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特許6995857硫黄で汚染された芳香族化触媒の再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】硫黄で汚染された芳香族化触媒の再生方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/48 20060101AFI20220107BHJP
   B01J 29/90 20060101ALI20220107BHJP
   B01J 29/62 20060101ALI20220107BHJP
   C10G 35/095 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B01J38/48 Z
B01J29/90 M
B01J29/62 M
C10G35/095
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2019533080
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017066262
(87)【国際公開番号】W WO2018118607
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】15/384,353
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スネル、ライアン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-096177(JP,A)
【文献】特表昭62-500710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160147(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0156871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C10G 35/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属と触媒担体とを含む硫黄で汚染された触媒を再生するための方法であって、
(1)洗浄された触媒を製造するために、前記硫黄で汚染された触媒を、アルカリ金属塩を含む水溶液で洗浄することと、
(2)ハロゲン化触媒を製造するために、前記洗浄された触媒を、塩素およびフッ素を含むハロゲン溶液と接触させることと、を含む方法であり、
前記遷移金属が、白金を含み、
前記触媒担体が、KL-ゼオライトと、アルミナ、シリカ、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物とを含む担体マトリックスとを含み、
前記硫黄で汚染された触媒が、
100ppmw~1000ppmwの硫黄と、
0.05重量%~2重量%の塩素と、
0.05重量%~2重量%のフッ素と、を含む、
方法。
【請求項2】
前記水溶液が、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはそれらの任意の組み合わせの塩を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)が、
2~8回の洗浄サイクルを含み、
各洗浄サイクルが、20℃~95℃の範囲の洗浄温度で、かつ1分~6時間の範囲の時間、独立して行われ、
各洗浄サイクルが、前記アルカリ金属塩を含む水溶液またはアルカリ金属を含まない水溶液のいずれかを用いて独立して行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液中の前記アルカリ金属の濃度が、0.01M~5Mの範囲である、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
各洗浄サイクルにおける前記水溶液の重量と前記硫黄で汚染された触媒の重量との比が、独立して、0.4:1~10:1の範囲である、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記洗浄された触媒中と前記硫黄で汚染された触媒中の硫黄の量(ppmwでの)の差に基づいて、硫黄の量(ppmwでの)を少なくとも20%減少させる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン溶液が、塩素含有化合物、フッ素含有化合物、またはそれらの混合物、および水を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記塩素含有化合物が、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記塩素含有化合物が、塩酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記ハロゲン溶液が、0.01重量%~10重量%の範囲の塩素(Cl)の濃度を含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン溶液が、0.01重量%~10重量%の範囲のフッ素(F)の濃度を含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記ハロゲン化工程の後に乾燥工程をさらに含み、前記乾燥工程が、前記ハロゲン化触媒を、前記ハロゲン化触媒の溶媒含有量を15重量%未満に減少させるのに十分な条件にさらすことを含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、工程(2)の後の乾燥工程、工程(2)の後の焼成工程、または工程(2)の後の乾燥工程および焼成工程の両方をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程(1)の前、工程(1)の後、または工程(1)の前後両方に、炭素燃焼工程をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記炭素燃焼工程が、前記硫黄で汚染された触媒または前記洗浄された触媒を、酸素および不活性ガスを含むデコーキングガス流と接触させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記デコーキングガス流が、5モル%未満の酸素のモル%を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記デコーキングガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まない、請求項16~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記デコーキングガス流が、水を実質的に含まない、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、前記洗浄工程の前に炭化水素除去工程をさらに含み、前記炭化水素除去工程が、前記硫黄に汚染された触媒を、酸素又は不活性ガスと酸素との混合物を含む炭化水素除去ガス流と接触させることを含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ハロゲン化触媒が、
0.5重量%~2重量%の白金と、
KL-ゼオライトと、アルミナ、シリカ、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物と、を含む担体マトリックスとを含む触媒担体と、
0.5重量%~5重量%の塩素と、
0.5重量%~5重量%のフッ素と、を含む、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記ハロゲン化触媒中と前記硫黄で汚染された触媒中の硫黄のppmwの差に基づいて、前記硫黄で汚染された触媒から少なくとも25%の硫黄を除去する、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ハロゲン化工程の後に還元工程をさらに含み、再活性化触媒を製造するために、前記還元工程が、前記ハロゲン化触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、前記ハロゲン化工程後に還元工程をさらに含み、前記還元工程が、前記ハロゲン化触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
ハロゲン化触媒が、25ppmw~400ppmwの硫黄を含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記ハロゲン化触媒が、0.01重量%~5重量%の炭素を含む、請求項24~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ハロゲン化触媒の表面積が、前記硫黄で汚染された触媒の少なくとも40%である、請求項24~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
改質方法であって、
(A)芳香族生成物を製造するために、炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器系中で改質条件下で接触させることと、
(B)硫黄で汚染された炭化水素供給原料を、芳香族化触媒と、硫黄で汚染された触媒を形成するのに十分な時間接触させることと、
(C)洗浄された触媒を製造するために、前記硫黄で汚染された触媒を、アルカリ金属塩を含む水溶液で洗浄することと、
(D)ハロゲン化触媒を製造するために、前記洗浄された触媒を、塩素およびフッ素を含むハロゲン溶液と接触させることと、を含む方法。
【請求項30】
工程(C)および(D)のうちの少なくとも1つが、反応器システムの外部の容器中で実施される、請求項29に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用済みまたは失活した触媒の再生方法に関し、より具体的には、10族遷移金属などの遷移金属および触媒担体を含有する硫黄で汚染された触媒の再生に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば芳香族化または改質と称される、非芳香族炭化水素の芳香族化合物への触媒転換は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを製造するために使用され得る重要な工業プロセスである。芳香族化または改質プロセスは、遷移金属系触媒を含む1つ以上の反応器を含み得る反応器系で行われることが多い。これらの触媒は、所望の芳香族化合物に対する選択性および/またはその収率を増加させ得る。しかしながら、これらの触媒は硫黄に対して非常に敏感であるため、非常に低い濃度の硫黄への曝露でさえも触媒の急速な失活を引き起こし得る。
【0003】
それらの商業的重要性および硫黄で汚染された触媒を置き換えるためのフレッシュ触媒の製造において生じる費用のために、触媒活性を硫黄汚染芳香族化触媒に回復させる改良された方法に対する継続的な必要性がある。したがって、本開示は、これらの目的を達成することに主に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
遷移金属および触媒担体を含む硫黄で汚染された触媒を再生するための方法が本明細書に開示および記載されている。硫黄で汚染された触媒を再生するためのそのような方法の1つは、(1)任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で、硫黄で汚染された触媒を洗浄して洗浄触媒を製造することと、(2)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含み得る。任意選択的に、本方法は、硫黄で汚染された触媒を酸素を含むデコーキングガス流と接触させる炭素燃焼工程(洗浄工程の前)をさらに含んでもよく、または本方法は、洗浄された触媒を酸素を含むデコーキングガス流と接触させる、炭素燃焼工程(洗浄工程後)をさらに含んでもよい。
【0005】
炭化水素を改質するための種々のプロセスもまた、本明細書に開示される。例示的なプロセスは、(A)炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器系中で改質条件下で接触させて、芳香族生成物を製造することと、(B)硫黄で汚染された炭化水素供給原料を、硫黄で汚染された触媒を形成するのに十分な時間、芳香族化触媒と接触させることと、(C)硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄して、洗浄された触媒を製造することと、(D)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含み得る。
【0006】
前述の概要および以下の詳細な説明はどちらも、例を提供しており、説明のみを目的としている。したがって、前述の概要および以下の詳細な説明は、限定的であると解釈されるべきでない。さらに、本明細書に記載されるものに加えて、特徴または変形例が提供されてもよい。例えば、ある特定の態様が、詳細な説明にて記載される種々の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせを対象としてもよい。
他の記載と重複するが、本発明の一態様を以下に示す。
[発明1]
遷移金属と触媒担体とを含む硫黄で汚染された触媒を再生するための方法であって、
(1)洗浄された触媒を製造するために、前記硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄することと、
(2)ハロゲン化触媒を製造するために、前記洗浄された触媒を、塩素およびフッ素を含むハロゲン溶液と接触させることと、を含む方法。
[発明2]
前記水溶液が、アルカリ金属を含む、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記遷移金属が、白金を含み、
前記触媒担体が、KL-ゼオライトと、アルミナ、シリカ、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物とを含む担体マトリックスとを含み、
前記硫黄で汚染された触媒が、
約100ppmw~約1000ppmwの硫黄と、
約0.05重量%~約2重量%の塩素と、
約0.05重量%~約2重量%のフッ素と、を含む、発明1または2に記載の方法。
[発明4]
前記硫黄で汚染された触媒が、約0.1重量%未満のバリウムを含有する、発明1~3のいずれかに記載の方法。
[発明5]
前記水溶液が、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはそれらの任意の組み合わせの塩を含む、発明1~4のいずれかに記載の方法。
[発明6]
前記水溶液が、アルカリ金属塩を含む、発明1~5のいずれかに記載の方法。
[発明7]
前記水溶液が、アルカリ金属塩化物塩を含む、発明1~6のいずれかに記載の方法。
[発明8]
工程(1)が、
2~8回の洗浄サイクルを含み、
各洗浄サイクルが、約20℃~約95℃の範囲の洗浄温度で、かつ約1分~約6時間の範囲の時間、独立して行われ、
各洗浄サイクルが、前記アルカリ金属を含む水溶液またはアルカリ金属を含まない水溶液のいずれかを用いて独立して行われる、発明1~7のいずれかに記載の方法。
[発明9]
前記水溶液中の前記アルカリ金属の濃度が、約0.01M~約5Mの範囲である、発明1~8のいずれかに記載の方法。
[発明10]
各洗浄サイクルにおける前記水溶液の重量と前記硫黄で汚染された触媒の重量との比が、独立して、約0.4:1~約10:1の範囲である、発明1~9のいずれかに記載の方法。
[発明11]
前記洗浄工程が、前記硫黄で汚染された触媒1kg当たり約0.05モル~約1モルのアルカリ金属で前記硫黄で汚染された触媒を富化させる、発明1~10のいずれかに記載の方法。
[発明12]
前記洗浄工程が、前記洗浄された触媒1kg当たり約0.05モル~約1モルのアルカリ金属で前記硫黄で汚染された触媒を富化させる、発明1~10のいずれかに記載の方法。
[発明13]
前記洗浄触媒が、前記洗浄された触媒の重量に基づいて、0重量%~約0.35重量%のナトリウムを含む、発明1~12のいずれかに記載の方法。
[発明14]
前記方法が、前記洗浄された触媒中と前記硫黄で汚染された触媒中の硫黄の量(ppmwでの)の差に基づいて、硫黄の量(ppmwでの)を少なくとも約20%減少させる、発明1~13のいずれかに記載の方法。
[発明15]
前記ハロゲン溶液が、塩素含有化合物、フッ素含有化合物、またはそれらの混合物、および水を含む、発明1~14のいずれかに記載の方法。
[発明16]
前記塩素含有化合物が、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、およびそれらの組み合わせを含む、発明15に記載の方法。
[発明17]
前記塩素含有化合物が、塩酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、発明15に記載の方法。
[発明18]
前記フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、発明15~17のいずれかに記載の方法。
[発明19]
前記フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、発明15~18のいずれかに記載の方法。
[発明20]
前記ハロゲン溶液が、塩素/フッ素含有化合物を含む、発明1~14のいずれかに記載の方法。
[発明21]
前記ハロゲン溶液が、約0.01重量%~約10重量%の範囲の塩素(Cl)の濃度を含む、発明1~20のいずれかに記載の方法。
[発明22]
前記ハロゲン溶液が、約0.01重量%~約10重量%の範囲のフッ素(F)の濃度を含む、発明1~20のいずれかに記載の方法。
[発明23]
前記ハロゲン溶液が、
約0.01重量%~約10重量%の塩素と、
約0.01重量%~約100重量%のフッ素と、を含む、発明1~22のいずれかに記載の方法。
[発明24]
前記ハロゲン化工程(工程(2))が、約0℃~約80℃の範囲のハロゲン化温度で行われる、発明1~23のいずれかに記載の方法。
[発明25]
前記ハロゲン化工程が、約1分~約48時間の範囲の時間行われる、発明1~24のいずれかに記載の方法。
[発明26]
前記方法が、前記ハロゲン化工程の後に乾燥工程をさらに含み、前記乾燥工程が、前記ハロゲン化触媒を、前記ハロゲン化触媒の溶媒含有量を約15重量%未満に減少させるのに十分な条件にさらすことを含む、発明1~25のいずれかに記載の方法。
[発明27]
前記溶媒含有量を減少させるのに十分な前記条件が、約1時間~約48時間の範囲の乾燥時間、約15℃~約200℃の範囲の乾燥温度、および大気圧に等しい乾燥圧力、または任意の好適な準大気圧に等しい乾燥圧力を含む、発明26に記載の方法。
[発明28]
前記方法が、前記ハロゲン化工程後に焼成工程をさらに含み、前記焼成工程が、前記ハロゲン化触媒を任意の好適な焼成条件に供することを含む、発明1~27のいずれかに記載の方法。
[発明29]
前記焼成工程が、約200℃~約800℃の範囲の焼成温度を含む焼成条件で行われる、発明28に記載の方法。
[発明30]
前記焼成工程が、約15分~約48時間の範囲の焼成時間を含む焼成条件で行われる、発明28または29に記載の方法。
[発明31]
前記方法が、工程(2)の後の乾燥工程、工程(2)の後の焼成工程、または工程(2)の後の乾燥工程および焼成工程の両方をさらに含む、発明1~30のいずれかに記載の方法。
[発明32]
工程(1)の前、工程(1)の後、または工程(1)の前後両方に、炭素燃焼工程をさらに含む、発明1~31のいずれかに記載の方法。
[発明33]
前記炭素燃焼工程が、前記硫黄で汚染された触媒または前記洗浄された触媒を、酸素および不活性ガスを含むデコーキングガス流と接触させることを含む、発明32に記載の方法。
[発明34]
前記デコーキングガス流が、約5モル%未満の酸素のモル%を含む、発明32または33に記載の方法。
[発明35]
前記デコーキングガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まない、発明32~34のいずれかに記載の方法。
[発明36]
前記デコーキングガス流が、水を実質的に含まない、発明32~35のいずれかに記載の方法。
[発明37]
前記炭素燃焼工程が、約150℃~約600℃の範囲のピークデコーキング温度で行われる、発明32~36のいずれかに記載の方法。
[発明38]
前記炭素燃焼工程が、約1時間~約72時間の範囲の時間行われる、発明32~37のいずれかに記載の方法。
[発明39]
前記炭素燃焼工程が、前記触媒上の炭素の重量%を約5重量%未満に減少させるのに十分な時間行われる、発明32~38のいずれかに記載の方法。
[発明40]
前記方法が、前記洗浄工程の前に炭化水素除去工程をさらに含み、前記炭化水素除去工程が、前記硫黄に汚染された触媒を、酸素を含む炭化水素除去ガス流と接触させることを含む、発明1~39のいずれかに記載の方法。
[発明41]
前記炭化水素除去ガス流が、不活性ガスと酸素との混合物を含む、発明40に記載の方法。
[発明42]
前記炭化水素除去ガス流が、約5モル%未満の酸素のモル%を含む、発明40または41に記載の方法。
[発明43]
前記炭化水素除去ガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まない、発明40~42のいずれかに記載の方法。
[発明44]
前記炭化水素除去ガス流が、水を実質的に含まない、発明40~43のいずれかに記載の方法。
[発明45]
前記炭化水素除去工程が、約150℃~約250℃の範囲の炭化水素除去温度で行われる、発明40~44のいずれかに記載の方法。
[発明46]
前記炭化水素除去工程が、前記硫黄で汚染された触媒上の炭化水素の重量%を約1重量%~10重量%の範囲まで減少させるのに十分な時間行われる、発明40~45のいずれかに記載の方法。
[発明47]
発明1~46のいずれかに記載の方法によって製造されたハロゲン化触媒。
[発明48]
前記ハロゲン化触媒が、約25ppmw~約400ppmwの硫黄を含む、発明47に記載のハロゲン化触媒。
[発明49]
前記ハロゲン化触媒が、約0.01重量%~約5重量%の炭素を含む、発明47または48に記載のハロゲン化触媒。
[発明50]
前記ハロゲン化触媒の表面積が、前記硫黄で汚染された触媒の少なくとも約40%である、発明47~49のいずれかに記載のハロゲン化触媒。
[発明51]
前記ハロゲン化触媒が、
約0.5重量%~約2重量%の白金と、
KL-ゼオライトと、アルミナ、シリカ、それらの混合酸化物、またはそれらの混合物と、を含む担体マトリックスとを含む触媒担体と、
約0.5重量%~約5重量%の塩素と、
約0.5重量%~約5重量%のフッ素と、を含む、発明1~46のいずれかに記載の方法。
[発明52]
前記ハロゲン化触媒が、約0.1重量%未満のバリウムを含有する、発明51に記載の方法。
[発明53]
前記方法が、前記ハロゲン化触媒中と前記硫黄で汚染された触媒中の硫黄のppmwの差に基づいて、前記硫黄で汚染された触媒から少なくとも約25%の硫黄を除去する、発明1~46のいずれかに記載の方法。
[発明54]
前記ハロゲン化触媒が、
フレッシュ基準触媒のTEORの約70°F以内のTEOR(運転終了温度)と、
約0.05°F/時~約0.6°F/時の範囲のFR(ファウリング率)と、
約0.88~約0.94の範囲の芳香族選択性によって特徴付けられる、発明1~46のいずれかに記載の方法。
[発明55]
前記ハロゲン化工程の後に還元工程をさらに含み、再活性化触媒を製造するために、前記還元工程が、前記ハロゲン化触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、発明1~46のいずれかに記載の方法。
[発明56]
前記方法が、前記ハロゲン化工程後に還元工程をさらに含み、前記還元工程が、前記ハロゲン化触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、発明1~46のいずれかに記載の方法。
[発明57]
前記還元ガス流が、約25モル%超の分子状水素のモル%を含む、発明55または56に記載の方法。
[発明58]
前記還元工程が、約200℃~約600℃の範囲のピーク還元温度で行われる、発明55~57のいずれかに記載の方法。
[発明59]
前記還元工程が、約10時間~約30時間の範囲の時間行われる、発明55~58のいずれかに記載の方法。
[発明60]
前記再活性化触媒が、
フレッシュ基準触媒のTEORの約55°F以内のTEOR(運転終了温度)と、
約0.1°F/時~約0.5°F/時の範囲のFR(ファウリング率)と、
約0.89~約0.94の範囲の芳香族選択性と、によって特徴付けられる、発明55~59のいずれかに記載の方法。
[発明61]
ハロゲン化触媒が、約25ppmw~約400ppmwの硫黄を含む、発明55~60のいずれかに記載の再活性化触媒。
[発明62]
前記ハロゲン化触媒が、約0.01重量%~約5重量%の炭素を含む、発明55~61のいずれかに記載の再活性化触媒。
[発明63]
前記ハロゲン化触媒の表面積が、前記硫黄で汚染された触媒の少なくとも約40%である、発明55~62のいずれかに記載の再活性化触媒。
[発明64]
改質方法であって、
(A)芳香族生成物を製造するために、炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器系中で改質条件下で接触させることと、
(B)硫黄で汚染された炭化水素供給原料を、芳香族化触媒と、硫黄で汚染された触媒を形成するのに十分な時間接触させることと、
(C)洗浄された触媒を製造するために、前記硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄することと、
(D)ハロゲン化触媒を製造するために、前記洗浄された触媒を、塩素およびフッ素を含むハロゲン溶液と接触させることと、を含む方法。
[発明65]
前記改質方法が、インシッツ(in situ)工程である、発明64に記載の方法。
[発明66]
工程(C)および(D)のうちの少なくとも1つが、反応器システムの外部の容器中で実施される、発明64に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1のフレッシュ触媒および実施例2の硫黄で汚染された触媒についての反応時間に対する芳香族選択性のプロットを示す。
図2】実施例1のフレッシュ触媒および実施例2の硫黄で汚染された触媒についての反応時間に対する収率調整温度のプロットを示す。
図3】実施例1のフレッシュ触媒および洗浄工程を使用しなかった実施例3の処理触媒についての反応時間に対する芳香族選択性のプロットを示す。
図4】実施例1のフレッシュ触媒および洗浄工程を使用しなかった実施例3の処理触媒についての反応時間に対する収率調整温度のプロットを示す。
図5】実施例1のフレッシュ触媒および硫黄で汚染された触媒が水洗浄工程およびハロゲン化工程に供された実施例4の再生触媒についての反応時間に対する芳香族選択性のプロットを示す。
図6】実施例1のフレッシュ触媒および硫黄で汚染された触媒が水洗浄工程およびハロゲン化工程に供された実施例4の再生触媒についての反応時間に対する収率調整温度のプロットを示す。
図7】実施例1のフレッシュ触媒および硫黄で汚染された触媒がKCl洗浄工程およびハロゲン化工程に供された実施例5の再生触媒についての反応時間に対する芳香族選択性のプロットを示す。
図8】実施例1のフレッシュ触媒および硫黄で汚染された触媒がKCl洗浄工程およびハロゲン化工程に供された実施例5の再生触媒についての反応時間に対する収率調整温度のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本明細書において使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある用語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、適用される定義が、本明細書に適用されるいずれか他の開示もしくは定義と矛盾しない限り、またはその定義が適用されるいずれの請求項も不明瞭または不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)からの定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先する。
【0009】
本明細書において、主題の特徴は、特定の態様内で、異なる特徴の組み合わせが想起され得るように記載される。本明細書に開示される各々のおよびあらゆる態様ならびに特徴について、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、または方法に悪影響を与えない全ての組み合わせが、特定の組み合わせの明白な記載を伴ってまたは伴うことなく企図される。さらに、他に明示的に列挙されない限り、本明細書に開示される任意の態様または特徴が、本開示と一致する本発明の設計、組成物、プロセス、または方法を説明するために組み合わされ得る。
【0010】
本開示において、組成物および方法は、種々の構成要素または工程を「含む」という観点でしばしば記載されるが、組成物および方法は、別段の記載がない限り、種々の構成要素または工程「から本質的になる」または「からなる」であってもよい。
【0011】
「a」、「an」、および「the」という用語は、複数形の代替物、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「遷移金属」または「アルカリ金属」の開示は、別段の定めがない限り、1つの、または2つ以上の遷移金属もしくはアルカリ金属の混合物または組み合わせを包含することを意味する。
【0012】
様々な触媒が本明細書に記載されている。「硫黄で汚染された」触媒は、一般に、触媒活性、炭化水素供給転化率、所望の生成物(複数可)への収率、所望の生成物(複数可)、または作動パラメータ、例えば排出/生産速度もしくは改質温度のうちの1つ以上において許容できない性能をもたらすのに十分な硫黄汚染を有する触媒を指すが、触媒が「硫黄で汚染された」という決定は、これらの特徴だけに限定されるものではない。いくつかの態様では、Z<Y<Xであるように、「フレッシュ」触媒は活性Xを有することができ、硫黄で汚染された触媒は活性Zを有することができ、「再生」触媒または「再活性化」触媒は活性Yを有することができる。このような触媒活性比較(および他の改質性能特性)は、同じ装置で、かつ同じ試験方法および条件下で試験された触媒の同じ生産運転(バッチ)を使用することになっている。「再生」触媒は、最低限、本明細書に記載の洗浄工程およびハロゲン化工程を使用して再生された触媒を包含し、一方「再活性化」触媒は、還元工程(例えば、水素を使用)に供された「再生」触媒である。本開示を考慮して当業者によって認識されるように、「再生」触媒は総称であり、これは洗浄されハロゲン化され、ハロゲン化された触媒(「ハロゲン化」触媒)を含み、本明細書に記載の他の任意選択的な再生工程が使用されない場合はハロゲン化触媒と同じであるが、洗浄工程およびハロゲン化工程に加えて、炭素燃焼工程、乾燥工程、焼成工程、またはこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つに供せられた触媒も包含する。したがって、例えば、「再生」触媒は、(i)「ハロゲン化」触媒と、(ii)任意選択的な乾燥および/または焼成工程に供されたハロゲン化触媒と、(iii)プロセス内の任意の好適な時点(例えば、洗浄前の炭素燃焼、洗浄後の炭素燃焼)で洗浄工程およびハロゲン化工程ならびに任意選択的な炭素燃焼工程に供された硫黄で汚染された触媒と、を包含する。
【0013】
本明細書に記載の触媒(例えば、フレッシュ触媒、硫黄で汚染された触媒、再生触媒、または再活性化触媒)に存在する任意の成分または材料の量は、特に明記しない限り、重量基準で、例えば、重量%またはppmw(重量ppm)である。これらの成分または材料は、例えば、硫黄の量、炭素の量、フッ素の量、塩素の量、アルカリ金属の量、バリウムの量、白金の量などを含み得る。さらに、これらの量は、それぞれの触媒(例えば、フレッシュ触媒、硫黄で汚染された触媒、再生触媒、または再活性化触媒)が、5重量%未満の溶媒/含水量まで乾燥された「乾燥」触媒に基づく。
【0014】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に公表された元素周期表の版に示されるナンバリングスキームを用いて示される。場合によっては、元素の族は、族に割り当てられた一般名を用いて、例えば、1族元素についてはアルカリ金属を、2族元素についてはアルカリ土類金属を、3~12族元素については遷移金属を、および17族元素についてはハロゲンまたはハロゲン化物を用いて示され得る。
【0015】
本明細書に開示されるいかなる特定の化合物または基についても、提示されたいずれかの(一般または特定の)名称または構造は、別段の定めがない限り、特定の一連の置換基から生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、立体異性体、およびそれらの混合物を包含することが意図される。(一般または特定の)名称または構造は、別段の定めがない限り、当業者によって認識されるであろう、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびエナンチオマーまたはラセミ形態のいずれかの他の光学異性体(存在する場合)、ならびに立体異性体の混合物も包含する。例えば、ヘキサンへの一般的言及は、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、2,2-ジメチル-ブタン、および2,3-ジメチル-ブタンを含み、ブチル基への一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、およびt-ブチル基を含む。
【0016】
一態様において、化学「基」は、その基が形式上、参照または「親」化合物にどのように由来するかに従って、例えば、たとえその基が事実上そのような様式では合成されなくても、その基を生成するために親化合物から除去される水素原子の数によって、定義または記載することができる。これらの基は、置換基として利用されてもよく、または金属原子に配位もしくは結合されてもよい。例として、「アルキル基」は、形式上、アルカンから1個の水素原子を除去することにより誘導され得る。置換基、リガンド、または他の化学部分が特定の「基」を構成し得るという開示は、その基が記載されるように用いられる場合、化学構造および結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「に由来する」、「によって形成される」、または「から形成される」と記載する場合、別段の定めがない限り、または文脈がそうではないことを必要としない限り、そのような用語は形式的な意味で使用され、任意の特定の合成方法または手順を反映することを意図しない。
【0017】
種々の数値範囲が本明細書に開示される。本明細書で任意の種類の範囲が開示または請求される場合、別段の定めがない限り、その範囲の端点ならびにその中に包含される部分範囲および部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得るそれぞれの可能な数を個別に開示または請求することを意図する。代表的な例として、本出願は、ある特定の態様において、触媒がClおよびFを、約0.5:1~約4:1の範囲のCl:Fのモル比で含み得ることを開示する。Cl:Fのモル比が約0.5:1~約4:1の範囲内であり得るという開示とは、そのモル比がその範囲内の任意のモル比であり得、かつ、例えば、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約2:1、約3:1、または約4:1に等しくあり得ることを述べることを意図する。さらに、Cl:Fのモル比は、約0.5:1~約4:1の範囲内(例えば、モル比は、約0.5:1~約2:1の範囲内)であり得、またこれは、約0.5:1~約4:1の範囲の任意の組み合わせも含む。同様に、本明細書に開示される他の全ての範囲は、この例と同様に解釈されるべきである。
【0018】
「置換された」という用語は、化合物または基を説明するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換類似体を指す場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を説明することを意図し、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素原子を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」などの同等の用語によって表すこともできる。別途記載のない限り、「置換された」は、非限定的であることを意図し、当業者によって理解されるように、無機置換基または有機置換基を含む。
【0019】
本明細書において使用される場合、「炭化水素」という用語は、炭素原子および水素原子のみを含む化合物を指す。存在する場合、炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0020】
「芳香族」化合物は、ヒュッケル(4n+2)則に従い、かつ(4n+2)のπ電子を含む(式中、nは1~5の整数である)環状共役二重結合系を含む化合物である。芳香族化合物には、「アレーン」(炭化水素芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)、ならびに「ヘテロアレーン」(芳香族系に特徴的な連続パイ電子系とヒュッケル則(4n+2)に対応する面外パイ電子の数を維持するような方法で、正式には3価または2価のヘテロ原子との環状共役二重結合系の1個以上のメチン(-C=)炭素原子の置換によりアレーンから誘導されるヘテロ芳香族化合物)が含まれる。本明細書に開示されるように、「置換された」という用語は、芳香族基、アレーン、またはヘテロアレーンを説明するために使用され得、非水素部分は、形式上は化合物中の水素原子を置換し、別段の定めがない限り、非限定的であることが意図される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アルカン」という用語は、飽和炭化水素化合物を指す。存在する場合、アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。「アルキル基」という用語は、IUPACによって定められた定義に従って本明細書において使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される1価の基である。アルカンまたはアルキル基は、別段の定めがない限り、直鎖状または分岐状であり得る。
【0022】
「シクロアルカン」は、側鎖を有するまたは有しない飽和環状炭化水素、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンである。存在する場合、シクロアルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化シクロアルカンは、シクロアルカン中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0023】
「ハロゲン」という用語は、その通常の意味を有する。ハロゲンの例として、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。
【0024】
「接触する」、「接触すること」などの用語は、本明細書では、配合、混合、スラリー化、溶解、反応、処理、複合化されるか、ないしは別の方法で、もしくは任意の好適な方法によって接触または組み合わせることができる材料または成分を指すために使用される。別途記載の限り、材料または構成成分は、任意の順序で、任意の方法で、および任意の時間の長さで、一緒に接触させることができる。
【0025】
モル選択性は、以下のように定義される。
【数1】
【0026】
転換率は、供給された「転換可能な」構成成分1モル当たりに転換されたモル数として定義される。
【数2】
【0027】
本明細書において開示されるものと同様のまたは等しい任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、典型的な方法および材料は本明細書に記載される。
【0028】
本明細書にて言及された全ての刊行物および特許は、説明および開示を目的として、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、刊行物に記載されている構成物および方法論は、本発明と関連付けられて、用いられてもよい。
【0029】
発明の詳細な説明
硫黄で汚染された芳香族化触媒などの硫黄で汚染された触媒を再生する方法が、本明細書に開示されている。関連する改質プロセスもまた開示されている。
【0030】
硫黄で汚染された触媒の再生方法
遷移金属および触媒担体を含む硫黄で汚染された触媒を再生するための様々な方法が、本明細書に開示および記載されている。硫黄で汚染された触媒を再生するためのそのような方法の1つは、
(1)硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄して、洗浄された触媒を製造することと、
(2)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含み得る(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)。
【0031】
一般に、本明細書に開示される方法のいずれかの特徴(例えば、とりわけ、硫黄で汚染された触媒、遷移金属、触媒担体、水溶液、ハロゲン溶液、洗浄工程が行われる条件、およびハロゲン化工程が行われる条件)は、本明細書において独立して記載されており、これらの特徴は、開示された方法をさらに説明するために任意の組み合わせで組み合わせることができる。さらに、別段の記載がない限り、開示される方法に列挙された工程のいずれかの前、最中、および/または後に、他のプロセス工程が行われてもよい。さらに、開示される方法/プロセスのいずれかに従って製造される再生(例えば、ハロゲン化)触媒および再活性化触媒は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0032】
水溶液を利用するこれらの方法の工程は、しばしば洗浄工程と称されることがあり、一方ハロゲン溶液を利用するこれらの方法の工程はしばしばハロゲン化工程と称されることがある。特に明記しない限り、水溶液およびハロゲン溶液のいずれの組成属性も、触媒と接触する前のそれぞれの入ってくる水溶液およびハロゲン溶液を指すことを意味する。当業者には容易に認識されるように、触媒と接触した後の出て行く水溶液およびハロゲン溶液は、それぞれ入ってくる水溶液およびハロゲン溶液とは組成が著しく異なり得る。
【0033】
ここで洗浄工程とも称される工程(1)を参照すると、硫黄で汚染された触媒は、任意選択的にアルカリ金属を含む任意の好適な水溶液で洗浄されて、洗浄触媒をもたらすことができる。工程(1)のアルカリ金属は、1族元素のいずれでもよい。例えば、水溶液はアルカリ金属を含んでもよく、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウム、ならびにこれらの任意の組み合わせを含んでもよい(または本質的にそれらからなるか、もしくはそれらからなることができる)。いくつかの態様では、アルカリ金属はナトリウム、代替的にカリウム、代替的にルビジウム、または代替的にセシウムを含む(または本質的にそれらからなる、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0034】
水溶液は、任意の好適な形態のアルカリ金属(または複数の金属)を含有し得るが、多くの場合、水溶液はアルカリ金属の塩を含有する。例示的な塩としては、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩など、ならびにこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の特定の態様では、洗浄工程における水溶液は、塩化カリウム、塩化ルビジウム、または塩化セシウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ金属塩化物塩、ならびにこれらの任意の混合物または組み合わせを含み得る。
【0035】
水および任意選択的なアルカリ金属に加えて、当業者によって認識されるように、水溶液は他の成分を含有してもよい。しかしながら、いくつかの態様では、洗浄工程は、硫黄で汚染された触媒を、水から本質的になるか、もしくはそれからなる、またはアルカリ金属塩および水から本質的になるか、もしくはそれらからなる、またはアルカリ金属塩および脱イオン水から本質的になるか、もしくはそれらからなる水溶液と接触させることを含み得る。これらおよび他の態様では、水溶液は、塩基性化合物(例えば、水酸化物)を実質的に含まない、および/またはアンモニアまたは任意のアンモニウム含有化合物を実質的に含まなくてもよい。これらの状況において、「実質的に含まない」とは、独立して、100ppmw(重量ppm)未満の、より典型的には、75ppmw未満の、50ppmw未満の、25ppmw未満の、または10ppmw未満のこれらの材料のいずれかを含有することを意味する。したがって、水溶液中のこれらの材料のいずれかの個々の量は、約0.1ppmw~約100ppmw、約0.1ppmw~約75ppmw、約1ppmw~約100ppmw、約1ppmw~約75ppmw、約0.1ppmw~約50ppmw、約1ppmw~約50ppmw、または約1ppmw~約25ppmwの範囲であってもよいことが企図される。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの材料は、触媒活性、触媒選択性、触媒寿命および/または触媒失活のうちの1つ以上に悪影響を及ぼし得るので、硫黄で汚染された触媒を再生するための開示される方法において洗浄工程中にこれらの材料を実質的に含まないことが有利であり得ると考えられる。さらに、必須ではないが、水溶液は、ナトリウムまたはナトリウム含有化合物を実質的に含まなくてもよく、すなわち、100ppmw(重量ppm)未満のナトリウムまたはナトリウム含有化合物を含んでもよい。上記のように、その量は、例えば、75ppmw未満、50ppmw未満、25ppmw未満、約0.1ppmw~約100ppmwの範囲、約0.1ppmw~約75ppmwの範囲、または約1ppmw~約75ppmwの範囲などであり得ることが企図される。したがって、いくつかの態様では、洗浄工程で使用されるアルカリ金属はナトリウムではなく、カリウム、ルビジウム、および/またはセシウムのうちの1つ以上である。
【0036】
洗浄工程において、水溶液のpHは特に限定されない。しかしながら、一般に、pHは、利用されるアルカリ金属塩およびそのそれぞれの濃度に応じて、6~8の範囲内であり得る。
【0037】
それに限定されないが、水溶液中のアルカリ金属の量(使用される場合)は、しばしば約5M(モル/L)未満であり得る。例えば、水溶液は、約1M未満、約0.75M未満、約0.5M未満、約0.3M未満、約0.25M未満、または約0.2M未満のアルカリ金属濃度を有し得る。したがって、アルカリ金属の濃度の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約0.01M~約5M、約0.01M~約1M、約0.01M~約0.5M、約0.01M~約0.25M、約0.05M~約2M、約0.05M~約1M、約0.05M~約0.5M、約0.05M~約0.25M、約0.1M~約5M、約0.1M~約1M、または約0.1M~約0.5Mなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
任意選択的に、アルカリ金属を含有する洗浄工程は、種々の温度および時間で行うことができる。例えば、洗浄工程は、約15℃~約95℃、代替的に約15℃~約80℃、代替的に約15℃~約70℃、代替的に約15℃~約65℃、代替的に約20℃~約95℃、代替的に約20℃~約80℃、代替的に約20℃~約70℃、代替的に約20℃~約50℃、代替的に約30℃~約80℃、代替的に約30℃~約70℃、代替的に約30℃~約50℃、代替的に約25℃~約55℃、または代替的に約30℃~約45℃の範囲の洗浄温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、洗浄工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われる状況を包含することを意味する。
【0039】
任意選択的に、アルカリ金属を含有する洗浄工程は、1~4回の洗浄サイクル、2~8回の洗浄サイクル、または2~4回の洗浄サイクルなどの、2回以上の洗浄サイクルを実施することによって行うことができる。したがって、例えば、洗浄工程は、1~4回の洗浄サイクル、2~8回の洗浄サイクル、または2~4回の洗浄サイクルを含み得、各洗浄サイクルは、独立して、約1分~約6時間、約5分~約2時間、約10分~約45分、または約10分~約30分などの範囲である。
【0040】
任意選択的に、アルカリ金属を含有する単一の洗浄サイクルの期間は、いかなる特定の期間にも限定されない。したがって、洗浄サイクルは、例えば、1~5分という短い時間から2~4時間、6~8時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間に行われてもよい。適切な洗浄サイクル時間は、他の変数の中でも、例えば洗浄温度、水溶液中のアルカリ金属の量、および洗浄サイクルの数に依存し得る。しかしながら、一般に、洗浄サイクル工程は、例えば、約1分~約2時間、約5分~約2時間、約5分~約1時間、約10分~約1時間、約5分~約45分、約10分~約45分、または約10分~約30分などの、約1分~約6時間の範囲内であり得る時間内に行われ得る。
【0041】
一般に、硫黄で汚染された触媒の量に対する、洗浄工程(または各洗浄サイクル)で使用される水溶液(任意選択的に、アルカリ金属を含有する)の量は、特に限定されない。一態様では、例えば、水溶液の重量と硫黄で汚染された触媒の重量との比は、約0.4:1~約50:1、または約0.5:1~約25:1の範囲内にあり得る。別の態様では、水溶液の重量と硫黄で汚染された触媒の重量との比は、約0.4:1~約10:1、または約0.5:1~約10:1の範囲であり得る。さらに別の態様では、水溶液の重量と硫黄で汚染された触媒の重量との比は、約0.5:1~約8:1、または約0.5:1~約5:1の範囲であり得る。さらに別の態様では、例えば、水溶液の重量と硫黄で汚染された触媒の重量との比は、約1:1~約15:1、または約1:1~約5:1の範囲であり得る。
【0042】
任意選択的にアルカリ金属を含有する洗浄工程は、任意の好適な技術および装置を使用して行うことができる。例えば、硫黄で汚染された触媒を容器またはタンクに入れ、次いで、容器またはタンク中の硫黄で汚染された触媒のレベルを超えるのに十分な水溶液で充填することができる。任意選択的に、撹拌を容器およびタンク内で提供して、硫黄で汚染された触媒と水溶液との間の接触を増大させることができる。代替的に、硫黄で汚染された触媒を固定床または充填床配置で定置させて、任意選択的にアルカリ金属を含有する水溶液を、硫黄で汚染された触媒の床を通して水溶液を流動させることによって、硫黄で汚染された触媒と接触させることができる。当業者によって認識されるように、他の好適な技術および機器が洗浄工程に使用されてもよく、そのような技術および機器は本明細書に包含される。
【0043】
必須ではないが、洗浄工程は、アルカリ金属を含有する水溶液を用いた1回以上の洗浄サイクルによって行われ、その後、アルカリ金属を含まない1回以上の洗浄サイクルを実施することによって完了されてもよい。代替的に、洗浄工程は、アルカリ金属を含まない水溶液を用いた1回以上の洗浄サイクルによって行われ、その後、アルカリ金属を含む1回以上の洗浄サイクルを実施することによって完了されてもよい。代替的に、洗浄工程は、アルカリ金属を含まない水溶液を用いた1回以上の洗浄サイクルによって行われ、続いて、アルカリ金属を含む1回以上の洗浄サイクルを実施し、次いでアルカリ金属を含まない1回以上の洗浄サイクルを実施することによって完了されてもよい。独立して、アルカリ金属を含んで使用される、およびアルカリ金属を含まずに使用される洗浄条件は、本明細書に記載される任意の洗浄工程条件であり得る。
【0044】
本明細書に開示される硫黄で汚染された触媒を再生するための方法の工程(1)において、硫黄で汚染された触媒は、アルカリ金属を含む水溶液で洗浄して、アルカリ金属「富化された」洗浄された触媒を製造することができる。実際には、洗浄工程は、汚染された触媒から硫黄を除去しながら、同時に硫黄で汚染された触媒を任意の好適なまたは所望の量のアルカリ金属で富化させることができ、富化の量は、洗浄工程後の洗浄された触媒中のアルカリ金属の量の、硫黄で汚染された触媒中のアルカリ金属の量に対する差である。これらに限定されるものではないが、洗浄工程は、硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.05モル~約1.5モルのアルカリ金属で、代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.05モル~約1モルのアルカリ金属で、代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.05モル~約0.7モルのアルカリ金属で、代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.1モル~約1.2モルのアルカリ金属で、代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.1モル~約0.9モルのアルカリ金属で、代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.2モル~約0.8モルのアルカリ金属で、または代替的に硫黄で汚染された触媒1kg当たり(または洗浄された触媒1kg当たり)約0.3モル~約0.7モルのアルカリ金属で、硫黄で汚染された触媒を富化させることができる。
【0045】
一例として、(セシウムを含まない)硫黄で汚染された触媒は、セシウム塩を含有する水溶液で(任意の温度、洗浄時間、および本明細書に開示される水溶液の相対量で行われる1回以上の洗浄サイクルで)洗浄され、硫黄で汚染された触媒1kg当たり約0.5モルのセシウム(または洗浄された触媒1kg当たり約0.5モルのセシウム)を含有するセシウム富化触媒を製造し得る。別の例として、硫黄で汚染された触媒(白金と、K/L-ゼオライトを含むゼオライト担体と、を含む、汚染された触媒で、さらに汚染された触媒1kg当たり約3モルのカリウムを含有するもの)は、カリウム塩を含有する水溶液で洗浄し(本明細書に開示される任意の温度、洗浄時間、および水溶液の相対量で行われる1回以上の洗浄サイクルにおいて)、硫黄で汚染された触媒1kg当たり約3.1モルのカリウムを含有するカリウム富化の洗浄された触媒(または、カリウム富化の洗浄された触媒1kg当たり約3.1モル)を製造することができる。
【0046】
洗浄工程中に硫黄を除去して、任意選択的にアルカリ金属含有量を増加させることに加えて、硫黄で汚染された触媒がナトリウムを含有し、かつ水溶液が含有しないと仮定すると、ナトリウムのレベルを減少させることができる。これらの状況において、得られた洗浄された触媒は、洗浄された触媒の重量に基づいて、約0.35重量%未満のナトリウム、または約0.3重量%未満のナトリウムを含有し得る。いくつかの態様では、洗浄された触媒中のナトリウムの量は、洗浄された触媒の重量に基づいて、0重量%~約0.35重量%、0重量%~約0.3重量%、約0.03重量%~約0.35重量%、または約0.05重量%~約0.3重量%のナトリウムの範囲であり得る。これらの重量パーセントは、「乾燥」基準での洗浄された触媒の重量に基づく。
【0047】
これらに限定されるものではないが、硫黄で汚染された触媒中の硫黄の量は、多くの場合、少なくとも約100ppmw、少なくとも約125ppmw、または少なくとも約150ppmwであり得る。例示的かつ非限定的な範囲は、硫黄で汚染された触媒の重量に基づいて、約100ppmw~約1000ppmw、約100ppmw~約500ppmw、または約125ppmw~約1250ppmwの硫黄を含む。本明細書中に記載されるように、これらの重量パーセントは、硫黄で汚染された触媒の「乾燥」重量に基づく。
【0048】
洗浄工程は一般に、硫黄で汚染された触媒から硫黄を除去するのに非常に効果的である。多くの場合、硫黄の量(ppmwでの)は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、または少なくとも約35%、多くの場合最大70%、80%、90%以上減少する。したがって、洗浄された触媒(またはハロゲン化触媒)中の硫黄の量(ppmwでの)と硫黄で汚染された触媒中の硫黄の量(ppmwでの)との差に基づいて、約20%~約90%、約25%~約90%、約35%~約90%、または約30%~約80%の硫黄を除去することができる。上記のように、これらの硫黄の量は、それぞれの「乾燥」触媒に対して決定される。
【0049】
これらに限定されるものではないが、硫黄で汚染された触媒は、多くの場合、0重量%超~約5重量%の塩素、約0.05重量%~約2重量%の塩素、または約0.1重量%~約1重量%の塩素を含有し得る。追加的または代替的に、硫黄で汚染された触媒は、0重量%超~約5重量%のフッ素、約0.05重量%~約2重量%のフッ素、または約0.1重量%~約1重量%のフッ素を含有し得る。追加的または代替的に、硫黄で汚染された触媒は、約0.1重量%未満のバリウム、約0.01重量%未満のバリウムを含有し得るか、またはバリウムを含まない(測定可能な量ではない)場合がある。
【0050】
当業者が容易に認識するように、洗浄工程ベースを介して除去される特定量または目標量の硫黄は、工程(1)で使用され得る条件の様々な組み合わせによって達成され得る。所望のレベルの硫黄除去が選択されると、この結果は、洗浄サイクルの数、洗浄時間、洗浄温度、水溶液中のアルカリ金属のモル濃度(使用される場合)、硫黄で汚染された触媒の重量に基づく、使用された水溶液の相対量などの多くの異なる組み合わせによって達成され得る。
【0051】
洗浄された触媒が工程(1)で製造されると、任意選択的に、洗浄された触媒は、工程(2)の前に乾燥および/または焼成され得る(以下でさらに記載されるように)。乾燥および焼成の両方が実施される場合、典型的には洗浄された触媒は乾燥され、次いで焼成される。
【0052】
硫黄で汚染された触媒を再生する方法(ハロゲン化工程とも称される)の工程(2)では、洗浄された触媒を塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させてハロゲン化触媒を製造することができる。触媒活性および性能を回復するために、洗浄工程の後に1つのハロゲン(または複数のハロゲン)を触媒に組み入れることは有益であり得る-洗浄工程単独では不十分であり得る。
【0053】
本発明の一態様では、ハロゲン溶液は、塩素含有化合物、フッ素含有化合物、またはこれらの混合物、および水を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができるが、一方別の態様では、ハロゲン溶液は、塩素含有化合物、フッ素含有化合物、またはこれらの混合物、および炭化水素溶媒を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。炭化水素溶媒が使用される場合、シクロヘキサン、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなど、またはこれらの組み合わせなどの非極性脂肪族炭化水素が使用されてもよい。追加的または代替的に、芳香族化合物を使用することができ、その非限定的な例としては、トルエン、ベンゼン、キシレンなど、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
好適なフッ素含有化合物としては、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウムなど、およびこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。他の好適なフッ素含有化合物としては、少なくとも1つの水素原子がF原子で置き換えられているアレーンおよびアルキル置換アレーン(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)を挙げることができる。
【0055】
別の態様では、フッ素含有化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせ、代替的にフッ化水素酸、代替的に2,2,2-トリフルオロエタノール、代替的にテトラフルオロエチレン、代替的に四フッ化炭素、代替的に三フッ化炭素、代替的にフルオロメタン、代替的にヘプタフルオロプロパン、代替的にデカフルオロブタン、代替的にヘキサフルオロイソプロパノール、代替的にテトラフルオロプロパノール、代替的にペンタフルオロプロパノール、代替的にヘキサフルオロフェニルプロパノール、代替的にペルフルオロブチルアルコール、代替的にヘキサフルオロ-2-プロパノール、代替的にペンタフルオロ-1-プロパノール、代替的にテトラフルオロ-1-プロパノール、代替的に1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、代替的に2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、代替的にフッ化アンモニウム、代替的にフッ化テトラメチルアンモニウム、代替的にフッ化テトラエチルアンモニウム、代替的にフッ化テトラプロピルアンモニウム、代替的にフッ化テトラブチルアンモニウム、または代替的にフッ化メチルトリエチルアンモニウムを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0056】
好適な塩素含有化合物としては、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウムなど、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。他の好適な塩素含有化合物としては、少なくとも1つの水素原子がCl原子で置き換えられているアレーンおよびアルキル置換アレーン(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)を挙げることができる。
【0057】
別の態様では、塩素含有化合物は、塩酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせ、代替的に塩酸、代替的に四塩化炭素、代替的にテトラクロロエチレン、代替的にクロロベンゼン、代替的に塩化メチル、代替的に塩化メチレン、代替的にクロロホルム、代替的に塩化アリル、代替的にトリクロロエチレン、代替的にクロラミン、代替的に酸化塩素、代替的に塩素酸、代替的に二酸化塩素、代替的に一酸化二塩素、代替的に七酸化二塩素、代替的に塩素酸、代替的に過塩素酸、代替的に塩化アンモニウム、代替的に塩化テトラメチルアンモニウム、代替的に塩化テトラエチルアンモニウム、代替的に塩化テトラプロピルアンモニウム、代替的に塩化テトラブチルアンモニウム、または代替的に塩化メチルトリエチルアンモニウムを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0058】
さらに別の態様では、ハロゲン溶液は、水およびフッ素含有化合物を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなり)ことができ、フッ素含有化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含み得る。さらに別の態様では、溶液は、水およびフッ化水素酸、代替的に水およびフッ化アンモニウム、または代替的に水およびフッ化テトラメチルアンモニウムを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0059】
同様に、別の態様では、ハロゲン溶液は、水および塩素含有化合物を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなり)ことができ、塩素含有化合物は、塩酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含み得る。別の態様では、溶液は、水および塩酸、代替的に水および塩化アンモニウム、または代替的に水および塩化テトラメチルアンモニウムを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0060】
本発明の特定の態様と一致して、塩素とフッ素の両方がハロゲン溶液中に存在する。そのような態様では、ハロゲン溶液は、任意の好適な塩素含有化合物(例えば、塩化アンモニウム)、任意の好適なフッ素含有化合物(例えば、フッ化アンモニウム)、および水を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。代替的に、ハロゲン溶液は、塩素/フッ素含有化合物(または、クロロフルオロカーボン)、および任意の好適な溶媒、例えば、水または炭化水素溶媒を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0061】
ハロゲン化工程は、例えば、ハロゲン(塩素、フッ素、またはその両方)の均一な分布をもたらすために、任意の好適な技術および機器を使用して行うことができる。例えば、洗浄された触媒を容器またはタンクに入れ、次いで容器またはタンク中の触媒のレベルを超えるのに十分な量のハロゲン溶液(塩素、フッ素、または両方を含む)で充填することができる。任意選択的に、溶液中の触媒とハロゲン含有化合物(複数可)との間の接触を増大させるために、容器およびタンク内で撹拌が提供されてもよい。代替的に、洗浄された触媒を固定床または充填床配置に定置させて、ハロゲン溶液を触媒の床を通して流動させることによって、ハロゲン溶液を触媒と接触させることができる。代替的に、洗浄された触媒を回転ドラム内に定置させて、ハロゲン溶液(塩素、フッ素、または両方を含む)を触媒上に注ぐか、またはスプレーしてもよい。代替的に、洗浄された触媒をハロゲン溶液(塩素、フッ素、またはその両方を含む)で初期湿潤まで含浸させることができ、ここで使用される細孔充填または「初期湿潤」含浸技術は、ハロゲン溶液を、細孔が一杯になるまで(概ね乾燥した)洗浄された触媒と混合する方法である。この方法の終点の定義は、含浸された触媒が完全に乾燥した外観または粘着性のある雪のような外観を有することができるように、実験室ごとに多少異なってもよい。しかしながら、典型的には、初期湿潤法が採用されるときには、いかなる流動性液体も存在しないであろう。当業者に認識されるように、他の好適な技術および装置がハロゲン化工程に使用されてもよく、そのような技術および装置は本明細書に包含される。
【0062】
これらに限定されるものではないが、ハロゲン溶液中のフッ素(F)の量は、多くの場合、約15重量%未満である。例えば、ハロゲン溶液は、約10重量%未満、代替的に約8重量%未満、代替的に約5重量%未満、または代替的に約3重量%未満の濃度/量のFを含み得る。存在する場合、ハロゲン溶液中のFの濃度の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約10重量%、約0.01重量%~約8重量%、約0.1重量%~約8重量%、約1重量%~約8重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約5重量%などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0063】
同様に、ハロゲン溶液中の塩素(Cl)の量は、多くの場合、約15重量%未満である。例えば、ハロゲン溶液は、約10重量%未満、代替的に約8重量%未満、代替的に約5重量%未満、または代替的に約3重量%未満の濃度/量のClを含み得る。存在する場合、Clの濃度の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約10重量%、約0.01重量%~約8重量%、約0.1重量%~約8重量%、約1重量%~約8重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約1重量%~約5重量%などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0064】
ハロゲン化工程は、様々な温度および時間で行われ得る。例えば、ハロゲン化工程は、約0℃~約95℃、代替的に約0℃~約80℃、代替的に約0℃~約50℃、代替的に約5℃~約95℃、代替的に約5℃~約80℃、代替的に約5℃~約50℃、代替的に約5℃~約35℃、代替的に約15℃~約80℃、代替的に約15℃~約50℃、代替的に約15℃~約35℃、代替的に約20℃~約95℃、代替的に約20℃~約50℃、または代替的に約20℃~約35℃の範囲のハロゲン化温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、ハロゲン化工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0065】
ハロゲン化工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。したがって、ハロゲン化工程は、例えば、1~5分という短い時間から12~24時間、36~48時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間に行われてもよい。適切なハロゲン化時間は、他の変数の中でも、例えば、ハロゲン化温度ならびに溶液中のフッ素および塩素のそれぞれの量に依存し得る。しかしながら、一般に、ハロゲン化工程は、例えば、約15分~約48時間、約10分~約24時間、約30分~約18時間、約30分~約12時間、約30分~約6時間、約1時間~約10時間、または約2時間~約8時間などの、約1分~約48時間の範囲内であり得る時間内に行われ得る。
【0066】
ハロゲン化工程の後に乾燥工程が実施される場合、乾燥工程は様々な温度、圧力、および時間で行われ得る。これらに限定されるものではないが、乾燥工程は、一般に、約15℃~約200℃、代替的に約25℃~約150℃、代替的に約30℃~約125℃、または代替的に約40℃~約150℃の範囲の乾燥温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、乾燥工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0067】
乾燥工程の期間は、いずれか特定の期間に限定されない。典型的には、乾燥工程は、30分という短い時間から36~48時間(またはそれ以上)までの長時間の範囲の乾燥時間で行うことができるが、より典型的には、乾燥工程は、例えば、約1時間~約12時間、約1時間~約6時間、約2時間~約24時間、または約2時間~約6時間などの、約1時間~約48時間の範囲内であり得る時間内で行われてもよい。
【0068】
乾燥工程で使用される乾燥圧力もまた、特に限定されない。一態様では、例えば、乾燥圧力は大気圧であってもよく、そのような状況では、乾燥温度は少なくとも約30℃、40℃、または50℃であり得る。別の態様では、乾燥圧力は、大気圧未満であってもよく(例えば、真空乾燥)、典型的な圧力は、約100トル、80トル、60トル、40トル、または20トル以下である。
【0069】
本発明の態様と一致して、乾燥工程は、ハロゲン化触媒の溶媒含有量を約15重量%以下、約10重量%以下、または約8重量%以下の溶媒に減少させるのに十分な条件下(例えば、時間、温度、圧力)で行うことができる。残留溶媒(例えば水)のこの重量パーセントは、乾燥ハロゲン化触媒の重量に基づく。
【0070】
ハロゲン化工程の後に焼成工程を実施する場合、焼成工程は、乾燥工程の後に実施されることが多く、焼成工程は様々な温度および時間で行うことができる。典型的なピーク焼成温度は、しばしば、約200℃~約800℃、例えば、約250℃~約600℃、約250℃~約500℃、または約250℃~約350℃の範囲内に属する。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、焼成工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期焼成温度、ピーク焼成温度)で行われ得る状況を包含することを意味する。例えば、焼成工程は、乾燥工程における乾燥温度と同じ初期温度で開始することができる。続いて、焼成の温度を、例えば、約250℃~約500℃の範囲のピーク焼成温度まで経時的に上昇させることができる。
【0071】
焼成工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。したがって、焼成工程は、例えば、15~30分という短い時間から36~48時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間に行われ得る。適切な焼成時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピーク焼成温度および乾燥工程が使用されるかどうかに依存し得る。しかしながら、一般に、焼成工程は、例えば、約15分~約12時間、約30分~約24時間、約30分~約8時間、または約1時間~約4時間などの、約15分~約48時間の範囲内であり得る時間内で行うことができる。
【0072】
焼成工程は、不活性ガス(例えば、窒素)、酸素、空気、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせを含む(またはそれらから本質的になる、またはそれらからなる)焼成ガス流中で行われてもよい。いくつかの態様において、焼成ガス流は空気を含み得るが、他の態様において、焼成ガス流は空気と窒素との混合物を含み得る。さらに、ある特定の態様において、焼成ガス流は、窒素および/またはアルゴンなどの不活性ガスであり得る。
【0073】
硫黄汚染の量および硫黄で汚染された触媒上の炭素蓄積量に応じて、炭素燃焼工程(デコーキング工程とも称される)を利用することができる。必要に応じて、炭素燃焼工程は、洗浄工程の前、洗浄工程の後であるがハロゲン化工程の前、または洗浄工程の前および洗浄工程の後の両方で実施することができる。一般に、炭素燃焼工程では、硫黄で汚染された触媒(または洗浄された触媒)を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させることができる。酸素に加えて、デコーキングガス流は不活性ガスを含んでもよく、すなわち、デコーキングガス流は、酸素および不活性ガスを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。炭素燃焼工程において有用な典型的な不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などを包含することができ、これは、これらの材料の2つ以上の組み合わせを含む。ある特定の態様では、デコーキングガス流は、酸素および窒素、代替的に空気および窒素、または代替的に空気を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0074】
デコーキングガス流は空気を含み得るので、デコーキングガス流は、約20~21モル%の酸素を含み得る。しかしながら、より多くの場合、デコーキングガス中の酸素の量は、約10モル%未満であり得る。例えば、いくつかの態様では、デコーキングガス流は、約8モル%未満、約5モル%未満、または約3モル%未満の酸素を含み得る。したがって、デコーキングガス流中の酸素のモル%の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約0.1~約25モル%、約0.1~約20モル%、約0.1~約10モル%、約0.2~約10モル%、約0.2~約5モル%、約0.3~約5モル%、約0.5~約5モル%、約0.5~約4モル%、約0.5~約3モル%、または約1~約3モル%などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0075】
一態様では、デコーキングガス流は、ハロゲンを実質的に含まない、すなわち、ハロゲン含有化合物を実質的に含まないものであり得る。これに関連して、「ハロゲンを実質的に含まない」とは、デコーキングガス流中の塩素含有化合物などのハロゲン含有化合物が、100ppmw(重量ppm)未満であることを意味する。したがって、デコーキングガス流中のハロゲン含有化合物の量は、ある特定の態様では、50ppmw未満、40ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得ることが企図される。他の態様では、デコーキングガス流中のハロゲン含有化合物の量は、約0.1~約100ppmw、約0.5~約100ppmw、約1~約100ppmw、約0.1~約50ppmw、約0.1~約25ppmw、約0.1~約10ppmw、または約0.1~約5ppmwの範囲であり得る。理論に拘束されることを望まないが、硫黄で汚染された触媒を再生する方法の炭素燃焼工程中に塩素などのハロゲンを実質的に添加しないことが有益であり得ると考えられる。
【0076】
別の態様では、デコーキングガス流は、水を実質的に含まなくてもよく、これに関して「実質的に含まない」とは、デコーキングガス流中の100ppmw(重量ppm)未満の水を意味する。したがって、デコーキングガス流中の水の量は、ある特定の態様では、50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得ることが企図される。他の態様では、デコーキングガス流中の水の量は、約0.1~約100ppmw、約0.5~約100ppmw、約1~約100ppmw、約0.1~約50ppmw、約0.1~約25ppmw、約0.1~約10ppmw、または約0.1~約5ppmwの範囲であり得る。理論に拘束されることを望まないが、硫黄で汚染された触媒を再生する方法の炭素燃焼工程中に水を実質的に添加しないことが有益であり得ると考えられる。
【0077】
水溶液およびハロゲン溶液について上述したものと同様に、デコーキングガス流の任意の組成的属性は、特に明記しない限り、触媒(硫黄で汚染された触媒、洗浄された触媒)と接触する前に流入するデコーキングガス流を指すことを意味する。当業者には容易に認識されるように、触媒と接触した後の流出するデコーキングガス流は、流入するデコーキングガス流とは組成が著しく異なり得る。例えば、塩素は、場合によっては、炭素燃焼工程中に触媒から溶出することがある。さらに、炭素燃焼工程中に水が生成される可能性があり、したがって、流出するデコーキング流中に水が検出される可能性がある。
【0078】
炭素燃焼工程は、様々な温度および時間で行われ得る。例えば、炭素燃焼工程は、約150℃~約600℃、代替的に約200℃~約500℃、代替的に約300℃~約600℃、代替的に約300℃~約550℃、代替的に約300℃~約500℃、代替的に約320℃~約480℃、代替的に約340℃~約460℃、または代替的に約350℃~約450℃の範囲のピークデコーキング温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、炭素燃焼工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期デコーキング温度、ピークデコーキング温度)で行われ得る状況を包含することを意味する。例えば、およびこれらに限定されないが、炭素燃焼工程は、約0℃~約300℃、約20℃~約250℃、約50℃~約200℃、または約150℃~約260℃の範囲の初期デコーキング温度で開始することができる。続いて、炭素燃焼工程の温度は、例えば約300℃~約600℃、または約350℃~約450℃の範囲のピークデコーキング温度まで上昇させることができる。
【0079】
炭素燃焼工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。したがって、炭素燃焼工程は、例えば、30~45分という短い時間から48~72時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間に行われ得る。適切なデコーキング時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピークデコーキング温度およびデコーキングガス流中の酸素の量に依存し得る。しかしながら、一般に、炭素燃焼工程は、例えば、約1時間~約72時間、約24時間~約72時間、約12時間~約60時間、約12時間~約48時間、または約1時間~約6時間などの、約45分~約72時間の範囲内であり得る時間内で行うことができる。
【0080】
代替的に、炭素燃焼工程は、炭素燃焼工程の後に、触媒上の炭素の重量%を、約5重量%未満、または約1重量%未満まで減少させるのに(脱コークス触媒)十分な時間行うことができる。いくつかの態様では、炭素燃焼工程は、触媒上の炭素の重量%を約0.01重量%~約1.5重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.75重量%、約0.25重量%~約1.5重量%、または約0.25重量%~約1重量%の範囲内に減少させるのに十分な時間行うことができる。他の態様では、炭素燃焼工程は、触媒と接触した後に、流出または出て行くデコーキング流中のCOレベルを監視することによって決定された時間行われてもよい。したがって、炭素燃焼工程は、触媒と接触した後に、流出または出て行くデコーキング流中のCOの量を、約100ppmv未満、例えば約50ppmv未満、または約20ppmv未満まで減少させるのに十分な時間行われてもよい。
【0081】
本明細書で企図される様々な態様において、硫黄で汚染された触媒を再生する方法は、洗浄工程(および利用される場合は炭素燃焼工程)の前に実施される炭化水素除去工程をさらに含み得る。炭化水素除去工程は、一般に、硫黄で汚染された触媒を、酸素を含む炭化水素除去ガス流と接触させることを含み得る。
【0082】
炭化水素除去ガス流の組成は、炭素燃焼工程で使用されるデコーキングガス流について上述したものと同じ潜在的属性を包含し得る。したがって、酸素に加えて、炭化水素除去ガス流は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、および/または窒素などの不活性ガスを含むことができる。一態様では、炭化水素除去ガス流は、酸素および窒素、代替的に空気および窒素、または代替的に空気を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。別の態様では、炭化水素除去ガス流は、多くの場合、例えば、約0.1~約25モル%の酸素、約0.1~約20モル%の酸素、約0.2~約10モル%の酸素、約0.2~約5モル%の酸素、約0.3~約5モル%の酸素、約0.5~約5モル%の酸素、約0.5~約4モル%の酸素、約0.5~約3モル%の酸素、または約1~約3モル%の酸素などを含んでもよい。さらに別の態様では、炭化水素除去ガス流は、ハロゲンを実質的に含まないか、またはハロゲン含有化合物を実質的に含まなくてもよく、すなわち、例えば、炭化水素除去ガス流中に50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満のハロゲン含有化合物を有するなどの、炭化水素除去ガス流中に100ppmw(重量ppm)未満のハロゲン含有化合物を有する。さらに別の態様では、炭化水素除去ガス流は、水を実質的に含まなくてもよく、すなわち、例えば、炭化水素除去ガス流中に50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満の水を有するなどの、炭化水素除去ガス流中に100ppmw未満の水を有する。上記のように、炭化水素除去ガス流の任意の組成属性は、特に明記しない限り、硫黄で汚染された触媒と接触する前の流入炭化水素除去ガス流を指すことを意味する。
【0083】
炭化水素除去工程は、はるかに低い温度で行うことができるという点で炭素燃焼工程とは異なる。一般に、炭化水素除去工程は、約125℃~約350℃、代替的に約125℃~約300℃、代替的に約150℃~約250℃、代替的に約175℃~約350℃、代替的に約150℃~約225℃、または代替的に約175℃~約300℃の範囲の炭化水素除去温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、炭化水素除去工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0084】
炭化水素除去工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。典型的には、炭化水素除去工程は、30~45分という短い時間から48時間(またはそれ以上)までの長時間の範囲の時間で行うことができるが、より典型的には、炭化水素除去工程は、例えば、約2時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約18時間、または約2時間~約24時間などの、約1時間~約36時間の範囲内であり得る時間内で行われてもよい。
【0085】
代替的に、炭化水素除去工程は、硫黄で汚染された触媒上の炭化水素の重量%を、例えば、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約5重量%、または約2重量%~約6重量%の炭素などの、約1重量%~約10重量%の範囲内にまで減少させるために十分な時間行うことができる。理論に束縛されることを望まないが、芳香族化反応器を開く前に液体炭化水素および軽質オリゴマーを除去するか、またはオフサイト再生のために硫黄で汚染された触媒を保管または輸送することによって、操作に係る健康上および安全上の利益が達成され得る。
【0086】
本明細書に開示される硫黄で汚染された触媒の再生方法は、ハロゲン化工程の後に還元工程をさらに含み、それによって再活性化触媒を形成することができる。この還元工程は、再生触媒(例えば、ハロゲン化触媒)を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含み得る。分子状水素に加えて、還元ガス流は不活性ガスを含むことができ、すなわち、還元ガス流は、分子状水素および不活性ガスを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。還元工程において有用な典型的な不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などを包含することができ、これは、これらの材料の2つ以上の組み合わせを含む。ある特定の態様において、還元ガス流は、分子状水素および窒素を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。この還元工程は、改質操作を開始する前に芳香族化反応器系で実施することができる。
【0087】
いくつかの態様では、分子状水素が還元ガス流の主成分であり得る一方、他の態様では、分子状水素が微量成分であり得る。例えば、還元ガス流は、少なくとも約25モル%の分子状水素、少なくとも約35モル%の分子状水素、少なくとも約50モル%の分子状水素、少なくとも約65モル%の分子状水素、少なくとも約75モル%の分子状水素、または100モル%の分子状水素を含み得る。したがって、還元ガス流中の分子状水素のモル%の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約25~100モル%、約50~100モル%、約25~100モル%、約35~100モル%、約55~100モル%、約25~約75モル%、約35~約65モル%、または約70~100モル%などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0088】
還元工程は、様々な温度および時間で行われ得る。例えば、還元工程は、約200℃~約600℃、代替的に約300℃~約550℃、代替的に約400℃~約600℃、代替的に約350℃~約575℃、代替的に約400℃~約550℃、または代替的に約450℃~約550℃の範囲のピーク還元温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、還元工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期還元温度、ピーク還元温度)で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0089】
還元工程の時間は、いずれか特定の時間に限定されない。したがって、還元工程は、例えば、1時間という短い時間から48~72時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間内で行われ得る。例えば、還元工程は、約2時間~約48時間、約3時間~約36時間、約5時間~約36時間、約2時間~約30時間、または約10時間~約30時間の範囲内であり得る時間において行われ得る。
【0090】
本明細書中に記載されるように、「再生」触媒は、例えば、(a)洗浄工程およびハロゲン化工程に供された硫黄で汚染された触媒(ハロゲン化触媒)、(b)洗浄工程、ハロゲン化工程、乾燥工程および焼成工程に供された硫黄で汚染された触媒、または(c)炭素燃焼工程、洗浄工程、ハロゲン化工程、乾燥工程、および焼成工程に供された硫黄で汚染された触媒であり得る。さらに、これには、乾燥工程および/または洗浄とハロゲン化との間の焼成工程も供された触媒も含む。さらに、本明細書に記載されるように、「再活性化」触媒は、還元工程に供された再生触媒である。開示された方法に従って製造された再生触媒および再活性化触媒は、多くの場合、以下の特徴のうちの1つ以上、および任意の組み合わせによって特徴付けることができる。
【0091】
本明細書に開示された方法によって製造された再生触媒および再活性化触媒は、多くの場合、硫黄で汚染された触媒中に存在するものよりもはるかに少ない、例えば少なくとも約20%少ない、少なくとも約25%少ない、または少なくとも約35%少ない硫黄を有し、多くの場合、最大約70%、80%、または90%少ない硫黄を有する。いくつかの態様では、再生触媒または再活性化触媒は、約400ppmw未満、約200ppmw未満、または約150ppmw未満の硫黄を含有し得る。例示的かつ非限定的な範囲としては、再生触媒または再活性化触媒の重量に基づいて、約25ppmw~約400ppmw、約70ppmw~約200ppmw、または約50ppmw~約150ppmwの硫黄が挙げられる。本明細書中に記載されるように、これらの量の硫黄はそれぞれの「乾燥」触媒に基づく。
【0092】
再生触媒または再活性化触媒はまた、以下の代表的な範囲、すなわち、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.25~約1重量%、または約0.25重量%~約0.5重量%の炭素が挙げられるが、これらに限定されない、様々な炭素のレベルを有してもよい。一般に、本明細書に開示される方法は、典型的には、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約2重量%の塩素を含有する再生触媒または再活性化触媒をもたらす。同様に、本明細書に開示される方法は、典型的には、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約2重量%のフッ素を含有する再生触媒または再活性化触媒をもたらす。追加的または代替的に、再生触媒または再活性化触媒は、約0.1重量%未満のバリウム、約0.01重量%未満のバリウムを含有し得るか、またはバリウムを含まない(測定可能な量ではない)場合がある。追加的または代替的に、再生触媒または再活性化触媒は、約0.5重量%~約15重量%のアルカリ金属、約1重量%~約14重量%のアルカリ金属、または約2重量%~約13重量%のアルカリ金属を含有し得る。これらの重量パーセントは、それぞれの「乾燥」触媒の重量に基づく。
【0093】
本発明の方法と一致して、再生触媒または再活性化触媒の表面積は、一般に維持され得る。例えば、再生触媒または再活性化触媒の表面積は、硫黄で汚染された触媒の表面積の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、多くの場合、最大約70%、80%、またはそれ以上であり得る。
【0094】
芳香族化触媒を用いた改質方法
炭化水素を改質するための種々の方法もまた、本明細書に包含される。このような改質方法の1つは、
(A)炭化水素供給原料を遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器系中で改質条件下で接触させて芳香族生成物を製造することと、
(B)硫黄で汚染された炭化水素供給原料を芳香族化触媒と、硫黄で汚染された触媒を形成するのに十分な時間接触させることと、
(C)硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄して洗浄された触媒を製造することと、
(D)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0095】
一般に、本明細書に開示される改質方法のいずれかの特徴(例えば、とりわけ、炭化水素供給原料、芳香族化触媒、遷移金属、触媒担体、改質条件、水溶液、ハロゲン溶液、洗浄工程が行われる条件、およびハロゲン化工程が行われる条件)は、本明細書において独立して記載されており、これらの特徴は、開示された改質方法をさらに説明するために任意の組み合わせで組み合わせることができる。さらに、別段の記載がない限り、開示される改質方法に列挙された工程のいずれかの前、最中、および/または後に、他のプロセス工程が行われてもよい。
【0096】
洗浄工程(工程(C))およびハロゲン化工程(工程(D))は、上で論じられている。本明細書に記載される洗浄工程および/またはハロゲン化工程(ならびに洗浄工程および/またはハロゲン化工程の前、最中、および/または後に行われ得る他の工程)の任意の態様および特徴は、炭化水素を改質するための方法において利用することができ、したがって、本明細書に包含される。
【0097】
これらの改質方法において、工程(A)は、反応器系において改質条件下で炭化水素供給原料を芳香族化触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含み得る。改質のための反応器系およびそれぞれの改質条件は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第4,456,527号、同第5,389,235号、同第5,401,386号、同第5,401,365号、同第6,207,042号、および同第7,932,425号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0098】
同様に、典型的な炭化水素供給物が、これらの参考文献に開示されている。多くの場合、炭化水素供給物はナフサストリームまたはライトナフサストリームであり得る。ある特定の態様では、炭化水素供給原料は、C~Cアルカンおよび/またはシクロアルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサン)を含み得る。
【0099】
改質方法における工程(B)は、硫黄で汚染された炭化水素供給原料は、芳香族化触媒が硫黄で汚染された触媒になるのに十分な時間、芳香族化触媒と接触させることができることを示している。硫黄で汚染された触媒は、典型的には、これらに限定されるものではないが、触媒活性、炭化水素供給転化率、所望の生成物(複数可)への収率、所望の生成物(複数可)への選択性、または排出/生産速度もしくは改質温度などの作動パラメータの1つ以上において許容できない性能を有するであろう。芳香族化触媒が硫黄で汚染されると、とりわけ再生工程(C)および(D)を実施することができる。
【0100】
一態様では、改質方法はインサイチュプロセスであり得、例えば、工程(A)~(D)は同じ反応器系内で行われ得る。しかしながら、代替的態様では、触媒再生工程(C)~(D)のうちの1つ以上を、改質反応器系の外部で、例えば別の容器および/または場所で行ってもよい。例えば、洗浄工程(C)、またはハロゲン化工程(D)、もしくは洗浄工程(C)とハロゲン化工程(D)との両方を、工程(A)~(B)で使用される反応器系の外部で実施してもよい。
【0101】
別の態様では、改質プロセスは、工程(D)の後に触媒を再活性化する工程をさらに含み得る。これは、上記のように、還元工程で達成することができる。本明細書に記載のプロセスのいずれかによって再生された任意の触媒または再活性化された任意の触媒は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含されるとみなされる。いくつかの態様では、再生触媒または再活性化触媒は、触媒の同じ製造工程の、同じ装置で、同じ方法および試験条件下で試験したフレッシュ芳香族化触媒の約50%~約90%の触媒活性を有し得る。
【0102】
遷移金属系触媒
本明細書に開示される方法および技術は、任意の好適な芳香族化触媒と共に利用され得る。芳香族化触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生され、または再活性化された)は、一般に、遷移金属および触媒担体を含み得る。触媒担体は、典型的には、担体マトリックス(またはバインダー)と結合した無機酸化物を含むことができ、無機酸化物の例としては、中細孔および/または大細孔ゼオライト(アルミノケイ酸)、非晶質無機酸化物、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。大細孔ゼオライトは、しばしば、約7Å~約12Åの範囲の平均細孔径を有してもよく、大細孔ゼオライトの非限定的な例として、L型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、βゼオライトなどが挙げられる。中細孔ゼオライトは、しばしば、約5Å~約7Åの範囲の平均細孔径を有し得る。担体マトリックスと結合した中細孔および/または大細孔ゼオライトを有する触媒担体は、本明細書では「ゼオライト担体」と称され得る。非晶質無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、チタニア、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0103】
「ゼオライト」という用語は、一般に、特定の群の水和結晶性金属アルミノケイ酸塩を指す。これらのゼオライトは、酸素原子を共有することによってアルミニウム原子とケイ素原子とが三次元骨格内で架橋されたSiOおよびAlO四面体のネットワークを示す。この骨格内では、アルミニウム原子およびケイ素原子の合計に対する酸素原子の比率は、2に等しい可能性がある。骨格は、典型的には、結晶内に金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および/または水素などのカチオンを含むことによって平衡状態を保つことができる負の電気原子価を示す。
【0104】
いくつかの態様では、触媒担体は、L型ゼオライトを含み得る。L型ゼオライトを含む触媒担体は、ゼオライト担体である。L型ゼオライト担体は、式:M2/nOAlxSIOyHOに従う酸化物のモル比を含み得る。この式において、「M」は、バリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、セシウム、および/または亜鉛などの交換可能なカチオン(1つ以上)、ならびにヒドロニウムイオンおよびアンモニウムイオンのような非金属のカチオンを意味し、L型ゼオライトの基本結晶構造を実質的に変化させることなく、他の交換可能なカチオンで置き換えることができる。式中の「n」は「M」の原子価を表し、「x」は2以上であり、「y」は、ゼオライトのチャネルまたは相互連結した空隙に含まれる水分子の数である。
【0105】
一態様では、触媒担体は、K/L型ゼオライトとも称される結合カリウムL型ゼオライトを含み得るが、別の態様では、触媒担体は、バリウムイオン交換L型ゼオライトを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「K/L型ゼオライト」という用語は、ゼオライトに組み込まれる主なカチオンMがカリウムであるL型ゼオライトを指す。KL型ゼオライトは、(例えばバリウムで)陽イオン交換され得るか、または遷移金属および1つ以上のハロゲン化物を含浸させて、遷移金属含浸ハロゲン化ゼオライトまたはKL担持遷移金属-ハロゲン化物ゼオライト触媒を生成することができる。
【0106】
触媒担体において、ゼオライトは担体マトリックス(またはバインダー)と結合していてもよく、その非限定的な例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、様々な粘土、およびこれらの混合酸化物を含むその他同種のもの、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。例えば、触媒担体は、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む担体マトリックスを含むことができる。ゼオライトは、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて担体マトリックスと結合させることができる。
【0107】
芳香族化触媒は、遷移金属を含むことができ、好適な遷移金属の非限定的な例としては、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、レニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、銅など、または2つ以上の遷移金属の組み合わせを挙げることができる。一態様では、遷移金属は、8~11族の遷移金属、10~11族の遷移金属(1つ以上)、または10族の遷移金属を含んでもよく、一方別の態様では、遷移金属は、白金(Pt)を含んでもよい。
【0108】
一態様では、触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生された、または再活性化された)は、約0.1重量%~約10重量%の遷移金属を含み得る。別の態様では、触媒は、約0.3重量%~約5重量%の遷移金属を含み得る。さらに別の態様では、触媒は、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、または約0.5重量%~約2重量%の遷移金属を含み得る。これらの重量パーセントは、それぞれの「乾燥」触媒の重量に基づく。
【0109】
遷移金属が白金を含む状況において、触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生された、または再活性化された)は、約0.1重量%~約10重量%の白金、代替的に約0.3重量%~約5重量%の白金、代替的に約0.3重量%~約3重量%の白金、または代替的に約0.5重量%~約2重量%の白金を含み得る。本明細書で企図される特定の態様では、芳香族化触媒は、白金と、KL-ゼオライトを含むゼオライト担体とを含むことができる。
【0110】
それに限定されないが、触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生された、または再活性化された)は、約5重量%~約35重量%の担体マトリックスを含み得る。例えば、触媒は、約5重量%~約30重量%、または約10重量%~約30重量%の担体マトリックスを含み得る。上記と同様に、これらの重量パーセントは、それぞれの乾燥触媒の重量に基づく。
【0111】
本明細書に包含される代表的かつ非限定的な触媒の例としては、米国特許第5,196,631号、同第6,190,539号、同第6,406,614号、同第6,518,470号、同第6,812,180号、および同第7,153,801号に開示されているものが挙げられ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
本明細書に開示されるように、触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生された、または再活性化された)は、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、または2つ以上のハロゲンの組み合わせを含み得る。例えば、触媒は、塩素およびフッ素の両方を、独立して、0重量%超~約5重量%、約0.05重量%~約2重量%、または約0.1重量%~約1重量%の量で含有してもよい。特定の態様では、塩素:フッ素のモル比は、約0.5:1~約4:1の範囲であり得る。Cl:Fの他の好適なモル比は、以下の非限定的範囲:約1:1~約4:1、約0.5:1~約3:1、約1:1~約3:1、約0.5:1~約2:1、または約1:1~約2.5:1を含んでもよい。
【0113】
本発明の特定の態様では、触媒(フレッシュな、硫黄で汚染された、再生された、または再活性化された)は、バリウムを実質的に含まず、多くの場合約0.1重量%未満のバリウムを含有し得る。いくつかの態様では、触媒は約0.01重量%未満のバリウムを含有してもよく、またはバリウムを含有しなくてもよい(測定可能な量のバリウムを含有しない)。
【0114】
本明細書に記載の方法のいずれかによって製造された再生触媒または再活性化触媒もまた本明細書に包含される。一態様では、再活性化触媒または再生触媒は、任意の好適な量のアルカリ金属、典型的には、乾燥再活性化または再生触媒の重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の範囲のアルカリ金属、代替的に約1重量%~約14重量%のアルカリ金属、または代替的に約2重量%~約13重量%のアルカリ金属を含み得る。
【0115】
本明細書に提供される方法は、硫黄で汚染された芳香族化触媒に触媒活性を回復させるのに非常に有効である。例として、かつ有利には、再活性化触媒または再生触媒は、フレッシュ基準触媒(同じ装置上、かつ同じ試験方法および条件下で試験された触媒の同じ製造運転(またはバッチ)からの)のTEORの約70°F以内、約60°F以内、約55°F以内、または約50°F以内のTEOR(運転終了温度)によって特徴付けることができる。追加的または代替的に、再活性化触媒または再生触媒は、フレッシュ基準触媒(同じ装置上、かつ同じ試験方法および条件下で試験された触媒の同じ製造運転(またはバッチ)からの)のTSORの約55°F以内、約50°F以内、約45°F以内、または約40°F以内のTSOR(運転開始温度)によって特徴付けることができる。
【0116】
さらに、再活性化触媒または再生触媒は、本明細書に記載されるように、比較的低いファウリング速度によって特徴付けることができる。再活性化触媒または再生触媒は、約0.05°F/時~約0.6°F/時、約0.05°F/時~約0.5°F/時、約0.1°F/時~約0.5°F/時、または約0.15°F/時~約0.45°F/時の範囲のファウリング率(FR、温度対時間の勾配))を有することができる。
【0117】
再活性化触媒または再生触媒はまた、その白金分散体によって特徴付けられてもよい。いくつかの態様では、白金分散体は、約20%~約50%、または約25%~約55%の範囲で存在し得る。
【0118】
これらの有益な特徴に加えて、本明細書に提供される方法はまた、硫黄で汚染されている芳香族化触媒への触媒選択性を回復するのに非常に有効である。例えば、そして有益には、再活性化触媒または再生触媒は、約0.88~約0.94、または約0.89~約0.94の範囲の芳香族選択性によって特徴付けることができる。場合によっては、そして予想外に、芳香族化合物の選択性は、フレッシュ基準触媒の選択性の約2パーセントより大きいか、または約2パーセント以内であり得る。
【実施例
【0119】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、それらは決して本発明の範囲に対して制限を課すと解釈されるべきでない。種々の他の態様、変形例、およびその均等物は、本明細書の記載を読んだ後、本発明の主旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それら自体が当業者に示唆され得る。
【0120】
触媒は、それらのそれぞれのファウリング率(FRと略記する、°F/時の単位)について試験され、それは式、y=FR*t+TSORによりそれらの活性と相関し、式中、yは温度であり、FRは、ファウリング率であり、tは時間であり、TSORは、初期運転開始温度である。本明細書で後述するように、芳香族化合物(ベンゼンおよびトルエンなど)の全収率を経時的に63重量%に維持するのに必要な温度(収率調整触媒温度)をプロットすることによって、触媒試料のFRを求めた。次いで、線形回帰を使用して、得られたデータに適合する計算勾配からFRを決定した。稼働中の合計時間は40時間であり、40時間での運転終了温度(略してTEOR)も決定した。触媒の侵入時間を除外するために、オンラインで15時間以上のデータのみをTSORおよびRFの計算に含めた。
【0121】
各実施例において、以下の標準試験手順を利用した。触媒を粉砕し、約25~45メッシュに篩い分けし、0.69g(約1cc)の篩い分けされた触媒を、温度制御された炉内の外径3/8インチのステンレス鋼反応器容器に入れた。流れる分子状水素下で触媒を還元した後、脂肪族炭化水素(12mL/分)および分子状水素(43mL/分)の供給流を、100psigの圧力、1.3のH:炭化水素のモル比、および12時間-1の液空間速度(LHSV)で反応容器に導入し、経時的な触媒性能データを得た。炭化水素供給原料は、22~26重量%のn-ヘキサン、4~8重量%のn-ヘプタン、33~37重量%のCイソ-パラフィン、15~21重量%のCイソ-パラフィン、6~10重量%のCイソ-パラフィンと共に、CならびにCオレフィン、ナフタレン、C種、および芳香族化合物に起因する残部を含有した。反応器流出物組成物をガスクロマトグラフィー(キャピラリーカラムおよび水素炎イオン化検出器を使用)によって分析して、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族化合物の量を決定した。
【0122】
硫黄含有量は、誘導結合プラズマ分光法(ICP)によって測定した。表面積は、BET法を用いて決定し、ミクロ細孔容積は、t-プロット法を用いて決定した。白金分散度は、CO化学吸着によって決定した。
【0123】
実施例1~5では、フレッシュ芳香族化触媒の性能を目標基準として用いて、硫黄で汚染された芳香族化触媒を再生する際の様々なプロセスおよび工程の有効性を実証するために実験を行った。フレッシュ芳香族化触媒(実施例1)は、約1重量%の白金、0.7~0.9重量%のClおよび0.7~0.9重量%のFを含み、かつ約178m/gの表面積および0.062cc/gのミクロ細孔容積を有するPt/KL-ゼオライトであった。硫黄で汚染された触媒(実施例2)の供給源は、フレッシュ触媒であったが、それは硫黄との接触後に失活した後のものであった。これらの実施例で使用する前に、硫黄で汚染された芳香族化触媒を炭化水素除去処理にかけて、硫黄で汚染された触媒から未反応の炭化水素およびいくらかの炭素質堆積物を除去した。
【0124】
実施例3の処理手順については、1.43gの塩化アンモニウムおよび1.82gのフッ化アンモニウムを、35mLの脱イオン水に溶解した。次に、実施例2の硫黄で汚染された触媒100gに、ハロゲン溶液を含浸させた。含浸させる材料は、室温で4時間浸した。それを次に、43トルおよび38℃で2時間乾燥させた。次いで、温度を95℃に1時間上昇させた。最後に、触媒を空気流中900°Fで1時間焼成した。
【0125】
実施例4の処理手順については、100gの実施例2の硫黄で汚染された触媒を、最初に脱イオン水で洗浄した。洗浄条件は3回の洗浄サイクルからなり、各洗浄サイクルは、洗浄水の重量が触媒の重量の2.5倍である状態で、100°Fで20分間行った。洗浄は、混合物を撹拌するためにNバブリングしながらバッチ式で行った。洗浄した触媒を次に250°Fで4時間乾燥し、空気流下900°Fで1時間焼成した。実施例3と同様な方法で、ハロゲン化、乾燥、焼成を行った。
【0126】
実施例5の処理手順については、100gの実施例2の硫黄で汚染された触媒を、KCl(0.1M)を含有する脱イオン水で洗浄した。洗浄条件は3回の洗浄サイクルからなり、各洗浄サイクルは、洗浄水の重量(KClを除外する)が触媒の重量の2.5倍である状態で、100°Fで20分間行った。洗浄は、混合物を撹拌するためにNバブリングしながらバッチ式で行った。洗浄した触媒を次に250°Fで4時間乾燥し、空気流下900°Fで1時間焼成した。実施例3と同様な方法で、ハロゲン化、乾燥、焼成を行った。
【0127】
図1および図2はそれぞれ、実施例1(フレッシュ)および実施例2(硫黄で汚染された)の触媒についての反応時間に対して芳香族選択性および収率調整温度を比較する。図3および図4はそれぞれ、実施例1(フレッシュ)および実施例3(洗浄工程無しの硫黄で汚染された触媒の処理)の触媒についての反応時間に対して芳香族選択性および収率調整温度を比較する。図5および図6はそれぞれ、実施例1(フレッシュ)および実施例4(洗浄工程およびハロゲン化工程を伴う硫黄で汚染された触媒の再生)の触媒についての反応時間に対して芳香族選択性および収率調整温度を比較する。図7および図8はそれぞれ、実施例1(フレッシュ)および実施例5(KClの洗浄工程およびハロゲン化工程を伴う硫黄で汚染された触媒の再生)の触媒についての反応時間に対して芳香族選択性および収率調整温度を比較する。表Iは、実施例1~5の触媒の特定の性質および図1~8からの関連する性能測定基準を要約する。
【0128】
表および図に示されるように、実施例2の硫黄で汚染された触媒は、178ppmwの元素Sを含み、ほとんど完全に失活した:1000°Fでの芳香族化合物収率はわずか6%であって、芳香族化合物選択性は約20%であって、芳香族化合物の収率63%を達成するには、1100°Fを超える温度が必要であった。硫黄で汚染された触媒と比較すると、実施例3の処理手順を用いていくらかの活性および選択性が回復したが、触媒から硫黄は除去されず、許容できないほど高いTSOR、TEOR、およびファウリング率、ならびに非常に低い芳香族選択性をもたらした。
【0129】
実施例4の再生手順は、水洗工程およびハロゲン化工程を含み、実施例4の再生触媒は、意外にも、優れた活性(低TSORおよびTEOR)、低ファウリング率、およびフレッシュ触媒(実施例1)のもの近い芳香族選択性を有した。実施例5の再生手順は、KCl洗浄工程およびハロゲン化工程を含み、実施例5の再生触媒は、予想外にも、すべての処理/再生触媒の中で最良の性能を有した:最低TSOR、最低TEOR、最低ファウリング率、および最高芳香族選択性を有した(特に、実施例1のフレッシュ触媒のものと同等またはそれ以上の芳香族選択性を有した)。さらに、これは、実施例5の触媒が最も低い表面積およびミクロ細孔容積を有するにもかかわらず達成された。さらに、大部分(約40%)の硫黄が除去されたが、実施例5の再生触媒上には依然としてかなりの量の硫黄が残っていた。
【表1】
【0130】
本発明は、多数の態様および特定の実施例に関連して前述されている。上記の詳細な説明を考慮すると、多くの変形例が、当業者に示唆されよう。全てのそのような明白な変形例は、添付の特許請求の範囲の完全に意図される範囲内である。本発明の他の態様は、限定されないが、以下を含む(態様は、「含む」として記載されるが、代替的には、「から本質的になる」または「からなる」であってもよい)。
【0131】
態様1.改質方法であって、
(A)炭化水素供給原料を遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器系中で改質条件下で接触させて芳香族生成物を製造することと、
(B)硫黄で汚染された炭化水素供給原料を芳香族化触媒と、硫黄で汚染された触媒を形成するのに十分な時間接触させることと、
(C)硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄して洗浄された触媒を製造することと、
(D)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含む方法。
【0132】
態様2.改質方法が、インサイチュプロセスであり、例えば、工程(A)~(D)が同じ反応器系内で実施される、態様1に記載の方法。
【0133】
態様3.工程(C)、工程(D)、または工程(C)と(D)の両方が、工程(A)~(B)の反応器系の外部で行われ、例えば、工程(C)、工程(D)、または工程(C)および(D)の両方が、改質反応器系内にはない容器中で実施される、態様1に記載の方法。
【0134】
態様4.工程(D)の後にハロゲン化触媒を再活性化して再活性化触媒を形成する工程をさらに含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
態様5.遷移金属と触媒担体とを含む硫黄で汚染された触媒を再生する方法であって、
(1)硫黄で汚染された触媒を、任意選択的にアルカリ金属を含む水溶液で洗浄して、洗浄された触媒を製造することと、
(2)洗浄された触媒を、塩素、フッ素、またはそれらの混合物を含むハロゲン溶液と接触させて、ハロゲン化触媒を製造することと、を含む方法。
【0136】
態様6.水溶液が、アルカリ金属、例えば、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはこれらの組み合わせを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
態様7.水溶液が、アルカリ金属塩を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
態様8.水溶液が、アルカリ金属塩化物を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
態様9.アルカリ金属が、カリウムを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
態様10.アルカリ金属が、ルビジウムを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
態様11.アルカリ金属が、セシウムを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
態様12.洗浄工程(工程(C)、工程(1))が、硫黄で汚染された触媒を、例えば、水、アルカリ金属塩と水、またはアルカリ金属塩と脱イオン水から本質的になるか、もしくはこれらからなる、本明細書に開示される任意の水溶液と接触させることを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
態様13.洗浄工程が、本明細書に開示される任意の洗浄温度で、例えば、約20℃~約95℃、約15℃~約65℃、または約30℃~約50℃の範囲で行われる、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
態様14.洗浄工程が、任意の数の洗浄サイクル(例えば、1~4、または2~8)および本明細書に開示される任意の洗浄サイクル時間(例えば、約1分~約6時間、または約5分~約2時間の範囲)を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
態様15.水溶液中のアルカリ金属の濃度が、本明細書に開示されている任意の濃度範囲、例えば、約0.01M~約5M、約0.01M~約1M、約0.1M~約1M、または約0.05M~約0.5Mである、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
態様16.水溶液の重量と硫黄で汚染された触媒の重量との比が、本明細書に開示される重量比のいずれかの範囲、例えば、約0.4:1~約10:1、約0.5:1~約8:1、または約1:1~約5:1である、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
態様17.洗浄工程が、硫黄で汚染された触媒を、本明細書に開示される任意のモル量のアルカリ金属、例えば、硫黄で汚染された触媒の1kg当たり(または洗浄された触媒の1kg当たり)約0.05モル~約1モル、約0.1モル~約0.9、または約0.05モル~約0.7モルのアルカリ金属で富化する、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
態様18.洗浄された触媒が、本明細書に開示される任意の重量パーセントのナトリウム、例えば、洗浄された触媒の重量に基づいて、0重量%~約0.35重量%、0重量%~約0.3重量%、約0.03重量%~約0.35重量%、または約0.05重量%~約0.3重量%のナトリウムを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
態様19.硫黄で汚染された触媒が、本明細書に開示される任意の重量パーセントの硫黄、例えば、硫黄で汚染された触媒の重量に基づいて、少なくとも約100ppmw、少なくとも約150ppmw、約100ppmw~約1000ppmw、約100ppmw~約500ppmw、または約125ppmw~約1250ppmwの硫黄を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
態様20.本方法が、硫黄の量(ppmwでの)を、本明細書に開示される任意の量、例えば、洗浄された触媒(またはハロゲン化触媒)および硫黄で汚染された触媒中の硫黄の量(ppmwでの)における差に基づいて、少なくとも約20%、少なくとも約35%、または約25%~約95%減少させる、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
態様21.ハロゲン溶液が、塩素含有化合物、フッ素含有化合物、またはこれらの混合物、および本明細書に開示される任意の溶媒、例えば、水もしくは炭化水素溶媒を含む(または本質的にこれらからなるか、もしくはこれらからなる)、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
態様22.塩素含有化合物が、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、およびこれらの組み合わせを含む、態様21に記載の方法。
【0153】
態様23.塩素含有化合物が、塩酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含む、態様21に記載の方法。
【0154】
態様24.フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様21~23のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
態様25.フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含む、態様21~24のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
態様26.ハロゲン溶液が、塩素含有化合物(例えば、塩化アンモニウム)、フッ素含有化合物(例えば、フッ化アンモニウム)、および水を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれからなる)、態様21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
態様27.ハロゲン溶液が、塩素/フッ素含有化合物(またはクロロフルオロカーボン)、および本明細書に開示される任意の溶媒、例えば、水もしくは炭化水素溶媒を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
態様28.ハロゲン溶液が、本明細書に開示される任意の範囲、例えば、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%の塩素(Cl)の濃度を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
態様29.ハロゲン溶液が、本明細書に開示される任意の範囲、例えば約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のフッ素(F)の濃度を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
態様30.ハロゲン化工程(工程(D)、工程(2))が、本明細書に開示される任意のハロゲン化温度範囲内、例えば、約0℃~約80℃、約5℃~約50℃、または約15℃~約35℃のハロゲン化温度で行われる、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
態様31.ハロゲン化工程が、本明細書に開示される任意の範囲のハロゲン化時間、例えば約1分~約48時間、約30分~約12時間、または約1時間~約10時間の時間行われる、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
態様32.本方法が、ハロゲン化工程の後に、乾燥工程をさらに含み、乾燥工程が、ハロゲン化触媒を、ハロゲン化触媒の溶媒含有量を、本明細書に開示されるいずれの残留溶媒未満に、例えば、約15重量%未満、約10重量%未満、または約8重量%未満の溶媒に減少させるのに十分な条件に供することを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
態様33.溶媒含有量を減少させるのに十分な条件が、任意の好適な乾燥時間、乾燥温度、および乾燥圧力を含む、態様32に記載の方法。
【0164】
態様34.溶媒含有量を減少させるのに十分な条件が、約1時間~約48時間、または約2時間~約24時間の範囲内の乾燥温度、約15℃~約200℃、または約25℃~約150℃の範囲内の乾燥温度、および大気圧に等しいかまたは任意の好適な準大気圧に等しい乾燥圧力を含む、態様32に記載の方法。
【0165】
態様35.本方法が、ハロゲン化工程の後に焼成工程をさらに含み、焼成工程が、ハロゲン化触媒を任意の好適な焼成条件に供することを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
態様36.焼成工程が、本明細書に開示される任意の焼成温度範囲内、例えば、約200℃~約800℃、約250℃~約500℃、または約250℃~約350℃の温度を含む焼成条件で行われる、態様35に記載の方法。
【0167】
態様37.焼成工程が、本明細書に開示される任意の範囲の焼成時間、例えば15分~約48時間、約15分~約12時間、または約30分~約8時間の焼成時間を含む焼成条件で行われる、態様35~36のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
態様38.本方法が、ハロゲン化工程の後に還元工程をさらに含み、還元工程が、ハロゲン化触媒を、分子状水素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)還元ガス流と接触させることを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
態様39.還元ガス流が、本明細書に開示される任意の最小量、または任意の範囲内の量を超える、例えば約25モル%超、または約75モル%超の分子状水素のモル%を含む、態様38に記載の方法。
【0170】
態様40.還元工程が、本明細書に開示される任意のピーク還元温度範囲内、例えば、約200℃~約600℃、または約400℃~約600℃のピーク還元温度で行われる、態様38~39のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
態様41.還元工程が、本明細書に開示される還元工程時間の任意の範囲の、例えば約10分~約30時間の時間行われる、態様38~40のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
態様42.本方法が、洗浄工程の前、洗浄工程の後、または洗浄工程の前後に、炭素燃焼工程をさらに含み、炭素燃焼工程が、硫黄で汚染された触媒(または洗浄された触媒)を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させることを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
態様43.デコーキングガス流が、本明細書に開示される不活性ガス(1つ以上)と酸素との任意の組み合わせ、例えば、窒素と酸素との混合物、空気、または空気と窒素との混合物を含む(またはこれら本質的にからなるか、もしくはこれらからなる)、態様42に記載の方法。
【0174】
態様44.デコーキングガス流が、本明細書に開示される任意の最大量未満、または任意の範囲よりも少ない酸素のモル%、例えば約5モル%未満、または約0.5モル%~約3モル%の範囲の酸素を含む、態様42~43のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
態様45.デコーキングガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(実質的にハロゲンを含まず、実質的に塩素を含まず)、例えば、ハロゲン含有化合物が100ppmw未満である、態様42~44のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
態様46.デコーキングガス流が、水を実質的に含まず、例えば、水が100ppmw未満である、態様42~45のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
態様47.炭素燃焼工程が、本明細書に開示される任意のピークデコーキング温度範囲内、例えば、約150℃~約600℃、約200℃~約500℃、または約350℃~約450℃のピークデコーキング温度で行われる、態様42~46のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
態様48.炭素燃焼工程が、本明細書に開示される任意の範囲のデコーキング時間、例えば、約1時間~約72時間、約12時間~約48時間、または約1時間~約6時間の時間行われる、態様42~47のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
態様49.炭素燃焼工程が、触媒上の炭素の重量%を本明細書に開示される任意の最大重量パーセント未満の炭素に、例えば、5重量%未満、または約1重量%未満の炭素に減少させるのに十分な時間行われる、態様42~48のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
態様50.本方法が、洗浄工程の前に炭化水素除去工程をさらに含み、炭化水素除去工程が、硫黄に汚染された触媒を、酸素を含む炭化水素除去ガス流と接触させることを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
態様51.炭化水素除去ガス流が、本明細書に開示される不活性ガス(1つ以上)と酸素との任意の組み合わせ、例えば、窒素と酸素との混合物、または空気を含む(またはこれら本質的にからなるか、もしくはこれらからなる)、態様50に記載の方法。
【0182】
態様52.炭化水素除去ガス流が、本明細書に開示される任意の最大量未満、または任意の範囲よりも少ない酸素のモル%、例えば約5モル%未満、または約0.5モル%~約3モル%の範囲の酸素を含む、態様50~51のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
態様53.炭化水素除去ガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(実質的にハロゲンを含まず)、例えば、ハロゲン含有化合物が100ppmw未満である、態様50~52のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
態様54.炭化水素除去ガス流が、水を実質的に含まず、例えば、水が100ppmw未満である、態様50~53のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
態様55.炭化水素除去工程が、本明細書に開示される任意の炭化水素除去温度範囲内、例えば、約150℃~約250℃の炭化水素除去温度で行われる、態様50~54のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
態様56.炭化水素除去工程が、本明細書に開示される炭化水素除去工程時間の任意の範囲の、例えば、約2時間~約24時間の時間行われる、態様50~55のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
態様57.炭化水素除去工程が、硫黄に汚染された触媒上の炭化水素の重量%を本明細書に開示される任意の重量パーセントの炭化水素に、例えば、約1重量%~10重量%、または約1重量%~約5重量%の炭化水素に減少させるのに十分な時間行われる、態様50~56のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
態様58.触媒担体が、ゼオライト、非晶質無機酸化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
態様59.触媒担体が、L-ゼオライト、Y-ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、ベータゼオライト、またはこれらの混合物を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
態様60.触媒担体が、カリウムL-ゼオライトまたはバリウムイオン交換L-ゼオライトを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
態様61.触媒が、アルミナ、シリカ、それらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む担体マトリックスを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
態様62.遷移金属が、10族~11族の遷移金属を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
態様63.アルカリ金属が、白金を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
態様64.硫黄で汚染された触媒が、本明細書に開示される任意の重量パーセントの塩素、例えば、約0重量%超~約5重量%の塩素、約0.05重量%~約2重量%の塩素、または約0.1重量%~約1重量%の塩素をさらに含む、前述の態様のいずれかに記載の方法。
【0195】
態様65.硫黄で汚染された触媒が、本明細書に開示される任意の重量パーセントのフッ素、例えば、約0重量%超~約5重量%のフッ素、約0.05重量%~約2重量%のフッ素、または約0.1重量%~約1重量%のフッ素をさらに含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
態様66.硫黄で汚染された触媒が、約0.1重量%未満のバリウム、例えば、約0.01重量%未満のバリウムを含有するか、またはバリウムを含有しない(測定可能な量ではない)、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
態様67.前述の態様のいずれか1つに記載の方法によって製造された再活性化触媒または再生触媒(例えば、ハロゲン化触媒)。
【0198】
態様68.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の量のアルカリ金属、例えば、約0.5重量%~約15重量%、約1重量%~約14重量%、または約2重量%~約13重量%のアルカリ金属を含む、態様67に記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0199】
態様69.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の量の硫黄、例えば、約400ppmw未満、約200ppmw未満、約150ppmw未満、約25ppmw~約400ppmw、約70ppmw~約200ppmw、または約50ppmw~約150ppmwの硫黄を含む、態様67または68に記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0200】
態様70.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の量の炭素、例えば、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1重量%、または約0.25重量%~約0.5重量%の炭素を含む、態様67~69のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0201】
態様71.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の量の塩素、例えば、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%の塩素を含む、態様67~70のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0202】
態様72.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の量のフッ素、例えば、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のフッ素を含む、態様67~71のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0203】
態様73.再活性化触媒または再生触媒の表面積が、硫黄で汚染された触媒の表面積の少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%である、態様67~72のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0204】
態様74.再活性化触媒または再生触媒が、フレッシュ基準触媒のTEORの約70°F以内、約60°F以内、約55°F以内、または約50°F以内のTEORによって特徴付けられる、態様67~73のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0205】
態様75.再活性化触媒または再生触媒が、フレッシュ基準触媒のTSORの約55°F以内、約50°F以内、約45°F以内、または約40°F以内のTSORによって特徴付けられる、態様67~74のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0206】
態様76.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示されている任意の範囲の、例えば約0.05°F/時~約0.6°F/時、約0.05°F/時~約0.5°F/時、約0.1°F/時~約0.5°F/時、または約0.15°F/時~約0.45°F/時のファウリング率(FR)によって特徴付けられる、態様67~75のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0207】
態様77.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の選択範囲、例えば約0.88~約0.94、または約0.89~約0.94の芳香族選択性によって特徴付けられる、態様67~76のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0208】
態様78.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示される任意の選択範囲、例えば約20%~約50%、または約25%~約55%の芳香族選択性によって特徴付けられる、態様67~77のいずれか1つに記載の再活性化触媒または再生触媒。
【0209】
態様79.触媒(芳香族化触媒、硫黄で汚染された触媒、再生触媒(例えば、ハロゲン化触媒)、再活性化触媒)が、本明細書に開示の任意の重量%の遷移金属、例えば、約0.1重量%~約10重量%、または約0.3重量%~約5重量%の遷移金属を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法または触媒。
【0210】
態様80.触媒(芳香族化触媒、硫黄で汚染された触媒、再生触媒(例えば、ハロゲン化触媒)が、本明細書に開示の任意の重量%の白金、例えば、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約2重量%の白金を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法または触媒。
【0211】
態様81.触媒(芳香族化触媒、硫黄で汚染された触媒、再生触媒(例えば、ハロゲン化触媒)、再活性化触媒)が、白金およびKL-ゼオライトを含むゼオライト担体を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法または触媒。
図1
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図8