向に延びている。一対の上部支持脚部31,31は、一対の下部支持脚部22、22に各別に着脱可能に構成されている。一対の上部支持脚部31,31は、互いに左右方向に対称となる形状に形成されている。
上部支持脚部31は、断面視でコ字状をなし、下部支持脚部22を内部に収容する収容部31Aが全体にわたって形成されている。上部支持脚部31には、金属製のチャンネル材が用いられている。
【0027】
上部支持脚部31は、下部支持脚部22の一側面22Bに対向し、かつ上下方向に延びる基片31Bと、基片31Bの断面視における両端縁に、断面視で基片31Bと直交するように接続され、かつ上下方向に延びる一対の側片31Cと、を備え、一対の側片31Cのうち、基片31Bと反対側の縁部同士の間に開口部31Dが形成されている。
【0028】
上部支持脚部31の収容部31Aは、左右方向の内側に向けて開口している。収容部31Aは、下部支持脚部22を挿入可能な形状に形成されている。下部支持脚部22と上部支持脚部31とは、上部支持脚部31の収容部31Aに下部支持脚部22が挿入され、下部支持脚部の一端部が収容部31Aに収容された状態で連結される。
【0029】
図1、
図4および
図5に示すように、上部支持脚部31の基片31Bには、板面を左右方向に貫通する第二杆材挿通孔36が、第一杆材挿通孔25と対応して形成されている。第二杆材挿通孔36は、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0030】
複数の第二杆材挿通孔36同士の上下方向の間隔は、複数の第一杆材挿通孔25同士の上下方向の間隔と互いに同等となっている。第一杆材挿通孔25および第二杆材挿通孔36の孔径は、互いに同等となっている。図示の例では、第二杆材挿通孔36は、上下方向に等間隔をあけて14つ配置されている。なお、第二杆材挿通孔36の数量は任意に変更することができる。
【0031】
図4に示すように、天板部32は、作業面を有する天板本体32Aと、一対の上部支持脚部31,31それぞれの上端部に接続されて天板本体32Aが固定される一対の天板本体固定部32B,32Bと、を有している。
天板本体32Aは、板面が長方形状となる平板状に形成され、板面が上下方向を向く向きに配置されている。天板本体32Aの上面が作業面として使用者に使用される。天板本体32Aは、例えば、木製や樹脂製の板材で形成されている。
【0032】
一対の天板本体固定部32B,32Bは、前後方向に延びている。一対の天板本体固定部32B,32Bのうちの一方における前後方向の中間部は、左右方向の一方側に位置する上部支持脚部31の上端部に接合されている。一対の天板本体固定部32B,32Bのうちの他方における前後方向の中間部は、左右方向の他方側に位置する上部支持脚部31の上端部に接合されている。
【0033】
図1および
図4に示すように、収納部34は、天板本体32Aの下側で、一対の上部支持脚部31,31の間に配置されている。
収納部34は、天板本体32Aの下側に間隔をあけて配置される底板部34Aと、底板部34Aの後縁部から上側に延びる後板部34Bと、底板部34Aの左右方向の両縁部それぞれから上側に延びる一対の側板部34C,34Cと、を有している。本実施形態では、収納部34は鋼板などで形成されている。
収納部34の底板部34A、後板部34B、側板部34C,34C、および天板本体32Aに囲まれた前方に開口する収納空間34Dは、物品を収容可能に構成されている。
【0034】
補強部材35は、上面視でC字形(コの字形)に屈曲した棒状の部材に形成されている。
図4に示すように、補強部材35は、一対の上部支持脚部31,31から後側に延びる一対の第1棒状部35A,35Aと、一対の第1棒状部35A,35Aの後端部どうしを連結する第2棒状部35Bと、を有している。
本実施形態では、補強部材35は、金属製の丸管で、一対の第1棒状部35A,35Aと第2棒状部35Bとが一体に形成されている。補強部材35の両端部は、上部支持脚部31に溶接されている。
【0035】
次に、本実施形態における杆材の連結構造4について説明する。
図1に示すように、杆材の連結構造4では、下部支持脚部22および上部支持脚部31の互いに対向する面同士を、後述する固定手段60によって固定する。これにより、下部支持脚部22および上部支持脚部31を、上下方向における相対位置が変更可能となるように連結している。
【0036】
図6に示すように、杆材の連結構造4は、下部支持脚部22における一対の対向部22A,22A同士の間に内嵌されるスペーサ部材40と、下部支持脚部22および上部支持脚部31の相対位置を位置決めする位置決め部材50と、を備えている。
【0037】
図7に示すように、スペーサ部材40は、上面視で矩形状を呈し、上下方向に延びる軸状をなしている。スペーサ部材40は、上下方向に延びるスペーサ本体41と、スペーサ本体41の上端部に配置され、上面視で矩形状をなし、閉塞部42と、スペーサ本体41の上端部および閉塞部42の下面を接続する接続リブ43と、後述する突出部45と、を備えている。
【0038】
スペーサ本体41には、スペーサ本体41を左右方向に貫くスペーサ挿通孔44が、第一杆材挿通孔25と対応して形成されている。スペーサ挿通孔44は、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。複数のスペーサ挿通孔44同士の間隔は、複数の第一杆材挿通孔25同士の上下方向の間隔と互いに同等となっている。
【0039】
スペーサ挿通孔44の孔径は、第一杆材挿通孔25の孔径よりも大きくなっている。図示の例では、スペーサ挿通孔44は、上下方向に等間隔をあけて4つ配置されている。なお、スペーサ挿通孔44の孔径は、第一杆材挿通孔25の孔径よりも小さくてもよいし、スペーサ挿通孔44の数量は任意に変更することができる。
【0040】
スペーサ本体41のうち、左右方向の外側を向く両側面には、左右方向の内側に向けて窪む肉盗み部41Aが形成されている。肉盗み部41Aは、上下方向に互いに隣り合うスペーサ挿通孔44同士の間、およびスペーサ挿通孔44と、閉塞部42と、の間に配置されている。
このように、スペーサ本体41に肉盗み部41Aが形成されていることで、スペーサ部材40全体の肉厚を均一にして射出成形による製造時にヒケが生じるのを抑えることができる。
【0041】
閉塞部42は、上下方向を向く板状部材である。
図6に示すように、スペーサ部材40が下部支持脚部22の内側に内嵌された際に、閉塞部42は下部支持脚部22の上端開口部の少なくとも一部を閉塞している。図示の例では、閉塞部42は、下部支持脚部22の上端開口部の全部を閉塞している。閉塞部42の下面は、下部支持脚部22の上端開口縁と上下方向に当接している。
【0042】
図7に示すように、接続リブ43はスペーサ本体41の前後方向の両外側に一対配置されている。一対の接続リブ43同士間の前後方向の寸法は、下部支持脚部22の内側における前後方向の寸法よりも僅かに小さくなっている。
なお、一対の接続リブ43同士間の前後方向の寸法は、下部支持脚部22の内側における前後方向の寸法よりも僅かに大きくてもよい。この場合には、スペーサ部材40を締まり嵌めとして、下部支持脚部22の内側に強固に内嵌することができる。
【0043】
図8に示すように、位置決め部材50は、左右方向から見た平面視で、上方および下方に向けて突となす長円状を呈する板状部材である。位置決め部材50は、左右方向の内側に向けて突出する位置決め突部51を有している。
位置決め突部51は、位置決め部材50の左右方向の内側を向く内側面のうち、前後方向の中央部に配置されている。位置決め突部51は、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。複数の位置決め突部51同士間の上下方向の間隔は、第一杆材挿通孔25同士間、および第二杆材挿通孔36同士間の上下方向の間隔と同一とされている。図示の例では、位置決め突部51は2つ配置されている。
【0044】
位置決め部材50の内側面のうち、位置決め突部51の上方、および下方に位置する部分には、雌ねじ部62が形成された取付孔52が設けられている。取付孔52は、2つ設けられている。取付孔52には、後述する固定手段60における雄ねじ部材が取付けられる。
位置決め部材50の内側面には、左右方向の内側に向けて窪む肉盗み部53が形成されている。肉盗み部53は、上下方向、および前後方向に間隔をあけて複数配置されている。
このように、位置決め部材50に肉盗み部53が形成されていることで、位置決め部材50全体の肉厚を均一にして射出成形による製造時にヒケが生じるのを抑えることができる。
【0045】
そして
図6および
図9(b)に示すように、位置決め部材50は、位置決め突部51が、第一杆材挿通孔25、および第二杆材挿通孔36に連通するように配置されている。
位置決め突部51は、左右方向の外側から内側に向けて、第一杆材挿通孔25および第二杆材挿通孔36に連通している。なお、本発明における連通とは、複数の部材の内部に連続して通された状態を意味している。すなわち、本発明における連通とは、例えば一対の対向部22A,22Aにおける、左右方向に間隔をあけて形成された第一杆材挿通孔25の全体に貫通されることまでを意味しない。よって、第一杆材挿通孔25のうち、一対の対向部22A,22Aの一方に形成された部分の全部、又は一部のみに位置決め突部51が配されていてもよい。
【0046】
位置決め突部51はまた、スペーサ挿通孔44に連通している。2つの位置決め突部51は、上下方向に間隔をあけて配置されたスペーサ挿通孔44のうち、上下方向の内側に位置する部分に、各別に挿通されている。
図示の例では、位置決め突部51の先端部は、下部支持脚部22の左右方向の中央部に位置している。なお、このような態様に限られず、位置決め突部51の先端部が、第一杆材挿通孔25を左右方向に貫通して、下部支持脚部22から左右方向の内側に突出していてもよい。
【0047】
また、
図6および
図9(a)に示すように、第一杆材挿通孔25、第二杆材挿通孔36、およびスペーサ挿通孔44に連通した固定手段60により、下部支持脚部22および上部支持脚部31を連結している。
固定手段60は、雄ねじ部61と雌ねじ部62とによって構成される螺合手段とされている。雄ねじ部61を有する雄ねじ部材が、第一杆材挿通孔25、第二杆材挿通孔36、およびスペーサ挿通孔44に連通している。
【0048】
また、下部支持脚部22および上部支持脚部31は、第一杆材挿通孔25および第二杆材挿通孔36の対応関係を変更することで、長手方向に相対位置を変更可能に連結されている。すなわち、下部支持脚部22に対する上部支持脚部31の上下方向の位置が変更可能となっている。
【0049】
また、第一杆材挿通孔25および第二杆材挿通孔36はそれぞれ、長手方向に間隔をあけて複数設けられるとともに、互いに対応する複数の組を構成している。
そして、位置決め突部51は、複数の組のうちの一の組に連通し、固定手段60における雄ねじ部材は、複数の組のうちの他の組に連通している。
図示の例では、固定手段60における雄ねじ部材は、位置決め突部51よりも下方および上方に位置する第一杆材挿通孔25、第二杆材挿通孔36、およびスペーサ挿通孔44に連通している。
【0050】
そして本実施形態では、下部支持脚部22の一端部には、上下方向の外側に向けて突出する突出部45が設けられている。突出部45は、下部支持脚部22の上端部から、上部支持脚部31が延びる向きに突出している。
ここで、下部支持脚部22および突出部45は、第一杆材を構成している。すなわち、第一杆材の一端部が、上部支持脚部31が延びる向きに突出し、上部構造体3と上下方向に対向している。
突出部45の突出量は、上部支持脚部31の開口部31D側よりも基片31B側が大きくなっている。
【0051】
突出部45は下部支持脚部22とは別体に形成されている。突出部45は、スペーサ部材40のうち、閉塞部42の上面に形成されている。突出部45は閉塞部42と一体に形成されている。
突出部45は、上部支持脚部31における基片31Bおよび一対の側片31Cのうち、少なくともいずれか1つと対向する壁状に形成されている。図示の例では、突出部45は、基片31Bおよび一対の側片31Cの全てと対向する壁状に形成されている。
【0052】
突出部45は、上部支持脚部31の基片31Bと対向する外壁部45Aと、外壁部45Aの両端縁に接続されるとともに、上部支持脚部31における一対の側片31Cと対向する一対の側壁部45Bと、を備えている。外壁部45Aおよび側壁部45Bは一体に形成されている。
外壁部45Aは、閉塞部42の上面のうち、左右方向の外側に位置する部分に立設されている。一対の側壁部45Bは、閉塞部42の上面のうち、前後方向の両外側に位置する部分に各別に立設されている。
【0053】
外壁部45Aは、平面視で矩形状をなしている。外壁部45Aの前後方向の大きさは、閉塞部42の前後方向の大きさと同等となっている。
側壁部45Bは、前方視で外壁部45Aの上端に位置する上底と、上底よりも下方に位置し、上底よりも左右方向に幅広とされた下底と、を有する台形状をなしている。側壁部45Bの下底における左右方向の大きさは、閉塞部42の左右方向の大きさと同等となっている。
なお、このような態様に限られず、突出部45の形状は任意に変更することができる。
【0054】
外壁部45Aのうち、左右方向の外側に位置する外側面には、円形の凹部45Cが形成されている。
凹部45Cには、視認性の良い色に彩色されたシールを貼付することができる。これにより、
図6に示すように、第二杆材挿通孔36を通して、左右方向の外側からスペーサ部材40の位置を確認することができる。このようにして、凹部45Cに貼付したシールが、複数の第二杆材挿通孔36に対して、位置決め部材50の位置決め突部51を挿通する位置の目安となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る杆材の連結構造4は、管材により構成された第一杆材、および上部支持脚部31により構成されている。このため、部品点数の増加を抑え、杆材の連結構造を簡易的かつ安価に構成することができる。
また、下部支持脚部22が上部支持脚部31の収容部31Aに収容されているので、杆材の連結構造の見映えを良くすることができる。
【0056】
また、上部支持脚部31の収容部31A内に収容される第一杆材の一端部は、上部支持脚部31の延びる向きに突出し、一端部における突出量は、上部支持脚部の開口部31D側よりも、基片31B側が大きくなっている。このため、下部支持脚部22および上部支持脚部31の上下方向の相対位置を変更する作業を行った際に、仮に上部構造体3が落下しても、一端部の基片31B側が大きく突出していることで、上部構造体3と第一杆材の開口部側との間に物が挟まるのを防ぐことができる。
【0057】
また、突出部45が下部支持脚部22と別体に形成されているので、下部支持脚部22の形状が複雑になるのを抑え、杆材の連結構造4を安価に構成することができる。
また、突出部45がスペーサ部材40に形成されているので、突出部45をスペーサ部材40とは異なる部材に形成する構成と比較して、部品点数を抑え、杆材の連結構造4を簡易的に構成することができる。
【0058】
また、スペーサ部材40が閉塞部42を有しているので、下部支持脚部22の一端部における開口部内に物が進入するのを防ぐことができる。
また、突出部45が、上部支持脚部31における基片および一対の側片のうち、少なくともいずれか1つと対向する壁状に形成されているので、突出部45の剛性を容易に確保することができる。
【0059】
また、突出部45が、上部支持脚部31における基片および一対の側片のうち、少なくともいずれか2つと対向する壁状に形成されているので、突出部45の剛性をより一層効果的に確保することができる。
【0060】
以上、本発明による天板昇降式什器の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
例えば、上記各実施形態では、杆材の連結構造4が天板昇降式什器1に採用された構成を示したが、このような態様に限られない。例えば物品を載置する台などのデスク以外の什器に、杆材の連結構造4を採用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、突出部45が、下部支持脚部22と別体に形成された構成を示したが、このような態様に限られない。突出部45を下部支持脚部22と一体に形成してもよい。この場合には、例えば下部支持脚部22の一部を、長手方向の外側に向けて延長するような構成であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、突出部45が、スペーサ部材40に形成されている構成を示したが、このような態様に限られない、突出部45は、スペーサ部材40とは別の部材に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、スペーサ部材40は閉塞部42を有している構成を示したが、このような態様に限られない。スペーサ部材40は閉塞部42を有していなくてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、突出部45が、基片31Bおよび一対の側片31Cのうちの全てと対向する壁状に形成されている構成を示したが、このような態様に限られない。突出部45は、基片31Bおよび一対の側片31Cのうちのいずれか1つまたは2つと対向する壁状に形成されてもよいし、突出部45は、壁状に形成されなくてもよい。
【0065】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 天板昇降式什器
2 下部構造体
3 上部構造体
4 杆材の連結構造
11 床面
22 下部支持脚部(第一杆材本体)
22B 一側面
31 上部支持脚部(第二杆材)
31A 収容部
31B 基片
31C 側片
31D 開口部
40 スペーサ部材
42 閉塞部
45 突出部