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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/872 20060101AFI20220106BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301E
H01L29/86 301D
H01L29/91 K
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/91 D
H01L29/91 F
H01L21/28 301S
H01L29/44 P
H01L21/28 301B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018175441
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020047791
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】堀 陽一
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098227(JP,A)
【文献】特開2018-049951(JP,A)
【文献】特開2016-163049(JP,A)
【文献】特開2015-095578(JP,A)
【文献】特開2017-168663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/872
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/06
H01L 21/28
H01L 29/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面を有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の中に設けられた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面と接する部分の形状が八角形である第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域に接続され、前記第1の面に対し平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅が、前記第2の炭化珪素領域の前記第2の方向の幅よりも狭い第2導電型の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第1の面と接する部分の形状が八角形である金属シリサイド層と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記金属シリサイド層の前記八角形が有する八辺のうち、少なくとも一辺が前記第1の方向に平行な請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の炭化珪素領域と前記金属シリサイド層との間に、前記第2の炭化珪素領域の第2導電型不純物濃度よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第4の炭化珪素領域を有する請求項1又は請求項2いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属シリサイド層は、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドを含む請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の炭化珪素領域の前記八角形が有する八辺のうち、二辺が前記第1の方向に平行で、別の二辺が前記第2の方向に平行である請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SBD(Schottky Barrier Diode)の一種のJBS(Junction Barrier Schottky Diode)において、順方向サージ耐量を向上させるため、素子領域内にPiNダイオード領域を設ける場合がある。素子領域内にPiNダイオード領域を設けることで、PiNダイオード領域の伝導度変調を利用して大きな順方向サージ電流を流すことができる。PiNダイオード領域のコンタクト抵抗を低減するために金属シリサイド層が電極とp型不純物領域との間に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-55009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、逆方向リーク特性の優れた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面を有する炭化珪素層と、前記炭化珪素層の中に設けられた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面と接する部分の形状が八角形である第2導電型の第2の炭化珪素領域と、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に平行な第1の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域に接続され、前記第1の面に対し平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向の幅が、前記第2の炭化珪素領域の前記第2の方向の幅よりも狭い第2導電型の第3の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の炭化珪素領域に接する第1の電極と、前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第1の面と接する部分の形状が八角形である金属シリサイド層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
図3】実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図4】実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図5】実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図6】実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0009】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。
【0010】
実施形態の半導体装置は、第1の面と第1の面に対向する第2の面を有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中に設けられた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に平行な第1の方向に延び、第2の炭化珪素領域に接続され、第1の面に対し平行で第1の方向に垂直な第2の方向の幅が、第2の炭化珪素領域の第2の方向の幅よりも狭い第2導電型の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第1の炭化珪素領域に接する第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、第1の電極と第2の炭化珪素領域との間に設けられ、第1の面と接する部分の形状が八角形である金属シリサイド層と、を備える。
【0011】
図1は、実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。図2は、図1の点線枠部分の拡大図である。図3は、実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。図3は、図2のAA’断面に相当する。
【0012】
実施形態の半導体装置はPiNダイオード領域を有するJBS100である。以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0013】
JBS100は、炭化珪素層10(半導体層)、アノード電極12(第1の電極)、カソード電極14(第2の電極)、フィールド酸化膜16、金属シリサイド層18を備える。
【0014】
炭化珪素層10の中には、n型のカソード領域20、n型のドリフト領域22(第1の炭化珪素領域)、p型の第1のアノード領域24(第2の炭化珪素領域)、p型の第2のアノード領域26(第4の炭化珪素領域)、p型領域28(第3の炭化珪素領域)、p型のリサーフ領域30が設けられる。
【0015】
炭化珪素層10は、第1の面(図1中“P1”)と第2の面(図1中“P2”)を備える。炭化珪素層10は、単結晶のSiC(炭化珪素)である。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0016】
炭化珪素層10の第1の面P1が(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面、第2の面P2が(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である場合を例に説明する。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
【0017】
型のカソード領域20は、カソード電極14とn型のドリフト領域22との間に設けられる。
【0018】
カソード領域20は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。カソード領域20のn型不純物濃度は、n型のドリフト領域22のn型不純物の不純物濃度よりも高い。n型不純物の不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0019】
型のドリフト領域22は、カソード領域20と第1の面P1との間に設けられる。
ドリフト領域22は、カソード領域20上に設けられる。ドリフト領域22は、キャリアを流す領域として機能する。ドリフト領域22の一部は、第1の面P1でアノード電極12に接する。
【0020】
アノード電極12とドリフト領域22とのコンタクトはショットキーコンタクトである。アノード電極12とドリフト領域22とが接する領域が、順方向バイアス時にオン電流を流すショットキー領域となる。
【0021】
ドリフト領域22は、n型不純物を含有する。n型不純物は、例えば、窒素(N)である。ドリフト領域22のn型不純物濃度は、例えば、1×1014cm-3以上2×1016cm-3以下である。ドリフト領域22の厚さは、例えば、3μm以上50μm以下である。
【0022】
なお、n型のカソード領域20と、n型のドリフト領域22との間に、n型のバッファ層(図示せず)が設けられても構わない。n型のバッファ層のn型不純物濃度は、n型のカソード領域20の不純物濃度と、n型のドリフト領域22の不純物濃度との中間の濃度である。
【0023】
p型の第1のアノード領域24は、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。第1のアノード領域24は、アノード電極12とドリフト領域22との間に設けられる。
【0024】
p型の第1のアノード領域24は、例えばp型の第2のアノード領域26を囲むように設けられる。
【0025】
p型の第1のアノード領域24は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。第1のアノード領域24のp型不純物濃度は、例えば、1×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0026】
p型の第1のアノード領域24の幅(図3中の“w1”)は、例えば、3.0μm以上15.0μm以下である。
【0027】
型の第2のアノード領域26は、第1のアノード領域24とアノード電極12との間に設けられる。第2のアノード領域26は、第1のアノード領域24と金属シリサイド層18との間に設けられる。第2のアノード領域26は、第1のアノード領域24の中に設けられる。
【0028】
アノード電極12と第2のアノード領域26とのコンタクトはオーミックコンタクトである。
【0029】
第2のアノード領域26は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。第2のアノード領域26のp型不純物濃度は、第1のアノード領域24のp型不純物濃度よりも高い。p型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0030】
第2のアノード領域26の幅は、第1のアノード領域24の幅w1よりも狭い。第2のアノード領域26の幅は、例えば、2.0μm以上12.0μm以下である。
【0031】
p型の第1のアノード領域24とp型の第2のアノード領域26が存在する領域が、PiNダイオード領域である。PiNダイオード領域は、順方向サージ電流が生じた場合に、ホール注入による伝導度変調を利用して大量の電流を流す。これにより、JBS100が発熱等により破壊することが抑制される。
【0032】
なお、PiNダイオード領域は、例えば、第1の方向及び第2の方向に繰り返し配置される。
【0033】
p型領域28は、ドリフト領域22と第1の面P1との間に設けられる。p型領域28は、アノード電極12とドリフト領域22との間に設けられる。p型領域28は、第1の面P1において、アノード電極12に接する。
【0034】
p型領域28は、例えば、図2に示すようにストライプ形状である。p型領域28は、第1の面P1に平行な第1の方向に延びる。p型領域28の一部は、第1のアノード領域24に接する。
【0035】
p型領域28は、逆バイアス時のリーク電流を抑制する機能を有する。逆バイアス時に2つのp型領域28の間のドリフト領域22に空乏層が広がり、アノード電極12とドリフト領域22間の電界を緩和する。これによりJBS100のリーク電流を抑制する。
【0036】
p型領域28の幅(図3中の“w2”)は、第1のアノード領域24の幅(図3中の“w1”)よりも狭い。すなわち、w2<w1である。p型領域28の幅w2は、例えば、0.5μm以上3.0μm以下である。p型領域28とp型領域28との間隔は、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。
【0037】
p型領域28は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。
【0038】
p型領域28のp型不純物濃度は、第2のアノード領域26のp型不純物濃度よりも低い。p型領域28のp型不純物濃度は、例えば、第1のアノード領域24のp型不純物濃度と略同一である。p型領域28のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0039】
p型のリサーフ領域30は、p型の第1のアノード領域24とp型領域28とを囲んで設けられる。p型のリサーフ領域30は、アノード電極12と電気的に接続される。
【0040】
p型のリサーフ領域30は、JBS100の耐圧を向上させるためのJTE(Junction Termination Extention)構造である。
【0041】
p型のリサーフ領域30は、p型不純物を含有する。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。リサーフ領域30のp型不純物濃度は、例えば、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0042】
フィールド酸化膜16は、p型のリサーフ領域30上に設けられる。フィールド酸化膜16は、例えば、酸化シリコンである。
【0043】
アノード電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。アノード電極12は、フィールド酸化膜16の開口部で、n型のドリフト領域22、p型領域28、第1のアノード領域24、及び、金属シリサイド層18に接する。
【0044】
アノード電極12は金属である。アノード電極12は、例えば、チタンとアルミニウムの積層構造である。
【0045】
カソード電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2側に設けられる。カソード電極14は、カソード領域20に接して設けられる。カソード電極14とカソード領域20とのコンタクトは、オーミックコンタクトである。
【0046】
カソード電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。カソード電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン、ニッケル、銀、及び、金から成る群から選ばれる材料を含む。
【0047】
金属シリサイド層18は、アノード電極12と第2のアノード領域26との間に設けられる。金属シリサイド層18は、炭化珪素層10の第1の面P1に接する。
【0048】
金属シリサイド層18は、例えば、ニッケルシリサイド、又は、チタンシリサイドを含む。金属シリサイド層18の厚さは、例えば、50nm以上300nm以下である。
【0049】
金属シリサイド層18を備えることにより、アノード電極12と第2のアノード領域26との間のコンタクトが、オーミックコンタクトとなる。
【0050】
金属シリサイド層18の第1の面P1と接する部分の形状は、図2に示すように、八角形である。八角形は八つの辺を有する多角形である。金属シリサイド層18の第1の面P1と接する部分の形状は、例えば、正八角形である。
【0051】
金属シリサイド層18の八角形が有する八辺のうち、少なくとも一辺が第1の方向に平行である。金属シリサイド層18の八角形が有する八辺のうち、例えば、二辺が第1の方向に平行であり、二辺が第2の方向に平行である。
【0052】
次に、実施形態のJBS100の作用及び効果について説明する。
【0053】
実施形態のJBS100は、PiNダイオード領域を設けることで、PiNダイオード領域の伝導度変調を利用して大きな順方向サージ電流を流すことができる。さらに、p型領域28の一部は、p型の第1のアノード領域24に接する。p型領域28がPiNダイオード領域の第1のアノード領域24に接することにより、順方向のサージ電流が生じた場合、PiNダイオード領域からp型領域28にホールが伝播され幅の狭いp型領域28でも、ホールが注入される。したがって、素子領域の広い範囲にわたってホール注入を分散させることができる。よって、発熱領域を分散でき順方向サージ耐量を一層向上させることが可能である。
【0054】
PiNダイオード領域では、大電流を流すために、コンタクト抵抗を低減する必要がある。コンタクト抵抗を低減するために金属シリサイド層18がアノード電極12とp型の第2のアノード領域26との間に形成されている。
【0055】
JBS100を実装する際、例えば、アノード電極12の上にボンディングワイヤが形成される。ボンディングワイヤを形成する際の荷重により、金属シリサイド層18のパターンエッジで炭化珪素層10にクラックが発生し、JBS100の逆方向リーク電流が増大するという不良が生じる場合がある。
【0056】
クラックは、金属シリサイド層18の多角形パターンの角部で生じやすい。これは、多角形のパターンの角部に応力が集中しやすいためであると考えられる。
【0057】
実施形態のJBS100は、金属シリサイド層18の第1の面P1と接する部分の形状が八角形である。八角形は、例えば、三角形、四角形、あるいは六角形と比較して、頂角が大きい。
【0058】
頂角が小さい場合、すなわち、角が尖っている場合には、角部に応力が集中しやすくクラックが生じやすいと考えられる。したがって、実施形態のJBS100は、金属シリサイド層18のパターンエッジの応力が緩和され、クラックの発生が抑制される。よって、リーク電流が抑制され、逆方向リーク特性の優れたJBS100が実現される。
【0059】
また、八角形のパターンを金属シリサイド層18に適用することにより、JBS100の特性が安定する。
【0060】
図4図5図6は、実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図4図5図6は、比較例のJBSの模式上面図である。
【0061】
図4は、金属シリサイド層が円形の場合、図5図6は金属シリサイド層が六角形の場合である。
【0062】
図4は、例えば、第1のアノード領域24及び金属シリサイド層18が、p型領域28に対して合わせズレにより第2の方向にずれた場合を示す図である。この場合、例えば、領域Xのように、pn接合が鋭角を有する領域が出現するおそれがある。領域Xのように、pn接合が鋭角を有すると、この箇所が特異点となり、例えば、逆方向リークが大きくなったり、耐圧が低下したりするおそれがある。
【0063】
また、図5のように、六角形の金属シリサイド層18のパターンを配置すると、領域Yのように、p領域が尖った領域が出現する。この場合も、例えば、逆方向リークが大きくなったり、耐圧が低下したりするおそれがある。
【0064】
また、図6のように、六角形の金属シリサイド層18のパターンを図5から30度回転させて配置すると、やはり、領域Zのようにp領域が尖った領域が出現したり、領域Wのように、pn接合が鋭角を有する領域が出現したりする。この場合も、例えば、逆方向リークが大きくなったり、耐圧が低下したりするおそれがある。
【0065】
実施形態のJBS100の有する八角形の金属シリサイド層18のパターンは、ストライプ形状のp型領域28のパターンに対して、pn接合の形状に特異点が出現しにい。したがって、例えば、逆方向リークの増大や、耐圧の低下が生じにくく、JBS100の特性が安定する。
【0066】
以上、実施形態によれば、高い順方向サージ耐量を備え、逆方向リーク特性の優れたJBSが実現できる。また、特性の安定したJBSが実現できる。
【0067】
実施形態では、SiCとして4H-SiCの場合を例示したが、3C-SiC、6H-SiC等、その他の結晶形を用いることも可能である。
【0068】
また、実施形態では、第1の面P1として(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面、第2の面P2として(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である場合を例に説明したが、その他の面方位の面を用いることも可能である。
【0069】
また、実施形態では、第1導電型としてn型、第2導電型としてp型を例に説明したが、第1導電型をp型、第2導電型をn型とすることも可能である。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10 炭化珪素層
12 アノード電極(第1の電極)
14 カソード電極(第2の電極)
18 金属シリサイド層
22 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
24 第1のアノード領域(第2の炭化珪素領域)
26 第2のアノード領域(第4の炭化珪素領域)
28 p型領域(第3の炭化珪素領域)
100 JBS(半導体装置)
P1 第1の面
P2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6