(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電流保護回路構成を有する電気グリル
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20220107BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H02H3/08 D
A47J37/06 321
(21)【出願番号】P 2019142088
(22)【出願日】2019-08-01
(62)【分割の表示】P 2017128811の分割
【原出願日】2017-06-30
【審査請求日】2019-09-03
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517232752
【氏名又は名称】ウェーバー‐スティーブン プロダクツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ナッペンバーガー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ズレータ、フリオ・シー
(72)【発明者】
【氏名】ラーク、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】エメリッヒ、ジェフリー・シー
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-249088(JP,A)
【文献】特開2002-095586(JP,A)
【文献】特開2009-296802(JP,A)
【文献】特開昭60-129813(JP,A)
【文献】特開平07-123504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08
3/12
A47J37/06
F24C 7/04
H05B 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトライアックを通して電圧ラインに接続され、さらに、ニュートラルラインに接続された少なくとも第1の加熱素子と、
前記第1の加熱素子と関連付けられた第1の動作形態を選択するための少なくとも1つのユーザ入力と、
前記第1の加熱素子を通る電流の少なくとも第1の電流値を測定するために接続されたホール効果センサーと、
前記ホール効果センサーに接続され、さらに、前記第1のトライアックを制御するよう構成されたマイクロプロセッサと、
を具備し、
前記マイクロプロセッサは、選択された前記第1の動作形態と関連付けられた第1の予期した電流を決定し、そして、前記マイクロプロセッサは、前記ホール効果センサーからの前記第1の電流値と前記第1の予期した電流との間の不釣り合いに応答して前記第1の加熱素子の前記第1のトライアックを停止させるよう構成されていることを特徴とする電気グリル。
【請求項2】
第2のトライアックを通して電圧ラインに接続され、さらに、ニュートラルラインに接続された少なくとも第2の加熱素子と、
前記第2の加熱素子と関連付けられた第2の動作形態を選択するための第2のユーザ入力と、
をさらに具備し、
前記ホール効果センサーは、前記第2の加熱素子を通る電流の少なくとも第2の電流値を測定するよう構成され、そして、前記マイクロプロセッサは、前記ホール効果センサーからの前記第2の電流値と第2の予期した電流との間の不釣り合いに応答して前記第2の加熱素子の前記第2のトライアックを停止させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気グリル。
【請求項3】
変流器に接続された漏電検出ユニットであって、前記変流器は前記電圧ラインと前記ニュートラルラインとの電流の差を測定するよう構成され、前記漏電検出ユニットは、前記電圧ラインと前記ニュートラルラインとの電流の差の検出に応答してトリップコントローラに漏電異常を示す信号を送信するよう構成されていることを特徴とする漏電検出ユニットと、
漏電異常を示す前記信号に応答して前記電圧ラインを通して電流が流れないように、ラッチを開放するよう構成されている前記トリップコントローラと、
をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の電気グリル。
【請求項4】
第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力はコントロールノブであることを特徴とする請求項2に記載の電気グリル。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサと通信するディスプレイをさらに具備し、前記ディスプレイは、電流の不釣り合いを検出したときユーザに警報を出すよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気グリル。
【請求項6】
前記警報は、加熱素子を取り換える必要があることを示していることを特徴とする請求項5に記載の電気グリル。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサと通信するディスプレイをさらに具備し、前記ディスプレイは、電流の不釣り合いを検出したときユーザに警報を出し、前記警報は、どの加熱素子が停止しているかを表示することを特徴とする請求項2に記載の電気グリル。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサは、さらに、所定の時間経過後、電流供給を再開するよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気グリル。
【請求項9】
漏電異常を検出したときユーザに警報を出し、ラッチのリセットをユーザに促すメッセージを表示するよう構成されたディスプレイをさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の電気グリル。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサと通信するウォッチドッグ・モニタをさらに具備し、前記マイクロプロセッサは、正常運転を示す周期的な信号を前記ウォッチドッグ・モニタに送信するよう構成され、前記ウォッチドッグ・モニタは、前記マイクロプロセッサから前記周期的な信号がなかった場合、第1の加熱素子及び第2の加熱素子への電流の流れを停止させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気グリル。
【請求項11】
前記第1の加熱素子の近傍に配置された少なくとも第1の熱電対をさらに具備し、前記第1の熱電対は、前記マイクロプロセッサと電気的に通信を行い、現在の温度を示す信号を前記マイクロプロセッサに送り、前記現在の温度をディスプレイに表示させることを特徴とする請求項1に記載の電気グリル。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサは、さらに、所望の温度に達するまで前記第1の加熱素子に電流を供給するために前記
第1の熱電対からのフィードバックループを使うよう構成されていることを特徴とする請求項11に記載の電気グリル。
【請求項13】
動作形態を選択するために、電気グリルへのユーザ入力を用いるステップと、
トライアックを通して電圧ライン及びニュートラルラインに接続されている少なくとも1つの加熱素子に電流を供給するステップであって、供給される前記電流は選択された前記動作形態に対応することを特徴とするステップと、
前記加熱素子に供給される電流を測定するためにホール効果センサーを使用し、前記測定された電流を示す信号を前記ホール効果センサーからマイクロプロセッサに送信するステップと、
前記マイクロプロセッサを用いて、選択された前記動作形態と関連付けられた予期した電流を決定し、前記予期した電流と前記測定された電流との不釣り合いに応答して前記加熱素子への電流の流れを停止させるステップと、
を具備する予期しない電流状態に対して電気グリルを保護するための方法。
【請求項14】
トライアックを通して電圧ライン及びニュートラルラインに接続されている第2の加熱素子と関連付けられた第2の動作形態を選択するために
、前記電気グリルへの第2のユーザ入力を用いるステップと、
前記第2の加熱素子に供給される電流を測定するためにホール効果センサーを使用し、第2の測定された電流を示す信号を前記ホール効果センサーからマイクロプロセッサに送信するステップと、
前記マイクロプロセッサを用いて、選択された前記第2の動作形態と関連付けられた第2の予期した電流を決定し、前記第2の予期した電流と前記第2の測定された電流との不釣り合いに応答して前記第2の加熱素子への電流の流れを停止させるステップと、
をさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電気グリルへの前記ユーザ入力と前記第2のユーザ入力は、コントロールノブによるものであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
正常な動作を示す信号を前記マイクロプロセッサからウォッチドッグ・モニタに送り、
前記ウォッチドッグ・モニタを用いて、前記正常な動作を示す信号がない場合に前記加熱素子への電流を停止させるステップをさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱素子の近傍に熱電対を配置し、前記熱電対を用いて、測定された温度を示す信号を前記マイクロプロセッサに送信するステップをさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロプロセッサを用いて、測定された温度を示す前記信号に基づき前記加熱素子に供給される電流を調整するステップをさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱素子への電流の流れを停止させたことに応答して警報を表示するために前記電気グリルのディスプレイを用いるステップをさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記警報は、前記加熱素子を取り換える必要があることを示していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電流の不釣り合いに応答して警報を表示するために前記電気グリルのディスプレイを用いるステップをさらに具備し、前記警報は、どの加熱素子が停止しているかを表示することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
所定の時間経過後、前記加熱素子への電流供給の再開を可能にするステップをさらに具備することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に電気グリルに関し、更に詳細には、危険な、障害のある予期せぬ電流状
態を防止するための進歩した回路構成をもつ電気グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気グリルに対する要求は増大している。これは、都市人口が増加しているので特に重
要である。多くの都市その他の環境において、従来のガスグリルや木炭グリルの使用は簡
単には許されない。例えば、多くの都市居住者は、そこでグリルを使いたくなるようなバ
ルコニーを有するアパートやマンションに住んでいる。煙、ガス、その他の不安があるた
め、典型的な木炭グリルやガスグリルの使用は、許されないか、又は好ましくない。
【0003】
ジョージ・フォアマン・プレート・グリル(およびそれに類似する器具)、パニーニ・
プレス、電気フライパン、その他のような、利用可能な多くの電気調理器具がある。しか
しながら、これらの従来技術による電気調理器具は一般に屋内使用を意図しており、食品
の脂肪分や洗剤のみならず、高熱、日光や降雨のような天候、により劣化する可能性のあ
る過酷な厳しい環境での使用を意図して設計又は製造はなされてはいない。このような、
過酷な環境は、電気部品を劣化させることがあり、これにより漏電その他の危険な状態が
もたらされる可能性がある。
【0004】
従来技術による電気調理器具は一般的に室内環境での使用を意図しており、これらの器
具に対して、典型的な壁コンセントによる電流保護機構でおおむね十分である。このよう
な器具は保護のための接地線に依存することがある。いくつかの従来技術の回路には、電
流を制御するために、酸化金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFETs)が含まれ
ることがある。また、従来技術による他の回路では温度応答性を有する。しかしながら、
過酷な環境に起因して生じるような、適切でない電流状態をもたらす故障を含むがこれに
限定されない故障に対応することのできる、電気グリルの進歩した保護回路構成が必要で
ある。
【0005】
例えば、米国特許8,263,911、表題「加熱防止回路を有する電子機器及びそれ
による加熱防止方法」には、制御モジュールにより生じた制御信号により、加熱信号が故
障しているかどうか、又は制御素子の制御電圧が異常ではないかどうかを加熱防止回路が
正しく判断し自動的に加熱モジュールに加熱を停止させるのを補助することのできる電子
機器が開示されている。この加熱防止回路は制御モジュール及び加熱切り替えモジュール
と接続されたMOSFETを用いる。それに対して、本発明のいくつかの実施の形態では
、電子機械式ロジックとディジタルロジックの組み合わせを用いて、簡単にMOSFET
加熱防止回路で検出できない複数の異なるタイプの故障を検出する。
【0006】
熱応答回路と称される他の従来技術による器具では、加熱素子が閾値温度に到達したと
き動作を停止させることができる。例えば、米国特許8,097,835、表題「温度制
御回路」では、保護モジュール及びマイクロプロセッサへ検出信号を出力するために電子
機器の温度を検出する温度検出モジュールを開示している。この保護モジュールはマイク
ロプロセッサの状態を制御する。しかし、このような熱応答回路は、素子を故障に導く過
酷な環境及び電流状態に対しては不適切である。実際に、故障した素子では電流の漏れが
生じ、これは過熱した加熱素子との相関関係を常に生じさせるわけではない。危険な電流
状態は、加熱素子が正常な温度の範囲内であっても生じることがある。
【0007】
したがって、1以上の独立に制御される加熱素子を有し、とりわけ、短絡、過電流、ド
ライバー故障、及び/又は、マイクロプロセッサ故障に対する保護を行う保護回路構成を
もつ、電気グリルが必要となる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、既知の電気調理器具の欠陥を克服し、電気グリルに新しい特徴と利点とを提
供するものである。例えば、本発明は、不完全な、予期せぬ、及び/又は、危険な電流状
態になった場合加熱素子への電源供給を遮断する保護回路構成を提供する。
【0009】
本発明は、安全でない電流状態に対して保護するよう構成された回路構成及びマイクロ
プロセッサを有する電気グリルを提供する。本発明の実施の形態では、1以上のラッチリ
レーを介して電圧が加わる1以上の電気加熱素子が含まれる。各ラッチリレーは、トリッ
プコントローラ及び漏電検出ユニットにより制御される電気機械式スイッチであり、安全
でない電流状態が検出された場合、回路を開放する。各加熱素子は、同様に、マイクロプ
ロセッサにより制御されるトライアックドライバーに接続されたトライアックにより駆動
される。ホール効果センサーから電流値を受け取り、安全でない電流状態を検出したとき
トライアックにより回路を開放するよう構成されている。マイクロプロセッサが通常でな
い動作状態に陥った場合、トライアックを停止させるためにウォッチドッグ・モニタが付
加的に含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気グリルに用いられる保護回路が設けられる。
第1のトライアック及び第2のトライアックを通って電圧ラインに接続され、他方が、ニ
ュートラルラインに接続された第1の加熱素子及び第2の加熱素子が含まれる。加熱素子
及び電圧ラインの間に接続された少なくとも1つのラッチであって、制御ラインを通じて
トリップコントローラに接続されたラッチも設けられる。さらに、電圧ラインとニュート
ラルラインとの間の電流の差を計測するよう構成され、制御ラインを介して漏電検出ユニ
ットに接続された変流器と、漏電検出ユニット及びトリップコントローラに接続された制
御ラインとを設けることができる。第1のトライアックドライバー及び第2のトライアッ
クドライバーに接続されたマイクロプロセッサが設けられ、第1のトライアックドライバ
ー及び第2のトライアックドライバーはそれぞれ第1のトライアック及び第2のトライア
ックに接続される。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明の回路にはまた、電圧ラインの電流を計測するために接
続された少なくとも1つのホール効果センサーもふくまれ、このホール効果センサーは、
マイクロプロセッサと通信する。加えて、ホール効果センサーからの電流値が所定の電流
閾値を超えた場合、マイクロプロセッサは、少なくとも1つのトライアックドライバーを
停止させるよう構成することができる。
【0012】
好ましい保護回路にはまた、マイクロプロセッサと接続され、そして、第1のトライア
ック及び第2のトライアック、及び/又は、第1の加熱素子及び第2の加熱素子の近傍に
それぞれ配置された第1の熱電対及び第2の熱電対に接続され、マイクロプロセッサと通
信を行う、ウォッチドッグ・モニタが含まれる。マイクロプロセッサはさらに、ホール効
果センサーから電流値を受け取り、この電流値を予期した電流と比較するよう構成される
。1以上のコントロールノブが設けられる。
【0013】
本発明はまた、トライアック及びラッチリレーを通して電圧ライン及びニュートラルラ
インに接続された少なくとも1つの電気加熱素子に電流を供給するステップと、変流器を
用いて、電圧ラインとニュートラルラインとの間の電流の差を計測するステップと、電流
の差を示す電気信号を発生させ、ラッチリレーに接続されたトリップコントローラを動作
させる形で、電流の差に応答するステップとを有する、電気回路を保護するための方法も
提供する。
【0014】
好ましい方法にはまた、トライアックを通る電流を計測するためにホール効果センサー
を用いるステップと、トライアックを通りマイクロプロセッサへ流れる電流を示す信号を
送るステップと、トライアックを通る電流を所定の電流閾値と比較するためにマイクロプ
ロセッサを用いるステップとを含めることができる。好ましい方法にはまた、トライアッ
クを通る電流が所定の電流閾値を越えたことに応答して、1以上の電気加熱素子へ電流が
流れないようにするステップを含めることができる。
【0015】
さらにまた、この方法には、ユーザ入力、及び/又は、マイクロプロセッサからウォッ
チドッグ・モニタへ通常動作を示す信号を送るステップを通じて受け取った動作モードに
応答して所定の電流閾値を選択するステップと、通常動作を示す信号に応答して、ウォッ
チドッグ・モニタからトライアックへ、イネーブル信号を送るステップとを含めることが
できる。
【0016】
本発明はまた、少なくとも2つのユーザ入力及びディスプレイを有するハウジングと、
電圧ライン及びニュートラルラインに接続された電気コードと、それぞれ第1のトライア
ック及び第2のトライアックに接続されさらに電圧ライン及びニュートラルラインに接続
された少なくとも2つの加熱素子と、第1のトライアックドライバー及び第2のトライア
ックドライバーと接続されたマイクロプロセッサであって、前記第1のトライアックドラ
イバー及び第2のトライアックドライバーはそれぞれ第1のトライアック及び第2のトラ
イアックと通信を行うことを特徴とするマイクロプロセッサと、トライアックを通る電流
を計測するために接続されたホール効果センサーであって、前記ホール効果センサーはマ
イクロプロセッサと通信を行うことを特徴とするホール効果センサーと、を有する電気グ
リルを提供する。
【0017】
加えて、電圧ラインとニュートラルラインとの間の電流の差を計測するよう構成された
変流器であって、前記変流器は漏電検出ユニットと通信を行うことを特徴とする変流器と
、漏電検出ユニットと通信を行い、さらに、第1のトライアック及び第2のトライアック
と電圧ラインとの間に接続された少なくとも1つのラッチと通信を行うトリップコントロ
ーラと、についても提供することができる。
【0018】
本発明さらに別の実施の形態では、1以上のユーザ入力を有するハウジングと、電圧ラ
イン及びニュートラルラインに接続された電気コードと、トライアックに接続されさらに
電圧ライン及びニュートラルラインに接続された少なくとも1つの加熱素子と、加熱素子
と電圧ラインとの間に接続された少なくとも1つのラッチリレーであって、前記ラッチリ
レーはトリップコントローラと通信を行うことを特徴とするラッチリレーと、トリップコ
ントローラと通信を行い、電圧ラインとニュートラルラインとの間の電流の不均衡に応答
してトリップコントローラを動作させるよう構成された漏電検出ユニットと、トライアッ
クドライバーに接続されたマイクロプロセッサであって、前記トライアックドライバーは
前記トライアックと通信を行うことを特徴とするマイクロプロセッサと、トライアックを
通る電流を計測するよう構成された電流センサーであって、前記電流センサーはマイクロ
プロセッサと通信を行うことを特徴とする電流センサーとを含む、電気グリルが提供され
る。マイクロプロセッサは、電流センサーから電流値を受け取りこの電流値を予期した電
流と比較し、電流値と予期した電流との差に応じてトライアックを停止させるよう構成す
ることができる。
【0019】
したがって、電気グリルにおいて、短絡、過電流、ドライバー故障、マイクロプロセッ
サ故障、及び/又は、他の予期せぬ電流状態又は好ましくない電流状態、を検出し、防止
するために用いられる保護回路を提供することが本発明の1つの目的である。
【0020】
本発明のもう1つの目的は、電気的に危険な状態を生じさせずに長時間、屋外環境に電
気グリルを置くことができるようにし、及び/又は、そのグリルの部品を保護する保護回
路を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、屋外又は過酷な環境で安全に用いることのできる電気グリルを提
供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、電流の漏れを検出しそれに応答して電流の流れを停止する保
護回路を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、漏電を検出しそれに応答して電流の流れを停止する保護回路
を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、電流の不均衡を検出しそれに応答して電流の流れを停止する
保護回路を提供することである。
【0025】
本発明のさらにもう1つの目的は、過電流を検出しそれに応答して電流の流れを停止す
る保護回路を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、予期した電流とは異なる電流を検出しそれに応答して電流
の流れを停止する保護回路を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、マイクロプロセッサを有し、マイクロプロセッサの動作が異
常な状態になったことを検出することができる保護回路を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、安全ではない動作状態又は故障の危険性を検出したとき、電
気グリルを流れる電流を停止することである。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、迷惑な、安全でない、及び/又は、予期しない電流状態に
対して保護するために、屋内及び/又は屋外で使用する電気グリルその他の器具に用いる
ことのできる保護回路を提供することである。
(用語の説明)
本特許の請求の範囲で用いられる用語は、法律上の要求を満たす最も広い意味を持たせ
ることを意図する。他の意味が可能である場合、最も広い意味を採用する。請求の範囲で
用いられるすべての言葉は、文法的及び英文として慣用される通常の意味として用いられ
る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
記載した及び記載されていない、本発明の特徴、目的、及び利点(しばしば単数で使わ
れるが、複数を除外するものではない)は、以下の説明および図面により明確になり、こ
こで、類似の参照番号は、種々の図面において類似の構成要素を表す。
【
図1A】本発明の例示的な電気グリルの正面図である。
【
図1B】典型的な調理面を通して内部の構成要素を示す本発明の代表的な電気グリルの概略平面図である。
【
図2】本発明の保護回路の好ましい実施の形態の概要図である。
【
図3】本発明の1以上のトライアックにより駆動される1以上の加熱素子を示す例示的な概要図である。
【
図4】本発明のトリップ制御信号を発生させるのに用いられる変流器を示す例示的な概要図である。
【
図5】本発明の、マイクロプロセッサ及びマイクロプロセッサに接続することのできる例示的な入出力を示す図である。
【
図6】本発明の、予期しない電流又は過電流を検出するマイクロプロセッサを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
請求項に係る発明について現時点で好ましい実施の形態又は最良の実施例と考えられる
ものについて以下に説明する。将来及び現時点でこの実施の形態及び好ましい実施の形態
を代表するもの又はこれらを改良するものについて考慮される。機能、目的、構成、効果
について実体のない変更を加えた、どのような修正も改良も本特許請求項の技術的範囲内
である。本発明は、ウェーバー・スティーブン プロダクツ エルエルシーによる、同日
に出願された、表題「ディジタル電源装置」の同時継続特許出願に詳述され、出願内容の
すべてを参照することにより本出願に組み込まれた、電源装置を有する電気グリルで及び
/又はこの電気グリルの部品として使うことができる。
【0032】
過酷な環境又は屋外環境で電気回路素子103、104を使用するためには、電気グリ
ル510において潜在的故障又は部品の誤用により危険な電流状態を保護する保護回路構
成100が必要となる。周囲環境(日光、雨、風、洗浄剤、食料品、その他を含む)によ
り、電気部品が劣化し、短絡、漏電、その他の危険な状態をもたらすことがある。いくつ
かの例では、部品は部分的に劣化することがある。他の例では、加熱素子103、104
のような、劣化した部品は、清掃又は再設置することにより正常に戻ることがある。両方
の場合において、ユーザを保護するために電流の流れを制限する必要がある。
【0033】
保護回路構成100により、漏電、過電流、ドライバー故障、およびマイクロプロセッ
サ113の故障を含むがこれらに限定されない、種々の故障の可能性を防止することがで
きる。例えば、漏電(又は不平衡電流)は、電気グリル510のような器具に流れる電流
が器具から壁コンセントに戻る電流と合致していないとき生じる。しばしば、このことは
電流の漏れを示している。漏れ電流は、特に電流が電気グリルのハウジング506にまで
達している場合、ユーザに危険を生じさせる。この場合、ユーザが感電することがある。
他の故障の可能性として、部品の劣化により電気グリル510に、いわゆる「過電流」を
もたらす、危険な電流負荷が加わることがある。これは部品の損傷を引き起こし最終的に
は漏れ電流をもたらす。さらに他の故障として、加熱素子103、104は必ずしも危険
ではないが、加熱素子の動作形態を満足しない電流負荷を受けることがある。この不具合
はドライバー故障を示唆しており、その後、安全でない状態がもたらされることになる。
さらなる故障の可能性として、マイクロプロセッサ113の故障がある。マイクロプロセ
ッサ113は、加熱素子に流す電流を制御するので、故障すると予期せぬ電流負荷が加わ
る恐れがある。本発明の特徴は、1つ以上のこのような故障の可能性(上述した場合を含
む)が認められたとき電流が流れないように仕組まれている。
【0034】
図1~
図6は、電気グリル510及び好ましい保護回路構成100の好ましい実施の形
態を示す。例として、
図1A及び
図1Bは、代表的な電気グリルとその主たる部品とを示
す。
図1Aは、ディスプレイ503のみならず左右のコントロールノブ501及び502
を取り付けることのできる、ハウジング及び蓋506を含む、電気グリル510の好まし
い外観を示す。電気グリル510には、壁のACコンセントに接続するための電源コード
507が含まれる。左右のコントロールノブ501及び502、及び、ディスプレイ50
3は、本明細書に詳述するマイクロコントローラ113につながる。以下に説明するよう
な使用をおこなうリセットボタン511も取り付けられる。
【0035】
図1Bに示すように、左右のコントロールノブ501及び502は、それぞれ第1及び
第2の加熱素子103及び104と関連付けられていて、それにより2つの調理領域を形
成する。代表的な火格子又は調理面512もまた
図1Bに示されている。各加熱素子10
3、104は、ノブ501、502その他のコントローラ、又は、加熱素子103、10
4に関するユーザ入力により別々に制御される。左ノブ501及び右ノブ502は、グリ
ルハウジング506の外側に配置することができる。ノブ501及び502、又は、当業
者に知られた他の入力器具は、マイクロプロセッサ113に接続し、1以上の加熱素子1
03、104の動作形態を設定することができる。
図1A及び
図1Bには、加熱素子10
3、104を制御する2つのノブ501、502を示しているが、保護回路構成100は
、当業者に知られているような、どのようなユーザ入力器具と加熱素子との組み合わせで
も用いることが可能であることは了解されよう。
【0036】
ノブ501及び502、又は他の入力器具を用いて、ユーザは通常加熱素子103及び
104のうちの1つ又は両方の動作形態を選択する。動作形態には望みの温度を設定する
ことが含まれる。本明細書に詳述するマイクロプロセッサ113は、望みの設定温度にす
るために、加熱素子103及び104に流す電流を制御する。マイクロプロセッサ113
は、加熱素子103及び104のそれぞれの近傍に配置された熱電対121及び122か
らの電流又は実時間での温度値を受け取るフィードバックループを用いて各加熱素子10
3及び104を所望の温度にすることができる。当業者であれば種々の形式及び数量のノ
ブ、タッチパッド、加熱素子、温度センサー、及び/又は、ディスプレイを使用すること
ができることが分かるであろう。
【0037】
電気グリル510には、ディスプレイ503、及び/又は、その他のユーザインターフ
ェースが含まれることが望ましい。ディスプレイ503は、マイクロプロセッサ113に
接続することができ、1以上の加熱素子103、104の電流値又は動作に関する情報を
表示する。例えば、ディスプレイ503は、ノブ501及び/又は502を介してユーザ
が選択した所望の温度のみならず、(熱電対121及び122で計測したときの)加熱素
子103及び104の現在の温度を表示することができる。
【0038】
保護回路構成100の好ましい実施の形態を
図2に示す。ここで、点線はコントロール
/データラインであり、実線は電力ラインを表す。一般に、限定を意図するものではない
が、
図2は、ハードウェア構成要素、及び、種々の故障状態を検出し、電気グリル510
への電流の流れを停止させることで応答することのできる、特別な構成のマイクロプロセ
ッサを示す。保護回路構成100には、器具に流れ込む電流と器具から戻る電流との間の
潜在的な差がもしあれば計測するための変流器105が含まれる。漏電検出ユニット11
7は、もしあればこの差を評価し、電流の流れを停止するためにラッチリレー106及び
/又は107に回路を開放させるトリップコントローラ118を動作させる。さらに、マ
イクロプロセッサ113は、ホール効果センサー119から電流値を受け取り、この電流
値を種々の形態の危険な状態を検出するために用いることができる。危険な状態が検出さ
れた場合、マイクロプロセッサ113は、トリップコントローラ118を動作させ、加熱
素子103及び/又は104に電流が流れないようにするために回路を開放し、又はトラ
イアックドライバー111及び/又は112を停止することができる。マイクロプロセッ
サ113との通信を行い、マイクロプロセッサ113が正常に動作していない場合にトラ
イアック108及び/又は109を停止させるために、随意的にウォッチドッグ・モニタ
を取り付けてもよい。
【0039】
ライン101とニュートラル102とで、典型的な壁コンセントから交流電流(AC)
を引き入れることができる。典型的な取り付け具を用いて、ライン101及びニュートラ
ル102をAC壁コンセントに差し込むために従来の電源コード507を用いることがで
きる。ライン101及びニュートラル102はまた、ディスプレイ及び/又はマイクロプ
ロセッサを含む種々の部品に必要とされる基本的な電力を供給する、1以上のAC/DC
電力変換器114にも接続される。電力変換器114は、交流電流を3.3ボルトDC、
5ボルトDC、及び15ボルトDCのラインを有する直流電流に変換する。これらのDC
のラインは、1以上のディスプレイ、マイクロプロセッサ、等のような、電気グリルの種
々の部品に電力供給するために用いることができる。当業者であれば、AC/DC電力変
換器114は、電気グリルの部品に必要なあらゆるレベルのDC電圧を供給するために用
いることができることを認識するであろう。
【0040】
ライン101及びニュートラル102はさらに、ライン101から加熱素子103及び
/又は104に流れ込む電流とニュートラル102に戻ってゆく電流との間の差を、もし
あれば、計測する変流器105に接続される。電流の潜在的な差は、もしあれば、その差
を評価して電流が漏れているかどうかを判断する、漏電検出ユニット11に信号として送
られる。言い換えれば、回路の故障(一時的であろうと恒久的であろうと)があると、部
品からの電流の漏れが生じ、ニュートラル102を通って戻ってゆく電流がライン101
から流れ込む電流より小さくなる。漏電検出ユニット117は、電流の消失があることを
検出する。電流の消失は、ユーザが接触したとき、感電させ、又は部品を破損させるので
、危険な動作状態を示している。
【0041】
このような状態において、感電、感電死、あるいは、部品の損傷、の恐れを回避するた
めに、電流の流れを停止させることが好ましい応答である。電流の流れを停止させるため
に、漏電検出ユニット117は、次に電気機械的ラッチ106及び107を開放させるト
リップコントローラ118を動作させる。
図2に示すように、ラッチ106及び107は
加熱素子103及び104と直列に配置され、したがって、ラッチがトリップすることで
回路が開放され、当然、電流の流れが停止する。ラッチリレー106及び107は、回路
を開放するための電気機械的スイッチとすることができ、制御ラインを介してトリップコ
ントローラ118に接続することができる。トリップしたとき、ラッチリレー106及び
107は、ユーザが機械的スイッチを入れるまで、開放されたままになる。1つの例とし
て、ハウジング506上のリセットボタン511又は他の機械的スイッチは、ラッチリレ
ー106及び107に呼応して、トリップした後、リセットして閉止位置にすることがで
きる。
【0042】
ラッチリレー106及び107と相互に作用する漏電検出ユニット117の例示的な実
施の形態が
図4によく示されている。限定を意図するものではないが例として、漏電検出
ユニット117は、フェアチャイルドセミコンダクターにより製造された、製造番号FA
N4146ESXのような漏電遮断器とすることができる。変流器105は、漏電検出ユ
ニット117により読み取られる電流の差を計測するために設置される。漏電検出ユニッ
ト117は、電流の差が安全閾値を超えた場合トリップ制御信号401を発生させ、この
場合、トリップ制御信号401はラッチリレー106及び107にフィードバックされ回
路を開放し電流の流れを停止させる。電流漏れがある器具をユーザが入れようとすると、
ラッチリレー106及び107が回路を開放するので、ユーザを感電させる危険性、さら
には機器の損傷を最小限にする。当業者は、電流差にいくらかの許容値が許されることを
認識するであろう。
【0043】
再度
図2を参照して、漏電検出ユニット117は、ライン101及びニュートラル10
2からの電圧より低い電圧で動作するので、降圧変圧器115が取り付けられる。ライン
101及びニュートラル102は降圧変圧器115に接続され、そこから全波整流器11
6を通って低圧の二次電圧が漏電検出ユニット117にそしてトリップコントローラ11
8に供給される。降圧変圧器115は、漏電検出ユニット117及びトリップコントロー
ラ118をライン101及びニュートラル102の高電圧から分離するという利点を有す
る。それどころか、低い二次電圧で動作する。当業者であれば、降圧変圧器は、低い電圧
で動作する部品を分離するために用いられることを認識するであろう。降圧変圧器115
は、マイクロプロセッサ113から漏電検出ユニット117を分離する付加的な利点があ
り、これにより、漏電/不平衡電流により故障した場合の保護が付加される。マイクロプ
ロセッサ113の故障により、漏電検出ユニット117による漏電/不平衡電流の検出が
妨げられることはない。同様に、漏電検出ユニット117の故障により、マイクロプロセ
ッサ113による電流状態の監視を続行が妨げることはない。
【0044】
通常の動作において、マイクロプロセッサ113は、加熱素子103及び104への電
流を制御することで、熱及び温度設定を制御する。マイクロプロセッサ113はまた、異
常な動作状態、すなわち、感電死、電撃、又は部品の損傷が生じる危険性が増す状態、を
検出し応答するよう構成することができる。通常動作状態でのマイクロプロセッサ113
の機能を説明し、次に、マイクロプロセッサ113が故障状態を検出し応答することがで
きるようにする具体的な構成を説明する。
【0045】
通常の動作状態において、マイクロプロセッサ113は、ライン101及びニュートラ
ル102から加熱素子103及び104への電流(従って、熱及び温度)を制御する。電
気は、変流器105、さらにラッチリレー106及び107及びトライアック108及び
109を直列に通って接続されたライン101及びニュートラル102を通って流れる。
当然のことながら、トライアックは3つの極をもつ素子、すなわち、交流を導通させるト
ライオードである。トライアックは、半導体の双方向スイッチの一種である。本明細書に
開示した保護回路100は、加熱素子103及び104への電流を制御するためのトライ
アックの使用について説明するが、他の半導体双方向スイッチを本発明と整合のとれたト
ライアックの代わりに用いることができるものと理解される。加熱素子103及び104
は、電流をより多く流すことで温度を上昇させる抵抗加熱器とすることができる。当業者
には理解されるであろうが、他の形式の加熱素子103及び104を用いることもできる
。
【0046】
トライアックドライバー111及び112は、加熱素子103及び104に電流を流し
たり止めたりするために、トライアック108及び109を「開」「閉」することでトラ
イアック108及び109の制御をおこなう。当業者は、トライアックドライバーは、(
マイクロプロセッサのような)低電圧DC電源で高電圧トライアックをコントロールする
ために用いられることを理解するであろう(
図2)。さらに、トライアックドライバー1
11、112は、トライアック中の高電流又は高電圧から器具を分離するために用いられ
る。トライアックドライバー111及び112は、マイクロプロセッサ113とトライア
ック108及び109との間のインターフェースとなると同時に、マイクロプロセッサ1
13を、トライアック108及び109中の電圧及び電流から分離しておく。
【0047】
通常の動作においてユーザが所望する温度を達成するために、マイクロプロセッサ11
3は、トライアックドライバー111、112を介してトライアック108及び109を
作動させる(又は停止させる)ことにより、加熱素子103及び104に流す電流を制御
する。言い換えれば、マイクロプロセッサ113は、トライアックドライバー111及び
112を制御することで、加熱素子103及び104に流す電流、したがって、加熱素子
103及び104を制御する。トライアック108及び/又は109を停止させることで
、回路を開放しトライアックに電流が流れないようにする。
【0048】
所望の温度された時を認識するために、マイクロプロセッサ113は、各加熱素子10
3及び104の近傍に設置された1以上の熱電対121及び122の温度フィードバック
を受け取ることができる。
図1Bは、各加熱素子103及び104に隣接する熱電対12
1及び122の代表例を示す。温度フィードバックは、マイクロプロセッサ113によっ
て用いられ、ノブ501及び/又は502によって選択された所望の温度になるまで加熱
素子103、104に流れる電流を調整する。結果として、ユーザは、加熱素子103及
び104への所望の動作形態を(独立に)選択することができ、マイクロプロセッサ11
3は、所望の温度設定に到達するまで流す電流を制御する。
【0049】
図5は、所望の温度に到達するまで加熱素子103及び/又は104に流れる電流を調
整するために、熱電対121及び/又は122からのフィードバックを用いることのでき
るマイクロプロセッサへの例示的な入出力を示す。所望の温度は、ノブ501又は502
のような、電気的にマイクロプロセッサ113と通信を行うことができるユーザインター
フェースを介してユーザにより選択することができる。当業者には、マイクロプロセッサ
113は、本明細書に記載した他の設定値のみならず、計算及び比較を実行するためのソ
フトウェアインストラクションを有する、内部又は外部のメモリ508を含み、内部又は
外部のメモリと通信することができることを理解できよう。
【0050】
任意的な入力例として、マイクロプロセッサ113は、ゼロ交差検出ユニット110(
図2)からの制御信号を受け取ることができる。ゼロ交差検出ユニット110は、交流電
流が、降圧変圧器115を介して計測したとき、ゼロと交差するたびに制御信号を送る。
この信号を用いて、マイクロプロセッサ113は、交流電流の現在の波形の状態を識別す
ることができる。ゼロ交差を追跡することにより、マイクロプロセッサ113は、生じる
高調波を減らしつつ、トライアック108及び109をターンオン及びターンオフさせる
ことが出来る。
【0051】
マイクロプロセッサ113は、通常の運転時に生じる危険な状態を特定するよう構成す
ることができる。漏電検出ユニット117は漏れ電流を検出するが、マイクロプロセッサ
113が具体的に検出し応答するよう構成すべき他の危険状態が存在する。
図2に示すよ
うに、マイクロプロセッサ113は、トリップコントローラ118及びトライアックドラ
イバー111及び112と通信しているので、マイクロプロセッサ113には、電流の流
れを停止させる2つの異なる方法、すなわち、危険状態を検出した場合、ラッチ106又
は107をトリップさせる方法、又はトライアック108及び/又は109を停止させる
方法が与えられる。例えば、
図3は、加熱素子103及び104がトライアック108、
109及びラッチ106、107と直列であることを示している。実際に、ラッチ106
、107のうちの1つ、又はトライアック108、109の両方を開放すると、すべての
電流の流れを停止させることになる。
【0052】
1つの例として、マイクロプロセッサ113は、「過電流」の可能性に応答するよう構
成することができる。過電流状態は、電流の漏れの前兆にもなり、部品を故障させるリス
ク、及び/又は、電子回路に損傷を与えるリスクを増大させることにつながるので、危険
である。過電流の可能性は、処理するうえで安全とされる量よりも大きな電流が回路に流
れたときに生じる。過酷な環境が原因で、加熱素子のようないくつかの部品の抵抗値が変
化し、結果的により多くの電流が流れる場合に過電流が生じることがある。しかし、過電
流の可能性は、必ずしも電流の不釣り合いと関連するわけではない。したがって、漏電検
出ユニット117は過電流を検出しないこともあり、マイクロプロセッサ113がそれを
認識するよう構成することが好ましい可能性がある。このため、ホール効果センサー11
9は、トライアック108及び109を流れる電流を示す電流値をマイクロプロセッサ1
13に送る。ホール効果センサー119は、1以上のトライアックを通して加熱素子10
3及び104に流れる電流を計測する。ここに記載した保護回路構成では、電流計測する
ために用いられるホール効果センサー119が開示されているが、当業者であれば、ホー
ル効果センサー119に変えて使用することができる適切な電流センサーを思いつくこと
ができるであろう。ホール効果センサー119は、ヒーター103、104を通って流れ
る電流量をマイクロプロセッサ113に送るために、制御ラインを介してマイクロプロセ
ッサ113に接続される。
【0053】
ホール効果センサー119は、加熱素子103及び104に流した電流を計測し、コン
トロール/データラインを介して電流計測値をマイクロプロセッサ113に送る。ホール
効果センサー119は、電圧ライン101を流れる電流を計測するよう、又は、個々の加
熱素子103及び104に流れる2つの電流の両方を計測するよう構成することができる
。どちらの構成においても、電流値は、マイクロプロセッサ113に送信することができ
る。
図2及び
図5は、マイクロプロセッサ113とホール効果センサー119との間の接
続を示す。
図6は、過電流状態を検出したときトリップ制御信号を送るマイクロプロセッ
サ113を示す。
図2において、ホール効果センサー119は、トライアック108及び
109に流れる電源ライン中の電流を統合して計測するよう示されている。当業者であれ
ば、1つのホール効果センサーを各トライアックのノードに接続し、統合した電流値では
なく個々のトライアックに流れる電流を計測する代替的な構成が可能であることが分かる
であろう。
【0054】
過電流状態を認知するために、マイクロプロセッサ113はホール効果センサー119
からの電流値と、回路が安全に動作する所定の閾値電流レベルとを比較する。所定の閾値
とは、過電流状態の閾値である。所定の閾値電流レベルは、加熱素子103、104が動
作する最大電流、又は回路中の他の部品が動作する最大電流を含む、多くの事項を考慮し
て選ぶことができる。マイクロプロセッサ113は、ホール効果センサー119ディジタ
ル計測した電流と所定の閾値電流レベルとを比較する。電流が閾値を超えた場合、過電流
の恐れが存在し、電流の流れを停止すべきである。電流の流れを停止するために、マイク
ロプロセッサ113は、コントロール/データラインを介して接続されたトリップコント
ローラ118にトリップ制御信号505を送る。トリップコントローラ118は、ラッチ
リレー106及び107をトリップさせることにより応答し、加熱素子に関する回路を開
放することで、電流の流れを停止する。ホール効果センサー119からマイクロプロセッ
サ113への例示的な入力、及び、マイクロプロセッサ113からのトリップ制御信号5
05が
図5に示される。
【0055】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサ113は付加的に、加熱素子103及び
104に流れる電流が安全領域内ではあるが、加熱素子について選択した動作形態で流れ
るべき電流とは異なることを認識するような構成とすることができる。例えば、加熱素子
が「低」温度に設定されているが、「高」温度に相当する電流が流れているとき、潜在的
な危険状態が生じる。ユーザが加熱素子103及び/又は104を高温度に設定したが、
低い電流しか流れなかった場合、部品が損傷している恐れがある。そのような場合が生じ
る原因として可能性があるのは、過酷な又は厳しい環境によりホール効果センサー119
が腐食しているか、又は、トライアック108、109又はトライアックドライバー11
1、112の故障が含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
マイクロプロセッサ113は、所望の温度に達するまで加熱素子103及び/又は10
4に電流を流すために熱電対121及び122からのフィードバックループを使うことが
できる。この所望の温度は安定的に保持される。当業者であれば、加熱素子103又は1
04の温度を上げるために、温度を保持するための電流より多くの電流を流すことを理解
するであろう。例として、ユーザが電気グリル510を動作させ、「高」温度を選択した
場合、マイクロプロセッサ113は、対応する加熱素子103及び/又は104が「高」
温度になるまで高電流を流さなくてはならない。所望の「高」温度に達したことをマイク
ロプロセッサ113が(例えば、熱電対121及び122からのフィードバックにより)
認識すると、温度を安定的に保持するためにマイクロプロセッサ113は、流す電流を減
少させることができる。
【0057】
加熱素子をどのように動作させるかについての例として、「高」「中」「低」のような
離散的モード、又は例えば%又は温度値により計測した連続的領域によるものが含まれる
。高電流は加熱素子を高温度にするので、当業者であれば、加熱素子103及び104の
温度を上げることは、温度を安定的に保持するより多くの電流を流すことを理解するであ
ろう。
【0058】
予期せぬ電流状態を識別するために、マイクロプロセッサ113はホール効果センサー
119からの電流値を予期した電流と比較するよう構成されている。(マイクロプロセッ
サ113が温度を上げようとしているのか安定的に保持しようとしているのかに従う)任
意のモードにおいて、マイクロプロセッサ113が加熱素子に送るようになっている電流
は、通常の動作状態でホール効果センサー119からの測定値と合致することが予期され
るので「予期した電流」である。言い換えると、通常の動作状態で、ホール効果センサー
119からの電流は予期した電流と合致すると考えられる。ホール効果センサー119か
らの電流値が予期した電流と合致しない場合、おそらくドライバー故障が起こったのであ
ろう。
【0059】
予期した電流値は内部メモリまたは外部メモリ508を通してマイクロプロセッサ11
3が利用しやすくすることができる。このようにして、マイクロプロセッサ113は、所
定の任意の動作形態(又は動作形態の組み合わせ)において、正常に機能している加熱素
子により、全電流量を認識するようプログラムされる。
【0060】
故障状態が生じた場合、マイクロプロセッサ113は、トライアックドライバー111
及び112を停止することでそれに応答し、それにより、それぞれのトライアックを開放
し、加熱素子103及び/又は104を通る電流を遮断する。1つの実施の形態では、マ
イクロプロセッサ113は、任意的に、所定の時間が経過した後、電流が再度流れること
を可能にし、流れる電流の監視を続けるようプログラムすることができる。電流が再度流
れるようにすることは、故障の原因が一時的なものである可能性があるので、好ましいこ
とがある。限定を意図しない例であるが、急速に安定状態になる一時的な故障状態として
、電気グリル510が最近入り切りした場合、又は、電力供給網で一時的な不安定状態が
生じた場合がある。
【0061】
図6は、マイクロプロセッサ113が電気グリル510の動作形態に基づき予期した電
流を決定し、予期した電流をホール効果センサー119から受け取った実際の電流値と比
較するフローチャートである。合致しないことが検出された場合、トライアックドライバ
ー111及び112を停止する。しかし、
図6はまた、マイクロプロセッサ113がホー
ル効果センサー119からの電流値を過電流閾値と比較し、過電流状態に応答してトリッ
プ制御信号505を送ることも示す。当業者であれば、これらのステップ及び比較は、ど
のような順序で行うこともでき、多くの異なる実施の形態があることがわかるであろう。
マイクロプロセッサ113は、回数を基準にして又は時間間隔を基準にしてこれらの動作
を繰り返すことができる。
【0062】
さらに別の故障例において、保護回路100は、マイクロプロセッサ113の故障を防
止する。マイクロプロセッサ113は、加熱素子103及び104に流す電流を制御する
ので、マイクロプロセッサ113の故障により、電流が安全でないレベルになっているこ
とを含む予期せぬ結果が生じることがある。マイクロプロセッサ113の故障を防止する
ために、回路100には、
図2に示すように、マイクロプロセッサ113とトライアック
108及び109との間に接続されたウォッチドッグ・モニタ120を含めることができ
る。
【0063】
この状態で、マイクロプロセッサ113は、ウォッチドッグ・モニタ信号504をウォ
ッチドッグ・モニタ120に送り、マイクロプロセッサ113は正常に動作していること
を確認する。ウォッチドッグ・モニタ120は、マイクロプロセッサ113が正常に動作
していることを確認するマイクロプロセッサ113からの信号を探すよう構成されている
。ウォッチドッグ・モニタ120はトライアック108及び109にも接続されている。
マイクロプロセッサ113からの正常に動作していることを確認する信号がない場合、ウ
ォッチドッグ・モニタ120はトライアック108及び109を停止させ、電流が流れな
いようにする。マイクロプロセッサ113がその後正常な動作に復帰した場合、ウォッチ
ドッグ・モニタ120は電流の流れを再開することを可能とすることができる。ウォッチ
ドッグ・モニタ120のこの構成により、故障又はリセットした後の正常な動作への復帰
の可能性が容認される。ことのことは、マイクロプロセッサ113がブート中またはリブ
ート中であっても動作を継続することができるので、好都合である。言い換えれば、マイ
クロプロセッサ113が、(意図的に、又は意図せずに)リブート処理中である場合、ウ
ォッチドッグ・モニタ120は、マイクロプロセッサ113が正常動作中ではなく電流が
流れていないと判断することができる。しかし、正常動作が一旦再開されると、マイクロ
プロセッサ113は、ブートシーケンスを完成させ、ウォッチドッグ・モニタ120への
信号送信を再開する。
【0064】
本発明はまた、グリルを使っているときに安全でない電気的な状態が生じる危険性を減
らす方法も提供する。好ましい実施の形態では、トライアック108及び109、及びラ
ッチリレー106及び107を通じて電圧ライン101及びニュートラルライン102に
接続することのできる1以上の電気加熱素子103及び/又は104に電流を流して、電
気グリル510を使用することができる。加熱素子103又は104をユーザが動作させ
たとき、電気グリル510へ流れ込む電流と電気グリル510から戻ってくる電流との差
がもしあれば、電気グリル510の保護回路構成100中の変流器105が計測する。電
流の差が検出された場合、本発明の方法により、ラッチリレー106及び/又は107に
接続されたトリップコントローラ118を作動させるための電気信号が生じる。
【0065】
本発明の方法には、加熱素子103又は104に流れる電流をホール効果センサー11
9により計測し、計測した電流をマイクロプロセッサ113へ伝達するために、電気グリ
ル510の保護回路構成100を用いるステップを付加的に含めることができる。電気グ
リル510及び保護回路構成100を動作させることで、マイクロプロセッサ113は計
測した電流を所定の電流閾値と比較する。所定の電流閾値は、ユーザにより選択される現
在の動作形態に基づき機動的に選択することができる。電気グリル510の使用中に計測
した電流が所定の閾値を超えた場合、本発明には、ラッチリレー106及び/又は107
をトリップさせることで、又は、トライアック10及び/又は109を停止させることで
電流の流れを止めるステップを含めることができる。
【0066】
付加的な実施の形態では、マイクロプロセッサ113からウォッチドッグ・モニタ12
0へ、正常運転を示す信号が送られる。一方、ウォッチドッグ・モニタ120は、正常運
転中、トライアック108及び/又は109に加熱素子103及び/又は104へ電気を
流すことを可能にし、正常でない運転状態では電気の流れを停止する。
【0067】
上述の器具及び方法は、より安全な電気グリルを体験してもらうために用いることがで
きる。種々の実施の形態で、加熱素子103及び/又は104からの熱を用いて食品をグ
リルで焼くために、ユーザはノブ501及び/又は502(又はその他の入力手段)を動
作させることができ、その後、マイクロプロセッサ113により制御される。ディスプレ
イ503では、とりわけ、現在の温度ユーザに伝え、ユーザが火格子に食品を置くべき時
、及び食品を調理する時間を決めることができるようにする。ユーザは長時間過酷な状態
に曝されていて、漏れ電流のある電子部品を有する電気グリル510を用いることがある
。本発明の実施の形態では、電流の漏れを検出し、トリップラッチリレー106及び10
7により応答する、漏電検出ユニット117及びトリップコントローラ118と一緒に機
能する変流器105を提供する。グリルが停止しても、ユーザは漏れ電流からの安全が確
保される。ユーザは、例えば、加熱素子103、104を取り外して再度取り付け、リセ
ットボタン511又は同様のスイッチを押すことで応じることができる。電流の漏れが解
決すれば、通常動作を続けることができる。
【0068】
通常の調理中、加熱素子103、104又は他の部品が意図的でなくゆるんでいたり、
熱や他の周囲条件により損傷したりすることがある。起こりうる結果として、電気グリル
510に安全でない電流が流れ、これは、ホール効果センサー119からの信号を介して
マイクロプロセッサ113により検出される。マイクロプロセッサ113は、トリップコ
ントローラ119を動作させることで応答し、これによりラッチ106及び107を開放
する。上述の通り、その結果電流が停止し、ユーザは、リセットボタン511により電気
グリル510の再起動を試みることができる。
【0069】
同様に、安全でない状態では、ノブ501及び/又は502でのユーザの設定に基づく
予期値とは異なる電流量をヒーター103及び/又は104に流す可能性がある。それに
応じて、本発明の実施の形態では、電流の流れを停止するためにトライアック108/1
09を(ドライバーを介して)停止することのできるマイクロプロセッサ113が提供さ
れる。ユーザにはディスプレイ503を介して注意を喚起することができるが、ラッチ1
06及び107はこの場合トリップせず、したがって、ユーザはボタン511をリセット
しなくてよい。
【0070】
さらに、本発明の実施の形態には、ユーザが電気グリル510を使用している間、マイ
クロプロセッサ113が正しく動作していることを監視するために設置することのできる
ウォッチドッグ・モニタ120を含めることができる。ウォッチドッグ・モニタ120は
、マイクロプロセッサ113が異常な動作状態になった場合、リブートの可能性がある場
合も含めて、トライアック108/109を停止させることができる。ユーザは、ボタン
511をリセットしなくてよく、マイクロプロセッサ113正常運転に復帰してグリルの
使用を再開するのを待つことができる。
【0071】
ハードウェア及び特別に構成されたマイクロプロセッサを安全なグリルの使用を確保す
るためにユーザに提供することができる。当業者であれば、上述の実施の形態を様々に組
み合わせた電気グリルが可能であり、必ずしもすべての特徴が各実施の形態に含まれる必
要がないことが分かるであろう。さらに、本発明は、特に屋外で用いるグリルに利用でき
るようになっているが、当業者であれば、本発明は、屋内又は屋外で使用する様々なグリ
ル又は他の器具に使うことができることを理解するであろう。
【0072】
上記説明は、用いた単語の意味、又は、本発明を定める請求項の技術的範囲を限定する
ことを意図するものではない。この明細書及び説明図は、種々の実施の形態を理解しても
らう目的で提示したものである。将来実質的に変更するものではない構成、機能、又は効
果についての改良、及び、このような実質的でない権利範囲の変更は、特許請求の範囲に
含まれると考えられる。従って、本発明の好ましい実施の形態について図解し説明したが
、当業者であれば、請求の範囲に記載された発明から逸脱することなく、多くの変更及び
修正を行うことができることを理解するであろう。加えて、「請求の範囲に記載された発
明」或いは「本発明」の語は、しばしば単数で用いられているが、記載されている通り及
び特許請求がなされている通り複数の発明であることが理解されよう。
【0073】
本発明の種々の特徴を以下の特許請求の範囲に記述する。