(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】医療器具
(51)【国際特許分類】
A61M 39/26 20060101AFI20220107BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61M39/26
A61M39/10 120
(21)【出願番号】P 2019507040
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2018011872
(87)【国際公開番号】W WO2018174273
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】P 2017058832
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】柿木 俊彦
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/051759(WO,A1)
【文献】特表2002-526179(JP,A)
【文献】特開2012-254142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/26
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ部を備える医療器具であって、
前記コネクタ部は、先端と、基端と、中心軸線と、弾性弁を有する他の医療器具と接続可能な内筒と、前記内筒と前記他の医療器具との接続によって前記弾性弁が前記先端側から押し付けられる弁体と、前記内筒の径方向外側に配置された外筒とを有すると共に、前記内筒を前記他の医療器具と接続した状態で前記内筒を前記外筒に対して前記中心軸線に沿う軸方向に移動させることにより、前記コネクタ部と前記他の医療器具との流体連通の有無を切り換えるように構成されており、
前記コネクタ部は、前記弁体が前記内筒に対して相対的に前記基端側に移動することを抑制するアンカーをさらに有
し、
前記内筒は、前記弁体が接した内周面を有する筒状をなす保持壁を有し、
前記アンカーは、前記保持壁と前記弁体との少なくとも一方に形成された凸部、段部又は粗面部で構成されている、医療器具。
【請求項2】
前記アンカーは、前記内筒と前記弁体との少なくとも一方に形成された凸部、段部又は粗面部で構成されている、請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記コネクタ部は、前記弁体を貫通可能なスパイクをさらに有する、請求項
1又は2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記スパイクは、前記保持壁の径方向内側に配置されると共に前記軸方向に延在し、且つ前記外筒と一体に連結しており、
前記内筒が前記他の医療器具と接続していないとき、前記スパイクの先端部と前記弁体との間には、前記軸方向に隙間が形成されている、請求項
3に記載の医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体などの生体への輸液などにおいて用いられる医療器具において、コネクタ部を備える医療用コネクタ又はシリンジ等が知られている。そのような医療器具のコネクタ部は、弁体によって閉鎖可能な閉鎖式のコネクタ部として構成されることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、弁体によって閉鎖可能な閉鎖式のオスコネクタ部を備える医療用コネクタ(医療器具)であって、オスコネクタ部と、他の医療用コネクタ(他の医療器具)のメスコネクタ部とを接続することで、弁体がメスコネクタ部の弾性弁に押し付けられ、オスコネクタ部に設けられたスパイクが、弁体と弾性弁との密着部を貫通し、オスコネクタ部とメスコネクタ部とを流体連通させるように構成されたものが開示されている。このような構成によれば、流体連通の形成時にコネクタ部から流体が漏れるおそれを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の医療器具(医療用コネクタ)では、例えば、コネクタ部(閉鎖式のオスコネクタ部)と他の医療器具(他の医療用コネクタ)との接続が素早く解除された場合などに、密着性が低下した弁体と弾性弁との間で流体の漏れを生じるおそれがあった。
【0006】
本開示は、このような問題に鑑み開発されたもので、流体が漏れるおそれを低減することのできるコネクタ部を備える医療器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様としての医療器具は、
コネクタ部を備える医療器具であって、
前記コネクタ部は、先端と、基端と、中心軸線と、弾性弁を有する他の医療器具と接続可能な内筒と、前記内筒と前記他の医療器具との接続によって前記弾性弁が前記先端側から押し付けられる弁体と、前記内筒の径方向外側に配置された外筒とを有すると共に、前記内筒を前記他の医療器具と接続した状態で前記内筒を前記外筒に対して前記中心軸線に沿う軸方向に移動させることにより、前記コネクタ部と前記他の医療器具との流体連通の有無を切り換えるように構成されており、
前記コネクタ部は、前記弁体が前記内筒に対して相対的に前記基端側に移動することを抑制するアンカーをさらに有する。
【0008】
本発明の一実施形態として、前記アンカーは、前記内筒と前記弁体との少なくとも一方に形成された凸部、段部又は粗面部で構成されている。
【0009】
本発明の一実施形態として、
前記内筒は、前記弁体が接した内周面を有する筒状をなす保持壁を有し、
前記アンカーは、前記保持壁と前記弁体との少なくとも一方に形成された凸部、段部又は粗面部で構成されている。
【0010】
本発明の一実施形態として、前記コネクタ部は、前記弁体を貫通可能なスパイクをさらに有する。
【0011】
本発明の一実施形態として、
前記スパイクは、前記保持壁の径方向内側に配置されると共に前記軸方向に延在し、且つ前記外筒と一体に連結しており、
前記内筒が前記他の医療器具と接続していないとき、前記スパイクの先端部と前記弁体との間には、前記軸方向に隙間が形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、流体が漏れるおそれを低減することのできるコネクタ部を備える医療器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る医療器具を他の医療器具と共に示す側面図である。
【
図3】
図1に示す本発明の実施形態に係る医療器具の内筒に対して他の医療器具を接続した時の状態を
図2に準じて示す断面図である。
【
図4】
図1に示す本発明の実施形態に係る医療器具に対して他の医療器具を流体連通させた状態を
図2に準じて示す断面図である。
【
図5】(a)は、
図1に示す本発明の実施形態に係る医療器具における内筒及び外筒のみを示すA-A断面斜視図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【
図6】(a)は、
図1に示す本発明の実施形態に係る医療器具における弁体を示す側面図であり、(b)は、(a)のB-B断面図である。
【
図8】
図1に示す本発明の一実施形態に係る医療器具の変形例を
図7に準じて示す断面図である。
【
図9】
図1に示す本発明の一実施形態に係る医療器具の他の変形例を
図7に準じて示す断面図である。
【
図10】
図1に示す本発明の一実施形態に係る医療器具の更なる変形例を
図7に準じて示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図10を参照して、本発明の一実施形態に係る医療器具1について詳細に例示説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る医療器具1は、人体などの生体への輸液などにおいて用いられる医療用コネクタとして構成されており、弾性弁2を有する他の医療器具(本例では医療用コネクタ)3と流体連通可能なコネクタ部4を備えている。医療器具1は、人体などの生体への輸液などにおいて用いられるシリンジ等として構成してもよい。
【0015】
図2に示すように、コネクタ部4は、先端5と、基端6と、中心軸線Oとを有している。また、コネクタ部4は、他の医療器具3と接続可能な内筒7と、該内筒7と他の医療器具3との接続によって弾性弁2が先端5側から押し付けられる弁体8と、内筒7の径方向外側に配置された外筒9とを有している。そして、コネクタ部4は、
図3、
図4に示すように、内筒7を他の医療器具3と接続した状態で内筒7を外筒9に対して中心軸線Oに沿う軸方向に移動させることにより、コネクタ部4と他の医療器具3との流体連通の有無を切り換えるように構成されている。
図3は、医療器具1の内筒7に対して他の医療器具3を接続した時の状態を示し、
図4は、医療器具に対して他の医療器具を流体連通させた状態を示している。
【0016】
図5(a)に示すように、本実施形態では、外筒9は、ねじ溝10を有し、内筒7は、ねじ溝10に案内される係合凸部11を有している。本実施形態では、ねじ溝10は2条溝として構成されており、係合凸部11は、当該2条溝に対応する2つの凸部として構成されている。しかし、ねじ溝10は1条又は3条以上の溝であってもよい。また、本実施形態では、係合凸部11は、円筒状の凸部として構成されているが、ねじ溝10に案内される凸部であればその形状は特に限定されない。本例では、ねじ溝10における先端5側に設けられた側壁には、基端6側の終端部(係合凸部11の可動域の終端部)に、リード角が減少又は消失した停止部12が設けられている。
図4に示すように、流体連通状態では係合凸部11がこのような停止部12で止まっていることで、医療器具1と他の医療器具3とが離間する方向の外力、すなわち引張り方向の外力が付与された場合でも、当該引張り方向の外力によって係合凸部11がねじ溝10に沿って先端5側に案内されない。したがって、外筒9に対して内筒7が先端5側に移動して流体連通が解除されることもない。このような停止部12を設けない構成としてもよい。
【0017】
本実施形態では、
図2に示すように、コネクタ部4は、弁体8を貫通可能なスパイク13を有している。
図6に示すように、弁体8は、スパイク13(
図2参照)が貫通可能なスリット14を有する有頂筒状の頭部15と、軸方向に弾性変形可能な胴部16とを有している。胴部16は蛇腹状に形成されることで、伸縮性を有している。本実施形態では、弁体8の頭部15と胴部16は一体に形成されているが、別体に形成してもよい。また、胴部16に代えて、例えばコイルスプリングを用いてもよい。
【0018】
図7に示すように、スパイク13は、軸方向に延在すると共に先端部17が閉塞した管状をなしており、先端部17は尖鋭状に形成されている。また、先端部17の側面にはスパイク13を貫通する連通孔18が形成されている。したがって、スパイク13が弁体8の頭部15を貫通したとき、スパイク13はその内部に薬液などの流体の流路を形成することができる(
図4参照)。
図2に示すように、本実施形態では、スパイク13は、流路形成部材19の一部を構成している。流路形成部材19は、スパイク13の基端部に連結したメスコネクタ部20と、外筒9の基端部に一体に連結したフランジ21とを有している。このように、本実施形態では、スパイク13は、外筒9と一体に連結している。
【0019】
図2に示すように、他の医療器具3は、弾性弁2によって閉鎖可能な閉鎖式のメスコネクタ部22を有している。そして、内筒7は、他の医療器具3のメスコネクタ部22の外周面に設けられたねじ部23に係合するねじ部24を内周面に有する円筒状の接続筒25を有している。また、内筒7は、接続筒25の基端部に連結すると共に弁体8の頭部15が接した内周面26を有する筒状(本例では円筒状)をなす保持壁27を有している。弁体8の天面(先端面)は、内筒7と他の医療器具3とが接続された状態における弾性弁2との密着性を向上させるために、保持壁27の先端部から先端側に飛び出している。保持壁27の下端部(基端部)は、係合凸部11(
図5(a)参照)を外周面に有する円筒状の係合筒28の先端部に連結している。保持壁27と係合筒28との連結部には、径方向に延びる環状段部29が形成されている。環状段部29には、弁体8の胴部16の先端部が当接しており、胴部16の基端部は、流路形成部材19のフランジ21に当接している。このように、本実施形態では、内筒7は、先端5側に、弁体8の胴部16によって付勢されている。フランジ21には、胴部16の基端部とのシール性を高めるための環状のシール突起30が設けられている。また、スパイク13は、保持壁27の径方向内側に配置されている。
【0020】
また、接続筒25と係合筒28との間には、外筒9に対して係止可能な係止部として係止凹部31(本例では環状に形成)が設けられており、外筒9には係止凹部31に対して係止可能な係止爪32(本例では周方向に等間隔で4つ配置)が設けられている。
【0021】
そして、外筒9に対して内筒7が係止された状態で、
図3に示すように他の医療器具3を内筒7にねじ込むと、弁体8が弾性弁2に押し付けられ、他の医療器具3が内筒7に接続される。次いで、他の医療器具3を内筒7にねじ込むときと同じ方向に回転させると、係止爪32が係止凹部31から離れることで外筒9と内筒7との係合が解け、内筒7の係合凸部11が外筒9のねじ溝10に沿って基端6側に案内されて、内筒7と共に弁体8の頭部15及び弾性弁2が基端6側に移動し、頭部15及び弾性弁2がスパイク13に貫通され、
図4に示すようにコネクタ部4と他の医療器具3とが流体連通する。医療器具1と他の医療器具3とを離脱させるためには、他の医療器具3を医療器具1に対して上記と反対方向に回転させればよい。
【0022】
本実施形態では、
図5(b)、
図7に示すように、保持壁27の内周面26には、アンカー33が一体に形成されている。アンカー33は、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制するように構成されている。本例では、アンカー33は、全周に亘って形成された環状凸部34と、環状凸部34に周方向に間隔(本例では等間隔)を空けて配置された複数(本例では8つ)の小凸部35とで構成されている。環状凸部34は、先端4側に配置され径方向内側に突出する環状端面36と、基端6側端部から環状端面36に向けて徐々に径方向内側への突出幅を拡大する環状傾斜面37とを有している。傾斜面37上には、複数の小凸部35が配置されている。各小凸部35は、先端4側に配置され径方向内側に突出する半円形状の端面38と、基端6側端部から環状端面36に向けて徐々に径方向内側への突出幅を拡大する傾斜面39とを有している。このように、アンカー33は、本例では、保持壁27の内周面26に形成された凸部で構成されている。
【0023】
環状傾斜面37及び傾斜面39が前述したように傾斜しているので、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制できるだけでなく、医療器具1の製造過程において弁体8を内筒7に容易に組み入れることができる。また、アンカー33を前述したように保持壁27の内周面26に形成された凸部で構成する場合、環状凸部34を設けずに、アンカー33を複数又は単数の小凸部35で構成してもよい。
【0024】
本実施形態によれば、コネクタ部4がアンカー33を有しているので、
図3に示したように内筒7と他の医療器具3とが接続された状態における弁体8と弾性弁2との密着性を向上することができる。その結果、コネクタ部4から流体が漏れるおそれを低減することができる。特に、本例ではアンカー33が保持壁27に設けられているので、弾性弁2に押される弁体8の天面(先端面)に比較的近い部分で弁体8の移動を抑制でき、弁体8と弾性弁2との密着性を効果的に向上することができる。
【0025】
図2に示すように、本例では、アンカー33は、係合筒28の内周面にも設けられている。この係合筒28に設けられたアンカー33は、係合筒28の内周面における上端部(先端部)に、周方向に間隔(本例では等間隔)を空けて配置された複数(本例では6つ)の大凸部40で構成されている。大凸部40は、弁体8の胴部16における先端部に接触することで、その摩擦力によって、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制するように構成されている。アンカー33を保持壁27と係合筒28との一方だけに設ける構成としてもよいし、その他の部位に代替的に又は付加的に設ける構成としてもよい。また、アンカー33を内筒7に設ける場合は、弁体8にアンカー33を受ける凹部を適宜設けてもよい。
【0026】
また、アンカー33は、例えば
図8に示すように、弁体8に設けてもよい。
図8に示す変形例では、弁体8の頭部15の外周面における先端部に下向きの環状段部41を設けている。環状段部41は、保持壁27の先端面に係止されている。このように、弁体8に段部で構成されたアンカー33を設けることで、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制することができる。段部に代えて、又は加えて、凸部で構成されたアンカー33を弁体8に設けてもよい。また、この場合、内筒7にアンカー33を受ける凹部を適宜設けてもよい。
【0027】
また、アンカー33は、例えば
図9に示すように、内筒7と弁体8との両方に設けられた段部で構成してもよい。
図9に示す変形例では、保持壁27の内周面26に全周に亘って形成された上向きの環状段部42と、弁体8の頭部15の外周面に全周に亘って形成された下向きの環状段部43とでアンカー33を構成している。保持壁27の環状段部42は、弁体8の環状段部43を係止している。このように、内筒7と弁体8との両方に設けられた段部で構成されたアンカー33を設けることで、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制することができる。
【0028】
さらに、アンカー33は、例えば
図10に示すように、内筒7に形成された粗面44と、弁体8に形成された粗面45とで構成してもよい。このような粗面44、45を介して内筒7と弁体8とを接触させることで、内筒7と弁体8との摩擦抵抗を高め、弁体8が内筒7に対して相対的に基端6側に移動することを抑制することができる。内筒7の粗面44と、弁体8の粗面45との一方を設けない構成としてもよい。また、内筒7の粗面44は、
図10に示すように保持壁27に形成することが好ましく、弁体8の粗面45は、
図10に示すように頭部15に形成することが好ましい。このような粗面部(粗面44、45)を前述した凸部及び/又は段部と組み合わせて設けてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、
図2、
図7に示すように、内筒7が他の医療器具3と接続していないとき、スパイク13の先端部17と弁体8との間には、軸方向に隙間46が形成されている。したがって、
図3に示したように、内筒7と他の医療器具3との接続によって弾性弁2が先端5側から弁体8に押し付けられ、弁体8におけるアンカー33(環状凸部34、小凸部35)より先端側の部分が圧縮されたとしても、軸方向の隙間46が遊びとして機能するので、スパイク13の先端部17によってスリット14が開いてしまうことを抑制できる。したがって、本例では、隙間46を設けたことでも、流体が漏れるおそれを低減している。このような隙間46を設けない構成としてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、スリット14は先端5側から見たときに一文字形状をなしている。そして、
図6(b)に示すように、弁体8の頭部15は、スリット14と直交する方向の外径Dxが、スリット14に沿う方向の外径Dyよりも大きい楕円柱状をなしている。一方、保持壁27の内周面26は、円筒状をなしている。したがって、弁体8の頭部15は、保持壁27の内周面26によってスリット14が閉じる方向に圧縮されている。したがって、本例では、スリット14が閉じる方向に弁体8を圧縮し、スリット14の閉口性を高めることによっても、流体が漏れるおそれを低減している。弁体8を圧縮しない構成としてもよい。
【0031】
また、外筒9、内筒7及び流路形成部材19は、それぞれ、例えば合成樹脂材料の射出成形によって形成することができるが、その材料や成形方法等は特に限定されない。また、弁体8は、例えばゴム又は熱可塑性エラストマー等の弾性材料の射出成形によって形成することができるが、その材料や成形方法等は特に限定されない。さらに、本実施形態では、外筒9、内筒7、流路形成部材19及び弁体8は、それぞれ、1部品で構成されているが、複数部品で構成してもよい。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述したところは本発明の実施形態の一例を示したにすぎず、発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 医療器具
2 弾性弁
3 他の医療器具
4 コネクタ部
5 先端
6 基端
7 内筒
8 弁体
9 外筒
10 ねじ溝
11 係合凸部
12 停止部
13 スパイク
14 スリット
15 頭部
16 胴部
17 スパイクの先端部
18 連通孔
19 流路形成部材
20 メスコネクタ部
21 フランジ
22 メスコネクタ部
23 ねじ部
24 ねじ部
25 接続筒
26 保持壁の内周面
27 保持壁
28 係合筒
29 環状段部
30 シール突起
31 係止凹部
32 係止爪
33 アンカー
34 環状凸部
35 小凸部
36 環状端面
37 環状傾斜面
38 端面
39 傾斜面
40 大凸部
41 環状段部
42 環状段部
43 環状段部
44 粗面
45 粗面
46 隙間
O 中心軸線
Dx 外径
Dy 外径