(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】容積当たりの表面積が大きい反応性粒子を用いる方法
(51)【国際特許分類】
C22B 34/12 20060101AFI20220128BHJP
C22B 5/04 20060101ALI20220128BHJP
B22F 9/22 20060101ALI20220128BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20220128BHJP
C22C 14/00 20060101ALN20220128BHJP
C22C 5/06 20060101ALN20220128BHJP
C22C 27/02 20060101ALN20220128BHJP
C22C 16/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C22B34/12 103
C22B5/04
B22F9/22 Z
B22F1/00 R
C22C14/00 Z
C22C5/06 Z
C22C27/02 101Z
C22C16/00
(21)【出願番号】P 2018509594
(86)(22)【出願日】2016-08-12
(86)【国際出願番号】 AU2016050747
(87)【国際公開番号】W WO2017027916
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-07-18
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518054032
【氏名又は名称】クージー チタニウム ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ジュウェル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ダクソン、ピーター
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0123700(US,A1)
【文献】特表2009-531537(JP,A)
【文献】特開平02-311316(JP,A)
【文献】特開2009-132970(JP,A)
【文献】特開2002-129250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-9/30
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細化反応性粒子(R
Particulate)を処理して生成物を形成する方法であって、当該方法は:
(a)保護マトリックス、(b)該保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(R
Particulate)、および(c)(i)1以上の酸化状態にある1つ以上の金属化合物(M
PC
R)および(ii)還元剤(R)のうちの少なくとも1つを有する複合材料を提供すること;
前記微細化反応性粒子(R
Particulate)を
、(i)前記複合材料を、前記マトリックスの揮発をもたらす条件に曝すこと、(ii)前記マトリックスを溶融すること、(iii)前記複合材料の摩砕、研削および/または摩耗、または(iv)固体-固体、固体-液体または固体-気体接触装置内における処理によって露出させること;および
前記生成物を形成することを有し、
前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が、1ミクロンまでの粒子径を有し、
前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、タンタル、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択される金属または半金属あるいはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを有し
、
前記保護マトリックスが、MgCl
2、NaCl、KCl、LiCl、BaCl
2、CaCl
2、BeCl
2、AlCl
3およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属ハライド(M
RX)を有
し、
1以上の酸化状態にある前記の1つ以上の金属化合物(M
P
C
R
)が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、ビスマス、タンタル、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類のハライドまたはそれらの任意の2以上の組み合わせから選択される1つ以上の金属ハライド(M
P
X)を有し、および
前記還元剤(R)が、Mg、Na、K、Li、Ba、Ca、Be、Alおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、
前記方法。
【請求項2】
前記金属が、チタン、アルミニウムおよびバナジウムのうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合材料が、前記還元剤(R)を20重量%まで有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複合材料が粒子形態である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が球形である、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子が、形状において規則的または不規則である、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記保護マトリックス中の前記微細化反応性粒子(R
Particulate)の容積に対する表面積の比が、6m
2/mLより大きい、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記条件が、前記マトリックスの昇華をもたらす、請求項
1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記条件が、少なくとも部分真空下での蒸留を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記真空蒸留が、不活性条件下で実行される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性条件が、バリアガスとして加えられるアルゴンガスによるものである、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸留が、0.01から0.015kPaの圧力で実施される、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記真空蒸留が、前記保護マトリックスの昇華温度を上回る温度で実施される、請求項
9から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が少なくともチタンを有し、かつ、前記保護マトリックスが塩化マグネシウムを有し、かつ、前記真空蒸留が700℃から950℃の温度で実施される、請求項
9から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記溶融が、共晶の形成により、前記保護マトリックスの各成分の個別の溶融温度を下回る温度で実施される、請求項
1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記接触装置が流動床である、請求項
1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記生成物を形成する前記工程が、前記の露出させた微細化反応性粒子(R
Particulate)
と別の材料
との酸化還元反応、非酸化還元反応、凝集、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つを有し、前記の別の材料が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、タンタル、炭素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択されるか、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、請求項1から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記生成物を形成する前記工程が、酸化還元反応、非酸化還元反応、凝集、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つを有する、請求項1から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から
18のいずれか一項の方法に使用するための、(a)保護マトリックス、(b)該保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(R
Particulate)、および(c)(i)1以上の酸化状態にある1つ以上の金属化合物(M
PC
R)および(ii)還元剤(R)のうちの少なくとも1つを有し、前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が、1ミクロンまでの粒子径を有し、前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、タンタル、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択される金属または半金属あるいはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを有し
、前記保護マトリックスが、MgCl
2、NaCl、KCl、LiCl、BaCl
2、CaCl
2、BeCl
2、AlCl
3およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属ハライド(M
RX)を有
し、1以上の酸化状態にある前記の1つ以上の金属化合物(M
P
C
R
)が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、ビスマス、タンタル、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類のハライドまたはそれらの任意の2以上の組み合わせから選択される1つ以上の金属ハライド(M
P
X)を有し、および前記還元剤(R)が、Mg、Na、K、Li、Ba、Ca、Be、Alおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、複合材料。
【請求項20】
前記金属が、チタン、アルミニウムおよびバナジウムのうちの少なくとも1つを有する、請求項
19に記載の複合材料。
【請求項21】
前記複合材料が粒子形態である、請求項
19または20に記載の複合材料。
【請求項22】
前記粒子が球形である、請求項
21に記載の複合材料。
【請求項23】
前記粒子が、形状において規則的または不規則である、請求項
21に記載の複合材料。
【請求項24】
前記保護マトリックス中の前記微細化反応性粒子(R
Particulate)の容積に対する表面積の比が、6m
2/mLより大きい、請求項
19から
23のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項25】
生成物の形成における、(a)MgCl
2、NaCl、KCl、LiCl、BaCl
2、CaCl
2、BeCl
2、AlCl
3およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属ハライド(M
RX)を有する保護マトリックス、(b)該保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(R
Particulate)、および(c)(i)1以上の酸化状態にある1つ以上の金属化合物(M
PC
R)および(ii)還元剤(R)のうちの少なくとも1つを有する複合材料の使用であって、
1以上の酸化状態にある前記1つ以上の金属化合物(M
P
C
R
)が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、ビスマス、タンタル、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類のハライドまたはそれらの任意の2以上の組み合わせから選択される1つ以上の金属ハライド(M
P
X)を有し、前記還元剤(R)が、Mg、Na、K、Li、Ba、Ca、Be、Alおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、前記微細化反応性粒子(R
Particulate)が:
1ミクロンまでの粒子径を有し、
チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、タンタル、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択される金属または半金属あるいはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを有し、および
前記微細化反応性粒子(R
Particulate)を前記生成物の前記形成において
、(i)前記複合材料を、前記マトリックスの揮発をもたらす条件に曝すこと、(ii)前記マトリックスを溶融すること、(iii)前記複合材料の摩砕、研削および/または摩耗、または(iv)固体-固体、固体-液体または固体-気体接触装置内における処理によって少なくとも部分的に露出させる、前記使用。
【請求項26】
前記金属が、チタン、アルミニウムおよびバナジウムのうちの少なくとも1つを有する、請求項
25に記載の使用。
【請求項27】
前記複合材料が粒子形態である、請求項
25または
26に記載の使用。
【請求項28】
前記粒子が球形である、請求項
27に記載の使用。
【請求項29】
前記粒子が、形状において規則的または不規則である、請求項
27に記載の使用。
【請求項30】
前記保護マトリックス中の前記微細化反応性粒子(R
Particulate)の容積に対する表面積の比が、6m
2/mLより大きい、請求項
25から
29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記生成物が、酸化還元反応、非酸化還元反応、凝集、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つにより形成される、請求項
25から
30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記生成物が、前記の露出させた微細化反応性粒子(R
Particulate)
と別の材料
との酸化還元反応、非酸化還元反応、凝集、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つにより形成され
、前記の別の材料が、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、タンタル、炭素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択されるか、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、請求項
25から
30のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、容積当たりの表面積が大きい反応性粒子を採用する方法に関する。本発明はまた、表面積が大きい反応性粒子を有する複合材料、および、そのような複合材料の使用にも関する。当該複合材料は、保護マトリックス中に分散した、容積当たりの表面積が大きい反応性粒子を有する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2006/042360号は、四塩化チタンとマグネシウムとを、流動床を有していてもよい反応器内で反応させることによりチタンを製造する方法を提供する。反応器内の温度は、マグネシウムの融点を上回るが、塩化マグネシウムの融点を下回る。該方法は、反応器から除去され、かつ、通常500μmより大きい粒子径を有するチタン粒子を回収するために処理される、チタンを含む粒子を製造する。
【0003】
本出願人は、本発明での使用に適した複合材料を製造するための方法を特定した。該複合材料は、少なくとも1つの金属化合物から形成されてもよく、反応は、処理中、反応器内の過剰な酸化剤の下で実施される。該複合材料は通常微細化形態であるだろうし、かつ、該方法は、通常複合材料における副産物の排除に重きを置かない。これらの複合材料の製造のための方法は、本願と同日付で出願された、「過剰な酸化剤を用いた複合材料の製造のための方法」と題する、ともに係属しているオーストラリア国仮特許出願において詳細に説明される。ともに係属している出願の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
上記仮特許出願の複合材料からの生成物の回収は、本願と同日付で出願された、「複合材料からの金属含有材料の回収のための方法」と題する、ともに係属している国際特許出願において詳細に説明される。ともに係属している出願の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
本明細書において請求される主題は、任意のデメリットを解消する実施形態、または、上記のもののような環境でのみ運用される実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に記載のいくつかの実施形態が実施されてもよい、1つの例示的な技術分野を説明するものとしてのみ提供される。
【発明の概要】
【0006】
上述のように、本発明は、容積当たりの表面積が大きい反応性粒子を採用する方法、容積当たりの表面積が大きい反応性粒子を有する複合材料、および、反応におけるそのような複合材料の使用に関する。
【0007】
本発明の一態様によれば、微細化反応性粒子(RParticulate)を処理して、生成物を形成する方法が提供され、当該方法は:
保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(RParticulate)を有する複合材料を提供すること;
微細化反応性粒子(RParticulate)を少なくとも部分的に露出させること;および
生成物を形成することを有する。
【0008】
便宜上、用語「複合材料」は、金属-塩複合材、合金-塩複合材または金属間化合物-塩複合材である、複合材料を説明するために用いられるであろう。すなわち、本明細書において用いられる用語「複合材料」は、塩のような保護マトリックスと、(i)金属元素のような、1種類の微細化反応性粒子(RParticulate)、(ii)2種類以上の微細化反応性粒子(RParticulate)、例えば2つ以上の金属元素、または(iii)1つ以上の非金属元素のような1つ以上の他の元素と一緒になった、1つ以上の金属元素のような1種類以上の微細化反応性粒子(RParticulate)とを少なくとも有する複合材をその範囲に含むことが意図される。
【0009】
本明細書を通して、文脈が逆のことを要求しなければ、用語「有する(comprise)」または「有する(comprises)」もしくは「有する(comprising)」のような変形は、言及された工程、要素もしくは整数または工程、要素もしくは整数の群の包含を暗示するが、いかなる他の工程、要素もしくは整数または工程、要素もしくは整数の群の排除を暗示しないことが理解されるであろう。したがって、本明細書の文脈では、用語「有する(comprising)」は、包含的な意味で用いられ、かつ、したがって、「主に含むが、必ずしも単独ではない」ことを意味するものとして理解されるべきである。
【0010】
微細化反応性粒子(RParticulate)は、好ましくはチタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、タンタル、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群より選択されるか、またはそれらの任意の2以上の組み合わせである。特定の実施形態では、金属は、非アルカリ/アルカリ土類金属を有する。金属は、チタン、アルミニウムおよびバナジウムのうちの少なくとも1つを有していてもよい。
【0011】
好ましい実施形態によれば、保護マトリックスは、金属ハライド(MRX)を有する。金属ハライド(MRX)は、例えば、MgCl2、NaCl、KCl、LiCl、BaCl2、CaCl2、BeCl2、AlCl3またはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、複合材料は、(i)1以上の酸化状態にある1つ以上の金属化合物(MPCR)および(ii)還元剤(R)のうちの少なくとも1つを追加的に含む。存在する場合、還元剤(R)の選択は、特に限定されない。好ましい実施形態では、還元剤(R)は、Mg、Na、K、Li、Ba、Ca、Be、Alおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属還元剤(MR)を有する。特定の実施形態では、複合材料は、20重量%まで還元剤(R)を有する。複合材料は、より一般的には、3重量%まで還元剤(R)を有する。
【0013】
存在する場合、1以上の酸化状態にある1つ以上の金属化合物(MPCR)は、1つ以上の金属ハライド(MPX)を有していてもよい。例えば、金属ハライド(MPX)は、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、ビスマス、タンタル、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類のハライドまたはそれらの任意の2以上の組み合わせから選択されてもよい。
【0014】
複合材料は、粒子の形態であってもよい。粒子は、球形であっても任意の形状であってもよい。それらは、形状において規則的であっても不規則であってもよい。粒子は、本工程またはそれに続く処理における粒子径の有用性によって予測される所定の粒子径を有していてもよい。好ましい粒子径は、したがって特に限定されない。粒子の形態およびサイズは通常、出発材料の粉末粒子の形態およびサイズと一致する。したがって、5μmの前駆体粒子径は通常、約5μmのオーダーの生成物粒子径を製造するが、例えば50%までの粒子径の減少が予想される場合もあり得る。一緒に反応する成分に粒子を曝す技術は、好ましい粒子径に影響を与えるであろうと考えられる。
【0015】
微細化反応性粒子(RParticulate)は、通常、約1ミクロンまでの粒子径を有する。保護マトリックス内の微細化反応性粒子(RParticulate)の容積に対する表面積の比は、好ましくは6m2/mLより大きい。
【0016】
その点、複合材料が、流動床反応器内でMgをTiCl4と接触させることにより形成され、MgCl2マトリックス中に分散したTi金属を形成する例を採用すると、粒子のサイズの下限において、TiCl4の1つの分子がMgの1つの原子と反応し、MgCl2とTiCl2を製造してもよいと考えられる。その後、Mgのもう1つの原子がTiCl2と反応し、第2のMgCl2と単一のTi原子とを形成する。したがって、その限界において、微細化反応性粒子(RParticulate)は、原子スケールで保護マトリックス中に存在してもよいことが理解される。そのような例は、微細化反応性粒子(RParticulate)の本当の「1次粒子」を示すであろう。実際、微細化反応性粒子(RParticulate)の一部について、特に発生期の場所において、かつ、いくぶんの局所加熱、混合、部分的に溶融した塩を通した考え得る電子移動などの存在下、核になる、または塊になる(かつ、場合によっては焼結する)という固有の要求がある。そのようであるので、一緒に癒合して、分析下で観察されるより現実的に実行可能な「1次粒子」を形成する多くの原子があってもよいと考えられる。これらの粒子は極めて小さく、例えばナノスケールであってもよい。いくつかの点においては、しかしながら、少なくともこの実施形態によれば、MgCl2と均一に分散したチタン粒子との氷海をもたらす、Tiをその現在の凝集状態においてカプセルに包むためのMgCl2の「凍結」により、さらなる凝集は不可能である。したがって、この特定の実施形態では、酸素バリア層のない超高表面積金属は、MgCl2が除去されなければ、より大きな粒子を形成すること、または、そうでなければ反応することから完全に保護される。しかしながら、保護マトリックス、この場合MgCl2が(例えば溶融により)除去される時、チタン粒子は、自由に動き回り、かつ、さらに凝集し、かつ、Tiの殻のようなより大きい構造を形成する。これらは、「2次粒子」と考えられてもよい。これらのコメントは、保護マトリックス中の微細化反応性粒子(RParticulate)の容積に対する表面積の比の上限に同等に関連することが理解されるであろう。
【0017】
本発明のこれらの好ましい実施形態の反応性粒子の別の有利な特徴は、保護酸素層の欠如である。これらの実施形態の反応性粒子は、最大でも、反応性粒子のより低い活性エネルギー(反応性の増大)と相関する最小限の活性化バリアを有するに過ぎない。上記のメリットに加え、通常小さい粒子は、高度に自然発火性である。本発明の好ましい実施形態の複合材料は、比較的、そうではない。ほぼ<10umである従来の金属粉体について、自然発火性は大きな問題であったが、いくつかの条件下では、かなり大きいサイズ(>100um)においてさえ重大になり得る。さらに、従来の金属粉体上の酸素バリア層の存在は、例えば特にTiについて、最終生成物中の酸素含有量により、純度およびグレードを減少させるかも知れない。本発明の複合材料の保護マトリックスは、これらの問題を有利に解消してもよく、または、少なくとも改善してもよい。
【0018】
微細化反応性粒子を少なくとも部分的に露出させる工程は、特に限定されない。反応性粒子(RParticulate)は、複合材料の表面において、またはその近傍で露出
させてもよい。いくつかの実施形態では、露出させることは、保護マトリックスが大部分は除去されることを確実にするものと定義される。他の実施形態では、露出させることは、保護マトリックスが少なくとも部分的に保持されることを確実にするものと定義される。他の実施形態では、露出させることは、保護マトリックスが少なくとも一時的に浸透性になることを確実にするものと定義される。
【0019】
1つの実施形態では、露出させる工程は、複合材料をマトリックスの揮発をもたらす条件に曝すことを有する。例えば、該条件は、マトリックスの昇華をもたらしてもよい。
【0020】
1つの実施形態によれば、保護マトリックスは、真空蒸留により複合材料から除去される。例えば、真空蒸留は、アルゴンガス下のような不活性条件下で実行されてもよい。その場合、不活性(例えばアルゴン)ガスは、バリアガスとして、適用される作業と真空の
規模に依拠する割合で加えられる。例えば、これは、5mg/minの割合であってもよい。本実施形態によれば、真空蒸留は、0.01から0.015kPaの圧力で実施されてもよい。真空蒸留は、好ましくは、保護マトリクスの昇華温度を上回るで実施される。
【0021】
1つの特定の実施形態では、微細化反応性粒子(RParticulate)は、チタンを少なくとも有し、かつ、保護マトリックスは塩化マグネシウムを有し、かつ、真空蒸留は700℃から950℃の温度で実行される。
【0022】
代替的な実施形態では、露出させる工程は、マトリックスを溶融すること、したがって、微細化反応性粒子(RParticulate)を少なくとも部分的に露出させることを有する。例えば、複合材料の成分に基づいて、溶融は、共晶の形成により、保護マトリックスの各成分の個別の溶融温度を下回る温度で実施されてもよい。
【0023】
別の実施形態では、露出させる工程は、マトリックスの摩耗、したがって、微細化反応性粒子(RParticulate)を少なくとも部分的に露出させることを有する。例えば、摩耗は、摩砕機、研削機または摩耗が起こる任意の作動可能な装置において起こってもよい。
【0024】
代替的な実施形態では、露出させる工程は、固体-固体、固体-液体または固体-気体接触装置における処理、したがって、複合材料の表面において微細化反応性粒子(RPa
rticulate)を少なくとも部分的に露出させることを有する。例えば、接触は、流動床または撹拌反応器において起こってもよい。
【0025】
露出させた粒子材料は、生成物の形成に有利な条件に曝されてもよい。これは、適切な温度および圧力の選択を含む。これは、保護マトリックスと、微細化反応性粒子(RPa
rticulate)を形成するのに必要な条件下では利用可能でない、以下でより詳細に説明される追加材料の両方の相に関してある程度の柔軟性を提供することが理解され得る。また、反応性粒子の微細化性質を考慮すれば、反応は、反応性粒子と、存在する任意の他の材料との相の任意の組み合わせを介して進行してもよいことも理解されるべきである。
【0026】
生成物を形成することは、露出させた微細化反応性粒子(RParticulate)を別の材料に曝すことを有していてもよい。他の材料の選択は、特に限定されない。しかしながら、他の材料は、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、タンタル、炭素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、マグネシウム、ベリリウム、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類からなる群またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせ、特にクロム、銀、銅、マンガン、コバルト、スカンジウム、ニオブ、カドミウムおよびニッケルより有利に選択されてもよいと考えられる。しかしながら、他の材料が存在しなければ、露出させた反応性粒子(RParticulate)自体が生成物を形成することは、注目されるべきである。
【0027】
微細化反応性粒子(RParticulate)の表面を少なくとも部分的に露出させ
る工程は、酸化還元反応、非酸化還元反応、凝集、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つをもたらしてもよい。例えば、微細化反応性粒子(RParticulate)は、高度に反応性であってもよく、かつ、存在すれば、他の材料に曝す際に、他の材料を還元された形態に還元してもよい。例えば、チタン(すなわち、微細化反応性粒子(RP
articulate)として)と炭素とからの炭化チタンのような化合物の形成において、炭素の還元は、TiがTi0からTi4+まで、かつ、CがC0からC4-まで行くにつれて観察される。他の例では、微細化反応性粒子(RParticulate)の表面を露出させることは、微細化反応性粒子(RParticulate)が他の材料と凝集するか、または合金化する原因となる。その点、特定の実施形態では、微細化反応性粒子(RParticulate)は互いに凝集または合金化してもよい。別の特定の例として、微細化反応性粒子(RParticulate)を露出させることは、他の材料との冷間圧接のための位置を提供する。この点における本発明の特定の実施形態のメリットは、そのような反応が、微細化反応性粒子(RParticulate)上にいかなる酸素バリア層もないことにより、実質的に低下した温度で実施されてもよいことである(すなわち、そのようなバリア層を取り除くための高温処理の必要性がない)。
【0028】
本発明はさらに、上記の方法に用いるための複合材料に関し、該複合材料は、保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(RParticulate)を有する。
【0029】
上記の好ましい特徴はまた、本発明のこの態様においても当てはまる。例えば、微細化反応性粒子(RParticulate)は、チタン、アルミニウム、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、錫、ハフニウム、イットリウム、鉄、銅、ニッケル、ビスマス、マンガン、パラジウム、タングステン、カドミウム、亜鉛、銀、コバルト、タンタル、スカンジウム、ルテニウムおよび希土類またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群、特にチタン、アルミニウムおよびバナジウムより選択される金属を有していてもよい。保護マトリックスは、例えばMgCl2、NaCl、KCl、LiCl、BaCl2、CaCl2、BeCl2、AlCl3およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属ハライド(MRX)を有していてもよい。
【0030】
また、複合材料は、粒子の形態であってもよく、該粒子は、球形であってもよく、形状において規則的であっても不規則であってもよい。粒子は、本工程またはそれに続く処理における粒子径の有用性によって予測される所定の粒子径を有していてもよい。同様に、微細化反応性粒子(RParticulate)は、約1ミクロンまでの粒子径を有していてもよい。保護マトリックス内の微細化反応性粒子(RParticulate)の容積に対する表面積の比は、6m2/mLより大きくてもよい。
【0031】
本発明はさらに、生成物の形成における、保護マトリックス中に分散した微細化反応性粒子(RParticulate)を有する複合材料の使用に関し、ここで、微細化反応性粒子(RParticulate)を、生成物の形成において少なくとも部分的に露出
させる。
【0032】
さらにまた、直前の段落において説明した好ましい特徴は、本発明のこの態様にも等しく当てはまり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
生成物の形成は、酸化還元反応、非酸化還元反応、合金化および冷間圧接のうちの少なくとも1つを有していてもよい。また、生成物の形成は、露出させた微細化反応性粒子(RParticulate)を、概して先に言及したものから選択される別の材料に曝すことを有していてもよい。
【0034】
本発明は、以下で完全に説明され、かつ、添付の図面に示された特徴および部分の組み合わせからなるが、本発明の範囲から逸脱することなく、または、本発明のいかなるメリットも犠牲にすることなく、詳細における様々な変更がなされてもよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
添付の図面の簡単な説明
本発明のいくつかの実施形態の様々な態様をさらに明確にするために、本発明のより特有の説明が、添付の図面に示されたそれらの特定の実施形態を参照してなされるであろう。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態を描いているのみであり、したがって、その範囲を限定するものとは考えられるべきではないことが理解されるべきである。本発明は、添付の図面を通して、さらなる特殊性および詳細とともに記載され、かつ、説明されるであろう。
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、実施例4において回収されたAg-Ti金属材料の微細構造のSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下、本明細書は、好ましい実施形態による本発明を説明するであろう。説明を本発明の好ましい実施形態に限定することは、単に本発明の説明を容易にするためのものであり、それは、添付の請求の範囲から逸脱しないと予想されることが理解されるべきである。
【0038】
図1を参照すると、保護マトリックス中に分散した微細
化反応性粒子(R
Partic
ulate)を
露出させることを通して
生成物を
形成するための方法100が示されている。当該方法は、保護マトリックス中に分散した微細
化反応性粒子(R
Particul
ate)を有する複合材料の原料110を提供することを伴う。複合材料は、特定の状況に基づいて、所望されれば、前処理120されてもよい。例えば、前処理は、これが微細
化反応性粒子(R
Particulate)を実質的に
露出させないという条件で、複合材料の混合、締結、摩砕または研削を有していてもよい。
【0039】
複合材料の微細化反応性粒子(RParticulate)を、少なくとも部分的に露
出させる130。これは、保護マトリックスを部分的、大部分、もしくは完全に除去すること、または、マトリックスを一時的に浸透性にすることを含んでいてもよい。粒子は、高度に反応性であり、かつ、容積に対する表面積が大きい。そうであるので、複合材料の保護マトリックスの揮発(例えば、真空蒸留による)、マトリックスの溶融、複合材料の摩砕、研削および/または摩耗、固体-固体、固体-液体または固体-気体接触装置(例えば、流動床)における処理を通してもよい、粒子を露出させることは通常、生成物の形
成を始動させる。
【0040】
その最も広い形態において、本発明は、複合材料の微細化反応性粒子(RPartic
ulate)から形成される生成物を提供してもよい。すなわち、微細化反応性粒子(RParticulate)の凝集または合金化を通して。本発明はまた、露出させる工程130前または露出させる工程130中の、他の材料の組み合わせであってもよい別の材料の追加140も考慮する。他の材料は、微細化反応性粒子(RParticulate)との酸化還元反応または非酸化還元反応に関与する材料であってもよい。それは、微細
化反応性粒子(RParticulate)と冷間圧接してもよい。
【0041】
所望の生成物の形成に続いて、生成物が回収されてもよい150。
【実施例】
【0042】
以下の実施例は、例示のためのみに提供されるのであって、本発明をいかなる方法で限定するものとしても解釈されるべきではない。
【0043】
実施例1
塩化マグネシウムと、チタン金属と、マグネシウムと、多量のチタンサブハライド(TiCl2およびTiCl3)とのマトリックスを有する、細かく研削された粒子形態で黒色の複合材料25gが、6.9gの量の三塩化クロム(CrCl3)と混合され、その後、ステンレス鋼製の容器内に配置された。容器は、ほぼ0.01kPaの圧力において真空下で配置された。アルゴンパージが、10mg/minの割合で供給された。容器は、その後、1分間に31℃の加熱率で外側から900℃の温度まで熱せられた。容器は、その後、室温まで冷却される前に1時間の間900℃の温度で放置された。
【0044】
この工程における一般的な条件下、チタン、クロムおよび塩化クロムは固相にあったであろう。
【0045】
容器が空気でパージされ、かつ、残留材料が、チタン70%-クロム30%の組成を有する、ほぼ5gの金属を有して容器から回収された。金属は、ゆるく焼結した粒子の形態であった。観察された金属の割合は、複合材料中の微細化チタン金属による、CrCl3の金属への広範囲の還元を示している。
【0046】
実施例2
ステンレス鋼製の反応容器が、高純度のアルゴンでパージされ、かつ、外側から680℃まで熱せられた。システムが、種材料としてのチタン複合粒子500gで充填された。システムが、内部温度が675℃に到達するまで放置された。この時点で、還元される成分が導入された。
【0047】
四塩化バナジウムが、1時間に50グラムの割合で供給された。反応器への還元される成分の追加が、露出させた還元剤位置で起こる反応の発熱性質と一致して、短い期間で反応器内の温度を上昇させた。
【0048】
実施例3
ステンレス鋼製の反応容器が、高純度のアルゴンでパージされ、かつ、外側から680℃まで熱せられた。システムが、種材料としてのチタン-アルミニウム複合粒子500gで充填された。システムが、内部温度が655℃に到達するまで放置された。この時点で、反応体供給が導入された。
【0049】
四塩化チタンが、1時間にほぼ150グラムの割合で供給された。反応器への還元される成分の追加が、露出させた還元剤位置で起こる反応の発熱性質と一致して、短い期間で反応器内の温度を上昇させた。
【0050】
実施例4
塩化マグネシウムと、チタン金属と、マグネシウムと、多量のチタンサブハライド(TiCl2およびTiCl3)とのマトリックスを有する、細かく研削された粒子形態で黒色の複合材料20gが、7.4gの量の塩化銀(AgCl)と混合され、その後、ステンレス鋼製の容器内に配置された。容器は、ほぼ0.01kPaの圧力において真空下で配置された。アルゴンパージが、10mg/minの割合で供給された。容器は、その後、1分間に31℃の加熱率で外側から900℃の温度まで熱せられた。容器は、その後、室温まで冷却される前に1時間の間900℃の温度で放置された。
【0051】
この工程における一般的な条件下、塩化銀は455℃で溶融し、かつ、消費されるまで液相のままであったであろう一方で、チタンおよび銀は固相にあったであろう。
【0052】
容器が空気でパージされ、かつ、残留材料が、銀60%-チタン40%の組成を有する、ほぼ8.35gの金属を有して容器から回収された。金属は、ゆるく焼結した粒子の形態であった。観察された金属の割合は、複合材料中の微細化チタン金属による、AgClの金属への広範囲の還元を示している。
【0053】
図2は、回収された材料のSEM顕微鏡写真を示している。異なる金属材料の高度な混合が明らかであり、かつ、反応前の混合の程度に基づいたものであろう。
【0054】
実施例5
塩化マグネシウムと、主としてバナジウムである金属と、マグネシウムと、多量のバナジウムサブハライドとのマトリックスを有する、細かく研削された粒子形態で黒色の複合材料2gが、0.4gの量の三塩化クロム(CrCl3)とともに研削された。研削された材料50mgが、その後、アルミナカップ内に配置され、かつ、真空炉内に配置された。炉は、ほぼ0.01kPaの圧力において真空下で配置された。アルゴンパージが、2mg/minの割合で供給された。炉は、その後、1分間に10℃の加熱率で外側から900℃の温度まで熱せられた。炉は、その後、室温まで冷却される前に1時間の間900℃の温度で放置された。
【0055】
この工程における一般的な条件下、バナジウム、クロムおよび塩化クロムは固相にあったであろう。
【0056】
容器が空気でパージされ、かつ、残留材料が、バナジウム70%-クロム30%の組成を有する、ほぼ12mgの金属を有して容器から回収された。金属は、ゆるく焼結した粒子の形態であった。観察された金属の割合は、複合材料中の微細化チタン金属による、CrCl3の金属への広範囲の還元を示している。
【0057】
実施例6
塩化マグネシウムと、主としてジルコニウムである金属と、マグネシウムと、多量のジルコニウムサブハライドとのマトリックスを有する、細かく研削された粒子形態で黒色の複合材料2gが、0.4gの量の三塩化クロム(CrCl3)とともに研削された。研削された材料50mgが、その後、アルミナカップ内に配置され、かつ、真空炉内に配置された。炉は、ほぼ0.01kPaの圧力において真空下で配置された。アルゴンパージが、2mg/minの割合で供給された。炉は、その後、1分間に10℃の加熱率で900℃の温度まで熱せられた。炉は、その後、室温まで冷却される前に1時間の間900℃の温度で放置された。
【0058】
この工程における一般的な条件下、ジルコニウム、クロムおよび塩化クロムは固相にあったであろう。
【0059】
容器が空気でパージされ、かつ、残留材料が、ジルコニウム80%-クロム20%の組成を有する、ほぼ12mgの金属を有して容器から回収された。金属は、ゆるく焼結した粒子の形態であった。観察された金属の割合は、複合材料中の微細化チタン金属による、CrCl3の金属への広範囲の還元を示している。
【0060】
文脈が逆であることを要するか、特に逆であることが言及されるのでなければ、本明細書に単数の整数、工程または要素として記載された本発明の整数、工程または要素は、記載された整数、工程または要素の単数形と複数形の両方を明確に包含する。
【0061】
以上の説明は、本発明の説明的な実施例として与えられたものであり、かつ、当業者に明らかな修正および変形はすべて本明細書で規定された本発明の範囲および領域に属するものと見なされることが理解されるであろう。