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特許6995856SiC蒸着層を含む半導体製造用部品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】SiC蒸着層を含む半導体製造用部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019532781
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 KR2017014907
(87)【国際公開番号】W WO2018117559
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2016-0174856
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0170791
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518450083
【氏名又は名称】トーカイ カーボン コリア カンパニー.,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン イル
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ヒョン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-131236(JP,A)
【文献】特開2004-296778(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196323(WO,A1)
【文献】特開2008-277781(JP,A)
【文献】特開2001-199791(JP,A)
【文献】特開平10-209061(JP,A)
【文献】特開平06-048872(JP,A)
【文献】特開平01-125819(JP,A)
【文献】特開平06-263569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/32
C23C 16/42
C04B 41/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材と、
前記母材の表面に形成されたSiC蒸着層と、
を含み、
前記母材及びSiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり、
前記母材は、段差をもって形成された階段式の構造を一面に含み、
前記階段式の構造の断面視にて、前記段差に係る2つの面の間には、曲面が形成され、又は、前記2つの面夫々と鈍角をなす平面が形成されており、
前記母材の前記一面に形成されたSiC蒸着層の厚さは、前記一面と反対側の面に形成されたSiC蒸着層の厚さの1.5倍~3倍であり、
前記一面のSiC蒸着層の厚さは、前記反対側の面のSiC蒸着層の厚さよりも厚い、SiC蒸着層を含む半導体製造用部品。
【請求項2】
母材と、
前記母材の表面に形成されたSiC蒸着層と、
を含み、
前記母材及びSiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり、
前記母材は、扁平な一面と、該一面と反対側に、前記一面と平行な平行面と、前記一面に垂直な垂直面とを有する階段式の構造を含み、
前記階段式の構造の断面視にて、前記平行面及び前記垂直面の間には、曲面が形成され、又は、前記平行面及び前記垂直面と鈍角をなす平面が形成されており、
前記母材の前記平行面及び前記垂直面に均一に形成されたSiC蒸着層の厚さは、前記母材の前記一面に均一に形成されたSiC蒸着層の厚さの1.5倍~3倍であり、
前記平行面及び前記垂直面のSiC蒸着層の厚さは、前記一面のSiC蒸着層の厚さよりも厚い、SiC蒸着層を含む半導体製造用部品。
【請求項3】
前記母材は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC及び、CVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む、請求項1又は2に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品。
【請求項4】
前記SiC蒸着層の厚さは、2mm~20mmである、請求項1又は2に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品。
【請求項5】
前記SiC蒸着層は複数の層を含む、請求項1又は2に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品。
【請求項6】
グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、及びCVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む半導体製品材である母材を備えるステップと、
前記母材上にSiC蒸着層を形成するステップと、を含み、
前記母材はジグ上に装着され、前記SiC蒸着層が形成される前記母材の一面が前記ジグの端面と接し、前記ジグはテーパされた形状をもって前記端面に至るまで幅が増加し、
前記母材の前記一面と、前記ジグにおける前記端面に隣り合うテーパされた面との間は鈍角である、SiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項7】
前記母材及び前記SiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1である、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項8】
前記SiC蒸着層を形成するステップはCVD法に基づく、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項9】
前記SiC蒸着層を形成するステップは、1000℃~1900℃の温度で行われる、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項10】
前記SiC蒸着層を形成するステップは、蒸着開始時の温度よりも蒸着終了時の温度がさらに高い条件で行われる、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項11】
前記SiC蒸着層を形成するステップは、前記SiC蒸着層を形成する間に順次温度を上昇しながら実行する、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項12】
前記SiC蒸着層を形成するステップは複数回行われる、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【請求項13】
前記SiC蒸着層を形成するステップ後に1500℃~2000℃で熱処理する残留応力解消ステップをさらに含む、請求項6に記載のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式エッチング工程で用いられる半導体製造用部品に関し、より詳しくは、耐プラズマ特性に優れるSiC蒸着層を含む半導体製造用部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造工程で用いられるプラズマ処理方式は、乾式エッチング工程のうちの1つとして、ガスを用いて対象をエッチングする方法である。これは、エッチングガスを反応容器内に注入してイオン化させた後、ウェハーの表面で加速させ、ウェハーの表面を物理的、化学的に除去する工程に行う。この方法は、エッチングの調整が容易で、生産性が高く、数十nmレベルの微細パターン形成が可能であることから幅広く用いられている。
【0003】
乾式エッチング装置内のフォーカスリングをはじめとする様々な半導体製造用部品は、プラズマが存在する苛酷な条件の反応容器内でエッチング処理が行われるウェハーの周辺にプラズマを集中させる役割を果たし、部品自らもプラズマに露出されて損傷する。したがって、半導体製造用部品の耐プラズマ特性を増加させるための研究が持続的に行われてきた。そのうちの1つとして、Si材質の代わりにSiC材質のフォーカスリングや電極などの部品を製造する方法に対する研究が行われてきた。
【0004】
ただし、SiC材質は、グラファイト基材に比べてその価格が高価であるため製品の単価を高める原因となり、特に、半導体製造用部品を生産する場合にSiC材質の価格が問題になって生産性が低下する原因として残っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述したような問題点を解決するためのもので、生産単価の大きい増加なしに簡単な方法で半導体製造用部品を生産するための方法を提供することにある。
【0006】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されない更なる課題は下記の記載によって当技術分野の通常の知識を有する者にとって明確に理解されるのである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品は、母材と、前記母材の表面に形成されたSiC蒸着層とを含み、前記母材及びSiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1である。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記母材は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC及び、CVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含み得る。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記母材は、段差をもって形成された階段式の構造を含み、前記段差の断面が曲面を含んだり前記段差をなしている面が鈍角をなし得る。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層の厚さは、2mm~20mmであり得る。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層は複数の層を含み得る。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記母材の少なくとも一面に形成されたSiC蒸着層の厚さは、前記母材の前記一面の反対側の面に形成されたSiC蒸着層の厚さの1.5倍~3倍であり得る。
【0013】
本発明のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、及びCVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む母材を備えるステップと、前記母材上にSiC蒸着層を形成するステップとを含む。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記母材及び前記SiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップはCVD法に基づいてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、1000℃~1900℃の温度で行われてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、蒸着開始時の温度よりも蒸着終了時の温度がさらに高い条件で行われてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、前記SiC蒸着層を形成する間に順次温度を上昇しながら実行する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは複数回行われてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップ後に1500℃~2000℃で熱処理する残留応力解消ステップをさらに含み得る。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記母材はジグに装着され、前記ジグはテーパされた形状をもって前記母材の表面接触部の方向に幅が増加し得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態に係るSiC蒸着層を含む半導体製造用部品は、母材を内部に含み、その表面にSiC蒸着層を薄く形成する方法で半導体製造用部品を製造することによって、高価な製品の単価を低下して生産性を向上させる効果がある。
【0023】
また、本発明の一実施形態で提供する半導体製造用部品に含まれるSiC蒸着層は、薄く形成されても母材をプラズマに露出させないことで、プラズマによる乾式エッチング工程で半導体製品を生産するときにも製品の品質を低下させないことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態で提供する母材上にSiC蒸着層が形成された半導体製造用部品の断面図である。
図2】本発明の一実施形態で提供する階段式の段差をもつ構造を含む母材上にSiC蒸着層が形成された半導体製造用部品の断面図である。
図3】本発明の一実施形態で提供する段差の断面が曲面をなす母材の断面図である。
図4】本発明の他の一実施形態で提供する段差の断面が鈍角をなす母材の断面図である。
図5】母材の一面を本発明の一実施形態で提供するテーパされた形状のジグが安定的に支持する構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下で、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0026】
以下、添付する図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面に提示された同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0027】
以下に説明する実施形態及び図面には様々な変更が加えられ得る。以下で説明する実施形態は、実施形態に対して限定しようとするものではなく、これらに対する全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解されなければならない。
【0028】
本明細書で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0029】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0030】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態で提供する母材110上にSiC蒸着層200が形成された半導体製造用部品の断面図である。図1には、相対的に厚く形成された母材110の表面上で相対的に薄く形成されたSiC蒸着層200が形成されている。本発明の一側面では半導体製造用部品において、母材を含み、その母材が半導体製造用部品の多くの厚さを占めていることを特徴とする。
【0032】
本発明のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品は、母材と、前記母材の表面に形成されたSiC蒸着層とを含み、前記母材及びSiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり得る。
【0033】
本発明の一側面では、母材110を含んで蒸着することを特徴とする。本発明の一実施形態では、SiC蒸着層200を含みつつ半導体製造用部品を形成するために母材を厚く形成しながら、SiC蒸着層を相対的に薄く形成する。本発明の一実施形態によれば、前記母材及びSiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり得る。前記SiC蒸着層の厚さ対比母材の比が1よりも小さい場合、SiC蒸着層の厚さが厚くなることで生産単価が増加する問題が生じ、100を超える場合は、相対的にSiC蒸着層が極めて薄くなって、プラズマに母材が露出される危険がある。
【0034】
ここで、前記SiC蒸着層の厚さは、前記母材の上部及び下部に蒸着された厚さの垂直の長さの和を意味する。ここで、前記母材の厚さは、母材が長方形のブロック形態ではない段差をもって形成される構造であっても、全ての任意の位置における垂直の長さを意味する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記母材は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC及びCVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む。前記母材の成分は、SiC蒸着層と容易に分離されない成分であり、母材の表面に形成されるSiC層と容易に分離されない素材であれば、いずれのものでも更に追加的な成分として含まれてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記母材は、段差をもって形成された階段式の構造を含む。前記半導体製造用部品は、一例として、フォーカスリングであってもよく、前記半導体製造用部品が適用される半導体製造場分のスペックと特性に応じて、前記半導体製造用部品は段差をもって形成された階段式の構造を含んでもよい。したがって、このような部品を製造するための母材についても、段差をもって形成された階段式の構造を含み得る。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態で提供する階段式の段差のある構造を含む母材120上にSiC蒸着層200が形成された半導体製造用部品の断面図である。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記段差の断面が曲面を含んだり、前記段差をなしている面が鈍角をなすものである。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態で提供する段差の断面が曲面をなす母材130の断面図である。図3を参照して提供する本発明の一実施形態に係る母材は、段差の断面が曲面を含むように形成されている。
【0040】
図4は、本発明の他の一実施形態で提供する段差の断面が鈍角をなす母材140の断面図である。図4を参照して提供する本発明の他の一実施形態に係る母材は、段差の断面が鈍角をなしている構造を含むように形成されている。
【0041】
本発明のSiC蒸着層の形成はCVD工程により行われてもよい。ここで、CVD工程で凹むように入った部分は、周辺の面によって蒸着ガスが容易に進入できず、相対的に少なく蒸着される問題が生じる。このような問題は、母材上に形成されたSiC蒸着層の均一性を阻害させる原因となる。したがって、本発明の一実施形態では、階段式構造の段差は曲面で形成されたり、段差をなしている面が鈍角をなす構造であってもよい。階段式の構造が曲面で形成されたり、鈍角をなす構造を含むことで、母材上により均質な蒸着を誘導することができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層の厚さは2mm~20mmであり得る。SiC蒸着層は、プラズマから露出されるときエッチングされるが、前記SiC蒸着層は、エッチングされても母材が露出しないよう形成する必要がある。プラズマに弱い母材は、プラズマに直接的に露出される場合に粒子が飛散して生産される半導体製品の品質を大きく低下するためである。したがって、通常の乾式エッチング装置でSiC蒸着層のエッチングの厚さを考慮するとき、前記SiC蒸着層の厚さは2mm~20mmであり得る。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層は複数の層を含み得る。前記SiC蒸着層は、単一層ではない複数の層で形成されてもよい。CVD法によりSiC単一層を形成する場合、異常組織の成長が拡大して製品の品質を低下させる問題が生じる。したがって、SiC蒸着層は相対的に薄い厚さで複数の層が形成される。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記母材の少なくとも一面に形成されたSiC蒸着層の厚さは、前記母材の前記一面の反対側の面に形成されたSiC蒸着層の厚さの1.5倍~3倍であってもよい。本発明の一態様によれば、前記母材のSiC蒸着層は、面に応じてその厚さが異なる場合がある。これは、プラズマへ直接的に露出される面は相対的に厚い必要があるが、直接的に露出されない面は厚く形成する必要がないからである。したがって、製品の生産性を考慮するとき、前記厚い面と薄い面とを差別して形成することが好ましく、本発明の一側面によれば、前記一面と反対側の面に形成されたSiC蒸着層の厚さの比は1.5倍ないし3倍であり得る。
【0045】
本発明のSiC蒸着層を含む半導体製造用部品の製造方法は、グラファイト、反応焼結SiC、常圧焼結SiC、ホットプレスSiC、再結晶SiC、及びCVD SiCからなる群より選択される少なくともいずれか1つを含む母材を備えるステップと、前記母材上にSiC蒸着層を形成するステップとを含む。
【0046】
本発明の一側面で提供する製造方法によれば、母材上にSiC蒸着層を形成するステップを含む。前記母材の成分は、SiC蒸着層と容易に分離されない成分であり、母材の表面に形成されるSiC層と容易に分離されない素材であれば、いずれのものでも追加的な成分として含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記母材及び前記SiC蒸着層の厚さの比は1:1ないし100:1であり得る。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、CVD法に基づいてもよい。SiC蒸着層は様々な方法で形成され得るが、本発明の一実施形態では化学的気相蒸着(CVD)法によって形成され得る。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、1000℃~1900℃の温度で行われる。前記SiC蒸着層は、高温で形成されたチャンバー内にて形成されるが、1000℃未満である場合に温度が極めて低く、蒸着速度及び製品の生産性が低下する問題が生じ、1900℃を超過する場合に、内部応力の増加による剥離問題が生じる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、蒸着開始時の温度よりも蒸着終了時の温度がさらに高い条件で行われる。温度を上昇させながら蒸着することで、初期のステップでは相対的に低い温度で蒸着することにより、表面で発生する内部応力を低くし、蒸着速度が多少低いとしても低い温度で蒸着されない部分が存在せず、均一に母材の全面上に蒸着を誘導できる。その後、温度を高くして蒸着速度を上げて蒸着させるが、ここで、初期に蒸着されたSiC蒸着物質と新しく蒸着されるSiC蒸着物質とが同じ成分であるため、速度を上げて蒸着しても均一にくっつくことができる。したがって、初期段階で均一に形成されたSiC蒸着層上には高い速度でSiC成分を蒸着しても均等な蒸着が形成され得る。このように本発明の一側面では、初期段階では低い温度で均等な蒸着層を形成し、その後には温度を上げて早く蒸着層を形成する。これにより、本発明の一側面によれば、蒸着過程で内部応力が解消され、剥離問題が解決されながらも生産性を保持できる効果がある。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは、前記SiC蒸着層を形成する間に順次温度を上昇させながら行う。本発明の一態様によれば、SiC蒸着層を形成する間の温度は順次上昇するが、ここで、温度の順次的な増加は徐々に継続的に増加してもよく、一定の時間の間に一定温度を保持し、さらに高い温度で再び一定の時間を保持する形態に上昇してもよい。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成するステップは複数回行われてもよい。SiC蒸着層は、上述したように、異常組織の成長を抑制するために複数の層に積層された構造を形成するが、ここで、前記複数の層は、SiC蒸着層のそれぞれを蒸着する過程を複数回行う。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記SiC蒸着層を形成する段階の後に、1500℃~2000℃で熱処理する残留応力の解消ステップをさらに含む。前記SiC蒸着層を形成するステップは、高温の密閉された空間で形成されるもので、内部に応力が形成されたものであり、蒸着が終了しても前記応力が残留することがある。このように形成された残留応力は、製品の品質低下の原因となる恐れがある。ここで、本発明の一側面では、前記残留応力を1500℃~2000℃で熱処理して残留応力を解消できる。前記温度が1500℃未満の場合、応力解消が効率よく行うことができない問題があり、前記温度が2000℃を超過する場合、高過ぎる温度によりSiCに相変化が生じ、かえって、残留応力を上昇させて母材でSiC蒸着層の剥離が多く発生する問題がある。
【0054】
図5は、母材の一面を本発明の一実施形態で提供するテーパされた形状のジグ400を安定的に支持する構造の断面図である。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記母材はジグ400に装着され、前記ジグはテーパされた形状を有し、前記母材の表面接触部の方向に幅が増加する。本発明の一態様によれば、母材の表面にSiC蒸着層を形成する過程において、ジグで支持しながら蒸着するが、ここで、前記ジグがSiC蒸着ガスから母材の表面を遮って均質な品質の蒸着層を形成することが妨害される。すなわち、可能な限り、前記ジグがSiC蒸着を妨害しないように、少ない面積で母材に接触することが好ましい。
【0056】
ただし、極めて小さい面積で母材と接触する場合、蒸着過程で母材の安定的な支持構造に問題が生じる。母材が安定的に支持されなければ、蒸着過程で母材の揺れを誘発して均質な蒸着層を形成できない原因となる。
【0057】
したがって、本発明の一側面に係る前記ジグは、たとえ母材の表面接触部が大きく遮られても安定的に支持構造を形成することができ、母材の表面から相対的に距離のある部分は、相対的にSiC蒸着ガスから母材を少なく遮る構造で形成できる。すなわち、本発明の一側面で提供するジグは、テーパされた形態に形成され得る。これにより、母材の表面接触部はさらに広い面積のジグに接し、安定的に支持構造を形成することができる。また、プラズマへ直接的に露出される蒸着層の外表面は、前記母材の表層部に比べて相対的にジグによってそれ程遮られないため、より均質な蒸着層を形成することができる。これは、SiC蒸着層を安定的に形成しながら、SiC蒸着層の耐プラズマ性に優れた品質に保持できることを意味する。
【0058】
上述したように実施形態がたとえ限定された実施形態及び図面によって説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態に結合又は組合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって置き換えたり置換されても適切な結果が達成し得る。
【0059】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
図1
図2
図3
図4
図5