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特許6995746安全な放射性同位体調製および注入のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】安全な放射性同位体調製および注入のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20220128BHJP
   A61K 49/04 20060101ALI20220128BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20220128BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G01T1/161 A
A61K49/04
A61M5/14 580
A61M39/22 100
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2018517488
(86)(22)【出願日】2016-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2016064221
(87)【国際公開番号】W WO2016203055
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】15172904.3
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517443576
【氏名又は名称】メドトレース・エーエス
【氏名又は名称原語表記】MedTrace A/S
【住所又は居所原語表記】Gotlandsvej 5,5700 Svendborg,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ステンフェルト、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】キリステンセン、ルネ・ウィーク
【合議体】
【審判長】井上 博之
【審判官】福島 浩司
【審判官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-506428(JP,A)
【文献】特開平5-119197(JP,A)
【文献】特開昭49-109942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261599(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2457602(EP,A1)
【文献】米国特許第8602058(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムのための調節手段であって、前記調節手段は、
- H2 15Oの食塩溶液を調製するために必要な食塩水を供給するための第1の食塩水供給部290と、
- H2 15Oの食塩溶液の第1のボーラスを備えるループ要素320と、
- 食塩水を供給するための第2の食塩水供給部401と、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前に定められた第2のボーラスを回収し、前記第2のボーラスを事前に定められた速度で前記ループ要素320内に注入し、それにより、前記第2のボーラスが患者ライン520内に前記第1のボーラスを押し込むようにするための注入手段420と、
- 前記ループ要素320に隣接し、H 2 15 Oの食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器240と、
を備え、
ここにおいて、前記第2のボーラスの注入速度および体積が、前記第1のボーラスの注入プロファイルを調節する、調節手段。
【請求項2】
陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムであって、前記システムは、
- H2 15Oの食塩溶液を作製するための生成手段と、
- 注入する第1のボーラスを定めるためのボーラス手段であって、前記第1のボーラスはH2 15Oの前記食塩溶液を備え、事前に定められた体積および放射能濃度を有し、前記ボーラス手段は弁100を備える、ボーラス手段と、
- 前記第1のボーラスの注入プロファイルを調節するための請求項1に記載の調節手段とを備える、システム。
【請求項3】
前記弁100は、安全弁100であって、
弁要素120を貫通する流路121を備える前記弁要素120と、
少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cを有する弁ハウジング150であって、各弁開口部151A、B、Cは流体が前記安全弁100内に流れ込む、または前記安全弁100から流れ出るのを可能にする、弁ハウジング150と、
各々少なくとも1つの出口開口部を有する、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部180A、B、Cとを備え、
ここにおいて、前記弁要素120および弁ハウジング150は、組み立て済み弁100を形成するように接続可能であり、前記弁要素120および前記弁ハウジング150は接触領域101A、B、Cにおいて互いに接触しており、
ここにおいて、前記組み立て済み弁100は、少なくとも2つの異なる開放構成で配置構成され、前記開放構成のうちの一方は前記流路121および一組の前記弁開口部151A、Bを通る流れ経路を画成し、前記開放構成のうちの他方は前記流路121および別の異なる一組の前記弁開口部151B、Cを通る流れ経路を画成し、
ここにおいて、前記少なくとも2つの開放構成の各々において、
- 各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、前記弁要素120と前記弁ハウジング150との間に配置構成され、
- 前記弁開口部のうちの少なくとも2つは、前記流路121によって接続され、
- 前記弁開口部のうちの少なくとも1つは、前記流路121に接続されず、
- 前記接触領域は、前記流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロックを形成し、
- 前記オーバーフロー陥凹部は、前記流路121と流体的に連通せず、
- 各オーバーフロー陥凹部は、前記接触領域の途切れを定めて、前記オーバーフロー陥凹部がオーバーフロー流体を排出する安全逃し通気部を定めるように位置決めされ、過圧がかかった場合に、前記オーバーフロー流体は、それぞれの前記出口開口部を通って、前記流体ブロックを通過し、それにより、前記少なくとも2つの開放構成において、前記オーバーフロー流体が前記流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に入るのを防がれる、安全弁100である、請求項2に記載のシステム
【請求項4】
前記組み立て済み弁は、前記流路121が前記弁開口部151A、B、Cのどれにも接続されず、したがって、前記流路121および弁開口部を通る流れ経路が定められない第3の異なる閉鎖構成で配置構成され得る、請求項3に記載のシステム
【請求項5】
前記弁ハウジング150は、第1および第2の端部ならびに内部流体空間を有する接続要素をさらに備え、前記接続要素は前記第2の端部のところで前記弁ハウジング150に接続され、それにより、前記内部流体空間は、前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cのうちの1つと流体的に接触する、請求項3または4に記載のシステム
【請求項6】
前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁ハウジング150内に配置構成される、請求項3から5のいずれか一項に記載のシステム
【請求項7】
前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120内に配置構成される、請求項3から6のいずれか一項に記載のシステム
【請求項8】
前記弁要素120は、第1の長手方向軸124を画成する第1の端部と第2の端部とをさらに備え、
前記弁ハウジング150は、
- 第1の端部および第2の端部、ならびに前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸を備えるシェルであって、前記第2の長手方向軸は前記第1の長手方向軸と同軸である、シェルと、
- 前記弁要素120を受け入れるための内部スペーシングであって、前記内部スペーシングは前記シェルによって囲まれる、内部スペーシングをさらに備え、
- 前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cは、前記シェル内に配置構成され、各開口部は、流体が前記内部スペーシング内に流れ込む、または前記内部スペーシングから流れ出ることを可能にし、
ここにおいて、前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記シェルの前記第1の端部と前記第2の端部との間に軸方向に延在し、
ここにおいて、前記弁要素120は、前記第2の長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であり、それにより、前記弁要素120の一部は、前記組み立て済み構成を形成するために前記弁ハウジング150の前記内部スペーシング内に挿入可能であり、前記弁要素120は、前記第2の長手方向軸159の周りの前記内部スペーシング内で回転可能であり、それにより、前記弁要素120および弁ハウジング150は、前記少なくとも2つの異なる構成の間で変更することができ、
ここにおいて、前記弁要素120が前記2つの異なる構成で内部スペーシングの内側に配置構成されたときに、各オーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120と前記シェルとの間に配置構成される、請求項3から7のいずれか一項に記載のシステム
【請求項9】
前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記シェル156内に配置構成され、および/または前記少なくとも2つオーバーフロー陥凹部は、前記シェルの第1および/または第2の端部の間に延在し、前記シェルの第1および/または第2の端部の方向に開いており、および/または前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120の第1および/または第2の端部の間に延在し、前記弁要素120の第1および/または第2の端部の方向に開いている、請求項8に記載のシステム
【請求項10】
前記組み立て済み弁の前記少なくとも2つの構成において、前記流路121および前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cは、同じ平面内に配置構成され、延在している、請求項3から9のいずれか一項に記載のシステム
【請求項11】
前記平面は、前記弁が前記組み立て済み構成をとるときに、前記第1および第2の長手方向軸124、159に対してほぼ垂直である、請求項8又は9に従属する請求項10に記載のシステム
【請求項12】
前記オーバーフロー流体は、約1~10barである、請求項3から11のいずれか一項に記載のシステム
【請求項13】
前記オーバーフロー流体は、約1~5barである、請求項12に記載のシステム
【請求項14】
前記オーバーフロー流体は、約1~3barである、請求項12に記載のシステム
【請求項15】
前記シェルは、円筒形である、請求項9、又は請求項8に従属する請求項10から14のいずれか一項に記載のシステム
【請求項16】
前記弁要素120は、円筒形である、請求項3から15のいずれか一項に記載のシステム
【請求項17】
前記弁開口部は、前記シェルの周上に均一に分布する、請求項9、又は請求項8に従属する請求項10から16のいずれか一項に記載のシステム
【請求項18】
前記弁開口部は、周方向において約120度の相互角度で分布する、請求項17に記載のシステム
【請求項19】
前記弁ハウジング150は、3つの弁開口部151A、B、Cを備える、請求項3から18のいずれか一項に記載のシステム
【請求項20】
前記弁ハウジングは、3つのオーバーフロー陥凹部を備える、請求項3から19のいずれか一項に記載のシステム
【請求項21】
前記弁要素120は、1つの流路121を備える、請求項3から20のいずれか一項に記載のシステム
【請求項22】
陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製するための方法であって、前記方法は、
- 高温下で15OおよびH2を備えるガス混合物221をH2 15Oに変換するステップと、
- 前記ガス混合物221の流れを調節するための弁制御要素250を設けるステップと、
- H2 15Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH2 15Oの食塩溶液を作製するステップと、
- H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器240を設けるステップと、
- 前記第1の放射線検出器240により前記ガス混合物221の流れを調節するステップと、
- H2 15Oの前記食塩溶液を受け入れるための貯槽281を設けるステップと、
- 前記貯槽281から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部を設けるステップと、
- 第3のポンプを設けるステップと、ここで、前記第3のポンプは一方の端部で前記貯槽281に、他方の端部で減衰ラインに接続され、前記減衰ラインは液体廃棄物部に接続されるものであり、
- 前記第3のポンプにより、前記貯槽281から過剰な液体廃棄物を前記減衰ラインを通して前記液体廃棄物部に注ぎ込むステップと、
- 前記貯槽281からループ要素320を通してH2 15Oの前記食塩溶液を循環させて前記貯槽281に戻すための輸送管301および第2のポンプ302を設けるステップと、
- 調節デバイス340を設けるステップと、
- 前記ループ要素内320でH2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定めるステップと、ここで、前記第1のボーラスは事前に定められた体積および放射能濃度を有するものであり、
- 第2の食塩水供給部401を設けるステップと、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前に定められた第2のボーラスを回収するステップと、
- 前記第2のボーラスを事前に定められた速度で前記ループ要素320内に注入するステップと
- 前記第2のボーラスの注入速度および体積により前記第1のボーラスの注入プロファイルを調節するステップと、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様では、陽電子放出断層撮影法(PET)で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムのための調節手段に関するものである。本発明は、また、第2の態様では、H2 15Oを調製し、注入するためのシステム、第3の態様では、PETで使用するH2 15Oの流れを制御するための安全弁、第4の態様では、前記安全弁の使用、および第5の態様では、H2 15Oを調製し、注入するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射性同位体(放射性核種とも称される)は、医薬療法、撮像、および研究においていくつかの用途を有する。PETは、放射性同位体からの陽電子の放出を利用して、人体内の生理学的過程の撮像および測定を可能にする。
【0003】
18F、11C、15O、14O、82Rb、および13Nなどの放射性同位体は、典型的には、PETで使用するため放射性医薬品を標識する際に使用される。これらの放射性同位体に関連する半減期は、非常に短く、典型的には、数分のオーダーである(ほぼ2時間の半減期を有する18Fを除く)。酸素-15(15O)は、122.24秒の半減期を有し、局所脳血流(rCBF)を定量化するため、および局所心筋血流(rMBF)を定量化するためにPETで使用するのに最も適している放射性同位体の1つである。
【0004】
放射能水を生み出す大半のシステムは、サイクロトロンを備え、これはターゲットガスを発生するサイクロトロンターゲットガスは、適合実験室環境内に置かれているHotCellに移送され、これは、触媒過程を使用するか、またはH2の注入に関連して約800℃まで加熱するかのいずれかで15O-O2からH2 15Oに変換される。次いで、変換されたH2 15Oは、典型的には、貯槽内の食塩溶液中に気泡となって現れ、それにより、前記溶液中のH2 15Oを捕捉する。次いで、H2 15O溶液は、手動で、貯槽から引き上げ室または類似のものの中へ移送され、次いで、患者に対する所望の用量は、典型的には、手動で注射器内に引き上げられ、次いで、手動で、PET撮影室内に搬送される。
【0005】
15Oの半減期が短いため、15Oは、放射性同位体を生成し、患者に直接注入するシステムでのみ使用可能である。したがって、15Oは、システムに直接接続される患者に関するセキュリティの態様から、たとえば研究目的でまたは特別な権利放棄に従って制限された範囲でのみ使用される。
【0006】
放射性同位体を生成し、患者体内に注入するシステムにおいて安全面を考慮する重要な態様は、圧縮ガスの貫流である。そのようなシステムの一端にサイクロトロンが接続され、10atm以上に加圧される、圧縮された放射性ガスを配送する。システムの他端には、多くの場合に末梢静脈カテーテルを通して患者が接続され、患者と圧縮された放射性ガスとの間に直接的な接続を確立する。
【0007】
標準的な安全機能は、典型的には、半透膜の一方の側にガスが通ること、および他方の側に食塩水が通ることからなる。患者のすぐ前に、第1の半透膜と同様の材料から作られた除菌フィルタが配置される。除菌フィルタは、ガスが第1の膜を通過する場合にガスロックするが、ガスを導き去るガス廃棄物管が閉塞されている場合に、圧力が膜で扱える圧力よりも高い圧力まで上昇することがあり、これはガスをフィルタと患者体内の両方に通過させ得る。その結果、放射性ガスが数百ml/分から最大1~2l/分で患者体内に注入される可能性があり、これは致命的な静脈空気塞栓症(venal air embolism)を引き起こし得る。
【0008】
そのようなシステムに使用される、知られている弁において、弁は、通気開口部(venting opening)を有するように構成されるものとしてよく、システムから過剰な流体を放出するために、弁は、入ってくる流体と通気開口部との間に弁を通る流れ経路が定められる構成に変わらなければならない。これは、手動でまたは自動的に弁を前記構成に変えることを必要とし、したがって、システム内に不具合が発生した場合に安全弁として機能しない。
【0009】
さらに、圧縮ガスで動作するシステムは、圧縮ガスがシステムの他の部分に入り、場合によっては影響を及ぼしたり、もしくは損傷したりすることのないようにするフェイルセーフ機能を必要とするという基本的な問題点に対処する。
【0010】
患者に対するリスクレベルを最小限度に抑えるために、貯槽から放射性同位体を注射器によって患者に手動で移送する作業は、医療スタッフによって実行される。このようにして、患者は直接的にも間接的にもサイクロトロンに接続されず、したがって、放射性ガスがうっかり注入されるというリスクが軽減される。
【0011】
放射性同位体の手作業による取扱いは、患者に関して安全であるが、医療スタッフへの放射能被曝が繰り返し生じることで、実行されるすべての抽出および注入により医療スタッフが望ましくない危険な放射線に曝されるので、定期的患者検査には実現可能でない。
【0012】
典型的には、手動による方式の下で、2倍の量の所望の放射能が投与量較正器で測定され、抽出される。タイマーが起動され、関連する放射性同位体の崩壊により放射能が減少し、所望のレベルに達したときに、抽出された量が患者に移送される。放射性同位体の半減期が短いので、患者に移送される放射能の実質的な量を決定するために、抽出および注入のタイミングは非常に正確でなければならない。
【0013】
そのため、精度が高く、患者と医療スタッフの両方に対するリスクが無視できるくらいに小さい、指定された量のH2 15Oを作製することと注入することとの両方ができるシステムが必要である。
【発明の概要】
【0014】
この背景において、本発明の目的は、調節手段、システム、安全弁、および食塩溶液中のH2 15Oを調製して注入するための安全機能を高めた方法を実現することである。
【0015】
本発明の第3の態様では、この目的は、陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oの流れを制御するための安全弁を実現することによって達成され、弁は弁要素を貫通する流路を備える弁要素と、少なくとも3つの弁開口部を備える、各弁開口部が流体が前記弁内に流れ込むか、または前記弁から流れ出るのを許す、弁ハウジングと、各々少なくとも1つの出口開口部を有する、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部(overflow recess)とを備え、ここにおいて、弁要素および弁ハウジングは、組み立て済み弁を形成するように接続可能であり、弁要素および弁ハウジングは接触領域において互いに接触しており、ここにおいて、組み立て済み弁は、少なくとも2つの異なる開放構成で配置構成され、前記開放構成のうちの一方は流路および一組の前記弁開口部を通る流れ経路を画成し、前記開放構成うちの他方は流路および別の異なる一組の前記弁開口部を通る流れ経路を画成し、ここにおいて、前記少なくとも2つの開放構成の各々において、各オーバーフロー陥凹部は、弁要素と弁ハウジングとの間に配置構成され、弁開口部のうちの少なくとも2つは、流路によって接続され、弁開口部のうちの少なくとも1つは、流路に接続されず、前記接触領域は、流路に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロックを形成し、オーバーフロー陥凹部は、流路と流体的に連通せず、各オーバーフロー陥凹部は、前記接触領域の途切れを定めて、オーバーフロー陥凹部がオーバーフロー流体を排出する安全逃し通気部を定めるように位置決めされ、過圧がかかった場合に、オーバーフロー流体は、前記それぞれの出口開口部を通って、前記流体ブロックを通過し、それにより、前記少なくとも2つの開口構成において、前記オーバーフロー流体が流路に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に入るのを防がれる。
【0016】
前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部を備える弁を実現することによって、オーバーフロー陥凹部は、組み立て済み弁が少なくとも2つの異なる開放構成で配置構成されたときに、流体はオーバーフロー陥凹部を通り排出され弁から遠ざかるので、流路によって接続されている少なくとも2つの弁開口部から流路と接続していない少なくとも1つの弁開口部へ流体が移動しないことを確実にする。
【0017】
組み立て済み弁は、閉鎖構成で配置構成されてよく、ここにおいて、流路は、弁開口部のどれにも接続されず、したがって、流路および弁開口部を通る流れ経路は定められない。この閉鎖構成では、弁開口部内に存在する流体の過剰な圧力も生じ得る。流体が流体ブロックを通過する場合、オーバーフロー陥凹部は、前記それぞれの出口開口部を通してオーバーフロー流体を排出する。
【0018】
オーバーフロー陥凹部内の圧力は、隣接する弁開口部の圧力完全性よりも低いので、この圧力差は、オーバーフロー流体が弁から排出されることを確実にする。
【0019】
それによって、弁は、望ましくない加圧された流体が、入るはずでない弁開口部に入るのを防ぐ安全弁として機能する。
【0020】
本出願の文脈において、加圧された流体は、また、大気圧(約1.01325bar)において流体であり得ることは理解されるであろう。好ましくは、流体は、前記システムが通常条件の下で機能するときに、約1から3bar、好ましくは1.5~2.5bar、より好ましくは約2barである。
【0021】
「望ましくない」流体は、限定はしないが、弁が閉鎖構成をとるときに、流体の圧力がなんであれ、弁の一方の開口部から他方の開口部へ進むことを意図されていない流体と、たとえば、システムの故障により、弁の前で、意図された圧力よりも高い望ましくない圧力に加圧された流体との両方を指すことも理解されるべきである。逆の場合も同様に、「望ましい」流体という言い回しは、通常機能条件の下で開放構成において弁を通過することを意図されている流体を指す。
【0022】
システムのこの通常機能条件の下で、弁が流路が弁開口部に接続されている開放構成で配置構成されているときに、弁を通過する流体の量は、約500~1000ml/分の範囲内にある。
【0023】
望ましい流体が流路および弁開口部を通過するときに、流体は、おおよそ大気圧の範囲内にあるものとしてよい。流体が流路および弁開口部を通常通り通過するときに著しい圧力降下が存在していない。
【0024】
弁が食塩溶液中のH2 15Oを調製し注入するためのシステム内に配置構成されるときに、弁は、安全弁として機能し、したがって、望ましくない加圧された流体がシステムに流体的に接続されている患者に到達して害を及ぼすのを防ぐ。
【0025】
安全弁は、システムの機能に関して弁の前で機能不良が生じ、この機能不良の結果、たとえば、弁の開口部に望ましくない高圧で加圧された流体が到達し、弁の流路が弁開口部に接続されなくなった場合に、流体がオーバーフロー陥凹部を通って弁から排出され、他の弁開口部内に入ることのないようにするものである。
【0026】
同じことが、弁が開位置にあり、患者が弁の接続要素に接続されている状況にも当てはまり、前記接続要素の弁開口部は流れ経路と流体的に接続していない。ここで、流体は、弁開口部と流れ経路との間を流れ、機能不良が生じ、望ましくない加圧された流体が弁開口部および流れ経路に入った場合、弁要素と弁ハウジングとの間の接触領域に入るオーバーフロー流体は、陥凹部を通して排出され、それは患者に接続されている接続要素の弁開口部と流れ経路と接続している弁開口部との間に位置する。
【0027】
したがって、陥凹部は、弁の構成に関係なく、またシステムに接続されている患者の安全性を高める構成と構成との間でシフトする必要なく、安全対策として機能する。
【0028】
したがって、一実施形態において、組み立て済み弁は、流路が弁開口部のどれにも接続されず、したがって、流路および弁開口部を通る流れ経路が定められない第3の異なる閉鎖構成で配置構成され得る。
【0029】
弁要素と弁ハウジングとの間の接触領域は、弁要素の表面が弁ハウジングの表面に直接隣接する領域として理解されるべきである。接触領域内の流体ブロックは、弁ハウジングと弁要素との間の機能的な引き締めを確実にする。
【0030】
本出願の文脈では、「接続されている」という言い回しは、また、流体接続として、および/または流体的に連通することとして理解され得る。
【0031】
本出願の文脈では、「流体」という用語は、気体と液体の両方を備える。
【0032】
少なくとも3つの弁開口部は、流体の流れを開口部の一方の側から開口部の別の側に向かわせることができる任意の形状をとり得る。弁開口部は、好ましくは円形である。
【0033】
弁ハウジングおよび/または弁要素は、たとえば、円筒形、円形、矩形、または球形などの望ましい任意の形状であってよい。
【0034】
弁要素の寸法は、弁ハウジングの寸法に応じて変化し得る。
【0035】
安全弁は、不活性材料、ポリマー材料、金属および合金、ならびにセラミックスからなる群から選択された材料から形成されるか、またはそのような材料の組合せから作られ得る。原則として、流体と親和性を有し、堅固な流体ブロックをもたらす十分な強度および材料特性を有し、滅菌に耐えられる材料が使用され得る。
【0036】
安全弁の材料に応じて、弁は、射出成形、旋盤加工、フライス加工、鋳込成形および/または3Dプリントなどの方法によって生産され得る。
【0037】
弁要素および弁ハウジングは、異なる材料組成物から作られ得る。弁要素および弁ハウジングを異なる材料組成で作製することによって、より堅固な嵌め込みが実現され得る。弁要素は、突発的な圧力上昇が生じたときに弁ハウジングではなく弁要素の選択された破裂をもたらすために弁ハウジングの材料よりも低い材料強度を有する材料によって形成され得る。
【0038】
一実施形態において、弁ハウジングは、第1および第2の端部ならびに内部流体空間を有する接続要素をさらに備え、接続要素は第2の端部のところで弁ハウジングに接続され、したがって、前記流体空間は、前記少なくとも3つの弁開口部のうちの1つと流体的に接触する。
【0039】
接続要素を用意することによって、安全弁を異なる医療システムに直接接続することが容易になり、このシステムでは弁は、加圧された流体がたとえば患者の静脈または動脈内に入るのを防ぐために利用され、したがって、オーバーフロー流体が望ましくない弁開口部へ進行しないことを確実にするためにシステムの安全性を高めることが望ましい。そのような医療システムは、H2 15Oを調製し、注入するためのシステムであってよく、安全弁は、オーバーフロー流体が患者ラインに移送されることを確実にし、潜在的に生命を脅かす状況を引き起こす患者循環系内への流体の意図しない注入が回避される。
【0040】
一実施形態において、接続要素は円筒形である。少なくとも3つの接続要素は、シェルから径方向に延在し得る。少なくとも3つの接続要素は、ほぼ等しい長さものであってよい。
【0041】
一実施形態において、弁ハウジングは、3つの接続要素を備える。
【0042】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁ハウジング内に配置構成される。
【0043】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁要素内に配置構成される。
【0044】
オーバーフロー陥凹部は、湾曲形状または捻れ形状などの任意の形状をとってよい。オーバーフロー陥凹部は、好ましくは直線状である。
【0045】
少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部を弁ハウジング内および/または弁要素内に設けることによって、部品点数が最小限度に抑えられた、容易に組み立てられる弁が実現され、それにより、弁は生産および組み立てに関する費用効果が高まり、また生産および組み立ても行いやすくなる。
【0046】
一実施形態において、弁要素は、第1の長手方向軸を画成する第1の端部と第2の端部とをさらに備え、弁ハウジングは、第1の端部および第2の端部、ならびに第1の端部と第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸を備えるシェルと、第2の長手方向軸は第1の長手方向軸と同軸である、弁要素を受け入れるための内部スペーシングと、前記内部スペーシングはシェルによって囲まれる、をさらに備え、少なくとも3つの弁開口部は、シェル内に配置構成され、各開口部は、流体が内部スペーシング内に流れ込む、または内部スペーシングから流れ出ることを可能にし、ここにおいて、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェルの前記第1の端部と前記第2の端部との間に軸方向に延在し、ここにおいて、弁要素は、第2の長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であり、それにより、弁要素の一部は、組み立て済み構成を形成するために弁ハウジングの内部スペーシング内に挿入可能であり、弁要素は、第2の長手方向軸の周りの内部スペーシング内で回転可能であり、それにより、弁要素および弁ハウジングは、前記少なくとも2つの異なる開放構成の間で変更することができ、ここにおいて、弁要素が前記2つの異なる開放構成で内部スペーシングの内側に配置構成されたときに、各オーバーフロー陥凹部は、弁要素とシェルとの間に配置構成される。
【0047】
安全弁を弁ハウジング内に挿入可能である弁要素とともに用意することによって、弁要素を弁ハウジングの内側に固定し、弁要素が第1の長手方向に関して径方向に移動するのを防ぎ、それによって、接触領域における非常に高い機能的な引き締めを確立し、それによって、過剰な流体が接触領域を通るのを防ぐためのより適切な流体ブロックを定める。
【0048】
弁ハウジングは、弁要素の一部が内部スペーシング内に挿入されるときに、弁要素の第1の長手方向軸124を中心として弁要素の周りで回転可能であるものとしてよい。
【0049】
弁要素および/または弁ハウジングの回転は、自動化され、および/または手動であってよい。
【0050】
一実施形態において、弁ハウジングは、3つの弁開口部を備える。
【0051】
一実施形態において、安全弁は、3つのオーバーフロー陥凹部を備える。
【0052】
一実施形態において、弁要素は1つの流路を備える。
【0053】
一実施形態において、弁開口部の数は、オーバーフロー陥凹部の数に等しい。
【0054】
いくつかの実施形態において、弁ハウジングは、6個の弁開口部および/または6個のオーバーフロー陥凹部を備える。6個の弁開口部および/または6個のオーバーフロー陥凹部は、好ましくは、弁ハウジングおよび/または弁要素の周内に均一に分布する。
【0055】
一実施形態において、少なくとも3つの弁開口部は、シェル内に均一に分布する。隣接する弁開口部に関する弁開口部の各々の間に成す角度は、好ましくは120度である。
【0056】
一実施形態において、流路は、第1の流路および第2の流路を備え、第1および第2の流路は、互いに関してある角度を成して延在する。角度は、好ましくは120度である。
【0057】
弁開口部ならびに第1および第2の流路をほぼ等しい角度に設けることによって、その後、弁要素が内部スペーシングの内側に配置構成されたときに、弁要素を通る第1および第2の流路は、弁ハウジングの少なくとも3つの弁開口部のうちの2つと一致し、それにより、少なくとも3つの弁開口部のうちの2つは流路によって接続され得る。
【0058】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェル内に配置構成される。
【0059】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェルの第1の端部と第2の端部との間に延在し、その中へ開いている。
【0060】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェルの第1の端部および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いている。
【0061】
オーバーフロー陥凹部は、シェル内で径方向に延在するものとしてよく、オーバーフロー陥凹部はシェルの厚さまでの深さを有している。
【0062】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁要素内に配置構成される。
【0063】
一実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁要素の第1の端部および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いている。
【0064】
シェルまたは弁要素の全長に対して延在するオーバーフロー陥凹部を設けることによって、オーバーフロー陥凹部は、弁要素と弁ハウジングとの間の流体ブロックに沿って進行する流体がオーバーフロー陥凹部を通る弁から排出されることを確実にする。
【0065】
一実施形態において、接続要素は、内部スペーシング内に貫入する。
【0066】
いくつかの実施形態において、オーバーフロー陥凹部は、シェルの材料と異なる材料特性を有する材料を備え得る。これは、弁が、高圧を扱い、および/または金属もしくは合金もしくはセラミックスなどの高強度材料から作製されるシステムにおいて使用されるときに有利である。
【0067】
一実施形態において、シェルは円筒形である。
【0068】
一実施形態において、弁要素は円筒形である。
【0069】
円筒形のシェルおよび/または弁要素を設けることによって、使用される材料の量と弁全体の強度および剛性との間の良好なバランスが確実にもたらされる。
【0070】
一実施形態において、流路および少なくとも3つの弁開口部は、組み立て済み弁の少なくとも2つの構成において同じ平面内に配置構成され延在している。
【0071】
したがって、流路/弁開口部に対して垂直な入口を有するのではなく、入口および出口が同じ平面内にすべて配置構成されているので、安全弁は大きなスペースを取ることなく配置構成され得る。
【0072】
一実施形態において、前記平面は、弁が組み立て済み構成をとるときに、第1および第2の軸に対してほぼ垂直である。
【0073】
平面は無限に遠くまで延在する平坦な二次元表面であること、ならびに流路および弁開口部は、同じ平面上に位置決めされ、その平面内で異なる方向に延在していることは理解されるべきである。
【0074】
一実施形態において、オーバーフロー流体は、約1~10bar、好ましくは約1から5bar、より好ましくは約1から3barである。
【0075】
一実施形態において、弁開口部は、シェルの周上に均一に分布し、弁開口部は好ましくは約120度の角度で分布する。
【0076】
シェルの内周は、弁要素の外周にほぼ等しいものとしてよい。
【0077】
弁要素は、第1の端部および第2の端部を備え、第1の長手方向軸を画成する。弁ハウジングは、第1の端部、第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸を備える。第2の長手方向軸は、弁が組み立て済み構成にあるときに、弁要素の第1の長手方向軸と同軸である。
【0078】
一実施形態において、弁要素は、弁ハウジングの内側で弁要素を回転させるためのハンドルを備える。
【0079】
安全弁が組み立てられるときに、弁要素は、弁ハウジングの内側で回転させられ、回転は第2の長手方向軸の周りの回転である。
【0080】
ハンドルは、弁要素の一部が内部スペーシング内に挿入されたときにシェルの外側にある弁要素から突き出るものとしてよい。ハンドルは、好ましくは、弁要素から径方向に延在する。
【0081】
一実施形態において、ハンドルは、弁要素から径方向に延在する第1、第2、および第3の突起部を備える。第1および第2の突起部は、好ましくは、互いに関して90度の角度で弁要素の周内に配置構成される。第2および第3の突起部は、好ましくは、互いに関して90度の角度で弁要素の周内に配置構成される。
【0082】
ハンドルは、弁要素内へ窪んだ凹みであってよい。前記凹みは、正方形、三角形、円形、卵形、矩形、星形、またはこれらの任意の組合せの形状を有するなどの形に作製されてよい。
【0083】
一実施形態において、弁ハウジングは除菌フィルタ要素をさらに備え、このフィルタはオーバーフロー陥凹部から排出されるオーバーフロー流体がフィルタ要素を通過するように配置構成される。フィルタ要素は、シェルの第1および/または第2の端部のところに配置構成されてよい。
【0084】
さらなる実施形態において、フィルタは、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部の各々の少なくとも1つの出口開口部全体を覆う。
【0085】
さらなる実施形態において、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェル内に配置構成され、シェルの第1の端部および/または第2の端部の間に延在する。少なくとも1つの出口開口部は、シェルの第2の端部内に配置構成され、それにより、オーバーフロー陥凹部は、シェルの第2の端部内へ開き、フィルタ要素は、シェルの第2の端部のところで内部スペーシングの内側に配置構成される。したがって、排出される流体は、シェルの第2の端部のところの安全弁のみから出て、それにより、排出されるすべての流体は、安全弁から排出される前に除菌フィルタを通過する。
【0086】
フィルタは、弁周辺部からの汚染された空気が安全弁の中に入り込むのをさらに防ぐ。
【0087】
フィルタ要素は、好適な任意の形状を有するものとしてよい。フィルタ要素は、内部スペーシングと同じ形状を有するものとしてよく、好ましくは円形である。
【0088】
フィルタ要素は、多孔質ポリマー膜、ポリマー、金属、もしくはセラミックスから作られた、またはそのような材料の組合せから作られた焼結粒子もしくは繊維からなる群から選択された材料から形成され得る。
【0089】
フィルタ要素は、0.10から100μm、好ましくは0.2から0.45μmの細孔サイズを有するものとしてよい。
【0090】
フィルタ要素は、HEPAフィルタであってよい。
【0091】
第4の態様において、本発明は、食塩溶液中でH2 15Oを調製し注入するためのシステムにおける第3の態様に関して上で説明されているような安全弁の使用に関するものであった。
【0092】
システムは、以下で説明されているようなシステムの第2の態様によるものであってよい。
【0093】
そのようなシステム内に安全弁を設けることによって、システムの機能不良が生じ、機能不良が場合によっては患者が接続されている管の中に望ましくない高いレベルの流体をもたらす場合に、安全弁は、望ましくない流体によって害されることから患者を保護する。
【0094】
第2の態様において、本発明は、陽電子放出断層撮影法(PET)で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムに関するものであり、前記システムはH2 15Oの食塩溶液を作製するための作製手段と、注入する第1のボーラスを定めるためのボーラス手段と、前記第1のボーラスはH2 15Oの前記食塩溶液を備え、事前定義された体積および放射能濃度(mBq/ml)を有し、前記ボーラス手段は弁を備える、第1のボーラスの注入プロファイル(injection profile)を調節するための調節手段とを備える。
【0095】
本明細書で使用されているように、「酸素-15標識水」という用語は、015-H2O、O15-H2O、H215O]、H2O[15O]、および15OH2Oなどの類似の表記を含むH2 15Oとして表される。
【0096】
PET検査装置の隣りに配置構成され得るH2 15Oを調製し、注入するための本発明によるシステムを用意することによって、放射性同位体を手作業で取り扱う必要がなくなり、したがって、患者と医療スタッフの両者に対する安全性が改善される。
【0097】
さらに、システムは、連続的に動作するので、投薬注入を注目する時点において正確に行うことが可能である。これは、脳活性化および心臓ストレス検査などの速さが重視される検査を使用可能にする。システムは、異なる注入ボーラスを提供することによって様々な研究プロトコルをサポートする。
【0098】
本発明の第2の態様によれば、H2 15Oが事前定義されたボーラスで調製されるので、準備される放射能の量を正確に決定すること、および注入期間に注入される放射能の量を定義する、注入プロファイル、すなわち時間依存注入速度を定義し、調節することが可能である。いくつかの実施形態において、注入速度は、注入期間全体にわたって一定である。このようにして、放射能およびボーラス体積は適切に定義される。
【0099】
いくつかの実施形態において、注入速度は、注入期間全体にわたって変化する。
【0100】
本明細書で使用されているように、「ボーラス」という用語は、比体積量を意味する。
【0101】
本明細書で使用されているように、「注入プロファイル」という用語は、Y軸が放射能濃度を時間の関数として表し[Bq/s]、X軸が時間[s]を表すXY図中のグラフを意味する。
【0102】
一実施形態において、第2の態様によるシステムは、処理ユニットを備える。
【0103】
ここで、および以下において、「処理ユニット」という用語は、本明細書で説明されている機能を実行するように好適に適合された回路および/またはデバイスを備えることを意図されている。特に、上記の用語は、汎用もしくは専用プログラム可能マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、またはこれらの組合せを備える。
【0104】
処理ユニットは、作製手段および/またはボーラス手段および/または調節手段および/または第2の態様および/またはその特定の部分によるシステム全体に接続され得る。
【0105】
一実施形態において、前記弁は、本発明の第3の態様による安全弁である。
【0106】
システムは、患者に接続されるものとしてよく、それにより、ボーラスは、システムから直接、患者体内に注入され得る。ボーラスは、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内、または皮下投与され得る。
【0107】
システムの一部は、放射線シールド内に、またはその背後に配置構成されるものとしてよい。
【0108】
一実施形態において、本発明は、第2の態様によるシステムのための作製手段を伴い、作製手段は高温下で15OおよびH2を含むガス混合物をH2 15Oに変換するための変換要素と、前記ガス混合物の流れを調節するための弁制御要素と、H2 15Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH2 15Oの食塩溶液を作製するための組合せ手段と、H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器とを備え、ここにおいて、前記弁制御要素は、第1の放射線検出器によって調節される。
【0109】
15OおよびH2を含むガス混合物は、一定の流量および圧力で、この実施形態による作製手段に供給される。用意された弁制御要素は、H2 15Oに変換されるガス混合気の量と、それによってH2 15Oの食塩溶液中のH2 15Oの濃度とを調節することを可能にする。
【0110】
ガス混合物は、ガスの圧縮された、または加圧された混合物を備え得る。
【0111】
ガス混合物は、好ましくは、蒸気形態のH2 15Oに変換される。
【0112】
放射線検出器は、測定された放射線量を事前定義された放射線間隔と比較するための制御部分を備えるものとしてよく、前記間隔は食塩溶液中のH2 15Oの望ましい量に依存する。この間隔は、患者毎に異なり得る、H2 15Oの望ましい量に応じて手動でおよび/または自動的に入力されてよい。制御部分は、処理ユニットによって制御され得る。
【0113】
一実施形態において、変換要素は、高温下でガス混合物をH2 15Oに変換する炉を備える。
【0114】
この高温は、200~1000℃、好ましくは無触媒反応に対しては約800℃、およびPd触媒反応に対しては約300℃であるものとしてよい。
【0115】
一実施形態において、弁制御要素は、さらにH2 15Oを作製することが望ましくないときに、ガス混合物流を変換要素に通し、それによってガス混合物をH2 15Oに変換するか、または変換要素をバイパスしてガス混合物がH2 15Oに変換されることのないようにするための、少なくとも1つの弁を備える。
【0116】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの弁は二方弁である。
【0117】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの弁は、本発明の第3の態様による安全弁である。
【0118】
さらなる実施形態において、弁制御要素は、第3のガス廃棄物部も備える。少なくとも1つの弁がガス混合物を炉に導くか、または炉がバイパスされ、ガスは第3のガス廃棄物部に向けられる。
【0119】
第3のガス廃棄物部は、低速浸出ガス廃棄物部であるものとしてよい。第3のガス廃棄物部は、代替的に、ガス混合物の排出に特有の外部通気管であってよい。
【0120】
一実施形態において、組合せ手段は、H2 15Oおよび第1の食塩溶液を受け入れるための貯槽と、前記貯槽から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部と、一方の端部で貯槽に、他方の端部で減衰ライン(decay line)に接続されている第3のポンプと、減衰ラインは液体廃棄物部に接続されている、を備え、ここにおいて、第3のポンプは、貯槽から過剰な液体廃棄物を減衰ラインを通して液体廃棄物部に注ぎ込む。
【0121】
通常圧力で加圧される/動作することのない組合せ手段を設けることによって、放射性水中にガスが溶解しないようにするための追加の安全機能が実現される。
【0122】
本明細書の文脈において、「貯槽」という用語は、特定の貯槽であることに限定されないが、タンク、たらい、貯蔵/保管要素、うつわもしくはレセプタクルなどの事前定義された容積を有する他の容器であってもよいことに留意されたい。
【0123】
本明細書の文脈において、「低速浸出ガス廃棄物部」という用語は、たとえば15Oのような少量の放射性同位体を含む過剰なガスを、過剰なガスが開放された場所に排出され前に、半減期の好適な倍数の期間、好ましくは半減期の少なくとも5倍の期間の間遅延させ、残留放射能が許容可能レベルにまで減少するようにすることを可能にするシステムを指すことに留意されたい。低速浸出ガス廃棄物部は、典型的には、放射線シールドの背後に配置される。
【0124】
第2のガス廃棄物部は、低速浸出ガス廃棄物部であるものとしてよい。第2のガス廃棄物部は、代替的に、過剰な放射性ガスの排出に特有の外部通気管であってよい。15Oの半減期が短く、係わっているガスの量は少ないので、ガスが排出されるときには放射能はほとんどゼロである。
【0125】
変換要素に供給される15OおよびH2を備えるガス混合物は、水素との反応通じてアンモニア(NH3)に還元される少量の窒素酸化物(NOx)を含み得る。そのため、貯槽内のH2 15Oの食塩溶液のpHは、アンモニアの増加がある場合に高くなる。
【0126】
一実施形態において、組合せ手段は、貯槽に食塩溶液を供給するために第1の食塩水供給部に接続されている第1のポンプと、減衰ラインに接続されるpH測定デバイスとをさらに備え、第1のポンプは、pH測定デバイスによって調節される。
【0127】
第1の食塩水供給部からの第1の食塩溶液の量は、調整可能な量であってよい。第1の食塩溶液の量は、処理ユニットによって手動でおよび/または自動的に調整されるものとしてよい。
【0128】
第1の食塩溶液は、ポンプで連続的に貯槽内に注ぎ込まれるものとしてよい。
【0129】
pH測定デバイスを設けることによって、測定デバイスは、H2 15Oの食塩溶液のpH値の変化を検出し得る。これらの変化は、H2 15Oの食塩溶液中に大量のアンモニアが存在する場合に生じ得る。
【0130】
貯槽内でアンモニアの増加が生じないことを確実にするために、アンモニアが貯槽から洗い出されるようにH2 15Oの食塩溶液の流入および流出が調節されるものとしてよい。
【0131】
貯槽内のアンモニアの量は、15ppm未満、好ましくは10ppm未満であるべきである。貯槽内のpHレベルは、4~10、好ましくは5~9、より好ましくは5.5~8.5であるべきである。
【0132】
比較的長い減衰ラインを設けることで、放射性のH2 15Oが廃棄物ビンに到達する前に減衰させることができる。放射性のH2 15Oは、好ましくは、廃棄物ビンに到達する前に半減期の少なくとも5倍の期間にわたって減衰させられる。
【0133】
廃棄物ビンは、システムの周りに配置構成されている放射線シールドの外側に留置され得る。放射線検出器は、減衰ラインまたは廃棄物ビンに隣接して配置構成されてよい。
【0134】
P3のポンプ速度は、H2 15Oの食塩溶液の貯槽がオーバーフローしないように、P1のポンプ速度以上である。
【0135】
貯槽内に存在する過剰なガスは、第2のガス廃棄物部を通して排出される。第2のガス廃棄物部は、低速浸出ガス廃棄物部であるものとしてよい。
【0136】
一実施形態において、本発明は、第2の態様によるシステムのためのボーラス手段を伴い、ここにおいて、ボーラス手段は、H2 15Oの食塩溶液を備える貯槽と、ループ要素および調節デバイスを通じて貯槽からH2 15Oの食塩溶液を循環させ、前記貯槽内に戻すための輸送管と、前記流れを調節するための第2のポンプとを備え、ここにおいて、調節デバイスは、弁を備え、調節デバイスは第1および第2の構成を有し、調節デバイスの第2の構成は、H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定め、第1のボーラスは事前定義された量および放射能濃度を有する。
【0137】
連続的に循環する、容易に利用可能なH2 15Oの食塩溶液を用意することによって、システムは、任意の時点において、患者体内に注入するための第1のボーラスを定め、それによって、無益な待ち時間を回避する。
【0138】
貯槽は、本発明の一実施形態により作製されたH2 15Oの食塩溶液を備えるものとしてよい。
【0139】
さらに、H2 15Oの食塩溶液は、貯槽からおよび貯槽へ高速で第2のポンプによって輸送管内で常時循環され、貯槽内では新たに形成されたH2 15Oが食塩水と常時混合されているので、ループ要素内で利用可能なH2 15Oの食塩溶液は、おおよそ一定の放射能濃度を維持する。
【0140】
第2のポンプの速度は、好ましくは約0.1から100ml/分までである。
【0141】
一実施形態において、ボーラス手段は、処理ユニットを備える。
【0142】
調節デバイスは、処理ユニットによって手動制御され、および/または自動制御されるものとしてよい。
【0143】
一実施形態において、調節デバイスは、少なくとも2つの弁を備える。
【0144】
一実施形態において、調節デバイスは、本発明の第3の態様による安全弁を備える。
【0145】
一実施形態において、少なくとも2つの弁は、ループのいずれかの側に配置構成される。2つの弁のうちの一方は、患者ラインに接続され得る。
【0146】
本発明の第3の態様による安全弁を使用することによって、患者ライン内にオーバーフロー液体が入り込むことはなく、より安全なシステムが確実に実現される。
【0147】
一実施形態において、ループ要素は調整可能な容積を有する。ループ要素の容積は、処理ユニットによって手動でおよび/または自動的に調整され得る。ループ要素の容積は、ループ要素の一部分または複数の部分を変えて、ループ要素に1つの容積を与え異なる部分または複数の部分が結果としてループ要素に別の容積を持たせるようにすることによって調整されてもよい。
【0148】
したがって、異なるボーラス体積および放射能濃度は、異なる患者および/または測定結果とともに使用できるように容易にもたらされ、それによって、医療スタッフによる手動でのボーラスの抽出の必要性がなくなる。
【0149】
一実施形態において、第1の放射線検出器は、ループ要素に隣接して配置構成され、第1の放射線検出器は第1および第2の検出器ユニットを備え、ここにおいて、前記第1および第2の検出器ユニットは、ループ要素内に存在するH2 15Oの前記食塩溶液の第1および第2の放射能値を測定する。
【0150】
第1および第2の検出器ユニットは、好ましくは、ループ要素に隣接する異なる位置に配置構成され、それにより、検出器は、ループ要素内の異なる位置でH2 15Oの前記食塩溶液の第1および第2の放射能値を測定する。第1の放射線検出器は、正確な放射線測定値が得られるように別々に遮蔽されるものとしてよい。
【0151】
第1の態様において、本発明は、第2の態様によるシステムのための調節手段を伴い、調節手段は第2の食塩水供給部と、H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを備えるループ要素と、前記第2の食塩水供給部から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収し、前記第2のボーラスを事前定義された速度でループ要素内に注入し、それにより、第2のボーラスが第1のボーラスを患者ライン内に押し込むようにするための注入手段と、患者ラインに隣接する第2の放射線検出器と、前記放射線検出器は前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定する、を備え、ここにおいて、第2のボーラスの前記注入速度および体積は、ボーラスの注入プロファイルを調節する。
【0152】
注入手段を設けることによって、異なる測定に対する個別の要求条件に応じて患者ライン内に注入するために第1のボーラスの注入プロファイルを調節することが可能である。
【0153】
一実施形態において、第1の態様による調節手段は、処理ユニットを備える。
【0154】
事前定義された注入速度は、注入時に変更されてもよい。速度は、好ましくは、注入時に下げられる。前記速度の変化は、手動で制御されるか、または処理ユニットによって制御され得る。
【0155】
食塩水の事前定義された第2のボーラスは、異なる患者および測定結果に応じて可変体積を有し得る。事前定義された第2のボーラスは、注入手段によって手動回収され、および/または自動回収されるものとしてよい。自動回収は、処理ユニットによって制御され得る。
【0156】
一実施形態において、注入手段は、第4の弁を備える。第4の弁は、本発明の第3の態様による安全弁であるものとしてよい。
【0157】
第2の食塩水供給部は、第4の弁に接続され得る。
【0158】
一実施形態において、注入手段は、回収要素を備える。回収要素は、第4の弁に接続され得る。回収要素は、医療用注射器であってよい。
【0159】
第2の検出器は、患者ラインの特定の部分の放射能値を測定する。この部分は、知られている長さ、サイズ、および容積を有する。患者ラインのこの部分の容積は一定しており、放射能は短時間の間隔で測定され(1秒間に1~10回の測定)、注入速度は知られているので、本明細書では注入プロファイルと称される、XY座標系内の曲線を得ることが可能であり、これは放射能の注入された量を時間の関数として示すものである。
【0160】
第2の放射線検出器は、患者に注入する直前に第1のボーラスの注入プロファイルを測定する。
【0161】
第5の態様において、本発明は、陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製するための方法を伴い、前記方法は高温下で15OおよびH2を備えるガス混合物流をH2 15Oに変換するステップと、前記ガス混合物の流れを調節するための弁制御要素を設けるステップと、H2 15Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH2 15Oの食塩溶液を作製するステップと、H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器を設けるステップと、第1の放射線検出器により前記ガス混合物流を調節するステップと、H2 15Oの食塩溶液を受け入れるための貯槽を設けるステップと、前記貯槽から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部を設けるステップと、第3のポンプを設けるステップと、第3のポンプは一方の端部で貯槽に、他方の端部で減衰ラインに接続され、減衰ラインは液体廃棄物部に接続される、第3のポンプにより、貯槽から過剰な液体廃棄物を減衰ラインを通して液体廃棄物部に注ぎ込むステップと、貯槽からループ要素を通してH2 15Oの食塩溶液を循環させて前記貯槽に戻すための輸送管および第2のポンプを設けるステップと、調節デバイスを設けるステップと、ループ要素内でH2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定めるステップと、第1のボーラスは事前定義された体積および放射能濃度を有する、第2の食塩水供給部を設けるステップと、前記第2の食塩水供給部から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収するステップと、前記第2のボーラスを事前定義された速度でループ要素内に注入し、第2のボーラスが第1のボーラスを患者ライン内に押し込むようにするステップと、患者ラインに隣接する第2の放射線検出器により前記第1のボーラスの注入プロファイル値を測定するステップと、第2のボーラスの前記注入速度および体積により第1のボーラスの注入プロファイルを調節するステップとを備える。
【0162】
第5の態様の一実施形態において、調節デバイスは、本発明の第3の態様による安全弁を備える。
【0163】
放射性同位体を調製し、注入するための生産-患者システムには、多数の問題点がある。患者に接続され得る、そのようなシステム内の安全性に対する要求は極めて高く、両方とも患者と医療スタッフの安全性を確実にする。第2の態様によるシステムを実現することによって、システムの異なる部分は、以前に可能であった以上に高い安全標準を確実にする助けとなる。
【0164】
第3の態様による安全弁は、第2の態様によるシステムにおいて特に有用であり、これは、オーバーフロー流体がシステム内で前進し、最終的に患者体内に入るのを防ぐ。特に過剰なガスは、非常に高い危険因子であり、これは第3の態様により安全弁を実装する毎によって容易に排除できる。
【0165】
本発明の異なる態様は、異なる仕方で実装されてよく、各々上で説明されている態様の少なくとも1つに関連して説明されている利益および利点のうちの1つまたは複数をもたらし、各々上記の態様のうちの少なくとも1つに関連して説明され、および/または従属請求項において開示されている実施形態を含む、1つまたは複数の好ましい実施形態を有する。
【0166】
本発明の上記および/または追加の目的、特徴、および利点の要点が、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の以下の例示的な、非限定的な詳細な説明によってさらに述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
図1】本発明の第2の態様による陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムを示す概略図。
図2】ボーラス手段と注入手段との間の相互作用を示すフローチャート。
図3A】本発明による一実施形態および第1の態様を示す図。
図3B】本発明による一実施形態および第1の態様を示す図。
図4A】第1のボーラスの注入プロファイルを示す図。
図4B】第1のボーラスの注入プロファイルを示す図。
図5】本発明の第2の態様による安全弁の一実施形態の斜視図。
図6】組み立て済み構成の図5に示されている安全弁の斜視図。
図7A】第1の組み立て済み構成の組み立て済み安全弁の断面図。
図7B】第2の組み立て済み構成の組み立て済み安全弁の断面図。
図7C】第3の組み立て済み構成の組み立て済み安全弁の断面図。
図8】本発明の第3の態様による弁の一実施形態の斜視図。
図9】組み立て済み位置にある図8に示されている安全弁の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0168】
次の説明では、図解によって本発明がどのように実践され得るかを示す、添付図面が参照される。図示されている様々な要素の間の特に距離の寸法は、例示することを目的として見かけだけであることに留意されたい。
【0169】
「安全弁」および「弁」という用語は、本発明の内容において、両方とも本発明の第3の態様による安全弁を記述するものとして使用されていることは理解されるべきである。
【0170】
図1は、PET検査を実施する際に使用するための除菌注入可能形態でH2 15Oを調製するために本発明を具現化するシステム1の概略図を示している。
【0171】
システム1は、システムの様々な部分を制御するための処理ユニットを備える。処理ユニットは、望ましい場合に手動でオーバーライドされ得る。
【0172】
ここで、および以下において、「処理ユニット」という用語は、本明細書で説明されている機能を実行するように好適に適合された回路および/またはデバイスを備えることを意図されている。特に、上記の用語は、汎用もしくは専用プログラム可能マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、またはこれらの組合せを備える。
【0173】
放射性15Oガスは、窒素ガスおよび酸素ガスの流れているガスターゲットに従来通りに照射することによってサイクロトロン設置室500内のサイクロトロンにおいて生成される。サイクロトロンターゲット室501から放出される15Oガスの量は、ターゲット室501に接続するように配置されているマスフローコントローラ(MFC)(図示せず)によって制御される。MFCは、特定の範囲の流量でガスを制御するようにプリセットされる。
【0174】
MFCは、マスフローセンサからの値と比較する入力信号をシステムオペレータまたは処理ユニットによって与えられ、必要な流れが得られるようにしかるべく比例値を調整する閉ループ制御システムを取り付けられる。
【0175】
次いで、15OガスがNOxトラップ502に通され、ターゲット室501内に形成されたNO、N2O、および/またはNO2などの窒素酸化物の大半が、窒素と酸素との反応によって、捕捉される。その後、水素との反応によって望ましくないアンモニア(NH3)に変換されることがあるので、窒素酸化物をすでにこの時点で取り除くことが望ましい。
【0176】
ガスは、その後、水素貯槽503からの水素(H2)ガスと混合され、H2および15Oガスのガス混合物221を形成する。15Oガスと混合されるH2ガスの量は、水素貯槽503の後に配置されている別のMFC(図示せず)によって制御される。
【0177】
次いで、ガス混合物221は、サイクロトロン設置室500からPET検査室505内に延在する管504に通され、PET検査装置(図示せず)、患者521、および第2の態様による本発明がそこに配置構成される。異常な流量を引き起こし得る高圧を回避するために、管504には、圧力逃し弁(図示せず)が装着されている。
【0178】
次いで、ガス混合物221は、第1の除菌フィルタ506に通されて、望ましくない微粒子および細菌が含まれる不純物を取り除き、システムの無菌状態を保つことを確実にする。
【0179】
第1の除菌フィルタ506の後のところで、圧力センサ507および圧力逃し弁508がガス輸送管504に接続される。圧力センサ507は、管504内の圧力を連続的に測定する。圧力が事前決定された安全レベルを超えた場合、弁508は、ガス混合物221を第1のガス廃棄物部509に向ける。
【0180】
次いで、ガス混合物221は、管接合部510に向けられる。弁制御要素250は、管接合部510からガス混合物221が向けられる方向を制御する。弁制御要素250は、第2の弁521および第3の弁525を備える。
【0181】
第2の弁521が開いているときに、ガス221は変換要素220を通るように向けられる。変換要素220は、ガス混合物221がH2 15Oに変換される炉220である。第2の弁521が閉じられ、第3の弁525が開いている場合、ガス混合物221は炉220をバイパスし、ガス混合物221はH2 15Oに変換されない。これは、それ以上H2 15Oを作製することが望まれていないときに行われる。
【0182】
次いで、第3の弁525からのガス混合物221および/または第2の弁521からのH2 15Oは、貯槽281内に導かれる。第1の食塩水供給部290に接続されている第1のポンプ292は、食塩水の第1の流れ591を貯槽281内に連続的に注ぎ込む。したがって、H2 15Oおよび食塩水は、貯槽281内でH2 15Oの食塩溶液に組み合わされる。
【0183】
第1の放射線検出器240は、システム内の別のところに配置される。第1の放射線検出器240は、H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定する。第1の放射線検出器240からの信号は、処理ユニット上で実行されるPIDまたはファジー論理などの閉ループ調節アルゴリズムにおける入力として使用される。処理ユニットからの出力は、前記弁制御要素250を調節し、それにより、H2 15Oがどれだけ作製されるかを決定する。
【0184】
第2のガス廃棄物部282は、貯槽281に接続されている。第2のガス廃棄物部282は、前記貯槽281からガスを排出し、それにより、H2 15Oの食塩溶液中にガスが溶解されないことを確実にする。
【0185】
第3のポンプ283は、一方の端部で貯槽281に、他方の端部で減衰ライン284に接続される。減衰ライン284は、液体廃棄物部285にさらに接続される。第3のポンプ283は、貯槽281から過剰な液体廃棄物を減衰ライン284を通して液体廃棄物部285に連続的に注ぎ込む。
【0186】
貯槽281は、貯槽281からH2 15Oの食塩溶液を循環させ、貯槽281に戻すための輸送管301にも接続される。H2 15Oの食塩溶液は、輸送管301において第2のポンプ302によって貯槽281から、調節デバイス340およびループ要素320内に注ぎ込まれる。
【0187】
調節デバイス340は、第5の弁424および第6の弁425を備え、弁424425図5図7に示されているような弁である。弁424425は、ループ要素320の各側部上に配置構成される。第5の弁424は、注入手段420にさらに接続され、第6の弁425は、患者ライン520にさらに接続される。
【0188】
第5の弁424は、少なくとも2つの異なる構成のうちの第1の構成で配置構成され、これにより、H2 15Oの食塩溶液の流れは、第5の弁424を通り、ループ内に誘導され、注入手段420は、システムの残り部分から閉鎖される。第5の弁424が、第2の構成で配置構成された場合、H2 15Oの食塩溶液は、第5の弁424を通ることができず、第5の弁424はループ320と注入手段420との間の接続を開く。
【0189】
第6の弁425は、少なくとも2つの異なる構成のうちの第1の構成で配置構成され、これにより、H2 15Oの食塩溶液は、第6の425を通り、輸送管301内にさらに誘導され、貯槽281内に戻される。第6の弁425が、第2の構成で配置構成された場合、H2 15Oの食塩溶液は、患者ライン520内に誘導され、H2 15Oの食塩溶液を貯槽281に戻す輸送管301の部分は、第6の弁425によって閉鎖される。
【0190】
第1の放射線検出器240は、ループ要素320に隣接して配置構成される。第1の放射線検出器240は、第1および第2の検出器ユニット(図示せず)を備え、ここにおいて、前記第1および第2の検出器ユニットは、ループ320要素内に存在するH2 15Oの前記食塩溶液の第1および第2の放射能値を測定する。
【0191】
第1および第2の放射能値が、ユーザによってプリセットされた閾値レベルから20%を超えて、好ましくは15%、より好ましくは10%だけ異なる場合に、処理ユニットは注入が行われるのを防ぐ。
【0192】
第5の弁422および第6の弁423が第2の構成で配置構成されるときに、第5の弁424、第6の弁425、およびループ要素320は、H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定める。第1のボーラスは、事前定義された量および放射能濃度を有する。
【0193】
注入手段420は、第4の弁423および回収要素422を備える。回収要素422は、医療用注射器420である。第4の弁423は、図5図8に示されているような弁である。医療用注射器420は、処理ユニットによって手動制御され、および/または自動制御されるものとしてよい。第2の食塩水供給部401は、第4の弁423に接続される。
【0194】
第4の弁423は、少なくとも2つの異なる構成のうちの第1の構成で配置構成され、それにより、接続は医療用注射器422と第5の弁424との間で開いている。第4の弁423が、第2の構成で配置構成された場合、医療用注射器422と第2の食塩水供給分401との間の接続は、開くことになる。
【0195】
第4の弁423が第2の構成になっているときに、医療用注射器422は、前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収することができる。
【0196】
第6の弁425に接続されている、患者ライン520は、気泡検出器522、逆止弁523、第2の除菌フィルタ524、および患者521にも接続される。
【0197】
気泡検出器522は、望ましくない気泡が第1および/または第2のボーラス内に存在しているかどうかを検出する。気泡が検出されるという予期せぬ出来事が生じた場合、気泡検出器522に接続されている、処理ユニットは患者への注入を停止する。
【0198】
逆止弁523は、一方向弁である。弁523は、弁523を通った、第1および/または第2のボーラスは、システム内に戻ることができない。同様に、患者521からの流体は、逆止弁523を横切ってシステム内に戻ることができない。
【0199】
第2の除菌フィルタ524は、残っている可能性のある望ましくない微粒子および細菌が含まれる不純物を取り除き、それにより、第1および/または第2のボーラスが患者521に入る前に除去されていることを確実にする。
【0200】
患者ラインに隣接して配置構成されている第2の放射線検出器440は、前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定する。
【0201】
患者521は、陽電子放出断層撮影法(PET)検査装置(図示せず)などの検査装置内に位置決めされるものとしてよく、患者521内の放射性同位体の分布は、第1のボーラスの注入前、注入中、および注入後に監視され得る。
【0202】
図2は、事前定義された体積および放射能濃度を有するH2 15Oの注入可能食塩溶液を供給するためのボーラス手段および注入手段の相互作用を示すフローチャートである。
【0203】
部分Aにおいて、輸送管301に接続されている第2のポンプ302は、H2 15Oの食塩溶液の流れを調節し、それにより、H2 15Oの食塩溶液は貯槽281から、輸送管301、ループ要素320、および調節デバイス340を通って連続的にポンプで注ぎ込まれ、それによって、所与の時点においてループ要素320内のH2 15Oの容易に利用可能な食塩溶液を供給する。
【0204】
第5の弁424および第6の弁425を備える調節デバイス340は、ループ要素320の各側部上に第1の構成で配置構成される。
【0205】
第1の放射線検出器240は、ループ要素320に隣接して配置構成される。第1の放射線検出器240は、ループ320要素内に存在するH2 15Oの前記食塩溶液の第1および第2の放射能を測定する、第1および第2の検出器ユニットを備える。
【0206】
ループ要素320内の放射能が所望のレベルに達したときに、そのレベルは測定毎に、および患者毎に変わり得るが、部分Bは、自動的または手動のいずれかで開始される。
【0207】
部分Bにおいて、第5および第6の弁424、425は、第1の構成から第2の構成に変わり、そのため、ループ要素320は、輸送管301およびH2 15Oの食塩溶液を作製するシステムの部分に接続されない。さらに、患者521は、また、システムの残り部分から分離される。
【0208】
第5の弁424および第6の弁425は、構成を同時にまたは個別に変化させることができる。第5の弁424および第6の弁425の第2の構成は、H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定め、第1のボーラスはループ要素320中に存在するH2 15Oの前記食塩溶液の量である。したがって、第1のボーラスは、事前定義された体積および放射能濃度を有し、その濃度は第1および第2の検出器ユニットによって測定される。
【0209】
ループ要素320は、患者毎に、および測定毎に変更され得る調整可能な容積を有する。
【0210】
第2の構成において、第6の弁425は、患者ライン520に接続され、第5の弁424は、第4の弁423に接続される。
【0211】
部分Cにおいて、第4の弁423は、第2の食塩水供給部401および回収要素422に接続される。第4の弁423が第1の構成をとるときに、回収要素422と第5の弁424との間の接続は開いている。
【0212】
第4の弁423は、第2の構成に切り替えられ、次いで、回収要素422と第2の食塩水供給部401との間の接続は開く。
【0213】
部分Dにおいて、回収要素422は、第2の食塩水供給部401から所望の量の食塩水を引き出し、それにより、食塩水の第2のボーラスを定める。食塩水の第2のボーラスは、好ましくは5~150ml、より好ましくは10~100mlである。
【0214】
部分Eにおいて、第4の弁423は、第1の構成に切り替えられ、食塩水の第2のボーラスを備える回収要素422と第5の弁424との間の接続を定める。
【0215】
部分Fにおいて、第4の弁423、第5の弁424、および第6の弁425は、第1の構成で配置構成される。回収要素422は、食塩水の第2のボーラスをループ要素320内に注入する。
【0216】
部分Gにおいて、第2のボーラスの速度により、ループ要素320内に存在するH2 15Oの食塩水溶液の第1のボーラスと第2のボーラスそれ自体との両方が患者ライン520内に押し込まれ、最終的に患者521の体内に押し込まれる。食塩水の注入速度および量は、患者521に入る第2のボーラスの注入プロファイルを調節する。
【0217】
患者ライン520に隣接する第2の放射線検出器440は、前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定する。
【0218】
図2の上記の説明におけるAからGのすべての部分は、手動で、および/または処理ユニットによって自動的に開始され、実行され得る。部分の開始は、別の部分の終了にも依存し得る。
【0219】
図2は、様々な部分の1つの配置構成を一例として示している。食塩水の第2のボーラスが定められる部分CおよびDは、部分Bの前にも実行されてよく、ここにおいて、H2 15Oの食塩溶液の第1のボーラスが定められる。
【0220】
図3Aおよび図3Bは、本発明による第1の態様の別の実施形態を示す。
【0221】
貯槽281は、H2 15Oの食塩溶液を備える。第2のポンプ302は、貯槽281からH2 15Oの食塩溶液を輸送管301内に連続的に注ぎ込み、調節デバイス340およびループ要素320を通して貯槽281内に戻す。
【0222】
調節デバイス340は、本発明の第3の態様による複数の安全弁を備える。図3Aおよび図3Bにおいて、複数の弁は、7個の弁として表されている。
【0223】
図3Aにおいて、調節デバイス340は、H2 15Oの食塩溶液がポンプでループ要素320を通して注ぎ込まれる第1の構成をとる。注入手段420は、食塩水の第2のボーラスが定められる第1の構成もとる。
【0224】
図3Bにおいて、調節デバイス340は、第2の構成をとり、そこで、第2のボーラスが定められ、ループ要素320から患者ライン520への接続は開く。注入手段420は、第2の構成もとり、そこで、食塩水の第2のボーラスがループ要素320内に注入され、第1および第2のボーラスは患者ライン520内に入ることができる。
【0225】
図4Aおよび図4Bは、第1のボーラスの注入プロファイルを示している。
【0226】
ボーラス変調とも称される、第1のボーラスの注入プロファイルを調節するときに、注入プロファイル、注入速度およびボーラス体積に影響を及ぼすために利用され得る2つの外部パラメータがある。
【0227】
本発明によれば、第1のボーラスの容積は、ループ要素320の容積によって決定される。ループ要素320の容積は、特定の患者または測定に対して望ましいボーラス体積に応じて変更され得る。
【0228】
本発明によれば、注入速度は、注入手段420によって決定される。注入速度は、特定の患者または測定に対して望ましい速度に応じて変更され得る。
【0229】
これらのパラメータは、手動で、または自動で変更されてよい。
【0230】
さらに、放射能は、第2の放射線検出器(図示せず)によって測定される。正確な測定は、放射能レベルが特定の範囲内にある特定の測定窓内でのみ実行され得る。この範囲、およびしたがって、測定窓は、実行される異なる種類の測定により変わり得る。
【0231】
最も一般的には、注入は一様な注入速度で実行され、その結果、図4Aに示されているような注入プロファイルが得られる。
【0232】
注入速度が一様である結果、注入プロファイルは鋭いピークを有することになる。鋭いピークは、放射能レベルが測定窓の内側にある時間期間、したがって、第2の放射線検出器が第1の注入プロファイルから放射能測定することができる期間を制限する。
【0233】
逆に、注入が、わずかに高い注入速度で開始され、その速度がその後注入時に下げられた場合、図4Bに示されているような注入プロファイルは、注目している領域内により均一に分布し、それにより、放射能レベルが図4Aに示されているような均一な速度による注入が行われる注入プロファイルと比較してより長い時間期間について測定窓の内側にある注入プロファイルをもたらす。
【0234】
放射能レベルがより長い期間にわたって所望の測定窓内にある場合に、たとえば、PET検査装置がデータを蓄積することができるより長い時間期間を有することが可能である。
【0235】
さらに、注入プロファイルを変調することができることは、心臓検査に関して検査しているときに非常に役立ち、注入ボーラスは、患者の脈拍に関して鋭すぎることも、幅広すぎることもあり得ない。鋭すぎるプロファイルは、利用可能な窓内で利用可能なデータ点が少なすぎる結果をもたらす。幅広すぎるプロファイルは、異なる重心時間などの心臓検査に必要なパラメータが決定され得ない結果をもたらす。
【0236】
図5において、弁100は、組み立て済み弁100に組み立てる前に示されている。弁は、弁要素120と、弁ハウジング150と、3つのオーバーフロー陥凹部180A、B、Cとを備える。
【0237】
弁要素120は、第1の端部122と第2の端部123とを備える。第1および第2の端部122、123は、第1の長手方向軸124を画成する。弁要素120は、円筒形である。流路121は、第1の長手方向軸124にほぼ垂直な弁要素120を貫通する。
【0238】
弁ハウジング150は、円筒形であり、円筒形シェル156を備える。シェル156は、第1の端部157、第2の端部158、および第1の端部と第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸159を備える。第2の長手方向軸159は、弁が組み立て済み構成にあるときに、弁要素120の第1の長手方向軸124と同軸である。
【0239】
弁ハウジング150は、シェル156ならびに第1、第2、および第3の弁開口部151A、B、Cによって囲まれた内部スペーシング165をさらに備える。各弁開口部151A、B、Cは、流体がシェル156内に流れ込む、またはシェル156から流れ出るのを可能にする。弁開口部の開口151A、B、Cは、シェルの周方向160において約120度の相互角度で均一に分布する。
【0240】
弁要素120は、第2の長手方向軸159に沿って軸方向移動可能であり、それにより、弁要素120の第2の端部および一部は弁ハウジング150の内部スペーシング165内に挿入可能であり、組み立て済み弁100を形成する。
【0241】
弁要素120は、弁ハウジング150の内側で弁要素120を回転させるためのハンドルを第1の端部のところに備える。ハンドルは、弁要素120の外周126内に配置構成されている第1、第2、および第3の突起部125A、B、Cを備え、突起部125A、B、Cは弁要素120から径方向に延在する。第1および第2の突起部125A、Bは、互いに関して90度の角度で配置構成される。第2および第3の突起部125B、Cは、互いに関して90度の角度で配置構成される。第1および第3の突起部125A、Cは、互いに関して180度の角度で配置構成される。突起部125A、B、Cは、矩形の形状を有する。
【0242】
弁ハウジング150は、第1、第2、および第3の中空接続要素152A、B、Cを備える。接続要素152A、B、Cは、各々、第1の端部153A、B、C、第2の端部154A、B、C、および内部流体空間155A、B、Cを有する。接続要素152A、B、Cは、第2の端部154A、B、Cのところで弁ハウジング150に接続され、それにより、前記流体空間155A、B、Cは、3つの弁開口部151A、B、Cと流体的に接触する。
【0243】
3つの直線的なオーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、弁ハウジング150内に配置構成され、より具体的には、オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、シェル156内に配置構成される。各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、シェル156の前記第1の端部157と前記第2の端部158との間で軸方向に延在する。各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、第1および第2の出口開口部181A、Bを有する。オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、シェルの周方向160において約120度の相互角度で均一に分布する。
【0244】
図6は、組み立て済み弁100の斜視図を示している。
【0245】
弁要素120は、内部スペーシング165の内側に配置構成される。弁要素120は、第2の長手方向軸159の周りで内部スペーシング165の内側で回転可能であり、それにより、弁要素120および弁ハウジング150は、少なくとも3つの異なる開放構成100A、B、Cの間で変化するものとしてよく、第1、第2、および第3の開放構成は、図7A図7B、および図7Cに示されている。
【0246】
弁ハウジング150は、円形底板162を備える。底板162は、第2の端部158の全体にわたって延在するシェル156の第2の端部158に接続され、それにより、底板162は前記第2の端部158のところで内部スペーシング165を閉鎖する。
【0247】
オーバーフロー陥凹部180A、B、Cの3つの出口開口部181Bは、底板162内に配置構成され、それにより、過剰な流体は、底板162を通ってオーバーフロー陥凹部180A、B、Cによって排出され得る。
【0248】
図7A図7B、および図7Cは、第1、第2、および第3の組み立て済み構成の組み立て済み弁の断面図を示している。
【0249】
図7A図7Cにおいて、第1、第2、および第3の接続要素152A、B、Cは、第1、第2、および第3の弁開口部151A、B、Cに接続される。
【0250】
弁要素120および弁ハウジングは、3つの接触領域101A、B、C内で互いに接触している。より具体的には、弁要素120の外周126は、3つの接触領域101A、B、C内の弁ハウジング156のシェル156の内周161に隣接する。接触領域101A、B、Cの各々は、流体ブロック103を形成する。
【0251】
各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、弁要素120と弁ハウジング150との間に配置構成される。オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、流路121と流体的に連通しない。
【0252】
第1のオーバーフロー陥凹部180Aは、第1の接触領域101Aの途切れを定めるように位置決めされる。第2のオーバーフロー陥凹部180Bは、第2の接触領域101Bの途切れを定めるように位置決めされる。第3のオーバーフロー陥凹部180Cは、第3の接触領域101Cの途切れを定めるように位置決めされる。
【0253】
各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、前記接触領域101A、B、Cの途切れを定め、それにより、各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、オーバーフロー流体を排出する安全逃し通気部を定め、過圧がかかった場合に、オーバーフロー流体は、前記それぞれの出口開口部181A、B(図示せず)を通って、前記流体ブロック103を通過する。
【0254】
図7Aにおいて、組み立て済み弁100は、第1の組み立て済み開放構成で示されている。第1および第2の弁開口部151A、Bは、流路121によって接続される。第3の弁開口部151Cは、流路121に接続されない。
【0255】
第1の組み立て済み開放構成100Aは、第1および第2の接続要素152A、B、流路121、ならびに第1および第2の弁開口部151A、Bを通る流れ経路102を有する。
【0256】
第2および第3の接触領域101B、Cは、各々、流路121に接続されていない第3の弁開口部151C内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロック103を形成する。流体が第2の接触領域101B内の流体ブロック103を通る場合、流体は第2のオーバーフロー陥凹部180Bを通して排出される。流体が第3の接触領域101C内の流体ブロック103を通る場合、流体は第3のオーバーフロー陥凹部180Cを通して排出される。
【0257】
図7Bにおいて、組み立て済み弁100は、第2の組み立て済み開放構成で示されている。第2および第3の弁開口部151B、Cは、流路121によって接続される。第1の弁開口部151Aは、流路121に接続されない。
【0258】
第2の組み立て済み開放構成100Bは、第2および第3の接続要素152B、C、流路121、ならびに第2および第3の弁開口部151B、Cを通る流れ経路102を有する。
【0259】
第1および第3の接触領域101A、Bは、各々、流路121に接続されていない第1の弁開口部151A内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロック103を形成する。流体が第1の接触領域101C内の第1のブロック103を通る場合、流体は第1のオーバーフロー陥凹部180Cを通して排出される。流体が第2の接触領域101B内の流体ブロック103を通る場合、流体は第2のオーバーフロー陥凹部180Bを通して排出される。
【0260】
図7Cにおいて、組み立て済み弁100は、第3の組み立て済み開放構成で示されている。第1および第3の弁開口部151A、Cは、流路121によって接続される。第2の弁開口部151Bは、流路121に接続されない。
【0261】
第3の組み立て済み開放構成100Cは、第1および第3の接続要素152A、C、流路121、ならびに第1および第3の弁開口部151A、Cを通る流れ経路102を有する。
【0262】
第1および第2の接触領域101A、Bは、各々、流路121に接続されていない第1の弁開口部151A内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロック103を形成する。流体が第1の接触領域101C内の第1のブロック103を通る場合、流体は第1のオーバーフロー陥凹部180Cを通して排出される。流体が第2の接触領域101B内の流体ブロック103を通る場合、流体は第2のオーバーフロー陥凹部180Bを通して排出される。
【0263】
図7Aおよび図7Cでは、平面Pが例示されている。弁開口部151A、B、Cおよび流れ経路121は、同じ平面P内に配置構成され、前記平面P内に延在する。
【0264】
前記平面Pは、弁が組み立て済み構成をとるときに、第1および第2の軸124、159(図5に示されている)に対してほぼ垂直である。
【0265】
図8および図9において、本発明の第3の態様による安全弁の一実施形態は、未組み立て位置および組み立て済み位置でそれぞれ示されている。この実施形態は、図5図7に示されている実施形態に対応して構成されているが、次のような違いがある。
【0266】
弁要素120は、3つの流路121A、B、Cを有し、各流路は弁要素120を貫通する。
【0267】
弁ハウジング150は、6個の弁開口部151A、B、C、D、E、Fを有する。各弁開口部151A、B、C、D、E、Fは、流体がシェル156内に流れ込む、またはシェル156から流れ出るのを可能にする。弁開口部の開口151A、B、C、D、E、Fは、シェルの周方向160において約60度の相互角度で均一に分布する。弁ハウジング150は、6個の中空接続要素152A、B、C、D、E、Fを有する。
【0268】
弁は、6個のオーバーフロー陥凹部180A、B、C、D、E、Fを備える。オーバーフロー陥凹部は、シェルの周方向160において約60度の相互角度で均一に分布する。
【0269】
組み立て済み弁100は、6個の異なる開放構成100A、B、Cの間で変わることができ、ここにおいて、一方の開放構成では、3つの流れ経路102A、B、Cが、3つの流路121A、B、Cおよび三組の前記弁開口部を通して画成され、他方の前記開放構成では、3つの異なる流れ経路102D、E、Fが、3つの流路121A、B、Cおよび別の異なる三組の前記弁開口部を通して画成され、前記開放構成のうちの第3の構成では、3つの異なる流れ経路102G、H、Iが、3つの流路121A、B、Cおよび別の異なる三組の前記弁開口部を通して画成される。
【0270】
次に示す項目は、本発明の実施形態である。
【0271】
1.陽電子放出断層撮影法において使用するH2 15Oの流れを制御するための弁100であって、弁100は、
弁要素120を貫通する流路121を備える弁要素120と、
少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cを有する弁ハウジング150と、各弁開口部151A、B、Cは流体が前記弁100内に流れ込む、または前記弁100から流れ出るのを可能にする、
各々少なくとも1つの出口開口部を有する、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部とを備え、
ここにおいて、弁要素120および弁ハウジング150は、組み立て済み弁100を形成するように接続可能であり、弁要素120および弁ハウジング150は接触領域において互いに接触しており、
ここにおいて、組み立て済み弁100は、少なくとも2つの異なる構成で配置構成され、前記構成のうちの一方は流路121および一組の前記弁開口部を通る流れ経路を画成し、前記構成うちの他方は流路121および別の異なる一組の前記弁開口部を通る流れ経路を画成し、
ここにおいて、前記少なくとも2つの構成の各々において、
- 各オーバーフロー陥凹部は、弁要素120と弁ハウジング150との間に配置構成され、
- 弁開口部のうちの少なくとも2つは、流路121によって接続され、
- 弁開口部のうちの少なくとも1つは、流路121に接続されず、
- 前記接触領域は、流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロックを形成し、
- オーバーフロー陥凹部は、流路121と流体的に連通せず、
- 各オーバーフロー陥凹部は、前記接触領域の途切れを定めて、オーバーフロー陥凹部がオーバーフロー流体を排出する安全逃し通気部を定めるように位置決めされ、過圧がかかった場合に、オーバーフロー流体は、前記それぞれの出口開口部を通って、前記流体ブロックを通過し、それにより、前記少なくとも2つの構成において、前記オーバーフロー流体が流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に入るのを防がれる、弁100。
【0272】
2.弁ハウジング150は、第1および第2の端部ならびに内部流体空間を有する接続要素をさらに備え、接続要素は第2の端部のところで弁ハウジング150に接続され、それにより、前記流体空間は、前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cのうちの1つと流体的に接触する、項目1に記載の弁100。
【0273】
3.少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁ハウジング150内、および/または弁要素120内に配置構成される、項目1または2に記載の弁100。
【0274】
4.弁要素120は、第1の長手方向軸を画成する第1の端部と第2の端部とをさらに備え、
弁ハウジング150は、
- 第1の端部および第2の端部、ならびに第1の端部と第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸を備えるシェルと、第2の長手方向軸は第1の長手方向軸と同軸である、
- 弁要素120を受け入れるための内部スペーシングと、前記内部スペーシングはシェルによって囲まれる、をさらに備え、
- 少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cは、シェル内に配置構成され、各開口部は、流体が内部スペーシング内に流れ込む、または内部スペーシングから流れ出ることを可能にし、
ここにおいて、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェルの前記第1の端部と前記第2の端部との間に軸方向に延在し、
ここにおいて、弁要素120は、第2の長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であり、それにより、弁要素120の一部は、組み立て済み構成を形成するために弁ハウジング150の内部スペーシング内に挿入可能であり、弁要素120は、第2の長手方向軸の周りの内部スペーシング内で回転可能であり、それにより、弁要素120および弁ハウジング150は、前記少なくとも2つの異なる構成の間で変更することができ、
ここにおいて、弁要素120が前記2つの異なる構成で内部スペーシングの内側に配置構成されたときに、各オーバーフロー陥凹部は、弁要素120とシェルとの間に配置構成される、項目1から3のいずれか一項に記載の弁100。
【0275】
5.弁ハウジング150は3つの弁開口部151A、B、Cを備え、および/または弁は3つのオーバーフロー陥凹部を備え、および/または弁要素120は1つの流路121を備える項目1から4のいずれか一項に記載の弁100。
【0276】
6.少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、シェル内に配置構成され、および/または少なくとも2つオーバーフロー陥凹部は、シェルの第1および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いており、および/または少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、弁要素120の第1および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いている、項目1から5のいずれか一項に記載の弁100。
【0277】
7.シェルは円筒形であり、および/または弁要素120は円筒形であり、および/または弁開口部はシェルの周上に均一に分布し、弁開口部は好ましくは周方向において約120度の相互角度で分布する、項目1から6のいずれか一項に記載の弁100。
【0278】
8.陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製し、注入するためのシステムであって、前記システムは、
- H2 15Oの食塩溶液を作製するための生成手段と、
- 注入する第1のボーラスを定めるためのボーラス手段と、前記第1のボーラスはH2 15Oの前記食塩溶液を備え、事前定義された体積および放射能濃度を有し、前記ボーラス手段は弁100を備える、
- 第1のボーラスの注入プロファイルを調節するための調節手段とを備える、システム。
【0279】
9.作製手段は、
- 高温下で15OおよびH2を備えるガス混合物221をH2 15Oに変換するための変換要素と、
- 前記ガス混合物221の流れを調節するための弁制御要素250と、
- H2 15Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH2 15Oの食塩溶液を作製するための組合せ手段と、
- H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器240とを備え、
ここにおいて、前記弁制御要素250は、第1の放射線検出器240によって調節される、項目8に記載のシステムのための作製手段。
【0280】
10.組合せ手段は、
- H2 15Oおよび第1の食塩溶液を受け入れるための貯槽281と、
- 前記貯槽281から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部と、
- 一方の端部で貯槽281に、他方の端部で減衰ラインに接続され、減衰ラインは液体廃棄物部に接続される、第3のポンプとを備え、
ここにおいて、第3のポンプは、貯槽281から過剰な液体廃棄物を減衰ラインを通して液体廃棄物部に注ぎ込み、
および/または組合せ手段は、
- 貯槽281に食塩溶液を供給するために第1の食塩水供給部に接続される第1のポンプと、
- 減衰ラインに接続されるpH測定デバイスとをさらに備え、
ここにおいて、第1のポンプは、pH測定デバイスによって調節される、項目9に記載の作製手段。
【0281】
11.ボーラス手段は、
- H2 15Oの食塩溶液を備える貯槽281と、
- 貯槽281からループ要素320および調節デバイス340を通してH2 15Oの食塩溶液を循環させて前記貯槽281に戻すための輸送管301と、
- 前記流れを調節するための第2のポンプ302とを備え、
ここにおいて、調節デバイス340は弁を備え、調節デバイス340は第1および第2の構成を有し、調節デバイス340の第2の構成は、H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定め、第1のボーラスは事前定義された量および放射能濃度を有する、項目8に記載のシステムのためのボーラス手段。
【0282】
12.弁は、項目1から5のいずれか一項に記載の弁であり、および/または
ループ要素320は、調整可能な容積を有し、および/または
第1の放射線検出器240は、ループ要素320に隣接して配置構成され、第1の放射線検出器240は第1および第2の検出器ユニットを備え、ここにおいて、前記第1および第2の検出器ユニットは、ループ320要素内に存在するH2 15Oの前記食塩溶液の第1および第2の放射能値を測定する、項目11に記載のボーラス手段。
【0283】
13.調節手段は、
- 第2の食塩水供給部401と、
- H2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを備えるループ要素320と、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収し、前記第2のボーラスを事前定義された速度でループ要素320内に注入し、それにより、第2のボーラスが患者ライン520内に第1のボーラスを押し込むようにするための注入手段420と、
- 患者ライン520に隣接する第2の放射線検出器440と、前記放射線検出器は前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定する、を備え、
ここにおいて、第2のボーラスの前記注入速度および体積は、第1のボーラスの注入プロファイルを調節する、項目8に記載のシステムのための調節手段。
【0284】
14.陽電子放出断層撮影法で使用するH2 15Oを調製するための方法であって、前記方法は、
- 高温下で15OおよびH2を備えるガス混合物221をH2 15Oに変換するステップと、
- 前記ガス混合物221の流れを調節するための弁制御要素250を設けるステップと、
- H2 15Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH2 15Oの食塩溶液を作製するステップと、
- H2 15Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器240を設けるステップと、
- 第1の放射線検出器240により前記ガス混合物221を調節するステップと、
- H2 15Oの食塩溶液を受け入れるための貯槽281を設けるステップと、
- 前記貯槽281から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部を設けるステップと、
- 第3のポンプを設けるステップと、第3のポンプは一方の端部で貯槽281に、他方の端部で減衰ラインに接続され、減衰ラインは液体廃棄物部に接続される、
- 第3のポンプにより、貯槽281から過剰な液体廃棄物を減衰ラインを通して液体廃棄物部に注ぎ込むステップと、
- 貯槽281からループ要素320を通してH2 15Oの食塩溶液を循環させて前記貯槽281に戻すための輸送管301および第2のポンプ302を設けるステップと、
- 調節デバイス340を設けるステップと、
- ループ要素内320でH2 15Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定めるステップと、第1のボーラスは事前定義された体積および放射能濃度を有する、
- 第2の食塩水供給部401を設けるステップと、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収するステップと、
- 前記第2のボーラスを事前定義された速度でループ要素320内に注入し、第2のボーラスが第1のボーラスを患者ライン520内に押し込むようにするステップと、
- 患者ライン520に隣接する第2の放射線検出器440により前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定するステップと、
- 第2のボーラスの前記注入速度および体積により第1のボーラスの注入プロファイルを調節するステップとを備える方法。
【0285】
15.弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、および/または
作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、および/または
ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、および/または
調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または
作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、および/または
作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または
ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または
弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または 作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段であり、および/または 弁は、項目1から7のいずれか一項に記載の弁であり、作製手段は、項目9または10に記載の手段であり、ボーラス手段は、項目11または12に記載の手段であり、調節手段は、項目13に記載の手段である、項目8に記載のシステム。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 陽電子放出断層撮影法で使用するH 2 15 Oを調製し、注入するためのシステムのための調節手段であって、前記調節手段は、
- 第2の食塩水供給部401と、
- H 2 15 Oの食塩溶液の第1のボーラスを備えるループ要素320と、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収し、前記第2のボーラスを事前定義された速度で前記ループ要素320内に注入し、それにより、前記第2のボーラスが患者ライン520内に前記第1のボーラスを押し込むようにするための注入手段420と、
- 前記患者ライン520に隣接し、前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定する第2の放射線検出器440と、を備え、
ここにおいて、前記第2のボーラスの注入速度および体積が、前記第1のボーラスの前記注入プロファイルを調節する、調節手段。
[2] 陽電子放出断層撮影法で使用するH 2 15 Oを調製し、注入するためのシステムであって、前記システムは、
- H 2 15 Oの食塩溶液を作製するための生成手段と、
- 注入する第1のボーラスを定めるためのボーラス手段であって、前記第1のボーラスはH 2 15 Oの前記食塩溶液を備え、事前定義された体積および放射能濃度を有し、前記ボーラス手段は弁100を備える、ボーラス手段と、
- 前記第1のボーラスの注入プロファイルを調節するための[1]に記載の調節手段とを備える、システム。
[3] 陽電子放出断層撮影法において使用するH 2 15 Oの流れを制御するための安全弁100であって、前記安全弁100は、
弁要素120を貫通する流路121を備える前記弁要素120と、
少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cを有する弁ハウジング150であって、各弁開口部151A、B、Cは流体が前記安全弁100内に流れ込む、または前記安全弁100から流れ出るのを可能にする、弁ハウジング150と、
各々少なくとも1つの出口開口部を有する、少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部180A、B、Cとを備え、
ここにおいて、前記弁要素120および弁ハウジング150は、組み立て済み弁100を形成するように接続可能であり、前記弁要素120および前記弁ハウジング150は接触領域101A、B、Cにおいて互いに接触しており、
ここにおいて、前記組み立て済み弁100は、少なくとも2つの異なる開放構成で配置構成され、前記開放構成のうちの一方は前記流路121および一組の前記弁開口部151A、Bを通る流れ経路を画成し、前記開放構成うちの他方は前記流路121および別の異なる一組の前記弁開口部151B、Cを通る流れ経路を画成し、
ここにおいて、前記少なくとも2つの開放構成の各々において、
- 各オーバーフロー陥凹部180A、B、Cは、前記弁要素120と前記弁ハウジング150との間に配置構成され、
- 前記弁開口部のうちの少なくとも2つは、前記流路121によって接続され、
- 前記弁開口部のうちの少なくとも1つは、前記流路121に接続されず、
- 前記接触領域は、前記流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に流体が流れ込むのを防ぐ流体ブロックを形成し、
- 前記オーバーフロー陥凹部は、前記流路121と流体的に連通せず、
- 各オーバーフロー陥凹部は、前記接触領域の途切れを定めて、前記オーバーフロー陥凹部がオーバーフロー流体を排出する安全逃し通気部を定めるように位置決めされ、過圧がかかった場合に、前記オーバーフロー流体は、前記それぞれの出口開口部を通って、前記流体ブロックを通過し、それにより、前記少なくとも2つの開放構成において、前記オーバーフロー流体が前記流路121に接続されていない前記少なくとも1つの弁開口部内に入るのを防がれる、安全弁100。
[4] 前記組み立て済み弁は、前記流路121が前記弁開口部151A、B、Cのどれにも接続されず、したがって、前記流路121および弁開口部を通る流れ経路が定められない第3の異なる閉鎖構成で配置構成され得る、[3]に記載の安全弁100。
[5] 前記弁ハウジング150は、第1および第2の端部ならびに内部流体空間を有する接続要素をさらに備え、前記接続要素は前記第2の端部のところで前記弁ハウジング150に接続され、それにより、前記内部流体空間は、前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cのうちの1つと流体的に接触する、[3]または[4]に記載の安全弁100。
[6] 前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁ハウジング150内に配置構成される、[3]から[5]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[7] 前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120内に配置構成される、[3]から[6]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[8] 前記弁要素120は、第1の長手方向軸120を画成する第1の端部と第2の端部とをさらに備え、
前記弁ハウジング150は、
- 第1の端部および第2の端部、ならびに前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する第2の長手方向軸を備えるシェルであって、前記第2の長手方向軸は前記第1の長手方向軸と同軸である、シェルと、
- 前記弁要素120を受け入れるための内部スペーシングであって、前記内部スペーシングは前記シェルによって囲まれる、内部スペーシングをさらに備え、
- 前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cは、前記シェル内に配置構成され、各開口部は、流体が前記内部スペーシング内に流れ込む、または前記内部スペーシングから流れ出ることを可能にし、
ここにおいて、前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記シェルの前記第1の端部と前記第2の端部との間に軸方向に延在し、
ここにおいて、前記弁要素120は、前記第2の長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であり、それにより、前記弁要素120の一部は、前記組み立て済み構成を形成するために前記弁ハウジング150の前記内部スペーシング内に挿入可能であり、前記弁要素120は、前記第2の長手方向軸159の周りの前記内部スペーシング内で回転可能であり、それにより、前記弁要素120および弁ハウジング150は、前記少なくとも2つの異なる構成の間で変更することができ、
ここにおいて、前記弁要素120が前記2つの異なる構成で内部スペーシングの内側に配置構成されたときに、各オーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120と前記シェルとの間に配置構成される、[3]から[7]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[9] 前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記シェル156内に配置構成され、および/または前記少なくとも2つオーバーフロー陥凹部は、前記シェルの第1および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いており、および/または前記少なくとも2つのオーバーフロー陥凹部は、前記弁要素120の前記第1および/または第2の端部の間に延在し、その中へ開いている、[3]から[8]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[10] 前記組み立て済み弁の前記少なくとも2つの構成において、前記流路121および前記少なくとも3つの弁開口部151A、B、Cは、同じ平面内に配置構成され、延在している、[3]から[9]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[11] 前記平面は、前記弁が前記組み立て済み構成をとるときに、前記第1および第2の長手方向軸124、159に対してほぼ垂直である、[10]に記載の安全弁100。
[12] 前記オーバーフロー流体は、約1~10bar、好ましくは約1から5bar、より好ましくは約1から3barである、[3]から[11]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[13] 前記シェルは、円筒形である、[3]から[12]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[14] 前記弁要素120は、円筒形である、[3]から[13]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[15] 前記弁開口部は、前記シェルの周上に均一に分布し、前記弁開口部は、好ましくは周方向において約120度の相互角度で分布する、[3]から[14]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[16] 前記弁ハウジング150は、3つの弁開口部151A、B、Cを備える、[3]から[15]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[17] 前記弁ハウジングは、3つのオーバーフロー陥凹部を備える、[3]から[16]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[18] 前記弁要素120は、1つの流路121を備える、[3]から[17]のいずれか一項に記載の安全弁100。
[19] 前記弁は、[3]から[18]のいずれか一項に記載の安全弁である、[2]に記載のシステム。
[20] 食塩溶液中でH 2 15 Oを調製し、注入するためのシステムにおける[3]から[18]のいずれか一項に記載の安全弁の使用。
[21] 前記調製し、注入するためのシステムは、[2]に記載のシステムである、[20]に記載の安全弁の使用。
[22] 陽電子放出断層撮影法で使用するH 2 15 Oを調製するための方法であって、前記方法は、
- 高温下で 15 OおよびH 2 を備えるガス混合物221をH 2 15 Oに変換するステップと、
- 前記ガス混合物221の流れを調節するための弁制御要素250を設けるステップと、
- H 2 15 Oを第1の食塩水供給部からの食塩水と組み合わせてH 2 15 Oの食塩溶液を作製するステップと、
- H 2 15 Oの前記食塩溶液中の放射能を測定するための第1の放射線検出器240を設けるステップと、
- 前記第1の放射線検出器240により前記ガス混合物221を調節するステップと、
- H 2 15 Oの前記食塩溶液を受け入れるための貯槽281を設けるステップと、
- 前記貯槽281から過剰なガスを排出するための第2のガス廃棄物部を設けるステップと、
- 第3のポンプを設けるステップと、ここで、前記第3のポンプは一方の端部で前記貯槽281に、他方の端部で減衰ラインに接続され、前記減衰ラインは液体廃棄物部に接続されるものであり、
- 前記第3のポンプにより、前記貯槽281から過剰な液体廃棄物を前記減衰ラインを通して前記液体廃棄物部に注ぎ込むステップと、
- 前記貯槽281からループ要素320を通してH 2 15 Oの前記食塩溶液を循環させて前記貯槽281に戻すための輸送管301および第2のポンプ302を設けるステップと、
- 調節デバイス340を設けるステップと、
- 前記ループ要素内320でH 2 15 Oの前記食塩溶液の第1のボーラスを定めるステップと、ここで、前記第1のボーラスは事前定義された体積および放射能濃度を有するものであり、
- 第2の食塩水供給部401を設けるステップと、
- 前記第2の食塩水供給部401から食塩水の事前定義された第2のボーラスを回収するステップと、
- 前記第2のボーラスを事前定義された速度で前記ループ要素320内に注入し、前記第2のボーラスが前記第1のボーラスを患者ライン520内に押し込むようにするステップと、
- 前記患者ライン520に隣接する第2の放射線検出器440により前記第1のボーラスの注入プロファイルを測定するステップと、
- 前記第2のボーラスの注入速度および体積により前記第1のボーラスの前記注入プロファイルを調節するステップと、を備える、方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9