(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】電気伝導性親水性コポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20220128BHJP
C08F 2/16 20060101ALI20220128BHJP
C08F 226/10 20060101ALI20220128BHJP
C08F 220/44 20060101ALI20220128BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20220128BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220128BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20220128BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20220128BHJP
G02F 1/1343 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F2/16
C08F226/10
C08F220/44
C08F220/18
H01M4/62 B
G02F1/15 508
H01G11/56
G02F1/1343
(21)【出願番号】P 2018547449
(86)(22)【出願日】2016-11-30
(86)【国際出願番号】 GB2016053752
(87)【国際公開番号】W WO2017153705
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2019-11-20
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518231345
【氏名又は名称】スーパーダイエレクトリクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ハイゲイト、ドナルド ジェイムス
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02479449(GB,A)
【文献】特表2005-502990(JP,A)
【文献】国際公開第2004/092277(WO,A1)
【文献】特開2001-031745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 2/60
C08F 6/00-246/00
H01M 4/62
G02F 1/15
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋された電子的に活性な親水性コポリマーを形成する方法であって、以下の工程:
a.水と一緒に本質的に電子的活性な材料を混合して中間混合物を形成する;
b.少なくともひとつの親水性モノマー、少なくともひとつの疎水性モノマーおよび少なくともひとつの架橋剤を中間混合物に添加してコモノマー混合物を形成する;
c.コモノマー混合物を重合させる;
を含み、コモノマー混合物中の水の量が、コモノマー混合物の総重量を基準として、5重量%~50重量%である、方法。
【請求項2】
工程bにおいて、架橋剤の添加の前に、少なくともひとつの親水性モノマーおよび少なくともひとつの疎水性モノマーを中間混合物に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程bにおいて、少なくともひとつの疎水性モノマーの添加の前に、少なくともひとつの親水性モノマーを中間混合物に添加する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
本質的に電子的活性な材料が、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンまたはその組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
本質的に電子的活性な材料が、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネートである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくともひとつの親水性モノマーが、メタアクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルピロリドン、プロペン酸メチルエステル、モノメタクリロイルオキシエチルフタレート、アンモニウムスルファトエチル(sulphatoethyl)メタクリレート、ポリビニルアルコールまたはその組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくともひとつの親水性モノマーが、ビニルピロリドンおよびヒドロキシエチルメタクリレートまたはその組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくともひとつの疎水性モノマーが、メチルメタクリレート、アリルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートまたはその組み合わせから選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくともひとつの疎水性モノマーが、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート、またはその組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
架橋剤が、アリルメタクリレートまたはエチレングリコールジメタクリレートである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
架橋剤および疎水性モノマーの両方が、アリルメタクリレートである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
重合工程が、サーマル、UVまたはガンマ線照射により行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
重合工程が、UVまたはガンマ線照射により行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コモノマー混合物がさらに重合開始剤を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
重合開始剤が、アゾビスイソブチロニトリルまたは2-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノン(methylpriophenone)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
コモノマー混合物中の少なくともひとつの疎水性モノマーに対する少なくともひとつの親水性モノマーの体積比が、20:1~1:1である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
コモノマー混合物中の少なくともひとつの疎水性モノマーに対する少なくともひとつの親水性モノマーの体積比が、20:1~5:1である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
コモノマー混合物中の体積比;少なくともひとつの親水性モノマーおよび少なくともひとつの疎水性モノマー:本質的に電子的活性な材料が、30:1~2:1である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コモノマー混合物中の体積比;少なくともひとつの親水性モノマーおよび少なくともひとつの疎水性モノマー:本質的に電子的活性な材料が、6:1~3:1である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
コモノマー混合物中の本質的に電子的活性な材料に対する水の体積比が、1:1~10:1である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
コモノマー混合物中の本質的に電子的活性な材料に対する水の体積比が、1:1~3:1である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
さらに重合後コポリマーを水和させる工程を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
コポリマーを水和に続いて少なくとも7日間保存する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
コポリマーを水和して、水和されたコポリマーの合計重量に基づいて、少なくとも10重量%の水を含むように水和する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載に記載の方法によって得られうる、均質で等方性の電子的に活性な親水性コポリマー。
【請求項26】
少なくともひとつの疎水性モノマー、少なくともひとつの親水性モノマー、水、少なくともひとつの架橋剤および本質的に電子的活性な材料を含む、コモノマー混合物
であって、コモノマー混合物中の水の量が、コモノマー混合物の総重量を基準として、5重量%~50重量%である、コモノマー混合物。
【請求項27】
3Dプリンティングにおける、請求項26に記載のコモノマー混合物の使用であって、コモノマー混合物が重合されて3D画像を形成する、使用。
【請求項28】
3Dプリンティングが、スクリーン印刷システムまたはインクジェット印刷システムを使用する、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
水性電解質および請求項25に記載のコポリマーを含む、電池。
【請求項30】
電池が鉛蓄電池である、請求項29の電池。
【請求項31】
水または水性電解質、および請求項25に記載のコポリマーを含む、電気化学セル。
【請求項32】
請求項25に記載のコポリマーを含む、光電子ディスプレイデバイス。
【請求項33】
請求項25に記載のコポリマーを含む、携帯電話のスクリーンまたはコンピュータのスクリーン。
【請求項34】
2本の電極およびそれらの間に存在する請求項25に記載のコポリマーを含む、スーパーキャパシタ。
【請求項35】
その構造全体にわたって分散された化学成分と一緒に請求項25に記載のコポリマーを含むセンシングシステムであって、該化学成分が特定の化合物を検知しうるセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、電子的に活性な親水性ポリマーおよびその製造に関する。
【0002】
背景技術
本来電子伝導性ポリマーは公知であり、伝導過程が主に電子移動に依存する材料を意味すると理解される。これは、伝導過程が主にイオン移動に依存するイオン電導性ポリマーとは対照的である。
【0003】
電子伝導性の結果として、電子伝導性ポリマーは、カーバッテリー、携帯電話のスクリーンおよびコンピュータのスクリーンなどの電子システム内での適用性を有し得る。これらの電子システムの機能は、電子の伝達および適切な制御に依存する。電子伝導性ポリマーとしては、一般的な金属の伝導率に近い107S/mの伝導率を達成したポリアセチレンが挙げられ、商業的材料は水中に分散剤として供給される。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS、Clevios 500(登録商標)として市販されている)は、3x104S/mの伝導率を有し、電気化学セルの導体として一般的に使用されるグラファイトの伝導率を超える。
【0004】
しかしながら、電子伝導性ポリマーは水の特性が悪く、水性環境での適用が制限されている。これらの電子伝導性ポリマーは、水性環境に分散または溶解すると不安定になる。したがって、それらは乾燥しているときに最も使用され、水ベースの環境(例えばカーバッテリー)を有する電子システムでは非常に限定的に使用される。電子システムにおける水ベースの環境は、生理食塩水、酸性またはアルカリ性水性環境でありうる。
【0005】
さらに、電子伝導性ポリマーは製造が困難であり、通常は非自立性フィルムとして製造される。これらのポリマーを形成するためには、それらの非自立性のためガラスシートのような固体支持体上で重合が行われる。このように、得られるポリマーは、バルクの三次元構造ではなく、大部分が二次元のフィルムである。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
特定の順序で混合された場合、少なくともひとつの疎水性モノマー、少なくともひとつの親水性モノマー、水、少なくともひとつの架橋剤および本質的に電子的活性な材料を含むコポリマー混合物は、(一度重合されると)新しい電子的に活性な親水性コポリマーを提供することを見出した。この材料は、導電性および水特性において均質で等方性である。それは、その構造全体にわたって、親水性であり、架橋され、電子伝導性である。
【0007】
それらの親水性の結果として、本明細書に記載されたコポリマーは良好な水特性を有し、結果として電子システムの水性環境における性能が向上する(既存の親水性材料は電子伝導性ではなくイオン伝導性である)。コポリマーは、様々な異なる水ベースの環境において安定であり、蒸留脱イオン(DD)水だけでなく、生理食塩水、酸またはアルカリ溶液などの水性環境においても良好に機能する。さらに、本明細書に記載のコポリマーは、優れた機械的性質および電気伝導性も有する。このように、本明細書に開示されるコポリマー材料は、カーバッテリーのような水ベースの環境を有するものなどの電子システム内での広い適用性を有する。これは、悪い水の特性のために乾燥した環境においてのみ従来から使用されているPEDOT:PSSなどの既存の電子材料とは対照的である。
【0008】
さらに、コモノマー混合物を得るために使用される特定の混合順序は、バルクの三次元コポリマー構造(大部分は二次元ポリマーフィルムではなく)を達成することを可能にする。得られるコポリマーは自立性であり、したがって、基板上に重合する必要はない。
【0009】
第一の態様において、本発明は、以下の工程を含む架橋された電子的に活性な親水性コポリマーを形成する方法を提供する:
a.本質的に電子的活性な材料を水と一緒に混合し中間混合物を形成する;
b.少なくともひとつの親水性モノマー、少なくともひとつの疎水性モノマーおよび少なくともひとつの架橋剤を中間混合物に添加してコモノマー混合物を形成する;
c.コモノマー混合物を重合させる。
【0010】
第二の態様においては、本発明は、本発明の第一の態様の方法により得られうる均質で等方性の電子的に活性な親水性コポリマーを提供する。
【0011】
第三の態様においては、本発明は、少なくともひとつの疎水性モノマー、少なくともひとつの親水性モノマー、水、少なくともひとつの架橋剤および本質的に電子的活性な材料を含むコモノマー混合物を提供する。
【0012】
さらなる態様は、独立請求項に定義されており、電子システムを利用する様々な工業製品が挙げられる。そのような工業製品のひとつがスーパーキャパシタである。それらの改善された電子特性の結果として、本明細書に記載されるコポリマーは、スーパーキャパシタシステム内の電解質成分として使用してもよい。本明細書に記載されたコポリマーがこの文脈で使用される場合、結果として得られるスーパーキャパシタは特に高いキャパシタンス値を達成する。さらに、本明細書に記載のコポリマーの改善された機械的性質および自立性の結果として、得られるスーパーキャパシタは追加のセパレータを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、最大レベルの水和が達成された後のVP-PEDOTPSS 4:1 (AN有およびAN無)を示す。
【
図2】
図2は、最大レベルの水和が達成された後のVP-PEDOTPSS 3:1 (AN有およびAN無)を示す。
【0014】
好ましい態様の説明
本明細書で使用するとき、用語「モノマー」は、当技術分野での通常の定義をとり、別のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る分子化合物を指す。
本明細書で使用するとき、用語「コモノマー混合物」は、当該技術分野での通常の定義をとり、重合したときにコポリマーを形成する混和性モノマーの溶液または分散液を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「架橋剤」は、ポリマー鎖の間に化学結合を形成することができる分子化合物を指し、メチレンビスアクリルアミド、N-(1-ヒドロキシ-2,2-ジメトキシエチル)アクリルアミド、アリルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートなどの化合物が挙げられる。アリルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。架橋剤は、疎水性または親水性であってもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「重合開始剤」は、当該技術分野において通常の定義をとり、化学重合の過程、例えばフリーラジカル重合を開始することができる薬剤を指す。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)および-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノン(methylpriophenone)はかかる開始剤の例である。重合がサーマル手段による場合はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が有用であり、2-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノンはUV重合での使用に適している。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「中間混合物」は、さらなる成分が添加される溶液または分散液を指す。例えば、コモノマー混合物を形成するという文脈において、用語「中間混合物」は、完全なコモノマー混合物の全てではないが一部の成分を含む混合物を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「コポリマー」は、当該技術分野において通常の定義をとり、ポリマー鎖が2つ以上の異なるタイプのモノマーを含むポリマーを指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、ポリマー材料に関して使用される場合の用語「水特性」は、水および他の水性環境(例えば生理食塩水)に対するそのポリマー材料の特性および挙動、すなわち水性環境におけるその親水性および安定性を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、ポリマー材料に関して使用される場合の用語「均質な」は、その物理的特性(例えば、導電特性および水特性)がその全体の構造全体にわたって実質的に均一であるポリマー材料を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、ポリマー材料に関して使用される場合の用語「等方性」は、その性質がすべての配向において同じであるポリマー材料を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、コモノマー混合物に関して使用される場合の用語「均質な」は、均一に溶解または混合される混和性モノマーを含むコモノマー溶液または分散液を指す。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「親水性ポリマー」は、架橋されていないときに水に溶解し、架橋したときに水を吸収して膨潤して安定な弾性固体を形成するポリマーを指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「親水性モノマー」は、当該技術分野において通常の定義をとり、水分子に対する親和性を有するモノマーを指す。用語「疎水性モノマー」は、当該技術分野において通常の定義をとり、水分子をはじくモノマーを指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「電気的に活性な」は、当該技術分野において通常の定義をとり、従って、電子的に活性な材料およびイオン的に活性な材料の両方を包含することができる。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「電子的に活性な材料」は、当技術分野での通常の定義をとり、伝導過程が主に電子伝達に依存するか、またはインターフェースで出力として電子が生成される材料を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「本質的に電子的活性な材料」は、さらなる修飾を必要とせずに電子的に活性化される電子的活性な材料を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「イオン活性材料」は、当該技術分野において通常の定義をとり、伝導過程が主にイオン移動に依存する材料を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、中間またはコモノマー混合物中の成分としての用語「水」は、添加された水を指し、すなわち、例えばかかる原材料が水溶液または分散液として供給される場合には残りの成分の原材料に既に付随する水を含まない残りの成分に加えられた水を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「液体電解質」は、当該技術分野において通常の定義を有し、水、アセトニトリル、プロピレンカーボネートまたはテトラヒドロフランなどの溶媒に溶解させた、カチオン(カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムなど)溶液およびアニオン(クロライド、カーボネートおよびホスフェートなど)溶液を指す。本明細書で使用するとき、用語「水性電解質」は、当該技術分野で通常の定義をとり、カチオン(例えばカリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムなど)およびアニオン(クロライド、カーボネートおよびホスフェートなど)を含む水溶液を指す。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「光電子ディスプレイデバイス」は、当該技術分野において通常の定義をとり、したがって、赤外線紫外線または可視光などの電磁エネルギーを供給、検出および制御することができるデバイスを指す。
【0032】
第一の態様において、本発明は、以下の工程を含む、架橋された電子的に活性な親水性コポリマーを形成する方法を提供する:
a.本質的に電子的活性な材料を水と一緒に混合して中間混合物を形成する;
b.少なくともひとつの親水性モノマー、少なくともひとつの疎水性モノマーおよび少なくともひとつの架橋剤を中間混合物に添加してコモノマー混合物を形成する;
c.コモノマー混合物を重合させる。
好ましくは、電子的に活性な材料はポリマーである。
【0033】
本発明の第1の態様に従って、成分を特定の順序で混合する場合、均質なコモノマー混合物が得られることが分かった。これは、他の可能な混合順序とは対照的であり、重合工程中に成分が別個の層に分離しやすくなり、それによって連続材料の形成が妨げられる。これらの問題が本明細書に開示された方法で回避されるので、自立性の連続バルク三次元コポリマー構造が達成される。
【0034】
好ましくは、本質的に電子的活性な材料は、PEDOT:PSSである。本明細書に開示された方法とは別の他の混合順序に関連する問題は、PEDOT:PSSに対して特に顕著である。しかし、本発明の文脈において、PEDOT:PSSが本質的に電子的活性な材料として使用される場合、実施例に示すように、良好な結果が達成される。
【0035】
好ましくは、工程bにおいて、架橋剤の添加前に、少なくともひとつの親水性モノマーおよび少なくともひとつの疎水性モノマーを中間混合物に添加する。
【0036】
好ましくは、工程bにおいて、少なくともひとつの疎水性モノマーの添加の前に少なくともひとつの親水性モノマーを中間混合物に添加する。
【0037】
好ましくは、少なくともひとつの親水性モノマーは、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート(例、2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、エチルアクリレート、ビニルピロリドン(例、n-ビニル-2-ピロリドン)、プロペン酸メチルエステル(例、プロペン酸2-メチルエステル)、モノメタクリロイルオキシエチルフタレート、ポリ-ビニルアルコール、アンモニウムスルファトエチル(sulphatoethyl)メタクリレート、またはその組み合わせから選択される。好ましくは、コモノマー混合物はひとつの親水性モノマーを含む。
【0038】
より好ましくは、少なくともひとつの親水性モノマーは、ビニル-2-ピロリドン(VP)および2-ヒドロキシエチルメタクリレートまたはその組み合わせから選択される。より好ましくは、少なくともひとつの親水性モノマーは、1-ビニル-2-ピロリドン(VP)および2-ヒドロキシエチルメタクリレートまたはその組み合わせから選択される。
【0039】
好ましくは、少なくともひとつの疎水性モノマーは、メチルメタクリレート、アクリロニトリル(AN)、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、アリルメタクリレートまたはその組み合わせから選択される。好ましくは、コモノマー混合物は、ひとつの疎水性モノマーを含む。
【0040】
より好ましくは、少なくともひとつの疎水性モノマーは、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート、またはその組み合わせから選択される。
【0041】
好ましくは、少なくともひとつの架橋剤は、アリルメタクリレートまたはエチレングリコールジメタクリレートから選択される。
【0042】
上の定義から理解されるように、上で使用される用語は必ずしも相互に排他的ではない。例えば、用語「疎水性モノマー」および「架橋剤」は必ずしも相互に排他的ではない。本発明において、疎水性モノマーと架橋剤は、同一でも異なっていてもよい。
【0043】
特定の形態では、疎水性モノマーは、架橋剤と同じであってもよい。例えば、特定の実施形態では、架橋剤および疎水性モノマーの両方がアリルメタクリレートである。
【0044】
いくつかの実施形態では、親水性モノマーおよび/または疎水性モノマーは非架橋性である。用語「非架橋性疎水性モノマー」、「非架橋性親水性モノマー」および「架橋剤」の間に重複はない。これらの実施形態において、架橋剤、疎水性モノマーおよび親水性モノマーは、異なる化学種である。
【0045】
好ましくは、疎水性モノマーは、架橋剤とは異なる化学種である。これらの実施形態において、架橋剤とは異なる疎水性モノマーの使用は、実施例に記載されるように、特に良好な機械的安定性を有するコポリマーの形成を可能にする。
【0046】
好ましくは、重合工程は、サーマル、UVまたはガンマ線照射により行われる。
【0047】
より好ましくは、重合工程は、UVまたはガンマ線照射により行われる。
【0048】
好ましい実施形態においては、コモノマー混合物はさらに重合開始剤を含む。重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)または2-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノン(methylpriophenone)を含んでもよい。
【0049】
重合開始剤の存在は、重合がサーマルまたはUV照射による場合に特に好ましい。ひとつの実施形態では、重合はサーマル手段によるものであり、開始剤はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。別の実施形態では、重合はUV照射によるものであり、開始剤は2-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノン(methylpriophenone)である。
【0050】
コモノマー混合物の個々の成分は、均一に混合して均質な溶液または分散液を形成するのに十分な量で含まれていなければならない。
【0051】
疎水性モノマーは、コモノマー混合物の総重量を基準にして、5重量%~80重量%、好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは5重量%~20重量%の量で存在し得る。親水性モノマーは、コモノマー混合物の総重量を基準にして、5重量%~90重量%、好ましくは5重量%~80重量%、最も好ましくは50重量%~70重量%の量で存在し得る。架橋剤は、コモノマー混合物中に、コモノマー混合物の総重量を基準にして、1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~15重量%、最も好ましくは2重量%~10重量%で存在し得る。本質的に電子的活性な材料は、1重量%~20重量%、最も好ましくは2重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0052】
コモノマー混合物中の水の量は、均一に混合された均質な溶液または分散液を提供するのに十分でなければならず、水に不溶性である本質的に電気的活性な材料を均一に分散させるのに十分でなければならない。コモノマー混合物中の水の量は、コモノマー混合物の総重量を基準として、1重量%~50重量%、好ましくは5重量%~50重量%、最も好ましくは5重量%~20重量%であり得る。
【0053】
好ましくは、コモノマー混合物中の少なくともひとつの疎水性モノマーに対する少なくともひとつの親水性モノマーの比は、20:1~1:1、より好ましくは20:1~5:1、特に10:1である。
【0054】
好ましくは、コモノマー混合物中の比、少なくとも1種の親水性モノマーおよび少なくとも1種の疎水性モノマー:本質的に電子的活性な材料は、30:1~2:1、より好ましくは6:1~3:1である。
【0055】
好ましくは、コモノマー混合物中の本質的に電子的活性な材料に対する水の比は、1:1~10:1、好ましくは1:1~3:1、特には2:1である。
【0056】
上記の好ましい比率で成分を使用すると、特に良好な結果が達成されることが見出されている。これらの比で使用する場合、成分は特に互いに混和性であり、これは重合工程および連続バルクコポリマー材料の形成を助ける。言及した比は、種々の成分の体積比である。
【0057】
好ましい実施形態では、コポリマーは重合後に水和される。この水和工程は、蒸留脱イオン(DD)水を用いて、または生理食塩水、食塩水、酸、またはアルカリ溶液などの水溶液を用いて行ってもよい。生理食塩水が水和工程に使用される場合、生理食塩水は、好ましくは水に0.002g/cc~0.1g/ccのNaCl、より好ましくは水に0.009g/ccのNaClを有する。食塩水溶液を水和工程に使用する場合、食塩水溶液は好ましくは水に0.3g/ccのNaClを有する。酸溶液が水和工程に使用される場合、酸は好ましくは5mol/dm3のH2SO4である。アルカリ溶液が水和工程に使用される場合、アルカリ溶液は好ましくはKOHの水溶液であり、KOHは10重量%~30重量%で存在する。この水和工程により、コポリマー中の水の量は、水和したコポリマーの総重量に対して少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%になる。理論に拘束されることを望むものではないが、水がこの量で存在する場合、それは「可塑剤」として作用し、コポリマーの他の成分が十分な分子間移動度を有することを可能にし、時間が経つにつれてコモノマーの形成が自己組織化される。例えば、この自己組織化は、約7~14日の期間内に起こり得る。製造および/またはさらなる水和に続いて、コポリマーの電気的特性が経時的に改善することが観察されている。このように、好ましい実施形態では、水和後に少なくとも7日間、好ましくは少なくとも14日間、コポリマーを保存する。水和後54日の期間にわたって特性が改善されることを実証している実施例で示されているように、水和後にコポリマーが安定するだけでなく、改善された電気伝導性も示す。
【0058】
コモノマー混合物は、UV、ガンマ線またはサーマル照射を用いて提供および重合されてもよい。UVまたはガンマ線照射は周囲温度および圧力下で実施してもよく、サーマル重合は70℃までの温度で行ってもよい。
【0059】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に関して記載された実施形態のいずれかによる方法によって得ることができる均質で等方性の電気的に活性な親水性コポリマーを提供する。かかる均質なコポリマーは新規であると考えられる。
【0060】
第3の態様において、本発明は、少なくともひとつの疎水性モノマー、少なくともひとつの親水性モノマー、水、少なくともひとつの架橋剤、および本質的に電子的活性な材料を含むコモノマー混合物を提供する。
【0061】
好ましい疎水性モノマー、親水性モノマー、本質的に電子的活性な材料および架橋剤は上記定義の通りである。
【0062】
上述のコモノマー混合物の重合は、本明細書に開示される均質で等方性の電気的に活性な親水性コポリマーをもたらす。
【0063】
本明細書に開示されるコポリマーおよびコモノマー混合物は、様々な用途で使用することができ、水ベースの環境を有する電子システムで特に有用である。しかしながら、本明細書に開示されたコポリマーは、他の電子システム、すなわち、それらの優れた機械的特性および電気伝導性のために、非水性ベースの環境で使用される場合にも利点を提供する。
【0064】
好ましくは、本明細書に開示されるコモノマー混合物は、コモノマー混合物が重合されて3D画像を形成する3Dプリンティングにおいて使用される。コモノマー混合物から形成されたコポリマーの親水性は3D印刷画像を形成する際に有利であると考えられる。
【0065】
好ましくは、本明細書に開示されるコポリマーは、水性電解質と共に電池中で使用される。好ましくは、電池は鉛蓄電池である。あるいは、本明細書に開示されたコポリマーは、水または水性電解質と共に電気化学セルに使用される。この実施形態では、電池または電気化学セルは、本発明のコポリマーの有利な特性のために可能になるフレキシブルであってもよい。特定の実施形態では、本明細書に開示されるコポリマーは、光電池において使用される。
【0066】
好ましくは、本明細書に開示されるコポリマーは、スーパーキャパシタシステム内の電解質成分として使用される。当業者には理解されるように、スーパーキャパシタは一般にふたつの電極とその間に配置された電解質成分とを含む。スーパーキャパシタによって達成される最大キャパシタンス値は、電解質の性質ならびに電極の性質に依存し得る。また当業者には理解されるように、複数の異なる種類のスーパーキャパシタシステムが存在する。これらには、2層スーパーキャパシタ、疑似容量性スーパーキャパシタ、およびハイブリッドスーパーキャパシタが含まれる。二層スーパーキャパシタは、通常、比較的低コストの炭素電極を含む。二層スーパーキャパシタのキャパシタンスは主に静電キャパシタンスである。一方、擬似容量性スーパーキャパシタは、電解質と一緒に酸化還元(レドックス)反応を受けることができる比較的高価な電極を含む。そのようなレドックス活性電極は、例えば、ランタンルテニウムまたはバナジウムを含むことができる。したがって、疑似容量性スーパーキャパシタのキャパシタンスは、電気化学キャパシタンスによって著しく増加(または増大)される。ハイブリッドスーパーキャパシタは、異なる特性を有する電極の組み合わせを含み、例えば、ひとつの炭素電極と、電解質とのレドックス反応を受けることができるひとつの電極とを含むことができる。したがって、ハイブリッドスーパーキャパシタのキャパシタンスは、静電キャパシタンスと電気化学キャパシタンスとの組み合わせである。従来、上記スーパーキャパシタシステム内の電解質成分は液体電解質である。
【0067】
本明細書に開示されたコポリマーがスーパーキャパシタの従来の液体電解質の代わりに使用される場合、得られるスーパーキャパシタは特に高いキャパシタンス値を達成する。理論に拘束されることを望むものではないが、疑似容量性スーパーキャパシタは、電解質と電極とが相互にレドックス反応下への能力により、より高い静電キャパシタンス値を達成すると考えられる。理論に束縛されることを望まないが、本明細書に開示されたコポリマーの電子特性は有効なレドックス反応が達成され、それにより特に増加したキャパシタンス値を提供するようなものであると考えられる。良好なキャパシタンス値は、ハイブリッドスーパーキャパシタの状況においても達成される。要約すれば、所与のスーパーキャパシタシステムおよび所与の電極に関して、スーパーキャパシタ内の電解質成分として本明細書で開示されるコポリマーを使用する場合、最大キャパシタンスが増加する。さらに、コポリマーは、商業的に許容可能な電圧範囲にわたって安定している。
【0068】
さらに、本明細書に記載のコポリマーの改善された機械的特性および自立性の結果として、本明細書で開示されるコポリマーを電解質成分として含むスーパーキャパシタは、追加のセパレータを必要としない。従来、スーパーキャパシタシステム内で液体電解質が使用される場合、スーパーキャパシタは、ふたつの電極間の分離を維持するために、追加のセパレータをさらに備える必要がある。本明細書に記載のコポリマーが従来の液体電解質の代わりに使用される場合、それらの機械的性質および自立性は、追加のセパレータがない場合でも電極間の分離が維持されるほどである。
【0069】
別の実施形態では、本明細書に開示されるコポリマーは、センシングシステムにおいて使用される。センシングシステムは、1つ以上の化学成分を含んでもよく、これらの化学成分は特定の化合物を検出することができる。有利には、これらの1つ以上の化学成分は、本明細書に開示されるコポリマーの構造全体に分散されてもよく、得られるコポリマーは、センシングシステムに含まれてもよい。本明細書に開示されるコポリマーは、コポリマー構造内に安定して保持される化学成分のための支持マトリックスとして作用し、その検出能力が保存されるように作用する。そのようなセンシングシステムによって検出される特定の化合物としてはグルコースを挙げることができる。当業者は、グルコースを検出することができる化学成分に精通しており、そのような化学成分として、ベネディクト試薬(無水炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび硫酸銅(II)五水和物を含む)を挙げることができる。
【0070】
別の実施形態では、本明細書で開示されるコポリマーは、光電子ディスプレイデバイスに使用される。この実施形態では、好ましくは、光電子ディスプレイデバイスは、フレキシブルであり、これは、本発明のコポリマーの有利な特性によって可能である。
【0071】
別の実施形態では、本明細書に開示されるコポリマーは、接着ジャンクションが隣接する電気伝導性成分の間に配置される、電気伝導性接着ジャンクションを形成するために使用してもよい。好ましくは、接着ジャンクションと共に隣接する電気伝導性成分は、2D電気チップのスタックのような集積回路のスタックを形成する。
【0072】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0073】
実施例1:4:1 VP対PEDOT-PSS
ビニルピロリドンとPEDOT-PSSとを4:1の比でアリル-メタクリレート(架橋剤および疎水性コモノマーとして)と共に使用して、第1の親水性コポリマーを調製した。さらに、ビニルピロリドンおよびPEDOT-PSSを4:1の比で、アリルメタクリレート(架橋剤として)およびアクリロニトリル(疎水性コモノマーとして)と共に使用して、第2の親水性コポリマーを調製した。
【0074】
PEDOT-PSSに対するVPの4:1の比を得るために、マグネチックスターラーバーを用いて撹拌しながらPEDOT-PSS1mlに水1.5mlを加えた。次いで、4-ビニル-1-ピロリドン4mlをPEDOT-PSS/水混合物に滴下した。均質な混合物が得られた後、アリルメタクリレート0.195mlを2-ヒドロキシ-2-メチルプリオフェノン(開始剤として)0.13mlと同様に加えた。次いで、コモノマー混合物をUV下で硬化させて、第1の架橋コポリマーを製造した。
【0075】
上記工程は、架橋剤(アリルメタクリレート)の添加後かつ硬化工程の前にコモノマー混合物に6重量%のアクリロニトリルを添加して追加の工程を繰り返し、第2の架橋コポリマーを得た。
【0076】
各コポリマーはDD水中で水和され、最大レベルの水和が達成された直後に;第1のコポリマー(すなわち、アクリロニトリルが存在しない)については、含水率が約69%に達したときであり、第2のコポリマー(すなわち、アクリロニトリルが存在する)については、約63%の含水率に達したとき;伝導率を試験した。次いで、水和後54日の期間の後に電気的特性を測定した。結果を表1(下記)および
図1に示す。
【0077】
表1において、用語「膨張率」とは、最大レベルの水和に到達した後のコポリマーの厚さ(すなわち、コポリマーの最短線形寸法)を、水和前のコポリマーの厚さで割ったものを指す。厚さは、マイクロメーター、バーニアキャリパーまたは走行顕微鏡などの任意の適切な手段によって測定した。
【0078】
【0079】
見られるように、両方のコポリマーは、水和直後に良好な電気伝導性を示す。両方のコポリマーは水和後54日後に改善された電気特性を示した。アクリロニトリル(AN)の添加は、良好なレベルの電気伝導性を維持しながら、水和前後のポリマーの機械的特性を改善するコポリマーを提供する。
【0080】
実施例2: 3:1 VP対PEDOT-PSS
ビニルピロリドンとPEDOT-PSSを3:1の比でアリル-メタクリレート(架橋剤および疎水性コモノマーとして)と共に使用して、第1の親水性コポリマーを調製した。さらに、ビニルピロリドンおよびPEDOT-PSSを3:1の比で、アリルメタクリレート(架橋剤として)およびアクリロニトリル(疎水性コモノマーとして)とともに使用して、第2の親水性コポリマーを調製した。
【0081】
1-ビニル-2-ピロリドンを3ml(4mlではなく)使用した以外は、実施例1と同様の方法でコポリマーを調製した。
【0082】
各コポリマーをDD水中で水和し、最大水和レベルが達成された直後;第1のコポリマー(すなわち、アクリロニトリルが存在しない)については、含水率が約61%に達したときであり、第2の共重合体(すなわち、アクリロニトリルが存在する)については、含水率が約57%に達したとき;に伝導率を試験した。次いで、水和後54日の期間の後に電気的特性を測定した。結果を表2(下記)および
図2に示す。表2の膨張率は、表1と同様にして算出した。
【0083】
【0084】
実施例1と同様に、両方のコポリマーは、水和の直後に良好な導電性を示す。両方のコポリマーは水和後54日後に改善された電気特性を示した。アクリロニトリル(AN)の添加は、良好なレベルの電気伝導性を維持しながら、水和前後のポリマーの機械的特性を改善するコポリマーを提供する。
【0085】
実施例1および2の両方について、最適な電気伝導性を達成するために水和が必要であった。