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特許6995809受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化/逆多重化のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化/逆多重化のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04J 1/00 20060101AFI20220131BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20220131BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALN20220131BHJP
【FI】
H04J1/00
H04B10/272
H04B10/2575
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019168339
(22)【出願日】2019-09-17
(62)【分割の表示】P 2017566220の分割
【原出願日】2016-03-03
(65)【公開番号】P2020005303
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2019-10-17
(31)【優先権主張番号】201510109919.9
(32)【優先日】2015-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル・ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】イェ,チャンフイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カイビン
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02670103(EP,A1)
【文献】特表2013-526818(JP,A)
【文献】特開2013-090220(JP,A)
【文献】特開2013-131842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 1/00
H04B 10/272
H04B 10/2575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化のための方法であって、
A.N個の第1の中間周波数サブバンドを均等にM個のクラスタに分割するステップであって、該クラスタの各々はK個の第1の中間周波数サブバンドを含み、N=M*Kであり、前記K個の第1の中間周波数サブバンドの各々はベースバンドデジタル電気信号を搬送する、分割するステップ、
B.各M個のクラスタについての多重化デジタル電気信号形成するためにソフトウェア定義で周波数分割多重化について、前記N個の第1の中間周波数サブバンドの各M個のクラスタについてのK個の第1の中間周波数サブバンドのベースバンドデジタル電気信号をソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサによって選択するステップ、及び
C.多重化アナログ電気信号を形成するために第2の中間周波数サブバンド上の前記M個のクラスタのアナログ電気信号をアナログハードウェアのクラスタマルチプレクサによって周波数分割多重化するステップ、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略として光通信の分野に関し、より詳細には受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化/逆多重化のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
4G LTE又は今後の5Gモバイルネットワークにおける帯域幅の需要の増大のため、業界/市場の団体及び主要企業の間で、次世代モバイルネットワーク(NGMN)で優位に立つクラウド協調モバイルアクセスネットワーク(C-RAN)についての基本的合意に達した。C-RANの実現を強固にサポート及び促進するために、大容量のフロントホール伝送における主要技術の大きな進歩が、技術及びビジネスの両面から強力な原動力となる。
【0003】
近年、フルサービスアクセスネットワーク(FSAN)及び国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ITU-T)フォーラムなどの標準化グループは、モバイルフロントホール(MFH)伝送の課題についての検討グループを始動させた。一方、世界最大の通信会社であるチャイナモバイルは、早くも2015年にC-RANシステムを配備する試行試験及び計画の先陣を切った。日本のNTTドコモは、2016年にC-RANシステムの配備を検討すると発表した。C-RAN技術のハイライトは、中央集中型ベースバンドデジタル信号処理(DSP)計算の実行、並びにベースバンドユニット(BBU)処理、集中的冷却設備及び不動産購入/賃貸のためのコストの効率的な制御/管理が可能なことである。
【0004】
既存の技術において、C-RANのMFHを実現するには2種類の伝送アプローチ:デジタルファイバ無線(D-RoF)及びアナログファイバ無線(A-RoF)がある。D-RoFの最も代表的な2つのプロトコルの実現は、図1Bに示すように、Common Public Radio Interface(CPRI)とOpen Base station Standard Initiative(OBSAI)である。図1Aは、D-RoFに基づく光ネットワーク構成の概略図を示す。D-RoFに基づくMFH伝送が引き起こす品質低下はごく僅かなので、D-RoFは現在の4G世代において好まれるが、D-RoFは非常に大きな帯域幅リソースを必要とする。大規模なMIMOの高度な適用事例などのMFH容量の急激な増加に伴い、帯域幅に関する要件に起因してD-RoFは次善の選択肢となる。
【0005】
第2のMFHアプローチは、A-RoFである。高性能DSPを用いることで、このアプローチは、MFHオペレーションにおける信号品質を維持し、無線パラメータに関して柔軟性を示し、D-RoFと比較してはるかに少ない光伝送帯域幅しか要さないことを可能とする。図2Aで示すネットワーク構成において、各アンテナへの(又は各アンテナからの)データは、個々の中間周波数(IF)サブバンド上を直交振幅変調(QAM)フォーマットにて搬送される。図1Bに対応する概念図を図2Bに示す。それは、デジタル-アナログコンバータ(DAC)及びアナログ-デジタルコンバータ(ADC)を個々のBBU及びRemote Radio Header(RRH)に導入することによって、CPRIデータがアナログ態様のQAMコンステレーションへマッピングされ得ることを示す。DSP技術の成熟により、アナログ伝送は、低価格で高スペクトル効率の情報伝達が可能となる。例えば、セル(例えば、24本のアンテナを装備)は4G LTE MFHに対して理論的に480MHzの帯域幅しか要求せず、このことは、1個の10GHz D-RoF TRxが8本のアンテナでのみ伝送可能な一方で、1機の1GHz光送受信機(TRx)は48本のアンテナを用いて6RRH(6セクターに対応)を収容するのに充分であることを意味する。2つのアプローチ、すなわち、A-RoF及びD-RoFの性能に関する簡潔な比較を表1に結果として示す。
【表1】
【0006】
現在、A-RoF MFHを広く実現するのに障害となる最も困難な問題の1つは、広帯域のADC/DACモジュールに対する厳格な要求である。図2Aに示すように、C-RAN構成に基づくA-RoF MFHにおいて、各アンテナに対するデータは、MFHリンクの個々のIFサブキャリア上で搬送され、それらのうちのいくつか(例えば、IF サブバンド#1から#8)は低周波数帯に割り当てられ、それらの対応するIF帯域幅は50MHzから210MHzまでに位置し、それらのうちのいくつか(例えば、IFサブバンド#17から#24)は非常に高い周波数帯に割り当てられ、それらの対応するIF帯域幅は、370MHzから530MHzに位置する。したがって、広帯域のADC及びDACがRRHにおいて設置されなくてはならず、ターゲットデータは周波数軸の高域端に割り当てられる。実際、IFサブバンド割り当てアルゴリズムは、BBUにおいて柔軟に決定されることが可能であり、それは各RRHが全帯域幅のADC及びDACを装備されなくてはならないことを意味する。要するに、MFHリンクにおけるアンテナ数の増加により、広帯域のADC及びDACがBBU及びRRHにおいて必要とされ、非常に高いコストが必要となる。
【0007】
現在、この問題を解決するための方案はまだない。一方、IFの多重化/逆多重化のための最も簡素で単純なアプローチの1つは、ハードウェア(HW)周波数ミキサを用いることである。HW周波数ミキサを用いることによって、ターゲットデータはベースバンドとIFチャネルの間で変換可能となり、狭帯域のDAC又はADCは各チャネルでデータを処理するのに充分となる。しかしながら、1つのセル(例えば、NGMN内に24本以上のアンテナ)にアンテナと同数のHW周波数ミキサが必要となることが問題となり、複雑さの課題だけでなく製品のコストが完全にHW依存のこのアプローチを非実用的なものとする。
【発明の概要】
【0008】
上述の技術的問題を解決するため、本開示は受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化/逆多重化のための方法及び装置を開示する。
【0009】
本開示の第1の態様によると、受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化のための方法が提供され、方法は、A.N個の第1の中間周波数サブバンドを平均的にM個のクラスタに分割するステップであって、クラスタの各々はK個の第1の中間周波数サブバンドを含み、N=M*Kであり、K個の第1の中間周波数サブバンドの各々はベースバンドデジタル電気信号を搬送する、ステップ、B.クラスタをソフトウェア定義で周波数分割多重化及び形成するために、N個の第1の中間周波数サブバンドからK個の第1の中間周波数サブバンドのベースバンドデジタル電気信号をソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサによって選択するステップ、及びC.第2の中間周波数サブバンド上のM個のクラスタのアナログ電気信号をアナログハードウェアのクラスタマルチプレクサによって周波数分割多重化するステップを備える。
【0010】
有利なこととして、ステップBの後、方法は:ソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサの多重化によって取得されるデジタル電気信号をアナログ信号に変換するステップ、及び局部発振信号源を供給するようにハードウェアのクラスタ局部発振器を用いて、アナログハードウェアの第2の周波数ミキサでアナログハードウェアの態様でアナログ電気信号を第2の中間周波数に変換するステップをさらに備える。
【0011】
有利なこととして、ステップBの前に、方法は:n番目の第1の周波数ミキサを通してデジタルソフトウェアの態様で、n番目のベースバンドデジタル電気信号をn番目の第1の中間周波数サブバンドにn番目のソフトウェア定義による局部発振器によって変換するステップであって、第1の中間周波数の周波数は、多段の周波数分割多重化を実行するように第2の中間周波数の周波数以下であり、nは第1の中間周波数サブバンドのインデックスを示し、nはN以下の正の整数である、ステップをさらに備える。
【0012】
有利なこととして、Kは、セル内に装備されるアンテナの数である。
【0013】
有利なこととして、ソフトウェア定義による局部発振器の可変の周波数は、負荷の要求に応じて調整可能であり、調整するパラメータは周波数、振幅及び位相を含む。
【0014】
有利なこととして、ステップCの後、方法は:ハードウェアのクラスタマルチプレクサの多重化によって取得される電気信号を光信号に変調するステップをさらに備える。
【0015】
本開示の第2の態様によると、受動光ネットワークにおけるハイブリッド多重化のための装置が提供され、装置は、M個のソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサであって、その各々は、クラスタを多重化及び形成するために、N個の第1の中間周波数サブバンドからK個の第1の中間周波数サブバンドのベースバンドデジタル電気信号を選択するように構成され、N個の第1の中間周波数サブバンドは、各々がK個の第1の中間周波数サブバンドを含み、N=M*KであるM個のクラスタに平均的に分割され、K個の第1の中間周波数サブバンドの各々はベースバンドデジタル電気信号を搬送する、マルチプレクサ、及び第2の中間周波数サブバンド上のM個のクラスタの電気信号を周波数分割多重化するように構成されたハードウェアのクラスタマルチプレクサを備える。
【0016】
有利なこととして、装置は:M個のデジタル-アナログコンバータであって、その各々は、ソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサの多重化によって取得されるデジタル電気信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたコンバータ、及びM個のハードウェアのクラスタ局部発振器であって、その各々は、局部発振信号源を供給するように、アナログハードウェアの第2の周波数ミキサでアナログハードウェアの態様でアナログ電気信号を第2の中間周波数に変換するように構成された発振器をさらに備える。
【0017】
有利なこととして、装置は:N個のソフトウェア定義による局部発振器であって、その各々は、n番目の第1の周波数ミキサを通してデジタルソフトウェアの態様で、n番目のベースバンドデジタル電気信号をn番目の第1の中間周波数に変換するように構成され、第1の中間周波数の周波数は、多段の周波数分割多重化を実行するように第2の中間周波数の周波数以下であり、nは第1の中間周波数サブバンドのインデックスを示し、nはN以下の正の整数である、局部発振器をさらに備える。
【0018】
有利なこととして、Kは、セル内に装備されるアンテナの数である。
【0019】
有利なこととして、ソフトウェア定義による局部発振器の可変の周波数は、負荷の要求に応じて調整可能であり、調整するパラメータは周波数、振幅及び位相を含む。
【0020】
有利なこととして、装置は、ハードウェアのクラスタマルチプレクサの多重化によって取得される電気信号を光信号へ変調するように構成された光電子変調器をさらに備える。
【0021】
本開示により開示された課題解決のための手法は、少なくとも以下の効果を有する。
1.高コスト効率:ソフトウェア定義による中間周波数マルチプレクサとハードウェアのクラスタマルチプレクサの間の均衡は、C-RANが多数のアンテナを収容できるようハイブリッドのA-RoF機構にて実現され、その間、安価な既存の狭帯域DAC/ADC及び複雑性の低いDSPを使用することによって大幅なコストの低減が可能である。
2.柔軟性:ハイブリッドのA-RoF機構におけるソフトウェア定義による中間周波数マルチプレクサ及びハードウェアのクラスタマルチプレクサは無線パラメータに対してトランスペアレントであり、ソフトウェア定義による中間周波数マルチプレクサ及び対応するハードウェアのクラスタマルチプレクサにおける構成を調整するだけで、システムは現行の4G LTEだけでなくNGMNシステムもサポートすることができる。
【0022】
96個の中間周波数サブバンドを例として採用し、CPRI又はOBSAIなどの現行のD-RoFソリューションと比較すると、本開示のソリューションではサポートするアンテナ数が12倍増加する。
【0023】
ハードウェア周波数ミキサのみに基づいた中間周波数マルチプレクサについての最も単純なソリューションと比較すると、本開示によって提案されるハイブリッドA-RoFソリューションは、低価格のDAC/ADC及び低い複雑性のDSPによって、大規模のアンテナソリューションを実現できる。
【0024】
本開示の上述及び他の構成は、後述する実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて参照することによって、より明確となり、本開示の添付図面において、同一又は類似の参照符号は、同一又は類似のステップを表す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】D-RoFに基づく光ネットワーク構成の概略図を示す。
図1B】CPRIを用いる既存のD-RoFソリューションの概略図を示す。
図2A】中間周波数マルチプレクサを用いた光ネットワーク構成の概略図を示す。
図2B】ADC/DAC及びIFマルチプレクサ/デマルチプレクサを有するA-RoFソリューションの概略図を示す。
図3】本開示の実施形態による、ソフトウェア定義によるIFマルチプレクサ及びアナログハードウェアのクラスタマルチプレクサを含むハイブリッドA-RoFの光ネットワーク構成の概略図を示す。
図4】従来のA-RoF光加入者線端局装置の概略図を示す。
図5】本開示の実施形態によるA-RoF光加入者線端局装置の概略図を示す。
図6】本開示の他の実施形態によるA-RoF光加入者線端局装置の概略図を示す。
図7図6に示す光加入者線端局装置の光ネットワーク構成の概略図を示す。
図8】本開示の実施形態による検証実験構成の概略図を示す。
図9図8に示す検証実験構成のコンステレーション図の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好適な実施形態についての以降の特定の記述において、本開示の一部を構成する付加された添付図面を参照する。付加された添付図面は、本開示を実現可能な特定の実施形態の例として示す。例示的な実施形態は、本開示の全ての実施形態を網羅することを目的としていない。本開示における方法についてのステップがここでは特定の順序で説明されるが、これらの動作がその特定の順序によって実行されなくてはならないこと、又は例示された動作の全てを実行して期待する結果を実現しなくてはならないことを要件とし又は示唆しているわけではなく、むしろここで説明されるステップは実行順序を変えてもよいとことを説明しておく。さらに、又は代わりに、あるステップは省略してもよく、実行のため複数のステップを1つに結合させてもよく、及び/又は実行のため1つのステップを複数のステップに分解してもよい。
【0027】
本出願によって開示される受動光ネットワークにおける多重化/逆多重化のための方法及び装置を図3乃至図7と併せて詳細に紹介する。
【0028】
図3は、本開示の実施形態による、ソフトウェア定義によるIFマルチプレクサ及びアナログハードウェアのクラスタマルチプレクサを含むハイブリッドA-RoFの光ネットワーク構成の概略図を示す。例えばBBUプールは、96個に分岐したベースバンドデータを並列に出力する。まず96個のベースバンドデータの各々は周波数領域においてQAMマッピング及び多重化され、電気-光コンバータ(EOC)はアナログデータを光波上に変調し、それは受動光ネットワーク(PON)構成のアクセスネットワーク上で遠隔の基地局に送信される。受信機側において、各セルは、24個のデータチャネルを含む、対応するIFクラスタを選択し、そのクラスタをサンプリング及び量子化し、そして、DSPに基づくIF逆多重化(DeMUX)及びQAM復調を実行し、最後に24個のベースバンドデータを各アンテナに送信する。
【0029】
図4は、従来のA-RoF光加入者線端局装置(OLT)の概略図を示す。従来のA-RoFは、DSPにおいて実装される時間領域マルチプレクサ(MUX)を有する。96本のアンテナをサポートするために、12組のDSP及び光TRxが必要である。
【0030】
図5は、本開示の実施形態による、A-RoF OLTの概略図を示す。図5において、OLTは、DSPにおいて実装される、ソフトウェア定義によるIF MUX(SD IF MUX)及びソフトウェア定義による局部発振器(SD LO)を有する。96個のベースバンドデジタル電気信号があると仮定すると、n番目のソフトウェア定義による局部発振器は、n番目の第1の周波数ミキサを通してデジタルソフトウェアの態様でn番目のベースバンドデジタル電気信号をn番目の第1の中間周波数サブバンドに変換する。そして、ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサは、96個の第1の中間周波数サブバンドにソフトウェア定義による周波数分割多重化を実行する。ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサの多重化によって取得されるデジタル電気信号はアナログ電気信号へ変換され、光電子変調器は多重化電気信号を光信号へ変調する。ベースバンドデジタル電気信号は、DSP内のSD IF MUXにおいて直接多重化されるので、全帯域幅のDACが必要となる。
【0031】
図6は、本開示の他の実施形態によるA-RoF OLTの概略図を示す。
【0032】
まず、N(例えば、N=96)個の第1の中間周波数サブバンドはM(例えば、M=4)個のクラスタに平均的に分割され、クラスタの各々はK(K=24)個の第1の中間周波数サブバンドを含み、N=M*Kであり、24個の異なる第1の中間周波数サブバンドの各々は、ベースバンドデジタル電気信号を搬送する。Kは、セル内に装備されたアンテナの数となり得る。Nは、第1の中間周波数サブバンドの数を示し、Mはクラスタの数を示し、そしてKはクラスタ内の第1の中間周波数サブバンドの数を示す。
【0033】
次に、ソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサは、クラスタをソフトウェア定義で周波数分割多重化及び形成するために、N個の第1の中間周波数サブバンドからK個の第1の中間周波数サブバンドのベースバンドデジタル電気信号を選択する。
【0034】
第3に、アナログハードウェアのクラスタマルチプレクサは、第2の中間周波数サブバンド上のM個のクラスタのアナログ電気信号に周波数分割多重化を適用する。
【0035】
図6に示すようにDSPブロックにおいて、n番目のソフトウェア定義による局部発振器は、n番目の第1の周波数ミキサを通してデジタルソフトウェアの態様でn番目のベースバンドデジタル電気信号をn番目の第1の中間周波数サブバンドに変換し、第1の中間周波数の周波数は、多段の周波数分割多重化を実行するように第2の中間周波数のそれ以下であり、nは第1の中間周波数サブバンドのインデックスを示し、nはN以下の正の整数である。図6は2段の周波数分割多重化を示すが、それは本開示の実装及び適用の方法を限定するものではなく、必要であれば、同一又は類似の考え方を用いて3段又はそれ以上に多段の周波数分割多重化を実施することも可能であることが当業者には分かるはずである。
【0036】
例えば、96個のベースバンドデジタル電気信号が、それぞれの第1の周波数ミキサを通して96個の異なる第1のIFサブバンドに変換され、そして、ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサは、クラスタをソフトウェア定義で周波数分割多重化及び形成するために、96個の第1のIFサブバンドから24個の第1のIFサブバンドのベースバンドデジタル電気信号を選択する。ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサの多重化によって取得されるデジタル電気信号はアナログ電気信号に変換され、局部発振信号源を供給するためにハードウェアのクラスタLOが使用されて、アナログハードウェアの第2の周波数ミキサでアナログハードウェアの態様でアナログ電気信号を第2のIFに変換する。アナログハードウェアのクラスタマルチプレクサは、第2の中間周波数サブバンド上の4つのクラスタのアナログ電気信号に周波数分割多重化を適用して、アナログ電気信号を形成する。最後に、ハードウェアのクラスタマルチプレクサの多重化によって取得される電気信号は、光信号へ変調される。
【0037】
ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサは、帯域幅の拡大及び/又は中間周波数サブバンド数の増加のため、第1の中間周波数サブバンドの周波数の変更又は調整に柔軟性を有する。ハードウェアのクラスタマルチプレクサは、ADC/DAC帯域幅に関するハードウェアの要求及びそれに対応するコストを低減する効果を有する。このようにして、ソフトウェア定義による第1のIFマルチプレクサ及びハードウェアのクラスタマルチプレクサを有するハイブリッドA-RoFのソリューションは、ソフトウェアの容量とハードウェアの複雑性との間の均衡をもたらし、ハイブリッドA-RoFの上述の解決手法は、既存のCPRIに基づくMFHリンクシステム構成との良好な互換性を有する。
【0038】
図5及び図6で示すように、ソフトウェア定義による局部発振器の可変の周波数は、負荷の要求に応じて調整可能であり、調整するパラメータは周波数、振幅、及び位相を含む。
【0039】
図6において、96個のベースバンドデジタル電気信号を例として採用すると、図6のOLTは、
4個のソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサであって、それらの各々は、クラスタを多重化及び形成するために96個の第1の中間周波数サブバンドから24個の第1の中間周波数サブバンドのベースバンドデジタル電気信号を選択するように構成されたマルチプレクサ、及び
第2の中間周波数サブバンド上の4個のクラスタの電気信号に周波数分割多重化を適用するように構成された1個のハードウェアのクラスタマルチプレクサ、
を含み得る。
【0040】
図5と比較すると、図6に示す解決手法におけるDACモジュールは、相対的に狭い帯域幅を有し、デバイスの高コスト効率、並びにソフトウェア及びハードウェアの2段階の周波数変換を通した構成の柔軟性を実現する。同様に受信端部では、ハードウェアの周波数変換後、各RRHにおけるADCのサンプリング帯域幅は、要求されたデータを取得するのに全データ帯域幅の1/4あればよく、その後ソフトウェアの周波数変換を通して、24個の周波数分割多重化ベースバンドデータは解析され得る。
【0041】
図6に示すように光加入者線端局装置は、
4個のデジタル-アナログコンバータであって、その各々は、それぞれのソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサの多重化によって取得されるデジタル電気信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたコンバータ、
4個のハードウェアのクラスタ局部発振器であって、その各々は、局部発振信号源を供給するように、アナログハードウェアの第2の周波数ミキサでアナログハードウェアの態様で、アナログ電気信号を第2の中間周波数に変換するように構成された局部発振器、
96個のソフトウェア定義による局部発振器であって、その各々は、n番目の第1の周波数ミキサを通してデジタルソフトウェアの態様で、n番目のベースバンドデジタル電気信号をn番目の第1の中間周波数に変換するように構成され、第1の中間周波数の周波数は、多段の周波数分割多重化を実行するように第2の中間周波数のそれ以下であり、nは第1の中間周波数サブバンドのインデックスを示し、nはN以下の正の整数である、局部発振器、及び
ハードウェアのクラスタマルチプレクサの多重化によって得られた電気信号を光信号へ変調するように構成された光電子変調器、
をさらに含む。
【0042】
図6に示すように実施形態によると、第1の周波数ミキサ及び第2の周波数ミキサの数はそれぞれ、96及び4となり得ることが当業者には分かるはずである。
【0043】
図5及び図6は、ダウンリンク方向のOLTにおけるハイブリッドA-RoFの中間周波数多重化の解決手法を示す。ここでは詳しく述べないが、対応する光回線終端装置(ONU)において、OLTにおけるハイブリッドA-RoFの中間周波数多重化ソリューションに対応する逆多重化ソリューションがあることも当業者には分かるはずである。同様に、アップリンク方向において、ONUはまた、図5及び図6に示すOLTのソリューションと同一又は類似のハイブリッドA-RoF多重化手法を用いることができ、したがって、対応する逆多重化ソリューションがアップリンクのOLTにおいて用いられ得る。
【0044】
図7は、図6に示す光加入者線端局装置の光ネットワーク構成の概略図を示す。従来の送受信機(TRx)を時間波長分割多重化TRx(TWDM-TRx)に変えるだけで、現在のPONから次世代のPONへのスムーズな進化における互換性を実現できる。
【0045】
ハードウェアのクラスタマルチプレクサ及びソフトウェア定義によるマルチプレクサを有するA-RoF MFHに基づく次世代PON構成において、各遠隔セルは、クラスタ選択の前にまずターゲット波長の選択をし、その後IF逆多重化及びQAM復調を実行する追加のステップを有さなくてはならない。
【0046】
図8は、本開示の実施形態による検証実験構成の概略図を示す。ソフトウェア定義による第1の中間周波数マルチプレクサ及びハードウェアのクラスタマルチプレクサを有するハイブリッドA-RoFのソリューションを検証するために、図8に示すように、それぞれが8個の第1の中間周波数サブバンドを含む3個のクラスタが送信端部に生成される。24個のベースバンドデジタル電気信号の各々は、25Mbpsのボーレートで、64QAMにフォーマットされる。20kmのシングルモードファイバは、BBUプールからRRHまでのMFH距離を表す。光電子変調器の通過後、8個の第1の中間周波数を含む各クラスタは、3.5GHzの無線周波数に変換され(アンテナの3dB帯域幅は、3.5GHz付近、約200MHzである)、無線インターフェースを介して無線受信機に送出される。PC内のDSPは、各クラスタに含まれる8個の第1の中間周波数サブバンド上のデータを復調し、その間ブロック誤り率(BER)を検証する。図9は、図8に示す検証実験構成のコンステレーション図の概略図を示す。実験結果が示すように、各サブバンドのBERは10-3未満である。
【0047】
本開示は上述の例示的な実施形態の詳細に限定されず、本開示の趣旨又は基本的な特性から逸脱することがないという前提のもと、本開示が他の特定の形態で実現され得るということは当業者には明白である。従って実施形態は、例示的及び非限定的なものとして少なくともみなされるべきである。さらに明白なことに、用語「備える」又は「含む」は他の要素及びステップを排除するものではなく、用語「1つの」は複数を排除するものではない。装置の請求項で列挙される複数の要素も1つの要素で実現可能である。第1、第2等のような用語は、任意の特定の順序を示すのではなく、名称を示すのに使用される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9