(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】Cucumis sativus植物における2つの収量QTLの遺伝子導入
(51)【国際特許分類】
A01H 6/34 20180101AFI20220128BHJP
A01H 1/02 20060101ALI20220128BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20220128BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20220128BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220128BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20220128BHJP
【FI】
A01H6/34 ZNA
A01H1/02 Z
A01H5/00 A
A01H5/00 Z
A01H5/10
C12N15/11 Z
C12Q1/68
(21)【出願番号】P 2018554073
(86)(22)【出願日】2017-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2017058759
(87)【国際公開番号】W WO2017178520
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-04
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】NCIMB NCIMB42545
(73)【特許権者】
【識別番号】517030099
【氏名又は名称】ヌンヘムス、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】NUNHEMS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、アーノルト、ヘイスベルト、クラーン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ベーンダース
(72)【発明者】
【氏名】マリオン、ファン、デ、バル
(72)【発明者】
【氏名】フレディー、ビレム、カレル、ヘルマンス
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ペーター、クールワイン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト、テー.エム.ルーリング
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ、エム.カーサ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ディー.タンクスレイ
(72)【発明者】
【氏名】フライ、カンハル
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】PLANT BREEDING,2008年,Vol.127,p.180-188
【文献】Euphytica,2008年,Vol.164,p.473-491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A01H
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュウリの野生近縁種の遺伝子移入断片を、第2染色体上にホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培キュウリ(Cucumis sativus var. sativus)植物であって、前記遺伝子移入断片がキュウリの果実収量を増加させる量的形質遺伝子座QTL2.1を含み、該QTL2.1が配列番号1のSNP_01と配列番号26のSNP_26との間に位置し、かつ寄託番号NCIMB42545として寄託された種子
中に見出され、前記第2染色体上の遺伝子移入断片が、
下記の分子マーカーの少なくとも10種の分子マーカー:
a)配列番号1の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型、
b)配列番号2の一塩基多型マーカーSNP_02のGGまたはGA遺伝子型、
c)配列番号3の一塩基多型マーカーSNP_03のGGまたはGA遺伝子型、
d)配列番号4の一塩基多型マーカーSNP_04のTTまたはTC遺伝子型、
e)配列番号5の一塩基多型マーカーSNP_05のTTまたはTC遺伝子型、
f)配列番号6の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型、
g)配列番号7の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型、
h)配列番号8の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型、
i)配列番号9の一塩基多型マーカーSNP_09のTTまたはTG遺伝子型、
j)配列番号10の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型、
k)配列番号11の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型、
l)配列番号12の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型、
m)配列番号13の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型、
n)配列番号14の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型、
o)配列番号15の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型、
p)配列番号16の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型、
q)配列番号17の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型、
r)配列番号18の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型、
s)配列番号19の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型、
t)配列番号20の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型、
u)配列番号21の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型、
v)配列番号22の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型、
w)配列番号23の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型、
x)配列番号24の一塩基多型マーカーSNP_24のGGまたはGT遺伝子型、
y)配列番号25の一塩基多型マーカーSNP_25のGGまたはGA遺伝子型、
および
z)配列番号26の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型、
を検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である、前記植物。
【請求項2】
前記キュウリの果実収量の増加が、同一環境下で生育した場合に、遺伝子移入断片を含む植物系統の植物当たりの平均果実数(FrPP)が、遺伝子移入断片を含まない遺伝的対照系統と比較して有意に高いこと、および/または、同一環境下で生育した場合に、遺伝子移入断片を含む植物系統の植物当たりの平均果実重量(GrPP)が、遺伝子移入断片を含まない遺伝的対照系統と比較して有意に高いことにより、表現型的に表現される、請求項1に記載の植物。
【請求項3】
第6染色体上に遺伝子移入断片をさらに含み、前記第6染色体上の遺伝子移入断片が、キュウリの果実収量を増加させる量的形質遺伝子座QTL6.1を含み、該QTL6.1が配列番号27のSNP_27と配列番号40のSNP_40との間に位置し、かつ寄託番号NCIMB42545として寄託された種子
中に見出され、前記第6染色体上の遺伝子移入断片が、
下記の分子マーカーの少なくとも10種の分子マーカー:
a)配列番号27の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型、
b)配列番号28の一塩基多型マーカーSNP_28のTTまたはTC遺伝子型、
c)配列番号29の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型、
d)配列番号30の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型、
e)配列番号31の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型、
f)配列番号32の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型、
g)配列番号33の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型、
h)配列番号34の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型、
i)配列番号35の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型、
j)配列番号36の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型、
k)配列番号37の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型、
l)配列番号38の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型、
m)配列番号39の一塩基多型マーカーSNP_39のAAまたはAC遺伝子型、
および
n)配列番号40の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型、
を検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である、請求項1または2に記載の植物。
【請求項4】
両方の遺伝子移入断片がヘテロ接合型である、請求項3に記載の植物。
【請求項5】
前記QTL2.1が、第2染色体の5.0Mbから始まり11.0Mbで終わる領域に物理的に位置し、QTL6.1が、第6染色体の25.0Mbから始まりから29.0Mbで終わる領域に物理的に配置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の植物。
【請求項6】
前記第2染色体上の遺伝子移入断片がヘテロ接合型である、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物。
【請求項7】
前記植物が、以下のキュウリ型:スライスキュウリ(slicing cucumber)、長キュウリ(long cucumber)、ヨーロッパの温室キュウリ(European greenhouse cucumber)のうちの1つである、請求項1~6のいずれか一項に記載の植物。
【請求項8】
前記植物が、単交雑F1交配種または近交系である、請求項1~7のいずれか一項に記載の植物。
【請求項9】
植物が、受粉しない無核果を産生する、請求項1~8のいずれか一項に記載の植物。
【請求項10】
前記第2染色体上の遺伝子移入断片が、平均果実長を減少させる負の収量QTLを含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の植物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の植物を生育させる、種子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュウリ育種の分野に関する。ピックルキュウリ(pickling cucumbers)(例えば、アメリカピックル型、ヨーロッパピックル型)、スライスキュウリ(slicing cucumbers)(例えば、アメリカスライス型)、長キュウリ(long cucumbers)、短キュウリ(short cucumbers)、ヨーロッパ温室キュウリ(European greenhouse cucumbers)、ベイト-アルファ型キュウリ、オリエンタルトレリス型キュウリ(oriental trellis type cucumbers)(「バープレス(burpless)」としても市販されている)、アジアキュウリ(インドマダラキュウリ(Indian Mottled cucumber)型、中国長キュウリ型、韓国キュウリ型および日本キュウリ型等の異なる型にさらに細分化することができ、1つ目はインドキュウリグループに属し、後の3つは東アジアキュウリグループに属する)等の栽培キュウリ(Cucumis sativus var. sativus)の収量を向上させるために使用することができる、栽培キュウリゲノムの第2染色体上に位置する量的形質遺伝子座(QTL)の遺伝子移入および/または栽培キュウリゲノムの第6染色体上に位置するQTLの遺伝子移入が提供される。
【0002】
第2染色体上の収量増加QTLは、本明細書においてQTL2.1と呼ばれ、第6染色体上の収量増加QTLは、QTL6.1と呼ばれる。一つの態様では、両方が同一のキュウリ野生近縁種、すなわち同じ寄託番号から遺伝子移入され、一つの態様では、同一の植物から遺伝子移入される。寄託された一つの植物を用いて倍加単数体が作出され、それを用いてQTLをヨーロッパ長キュウリ型にマッピングおよび遺伝子移入した。この型から、一方または両方のQTLを、短キュウリ型等の他のキュウリ型、または任意の他のキュウリ育種系統もしくは品種に容易に移入することができる。ホモ接合型の両方の遺伝子移入断片を含む種子は、寄託番号NCIMB42545として寄託されている。
【0003】
マッピングプロジェクトのように、第2染色体上の収量増加QTLは当初発見されなかったが、果実重量を減少させる負の収量QTLが同じ領域で見出された(
図1参照、上は第2染色体上の正の収量QTLであるQTL2.1のLODダイアグラムであり、下は第2染色体上の負の収量QTLであるQTL2.2のLODダイアグラムである)。
【0004】
さらなる戻し交雑、および試験交雑による収量試験を行うことによってはじめて、第2染色体上の正の収量QTLおよび負の収量QTLを分離することができ、すなわち異なる領域にあることが明らかとなった。
【0005】
負の収量QTLの効果は、QTL2.1およびQTL2.2の両方を有する遺伝子移入断片を含む系統と、QTL2.1のみを含む(QTL2.2を欠く)系統とを比較することにより明らかになった。平均果実長は、最初の系統(QTL2.2を含む)では2cm超減少した。
【0006】
一つの態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物が提供され、QTL2.1を含み、それにより、遺伝子移入断片は、遺伝子移入を欠く同じ栽培キュウリと比較して遺伝子移入を含む栽培キュウリの果実収量を有意に増加させる。また、遺伝子移入断片上に存在し、遺伝子移入断片の存在を示す1つ以上の分子マーカー(特に単一ヌクレオチド多型またはSNP)、およびそのようなマーカーの使用方法も本明細書において提供される。同様に、第2染色体上のQTL2.1を含む種子、植物部分、細胞および/または組織も提供される。一つの態様では、植物、種子、植物部分、細胞および/または組織は、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含み、それにより、第2染色体の5.0Mbから始まり11.0Mbで終わる領域に物理的に位置するQTLであるQTL2.1を含む遺伝子移入断片を含む。一つの態様では、第2染色体の他の領域、すなわち0Mb~5.0Mbおよび/または11.0Mb~第2染色体末端は、栽培キュウリの染色体領域を含むか、またはそれからなる。
【0007】
一つの態様では、遺伝子移入断片は、植物あたりの平均果実重量を低下させる第2染色体上の負の収量QTLを含まない。この負の収量QTLは、本明細書ではQTL2.2と呼ばれる。従って、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片は、一つの態様ではQTL2.1を含み、QTL2.1に連結された1つ以上のSNPを含むが、QTL2.2を含まない。寄託番号NCIMB42545として出願人により寄託された栽培Cucumis sativusの種子では、QTL2.1およびQTL6.1はホモ接合型で存在するのに対し、QTL2.2は存在しない(そして、その代わりにその領域にキュウリゲノムが存在する)。
【0008】
一つの態様では、QTL2.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)は、栽培キュウリ植物、細胞または組織、特に長キュウリにおいてヘテロ接合型で存在する。別の態様では、QTL2.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)は、栽培キュウリ植物、細胞または組織、特に長キュウリにおいてホモ接合型で存在する。特定の態様では、栽培キュウリ植物は、F1ハイブリッド、特に2つの近交系親系統を交雑することによって作出されるF1ハイブリッドであり、従って、親系統の少なくとも1つはホモ接合型のQTL2.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)を含む。特定の態様では、栽培キュウリ植物は、収量に影響を及ぼすキュウリゲノムの第2染色体上の他の遺伝子移入断片を含まず、好ましくは、第2染色体は少なくともQTL2.2を欠いている。
【0009】
第6染色体上の収量増加QTLは低温で見出され、秋または冬の期間および寒冷地での収量を増加させる低温耐性QTLと思われる。従って、例えば、南ヨーロッパやユーラシアの国々における秋や冬、または北ヨーロッパやカナダ(または北アメリカ)等の冷涼な地域のように、寒冷な気候や寒い時期に温室キュウリを栽培する場合、QTL6.1は、そのような気候に適応した育種系統および品種の収量をさらに増加させる。従って、このQTLは、より低温に適応した品種の収量を増加させるのに特に適している。しかしながら、霜は防止されるべきであると理解される。
【0010】
一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物が提供され、QTL6.1を含み、それにより、遺伝子移入断片は、遺伝子移入を欠く同じ栽培キュウリと比較して遺伝子移入を含む栽培キュウリの果実収量を有意に増加させる。また、遺伝子移入断片上に存在し、遺伝子移入断片の存在を示す1つ以上の分子マーカー(特に単一ヌクレオチド多型またはSNP)、およびそのようなマーカーの使用方法が本明細書において提供される。同様に、ゲノム中に栽培キュウリの第6染色体上のQTL6.1を含むか、栽培キュウリの第6染色体を含む種子、植物部分、細胞および/または組織が提供される。一つの態様において、植物、種子、植物部分、細胞および/または組織はキュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含み、それにより、第6染色体の25.0Mbから始まり29.0Mbで終わる領域に物理的に位置するQTLであるQTL6.1を含む遺伝子移入断片を含む。一つの態様では、第6染色体の他の領域、すなわち0Mb~25.0Mbおよび/または29.0Mb~第6染色体末端は、栽培キュウリの染色体領域を含むか、またはそれからなる。
【0011】
一つの態様では、QTL6.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)は、栽培キュウリ植物、細胞または組織、好ましくは長キュウリにおいてヘテロ接合型で存在する。別の態様では、QTL6.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)は、栽培キュウリ植物、細胞または組織、好ましくは長キュウリにおいてホモ接合型で存在する。特定の態様では、栽培キュウリ植物は、F1ハイブリッド、特に2つの近交系親系統を交雑することによって作出されるF1ハイブリッドであり、従って、親系統の少なくとも1つはホモ接合型のQTL6.1(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片)を含む。特定の態様では、栽培キュウリ植物は、収量に影響を及ぼすキュウリゲノムの第6染色体上の他の遺伝子移入断片を含まない。
【0012】
本発明の一つの態様では、本発明のQTL2.1およびQTL6.1の両方を含み、いずれもがホモ接合型、例えば、近交系親系統であるか、またはいずれもがヘテロ接合型、例えば、QTL2.1およびQTL6.1の両方をホモ接合型で含む近交系親系統とQTL2.1およびQTL6.1の両方を含まない近交系親系統とを交雑することにより作出されたF1ハイブリッドである栽培キュウリ植物が提供される。上述したように、寄託番号NCIMB42545として出願人により寄託されたCucumis sativusの種子では、QTL2.1およびQTL6.1はホモ接合型で存在する。しかしながら、QTL2.1およびQTL6.1は、収量が増加したキュウリ植物、育種系統および品種を作出するために、独立して使用することもできる。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、本発明のQTL2.1およびQTL6.1の両方を含み、これらのQTLの一方がホモ接合型であり、他方のQTLがヘテロ接合型である栽培キュウリ植物が提供される。
【0014】
さらに別の態様では、栽培キュウリ植物は、キュウリの野生近縁種由来のQTL2.1および/またはQTL6.1を含み、遺伝子移入断片とは別に、残りの第2染色体および/または第6染色体のゲノムは、キュウリのゲノムであり、一つの態様ではヨーロッパ温室キュウリのゲノムである。
【0015】
一つの実施形態では、他の染色体も全て、栽培キュウリゲノムであり、例えば、ヨーロッパ温室キュウリのゲノムである。すなわち、本発明の一つの態様では、栽培キュウリは、ゲノム中にキュウリの野生近縁種由来の1つの遺伝子移入断片のみを含むか(ホモ接合型またはヘテロ接合型のQTL2.1またはQTL6.1のいずれかを含む)、またはゲノム中にキュウリの野生近縁種由来の2つの遺伝子移入断片のみを含み、1つがQTL2.1を含み、もう1つがQTL6.1を含む遺伝子移入断片を含むのに対し、残りのゲノムは栽培キュウリのゲノムである。一つの態様では、2つの遺伝子移入断片は、同一のキュウリの野生近縁種、例えば、同一種、好ましくは同一の寄託番号、場合によってはその寄託番号の同一の植物に由来するものである。
【0016】
異なる実施形態では、本発明の栽培キュウリ植物は、QTL2.1および/またはQTL6.1に加えて、ゲノム中にキュウリの野生近縁種由来の1つ以上の他の遺伝子移入断片を含み得る。一つの態様では、これらの他の遺伝子移入断片は、第2染色体および/または第6染色体には存在しない。
【0017】
背景
栽培キュウリ(Cucumis sativus var. sativus L.)は、世界的に重要な野菜作物である。栽培キュウリはウリ科に属する。栽培キュウリは東南アジアが原産であり、Cucumis sativus var. hardwickiiのような小さくて苦い果実を持つ野生原種に由来すると考えられている。
【0018】
栽培キュウリのゲノムは、7対の染色体(n=7)を有し、約367Mb(メガ塩基)の1倍体ゲノムサイズを有し、推定で合計約26,682個の遺伝子を含む。キュウリゲノムは、配列が決定された最初の植物ゲノムである(Huang et al. 2009, Nature Genetics, Volume 41, Number 12, p1275-1283およびhttp://www.icugi.org/cgi-bin/gb2/gbrowse/cucumber_v2/)。
【0019】
栽培キュウリの収量は、過去数十年間はあまり増加しない。Shetty and Wehner 2002 (CropSci. 42: 2174-2183)は、果実品質および果実収量について、ノースカロライナ(米国)の野外条件下でUSDAキュウリの遺伝子源コレクションをスクリーニングし、その研究において同定された高収量の栽培起源種を用いて高収量栽培品種を育種することができることを示唆した。
【0020】
WO2009/082222では、PI69383の連鎖群3および/または4において、収穫段階のキュウリの果実重量についてQTLを同定するために、2002年にShetty and Wehner(上記)によって同定された寄託番号、トルコベイト-アルファ在来種PI69383が使用されている。
【0021】
Yuan et al. 2008 (Euphytica 164: 473-491)は、北中国キュウリS94と北西ヨーロッパキュウリS06との交雑における特定の果実形質を、遺伝的にマッピングした。それらの連鎖群3は、物理的第2染色体に対応すると見られ、それらの連鎖群2は、物理的第6染色体に対応すると見られている。彼らは、fw2.1(果実重量)と呼ばれる遺伝子座を、第6染色体(LG2)の端部にマッピングし、fw3.1(果実重量)と呼ばれる遺伝子座を、第2染色体(LG3)の最下部にマッピングした。彼らは、S94(長さ30cmの果実)とS06(長さ15cmの果実)との果実長の違いに基づいて、fl3.1(果実長)と呼ばれる遺伝子座を、遺伝子座fw3.1と同じ位置にマッピングした。しかしながら、彼らは、全体(累積)の果実収量をマッピングしなかった。
【0022】
Fazio et al. 2003 (Theor Appl Genet 107: 864-874)は、3回の収穫にわたる植物当たりの累積果実および小葉(‘ll’)のような形態学的形質を含む多くの形質を遺伝的にマッピングした。それらの連鎖群1は、物理的第6染色体に対応するとみられる。fpl1.2と呼ばれる遺伝子座は、両方の環境において一貫しており、小葉の遺伝子座にマッピングされていた。小葉は、物理的第6染色体の7Mbおよび8.5Mbにわたる領域、すなわち第6染色体の端部に物理的に位置している。
【0023】
Wei et al. 2014 (BMC Genomics 15: 1158, p1-10)は、中国キュウリ近交系(CC3)とNC76との交雑に由来する集団における未成熟および成熟の果実の長さ、ならびに未成熟果実の重量のマッピングを開示する。NC76は、アフガニスタンが原産であるCucumis sativus var. sativus(PI246930)の在来種から作出された。彼らは、連鎖群6条に未成熟果実長のQTLを見出した。
【0024】
WO2016/059090およびWO2016/059092はいずれも、2つの収量増加QTLであって、一つが第2染色体上の0.4~2.9Mbの領域、一つが第6染色体の26Mb~染色体末端の領域であり、単一の野生型キュウリからピックル型の栽培キュウリに移入される。ヘテロ接合型の両方のQTLを含む栽培ピックル型キュウリの種子は、NCIMB42262として寄託されている。WO2016/059090およびWO2016/059092において使用されている供与体は、本発明で使用された供与体とは異なる供与体であった。
【0025】
それでもなお、キュウリの全体(累積)の果実収量を増加して、現在のキュウリ品種、特にガラスハウス栽培、特に、ハイワイヤー栽培または伝統的な天蓋システム(umbrella system)に適した長キュウリ種の果実収量を増加させることができるQTLを同定する必要性が残っている。特に、平均果実長を減少させる遺伝子移入領域を含まない収量増加QTLを含む遺伝子移入断片が必要とされる。また、低温生育条件下で平均果実収量を増加させるのに適した遺伝子移入断片が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、QTLマッピング結果のLODダイアグラムを示し、第2染色体では、正の収量QTL(QTL2.1、上図)と負の収量QTL(QTL2.2、下図)がお互いに非常に近くに見出され、X軸上(第2染色体)のほぼ同じ位置にピーク(垂直破線)を有している。QTL2.2は、平均果実長を有意に減少させた。
【0027】
一般的定義
不定冠詞「a」または「an」は、1つであり唯一の要素しか存在しないことがその文脈において明確に要求されない限り、複数の要素が存在する可能性を排除しない。従って、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「植物」は、植物全体またはその部分もしくは派生物、例えば、植物器官(例えば、収穫されたまたは収穫されていない貯蔵器官、塊茎、果実、葉、種子など)、植物細胞、植物原形質体、植物全体を再生することができる植物細胞もしくは植物培養物、植物カルス、植物細胞塊、および植物中の完全な植物細胞、または植物部分、例えば、胚、花粉、胚珠、子房、果実(例えば、収穫されたキュウリ果実またはその部分のような収穫された組織または器官)、花、葉、種子、塊茎、球根、クローン的に繁殖した植物、根、根茎、茎、根の先端などを含む。また、芽生え、未成熟および成熟などの任意の発達段階も含まれる。「植物の種子」に言及する場合、自家受粉または他家受粉させた後に、植物を生育させる種子または植物上で産生される種子を意味する。
【0029】
「植物品種」とは、公知の最下位の同一の植物学的な分類群に属する植物の群であり、これは、(植物育種者の権利を認識するための条件が満たされているかどうかにかかわらず)特定の遺伝子型または遺伝子型の組み合わせに起因する特徴の発現に基づいて定義することができ、これらの特徴の少なくとも1つの発現により他のいかなる植物群とも区別することができ、かつ、変質することなく増殖できるため、1つのまとまりとみなすことができる。従って、1つまたは2つの遺伝子座または遺伝子(またはこれらの特定の遺伝子に起因する表現型の特徴)の存在によって、植物品種のすべてが特徴付けられるが、他の遺伝子座または遺伝子については互いに大きく異なり得る場合には、例え同じ種類の植物であっても、植物群を示すために、「植物品種」の用語を用いることはできない。
【0030】
「F1、F2、F3など」とは、2つの親植物または親系統間の交配に続く連続した同族の世代を意味する。2つの植物または系統を交配して産生された種子から生育された植物は、F1世代と呼ばれる。F1植物を同系交配することによりF2世代などが得られる。
【0031】
「F1交配種」植物(またはF1交配種種子)とは、2つの近交系親系統を交配して得られる世代である。従って、F1交配種種子は、F1交配植物が生育する種子である。F1交配種は、雑種強勢に起因して、より丈夫であり、より高収量である。近交系統は、基本的にゲノム中のほとんどの遺伝子座においてホモ接合性である。
【0032】
「植物系統」または「育種系統」とは、植物およびその後代を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「近交系」とは、繰り返し同系交配し、ほぼホモ接合性である植物系統を意味する。従って、「近交系」または「親系統」とは、複数の世代(例えば、少なくとも5、6、7またはそれ以上)にわたり同系交配し、その結果、高い均一性を有する植物系統を有する植物を意味する。
【0033】
用語「対立遺伝子」は、特定の遺伝子座における遺伝子の1つ以上の代替形態のいずれかを意味し、その対立遺伝子のいずれも、特定の遺伝子座における1つの形質または特徴に関連する。生物の二倍体細胞において、特定の遺伝子の対立遺伝子は、染色体上の特定の位置、または遺伝子座に位置する。1つの対立遺伝子は、相同染色体対の各染色体上に存在する。二倍体植物種は、特定の遺伝子座に多数の異なる対立遺伝子を含み得る。これらは、遺伝子の同一の対立遺伝子(ホモ接合性)または2つの異なる対立遺伝子(ヘテロ接合性)であり得る。従って、例えば、本明細書においては、収量遺伝子座QTL2.1および/またはQTL6.1の「収量対立遺伝子」または「正の収量対立遺伝子」に言及する。
【0034】
用語「遺伝子」は、細胞内でメッセンジャーRNA分子(mRNA)に転写される領域(転写領域)と、作動可能に連鎖した調節領域(例えば、プロモーター)とを含む(ゲノム)DNA配列を意味する。従って、遺伝子の異なる対立遺伝子は、遺伝子の異なる代替形態であり、これは、例えば、ゲノムDNA配列(例えば、プロモーター配列、エクソン配列、イントロン配列など)の1つ以上のヌクレオチドにおける相違、mRNAおよび/またはコードされるタンパク質のアミノ酸配列における相違の形態であり得る。
【0035】
用語「遺伝子座」は、例えばQTL、遺伝子または遺伝子マーカーが存在する、染色体上の特定の場所(place)もしくは複数の場所(places)または部位を意味する。従って、収量遺伝子座(または収量増加遺伝子座)は、QTL2.1またはQTL6.1が存在する、キュウリのゲノム中の位置である。本発明の栽培キュウリでは、QTLは第2染色体上および/または第6染色体上に存在する(Huang et al. 2009, Nature Genetics, Volume 41, Number 12, p1275-1283およびワールドワイドウェブicugi.org/cgi-bin/gb2/gbrowse/cucumber_v2/の染色体の配置を使用)、すなわち、QTLは野生または近縁のキュウリから栽培キュウリのゲノム(すなわち第2染色体および/または第6染色体)に移入される。
【0036】
「量的形質遺伝子座」または「QTL」とは、連続的に分布する(量的)表現型の表現度に影響を与える1つまたは複数の対立遺伝子をコードする染色体座である。量的形質遺伝子座(または「収量QTL」)を与える収量は、本明細書中ではQTL2.1およびQTL6.1と命名される。
【0037】
「キュウリゲノム」および「キュウリゲノム上の物理的位置」および「第2染色体および/または第6染色体」とは、栽培キュウリの物理的ゲノム、ワールド・ワイド・ウェブicugi.org/cgi-bin/gb2/gbrowse/cucumber_v2/、ならびに物理的染色体および染色体上の物理的な位置を意味する。従って、例えば、SNP_01は、0~23.17Mb(すなわち、23,174,625塩基)の物理的サイズを有する第2染色体の第5,502,468番ヌクレオチドに物理的に位置するヌクレオチド(または「塩基」)に位置する。同様に、SNP_27は、0~29.07Mb(すなわち29,076,227塩基)の物理的サイズを有する第6染色体の第25,519,964番に位置するヌクレオチド(または「塩基」)に物理的に位置する。
【0038】
同一の染色体上の遺伝子座間(例えば、分子マーカー間および/または表現型マーカー間)の「物理的距離」とは、塩基または塩基対(bp)、キロ塩基またはキロ塩基対(kb)またはメガ塩基またはメガ塩基対(Mb)で表される実際の物理的距離である。
【0039】
同一の染色体上の遺伝子座間(例えば、分子マーカー間および/または表現型マーカー間)の「遺伝的距離」は、交差頻度または組換え頻度(RF)により測定され、センチモルガン(cM)で表される。1cMは、1%の組換え頻度に相当する。組換え体が見つからない場合、RFは0であり、遺伝子座は物理的に極めて接近しているか、または同一である。2つの遺伝子座が離れるほど、RFは高くなる。
【0040】
「遺伝子移入断片」または「遺伝子移入部分(introgression segment)」または「遺伝子移入領域」とは、交配または従来的な育種技術、例えば戻し交配によって同一または同族の種の別の植物に導入された染色体断片(または染色体部分または領域)を意味し、すなわち、遺伝子移入された断片は、動詞「移入する(to introgress)」(例えば戻し交配)によって言及される育種方法の結果である。キュウリにおいては、野生もしくは原種のキュウリ受託物、または栽培キュウリの野生近縁種は、栽培されたCucumis sativus var. sativus L.のゲノム中に野生型ゲノムの断片を遺伝子移入するために用いることができる。従って、このような栽培キュウリは、“栽培されたCucumis sativus var. sativusのゲノム”を有するが、野生もしくは原種のキュウリ(例えば在来種)またはキュウリの野生近縁種のゲノム断片、例えば、Cucumis sativus var. hardwickii、C. sativus var. sikkimensis、Cucumis sativus var. xishuangbannesisまたは他の野生キュウリもしくはキュウリの野生近縁種などの同族の野生Cucumis sativusゲノムをゲノム中に含む。従って、栽培キュウリのゲノムを含み、当該ゲノム中に、遺伝子移入フラグメントを含まない(および遺伝子移入断片を有さない栽培キュウリの第2染色体および第6染色体を有する)栽培キュウリと比較して収量を向上させる、第2染色体および/または第6染色体上に1つの遺伝子移入断片が含まれる栽培キュウリが本明細書において提供される。用語「遺伝子移入断片」は、染色体全体を含むことはなく、染色体の一部のみを含むことが理解される。遺伝子移入断片は大きくてもよく、例えば、染色体の4分の3または半分であるが、好ましくは、約15Mb以下、約10Mb以下、約9Mb以下、約8Mb以下、約7Mb以下、約6Mb以下、約5Mb以下、約4Mb以下、約3Mb以下、約2.5Mbまたは2Mb以下、約1Mb(1,000,000塩基対に等しい)以下、または約0.5Mb(500,000塩基対に等しい)以下、約200,000bp(200キロ塩基対に等しい)以下、約100,000bp(100kb)以下、約50,000bp(50kb)以下、約25,000bp(25kb)以下のように、より小さいことが好ましい。
【0041】
「栽培キュウリ」または「食用キュウリ(domesticated cucumber)」とは、人間により栽培され、良好な農業特性を有し、特に、大きさおよび品質および均一性が良好な食用で市場性の高い果実を産生するCucumis sativus var. sativus植物、すなわち品種、育種系統または栽培品種を意味し、これらの植物は、「野生キュウリ」または「原種キュウリ」植物、すなわち一般に栽培植物よりも収量が非常に低く、非常に低い農業特性を有し、遺伝的にも、生理学的および/または形態学的特性においても均一性が低い植物ではない。「野生キュウリ」の「野生植物」には、例えば、生態型(ecotype)、在来種または野生寄託物または野生近縁種が含まれる。Qi et al., Nature Genetics, December 2013, Vol 45, No. 12, pages 1510-1518の表1に記載されているように、栽培キュウリ植物(系統または品種)は、ゲノム中の有意に少ない量のSNP(2,000,000未満のSNP)およびINDEL(5bpより短い挿入/欠失;150,000未満のINDEL)によって、および有意に低いヌクレオチド多様性(2.3×10-3π以下)によって、野生または原種キュウリ受託物と区別することもできる。SNPの数、INDELの数およびヌクレオチド多様性は、本明細書、特に「オンライン方法」の項に記載されるように決定することができる。
【0042】
「インドキュウリ群」とは、ゲノム中に多数のSNP(3,000,000より多いSNP)およびINDEL(5bpより短い挿入/欠失;200,000より多いINDEL)を有し、高いヌクレオチド多様性(3.0×10-3πより高く、さらには4.0×10-3πよりも高い)を有する、インドの野生キュウリまたは野生近縁種を意味する。
【0043】
「ユーラシアキュウリ群」とは、ゲノム中に少量のSNP(2,000,000未満のSNP、または1,500,000未満のSNP)およびINDEL(5bpより短い挿入/欠失;150,000未満のINDEL)を有し、低いヌクレオチド多様性(2.3×10-3π以下、好ましくは2.0×10-3π未満)を有する、中央または西アジア、ヨーロッパおよび米国の栽培キュウリを意味する。
【0044】
「東アジアキュウリ群」とは、ゲノム中に少量のSNP(2,000,000未満のSNP、または150,000未満のSNP)およびINDEL(5bpより短い挿入/欠失;150,000未満のINDEL、好ましくは100,000未満)を有し、低いヌクレオチド多様性(2.3×10-3π以下、好ましくは2.0×10-3π未満、または1.5×10-3π未満)を有する、中国、韓国および日本などの東アジアの栽培キュウリを意味する。
【0045】
「シーサンパンナ(Xishuangbanna)キュウリ群」とは、ゲノム中に少量のSNP(200,000未満のSNP、または150,000未満のSNP、または100,000未満のSNP)およびINDEL(5bpより短い挿入/欠失;150,000未満のINDEL、好ましくは100,000未満)を有し、低いヌクレオチド多様性(2.3×10-3π以下、好ましくは2.0×10-3π未満、または1.5×10-3π未満)を有する、中国のシーサンパンナ地域のキュウリを意味する。
【0046】
「野生キュウリ」または「原種キュウリ」とは、一般に栽培植物よりも収量が非常に低く、非常に低い農業特性を有し、遺伝的にも、生理学的および/または形態学的特性においても均一性が低いC. sativus var. sativusを意味する。野生植物には、例えば、生態型(ecotype)、在来種または野生寄託物または野生近縁種が含まれる。
【0047】
「キュウリの野生近縁種」とは、Cucumis sativus var. hardwickii、C. sativus var. sikkimensis、Cucumis sativus var. xishuangbannesisを意味する。
【0048】
「在来種」とは、局地的な地理的領域内で生育するCucumis sativus var. sativusの原始的栽培品種を意味し、しばしばゲノムにおいて高度の遺伝的変異を示し、在来種内での高度の形態学的および/または生理学的変異(例えば、果実の大きさの変化など)を示し、栽培キュウリと比較して極めて低い均一性を示す。従って、本明細書において、在来種は「野生キュウリ」群に含まれ、「栽培キュウリ」とは区別される。
【0049】
「均一性(uniformity)」または「均一(uniform)」は、植物系統または品種における遺伝的特性および表現型特性に関する。近交系は、数世代にわたる同系交配によって産生されるため、遺伝的に高度に均一である。同様に、そのような近交系から産生されるF1交配種は、遺伝子型および表現型の特性および能力の点で高度に均一である。
【0050】
用語「収量対立遺伝子(yield-allele)」または「正の収量対立遺伝子(positive yield allele)は、キュウリの野生近縁種から栽培されたキュウリ中(栽培C. sativus var. sativusの第2または第6染色体上のそれぞれ)に移入された収量遺伝子座QTL2.1またはQTL6.1に存在する対立遺伝子を意味する。従って、用語「収量対立遺伝子」は、他のキュウリ属受託物から得られる収量対立遺伝子をも含む。1つまたは2つの収量対立遺伝子がゲノム中の遺伝子座に存在する場合(すなわち、ヘテロ接合型またはホモ接合型の場合)、その植物系統または品種は、QTLを含まない対照、好ましくは遺伝的対照と比較して有意に高い果実収量をもたらす。遺伝子移入断片を含まない栽培キュウリ植物において、第2染色体または第6染色体上の同一遺伝子座に存在するC. sativus var. sativusの対立遺伝子は、本明細書において「野生型」対立遺伝子(wt.)と呼ばれる。収量QTLは優性であるため、wt/wt植物は正常収量を示すを示すのに対して、QTL2.1/wt植物またはQTL6.1/wt植物、ならびにQTL2.1/QTL2.1植物またはQTL6.1/QTL6.1植物は、収量対立遺伝子により、第2染色体または第6染色体上の遺伝子座におけるwt/wtと比較して収量表現型が増強された植物である。本明細書で提供されるSNPマーカーの遺伝子型はまた、野生型を示すか、またはホモ接合型もしくはヘテロ接合型のいずれかであるQTLを示す。例えば、野生型を示す遺伝子型が「TT」(wt/wt)であるのに対し、QTL2.1を示すSNP_01の遺伝子型は「CT」(QTL2.1/wt)または「CC」(QTL2.1/QTL2.1)である。同様に、野生型を示す遺伝子型が「AA」(wt/wt)であるのに対し、QTL6.1を示すSNP_27の遺伝子型は「GA」(QTL6.1/wt)または「GG」(QTL6.1/QTL6.1)である。
【0051】
形質(例えば収量)をもたらす遺伝要素、遺伝子移入断片、または遺伝子もしくは対立遺伝子は、植物または種子または組織または細胞「から得ることができる(obtainable from)」もしくは「から得る(obtained from)」ことができる、または「から導かれ得る(derivable from)」もしくは「から由来し(derived from)」得ると言われるか、または、遺伝要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子または対立遺伝子によりもたらされる形質の付加以外に受容植物(recipient plant)の表現型の変化をもたらすことなく、従来の育種技術を用いて、それが存在する植物または種子から、それが存在しない別の植物または種子(例えば、系統または品種)に移すことができる場合には、植物または種子または組織または細胞に「に存在する(as present in)」または「に見出される(as found in)」と言われる。これらの用語は互換的に使用され、従って遺伝要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子または対立遺伝子は、その形質を含まない他の任意の遺伝的背景に移入することができる。遺伝要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子または対立遺伝子を含む寄託された種子を使用することができるだけでなく、寄託された種子またはその子孫から開発された商業品種のような、遺伝要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子または対立遺伝子を保持するように選択された種子の後代/子孫も使用することができ、本明細書に包含される。植物(または植物のゲノムDNA、細胞または組織)が、寄託された種子から得ることができるものと同一の遺伝要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子または対立遺伝子を含むかどうかは、当業者であれば、表現型アッセイ、全ゲノム配列決定、分子マーカー分析、形質マッピング、染色体ペインティング、対立性検定などの、本技術分野で公知の1つもしくは複数の技術、またはこれらの技術の組み合わせを用いて決定することができる。
【0052】
「変異」もしくは「オーソロガス」配列または「変異QTL2.1」または「変異QTL6.1」とは、NCIMB42545に存在するQTL2.1およびQTL6.1よりもむしろ、異なるキュウリ植物の野生近縁種由来の収量QTL(QTL2.1またはQTL6.1)または該QTLを含む遺伝子移入断片を意味し、それらの変異は、QTL2.1およびQTL6.1に連鎖した1つまたは複数のSNPを含み、変異ゲノム配列が、SNP(QTL2.1に連鎖した配列番号1~26およびQTL6.1に連鎖した配列番号27-40のいずれか1つ)を含む配列番号と実質的な配列同一性、すなわち少なくとも85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。従って、本明細書において、特定のゲノム配列(QTL2.1については配列番号1~26から選択され、QTL6.1については配列番号27~40から選択される)における特定のSNP遺伝子型に言及する場合、ゲノム配列が変異したSNP遺伝子型、すなわち、言及された配列(QTL2.1については配列番号1~26から選択され、QTL6.1については配列番号27~40から選択される)と少なくとも85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するゲノム配列のSNP遺伝子型も包含する。従って、本明細書において、一つの態様における配列番号1~40のいずれか1つについて言及する場合、配列番号1~40のいずれか1つの変異体を包含し、前記変異体は、それらの配列と少なくとも85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。本明細書において、特定の位置、例えば、配列番号1の、「またはその配列番号と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列の」、ヌクレオチド75位のSNP遺伝子型に言及する場合、SNP遺伝子型が、変異配列中、すなわち、その配列番号と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列中の同じヌクレオチド(例えば、配列番号1のヌクレオチド75に対応する)に対応するヌクレオチドにおいて、変異配列中に存在することを意味する。例えば、変異配列は1または数ヌクレオチド短くてもよいが、一つの対を上記配列番号の変異配列と並べた場合、変異配列のどのヌクレオチドが同じヌクレオチドに対応するかが理解される。変異配列において、例えば、上記配列のヌクレオチド75に対応する変異配列のヌクレオチド番号76または74であり得る。
【0053】
「収量」または「果実収量」または「平均収量」とは、植物当たりの平均果実数(FrPP)および/または植物当たりの平均果実重量(グラム)(GrPP)を意味する。これは、同一条件下(例えば、QTLを含む系統、交雑種または品種および対照、例えば、遺伝的対照、QTLを含まない)で生育された各植物系統、交雑種または品種について決定され、各系統、交雑種または品種の平均FrPPおよび/またはGrPPが計算される。キュウリの型に応じて、果実収量は異なる方法により測定される。例えば、市販型(fresh market types)(例えば、ヨーロッパ温室キュウリ、ミニまたはミディ型等の長キュウリ型)のような、一定の期間連続的に果実を産生し、市販サイズに達した時に果実が収穫される型は、「収穫期」(例えば、収穫期は、最初の果実が市販サイズに達した時点から始まり、少なくとも10、11、12週またはそれ以上)の特定の期間に収穫が行われる。従って、例えば、系統当たりの平均FrPPおよび/またはGrPPが日ごとに測定され、各系統または品種の累積FrPPおよび/またはGrPPを計算するために、収穫期の最後に全ての日について累積する(実施例も参照)。「市販サイズ」とは、市販に十分な程度の長さおよび重量である果実を意味する。従って、市販し得るサイズの果実は、果実を市販および販売するのに最適または最適に近い時点で収穫される。ヨーロッパ温室キュウリ長キュウリ型に関しては、果実の長さが少なくとも約26または27cmであり、かつ最小重量が250gに達した時に市販し得るサイズとなる。ピックルキュウリのような1回の時点においてのみ収穫されるキュウリ型に関しては、「収量」または「果実収量」または「平均収量」は、1回の収穫時点における、植物当たりの直径1.5cmまたは1.5cm超の平均果実数(FrPP)および/または植物当たりの直径1.5cmまたは1.5cm超の平均果実重量(グラム)を意味する。1回の収穫時は栽培者の慣例に従い、1.5cm~5.0cmの直径を有する果実の数が最大となるように選択される。所望の果実の大きさに応じて、果実の約5%、約10%、約15%または約20%が特大となる(すなわち、5.0cm以上の果実直径を有する)ときに、一般的に収穫時に達する。収穫は手作業または機械収穫のいずれかで行われる。従って、一つの態様において、植物当たりの果実はすべて収穫され、少なくとも1.5cmの直径を有するもののみが計数および/または計量される(すなわち、特大の果実を含め、少なくとも1.5cmの直径を有するすべての果実が計数および/または計量される)。
【0054】
「増加した果実収量」または「有意に増加した果実収量」とは、第2染色体上の遺伝子移入断片および/または第6染色体上の遺伝子移入断片を含み、QTL2.1および/またはQTL6.1を含み、第2および第6染色体上の遺伝子移入断片を含まない対照(例えば、遺伝的対照)植物と比較して、同じ環境条件下における収量試験で生育させた場合に、植物当たりの平均果実数(FrPP)および/または植物当たりの平均果実重量(GrPP)が(QTLにより)統計的に有意に高い栽培キュウリ植物を意味する。好ましくは、第2染色体および/または第6染色体上の遺伝子移入断片を含む十分な植物(例えば、系統当たり少なくとも8、9、10、15、20、30、40またはそれ以上の植物)、および第2染色体および第6染色体上の遺伝子移入断片を含まない対照植物(好ましくは、遺伝的対照)を用いて、複数回(2、3回または3、4、5、6、7、8回もしくはそれ以上)試験が行われる。
【0055】
「対照」は、遺伝子移入断片を含まない栽培キュウリ系統、交雑種または品種である。「遺伝的対照」とは、第2および第6染色体上に遺伝子移入を含まない、すなわち第2および第6染色体が「野生型」である、すなわち栽培キュウリのゲノムであることを除いては、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入を含むキュウリ植物と同じまたは非常に類似する栽培品種ゲノムを有する栽培キュウリ育種系統、品種または交雑種である。例えば、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子は、選抜された長キュウリ育種系統においてQTL2.1およびQTL6.1をホモ接合型で含む(しかしQTL2.2は含まない)BC1S3である。好適な遺伝的対照は、NCIMB42345として寄託された、QTL2.1およびQTL6.1を含まない種子である。
【0056】
用語「マーカーアッセイ」は、栽培されたC. sativus var. sativusの第2および/または第6染色体上に、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入であって、収量QTL2.1またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片が存在するかどうか(またはキュウリの野生近縁種がそのゲノム中にQTL2.1またはQTL6.1、またはその変異体を含むかどうか)を、QTL2.1またはQTL6.1に連鎖する任意の1つ以上のマーカーの遺伝子型、例えば、QTL2.1に関してはSNP_01~SNP_26から選択される1つ以上のSNPマーカー、またはQTL6.1に関してはSNP_27からSNP_40から選択される1つ以上のSNPマーカー、および/またはSNPマーカーである第2染色体上のSNP_01~SNP_26の間(すなわち、第2染色体の5.0Mbから始まり11.0Mbで終わる物理的領域)、または第6染色体上のSNP_27~SNP_40の間(すなわち、第2染色体の25.0Mbから始まり29.0Mbで終わる物理的領域)のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的なマーカー、および/または7cMもしくは5cM、3cM、2cM,1cM以内のこれらのマーカーのいずれか一つ、および/または5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kb、2kb、1kbまたはそれ未満の範囲内のこれらのマーカーのいずれか一つの遺伝子型を決定することにより試験するために用いられ得る分子マーカーアッセイを意味する。
【0057】
本明細書において提供されるSNPマーカー、すなわち、第2染色体についてのSNP_01~SNP_26および第6染色体についてのSNP_27~SNP_40は、遺伝子移入断片において所定の順序で位置している。「連続的」マーカーとは、同じ連続的順序のマーカーを意味し、従って、例えば、2つの連続的マーカーは、SNP_01およびSNP_02;SNP_02およびSNP_03;SNP_03およびSNP_04等であり得、3つの連続的マーカーは、SNP_01およびSNP_02およびSNP_03;SNP_02およびSNP_03およびSNP_04等であり得る。
【0058】
本明細書において、「平均値(average)」または「平均(mean)」とは、算術平均を意味し、いずれの用語も同じ意味で使用される。従って、用語「平均値」または「平均」は、いくつかの測定結果の算術平均を意味する。当業者であれば、植物系統または品種の表現型は、生育条件にある程度依存するため、少なくとも8、9、10、15、20、30、40、50個またはそれ以上の植物(または植物部分)の算術平均を、好ましくは、同じ試験において同じ条件下で生育させたいくつかの複製物および適切な対照植物を使用した無作為化された試験計画で測定する。「統計学的に有意な」または「統計的に有意に」異なるまたは「有意に」異なるとは、適切な対照(例えば、遺伝的対照)と比較した場合に、その特性(例えば、p値は0.05未満であり、ANOVAを用いる)において、対照の平均と統計的に有意な差異を示す植物系統または品種の特徴を意味する。
【0059】
「組換え染色体」とは、相同染色体間の交差を介して生じる新しい遺伝子構成を有する染色体、例えば「組換え第2染色体」または「組換え第6染色体」を意味するものであり、すなわち、第2または第6染色体対の相同染色体間のまれな二重交差イベントによって生じる、いずれの親植物にも存在しない第2または第6染色体である。本明細書においては、例えば、果実収量を増加させるQTLを含むキュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入を含むキュウリの組換え第2染色体が提供され、特に低温下で生育させたときに果実収量を増加させるQTLを含むキュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入を含むキュウリの組み換え第6染色体が提供される。従って、QTL6.1は、寒冷ストレス下で収量を増加させることから、寒冷耐性QTLまたは凍結耐性QTOとも呼ばれる。
【0060】
本明細書において用語「従来の育種技術」は、育種家に公知なように、交配、戻し交配、同系交配、選抜、倍加半数体産生、胚救出、マーカー利用選抜、突然変異育種等(すなわち、遺伝子改変/形質転換/遺伝子組み換え法以外の方法)を含み、これによって例えば、組換え第2または第6染色体を取得、同定および/または導入することができる。
【0061】
「戻し交配」とは、収量QTLのような(単一の)形質を、劣性の遺伝的背景(例えば、野生キュウリまたはキュウリの野生近縁種;「ドナー」とも呼ばれる)から、優性の遺伝的背景(「反復親」とも呼ばれる)、例えば栽培キュウリに導入することができる育種方法を意味する。交配の産物(例えば、野生キュウリもしくはキュウリの野生近縁種と、栽培キュウリとを交配させて得たF1植物、またはF1植物を同系交配して得たF2植物またはF3植物)は、優性の遺伝的背景を有する親、たとえば栽培親に「戻し交配」される。戻し交配を繰り返した後、劣性の遺伝的背景の形質が優勢な遺伝的背景に組み込まれる。
【0062】
「マーカー利用選抜」または「MAS」は、特定の遺伝子座または領域(遺伝子移入断片)の有無により植物を選択するために、特定の遺伝子座または特定の染色体領域(例えば、遺伝子移入断片)に遺伝的に連鎖する分子マーカーの存在を利用する方法である。例えば、収量QTLに遺伝的および物理的に連鎖する分子マーカーは、第2および/または第6染色体上に収量QTLを有するキュウリ植物を検出および/または選択することができる。分子マーカーと遺伝子座の遺伝子連鎖が近接しているほど(例えば、約7cM、6cM、5cM、4cM、3cM、2cM、1cM、0.5cMまたはそれ未満)、減数分裂性組換えによりマーカーが遺伝子座から分離しにくくなる。同様に、2つのマーカーが互いに近接して連鎖しているほど(例えば、7cMまたは5cM、4cM、3cM、2cM、1cMまたはそれ未満の範囲内)、それら2つのマーカーが互いに分離しにくくなる(かつ、それらが一つの単位として共分離しやすくなる)。
【0063】
別のマーカーの「7cM以内または5cM、3cM、2cMもしくは1cM以内」のマーカーとは、マーカーに隣接する(すなわち、マーカーのいずれかの側の)7cMまたは5cM、3cM、2cMもしくは1cMの領域内に遺伝的に位置するマーカーを意味する。同様に、他のマーカーの5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.4Mb、0.3Mb、0.2Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kb、2kb、1kbまたはそれ未満の範囲内のマーカーとは、そのマーカーに隣接する(すなわち、マーカーのいずれかの側の)5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.4Mb、0.3Mb、0.2Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kb、2kb、1kbまたはそれ未満の範囲内に物理的に位置するマーカーを意味する。
【0064】
「LODスコア」(対数(底数10)オッズ)とは、動物および植物集団における連鎖解析にしばしば用いられる統計的試験を意味する。LODスコアは、2つの遺伝子座(分子マーカー遺伝子座および/または表現型形質遺伝子座)が実際に連鎖している場合、試験データを得る可能性と、純粋に偶然によって同じデータを観察する可能性とを比較する。陽性のLODスコアは連鎖の存在を支持し、3.0を超えるLODスコアは連鎖の証拠と考えられる。3以上のLODスコアは、観察された連鎖が偶然に起こったものではないことを1000対1の確率で示す。
【0065】
本明細書において、「植物繁殖」、「栄養生殖」または「クローン増殖」は同様の意味で使用され、植物の一部を採取し、その植物部分から少なくとも根を形成させる方法を意味し、植物部分は、例えば、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、細胞、プロトプラスト、分裂組織細胞、根、根端、雌しべ、葯、花、茎頂、芽、茎、果実、葉柄等であるか、または(例えば、切断することにより)それらに由来する。植物全体を栄養繁殖によって再生する場合、栄養繁殖ともいう。一つの態様では、接ぎ木、例えば根茎に対する接ぎ穂による繁殖も本明細書に包含される。
【0066】
「細胞培養物」または「組織培養物」とは、植物の細胞または組織のin vitro培養物を意味する。
【0067】
「再生」とは、細胞培養物もしくは組織培養物または栄養繁殖からの植物の発生を意味する。
【0068】
「非繁殖細胞」とは、植物全体で再生し得ない細胞を意味する。
【0069】
「導入遺伝子」または「キメラ遺伝子」とは、アグロバクテリウムによる形質転換等の形質転換によって植物のゲノムに導入された組換え遺伝子のようなDNA配列を含む遺伝子座を意味する。ゲノム中に安定的に組み込まれた導入遺伝子を含む植物は、「遺伝子組み換え植物」と呼ばれる。
【0070】
「単離された核酸配列」または「単離されたDNA」とは、それが単離された天然の環境にもはや存在しない核酸配列、例えば、細菌宿主細胞または植物の核もしくは色素体のゲノムにおける核酸配列を意味する。本明細書において「配列」という場合、そのような配列を有する分子は、例えば、核酸分子を意味する。
【0071】
「宿主細胞」または「組換え宿主細胞」または「形質転換細胞」とは、細胞に導入された少なくとも1つの核酸分子の結果として生じる新たな個々の細胞(または生物)を意味する用語である。宿主細胞は、好ましくは植物細胞または細菌細胞である。宿主細胞は、染色体外(エピソーム)複製分子として核酸を含んでいてもよく、または宿主細胞の核もしくは色素体のゲノムに組み込まれた核酸を含んでいてもよく、または導入された染色体、例えばミニ染色体として含んでいてもよい。
【0072】
「配列同一性」および「配列相同性」は、グローバルまたはローカルアラインメントアルゴリズムを用いて、2つのペプチドまたは2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定することができる。配列は、例えば、GAPプログラムまたはBESTFITプログラムまたはEmbossプログラム「needle」(初期パラメータを使用する、下記参照)によって最適にアラインメントした場合、「実質的に同一」または「本質的に相同」と称され得る。これらのプログラムは、NeedlemanおよびWunschのグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列を全長にわたってアラインメントし、一致の数を最大にし、ギャップの数を最小限にする。一般的に、(ヌクレオチドおよびタンパク質のアラインメントの両方について)ギャップ生成ペナルティー=10およびギャップ伸長ペナルティー=0.5の初期パラメータが使用される。ヌクレオチドについては、使用される初期スコアマトリックスはDNAFULLであり、タンパク質については、初期スコアマトリックスはBlosum62(Henikoff & Henikoff, 1992, PNAS 89, 10915-10919)である。配列アライメントおよびパーセンテージ配列同一性のスコアは、例えば、ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/WORM)においてワールド・ワイド・ウェブ上で入手可能なEMBOSS等のコンピュータープログラムを用いて決定することができる。あるいは、配列相同性または同一性は、FASTAやBLAST等のデータベースを検索することによって決定され得るが、配列同一性を比較するために一致を検索し対に整列すべきである。2つのタンパク質もしくは2つのタンパク質ドメイン、または2つの核酸配列は、配列同一性のパーセンテージが少なくとも85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上(例えば、少なくとも99.1,99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9またはそれ以上(初期パラメータ、すなわちギャップ生成ペナルティー=10、ギャップ伸長ペナルティー=0.5を使用して、核酸についてDNAFULLおよびタンパク質についてBlosum62のスコアマトリックスを使用して、Emboss「needle」により決定され
る)である場合に、「実質的な配列同一性」を有する。
【0073】
参照配列と「実質的な配列同一性」を有するか、または少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも、85%、90%、95%、98%または99%の核酸配列同一性を有する核酸配列(例えば、DNAまたはゲノムDNA)について言及する場合、一つの実施形態では、前記ヌクレオチド配列は、所定のヌクレオチド配列と実質的に同一であるとみなされ、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いて同定することができる。別の実施形態では、核酸配列は、所定のヌクレオチド配列と比較して1つ以上の突然変異を含むが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いて同定することができる。
【0074】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、所定のヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するために使用することができる。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる状況で異なる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列の熱融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全に適合したプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度およびpHの下で)である。典型的には、塩濃度がpH7で約0.02モルであり、温度が少なくとも60℃であるストリンジェントな条件が選択される。塩濃度を下げることおよび/または温度を上昇させるこによりストリンジェンシーが増加する。RNA-DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを用いるノーザンブロット)のストリンジェントな条件は、例えば、63℃で20分間、0.2×SSC中で少なくとも1回の洗浄または同等の条件を含むものである。DNA-DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを用いるサザンブロット)のストリンジェントな条件は、例えば、少なくとも50℃、通常は約55℃の温度で20分間、0.2×SSC中で少なくとも1回の洗浄(通常は2回)または同等の条件で行う。また、Sambrook et al. (1989)およびSambrook and Russell (2001)も参照されたい。
【0075】
「精細マッピング(fine-mapping)」とは、QTLの位置をより正確に決定する(絞り込む)ことができ、QTLを含む遺伝子移入断片のサイズを減少させることができる方法を意味する。例えば、反復親の均一な遺伝的背景の範囲内で異なる重複する遺伝子移入断片の断片を含むQTLの準同質遺伝子系統(Near Isogenic Lines)(QTL-NIL)を作製することができる。従って、このような系統は、QTLが位置するフラグメントをマッピングし、かつ、QTLを含むより短い遺伝子移入断片を有する系統を同定するために用いることができる。
【0076】
詳細な説明
本発明は、キュウリの野生近縁種から移入された、第2染色体および/または第6染色体上の1または2つの収量QTLを含む、栽培されたCucumis sativus var. sativus植物に関する。従って、収量の増加は、栽培キュウリの第2染色体(QTL2.1またはその変異体を含む)および/または第6染色体(QTL6.1またはその変異体を含む)上の遺伝子移入断片によって付与され、前記遺伝子移入断片は、キュウリの野生近縁種に由来する。QTL2.1およびQTL6.1は果実収量を単独で向上させるが、単一の植物において組み合わせることもできることに留意されたい。両方のQTLを累積することにより、異なる栽培条件下で収量の増加が達成されることを確実にするので、利点である。
【0077】
本明細書において、正の収量QTLを含む第2染色体上の遺伝子移入断片に言及される場合、これは、様々な大きさの遺伝子移入断片を包含し、例えば、全てのSNPマーカー(第2染色体上の断片に関しては、SNP_01~SNP_26、またはそれらの間の任意のマーカー)について野生型キュウリのSNP遺伝子型を含むNCIMB42545に見いだされる断片だけでなく、より小さな遺伝子移入断片(26個よりも少ないSNPマーカー、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のSNPマーカーについて野生型キュウリの近縁種キュウリのSNP遺伝子型を含む)であって、QTL2.1またはその変異体を保持し、すなわち、栽培キュウリのゲノムにおいてヘテロ接合型またはホモ接合型である場合に依然として有意に収量を増強する(対照、例えば遺伝的対照と比較して)断片を包含する。
【0078】
従って、一つの態様では、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物が提供され、前記遺伝子移入断片はQTL2.1またはその変異体を含み、前記遺伝子移入断片は、第2染色体のヌクレオチド(または塩基)5,502,468から始まり第2染色体のヌクレオチド(または塩基)10,882,440で終わる領域の全部または一部を含む。換言すれば、第2染色体のヌクレオチド(または塩基)5,502,468から始まり第2染色体のヌクレオチド(または塩基)10,882,440で終わる領域の全部または一部は、一つの態様では、キュウリの野生近縁種に由来し、QTL2.1またはその変異体を含む。どのサブ領域がQTL2.1を含むかは、例えば、精細マッピングによって同定される。従って、例えば、QTL2.1がSNP_01とSNP_10との間にあることが判明した場合、本発明の植物は、第2染色体のヌクレオチド5,502,468(SNP_01)から始まりヌクレオチド7,509,399(SNP_10)で終わる遺伝子移入領域を含んでいればよい。
【0079】
一つの態様では、QTL2.1(またはその変異体)は、配列番号1のマーカーSNP_01(または配列番号1の変異体配列)および配列番号26のマーカーSNP_26(または配列番号26の変異体配列)の間に位置する。別の態様では、QTL2.1(またはその変異体)は、配列番号1のマーカーSNP_01(または配列番号1の変異体配列)および配列番号10のマーカーSNP_10(または配列番号10の変異体配列)の間に位置する。さらなる態様では、QTL2.1(またはその変異体)は、配列番号10のマーカーSNP_10(または配列番号10の変異体配列)および配列番号20のマーカーSNP_20(または配列番号20の変異体配列で)の間に位置する。さらなる態様において、QTL2.1(またはその変異体)は、配列番号20のマーカーSNP_20(または配列番号20の変異体配列)および配列番号26のマーカーSNP_26(または配列番号26の変異体配列)の間に位置する。なおさらなる態様において、QTL2.1(またはその変異体)は、配列番号06のマーカーSNP_06(または配列番号06の変異体配列)および配列番号23のマーカーSNP_23(または配列番号23の変異体配列)の間に位置する。
【0080】
別の態様では、本発明の遺伝子移入断片(QTL2.1またはその変異体を含む)は、第2染色体の5,502,468bpから始まり10,882,440bpで終わる領域のより小さい断片(一部)を含む断片であり、例えば、5.0Mb、4.0Mb、3.0Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、100kb、50kb、35kb、30kb、20kbまたはそれ未満の大きさであり、QTLまたはその変異体を含む。一つの態様では、その部分は、少なくとも5kb、10kb、20kbまたはそれ以上のサイズである。全ての遺伝子移入断片について記載されるように、より小さい断片はQTL2.1を保持し、すなわち、より小さい断片は、キュウリの果実収量を増加させる。
【0081】
一つの態様では、本発明の栽培キュウリ植物は、QTL2.1またはその変異体を含む野生型キュウリまたはキュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含み、遺伝子移入断片は、物理的第2染色体の5.5Mbから始まり10.9Mbで終わる領域の部分の全てを含み;別の態様では、5.0Mbから始まり10.89Mbで終わる領域の部分の全てを含む。
【0082】
一つの態様では、QTL2.1を含む第2染色体上の遺伝子移入断片は、NCIMB42545から生育させた植物と別のキュウリ植物、特に栽培キュウリ植物、一つの態様では長キュウリ型とを交雑することによって得ることができる。
【0083】
第2染色体上のQTL2.1の近くの別のQTLが、植物当たりの平均果実重量に負の効果を有し、両方のQTLのピークが互いに極めて近く一方と他方とを区別することが不可能であるようであった(
図1を参照)ことから、QTLマッピングプログラム中、QTL2.1は当初認識されなかった。しかしながら、驚くべきことに、この染色体上の遺伝子移入断片の負の領域は、組換えによって、すなわちSNP_26のさらに下流の野生近縁種キュウリ領域の一部を除去することによって、除去することができる。従って、一つの態様では、SNP_26(物理的位置10,882,440塩基)と第2染色体の末端(すなわち、23,174,625塩基まで)の間の染色体領域は、キュウリの野生近縁種由来、好ましくは栽培キュウリゲノム由来の果実長を減少させる負の収量QTL(QTL2.2)を含まない。従って、本発明は、平均果実長を減少させることなく、すなわち平均果実長を遺伝的対照の平均果実長から変化させることなく、遺伝的対照(QTL2.1を含まない)と比較して累積果実収量が向上した、QTL2.1を含む植物を提供する。
【0084】
本明細書において、収量QTLを有する第6染色体上の遺伝子移入断片に言及される場合、これは、様々な大きさの遺伝子移入断片を包含し、例えば、全てのSNPマーカー(第6染色体上の断片に関しては、SNP_27~SNP_40、またはそれらの間の任意のマーカー)についての野生型キュウリのSNP遺伝子型を含むNCIMB42545に見出される断片だけでなく、より小さな遺伝子移入断片(これらの14個のSNPマーカーよりも少ないSNPマーカー、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個のSNPマーカーについて野生近縁種のキュウリのSNP遺伝子型を含む)であって、QTL6.1またはその変異体を保持し、すなわち、栽培キュウリゲノムにおいてヘテロ接合型またはホモ接合型である場合に依然として有意に収量を増強する(対照、例えば遺伝的対照と比較して)断片を包含する。
【0085】
従って、一つの態様では、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物が提供され、前記遺伝子移入断片はQTL6.1またはその変異体を含み、前記遺伝子移入断片は、第6染色体のヌクレオチド(または塩基)25,519,964から始まり第6染色体のヌクレオチド(または塩基)28,300,913で終わる領域の全てまたは一部を含む。換言すれば、第6染色体のヌクレオチド(または塩基)25,519,964から始まり第6染色体のヌクレオチド(または塩基)28,300,913で終わる領域の全部または一部は、一つの態様では、キュウリの野生近縁種に由来し、QTL6.1またはその変異体を含む。どのサブ領域がQTL6.1を含むかは、例えば、精細マッピングによって同定される。従って、例えば、QTL6.1がSNP_27とSNP_33との間にあることが判明した場合、本発明の植物は、第6染色体のヌクレオチド25,519,964(SNP_27)から始まりヌクレオチド26,501,889(SNP_33)で終わる遺伝子移入領域を含んでいればよい。
【0086】
一つの態様では、QTL6.1(またはその変異体)は、配列番号27のマーカーSNP_27(または配列番号27の変異体配列)および配列番号40のマーカーSNP_40の間(または配列番号40の変異体配列)の間に位置する。別の態様では、QTL6.1(またはその変異体)は、配列番号27のマーカーSNP_27(または配列番号27の変異体配列)および配列番号33のマーカーSNP_33(または配列番号33の変異体配列)の間に位置する。さらに別の態様において、QTL6.1(またはその変異体)は、配列番号33のマーカーSNP_33(または配列番号33の変異体配列)および配列番号40のマーカーSNP_40(または配列番号40の変異体配列)の間に位置する。さらなる態様において、QTL6.1(またはその変異体)は、配列番号29のマーカーSNP_29(または配列番号29の変異体配列)および配列番号38のマーカーSNP_38(または配列番号38の変異体配列)の間に位置する。
【0087】
別の態様では、本発明の遺伝子移入断片(QTL6.1またはその変異体を含む)は、第6番染色体の25,519,964bpから始まり28,300,913bpで終わる領域のより小さい断片(一部)を含む断片であり、例えば、2.8Mb、1.9Mb、1Mb、0.5Mb、100kb、50kb、35kb、30kb、20kbまたはそれ未満の大きさであり、QTLまたはその変異体を含む。一つの態様では、その部分は、少なくとも5kb、10kb、20kbまたはそれ以上のサイズである。全ての遺伝子移入断片について記載されているように、より小さい断片はQTL6.1を保持し、すなわち、より小さい断片は、キュウリの果実収量を増加させる。
【0088】
一つの態様では、本発明の栽培キュウリ植物は、QTL6.1またはその変異体を含む野生型キュウリまたはキュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含み、遺伝子移入断片は、物理的第6染色体の26Mbから始まり28.5Mbまたは物理的第6染色体の末端、すなわち29.07Mbで終わる領域の部分の全てを含み;別の態様では、25.6Mbから始まり28.5Mbまたは物理的第6染色体の末端で終わる領域の部分の全てを含む。
【0089】
一つの態様では、QTL6.1を含む第6染色体上の遺伝子移入断片は、NCIMB42545から生育させた植物と別のキュウリ植物、特に栽培キュウリ植物と、一つの態様では長キュウリ型とを交雑することによって得ることができる。
【0090】
本明細書において、第2または第6染色体上の遺伝子移入断片(および遺伝子移入断片上に存在する収量QTLの増加のいずれか)の存在を示すSNPマーカーに言及する場合、遺伝子移入断片を示すSNPマーカーの遺伝子型、すなわち、第2染色体に関して本明細書で後述する表7に示されるSNP遺伝子型および第6染色体に関して本明細書で後述する表8に示されるSNP遺伝子型はについて言及されているものと理解される。表に示されるように、SNPマーカーの遺伝子型は、ホモ接合型またはヘテロ接合型である遺伝子移入断片が区別され得ることに留意されたい。ホモ接合型では、ヌクレオチドは同一であるが、ヘテロ接合型ではヌクレオチドは同一ではない。遺伝子移入断片を含まない「野生型」染色体のSNP遺伝子型は、表7および8(反復親の遺伝子型の下)にも列挙されている他の遺伝子型である。従って、例えば、野生型/遺伝的対照/対照(遺伝子移入断片を含まない)が示すSNP遺伝子型が「TT」(wt/wt)であるのに対して、QTL2.1を含む遺伝子移入断片が示すSNP_01の遺伝子型は「CT」(QTL2.1/wt)である。従って、ホモ接合型またはヘテロ接合型の遺伝子移入断片を含む植物または植物部分(例えば細胞)に言及する場合、遺伝子移入断片に連鎖するSNPマーカーは対応するSNP遺伝子型を有するものと理解される。
【0091】
従って、一つの態様では、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativusが提供され、遺伝子移入断片は、第2および第6染色体上の遺伝子移入断片を含まないキュウリ植物、すなわち、遺伝的対照または対照品種と比較して、同一条件下で生育させた場合に、キュウリ果実収量を増加させる。
【0092】
キュウリの果実収量の増加は、同じ環境下で生育させた場合に、第2および第6染色体上の遺伝子移入断片を欠いている対照系統または品種(例えば、遺伝的対照)と比較した場合の、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で有する栽培キュウリ植物系統または品種における(統計的に)有意に高い植物当たりの平均果実数(FrPP)として、および/または、同じ環境下で生育させた場合に、遺伝子移入断片を欠いている遺伝的対照系統または品種と比較した場合の、遺伝子移入断片を有する植物系統または品種における有意に高い植物当たりの平均果実重量(GrPP)として、表現型として発現する。
【0093】
果実収量(全平均FrPPおよび/またはGrPP)は、好ましくは、QTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)を、同一条件下で生育させた場合に、対照、より好ましくは遺伝的対照におけるよりも少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%高く含むキュウリ植物におけるものである。
【0094】
従って、本発明の植物は、少なくとも1つまたは2つの組換え第2染色体(すなわちヘテロ接合型またはホモ接合型)および/または少なくとも1つまたは2つの組換え第6染色体(すなわちヘテロ接合型またはホモ接合型)を有する栽培キュウリのゲノムを含む。組換え染色体は、分子マーカー分析、全ゲノム配列決定、染色体塗抹(chromosome painting)および類似の技術によって、栽培キュウリゲノムと容易に区別されるキュウリの野生型近縁種の断片を含む。
【0095】
一つの態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片は、キュウリの野生近縁種由来であり、正の収量QTL2.1またはその変異体を含み、染色体のヌクレオチド5,502,468から始まりヌクレオチド10,882,440で終わる領域の全部または一部を含む。従って、遺伝子移入断片は、表7に示されるように、収量QTL2.1またはその変異体、ならびに1つもしくはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26)のSNP_01~SNP_26から選択されるキュウリの野生近縁種のSNPマーカーを含む。
【0096】
一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片は、キュウリの野生近縁種由来であり、正の収量QTL6.1またはその変異体を含み、染色体のヌクレオチド25,519,964から始まりヌクレオチド28,300,913で終わる領域の全部または一部を含む。従って、遺伝子移入断片は、収量QTL6.1またはその変異体、ならびに1つ以上のまたは全て(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14)のSNP_27~SNP_40から選択されるキュウリの野生近縁種のSNPマーカーを含む。
【0097】
一つの態様では、植物または植物細胞または植物組織のゲノム中(またはそれらから抽出されたDNA中)第2または第6染色体上の遺伝子移入断片の存在は、遺伝子移入断片の1つまたは複数の分子マーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。しかしながら、上述したように、他の技術を使用することも可能であり、例えば、マーカーのSNP遺伝子型は、配列決定によって、または本明細書において提供されるSNPマーカーの間、または本明細書で提供されるマーカーの7cM以内もしくは5cM以内、または本明細書で提供されるマーカーの5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.4Mb、0.3Mb、0.2Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kb、2kb、1kbもしくはそれ未満の範囲内に位置する他のマーカーを用いることによって決定され得る。
【0098】
本明細書において、分子マーカーアッセイによって「検出可能」な1つ以上の分子マーカーに言及する場合、植物または植物部分がそのゲノム中に1つ以上のマーカーを含むことを意味し、そうでなければ検出可能ではない。
【0099】
第2染色体上の遺伝子移入断片(収量QTL2.1)を含むキュウリ植物
QTL2.1は、配列番号1(またはその変異体)のSNP_01と配列番号26のSNP_26(またはその変異体)との間の領域に位置する。
【0100】
従って、一つの態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号2(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_02のGGまたはGA遺伝子型;
c)配列番号3(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_03のGGまたはGA遺伝子型;
d)配列番号4(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_04のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号5(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_05のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号6(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号7(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型;
h)配列番号8(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型;
i)配列番号9(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_09のTTまたはTG遺伝子型;
j)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
k)配列番号11(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型;
l)配列番号12(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型;
m)配列番号13(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型;
n)配列番号14(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型;
o)配列番号15(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型;
p)配列番号16(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型;
q)配列番号17(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型;
r)配列番号18(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型;
s)配列番号19(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型;
t)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
u)配列番号21(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型;
v)配列番号22(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型;
w)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型;
x)配列番号24(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_24のGGまたはGT遺伝子型;
y)配列番号25(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_25のGGまたはGA遺伝子型;
z)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型;
aa)マーカーSNP_01とSNP_26との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である(すなわち、植物が1つ以上の分子マーカーを含む)。
【0101】
上述したように、変異体配列中のSNPに言及する場合、その変異体配列は、言及される配列と少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0102】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26個のマーカーは、マーカーa)~z)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0103】
上述したように、当業者であれば、他の分子マーカー、例えば、マーカーSNP_01とSNP_26との間、および/またはSNP_01~SNP_26のいずれか1つの7cMまたは5cM以内、および/またはSNP_01~SNP_26のいずれか1つの5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.4Mb、0.3Mb、0.2Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kbまたはそれ未満のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーを作出することができる。このようなマーカーは、連続したヌクレオチド、CAPSマーカー、INDEL等であってもよい。当業者は、例えば、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に見いだされる遺伝子移入断片の配列を決定し、その配列情報を使用して新しいマーカーおよびマーカーアッセイを開発することができる。
【0104】
別の態様では、QTL2.1は、配列番号1(またはその変異体)のSNP_01と配列番号10(またはその変異体)のSNP_10との間の領域に位置する。
【0105】
従って、別の態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号2(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_02のGGまたはGA遺伝子型;
c)配列番号3(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_03のGGまたはGA遺伝子型;
d)配列番号4(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_04のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号5(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_05のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号6(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号7(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型;
h)配列番号8(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型;
i)配列番号9(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_09のTTまたはTG遺伝子型;
j)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
k)マーカーSNP_01とSNP_10との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0106】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9または10個のマーカーは、マーカーa)~j)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9または10個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0107】
さらに別の態様では、QTL2.1は、配列番号10(またはその変異体)のSNP_10と配列番号20(またはその変異体)のSNP_20との間の領域に位置する。
【0108】
従って、別の態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
1)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
2)配列番号11(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型;
3)配列番号12(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型;
4)配列番号13(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型;
5)配列番号14(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型;
6)配列番号15(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型;
7)配列番号16(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型;
8)配列番号17(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型;
9)配列番号18(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型。
10)配列番号19(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型;
11)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
12)マーカーSNP_10とSNP_20との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10または11個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0109】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10または11個のマーカーは、マーカー1)~11)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10または11のマーカーは連続的なマーカーである。
【0110】
別の態様では、QTL2.1は、配列番号20(またはその変異体)のSNP_20と配列番号26(またはその変異体)のSNP_26との間の領域に位置する。
【0111】
従って、さらなる態様では、第2染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
1)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
2)配列番号21(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型;
3)配列番号22(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型;
4)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型;
5)配列番号24(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_24のGGまたはGT遺伝子型;
6)配列番号25(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_25のGGまたはGA遺伝子型;
7)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型;
8)マーカーSNP_20とSNP_26との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7または8個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0112】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7または8の個のマーカーは、マーカー1)~7)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7または8個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0113】
さらに別の態様では、QTL2.1は、配列番号06(またはその変異体)のSNP_06と配列番号23(またはその変異体)のSNP_23との間の領域に位置する。
【0114】
従って、別の実施形態では、第2染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
1)配列番号6(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型;
2)配列番号7(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型;
3)配列番号8(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型;
4)配列番号9(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_09のTTまたはTG遺伝子型;
5)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
6)配列番号11(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型;
7)配列番号12(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型;
8)配列番号13(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型;
9)配列番号14(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型;
10)配列番号15(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型;
11)配列番号16(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型;
12)配列番号17(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型;
13)配列番号18(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型;
14)配列番号19(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型;
15)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
16)配列番号21(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型;
17)配列番号22(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型;
18)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型;
19)マーカーSNP_06とSNP_23との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0115】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のマーカーは、マーカー1)~18)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0116】
従って、QTLを含む遺伝子移入断片は、大きい(SNP_01~SNP_26を含む)か、またはより小さく、マーカーを含まなくてもよいが、栽培キュウリ植物の収量を増大させることができ、すなわち、依然として収量対立遺伝子(QTL2.1または変異体)を含む。そのようなより小さい遺伝子移入断片は、本発明の一実施形態である。改善された収率を依然として与える(すなわち、収量対立遺伝子を含む)、より小さい遺伝子移入断片を有する植物は、精細マッピングまたは類似の技術等の既知の技術を用いて作出することができる。例えば、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に存在する遺伝子移入断片を含む植物から出発し、そのような植物を別の栽培キュウリ植物と交雑させ、該交雑の後代を同系交雑および/または後代を戻し交雑して、第2染色体上のより小さい遺伝子移入断片を有する組換え体含む植物集団を産生し、該断片は、遺伝子移入断片を含まない植物(遺伝的対照等、例えば、NCIMB42345として寄託されている種子から生育される植物)、例えば、マーカーSNP_10~SNP_10(またはより小さい、例えば、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)、SNP_10~SNP_20(またはより小さい、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)またはSNP_06~SNP_23(またはより小さい、例えば、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)の野生近縁種の遺伝子型を含む断片を含まない植物と比較して収量を増大させる。マーカーアッセイは、組換え体を選択し、より小さい遺伝子移入断片の大きさを決定するために用いることができる。1つ以上のSNPマーカーまたは野生近縁種の遺伝子型を含まなくてもよい。次いで、栽培キュウリの遺伝子型がSNPマーカーについて検出される。このようなより小さい遺伝子移入断片を含む植物の収量は、本明細書に記載の収量試験、すなわち、遺伝子移入断片を含まない適切な対照植物とともに野外試験においてより小さい遺伝子移入断片を含む複数の植物を生育させることにより比較することができる。対照植物は、好ましくはNCIMB42345等の遺伝的対照である。平均収量が対照より有意に高いままであれば、より小さい遺伝子移入断片はQTL2.1を保持している。
【0117】
あるいは、同じまたは変異体QTL(QTL2.1または変異体QTL2.1)は、異なる野生近縁種キュウリから移入されてもよく、それによって、本明細書に開示されるすべてのSNPマーカーが任意に存在するわけではない。このような代替的な野生近縁種キュウリ資源は、マーカーSNP_01~SNP_26、またはマーカーSNP_01~SNP_10、SNP_10~SNP_20、SNP_20~SNP_26、またはSNP_06~SNP_23、またはこれらのマーカーのより小さなサブグループ(例えば、2,3、4、5、6、7、8またはそれよりも多く)の遺伝子型を検出するためのマーカーアッセイを用いて、野生近縁種キュウリの遺伝子源(すなわち、その寄託物)をスクリーニングすることにより、本発明で提供されるSNPマーカーを使用して同定することができる。他の供給源に由来する同じまたは変異体QTL2.1を有する植物も、本発明の一実施形態である。SNP_01~SNP_26のSNP、またはSNP_01~SNP_10のSNP、またはSNP_10~SNP_20のSNP、またはSNP_20~SNP_26のSNP、またはSNP_06~SNP_23のSNPの少なくとも1つ以上(または全て)が存在する限り、植物は収量増加遺伝子型を有し、すなわち植物はQTL2.1(またはその変異体)を含む。次いで、当業者は、本明細書に記載されているように果実収量を増強するために、また、栽培キュウリに存在する場合にQTLが収量を増強することを確認するために、QTL2.1(またはその変異体)を栽培キュウリに移入することができる。例えば、QTL2.1は特定の育種系統または品種に移入され、遺伝子移入なしの系統または品種は、収量試験における遺伝的対照として使用することができる。
【0118】
上述したように、一つの実施形態では、本発明の栽培キュウリ植物は、少なくともキュウリの野生近縁種の遺伝子型を有するSNPマーカーのサブセット、すなわちSNP_01~SNP_26、またはSNP_01~SNP_10、またはSNP_10~SNP_20、またはSNP_20~SNP_26、またはSNP_06~SNP_23の少なくとも1、2、3、4または5個のマーカーを含む遺伝子移入断片を含む。一つの態様では、栽培キュウリ植物は、SNP_01~SNP_26、またはSNP_01~SNP_10、またはSNP_10~SNP_20、またはSNP_20~SNP_26、またはSNP_06~SNP_23の全て、または1つまたは2つを除く全てのマーカーを含む。
【0119】
従って、一つの態様では、量的形質遺伝子座(QTL2.1)が野生近縁種キュウリの第2染色体上に存在することが見出され、これは、栽培キュウリ品種または育種系統に導入(移入)され、ヘテロ接合型またはホモ接合型で存在する場合、栽培キュウリ植物の果実収量を有意に増加させる。従って、QTLまたはQTL(収量対立遺伝子を含む)を含む遺伝子移入断片は優性遺伝子あり、すなわち、第2染色体の1つの上に遺伝子移入断片を有すること(1つの組換え第2染色体)で十分であるが、対の第2相同染色体は、遺伝子移入断片を欠いている、栽培C. sativus var. sativusの(組換えされていない)第2染色体であり得る。
【0120】
収量QTLの現在の供給源は単一の特定の野生株であるが、第2染色体上の同じ遺伝子座にQTL2.1を含む他の野生近縁種のCucumis群が存在する可能性が高い。このような遺伝子座は、わずかに異なるヌクレオチド配列を有する収量対立遺伝子、すなわち本明細書に記載されている対立遺伝子(QTL)の変異型を含み得る。このような変異型QTLは、本明細書に記載されているように、同定され、栽培キュウリに遺伝子移入されて、栽培C. sativus var. sativusのゲノムおよび組換え第2染色体を含む栽培キュウリ植物を産生することもでき、それによって、組換え第2染色体は、ホモ接合型またはヘテロ接合型で存在する場合に、栽培キュウリ植物に増強された収量表現型を付与する野生近縁種のCucumis sativus種の遺伝子移入断片を含む。QTL2.1を含むそのような野生近縁種を同定するために、マーカーアッセイにより、または配列比較もしくは他の方法によって、本明細書により提供される1つ以上のSNPマーカーの存在に関して、野生群をスクリーニングすることができる。推定収量QTL(または変異型QTL)は、次いで、例えば、MASを用いることにより、すなわち、本明細書により提供される1つ以上(またはすべて)のSNPマーカーを使用して組換え第2染色体を含む後代植物(例えば、戻し交配植物)を検出および/または選択することにより、栽培されたキュウリに移入され得る。選択された植物、すなわち組換え第2染色体を有し、第2染色体上の遺伝子移入断片はSNP_01~SNP_26の1つ以上のSNPマーカー、SNP_01~SNP_10の1つ以上のSNPマーカー、SNP_10~SNP_20の1つ以上のSNPマーカー、SNP_20~SNP_26の1つ以上のSNPマーカー、または、SNP_06~SNP_23の1つ以上のSNPマーカー(本明細書の他の箇所に記載されている)によって検出可能であり、従って、遺伝子移入断片が有意な収量増加を実際にもたらすかどうかを決定するために、適切な対照植物、好ましくは少なくとも遺伝的対照と共に収量試験を行うことにより、表現型解析することができる。
【0121】
キュウリの野生近縁種の群は、USDA National Plant Germplasm Systemコレクションまたは他の種子コレクションから得ることができ、従って、例えば、本明細書に記載のマーカーアッセイを使用して、QTL2.1の存在についてスクリーニングすることができ、1つ以上のSNPマーカー(例えば、QTL2.1を示す少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26すべてのSNPマーカー)を含む群は、通常の野生型非組換え第2染色体を有する栽培キュウリ植物と交配することができる。F1またはF2世代(またはF3または戻し交配世代などのさらなる世代)について、本明細書に記載される分子マーカーアッセイを用いて、遺伝子移入断片を含む組み換え植物、またはその収量増加部分をスクリーニングすることができる。
【0122】
一つの態様では、遺伝子移入断片は、インドキュウリグループに属し、ユーラシアキュウリグループの第2染色体に導入された野生近縁種キュウリ由来であり、それにより、収量QTL2.1または変異体を含む栽培キュウリ植物が作出される。従って、一つの実施形態では、収量QTL2.1を含む遺伝子移入断片は、インドキュウリグループに属するキュウリの野生近縁種に由来する(または誘導される)か、またはそれから得ることができる(またはそこから得られる、または存在する)。
【0123】
特定の実施形態では、収量QTL2.1を含む遺伝子移入断片は、種子から誘導可能であり(または種子に由来し)、または種子から入手可能であり(または種子から得られるか、もしくは種子中に存在する)、その代表的な試料は、寄託番号NCIMB42545として寄託されており、またはその後代から得られる。後代は、記載されているように、QTLを示す(および連鎖している)1つ以上(またはすべて)のSNPマーカーを保持する任意の後代であり得る。従って、後代は、寄託物のF1またはF2後代に限定されず、同系交配および/または他のキュウリ植物との交配によって得られたものであっても、いずれの後代であってもよい。
【0124】
一つの実施形態では、遺伝子移入断片は、本明細書の他の箇所に記載されている1つ以上のマーカー、特に第2染色体上の遺伝子移入断片についてはマーカーSNP_01~SNP_26、またはSNPマーカーSNP_01~SNP_10から選択されるか、またはSNPマーカーSNP_10~SNP_20から選択されるか、またはSNP_20~SNP_26から選択されるか、またはSNP_06~SNP_23から選択される1つ以上のマーカー等のマーカーのサブセットによって同定することができる。一つの態様では、本発明は、増加した果実収量を含む栽培(栽培化した)キュウリのゲノムを有する栽培キュウリ植物を提供し、増加した果実収量は、栽培キュウリの第2染色体上の遺伝子移入断片によって付与され、遺伝子移入断片は、NCIMB42545として寄託された種子またはこの植物の後代(QTLに連鎖した、本明細書に開示された1つ以上のマーカーを含む)から栽培された植物を栽培キュウリ植物と交配させることによって得られる。従って、一つの態様では、本発明の栽培キュウリ植物は、NCIMB42545(SNP_01~SNP_26について野生近縁種の遺伝子型を有する)に存在するのと同じ遺伝子移入断片および組換え第2染色体を含むか、または、当該遺伝子移入断片り短い断片を含み、それにより該より短い断片が果実収量を増大させる遺伝的要素(QTL2.1)を保持する。
【0125】
従って、一つの実施形態では、本発明は、第2染色体上にキュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む本発明の植物、すなわち、栽培されたCucumis sativus var. sativus植物であって、遺伝子移入断片は、NCIMB42545として寄託された種子「のもの」であり、「と同一」であり、「のものと同一」であり、またはそのより短い断片であるが、QTL2.1が存在することにより依然として果実収量の増大を付与する。
【0126】
さらに別の実施形態では、本発明は、第2染色体上にキュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む本発明の植物、すなわち、栽培されたCucumis sativus var. sativus植物であって、番号NCIMB42545として寄託された種子中に見出される遺伝子移入断片の変異体であり、すなわち、収量QTL2.1を含むが、ゲノム配列は異なっていてもよい。野生群は遺伝子的に異なるので、他の野生近縁種に由来するQTL2.1を含む遺伝子移入断片のゲノム配列は、NCIMB42262に移入されたゲノム配列と同一でない可能性が高く、収量付与遺伝子(プロモーター、イントロンおよびエキソンを含む)は、ヌクレオチド配列は相違し得るが、その機能は同じであり、すなわち、果物収量を増加させる。相違は、QTL2.1に連鎖した特定のSNPマーカーが種々の群で共通して見出され、他のSNPマーカーは特定の群でのみ見出され得ることに見られる。従って、例えば、SNP_01~SNP_26のすべてが、他の野生キュウリ植物またはキュウリの野生近縁種に見出されるわけではない。しかし、収量を増加させるQTL2.1(例えば、収量対立遺伝子の変異体またはオーソロガスを含む)は、そのような野生群に依然として存在し得る。当業者は、例えば、SNPマーカーまたはそのサブセットを含む野生近縁種を検出し、それらのSNPマーカー(またはサブセット)を栽培キュウリ系統または品種に導入し、SNPマーカー(またはサブセット)を含まない、すなわち遺伝子移入断片を含まない系統または品種との比較における栽培系統または品種の果実収量を評価することによって、他のキュウリの野生近縁種に見出される領域を含むQTL2.1を同定し、栽培キュウリに移入することができる。
【0127】
一つの実施形態では、QTL2.1を含む遺伝子移入断片、または第2染色体領域(または変異型もしくは第2相同染色体領域)の存在は、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号2(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_02のGGまたはGA遺伝子型;
c)配列番号3(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_03のGGまたはGA遺伝子型;
d)配列番号4(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_04のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号5(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_05のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号6(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号7(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型;
h)配列番号8(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型;
i)配列番号9の一塩基多型マーカーSNP_09(またはその変異体)のTTまたはTG遺伝子型;
j)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
k)配列番号11(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型;
l)配列番号12(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型;
m)配列番号13(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型;
n)配列番号14(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型;
o)配列番号15(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型;
p)配列番号16(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型;
q)配列番号17(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型;
r)配列番号18(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型;
s)配列番号19(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型;
t)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
u)配列番号21(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型;
v)配列番号22(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型;
w)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型;
x)配列番号24(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_24のGGまたはGT遺伝子型;
y)配列番号25(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_25のGGまたはGA遺伝子型;
z)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型;
aa)マーカーSNP_01とSNP_26との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個またはそれよりも多く(または26個すべて)の一塩基多型(SNP)マーカーを検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である。
【0128】
一つの態様では、検出される前記少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0129】
従って、一つの実施形態では、本発明による植物は、配列番号1の第75ヌクレオチド(SNP_01と称する)、または配列番号1と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号2の第75ヌクレオチド(SNP_02と称する)、または配列番号2と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)、(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号3の第75ヌクレオチド(SNP_03と称する)、または配列番号3と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号4の第75ヌクレオチド(SNP_04と称する)、または配列番号4と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号5の第75ヌクレオチド(SNP_05と称する)、または配列番号5と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号6の第75ヌクレオチド(SNP_06と称する)、または配列番号6と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号7の第75ヌクレオチド(SNP_07と称する)、または配列番号7と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号8の第75ヌクレオチド(SNP_08と称する)、または配列番号8と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号9の第75ヌクレオチド(SNP_09と称する)、または配列番号9と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号10の第75ヌクレオチド(SNP_10と称する)、または配列番号10と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号11の第75ヌクレオチド(SNP_11と称する)、または配列番号11と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(TGを含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(すなわち、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号12の第75ヌクレオチド(SNP_12と称する)、または配列番号12と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号13の第75ヌクレオチド(SNP_13と称する)、または配列番号13と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号14の第75ヌクレオチド(SNP_14と称する)、または配列番号14と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号15の第75ヌクレオチド(SNP_15と称する)、または配列番号15と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号16の第75ヌクレオチド(SNP_16と称する)、または配列番号16と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAC遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号17の第75ヌクレオチド(SNP_17と称する)、または配列番号17と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(すなわち、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号18の第75ヌクレオチド(SNP_18と称する)、または配列番号18と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表7に示す第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号19の第75ヌクレオチド(SNP_19と称する)、または配列番号19と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号20の第75ヌクレオチド(SNP_20と称する)、または配列番号20と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号21の第75ヌクレオチド(SNP_21と称する)、または配列番号21と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号22の第75ヌクレオチド(SNP_22と称する)、または配列番号22と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号23の第75ヌクレオチド(SNP_23と称する)、または配列番号23と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTG遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号24の第75ヌクレオチド(SNP_24と称する)、または配列番号24と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGT遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号25の第75ヌクレオチド(SNP_25と称する)、または配列番号25と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号26の第251ヌクレオチド(SNP_26と称する)、または配列番号26と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含む(すなわちCCまたはCA遺伝子型)(換言すれば、表7に示される第2染色体の物理的位置にシトシンが存在する)。
【0130】
さらなる一つの実施形態では、QTL2.1を含む遺伝子移入断片、または第2染色体領域(または第2染色体領域の変異体もしくはオーソロガス)の存在は、SNP_01~SNP_10またはSNP_01とSNP_10との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれか;SNP_10~SNP_20またはSNP_10とSNP_20との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれか;SNP_20~SNP_26またはSNP_20とSNP_26との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれか;またはSNP_06~SNP_23またはSNP_06とSNP_23との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれかからなる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8個またはそれより多くの単一ヌクレオチド多型(SNP)マーカーのサブグループを検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である。
【0131】
SNP遺伝子型は2つのヌクレオチドを意味し、これら2つのヌクレオチドのうちの1つを各第2染色体に含むゲノム配列を意味する。従って、SNP_01についてCC遺伝子型を有する植物は、両方の染色体上に同一のヌクレオチド(C)を有し、それに対して、SNP_01についてCT遺伝子型を有する植物は、配列番号1の第75ヌクレオチド(または配列番号1と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチド)にCを有する1つの染色体を有し、配列番号1の第75ヌクレオチド(または配列番号1と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチド)にTを有する1つの染色体を有し、遺伝子移入断片についてヘテロ接合型である。本明細書で提供されるSNPマーカーの周辺のゲノム配列は、他のキュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片(すなわち第2染色体の変異体またはオーソロガス)においてわずかに変化し得るので、SNPの前後のヌクレオチド配列は、本明細書で提供される配列と100%同一でない場合があることは明らかである。従って、本明細書で提供される配列と実質的な配列同一性を有する配列(定義された全長にわたって整列した場合)であって、同じSNP遺伝子型を含む配列は本明細書に包含される。
【0132】
一つの態様において、1つ以上の上記マーカーにより検出可能な、QTL(QTL2.1または変異体)を含む遺伝子移入断片、または第2染色体領域(または第2染色体領域の変異体もしくはオーソロガス)は、キュウリの野生近縁種由来であり、一つの態様では、野生近縁種はインドキュウリグループのメンバーである。一つの態様では、それは、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中の第2染色体上に見られるのと同じ遺伝子移入断片、またはQTLを保持するより小さい断片である。SNPマーカーSNP_01~SNP_26は、約5.4Mbの領域に広がっている。一つの態様において、第2染色体の遺伝子移入断片は、大きさが10Mb以下、好ましくは8Mb以下、より好ましくは6Mb、5Mb、4Mb、5Mb、3Mbまたは2.5Mb以下の大きさであり、例えば2Mb以下である。一つの態様では、遺伝子移入断片は、少なくとも0.2Mb、0.5Mb、1.0Mb、1.5Mb、1.9Mb、2.0Mb、2.5Mb、2.7Mbまたは3Mbの大きさである。従って、10Mb未満であるが0.2Mbを超え、6Mbまたは5.5Mb未満であるが0.2Mb、0.5MBまたは1Mbを超える等の断片であって、QTL2.1およびSNP_01~SNP_26のSNPマーカー、またはSNP_01~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP_20~SNP_26もしくはSNP_06~SNP23のサブグループのSNPマーカーを保持する様々な範囲の大きさの遺伝子移入断片が本明細書に包含される。遺伝子移入断片の大きさは、例えば、全ゲノム配列決定、または、例えば、Qi et al. 2013(上記)もしくはHuang et al. 2009(上記)に記載されているような、次世代配列決定により容易に決定することができる。特に、遺伝子移入領域は、遺伝子移入領域におけるより大きな遺伝子変異(SNP、INDELなど)により、培養されたゲノム領域と容易に区別することができる。
【0133】
寄託された種子(NCIMB42545)の第2染色体上に存在する遺伝子移入断片を得るため、すなわちQTLを含む遺伝子移入断片を別の栽培キュウリ植物に移入するために、植物を種子から栽培し、該植物を栽培キュウリ植物と交配させF1交配種子を得る。NCIMB42545は2つの組み換え第2染色体(QTL2.1をホモ接合型で含む遺伝子移入断片を含む)を含むことから、それらから栽培されたF1種子および植物は全てNCIMB42545植物由来の1つの組み換え第2染色体と、他の栽培親由来の1つの非組み換え第2染色体とを含む。さらに自家交雑および/または交雑および/または戻し交雑をすることによって、QTL2.1を任意のキュウリ育種系統または品種に導入することができる。従って、従来の育種によって、NCIMB42545由来の組換え第2染色体を他の栽培キュウリ系統または品種に導入することができる。QTL2.1を含む後代植物は、上述した1つ以上のSNPマーカーの存在によりスクリーニングおよび選択することができる。
【0134】
より短い遺伝子移入断片、例えばNCIMB42545に存在する断片のサブ断片を作出するために、減数分裂が起こる必要があり、組換え第2染色体を含む植物、特に遺伝子移入断片内の新しい減数分裂組換え事象を同定する必要がある。例えば、NCIMB42545の種子は、F1、F2またはF3植物(またはさらなる同系世代)を産生するために1回以上同系交配され得、かつ/または組換え第2染色体を含むF1、F2またはF3植物等は、栽培された親に戻し交雑され得る。組換え第2染色体を含む植物は、より小さい遺伝子移入断片を含む植物を同定するために、上述した1つ以上のSNPマーカーの存在によりスクリーニングおよび選択することができる。次いで、そのような新規組換え体を、より小さい遺伝子移入断片上のQTL2.1の存在について、遺伝子移入断片を含まない(遺伝的)対照と比較して平均果実収量を決定することによって試験することができる。
【0135】
同様に、QTL2.1(またはその変異型)を含む栽培キュウリ植物は、異なる方法を用いて産生および/または同定することができる。例えば、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を得るために、まず、本明細書で開示するQTL2.1に連鎖する1つ以上のSNPマーカー、例えば、本明細書で記載する任意の1つ以上、またはすべてのマーカーを含むキュウリの野生近縁種が同定される。同定された植物を栽培キュウリ植物と交配してF1種子を得る。F1は、F2、F3等の植物を産生するために同系交配することができ、かつ/またはF2植物またはF3植物等は、栽培されたキュウリの親に戻し交配することができる。QTL2.1(またはその変異型)を含む植物は、上記のSNPマーカーの1つ以上の存在によってスクリーニングされ、および/もしくは選択され、かつ/または最初の栽培された親(遺伝子移入を欠いている)と比較して収量表現型の増加によってスクリーニングされ、および/もしくは選択される。あるいはまたはさらに、QTL2.1(またはその変異型)に連鎖したさらなる分子マーカーを同定し、かつ/または有意な収量増加をもたらす第2染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を産生するために、QTLマッピングまたはシークエンシングが行われる。
【0136】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL2.1を含む遺伝子移入断片または第2染色体領域(または第2染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型;
c)マーカーSNP_01とSNP_26との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_01またはSNP_26の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_01またはSNP_26の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0137】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_02~SNP_25の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0138】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL2.1を含む遺伝子移入断片または第2染色体領域(または第2染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型p;
c)マーカーSNP_01とSNP_10との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_01またはSNP_10の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_01またはSNP_10の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0139】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_02~SNP_09の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0140】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL2.1を含む遺伝子移入断片または第2染色体領域(または第2染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型;
b)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
c)マーカーSNP_10とSNP_20との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_10またはSNP_20の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_10またはSNP_20の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0141】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_11~SNP_19の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0142】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL2.1を含む遺伝子移入断片または第2染色体領域(または第2染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型;
c)マーカーSNP_20とSNP_26との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_20またはSNP_26の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_20またはSNP_26の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0143】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_21~SNP_25の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0144】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL2.1を含む遺伝子移入断片または第2染色体領域(または第2染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号06(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型;
b)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型;
c)マーカーSNP_06とSNP_23との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_06またはSNP_23の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_06またはSNP_23の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任にの野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0145】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_07~SNP_22の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0146】
2つのマーカーの間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカーは、2つのマーカーの間の第2染色体領域に遺伝的にマッピングし、および/または2つのマーカーの間に物理的に存在する任意の分子マーカーを意味し、野生近縁種キュウリの第2染色体領域を示すものである。これは、栽培キュウリのゲノムと野生近縁種キュウリのゲノムとの間でマーカーが多型であることを意味する。一つの態様では、マーカーは単一ヌクレオチド多型(SNP)であるが、RFLP、AFLP、RAPD、INDEL、DNA配列決定等の他の分子マーカーも同様に使用することができる。
【0147】
本発明の植物における遺伝子移入断片は、一つの態様において、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に存在する第2染色体の断片、またはQTLを保持するその断片のより小さいもの(例えば、遺伝子移入断片内での組換えによって生成される)である。
【0148】
遺伝子移入断片は、一つの態様では、大きさが10Mb以下、好ましくは8Mb、5.4Mb、5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1.5Mb、1Mb以下である。さらなる態様において、遺伝子移入断片は、少なくとも0.5Mbまたは少なくとも1Mbのサイズである。
【0149】
また、本発明の植物が収穫することができる植物、本発明の植物から収穫され、ゲノム中に組換え第2染色体を含むキュウリ果実も同様に提供される。同様に、植物の細胞、組織、または植物もしくは種子の植物部分が提供され、前記組換え第2染色体は、野生近縁種キュウリの遺伝子移入断片を含み、前記遺伝子移入断片は、果実収量の有意な増加を付与する対立遺伝子を含む。
【0150】
第6染色体上の遺伝子移入断片(収量QTL6.1)を含むキュウリ植物
QTL6.1は、配列番号27(またはその変異体)のSNP_27と配列番号40のSNP_40(またはその変異体)との間の領域に位置する。
【0151】
従って、一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号28(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_28のTTまたはTC遺伝子型;
c)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型;
d)配列番号30(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号31(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号32(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
h)配列番号34(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型;
i)配列番号35(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型;
j)配列番号36(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型;
k)配列番号37(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型;
l)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型;
m)配列番号39(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_39のAAまたはAC遺伝子型;
n)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型;
o)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である(すなわち、植物が1つ以上の分子マーカーを含む)。
【0152】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のマーカーは、マーカーa)~n)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0153】
別の態様では、QTL6.1は、配列番号27(またはその変異体)のSNP_27と配列番号33(またはその変異体)のSNP_33との間の領域に位置している。
【0154】
従って、一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子乳断片が、
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号28(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_28のTTまたはTC遺伝子型;
c)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型;
d)配列番号30(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号31(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号32(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
h)マーカーSNP_27とSNP_33との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6または7個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である(すなわち、植物が1つ以上の分子マーカーを含む)。
【0155】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6または7個のマーカーは、マーカーa)~g)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6または7個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0156】
別の態様では、QTL6.1は、配列番号33(またはその変異体)のSNP_33と配列番号40(またはその変異体)のSNP_40との間の領域に位置する。
【0157】
従って、一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
a)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号34(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型;
c)配列番号35(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型;
d)配列番号36(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型;
e)配列番号37(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型;
f)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型;
g)配列番号39(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_39のAAまたはAC遺伝子型;
h)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTT又はTC遺伝子型;
i)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7または8個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である(すなわち、植物が1つ以上の分子マーカーを含む)。
【0158】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7または8個のマーカーは、マーカーa)~h)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7または8個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0159】
別の実施形態では、QTL6.1は、配列番号29(またはその変異体)のSNP_29と配列番号38(またはその変異体)のSNP_38との間の領域に位置する。
【0160】
従って、一つの態様では、第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む栽培Cucumis sativus var. sativus植物が提供され、遺伝子移入断片はキュウリ果実収量を増加させ(遺伝子移入断片を含まない植物、例えば遺伝的対照と比較して)、遺伝子移入断片が、
a)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型。
b)配列番号30(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型。
c)配列番号31(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型。
d)配列番号32(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型。
e)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型。
f)配列番号34(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型。
g)配列番号35(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型。
h)配列番号36(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型。
i)配列番号37(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型;
j)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型。
k)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2または3つ、または少なくとも4、5、6、7、8または9個のマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である(すなわち、植物が1つ以上の分子マーカーを含む)。
【0161】
一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8または9個のマーカーは、マーカーa)~j)からなる群から選択される。一つの態様では、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8または9つのマーカーは連続的なマーカーである。
【0162】
QTL6.1は、特に低温生育条件下で果実収量を増大させるので、最低温度が低い、例えば摂氏10°以下(摂氏9、8、7、6、5または4℃以下等)の環境条件下で一定期間(しかしながら、凍結損傷が生じることから凍結は回避される)で生育され得るキュウリ植物系統および品種において特に有利である。従って、一つの態様では、QTL6.1を含む本発明の栽培キュウリ植物の果実収量は、南ヨーロッパ諸国の秋/冬期間や北ヨーロッパ諸国の春期等の、最低温度(例えば夜間)が摂氏10℃以下である環境条件下で植物を栽培する場合に、対照と比較して増加する。
【0163】
上述したように、当業者であれば、他の分子マーカー、例えば、マーカーSNP_27とSNP_40との間、および/またはSNP_27~SNP_40のいずれか1つの7cMまたは5cM以内、および/またはSNP_27~SNP_40のいずれか1つの5Mb、3Mb、2.5Mb、2Mb、1Mb、0.5Mb、0.4Mb、0.3Mb、0.2Mb、0.1Mb、50kb、20kb、10kb、5kbまたはそれ未満の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカーを作出することができる。このようなマーカーは、連続したヌクレオチド、CAPSマーカー、INDEL等であってもよい。当業者は、例えば、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に見いだされる遺伝子移入断片の配列を決定し、その配列情報を使用して新しいマーカーおよびマーカーアッセイを開発することができる。
【0164】
QTL6.1(または変異体)を含む遺伝子移入断片は、本明細書に開示される全てのSNPマーカーを含み得るか、またはそれより小さくて、遺伝子移入断片を示すSNPマーカー(栽培キュウリのSNP遺伝子型を有する)を含まないが、収量対立遺伝子(QTL6.1または変異体)を依然として含み得る。そのようなより小さい遺伝子移入断片は、本発明の一実施形態である。改善された収率を依然として与える(すなわち、収量対立遺伝子を含む)、より小さい遺伝子移入断片を有する植物は、精細マッピングまたは類似の技術等の既知の技術を用いて作出することができる。例えば、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に存在する遺伝子移入断片を含む植物から出発し、このような植物を別の栽培キュウリ植物と交雑させ、該交雑の後代を同系交雑および/または後代を戻し交雑して、第6染色体上のより小さい遺伝子移入断片を有する組換え体を含む植物集団を産生し、該断片は、遺伝子移入断片を含まない植物(遺伝的対照等、例えば、NCIMB42345として寄託されている種子から生育される植物)、例えば、マーカーSNP_27~SNP_33(またはより小さい、例えば、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)、SNP_33~SNP_40(またはより小さい、例えば、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)、SNP_29~SNP_38(またはより小さい、例えば、9、8、7、6、5、4、3、2または1個のSNPマーカーを含む)の野生近縁種の遺伝子型を含む断片を含まない植物と比較して収量を増大させる。マーカーアッセイは、組換え体を選択し、より小さい遺伝子移入断片の大きさを決定するために用いることができる。1つ以上のSNPマーカーを含まなくてもよい。このようなより小さい遺伝子移入断片を含む植物の収量は、本明細書に記載の収量試験、すなわち、遺伝子移入断片を含まない適切な対照植物とともに野外試験においてより小さい遺伝子移入断片を含む植物を生育させることにより比較することができる。対照植物は、好ましくはNCIMB42345等の遺伝的対照である。平均収量が対照より有意に高いままであれば、より小さい遺伝子移入断片はQTL6.1を保持している。
【0165】
あるいは、同じまたは変異体QTL(QTL6.1または変異体QTL6.1)は、異なる野生近縁種キュウリから移入されてもよく、それによって、本明細書に開示されるすべてのSNPマーカーが任意に存在するわけではない。そのような代替的な野生近縁種キュウリ資源は、マーカーSNP_27~SNP_40、またはマーカーSNP_27~SNP_33、SNP_33~SNP_40、SNP_29~SNP_38、またはこれらのマーカーのより小さなサブグループ(例えば、2、3、4、5、6またはそれよりも多く)の遺伝子型を検出するためのマーカーアッセイを用いて、野生近縁種キュウリの遺伝資源(すなわち、その寄託物)をスクリーニングすることにより、本発明で提供されるSNPマーカーを使用して同定することができる。他の供給源に由来する同じまたは変異体QTL6.1を有する植物も、本発明の一実施形態である。SNP_27~SNP_40のSNP、またはSNP_27~SNP_33のSNP、またはSNP_33~SNP_40のSNP、またはSNP_29~SNP_38のSNPの少なくとも1つ以上(または全て)が存在する限り、植物は収量増加遺伝子型を有し、すなわち植物はQTL6.1(またはその変異体)を含む。次いで、当業者は、本明細書に記載されているように果実収量を増強するために、また、栽培キュウリに存在する場合にQTLが収量を増強することを確認するために、QTL6.1(またはその変異体)を栽培キュウリに移入することができる。例えば、QTL6.1は特定の育種系統または品種に移入され、遺伝子移入なしの系統または品種は、収量試験における遺伝的対照として使用することができる。
【0166】
上記のように、一つの実施形態では、本発明の栽培キュウリ植物は、少なくともキュウリの野生近縁種の遺伝子型を有するSNPマーカーのサブセット、すなわちSNP_27~SNP_40、またはSNP_27~SNP_33、またはSNP_33~SNP_40、またはSNP_29~SNP_38の少なくとも1、2、3、4または5個のマーカーを含む遺伝子移入断片を含む。一つの態様では、栽培キュウリ植物は、SNP_27~SNP_40、またはSNP_27~SNP_33、またはSNP_33~SNP_40、またはSNP_29~SNP_38の全て、または1つまたは2つを除く全てのマーカーを含む。
【0167】
従って、遺伝子移入断片(および遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物または植物部分、例えば、細胞)は、マーカーアッセイにおいて、上述したマーカーの1つ以上または全ての遺伝子移入断片(すなわち、野生近縁種キュウリの遺伝資源)を検出することにより検出することができる。
【0168】
従って、一つの態様では、量的形質遺伝子座(QTL6.1)が野生近縁種キュウリの第6染色体上に存在することが見出され、これは、栽培キュウリ品種または育種系統に導入(移入)され、ヘテロ接合型またはホモ接合型で存在する場合、栽培キュウリ植物の果実収量を有意に増加させる。従って、QTLまたはQTL(収量対立遺伝子を含む)を含む遺伝子移入断片は優性遺伝子であり、すなわち、第6染色体の1つの上に遺伝子移入断片を有すること(1つの組換え第6染色体)で十分であるが、対の第6相同染色体は、遺伝子移入を欠いている、栽培C. sativus var. sativusの(組換えされていない)第6染色体であり得る。
【0169】
収量QTLの現在の供給源は単一の特定の野生株であるが、第6染色体上の同じ遺伝子座にQTL6.1を含む他の野生近縁種のCucumis群が存在する可能性が高い。このような遺伝子座は、わずかに異なるヌクレオチド配列を有する収量対立遺伝子、すなわち本明細書に記載されている対立遺伝子(QTL)の変異型を含み得る。このような変異体QTLは、本明細書に記載されているように、同定され、栽培キュウリに遺伝子移入されて、栽培C. sativus var. sativusのゲノムおよび組換え第6染色体を含む栽培キュウリ植物を産生することもでき、それによって、組換え第6染色体は、ホモ接合型またはヘテロ接合型で存在する場合に、栽培キュウリ植物に増強された収量表現型を付与する野生近縁種のCucumis sativus種の遺伝子移入断片を含む。QTL6.1を含むそのような野生近縁種キュウリを同定するために、マーカーアッセイにより、または配列比較もしくは他の方法によって、本明細書により提供される1つ以上のSNPマーカーの存在に関して、野生群をスクリーニングすることができる。推定収量QTL(または変異型QTL)は、次いで、例えば、MASを用いることにより、すなわち、本明細書により提供される1つ以上(または全て)のSNPマーカーを使用して組換え第6染色体を含む後代植物(例えば戻し交雑植物)を検出および/または選択することにより、栽培キュウリに移入され得る。選択された植物、すなわち第6染色体上の遺伝子移入断片を有し、第6染色体上の遺伝子移入断片はSNP_27~SNP_40の1つ以上のSNPマーカー、またはSNP_27~SNP_33の1つ以上のSNPマーカー、またはSNP_33~SNP_40の1つ以上のSNPマーカー、またはSNP_29~SNP_38の1つ以上のSNPマーカー(本明細書の他の箇所に記載されている)によって検出可能であり、従って、遺伝子移入断片が有意な収量増加を実際にもたらすかどうかを決定するために、適切なな対照植物、好ましくは少なくとも遺伝的対照と共に収量試験を行うことにより、表現型解析することができる。
【0170】
野生近縁種キュウリの群は、USDA National Plant Germplasm Systemコレクションまたは他の種子コレクションから得ることができ、従って、例えば、本明細書に記載のマーカーアッセイを使用して、QTL6.1の存在についてスクリーニングすることができ、1つ以上のSNPマーカー(例えば、QTL6.1を示す少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個全てのSNPマーカー)を含む群は、通常の野生型非組換え第6染色体を有する栽培キュウリ植物と交配することができる。F1またはF2世代(またはF3または戻し交雑世代などのさらなる世代)について、本明細書に記載される分子マーカーアッセイを用いて、遺伝子移入断片を有する組み換え植物、またはその収量増加部分をスクリーニングすることができる。
【0171】
一つの態様では、遺伝子移入断片は、インドキュウリグループに属し、ユーラシアキュウリグループの第6染色体に導入された野生近縁種キュウリ由来であり、それにより、収量QTL6.1または変異体を含む栽培キュウリ植物が作出される。従って、一つの実施形態では、収量QTL6.1を含む遺伝子移入断片は、インドキュウリグループに属するキュウリの野生近縁酢に由来する(または誘導される)か、またはそれから得ることができる(またはそこから得られる、または存在する)。
【0172】
特定の実施形態では、収量QTL6.1を含む遺伝子移入断片は、種子から誘導可能であり(または種子に由来し)、または種子から入手可能であり(または種子から得られるか、もしくは種子中に存在する)、その代表的な試料は、寄託番号NCIMB42545として寄託されており、またはその後代から得られる。後代は、記載されているように、QTLを示す(および連鎖している)1つ以上(またはすべて)のSNPマーカーを保持する任意の後代であり得る。従って、後代は、寄託物のF1またはF2後代に限定されず、同系交配および/または他のキュウリ植物との交配によって得られたものであっても、いずれの後代であってもよい。
【0173】
一つの実施形態では、遺伝子移入断片は、本明細書の他の箇所に記載されている1つ以上のマーカー、特に第6染色体上の遺伝子移入断片についてはマーカーSNP_27~SNP_40、またはSNPマーカーSNP_27~SNP_33、またはSNP_33~SNP_40、またはSNP_29~SNP_38から選択されるマーカーの1つ以上のマーカー等のマーカーのサブセットによって同定することができる。一つの態様では、本発明は、増加した果実収量を含む栽培(栽培化した)キュウリのゲノムを有する栽培キュウリ植物を提供し、増加した果実収量は、栽培キュウリの第6染色体上の遺伝子移入断片によって付与され、遺伝子移入断片は、NCIMB42545として寄託された種子またはこの植物の後代(QTLに連鎖した、本明細書に開示された1つ以上のマーカーを含む)から栽培された植物を栽培キュウリ植物と交配させることによって得られる(または得ることができる)。従って、一つの態様では、本発明の栽培キュウリ植物は、NCIMB42545(SNP_27~SNP_40について野生近縁種キュウリの遺伝子型を含む)に存在するのと同じ遺伝子移入断片および同じ組換え第6染色体を含むか、または、当該遺伝子移入断片より短い断片を含み、それにより該より短い断片はが果物収量を増大させる遺伝的要素(QTL6.1)を保持する。
【0174】
従って、一つの態様では、本発明は、第6染色体上にキュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む本発明の植物、すなわち、栽培Cucumis sativus var. sativus植物であって、遺伝子移入断片は、NCIMB42545として寄託された種子「のもの」であり、「と同一」であり、「のものと同一」であり、またはそのより短い断片であるが、QTL6.1が存在することにより依然として果物収量の増大を付与する。
【0175】
さらに別の実施形態では、本発明は、第6染色体上にキュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む本発明の植物、すなわち、栽培されたCucumis sativus var. sativus植物であって、番号NCIMB42545として寄託された種子中に見出される遺伝子移入断片の変異体であり、すなわち、収量QTL6.1を含むが、ゲノム配列は異なっていてもよい。野生群は遺伝子的に異なるので、他の野生近縁種キュウリに由来するQTL6.1を含む遺伝子移入断片のゲノム配列は、NCIMB42545に移入されたゲノム配列と同一ではない可能性が高く、収量付与遺伝子(プロモーター、イントロンおよびエキソンを含む)は、ヌクレオチド配列は相違し得るが、その機能は同じであり、すなわち、果物収量を増加される。相違は、QTL6.1に連鎖した特定のSNPマーカーが種々の群で共通して見出され、他のSNPマーカーは特定の群でのみ見出され得ることに見られる。従って、例えば、SNP_27~SNP_40の全てが、他の野生近縁種キュウリに見出されるわけではない。しかしながら、収量を増加させるQTL6.1(例えば、収量対立遺伝子の変異体またはオルソロガスを含む)は、そのような野生群に依然として存在し得る。当業者は、例えば、SNPマーカーまたはそのサブセットを含む野生近縁種を検出し、それらのSNPマーカー(またはサブセット)を栽培キュウリ系統または品種に導入し、SNPマーカー(またはサブセット)を含まない、すなわち遺伝子移入断片を含まない系統または品種との比較における栽培系統または品種の果実収量を評価することによって、他の野生近縁種キュウリに見出される領域を含むQTL6.1を同定し、栽培キュウリに移入することができる。
【0176】
一つの実施形態では、QTL6.1を含む遺伝子移入断片、または第6染色体領域(または変異型もしくは第6相同染色体領域)の存在は、
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号28(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_28のTTまたはTC遺伝子型;
c)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型;
d)配列番号30(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型;
e)配列番号31(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型;
f)配列番号32(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型;
g)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
h)配列番号34(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型;
i)配列番号35(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型;
j)配列番号36(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型;
k)配列番号37(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型;
l)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型;
m)配列番号39(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_39のAAまたはAC遺伝子型;
n)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型;
o)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13個またはそれよりも多く(または14個全て)の単一ヌクレオチド多型(SNP)マーカーを検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である。
【0177】
一つの態様では、検出される前記少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つまたは3つ、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のマーカーは連続的なマーカーである。
【0178】
従って、一つの実施形態では、本発明による植物は、配列番号27の第75ヌクレオチド(SNP_27と称する)、または配列番号27と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号28の第75ヌクレオチド(SNP_28と称する)、または配列番号28と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号29の第75ヌクレオチド(SNP_29と称する)、または配列番号29と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCA遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号30の第75ヌクレオチド(SNP_30と称する)、または配列番号30と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号31の第75ヌクレオチド(SNP_31と称する)、または配列番号31と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号32の第75ヌクレオチド(SNP_32と称する)、または配列番号32と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのチミン(TT)の代わりに少なくとも1つのシトシン(C)を含み(すなわちCCまたはCT遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にシトシンが存在する);
および/または配列番号33の第75ヌクレオチド(SNP_33と称する)、または配列番号33と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわちGGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号34の第75ヌクレオチド(SNP_34と称する)、または配列番号34と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にチミンが存在する);
および/または配列番号35の第75ヌクレオチド(SNP_35と称する)、または配列番号35と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのアデニン(AA)の代わりに少なくとも1つのグアニン(G)を含み(すなわち、GGまたはGA遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にグアニンが存在する);
および/または配列番号36の第75ヌクレオチド(SNP_36と称する)、または配列番号36と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号37の第75ヌクレオチド(SNP_37と称する)、または配列番号37と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAG遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号38の第75ヌクレオチド(SNP_38と称する)、または配列番号38と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのグアニン(GG)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAG遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号39の第75ヌクレオチド(SNP_39と称する)、または配列番号39と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのアデニン(A)を含み(すなわちAAまたはAC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にアデニンが存在する);
および/または配列番号40の第75ヌクレオチド(SNP_40と称する)、または配列番号40と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチドに、2つのシトシン(CC)の代わりに少なくとも1つのチミン(T)を含み(すなわちTTまたはTC遺伝子型)(換言すれば、表8に示される第6染色体の物理的位置にチミンが存在する)。
【0179】
さらなる一つの実施形態では、QTL6.1を含む遺伝子移入断片、または第6染色体領域(または第6染色体の変異体もしくはオーソロガス)の存在は、SNP_27~SNP_33またはマーカーSNP_27とSNP_33との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれか;SNP_33~SNP_40またはマーカーSNP_33とSNP_40との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれか;SNP_29~SNP_38またはマーカーSNP_29とSNP_38との間に物理的に位置するキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーのいずれかからなるサブグループの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6個またはそれよりも多い単一ヌクレオチド多型(SNP)マーカーを検出する分子マーカーアッセイにより検出可能である。
【0180】
SNP遺伝子型は2つのヌクレオチドを意味し、これら2つのヌクレオチドのうちの1つを各第6染色体に含むゲノム配列を意味する。従って、SNP_27についてGG遺伝子型を有する植物は、両方の染色体上に同一のヌクレオチド(G)を有し、それに対して、SNP_27ついてGA遺伝子型を有する植物は、配列番号27の第75ヌクレオチド(または配列番号27と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチド)にGを有する1つの染色体を有し、配列番号27の第75ヌクレオチド(または配列番号27と実質的な配列同一性を有するゲノム配列の相当するヌクレオチド)にAを有する1つの染色体を有し、遺伝子移入断片はヘテロ接合型である。本明細書で提供されるSNPマーカーの周辺のゲノム配列は、他の野生近縁種キュウリのに由来する遺伝子移入断片(すなわち第6染色体の変異体またはオーソロガス)においてわずかに変化し得るので、SNPの前後のヌクレオチド配列は、本明細書で提供される配列と100%同一でない場合があることは明らかである。従って、本明細書で提供される配列と実質的な配列同一性を有する配列(定義された全長にわたって整列した場合)であって、同じSNP遺伝子型を含む配列は本明細書に包含される。
【0181】
一つの態様では、1つ以上の上記マーカーにより検出可能な、QTL(QTL6.1または変異体)を含む遺伝子移入断片、または第6染色体領域(または第2染色体領域の変異体もしくはオーソロガス)は、キュウリの野生近縁種由来であり、一つの態様では、野生近縁種はインドキュウリグループのメンバーである。一つの態様では、それは、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中の第6染色体上に見られるのと同じ遺伝子移入断片、またはQTLを保持するより小さい断片である。SNPマーカーSNP_27~SNP_40は、約2.8Mbの領域に広がっている。一つの態様では、第6染色体の遺伝子移入断片は、大きさが10Mb以下、好ましくは8Mb以下、より好ましくは6Mb、5.5Mb、5.4MB、5Mb、4Mb、3Mbまたは2.8Mb以下の大きさ、例えば2Mb以下である。一つの態様では、遺伝子移入断片は、少なくとも0.2Mb、0.5Mb、1.0Mb、1.5Mb、1.9Mb、2.0Mb、2.5Mb、2.7Mb、2.8Mbまたは3Mbの大きさである。従って、10Mb未満であるが0.2Mbを超え、6Mbまたは5.5Mb未満、または3Mb未満であるが、0.2Mb、0.5Mbまたは1Mbを超える等の断片であって、QTLおよびSNP_27~SNP_40のSNPSNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40;またはSNP_28~SNP_38のサブグループのSNPマーカーの1つ以上を保持する様々な範囲の大きさの遺伝子移入断片が本明細書に包含される。上述したように、SNP_27~SNP40に広がる領域におけるQTL6.1の位置は、精細マッピングにより決定することができ、より小さい遺伝子移入断片上にQTL6.1を有する組換え体を作出することができる。遺伝子移入断片の大きさは、例えば、全ゲノム配列決定、または、例えば、Qi et al. 2013(上記)もしくはHuang et al. 2009(上記)に記載されているような、次世代配列決定により容易に決定することができる。特に、遺伝子移入領域は、遺伝子移入領域におけるより大きな遺伝子変異(SNP、INDEL等)により、培養されたゲノム領域と容易に区別することができる。
【0182】
寄託された種子(NCIMB42545)の第6染色体上に存在する遺伝子移入断片を得るため、すなわちQTLを含む遺伝子移入断片を別の栽培キュウリ植物に移入するために、種子から植物を栽培し、該植物を栽培したキュウリ植物と交配させてF1交配種子を得る。NCIMB42545は、2つの組換え第6染色体(QTL6.1をホモ接合型で含む遺伝子移入断片を含む)を含ことから、F1種子およびそれから生育する植物は全てNCIMB42545植物由来の1つの組換え第6染色体と、他の栽培親由来の1つの非組み換え第6染色体とを含む。さらに自家交雑および/または交雑および/または戻し交雑をすることによって、QTL6.1を任意のキュウリ育種系統または品種に導入することができる。従って、従来の育種によって、NCIMB42545由来の組換え第6染色体を他の栽培キュウリ系統または品種に導入することができる。QTL6.1を含む後代植物は、上述した1つ以上のSNPマーカーの存在によってスクリーニングおよび選択することができる。
【0183】
より短い遺伝子移入断片、例えばNCIMB42545に存在する断片のサブ断片を作出するために、減数分裂が起こる必要があり、組換え第6染色体を含む植物、特に遺伝子移入断片内の新しい減数分裂組換え事象を同定する必要がある。例えば、NCIMB42545の種子は、F1、F2またはF3植物(またはさらなる同系世代)を産生するために1回以上同系交配され得、かつ/または組換え第6染色体を含むF1、F2またはF3植物等は、栽培された親に戻し交雑され得る。組換え第6染色体を含む植物は、より小さい遺伝子移入断片を含む植物を同定するために、上述した1つ以上のSNPマーカーの存在によりスクリーニングおよび選択することができる。次いで、そのような新規組換え体を、より小さい遺伝子移入断片上のQTL6.1の存在について、遺伝子移入断片を含まない(遺伝的)対照と比較して平均果実収量を決定することによって試験することができる。
【0184】
同様に、QTL6.1(またはその変異体)を含む栽培キュウリ植物は、異なる方法を用いて産生および/または同定することができる。例えば、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を得るために、まず、本明細書で開示するQTL6.1に連鎖する1つ以上のSNPマーカー、例えば、本明細書で記載する任意の1つ以上、または全てのマーカーを含むキュウリの野生近縁種が同定される。同定された植物を栽培キュウリ植物と交配してF1種子を得る。F1は、F2、F3等の植物を産生するために同系交配することができ、かつ/またはF2植物またはF3植物等は、栽培キュウリの親に戻し交配することができる。QTL6.1(またはその変異体)を含む植物は、上記のSNPマーカーの1つ以上の存在によってスクリーニングされ、および/または選択され、かつ/または最初の栽培された親(遺伝子移入を欠いている)と比較して収量表現型の増加によってスクリーニングされ、および/もしくは選択される。あるいはまたはさらに、QTL6.1(またはその変異体)に連鎖したさらなる分子マーカーを同定し、かつ/または有意な収量増加をもたらす第6染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を産生するために、QTLマッピングまたはシークエンシングが行われる。
【0185】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL6.1を含む遺伝子移入断片、または第6染色体領域(または第6染色体領域のオーソロガス)の存在は
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型;
c)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_27またはSNP_40の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;およb
e)マーカーSNP_27またはSNP_40の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0186】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_28~SNP_39の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0187】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL6.1を含む遺伝子移入断片または第6染色体領域(または第6染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
c)マーカーSNP_27とSNP_33との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_27またはSNP_33の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_27またはSNP_33の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0188】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_28~SNP_32の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0189】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL6.1を含む遺伝子移入断片または第6染色体6(または第6染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型;
b)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型;
c)マーカーSNP_33とSNP_40との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_33またはSNP_40の7cM、5cM、3cMまたはそれ未満の範囲内で遺伝的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;および
e)マーカーSNP_33またはSNP_40の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0190】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_34~SNP_39の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0191】
一つの実施形態では、栽培キュウリ植物におけるQTL6.1を含む遺伝子移入断片または第6染色体領域(または第6染色体領域のオーソロガス)の存在は、
a)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型;
b)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型;
c)マーカーSNP_29とSNP_38との間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー;
d)マーカーSNP_29またはSNP_38の7cM、5cM、3cMまたはそれ以下の範囲内で遺伝的に連結されたキュウリゲノム特異的マーカーの野生型;そして
e)マーカーSNP_29またはSNP_38の5Mb、3Mb、2Mb、1Mb、0.5Mbまたは0.2Mb未満の範囲内で物理的に連鎖された任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカー
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5個またはそれよりも多いマーカーを検出する分子マーカーアッセイによって検出可能である。
【0192】
一つの態様では、c)のマーカーは、SNP_30~SNP_37の1つ以上である。一つの態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)および/またはc)のマーカーから検出される。別の態様では、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれよりも多いマーカーが、上記a)、b)、c)、d)および/またはe)のマーカーから検出される。一つの実施形態では、少なくともa)および/またはb)のマーカーが検出され、任意にc)、d)および/またはe)の少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれよりも多いマーカーが検出される。一つの態様では、検出されるマーカーは連続的なマーカーである。
【0193】
2つのマーカーの間の任意の野生近縁種キュウリのゲノム特異的マーカーは、2つのマーカーの間の第6染色体領域に遺伝的にマッピングし、および/または2つのマーカーの間に物理的に存在する任意の分子マーカーを意味し、野生近縁種キュウリの第6染色体領域を示すものである。これは、栽培キュウリのゲノムと野生近縁種キュウリのゲノムとの間でマーカーが多型であることを意味する。一つの態様では、マーカーは単一ヌクレオチド多型(SNP)であるが、RFLP、AFLP、RAPD、INDEL、DNA配列決定等の他の分子マーカーも同様に使用することができる。
【0194】
本発明の植物における遺伝子移入断片は、一つの態様において、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子中に存在する第6染色体の断片、またはQTLを保持するその断片のより小さいもの(例えば、遺伝子移入断片内での組換えによって生成される)である。
【0195】
遺伝子移入断片は、一つの態様では、大きさが10Mb以下、好ましくは8Mb、5.4Mb、5Mb、3Mb、2.8Mb、2.5Mb、2Mb、1.5Mb、1Mb以下である。さらなる態様において、遺伝子移入断片は、少なくとも0.5Mbまたは少なくとも1Mbの大きさである。
【0196】
また、本発明の植物が収穫することができる植物、本発明の植物から収穫され、ゲノム中に組換え第6染色体を含むキュウリ果実も同様に提供される。同様に、植物の細胞、組織、または植物もしくは植物部分が提供され、前記組換え第6染色体は、野生近縁種キュウリの遺伝子移入断片を含み、前記遺伝子移入断片は、果実収量の有意な増加を付与する対立遺伝子を含む。
【0197】
上述したように、QTL2.1およびQTL6.1の両方を単一の栽培キュウリ植物において組み合わせることも一つの態様である。従って、本明細書の個々のQTLに関連する全ての実施形態はまた、本発明の一つの態様において組み合わせられる。QTL6.1は、特に低温生育条件下で収量を増大させるので、組み合わせは、最低温度が低い、例えば摂氏10℃以下(摂氏9、8、7、6、5または4℃以下等)で一定期間(しかしながら、凍結損傷が生じることから凍結は回避される)生育され得る品種において特に有利である。
【0198】
本明細書に記載の分子マーカーは、標準的な方法に従って検出することができる。例えば、SNPマーカーは、KASPアッセイ(www.kpbioscience.co.uk参照)または他のSNP遺伝子型アッセイを用いて容易に検出することができる。KASPアッセイを行うために、例えばSNPの70塩基対上流および70塩基対下流を選択し、2つの対立遺伝子特異的フォワードプライマーおよび1つの対立遺伝子特異的リバースプライマーを設計することができる。例えば、Allen et al. 2011, Plant Biotechnology J. 9, 1086-1099、特にKASPアッセイ法に関するp097-1098を参照。
【0199】
従って、一つの態様において、SNPマーカーおよび収量QTLに関連するマーカーの存在/非存在は、KASPアッセイを用いて決定されるが、同様に他のSNP遺伝子型アッセイも使用され得る。例えば、TaqMan SNP遺伝子型アッセイ、High Resolution Melting(HRM)アッセイ、SNP遺伝子型アレイ(例えば、Fluidigm Illumina等)またはDNA配列決定が同じように使用され得る。
【0200】
遺伝子移入断片の物理的大きさは、物理的マッピング、配列決定のような様々な方法によって、または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)画像(Verlaan et al., 2011, Plant Journal 68: 1093-1103)を用いた遺伝子移入の視覚化などによって決定することができる。
【0201】
第2および/または第6染色体上のより小さい遺伝子移入断片を有する栽培キュウリ植物は、栽培キュウリ植物(遺伝子移入を欠いている)と本発明の植物との間の交配に由来する植物集団から新たな組換え植物を産生し、より小さい遺伝子移入サイズを有する組換え後代を選択することによって作出される。従って、一つの態様では、そのような植物は、種子がNCIMB42545として寄託されている植物に存在する組換え第2染色体および組換え第6染色体に由来する(その後代または子孫である)。QTL2.1および/またはQTL6.1を保持し、従って、本明細書に記載された遺伝子移入を欠く植物と比較して収率が高いそのような後代または子孫は、本明細書に包含される。
【0202】
トマトにおいては、例えば、Ty-3対立遺伝子を含む第6染色体(約27cM)上の大きなS. chilense遺伝子移入断片が、Ty-3を含むはるかに小さい(約6cM)S. chilense遺伝子移入断片を含む組換え後代系統(LA1931-AL-F2)を選択することによって減少している(Ji et al. 2007, Mol. Breeding 20:271-284を参照)。
【0203】
本発明による栽培キュウリ植物は、近交系統OP(開放受粉品種)またはF1交配種であり得る。一つの態様では、F1交配種は、ただ1つの組換え第2染色体および/または組換え第6染色体(QTLを有する遺伝子移入断片を含む)を含み、すなわち、F1交配種は、本明細書に記載された遺伝子移入断片およびSNPマーカーに関してヘテロ接合型である。そのようなF1交配種は、一方が遺伝子移入断片を有する(好ましくはホモ接合型であるが必ずしも必要ない)2つの近交系親系統を交配させ、交配種からF1交配種子を回収することにより産生することができる。一つの態様では、F1交配種は、ホモ接合型の遺伝子移入断片を含んでいてもよく、すなわち、ホモ接合型またはヘテロ接合型の遺伝子移入断片をそれぞれ含む2つの近交系親系統を交配させることによって産生される。
【0204】
栽培キュウリ植物は、いかなるタイプのものであってもよい。好ましくは、良好な農業的特性および良好な果物品質特性を有する。栽培キュウリ植物は、一つの態様において、遺伝的にも表現型的にも均一である。特に果実の特性、例えば、形状、果実の色、果皮の厚さ、果皮のリブ(skin ribs)、果皮の強度、とげ(とげの色、とげの密度等)、こぶの有無、食用および市販成熟時の長さおよび径、風味等に関して均一である。同様に、種子の特性(すなわち、植物を生育させて得た種子の特性)も、例えば、種子の大きさ、種子の色等に関して均一である。従って、ホモ接合型またはヘテロ接合型のQTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)を含む系統または品種の植物は、均一な果実を産生し、同じ環境条件下で生育し、果実が同じ生育段階にある場合には、植物の果実間で差異がほとんどない(例えば、質的な特性に関しては、すべての植物または植物部分、果実または種子の少なくとも98%、99%または好ましくは100%が特性に関して同一であり、量的な特性に関しては、すべての植物または植物部分、果実または種子の少なくとも90%、95%、98%が特性に関して同一である)。
【0205】
本発明によるQTL2.1(またはその変異体)および/またはQTL6.1(またはその変異型)を含む栽培キュウリ植物は、任意のタイプであってよく、例えば、以下のタイプのキュウリのうちのひとつであり得る:ピックルキュウリ、スライスキュウリ(例えば、アメリカスライス型)、長キュウリ、短キュウリ、ヨーロッパ温室キュウリ、ベイト-アルファ型キュウリ、オリエンタルトレリス型キュウリ、アジアキュウリ(インドマダラキュウリ型、中国長キュウリ型、韓国キュウリ型および日本キュウリ型等)。一つの態様において、本発明による栽培キュウリは、ピックルキュウリ、スライスキュウリ、長キュウリ型、短キュウリ型、ヨーロッパ温室キュウリ、ベイト-アルファ型キュウリ、オリエンタルトレリス型キュウリ、中国長キュウリ型、韓国キュウリ型および日本キュウリ型である。特定の実施形態では、キュウリは近交系統であるか、または長キュウリ、特にヨーロッパ温室キュウリ、または短キュウリのF1交配種である。
【0206】
植物は、ホモ接合型またはヘテロ接合型のQTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)を含む単交雑F1交配種または近交系であってもよい。一つの態様では、ホモ接合型のQTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)を含む(近交系の)親植物を、QTL2.1およびQTL6.1をを欠いている(すなわち、QTLを含む遺伝子移入断片を含む)(近交系の)親植物と交配させることによって産生されるF1交配種である。従って、一つの態様において、F1交配種は、QTL2.1および/またはQTL6.1に関してヘテロ接合性である。
【0207】
別の態様では、QTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)をホモ接合型で含む(近交系の)親植物と、QTL2.1(または変異体)および/またはQTL6.1(または変異体)をホモ接合型で含む(近交系の)親植物とを交配させることによって産生されるF1交配種である。従って、一つの態様では、F1交配種は、QTL2.1および/またはQTL6.1に関してホモ接合性である。
【0208】
一つの態様では、F1交配種は、従来の温室栽培またはハイワイヤー栽培に適した長キュウリ型、例えばヨーロッパ温室キュウリ型である。従来の温室栽培法では、植物の主茎を、地上約2メートルの高さで吊るされた水平の鉄線に導く。植物がこの高さに達し、ワイヤーに付着すると、さらなる成長を停止させ、側枝が発達するように成長点を取り除くことによって“先端切除”される。これらの側枝は、地上約1メートルの高さまで下方に成長し、その後成長点が除去される。これに続いて、開花と茎および側枝または巻きひげの両方の果実が肥大するが、巻きひげの果実は茎の果実よりも後に肥大する。果実は播種後約6週間で収穫される。
【0209】
ハイワイヤー栽培では、側方の巻きひげは成長することができず、すべての収穫は茎から生じる。ヌンヘムス(Nunhems)によって、ハイワイヤー栽培に非常に適している「コンパクト」と呼ばれる遺伝子を提供する特定の品種が開発されており、例えば、WO2009/059777中の、例えばHigh-Jack、Hi-Power、Hi-Lisa等のを参照のこと。従って、本発明の一つの態様では、栽培キュウリ植物は、WO2009/059777に記載のコンパクト遺伝子をさらに含む。
【0210】
別の態様では、本発明の遺伝子移入断片は、27~38cmの果実を産生する長キュウリ品種であるKasja品種(Nunhems)等の長キュウリ型中に存在する。「長キュウリ型」または「長キュウリ植物」は、長さが少なくとも約26cmまたは27cm~37cmまたは38cmよりも長い(例えば、40cm、42cm以上)の果実を特徴とし、好ましくは単為結実果実形成を特徴とする温室キュウリである。長キュウリ型の例は、SabrinaおよびKorinda品種、またはCPVOプロトコルにおいて果実の長さが7~9のスコアであるキュウリ植物(本プロトコルの添付書類のポイント19を参照)である。他の長キュウリの品種は、例えば、ボデガ(Bodega)、ボローニャ(Bologna)、カマロ(Kamaro)、フラミンゴ(Flamingo)、ディスカバー(Discover)、カランガ(Kalunga)、カシャ(Kasja)、ロジカ(Logica)、ミラゴン(Millagon)、ニコラ(Nicola)、ミリカ(Milika)、マヌエラ(Manuela)、フリダ(Frida)、アクティバ(Activa)、アラヤ(Alaya)、サバンナ(Savanna)、シエナ(Sienna)、ベラ(Bella)、シェイラ(Sheila)、ボルナンド(Bornand)である。
【0211】
一つの態様では、ヨーロッパ温室キュウリは、種子が寄託番号NCIMB42545として寄託された植物またはその後代であり、それにより、後代はQTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片を保持する(他の箇所において記載された1つ以上のマーカーの存在によって検出可能である)。
【0212】
別の態様において、本発明による植物は、野生キュウリ植物または野生近縁種キュウリ在来種ではない。
【0213】
さらに別の態様において、本発明による植物は、ユーラシアキュウリ群、東アジアキュウリ群またはシーサンパンナキュウリ群の栽培キュウリである。別の態様において、本発明の植物は、インドキュウリ群のキュウリではない。
【0214】
本発明の一つの実施形態において、QTL2.1(または変異型)および/またはQTL6.1(または変異型)を含む栽培キュウリ植物は、受粉しない無核果を産生する、すなわち単為結実性である。そのような無核果も本明細書に包含される。
【0215】
本発明のさらなる実施形態において、QTL2.1(または変異型)および/またはQTL6.1(または変異型)を含む栽培キュウリ植物は、主として雌性または完全に雌性である。
【0216】
本発明のさらなる実施形態において、QTL2.1(または変異型)および/またはQTL6.1(または変異型)を含む栽培キュウリ植物は、前記植物によって産生される果実の形態学的特性、例えば、果実の形状、果実の色、果皮の厚さ、こぶ等に関して均一で遺伝的に安定である。
【0217】
果実の平均長さ、果実の平均径、果皮の厚さ、こぶの有無、とげ、果皮の強度、果皮の色、果実の首の形、果実の先細り、中央部の断面の形、種子の有無(単為結果)等の果実の特性は、キュウリの型、すなわち、QTLが遺伝子移入される栽培された遺伝的背景(遺伝子プール)に依存する。したがって、キュウリの型に応じて、様々な果実の形状、大きさおよび果実の種類が本明細書に含まれる。一つの態様において、果実は種なしである。
【0218】
今日、米国で商業的に栽培されている2つの主要な型のキュウリ果実は、生食用(スラス)型と加工(ピックル)型である。品種および生産方法は、通常、最終用途に適合させる。スライスキュウリは長く、大きくことが多く、果皮が濃くて厚く、それに対し、ピックル/加工キュウリは果実が短く、果皮が薄く、ピクルスにより適した内部果肉を有する。種なし品種は、生食用およびピクルスのような加工用の両方に一般的に好ましく、大きな種は好ましくない。
【0219】
一つの態様において、本発明の植物は、ピックル型(加工型)であり、食用成熟時および/または市販サイズの時に、少なくとも10cm、または少なくとも11cm、または少なくとも12cm、または少なくとも13cmの果実の平均長さおよび/または少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、またはそれ以上の果実の長さ/径の比を有する果実を産生する。
【0220】
異なる態様において、本発明の植物は生食用であり、例えば、長キュウリ型またはスライス型であり、食用成熟時および/または市販サイズの時にピックル型よりも大きい果実の長さ、例えば、少なくとも15cm、16cm、17cm、18cm、19cm、20cm、25cm、26cm、27cm、28cm、29cm、30cm、32cm、40cmまたはそれ以上を有する果実を産生する。一つの態様では、果実の長さ/径の比は、少なくも3.5であり、好ましくは少なくとも4、5、6またはそれ以上である。
【0221】
一つの態様では、キュウリ植物は長キュウリ型であり、QTL2.1を含み(QTL2.2を欠く)、食用成熟時および/または市販サイズの時に、少なくとも30cm、好ましくは少なくとも31cmまたは少なくとも32、33、34、35、36、37または38cmの平均果実長を有する。任意に、QTL6.1をさらに含んでいてもよい。QTL2.1および/またはQTL6.1は、NCIMB42545から入手可能である。
【0222】
好ましい態様では、本発明の植物は、市販サイズの果実であって、特に種無し果実を産生する長キュウリ型である。市販サイズの果実、およびその部分、およびそれらを含む食物または飼料もまた本明細書に包含される。一つの実施形態では、SNPマーカーは、果実、果実部分またはそれらを含む食物もしくは飼料において検出可能である。
【0223】
一つの態様において、植物は無限成長(indeterminate)のキュウリである。別の態様において、キュウリは有限花序である。
【0224】
また、本発明による植物を生育させることができる種子も、本発明による植物から収穫されるキュウリ果実と同様に提供される。これらはそれらのゲノム中のQTLを含み、したがって本明細書で提供される1つまたは複数のSNPマーカーの存在によって他の果実と区別することができる。
【0225】
一つの態様において、果実は食用成熟時および/または市販の果実サイズの時に苦味がない(苦味があるおよび苦味がないの群から選択される)。
【0226】
さらなる態様において、果実は食用成熟時および/または市販の果実サイズの時に薄い果皮を有する(厚いおよび薄いグループから選択される)。
【0227】
異なる実施形態において、QTLは、US8710303B2に記載されているような「コンパクト(Compact)」と呼ばれるキュウリ型に移入される。したがって、本発明によるキュウリ植物は、、例えば、Hi-Jack、Hi-Power、Hi-Lisaおよび他のNunhems品種に存在するように、US8710303B2に記載されるコンパクト遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む。
【0228】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つの組換え第2染色体および/または少なくとも1つの組換え第6染色体を含み、前記組換え第2または第6染色体が、キュウリの野生近縁種由来の遺伝子移入断片を含み、前記遺伝子移入断片が、果実収量の増加を付与するQTLを含む、本発明の植物の細胞、組織または植物または種子の植物部分である。
【0229】
また、果実収量が増加したキュウリ品種を育種するための、キュウリの野生近縁種に由来する遺伝子乳断片を含む第2および/または第6組換え染色体(遺伝子移入断片は果実収量を増加させる対立遺伝子を含む)の使用も、本明細書に包含される。一つの態様において、前記組換え第2および/または組換え第6染色体は、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子に見出されるような組換え第2および/または第6染色体であるか、または組換え染色体に由来する(例えば、前記種子中に見いだされる遺伝子移入断片のより小さいフラグメント)。
【0230】
同様に、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を産生するための、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代中に見出される第2および/または第6染色体の使用も、本明細書に包含され、前記遺伝子移入断片は、遺伝的対照または対照育種系統もしくは品種等の、前記遺伝子移入断片を欠く対照キュウリ植物と比較して果実収量の増加をもたらす。一つの態様では、NCIMB42345として寄託された種子から育成された植物を対照として使用してもよい。
【0231】
同様に、果実収量が増加した栽培キュウリ植物を産生するための、寄託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代から生育した植物の使用も、本明細書に包含され、前記果実収量の増加は、前記植物またはその後代の第2および/第6染色体から得られた遺伝子移入断片によりもたらされる。
【0232】
また、第2染色体上に遺伝子移入断片を含む、栽培されたC. sativus var. sativus植物または植物部分の同定(検出)方法も提供され、任意に、前記遺伝子移入断片は、NCIMB42545中に見出されるか、またはそれに由来するより小さな断片であって、
a)栽培されたC. sativus var. sativus植物もしくは植物部分、または該植物もしくは植物部分のDNAを準備し、
b)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26からなる群から選択される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記植物、植物部分またはDNAをスクリーニングし、
c)
i)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26のSNPマーカーの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上;または
ii)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の連続するマーカー
iii)SNP_01~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP_20~SNP_26;SNP_06~SNP_23からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上マーカー
iv)SNP_01~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP_20~SNP_26;SNP_06~SNP_23からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上のマーカー
を含む植物を同定および/または選択する
ことを含む方法が提供される。
【0233】
さらに、果実収量の増加をもたらす遺伝子移入断片を含むC. sativusF1交配種植物を産生する方法であって、
a)収量の増加を付与する対立遺伝子を含む遺伝子移入断片を有する組換え第2染色体をホモ接合型で含む第1近交系キュウリ植物であって、任意に、前記遺伝子移入断片がNCIMB42545中に存在するものであるかまたはそれより小さい断片である、植物を提供し、
b)第2近交系キュウリ植物を提供し、
c)a)の前記キュウリ植物をb)の前記キュウリ植物と交配させ、
d)前記交配種からF1交配種種子を採取する
ことを含む方法が提供される。
【0234】
採取されたF1交配種種子も本発明の実施形態である。
【0235】
別の態様においては、NCIMB42545の後代を産生するための方法であって、
a)寄託番号NCIMB42545として寄託された種子から植物を生育し、
b)前記植物を1回以上同系交配させ、かつ/または前記植物を他のキュウリ植物と1回以上交配させて後代の種子を産生し、
c)前記種子または前記種子もしくは植物の一部から生育した前記後代の種子または植物を、第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26からなる群から選択される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いてスクリーニングし、
d)
i)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26のSNPマーカーの少なくとも1つ;または
ii)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_1~SNP_26から選択される少なくとも2、3または4つの連続するマーカー;または
iii)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_1~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP20~SNP_26;SNP_06~SNP_23からなる群から選択される少なくとも1、2または3つのマーカー;または
iv)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_1~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP20~SNP_26;SNP_06~SNP_23からなる群から選択される少なくとも1、2または3つの連続的なマーカー
を含む後代植物を同定および/または選択する
ことを含む方法が提供される。
【0236】
工程bのキュウリ植物は、好ましくは、ヨーロッパ温室キュウリまたは長キュウリ型等の栽培キュウリである。
【0237】
前記方法は、好ましくは、対照と比較して果実収量が増大した後代植物を同定する工程をさらに含んでいてもよい。
【0238】
上記の方法によって産生された後代植物も、本発明の一つの態様である。前記後代植物は、QTL2.1を保持し、NCIMB42545において見出されるものよりも短い遺伝子移入断片を含んでいてもよい。
【0239】
第6染色体上の遺伝子移入断片を含む栽培C. sativus var. sativus植物または植物部分を同定(または検出)する方法も提供され、任意に、前記遺伝子移入断片は、NCIMB4245において見出されるものであるか、それに由来するより小さな断片であって、
a)栽培C. sativus var. sativus植物もしくは植物部分、またはそのような植物もしくは植物部分のDNAを準備し、
b)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40からなる群から選択される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて、前記植物、植物部分またはDNAをスクリーニングし、かつ、
c)
i)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のSNPマーカー;または
ii)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の連続的なマーカー;または
iii)SNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40:SNP_29~SNP38からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6個またはそれ以上のマーカー;または
iv)SNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40;SNP_29~SNP_38からなる群から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上の連続的なマーカー
からなる群から選択される。
【0240】
さらに、果実収量を増大させる遺伝子移入断片を含むC. sativusのF1交配種植物の製造方法が提供され、
a)収量を増大させる対立遺伝子を含む遺伝子移入断片を有する組換え第6染色体をホモ接合型で含み、任意に、前記遺伝子移入断片がNCIMB42545におけるものであるかまたはより小さい断片である第1の近交系キュウリ植物を準備し、
b)第2近交系キュウリ植物を準備し、
c)a)の前記キュウリ植物とb)の前記キュウリ植物と交配させ、
d)前記交配種からF1ハイブリッド種子を採取する
ことを含む。
【0241】
採取されたF1交配種種子も本発明の実施形態である。
【0242】
別の態様では、NCIMB42545の後代を作出する方法が提供され、該方法は、
a)寄託番号NCIMB42545として寄託された種子から植物を生育し、
b)前記植物を1回以上同系交配させ、かつ/または前記植物を他のキュウリ植物と1回以上交配させて後代の種子を産生し、
c)前記種子または前記種子もしくは植物の一部から生育した前記後代の種子または植物を、第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40からなる群から選択される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いてスクリーニングし、
d)
i)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40の少なくとも1つのSNPマーカー;または
ii)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40から選択される少なくとも2、3または4個の連続的なマーカー;または
iii)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40;SNP_29~SNP_38からなる群から選択される少なくとも1、2または3個のマーカー;または
iv)第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40;SNP_29~SNP_38からなる群から選択される少なくとも2、3、4個の連続的なマーカー
を含む後代植物を同定および/または選択する。
【0243】
工程bのキュウリ植物は、好ましくは、ヨーロッパ温室キュウリまたは長キュウリ型等の栽培キュウリである。
【0244】
前記方法は、好ましくは、対照と比較して果実収量が増大した後代植物を同定する工程をさらに含んでいてもよい。
【0245】
上記の方法によって産生された後代植物も、本発明の一つの態様である。前記後代植物は、QTL2.1および/またはQTL6.1を保持し、NCIMB42545において見出されるものよりも短い遺伝子移入断片を含んでいてもよい。
【0246】
また、本発明の植物を生育させることができる種子を含有するまたは含む種子を含む容器およびパッケージも本明細書により提供される。これらは、増加したまたは高い果実収量をもたらす栽培キュウリ種子を含むものとして表示される。
【0247】
また、収量QTLを含む第2および/または第6染色体上の遺伝子移入を保持するか、または収量を増大させるより小さい遺伝子移入(例えば、NCIMB42545中に存在するような遺伝子移入断片由来の誘導体)を含む、本発明の植物の後代種子および後代植物も提供される。後代は、本発明のキュウリ植物を同系交配し、および/または本発明のキュウリ植物を別のキュウリ植物と1回以上交配させることによって得られる任意の世代であり得る。したがって、後代は、第1の交配種(F1)または同系交配種(S1)から得られる世代(種子)であるか、または交配ならびに/または同系交配(F2、F3等)、ならびに/またはF1および/もしくはS1および/もしくはBC1世代(または任意のさらなる世代の植物、例えばF2)の選択された植物の一つ以上を、他のキュウリ植物(および/またはキュウリの近縁野生種)と戻し交配(BC1、BC2等)することにより作出された任意の更なる世代のいずれかである。後代は、好ましくは、キュウリの野生近縁種(収量QTLを含む)由来の遺伝子移入断片を含む組換え第2および/または第6染色体を保持するように選択される。したがって、後代も収量表現型の増加、好ましくは、初期交配または同系交配で使用される植物と少なくとも同じ収量をもたらす。QTLを含む遺伝子移入断片の存在(またはその保持)は、表現型的におよび/または本明細書に記載の分子マーカーアッセイを用いて決定することができる。表現型評価に関しては、もちろん、QTLの優性性を考慮する必要がある。
【0248】
さらなる態様において、本発明のキュウリ植物の部分が提供される。部分には、例えば、細胞および細胞培養物、組織培養物、増殖性植物組織(葉、根等)、花、花粉、胚、果実、果実の一部等が含まれる。植物部分は、記載されているように、また記載されている1つ以上のマーカーを用いて検出されるように、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片を含む。また、このようなキュウリ部分、このような細胞、細胞培養物または組織培養物から全植物を再生する場合、再生された植物は、組換え第2および/または第6染色体、ならびに収量表現型を含む。
【0249】
したがって、少なくとも1つの組換え第2および/または第6染色体を含む本発明の植物細胞、組織、または植物もしくは種子の植物部分も提供され、該組換え第2および/または第6染色体は、キュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片を含み、前記遺伝子移入断片は、果実収量の増加を付与する対立遺伝子を含む。
【0250】
記載された組換え第2および/または第6染色体を含む細胞または組織のin vitro細胞培養物およびin vitro組織培養物も本明細書に包含される。好ましくは、細胞または組織はキュウリ植物全体に再生することができ、すなわち、細胞は再生可能な細胞であり、組織は再生可能な細胞を含む。したがって、本発明による植物の栄養増殖も本明細書の一つの実施形態である。したがって、本明細書に記載されている組換え第2および/または第6染色体を含む、栄養増殖した栽培キュウリ植物が提供される。異なる態様において、QTL2.1および/またはQTL6.1を含む非増殖細胞が、そのような細胞を含む組織と同様に本明細書に包含される。
【0251】
特定の態様において、本発明による植物から収穫されたキュウリ果実が提供される。市販のキュウリ果実は、特に生食用(スライス)については、一般的に、収穫後に果実の大きさおよび品質特性に従って等級分けされる。例えば、United States Standards for Grades of Cucumbers、米国農務省、1985年3月1日施行、1997年1月改定を参照。ここでは、異なる等級のキュウリが区別される。したがって、一つの態様において、収穫果実には、U.S. Fancy grade、U.S. Extra No. 1 grade、U.S. No. 1 grade、U.S. No. 1 Small grade、U.S. No. 1 Large grade、U.S. No. 2 gradeが付与される。収穫されたキュウリ果実を含む、またはそれからなる容器またはパッケージも提供される。さらに、果実の細胞は、組換え第2および/または第6染色体の存在(1つ以上の分子マーカーアッセイにより決定可能)によって、他のキュウリ果実と区別される。
【0252】
別の態様では、キュウリは長キュウリ型であり、収穫および任意に加工された(例えば、スライスまたは角切りにする)果実が提供される。
【0253】
別の態様において、キュウリはピックル型であり、収穫され、任意にピクルスにされた果実が提供される。
【0254】
本発明はまた、本明細書に記載の植物部分、好ましくはキュウリ果実またはその一部および/または本明細書に記載の植物部分からの抽出物を含む、またはそれからなる食品または飼料製品も提供する。食品または飼料製品は、生食用でもよく、またはピクルスにされ、缶詰され、蒸し加熱され、ボイルされ、揚げられ、湯通しされ、かつ/または冷凍される等の加工をされてもよい。本明細書に記載されている果実または果実部分(生食用および/または加工用)のような植物部分を含む容器、例えば、缶、箱、木箱、カートン、調整気相包装、フィルム(例えば、生分解性フィルム)等も本明細書により提供される。
【0255】
本発明の方法および使用
さらなる実施形態において、本発明は、記載されているように、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含む(収量の増加を付与する)新規の栽培キュウリ植物を生産する方法を提供する。この方法は、本発明の植物またはその後代植物を、オスまたはメスの親いずれかとして、第2のキュウリ植物(またはキュウリの近縁野生種)と1回以上交配すること、および/または本発明のキュウリ植物またはその後代植物を1回以上同系交配すること、および/または前記交配および/または同系交配から得られた後代を選択すること含む。
【0256】
したがって、1つの(栽培された)キュウリ植物から別の(栽培された)キュウリ植物、特に、果実収量を増加させるべきキュウリ品種または育種系統に収量QTL2.1および/またはQTL6.1をそれぞれ含む組換え第2および/または第6染色体を移入するための方法が提供される。
【0257】
この方法は、
a)果実収量の増加を付与する対立遺伝子をホモ接合型で含む遺伝子移入断片を有する組換え第2および/または第6染色体を含む第1の栽培キュウリ植物を提供し、
b)第2の栽培キュウリ植物、特に野生型(非組換え)第2および/または第6染色体を有する植物を提供する工程、
c)a)の前記キュウリ植物をb)の前記キュウリ植物と交配させる工程、
d)前記交配種からF1交配種種子を採取する工程、
e)F1交配種種子から生育した植物と任意に同系交配してF2種子またはさらなる同系交配世代を産生し、組換え第2および/または第6染色体を有するF2種子または更なる同系交配世代種子を任意に選択する工程、および
f)前記F1またはF2またはさらなる同系交配世代種子から生育した植物とさらに交配して、良好な農業特性を有し、遺伝子移入断片をホモ接合型またはヘテロ接合型で含むキュウリ植物を産生する工程
を含む。
【0258】
組換え第2および/または第6染色体、ならびに遺伝子移入断片の有無は、本明細書に記載の1つ以上の分子マーカーアッセイによって、および/または工程b)の植物と比較して収量が有意に増加しているかを決定することによって決定される。工程f)におけるさらなる交配は、同系交配、交配、二倍体生産、戻し交配、およびそれらの組み合わせ(例えば、戻し交配および同系交配)などを含み得る。上記の方法によって得ることができる植物、植物部分および種子は、本明細書に包含される。一つの態様において、工程a)の植物は、NCIMB42545として寄託された種子もしくはその後代、またはNCIMB42545として寄託された種子中に存在する第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片もしくはそのより短い断片を含む植物であり得る。
【0259】
第2および/または第6染色体上に収量QTLを含む栽培キュウリF1雑種植物を生産する方法であって、
a)QTL2.1またはその変異型および/またはQTL6.1またはその変異型から選択される収量QTLを含む遺伝子移入断片を含む、少なくとも1つの組換え第2染色体および/または組換え第6染色体を含む第1の近交系キュウリ植物を提供し、
b)QTL2.1またはその変異型および/またはQTL6.1またはその変異型から選択される収量QTLを含む遺伝子移入断片を含む、QTL2.1およびQTL6.1のいずれかを欠くか、または少なくとも1つの組換え第2染色体および/または少なくとも1つの組換え第6染色体を含む第2の近交系キュウリ植物を提供し、
c)a)の前記キュウリ植物をb)の前記キュウリ植物と交配させ、
d)前記交配種からF1交配種種子を採取する
ことを含む方法も提供される。
【0260】
a)およびb)の近交系キュウリ植物は、第2および/または第6染色体上の遺伝子移入断片についてホモ接合性および/またはヘテロ接合性であり得、かつ、異なる大きさおよび/または異なる由来、すなわち異なるキュウリの野生近縁種の遺伝子移入断片を含み得る。したがって、例えば、a)の遺伝子移入断片は、b)と同じまたは異なる遺伝子移入断片であり得る。一つの態様において、a)の近交系キュウリ植物は、QTL2.1またはその変異型をホモ接合型で含み、かつ/またはQTL6.1またはその変異型をホモ接合型で含み、かつ/またはb)の近交系キュウリ植物は、QTL2.1またはその変異型をホモ接合型で含み、かつ/またはQTL6.1またはその変異型をホモ接合型で含む。一つの態様において、QTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片は、NCIMB42545に見出される断片またはそのより小さな断片である。
【0261】
一つの実施形態では、NCIMB42545から生育される植物、または、例えば同系交配および/または交雑により得られ、QTL2.1および/またはQTL6.1を好ましくはホモ接合型で保持する後代は、F1交配種種子の産生に親系統として用いられる。
【0262】
F1交配種種子は、好ましくは少なくとも1つの組換え第2および/または第6染色体を含み、その種子から生育したF1植物は、対照、例えば遺伝的対照と比較して果実収量が増強されている。
【0263】
上記の方法によって得られる植物および種子は、本明細書に包含される。
【0264】
別の態様において、第2および/または第6染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を生産するための方法であって、前記遺伝子移入断片が収量QTLを含む方法が提供され、前記方法は、
a)第1の栽培キュウリ植物を提供する工程、
b)QTL2.1(またはその変異型)および/またはQTL6.1(またはその変異型)を、本明細書に記載されている1つ以上のSNPマーカーの存在によって決定可能なものとして含む、第2のキュウリの野生近縁種を提供する工程、
c)a)の前記キュウリ植物をb)の前記キュウリ植物と交配させる工程、
d)前記交配種からF1種子を採取し、F1植物をa)のキュウリ植物に戻し交配させて戻し交配(BC1)群を産生するか、またはF1植物を1回以上同系交配させてF2またはF3またはそれ以上の世代の同系交配群を産生する工程、
e)任意にd)の植物を1回以上a)のキュウリ植物に戻し交配させて、より高い世代の戻し交配群を産生する工程、および
f)QTL2.1(またはその変異型)および/またはQTL6(またはその変異型)を含む第2および/または第6染色体上の遺伝子移入を含む、F2、F3もしくはそれ以上の世代の同系交配植物、またはBC1もしくそれ以上の世代の戻し交配植物を同定する工程
を含む。
【0265】
この方法における戻し交配群に言及する場合、戻し交配群もまた同系交配することができ、すなわちBC1S1、BC1S2、BC2S1、BC2S2などである。
【0266】
工程b)~f)の1つ以上において、QTL(またはQTLを含む遺伝子移入断片)の存在を、本明細書の他の箇所に記載されるような分子マーカーアッセイを実施することによって試験することができる(および植物を選択することができる)。
【0267】
この方法を使用して、キュウリの野生近縁種等の野生株由来のQTL2.1(または変異型)および/またはQTL6.1(またはその変異型)を含む遺伝子移入を含む新規な栽培キュウリ植物を作出および/または選択することができる。一つの態様では、両方のQTLは、キュウリの野生近縁種の同じ群に由来する。
【0268】
一つの態様において、遺伝子移入断片が収量QTLを含む、第2染色体および/または第6染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を生産する方法は、
a)第1の栽培キュウリ植物を提供する工程、
b)本明細書で提供される1つ以上のSNPマーカーを含む、第2のキュウリの野生近縁種を提供する工程、
c)前記a)の植物を前記b)の植物と交配させる工程、
d)前記交配種からF1種子を採取し、F1植物をa)のキュウリ植物に戻し交配させて戻し交配(BC1)群を産生するか、またはF1植物を1回以上同系交配させてF2またはF3群を産生する工程、
e)任意に戻し交配群を同系交配させて、例えば、BC1S1またはBC1S2群を産生する工程、
f)(1つ以上の)SNPマーカーおよび/またはSNPマーカー間の任意のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーを含むF2、F3、BC1、BC1S1またはBC1S2植物を同定する工程
を含む。
【0269】
第2染色体上に収量QTLを含むキュウリの野生近縁種を同定するための方法も提供され、該方法は、
A)1つ以上の受託されたキュウリの野生近縁種を提供し、
B)SNP_01~SNP_26(またはSNP_01~SNP_10;SNP_10~SNP_20;SNP_20~SNP_26;SNP_06~SNP_23等のSNPマーカーのサブグループ)からなる群から選択される少なくとも1つ(または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはより多く)のSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記受託物を同定スクリーニングし、
C)少なくとも1つ以上の下記マーカーを含むb)の受託物を同定および/または選択し、
a)配列番号1(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_01のCCまたはCT遺伝子型および/または
b)配列番号2(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_02のGGまたはGA遺伝子型および/または
c)配列番号3(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_03のGGまたはGA遺伝子型および/または
d)配列番号4(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_04のTTまたはTC遺伝子型および/または
e)配列番号5(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_05のTTまたはTC遺伝子型および/または
f)配列番号6(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_06のCCまたはCT遺伝子型および/または
g)配列番号7(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_07のCCまたはCT遺伝子型および/または
h)配列番号8(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_08のAAまたはAG遺伝子型および/または
i)配列番号9(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_09のTTまたはTG遺伝子型および/または
j)配列番号10(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_10のTTまたはTG遺伝子型および/または
k)配列番号11(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_11のGGまたはAG遺伝子型および/または
l)配列番号12(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_12のGGまたはGT遺伝子型および/または
m)配列番号13(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_13のCCまたはCA遺伝子型および/または
n)配列番号14(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_14のAAまたはAG遺伝子型および/または
o)配列番号15(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_15のCCまたはCT遺伝子型および/または
p)配列番号16(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_16のAAまたはAC遺伝子型および/または
q)配列番号17(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_17のTTまたはTC遺伝子型および/または
r)配列番号18(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_18のGGまたはGA遺伝子型および/または
s)配列番号19(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_19のAAまたはAG遺伝子型および/または
t)配列番号20(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_20のGGまたはGA遺伝子型および/または
u)配列番号21(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_21のGGまたはGA遺伝子型および/または
v)配列番号22(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_22のGGまたはGT遺伝子型および/または
w)配列番号23(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_23のTTまたはTG遺伝子型および/または
x)配列番号24(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_24のGGまたはGT遺伝子型および/または
y)配列番号25(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_25のGGまたはGA遺伝子型および/または
z)配列番号26(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_26のCCまたはCA遺伝子型および/または
aa)マーカーSNP_01とSNP_26との間の任意のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカー
または任意に
D)前記野生受託物由来のQTLを栽培キュウリに(例えば戻し交配によって)遺伝子移入する
ことを含む。
【0270】
工程B)、C)およびD)において、本明細書の他の箇所に記載されている他の分子マーカー試験も使用することができる。したがって、この方法を用いて、キュウリの野生近縁種を、1つ以上のマーカーの存在について、したがってQTL2.1(またはその変異型)の存在についてスクリーニングすることができ、栽培キュウリ植物にQTLを遺伝子移入することができる。この方法によって得られた植物および種子も本発明の一つの実施形態である。
【0271】
また、第6染色体上に収量QTLを含むキュウリの野生近縁種を同定するための方法も提供され、該方法は、
A)1つ以上の受託されたキュウリの野生近縁種を提供し、
B)SNP_27~SNP_40(またはSNP_27~SNP_33;SNP_33~SNP_40;SNP_29~SNP_38等のSNPマーカーのサブグループ)からなる群から選択される少なくとも1つ(または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはより多く)のSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記受託物を同定スクリーニングし、
C)少なくとも1つ以上の下記マーカーを含むb)の受託物を同定および/または選択し、
a)配列番号27(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_27のGGまたはGA遺伝子型および/または
b)配列番号28(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_28のTTまたはTC遺伝子型および/または
c)配列番号29(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_29のCCまたはCA遺伝子型および/または
d)配列番号30(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_30のTTまたはTC遺伝子型および/または
e)配列番号31(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_31のTTまたはTC遺伝子型および/または
f)配列番号32(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_32のCCまたはCT遺伝子型および/または
g)配列番号33(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_33のGGまたはGA遺伝子型および/または
h)配列番号34(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_34のTTまたはTC遺伝子型および/または
i)配列番号35(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_35のGGまたはGA遺伝子型および/または
j)配列番号36(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_36のAAまたはAC遺伝子型および/または
k)配列番号37(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_37のAAまたはAG遺伝子型および/または
l)配列番号38(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_38のAAまたはAG遺伝子型および/または
m)配列番号39(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_39のAAまたはAC遺伝子型および/または
n)配列番号40(またはその変異体)の一塩基多型マーカーSNP_40のTTまたはTC遺伝子型および/または
o)マーカーSNP_27とSNP_40との間の任意のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカー
または任意に
D)前記野生受託物由来のQTLを栽培キュウリに(例えば戻し交配によって)遺伝子移入する
ことを含む。
【0272】
工程B)、C)およびD)において、本明細書の他の箇所に記載されている他の分子マーカー試験も使用することができる。したがって、この方法を用いて、キュウリの野生近縁種を、1つ以上のマーカーの存在について、したがってQTL6.1(またはその変異型)の存在についてスクリーニングすることができ、栽培キュウリ植物にQTLを遺伝子移入することができる。この方法によって得られた植物および種子も本発明の一つの実施形態である。
【0273】
さらに別の態様において、第2および/または第6染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を同定するための方法であって、前記遺伝子移入断片が収量QTLを含む方法が提供され、前記方法は、本明細書の他の箇所に記載されているような、QTL2.1および/またはQTL6.1を示す(連鎖された)少なくとも1つのSNPマーカー(好ましくは2、3、4、5またはそれよりも多く;好ましくは連続的なSNPマーカー)を検出する分子マーカーアッセイを用いて、栽培キュウリ植物または栽培キュウリ植物もしくはそのようなキュウリ植物の部分(例えば、果実、細胞、DNA)の群をスクリーニングすることを含む。
【0274】
この方法では、本明細書の他の箇所に記載された分子マーカー試験のいずれかを使用することができる。したがって、この方法を使用して、栽培キュウリ植物または植物部分において、第2および/または第6染色体上にQTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片の存在を検出することができる。
【0275】
さらに別の態様において、第2染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物であって、前記遺伝子移入断片がQTL2.1である栽培キュウリ植物が提供されるかどうかを検出する方法であって、
a)栽培キュウリ植物または植物部分を提供し、
b)SNP_01~SNP_26および/またはマーカーSNP_01とSNP_26との間の任意のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーからなる群から選択される少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2、3、4、5つまたはそれ以上)のSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記植物または前記植物部分(または前記植物または植物部分から得られたDNA)をスクリーニングする
ことを含む方法が提供される。
【0276】
さらに別の態様において、第6染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物であって、前記遺伝子移入断片がQTL6.1である栽培キュウリ植物が提供されるかどうかを検出する方法であって、
a)栽培キュウリ植物または植物部分を提供し、
b)SNP_27~SNP_40および/またはマーカーSNP_27とSNP_40との間の任意のキュウリの野生近縁種ゲノム特異的マーカーからなる群から選択される少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2、3、4、5つまたはそれ以上)のSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記植物または前記植物部分(または前記植物または植物部分から得られたDNA)をスクリーニングする
ことを含む方法が提供される。
【0277】
分子マーカースクリーニングは、明らかに、植物材料を入手し、マーカー遺伝子型について材料のゲノムDNAを分析することを含む。
【0278】
この方法では、本明細書の他の箇所に記載されている他の分子マーカー試験も使用することができる。
【0279】
第2染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を生産する方法であって、前記遺伝子移入断片がQTL2.1を含み、
a)QTL2.1を含む遺伝子移入断片を欠く第1の栽培キュウリ植物を提供し、
b)受託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代から生育された植物から選択される第2の栽培キュウリ植物を提供し、
c)前記a)の植物を前記b)の植物と交配させ、
d)前記交配種からF1種子を採取し、F1植物を1回以上任意に同系交配させて、F2もしくはF3またはさらなる同系交配群を作出し、
e)任意にF1植物またはF2もしくはF3もしくはさらなる同系交配植物をa)の植物に戻し交配させて戻し交配群を産生し、
f)戻し交配群を1回以上任意に同系交配させ、
g)第2染色体上の遺伝子移入断片を示すSNPマーカーおよび/または第6染色体上の遺伝子移入断片を示すSNPマーカーの遺伝子型の1つ以上またはすべてを含む、F1、F2、F3、さらなる同系交配植物または戻し交配植物を同定する
ことを含む方法もまた本明細書に包含される。
【0280】
第6染色体上に遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を生産する方法であって、前記遺伝子移入断片がQTL6.1を含み、
a)QTL6.1を含む遺伝子移入断片を欠く第1の栽培キュウリ植物を提供し、
b)受託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代から生育された植物から選択される第2の栽培キュウリ植物を提供し、
c)前記a)の植物を前記b)の植物と交配させ、
d)前記交配種からF1種子を採取し、F1植物を1回以上任意に同系交配させて、F2もしくはF3またはさらなる同系交配群を作出し、
e)任意にF1植物またはF2もしくはF3もしくはさらなる同系交配植物をa)の植物に戻し交配させて戻し交配群を産生し、
f)戻し交配群を1回以上任意に同系交配させ、
g)第2染色体上の遺伝子移入断片を示すSNPマーカーおよび/または第6染色体上の遺伝子移入断片を示すSNPマーカーの遺伝子型の1つ以上またはすべてを含む、F1、F2、F3、さらなる同系交配植物または戻し交配植物を同定する
ことを含む方法もまた本明細書に包含される。
【0281】
さらなる態様において、F1交配種植物を産生する方法は、
a)QTL2.1を含む遺伝子移入断片を有し、前記遺伝子移入断片がNCIMB42545に見出される断片であるか、またはその遺伝子移入断片のより短い断片である、少なくとも1つの組換え第2染色体を含む第1の近交系キュウリ植物を提供し、
b)組換え第2染色体を有するかまたは有さない第2の近交系キュウリ植物を提供し、
c)前記a)の植物を前記b)の植物と交配させ、
d)前記交配種からF1交配種種子を採取する
ことを含む。
【0282】
さらなる態様において、F1交配種植物を産生する方法は、
a)QTL6.1を含む遺伝子移入断片を有し、前記遺伝子移入断片がNCIMB42545に見出される断片であるか、またはその遺伝子移入断片のより短い断片である、少なくとも1つの組換え第6染色体を含む第1の近交系キュウリ植物を提供し、
b)組換え第2染色体を有するかまたは有さない第2の近交系キュウリ植物を提供し、
c)前記a)の植物を前記b)の植物と交配させ、
d)前記交配種からF1交配種種子を採取する
ことを含む。
【0283】
別の態様において、QTL2.1および/またはQTL6.1を保持するNCIMB42545の後代を産生するための方法であって、
a)受託番号NCIMB42545として寄託された種子から植物を生育させ、
b)前記植物を1回以上同系交配させるか、または前記植物を他の栽培キュウリ植物と1回以上交配させて後代の種子を産生し、
c)本明細書に開示される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて、前記種子または種子もしくは植物の部分から生育させた後代の種子または植物をスクリーニングし、
d)(本明細書の他の箇所に記載されているように)QTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片を示す少なくとも1、2、3またはそれ以上のSNPマーカーを含む後代植物を同定および/または選択し、
e)任意に前記後代植物の果実収量の増加を確認する
ことを含む方法が提供される
【0284】
NCIMB42545の後代を作出する方法が提供され、該方法は、
a)寄託番号NCIMB42545として寄託された種子から植物を生育させ、
b)前記植物を1回以上同系交配焦るか、または前記植物を他の栽培キュウリ植物と1回以上交配させて後代の種子を産生し、
c)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP26;および/または第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40からなる群から選択される少なくとも1つのSNPマーカーを検出する分子マーカーアッセイを用いて前記後代の種子もしくは該種子から生育させた植物、または前記種子または植物の部分をスクリーニングし、
d)
i)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26の少なくとも1つのSNPマーカーおよび/または第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40の少なくとも1つのSNPマーカー;または
ii)第2染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_01~SNP_26から選択される少なくとも2、3または4個の連続的なマーカーおよび/または第6染色体上の遺伝子移入断片を検出するためのSNP_27~SNP_40から選択される少なくとも2、3または4個の連続的なマーカー
を含む後代植物を同定および/または選択し、かつ、
e)任意に、前記後代植物の果実収量の増大を確認すること
を含む。
【0285】
上述したいずれかの方法により作出された後代植物も本発明の一つの態様である。
【0286】
QTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片の大きさを減少させるために、すなわち、第2および/または第6染色体上により小さい遺伝子移入断片であるが、遺伝子移入断片の収量増加部分を保持する遺伝子移入断片を含む組換え体を作出および選択するために、本明細書に記載の方法およびマーカーを用いることもできる。
【0287】
一つの態様において、本発明は、果実収量が増加したキュウリ品種を育種するための、キュウリの野生近縁種に由来する遺伝子移入断片を含む組換え第2および/または第6染色体の使用であって、前記QTLを含む遺伝子移入断片の使用を包含する。
【0288】
また、第2および/または第6染色体の遺伝子移入断片を含む栽培キュウリ植物を作出するための、受託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代に見出される第2および/または第6染色体の使用も提供される。
【0289】
また、果実収量の増加が前記第2および/または第6染色体から得られた遺伝子移入断片により付与される、果実収量が増加した栽培キュウリ植物を作出するための、受託番号NCIMB42545として寄託された種子またはその後代から生育した植物の使用も提供される。
【0290】
本発明によるDNAおよび染色体
一つの態様において、本明細書の全体を通して記載されるように、キュウリの野生近縁種の遺伝子移入断片を含む、改変された(組換え)栽培キュウリの第2および/または第6染色体が本明細書において提供される。一つの態様において、組換え染色体は、その自然環境から単離される。別の態様において、組換え染色体は、植物細胞、特にキュウリ細胞、特に栽培キュウリ細胞中に存在する。また、QTLを含む組換え染色体の単離された部分も本明細書において提供される。
【0291】
さらなる態様において、本発明による収量対立遺伝子を含む組換え核酸分子、特に組換えDNA分子が提供される。一つの態様において、収量対立遺伝子は、本明細書に記載される1つ以上の分子マーカーアッセイによって検出可能である。また、組換えDNAを含むDNAベクターも提供される。組換えDNA分子またはDNAベクターは、単離された核酸分子であってもよい。収量対立遺伝子を含むDNAは、細菌(例えば、アグロバクテリウム)のような微生物に存在し得る。
【0292】
このような(単離または抽出された)核酸分子および/またはそのような組換え染色体またはその一部の、収量対立遺伝子を含む植物細胞および植物を作出するための使用は、本明細書に包含される。一つの態様において、遺伝子組み換え植物細胞および遺伝子組み換え植物、例えば、キュウリ細胞、収量対立遺伝子を含むキュウリ植物および部分(例えば果実)ならびに果実収量の表現型が強化された植物を作出するために使用され得る。
【0293】
従って、記載されているような組換え第2および/もしくは第6染色体、ならびに/または収量対立遺伝子を含む組換え核酸分子をゲノム中に含む遺伝子組み換え植物細胞、例えば、組換えキュウリ細胞も本発明の一つの実施形態である。一つの態様において、収量対立遺伝子を含むDNA分子は、キュウリゲノムに安定に組み込まれる。
【0294】
収量対立遺伝子もまたクローン化することができ、例えば、植物の発現可能なプロモーターを収量対立遺伝子に作動可能に連結して、キメラ遺伝子を作製することができる。そのようなキメラ遺伝子を植物細胞に導入し、植物細胞を植物全体に再生して遺伝子組み換え植物を産生することができる。一つの態様において、遺伝子組み換え植物は、キュウリ植物またはメロン植物である。
【0295】
したがって、収量対立遺伝子を含み、果物収量が増加した遺伝子組み換え植物、特に遺伝子組み換え栽培キュウリまたはメロン植物が本明細書において提供される。
【0296】
特に、本発明による組換え第2および/または第6染色体を含む細胞または細胞培養物は、一つの実施形態であり、組換え第2および/または第6染色体が、遺伝子組み換え方法または育種方法によって導入されるかどうかに依存しない実施形態である。細胞は、例えば、in vitroで、本発明の組換え第2および/または第6染色体を含む植物に再生可能である。
【0297】
また、本明細書中に開示される分子マーカー配列(および配列を含む単離された核酸分子)、ならびに収量QTL2.1および/またはQTL6.1に連鎖する、本明細書に記載の任意の上記分子マーカーの間の分子マーカー、ならびに、前記QTLを含むキュウリ植物を検出および/または作出するためのこれらの使用が本明細書に包含される。
【0298】
一つの態様では、QTL2.1および/またはQTL6.1を含む遺伝子移入断片は、WO2016/059090およびWO2016/059092に記載されている遺伝子移入断片とは異なる野生型供与体に由来し、寄託番号NCIMB42262として寄託されている種子中に存在する。従って、一つの態様では、本発明のQTL2.1および/またはQTL6.1は、寄託番号NCIMB42262として寄託された種子から得ることはできない。
【0299】
一つの実施形態では、本発明の植物は、アーカンソーリトルリーフ(Arkansas Little Leaf)およびH-19系統のような劣性小葉(‘ll’)を含まない。
【0300】
種子の寄託
QTL2.1を含む遺伝子移入断片およびQTL6.1を含む遺伝子移入断片をホモ接合型で含み、CUXYLD2-6で指定される長キュウリ型のBC1S3Cucumis sativus var. sativus系統の種子の代表的なサンプル、およびいずれの遺伝子移入断片も含まず、収量QTLも含まず、CUXGC-GCで指定される遺伝的対照(GC)は、それぞれ、2016年2月18日および2014年12月17日にExpert Solution (EPC2000 規則32(1))に基づきブダペスト条約に従って、Nunhems B.V.によってNCIMB Ltd. (Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn Aberdeen, 英国スコットランドAB21 9YA)に寄託された。種子には、以下の寄託番号NCIMB42545(CUXYLD2-6)およびNCIMB42345(CUXGC-GC)が付与された。寄託番号NCIMB42545として寄託された種子は、第2染色体上に、本発明の正の収量QTLの近くに連鎖することが初めて見出された負の収量QTL(QTL2.2)を含まない。
【0301】
申請者は、EPC規則32(1)または同様の規則および法令を有する国または条約の関連法令に従って、特許の付与が認められるまで、または出願が拒絶、取下げもしくは取り下げられたと見なされた場合には出願日から20年間、生物学的材料のサンプルおよびそれに由来する任意の材料を指定された専門家にのみ放出(release)することを要求する。
【0302】
寄託物へのアクセスは、本出願の係属中に、米国特許庁長官が要求に応じて権利を有すると決定した者に利用可能となる。C.F.R.§1.808(b)において、寄託材料の公衆への利用可能性に寄託者が課したすべての制限は、特許付与時に取り消し不能に除かれる。寄託は、30年間もしくは最新の請求後5年間、または特許の有効期間のいずれか長い方の期間維持され、その期間中に生存不能になった場合には差し替えられる。申請者は、この出願に基づく特許または植物品種保護法(7 USC 2321以下参照)に基づき付与されたいかなる権利も放棄するものではない。
【0303】
以下の非限定的な実施例は、QTL2.1および/またはQTL6.1を含む、本発明による植物をどのように得ることができるかを記載する。実施例において他に述べられていない限り、すべての組換えDNA技術は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, およびSambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NYおよびAusubel et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USAの第1巻および第2巻に記載されているような標準的なプロトコルに従って行われる。植物分子作業の標準的な材料および方法は、BIOS Scientific Publications Ltd(英国)とBlackwell Scientific Publications, UKとが共同で発行したR.D.D. CroyによるPlant Molecular Biology Labfax (1993)に記載されている。標準的な育種方法は、Principles of Plant breeding, Second Edition, Robert W. Allard (ISBN 0-471-02309-4)に記載されている。
【実施例】
【0304】
実施例1-収量QTLの同定
集団の作製
米国から得られた野生近縁種キュウリ受託物(以下、供与体という)を、北ヨーロッパおよび北アメリカ温室キュウリマーケットのための交配プログラムにより、特許長キュウリ交配種系統HMRKCと交配した。HMRKCは、長温室キュウリプログラムの選抜系統である。
【0305】
QTL発見集団(QTL-discovery population)を、HMRKCと野生種との間の交配から作製した。集団作製の間、収量測定を容易にするために雌の開花植物のみを維持した。
【0306】
SNPマーカーは、ゲノム範囲およびホモ接合性を長い果実を選択し、かつ最適化するために、数世代にわたって使用した。BC2S2集団を用いて遺伝地図を構築した。
【0307】
220個のBC2S2植物を自家受粉させてBC2S3を産生した。BC2S2植物を、育種プログラム、系統CUZL0176からの選抜系統と交配して、試験交配種を北ヨーロッパマーケットのために作出した。
【0308】
220個の試験雑種は、オランダにおける収量試験で用いられた。また、HMRKCとCUZL0176とを交配させることにより遺伝的対照を作出した。220個の試験雑種および遺伝的対照は、オランダにおける収量試験で用いられた。
【0309】
220個の同じBC2S2植物を別の選抜育種系統CUZS1313と交配させて、トルコマーケットのための試験雑種を作出した。これらの220個の試験雑種は、トルコにおける収量試験で用いられた。
【0310】
収量試験
収量に関連するQTLを検出するために、オランダにおける試験(NLD)およびトルコにおける試験(TUR)の2つの異なる収量試験が実施された。
【0311】
オランダ(NLD)での収量試験 QTL2.1の検出
収量試験の目的は、夏-秋の期間中の長キュウリの収量を測定することであった。この試験は、220個の試験雑種と30個の反復の遺伝的対照とからなる。2009年6月に、ロックウール栓付きトレイの250個の区画に手作業で播種した。トレイを、少なくとも24℃の温度で4日間保存した。播種の4日後に、発芽した種子を有する塊(plug)をロックウールブロックに移した。約3週間の間、ロックウールポットを、植物育成エリアである温室の特定の区画に保持した。この区画で、温室に植える準備が整うまで植物を生育させた。播種の約4週間後に、約30cmの高さの植物を栽培者に輸送した。栽培者では、区画当たり8つの植物が維持された。合計で、250区画×8の植物の試験が存在する。区画当たりの植物の正確な数を記録した。植物はオランダにおける通常の方法で栽培された。すなわち、植物を約220cmの高さまでワイヤーで支えて、垂直に栽培した。この高さで、植物の頂部を除去し、植物を側面上で成長させ続けた。プランテーションの約3週間後、最初の果実を収穫することができた。収穫期は8月に始まり、10月末まで続いた。植物は週に3~7回収穫された。収量を、2つの異なる方法により測定した。区画当たりの果実の総数を数え、収穫日当たりの区画の植物の数で割った。全ての日の収穫を累積した。これにより、植物当たりの果実の平均数(FrPP)で表される累積収量を得た。第2の測定では、区画当たりの累積果実重量を得、それを植物数で割って、1グラム当たりの平均果実収量(GrPP)を得た。
【0312】
収量データを用いてQTLを検出した。第2染色体では、第2染色体の約5Mb~11Mbの間に位置する、収量に正の影響を与えるQTLが同定された。
【0313】
表1は、キュウリの野生近縁種(供与体)由来の第2染色体上の遺伝子移入を含む試験雑種と、第2染色体上の遺伝子移入を欠く遺伝的対照との能力を示す。収量の増加は、GrPPで表すと平均5%増大しており、FrPPで表すと18%増大していた。
【0314】
表1:キュウリ(供与体)の野生近縁種の第2染色体上の遺伝子移入を含む試験雑種と、第2染色体上の遺伝子移入を欠く遺伝的対照との収量。収量データは、オランダ(NLD)における試験に基づくものである。収量は、植物当たりの平均グラムおよび植物当たりの平均果実(それぞれGrPPおよびFrPP)で表される。
【0315】
【0316】
トルコ(TUR)での収量試験 QTL6.1の検出
収量試験の目的は、トルコの秋-冬の期間中の長キュウリの収量を測定することであった。12月、1月、2月の平均最低気温は約6.5℃である。このような温度では、キュウリ植物にかなりの低温ストレスがかかる。寒冷ストレス下でキュウリ果実を産生し続けるのは、適応した遺伝子型だけである。温室には霜を防ぐために温室が設置される。温室内の最低温度を8℃とする。温室内の最高温度は外気温と太陽光とに依存し、この期間では30℃まで上昇することがある。
【0317】
この試験は、220個の試験雑種と11個の対照品種Kybele F1(Vilmorin)とからなる。2009年10月に、泥炭栓を有するトレイの231個の区画に手作業で播種した。トレイを、最低温度20℃の区域に保管した。播種の4週間後に、植物を温室に移した。温室では、区画当たり8つの植物が維持された。合計で、231区画×8の植物の試験からなった。区画当たりの植物の正確な数を記録した。植物は、トルコにおける短キュウリのために一般的な方法で栽培された。すなわち、植物を約220cmの高さまでワイヤーで支えて、垂直に栽培した。この高さで、植物はワイヤー越しに地面に戻るように誘導した。植物の頂部が土壌の約1メートルに達した場合、植物の頂部を除去した。側部をワイヤーまで主茎上で除去した。果物の最初の収穫は12月9日であった。果実は、2010年3月30日まで週に1~2回収穫された。収量を、2つの異なる方法により測定した。区画当たりの果実の総数を数え、収穫日当たりの区画の植物の数で割った。全ての日の収穫を累積した。これにより、植物当たりの果実の平均数(FrPP)で表される累積収量を得た。第2の測定では、区画当たりの累積重量を得、それを植物数で割って、1グラム当たりの平均収量(GrPP)を得た。
【0318】
収量データを用いてQTLを検出した。1つの収量に関連するQTLが、第6染色体上の約25Mb~29Mbの間で検出された。QTLは低温ストレス下で見出されたので、低温耐性QTLとみなすこともできる。
【0319】
表2は、キュウリの野生近縁種(供与体)由来の第6染色体上の遺伝子移入を含む試験雑種と、第6染色体上の遺伝子移入を欠く遺伝的対照との能力を示す。第6染色体上の収量関連QTLを有する試験雑種は、遺伝子移入を欠く材料と比較して、FrPPで表すと33%高い収量を有し、FrPPで表すと34%高い収量を有していた。対照として使用された冬品種であるKybeleと比較して、収量の増加は26%(GrPP)またはFrPPで25%であった。
【0320】
表2:供与体由来の第6染色体(chr6)上の遺伝子移入を含む試験雑種と、第6染色体上の遺伝子移入を欠く遺伝的対照との収量。収量データは、トルコにおける試験に基づくものである。収量は、植物当たりのグラムおよび植物当たりの果実(それぞれGrPPおよびFrPP)で表される。冬品種であるKybele F1(Vilmorin)の産生が参考にされている。
【0321】
【0322】
QTL2.1を含む遺伝子移入による収量増加の検証
QTL検出試験の結果に基づいて、第2染色体上の遺伝子移入(QTL2.1)を含む1つの特定のBC2S2系統が選択された。この系統を繁殖系HMRKCと交雑して、BC3系統(戻し交配3)を作出した。BC3は2世代にわたって自家交雑され、供与体由来の第2染色体上の遺伝子移入のみを含むBC3S2系統を作製した。この系統を繁殖系統CUZL0176と交雑して、新しい試験雑種(PRE.N1.CH2.1001)を作出した。比較育種系統については、HMRKCをCUZL0176と交配させて遺伝的対照を作出し、その種子は、Nunhems B.V.によって寄託番号NCIMB42345で寄託されている。
【0323】
2つの材料(PRE.N1.CH2.1001およびNCIMB42345)を、2013年の夏/秋の収量試験において試験された。上述したのと同様の方法(収量試験-NLD)で、8つの植物を4回反復して試験した。
【0324】
表3は、第2染色体上の収量QTL(QTL2.1)を含む系統の収量増加が、GrPPで表すと4.3%であり、FrPPで表すと5.0%であることを示し、前世代において第2染色体上の収量関連QTLがキュウリ収量を増加させることが確認された。
【0325】
表3:遺伝的対照NCIMB42345、HMRKCとCUZL0176との間の雑種、および第2染色体上に供与体の遺伝子移入を含む戻し交配親HMRKCに基づくCUZL0176とBC3S2材料との間の雑種であるPRE.N1.CH2.1001の複製当たり8植物の4つの複製物の1試行についての2013年の収量測定。収量は、上述したように、植物当たりの収穫された果実の累積(FrPP)および植物当たりの累積グラム(GrPP)により表される。
【0326】
【0327】
平均果実長は影響を受けず、遺伝的対照とPRE.N1.CH2.1001との間に差はなかった。
【0328】
QTL6.1の遺伝子移入による収量増加の検証
QTL検出試験の結果に基づいて、第6染色体上の遺伝子移入(QTL6.1)を含む1つの特定のBC2S2系統が選択された。この系統を繁殖系HMRKCと交雑して、戻し交雑3系統(BC3)を作出した。BC3系統は2世代にわたって自家交雑され、供与体からの第6染色体上の遺伝子移入(QTL6.1)のみを含むBC3S2系統を作製した。この完成された系統(clean-up line)は、スペインの冬期市場で2種の親:繁殖系統CUZL0224およびCUZL0876と交配され、また、トルコの冬期市場で2種の親:繁殖系統CUZS1329およびCUZS0683と交配された。
【0329】
従って、以下の材料が開発された:
トルコ:CUZS0329との交雑に基づくQTL6.1を含むPRE.N1.CH6.9001、およびCUZS0683との交雑に基づくQTL6.1を含むPRE.N1.CH6.11001。QTL6.1を欠く以下の2つの遺伝的対照:PRE.N1.9GCおよびPRE.N1.11GCをそれぞれ使用した。
【0330】
スペイン:CUZL0224との交雑に基づくQTL6.1を含むPRE.N1CH6.2001;およびCUZL0876との交雑に基づくQTL6.1を含むPRE.N1.CH6.7001。遺伝的対照として、材料PRE.N1.2GCおよびPRE.N1.7GCを使用した。
【0331】
トルコでは、材料は2013/2014の冬に試験された。2つの試験雑種の8つの複製物および2つの遺伝子対照を試験した。結果を以下の表4に示す。
【0332】
スペインでは、材料は2014年の冬に試験された。2つの試験雑種の8つの複製物および2つの遺伝的対照を試験した。結果を以下の表5に示す。
【0333】
【0334】
【0335】
長キュウリにおけるQTL2.1とQTL6.1の組み合わせ
QTL2.1およびQTL6.1の両方を含む試験雑種を作出し、それぞれ8植物の2つの複製物で2015年の春にカナダの温室で試験した。比較市販品種として、Verdon F1(RZ24-150、Rijk Zwaan)およびSepire F1(NUN43003、Nunhems)を使用した。FrPPの平均数を決定した。
【0336】
【0337】
QTL2.1およびQTL6.1の両方をホモ接合型で含む、2500の長キュウリBC1S3系統の種子の寄託が、Nunhems B.V.により、寄託番号NCIMB42545として2016年2月18日になされた。
【0338】
実施例2
第2染色体上の遺伝子移入断片(QTL2.1を含む)および第6染色体上の遺伝子移入断片(QTL6.1を含む)にわたり単一ヌクレオチド多型マーカー(SNP)を同定し、物理的なC. sativusのマップ上のそれらの位置を決定した。
【0339】
【0340】
【配列表】