(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20220106BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/18 610
(21)【出願番号】P 2018062170
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-177756(JP,A)
【文献】特開2012-092511(JP,A)
【文献】特開2010-196338(JP,A)
【文献】特開2012-077495(JP,A)
【文献】特開2014-177755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0139761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車車両
を搭載するトレーと、前記トレーに設けられ、充電用プラグ接続部を備えた充電用接続器と
、を有し、前記トレー上に搭載した駐車車両の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で格納スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、
前記充電用接続器は、
前記トレーに対して軸を介して可倒式とされる支柱と、前記支柱の起立時に前記支柱の上から順に、前記充電用プラグ接続部と、前記充電用ケーブルのコントロールボックスを保持するボックス固定具と、を含んで構成され、
前記ボックス固定具は、前記支柱が前記トレーの収納部に倒伏して収納される際に前記収納部に前記支柱とともに収納される収納位置と、前記支柱が前記トレーに対して起立状態にあるとき、前記支柱において前記コントロールボックスを載置して固定する固定位置と、の間で変位される、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記支柱は、前記ボックス固定具の下方にケーブル固定具を有し、
前記ケーブル固定具は、前記支柱が前記トレーの収納部に倒伏して収納される際に前記収納部に前記支柱とともに収納される収納位置と、前記支柱が前記トレーに対して起立状態にあるとき、前記支柱において前記充電用ケーブルを固定する固定位置と、の間で変位される、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記ボックス固定具は、前記コントロールボックスが載置されるとともに前記コントロールボックスに接続されている前記充電用ケーブルが挿入されるケーブル挿入部を有するベースを有し、
前記ベースは、前記支柱に対して軸を介して回動される、請求項1
又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記ケーブル固定具は、前記充電用ケーブルを前記支柱に固定する金具を含んで構成され、
前記金具は、前記支柱に対してヒンジを介して回動される、請求項
2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車車両である電気自動車の駐車状態でバッテリーの充電を行うことが可能な機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置にあっては、駐車車両である電気自動車を搭載したトレーを格納スペースに収納した駐車状態で、電気自動車のバッテリーの充電を行うものが知られており、このような機械式駐車装置では、電気自動車を搭載するトレーに充電用プラグ接続部を構成し、一方、このトレーを移動させて格納することになる格納スペースには電源側の固定接触部を配置しており、トレー上に電気自動車を搭載した状態で、運転手等の利用者がバッテリーに接続されている給電プラグを充電用プラグ接続部に接続する作業を行い、その後、格納スペースへと移動されてきたトレーの停止位置で、前述した充電用プラグ接続部と電源側の固定接触部間を電気的に接続して充電回路を形成するように構成している。
【0003】
そして、従来、電気自動車のバッテリーに接続した給電プラグをトレー上に構成した充電用プラグ接続部に接続する給電作業を行いやすくするものとして、「トレーに立設した支柱の上部に、斜め下方を向いて差し込み口を有した充電用プラグ接続部を取り付け、充電用プラグ接続部よりも下方に位置する部分の支柱に接続ケーブルの触れ止めを行う保持手段を設けた」もの、そして、「保持手段としては、充電用プラグ接続部の下方に位置する部分の支柱には、接続ケーブルの充電回路制御ボックスを収納して保持する充電回路制御ボックス保持部、または充電回路制御ボックスよりも下方に位置する部分の接続ケーブルを保持する接続ケーブル保持部を取り付けて構成した」ものが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されるものでは、充電用プラグ接続部が設けられる支柱は、トレーに立設した状態で固定されていることから、駐車車両の移動時に衝突する虞や、駐車車両の入出庫の方向が限られてしまうという課題があった。すなわち、機械式駐車場によっては、入庫時に、駐車車両を前進させてトレー上に乗り込み、出庫時に、駐車車両を前進させてトレー上から退くものがあり、このような構成のものに従来のものを適用することが難しかった。また、支柱が立設された充電用トレーにあっては、特に前後方向における駐車スペースに限りが生じることから、充電用接続器を使用しない場合であっても、駐車できる車両が限定されてしまうという課題もあった。
【0006】
本発明の目的は、駐車車両の移動を妨げることなく、かつ充電用接続器未使用時により大きな駐車スペースを確保することのできる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置は、前記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、駐車車両の進入方向に配置されるトレーと、前記トレーに設けられ、充電用プラグ接続部を備えた充電用接続器とを有し、前記トレー上に搭載した駐車車両の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で格納スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、 前記充電用接続器は、立ち上げたときに上側となる位置に前記充電用プラグ接続部が取り付けられる可倒式の支柱を備えると共に、前記充電用プラグ接続部の下方に位置する部分の前記支柱に、前記充電用ケーブルのコントロールボックスを保持する収納可能なボックス固定具、および前記充電用ケーブルを保持する収納可能なケーブル固定具の少なくとも一方を設け、充電時に、前記支柱を立ち上げ、前記ボックス固定具或いは前記ケーブル固定具を固定状態とし、不要時に、前記ボックス固定具或いは前記ケーブル固定具を収納状態とし、前記支柱を折りたたむことを特徴とする。
また、第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記ボックス固定具は、軸を介して前記支柱に回動可能に支持され、前記コントロールボックスが載せられるベースと、前記ベースの中央に設けられた開放部に前記充電用ケーブルを導くケーブル挿入部とを有することを特徴とする。
また、第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記ケーブル固定具は、略U字状の断面を有し、ヒンジを介して前記支柱に回動可能に支持されるU字金具からなることを特徴とする。
また、第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記ケーブル固定具は、前記支柱に取り付けられた面ファスナーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の機械式駐車装置によれば、駐車車両の移動を妨げることなく、かつ充電用接続器未使用時により大きな駐車スペースを確保することができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す平面図である。
【
図2】駐車中にバッテリーの充電を行う電気自動車を搭載した状態を示すトレーの側面図である。
【
図4】
図3に示した支柱を立ち上げ状態および折りたたんだ状態とする動きを説明する正面図である。
【
図5】ボックス固定具の要部を示し、ボックス固定具が固定位置とされた状態を示す正面図である。
【
図6】
図5に示したボックス固定部の側面図である。
【
図7】
図5に示したボックス固定部の上面図である。
【
図8】
図5に示したボックス固定具が収納位置とされた状態を示す正面図である。
【
図9】
図5に示したボックス固定部を固定位置および収納位置とする動きを示す側面図である。
【
図10】
図8に示したボックス固定部の上面図である。
【
図11】ケーブル固定具の要部を示し、ケーブル固定具が固定位置とされた状態を示す上面図である。
【
図13】
図11に示したケーブル固定部を固定位置および収納状態とする動きを示す上面図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態における機械式駐車装置のケーブル固定具の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す平面図である。
【0012】
一般に、機械式駐車装置を構成する建屋1には、駐車車両の出入り口を有する階床と、駐車車両を格納するスペースを有する格納階床2とを形成しており、両階床間は昇降装置3によって連絡されている。格納階床2には複数の格納スペース4A~4Nが形成され、ここではそのうちの格納スペース4A,4Bが電気自動車の充電用に使用するものとする。
【0013】
出入り口から進入した駐車車両は、トレー上に搭載されて昇降装置3を利用して格納階床2へと移動される。全てのトレーは電気自動車対応の同一構成としても良いし、電気自動車専用のものを格納スペース4A,4Bの数に応じて準備しても良い。駐車車両が電気自動車で駐車中にバッテリーの充電を行う場合は、その電気自動車を搭載した専用のトレーを格納スペース4A,4Bへと移動する。一方、駐車車両がバッテリーの充電を行わない場合は、その駐車車両を搭載したトレーを他の格納スペース4C~4Nへと移動する。いずれの場合も、図示を省略した制御装置や駆動装置によって、格納階床2において既に駐車車両を搭載した格納中のトレーが存在する場合、空きスペースを利用しながら順次各トレーを移動し、新たに搬入されたトレーが所定の位置に効率的に移動するように構成されている。
【0014】
図2は、駐車中にバッテリーの充電を行う電気自動車を搭載した状態を示すトレーの側面図、
図3は、
図2に示したトレーの正面図、
図4は、
図3に示した支柱を立ち上げ状態および折りたたんだ状態とする動きを説明する正面図である。
【0015】
第1の実施形態による機械式駐車装置は、トレー5と、充電用接続器6とを備えている。
【0016】
トレー5は、平板状の長方形に形成され、電気自動車である駐車車両Aは、
図2の矢印で示す方向で入庫時にトレー5上に前進して乗り込むとともに、出庫時にトレー5上から前進して退く。また、トレー5の下部には、トレー5を長手方向に移動するときに使用するローラまたは車輪7と、トレー5を長手方向に対して直交する方向に移動するときに使用するローラまたは車輪8と、トレー5の下部に構成され、格納スペース4A,4B側に構成された格納部固定接触子と接触可能なトレー側接触子9とが配置されている。さらに、トレー5には、後述する支柱13を折りたたんだときに支柱13を収納可能な図示しない収納部が設けられている。この収納部は、トレー5の上面より下方に形成され、支柱13を折りたたんだときに、支柱13がトレー5の上面から出張らないようになっている。
【0017】
充電用接続器6は、駐車車両Aの進入方向に対して前側側方に配置されており、例えば駐車車両Aに付属される充電用ケーブル10の一端に設けられる接続器側プラグ11が接続可能な充電用プラグ接続部12と、起立させたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部12が設けられる可倒式の支柱13と、充電用プラグ接続部12の下方に位置する部分の支柱13に配置され、充電用ケーブル10のコントロールボックス14を保持する収納可能なボックス固定具15と、ボックス固定具15の下方に位置する部分の支柱13に配置され、充電用ケーブル10を保持する収納可能なケーブル固定具16とを有している。
【0018】
支柱13は、軸21を介してトレー5に回動可能に軸支されると共に、収納部の上面を覆うカバー部13Aを有している。カバー部13Aは、支柱13の長手方向に沿うように支柱13の一方の側面に取り付けられており、支柱13を折りたたんだ状態で収納部の上面を覆い、トレー5の上面と略同一面となりトレー5をフラット化する。なお、本実施形態にあっては、カバー部13Aも強度部材として支柱13の一部を構成している。
【0019】
ここで、ボックス固定具15の詳細について説明する。
図5は、ボックス固定具の要部を示し、ボックス固定具が固定位置とされた状態を示す正面図、
図6は、
図5に示したボックス固定部の側面図、
図7は、
図5に示したボックス固定部の上面図、
図8は、
図5に示したボックス固定具が収納位置とされた状態を示す正面図、
図9は、
図5に示したボックス固定部を固定位置および収納位置とする動きを示す側面図、
図10は、
図8に示したボックス固定部の上面図である。
【0020】
ボックス固定具15は、軸31を介して支柱13に回動可能に支持され、コントロールボックス14が載せられるベース32と、ベース32の中央に設けられた開放部33に充電用ケーブル10を導くケーブル挿入部34と、ベース32の側端に設けられ、コントロールボックス14の載置時に、コントロールボックス14の側面に沿って延在するサポート35とを有している。
【0021】
ベース32は、例えば、一端に軸31が取り付けられ、載置面がフラットに形成された第1腕部32Aと、第1腕部32Aから直交するように延在され、第1腕部32Aと略同一の高さ位置となる載置面を構成する2本の第2腕部32B,32Cとからなっている。
【0022】
サポート35は、例えば、固定位置とした時に、ベース32の第2腕部32B,32Cの端部から上方に延在するように設けられる第3腕部35A,35Bからなっている。
【0023】
このボックス固定具15の位置や形状は種々考えられるが、軸31を介して支柱13に回動可能に支持され、固定位置および収納位置に変位可能となっていると共に、コントロールボックス14を載置したとき、このコントロールボックス14をベース32で受け止めて保持し、一方、コントロールボックス14の下方に接続されている充電用ケーブル10は開放部33からさらに下方に垂下することができるように構成されている。
【0024】
ここで、ケーブル固定具16の詳細について説明する。
図11は、ケーブル固定具の要部を示し、ケーブル固定具が固定位置とされた状態を示す上面図、
図12は、
図11に示したケーブル固定部の正面図、
図13は、
図11に示したケーブル固定部を固定位置および収納状態とする動きを示す上面図である。
【0025】
ケーブル固定具16は、U字
状の断面を有し、ヒンジ41を介して支柱13に回動可能に支持されるU字金具42からなっている。ヒンジ41は、軸に介装され、一方の図示しないヒンジ板が支柱側、他方のヒンジ板がU字金具42側に取り付けられており、
図11ないし
図13に示すように、U字金具42を支柱13の正面と対向させた時、支柱13の正面およびU字金具42のU字部で囲われる空隙に充電用ケーブル10が配置され固定状態となると共に、
図13に示すように、U字金具42を支柱13の側面と対向させた時、収納位置となる。
【0026】
また詳細な図示は省略しているが、電気自動車の給電端子に他端を接続する充電用ケーブル10と、建屋1における電源との間には、少なくとも二箇所の電気的な接続部を構成している。その一つは、充電用ケーブル10と充電用プラグ接続部12間の電気的な接続部であり、トレー5上に駐車車両を搭載した際に運転手等の作業者によって接続作業が行われるものである。他の一つは、トレー5の下部に構成したトレー側接触子9と、トレー5を移動して格納スペース4A,4Bへ格納したときトレー側接触子に対応する位置の格納スペース4A,4B側に構成された格納部固定接触子とによって形成した電気的な接触部である。
【0027】
充電用プラグ接続部12を使用した前者の電気的な接続部を完成させた後、トレー5を移動して格納スペース4A,4Bへ格納すると、トレー5の位置によって機械的にトレー側接触子9と格納部固定接触子との接触が完成し、電気自動車のバッテリーが建屋1の電源に接続されたことになる。
【0028】
次に、電気自動車の駐車車両Aを駐車しながらそのバッテリーの充電を行う場合について説明する。
【0029】
一般に知られるように、この種の機械式駐車装置は、
図1に示した各格納スペース4A~4Nやリフト装置の床面側に駆動装置やガイドレールがそれぞれ配置されており、トレー5が位置している格納スペースの駆動装置を駆動すると、ガイドレール上を転動するローラまたは車輪7,8によってトレー5を隣接する任意の格納スペース側へ移動することができる構成を有している。
【0030】
係員または駐車車両Aの運転手等は操作ボタンなどを操作して、駐車しながらバッテリーの充電を行う利用であることを選択する。この選択によって、電気自動車用のトレー5を呼び出すことになる。トレー5を呼び出した時点で、充電用接続器6の支柱13は、
図4に示すように、折りたたまれている。この状態で運転手は駐車車両Aを前進させてトレー5上に搭載する。このとき、運転手が駐車車両Aをトレー5上で前進させすぎてしまったとしても、支柱13は折りたたまれていることから特に問題はなく、若干駐車車両Aを後退させることで適切な位置に駐車することができる。
【0031】
次いで、係員または駐車車両Aの運転手等の作業者は、
図2ないし
図4に示すように、駐車車両Aの前方に位置する充電用接続器6の支柱13を立ち上げ、充電可能状態とする。この後、電気自動車の車種によっても異なるが、駐車車両Aに搭載される充電用ケーブル10を取り出し、充電用ケーブル10の一端に設けられる接続器側プラグ11を充電用プラグ接続部12に接続するとともに、接続ケーブル10の他端に設けられる車側プラグ17を駐車車両Aの給電端子に接続する。
【0032】
この接続作業中に、作業者は、
図5ないし
図7に示すように先ず、コントロールボックス14の下方に位置する充電用接続ケーブル10をケーブル挿入部34から通しながら、コントロールボックス14をボックス固定具15のベース32に載置する。ベース32に載置されたコントロールボックス14は、第1腕部32Aおよび第2腕部32B,32Cで受けられ保持されると共に、コントロールボックス14の側面に沿って延在するサポート35、すなわち第3腕部35A,35Bで横ずれが規制される。
【0033】
その後、作業者は、
図11および
図12に示すように、コントロールボックス14の下方に接続されている充電用ケーブル10を、支柱13に添わせ、この状態でケーブル固定具16のU字金具42を回動して支柱13の正面と対向させ、支柱13の正面およびU字金具42のU字部で囲われる空隙に充電用ケーブル10を配置して固定状態とする。
【0034】
このように支柱13を立ち上げた状態で上側となる比較的高い位置に充電用プラグ接続部12が位置する構成としたため、運転手が電気自動車のバッテリーを充電するために充電用ケーブル10を接続する場合、極端にかがみ込んだり座り込んだりした姿勢でなく、楽な姿勢で行えるようになる。
【0035】
また充電用プラグ接続部12をより高い位置に構成すると、その分だけ接続器側プラグ11よりも下方に位置する部分の充電用ケーブル10がトレー5の移動時の振動で触れることが考えられるが、ボックス固定具15およびケーブル固定具16によって充電用ケーブル10の途中を保持しているため、トレー5の移動時の振動で大きく触れたり、トレー5の外周部から外側に飛び出ることはない。
【0036】
充電用ケーブル10の接続を完了した後、操作部からトレー5を所定位置に格納するための操作を行う。すると、機械式駐車装置が作動して、このトレー5を
図1に示した特定の格納スペース4A,4Bへと移動させる。そして、トレー5が
図1に示した格納スペース4A,4Bの所定の停止位置まで移動すると、トレー側接触子9が対を成す固定側接触子に接触子に接触する。このトレー側接触子9と固定側接触子との接触部は、格納スペース4A,4Bへと移動されてくる前に既に完成されていた充電用プラグ接続部12と接続器側プラグ11との接触部に対して直列に接続されて、建屋1の電源に接続されたことになり充電回路が形成される。従って、格納スペース4A,4Bにトレー5が格納されると、電気自動車は駐車されながらバッテリーの充電状態となる。
【0037】
出庫時、係員または駐車車両Aの運転手等は操作ボタンなどを操作して、電気自動車専用のトレー5を呼び出す。トレー5を呼び出した後、係員または駐車車両Aの運転手等は、充電用ケーブル10の一端に設けられる接続器側プラグ11を充電用プラグ接続部12から取り外すとともに、充電用ケーブル10の他端に設けられる車側プラグ17を駐車車両Aの給電端子から取り外し、充電用ケーブル10を収納する。
【0038】
この充電用ケーブル10の取り外し作業中に、作業者は、
図5ないし
図7に示すように固定状態にあるボックス固定具15を軸31を介して回動し、
図8ないし
図10に示すように収納状態とする。このようにボックス固定具15を収納状態とすると、ベース32およびサポート35が支柱13に沿った状態となる。また、
図11および
図12に示すように固定状態にあるケーブル固定具16をヒンジ41を介して回動し、
図13に示すように収納状態とする。このようにケーブル固定具16を収納状態とすると、U字金具42が支柱13の側面と対向した位置となる。この状態で作業者は、
図4に示すように、立ち上がっている充電用接続器6の支柱13を折りたたむ。
【0039】
このようにして支柱13を折りたたむと、支柱13の一方の側面に取り付けられたカバー部13Aにより収納部の上面が覆われ、トレー5上はフラットとなる。この状態で運転手は駐車車両Aを前進させてトレー5上から退いて出庫する。
【0040】
一方、バッテリーの充電を行う電気自動車の駐車車両が不在で、電気自動車用のトレー5を一般的な駐車車両に割り当てたい状況も想定される。このような場合、充電用接続器6の支柱13を折りたたんでおく。これによって、トレー5における前後方向の駐車スペースをより大きく取ることができ、従って、より大きな車両を駐車可能とすることができる。
【0041】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、充電用接続器6は、立ち上げたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部12が取り付けられる可倒式の支柱13を備えると共に、充電用プラグ接続部12の下方に位置する部分の支柱13に、充電用ケーブル10のコントロールボックス14を保持する収納可能なボックス固定具15、および充電用ケーブル10を保持する収納可能なケーブル固定具16を設け、充電時に、支柱13を立ち上げ、ボックス固定具15およびケーブル固定具16を固定状態とし、不要時に、ボックス固定具15およびケーブル固定具16を収納状態とし、支柱13を折りたたむことを特徴とする。
【0042】
このような構成によれば、駐車車両Aの移動時に支柱13を折りたたむことで、駐車車両Aの移動時に衝突する虞がないとともに、前進入庫及び前進出庫させるタイプの機械式駐車場装置に対応することができ、かつ充電用接続器6未使用時にトレー5により大きな駐車スペースを確保することができる。また、充電用プラグ接続部12をより高い位置に構成すると、その分だけ接続器側プラグ11よりも下方に位置する部分の充電用ケーブル10がトレー5の移動時の振動で触れることが考えられるが、ボックス固定具15およびケーブル固定具16によって充電用ケーブル10の途中を保持しているため、トレー5の移動時の振動で大きく触れたり、トレー5の外周部から外側に飛び出ることを防止し、充電用ケーブル10の切断など生じない信頼性の高い機械式駐車装置とすることができる。さらに、ボックス固定具15およびケーブル固定具16は収納可能であることから、支柱13を折りたたむ際に、ボックス固定具15およびケーブル固定具16がトレー5の収納部に干渉することを防ぐことができる。
【0043】
ここで、本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置ついて説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態における機械式駐車装置のケーブル固定具の上面図、
図15は、
図14に示したケーブル固定具の正面図である。
【0044】
第2の実施形態による機械式駐車装置は、
図14および
図15に示すように、前述した第1の実施形態と異なるケーブル固定具16Aを有している。
【0045】
第2の実施形態におけるケーブル固定具16Aは、中間部が支柱13に取り付けられる面ファスナー51から構成されている。この面ファスナー51は、一般に、マジックテープ(登録商標)やベルクロ(登録商標)として知られるものであり、その両面に加工が施してあり、一方の面が他方の面に着脱可能に結合する。
【0046】
第2の実施形態にあっては、充電用ケーブル10を充電用プラグ接続部12に接続する際、作業者は、
図14および
図15に示すように、コントロールボックス14の下方に接続されている充電用ケーブル10を、支柱13に添わせ、この状態で面ファスナー51の一方の面を他方の面に結合させ固定状態とする。
【0047】
一方、出庫時、作業者は、面ファスナー51の一方の面と他方の面との結合を解除し、充電用ケーブル10を取り外す。そして、例えば、面ファスナー51の一方の面と他方の面とを結合させた状態で立ち上がっている充電用接続器6の支柱13を折りたたむ。面ファスナー51は薄い布状であることから、支柱13に取り付けたまま、支柱13を折りたたんでも、収納に支障をきたすことはない。または面ファスナー51を支柱13に取り外し可能に装着することもでき、その場合、充電用ケーブル10の固定時に面ファスナー51を支柱13に取り付け、不要時には、面ファスナー51を支柱13から取り外す。
【0048】
本発明の第2の実施形態の機械式駐車装置によれば、ケーブル固定具16Aは、支柱13に取り付けられた面ファスナー51であることを特徴とする。
【0049】
このような構成によれば、前述したU字金具42と比較し、簡易な構造でケーブル固定具16Aを構成することができ、コスト低減を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の機械式駐車装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の機械式駐車装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0051】
5 トレー
6 充電用接続器
10 充電用ケーブル
11 接続器側プラグ
12 充電用プラグ接続部
13 支柱
14 コントロールボックス
15 ボックス固定具
16,16A ケーブル固定具
17 車側プラグ
21 軸
31 軸
32 ベース
33 サポート
41 ヒンジ
42 U字金具
51 面ファスナー