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特許6995847トリブロックプレポリマー及びシリコーンヒドロゲルにおけるそれらの使用
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  • 特許-トリブロックプレポリマー及びシリコーンヒドロゲルにおけるそれらの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】トリブロックプレポリマー及びシリコーンヒドロゲルにおけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20220107BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20220107BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20220107BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20220107BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C08F293/00
G02C7/04
C08F8/00
C08F290/06
C08F290/12
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019518562
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017051456
(87)【国際公開番号】W WO2018067284
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】62/404,817
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/691,829
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン・スコット・エル
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
(72)【発明者】
【氏名】フォード・ジェームズ・ディー
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-517751(JP,A)
【文献】特表2008-514800(JP,A)
【文献】特開2009-149877(JP,A)
【文献】特表2011-518347(JP,A)
【文献】特表2015-525254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 251/00 - 299/08
C08F 220/00 - 222/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[A]-[B]-[C]を含む生物医学装置を作製するためのトリブロックプレポリマーであって、式中、
[A]及び[C]が独立して、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、
[B]が、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、
前記トリブロックプレポリマーが、エチレン性不飽和基から選択される少なくとも1つの一価反応性基を含み、
前記トリブロックプレポリマーは、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターを使用して形成される、トリブロックプレポリマー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの一価反応性基は、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの一価反応性基が、末端基である、請求項1に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項4】
一価反応性末端基と、1つ以上の一価反応性ペンダント基と、を含む、複数の一価反応性基を含み、記1つ以上の一価反応性ペンダント基が、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、及びこれらの混合物を含むアシル化剤の少なくとも1つの残基である、ペンダント(メタ)アクリレート基を含む、請求項1に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項5】
前記一価反応性基の含有量が、アシル化前ヒドロキシアルキル又はアミノアルキル含有量の約1~約25モル%、又は約1~約10モル%の範囲内である、請求項4に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項6】
約10~約100kDa、又は約20~約80kDa、又は約20~約60kDa、又は約20~約50kDaの範囲内の重量平均分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項7】
(i)セグメント[A]及び[C]が両方とも、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む前記第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、を含み、かつ/又は、
(ii)前記第1の親水性モノマーが、前記第3の親水性モノマーと同じである、請求項1~6のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項8】
[A]及び[C]が独立して、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルN-メチルアセトアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン、3-アクリルアミドプロパン酸、5-アクリルアミドプロパン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩;カルボキシベタイン、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩;3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)、又はこれらの混合物を含む、前記第2の親水性モノマーを更に含み、任意に、
前記第2の親水性モノマーの反復単位が独立して、約1~約50モル%、又は約1~約25モル%、又は約1~約15モル%、又は約1~約10モル%の範囲内でセグメント[A]及び[C]中に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項9】
[B]が、C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、前記第3の親水性モノマーを更に含み、任意に、
前記第3の親水性モノマーの反復単位が、約1~約70モル%、又は約10~約60モル%、又は約20~約60モル%、又は約30~約50モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項10】
(i)前記シリコーン含有マクロマーが、式Iに示される化学構造を含み、
【化1】
Zが、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rが、水素原子又はメチルであり、nが、1~200の間の整数であり、Rが、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yが、1~6の整数であり、各メチレン基が任意に、エーテル、アミン、エステル、ケトン、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよく、又はyが2以上である場合、非末端メチレン基が任意に、カルバメート基で置き換えられたものであるか、あるいは、Rが、オキシアルキレンセグメントO(CHであり、式中、zが、1~3の整数であるか、又はRが、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり、y及びzの和が、1~9であり、R及びRが独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、アルキル-シロキサニル-アルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、1~6個の炭素原子を含有するモノ-、ジ、若しくはトリ-ヒドロキシアルキル基、又はこれらの組み合わせであり、Rが、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよいか、あるいは、
(ii)前記シリコーン含有マクロマーが、式VIIIに示される化学構造を含み、
【化2】
Zが、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Rが独立して、水素原子又はメチル基であり、R、R、及びRが独立して、水素原子、又は1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基であり、これらのいずれも、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、任意に、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、Z=O及びSに対しては、Rは、不要であり、nが、シロキサン反復単位の数であり、4~200であり、Rが、直鎖又は分岐鎖C~Cアルキル基から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項11】
(i)前記シリコーン含有マクロマーが、500ダルトンを超えるか、又は約500ダルトン~約20,000ダルトン、又は約500ダルトン~約10,000ダルトン、又は約500ダルトン~約5,000ダルトン、又は約500ダルトン~約2,000ダルトンの数平均分子量を有し、かつ/あるいは、
(ii)前記シリコーン含有マクロマーの反復単位が、前記トリブロックプレポリマーの総重量の約30~約80重量%、又は約30~約70重量%、又は約40~約70重量%の範囲内で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項12】
(i)セグメント[B]が、前記シリコーン含有マクロマー及び前記第3の親水性モノマーのコポリマーであり、前記シリコーン含有マクロマーの反復単位が、セグメント[B]の総重量の約75~約99重量%、又は約85~約99重量%、又は約90~約99重量%の範囲内で存在し、あるいは、
(ii)セグメント[B]が、前記シリコーン含有マクロマー及び前記第3の親水性モノマーのコポリマーであり、前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の約30~約99モル%、又は約40~約75モル%、又は約55~約75モル%の範囲内で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項13】
前記シリコーン含有モノマーが、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル、N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、任意に、
前記シリコーン含有モノマーの復単位が、約1~約50モル%、又は約1~約25モル%、又は約1~約15モル%、又は約1~約10モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項14】
(i)セグメント[A]、[B]、及び[C]が全て、ホモポリマーであり、任意に、セグメント[A]及び[C]が、同じホモポリマーであるか、又は、
(ii)セグメント[A]、[B]、及び[C]が全て、コポリマーであるか、又は、
(iii)セグメント[A]、[B]、及び[C]が独立して、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーからなる群から選択されるか、又は、
(iv)セグメント[A]及び[C]が、ホモポリマーであり、セグメント[B]が、コポリマーであり、任意に、セグメント[A]及び[C]が、同じホモポリマーである、請求項1に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項15】
セグメント[A]及び[C]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、セグメント[B]が、モノ-アルキル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンのホモポリマー、モノアルキル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサンのホモポリマー、モノアルキル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマー、並びにモノ-アルキル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーからなる群から選択され、任意に、
(i)セグメント[A]及び[C]が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、[B]セグメントが、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン及び前記2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーであるか、又は、
(ii)セグメント[A]及び[C]が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、[B]セグメントが、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン及び前記2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーである、請求項1~14のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマー。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマーを含む、組成物において、
(i)眼科用装置を作製するための反応性モノマー混合物の成分を相溶化するのに有効であり、かつ/又は、
(ii)架橋条件に曝露されると、眼科用装置を形成するのに有効であるシリコーンヒドロゲルを形成する、組成物。
【請求項17】
トリブロックプレポリマーを形成する方法であって、
前記トリブロックプレポリマーが、請求項1~15のいずれか一項に記載のものであり、前記方法が、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターを使用して前記トリブロックプレポリマーを形成することを含む、方法。
【請求項18】
反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルであって、
(a)請求項1~15のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマーと、
(b)セグメント[A]、[B]、及び[C]の前記親水性モノマーとは無関係の少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)前記トリブロックプレポリマー及び[B]の前記任意のシリコーン含有モノマーとは無関係の少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、シリコーンヒドロゲル。
【請求項19】
酸素透過性(Dk)が、少なくとも80バーラー、又は少なくとも85バーラーである、請求項18に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項20】
(i)前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約1%~約99%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約0.1%~約80%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約0.1%~約60%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含むか、又は、
(ii)前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約5%~約40%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約5%~約65%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約10%~約50%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含むか、又は、
(iii)前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約10%~約30%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約10%~約45%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約10%~約40%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、請求項18に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項21】
(a)式[A]-[B]-[C]のトリブロックプレポリマーであって、式中、[A]及び[C]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに基づくホモポリマーセグメントであり、[B]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びモノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンの反復単位に基づくコポリマーセグメントであり、約500Da~約1500Daの範囲内の数平均分子量を有し、前記トリブロックプレポリマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、及びO-ビニルカルボメート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合性基を含む、トリブロックプレポリマーと、
(b)少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)少なくとも1つのシリコーン含有成分と、
(d)少なくとも1つの荷電モノマーと、
(e)少なくとも1つのポリアミドと、
(f)少なくとも1つの架橋剤と、
(g)少なくとも1つの光開始剤と、
(h)以下:UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助食品、抗菌物質、着色料、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせ、のうちの1つ以上と、を含む、
反応性モノマー混合物から形成されている、請求項18に記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項22】
請求項18~21のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルを含み、任意に、
(i)00μg/レンズを超えるリゾチーム取り込みを含み、かつ/又は、
(ii)15%未満、又は更には10%未満の脂質取り込みを含み、かつ/又は、
(iii)100度未満、又は80度未満、又は60度未満の前進接触角を有する、コンタクトレンズ。
【請求項23】
シリコーンヒドロゲルを作製する方法であって、
(a)請求項1~15のいずれか一項に記載のトリブロックプレポリマーを得ることであって、記トリブロックプレポリマーが、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターを使用して形成される、ことと、
(b)前記トリブロックプレポリマーから、かつ任意に他の成分との反応性モノマー混合物を調製することと、
(c)前記反応性モノマー混合物を第1の成形型に導入することと、
(d)第2の成形型を、前記反応性モノマー混合物で充填された前記第1の成形型の上に配置することと、
(e)フリーラジカル共重合によって前記反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状で前記シリコーンヒドロゲルを形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年8月31日に出願された米国特許出願第15/691,829号及び2016年10月6日に出願された米国仮特許出願第62/404,817号に対する優先権を主張し、それら全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、トリブロックプレポリマーを含む反応性モノマー混合物から調製されるシリコーンヒドロゲル、及びそれから作製される眼科用装置に関し、それは、涙液膜成分の透過性の強化を含む、物理的、機械的、及び生物学的特性の優れた組み合わせを示す。
【背景技術】
【0003】
ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルを主成分にしている。多くのユーザは、ソフトコンタクトレンズを一日中装用するのに十分快適であると感じている。大別して2種類のソフトコンタクトレンズ材料、即ち、シリコーンを含有していないヒドロゲル及びシリコーンヒドロゲルから形成されている従来型のソフトコンタクトレンズが存在する。
【0004】
シリコーンヒドロゲルは、高い酸素透過性を有する水膨潤ポリマーネットワークである。これらのレンズは、多くのレンズ装用者に良好な快適度を提供するが、これらのレンズを、特に数日間連続して使用、例えば、最大約30日の長期間の装用中に、不快感、及び視力の低下をもたらす過剰な眼沈着物を経験するユーザが一部存在する。そのような不快感及び沈着物は、レンズの表面の疎水特性、並びにそれらの表面と、タンパク質、脂質、及びムチン、並びに眼の親水性表面と、の相互作用に起因している。
【0005】
シリコーンヒドロゲルは、典型的には、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー又はマクロマーと、少なくとも1つの親水性モノマーと、を含む混合物を重合することによって調製されている。このクラスのレンズ材料は、従来のヒドロゲルレンズと関連する角膜浮腫及び血管過多を低減するため、望ましい。しかしながら、シリコーン成分及び親水性成分が非相溶性であるため、そのような材料は、作製困難である場合がある。
【0006】
シリコーンヒドロゲルは、親水性モノマー、シリコーンモノマー、反応開始剤、架橋剤、希釈剤、並びに染料、紫外線遮断剤、及び湿潤剤等の特定の効果又は特性のためのその他の成分からなる反応性モノマー混合物から合成される。これらの複雑な混合物は、均質であり且つ化学的に安定でなければならない。場合によっては、添加の順序及び混合条件は、最も重要である。マクロマー又はマクロモノマーは、シリコーンヒドロゲル内でグラフトコポリマーセグメントを作製して、特定の物理的及び機械的特性を付与又は強化するために用いられてきた。加えて、高分子量架橋剤又は多官能性プレポリマーもまた、同じ理由で使用されてきた。
【0007】
しかしながら、成分の数が増加するにつれて、均質かつ安定した反応性モノマー混合物を形成する可能性が減少し、これによって、コンタクトレンズの形成が予測不可能又は再現不可能になる。反応性モノマー混合物が適度に均質かつ安定である場合であっても、重合により、得られるシリコーンヒドロゲルは、ソフトコンタクトレンズとして使用するための透明性及び低弾性率等の特性を呈さない場合がある。結果として、反応性モノマー混合物中の他の成分を相溶化し、かつ得られるシリコーンヒドロゲル中の様々なドメイン間に耐久性のある相間を形成し、それにより独特の物理的、機械的、及び生物学的特性をもたらす反応性成分を開発する必要性が、当該技術分野において存在する。
【0008】
基移動重合(GTP)は、トリメチルシリルケテンアセタールを反応開始剤として、及び求核性アニオンを触媒として使用した、(メタ)アクリレートモノマーのリビングアニオン重合プロセスである(米国特許第4,414,372号、同第4,417,034号、同第4,508,880号、同第4,524,196号、及び同第4,581,428号を参照されたい)。GTPは、分子量及びその分布に対して良好な制御を有する広範囲のポリマー及びブロックコポリマーを作製する能力を示している。しかしながら、GTPは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート又はメタクリル酸等の活性水素原子を有するモノマーとは作用せず、高分子量ポリマーの調製は、バックバイティング反応又はその他の鎖終結事象のためにいくらか問題である(J.American Chem.Society 1983,105,5706~5707、Macromolecules 1987,20,1473~1488、及びAdv.Poly Sci.2004,167,1~34を参照されたい)。
【0009】
GTPは、直鎖、分岐鎖、ブロック、及び星形マクロマー又はプレポリマーを調製するために使用されてきた。GTP重合において2-トリメチルシロキシエチルメタクリレートを使用し、続いて水性酸性メタノールで脱保護し、ペンダントヒドロキシル基をイソプロペニルα,α-ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)等のアシル化剤でアシル化することによって、プレポリマーを合成した。これらのプレポリマーは、コンタクトレンズが製造される反応性モノマー混合物中の相溶化成分として組み込まれてきた(米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第4,771,116号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、及び同第5,371,147号を参照されたい)。米国特許第6,367,929号は、トリブロックプレポリマー及びコンタクトレンズの製造におけるその使用を開示している。このトリブロックプレポリマーを、反応性モノマー混合物の逐次添加によって調製し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)のランダムコポリマーからなる末端ブロックと、HEMA、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、及び3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)のランダムターポリマーからなる中間ブロックと、を有するトリブロックポリマーを得て、続いてイソプロペニルα,α-メチルベンジルイソシアネート(TMI)を使用してアシル化工程を行った。このトリブロックプレポリマーと、ジメチルアクリルアミド(DMA)と、ポリビニルピロリドン(PVP)と、TRISと、mPDMSと、を含む反応性モノマー混合物から、コンタクトレンズを作製した。そのような反応性モノマー混合物から作製されたコンタクトレンズの評価は、一貫しておらず、それはおそらく、トリブロックコポリマー中の2-トリメチルシロキシエチルメタクリレート反復単位を脱保護するための反応条件が、TRIS反復単位の一部も加水分解した可能性があり、そのような加水分解の程度がバッチによって異なった可能性があるためである。結果として、GTPは、ある特定のトリブロックコポリマー、特にシリル保護モノマー及び他のシリコーン含有モノマーからのものを作製する再現可能な方法を欠いていることが示されている。
【0010】
あるいは、いくつかのリビングラジカル重合(LRP)又は制御ラジカル重合(CRP)技術が存在し、これは、(メタ)アクリレートのGTPと関連する副反応の一部を回避又は最小化し、それによりトリブロックプレポリマーの再現可能な合成を可能にし得る。これらの方法としては、ニトロキシド媒介LRP(Chem.Rev.2001,101,3661~3688を参照されたい)、金属触媒LRP(Chem.Rev.2001,101,3689~3745及びChem.Rev.2009,109,4963~5050を参照されたい)、原子移動ラジカル重合(ATRP)(Chem.Rev.2001,101,2921~2990を参照されたい)、可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition fragmentation chain transfer、RAFT)重合(Acc.Chem.Res.2008,9,1133~1142を参照されたい)、並びに有機テルル媒介リビングフリーラジカル重合(TERP)(Chem.Rev.2009,109,5051~5068を参照されたい)(米国特許第7,276,569号、同第7,291,690号、同第7,615,601号、及び同第7,662,899号を参照されたい)が挙げられる。
【0011】
TERPは、多様性であり、使用されるモノマーの種類及び存在する官能基に対して比較的非感受性である。特に、活性水素原子を有するモノマーは、GTPとは対照的に使用され得る。典型的には、対象となるモノマーは、有機テルル連鎖移動剤と共に、良好な分子量制御を有するポリマーを作製する一般的な重合条件下で、熱フリーラジカル開始剤若しくは光開始剤を用いて、又はそれらを用いずに混合される(JACS 2002,124,13666~13667及びJACS 2003,125,8720~8721を参照されたい)。ブロックコポリマーは、モノマー混合物の逐次添加によって、又は光誘導ラジカルカップリング反応によって作製される(J.Poly.Sci.Pt.A Polym.Chem.2006,44,1~12及びJACS 2012,134,5536~5539を参照されたい)。TERPによって作製されたポリマーは、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリン1-オキシル(TEMPO)を使用することによって還元されて、これも重合性であり、それによりポリマーをマクロマー又はマクロモノマーに変換するビニリデン末端基を作り出すことができる、有機テルル末端基を有する(Reactive & Functional Polymers 2009,69,416~423を参照されたい)。
【0012】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)コポリマーが研究されている(Chem.Rev.2010,110,1233~1277を参照されたい)。HEMAを有するPDMSブロックコポリマーは、様々なマクロ開始剤方法によって調製されてきた(Polymer J.2012,44,1087~1097を参照されたい)。mPDMSマクロマーを使用するmPDMSグラフトコポリマーも記載されている(Macromolecules 2002,35,5953~5962及びMacromolecules 2003,36,4772~4778を参照されたい)。そのようなグラフトコポリマーは、任意の重合性基がないため、プレポリマーとして好適ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
涙液膜成分の透過性の強化を示す連続装用シリコーンヒドロゲルを必要とする、連続装用コンタクトレンズが、当該技術分野において必要とされている。シリコーンコンタクトレンズの製造で使用される反応性モノマー混合物と相溶性のあるシリコーン含有プレポリマーを提供する必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[A]-[B]-[C]構造を有するトリブロックプレポリマーは、少なくとも1つの一価反応性基を含み、[A]及び[C]は独立して、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第一の親水性モノマーに基づくポリマーセグメントを含み、[B]は、少なくとも1つのシリコーン含有マクロマーと、任意に別のシリコーン含有モノマーと、任意にヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む、第2の親水性モノマーと、に基づくポリマーセグメントを含む。少なくとも1つの一価反応性基は、トリブロックコポリマーの合成中に、例えば、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)後の末端基修飾によって、及び/又はその後、トリブロックコポリマーとメタクリロイルクロリド等の好適なアシル化剤との間の後続のアシル化反応によって形成され得る。一価反応性基含有量は、元の又は予めアシル化されたヒドロキシアルキル又はアミノアルキル含有量の約1モル%~約25モル%で変化し得る。
【0015】
トリブロックプレポリマーの特性は、トリブロックプレポリマーの組成、特に、トリブロックプレポリマーを含むセグメントの組成、分子量、及び反復単位配列分布、並びに一価反応性基の含有量によって制御される。これらの変数を調節することによって、トリブロックプレポリマーは、特定の反応性モノマー混合物を相溶化し、そのような反応性モノマー混合物の重合によって形成される得られるシリコーンヒドロゲルに特定の物理的、機械的、及び生物学的特性を付与するように設計され得る。これらのトリブロックプレポリマーは、シリコーンヒドロゲル及びそれから作製された眼科用装置を作製するために、単独で、又は反応性モノマー混合物中の他の成分と組み合わせて使用され得る。本発明のシリコーンヒドロゲルは、涙成分、特にタンパク質の強化された透過性等、物理的、機械的、及び生物学的特性の独特の組み合わせを示す。
【0016】
第1の態様では、生物医学装置を作製するためのトリブロックプレポリマーは、式[A]-[B]-[C]を含み、[A]及び[C]は独立して、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、[B]は、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、前述のトリブロックプレポリマーは、少なくとも1つの一価反応性基を含む。
【0017】
別の態様では、反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルは、(a)本明細書に開示される任意のトリブロックプレポリマーによるトリブロックプレポリマーと、(b)セグメント[A]、[B]、及び[C]の親水性モノマーとは無関係の少なくとも1つのその他の第4の親水性モノマーと、(c)トリブロックプレポリマー及び[B]の任意のシリコーン含有モノマーとは無関係の少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む。
【0018】
更なる態様は、反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルであり、(a)式[A]-[B]-[C]のトリブロックプレポリマーであって、式中、[A]及び[C]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに基づくホモポリマーセグメントであり、[B]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びモノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンの反復単位に基づくコポリマーセグメントであり、約500ダルトン~約1500ダルトンの範囲内の数平均分子量を有し、前述のトリブロックプレポリマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、及びO-ビニルカルボメート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの一価反応性基を含む、トリブロックプレポリマーと、(b)少なくとも1つの親水性モノマーと、(c)少なくとも1つのシリコーン含有成分と、(d)少なくとも1つの荷電モノマーと、(e)少なくとも1つのポリアミドと、(f)少なくとも1つの架橋剤と、(g)少なくとも1つの光開始剤と、(h)以下:UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助食品、抗菌物質、着色料、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせ、のうちの1つ以上と、を含む。
【0019】
本明細書に記載されるシリコーンヒドロゲルから作製されるコンタクトレンズも提供される。
【0020】
更なる態様は、シリコーンヒドロゲルを作製する方法であって、(a)本明細書に開示される任意のトリブロックプレポリマーを得ることと、(b)トリブロックプレポリマーから、かつ任意に他の成分との反応性モノマー混合物を調製することと、(c)反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと、(d)第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと、(e)フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】TERPによる本明細書に開示されるトリブロックプレポリマーの例示的な合成、及び後続のメタクリロイルクロリドによるアシル化のための化学スキーム及び方程式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
生物医学装置を作製するためのトリブロックプレポリマーは、以下の構造:[A]-[B]-[C]を有し、式中、[A]及び[C]は独立して、両方とも、ヒドロキシアルキル及びアミノアルキル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、[B]は、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、前述のトリブロックプレポリマーは、少なくとも1つの一価反応性基を含む。トリブロックプレポリマーは、一般に、重合性である末端基を含む。トリブロックプレポリマーは、ペンダント一価反応性基を更に含んでもよい。トリブロックプレポリマーの作製及び使用方法も提供される。トリブロックプレポリマーは、シリコーンヒドロゲルを作製するために使用され、これは次いで、コンタクトレンズに使用される。
【0023】
本発明の例示的な態様をいくつか説明する前に、本発明が以下の明細書において明記される構成又はプロセス工程の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な手法で実践又は実行できる。
【0024】
定義
本開示において使用される用語に関しては、以下の一般的な定義が提供される。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。
【0025】
「個体」は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0026】
「生物医学装置」は、哺乳類の組織又は体液、及び好ましくはヒトの組織又は体液のいずれかにおいて用いられるように設計されている任意の物品である。これらの装置の例としては、傷用包帯、シーラント、組織補填材、薬物送達システム、コーティング、癒着防止障壁、カテーテル、インプラント、ステント、縫合糸、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズ等の眼科用装置が挙げられるが、これらに限定されない。生物医学装置は、シリコーンヒドロゲルから作製されるコンタクトレンズを含むコンタクトレンズ等の、眼科用装置であり得る。
【0027】
「眼の表面」には、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管、及びマイボーム腺の表面及び腺上皮、並びにそれらの先端及び基部マトリクス、点、並びに神経支配による上皮の連続性と内分泌系及び免疫系との両方によって機能的システムとして連結されている瞼を含む隣接した又は関連する構造が挙げられる。
【0028】
「眼科用装置」は、眼若しくは眼の表面等の眼の任意の一部の中又は上に存在する、任意の装置を指す。これらの装置は、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分等の活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用装置の例としては、レンズ、光学及び眼挿入物(涙点プラグが挙げられるがこれに限定されない)等が挙げられるが、これらに限定されない。「レンズ」としては、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズが挙げられる。眼科用装置は、コンタクトレンズを含み得る。
【0029】
「コンタクトレンズ」は、個体の眼の角膜上に配置することができる眼科用装置を指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の供給、診断的評価若しくは監視、又は紫外線遮断及び可視光線若しくはグレア低減、又はこれらの組み合わせを含む、矯正的、外見的、又は治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、当該技術分野で既知の任意の適切な材料からなることができ、軟質レンズ、硬質レンズ、又は弾性率、含水量、光吸収特性、若しくはこれらの組み合わせ等の異なる特性を有する少なくとも2つの異なる部分を含むハイブリッドレンズであり得る。
【0030】
本発明の生物医学装置、眼科用装置及びレンズは、シリコーンヒドロゲルから構成され得る。これらのシリコーンヒドロゲルは、典型的には、硬化装置において互いに共有結合したシリコーン成分と親水性及び/又は疎水性モノマーとを含む。
【0031】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、少なくとも1つのシリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは通常、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、修飾されている数字の+/-5%の範囲を指す。例えば、「約10」という表現は、9.5及び10.5の両方を含むであろう。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「(メタ)」とは、任意のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」等の用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0034】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R及びR**を含有しており、これらが各々、3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9つの組み合わせが開示されている。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0035】
一般式[***における「n」等の下付き文字が、ポリマーの化学式における反復単位の数を表示するために使用される場合、この下付き文字は、巨大分子の数平均分子量を最もよく表す整数である。上述の下付き文字は「重合度(DP)」としても知られている。
【0036】
「反復単位」又は「反復化学単位」は、モノマー及びマクロマーの重合の結果生じるポリマーにおける原子の最小反復群である。
【0037】
「巨大分子」は、1500よりも大きい分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても非反応性であってもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「標的巨大分子」とは、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤、添加剤、希釈剤等を含む反応性モノマー混合物から合成されている、目的の巨大分子である。
【0039】
「ポリマー」は、鎖又はネットワーク構造に一緒に連結された反復化学単位の巨大分子の試料であり、反応性混合物に含まれるモノマー及びマクロマー由来の反復単位からなる。ポリマーは、分子量分布を有する。
【0040】
「ホモポリマー」は、1つのモノマー又はマクロマーから作られるポリマーであり、「コポリマー」は、2つ以上のモノマー、マクロマー又はこれらの組み合わせから作られるポリマーである。「ターポリマー」は、3つのモノマー、マクロマー又はこれらの組み合わせから作られるポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成的に異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「櫛形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作られる。
【0041】
「重合性」は、化合物が、フリーラジカル重合等の連鎖成長重合を受けることができる少なくとも1つの一価反応性基を含むことを意味する。「非重合性」は、化合物がそのような一価反応性基を含まないことを意味する。重合性化合物は、反応性成分である。重合性化合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及びこれらの混合物であり得る。
【0042】
「一価反応性基」は、フリーラジカル、カチオン、及び/又はアニオン重合等の連鎖成長重合を受けることができる基である。一価反応性基の一般的な例は、エチレン性不飽和基である。一価基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、その他のビニル基、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
バルク、溶液、懸濁液、及びエマルションを含むがこれらに限定されない、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合等の、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0044】
「反応開始剤」とは、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱反応開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型的な例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシド等のペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウム等の過酸、並びに様々な酸化還元系である。光反応開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0045】
「モノマー」とは、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受けて、それにより標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことができる1つの一価反応性基を含む分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」とは、5重量%の濃度において25℃で脱イオン水と混合されたときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。
【0046】
「親水性成分」とは、5重量%の濃度において25℃で脱イオン水と混合されたときに、透明な単相溶液が得られる、反応開始剤、モノマー、マクロマー、架橋剤、プレポリマー、添加剤、又はポリマーである。
【0047】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」とは、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それにより標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことができる1つの末端基を有する巨大分子である。典型的には、マクロマーの化学構造は、標的巨大分子の化学構造とは異なり、つまり、マクロマーのペンダント基の反復単位は、標的巨大分子又はその主鎖の反復単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。結果として、かつ本明細書で使用される場合、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ以上の反応性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、本質的にマクロマーの一般的な定義を拡大してプレポリマーを含む。
【0048】
「架橋剤」は、分子上の2つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それにより分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレート等である。
【0049】
「プレポリマー」は、一価反応性基を通して更に重合し、それにより標的巨大分子の少なくとも1種の鎖に1つを超える反復単位を寄与することが可能な二官能性又は多官能性巨大分子又はオリゴマーである。架橋剤とプレポリマーとの間の差は、化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。例えば、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)は、上記の定義に従ってプレポリマーでもある、頻繁に使用される二官能性シロキサン架橋剤である。
【0050】
本発明のトリブロックプレポリマーは、そのようなトリブロックプレポリマーをマクロマーにもする、典型的には末端基として1つの一価反応性基、又は典型的には複数のペンダント基及び末端基としての1つを超える一価反応性基のいずれかを有する、トリブロックコポリマーである。
【0051】
「ポリマーネットワーク」は、本質的に1つの巨大分子であるため、膨潤することができるが良溶媒に溶解できない架橋巨大分子である。「ヒドロゲル」とは、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」とは、少なくとも1つの親水性成分と共に少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0052】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ基、シロキサン基、又はカルボシロキサン基も有さないモノマー及びその他の反応性成分から作られるポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニル等の親水性モノマーを主に含有する反応性モノマー混合物から調製される。米国特許第4,436,887号,同第4,495,313号,同第4,889,664号,同第5,006,622号,同第5,039,459号,同第5,236,969号,同第5,270,418号,同第5,298,533号,同第5,824,719号,同第6,420,453号,同第6,423,761号,同第6,767,979号,同第7,934,830号,同第8,138,290号,及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形の全てを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分との少なくとも1つのシリコーン含有成分の共重合によって得られるヒドロゲルを指す。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。シリコーン含有成分及び親水性成分の各々は、モノマー、マクロマー、架橋剤、プレポリマー、又はこれらの組み合わせであり得る。シリコーン含有成分は、少なくとも1つのシロキシ基、シロキサン基、又はカルボシロキサン基を含む。市販のシリコーンヒドロゲルの例としては、バラフィルコン(balafilcon)、アクアフィルコン(acquafilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、ファルコンII(falcon II)、アスモフィルコンA(asmofilcon A)、サムフィルコン(samfilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、ステンフィルコン(stenfilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)(それらの変形の全てを含む)、並びに米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されているようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
「相互貫入ポリマーネットワーク」即ち「IPN」は、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り分離させることができない、2つ以上のポリマーネットワークを含むポリマーである。
【0055】
「半相互貫入ポリマーネットワーク」即ち「半IPN」は、直鎖又は分岐鎖のうちの少なくともいくつかによるネットワークのうちの少なくとも1つの分子スケールでの貫入を特徴とする、1つ以上のポリマーネットワーク(複数可)及び1つ以上の直鎖又は分岐鎖ポリマー(複数可)を含む、ポリマーである。
【0056】
「反応性混合物」、「反応混合物」、及び「反応性モノマー混合物」(RMM)は、共に混合され、重合条件に曝露されると、本発明のシリコーンヒドロゲル及びレンズを形成する成分の混合物(反応性及び非反応性の両方)を指す。反応性モノマー混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤、希釈剤等の反応性成分、並びに湿潤剤、離型剤、染料、光吸収化合物、例えば、UV吸収剤、顔料、染料、フォトクロミック化合物(それらのいずれも反応性又は非反応性であってよいが、得られる生物医学装置内に保持されることが可能である)、並びに医薬化合物及び栄養補助化合物、及び任意の希釈剤等の追加の成分を含む。作製される生物医学装置及びその使用目的に基づき、多様な添加剤が添加され得ることが理解されるであろう。反応性混合物の成分の濃度は、希釈剤を除いて、反応混合物中の全ての成分の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応混合物中の全ての成分及び希釈剤の量に基づき重量百分率として表される。
【0057】
「反応性成分」は、共有結合、水素結合、又は相互貫入ポリマーネットワークの形成によって、得られるシリコーンヒドロゲルのポリマーネットワークの化学構造の一部となる、反応性混合物中の成分である。ポリマーの構造の一部にならない希釈剤及び加工助剤は、反応性成分ではない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「シリコーン含有成分」は、典型的にはシロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する反応性組成物中の反応開始剤、モノマー、マクロマー、架橋剤、プレポリマー、ポリマー、又は添加剤である。
【0059】
本発明で有用であるシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,473,735号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,956,131号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,686,099号、同第8,662,663号、同第8,772,367号、同第8,772,422号、同第8,835,583号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,974,775号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,200,119号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,255,199号、同第9,260,544号、同第9,296764号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、欧州特許第080539号、及び国際公開第2014/123959号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
トリブロックプレポリマー
生物医学装置の製造で使用されるトリブロックプレポリマーは、式:
[A]-[B]-[C]を有し、式中、
[A]及び[C]は独立して、ヒドロキシアルキル及びアミノアルキル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、
[B]は、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、前述のトリブロックプレポリマーは、少なくとも1つの一価反応性基を含む。
【0061】
一価反応性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0062】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]及び[C]は独立して、C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む第1の親水性モノマーから形成され得る。
【0063】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]及び[C]は独立して、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む第1の親水性モノマーから形成されてもよい。
【0064】
ポリマーセグメント[A]及び[C]は両方とも、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)であってよく、[B]は、mPDMSのグラフトホモポリマーであるポリ(モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)(ポリ[mPDMS])である。
【0065】
ポリマーセグメント[A]及び[C]は両方とも、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)であってよく、[B]は、mPDMS及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフトコポリマーである、ポリ(モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン-コ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート)((ポリ[mPDMS-co-HEMA])である。
【0066】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]及び[C]は、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニルN-メチルアセトアミド(VMA)、N-イソプロピルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(METAC又はQ塩)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT);1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT);3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、及びこれらの混合物からなる群から独立して選択される第1の親水性モノマーと第2の親水性モノマーとを独立して含む、反応性モノマー混合物から形成され得る。
【0067】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]及び[C]は独立して、第2の親水性モノマーを、[A]及び[C]の約0~約50モル%の範囲内の量、[A]及び[C]の約0~約25モル%の範囲内の量、[A]及び[C]の約0~約15モル%の範囲内の量、[A]及び[C]の約0~約10モル%の範囲内の量で含み、最も好ましくは、任意の他の親水性モノマーを含まない。
【0068】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[B]は、約1~約200の二価二置換シロキサン反復単位を有し、C~C直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基で終端する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、及びO-ビニルカルバメートからなる群から選択される1つの一価反応性基を含むシリコーン含有マクロマーから形成され得る。
【0069】
シリコーン含有マクロマーは、式Iに示される化学構造を含み得、
【0070】
【化1】
式中、ZはO、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、nは、1~200の間、又は1~100の間、又は1~50の間、又は1~20の間の整数であり、Rは、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yは、1~6、1~4、又は2~4の整数であり、各メチレン基は任意に、エーテル、アミン、エステル、ケトン、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよく、又はyが2以上である場合、非末端メチレン基が任意に、カルバメート基で置き換えられたものであるか、あるいは、Rは、オキシアルキレンセグメントO(CHであり、式中、zは、1~3の整数であるか、又はRは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり、y及びzの和は、1~9であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、アルキル-シロキサニル-アルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、1~6個の炭素原子を含有するモノ-、ジ、若しくはトリ-ヒドロキシアルキル基、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい。
【0071】
これらのシリコーン含有マクロマーの非限定的な例としては、式IIに示されるモノ-n-アルキル末端モノ-メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(式中、nは、3~50、3~25、及び3~15であり、Rは、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基である)、式IIIに示されるモノ-n-ブチル末端モノ-メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)(式中、nは、3~50、3~25、又は3~15である)、及び式IV~XIに示される化学構造を有するマクロマー(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、各R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基であり、nは、3~50、3~25、又は3~15である)が挙げられる。
【0072】
【化2】
【0073】
【化3】
【0074】
好適なモノ-アルキル末端モノ(メタ)アクリルオキシアルキル末端ポリジアルキルシロキサンの例としては、モノ-n-ブチル末端モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-メチル末端モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-ブチル末端モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジエチルシロキサン、モノ-n-メチル末端モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端ポリジエチルシロキサン、モノ-アルキル末端モノ(メタ)アクリルアミドアルキル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ-アルキル末端モノ(メタ)アクリルオキシアルキル末端ポリジアリールシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
シリコーン含有マクロマーは、式XIIに示される化学構造を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)を含み得、
【0076】
【化4】
式中、ZはO、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、nは、1~200の間の整数であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい。
【0077】
ヒドロキシル含有マクロマーの例としては、式XIIIに示されるようなモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)(式中、nは、4~30、4~8、又は10~20である)、並びに式XIV及びXVに示されるような化学構造を有するマクロマー(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、nは、4~30、4~8、又は10~20であり、Rは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい)が挙げられる。
【0078】
【化5】
【0079】
シリコーン含有マクロマーは、式XVIに示される化学構造を含み得る。
【0080】
【化6】
式中、Rは、水素原子又はメチルであり、nは、1~200の間の整数であり、Rは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換又は非置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されてもよく、Rは、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yは、0~6、0~4、又は0~2の整数であり、各メチレン基は任意に、エーテル、アミン、アルコール、エステル、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよい。
【0081】
シリコーン含有マクロマーは、式I~XVIに示される化学構造を有するマクロマーの混合物であってよい。
【0082】
好ましくは、シリコーン含有マクロマーは、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(ジアルキルシロキサン)、モノアルキル末端、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(ジアリールシロキサン)、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(アルキルアリールシロキサン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0083】
最も好ましくは、シリコーン含有マクロマーは、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(式III)、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(式XIII)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0084】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[B]は、シリコーン含有マクロマーと、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーからなる群から選択される別の成分と、シリコーン含有モノマーと、から形成されてもよい。
【0085】
具体的には、第3の親水性モノマーは、C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0086】
より具体的には、第3の親水性モノマーは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。最も好ましくは、第3の親水性モノマーは、2-ヒドロキシルエチルメタクリレートである。
【0087】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[B]は、第3の親水性モノマーを、約0~約50モル%の範囲内の量、約0~約25モル%の範囲内の量、約0~約15モル%の範囲内の量、約0~約10モル%の範囲内の量、約0~約5モル%の範囲内の量、最も好ましくは、[B]の約1~約5モル%の範囲内の量で含む。
【0088】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[B]は、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル、N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるシリコーン含有モノマーを更に含んでもよい。
【0089】
好ましくは、トリブロックプレポリマーは、約30~約80重量%、約30~約70重量%、及び約40~約70重量%のシロキサン含有マクロマーの反復単位からなる。
【0090】
より好ましくは、トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[B]は、コポリマーを含み、このコポリマーは、[B]の約75~約99重量%、[B]の約85~約99重量%、[B]の約90~約99重量%、[B]の約50~約99モル%、[B]の約50~約75モル%、及び[B]の約60~約75モル%のシロキサン含有マクロマーの反復単位を有する。
【0091】
ポリマーセグメント[B]は、シリコーン含有モノマーの反復単位を、約1~約50モル%の範囲内の量、約1~約25モル%の範囲内の量、約1~約15モル%の範囲内の量、及び[B]の約1~約10モル%の範囲内の量で更に含んでもよい。
【0092】
トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]、[B]、及び[C]は全て、ホモポリマーであってもよく、又はトリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]、[B]、及び[C]は全て、コポリマーであってもよく、トリブロックプレポリマーのポリマーセグメント[A]、[B]、及び[C]は独立して、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーからなる群から選択されてもよい。最も好ましくは、ポリマーセグメント[A]及び[C]は、ホモポリマーであり、ポリマーセグメント[B]は、コポリマーである。
【0093】
特に、ポリマーセグメント[A]及び[C]は両方とも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーであってよく、ポリマーセグメント[B]は、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)又はモノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)由来の反復単位と、セグメント[A]及び[C]を調製するために使用されるのと同じヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、を含むコポリマーである。
【0094】
最も好ましくは、ポリマーセグメント[A]及び[C]は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーであり、ポリマーセグメント[B]セグメントは、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)由来の反復単位を含むコポリマーである。
【0095】
ポリマーセグメント[A]及び[C]は、2-ヒドロキシエチルメタクリレーのホモポリマーであってよく、ポリマーセグメント[B]セグメントは、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート由来の反復単位を含むターポリマーである。
【0096】
トリブロックプレポリマーは、約10~約100kDaの範囲内、約20~約80kDaの範囲内、約20~約60kDaの範囲内、約20~約50kDaの範囲内の重量平均分子量を有し得、眼科用装置を作製するための反応性モノマー混合物の成分を相溶化するために使用され得る。そのような相溶性の反応性モノマー混合物は、重合条件に曝露されると、眼科用装置を形成するのに有効であるシリコーンヒドロゲルを形成する。
【0097】
トリブロックプレポリマーは、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターの存在下で形成され、任意にかつ連続的に、元の予めアシル化されたヒドロキシアルキル若しくはアミノアルキル含有量の約1モル%~約25モル%の範囲内のアシル化剤によって形成される一価反応性基含有量を有するか、又は好ましくは、元の予めアシル化されたヒドロキシアルキル若しくはアミノアルキル含有量の約1モル%~約10モル%の範囲内の一価反応性基含有量を有する、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、及びこれらの混合物を含むアシル化剤の存在下で形成され得る。
【0098】
本発明のトリブロックプレポリマーの代表的な合成は、図1に概略的に示されており、「テルルメディエーター」は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用してTERPにおける共重合を制御するために使用される。A、B、及びCによって表される3つの異なる反応性モノマー混合物は、順次に添加されて、対応するセグメントA、B、及びCを形成し、式中、x、y、及びzは、セグメント中の重合度又は反復単位の数を表す。「テルル含有コポリマー」の「テルル末端基」は、2,2,6,6-テトラメチルピペリン1-オキシル(TEMPO)又は同様の試薬によって除去されて、重合性末端基を有する「トリブロックプレポリマー1」を作り出す。トリブロックプレポリマー1は、本発明のトリブロックプレポリマーの単官能又はマクロマー型である。図1に示される重合性末端基は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートから形成される反復単位と関連する重合性末端基であり、これは例示目的のみに使用される。異なるモノマーは、異なる反復単位及び末端基を形成する。前駆体コポリマーは、例えば、図1に示されるようなメタクリロイルクロリド等の重合性アシル化剤、及びトリブロックプレポリマー1のヒドロキシル基を伴う、様々なアシル化反応によって更に官能化されて、本発明の多官能型のトリブロックプレポリマー、即ち「トリブロックプレポリマー2」を形成し得る。
【0099】
シリコーンヒドロゲル
反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルは、本明細書に開示される任意のトリブロックプレポリマー[A]-[B]-[C]を含み、[A]及び[C]は独立して、ヒドロキシアルキル及びアミノアルキル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、[B]は、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、に基づくポリマーセグメントであり、前述のトリブロックプレポリマーは、少なくとも1つの一価反応性基と、トリブロックプレポリマー中の[A]、[B]及び[C]セグメントの親水性モノマーとは無関係の少なくとも1つのその他の第4の親水性モノマーと、トリブロックプレポリマー及び[B]の任意のシリコーン含有モノマーとは無関係の少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む。シリコーンヒドロゲルは、以下の成分:少なくとも1つの荷電モノマー、少なくとも1つのポリアミド、及び少なくとも1つの架橋剤のうちの1つ以上を任意に含んでもよい。
【0100】
トリブロックプレポリマーは、反応性モノマー混合物中に、約1重量%~約99重量%の範囲内、好ましくは約5重量%~約40重量%の範囲内、最も好ましくは約10重量%~約30重量%の範囲内の量で存在し得る。
【0101】
第4の親水性モノマーは、ヒドロゲルを作製するのに有用であることが知られている親水性モノマーのいずれかであってよい。親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、その他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0102】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0103】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物等、イオン性であってもよい。そのような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0104】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例には、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0105】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0106】
その他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0107】
第4の親水性モノマーも、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミド等の重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの一価反応性基を有し、プレポリマーは、2つ以上の反応性基を有する。
【0108】
本発明の好ましい第4の親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。その他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0109】
一般に、反応性モノマー混合物中に存在する第4の親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込み等を含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づき選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、約5~約65重量%の範囲内及び約10~約45重量%の範囲内等、約0.1~約80重量%の範囲内の量で存在してよい。
【0110】
シリコーン含有成分
シリコーン含有成分は、モノマーであってもマクロマーであってもよく、少なくとも1つの一価反応性基と、少なくとも1つのシロキシ基、シロキサン基、又はカルボシロキサン基と、を含み得る。シリコーン含有成分は、少なくとも4つの反復シロキサン単位を有し得、これらは、以下に定義される基のいずれであってもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0111】
シリコーン含有成分は、式XVIIのポリ二置換シロキサンマクロマーから選択されてよく、
【0112】
【化7】
式中、少なくとも1つのRは、一価反応性基であり、残りのR基は独立して、一価反応性基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、上記のいずれも、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基、フルオロアルキルアルキル基又はアリール基、部分フッ素化アルキル基又はアリール基、ハロゲン、直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基又はアリールオキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、ポリプロピレンオキシアルキル基、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル基、及びアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含んでもよい1~100個のシロキサン反復単位を含む一価シロキサン鎖を更に含んでもよく、式中、nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nはマクロマーの数平均分子量を最もよく表すモードであることが理解される。
【0113】
式XVII中、1~3つのR部分は、一価反応性基を含み得る。好適な一価アルキル基及びアリール基としては、置換及び非置換メチル、エチル、プロピル、ブチル等の非置換及び置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状C~Cアルキル基、置換若しくは非置換C~C14アリール基、又は置換若しくは非置換Cアリール基が挙げられ、置換基としては、アミド基、エーテル基、アミノ基、ハロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、又はフェニル基、又はベンジル基、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0114】
1つのRが一価反応性基であるとき、シリコーン含有化合物は、式Iのポリ二置換シロキサンマクロマー、又は式XIのポリ二置換カルボシロキサンマクロマー、又は式XVIのスチリルポリ二置換シロキサンマクロマーから選択され得る。
【0115】
【化8】
式中、ZはO、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、nは、1~200、1~100、4~50、又は5~25の間の整数であり、Rは、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yは、1~6、1~4、及び2~4の整数であり、各メチレン基は任意に、エーテル、アミン、エステル、ケトン、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよく、あるいは、Rは、オキシアルキレンセグメントO(CHであり、式中、zは、1~3の整数であるか、又はRは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり、y及びzの和は、1~9であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよく、Rは、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yは、0~6、0~4、又は0~2の整数であり、各メチレン基は任意に、エーテル、アミン、アルコール、エステル、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよい。
【0116】
1つのRが一価反応性基であるとき、追加のシリコーン含有化合物は、式XVIII~XXのポリ二置換シロキサンマクロマーから選択され得る。
【0117】
【化9】
式中、ZはO、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、n及びnは独立して、1~200、1~100、4~50、又は5~25の間の整数であり、nは、1~50、1~20、又は1~10の間の整数であり、qは、1~50、5~30、又は10~25の間の整数であり、Rは、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yは、1~6、1~4、及び2~4の整数であり、各メチレン基は任意に、エーテル、アミン、エステル、ケトン、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよく、あるいは、Rは、オキシアルキレンセグメントO(CHであり、式中、zは、1~3の整数であるか、又はRは、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり、y及びzの和は、1~9であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい。
【0118】
これらのシリコーン含有マクロマーの非限定的な例としては、以下の式IIに示されるモノ-n-アルキル末端モノ-メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(式中、nは、3~50、3~25、及び3~15であり、Rは、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基である)、式IIIに示されるモノ-n-ブチル末端モノ-メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)(式中、nは、3~50、3~25、及び3~15である)、並びに式IV~XI及び式XXIに示される化学構造を有するマクロマー(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、R2及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基であり、nは、3~50、3~25、又は3~15であり、mは、1~50、1~20、又は1及び10である)が挙げられる。
【0119】
【化10】
【0120】
【化11】
【0121】
【化12】
【0122】
好適なモノ(メタ)アクリルオキシアルキルポリジアルキルシロキサンの例としては、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサン、モノ(メタ)アクリルオキシアルキル末端モノアルキルポリジアリールシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0123】
スチリルマクロマーの例は、以下の化学式XXII~XXVIIに示されており、式中、nは、1~200、1~100、4~50、又は5~25の整数である。
【0124】
【化13】
【0125】
非ヒドロキシルシリコーン含有成分は、二官能性(架橋剤)又は多官能性(プレポリマー)であってよい。そのような二官能性シリコーン成分の例は、化学式XXVIII~XXXIIに示されており、式中、Zは、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖のポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換のアリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、又はフッ素原子であり、n及びnは独立して、4~100、4~50、又は4~25から選択され、nは、1~50、又は1~20から選択され、mは、1~100、1~50、1~20、又は1~10から選択され、qは、1~50、5~30、又は10~25から選択される。
【0126】
【化14】
【0127】
式XVII中の1~4つのRは、式XXXIIIに示される化学構造を有するビニルカーボネート又はビニルカルバメート部分を含んでもよく、式中、Yは、O、S、又はNHを表し、Rは、水素原子又はメチル基を示し、pは、0又は1である。
【0128】
【化15】
【0129】
シリコーン含有ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的には、1,3-ビス[4-(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト-1-イル]テトラメチル-ジシロキサン、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び式XXXIVの架橋剤が挙げられる。
【0130】
【化16】
【0131】
別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート、及びイソシアナトエチルメタクリレートの反応によって形成される、式XXXV(式中、x及びyの和は、10~30の範囲内の数である)に示される化合物である。
【0132】
【化17】
【0133】
非ヒドロキシル含有シリコーン含有成分は、米国特許第8,415,405号の非ヒドロキシル含有アクリルアミドシリコーンから選択され得る。本発明での使用に適した他のシリコーン成分は、ポリシロキサン基、ポリアルキレンエーテル基、ジイソシアネート基、ポリフッ素化炭化水素基、ポリフッ素化エーテル基及び多糖類基を含有するマクロマー等、国際公開第96/31792号に記載されているものが挙げられる。好適なシリコーン含有成分の別の種類には、GTPを介して作製されるシリコーン含有マクロマーが挙げられ、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号及び同第6,367,929号に開示されているシリコーン含有マクロマー等がある。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号及び同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する、極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記載している。米国特許出願公開第2002/0016383号は、エーテル及びシロキサニル結合を含有する親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル基及びポリシロキサニル基を含有する架橋可能なモノマーを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0134】
非ヒドロキシル含有シリコーン成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ-n-アルキル末端直鎖ポリジアルキルシロキサン、ジメタクリルオキシプロピル末端直鎖ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。非ヒドロキシル含有シリコーン成分はまた、モノメタクリレート末端ポリジメチルシロキサン及びこれらの混合物から選択されてもよい。非ヒドロキシル含有シリコーン成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0135】
シリコーン含有成分は、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、約0.1~約60重量%の範囲内、好ましくは約10~約50重量%の範囲内の量で存在してよい。
【0136】
ヒドロキシル含有シリコーン成分の元素Si含有量は、ヒドロキシル含有シリコーン成分の総分子量の約20重量%を超え、約20~約38重量%である。
【0137】
ヒドロキシル含有シリコーン成分としては、式XIIの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)が挙げられ、
【0138】
【化18】
Zは、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rは、水素原子又はメチルであり、nは、1~200の間の整数であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、Rは、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい。
【0139】
ヒドロキシル含有シリコーン成分の例としては、式X、XIII、XIV、及びXVに示されるマクロマーが挙げられる。1つの好ましいマクロマーは、式XIIIに示されるようなモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)である。ヒドロキシル含有シリコーンマクロマーの他の非限定的な例は、式XXXVI~XXXXに示されており、式中、Rは、水素原子又はメチルであり、n、n、及びnは独立して、4~100、4~50、又は4~25の間であり、R及びRは独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、C(OH)の式を有する直鎖若しくは分岐鎖C~C基(式中、f=1~8及びg+h=2f+1である)及びC(OH)の式を有する環状C~C基(式中、f=1~8及びg+h=2f+1である)から選択されるポリヒドロキシル基、並びにこれらの組み合わせであり、又はRは、メチル、ブチル、若しくはヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル、及び2,3-ジヒドロキシプロピル等のヒドロキシル置換C~Cアルキルから選択されてもよく、a及びbは、4~100、4~50、4~25、又は4~8である。
【0140】
【化19】
【0141】
シリコーン含有成分はまた、式XXXXIに概略的に示される二官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)、及びこれらの混合物であってよく、
【0142】
【化20】
Zは、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Rは独立して、水素原子又はメチル基であり、Z=O及びSに対しては、Rは、不要であり、R、R、R、R、及びR10は独立して、水素原子、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基(それらのいずれも、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、それは、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、及び組み合わせにより任意に置換されたものであってもよい)、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意に置換される、直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシ基、特にエチレンオキシ基、[CHCHO](式中、rは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20である)、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意に置換される、C~C直鎖又は分岐鎖フルオロアルキル基、置換又は非置換アリール基、特にフェニル基(置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、並びにハロゲン基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及びカルボキシル基で更に置換され得る直鎖又は分岐鎖又は環状アルキル基、並びにこれらの組み合わせから選択され、式中、a、b、c、x、y、及びzは独立して、0~100、0~50、0~20、0~10、又は0~5であり、任意の分子配列で順序付けられて、広範な置換ヒドロキシル-オキサ-アルキレン鎖を作製し得、nは、シロキサン反復単位の数であり、10~500、10~200、10~100、10~50、又は10~20である)である。
【0143】
より具体的には、シリコーン成分は、式VIIIの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)(式中、nは、4~8のシロキサン反復単位である)、並びに式VIIIの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)(式中、nは、10~20のシロキサン反復単位である)、式XXXXIIの二官能性ヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される第2のヒドロキシル置換ポリ(ジアルキルシロキサン)の混合物を含んでもよく、
【0144】
【化21】
は独立して、水素原子又はメチル基であり、Rは独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基(それらのいずれも、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、それは、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、及びこれらの組み合わせによって任意に置換されたものであってもよい)であり、nは、10~500、10~200、10~100、10~50、10~20から選択される。
【0145】
多官能性ヒドロキシル含有シリコーンの例としては、α-(2-ヒドロキシ-1-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)-ω-ブチル-デカメチルペンタシロキサン、並びに式XXXXIII及びXXXXVの二官能性ポリシロキサンが挙げられ、式中、n、n、n、n、a、b、及びcは独立して、0~200、0~100、0~50、又は0~20であり、Zは、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O及びSに対しては、Rは、不要であり、Rは独立して、水素原子又はメチル基であり、Rは独立して、水素原子、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基(それらのいずれも、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、それは、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、及び組み合わせにより任意に置換されたものであってもよい)、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意に置換される、直鎖又は分岐鎖アルキレンオキシ基、特にエチレンオキシ基、[CHCHO](式中、rは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20である)、1つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせで任意に置換される、C~C直鎖又は分岐鎖フルオロアルキル基、置換又は非置換アリール基、特にフェニル基(置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、並びにハロゲン基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及びカルボキシル基で更に置換され得る直鎖又は分岐鎖又は環状アルキル基、並びにこれらの組み合わせから選択される)である。
【0146】
【化22】
【0147】
シリコーン含有成分は、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、約0.1~約60重量%の範囲内、好ましくは約10~約50重量%の範囲内の量で存在してよい。
【0148】
シリコーン含有成分は、分岐シロキサン基を有するシリコーン含有モノマーを更に含み得る。例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(Styryl-TRIS)、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、N-[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル]-プロピルアクリルアミド(TRIS-Am)、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA又はSiGMA)、及びその他の嵩高いシリコーンモノマー、例えば式XXXXVI~LIV(式中、R11は独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はトリメチルシロキシ基である)にあるものが挙げられる。
【0149】
【化23】
【0150】
【化24】
【0151】
【化25】
【0152】
ポリアミド
反応性モノマー混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでよい。本明細書で使用するとき、用語「ポリアミド」は、アミド基を含有す反復単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得、当業者に既知の任意のポリアミドであってよい。
【0153】
非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0154】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式LV及びLVIの反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0155】
【化26】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR16)-であり、式中、R16は、C~Cアルキル基であり、R12は、H、直鎖又は分岐鎖の置換又は非置換C~Cアルキル基から選択され、R13は、H、直鎖又は分岐鎖の置換又は非置換C~Cアルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R14は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R15は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R12及びR13の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下であり、R14及びR15の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下である。R12及びR13の炭素原子の数は合計で、6以下又は4以下であってよい。R14及びR15の炭素原子の数は合計で、6以下であってよい。本明細書で使用される場合、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせで置換されたアルキル基を含む。
【0156】
12及びR13は独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であってよく、R16及びR17は独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基から選択され得る。
【0157】
14及びR15は独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0158】
本発明の非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの反復単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%等、式LV若しくは式LVIの反復単位の少なくとも50モル%を含み得る。
【0159】
式LV及び式LVIの反復単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式LVII及びLVIIIの非環状アミド由来の反復単位が挙げられ、
【0160】
【化27】
【0161】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式LIXの反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0162】
【化28】
式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR16)-であり、式中、R16は、C~Cアルキル基である。式LIXI中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式LIX中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式LIX中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。
【0163】
Xが直接結合のとき、fは、2であってよい。そのような場合、環状ポリアミドは、PVPであり得る。
【0164】
本発明の環状ポリアミドは、式LIXの反復単位の50モル%以上を含んでよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%等、式LIXの反復単位の少なくとも50モル%を含むことができる。
【0165】
式LIXの反復単位の具体的な例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)由来の反復単位が挙げられる。
【0166】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の反復単位を含むコポリマーであってもよい。追加の反復単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、その他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の反復単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれてよい。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS #148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT、カルボキシベタイン、CAS 79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS 80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0167】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はそれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はそれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにそれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。
【0168】
反応性混合物中の全ポリアミドの総量は、反応性モノマー混合物の総重量に基づき15重量%よりも大きい。反応性モノマー混合物は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づき、約16重量%~約30重量%の範囲内、及び約20重量%~約30重量%の範囲内等、15.1重量%~約35重量%の範囲内の量でポリアミドを含んでよい。
【0169】
理論に束縛されるものではないが、ポリアミドは、結果得られるシリコーンヒドロゲルにおいて内部湿潤剤として機能する。本発明のポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。あるいは、本発明のポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。
【0170】
ポリアミドは、表面処理をすることなく、シリコーンヒドロゲルレンズの湿潤性を改善する。従来技術のシリコーンヒドロゲル配合物において、15%を超える量で湿潤剤を含むことが困難であったのは、疎水性であるシリコーン成分、及び親水性であり、かつ100,000ダルトンを超え、多くの場合1,000,000ダルトンである重量分子量を有する湿潤剤の本質的な不相溶性のためである。この不相溶性は、約80、90、又は100バーラーよりも大きい酸素透過性(Dk)が所望される配合物に対して特に難題である。本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも2つのヒドロキシル官能性ポリジアルキルシロキサンの混合物を含むことが、非常に高濃度の内部湿潤剤を有するシリコーンヒドロゲルを提供することを見出した。場合によっては、より低い分子量のヒドロキシル官能性ポリジアキルシロキサンは、ポリジアキルシロキサンマクロマーの代わりにシリコーン含有モノマーによって置換されてもよい。
【0171】
本明細書で使用される場合、「表面処理をすることなく」という語句は、本発明の装置(例えば、シリコーンヒドロゲル、コンタクトレンズ)の外部表面が、装置の湿潤性を改善するために別個に処理されていないことを意味する。既定であり得る処理としては、プラズマ処理、グラフティング、コーティング等が挙げられる。しかしながら、非ファウリング、色彩、色合い、パターン、又はその他の外見向上等であるがこれらに限定されない、改善された湿潤性以外の特性を提供するコーティングが、本発明の装置に塗布され得る。
【0172】
ポリアミドが反応性モノマー混合物に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000よりも大きい、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0173】
ポリアミドはまた、少なくとも1つの一価反応性基を含んでもよい。10,000ダルトンの分子量を有するポリアミドについては、単一の一価反応性基が含まれてよい。約10,000ダルトンよりも大きい、約30,000ダルトンよりも大きい、又は約100,000ダルトンよりも大きい分子量を有するポリアミドについては、1つを超える一価反応性基が含まれてよい。重合性、反応性、及び非反応性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0174】
架橋剤
一般に、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ以上の架橋剤を反応混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてよく、シリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤を含む。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性成分100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応混合物中に用いられる。あるいは、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応混合物への架橋剤の添加は、任意選択的である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。
【0175】
他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0176】
シリコーンヒドロゲルネットワークを形成するために、他の成分のものと同様の反応速度の反応性基を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。したがって、他の反応性成分に含まれている反応性基と同じである少なくとも1つの反応性基を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。結果として得られるシリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤及び硬化条件によっても影響を受ける。
【0177】
マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も、弾性率を更に増加させ引張強度を維持するために含まれてよい。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用されることができる。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有モノマーの例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0178】
シリコーン架橋剤の非限定的な例が、式XXVIII~XXXII、XXXIV、XXXV、及びXXXXI~XXXXV、並びに以下の化学式LX~LXXに示されており、式中、nは、1~200であり、好ましくは、nは、50~150、より好ましくは50~100であり、最も好ましくは、nは、10~50である。
【0179】
【化29】
【0180】
【化30】
【0181】
【化31】
【0182】
上記のシリコーン架橋剤はまた、アクリレート、メタクリレート、O-ビニルカーボネート、又はメタクリルアミド一価反応性基も有し得る。これらの一価反応性基は、スチレン、ビニルエーテル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、及びその他のビニル化合物等、フリーラジカル重合を受けることが可能な任意の他の一価反応性基で置き換えられてよい。いくつかの実施形態では、スチリル反応性基を有するシリコーン架橋剤が好ましい。
【0183】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける一価反応性基を有する架橋剤が使用されてもよい。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、及びこれらの組み合わせ等、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。
【0184】
本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0185】
更なる構成成分
反応性モノマー混合物は、希釈剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない、追加の成分を含有し得る。
【0186】
シリコーンヒドロゲル反応混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0187】
一般に、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応混合物を形成する。好適な希釈剤は、当該技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に援用されている。
【0188】
シリコーンヒドロゲル反応混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0189】
使用してよい具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物等が挙げられる。
【0190】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0191】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0192】
希釈剤が存在する場合、一般に、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性成分及び非反応性成分を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲等、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在してよい。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0193】
重合開始剤は、反応混合物中で使用してよい。重合開始剤には、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル等の、中程度の高温でフリーラジカルを発生させるもの、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド及び三級アミン+ジケトン、これらの混合物等の光開始剤系のうちの少なくとも1つを挙げることができる。光開始剤の例示的な例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせ、並びにこれらの組み合わせがある。
【0194】
市販の可視光開始剤系には、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucrin(登録商標)TPO開始剤(BASFより入手可能)が挙げられる。市販のUV光開始剤には、Darocur(登録商標)1173及びDarocur(登録商標)2959(Ciba Specialty Chemicals)が挙げられる。使用され得るこれらの及びその他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello & K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示されている。開始剤は、反応混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応混合物中で使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光又はその他の手段を適切に選択して使用して開始することができる。あるいは、開始は、光開始剤を用いずに電子ビームで実施され得る。しかしながら、光開始剤が使用されるとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819)、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせ等の、ビスアシルホスフィンオキシドである。
【0195】
シリコーンヒドロゲルの硬化及びレンズの製造
コンタクトレンズは、本明細書に開示されるトリブロックプレポリマーのいずれかを含む反応性モノマー混合物から調製されたシリコーンヒドロゲルを含む。シリコーンヒドロゲルは、少なくとも80バーラー、又は少なくとも85バーラーの酸素透過性(Dk)を有し得る。
【0196】
反応性混合物は、振とう又は撹拌等の当該技術分野で既知の方法のいずれかによって形成され、既知の方法によるポリマー物品又は装置の形成に使用され得る。反応性成分(親水性モノマー、ヒドロキシル含有シリコーン成分、架橋剤、ポリアミド等)は、希釈剤を使用するか又は使用しないかのいずれかで一緒に混合されて、反応性混合物を形成する。
【0197】
例えば、シリコーンヒドロゲルは、反応性成分及び任意に希釈剤(複数可)を重合開始剤と混合し、適切な条件で硬化させることによって調製されて、後に旋盤加工、切断等によって適切な形状に形成され得る生成物を形成することができる。別法として、反応混合物は、型に入れた後に硬化させ、適切な物品にすることができる。
【0198】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製する方法は、トリブロックプレポリマーを得ることと、トリブロックプレポリマーからの、かつ任意に他の成分との反応性モノマー混合物を調製することと、反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと、第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと、フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含む。
【0199】
反応性混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの作製において、反応混合物を成形するための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成型により形成してもよく、これは経済的であり、含水レンズの最終形状を正確に制御できる。この方法では、反応混合物は、所望の最終シリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型内に配置され、反応混合物は、モノマーが重合する条件に供され、それにより所望の最終製品のおおよその形状のポリマーを作製する。
【0200】
硬化後、レンズを抽出に供して、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から離型してもよい。抽出は、アルコール等の有機溶媒等、従来の抽出流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して抽出してもよい。
【0201】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含んでよい。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助成分、これらの組み合わせ等の追加の水溶性成分を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理等の特別な取り扱いを必要としなくてよい。
【0202】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズをさらすことを介して行なうことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の濾過助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われることができる。
【0203】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことを挙げることができる。
【0204】
レンズは、高圧蒸気処理等の既知の手段により殺菌してよいが、これに限定されない。
【0205】
本発明のレンズは、好ましい安定性を示すと共に、ヒトの涙の成分に対する相溶性も示す。
【0206】
本明細書で明記される試験の全てが一定量の必然的に生じる誤差を有することが理解されよう。したがって、本明細書で報告される結果は、絶対数として見なされないが、特定の試験の精度に基づく数値の範囲と見なされる。
【0207】
試験方法
本明細書で明記される試験の全てが一定量の必然的に生じる誤差を有することが理解されよう。したがって、本明細書で報告される結果は、絶対数として見なされないが、特定の試験の精度に基づく数値の範囲と見なされる。
【0208】
ポリマー分子量は、多角度光散乱を用いるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC-MALS)によって決定した。典型的なSEC-MALS設定は、65℃、0.6mL/分の流速での移動相として10mMのLiBr(又は別の一般的に使用される塩)を有する(又は有さない)1-プロパノール(又はTHF)等の好適な溶媒を用いた。Tosoh Biosciences TSKゲルカラムを3本直列で[SuperAW3000 4μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=60,000g/モル)、SuperAW4000 6μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=400,000g/モル)及びSuperAW5000 7μm、6.0mm ID×15cm(PEO/DMF排除限界=4,000,000g/モル)]、オンラインAgilent 1200 UV/VISダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計及びWyatt mini-DAWN Treos多角度レーザー散乱(MALS)検出器(λ=658nm)と共に用いた。30℃(λ=658nm)における0.0.074mL/gのdη/dc値を、絶対分子量決定に使用した。絶対分子量及び多分散度データは、Wyatt ASTRA 6.1.1.17 SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。
【0209】
含水試験レンズを、平坦な黒色背景上の室温の透明ガラスセル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に配置し、下から光ファイバランプ(直径0.5インチの光導波路付きのDolan-Jenner PL-900光ファイバ光)を用いて、レンズのセルの法線に対して66°の角度で照射し、レンズホルダの14cm上方に配置されたビデオカメラ(好適なズームカメラレンズを装備したDVC 1310C RGBカメラ又は同等物)を用いて、上からガラスセルの法線への試験レンズの画像を撮像することによって、ヘイズを測定した。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V3.8ソフトウェアを使用して、ホウ酸緩衝生理食塩水を伴うブランクセルの画像(ベースライン)を減じることによって、レンズの散乱から減じる。高端散乱(すりガラス)の値は、900~910平均グレースケールに光強度を調整することによって得られる。バックグラウンド散乱(BS)の値は、生理食塩水で満たしたガラスセルを用いて測定される。減算された散乱光像は、試験レンズの中心10mmにわたって積算することによって定量的に分析され、次いですりガラス標準と比較される。光強度/出力設定は、すりガラス標準の900~910の範囲内の平均グレースケール値を達成するように調整され、この設定において、ベースライン平均グレースケール値は、50~70の範囲であった。ベースライン及びすりガラス標準の平均グレースケール値は、記録され、それぞれゼロから100までのスケールを作製するために使用される。グレースケール解析では、ベースライン、すりガラス及び各試験レンズの平均及び標準偏差が記録された。各レンズについて、スケール値は、方程式に従って計算された。スケール値は、平均グレースケール値(レンズからベースラインを引く)を平均グレースケール値(すりガラスからベースラインを引く)で割って100倍したものに等しい。3~5枚の試験レンズを解析し、その結果を平均する。
【0210】
含水量は重力測定法で測定した。レンズは、包装溶液中で24時間平衡化した。3枚の試験レンズのそれぞれを、先端がスポンジ状のスワブを使用して包装溶液から取り出し、包装溶液で湿らせておいたブロッティングワイプ上に置く。レンズの両面をこのワイプと接触させる。ピンセットを使用して、試験レンズを風袋重量測定した秤量皿に置き、秤量する。更に2セットの試料を準備し秤量する。全ての重量測定は3回行い、それらの値の平均を計算に用いた。湿重量は、秤量皿及び湿レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0211】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも1インチHgに達するまで真空を適用し、より低圧も許容される。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズは、少なくとも12時間、通常は一晩乾燥させた。パージバルブが開口されて、乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入る。オーブンを大気圧に到達させる。秤量皿を取り出し秤量する。乾燥重量は、秤量皿及び乾燥レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。試験レンズの含水量は、以下のように計算した:%含水量=(湿重量-乾燥重量)/湿重量×100。含水量の平均及び標準偏差が計算され、平均値は、試験レンズのパーセント含水量として報告された。
【0212】
コンタクトレンズの屈折率(RI)をLeica ARIAS 500 Abbe屈折計の手動モード、又はReichert ARIAS 500 Abbe屈折計の自動モードで、100マイクロメートルのプリズムギャップ距離で測定した。機器は、脱イオン水を使用して20℃(±0.2℃)にて較正した。プリズムアセンブリを開き、光源に最も近い磁性ドット間の下方プリズムの上に試験レンズを配置した。プリズムが乾燥している場合は、数滴の生理食塩水を底部プリズムに塗布した。レンズの前面湾曲部を底部プリズムに接触させた。次いで、プリズムアセンブリを閉じた。陰影線がレチクル視野に現れるように対照を調節した後、屈折率を測定した。RI測定は、5枚の試験レンズで行われた。5つの測定から計算された平均RIは、その標準偏差と共に屈折率として記録された。
【0213】
酸素透過度(Dk)を、ISO 9913-1:1996及びISO 18369-4:2006に概説されているポーラログラフ法に以下の変更を加えて決定した。測定は、例えば、1800mL/分の窒素及び200mL/分の空気の適切な比率に設定した、窒素注入口及び空気注入口を試験チャンバーに装備することによって作り出された2.1%酸素を含む環境において行われた。t/Dkは、調整酸素濃度を使用して計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。センチメートル単位で測定された様々な厚さ(t)のレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを重ねた。フラットセンサの代わりにカーブセンサを使用し、半径は、7.8mmであった。7.8mm半径センサ及び10%(v/v)空気流の計算を以下のように行った。
Dk/t=(測定電流-暗電流)×(2.97×10-8mL O2)/(μA-秒-cm2-mmHg)
【0214】
エッジ補正は、材料のDkに関連付けられた。
【0215】
90バーラー未満の全てのDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(5.88×t)]×(t/Dk)
90~300バーラーのDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(3.56×t)]×(t/Dk)
300バーラーよりも大きいDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(3.16×t)]×(t/Dk)
【0216】
非エッジ補正Dkは、データの線形回帰分析から得られる傾きの逆数から計算され、x変数は、センチメートルでの中心厚であり、y変数は、t/Dk値であった。一方、エッジ補正Dkは、データの線形回帰分析から得られる傾きの逆数から計算され、x変数は、センチメートル単位での中心厚であり、y変数は、エッジ補正t/Dk値であった。得られたDk値は、バーラー単位で報告された。
【0217】
レンズの湿潤性は、較正済みKruss K100表面張力計を室温(23±4℃)で使用し、界面活性剤非含有のホウ酸塩緩衝生理食塩水をプローブ溶液として使用する修正Wilhelmyプレート法により測定した。全ての装置は、きれいであり乾燥していなければならず、試験中、装置周辺での振動は最小限でなければならない。湿潤性は通常、前進接触角(DCA)として報告される。表面張力計は湿度発生器を備えており、温度及び湿度ゲージが表面張力計のチャンバー内に配置された。相対湿度は70±5%に維持した。実験は、感度が高いてんびんによって湿潤による試料に対する力を測定しながら、既知の周囲長のレンズ試料を既知の表面張力の包装溶液内に浸漬することによって行った。レンズ上の包装溶液の前進接触角は、試料浸漬中に収集した力データから決定される。後退接触角は、同様に、試料を液体から取り出している間の力データから決定される。Wilhelmyプレート法は、以下の式に基づく。Fg=γρcosθ-B、式中、F=液体とレンズとの間の湿潤力(mg)、g=重力加速度(980.665cm/秒)、γ=プローブ液の表面張力(ダイン/cm)、ρ=液体/レンズメニスカスにおけるコンタクトレンズの周囲長(cm)、θ=動的接触角(度)、及びB=浮力(mg)である。Bは、浸漬のゼロ深さではゼロである。通常、試験片はコンタクトレンズの中央領域から切断された。各片は幅約5mm、長さ14mmであり、プラスチックのピンセットを使用して金属クリップに取り付け、金属ワイヤーフックで突き刺し、包装溶液中で少なくとも3時間平衡した。次いで、各試料は、4回循環させ、結果を平均して、レンズの前進接触角及び後進接触角を得た。典型的な測定速度は12mm/分であった。データ収集及び分析中、試料は、金属クリップを接触させることなく、包装溶液中に完全に浸漬し続けた。5つの個々のレンズからの値を平均して、実験レンズの報告されている前進及び後退接触角を得た。
【0218】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstron model 1122又は5542等の引張試験機を使用して測定した。マイナス1のディオプターレンズが、その中央の均一厚さプロファイルから、好ましいレンズ幾何学形状である。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳」幅、及び0.213インチの「首」幅を有する、-1.00の倍率のレンズから切断されたドッグボーン形状の試料を、グリップ内に載置し、毎分2インチの一定の歪み速度で、破断するまで引き伸ばした。ドッグボーン試料の中心厚さは、試験前に、電子式厚さ計を使用して測定された。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5個の試料を測定し、平均値を使用して、破断までのパーセント伸長を計算した。パーセント伸長=[(Lf-Lo)/Lo]×100。引張弾性率は、応力歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算され、弾性率の単位は、平方インチ当たりポンド又はpsiである。引張強度は、ピーク荷重及び元の断面積から計算された。引張強度=ピーク荷重を元の断面積で割る。引張強度の単位は、psiである。靭性は、破断するためのエネルギー及び試料の元の体積から計算された。靭性=破断するためのエネルギーを試料の元の体積で割る。靱性の単位は、in-lbs/inである。
【0219】
PQ1取り込みを、クロマトグラフィで測定した。HPLCは、2、4、6、8、12及び15μg/mLの濃度を有する一連の標準PQ1溶液を使用して較正した。レンズを、3mLのOptifree Replenish又はAlconから市販されている類似のレンズ溶液(PQ1濃度=10マイクログラム/mL)を含むポリプロピレン製コンタクトレンズケース内に置いた。3mLの溶液が入っているがコンタクトレンズは入っていない対照用のレンズケースも用意した。レンズ及び対照溶液は、72時間室温で保存した。1mLの溶液を、試料及び対照のそれぞれから取り除き、トリフルオロ酢酸(10μL)と混合した。分析は、HPLC/ELSD及びPhenomenex Luna C5(4.6mm×5mm、5μm粒径)カラムを使用して、以下の装置及び条件:T=100℃、ゲイン=12、圧力=4.4バール、フィルタ=3秒で動作するAgilent 1200 HPLC、又はELSDを備えた同等物で実施し、ELSDパラメータは、機器毎に変わってもよく、水(0.1% TFA)の移動相A及びアセトニトリル(0.1% TFA)の移動相B、40℃のカラム温度、並びに100μLの注入量を使用する。溶出プロファイルを使用し、表Aに列挙した。検量線は、PQ1標準溶液の濃度の関数としてピーク面積値をプロットすることによって作成した。次いで、試料中のPQ1の濃度を、検量線を表す二次方程式を解いて計算した。各分析で3枚のレンズを使用し、結果を平均した。PQ1取り込みは、レンズなしの対照中に存在するPQ1と比較して、レンズを浸漬した後のPQ1の損失率として報告された。
【0220】
【表1】
【0221】
コンタクトレンズによって吸収されたコレステロールの量を、LC-MS法によって決定した(データ表中の脂質取り込み)。レンズは、コレステロール溶液に浸漬し、その後ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン抽出物を蒸発させ、ヘプタン/イソプロパノール混合物で溶液に再構築し、続いてLC-MSにより分析した。結果は、レンズ1枚当たりのコレステロールのマイクログラムとして報告された。重水素化コレステロール内部標準を使用して、本方法の正確さ及び精度を向上させた。
【0222】
コレステロール原液は、10mLの広口ガラスメスフラスコ内に15.0±0.5ミリグラムのコレステロールを入れ、続いてイソプロパノールで希釈して調製した。
【0223】
コレステロール浸漬液は、0.430±0.010グラムのリゾチーム(純度=93%)、0.200±0.010グラムのアルブミン及び0.100±0.010グラムのβ-ラクトグロブリンを200mLのガラスメスフラスコに入れ、約190ミリリットルのPBSをそのフラスコに添加し、かき混ぜて内容物を溶解して調製した。次いで、2ミリリットルのコレステロール原液を添加し、PBSで体積まで希釈した。メスフラスコは、密栓して十分に振とうした。コレステロール浸漬液の濃度は、約15μg/mLであった。注記:これらの成分の質量は、目標濃度を達成することができるように、ロット毎の純度の変動を考慮して調整してもよい。
【0224】
6枚のコンタクトレンズをそれらのパッケージから取り出し、リントフリーの紙タオルで拭き取って余分な包装溶液を除去した。レンズを6個の別個の8mLガラスバイアル内に置き(バイアル毎に1枚のレンズ)、3.0mLのコレステロール浸漬液を各バイアルに添加した。バイアルを密栓し、New Brunswick Scientificインキュベータ振とう器内に37℃及び100rpmで72時間置いた。インキュベート後、各レンズを100mLビーカー内でPBSにより3回すすぎ、20mLのシンチレーションバイアル内に置いた。
【0225】
レンズの入った各シンチレーションバイアルに、5mLのジクロロメタン及び100μLの内部標準溶液を添加した。最低16時間の抽出時間後、上澄液を5mLの使い捨てガラス培養管内に移した。管をTurbovap内に置き、溶媒を完全に蒸発させた。1mLの希釈剤を培養管内に入れ、内容物を再溶解した。上記希釈剤は、ヘプタンとイソプロパノールとの70:30(v/v)混合物であった。希釈剤はまた、移動相でもあった。得られた溶液をオートサンプラバイアル内に慎重に移し、LC-MS分析の準備をした。
【0226】
25mLのメスフラスコ内で約12.5+2mgの重水素化コレステロール(2,2,3,4,4,6-d-コレステロール)を量り、次いで希釈剤で希釈することにより、内部標準原液を調製した。内部標準原液の濃度は、約500μg/mLであった。
【0227】
50mLのメスフラスコに1.0mLの内部標準原液を入れ、続いて希釈剤で体積まで希釈することにより、内部標準溶液を調製した。この中間体の内部標準溶液の濃度は、約10μg/mLである。
【0228】
約50+5mgのコレステロールを100mLのメスフラスコ内に計量し、次いで希釈剤で希釈して、参照標準原液を調製した。この参照原液中のコレステロールの濃度は、約500μg/mLである。
【0229】
次いで、適量の標準溶液を、列挙した25mL、50mL、又は100mLのメスフラスコに入れることによって、表Bに従って作業標準溶液を作製した。標準溶液をメスフラスコに添加した後、混合物を希釈剤で体積まで希釈し、十分にかき混ぜた。
【0230】
【表2】
【0231】
以下のLC-MS分析を行った。
【0232】
「標準4」の注入を6回実施して、システム適合性を評価する。作業標準及び内部標準のピーク面積のRSD%は、<5%でなければならず、これらのピーク面積比のRSD(%)は、システム適合性に合格するためには<7%でなければならない。
【0233】
作業標準1~6を注入して、較正曲線を作成する。相関係数の二乗(r)は、>0.99でなければならない。
【0234】
試験試料を注入した後、ブラケット標準を続けた(標準4)。ブラケット標準のピーク面積比は、システム適合性注入からの平均ピーク面積比の±10%以内でなければならない。
【0235】
検量線は、各作業標準溶液の濃度に対応するピーク面積比(参照標準/内部標準)値をプロットして構築した。試料中のコレステロールの濃度は、二次方程式を解いて計算する。LC-MS分析用の一般的な機器及びその設定は、以下に列挙されており、表C及びDに示される。機器調整パラメータの値は、質量分析計が調整される度に変化し得る。
【0236】
Turbovap条件:
温度:45℃
時間:乾燥するまで30分以上
ガス:5psiの窒素
【0237】
HPLC条件:
HPLC:Thermo Accela HPLC機器又は等価物
HPLCカラム:Agilent Zorbax NH2(4.6mm×150mm;5μmの粒径)
移動相:70%ヘプタン及び30%イソプロパノール
カラム温度:30℃°
注入量:25μL
流量:1000μL/分
【0238】
【表3】
【0239】
【表4】
【0240】
コンタクトレンズにより取り込まれたリゾチームの量を、HPLC-UV法により測定した。リゾチーム取り込みは、コンタクトレンズが浸漬される前のリン酸緩衝生理食塩溶液(PBS)中のリゾチーム含有量と、37℃にて72時間レンズを浸漬した後の試験溶液中の濃度と、の差として決定された。
【0241】
リゾチーム浸漬液は、0.215±0.005グラムのリゾチーム(純度=93%)を100mLのメスフラスコ内に入れ、続いて50mLのPBSを添加して、かき混ぜてリゾチームを溶解した後、PBSで体積になるまで希釈して調製した。結果得られたリゾチーム浸漬液をMillipore Stericup濾過装置を使用して濾過/殺菌した。リゾチーム浸漬液の濃度は、約2000μg/mLである。リゾチームの質量は、2000μg/mLの濃度を達成できるように、ロット毎の純度の変動を考慮して調整してもよい。
【0242】
3枚のコンタクトレンズをそれらのパッケージから取り出し、リントフリーの紙タオルで拭き取って余分な包装溶液を除去した。レンズを3個の別個の8mLガラスバイアル内に置いた(バイアル毎に1枚のレンズ)。1.5mLのリゾチーム浸漬液を各バイアルに添加した。バイアルを密栓し、各レンズが確実に浸漬液中に完全に浸漬されたことを点検した。対照試料として、1.5mLのリゾチーム浸漬液を3個の別個の8mLガラスバイアル内に添加した。次いで、試料は、New Brunswick Scientificインキュベータ振とう器上で、37℃にて100rpmで72時間インキュベートした。
【0243】
希釈剤は、900mLの水、100mLのアセトニトリル及び1mLのトリフルオロ酢酸を1Lのガラスびん内で混合して調製した。
【0244】
リゾチーム原液は、0.240±0.010グラムのリゾチーム(純度=93%)を100mLのメスフラスコ内に入れ、続いて希釈剤により体積まで希釈して調製した。リゾチーム原液の濃度は約2200μg/mLである。
【0245】
表Eに示すように、一連の作業標準溶液は、5mLメスフラスコを使用して適切な量のリゾチーム原液を希釈剤と混合して調製した。
【0246】
【表5】
【0247】
10%(v/v)溶液は、1mLのトリフルオロ酢酸を10mLのガラスメスフラスコ内に加え、続いてHPLC水により希釈して調製した。HPLC-UV分析用の試料は、以下のように調製した。(1)1000μLの試験試料及び10μLの10% TFA溶液をオートサンプラバイアル内に入れるか、又は(2)1000μLの参照標準及び10μLの参照標準希釈剤をオートサンプラバイアル内に入れる。
【0248】
分析は、以下の工程を伴っていた。
「標準4」の注入を6回実施して、システム適合性を評価する。ピーク面積及び保持時間のRSD%は、システム適合性に合格するためには<0.5%でなければならない。
【0249】
作業標準1~6を注入して、較正曲線を作成する。相関係数の二乗(r)は、>0.99でなければならない。
【0250】
試験試料を注入した後、ブラケット標準を続けた(標準4)。ブラケット標準のピーク面積は、システム適合性注入からの平均ピーク面積の±1%でなければならない。
【0251】
検量線は、各リゾチーム作業標準溶液の濃度に対応するピーク面積値をプロットして構築した。試験試料中のリゾチームの濃度は、一次方程式を解いて計算した。典型的な機器及びそれらの設定は、以下に列挙されているか又は表Fに示してある。
【0252】
機器:UV検出を備えるAgilent 1200 HPLC(又は同等のHPLC-UV)
検出:280nm(5nm帯域幅)でのUV
HPLCカラム:Phenomenex Luna C5(50×4.6mm)又はAgilent PLRP-S(50×4.6mm)
移動相A:H2O(0.1% TFA)
移動相B:アセトニトリル(0.1% TFA)
カラム温度:40℃
注入量:10μL
【0253】
【表6】
【0254】
あるいは、リゾチーム取り込みは、次のように測定した。リゾチーム溶液は、ニワトリ卵白(Sigma,L7651)から、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD-グルコースを補ったリン酸生理食塩水緩衝液中に、2mg/mLの濃度で調製した。
【0255】
各試験試料について、3枚のレンズが各タンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルに2mLのリゾチーム溶液が入った、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸漬した。対照として、コンタクトレンズを含まないウェルに、2mLのリゾチーム溶液を入れた。
【0256】
プレートをパラフィルムを使用して封止して蒸発及び脱水を防ぎ、軌道振とう器上に置き、35℃にて100rpmで撹拌しながら72時間インキュベートした。72時間のインキュベーション期間後、レンズを200mLのPBSに浸すことによって3~5回すすいだ。レンズを紙タオルの上で拭いて余分なPBSを除去し、減菌した円錐形の管に移した(管当たり1枚のレンズ)。各管は、各レンズ組成に基づいて予想されるリゾチーム取り込みの推定を基に決定された体積のPBSを含んでいた。試験すべき各管内のリゾチーム濃度は、製造業者により記載されるアルブミン標準範囲(0.05マイクログラム~30マイクログラム)内でなければならない。レンズ当たり100μg未満のリゾチームの濃度を取り込むことが既知である試料は、5倍に希釈した。レンズ当たり500μgよりも多いリゾチームの濃度を取り込むことが既知である試料は、20倍に希釈した。
【0257】
リゾチーム取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP-BCAキット(Sigma、QP-BCA)を使用し、製造業者が説明する手順により測定し、リゾチーム溶液に浸漬したレンズについて決定した光学密度から、PBSに浸積したレンズについて測定した光学密度を減じて計算した。光学密度は、562nmでの光学密度が読み取れる、Synergy IIマイクロプレートリーダを使用して測定した。
【0258】
ここで、本発明を以下の実施例を参照しながら説明する。本発明の例示の実施形態をいくつか説明するに先立ち、本発明が以下の説明において明らかにされる構成又は処理工程の詳細に限定されない点に留意すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な手法で実践又は実行できる。
【0259】
以下の略語は、調製物及び実施例を通して使用され、以下の意味を有する。
BC:バックカーブプラスチック成形型
FC:フロントカーブプラスチック成形型
Da:ダルトン又はg/モル
kDa:キロダルトン、又は1,000ダルトンに等しい原子質量単位
NVP:N-ビニルピロリドン(Acros又はAldrich)
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
HPMA:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
HEAA:2-ヒドロキシエチルアクリルアミド
Bis-HEAA:N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド
GMMA:2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート
HBMA:2-ヒドロキシブチルメタクリレート
VMA:N-ビニルN-メチルアセトアミド(Aldrich)
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸(Acros)
VINAL:N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン、CAS#148969-96-4
ACA1:3-アクリルアミドプロパン酸
ACA2:5-アクリルアミドプロパン酸
Q塩又はMETAC:2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド
AMPS:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸
CBT:1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩、カルボキシベタイン、CAS 79704-35-1
SBT:1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-フルオロ-,分子内塩、スルホベタイン、CAS 80293-60-3
PBT:3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ,分子内塩,4-オキシド(9CI)、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9
Blue HEMA:米国特許第5,944,853号に記載されたような、1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシエトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸
スチリル-TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(Melrob)
PVMA:ポリ(N-ビニルN-メチルアセトアミド)
PVP:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Esstech)
MBA:メチレンビスアクリルアミド(Aldrich)
TAC:トリアリルシアヌレート(Polysciences)
Tegomer V-Si 2250:ジアクリルオキシポリジメチルシロキサン(Evonik)
Irgacure 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ーフェニルホスフィンオキシド(BASF又はCiba Specialty Chemicals)
Irgacure 1870:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとのブレンド(BASF又はCiba Specialty Chemicals)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
Te-Me=エチル2-メチル-2-(メチルテラニル)プロパノエート
Te-Bu:エチル2-メチル-2-(ブチルテラニル)プロパノエート
TEMPO:(2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-1-イル)オキシル、フリーラジカル、CAS 2564-83-2
TERP:有機テルル媒介リビングラジカル重合
MCL:メタクリロイルクロリド
TMI:イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート
IEM:2-イソシアナトエチルメタクリレート
mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(800~1000MW)(Gelest)
ac-PDMS:ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン
HO-mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(400~1000MW)(Ortec又はDSM-Polymer Technology Group)
TRIS:3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
ac-TRIS:3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
am-TRIS:3-アクリルアミドプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン
SiMAA:2-プロペン酸,2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)、又は3-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロポキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、又は2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート
SA2:N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)-プロピル)アクリルアミド、又はN-3-(ブチル-ペンタジメチルシロキサニル)プロピル-N-(2,3ジヒドロキシプロピル)アクリルアミド
mPEG 950:ポリエチレングリコールモノメタクリレート(Aldrich)
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
TAM:t-アミルアルコール(BASF)
3E3P:3-エチル3-ペンタノール
THF:テトラヒドロフラン
TPME:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
DA:デカン酸
DI水:脱イオン水
MeOH:メタノール
IPA:イソプロピルアルコール
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
K-KAT 348:ビスマスカルボキシレート触媒
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
TL03光:Phillips TLK 40W/03電球
ホウ酸塩緩衝包装溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルのメスフラスコを満たした。
TS:引張強度(psi)
M:弾性率(psi)
ETB:破断伸び(%)
T:靭性(in-lbs/in
【実施例
【0260】
調製物1-エチル2-メチル-2-(メチルテラニル)プロパノエート(Te-Me)の合成
50.0グラム(39.2mmol)のテルル粉末を無水THF中の14.4mLの3.0Mメチルリチウム溶液(43.1mmol)と反応させて、テルロラート中間体を形成し、これを8.82グラム(45.1mmol)のエチルα-ブロモイソブチレートと反応させて、TERPメディエーター2-メチル-2-メチルテラニル-プロパノエートを形成した。反応は、金属交換工程のための氷浴で実施した。エチルα-ブロモイソブチレートの添加後、反応混合物を温め、反応が完了するまで室温で維持した(約2時間)。その後、THFをロータリーエバポレーターにおいて減圧下で除去した。粗生成物を50~55℃(1~2mbar)で真空蒸留して、TERPメディエーターTe-Meを得、プロトン核磁気共鳴分光法によって特徴付けた。同様のプロセスを使用して、メチルリチウムをブチルリチウムで置き換えることによって、エチル2-メチル-2-(ブチルテラニル)プロパノエート(Te-Bu)を作製した。Te-Buを80~85℃(1~2mbar)で真空蒸留することによって精製し、プロトン核磁気共鳴分光法によって特徴付けた。
【0261】
(実施例1~13)
実施例1:13.5グラム(103.7mmol)のHEMA、907ミリグラム(3.5mmol)のTe-Me、及び578ミリグラム(3.5mmol)のAIBNを1Lの反応器内に添加し、80グラムの1-プロパノールに溶解した。室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって、溶液を脱気した。次いで、反応混合物を窒素ガス雰囲気下で60~62℃にて、反応物の全てが消費されるまで約3時間加熱した。3.0グラム(23mmol)のHEMA及び30.0グラム(33.3mmol)のmPDMSを、30グラムの1-プロパノールに溶解し、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約6時間持続して撹拌しながら70~72℃で加熱した。最後に、13.5グラム(103.7mmol)のHEMAを30グラムの1-プロパノールに溶解し、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約4時間持続して撹拌しながら60~62℃で加熱した。反応混合物の揮発性成分をロータリーエバポレーターにおいて減圧下で除去した。粗生成物を60℃で400mLのトルエンに再溶解し、冷却させた。混合溶媒系を回転蒸発によって除去して、1-プロパノールを含まない粗生成物を得た。粗生成物は、メチルテルル末端基を含有していた(「テルル含有コポリマー」)。この有機金属末端基を除去するために、粗生成物を、メチルテルルの理論モル量の3.5倍を表す量のTEMPO-フリーラジカルを含有する250mLのトルエンに溶解した。この溶液を88℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで揮発性成分をロータリーエバポレーター上にて60~65℃で蒸発させ、暗橙色残渣を得た。残渣を1000mLのアセトニトリル中に72℃で30分間溶解して、混濁溶液を形成した。混濁溶液を室温に冷却し、少なくとも1時間静置させた。溶媒をデカントした。この精製プロセスを3回繰り返した。次いで、「トリブロックプレポリマー1」を60~70℃で真空乾燥させた。「トリブロックプレポリマー1」を、プロトン核磁気共鳴分光法、及び多角度レーザー光散乱検出器を使用したサイズ排除クロマトグラフィによって特徴付けた。合成中にアリコートを採取して、ブロックの組成及び平均分子量を決定した。元素分析(誘導結合プラズマ質量分光法)も使用して、90%のテルル還元にわたって平均化された有機テルル末端基の除去の有効性を決定した。場合によっては、テルル除去効率は、95%を超えた。任意に、「トリブロックプレポリマー1」は、懸濁した炭素粉末及びセライトの存在下で、少なくとも2時間、5mLのTHF当たり1グラムの前駆体コポリマーの濃度で、THFに「トリブロックプレポリマー1」を溶解することによって更に精製されてもよい。「トリブロックプレポリマー1」の炭素粉末に対する重量比は、5:1であり、「トリブロックプレポリマー1」のセライトに対する重量比は、10:1である。次いで、混合物を真空濾過し、濾過ケーキを少量のTHFで洗浄した。濾液を、激しく撹拌しながら1リットルの脱イオン水に滴下して、精製「トリブロックプレポリマー1」を沈殿させた。精製「トリブロックプレポリマー1」を真空濾過によって単離し、脱イオン水で洗浄し、60~65℃で一定重量まで真空乾燥させた。
【0262】
有機テルル末端基の除去は、図1に示されるような重合性二重結合を生成する。重合性二重結合の正確な化学構造は、末端反復単位に依存する。図1は、HEMAが末端反復単位であると仮定した重合性二重結合を示す。表1に列挙されるように、同様の手順を使用して、異なる理論分子量又は重合度(DP、即ち、セグメント内の反復単位の数)のポリ(HEMA)末端ブロック及びポリ(mPDMS-co-HEMA)中間ブロックを有する他の「トリブロックプレポリマー1」を作製した。全ての場合において、末端ブロックは、等しい数平均分子量のものであるように設計し、対称的なトリブロックコポリマーを生成した。しかしながら、本発明は、異なる数平均分子量の末端ブロックを有する「トリブロックプレポリマー1」を含む。SEC-MALSによって測定された「トリブロックプレポリマー1」の実際の数平均分子量(M)及び多分散性(PD=M/M)は、表2に列挙される。
【0263】
【表7】
注:実施例7及び8におけるテルル末端基は、TEMPOによって除去されなかった。
結果として、実施例7及び8は、「テルル含有コポリマー」である。
【0264】
【表8】
注:実施例7及び8におけるテルル末端基は、TEMPOによって除去されなかった。
結果として、実施例7及び8は、「テルル含有コポリマー」である。
【0265】
(実施例14~26)
実施例14-メタクリロイルクロリドによるアシル化:68.0グラム(261.4mmolのヒドロキシル基を含有する)のトリブロックプレポリマー1、PHEMA-b-ポリ[HEMA-co-mPDMS]-b-PHEMA及び2.90グラムのトリエチルアミン(28.7mmol)を、400mLの無水THFに溶解し、氷浴中で冷却した。2.73グラム(26.1mmol)のメタクリロイルクロリド(MCL)をゆっくり添加し、ペンダントメタクリレート基での10モル%のアシル化を標的とした。溶液を氷浴温度で更に15分間撹拌し、次いで室温に温めた。反応混合物を最低3時間撹拌して、反応を完了させた。
【0266】
反応混合物を300mLのIPAで希釈した。32グラムの炭素粉末及び50グラムのセライトを添加し、得られた懸濁液を室温で少なくとも2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを50mLのIPAで洗浄した。濾液を回転蒸発によって濃縮した。濃縮反応混合物を、激しく撹拌しながら、2リットルの脱イオン水にゆっくりと添加した。トリブロックプレポリマー2は溶液から沈殿し、濾過によって単離された。トリブロックプレポリマー2を、濾過漏斗において500mLの脱イオン水で洗浄し、60~65℃で真空乾燥させた。トリブロックプレポリマー2を、プロトン核磁気共鳴分光法、及び多角度レーザー光散乱検出器を使用したサイズ排除クロマトグラフィによって特徴付けた(M=43.1kDa、M/M=1.08)。
【0267】
様々なトリブロックプレポリマー2を、同様の合成スキームを使用して調製し、表3に列挙した。
【0268】
【表9】
注:実施例7及び8におけるテルル末端基は、TEMPOによって除去されなかった。
結果として、実施例7及び8は、「テルル含有コポリマー」である。
【0269】
他のアシル化剤を使用して、メタクリル酸無水物、イソプロペニルα,α-ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)、及び2-イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)が挙げられるがこれらに限定されない前駆体コポリマーを、任意の標準的な共試薬及び触媒と共に官能化してよい。
【0270】
実施例25-1.51グラム(15.1mmol)のメチルメタクリレート、10.3グラム(79.1mmol)のHEMA、922ミリグラム(3.56mmol)のTe-Me、及び587ミリグラム(3.57mmol)のAIBNを1Lの反応器内に添加し、236グラムの1-プロパノールに溶解した。室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって、溶液を脱気した。次いで、反応混合物を窒素ガス雰囲気下で60~62℃にて、反応物の全てが消費されるまで約3時間加熱した。2.01グラム(20.1mmol)のメチルメタクリレート、13.7グラム(105mmol)のHEMA、及び39.5グラム(43.9mmol)のmPDMSを、30グラムの1-プロパノールに溶解し、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約6時間持続して撹拌しながら75℃で加熱した。最後に、10.3グラム(79.1mmol)のHEMAを30グラムの1-プロパノールに溶解し、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約4時間持続して撹拌しながら60~62℃で加熱した。反応混合物の揮発性成分をロータリーエバポレーターにおいて減圧下で除去した。粗生成物を60℃で400mLのトルエンに再溶解し、冷却させた。混合溶媒系を回転蒸発によって除去して、1-プロパノールを含まない粗生成物を得た。粗生成物は、メチルテルル末端基を含有していた(「テルル含有コポリマー」)。この有機金属末端基を除去するために、粗生成物を、メチルテルルの理論モル量(2.99g又は19.1mmol)の5.5倍を表す量のTEMPO-フリーラジカルを含有する250mLのトルエンに溶解した。この溶液を88℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで揮発性成分をロータリーエバポレーター上にて60~65℃で蒸発させ、暗橙色残渣を得た。残渣を1000mLのアセトニトリル中に72℃で30分間溶解して、混濁溶液を形成した。混濁溶液を室温に冷却し、少なくとも1時間静置させた。溶媒をデカントした。この精製プロセスを3回繰り返した。トリブロックプレポリマー1を60~70℃で真空乾燥させ、49グラムの生成物を得た。トリブロックプレポリマー1を、プロトン核磁気共鳴分光法、及び多角度レーザー光散乱検出器を使用したサイズ排除クロマトグラフィによって特徴付けた[M=46kDa、M=57kDa]。
【0271】
23.6グラムのトリブロックプレポリマー1、2.46グラム(11.9mmol)のTMI、及び15ミリグラムのK-KAT 348を200mLのトルエンに溶解し、3時間かけて85~88℃に加熱した。反応混合物を冷却させ、溶媒をロータリーエバポレーター上にて60℃で除去した。次いで、粗生成物を68~70℃で500mLのアセトニトリルに溶解し、冷蔵庫内において4℃で冷却させて、トリブロックプレポリマーを沈殿させた。上澄液をデカントし、廃棄した。残渣を60~65℃で真空乾燥させ、TMIでエンドキャップされたトリブロックプレポリマー2を得た。
【0272】
実施例26-実施例25で作製した5.0グラムのトリブロックプレポリマー1、389ミリグラム(2.51mmol)のIEM、及び2.1ミリグラムのK-KAT 348を25mLの無水THFに溶解し、3時間かけて60~65℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却させ、次いで激しく撹拌しながら400mLの脱イオン水にゆっくりと注いだ。得られた懸濁液を室温で30分間撹拌し、粗生成物を真空濾過によって単離した。濾過ケーキを脱イオン水で洗浄し、60℃で一定重量に真空乾燥させて、IEMでエンドキャップされたトリブロックプレポリマー2を得た。
【0273】
(実施例27~34)
表4に列挙される反応性成分を混合することによって、マスター反応性モノマー混合物を形成した。様々な量のメタクリル酸を、このマスターバッチの約10mLのアリコートに添加して、0.5重量%~3.0重量%の範囲の異なる重量%のMAAを有する、表5に列挙される配合物を得た。次いで、これらの配合物を、加熱済み又は未加熱のステンレス鋼又はガラスシリンジを使用して、3μmフィルタに通して濾過し、約10分間周囲温度にて真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び0.1~0.2%未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLのこれらの配合物を、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたFC内に、Eppendorfピペットを使用して室温で注入した。次いで、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたBCを、FC上に配置した。通常、FCは、Z:PPの55:45(w/w)ブレンドから作製され、一方で、BCは、Zのみで作られた。注入前に成形型を、グローブボックス内で最低12時間平衡化した。プレートを60~65℃に維持された隣接するグローブボックス内に移し、レンズを、5.0~5.5mW/cmの強度を有するTL03光を使用して、15~20分間上から硬化させた。光源は、トレーの約6インチ上にあった。
【0274】
大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを手動で離型し、レンズを約1リットルの70% IPA中に約1時間又は2時間浮かせることによって取り外し、続いて70% IPAで2回、任意に25% IPAで2回、DIで2回、最後にホウ酸緩衝包装溶液で2回洗浄した。各洗浄工程は約30分続いた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。レンズをバイアル中に移し、続いて122℃で30分間高圧蒸気処理することにより殺菌した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定し、表5に列挙した。
【0275】
【表10】
【0276】
【表11】
【0277】
含水量及びリゾチーム取り込みの両方は、配合物中のMAAの重量分率と共に直線的に増加した。脂質取り込みも増加した。実施例29~31は、物理的、機械的、及び生物学的特性の良好なバランスを有する。
【0278】
(実施例35~38)
表7に示される異なるトリブロックプレポリマー2を使用して、表6に列挙される反応性成分を混合することによって、反応性混合物を形成した。これらの配合物を、加熱済み又は未加熱のステンレス鋼又はガラスシリンジを使用して、3μmフィルタに通して濾過し、約10分間周囲温度にて真空(約40mmHg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び0.1~0.2%未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLの反応性混合物を、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたFC内に、Eppendorfピペットを使用して室温で注入した。次いで、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたBCを、FC上に配置した。通常、FCは、Z:PPの55:45(w/w)ブレンドから作製され、一方で、BCは、Zのみで作られた。注入前に成形型を、グローブボックス内で最低12時間平衡化した。プレートを60~65℃に維持された隣接するグローブボックス内に移し、レンズを、5.0~5.5mW/cmの強度を有するTL03光を使用して、15~20分間上から硬化させた。光源は、トレーの約6インチ上にあった。
【0279】
大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを手動で離型し、64枚のレンズを約1リットルの70% IPA中に約1時間又は2時間浮かせることによって取り外し、続いて70% IPAで2回、任意に25% IPAで2回、DIで2回、最後にホウ酸緩衝包装溶液で2回洗浄した。各洗浄工程は約30分続いた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。レンズをバイアル中に移し、続いて122℃で30分間高圧蒸気処理することにより殺菌した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定し、表7に列挙した。
【0280】
【表12】
【0281】
【表13】
【0282】
実施例35~38は、トリブロックプレポリマーの分子量が増加するにつれて、Dk及びPQ1取り込みが減少した、物理的、機械的、及び生物学的特性の良好なバランスを示した。特に実施例38は、優れた特性のバランスを有する。
【0283】
(実施例39~45)
表8に列挙される反応性成分を混合することによって、マスター反応性モノマー混合物を形成した。様々な量のMAA及びMETACを、このマスターバッチの約10グラムのアリコートに添加して、MAAの濃度を1重量%で一定に保ちかつMETACの量を変化させて所望のモル比を達成する、これらの2つのモノマーの異なるモル比を有する、表9に列挙される配合物を得た。次いで、これらの配合物を、加熱済み又は未加熱のステンレス鋼又はガラスシリンジを使用して、3μmフィルタに通して濾過し、約10分間周囲温度にて真空(約40mm Hg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び0.1%未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLの反応性混合物を、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたFC内に、Eppendorfピペットを使用して室温で注入した。次いで、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたBCを、FC上に配置した。通常、FCは、Z:PPの55:45(w/w)ブレンドから作製され、一方で、BCは、Zのみで作られた。注入前に成形型を、グローブボックス内で最低12時間平衡化した。プレートを60~65℃に維持された隣接するグローブボックス内に移し、レンズを、5.0~5.5mW/cmの強度を有するTLO3光を使用して、15~20分間上から硬化させた。光源は、トレーの約6インチ上にあった。
【0284】
大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを手動で離型し、64枚のレンズを約1リットルの70% IPA中に約1時間又は2時間浮かせることによって取り外し、続いて70% IPAで2回、任意に25% IPAで2回、DIで2回、最後にホウ酸緩衝包装溶液で2回洗浄した。各洗浄工程は約30分続いた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。レンズをバイアル中に移し、続いて122℃で30分間高圧蒸気処理することにより殺菌した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定し、表に列挙した。
【0285】
【表14】
【0286】
【表15】
【0287】
物理的及び機械的特性は、反応開始剤を変化させることによる、又はヒドロキシル-シロキサンマクロマーを使用することによる有意な影響を受けなかった。実施例40は、異なる反応開始剤I819を使用し、実施例41は、式IIに示されるように、異なる反応開始剤I819及び異なるシリコーンマクロマー、即ち、OH-mPDMS(M=1000g/mol)を使用した。リゾチーム取り込みは、反応性モノマー混合物中のメタクリル酸の量と共に増加した。
【0288】
(実施例46)
0.254グラム(2.56mmol)のDMA、2.12グラム(13.3mmol)のビス-HEAA、164ミリグラム(0.64mmol)のTe-Me、及び104ミリグラム(0.64mmol)のAIBNを250mLの反応器内に添加し、28.7グラムの1-プロパノールに溶解した。室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって、溶液を脱気した。次いで、反応混合物を窒素ガス雰囲気下で60~62℃にて、反応物の全てが消費されるまで約3.5時間加熱した。1.42グラム(8.92mmol)のビス-HEAA及び6.18グラム(10.3mmol)のSA2を、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約14時間持続して撹拌しながら70~72℃で加熱した。最後に、0.255グラム(2.56mmol)のDMA及び2.11グラム(13.3mmol)のビス-HEAAを、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約4時間持続して撹拌しながら65℃で加熱した。反応混合物の揮発性成分をロータリーエバポレーターにおいて減圧下で除去した。粗生成物を60℃で100mLのトルエンに再溶解し、冷却させた。混合溶媒系を回転蒸発によって除去して、1-プロパノールを含まない粗生成物を得た。粗生成物を、150ミリグラム(0.96mmol)のTEMPO-フリーラジカルを含有する25mLのトルエンに溶解した。この溶液を88℃で3.5時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで揮発性成分をロータリーエバポレーター上にて60~65℃で蒸発させた。残渣を少量のIPAに溶解し、150mLのアセトニトリルで希釈し、15分間激しく撹拌し、少なくとも30分間静置させた。溶媒をデカントした。この精製プロセスを3回繰り返した。次いで、3つ全てのブロックがコポリマーであるトリブロックプレポリマー1を、60~70℃で一定重量に真空乾燥させた。
【0289】
(実施例47)
0.25グラム(2.56mmol)のDMA、2.13グラム(13.4mmol)のビス-HEAA、160ミリグラム(0.62mmol)のTe-Me、及び100ミリグラム(0.60mmol)のAIBNを250mLの反応器内に添加し、28.4グラムの1-プロパノールに溶解した。室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって、溶液を脱気した。次いで、反応混合物を窒素ガス雰囲気下で60~62℃にて、反応物の全てが消費されるまで約3.5時間加熱した。1.26グラム(7.90mmol)のビス-HEAA及び6.20グラム(6.2mmol)のmPDMSを、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約14時間持続して撹拌しながら70~72℃で加熱した。最後に、0.254グラム(2.56mmol)のDMA及び2.13グラム(13.4mmol)のビス-HEAAを、室温で15分間、系を通して窒素ガスをバブリングすることによって脱気し、反応容器に充填し、反応物の全てが消費されるまで約4時間持続して撹拌しながら65℃で加熱した。反応混合物の揮発性成分をロータリーエバポレーターにおいて減圧下で除去した。粗生成物を60℃で100mLのトルエンに再溶解し、冷却させた。混合溶媒系を回転蒸発によって除去して、1-プロパノールを含まない粗生成物を得た。粗生成物を、375ミリグラム(2.40mmol)のTEMPO-フリーラジカルを含有する50mLのトルエンに溶解した。この溶液を88℃で3時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次いで揮発性成分をロータリーエバポレーター上にて60~65℃で蒸発させた。残渣を5mLのIPAに溶解し、150mLのアセトニトリルで希釈し、15分間激しく撹拌し、少なくとも30分間静置させた。溶媒をデカントした。この精製プロセスを3回繰り返した。次いで、3つ全てのブロックがコポリマーであるトリブロックプレポリマー1を、60~70℃で一定重量に真空乾燥させた。
【0290】
実施例46~47を表10に要約する。
【0291】
【表16】
【0292】
(実施例48)
実施例46からの2.87グラムのトリブロックプレポリマー1、257ミリグラム(1.3mmol)のTMI、及び1ミリグラムのK-KAT 348を25mLのトルエンに溶解し、85~88℃に4時間かけて加熱した。反応混合物を冷却させ、溶媒をロータリーエバポレーター上にて60℃で除去した。次いで、粗生成物を68~70℃で約50mLのアセトニトリルに溶解し、冷蔵庫内において4℃で冷却させて、トリブロックプレポリマーを沈殿させた。上澄液をデカントし、廃棄した。残渣を60~65℃で真空乾燥させ、TMIでエンドキャップされたトリブロックプレポリマー2を得た。
【0293】
(実施例49)
実施例47からの6.28グラムのトリブロックプレポリマー1、553ミリグラム(2.75mmol)のTMI、及び2ミリグラムのK-KAT 348を50mLのトルエンに溶解し、85~88℃に4時間かけて加熱した。反応混合物を冷却させ、溶媒をロータリーエバポレーター上にて60℃で除去した。次いで、粗生成物を68~70℃で約50mLのアセトニトリルに溶解し、冷蔵庫内において4℃で冷却させて、トリブロックプレポリマーを沈殿させた。上澄液をデカントし、廃棄した。次いで、一部の不溶性粒子を除去するために、粗生成物を50mLの1-プロパノールに溶解し、5グラムの炭素粉末及び5グラムのセライトを添加した。懸濁液を撹拌し、真空濾過した。濾液を丸底フラスコに移し、溶媒を回転蒸発によって除去した。固体残渣を60~65℃で真空乾燥させ、TMIでエンドキャップされたトリブロックプレポリマー2を得た。実施例48及び49を、SEC-MALSによって測定した測定重量平均分子量を示す表11に要約する。
【0294】
【表17】
【0295】
(実施例50~51)
表12に列挙される反応性成分を混合することによって、反応性混合物を形成した。これらの配合物を、加熱済み又は未加熱のステンレス鋼又はガラスシリンジを使用して、3μmフィルタに通して濾過し、約10分間周囲温度にて真空(約40mm Hg)を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び0.1~0.2%未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~100μLの反応性混合物を、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたFC内に、Eppendorfピペットを使用して室温で注入した。次いで、典型的にはZeonor、Tuftec、ポリプロピレン、又はこれらのブレンドで作られたBCを、FC上に配置した。通常、FCは、Z:PPの55:45(w/w)ブレンドから作製され、一方で、BCは、Zのみで作られた。注入前に成形型をグローブボックス内で最低12時間平衡化した。プレートを60℃に維持された隣接するグローブボックス内に移し、レンズは、5.0mW/cmの強度を有するTL03光を使用して、15分間上から硬化させた。光源は、トレーの約6インチ上にあった。
【0296】
大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを手動で離型し、64枚のレンズを約1リットルの70% IPA中に約1時間又は2時間浮かせることによって取り外し、続いて70% IPAで2回、DIで2回、最後にホウ酸緩衝包装溶液で2回洗浄した。各洗浄工程は約30分続いた。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。レンズをバイアル内に移し、続いて122℃で30分間高圧蒸気処理することにより殺菌した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を測定し、表13に列挙した。
【0297】
【表18】
【0298】
【表19】
【0299】
〔実施の態様〕
(1) 式[A]-[B]-[C]を含む生物医学装置を作製するためのトリブロックプレポリマーであって、式中、
[A]及び[C]が独立して、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、
[B]が、シリコーン含有マクロマーと、任意に、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む第3の親水性モノマーと、任意にシリコーン含有モノマーと、から形成されるポリマーセグメントであり、
前記トリブロックプレポリマーが、少なくとも1つの一価反応性基を含む、トリブロックプレポリマー。
(2) 有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターを使用して形成される、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(3) 前記少なくとも1つの一価反応性基が、末端基である、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(4) 一価反応性末端基と、1つ以上の一価反応性ペンダント基と、を含む、複数の一価反応性基を含む、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(5) 前記一価反応性基の含有量が、アシル化前ヒドロキシアルキル又はアミノアルキル含有量の約1~約25モル%の範囲内である、実施態様4に記載のトリブロックプレポリマー。
【0300】
(6) 前記一価反応性ペンダント基の含有量が、約1~約10モル%の範囲内である、実施態様5に記載のトリブロックプレポリマー。
(7) 約10~約100kDaの範囲内の重量平均分子量を有する、実施態様1~6のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(8) 約20~約80kDaの範囲内の重量平均分子量を有する、実施態様7に記載のトリブロックプレポリマー。
(9) 約20~約60kDaの範囲内の重量平均分子量を有する、実施態様8に記載のトリブロックプレポリマー。
(10) 約20~約50kDaの範囲内の重量平均分子量を有する、実施態様9に記載のトリブロックプレポリマー。
【0301】
(11) 前記セグメント[A]及び[C]が両方とも、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される官能基を含む前記第1の親水性モノマーと、任意に1つ以上の第2の親水性モノマーと、を含む、実施態様1~10のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(12) 前記第1の親水性モノマーが、前記第3の親水性モノマーと同じである、実施態様1~11のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(13) 前記一価反応性基が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1~12のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(14) 前記第1の親水性モノマーが、C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、実施態様1~13のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(15) 前記第1の親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、実施態様14に記載のトリブロックプレポリマー。
【0302】
(16) 両セグメント[A]及び[C]の前記第1の親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである、実施態様11に記載のトリブロックプレポリマー。
(17) [A]及び[C]が独立して、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルN-メチルアセトアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン、3-アクリルアミドプロパン酸、5-アクリルアミドプロパン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩;カルボキシベタイン、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩;3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)、又はこれらの混合物を含む、前記第2の親水性モノマーを更に含む、実施態様1~16のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(18) 前記第2の親水性モノマーの前記反復単位が独立して、約1~約50モル%の範囲内でセグメント[A]及び[C]中に存在する、実施態様17に記載のトリブロックプレポリマー。
(19) 前記第2の親水性モノマーの前記反復単位が独立して、約1~約25モル%の範囲内でセグメント[A]及び[C]中に存在する、実施態様18に記載のトリブロックプレポリマー。
(20) 前記第2の親水性モノマーの前記反復単位が独立して、約1~約15モル%の範囲内でセグメント[A]及び[C]中に存在する、実施態様19に記載のトリブロックプレポリマー。
【0303】
(21) 前記第2の親水性モノマーの前記反復単位が独立して、約1~約10モル%の範囲内でセグメント[A]及び[C]中に存在する、実施態様20に記載のトリブロックプレポリマー。
(22) [B]が、C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-C~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスC~C直鎖若しくは分岐鎖トリヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、前記第3の親水性モノマーを更に含む、実施態様1~21のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(23) 前記第3の親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、実施態様22に記載のトリブロックプレポリマー。
(24) 前記第1の親水性モノマー及び前記第3の親水性モノマーが両方とも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む、実施態様23に記載のトリブロックプレポリマー。
(25) 前記第3の親水性モノマーの前記反復単位が、約1~約70モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様22~24のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
【0304】
(26) 前記第3の親水性モノマーの前記反復単位が、約10~約60モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様25に記載のトリブロックプレポリマー。
(27) 前記第3の親水性モノマーの前記反復単位が、約20~約60モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様26に記載のトリブロックプレポリマー。
(28) 前記第3の親水性モノマーの前記反復単位が、約30~約50モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様27に記載のトリブロックプレポリマー。
(29) 前記シリコーン含有マクロマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、及びO-ビニルカルボメートからなる群から選択される重合性官能基を含む、実施態様1~28のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(30) 前記シリコーン含有マクロマーが、式Iに示される化学構造を含み、
【化32】
Zが、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Z=O又はSのとき、Rは、不要であり、Rが、水素原子又はメチルであり、nが、1~200の間の整数であり、Rが、アルキレンセグメント(CHであり、式中、yが、1~6の整数であり、各メチレン基が任意に、エーテル、アミン、エステル、ケトン、カルボニル、カルボキシレート、及びカルバメートからなる群から選択される基で更にかつ独立して置換されたものであってもよく、又はyが2以上である場合、非末端メチレン基が任意に、カルバメート基で置き換えられたものであるか、あるいは、Rが、オキシアルキレンセグメントO(CHであり、式中、zが、1~3の整数であるか、又はRが、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり、y及びzの和が、1~9であり、R及びRが独立して、水素原子、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルコキシ基、直鎖又は分岐鎖ポリエチレンオキシアルキル基、アルキル-シロキサニル-アルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ素化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、1~6個の炭素原子を含有するモノ-、ジ、若しくはトリ-ヒドロキシアルキル基、又はこれらの組み合わせであり、Rが、1~8個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれも、1つ以上のフッ素原子又はトリメチルシロキシ基で更に置換されたものであってもよい、実施態様1~29のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
【0305】
(31) 前記シリコーン含有マクロマーが、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(ジアルキルシロキサン)、モノアルキル末端、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(ジアリールシロキサン)、モノアルキル末端、モノ(メタ)アクリレート末端ポリ(アルキルアリールシロキサン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様30に記載のトリブロックプレポリマー。
(32) 前記シリコーン含有マクロマーが、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンである、実施態様31に記載のトリブロックプレポリマー。
(33) 前記シリコーン含有マクロマーが、式VIIIに示される化学構造を含み、
【化33】
Zが、O、N、S、又はNCHCHOから選択され、Rが独立して、水素原子又はメチル基であり、R、R、及びRが独立して、水素原子、又は1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐鎖、若しくは環状アルキル基であり、これらのいずれも、少なくとも1つのヒドロキシ基で更に置換されたものであってもよく、任意に、アミド基、エーテル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、及びこれらの組み合わせで置換されたものであってもよく、Z=O及びSに対しては、Rは、不要であり、nが、シロキサン反復単位の数であり、4~200であり、Rが、直鎖又は分岐鎖C~Cアルキル基から選択される、実施態様1~29のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(34) 前記シリコーン含有マクロマーが、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサンである、実施態様33に記載のトリブロックプレポリマー。
(35) 前記シリコーン含有マクロマーが、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1~29のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
【0306】
(36) 前記シリコーン含有マクロマーが、500ダルトンを超える数平均分子量を有する、実施態様1~35のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(37) 前記シリコーン含有マクロマーが、約500ダルトン~約20,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施態様36に記載のトリブロックプレポリマー。
(38) 前記シリコーン含有マクロマーが、約500ダルトン~約10,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施態様37に記載のトリブロックプレポリマー。
(39) 前記シリコーン含有マクロマーが、約500ダルトン~約5,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施態様38に記載のトリブロックプレポリマー。
(40) 前記シリコーン含有マクロマーが、約500ダルトン~約2,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施態様39に記載のトリブロックプレポリマー。
【0307】
(41) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、前記トリブロックプレポリマーの総重量の約30~約80重量%の範囲内で存在する、実施態様1~40のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(42) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、前記トリブロックプレポリマーの総重量の約30~約70重量%の範囲内で存在する、実施態様41に記載のトリブロックプレポリマー。
(43) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、前記トリブロックプレポリマーの総重量の約40~約70重量%の範囲内で存在する、実施態様42に記載のトリブロックプレポリマー。
(44) セグメント[B]が、前記シリコーン含有マクロマー及び前記第3の親水性モノマーのコポリマーであり、前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の総重量の約75~約99重量%の範囲内で存在する、実施態様1~40のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(45) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の総重量の約85~約99重量%の範囲内で存在する、実施態様44に記載のトリブロックプレポリマー。
【0308】
(46) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の総重量の約90~約99重量%の範囲内で存在する、実施態様45に記載のトリブロックプレポリマー。
(47) セグメント[B]が、前記シリコーン含有マクロマー及び前記第3の親水性モノマーのコポリマーであり、前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の約30~約99モル%の範囲内で存在する、実施態様1~40のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(48) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の約40~約75モル%の範囲内で存在する、実施態様47に記載のトリブロックプレポリマー。
(49) 前記シリコーン含有マクロマーの前記反復単位が、セグメント[B]の約55~約75モル%の範囲内で存在する、実施態様48に記載のトリブロックプレポリマー。
(50) 前記シリコーン含有モノマーが、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルアミドプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル、N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1~49のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
【0309】
(51) 前記シリコーン含有モノマーの前記反復単位が、約1~約50モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様50に記載のトリブロックプレポリマー。
(52) 前記シリコーン含有モノマーの前記反復単位が、約1~約25モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様51に記載のトリブロックプレポリマー。
(53) 前記シリコーン含有モノマーの前記反復単位が、約1~約15モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様52に記載のトリブロックプレポリマー。
(54) 前記シリコーン含有モノマーの前記反復単位が、約1~約10モル%の範囲内でセグメント[B]中に存在する、実施態様53に記載のトリブロックプレポリマー。
(55) 前記セグメント[A]、[B]、及び[C]が全て、ホモポリマーである、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
【0310】
(56) 前記セグメント[A]及び[C]が、同じホモポリマーである、実施態様55に記載のトリブロックプレポリマー。
(57) 前記セグメント[A]、[B]、及び[C]が全て、コポリマーである、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(58) 前記セグメント[A]、[B]、及び[C]が独立して、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーからなる群から選択される、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(59) 前記セグメント[A]及び[C]が、ホモポリマーであり、セグメント[B]が、コポリマーである、実施態様1に記載のトリブロックプレポリマー。
(60) 前記セグメント[A]及び[C]が、同じホモポリマーである、実施態様59に記載のトリブロックプレポリマー。
【0311】
(61) 前記セグメント[A]及び[C]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、セグメント[B]が、モノ-アルキル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンのホモポリマー、モノアルキル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサンのホモポリマー、モノアルキル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマー、並びにモノ-アルキル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーからなる群から選択される、実施態様1~54のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(62) セグメント[A]及び[C]が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、前記[B]セグメントが、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン及び前記2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーである、実施態様61に記載のトリブロックプレポリマー。
(63) セグメント[A]及び[C]が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのホモポリマーであり、前記[B]セグメントが、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン及び前記2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから誘導される反復単位を含むコポリマーである、実施態様61に記載のトリブロックプレポリマー。
(64) 眼科用装置を作製するための反応性モノマー混合物の成分を相溶化するのに有効である、実施態様1~63のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
(65) 架橋条件に曝露されると、眼科用装置を形成するのに有効であるシリコーンヒドロゲルを形成する、実施態様1~64のいずれかに記載のトリブロックプレポリマー。
【0312】
(66) 前記1つ以上の一価反応性ペンダント基が、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソプロペニル-α α-ジメチルベンジルイソシアネート、及びこれらの混合物を含むアシル化剤の残基である、ペンダント(メタ)アクリレート基を含む、実施態様4に記載のトリブロックプレポリマー。
(67) 前記アシル化剤が、メタクリロイルクロリドである、実施態様66に記載のトリブロックプレポリマー。
(68) 反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルであって、
(a)実施態様1~67のいずれかに記載のトリブロックプレポリマーと、
(b)セグメント[A]、[B]、及び[C]の親水性モノマーとは無関係の少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)前記トリブロックプレポリマー及び[B]の前記任意のシリコーン含有モノマーとは無関係の少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、シリコーンヒドロゲル。
(69) 前記第4の親水性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を含む、実施態様68に記載のシリコーンヒドロゲル。
(70) 前記第4の親水性モノマーが、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物から成る群から選択される1つ以上のアルキルアミンモノマーを含む、実施態様68に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0313】
(71) 前記少なくとも1つのシリコーン含有成分が、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(HO-mPDMS)、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド(SA2)、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルアミドプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルアミドプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様68~70のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(72) 少なくとも80バーラーである酸素透過性(Dk)を含む、実施態様68~71のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲル。
(73) 前記酸素透過性(Dk)が、少なくとも約85バーラーである、実施態様72に記載のシリコーンヒドロゲル。
(74) 前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約1%~約99%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約0.1%~約80%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約0.1%~約60%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、実施態様68に記載のシリコーンヒドロゲル。
(75) 前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約5%~約40%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約5%~約65%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約10%~約50%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、実施態様74に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0314】
(76) 前記反応性モノマー混合物が、任意の希釈剤を除いて、前記反応性モノマー混合物の成分の重量%で、
(a)約10%~約30%の範囲内の量の前記トリブロックプレポリマーと、
(b)約10%~約45%の範囲内の量の前記少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)約10%~約40%の範囲内の量の前記少なくとも1つのシリコーン含有成分と、を含む、実施態様75に記載のシリコーンヒドロゲル。
(77) 反応性モノマー混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルであって、
(a)式[A]-[B]-[C]のトリブロックプレポリマーであって、式中、[A]及び[C]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに基づくホモポリマーセグメントであり、[B]が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びモノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンの反復単位に基づくコポリマーセグメントであり、約500Da~約1500Daの範囲内の数平均分子量を有し、前記トリブロックプレポリマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、及びO-ビニルカルボメート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合性基を含む、トリブロックプレポリマーと、
(b)少なくとも1つの他の第4の親水性モノマーと、
(c)少なくとも1つの少なくとも1つのシリコーン含有成分と、
(d)少なくとも1つの荷電モノマーと、
(e)少なくとも1つのポリアミドと、
(f)少なくとも1つの架橋剤と、
(g)少なくとも1つの光開始剤と、
(h)以下:UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助食品、抗菌物質、着色料、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせ、のうちの1つ以上と、を含む、シリコーンヒドロゲル。
(78) 前記ポリアミドが、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-ビニルN-メチルアセトアミド)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様77に記載のシリコーンヒドロゲル。
(79) 前記ポリアミドが、N-ビニルピロリドン(NVP)、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルN-メチルアセトアミド(VMA)、及びN-ビニルアセトアミド(NVA)からなる群から選択される2つ以上のモノマーを含むコポリマーである、実施態様77に記載のシリコーンヒドロゲル。
(80) 前記他の第4の親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様77に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0315】
(81) 前記シリコーン含有成分が、モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-n-ブチル末端モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(HO-mPDMS)、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド(SA2)、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルアミドプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、3-アクリルアミドプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様77に記載のシリコーンヒドロゲル。
(82) 前記荷電モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン、3-アクリルアミドプロパン酸、5-アクリルアミドプロパン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩;カルボキシベタイン、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩;3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)、[2-メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様77に記載のシリコーンヒドロゲル。
(83) 実施態様68~82のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルを含む、コンタクトレンズ。
(84) 100μg/レンズを超えるリゾチーム取り込みを含む、実施態様83に記載のコンタクトレンズ。
(85) 15%未満、又は更には10%未満の脂質取り込みを含む、実施態様83に記載のコンタクトレンズ。
【0316】
(86) 100度未満、又は80度未満、又は60度未満の前進接触角を有する、実施態様83に記載のコンタクトレンズ。
(87) シリコーンヒドロゲルを作製する方法であって、
(a)実施態様1~67のいずれかに記載のトリブロックプレポリマーを得ることと、
(b)前記トリブロックプレポリマーから、かつ任意に他の成分との反応性モノマー混合物を調製することと、
(c)前記反応性モノマー混合物を第1の成形型に導入することと、
(d)第2の成形型を、前記反応性モノマー混合物で充填された前記第1の成形型の上に配置することと、
(e)フリーラジカル共重合によって前記反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状で前記シリコーンヒドロゲルを形成することと、を含む、方法。
(88) 前記トリブロックプレポリマーが、有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)メディエーターを使用して形成される、実施態様87に記載の方法。
図1