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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】マット合成紙
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20220107BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/32 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019191406
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2020066238
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2019-10-18
(31)【優先権主張番号】107136853
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】廖 徳超
(72)【発明者】
【氏名】陳 春來
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 文義
【審査官】團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-125708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0118410(US,A1)
【文献】特開平03-061038(JP,A)
【文献】特表2004-536921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0035944(US,A1)
【文献】特開平11-348192(JP,A)
【文献】米国特許第06534150(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第1309605(CN,A)
【文献】特開2002-096435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も外側の紙層として印刷表面層を含み、厚さが25~300μmの多層積層構造として構成されるマット合成紙であって、前記印刷表面層(または最外層紙層)の総重量に基づいて、前記印刷表面層は、
(1)ポリプロピレン0~66重量%、
(2)ポリエチレン0~30重量%、
(3)二酸化チタンが30~60%含まれるマスターバッチ10~15重量%、
(4)炭酸カルシウムが40~70%含まれるマスターバッチ10~15重量%、
(5)酸化防止剤1~5重量%、
(6)化ケイ素、タルク粉または硫酸バリウムからなる群から選ばれる一種以上で構成されるミスト粉が10~70%含まれるマスターバッチ8~55重量%、及び
(7)熱可塑性エラストマー5~20重量%、
を各成分の総組成が重量で100%となるように含んで、
TAPPI T480で測定した前記印刷表面層の光沢値が15~50%である、ことを特徴とする、マット合成紙。
【請求項2】
前記印刷表面層は、
(1)ポリプロピレン2~65重量%、
(2)ポリエチレン1~15重量%、
(3)二酸化チタンが30~60%含まれるマスターバッチ10~15重量%、
(4)炭酸カルシウムが40~70%含まれるマスターバッチ10~15重量%、
(5)酸化防止剤1~5重量%、
(6)化ケイ素、タルク粉または硫酸バリウムからなる群から選ばれる一種以上で構成されるミスト粉が10~70%含まれるマスターバッチ8~55重量%、及び
(7)熱可塑性エラストマー5~20重量%
を各成分の総組成が重量で100%となるように含む、請求項1に記載のマット合成紙。
【請求項3】
前記マット合成紙は、3層以上の積層構造を有する合成紙である、請求項1又は2に記載のマット合成紙。
【請求項4】
前記マット合成紙は、5層以上の積層構造を有する合成紙である、請求項1又は2に記載のマット合成紙。
【請求項5】
前記ミスト粉が10~70%含まれるマスターバッチの主成分は酸化ケイ素であり、その他の成分にはタルク粉末と硫酸バリウムが含まれる、請求項1又は2に記載のマット合成紙。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマーは、融点が60°C未満の熱可塑性エラストマーから選択されるものである、請求項1又は2に記載のマット合成紙。
【請求項7】
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマー(TPE-S)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、または熱可塑性加硫物(TPV)から成る群から選ばれる一種以上である、請求項6に記載のマット合成紙。
【請求項8】
前記スチレン系ブロックコポリマー(TPE-S)は、スチレン-ブタジエン-スチレンエラストマー(SBS)またはスチレン-エチレン/ブチレン-スチレンエラストマー(SEBS)から成る群から選ばれるものである、請求項7に記載のマット合成紙。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)は、エチレンアルファオレフィンコポリマーまたはポリオレフィンエラストマーから成る群から選ばれる、請求項7に記載のマット合成紙。
【請求項10】
前記熱可塑性加硫物(TPV)はPM/EPDMゴムである、請求項7に記載のマット合成紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット合成紙に関し、特に、印刷表面に高いヘイズおよび低光沢特性を有し、印刷紙に適した二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)合成紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二軸延伸ポリプロピレン合成紙(以下、合成紙と呼ぶ)は、多層積層構造の合成紙であり、図1に示すように、3層構造の合成紙10は、最も外層の紙層(A1)、発泡中間層(C1)、最も内層の紙層(E1)が順次積層されて構成されている。その製造工程は、図2に示すように、3つの押出機(a1、c1、およびe1)を使用して、各層の組成をホモTダイに絞り込むことにより、ホットメルト状態の3層積層製品を形成することである。
【0003】
5層構造の合成紙15は、図3に示すように、最も外側の紙層(A2)、上層の樹脂層(B2)、発泡中間層(C2)、下層の樹脂層(D2)、および最も内側の紙層(E2)が順番に積み重ねられる。その製造プロセスでは、図4に示すように、5つの押出機(a1、b1、c1、d1、e1)を使用して、各層の組成物をホモTダイに絞り込んでホットメルト状態の5層積層製品を形成する。
【0004】
調製されたホットメルト3層または5層積層製品は、冷却成形装置20によって急速に冷却され、縦延長装置30によって2.5~8倍に縦方向に延長され、横延長装置40によって横に2.5~8倍延長される。コロナ処理装置50によって高周波処理された後表面張力が上昇し、3層構造の合成紙10または5層構造の合成紙15がコイラー60で回収される。
【0005】
しかし、20年近くの開発の後、二軸延伸ポリプロピレン合成紙の品質には、依然として印刷ヘイズが不均一である欠点があり、天然紙製品を置き換えるという目標には達することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記合成紙の印刷面の印刷ヘイズが不均一である技術的不備に応じて、本発明も主な目的では、下記のようなマット合成紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な不備に応えて、本発明は、ミスト粉またはミスト粉と熱可塑性エラストマーの両方を、既存の技術における3層または5層または複数の層を有する従来の合成紙の最外層(以下、合成紙の印刷表面層と呼ぶ)の配合組成物に添加することにより、合成紙の印刷表面層に微小粗面が形成され、入射光が微小粗面に到達すると、光の反射方向が変化するため、合成紙の印刷表面は高いヘイズと低光沢の特性を持ち、印刷に適しており、天然紙製品に取って代わることさえある。
【0008】
本発明によるマット合成紙は、印刷表面層(またはその最外層の紙層)の総重量に基づいて以下の成分を含む印刷表面層(またはその最外層の紙層)を有し、各成分の合計組成は100重量%となる
【0009】
(1)ポリプロピレン 0~66重量%、好ましくは2~65重量%。
(2)ポリエチレン 0~30重量%、好ましくは1~15重量%
(3)二酸化チタンM.B(30~60%)10~15重量%
(4)炭酸カルシウムM.B(40~70%)10~15重量%;
(5)酸化防止剤 1~5重量%、好ましくは1~2重量%;
(6)ミスト粉M.B(10~70%)4~75重量%;好ましくは8~55重量%;
(7)熱可塑性エラストマー 0~25重量%、好ましくは5~20重量%。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるマット合成紙の有益な効果は、高いヘイズ、低い光沢に形成された印刷表面層を有し、表面にピット欠陥がなく、印刷目的に適した優れた印刷適性により、合成紙の受け入れと使用を改善できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3層構造の合成紙の概略図である。
図2】3層構造の合成紙の製造工程図である。
図3】5層構造の合成紙の概略図である。
図4】5層構造の合成紙の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるマット合成紙は、厚さが25~300μmの多層積層構造の合成紙であり、3層、または5層以上の積層構造に形成することができる。本発明によるマット合成紙を3層または5層の積層構造を有するマット合成紙として例示し、その積層構造は、図1および図3に示された既存の3層または5層の合成紙10、15の積層構造と同じであり、製造方法も同じであり、そして、合成紙の最外層の紙も印刷表面層として使用される。
【0013】
本発明によるマット合成紙は、印刷表面層(またはその最も外側の紙層)の配合において、ミスト粉またはミスト粉と熱可塑性エラストマーの両方が添加され、印刷表面層(またはその最も外側の紙層)の光沢値は、TAPPI T480に従って測定した結果、15~50%、好ましくは18~46%である。
【0014】
本発明によるマット合成紙はその配合により、印刷表面層に微小粗面を形成することができ、その結果、印刷表面層は高いヘイズ、低い光沢を有するだけでなく、印刷表面層の表面はピット欠陥を有さない要求も達成できる。本発明によるマット合成紙は印刷適性が優れて、直接に印刷に使われるだけでなく、コーティング製品のコーティング材料にも適している。
【0015】
本発明によるマット合成紙は、外表面層(または最外層紙層)の総重量に基づいて以下の成分を含む印刷表面層(またはその最外層紙層)を有し、各成分の総組成は重量で100%となる。
【0016】
(1)ポリプロピレン 0~66重量%、好ましくは2~65重量%。
(2)ポリエチレン 0~30重量%、好ましくは1~15重量%。
(3)二酸化チタンM.B(30~60%) 10~15重量%
(4)炭酸カルシウムM.B(40~70%) 10~15重量%;
(5)業界で一般的に使用される酸化防止剤 1~5重量%、好ましくは1~2重量%
(6)ミスト粉M.B(10~70%) 4~75重量%、好ましくは8~55重量%
(7)熱可塑性エラストマー0~25重量%、好ましくは5~20重量%
【0017】
ミスト粉は、直接またはマスターバッチ(M.B)の形で印刷表面層の配合に加えられる。本発明によるマット合成紙の印刷表面層は、マスターバッチ(M.B)の形態で添加され、高い表面ヘイズおよび低い光沢を有する表面を得ることができる。
【0018】
ミスト粉は、有機ミスト粉および無機ミスト粉から選択されてもよい。有機ミスト粉の主成分はワックスであり、合成ワックスとステアリン酸の金属石鹸から選択できる。本発明によるマット合成紙は、無機ミスト粉を添加することにより、印刷表面層(またはその最外紙層)の表面のヘイズを増加させることができる。
【0019】
無機ミスト粉がマスターバッチ(M.B)の形である場合、ミスト粉は酸化ケイ素(すなわち、ホワイトカーボンブラックの艶消し剤)を主成分として、タルク粉や硫酸バリウムなどの他の成分を含んでいる。なかでも、酸化ケイ素は、修飾された酸化セリウム表面で置き換えられてもよい。
【0020】
無機ミスト粉の酸化ケイ素の粒径は4~12μmであり、無機ミスト粉のタルク粉末の粒径は2~8μmであり、無機ミスト粉の硫酸バリウムの粒径は0.6~2μmである。
【0021】
本発明によるマット合成紙では、外表面層(または最も外側の紙層)にミスト粉を加えた後、ミスト粉は、表面(または印刷面)上の微小粗面の形成を促進することができる。入射光が微小粗面に到達すると、反射方向が変化するため、マットの目的を達成するために、光沢が低い印刷表面が得られる。
【0022】
熱可塑性エラストマーは低融点の特性を有する。ミスト粉と熱可塑性エラストマーを配合に加えた後、熱可塑性エラストマーは低融点の特性を持っていることにより、製造プロセスで生成された印刷層(または最も外側の紙層)のピット欠陥を埋めることができる。それにより、本発明によるマット合成紙の印刷表面層は、高いヘイズおよび低い光沢を有し、印刷表面がピットを有さず、均一なヘイズを有するという要件を満たす。
【0023】
熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer;TPE)は、プロピレンを含み、60°C以下の融点を有する熱可塑性エラストマーであることが好ましく、スチレン系ブロックコポリマー(Styrenic block copolymers;TPE-S)、熱可塑性オレフィンエラストマー((Thermoplastic Olefin Elastomer;TPO)、および熱可塑性加硫物(Thermoplastic Vulcanizates;TPV)から選ばれるものであってもよい。
【0024】
スチレン系ブロックコポリマー(TPE-S)は、スチレン-ブタジエン-スチレンエラストマー(Styrene-Butadiene-Styrene;SBS)およびスチレン-エチレン/ブチレン-スチレンエラストマー(Styrene-Ethylene-butylene-Styrene;SEBS)から選択される。
【0025】
熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)は、ExxonMobil Chemicalが製造している商品名Vistamaxxシリーズの市販のプロピレン系エラストマー、または製品名Exactシリーズのエチレンα-オレフィン共重合体(Ethylene Alpha Olefin Copolymers)から選択することができ、或いは、米国ダウケミカル社(Dow Chemical Company)製のINFUSEシリーズのオレフィンブロックコポリマー(Olefin Block Copolymers)、またはAFFRINITYまたはENGAGEシリーズのポリオレフィンエラストマー(Polyolefin Elastomers)から選択することができ、或いは、三井化学株式会社製のTAFMERシリーズのポリオレフィンエラストマー(Polyolefin Elastomers)から選択することができる。
【0026】
熱可塑性加硫物(TPV)は、米国のExxonMobil Chemicalによって製造された商品名VistalonシリーズのPM/EPDMゴムから選択することができる。
【0027】
以下の実施形態および実施例は、本発明の内容および達成可能な効果を説明するためのものであるが、本開示はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例の物性は、以下の方法により評価される。
【0028】
1.光沢値(%):
TAPPI T480標準を使用して、紙の光沢を75°で測定する。
【0029】
2.粗さ(μm):
TAPPI T-555 pm-94標準を使用して粗さを測定する。
【0030】
3.分散特性:
凝集物が人間の目で印刷表面層(または最も外側の紙層)に存在するかどうかを観察する。
凝集体が印刷表面層に現れる場合、組成物の分散性は低く、逆の場合、組成物の分散性は良好であることと表示されている。
【0031】
4.膜表面の発泡性:
印刷表面層(または最も外側の紙層)に発泡欠陥があるかどうかは、人間の目で観察される。
印刷表面層が発泡している場合、印刷表面層のフィルム表面の発泡性が低く、逆の場合、印刷表面層のフィルム表面の発泡特性は良好であることと表示されている。
【0032】
5.ホイール表面の付着性:
ホットメルト状態に共押しされた積層製品が、冷却成形装置によって急速に冷却された後、最初の冷却ホイールのホイール表面に付着するかどうかは、人間の目で観察される。
積層製品がホイール表面に付いている場合が、ホイール表面の付着性が悪く、逆の場合がホイール表面の付着性が良いと表示されている。
【0033】
6.ピット欠陥:
印刷表面層(または最も外側の紙層)に凹状の欠陥があるかどうかは、人間の目で観察される。
【0034】
<第1の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B8重量%、ポリプロピレン57重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれている。
【0035】
図2に示す製造プロセスを参照すると、3つの押出機で溶融共圧縮された後、冷却成形装置により急速冷却され、15~70℃の温度で3層の積層板が形成される。その積層板を、150~155℃の温度で縦延長装置により縦方向に4倍伸ばし、そして、140~200℃の温度で横延長装置により横方向に8倍横に伸ばして、その後、60kwの高周波電力のコロナ処理によって表面張力が増加され、80μmの3層共押出2軸延伸合成紙製品が製造された。
【0036】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0037】
<第2の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B16重量%、ポリプロピレン40重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0038】
80μmの3層共押出二軸延伸合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0039】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0040】
<第3の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B4重量%、ポリプロピレン61重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0041】
80μmの3層共押出二軸延伸合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0042】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0043】
<第4の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B15重量%、ポリプロピレン50重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0044】
80μmの3層共押出二軸延伸合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0045】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0046】
<第5の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B40重量%、ポリプロピレン25重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0047】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0048】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0049】
<第6の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B55重量%、ポリプロピレン10重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0050】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0051】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。
【0052】
<第7の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B55重量%、熱可塑性エラストマー6重量%、ポリプロピレン4重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0053】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0054】
得られた合成紙の印刷表面層の物性を表1に示す。表1の結果から、ホイール表面の付着性は良好であり、印刷表面層の(印刷)表面では、光沢が低くてヘイズが高いが、まだいくつかのピットが存在することが看取される。
【0055】
<第8の実施例>
表1の原料配合を参照すると、合成紙の印刷表面層の原料として、ミスト粉M.B55重量%、熱可塑性エラストマー10重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0056】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0057】
得られた合成紙の印刷表面層の物理的特性、試験結果を表1に示す。表1の結果から、ホイール表面の付着性は良好であり、印刷表面層の(印刷)表面は光沢が高いだけでなく、ヘイズが低く、ピットが発生していないことが明らかになった。
【0058】
<第1の比較例>
表1の原料配合を参照して、合成紙の印刷表面層の原料を仕込んだが、ミスト粉と熱可塑性エラストマーは使用されずに、原料として、ポリプロピレン65重量%、二酸化チタンM.B15重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0059】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0060】
得られた合成紙の印刷表面層の物理的特性、試験結果を表1に示す。表1の結果から、ホイール表面の付着性が乏しく、印刷表面層の(印刷)表面は光沢が高いだけでなく、ヘイズが低く、多くの凹穴が現れていることが示された。
【0061】
<第2の比較例>
表1の原料配合を参照して、合成紙の印刷表面層の原料を仕込んだが、ミスト粉と熱可塑性エラストマーは使用されずに、原料として、ポリプロピレン45重量%、ポリエチレンの20重量%、二酸化チタンM.B重量%、炭酸カルシウムM.B15重量%、および酸化防止剤M.B5重量%が含まれた。
【0062】
80μmの3層共押出二軸延伸の真珠光沢の合成紙製品は、第1の実施形態と同じ処理方法によって得られた。
【0063】
得られた合成紙の印刷表面層の物理的特性、試験結果を表1に示す。表1の結果から、物性が悪いことを除いてホイール表面の付着性が乏しく、印刷表面層の(印刷)表面の光沢が高いだけでなく、ヘイズが低く、多くの凹穴が現れていることが示された。
【0064】
1、第1から6の実施例の印刷表層の原料において、ミスト粉を添加して使用して得られた合成紙の印刷表層は、光沢度が高く、ヘイズが低く、印刷適性に優れ、印刷に適している。
2、第7から8の実施例の印刷表面層の原料には、ミスト粉と熱可塑性エラストマーが添加されて使用され、調製された合成紙の印刷表面層は、ピット欠陥がなく、表面に均一な曇りがあるだけでなく、光沢度が高く、ヘイズが低いため、印刷適性に優れ、印刷に適している。
第1及び第2の比較例の印刷表面層の原料には、ミスト粉または熱可塑性エラストマーは添加されず、得られた合成紙の印刷表面層は、表面に多数のピット欠陥を有するだけでなく、高い光沢と低ヘイズを有し、印刷紙としては適していない。
【0065】
【表1】
【符号の説明】
【0066】
10…3層構造の合成紙
15…5層構造の合成紙
20…冷却成形装置
30…縦延長装置
40…横延長装置
50…コロナ処理装置
60…コイラー
a1、b1、c1、d1、e1…押出機
A1、A2…最も外側の紙層
B2…上層の樹脂層
C1、C2…発泡中間層
D2…下層の樹脂層
E1、E2…最も内側の紙層
図1
図2
図3
図4