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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】照明車
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/26 20060101AFI20220128BHJP
   F21L 14/04 20060101ALI20220128BHJP
   F21V 21/22 20060101ALI20220128BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20220128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21V21/26 370
F21L14/04 100
F21V21/22 100
F21V21/30 100
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020034824
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021140869
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 公孝
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-116953(JP,U)
【文献】実開昭55-053641(JP,U)
【文献】特開2001-167611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/26
F21L 14/04
F21V 21/22
F21V 21/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体により旋回軸を中心に旋回可能かつ起伏軸を中心に起伏可能に支持されたブームと、
前記ブームの先端に取り付けられる照明装置と、
を備え、
前記照明装置は、
前記起伏軸と平行なチルト軸に沿って延びるシャフトと、
前記チルト軸を中心に前記シャフトを回動させるチルト機と、
前記チルト機を前記ブームの前記先端に取り付ける取付機構と、
前記シャフトに連結され、前記シャフトとともに前記チルト軸を中心に回動する複数の投光器と、
を備え、
前記複数の投光器は、第1投光器、第2投光器、第3投光器および第4投光器を含み、
前記第1投光器と前記第2投光器は、前記チルト軸と交差する第1配列方向に並び、
前記第3投光器と前記第4投光器は、前記第1配列方向に並び、
前記第1投光器と前記第3投光器は、前記チルト軸と平行な第2配列方向に並び、
前記第2投光器と前記第4投光器は、前記第2配列方向に並び、
前記チルト軸は、前記第1配列方向において前記第1投光器と前記第2投光器の間、および、前記第3投光器と前記第4投光器の間に位置し、
前記第1投光器と前記第3投光器の間には、前記ブームの幅よりも大きい第1ギャップが形成され、
前記第2投光器と前記第4投光器の間には、前記ブームの前記幅よりも大きい第2ギャップが形成され、
前記チルト機による前記シャフトの回動時に、前記ブームは、前記第1ギャップおよび前記第2ギャップを通過可能であり、
前記チルト機は、前記ブームが最大限に起伏された状態において、前記複数の投光器の投光方向が水平かつ前記ブームが前記第1ギャップの間にある位置と、前記投光方向が水平かつ前記ブームが前記第2ギャップの間にある位置とを含む180°以上の範囲で前記複数の投光器を回動させる、
明車。
【請求項2】
前記シャフトは、前記チルト機の両側方にそれぞれ延出する第1シャフトおよび第2シャフトを含み、
前記照明装置は、
前記第1シャフトに連結され、前記第1シャフトの延長線上において前記チルト軸と平行に延びる第1横桟と、
前記第2シャフトに連結され、前記第2シャフトの延長線上において前記チルト軸と平行に延びる第2横桟と、
前記第1配列方向と平行に延び、前記第1横桟に連結された第1縦桟と、
前記第1配列方向と平行に延び、前記第2横桟に連結された第2縦桟と、
前記第1縦桟に固定され、前記第1投光器を保持する第1アームと、
前記第1縦桟に固定され、前記第2投光器を保持する第2アームと、
前記第2縦桟に固定され、前記第3投光器を保持する第3アームと、
前記第2縦桟に固定され、前記第4投光器を保持する第4アームと、
をさらに備える、
請求項に記載の照明車。
【請求項3】
前記複数の投光器は、第5投光器と、第6投光器と、第7投光器と、第8投光器と、をさらに含み、
前記照明装置は、
前記第1横桟に固定され、前記第5投光器を保持する第5アームと、
前記第1横桟に固定され、前記第6投光器を保持する第6アームと、
前記第2横桟に固定され、前記第7投光器を保持する第7アームと、
前記第2横桟に固定され、前記第8投光器を保持する第8アームと、
をさらに備える、
請求項に記載の照明車。
【請求項4】
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アームおよび前記第4アームは、前記第1配列方向および前記第2配列方向と直交する方向に延びており、
前記第5アーム、前記第6アーム、前記第7アームおよび前記第8アームは、前記第1配列方向に延びている、
請求項に記載の照明車。
【請求項5】
前記チルト軸に沿う方向における前記照明装置の幅は、前記車体の幅以下である、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の照明車。
【請求項6】
前記ブームが前記車体上で水平に倒れ、かつ前記複数の投光器の発光面が前記車体と対向した状態において、前記ブームが前記第1ギャップにあり、前記第1投光器および前記第3投光器が前記チルト軸と平行な方向において前記ブームと重なる、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の照明車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器を有する照明装置を備えた照明車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投光器を鉛直方向に昇降可能なポールに取り付けたポール式の照明装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、このような照明装置を搭載した車両も存在する。投光器がポールに対してチルト可能に連結されたり、ポールが回動可能に支持されたりすることもある。
【0003】
ポール式の照明装置においては、ポールの昇降によって投光器の位置を鉛直方向に調整することができる。また、投光器のチルトやポールの回動により、ポールの周囲で照明範囲を変えることができる。しかしながら、投光器の位置を水平方向に調整することはできない。このような制限により、ポール式の照明装置は、特定の使用態様に適さないことがあった。例えば、橋梁の上に照明装置を配置した場合において橋梁の下方の領域を照らす必要が生じても、ポールの昇降、投光器のチルトおよびポールの回動だけでは当該領域に投光器を向けることが困難である。その他にも、従来の照明装置や照明車には種々の改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-108205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、照明範囲の自由度を高めることが可能な照明装置を備えた照明車を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る照明車は、車体と、前記車体により旋回軸を中心に旋回可能かつ起伏軸を中心に起伏可能に支持されたブームと、前記ブームの先端に取り付けられる照明装置と、を備えている前記照明装置は、前記起伏軸と平行なチルト軸に沿って延びるシャフトと、前記チルト軸を中心に前記シャフトを回動させるチルト機と、前記チルト機を前記ブームの前記先端に取り付ける取付機構と、前記シャフトに連結され前記シャフトとともに前記チルト軸を中心に回動する複数の投光器と、を備えている。
【0007】
前記複数の投光器は、第1投光器、第2投光器、第3投光器および第4投光器を含む。前記第1投光器と前記第2投光器は、前記チルト軸と交差する第1配列方向に並ぶ。前記第3投光器と前記第4投光器は、前記第1配列方向に並ぶ。前記第1投光器と前記第3投光器は、前記チルト軸と平行な第2配列方向に並ぶ。前記第2投光器と前記第4投光器は、前記第2配列方向に並ぶ。前記チルト軸は、前記第1配列方向において前記第1投光器と前記第2投光器の間、および、前記第3投光器と前記第4投光器の間に位置する。前記第1投光器と前記第3投光器の間には、前記ブームの幅よりも大きい第1ギャップが形成されている。前記第2投光器と前記第4投光器の間には、前記ブームの前記幅よりも大きい第2ギャップが形成されている。前記チルト機による前記シャフトの回動時に、前記ブームは、前記第1ギャップおよび前記第2ギャップを通過可能である。
【0008】
例えば、前記チルト機は、前記ブームが最大限に起伏された状態において前記複数の投光器の投光方向が水平かつ前記ブームが前記第1ギャップの間にある位置と、前記投光方向が水平かつ前記ブームが前記第2ギャップの間にある位置とを含む180°以上の範囲で前記複数の投光器を回動させる。
【0009】
記チルト軸に沿う方向における前記照明装置の幅は、前記車体の幅以下であってもよい。また、前記ブームが前記車体上で水平に倒れ、かつ前記複数の投光器の発光面が前記車体と対向した状態において、前記ブームが前記第1ギャップにあり、前記第1投光器および前記第3投光器が前記チルト軸と平行な方向において前記ブームと重なってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、照明範囲の自由度を高めることが可能な照明装置を備えた照明車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る照明装置を備えた照明車の概略的な側面図である。
図2図2は、上記照明車の概略的な上面図である。
図3図3は、上記照明装置の概略的な正面図である。
図4図4は、上記照明装置の概略的な上面図である。
図5図5は、上記照明装置の概略的な側面図である。
図6図6は、上記照明装置およびブームの概略的な側面図である。
図7図7は、上記照明装置およびブームの概略的な側面図である。
図8図8は、上記照明装置およびブームの概略的な側面図である。
図9図9は、上記照明装置およびブームの概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置1を備えた照明車100の概略的な側面図である。図2は、図1に示した照明車100の概略的な上面図である。以下、これらの図に示すように、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向は照明車100の長さ方向(前後方向)に相当し、Y方向は照明車100の幅方向に相当し、Z方向は照明車100の高さ方向(鉛直方向)に相当する。
【0013】
図1および図2に示すように、照明装置1は、複数の投光器2と、フレーム3と、チルト機構4と、取付機構5とを備えている。本実施形態においては照明装置1が8つの投光器2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hを備える場合を想定するが、投光器2の数は7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。これら投光器2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hの光源としては例えばLED(Light Emitting Diode)を用い得るが、この例に限られない。以下の説明において、投光器2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hを特に区別しない場合には、単に投光器2と呼ぶ。
【0014】
フレーム3は、各投光器2を支持している。チルト機構4は、フレーム3に連結されており、チルト軸TAを中心にフレーム3を回動させる。取付機構5は、チルト機構4に連結されている。
【0015】
図1および図2の例においては、投光器2A,2D、投光器2B,2C、投光器2E,2H、投光器2F,2Gがそれぞれ第1配列方向D1に並んでいる。さらに、投光器2A,2E、投光器2B,2F、投光器2C,2G、投光器2D,2Hがそれぞれ第2配列方向D2に並んでいる。本実施形態においては、第2配列方向D2がチルト軸TAと平行である。
【0016】
照明車100は、運転席が設けられたキャビン101と、キャビン101の後方に連結された後部フレーム102と、複数(例えば4つ)の車輪103とを備えている。キャビン101および後部フレーム102は、照明車100の車体Bを構成する。さらに、照明車100は、後部フレーム102に搭載される要素として、旋回台110と、油圧シリンダ111と、駆動機構112と、ブーム120とを備えている。
【0017】
旋回台110および油圧シリンダ111は、ブーム120を支持している。ブーム120の先端には、取付機構5を介して照明装置1が取り付けられている。駆動機構112は、旋回軸PAを中心に旋回台110、油圧シリンダ111およびブーム120を回動(旋回)させるとともに、油圧シリンダ111を駆動することにより起伏軸RAを中心にブーム120を回動(起伏)させる。さらに、駆動機構112は、ブーム120を延出方向EDに伸縮させる。
【0018】
本実施形態においては、旋回軸PAがZ方向と平行である。また、起伏軸RAがY方向およびX方向で規定されるX-Y平面(水平面)と平行である。
【0019】
図1に示すように、照明車100は、後部フレーム102に搭載される要素として、発電機130と、操作パネル131と、コントローラ132とをさらに備えている。発電機130により生成される電力は、各投光器2、チルト機構4および駆動機構112等に供給される。
【0020】
図1および図2の例においては、ブーム120の両側面に一対のドラム113A,113Bが取り付けられている。ドラム113A,113Bには、発電機130と照明装置1とを接続する複数の配線114が巻回されている。ブーム120が伸長すると、配線114がドラム113A,113Bから照明装置1の方向に送り出される。
【0021】
例えば、操作パネル131は、ブーム120の旋回、起伏および伸縮や、各投光器2のチルト、点灯および消灯の指示を入力するためのボタンまたはスイッチを有している。コントローラ132は、操作パネル131の操作に応じて駆動機構112、各投光器2およびチルト機構4を制御する。
【0022】
図1および図2の例においては、最大限に縮められたブーム120が後部フレーム102の直上に位置しており、かつ第1配列方向D1および延出方向EDがX方向と平行である。また、各投光器2の発光面20は、車体Bと対向している。
【0023】
このような状態においては、ブーム120の一部が投光器2Aと投光器2Eの間に位置する。また、投光器2A,2B,2E,2Fがブーム120とY方向(第2配列方向D2)において重なる。
【0024】
図1に示すように、X方向における照明装置1の後端(例えば投光器2D,2Hの端部)は、車体Bの後端100aよりもキャビン101側に位置している。これにより、照明装置1の当該後端と車体Bの後端100aとの間にX方向のギャップGxが形成されている。
【0025】
また、図1に示すように、Z方向における照明装置1の最上部(例えばフレーム3の頂部)は、照明車100の他の部分の最上部(例えばドラム113A,113Bの頂部)よりも低い位置にある。これにより、照明装置1の最上部と照明車100の他の部分の最上部との間には、ギャップGzが形成されている。
【0026】
さらに、図2に示すように、照明装置1のY方向における幅W1は、車体BのY方向における両側部100b,100c間の幅W2よりも小さい。これにより、Y方向における照明装置1の一端(例えば投光器2B,2Cの端部)と側部100bとの間、および、照明装置1の他端(例えば投光器2F,2Gの端部)と側部100cとの間には、それぞれギャップGyが形成されている。
【0027】
このようにギャップGx,Gy,Gzが形成される場合、図1および図2の状態においては照明装置1が照明車100の他の部分からX方向、Y方向およびZ方向のいずれにおいてもはみ出さない。例えば、照明車100は、このような状態で一般道路や高速道路を移動する。
【0028】
次に、照明装置1に適用し得る構成の一例について説明する。
図3は、照明装置1の概略的な正面図である。図4は、照明装置1の概略的な上面図である。図5は、照明装置1の概略的な側面図である。なお、図5においてはチルト機構4の図示を省略している。
【0029】
図3の例においては、各投光器2の発光面20がいずれも正面を向いている。投光器2Aの発光面20は、複数の部分21を有している。例えば各部分21は異なる方向に傾斜した平面であり、それぞれの内側に光源が配置されている。他の投光器2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hも投光器2Aと同様の構造を有している。
【0030】
チルト機構4は、チルト機40と、チルト機40の両側方にそれぞれ延出するシャフト41A,41Bとを備えている。シャフト41A,41Bは、例えば一本の円柱状の部材であってもよいし、別々の部材であってもよい。チルト機40は、チルト軸TAを中心にシャフト41A,41Bを回動させる。本実施形態においてはシャフト41A,41Bが同時かつ同方向へ回動する場合を想定するが、シャフト41A,41Bが個別に回動可能であってもよい。
【0031】
図3に示すように、フレーム3は、2本の横桟30A,30Bと、4本の縦桟31A,31B,31C,31Dとを備えている。横桟30Aは、例えばシャフト41Aと横桟30Aの各々に設けられたフランジを含む連結部32Aを介してシャフト41Aの端部に連結されている。横桟30Bは、例えばシャフト41Bと横桟30Bの各々に設けられたフランジを含む連結部32Bを介してシャフト41Bの端部に連結されている。横桟30A,30Bは、シャフト41A,41Bの延長線上においてチルト軸TAおよび第2配列方向D2と平行に延びている。
【0032】
縦桟31A,31Bは、横桟30Aに連結され、第1配列方向D1と平行に延びている。縦桟31C,31Dは、横桟30Bに連結され、第1配列方向D1と平行に延びている。
【0033】
図4に示すように、フレーム3は、横桟30Aと縦桟31A,31Bとを連結する一対の連結部材33と、横桟30Bと縦桟31C,31Dとを連結する一対の連結部材34とを備えている。これら連結部材33,34は、いずれも第1配列方向D1および第2配列方向D2と直交する方向に延びている。
【0034】
さらに図4および図5に示すように、フレーム3は、縦桟31A,31Bを連結する複数の連結部材35と、縦桟31C,31Dを連結する複数の連結部材36と、後桟37とを備えている。これら連結部材35、連結部材36よび後桟37は、いずれも第2配列方向D2と平行に延びている。
【0035】
複数の連結部材35は、例えば第1配列方向D1における縦桟31A,31Bの両端部および中央部にそれぞれ配置されている。同様に、複数の連結部材36は、例えば第1配列方向D1における縦桟31C,31Dの両端部および中央部にそれぞれ配置されている。後桟37は、縦桟31B,31Cを直接、あるいは連結部材35,36等の他の部材を介して連結している。後桟37は、図3に示したように照明装置1を正面視した際にはシャフト41A,41Bおよび横桟30A,30Bと重なる。
【0036】
図5に示すように、フレーム3は、縦桟31Aおよび連結部材33に対して傾斜した連結部材38をさらに備えてもよい。このような連結部材38にて横桟30Aと縦桟31A、横桟30Aと縦桟31B、横桟30Bと縦桟31C、横桟30Bと縦桟31Dをそれぞれ連結すれば、フレーム3の強度を高めることができる。
【0037】
投光器2A,2D,2E,2Hは、それぞれ第1配列方向D1および第2配列方向D2と直交する方向に延びる一対のアーム39Aによって保持されている。投光器2B,2C,2F,2Gは、それぞれ第1配列方向D1に延びる一対のアーム39Bによって保持されている。
【0038】
投光器2A,2Dを保持するアーム39Aの基端は縦桟31A,31Bに固定され、先端は第2配列方向D2における投光器2A,2Dの側部に回動可能に取り付けられている。これらアーム39Aの基端は、縦桟31A,31Bを連結する連結部材35に固定されてもよい。
【0039】
同様に、投光器2E,2Hを保持するアーム39Aの基端は縦桟31C,31Dに固定され、先端は第2配列方向D2における投光器2E,2Hの側部に回動可能に取り付けられている。これらアーム39Aの基端は、縦桟31C,31Dを連結する連結部材36に固定されてもよい。
【0040】
図3に示すように、投光器2B,2Cを保持するアーム39Bの基端は横桟30Aに固定され、先端は第2配列方向D2における投光器2B,2Cの側部に回動可能に取り付けられている。
【0041】
同様に、投光器2F,2Gを保持するアーム39Bの基端は横桟30Bに固定され、先端は第2配列方向D2における投光器2F,2Gの側部に回動可能に取り付けられている。
【0042】
このように、図3乃至図5の例においては、横桟30A,30Bの自由端側に位置する投光器2B,2C,2F,2Gが、横桟30A,30Bの固定端側に位置する投光器2A,2D,2E,2Hよりも少ない数の部材によって支持されている。これにより、横桟30A,30Bの自由端側に加わる荷重が低減されるので、横桟30A,30Bの撓みが抑制される。
【0043】
投光器2A,2D,2E,2Hは、一対のアーム39Aの取り付け位置を支点として、チルト軸TAと平行な軸を中心に回動可能である。同様に、投光器2B,2C,2F,2Gは、一対のアーム39Bの取り付け位置を支点として、チルト軸TAと平行な軸を中心に回動可能である。図3乃至図5の例においては各投光器2がいずれも同じ方向を向いているが、一対のアーム39Aまたは一対のアーム39Bによる回動を利用して各投光器2の向く方向を変えてもよい。
【0044】
図3に示すように、照明装置1は、チルト軸TAに関して線対称の形状を有している。また、照明装置1は、第2配列方向D2における照明装置1の中心線Cに関して線対称の形状を有している。
【0045】
すなわち、チルト軸TAから第1配列方向D1における照明装置1の一端(投光器2A,2Eの端部)までの距離L1と、チルト軸TAから第1配列方向D1における照明装置1の他端(投光器2D,2Hの端部)までの距離L2とが等しい。また、中心線Cから第2配列方向D2における照明装置1の一端(投光器2B,2Cの端部)までの距離L3と、中心線Cから第2配列方向D2における照明装置1の他端(投光器2F,2Gの端部)までの距離L4とが等しい。図3の例においては、距離L1,L2が距離L3,L4よりも小さい。
【0046】
投光器2Aと投光器2Eの間には、ギャップG1が形成されている。同様に、投光器2Dと投光器2Hの間には、ギャップG2が形成されている。これらギャップG1,G2には、フレーム3を構成する部材も存在しない。また、ギャップG1,G2は、ブーム120の幅よりも大きい。これにより、ブーム120はギャップG1,G2を通過可能である。
【0047】
続いて、照明装置1およびブーム120の動作の一例について説明する。
図6図7図8および図9は、照明装置1およびブーム120の概略的な側面図である。図6の例においては、ブーム120の延出方向EDおよび各投光器2の第1配列方向D1が水平(上述のX-Y平面と平行)である。このとき、ブーム120は、図3に示したギャップG1の間に位置している。
【0048】
図6の状態から油圧シリンダ111が動作すると、図7に示すようにブーム120が起伏軸RAを中心に回動する。これにより、ブーム120がZ方向に起伏する。延出方向EDと水平面とが成す角度θRは、例えば0°から90°よりも僅かに小さい角度までの範囲で調整可能である。
【0049】
図7に示すように、照明装置1の取付機構5は、チルト機40に連結された第1部材51と、ブーム120の先端に連結された第2部材52とを備えている。これら第1部材51および第2部材52は、例えば延出方向EDと直交する取付面を有しており、これら取付面を接触させた状態でボルトとナットの締結により押し合わされている。
【0050】
チルト機40が動作すると、各投光器2およびフレーム3がチルト軸TAを中心に回動する。図7の例においては、第1配列方向D1がZ方向と平行になるまで各投光器2が時計回りに回動している。このような方向への回動であれば、各投光器2を大きく回動させた場合でも、図6において投光器2の上方に位置していたフレーム3がブーム120に干渉しない。
【0051】
図8の例においては、ブーム120が角度θRの最大値であるθRmaxまで起伏し、かつ延出方向EDに伸長している。各投光器2は、投光方向LDが水平となるまでチルト機40により回動されている。このとき、ブーム120は、図3に示したギャップG2の間に位置する。
【0052】
投光方向LDは、例えば各投光器2が光を放つ範囲の中心軸、あるいは各投光器2の発光面20の中心点の法線方向に相当する。本実施形態において、投光方向LDは、第1配列方向D1および第2配列方向D2と直交する。
【0053】
図9の例においては、図8の状態から各投光器2がチルト軸TAを中心として反時計回りに回動し、図8とは正反対の方向を向いている。このように、各投光器2は、少なくとも図4に示したフレーム3の後桟37がチルト機40やブーム120と干渉しない範囲で回動可能である。各投光器2は、各投光器2の投光方向LDが図8および図9に示すように水平となる位置を含む180°以上の範囲で回動可能であることが好ましい。
【0054】
本実施形態においては、チルト機40がリミットスイッチ42を備えている。リミットスイッチ42は、第1配列方向D1と延出方向EDが成す角度θTが第1限界値θ1および第2限界値θ2のいずれかに達した際にチルト機40の回動を停止させる。
【0055】
図9に示す第1限界値θ1は、ブーム120が上述のギャップG1の間に位置し、かつ第1配列方向D1がZ方向と一致する角度である。すなわち、第1限界値θ1は、90°-θRmaxに相当する。
【0056】
第2限界値θ2は、ブーム120が上述のギャップG2の間に位置し、かつ第1配列方向D1がZ方向と一致する角度である。すなわち、第2限界値θ2は、180°-θ1に相当する。
【0057】
一例として、最大値θRmaxは75°であり、第1限界値θ1は15°であり、第2限界値θ2は165°である。この場合において誤差を考慮し、例えば第1限界値θ1を17°、第2限界値θ2を168°に設定してもよい。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、照明装置1および照明車100の照明範囲の自由度を高めることができる。すなわち、ブーム120の旋回および起伏、さらには照明装置1のチルトにより、各投光器2は照明車100の周囲を極めて広範囲に照明可能となる。
【0059】
照明車100は、従来のポール式の照明装置等では困難であった場所の照明も可能である。例えば、ブーム120を橋梁の側方に延ばした状態で各投光器2の投光方向LDを下方に向ければ、橋梁の下方を照明することができる。
【0060】
また、照明装置1が図8および図9に示した各状態にチルト可能であれば、ブーム120の旋回範囲が限られる場合であっても、照明車100の周囲360°の範囲を照明することができる。
【0061】
本実施形態に係る照明装置1の構造であれば、照明を使用しない待機時における照明車100のサイズをコンパクト化できる。すなわち、図1および図2に示したようにブーム120を最大限に縮めて後部フレーム102の直上に位置させ、かつ各投光器2の発光面20を下方に向けた状態においては、X方向、Y方向およびZ方向のいずれにおいても照明装置1が照明車100の他の部分からはみ出さない。
【0062】
図3を用いて説明したように、本実施形態においてはチルト軸TAから第1配列方向D1における照明装置1の一端までの距離L1と他端までの距離L2とが等しい。この場合、図1のようにブーム120を倒した状態において各投光器2の発光面20を図1とは正反対の方向に向けたとしても、照明装置1が車体Bの後端100aからはみ出さない。
【0063】
また、本実施形態においては、距離L1,L2が等しいことに加え、中心線Cから第2配列方向D2における照明装置1の一端までの距離L3と他端までの距離L4も等しい。この場合においては、照明装置1が第1配列方向D1および第2配列方向D2の中心にてバランスよく支持される。そのため、フレーム3の構造を簡易化することができ、照明装置1全体の重量を低減することが可能である。また、このようにフレーム3の構造を簡略化して重量を減らした分、大出力かつ高重量の投光器2を用いることができる。一例として、本実施形態に係る照明装置1の構造であれば、照明車100のベースとして中型クラスのクレーン車を利用する場合であっても、合計で1000万カンデラ以上の光を放つことが可能な高重量の投光器2を用いることができる。
【0064】
以上の実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。その他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を照明装置1および照明車100に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1…照明装置、2…投光器、3…フレーム、4…チルト機構、5…取付機構、100…照明車、110…旋回台、111…油圧シリンダ、120…ブーム、PA…旋回軸、RA…起伏軸、TA…チルト軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9