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特許6995854カートリッジおよびバイパス空気吸込み口を有するエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】カートリッジおよびバイパス空気吸込み口を有するエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220107BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019529652
(86)(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017080862
(87)【国際公開番号】W WO2018114261
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】16205103.1
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0202472(US,A1)
【文献】国際公開第2015/177043(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/135224(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0196060(US,A1)
【文献】国際公開第2014/110119(WO,A1)
【文献】特表2009-502136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
カートリッジハウジングおよび前記カートリッジハウジングの中に位置付けられた固体エアロゾル形成基体を備える、カートリッジと、
液体エアロゾル形成基体と、
エアロゾル発生装置であって、
前記カートリッジの少なくとも一部を受けるくぼみ、
気流入口、
前記気流入口と前記くぼみとの間に位置付けられる気流センサーであって、前記気流入口および前記くぼみと流体連通する気流センサー、
前記くぼみと流体連通するバイパス空気吸込み口、
前記液体エアロゾル形成基体を加熱するように構成される電気ヒーター、
電源、および、
前記気流センサーを横切る気流を示す前記気流センサーからの信号に応答して、前記電源から前記電気ヒーターへの電力の供給を制御するように構成されるコントローラ、を備える、エアロゾル発生装置と、を備え、
前記エアロゾル発生システムが、前記カートリッジが前記くぼみ内に受けられる時に、前記カートリッジハウジングが気流が前記バイパス空気吸込み口を通るのを防止するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記バイパス空気吸込み口が、前記くぼみの側壁上に位置付けられる、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記バイパス空気吸込み口が、複数のバイパス空気吸込み口を備え、前記エアロゾル発生システムが、前記カートリッジが前記くぼみ内に受けられる時に、前記カートリッジハウジングが、気流が前記バイパス空気吸込み口の各々を通るのを防止するように構成される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記エアロゾル発生装置が、液体貯蔵セクションおよび前記液体貯蔵セクションの中に位置付けられる前記液体エアロゾル形成基体を備える、請求項1、2または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記液体貯蔵セクションが多孔性担体材料を含み、前記液体エアロゾル形成基体が前記多孔性担体材料上に提供される、請求項4に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生システムの使用中に液体エアロゾル形成基体を前記電気ヒーターに移動するように構成される液体移動要素をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記カートリッジが、前記カートリッジハウジングの中に位置付けられる前記液体エアロゾル形成基体を備える、請求項1、2または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記カートリッジが多孔性担体材料を含み、前記液体エアロゾル形成基体は前記多孔性担体材料上に提供される、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生システムの使用中に前記多孔性担体材料から前記電気ヒーターに液体エアロゾル形成基体を移動するように構成される液体移動要素をさらに含む、請求項8に記載のエアロゾル発発生システム。
【請求項10】
前記カートリッジが壊れやすいシールをさらに含み、前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生装置が前記カートリッジを受ける時に前記壊れやすいシールを貫通するように構成される貫通要素をさらに含む、請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記貫通要素が、中空シャフト部および前記中空シャフト部の端にある貫通部分を含み、前記電気ヒーターの少なくとも一部が前記中空シャフト部の内側に位置付けられる、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体移動要素の第一の部分が前記中空シャフト部の内側に位置付けられ、前記電気ヒーターが前記液体移動要素の前記第一の部分の周りに少なくとも部分的に巻かれる抵抗加熱コイルを備える、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記液体移動要素が、前記中空シャフト部の開口部を貫通し、前記液体移動要素の第二の部分が前記中空シャフト部の外表面の上にある、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記多孔性担体材料が、前記多孔性担体材料を通る通路を画定する環状の形状を有し、前記エアロゾル発生システムが、前記エアロゾル発生装置が前記カートリッジを受ける時に前記貫通要素が前記通路内に少なくとも部分的に受けられるように構成され、前記エアロゾル発生システムが、前記貫通部分が前記通路内に少なくとも部分的に受けられる時に前記液体移動要素の前記第二の部分が前記多孔性担体材料の内部表面に接触するように構成される、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記カートリッジが、前記多孔性担体材料と前記カートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備え、前記気流チャネルの下流端が前記固体エアロゾル形成基体と流体連通する、請求項14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジおよびエアロゾル発生装置を有するエアロゾル発生システムに関し、エアロゾル発生装置は、カートリッジを受けるためのくぼみと、バイパス空気吸込み口とを有する。本発明は、電気的に作動する喫煙システムとして特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。公知の手持ち式の電気的に作動する喫煙システムは典型的に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル形成基体を加熱するための電気ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置の一部の中に収容されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、ニコチン溶液などの液体エアロゾル形成基体が貯蔵される液体貯蔵部分を備えてもよい。しばしば「eシガレット」と呼ばれるこうした装置は典型的に、複数の従来の紙巻たばこを消費するのに相当する吸煙回数を提供するために十分な液体エアロゾル形成基体を含有する。
【0003】
従来の紙巻たばこを消費する体験をより忠実にシミュレートする体験をeシガレットユーザーに提供する試みにおいて、一部の装置はeシガレット構成をたばこ由来の基体と組み合わせて、ユーザーによって吸入されるエアロゾルにたばこの味覚を付与することを試みている。たばこ由来の基体は、取り外し可能なカートリッジ内に提供されうる。しかし、このような装置では、カートリッジを挿入することなくユーザーが装置を使用することが可能である場合があり、これによってユーザー体験が損なわれうる。
【0004】
公知の装置でのこれらの問題の少なくとも一部を低減または除去するエアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、カートリッジと、液体エアロゾル形成基体と、エアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システムが提供されている。カートリッジは、カートリッジハウジングおよびカートリッジハウジングの中に位置付けられた固体エアロゾル形成基体を備える。エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受けるためのくぼみ、気流入口、および気流入口とくぼみとの間に位置付けられた気流センサーとを備え、気流センサーは気流入口およびくぼみと流体連通している。エアロゾル発生装置はさらに、くぼみと流体連通するバイパス空気吸込み口と、液体エアロゾル形成基体を加熱するように構成された電気ヒーターと、電源と、コントローラと、を備える。コントローラは、気流センサーを横切る気流を示す気流センサーからの信号に応答して、電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するように構成される。エアロゾル発生システムは、カートリッジがくぼみ内に受けられる時に、カートリッジハウジングがバイパス空気吸込み口を通る気流を実質的に防止するように構成される。
【0006】
液体エアロゾル形成基体は、カートリッジの一部またはエアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。
【0007】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を説明するために使用されている。本発明によるエアロゾル発生システムのエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温にて通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0008】
有利なことに、カートリッジをくぼみ内に挿入することなくユーザーがエアロゾル発生装置を吸うと、空気がバイパス空気吸込み口を介してエアロゾル発生装置内に引き出される。この場合、気流センサーを横切る気流が、気流センサーをトリガするのには不十分である。従って、有利なことに、カートリッジをくぼみ内に挿入することなくユーザーがエアロゾル発生装置を吸うと、コントローラは電気ヒーターを起動させない。
【0009】
有利なことに、カートリッジがくぼみ内に受けられる時、バイパス空気吸込み口はカートリッジハウジングによって遮断される。従って、カートリッジをくぼみ内に挿入してユーザーがエアロゾル発生装置を吸うと、空気は気流入口を介してエアロゾル発生装置内に流れるのみとなりうる。この場合、気流センサーを横切る気流が、気流センサーをトリガするのに十分である。従って、有利なことに、カートリッジをくぼみ内に挿入してユーザーがエアロゾル発生装置を吸うと、コントローラが電気ヒーターを起動させる。
【0010】
エアロゾル発生システムは気流出口を備えうる。カートリッジがくぼみ内に受けられる時、エアロゾル発生システムは、気流入口から気流出口へとエアロゾル発生システムを通って延在する気流経路を備える。
【0011】
バイパス空気吸込み口は、くぼみの側壁上に位置付けられてもよい。くぼみの側壁は、カートリッジがくぼみ内に挿入される時にそれに沿ってカートリッジハウジングがスライドする壁である。有利なことに、くぼみの側壁上にバイパス空気吸込み口を提供することは、カートリッジがくぼみ内に受けられる時のカートリッジハウジングによるバイパス空気吸込み口の閉塞を容易にし得る。
【0012】
バイパス空気吸込み口は、複数のバイパス空気吸込み口を備えてもよく、ここで、エアロゾル発生システムは、カートリッジがくぼみ内に受けられる時に、カートリッジハウジングがバイパス空気吸込み口のそれぞれを通る気流を実質的に防止するように構成される。有利なことに、複数のバイパス空気吸込み口を提供することは、カートリッジがくぼみ内に受けられていない時の、バイパス空気吸込み口を通る気流と気流入口を通る気流の比を増大させうる。従って、有利なことに、この配置はさらに、カートリッジがくぼみ内に受けられることなくユーザーがエアロゾル発生システムを吸う時に、気流センサーを横切る気流を減少させうる。
【0013】
エアロゾル発生装置は、液体貯蔵セクションを備えうるが、ここで液体エアロゾル形成基体は液体貯蔵セクション内に位置付けられる。エアロゾル発生装置は、電源およびコントローラを含む電源セクションを備えることが好ましく、ここで液体貯蔵セクションは電源セクションに取り外し可能なように取り付けられるよう構成される。
【0014】
液体貯蔵セクションは多孔性担体材料を含んでもよく、ここで液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料上に提供されている。有利なことに、多孔性担体材料上に液体エアロゾル形成基体を提供することは、液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵セクションから漏れるリスクを減少させうる。
【0015】
エアロゾル発生システムはさらに、使用時に、液体エアロゾル形成基体が、液体移動要素に沿って液体貯蔵セクションから電気ヒーターへと毛細管作用によって搬送されるように構成された液体移動要素を備えてもよい。液体貯蔵セクションが多孔性担体材料を含む実施形態では、液体移動要素は、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料から電気ヒーターへと搬送するように構成される。
【0016】
電気ヒーターは、液体貯蔵セクションおよび電源セクションの一方または両方と別個に提供されてもよい。液体貯蔵セクション、電気ヒーター、および存在する場合、液体移動要素は、気化器セクション内に一緒に提供されることが好ましい。気化器セクションは、装置ハウジングの一部を形成する気化器ハウジングを備え、ここで気化器ハウジングは、電源セクションに接続するように構成された上流端と、カートリッジ組立品を受けるように構成されたくぼみを画定する下流端とを備えることが好ましい。有利なことに、液体貯蔵セクション、電気ヒーター、および存在する場合、液体移動要素を、電源セクションから分離した単一の気化器セクション内に提供することは、電源セクションを交換する必要のない気化器セクションの交換(例えば、液体エアロゾル形成基体が涸渇した時に)を容易にしうる。
【0017】
カートリッジは、カートリッジハウジングの中に位置付けられた液体エアロゾル形成基体を備えうる。
【0018】
カートリッジは、多孔性担体材料を含んでもよく、ここで液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料上に提供される。有利なことに、多孔性担体材料上に液体エアロゾル形成基体を提供することにより、液体エアロゾル形成基体がカートリッジから漏れるリスクを低減しうる。
【0019】
エアロゾル発生装置は、カートリッジがくぼみ内に受けられる時に、液体エアロゾル形成基体をカートリッジから電気ヒーターへと移動するように構成された液体移動要素を備えうる。カートリッジが多孔性担体材料を含む実施形態では、液体移動要素は、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料から電気ヒーターへと搬送するように構成される。
【0020】
カートリッジはシールを備えてもよい。シールは、取り外し可能なシールまたは壊れやすいシールとしうる。有利なことに、シールは、固体エアロゾル形成基体および液体エアロゾル形成基体の一方または両方からの揮発性化合物の損失を防止しうる。カートリッジは、カートリッジハウジングの第一の端を横切って延在するシールを備えうる。第一の端はカートリッジハウジングの上流端であることが好ましい。シールは、シールの周辺部の周りにカートリッジハウジングに固定されてもよい。シールは、超音波溶接などの接着剤および溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジハウジングに固定されうる。シールは、シート材料から形成されることが好ましい。シート材料は、高分子フィルムおよび金属箔のうちの少なくとも一つを含んでもよい。シールが取り外し可能なシールである実施形態では、取り外し可能なシールは、カートリッジをエアロゾル発生装置と組み合わせる前に、ユーザーによってカートリッジから取り外されるように構成されうる。取り外し可能なシールは、シールの取り外しを容易にするためのプルタブを備えうる。
【0021】
シールが壊れやすいシールである実施形態では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置がカートリッジを受ける時に壊れ易いシールを貫通するように構成された貫通要素を備えることが好ましい。有利なことに、貫通要素は、エアロゾル発生装置およびヒーターセクションがカートリッジと組み合わされた時に、壊れやすいシールを自動的に貫通しうる。
【0022】
電気ヒーターの少なくとも一部分は、貫通要素を形成してもよい。電気ヒーターは、壊れやすいシールを貫通するように構成されたヒーターブレードの形態であってもよい。
【0023】
貫通要素は、電気ヒーターとは別個に形成されてもよい。貫通要素は、シャフト部、およびシャフト部の端にある貫通部分を備えうる。有利なことに、中空シャフト部は、エアロゾル発生システムの使用中に中空シャフト部を通る気流を許容しうる。貫通部分は、貫通部分を貫通し、中空シャフト部の内部と流体連通する気流開口部を備えてもよい。中空シャフト部の内部の少なくとも一部分は、中空シャフト部の少なくとも一部分に沿って延在する気流通路を画定してもよい。気流通路は、気流入口、気流センサーおよびくぼみと流体連通する。気流センサーは、気流通路の上流に位置付けられてもよい。気流センサーは、気流通路の下流に位置付けられてもよい。
【0024】
電気ヒーターの少なくとも一部分は、中空シャフト部の内側に位置付けられてもよい。電気ヒーターの少なくとも一部分は、気流通路の一部分を横切って横断方向に延在してもよい。電気ヒーターおよび中空シャフト部は、使用中に、空気流通路を通る気流が中空シャフト部の内側に位置付けられた電気ヒーターの部分を横切って通るように構成されることが好ましい。
【0025】
エアロゾル発生装置が液体移動要素を備える実施形態では、液体移動要素の第一の部分は、中空シャフト部の内側に位置付けられうる。液体移動要素の第一の部分は、気流通路の一部分を横切って横断方向に延在してもよい。液体移動要素および中空シャフト部は、使用時に、気流通路を通る気流が液体移動要素の第一の部分を横切って通るように構成されることが好ましい。
【0026】
電気ヒーターは抵抗加熱コイルを備えてもよい。抵抗加熱コイルは、液体移動要素の第一の部分の周りに少なくとも部分的に巻かれることが好ましい。
【0027】
液体移動要素は、中空シャフト部の第一の開口部を貫通してもよく、液体移動要素の第二の部分は、中空シャフト部の外部表面の上にある。液体移動要素の第二の部分は、液体移動要素の第一の端であることが好ましい。液体移動要素は、中空シャフト部の第二の開口部を貫通してもよく、液体移動要素の第三の部分は、中空シャフト部の外部表面の上にある。第二の開口部は、第一の開口部の反対側であることが好ましい。液体移動要素の第三の部分は、液体移動要素の第二の端であることが好ましい。液体移動要素の第一の部分は、第二の部分と第三の部分との間の液体移動要素の中間部分であることが好ましい。
【0028】
エアロゾル発生装置は、中空シャフト部の一部の周りに位置付けられた固定リングを備えてもよく、液体移動要素の第二の部分の少なくとも一部は、固定リングと中空シャフト部との間に位置付けられる。液体移動要素が中空シャフト部の外表面の上にある第三の部分を備える実施形態では、液体移動要素の第三の部分の少なくとも一部は、固定リングと中空シャフト部との間に位置付けられることが好ましい。
【0029】
カートリッジが多孔性担体材料を備える実施形態では、多孔性担体材料は、多孔性担体材料を通る通路を画定する環状の形状を有してもよい。カートリッジがくぼみ内に受けられる時、多孔性担体材料を通して画定される通路は、エアロゾル発生システムを通る気流経路の一部を形成しうる。
【0030】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置がカートリッジを受ける時に、貫通要素が通路内に少なくとも部分的に受けられるように構成されることが好ましい。エアロゾル発生システムは、貫通部分が通路内に少なくとも部分的に受けられる時に、液体移動要素の第二の部分が多孔性担体材料の内部表面に接触するように構成されることが好ましい。液体移動要素が第三の部分を含む実施形態では、エアロゾル発生システムは、貫通部分が通路内に少なくとも部分的に受けられる時に、液体移動要素の第三の部分が多孔性担体材料の内部表面に接触するように構成されることが好ましい。
【0031】
貫通部分は先細りであり、中空シャフト部に隣接する貫通部分の第一の端で最大直径を含むことが好ましい。貫通部分は、貫通部分の第二の端で最小直径を含むことが好ましい。貫通部分の第二の端は、カートリッジの壊れやすいシールを貫通するように構成される。
【0032】
中空シャフト部は、貫通部分の第一の端に隣接した第一の直径を有することが好ましく、中空シャフト部の第一の直径は、貫通部分の最大直径未満である。エアロゾル発生装置が中空シャフト部の外表面の上にある第二の部分を有する液体移動要素を備える実施形態では、液体移動要素の第二の部分の最大厚さは、最大直径と第一の直径との間の差以下であることが好ましい。液体移動要素が中空シャフト部の外表面の上にある第三の部分を有する実施形態では、液体移動要素の第二および第三の部分の最大の結合された厚さは、最大直径と第一の直径との間の差以下である。有利なことに、こうした配置は、カートリッジがエアロゾル発生装置と組み合わされた時に、特に貫通要素が多孔性担体材料を貫通する通路内に受けられる実施形態では、液体移動要素への応力を低減しうる。
【0033】
カートリッジが多孔性担体材料を備える実施形態では、カートリッジは、多孔性担体材料とカートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備えてもよい。気流チャネルの下流端は、固体エアロゾル形成基体と流体連通することが好ましい。気流チャネルは、多孔性担体材料を貫通する通路に加えて、またはその代替としてもよい。
【0034】
カートリッジハウジングは、管状であり、第一の端である上流端および第二の端である下流端を備えることが好ましい。固体エアロゾル形成基体は、下流端内に位置付けられることが好ましい。固体エアロゾル形成基体は、上流端内に位置付けられることが好ましい。
【0035】
カートリッジがその上に液体エアロゾル形成基体が配置される多孔性担体材料を備える実施形態では、多孔性担体材料は、カートリッジハウジング内に直接位置付けられてもよい。多孔性担体材料は、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されることが好ましい。
【0036】
多孔性担体材料は、液体貯蔵ハウジング内に位置付けられてもよく、ここで液体貯蔵ハウジングはカートリッジハウジング内に位置付けられる。液体貯蔵ハウジングは、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されることが好ましい。
【0037】
カートリッジが多孔性担体材料とカートリッジハウジングとの間に位置付けられた気流チャネルを備える実施形態では、液体貯蔵ハウジングの外表面は、液体貯蔵ハウジングがカートリッジハウジング内に受けられる時に、カートリッジハウジングと液体貯蔵ハウジングとの間に気流チャネルを画定するように形状設定されてもよい。液体貯蔵ハウジングの外表面は、液体貯蔵ハウジングがカートリッジハウジング内に受けられる時に、気流チャネルを画定する溝を備えてもよい。
【0038】
液体貯蔵ハウジングは管状であってもよい。カートリッジが取り外し可能なシールまたは壊れやすいシールを含む実施形態では、シールは、液体貯蔵ハウジングの上流端を横切って延在しうる。シールは、カートリッジハウジングの代わりに液体貯蔵ハウジングに固定されることが好ましい。
【0039】
管状の液体貯蔵ハウジングは、開いた上流端および閉じた下流端を有しうる。カートリッジが取り外し可能なシールまたは壊れやすいシールを備える実施形態では、シールは、多孔性担体材料がシールと閉鎖端との間に位置付けられるように、液体貯蔵ハウジングの上流端を横切って延在してもよい。
【0040】
固体エアロゾル形成基体は、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されうる。
【0041】
カートリッジは、固体エアロゾル形成基体の下流に位置付けられたフィルターを備えうる。フィルターは、カートリッジハウジングの下流端内に位置付けられたフィルター材料のプラグを備えうる。フィルター材料のプラグは、締まり嵌めによってカートリッジハウジング内に保持されうる。フィルターは、カートリッジハウジングの下流開口部を横切って延在するシート材料を備えてもよい。シート材料はメッシュを備えてもよい。シート材料は、超音波溶接などの接着剤および溶接のうちの少なくとも一つによってカートリッジハウジングに固定されうる。フィルターは、固体エアロゾル形成基体をカートリッジハウジング内に保持しうる。
【0042】
エアロゾル発生システムはマウスピースを備えてもよい。エアロゾル発生システムが少なくとも一つの気流出口を備える実施形態において、マウスピースは少なくとも一つの気流出口を備えることが好ましい。マウスピースは、カートリッジの部分を形成してもよい。マウスピースは、エアロゾル発生装置の部分を形成してもよい。マウスピースは、カートリッジおよびエアロゾル発生装置とは別個に形成されてもよく、ここでカートリッジおよびエアロゾル発生装置のうちの少なくとも一つは、マウスピースを受けるように構成される。
【0043】
固体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。
【0044】
固体エアロゾル形成基体は、脱プロトン化ニコチンを含有するたばこを含んでもよい。たばこの中のニコチンを脱プロトン化することは有利なことに、ニコチンの揮発性を増大させる場合がある。ニコチンは、たばこをアルカリ化処理に供することによって脱プロトン化されてもよい。
【0045】
固体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0046】
固体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物を説明するために使用されている。適切なエアロゾル形成体としては、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、もしくはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
好ましいエアロゾル形成体は、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリンなどの多価アルコールまたはその混合物である。
【0048】
固体エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、固体エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準で5パーセントを超えてもよい。
【0050】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントであってもよい。
【0051】
固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ20パーセントであってもよい。
【0052】
液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体としては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコールまたはその混合物が挙げられる。
【0053】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。
【0054】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含まなくてもよい。こうした実施形態において、気化された液体エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体から一つ以上の揮発性化合物を揮散するために、使用中に固体エアロゾル形成基体を通して引き出されてもよい。気化された液体エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体からニコチンを揮散してもよい。脱プロトン化ニコチンを含有するたばこを含む固体エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体がニコチンを含まない実施形態に特に適切である場合がある。
【0055】
電気ヒーターは抵抗加熱コイルを備えてもよい。エアロゾル発生装置は、ヒーター支持体を備えうるが、ここで抵抗加熱コイルはヒーター支持体の周りに少なくとも部分的に巻かれる。
【0056】
電気ヒーターは抵抗加熱メッシュを備えてもよい。
【0057】
抵抗加熱メッシュは複数の導電性フィラメントを備えてもよい。導電性フィラメントは実質的に平面であってもよい。本明細書で使用される「実質的に平坦」とは、単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状もしくはその他の非平面形状に巻かれない、または湾曲した形状もしくはその他の非平面形状に合うように適合されないことを意味する。平坦な加熱メッシュは、製造中に簡単に取り扱うことができ、かつ頑丈な構造を提供する。
【0058】
導電性フィラメントはフィラメントの間に隙間を画定してもよく、また隙間は約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの幅を有してもよい。フィラメントは、使用時に液体エアロゾル形成基体が隙間の中へと引き出されるように隙間内に毛細管作用を生じさせて、ヒーター組立品と液体の間の接触面積が増えることが好ましい。
【0059】
導電性フィラメントは160~600メッシュUS(±10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が約160~約600個(±10%))のサイズのメッシュを形成してもよい。隙間の幅は約75マイクロメートル~約25マイクロメートルであることが好ましい。メッシュの総面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開口面積の割合は約25パーセント~約56パーセントであることが好ましい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。導電性フィラメントは、互いに平行に配列されたフィラメントのアレイであってもよい。
【0060】
導電性フィラメントは約8マイクロメートル~約100マイクロメートルの直径を有してもよく、約8マイクロメートル~50マイクロメートルの直径を有することが好ましく、約8マイクロメートル~約39マイクロメートルの直径を有することがより好ましい。
【0061】
抵抗加熱メッシュは、約25平方ミリメートル以下の面積を覆ってもよい。抵抗加熱メッシュは長方形であってもよい。抵抗加熱メッシュは正方形であってもよい。抵抗加熱メッシュは、約5ミリメートル×約2ミリメートルの寸法を有してもよい。
【0062】
導電性フィラメントは任意の適切な導電性材料を含んでもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料・金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例には、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは一つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼、ならびに黒鉛である。
【0063】
抵抗加熱メッシュの電気抵抗は、約0.3~約4オームであることが好ましい。メッシュの電気抵抗は約0.5~約3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。
【0064】
電気ヒーターが抵抗加熱コイルを備える実施形態において、コイルのピッチは約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルであることが好ましく、約1.5ミリメートルであることが最も好ましい。コイルのピッチは、コイルの隣接した巻きの間隔を意味する。コイルは6回未満の巻き数を備えてもよく、5回未満の巻き数を有することが好ましい。コイルは、約0.10ミリメートル~約0.15ミリメートル、好ましくは約0.125ミリメートルの直径を有する電気抵抗性のあるワイヤーで形成されてもよい。電気抵抗性のあるワイヤーは、904または301ステンレス鋼で形成されることが好ましい。他の適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。他の適切な合金の例には、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。抵抗加熱コイルはまた、リボンの形態で提供される金属箔(アルミ箔など)を含んでもよい。
【0065】
エアロゾル発生システムが多孔性担体材料を備える実施形態では、多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体に対して透過性であり、かつ液体エアロゾル形成基体が多孔性担体材料を通して移動することを可能にする任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。材料または材料の組み合わせは、液体エアロゾル形成基体に対して不活性であることが好ましい。多孔性担体材料は毛細管材料であってもよく、または毛細管材料でなくてもよい。多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体の分散および拡散を改善する親水性の材料を含んでもよい。これは、一貫したエアロゾル形成を支援する場合がある。特定の好ましい材料は、液体エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な材料の例は毛細管材料であり、例えば海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡糸または押出成形された繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維性材料である。多孔性担体材料は、異なる液体物理的特性を有して使用されるように、任意の適切な空隙率を有してもよい。
【0066】
エアロゾル発生システムが液体移動要素を備える実施形態では、液体移動要素は、その長さに沿って液体エアロゾル形成基体を運ぶことのできる適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。液体移動要素は多孔性材料より形成できるが、そうである必要はない。液体移動要素は繊維質または海綿状の構造を有する材料より形成してもよい。液体移動要素は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、液体移動要素は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。液体移動要素は、海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。液体移動要素の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体は毛細管作用によって搬送されることができる。特定の好ましい材料は、液体エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な毛細管材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、セラミック、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、オーステナイト系316ステンレス鋼ならびにマルテンサイト系440および420ステンレス鋼などの医療グレードのステンレス鋼合金の金属繊維など)でできた繊維性材料を含む。液体移動要素は異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管を有する場合がある。液体エアロゾル形成基体は、液体移動要素を通して移動されることを可能にする粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、蒸気圧などの物理特性(ただし、これらに限定されない)を有する。液体移動要素は、耐熱性材料で形成されうる。液体移動要素は、複数の繊維撚糸を含みうる。複数の繊維撚糸は概して、液体移動要素の長さに沿って整列されうる。
【0067】
エアロゾル発生システムが多孔性担体材料および液体移動要素を備える実施形態では、多孔性担体材料および液体移動要素は、同一の材料を含みうる。多孔性担体材料および液体移動要素は、異なる材料を含むことが好ましい。
【0068】
カートリッジは、締まり嵌めによってくぼみ内に保持されるように構成されることが好ましい。カートリッジおよびくぼみのそれぞれは、適切な任意の形状の断面形状を有してもよい。カートリッジの断面形状は、くぼみの断面形状と実質的に同一であることが好ましい。適切な断面形状は、円形、半円形、四角形、および不規則な形状を含む長方形などの多角形を含む。
【0069】
カートリッジハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料には、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、および修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を含むLCPなど)が含まれるがこれらに限定されない。
【0070】
電源は電池を備えてもよい。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、またエアロゾル発生装置を二つ以上のカートリッジとともに使用するのに十分なエネルギーを蓄積できる容量を有してもよい。
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの斜視図である。
図2図2は、図1のエアロゾル発生システムの断面図であり、カートリッジがくぼみ内に挿入されている。
図3図3は、図2のエアロゾル発生装置を示しており、カートリッジがくぼみに挿入されていない。
図4図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面図である。
図5図5は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図であり、カートリッジがエアロゾル発生装置から分離されている。
図6図6は、図5のエアロゾル発生システムの断面図であり、カートリッジがくぼみ内に受けられている。
図7図7は、図5のエアロゾル発生システムのヒーターセクションの代替的な配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システム10の第一の斜視図を示す。エアロゾル発生システム10は、電源セクション14および気化器セクション16を備えるエアロゾル発生装置12を備える。エアロゾル発生システム10はさらに、カートリッジ18と、カートリッジ18の一部を形成するマウスピース20とを備える。気化器セクション16は、装置ハウジング24の一部を形成する気化器ハウジング22を備える。気化器ハウジング22の下流端は、カートリッジ18を受けるためのくぼみ26を画定する。気化器ハウジング22はまた、くぼみ26と流体連通するバイパス空気吸込み口19を画定する。
【0073】
図2は、エアロゾル発生システム10の断面を示しており、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられている。カートリッジ18は、カートリッジハウジング28およびカートリッジハウジング28の中に位置付けられた固体エアロゾル形成基体38を備える。固体エアロゾル形成基体38の下流端は、マウスピース20によって画定される気流出口21と流体連通している。
【0074】
電源セクション14は、空気を電源セクション14の中へと入れるためのシステム空気吸込み口46を備える。電源セクション14内には、コントローラ48、電源50および気流センサー51が位置付けられている。気流センサー51は、気流センサー51を横切る気流が所定の閾値を超える時に、コントローラ48に信号を提供するように構成される。
【0075】
気化器セクション16は、電源セクション14から空気を受容するための気化器空気吸込み口52、気化器空気吸込み口52とその上流端で流体連通する気流通路54、および気流通路54の下流端とくぼみ26との間の流体連通を提供するくぼみ空気吸込み口56を備える。
【0076】
気化器セクション16はさらに、気流通路54の外側に位置付けられた環状の多孔性担体材料60の中へと収着された液体エアロゾル形成基体58を備える液体貯蔵セクション57を備える。液体移動要素62は、多孔性担体材料60と接触して位置付けられた第一の端および第二の端と、気流通路54の中に位置付けられた中央部分とを備える。液体エアロゾル形成基体58は、毛細管芯に沿った毛細管作用によって、多孔性担体材料60から毛細管芯の中央部分に吸い出される。
【0077】
気化器セクション16はまた、毛細管芯の中央部分の周囲に巻かれた抵抗加熱コイルを備える電気ヒーター64を備える。エアロゾル発生システム10の作動中、コントローラ48は、電源50から電気ヒーター64への電気エネルギーの供給を制御して、毛細管芯の中央部分からの液体エアロゾル形成基体58を加熱および気化する。
【0078】
図2に示すように、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられる時、カートリッジハウジング28は、バイパス空気吸込み口19を塞ぎ、バイパス空気吸込み口19を介したくぼみ26内への気流を防止する。この構成では、ユーザーがマウスピース20を吸うと、空気がシステム空気吸込み口46を通してシステム内に引き出される。気流が気流入口46を通って電源セクション14に入ると、気流センサー51を横切る気流が気流センサー51を起動させる。起動された気流センサー51は、コントローラ48に信号を提供して、気流入口46を介したエアロゾル発生システム10を通る気流を示す。気流センサー51からの信号を受信すると、コントローラ48は、電源50から電気ヒーター64への電気エネルギーの供給を制御して、液体移動要素62からの液体エアロゾル形成基体58を気化する。電源セクション14からの気流は、気化器空気吸込み口52を通して気流通路54の中へと流れ、ここで気化された液体エアロゾル形成基体58が気流内に混入される。その後、気流はくぼみ空気吸込み口56を通してくぼみ26およびカートリッジ18の中へと流れ、ここでカートリッジエアロゾル形成基体38からの揮発性化合物が気流内に混入される。その後、気流は、カートリッジ18の外に、および装置空気出口21を通ってエアロゾルシステム10の外に流れて、気化された液体エアロゾル形成基体58およびカートリッジエアロゾル形成基体38からの揮発性化合物をユーザーに送達する。
【0079】
図3に示すように、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられない時、バイパス空気吸込み口19は遮断されない。したがって、この構成では、ユーザーがエアロゾル発生装置の下流端を吸うとき、気流はバイパス空気吸込み口19を介してくぼみ26に入る。そのため、気流センサー51を起動させには不十分な気流が気流入口46を介して電源セクション14に引き出される。したがって、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられない時には、ユーザーは、エアロゾル発生装置12の下流端を吸うことによって電気ヒーター64を起動させることができない。
【0080】
図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システム112を示す。エアロゾル発生装置112は、図1~3に図示するエアロゾル発生装置12と実質的に同一であり、同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。エアロゾル発生装置112は、第二のバイパス空気吸込み口19が追加されていることで異なっている。追加的なバイパス空気吸込み口19を提供することにより、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられていない時の、バイパス空気吸込み口19を通る気流と気流入口46を通る気流の比が増大しうる。従って、有利なことに、この配置は、カートリッジ18がくぼみ26内に受けられていないエアロゾル発生装置112をユーザーが吸う時に、気流センサー51を横切る気流をさらに減少させうる。
【0081】
図4は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システム200を示す。エアロゾル発生システム200は、図1~3に示されたエアロゾル発生システム10と実質的に類似していて、同様の部分を指定するために同様の参照符号が使用されている。
【0082】
エアロゾル発生システム200は、カートリッジ218内に位置付けられた液体エアロゾル形成基体58の位置によって異なっている。
【0083】
カートリッジ218は、カートリッジハウジング28、および共にカートリッジハウジング36内に位置付けられた固体エアロゾル形成基体38および液体エアロゾル形成基体58を備える。固体エアロゾル形成基体38は、カートリッジハウジング28の下流端内に位置付けられたたばこプラグを備える。
【0084】
液体エアロゾル形成基体58は、カートリッジハウジング28の上流端内に位置付けられた多孔性担体材料260上に提供される。第一の壊れやすいシール248は、多孔性担体材料260の上流端を横切って延在し、第二の壊れやすいシール250は、多孔性担体材料260の下流端を横切って延在する。多孔性担体材料260は、環状の形状を有し、多孔性担体材料260を通る通路254を画定し、通路254は第一の壊れやすいシール248と第二の壊れやすいシール250との間に延在する。
【0085】
エアロゾル発生装置212は、図1~3のエアロゾル発生システム10に関連して説明した通り、コントローラ48、電源50および気流センサー51を収容する電源セクションを備える。装置ハウジング214は、カートリッジ218を受けるためのくぼみ26を画定する。
【0086】
エアロゾル発生装置212はさらに、くぼみ26の上流端に位置付けられるヒーターセクション263を備える。ヒーターセクション263は、抵抗加熱コイルの形態の電気ヒーター64を備える。使用中、コントローラ48は電源50から電気ヒーター64への電力の供給を制御する。ヒーターセクション26はさらに、毛細管芯の形態の液体移動要素62を備え、抵抗加熱コイルは液体移動要素62の第一の部分の周りに巻かれる。
【0087】
電気ヒーター64および液体移動要素62は、くぼみ26の上流端壁から延在する貫通要素によって支持される。貫通要素は、中空シャフト部232および貫通部分234を備える。電気ヒーター64および液体移動要素62の第一の部分は、中空シャフト部232内に形成される気流通路内に位置付けられる。液体移動要素62の第二および第三の部分は、中空シャフト部232内の開口部を貫通し、第二および第三の部分は、それらが中空シャフト部232の外表面の上にあるように90度の角度で折り畳まれる。
【0088】
図6は、カートリッジ218がエアロゾル発生装置212のくぼみ26の中に挿入された後のエアロゾル発生システム200の断面図を示す。カートリッジ218がくぼみ26の中に挿入されると、貫通要素の貫通部分234は、第一の壊れやすいシール248および第二の壊れやすいシール250を貫通する。ヒーターセクション263は、液体移動要素62の第二および第三の部分が多孔性担体材料260の内部表面に接触するように、多孔性担体材料260を通して画定される通路254内に受けられる。液体エアロゾル形成基体58は、液体移動要素62に沿って電気ヒーター64に吸い出される。
【0089】
エアロゾル発生システム200の動作は、図1~3を参照して説明したエアロゾル発生システム10の動作と同一である。すなわち、カートリッジ218がくぼみ26内に受けられていない時、ユーザーがエアロゾル発生装置212の下流端を吸うと、空気はバイパス空気吸込み口19を介してくぼみ26内に流れる。ユーザーが、カートリッジ218がくぼみ26内に受けられたエアロゾル発生システム200の下流端を吸うと、気流が気流入口46を介してエアロゾル発生システム200に入り、気流センサー51を横切って流れ、エアロゾル発生システム200を起動させる。
【0090】
図7は、図5および6のエアロゾル発生システム200用のヒーターセクション363の代替的配置を示す。ヒーターセクション363は図5および6に関連して説明したヒーターセクション263と構造が類似しており、類似の部品を示すために類似の参照番号が使用されている。
【0091】
ヒーターセクション363は、中空シャフト部232の上流端の周りに位置付けられた固定リング367を追加することにより、ヒーターセクション263とは異なっている。液体移動要素62の第二の部分363および第三の部分365の端部は、固定リング367と中空シャフト部232との間に固定され、ヒーターセクション363を多孔性担体材料260を通して画定される通路254の中に挿入または通路254から取り外す間に、液体移動要素62を正しい位置に保持する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7