IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許-電動機及びその製造方法 図1
  • 特許-電動機及びその製造方法 図2
  • 特許-電動機及びその製造方法 図3
  • 特許-電動機及びその製造方法 図4
  • 特許-電動機及びその製造方法 図5
  • 特許-電動機及びその製造方法 図6
  • 特許-電動機及びその製造方法 図7
  • 特許-電動機及びその製造方法 図8
  • 特許-電動機及びその製造方法 図9
  • 特許-電動機及びその製造方法 図10
  • 特許-電動機及びその製造方法 図11
  • 特許-電動機及びその製造方法 図12
  • 特許-電動機及びその製造方法 図13
  • 特許-電動機及びその製造方法 図14
  • 特許-電動機及びその製造方法 図15
  • 特許-電動機及びその製造方法 図16
  • 特許-電動機及びその製造方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電動機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20220106BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20220106BHJP
   H02K 15/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K21/22 M
H02K15/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018092748
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019201441
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】林 俊平
(72)【発明者】
【氏名】徳山 貴士
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0262019(US,A1)
【文献】国際公開第2015/140941(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104702004(CN,A)
【文献】特開2007-104819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
H02K 21/22
H02K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の第1コアと、前記第1コアの電機子対向面を除く5つの面に第1極が前記第1コアを向くように取り付けられた5つの永久磁石と、を含む第1磁極ユニットセルを用意するステップと
直方体状の第2コアと、前記第2コアの電機子対向面を除く5つの面に第2極が前記第2コアを向くように取り付けられた5つの永久磁石と、を含む第2磁極ユニットセルを用意するステップと
複数の前記第1磁極ユニットセルと複数の前記第2磁極ユニットセルとを、互いに直交する第1方向及び第2方向に格子状に配置するステップであって、前記第1磁極ユニットセルを、前記第1方向に前記第2磁極ユニットセルと隣接し、前記第2方向にも前記第2磁極ユニットセルと隣接する位置に、前記第1磁極ユニットセルの前記第1方向の前記永久磁石が前記第1方向に隣接する前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石と接し、前記第1磁極ユニットセルの前記第2方向の前記永久磁石が前記第2方向に隣接する前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石と接するように配置することを含むステップと、
を備える、電動機の製造方法。
【請求項2】
前記第1磁極ユニットセルと前記第2磁極ユニットセルとを格子状に配置するステップは、前記第2磁極ユニットセルを、前記第1方向に前記第1磁極ユニットセルと隣接し、前記第2方向にも前記第1磁極ユニットセルと隣接する位置に、前記第2磁極ユニットセルの前記第1方向の前記永久磁石が前記第1方向に隣接する前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と接し、前記第2磁極ユニットセルの前記第2方向の前記永久磁石が前記第2方向に隣接する前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と接するように配置することをさらに含む、
請求項1に記載の電動機の製造方法。
【請求項3】
電機子と、可動子と、を備え、
前記可動子は、
直方体状の第1コアと、前記第1コアの前記電機子に対向する電機子対向面を除く5つの面に第1極が前記第1コアを向くように取り付けられた5つの永久磁石と、を含む第1磁極ユニットセルと、
直方体状の第2コアと、前記第2コアの前記電機子に対向する電機子対向面を除く5つの面に第2極が前記第2コアを向くように取り付けられた5つの永久磁石と、を含む第2磁極ユニットセルと、
を備え、
複数の前記第1磁極ユニットセルと複数の前記第2磁極ユニットセルとは、互いに直交する第1方向及び第2方向に格子状に配置され、
前記第1磁極ユニットセルの前記第1方向の前記永久磁石が前記第1方向に隣接する前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石と接し、前記第1磁極ユニットセルの前記第2方向の前記永久磁石が前記第2方向に隣接する前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石と接し、
前記第2磁極ユニットセルの前記第1方向の前記永久磁石が前記第1方向に隣接する前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と接し、前記第2磁極ユニットセルの前記第2方向の前記永久磁石が前記第2方向に隣接する前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と接する
電動機。
【請求項4】
前記第1コア又は前記第2コアは、前記電機子対向面を囲む複数の側面を有し、
前記複数の側面のうちの1つの側面に取り付けられる前記永久磁石の幅は、前記1つの側面の幅よりも広い、
請求項3に記載の電動機。
【請求項5】
前記第1コア又は前記第2コアは、前記電機子対向面を囲む複数の側面を有し、
前記複数の側面のうちの1つの側面に取り付けられる前記永久磁石は、前記1つの側面の隣の側面に取り付けられる前記永久磁石と接する、
請求項3又は4に記載の電動機。
【請求項6】
前記第1磁極ユニットセルは、前記第2磁極ユニットセルに対して隣接方向と直交する方向にオフセットして配置される、
請求項3ないし5の何れかに記載の電動機。
【請求項7】
前記第1磁極ユニットセルのオフセット量は、前記第2磁極ユニットセルのオフセット方向の幅の半分以下である、
請求項6に記載の電動機。
【請求項8】
前記第1コアと前記第2コアとの間に位置する前記永久磁石の着磁方向は、オフセット方向に傾斜する、
請求項6又は7に記載の電動機。
【請求項9】
電機子と、可動子と、を備え、
前記可動子は、
直方体状の第1コアと、
前記第1コアに隣接して配置される直方体状の第2コアと、
前記第1コアの前記電機子に対向する電機子対向面と前記第2コアに対向するコア対向面とを除く、前記電機子対向面と反対の面を含む面に第1極が前記第1コアを向くように配置された永久磁石と、
前記第2コアの前記電機子に対向する電機子対向面と前記第1コアに対向するコア対向面とを除く、前記電機子対向面と反対の面を含む面に第2極が前記第2コアを向くように配置された永久磁石と、
前記第1コアの前記コア対向面と前記第2コアの前記コア対向面との間に、第1極が前記第1コアを向き、第2極が前記第2コアを向くように配置された永久磁石と、
を備える、
電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転子の中心軸から放射状に板状の永久磁石を周方向に複数配置し、各永久磁石の間に鉄心を配置した回転電機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-27160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動機の出力を向上させるために、電機子と可動子との間に生じる磁束の更なる増大が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電機子と可動子との間に生じる磁束の増大を図ることが可能な電動機及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の電動機の製造方法は、第1コアと、前記第1コアの電機子対向面を除く面に第1極が前記第1コアを向くように取り付けられた永久磁石と、を含む第1磁極ユニットセルを用意し、第2コアと、前記第2コアの電機子対向面を除く面に第2極が前記第2コアを向くように取り付けられた永久磁石と、を含む第2磁極ユニットセルを用意し、前記第1磁極ユニットセルを配置し、前記第2磁極ユニットセルを、前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石が前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と隣接するように配置する。
【0007】
また、本発明の他の態様の電動機は、電機子と、可動子と、を備え、前記可動子は、第1コアと、前記第1コアの前記電機子に対向する電機子対向面を除く面に第1極が前記第1コアを向くように取り付けられた永久磁石と、を含む第1磁極ユニットセルと、第2コアと、前記第2コアの前記電機子に対向する電機子対向面を除く面に第2極が前記第2コアを向くように取り付けられた永久磁石と、を含む第2磁極ユニットセルと、を備え、前記第1磁極ユニットセルと前記第2磁極ユニットセルとは、前記第1磁極ユニットセルの前記永久磁石と前記第2磁極ユニットセルの前記永久磁石とが互いに隣接するように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電機子と可動子との間に生じる磁束の増大を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電動機の例を示す斜視図である。
図2】電動機に含まれる電機子の例を示す斜視図である。
図3】電動機に含まれる可動子の例を示す斜視図である。
図4】可動子に含まれる磁極ユニットセルの例を示す分解斜視図である。
図5】可動子の磁路の例を示す断面図である。
図6】電動機の磁路の例を示す断面図である。
図7】実施形態に係る電動機の製造方法の例を示す図である。
図8図7に続く図である。
図9図8に続く図である。
図10図9に続く図である。
図11図10に続く図である。
図12】可動子の変形例を示す図である。
図13】可動子の変形例を示す図である。
図14】可動子の変形例を示す図である。
図15】可動子の変形例を示す図である。
図16】可動子の変形例を示す図である。
図17】可動子の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0011】
[電動機の構成]
図1は、実施形態に係る電動機1の例を示す斜視図である。図2は、電動機1に含まれる電機子10の例を示す斜視図である。図3は、電動機1に含まれる可動子20の例を示す斜視図である。図4は、可動子20に含まれる磁極ユニットセル21の例を示す分解斜視図である。図3及び図4は、Y1-Y2軸回りに反転した状態を示している。図5は、可動子20の磁路の例を示す断面図である。図6は、電動機1の磁路の例を示す断面図である。図5及び図6は、図1中のV-V線で切断したときの断面を示している。
【0012】
以下の説明では、図中のX1-X2方向を左右方向、Y1-Y2を前後方向、Z1-Z2方向を上下方向という。前後方向は可動子20の可動方向であり、上下方向は電機子10と可動子20の配列方向である。
【0013】
図1に示すように、電動機1は、電機子10と可動子20とを備えている。電機子10は可動子20の下方に配置されており、可動子20は電機子10の上方に配置されている。本実施形態において電動機1は直動電動機であり、可動子20は電機子10に対して前後方向に移動する。
【0014】
図2に示すように、電機子10は、複数の電機子コイル11と、複数のティース部12と、ヨーク部13とを備えている。ヨーク部13は、水平方向に広がる板状に形成されている。ティース部12は、ヨーク部13から上方に突出した直方体状に形成されており、前後方向及び左右方向にマトリクス状に配列している。ヨーク部13とティース部12とは一体的に形成されており、軟鉄などの軟磁性体で形成されている。電機子コイル11は、各ティース部12を囲むように配置されている。
【0015】
図3に示すように、可動子20は、複数のS型磁極ユニットセル21Aと、複数のN型磁極ユニットセル21Bとを備えている(総称して「磁極ユニットセル21」ともいう)。S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとは、下方に開放された直方箱状の軟磁性体からなるヨーク25に収容され、前後方向及び左右方向にマトリクス状に配列している。S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとは、前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて交互に出現する。
【0016】
図4に示すように、磁極ユニットセル21は、直方体状の軟磁性体のコア(鉄心)22と、コア22の5つの面に取り付けられる5つの板状の永久磁石23とを備えている。各永久磁石23は、コア22の各面と同じ又は若干大きい主面を有しており、コア22の各面全体を覆うように取り付けられる。つまり、コア22には、一面を開放して囲繞するように永久磁石23が取り付けられる。
【0017】
また、各永久磁石23は、同一の磁極がコア22を向くように取り付けられる。コア22の開放された一面は、下方を向いて電機子10と対向する電機子対向面24となる。電機子対向面24の磁極は、各永久磁石23の内側の面(コア22を向く面)の磁極と同一となる。各永久磁石23の外側の面(コア22と反対側の面)の磁極は、電機子対向面24の磁極とは反対となる。
【0018】
S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとは、コア22を向く永久磁石23の磁極、ひいては電機子対向面24の磁極が互いに異なっている。このため、図3に示すようにS型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとが配列した可動子20では、電機子対向面24の磁極が前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて交互に反転している。
【0019】
図5に可動子20の磁路の例を示す。S型磁極ユニットセル21Aでは、コア22の電機子対向面24を除く5面にS極がコア22を向くように永久磁石23が取り付けられており、電機子対向面24がS極となっている。N型磁極ユニットセル21Bでは、コア22の電機子対向面24を除く5面にN極がコア22を向くように永久磁石23が取り付けられており、電機子対向面24がN極となっている。
【0020】
N型磁極ユニットセル21Bにおいて各永久磁石23からコア22に進入した磁界は、電機子対向面24から外部に放出される。N型磁極ユニットセル21Bの電機子対向面24から外部に放出された磁界は放射状に分岐し、隣接するS型磁極ユニットセル21Aの電機子対向面24からコア22に進入する。S型磁極ユニットセル21Aにおいて電機子対向面24からコア22に進入した磁界は各面に向かって分岐し、各永久磁石23に進入する。
【0021】
N型磁極ユニットセル21Bとヨーク25とが隣接するところでは、N型磁極ユニットセル21Bの電機子対向面24から放出された磁界は、ヨーク25にも進入する。また、S型磁極ユニットセル21Aとヨーク25とが隣接するところでは、S型磁極ユニットセル21Aの電機子対向面24には、ヨーク25から放出された磁界も進入する。
【0022】
図6に電動機1の磁路の例を示す。電機子10の左右方向に隣り合うティース部12の電機子コイル11に互いに逆向きに電流を供給すると、これらのティース部12とその間のヨーク部13とを通る磁路が形成され、一方のティース部12の可動子対向面14がS極となり、他方のティース部12の可動子対向面14がN極となる。
【0023】
電機子10の各可動子対向面14の左右方向の位置と、可動子20の各電機子対向面24の左右方向の位置とは対応している。つまり、正面視において、可動子対向面14と電機子対向面24とは一対一で対向している。したがって、電機子コイル11に電流が流れると、可動子対向面14とこれに対向する電機子対向面24とが磁力によって吸引又は反発する(図6は、吸引の場合の磁路を示している)。
【0024】
電機子コイル11により生じた磁界は、可動子20の内部を通過する。つまり、N極の可動子対向面14から放出された磁界は、S型磁極ユニットセル21AのS極の電機子対向面24に進入し、可動子20の内部を通過して、N型磁極ユニットセル21BのN極の電機子対向面24から放出される。N型磁極ユニットセル21BのN極の電機子対向面24から放出された磁界は、S極の可動子対向面14に進入する。電機子コイル11に供給する電流を制御し、可動子対向面14の磁極を変化させることにより、可動子20を前後方向に移動させることができる。
【0025】
本実施形態では、磁極ユニットセル21においてコア22の5つの面に永久磁石23が取り付けられているため、電機子対向面24に生じる磁界が増大し、電動機1の磁気効率を向上させることが可能となる。
【0026】
なお、本実施形態では電動機1は直動電動機であるが、これに限らず、ラジアルギャップ電動機又はアキシャルギャップ電動機であってもよい。ラジアルギャップ電動機においては、扇形板状のコアの外側円弧面を除く5つの面に永久磁石が取り付けられた磁極ユニットセルが回転軸を中心とした環状方向に並べられる。アキシャルギャップ電動機においては、扇形板状のコアの一方の主面を除く5つの面に永久磁石が取り付けられた磁極ユニットセルが回転軸を中心とした環状方向に並べられる。
【0027】
[製造方法]
以下、電動機1の可動子20の製造方法について説明する。図7図11は、可動子20の製造方法の例を示す図である。
【0028】
図7及び図8に示す工程では、S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとが用意される。S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとは、どちらが先に用意されてもよい。
【0029】
S型磁極ユニットセル21Aは、直方体状のコア22の電機子対向面24を除く5面に、S極がコア22を向くように永久磁石23が取り付けられることにより用意される。N型磁極ユニットセル21Bは、直方体状のコア22の電機子対向面24を除く5面に、N極がコア22を向くように永久磁石23が取り付けられることにより用意される。
【0030】
具体的には、コア22と永久磁石23とにはねじ穴27,28が形成されており、ねじ穴27,28にねじ29がねじ込まれることによって、永久磁石23がコア22に取り付けられる。これに限らず、永久磁石23は接着剤等によってコア22に取り付けられてもよい。
【0031】
図9図11に示す工程では、S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとが配置される。S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとは、直方箱状のヨーク25に収容される。まず、図9に示すように、S型磁極ユニットセル21Aが任意の位置(例えば隅)に配置される。
【0032】
次に、図10に示すように、N型磁極ユニットセル21BがS型磁極ユニットセル21Aに隣接する位置に配置される。すなわち、N型磁極ユニットセル21Bは、N型磁極ユニットセル21Bの永久磁石23がS型磁極ユニットセル21Aの永久磁石23と接するように配置される。N型磁極ユニットセル21Bは、S型磁極ユニットセル21Aの左右方向に隣接してもよいし、前後方向に隣接してもよい。
【0033】
このとき、S型磁極ユニットセル21Aの永久磁石23とN型磁極ユニットセル21Bの永久磁石23との間に吸引力が働くため、N型磁極ユニットセル21Bを容易に配置することが可能である。
【0034】
次に、図11に示すように、S型磁極ユニットセル21AがN型磁極ユニットセル21Bに隣接する位置に配置される。すなわち、N型磁極ユニットセル21Bは、N型磁極ユニットセル21Bの永久磁石23がS型磁極ユニットセル21Aの永久磁石23と接するように配置される。N型磁極ユニットセル21Bは、S型磁極ユニットセル21Aの左右方向に隣接してもよいし、前後方向に隣接してもよい。
【0035】
このときも、S型磁極ユニットセル21Aの永久磁石23とN型磁極ユニットセル21Bの永久磁石23との間に吸引力が働くため、S型磁極ユニットセル21Aを容易に配置することが可能である。
【0036】
このようにS型磁極ユニットセル21Aの配置とN型磁極ユニットセル21Bの配置とを繰り返すことで可動子20が完成する。
【0037】
本実施形態では、S型磁極ユニットセル21Aの永久磁石23とN型磁極ユニットセル21Bの永久磁石23との間に働く吸引力を利用してS型磁極ユニットセル21Aの配置とN型磁極ユニットセル21Bの配置とを行うため、コア22と永久磁石23とを個別に配置していくよりも組み立てが容易である。
【0038】
なお、以上に説明した例では、S型磁極ユニットセル21Aから先に配置したが、これに限らず、N型磁極ユニットセル21Bから先に配置してもよい。
【0039】
[変形例]
図12に示す変形例では、磁極ユニットセル21に含まれる各永久磁石23が幅方向(前後方向又は左右方向)に広がり、隙間が形成されないように稠密充填されている。
【0040】
具体的には、コア22の電機子対向面24を囲む4つの側面に取り付けられる永久磁石23は、コア22の側面よりも幅広く、隣の側面に取り付けられた永久磁石23の端面も覆っている。コア22の側面に取り付けられる永久磁石23の幅は、コア22の側面の幅と永久磁石23の厚さとの合計と同じになっている。
【0041】
永久磁石23の幅方向の一端はコア22の側面の一端と揃えられており、永久磁石23の幅方向の他端はコア22の側面の他端を超え、隣の側面に取り付けられた永久磁石23の外側の面と揃えられている。また、永久磁石23の幅方向の一端は、隣の側面に取り付けられた永久磁石23の端部と垂直に接している。
【0042】
また、図示しないが、コア22の電機子対向面24とは反対側の底面に取り付けられる永久磁石23は、コア22の底面と、コア22の各側面に取り付けられた永久磁石23の下面とを覆うように設けられる。
【0043】
図13及び図14に示す変形例では、磁極ユニットセル21がスキュー配置されている。すなわち、S型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bの一方は、他方に対して隣接方向と直交する方向にオフセットして配置されている。磁極ユニットセル21がスキュー配置されることで、コギングトルクの低減を図ることが可能である。
【0044】
図13の例では、S型磁極ユニットセル21Aに対して左方向(X1方向)に隣接するN型磁極ユニットセル21Bが前方向(Y1方向)にオフセットして配置されており、同様に、N型磁極ユニットセル21Bに対して左方向に隣接するS型磁極ユニットセル21Aが前方向にオフセットして配置されている。磁極ユニットセル21のオフセット量は、永久磁石23の厚さ分となっている。
【0045】
図14の例では、S型磁極ユニットセル21Aに対して左方向(X1方向)に隣接するN型磁極ユニットセル21Bが前方向(Y1方向)にオフセットして配置されており、N型磁極ユニットセル21Bに対して左方向に隣接するS型磁極ユニットセル21Aは後方向(Y2方向)にオフセットして配置されている。
【0046】
磁極ユニットセル21のオフセット量は、磁極ユニットセル21の前後方向の幅の半分となっている。コギングトルクの低減のためには、磁極ユニットセル21のオフセット量は、磁極ユニットセル21の前後方向の幅の半分以下であることが好ましい。
【0047】
図15に示す変形例では、磁極ユニットセル21がスキュー配置されるとともに、永久磁石23の着磁方向がオフセット方向に傾斜している。これにより、コギングトルクの更なる低減を図ることが可能である。
【0048】
具体的には、S型磁極ユニットセル21Aに対して左方向(X1方向)に隣接するN型磁極ユニットセル21Bが前方向(Y1方向)にオフセットして配置されており、これらのコア22の間に位置する永久磁石23の着磁方向も前方向に傾斜している。また、永久磁石23の断面形状も、前方向に傾斜した平行四辺形となっている。
【0049】
一方、N型磁極ユニットセル21Bに対して左方向に隣接するS型磁極ユニットセル21Aは後方向(Y2方向)にオフセットして配置されており、これらのコア22の間に位置する永久磁石23の着磁方向も後方向に傾斜している。また、永久磁石23の断面形状も、後方向に傾斜した平行四辺形となっている。
【0050】
なお、図示の例では、永久磁石23はオフセット方向に傾斜した平行四辺形の断面形状を有し、着磁方向も同方向に傾斜していたが、これに限らず、永久磁石23が平行四辺形の断面形状を有していても、着磁方向は傾斜せずに左右方向を向いていてもよい。
【0051】
図16及び図17に示す変形例では、隣接するS型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとが境界に位置する永久磁石23を共有している。
【0052】
具体的には、例えば左右方向に隣接するS型磁極ユニットセル21Aのコア22とN型磁極ユニットセル21Bのコア22との間には1つの永久磁石23が配置されている。この永久磁石23は、S極がS型磁極ユニットセル21Aのコア22を向き、N極がN型磁極ユニットセル21Bのコア22を向くように配置されている。
【0053】
この永久磁石23は、S型磁極ユニットセル21Aに取り付けられてもよいし、N型磁極ユニットセル21Bに取り付けられてもよいし、どちらにも取り付けられなくてもよい。
【0054】
このように、隣接するS型磁極ユニットセル21AとN型磁極ユニットセル21Bとの境界に位置する永久磁石23を1つにすることで、省スペース化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 電動機、10 電機子、11 電機子コイル、12 ティース部、14 可動子対向面、20 可動子、21 磁極ユニットセル、21A S型磁極ユニットセル、21B N型磁極ユニットセル、22 コア、23 永久磁石、24 電機子対向面、27,28 ねじ穴、29 ねじ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17